説明

自動車用ウェザーストリップの成形方法

【目的】 自動車等のドアー、トランク及びウインド等の車体開口部を開閉するパネルに装着して緩衝及び復元用に供するウェザーストリップの成形方法である。
【構成】 ウェザーストリップは、車体に取付ける装着部と、開閉パネルに圧接される中空状シール部とより成形され、第1押出し成形機にウェザーストリップを成形する熱可塑性エラストマーを注入し、第2押出し成形機に硬質合成樹脂を注入した状態で2台を同時に作動させた後に、1台の金型ダイスの内部で、該中空状シール部の内周面に単数又は複数の0.05mm以下の薄膜層を長手方向に熱融着することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各自動車の開閉ドアー、トランク及びウインド等の車体開口部あるいは、その車体開口部を開閉する各種開閉パネルに装着される自動車用ウェザーストリップの成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の自動車用ウェザーストリップは、車体開口部の車体パネルに装着し、該ウェザーストリップの中空状シール部が開閉ドアー、トランク等の各種開閉パネルに当接して圧縮され、防水性や遮音性に優れたウェザーストリップを提供するため、該ウェザーストリップの製造方法としては、押出し成形機に注入した熱可塑性エラストマーによって断面略U字条の芯材の外周を被覆体で被着し、該被覆体の外側に中空状シール部を形成している事が普通に実施されている。
そして、該開閉パネルとの防水性や遮音性を高めるため、該中空状シール部の熱可塑性エラストマーは軟質性で復元性があり、硬さHDA50(JIS K7215)以下の合成樹脂を使用している。
しかし熱可塑性エラストマーの硬さを軟質にするための成分としてゴム分や油分の混合量が増加され、押出し成形後の中空状シール部の内面側に軟質のため表面にベトツキ等の現象が発生し、自動車の車体開口部に該ウェザーストリップを装着して開閉パネルの開閉操作によって圧縮された中空状シール部が開放されたとき、該中空状シール部の内面側の表面のベトツキ状による弱密着によって、該中空状シール部が圧縮された状態から元の状態に復元するのに時間がかかり、異音が発生する問題点が発生している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題点を解決するために発明したもので、従来の熱可塑性エラストマーからなる中空状シール部が圧縮して内面側の表面に現れるベトツキ状によって該中空状シール部の復元に時間がかからないように、中空状シール部の内面側の表面に硬質合成樹脂からなる0.05mm以下の薄膜層を形成する自動車用ウェザーストリップの成形方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明によれば、ウェザーストリップを長手方向の中空状シール部と車体パネルに取着する装着部とによって成形され、第1押出し成形機には、ウェザーストリップの全体を成形する熱可塑性エラストマーを注入する。また、第2押出し成形機には、硬質合成樹脂を注入してある。その後、核第1押出し成形機と該第2押出し成形機とを同時に作動させ、1台の金型ダイスの内部で該中空状シール部の内周面に該硬質合成樹脂よりなる0.05mm以下の該薄膜層を長手方向の一部または内周面全体に熱融着し、その後、冷却成形することによって、開閉による圧縮に対する復元力を増大する。
また、該中空状シール部の内周面に所定間隔を設けて長手方向に複数個以上の該薄膜層を熱融着し、その後、冷却成形することによって、圧縮に対する強靭化と復元力を強力に達成するものである。
【発明の効果】
【0005】
以上のように、本発明により成形されたウェザーストリップによれば、各種開閉パネルの開閉による当接操作で圧縮された状態から常時敏速に復元でき、異音が発生しない効果と、全体が軟質合成樹脂のため復元力を増加できると共に、軟弱性を補強すると云う効果もある。そして、第2押出し成形機に注入した硬質合成樹脂による該中空状シール部の内周面の長手方向に熱融着した薄膜層を一部または内周全体に成形したので、ウェザーストリップの中空状シール部は、著しく強度が補強されて長期間に亘って破損することなく使用できる優れた効果がある。また、薄膜層の厚さも0.05mmであるから、重量的に問題なく軽量となる効果と、第1押出し成形機と第2押出し成形機とを同時に作動させるため、金型ダイス内で長手方向の薄膜層は、成形が著しく容易にできる効果がある。更に、該中空状シール部の内周面に所定間隔を設けて複数個以上の薄膜層を成形被着したので、全体を強化すると共に、樹脂の材料を節約でき、且つ、圧縮に対しても隙間部分が作用して復元が著しく速くベトツキ等も無くなると云う効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
上記のように成形される自動車用ウェザーストリップの押出し成形品によれば、中空状シール部と内部に芯材を収納した装着部とを一体に成形すると共に、中空状シール部の内部に薄膜層を熱融着した図1のウェザーストリップを車体パネルのフランジを該装着部の保持片の間に押し込み装着し、ドアー、トランク等の開口部の端縁に強固に支持取着するものである。
【実施例】
【0007】
次に、本発明の実施例を図面について説明すると、図1に示すものは、ウェザーストリップ(1)を示すもので、押出し成形された断面を示すもので、自動車のドアー、トランク及びウインド等の開口部に装着して使用するものである。
該ウェザーストリップ(1)は、第1押出し成形機(15)によって長手方向に成形され、端部に円形状の中空状シール部(2)と装着部(3)を連結一体に形成され、更に、径部(9)を介して、中空状シール部(2)と装着部(3)を連結することもある。該中空状シール部(2)には、内部の長手方向の一部に硬質合成樹脂よりなる薄膜層(4)を熱融着してある該装着部(3)には、内部に断面U字状の芯材(7)を埋設してある。該芯材(7)には、外側に外周被覆体(5)を内側には内周被覆体(6)を一体に被着してある。また、該内周被覆体(6)には、相対する複数の保持片(8)(8)を対設してある。該保持片(8)は、適宜の数量を装設することもある。更に、中空状シール部(2)の形状は、楕円形や多角形を使用することもある。
図2に示すものは、従来の例を示し、車体パネル(11)にウェザーストリップ(1)を装着した状態を示すもので、該車体パネル(11)のフランジ(12)に該装着部(3)の保持片(8)(8)を押圧状態で装着したもので、この従来例の中空状シール部(2)は、内周面が開閉パネル(10)によって押圧圧縮され密着状態となり、特に気温の高い夏期等では、ベトツキ等が生じ、復元に時間が掛かるものである。
【0008】
図3に示す実施例では、請求項1に述べている中空状シール部(2)の内周面の表面全体に硬質合成樹脂よりなる0.05mm以下の薄膜層(4)を熱融着によって積層したものである。
次に図4に示す実施例は、請求項2に記載した中空状シール部(2)の内周面に第2押出し成形機(16)よりの硬質合成樹脂を以って、所定の間隔を設けて複数個以上の0.05mm以下の薄膜層(4)を熱融着によって積層したものである。
また、図5に示すものは、装着部(3)の内部に全体又は一部を埋設する断面U字状に形成した硬質合成樹脂又は金属板からなる芯材(7)を示し、該芯材(7)には、相対応する側辺に各々所定間隔を設けた屈曲に便利な切除部(13)(13)が打ち抜き形成されている。
図7に示す実施例は、中空状シール部(2)が多角形の形状を示している。
【0009】
図6に示す実施例では、装着部(3)の内部に芯材(7)を埋設するウェザーストリップ(1)の押出し成形する工程を示し、該芯材(7)が金型ダイス(17)の内部に侵入し、第1押出し成形機(15)に注入した熱可塑性エラストマー又はその発泡体によって、中空状シール部(2)と該芯材(7)の外周の装着部(3)とその外周被覆体(5)と内周被覆体(6)及び保持片(8)(8)とを一体に成形する。次に第2押出し成形機(16)に注入した硬質合成樹脂によって該中空状シール部(2)の内周側の表面に各々の状態を代えた薄膜層(4)(4)が金型ダイス(17)内で熱融着される。その後、冷却槽(18)の通過後に引取機(19)の作動によってウェザーストリップ(1)は完成成形されるものである。また、装着部(3)は、中空状シール部(2)より硬い硬さHDA50から85(JIS K7215)の熱可塑性エラストマーによって、別の押出成形機を追加使用して成形される。
【0010】
次に、本発明に使用される熱可塑性エラストマー又はその発泡体としては、オレフィン系またはスチレン系の熱可塑性エラストマーが使用され、硬さはHDA50(JIS K7215)以下を使用する。
また、薄膜層(4)の硬質合成樹脂としては、HDA90(JIS K7215)以上のポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、またはスチレン系樹脂が使用される。
更に、上記硬質合成樹脂は、溶融粘度の異なる2種類以上の混合オレフィン系樹脂または、溶融温度の異なる2種類以上の混合オレフィン系樹脂によって、該混合オレフィン系樹脂の溶融度合いによって表面に粗面部を形成することもある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明の中空状シール部を一体に成形されているウェザーストリップの縦断側面図である。
【図2】 従来のウェザーストリップがフランジに装着され開閉パネルによって圧縮されている状態を示す縦断側面図である。
【図3】 本発明の中空状シール部の内周全体に薄膜層を被着した他の実施例の断面図である。
【図4】 同じく本発明の中空状シール部の内面側に複数個の薄膜層を被着した他の実施例の断面図である。
【図5】 本発明に使用される芯材の斜面図である。
【図6】 同じく本発明の押出し成形品の成形方法を示す側面図である。
【図7】 本発明の他の実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0012】
1 ウェザーストリップ
2 中空状シール部
3 装着部
4 薄膜層
5 外周被覆体
6 内周被覆体
7 芯材
8 保持片
9 径部
10 開閉パネル
11 車体パネル
12 フランジ
13 切除部
15 第1押出し成形機
16 第2押出し成形機
17 金型ダイス
18 冷却槽
19 引取機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアー、トランク及びウインド等の車体開口部に装着する芯材を有するウェザーストリップの成形方法において、該ウェザーストリップは、長手方向に中空状シール部と車体パネルに取着する装着部とより成形され、第1押出し成形機には、ウェザーストリップを成形する熱可塑性エラストマー又はその発泡体を注入し、第2押出し成形機には、硬質合成樹脂を注入し、その後、該第1押出し成形機と該第2押出し成形機とを同時に作動させた後、1台の金型ダイスの内部で該中空状シール部の内周面に第2押出し成形機の該硬質合成樹脂よりなる0.05mm以下の薄膜層を長手方向の一部または内周面全体に熱融着した後、冷却槽を経て送り出される事を特徴とする自動車用ウェザーストリップの成形方法。
【請求項2】
請求項1における該薄膜層は、該中空状シール部の内周面に所定間隔を設けて長手方向に複数個以上の該薄膜層を熱融着する事を特徴とする請求項1の自動車用ウェザーストリップの成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−245697(P2007−245697A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112698(P2006−112698)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000110103)トキワケミカル工業株式会社 (27)
【出願人】(591029688)株式会社システムテクニカル (22)
【Fターム(参考)】