説明

自然換気装置

【課題】 パネルが全閉する際の衝撃を緩和できながらコンパクト化が図れる自然換気装置を提供する。
【解決手段】 本発明の自然換気装置は、建物の内外を連通する通気口1に配置しているパネル3と、そのパネル3を揺動させる駆動機構5とを有している。パネル3は、建物の内外方向に揺動することで通気口1を開閉するようになっている。駆動機構5は、駆動力を出力するモータ10などからなる駆動手段と、そのモータ10の駆動力をパネル3に伝達するためのシャフト14とを有している。シャフト14には、当該シャフト14の回転を制動するための第1ダンパー21Aが接続手段20を介して接続されている。接続手段20は、パネル3が通気口1を全閉する過程で所定の閉じ姿勢なったときに第1ダンパー21Aをシャフト14に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅やオフィスビルなどの建物において、外気を取り入れるために設けられる自然換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最も単純な換気としては、窓や障子などを開いて外気と室内空気とを入れ換える自然換気方式が従来から行われていた。ところが、高層ビルなどでは、地上よりも強い風が吹き付けられるために窓の開閉ができない構造が多く採用されており、それに応じてビル空調設備による強制換気方式が採用されていた。
【0003】
かかる強制換気方式にあっては、空調設備の稼働コストがかかるうえに、空調ムラによって換気が不十分になったり、同一室内で温度差が生じたりするおそれがある。この対策として、例えば特許文献1に示すように自然換気を利用した換気装置が提案されている。
【0004】
特許文献1の換気装置では、障子側アームと無目側アームとからなる引寄せアームで障子(パネル)の下框と無目とを連結し、無目に配置した回動プレートで無目側アームを押して引寄せアームを揺動させることで、障子を開閉操作するようになっている。
【0005】
また、特許文献1の換気装置では、一対の短寸アームとローラと捩りバネなどからなる緩衝部材を窓枠の下枠に配置しており(特許文献1の段落0040および図6参照)、その緩衝部材で障子の下框を弾発的に受け止めて、障子を閉じる際の衝撃を緩和して衝撃音の発生などを抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−308928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の換気装置では、当該特許文献1の図6に示すように、緩衝部材を建物外部側へ飛び出させ、その緩衝部材で障子の下框を受け止めるようになっている。そのため、見掛けが悪いうえに、衝撃を確実に緩和するために建物外部側への飛び出し量をある程度大きくしなければならず、その分だけ緩衝部材をコンパクト化することができないといった問題点があった。
【0008】
本発明は、かかる不都合を解決することを目的とするものであり、パネルが全閉する際の衝撃を緩和できながらコンパクト化が図れる自然換気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記不都合を解決するものである。すなわち本発明は、建物の内外を連通する通気口1に配置しているパネル3と、そのパネル3を揺動させるための駆動機構5とを有しており、パネル3は、建物の内外方向に揺動することで通気口1を開閉するようになっており、駆動機構5は、駆動力を出力する駆動手段と、その駆動手段の駆動力をパネル3に伝達するためのシャフト14とを有しており、シャフト14には、当該シャフト14の回転を制動するための第1ダンパー21Aが接続手段20を介して接続されており、接続手段20は、パネル3が通気口1を全閉する過程で所定の閉じ姿勢になったときに第1ダンパー21Aをシャフト14に接続することを特徴とするものである。
【0010】
ここでの駆動手段としては、電動シリンダーやモータなどのアクチュエーターなどが該当し、手動での駆動も含まれる。駆動手段には、モータの回転方向を変換する手段などを有するものも含まれる。ここでは、パネル3とシャフト14とがクランク機構などを介して連結されたものや、パネル3とシャフト14とが直接連結されたものなどが該当する。第1ダンパー21Aには、バネなども含まれる。第1ダンパー21Aをシャフト14に接続するタイミングとしては、パネル3が通気口1を全閉する時に近い程、第1ダンパー21Aによる制動時間が短くなってパネル3を迅速に閉じることができるが、近くなり過ぎるとパネル3が通気口1に取り付けた枠6などに衝突するときの衝撃音を十分に抑えることができない。そのため、前記制動時間と前記衝撃抑制とのバランスから第1ダンパー21Aをシャフト14に接続するタイミング、すなわちパネル3の前記閉じ姿勢が設定される。
【0011】
また、シャフト14には、パネル3が通気口1を開く際のシャフト14の回転を制動する第2ダンパー21Bを接続しているものとすることができる。ここでの第2ダンパー21Bには、バネなども含まれる。例えば第2ダンパー21Bは、パネル3が通気口1を開く全過程で制動してもよく、パネル3が通気口1を開き始める段階または全開直前のみ制動してもよい。前述のようにパネル3が通気口1を開く全過程で制動する場合には、第2ダンパー21Bの軸をシャフト14に直接接続することができる。
【0012】
その第1ダンパー21Aおよび第2ダンパー21Bの少なくとも一方は、ロータリーダンパーであるものとすることができる。
【0013】
詳しくは、接続手段20は、シャフト14の端に設けたシャフト側継手部材37と、第1ダンパー21Aに繋がっていてシャフト側継手部材37と対峙するダンパー側継手部材38と、シャフト側継手部材37において第1ダンパー21A側の面に設けているシャフト側継手突出部37aと、ダンパー側継手部材38においてシャフト14側の面に設けているダンパー側継手突出部38aと、パネル3を開くときのシャフト14の正方向の回転と同一の回転方向にダンパー側継手部材38を付勢するバネ40と、パネル3が前記閉じ姿勢になったときのダンパー側継手部材38の回転位置でダンパー側継手部材38を受け止める規制部材41とを有しており、パネル3を全閉する際にはシャフト14が逆方向に回転して、シャフト側継手突出部37aが規制部材41に受け止められているダンパー側継手部材38のダンパー側継手突出部38aに当接することで、シャフト14の回転が第1ダンパー21Aによって制動される。
【0014】
パネル3の上端部がヒンジ8によって通気口1の枠6に対して揺動自在に支持されているとともに、パネル3を付勢する付勢機構4を有しており、付勢機構4は、通気口1の縦枠6bに沿って上下方向に延びるコイルバネ43と、そのコイルバネ43の上端部に取り付けているガイドローラ44と、通気口1の縦枠6bに設けていてガイドローラ44を上下方向に案内するガイドレール45と、一端をコイルバネ43の上端部に揺動自在に連結しているとともに他端をパネル3に揺動自在に連結しているロッド46とを有しており、コイルバネ43が、ロッド46の上端部46aを下向きに付勢することで、当該ロッド46の上端部46aがガイドレール45に沿って下方向に移動し、それに伴ってロッド46の下端がパネル3を建物外部側へ付勢するようになっている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の自然換気装置は、駆動手段の駆動力をパネル3に伝達するシャフト14に接続手段20を介して第1ダンパー21Aを接続しているので、第1ダンパー21Aの制動力によってパネル3が通気口1の枠6などに衝突する際の衝撃を緩和することができる。これによって、パネル3を全閉する際の衝撃音(騒音)の発生などを確実に抑えることができる。また、シャフト14に接続手段20と第1ダンパー21Aとを配置している分だけ、当該シャフト14の回転を制動するための機構をコンパクトに構成することができるうえ、第1ダンパー21Aおよび接続手段20をシャフト14の周辺に位置させて目立たなくすることができる。
【0016】
通気口1を開く際のシャフト14の回転を制動する第2ダンパー21Bを設けると、第2ダンパー21Bの制動力によってパネル3が通気口1を開く際に生じる騒音の発生などを確実に抑えることができる。
【0017】
第1ダンパー21Aおよび第2ダンパー21Bの少なくとも一方がロータリーダンパーであると、そのロータリーダンパーにした分だけシャフト14の回転制動のための機構をコンパクトに構成することができる。
【0018】
シャフト側継手部材37と、ダンパー側継手部材38と、ダンパー側継手部材38を付勢するバネ40と、ダンパー側継手部材38を受け止める規制部材41とを有し、パネル3が通気口1を全閉する際に、シャフト側継手突出部37aが規制部材41に受け止められているダンパー側継手部材38の継手突出部38aに当接して、シャフト14の回転を制動するように構成すると、継手やバネや板状の規制部材41といったコンパクトな構成の部材を用いてシャフト14の回転制動を行うことができる。
【0019】
パネル3を建物の内外方向に揺動させる機構のうち、パネル3を建物外部側へ付勢する付勢機構4を、上下方向に延びるコイルバネ43と、そのコイルバネ43の上端部に取り付けているガイドローラ44と、ガイドローラ44を案内するガイドレール45と、一端をコイルバネ43の上端部に揺動自在に連結するとともに他端をパネル3に揺動自在に連結しているロッド46とを用いて構成すると、その付勢機構4を、例えば図11に示すように通気口1の枠6の建物内外方向の幅内に収めることができる。それにより、例えばバランサをパネル3から建物内部側に突出させて、そのバランサの重量でパネル3を建物外部側へ揺動させる機構よりも構成をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る自然換気装置の要部を示す斜視図である。
【図2】自然換気装置を建物内部側から見た図である。
【図3】自然換気装置の横断平面図である。
【図4】パネルを全閉した状態を示す縦断側面図である。
【図5】パネルを開いた状態を示す縦断側面図である。
【図6】パネルを閉じた状態での揺動許容手段を示す縦断側面図である。
【図7】パネルを開いた状態での揺動許容手段を示す縦断側面図である。
【図8】パネルを閉じた状態での接続手段を示す縦断面図である。
【図9】パネルを開いた状態での接続手段を示す縦断面図である。
【図10】自然換気装置を建物外部側から見た図である。
【図11】パネルを閉じた状態での付勢手段を示す縦断面図である。
【図12】パネルを開いた状態での付勢手段を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る自然換気装置の実施例を図面に基づいて説明する。自然換気装置は、図1および図4に示すように、ビルなどの建物の外壁に開口していて建物の内外を連通する通気口1と、その通気口1に繋がっていて建物内部の室内などに連通している通気路2と、建物の内外方向に揺動することで通気口1を開閉する2連1組のパネル3・3と、各パネル3を建物外部側へ付勢する付勢機構4と、両パネル3・3を揺動させるための駆動機構5とを有している。そして、本自然換気装置を配置したことで、建物外の外気と建物内の空気とが自然換気方式によって入れ換えられる。
【0022】
各パネル3は、図2および図4に示すように、横長(図2の左右方向)の直方体形状、かつ中空構造になっていて、通気口1に取り付けている横長の直方体形状の枠6の左右の開口6a・6a内にそれぞれ揺動可能に配置している。枠6は、各開口6a(図5参照)の前面(図5では左側)の周縁に沿ってゴムなどからなる止水部材7を配置している。各パネル3は、通気口1(枠6の開口6a)を全閉する全閉姿勢(図4の姿勢)のときに、止水部材7に押し付けられて密着するようになっている。これにより、通気口1をパネル3で全閉したときには、強風や雨水が通気路2内に浸入して建物内部に吹き込むことが防止される。なお、止水部材7は、パネル3が枠6の開口6aの周縁に衝突する際の衝撃緩和の作用も有する。
【0023】
各パネル3の上端部にはヒンジ8の揺動側を設けており、そのヒンジ8の固定側を枠6の上枠6cの内面に設けている(図11参照)。これによって、各パネル3の上端部はヒンジ8によって通気口1の枠6に揺動自在に支持される。そして、各パネル3が前側へ揺動することで通気口1を開き、後ろ側へ揺動することで通気口1を閉じる。
【0024】
駆動機構5は、図2および図5に示すように、ウォームギヤなどの減速機構(図示せず)を内蔵して駆動力を出力するモータ10と、そのモータ10の出力軸11に連結されている回転方向変換部12と、その回転方向変換部12の左右の出力軸にそれぞれ連結している左右の揺動許容手段13・13と、各揺動許容手段13にそれぞれ連結されていてモータ10の駆動力(回転力)をパネル3に伝達するためのシャフト14・14と、各シャフト14と各パネル3とをそれぞれ連結していてシャフト14の回転をパネル2の揺動に変換するクランク機構15とを有している。
【0025】
モータ10は、ACモータなどからなり、枠6の左右の開口6a・6aの間の縦枠6b(図2参照)に対して当該モータ10の出力軸11が前後方向(建物の内外方向)に垂直になるように配置している。そして、モータ10はブラケット9に固定しており、そのブラケット9は縦枠6bに固定している。各シャフト14は、パネル3に沿って左右方向へ水平に延びており、回転方向変換部12は、モータ10の出力軸11の回転を各シャフト14の周方向の回転に変換する。
【0026】
揺動許容手段13は、パネル3が通気口1を開いている状態のときに通気路2内に流れ込んだ風によって、パネル3が通気口1側へ揺動することを許容するようになっている。クランク機構15は、各シャフト14の左右にそれぞれ取り付けている。各シャフト14の左右両端は、ベアリングなどを介してL字状の取付具16にそれぞれ回転可能に支持しており、その取付具16は枠6の縦枠6bに固定している。
【0027】
モータ10の出力軸11と回転方向変換部12の入力軸17とは、図5に示すカップリング18を介して連結している。カップリング18は、モータ10の出力軸11に固定してあるモータ側固定部18aと、回転方向変換部12の入力軸17に固定してある変換部側固定部18bと、モータ側固定部18aと変換部側固定部18bとの間に介在する合成ゴム製の緩衝部材18cとを有している。カップリング18は、モータ10の出力軸11と回転方向変換部12の入力軸17との連結を行うとともに、回転方向変換部12側からモータ10へ衝撃や振動などが伝達されることを緩和する作用などを有する。
【0028】
各シャフト14には、図2および図3に示すように、モータ10(駆動手段)の配置側の一端とは反対となる他端に接続手段20とロータリーダンパー21とを配置(連結)している。ロータリーダンパー21は、パネル3が通気口1を全閉する際のシャフト14の回転を制動するための第1ダンパー21Aと、パネル3が通気口1を開く際のシャフト14の回転を制動するための第2ダンパー21Bとからなる。第2ダンパー21Bの制動力は、第1ダンパー21Aの制動力よりも小さくなるように構成している。
【0029】
接続手段20は、第1ダンパー21Aとシャフト14との間に介在している。第1ダンパー21Aは取付具22に固定しており、その取付具22は縦枠6bに固定している。接続手段20は、パネル3が通気口1(枠6の開口6a)を全閉する過程で所定の閉じ姿勢になったときに第1ダンパー21Aをシャフト14に接続する。第1ダンパー21Aは、シャフト14に接続されたときに当該シャフト14の回転を制動する。第2ダンパー21Bは、取付具16に固定しており、その第2ダンパー21Bの軸はシャフト14に直接接続している。
【0030】
各クランク機構15は、図4および図5に示すように、シャフト14に固定している連結具23と、その連結具23に一端が固定されてシャフト14の径方向に直線状に延びるアーム24と、そのアーム24の他端にクランクピン25を介して一端が揺動自在に連結している直線状のロッド26と、そのロッド26の他端にクランクピン27を介して揺動自在に連結している固定部材28とを有している。固定部材28の前面は、パネル3の下端部の後面(建物内部側)に固定している。そして、モータ10が駆動されて、シャフト14が図5の状態から反時計回りに回転することで、パネル3の下端がクランク機構15の固定部材28によって後ろ側に引かれて、パネル3は後ろ側に揺動する。一方、シャフト14が図4の時計回りに回転すると、パネル3が前側に揺動する。
【0031】
駆動機構5の各揺動許容手段13は、図3および図6に示すように、回転方向変換部12の出力軸の一端部であるモータ側軸部30に設けた一対のモータ側軸突出部30a・30aと、モータ側軸部30に臨むシャフト14の一端部であるシャフト側軸部31に設けた一対のシャフト側軸突出部31a・31aとを有している。各モータ側軸突出部30aは、モータ側軸部30の先端面からシャフト14側へ突出しており、各シャフト側軸突出部31aは、シャフト側軸部31の先端面から回転方向変換部12側へ突出している。
【0032】
モータ側軸部30およびシャフト側軸部31の各軸突出部30a・31aは、図6に示すように、それぞれ縦断面視で外周側に向かうほど広がる扇形に形成している。両モータ側軸突出部30a・30aの間に形成された一対のブランク領域(遊び)32・32に各シャフト側軸突出部31aがそれぞれ位置するようになっている。
【0033】
そして、駆動機構5によって両パネル3・3を駆動して通気口1を閉じる場合には、各揺動許容手段13のモータ側軸突出部30aの周方向の端面とシャフト側軸突出部31aの周方向の端面とが当接して、モータ10の回転力が両シャフト14・14に伝達され、それによって両パネル3・3が駆動されるようになっている。通気口1を開いた場合には、シャフト側軸突出部31aがモータ側軸突出部30aから離れる方向に移動し、それに伴って両シャフト14・14がブランク領域32・32の範囲内で空回り可能になる。
【0034】
具体的には、一対のモータ側軸突出部30a・30aは、モータ10の出力軸11の軸心に対して互いに対称となる位置に設けており、一対のシャフト側軸突出部31a・31aは、シャフト14の軸心に対して互いに対称となる位置に設けている。モータ10の出力軸11とシャフト14とは、出力軸10の軸心とシャフト14の軸心とが同一線上に位置するように配置している。
【0035】
一方のモータ側軸突出部30aの周方向の端面から他方のモータ側軸突出部30aの周方向の端面までの開き角度は、例えば140度程度になるように設定している。また、一方のシャフト側軸突出部31aの周方向の端面から他方のシャフト側軸突出部31aの周方向の端面までの開き角度は、例えば140度程度になるように設定している。各モータ側軸突出部30aの周方向の両端面間の角度は、例えば40度程度になるように設定しており、シャフト側軸突出部31aの周方向の両端面間の角度は、例えば35度程度になるように設定している。これにより、モータ10の出力軸11が停止している状態で、シャフト14が、例えば115度程度回転できるようになっている。
【0036】
左右の揺動許容手段13・13のうち、一方の揺動許容手段13A(図2では左側)は、図6に示すように、そのモータ側軸部30の円柱状の周面に、当該モータ側軸部30の径方向に延びる一対の台形形状の規制突起34・34を設けている。その規制突起34・34は、モータ側軸部30において、その軸対称位置に配置しており、枠6側に配置しているストッパー35に当接するようになっている。ストッパー35は、前記ブラケット9の下面に取り付けており、シャフト14の軸方向から見て逆台形状に形成している。
【0037】
そして、両パネル3・3で通気口1を閉じるためにモータ10を駆動したことで、各パネル3が通気口1を全閉する全閉姿勢になったときには、一方の規制突起34Aがストッパー35の傾斜状の側面に当接しており(図6の状態)、それによってモータ10の回転が停止する。その結果、各パネル3が枠6の開口6aの周縁に過度に押し付けられることが防止される。なお、モータ10には、速度制御用のタコジェネレータを内蔵しており、そのタコジェネレータによってモータ10の停止が検知されたときには、モータ10の制御回路(図示せず)はモータ10への電流を停止する。
【0038】
前記通気口1を閉じている両パネル3・3を開くためにモータ10を逆回転させたときには、図7に示すように、他方の規制突起34Bがストッパー35に当接し、それによってモータ10の回転が停止する。そのモータ10が停止したときにも、モータ10のタコジェネレータによってモータ10の停止が検知され、モータ10への電流を停止する。
【0039】
第1ダンパー21Aに接続している各接続手段20は、図3および図8に示すように、シャフト14の端に設けたシャフト側継手部材37と、第1ダンパー21Aの回転軸に繋がっていてシャフト側継手部材37と対峙するダンパー側継手部材38とを有している。また、各接続手段20は、シャフト側継手部材37において第1ダンパー21A側の端面に設けている一対のシャフト側継手突出部37a・37aと、ダンパー側継手部材38においてシャフト14側の端面に設けている一対のダンパー側継手突出部38a・38aとを有している。各シャフト側継手突出部37aは、シャフト側継手部材37の端面から第1ダンパー21A側へ突出しており、各ダンパー側継手突出部38aは、ダンパー側継手部材38の端面からシャフト14側へ突出している。
【0040】
さらに、各接続手段20は、パネル3を開くときの各シャフト14の正方向(図8の時計方向)の回転と同一の回転方向にダンパー側継手部材38を付勢するコイルバネ40と、パネル3が所定の閉じ姿勢になったときのダンパー側継手部材38の回転位置でダンパー側継手部材38のダンパー側継手突出部38aを受け止める規制部材41とを有している。そのコイルバネ40は、図3に示すように、ダンパー側継手部材38の周面と取付具22との間に掛け渡している。規制部材41は、板状部材を屈曲成形することで構成されており、取付具22に取り付けている。そして、規制部材41は、ダンパー側継手突出部38aを受け止めることで(図9の状態参照)、コイルバネ40の付勢力によってダンパー側継手部材38が図9の時計方向に過度に回転することを防いでいる。
【0041】
そして、両パネル3・3によって通気口1を閉じるときには、各シャフト14が逆方向(図8の反時計方向)に回転する。それによって各シャフト14が所定角度まで回転してパネル3が所定の閉じ姿勢になったときには、各接続手段20の両シャフト側継手突出部37a・37aの周方向の端面がダンパー側継手突出部38a・38aの周方向の端面に当接して(図8の状態)、両シャフト側継手突出部37a・37aが両ダンパー側継手突出部38a・38aを図8の反時計方向に押す。すると、各シャフト14の回転が第1ダンパー21Aによって制動され、各シャフト14の回転が減速された状態で閉じ、各パネル3が枠6の開口6aの周縁に衝突する際の衝撃が緩和される。
【0042】
シャフト側継手部材37およびダンパー側継手部材38の各継手突出部37a・38aは、図8に示すように、それぞれ縦断面視で外周側に向かうほど広がる扇形に形成している。両シャフト側継手突出部37a・37aの間に形成された一対のブランク領域(遊び)39・39に各ダンパー側継手突出部38aがそれぞれ位置するようになっている。シャフト側継手突出部37aにおけるシャフト14の周方向の端面と、ダンパー側継手突出部38aにおける第1ダンパー21Aの回転軸の周方向の端面とが当接可能になっている。
【0043】
具体的には、シャフト側継手突出部37a・37aは、シャフト14の軸心に対して互いに対称となる位置に設けており、ダンパー側継手突出部38a・38aは、第1ダンパー21Aの回転軸の軸心に対して互いに対称となる位置に設けている。シャフト14の軸心と第1ダンパー21Aの回転軸の軸心とは、同一線上に位置するように配置している。
【0044】
一方のシャフト側継手突出部37aの周方向の端面から他方のシャフト側継手突出部37aの周方向の端面までの開き角度は、例えば140度程度になるように設定している。また、一方のダンパー側継手突出部38aの周方向の端面から他方のダンパー側継手突出部38aの周方向の端面までの開き角度は、例えば140度程度になるように設定している。各シャフト側継手突出部37aの周方向の両端面間の角度は、例えば40度程度になるように設定しており、ダンパー側継手突出部38aの周方向の両端面間の角度は、例えば35度程度になるように設定している。
【0045】
図8の状態から両パネル3・3を開くために各シャフト14が回転したときには、一方のダンパー側継手突出部38aが規制部材41で受け止められて、シャフト側継手突出部37aがダンパー側継手突出部38aから離れるようになっている。それにより、第1ダンパー21Aとシャフト14との接続が解除される。第2ダンパー21Bは、その回転軸が接続手段20を貫通してシャフト14に直接接続している。
【0046】
付勢機構4は、図10ないし図12に示すように、引張りコイルバネなどからなって通気口1の縦枠6bに沿って上下方向に延びているコイルバネ43と、そのコイルバネ43の上端部に接続具42を介して取り付けている左右一対のガイドローラ44・44と、ガイドローラ44・44を上下方向に案内可能な状態で嵌合しているガイドレール45と、逆L字状のロッド46とを有している。
【0047】
ガイドレール45は、上下方向に延びるように構成していて縦枠6bに固定している。コイルバネ43の下端は縦枠6bに取り付けている。ロッド46は、屈曲した上端部46a(一端部)を接続具42を介してコイルバネ43の上端部に揺動自在に連結しているとともに、下端部(他端)をパネル3の左右の側面の下部に揺動自在に連結している。
【0048】
そして、コイルバネ43が、ロッド46の屈曲した上端部46aを下向きに引っ張る(付勢する)ことで、当該ロッド46の上端部46aがガイドレール45に沿って下方向に移動し、それに伴ってロッド46の下端がパネル3を建物外部側へ付勢するようになっている。つまり、パネル3は図11の時計回りに付勢される。
【0049】
次に、本自然換気装置の動作を説明する。例えば両パネル3・3が図5の開姿勢にあるときに操作部(図示せず)のスイッチなどによってモータ10が駆動されると、各揺動許容手段13のモータ側軸突出部30a・30aが図7の反時計回りに回転して、各揺動許容手段13シャフト側軸突出部31a・31aの端面に当接し、そのままシャフト側軸突出部31a・31aを反時計回りに付勢する。
【0050】
それにより、モータ10の回転力が各シャフト14に伝達されて、各シャフト14が反時計回りに回転し、クランク機構15によってパネル3・3の下端が後ろ側に引っ張られて、パネル3・3が後方へ揺動する。その後方への揺動開始のときには、ダンパー側継手突出部38aが規制部材41で受け止められて、図9に示す位置で保持されている。そして、各シャフト14が所定角度まで回転してパネル3が所定の閉じ姿勢になったときに、各接続手段20の両シャフト側継手突出部37a・37aが両ダンパー側継手突出部38a・38aに当接し、第1ダンパー21Aの制動力によってシャフト14の回転が減速される。つまり、パネル3・3がゆっくりと閉まることになる。
【0051】
そのシャフト14の回転が減速された状態で、各パネル3が止水部材7に押し付けられて、通気口1がパネル3によって塞がれる(図4の状態:全閉状態)。そのパネル3が全閉状態になったときには、モータ10が停止して揺動許容手段13のモータ側軸部30が回転不能な状態になっている。そのため、パネル3が建物外部側(前側)に揺動しようとしても、それに伴う各揺動許容手段13のシャフト側軸突出部31a・31aの時計回りの回転がモータ側軸突出部30a・30aによって阻止され、パネル3の建物外部側への揺動が阻止される。なお、パネル3は、止水部材7に押し付けられているのでパネル3の建物内部側(後ろ側)への揺動も阻止される。これにより、パネル3で通気口1を閉じた状態が維持される。
【0052】
その全閉状態のときに操作部のスイッチなどによってモータ10が駆動され、揺動許容手段13のモータ側軸突出部30a・30aが図4の状態から時計回りに回転すると、前述のようにパネル3は付勢機構4によって時計回りの回転力が付勢されているので、前記モータ側軸突出部30a・30aの時計回りの回転に伴って、シャフト側軸突出部31a・31aも時計回りに回転する。それによってシャフト14が時計回りに回転し、パネル3が建物外部側(前側)へ揺動して通気口1を開く(図5参照)。
【0053】
そのシャフト14の時計回りの回転の際には、各接続手段20のシャフト側継手部材37も時計回りに回転し、それに伴ってダンパー側継手部材38がコイルバネ40の付勢力によって時計回りに回転する。その後、ダンパー側継手部材38のダンパー側継手突出部38aが規制部材41に受け止められ(図9の状態)、ダンパー側継手部材38の回転が停止し、それによって各接続手段20のシャフト側継手突出部37aのみが回転する。つまり、パネル3が前方へ揺動する際には、第1ダンパー21Aの制動力はシャフト14に加わらず、第2ダンパー21Bの制動力によってパネル3・3がゆっくりと開くことになる。
【0054】
前記の前方へ揺動しているパネル3は、付勢機構4のコイルバネ43が縮みきって当該パネル3が付勢されなくなる開度、または他方の規制突起34がストッパー35に当接し、モータ10の回転が停止したときの開度で停止する(図5の状態)。その状態で通気口1を介して建物外の外気と建物内部の空気とが入れ換えられて換気される。
【0055】
パネル3が所定の開状態(例えば図5の開状態)になったときには、モータ10が停止していて揺動許容手段13のモータ側軸部30が回転不能な状態になっているが、揺動許容手段13のシャフト側軸突出部31a・31aは、前述のように付勢機構4の付勢力でモータ側軸突出部30a・30aに当接しているのであって、前記ブランク領域32・32の範囲内で図5の反時計回りに回転可能になっている。従って、例えば前述の建物外壁の開口部から通気路1内に強風が吹き込んだときにはブランク領域32・32の範囲内でシャフト14が空回りして、パネル3が後方へ揺動することができる。
【0056】
具体的には、開状態のパネル3は、例えば風速5m/s以上の風で後方への揺動を開始し、風速10m/s以上でパネル3が図4の全閉状態になるように設定している。通気口1内に流れ込む風が風速5m/sよりも低くなると、パネル3は、付勢機構4の付勢力によって前方へ揺動して開状態に復帰する。なお、パネル3は、例えば風速10m/s以上の風で後方への揺動を開始し、そのまま全閉状態になってもよい。
【0057】
このように、本発明では第1ダンパー21Aおよび接続手段20を設けたことで、第1ダンパー21Aの制動力によって、パネル3を全閉する際のシャフト14の回転を減速することができる。これによって、パネル3が枠6の開口6aの周縁に衝突する際の衝撃が緩和されて、前記衝撃による騒音の発生を抑えることができる。
【0058】
また、揺動許容手段13を設けてあるので、例えば突発的な強風が通気口1内に流れ込んだときには、その風圧でパネル3が揺動して通気口1を閉じることができる。加えて揺動許容手段13を設けたことで、パネル3を通気路1内に流れ込んだ風に応じた開度に揺動させることができ、これによって建物内部に流れ込む風を適正な風量に調節することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 通気口
3 パネル
4 付勢機構
5 駆動機構
6 枠
6b 縦枠
14 シャフト
20 接続手段
21A 第1ダンパー
21B 第2ダンパー
37 シャフト側継手部材
37a シャフト側継手突出部
38 ダンパー側継手部材
38a ダンパー側継手突出部
40 コイルバネ
41 規制部材
43 コイルバネ
44 ガイドローラ
45 ガイドレール
46 ロッド
46a 上端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内外を連通する通気口(1)に配置しているパネル(3)と、そのパネル(3)を揺動させるための駆動機構(5)とを有しており、
パネル(3)は、建物の内外方向に揺動することで通気口(1)を開閉するようになっており、
駆動機構(5)は、駆動力を出力する駆動手段と、その駆動手段の駆動力をパネル(3)に伝達するためのシャフト(14)とを有しており、
シャフト(14)には、当該シャフト(14)の回転を制動するための第1ダンパー(21A)が接続手段(20)を介して接続されており、
その接続手段(20)は、パネル(3)が通気口(1)を全閉する過程で所定の閉じ姿勢になったときに第1ダンパー(21A)をシャフト(14)に接続することを特徴とする自然換気装置。
【請求項2】
シャフト(14)に、パネル(3)が通気口(1)を開く際のシャフト(14)の回転を制動する第2ダンパー(21B)を接続していることを特徴とする請求項1記載の自然換気装置。
【請求項3】
第1ダンパー(21A)および第2ダンパー(21B)の少なくとも一方が、ロータリーダンパーであることを特徴とする請求項2記載の自然換気装置。
【請求項4】
接続手段(20)は、シャフト(14)の端に設けたシャフト側継手部材(37)と、第1ダンパー(21A)に繋がっていてシャフト側継手部材(37)と対峙するダンパー側継手部材(38)と、シャフト側継手部材(37)において第1ダンパー(21A)側の面に設けているシャフト側継手突出部(37a)と、ダンパー側継手部材(38)においてシャフト(14)側の面に設けているダンパー側継手突出部(38a)と、パネル(3)を開くときのシャフト(14)の正方向の回転と同一の回転方向にダンパー側継手部材(38)を付勢するバネ(40)と、パネル(3)が前記閉じ姿勢になったときのダンパー側継手部材(38)の回転位置で当該ダンパー側継手部材(38)を受け止める規制部材(41)とを有しており、
パネル(3)を全閉する際にはシャフト(14)が逆方向に回転して、シャフト側継手突出部(37a)が規制部材(41)に受け止められているダンパー側継手部材(38)のダンパー側継手突出部(38a)に当接することで、シャフト(14)の回転が第1ダンパー(21A)によって制動されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自然換気装置。
【請求項5】
パネル(3)の上端部がヒンジ(8)によって通気口(1)の枠(6)に揺動自在に支持されているとともに、パネル(3)を付勢する付勢機構(4)を有しており、
付勢機構(4)は、通気口(1)の縦枠(6b)に沿って上下方向に延びるコイルバネ(43)と、そのコイルバネ(43)の上端部に取り付けているガイドローラ(44)と、通気口(1)の縦枠(6b)に設けていてガイドローラ(44)を上下方向に案内するガイドレール(45)と、一端をコイルバネ(43)の上端部に揺動自在に連結しているとともに他端をパネル(3)に揺動自在に連結しているロッド(46)とを有しており、
コイルバネ(43)が、ロッド(46)の上端部(46a)を下向きに付勢することで、当該ロッド(46)の上端部(46a)がガイドレール(45)に沿って下方向に移動し、それに伴ってロッド(46)の下端がパネル(3)を建物外部側へ付勢することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の自然換気装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−2397(P2012−2397A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135874(P2010−135874)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(397000160)株式会社豊和 (47)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】