説明

自発光ディスプレイおよび自発光ディスプレイの製造方法

【課題】発光部が発光した光のうちのより多くの光を、基板の法線方向に放射させることができる自発光ディスプレイを提供する。
【解決手段】複数の柱状の発光部104を基板101上に互いに間隔をおいた状態で配置する。各発光部104が、第1導電型の半導体107と、第2導電型の半導体108とを有するようにする。発光部104の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率体106を、各発光部104の側壁に接触するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光ディスプレイおよび自発光ディスプレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自発光ディスプレイとしては、特開平7−288341号公報(特許文献1)に記載されているLEDディスプレイがある。このLEDディスプレイは、複数のLEDチップを有し、その複数のLEDチップは、基板上に実装されている。
【0003】
図40及び図41は、そのLEDディスプレイの構造を説明する図である。
【0004】
図40及び図41に示すように、このLEDディスプレイは、プリント基板1上に、青色LEDチップB、緑色LEDチップGおよび赤色LEDチップRを、ワイヤボンディング用いて実装している。1組の青色LEDチップB、緑色LEDチップGおよび赤色LEDチップRは一画素を構成し、これらが発する光は混色されて、その画素の光色が決定される。
【0005】
上記従来のLEDディスプレイは、一画素を構成する1組の青色LEDチップB、緑色LEDチップGおよび赤色LEDチップRの周囲に、カバー部材3を配置し、カバー部材3の内面には、LEDディスプレイの輝度を向上させるため、反射鏡を形成している。各LEDチップから発生した光の相当量が基板垂直方向に対して大きな角度をもって放射される。上記従来のLEDディスプレイは、このようなカバー部材3を配置することによって、基板垂直方向に対して大きな角度をもって放射された光を基板垂直方向に反射するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−288341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のLEDディスプレイでは、基板垂直方向に対して大きな角度をもって放射された光を、各LEDに対して間隔をおいて配置されるカバー部材3で反射する構成であるから、光の基板上面に平行な方向の伝搬可能領域が大きくなって、基板垂直方向に対して大きな角度をもった光の低減が十分でないという問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、発光部が発光した光のうちのより多くの光を、基板の法線方向に放射させることができる自発光ディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の自発光ディスプレイは、
基板と、
上記基板上に互いに間隔をおいて配置された複数の柱状の発光部と
を備え、
上記各発光部は、第1導電型の半導体と第2導電型の半導体とを有し、
上記各発光部の側壁に接触すると共に、上記発光部の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率体
を備えることを特徴としている。
【0010】
尚、上記発光部の屈折率を、上記発光部を構成する物質の屈折率のうちで最も低い屈折率として定義する。
【0011】
本発明によれば、基板上に離散的に配置された発光部の側壁に、発光部を構成する半導体よりも屈折率が小さな低屈折率体が接しているため、発光部内部で発生した光が、臨界角よりも大きな角度で低屈折率体に入射した場合、入射光が、発光部と低屈折率体の界面で全反射して発光部の内部に留まり、最終的に発光部の上部から放射されることになる。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができる。更には、光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイの消費電力を抑えることができる。
【0012】
また、一実施形態では、
上記発光部の上記基板側とは反対側の上面は、上記低屈折率体よりも大きい高屈折率体と接している。
【0013】
上記実施形態によれば、発光部の内部で発生した光の多くを発光部の側壁で全反射できる一方、発光部の上面では光が全反射されにくくすることができて、多くの光が発光部の上方に取り出され易くすることができる。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができるとともに、画素の発光効率を向上できて、自発光ディスプレイの消費電力を抑えることができる。
【0014】
また、一実施形態では、
上記基板上に配置されると共に、互いに間隔をおいて第1の方向に延在する複数の第1の配線と、
上記複数の発光部上に配置されると共に、互いに間隔をおいて第2の方向に延在する複数の第2の配線と
を備え、
上記第1導電型の半導体は、上記第2導電型の半導体に上記基板の法線方向に対向し、
上記各発光部の上記第1導電型の半導体は、上記複数の第1の配線のうちのいずれか1つに電気的に接続される一方、上記各発光部の上記第2導電型の半導体は、上記複数の第2の配線のうちのいずれか1つに電気的に接続され、
パッシブ駆動される。
【0015】
上記実施形態によれば、自発光ディスプレイの構造を簡単にすることができて、製造工程を少なくすることができる。また、柱状の発光部が基板側から第1導電型の半導体と第2導電型の半導体とを順に積層してなるため、基板上に形成された第1の配線と、第1導電型の半導体とを容易に接続できると共に、発光部上に形成された第2の配線と、第2の半導体とを容易に接続できる。
【0016】
また、一実施形態では、
上記各第2の配線は、透明電極である。
【0017】
上記実施形態によれば、発光部からの光が、発光部の上面に形成される配線によって遮られることがないから、発光効率を向上することができると共に、自発光ディスプレイの消費電力を抑制することができる。
【0018】
また、一実施形態では、
上記発光部は、無機半導体からなる。
【0019】
上記実施形態によれば、有機半導体に比べて発光強度を強くするのが容易であるため、画面の大型化、高画素化に容易に対応できる。
【0020】
また、一実施形態では、
上記複数の発光部上に形成されると共に、上記複数の発光部の上記第2導電型の半導体を電気的に接続する共通透明電極と、
上記基板上に配置されると共に、ゲートと、上記発光部の上記第1導電型の半導体に電気的に接続されたドレインとを有する駆動トランジスタと、
上記駆動トランジスタのゲートに電気的に接続されたドレインを有するスイッチングトランジスタと
を備え、
アクティブ駆動される。
【0021】
上記実施形態によれば、各画素がアクティブ駆動されるので、駆動電圧を低くできて、発光部を長寿命化でき、かつ、画素間の干渉を効果的に防止することができる。
【0022】
また、一実施形態では、
上記発光部は、GaN層を有する。
【0023】
上記実施形態によれば、上記発光部が、屈折率が約2.4と高いGaN層を有するから、GaN層と、側壁に接する低屈折率体との屈折率の差を大きくすることができて、効率的に発光部の側壁からの光の漏れを抑制でき、画像の滲みを少なくすることができる。
【0024】
また、一実施形態では、
上記発光部は、InGaN、AlGaN、または、AlInGaNのいずれかからなる活性層を含む。
【0025】
上記実施形態によれば、例えば、第1導電型のGaN層と、第2導電型のGaN層との間に活性層を挟むことにより、著しく発光効率を向上することができる。
【0026】
また、一実施形態では、
上記基板上に配置された結晶性の導電膜パターンを
備え、
上記発光部は、上記導電膜パターン上に配置され、
上記発光部は、結晶性の無機半導体からなる。
【0027】
上記実施形態によれば基板上に結晶性の導電膜が形成され、その上に結晶性の無機半導体からなる発光部が形成されているので、発光部をエピタキシャル成長により一括して基板上に形成することができる。したがって、複数の発光部を1つずつ基板上に実装する必要がなく、工数を大幅に低減できる。
【0028】
また、一実施形態では、
上記発光部の高さが、上記発光部の幅よりも大きい。
【0029】
上記実施形態によれば、発光部と、基板上に形成された結晶性の導電膜(第1の配線)との接触面積を小さくでき、かつ、発光層(活性層)と基板上に形成された結晶性の導電膜との距離を大きくすることができるので、基板上に形成された結晶性の導電膜と発光部との格子定数の不一致による発光層付近の結晶欠陥密度を低くできて、発光部の発光効率を高くでき、自発光ディスプレイの消費電力を抑制することができる。
【0030】
また、一実施形態では、
上記結晶性の導電膜パターンは、シリコンからなるか、または、上記基板側からシリコンとGaNとを順次積層してなる積層膜からなり、
上記発光部は、GaN層を有する。
【0031】
シリコンの結晶性膜は、多くの基板上で容易に形成可能であり、シリコンの結晶性膜上では、GaNの結晶成長が可能となる。また、シリコンの結晶性膜上にGaNの結晶性膜を形成すれば、発光部を構成するGaNの結晶性をより良好にして、発光部の発光効率を向上することができる。上記実施形態によれば、高効率な発光部を安価に形成することができて、自発光ディスプレイの消費電力を抑制することができる。
【0032】
また、一実施形態では、
上記発光部から発光される光が到達可能な位置にナノ粒子蛍光体を配置している。
【0033】
上記実施形態によれば、蛍光体の塗布を容易に行うことができると共に、画素の高精細化と、画素の発色の一定化とを実現することができる。
【0034】
また、一実施形態では
上記各発光部は、青色画素、緑色画素、または、赤色画素の一部であり、
上記各発光部は、青色光を発光し、
上記緑色画素は、上記発光部で発生した青色光を緑色光に変換する蛍光体を有し、
上記赤色画素は、上記発光部で発生した青色光を赤色光に変換する蛍光体を有している。
【0035】
上記実施形態によれば、青色画素、緑色画素および赤色画素を備えているので、カラー化を実現できる。また、発光部では青色光を発光させ、緑色画素では青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体を設けて緑色光に変換し、赤色画素では青色光を赤色光に変換する赤色蛍光体を設けて赤色光に変換しているから、3種類の発光部を設ける必要がなくて、一種類の発光部でカラー化を実現できる。また、青色画素では発光部で発生する青色をそのまま用いるため、蛍光体の種類を、2種類まで低減できる。
【0036】
また、一実施形態では、
上記各発光部は、青色画素、緑色画素、または、赤色画素の一部であり、
上記各発光部は、紫外光を発光し、
上記青色画素は、上記発光部で発生した紫外光を青色光に変換する蛍光体を有し、
上記緑色画素は、上記発光部で発生した紫外光を緑色光に変換する蛍光体を有し、
上記赤色画素は、上記発光部で発生した紫外光を赤色光に変換する蛍光体を有する。
【0037】
上記実施形態によれば、青色画素、緑色画素および赤色画素を有しているから、カラー化を実現できる。また、発光部では紫外光を発光させ、青色画素では紫外光を青色光に変換する青色蛍光体を設けて青色光に変換し、緑色画素では紫外光を緑色光に変換する緑色蛍光体を設けて緑色光に変換し、赤色画素では紫外光を赤色光に変換する赤色蛍光体を設けて赤色光に変換するから、3種類の発光部を設ける必要がなくて、一種類の発光部でカラー化を実現できる。また、各画素では、それぞれ眼に見えない紫外光を波長変換しているため、単色光を得るのが容易で、色再現性を良くすることができる。
【0038】
また、一実施形態では、
上記各発光部は、青色画素、緑色画素、黄色画素、または、赤色画素の一部であり、
上記複数の発光部は、青色光を発光し、
上記緑色画素は、上記発光部で発生した青色光を緑色光に変換する蛍光体を有し
上記黄色画素は、上記発光部で発生した青色光を黄色光に変換する蛍光体を有し、
上記赤色画素は、上記発光部で発生した青色光を赤色光に変換する蛍光体を有している。
【0039】
上記実施形態によれば、青色画素、緑色画素、黄色画素および赤色画素を有しているから、カラー化を実現できる。また、色の再現のために、いわゆる4原色を用いることができるから、表現できる色の範囲を広くすることができる。また、発光部では青色光を発光させ、緑色画素では青色光を緑色光に変換する蛍光体を設けて緑色光に変換し、黄色画素では青色光を黄色光に変換する蛍光体を設けて黄色光に変換し、赤色画素では青色光を赤色光に変換する蛍光体を設けて赤色光に変換するようになっているから、4種類の発光部を設ける必要がなくて、1種類の発光部でカラー化を実現できる。また、青色画素では発光部で発生する青色をそのまま用いるため、蛍光体の種類を、3種類まで低減できる。
【0040】
また、一実施形態では、
上記各発光部は、青色画素、緑色画素、黄色画素、または、赤色画素の一部であり、
上記各発光部は、紫外光を発光し、
上記青色画素は、上記発光部で発生した紫外光を緑色光に変換する蛍光体を有し、
上記緑色画素は、上記発光部で発生した紫外光を緑色光に変換する蛍光体を有し、
上記黄色画素は、上記発光部で発生した紫外光を黄色光に変換する蛍光体を有し、
上記赤色画素は、上記発光部で発生した紫外光を赤色光に変換する蛍光体を有している。
【0041】
上記実施形態によれば、青色画素、緑色画素、黄色画素および赤色画素を有しているから、カラー化を実現できる。また、いわゆる4原色を用いているから、表現できる色の範囲を広くすることができる。また、発光部では紫外光を発光させ、青色画素では紫外光を青色光に変換する蛍光体を設けて青色光に変換し、緑色画素では紫外光を緑色光に変換する蛍光体を設けて緑色光に変換し、黄色画素では紫外光を黄色光に変換する蛍光体を設けて黄色光に変換し、赤色画素では紫外光を赤色光に変換する蛍光体を設けて赤色光に変換するようになっているから、4種類の発光部を設ける必要がなく、1種類の発光部でカラー化を実現できる。また、各画素では、それぞれ眼に見えない紫外光を波長変換しているため、単色光を得るのが容易で、色再現性を良くすることができる。
【0042】
また、一実施形態では、
上記各発光部は、予め定められた複数の種類の画素のうちのいずれかの画素の一部であり、
上記各発光部は、その発光部が属する種類の画素に対応して予め定められた分光分布を有する光を発光する。
【0043】
上記実施形態によれば、複数種の画素を備えているので、カラー化を実現できる。また、基板上に形成された各発光部が、複数種の画素のいずれかに対応して、対応する種類の画素に応じて所定の分光分布で発光するため、波長を変換するための蛍光体を設ける必要がない。
【0044】
また、本発明の自発光ディスプレイの製造方法は、
基板上における複数の発光部を形成する互いに間隔をおいた複数の位置を規定する発光部位置規定工程と、
上記基板上の上記各発光部を形成する位置に、第1導電型の半導体と、第2導電型の半導体とを順次エピタキシャル成長により形成して、上記発光部の少なくとも一部を形成する発光部形成エピタキシャル工程と、
上記第1導電型の半導体の屈折率よりも低くて、かつ、上記第2導電型の半導体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率体を、上記各発光部の側壁部に接触するように配置する低屈折率体形成工程と
を備えることを特徴としている。
【0045】
本発明によれば、発光部を構成する第1の半導体および第2の半導体より屈折率の低い低屈折率体を、発光部の側壁部に接するように形成するため、発光部の内部で発生した光が、臨界角よりも大きな角度で、低屈折率体に入射した場合に、発光部の内部で発生した光が、発光部と低屈折率体との界面で全反射をして、発光部の内部に留まり、最終的に発光部の上部から放射されることになる。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができる。更には光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイの消費電力を抑えることができる。また、発光部は、基板上のあらかじめ規定された位置に、エピタキシャル成長により一括して形成されるため、複数の発光部を1つ1つ基板上に実装する必要がなくて、製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0046】
また、一実施形態では、
上記発光部位置規定工程は、上記基板上の所定の位置に金属触媒粒を配置する工程を含み、
上記発光部形成エピタキシャル工程は、上記金属触媒粒を触媒としてVLS法(Vapor Liquid Solid法)により半導体をエピタキシャル成長させる工程を含む。
【0047】
上記実施形態によれば、発光部位置規定工程および発光部形成エピタキシャル工程を好適に行うことができて、簡易に良好な結晶性の発光部を形成することができる。また、エピタキシャル成長に触媒を用いたVLS法を用いるため、プロセスを低温にできる。
【0048】
また、一実施形態では、
上記発光部位置規定工程は、上記基板上に、上記基板上の所定の位置につながる開口部を有するマスクを形成する工程を含み、
上記発光部形成エピタキシャル工程は、上記開口部内で半導体をエピタキシャル成長させる工程を含む。
【0049】
上記実施形態によれば、発光部位置規定工程および発光部形成エピタキシャル工程を好適に行うことができて、簡易に良好な結晶性の発光部を形成することができる。また、開口部の大きさを場所により変えることにより、発光部の大きさを場所により容易に変えることができる。例えば、3原色の画素のそれぞれにおいて、各色の発光効率に応じて発光部の大きさを変えることができる。
【0050】
また、一実施形態では
上記低屈折率体形成工程は、上記発光部間の隙間を埋めるように低屈折率体を形成する工程を含み、
上記第2導電型の半導体を接続する配線を上記低屈折率体の上面に形成する上部配線工程を備える。
【0051】
上記実施形態によれば、低屈折率体を発光部間の隙間を埋めるように形成して表面を略平らにしてから、上部配線工程を行なうため、上部配線工程が容易となる。
【0052】
また、一実施形態では、
上記発光部は、結晶性の無機半導体からなり、
上記基板上に下部配線を形成する下部配線形成工程を備え、
上記下部配線工程は、上記基板上に結晶性の導電体膜をパターニングする工程を含み、
上記発光部位置規定工程は、上記結晶性の導電体膜に対する上記発光部の位置を規定する。
【0053】
上記実施形態によれば、下部配線を形成する工程が、結晶性の無機半導体部からなる発光部を形成する下地形成を兼ねている。したがって、良好な結晶性の発光部を簡略な工程で形成することができる。
【0054】
また、一実施形態では、
基板上に、第1導電型の半導体膜と、第2導電型の半導体膜とをこの順に積層してなる半導体積層膜を形成した後、エッチングを行うことにより、第1導電型の半導体と、第2導電型の半導体とを有する複数の柱状の発光部を形成する発光部形成エッチング工程と、
上記第1導電型の半導体の屈折率よりも低くて、かつ、上記第2導電型の半導体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率体を、上記各発光部の側壁部に接触するように配置する低屈折率体形成工程と
を備えることを特徴としている。
【0055】
本発明によれば、発光部を構成する第1の半導体および第2の半導体より屈折率の低い低屈折率体を、発光部の側壁部に接するように形成するため、発光部内部で発生した光が、臨界角よりも大きな角度で低屈折率体に入射した場合に、その入射した光が、発光部と低屈折率体との界面で全反射をして、発光部の内部に留まり、最終的に発光部の上部から放射されることになる。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができる。更には光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイの消費電力を抑えることができる。
【0056】
また、発光部は、基板上に第1導電型の半導体膜と第2導電型の半導体膜がこの順に積層されてなる半導体積層膜が形成された基板をエッチングすることにより、複数の柱状の発光部を形成するため、複数の発光部を1つ1つ基板上に実装する必要がなくて、製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0057】
また、本発明のモバイル機器は、
本発明の自発光ディスプレイを備えている。
【0058】
本発明によれば、モバイル電子機器の表示を高精細化できると共に、低消費電力化を実現することができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明の自発光ディスプレイによれば、発光部が発光した光のうちのより多くの光を、基板の法線方向に放射させることができる。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れを抑制できて、画像の滲みを少なくすることができると共に、光漏れが少ない分、発光量を抑えることができて、自発光ディスプレイの消費電力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態の自発光ディスプレイの一部の平面図である。
【図2】図1のAA線矢視断面図である。
【図3】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造できる手順の一例を説明する図である。
【図4】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造できる手順の一例を説明する図である。
【図5】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造できる手順の一例を説明する図である。
【図6】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造できる手順の一例を説明する図である。
【図7】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造できる手順の一例を説明する図である。
【図8】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造できる手順の一例を説明する図である。
【図9】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造できる手順の一例を説明する図である。
【図10】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造する他の手順を説明する図である。
【図11】第1実施形態の自発光ディスプレイを製造する他の手順を説明する図である。
【図12】本発明の第2実施形態の自発光ディスプレイの概略断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の自発光ディスプレイの概略の断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態の自発光ディスプレイの概略断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態の自発光ディスプレイの概略断面図である。
【図16】本発明の第6実施形態の自発光ディスプレイの一部の平面図である。
【図17】図16のBB線矢視断面図である。
【図18】第6実施形態の自発光ディスプレイを製造する手順の一例を説明する図である。
【図19】第6実施形態の自発光ディスプレイを製造する手順の一例を説明する図である。
【図20】第6実施形態の自発光ディスプレイを製造する手順の一例を説明する図である。
【図21】第6実施形態の自発光ディスプレイを製造する手順の一例を説明する図である。
【図22】第6実施形態の自発光ディスプレイを製造する手順の一例を説明する図である。
【図23】第6実施形態の自発光ディスプレイを製造する手順の一例を説明する図である。
【図24】第6実施形態の自発光ディスプレイを製造する手順の一例を説明する図である。
【図25】本発明の第7実施形態の自発光ディスプレイの一部の平面図である。
【図26】図25のCC線矢視断面図である。
【図27】第7実施形態の自発光ディスプレイ700の形成方法の一例を説明する図である。
【図28】第7実施形態の自発光ディスプレイの形成方法の一例を説明する図である。
【図29】第7実施形態の自発光ディスプレイの形成方法の一例を説明する図である。
【図30】第7実施形態の自発光ディスプレイの形成方法の一例を説明する図である。
【図31】第7実施形態の自発光ディスプレイの形成方法の一例を説明する図である。
【図32】第7実施形態の自発光ディスプレイの形成方法の一例を説明する図である。
【図33】第7実施形態の自発光ディスプレイの形成方法の一例を説明する図である。
【図34】第7実施形態の自発光ディスプレイの形成方法の一例を説明する図である。
【図35】本発明の第8実施形態の自発光ディスプレイを構成する画素の回路図である。
【図36】第8実施形態の自発光ディスプレイの一部の平面図である。
【図37】図36のDD線矢視断面図であり
【図38】図36のEE線矢視断面図である。
【図39】本発明の第9実施形態のモバイル電子機器の構成図である。
【図40】従来のLEDディスプレイの構造を説明する図である。
【図41】従来のLEDディスプレイの構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0062】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の自発光ディスプレイの一部の平面図であり、図2は、図1のAAにおける矢視断面図である。
【0063】
図1および図2に示すように、本実施の形態の自発光ディスプレイ100は、基板101上に、第1の配線102a、102b、102cが、それぞれ第1の方向としての基板101上の一方向に延在している。第1の配線102a、102b、102c上には、それぞれが画素となり紫外光を発光する柱状の発光部104が略等間隔に離間して形成されている。柱状の各発光部104は、第1の配線102a、102bまたは102cに接する側から、第1導電型の半導体107、活性層109および第2導電型の半導体108を積層してなっている。第1の配線102a、102b、102c上に離散的に形成された複数の柱状の発光部104間は、発光部104を構成する半導体よりも屈折率が低い低屈折率体106によって充填されている。
【0064】
発光部104および低屈折率体106上には、透明電極からなる第2の配線103a、103b、103cが、それぞれ基板上の一方向と交差する第2の方向としての他方向に延在している。
【0065】
各画素を構成する各発光部104の第1導電型の半導体107は、第1の配線102a、102b、102cのいずれかに接続され、第2導電型の半導体108は、第2の配線103a、103b、103cのいずれかに接続されている。第1の配線および第2の配線を1つずつ選択することにより、特定の画素、すなわち、特定の発光部104を選択することができる。各発光部104上には、紫外光を赤色光に変換する赤色蛍光体110R、紫外光を緑色光に変換する緑色蛍光体110G、紫外光を青色光に変換する青色蛍光体110Bのいずれかが配置され、赤色蛍光体110Rが配置されたものが、赤色画素105Rを構成し、緑色蛍光体110Gが配置されたものが緑色画素105Gを構成し、青色蛍光体110Bが配置されたものが青色画素105Bを構成している。
【0066】
図1では、赤色画素105R、緑色画素105G、青色画素105Bが、それぞれ3画素ずつ描かれているが、所望の画素数を設けることができる。また、図1および図2では、1個の発光部104が1画素を構成しているが、複数個の発光部104が1画素を構成するようにしてもよい。複数個の発光部104が1画素を構成する場合、ある発光部104が点灯不良を起こした場合でも、その画素が全く点灯しなくなることを防ぐことができるので、画素不良を目立たなくすることができる。
【0067】
基板101は、サファイア基板、セラッミック基板などの絶縁体基板、表面にシリコン酸化膜を形成したシリコン基板などを用いることができる。また、上記第1の配線102a、102b、102cは、例えば、シリコン膜や、シリコン膜上にn型GaNを成膜した積層膜を用いることができる。また、上記第2の配線103a、103b、103cは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)などの透明電極を用いることができる。
【0068】
発光部104を構成する第1導電型の半導体107には、n型AlGaNやn型GaNを、第2導電型の半導体108には、p型AlGaNやp型GaNを、活性層109には、AlGaNなどを、それぞれ用いることができる。また、柱状の発光部104の断面は、円形でも良く、三角形、四角形、六角形などの多角形でも良い。
【0069】
また、低屈折率体106としては、SOG(Spin on Glass)や透明樹脂を用いることができる。低屈折率体106は、発光部104を構成する半導体(第1導電型の半導体107および第2導電型の半導体108)よりも屈折率が小さい。それゆえ、発光部104内で発生した光が、内部から発光部104と低屈折率体106との界面に入射したとき、入射角が臨界角より大きい場合は、全反射して発光部104の内側に留まることになる。したがって、発光部104の側壁から隣接する発光部(画素)に漏れる光を少なくすることができる。
【0070】
発光部104と低屈折率体106を構成する物質の、好ましい一例は、発光部104がGaN(屈折率約2.4)からなり、低屈折率体106がエポキシ樹脂やシリコン樹脂などの透明樹脂(屈折率約1.5)からなる場合である。この場合の臨界角は、約39°である。また、発光部104と低屈折率体106を構成する物質の、より好ましい例は、発光部104がGaN(屈折率約2.4)からなり、低屈折率体106が多孔質SOG(屈折率約1.3)からなる場合である。この場合の臨界角は、約33°である。
【0071】
なお、低屈折率体106は、必ずしも離間して形成されている柱状の発光部104の間を完全に充填している必要はなく、少なくとも柱状の発光部104の側壁に接していればよい。例えば、柱状の発光部104の側壁に、低屈折率体106が薄膜状に形成され、更に、薄膜状の低屈折率体106上に反射膜を形成してもよい。このようにすると、柱状の発光部の側壁には、低屈折率体106と反射膜の積層膜が形成されることとなり、柱状の発光部104で発生した光が隣接する発光部(画素)に漏れることを、ほぼ完全に防ぐことが可能となる。なお、このような構成とした場合は、複数の発光部104間に残された隙間を更に樹脂等で埋めておくことが好ましい。
【0072】
柱状の発光部104の直径としては、10nmから1mmの間の寸法を採用することができる。また、柱状の発光部104の長さとしては、100nmから1mmの間の寸法を採用することができる。また、柱状の発光部104の直径としては、より好適には、100nmから10μmの間の寸法を採用することができ、柱状の発光部104の長さとしては、より好適には、1μmから100μmの間の寸法を採用することができる。
【0073】
本実施の形態の自発光ディスプレイは、以下に述べるように、VLS(Vapor Liquid Solid)法等で基板101上に直接発光部104を形成することができて、かつ、柱状の発光部をナノスケールやマイクロスケールに微細化することができる。このため、画素を微細化することにより、極めて高精細な自発光ディスプレイとすることが可能であり、モバイル用途のディスプレイとして好適である。一方、柱状の発光部104を比較的大きくした場合は、大型ディスプレイや高輝度のディスプレイとして好適である。
【0074】
また、本実施の形態の自発光ディスプレイ100は、基板101上に離散的に配置された発光部の側壁に、発光部104を構成する半導体よりも屈折率が小さな低屈折率体106が接しているため、発光部内部で発生した光は、臨界角よりも大きな角度で入射場合に全反射をして発光部内部に留まり、最終的に発光部の上部から放射される。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができる。更には光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイ100の消費電力を抑えることができる。
【0075】
ところで、柱状の発光部104の上面は、発光部104の発光波長における屈折率が、低屈折率体106よりも大きい高屈折率体と接することが好ましい。例えば、好ましい一例としては、柱状の発光部104がGaN(屈折率約2.4)からなり、低屈折率体106がポキシ樹脂やシリコン樹脂などの透明樹脂(屈折率約1.5)からなり、柱状の発光部104の上面が、ITO(屈折率約2.1)からなる第2の配線103a、103b、103cと接するものがある。
【0076】
この場合、発光部104の内部で発生した光は、その多くが発光部104の側壁で全反射される一方、発光部104の上面では相対的に全反射されにくいため、多くの光が発光部104の上方に取り出される。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができるとともに、画素の発光効率を向上して、自発光ディスプレイの消費電力を抑えることができる。
【0077】
本実施の形態の自発光ディスプレイ100では、柱状の発光部104は、基板101側から第1導電型の半導体107と、第2導電型の半導体108とが順に積層されてなり、基板101上には、第1の方向としての一方向に延びる複数の第1の配線102a、102b、102cが形成され、複数の発光部104上には、他方向に延びる複数の第2の配線103a、103b、103cが形成され、複数の発光部104の第1導電型の半導体107の夫々は、複数の第1の配線102a、102b、102cのいずれか1つに電気的に接続され、複数の発光部104の第2導電型の半導体108の夫々は、複数の第2の配線103a、103b、103cのいずれか1つに電気的に接続されている。
【0078】
上記第1の配線102a、102b、102cのいずれか1つと、第2の配線103a、103b、103cのいずれか1つを選択し、所望の輝度を得るための電流を流してパルス発光させ、他の発光部104も同様に次々と選択してパルス発光させることができる。もしくは、例えば、第1の配線102a、102b、102cのいずれか1つを選択し、第2の配線103a、103b、103cのそれぞれに所望の輝度を得るための電流を流すことにより、ライン毎に発光部104をパルス発光させても良く、この自発光ディスプレイ100を、いわゆるパッシブ駆動しても良い。
【0079】
上記説明した自発光ディスプレイ100は、構造が簡単であるから、製造工程を少なくすることができる。また、柱状の発光部104が、基板101側から、第1導電型の半導体107と、第2導電型の半導体108とを、順に積層してなるため、基板上に形成された第1の配線102a、102b、102cと、第1導電型の半導体107とを接続すると共に、発光部上に形成された第2の配線103a、103b、103cと、第2の半導体108を接続するのが容易になる。
【0080】
尚、第2の配線103a、103b、103cは透明電極とするのが好ましく、その場合、発光部104の上面に形成される配線が、発光部からの光を遮ることなく透過させるため、発光効率を向上させることができて、自発光ディスプレイの消費電力を抑制することができる。
【0081】
自発光ディスプレイ100がパッシブ駆動される場合では、発光部104を構成する半導体は、無機半導体からなることが特に好ましい。パッシブ駆動型の自発光ディスプレイは、画面が大型化して、画素数が増えるにしたがって、パルス発光の時間が短縮するから、発光強度を強くする必要がある。発光部を無機半導体とすれば、有機半導体に比べて発光強度を強くするのが容易であるため、画面の大型化、高画素化に対応可能となるからである。
【0082】
また、発光部104は、GaNを主体として構成されているのが好ましい。GaNは屈折率が約2.4と高く、側壁に接する低屈折率体106との屈折率の差を大きくすることができるため、効率的に発光部104の側壁からの光の漏れを抑制して、画像の滲みを少なくすることができるからである。
【0083】
更に、GaNを主体として構成される発光部104は、InGaN、AlGaN、AlInGaNのいずれかからなる活性層109を備えることが好ましい。活性層109は、一層に限らず、多層構造としてもよい。n型のGaNと、p型のGaNとの間に活性層を挟むことにより、著しく発光効率を向上することができる。
【0084】
ところで、基板101上には、結晶性の導電膜パターンが、形成されており、この導電膜パターン上に、発光部104が形成されており、発光部104は、結晶性の無機半導体からなることが好ましい。本実施の形態では、結晶性の導電膜パターンは、例えばシリコン膜や、シリコン膜上にn型GaNを成膜した積層膜を用い、第1の配線102a、102b、102cとしても用いている。
【0085】
基板101上には、結晶性の導電膜が形成され、その上に結晶性の無機半導体からなる発光部104が形成されているので、発光部104をエピタキシャル成長により一括して基板上に形成することが可能である。したがって、複数の発光部104を1つずつ基板上に実装する工程が必要でなくなる。
【0086】
柱状の発光部104の形状については、柱状の発光部104の高さ(図2にHで示す)が幅(図2にWで示す)よりも大きいことが好ましい。このような形状では、発光部104と、基板101上に形成された結晶性の導電膜(第1の配線102a、102b、102c)との接触面積を小さくし、かつ発光層(活性層109)と、基板101上に形成された結晶性の導電膜との距離を大きくすることができるので、基板101上に形成された結晶性の導電膜と、発光部104との格子定数の不一致による発光層付近の結晶欠陥密度を低くできて、発光部104の発光効率を高くでき、自発光ディスプレイの消費電力を抑えることができるのである。
【0087】
また、基板101上に形成された結晶性の導電膜(第1の配線102a、102b、102c)は、シリコンまたは基板側からシリコンとGaNが積層された積層膜からなり、発光部104は、主としてGaNからなるのが好ましい。シリコンの結晶性膜は、多くの基板上で容易に形成可能であり、シリコンの結晶性膜上では、GaNの結晶成長が可能となる。また、シリコンの結晶性膜上に、GaNの結晶性膜を形成すれば、発光部104を構成するGaNの結晶性をより良好にして、発光部104の発光効率を向上することができる。このような構成においては、安価に高効率な発光部104を形成して自発光ディスプレイの消費電力を抑えることができる。
【0088】
また、発光部104の大きさが小さい場合、具体的には、発光部104の直径が30μm以下の場合には、通常の蛍光体(粒子の大きさが10〜20μm)を用いて画素毎に蛍光体を塗布するのが困難となる。更には、画素毎の蛍光体粒子の数がばらつくため、画素の発色を一定にするのが困難となる。それゆえ、赤色蛍光体110R、緑色蛍光体110Gおよび青色蛍光体110Bとして、蛍光体粒子の直径が、1μm以下、より好適には、10nm〜100nm程度のナノ粒子蛍光体を塗布するのが好ましい。これにより、蛍光体の塗布を容易にするとともに、画素を高精細化しても画素の発色を一定にすることができる。
【0089】
本実施の形態の自発光ディスプレイ100では、複数の発光部104毎に、青色画素105B、緑色画素105G、赤色画素105Rのいずれかが形成され、各発光部104は、通電により紫外光を発光するようになっている。そして、青色画素105Bでは、発光部104で発生した紫外光を青色光に変換する青色蛍光体110Bが設けられ、緑色画素105Gでは、発光部104で発生した紫外光を緑色光に変換する緑色蛍光体110Gが設けられ、赤色画素105Rでは、発光部104で発生した紫外光を赤色光に変換する赤色蛍光体110Rが設けられている。
【0090】
このように、青色画素105B、緑色画素105Gおよび赤色画素105Rを設けることにより、カラー化が可能となる。また、発光部104では、紫外光を発光させ、青色画素105Bでは、紫外光を青色光に変換する青色蛍光体110Bを設けて青色光に変換し、緑色画素105Gでは、紫外光を緑色光に変換する緑色蛍光体110Gを設けて緑色光に変換し、赤色画素105Rでは、紫外光を赤色光に変換する赤色蛍光体110Rを設けて赤色光に変換することにより、3種類の発光部を設ける必要がなく、一種類で足りる。また、各画素では、それぞれ眼に見えない紫外光を波長変換しているため、単色光を得るのが容易で、色再現性を良くすることができる。
【0091】
図3〜図9は、第1実施形態の自発光ディスプレイ100を製造できる手順の一例を説明する図である。
【0092】
先ず、図3に示すように、少なくとも表面が絶縁性の基板101、例えば、サファイア基板、セラッミック基板などの絶縁体基板、表面にシリコン酸化膜を形成したシリコン基板を準備する。
【0093】
次に、図4に示すように、基板101上に厚さ50nmのシリコン薄膜をCVD法により堆積し、その後、900℃で、アニールして結晶化する。続いて、MOCVD法により、厚さ100nmのn型GaNをシリコン薄膜上に堆積する。このように基板101上に形成したn型GaN/シリコン積層膜をフォトリソグラフィー工程によりパターニングし、第1の配線102bを形成する。この工程は、下部配線工程を構成する。
【0094】
次に、図5に示すように、基板上全面に、NiやAuなどの触媒金属をスパッタ法により堆積し、フォトリソグラフィー工程により第1の配線102b上にドット状の金属触媒粒子121を形成する。この後、さらにアニールによりドット状の金属触媒粒121を凝集させることもできる。金属触媒粒の粒径は、後に形成する柱状の発光部104の太さに応じて決めればよい。柱状の発光部104の太さは、例えば、100nm〜10μmとすることができる。この工程は、基板101上の所定の位置に複数の発光部104を形成する位置を規定するものであり、発光部位置規定工程を構成する。
【0095】
次に、発光部形成エピタキシャル工程を行う。詳しくは、図6に示すように、成長温度800℃で、VLS(Vapor Liquid Solid)法により、第1導電型の半導体107(例えばAlGaN)、活性層109(例えばGaN)、第2導電型の半導体108(例えばAlGaN)を、この順にエピタキシャル成長させる。
【0096】
使用するガスは、AlGaNを成長させる際は、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、NH(アンモニア)およびキャリアガスとしてH(水素)を用いることができる。また、GaNを成長させる際は、TMG、NHおよびHを用いればよい。また、半導体に導電性を与える不純物としては、n型の導電型とする際はSiH(シラン)を、p型の導電型とする際はCpMg(ビスシクロペンタジエチルマグネシウム)を添加すればよい。第1導電型の半導体107、活性層109および第2導電型の半導体108は、発光部104を構成する。発光部104の長さは、例えば、1μm〜50μmとすることができる。続いて、金属触媒粒121をエッチングにより除去する。
【0097】
次に、低屈折率体形成工程を行う。詳しくは、図7に示すように、発光部を構成する半導体の屈折率よりも小さい屈折率をもつ低屈折率体106を、基板101上に離散的に形成された複数の発光部104の側壁に接するように配置する。具体的には、複数の発光部104間の隙間を樹脂またはSOGで充填することができる。このとき、発光部104の上面が低屈折率体106で埋まってしまった場合は、発光部104の上面が露出するまで適宜エッチングを行なう。
【0098】
次に、上部配線工程を行う。詳しくは、図8に示すように、ITOまたはIZOを低屈折率体106および発光部104の上面上に一様に堆積した後、フォトリソグラフィー工程を行なうことによって、低屈折率体106の上面に沿って複数の発光部を接続する第2の配線103a、103b、103cを形成する。
【0099】
次に、図9に示すように、各発光部104(各画素)上に、赤色蛍光体110R、緑色蛍光体110Gまたは青色蛍光体110Bのいずれか1つをインクジェットにより塗布する。なお、発光部104の大きさが小さい場合、具体的には、発光部104の直径が30μm以下の場合には、通常の蛍光体(粒子の大きさが10〜20μm)を用いて画素毎に蛍光体を塗布するのが困難になる。この場合は、蛍光体粒子の直径が1μm以下、より好適には、10nm〜100nm程度のナノ粒子蛍光体を塗布するのが好ましい。これにより、赤色画素105R、緑色画素105Gおよび青色画素105Bが規定され、自発光ディスプレイ100が完成する。
【0100】
上記手順によれば、発光部104を構成する第1の半導体107および第2の半導体108より屈折率の低い低屈折率体106を、少なくとも発光部104の側壁部に接するように形成するため、発光部104内部で発生した光が、臨界角よりも大きな角度で低屈折率体106に入射した場合に全反射を行うことによって発光部104の内部に留まり、最終的に発光部104の上部から放射される。
【0101】
したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができる。更には光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイ100の消費電力を抑えることができる。また、発光部104は、基板101上のあらかじめ規定された位置に、エピタキシャル成長により一括して形成されるため、複数の発光部104を、1つ1つ基板上に実装する必要がない。したがって、製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0102】
また、上記手順では、基板101上の所定の位置に複数の発光部104を形成する位置を規定する発光部位置規定工程において、基板101上の所定の位置に金属触媒粒121を配置する工程を含み、更に、発光部形成エピタキシャル工程において、金属触媒粒121を触媒としてVLS法により第1導電型の半導体107および第2導電型の半導体108をエピタキシャル成長する工程を含んでいたが、これは発光部位置規定工程および発光部形成エピタキシャル工程の組合せとして好適であり、それらの工程の組み合わせを採用することにより、簡易に良好な結晶性の発光部を形成することができる。また、エピタキシャル成長に触媒を用いたVLS法を用いるため、プロセスを低温にできるという利点もある。
【0103】
また、低屈折率体形成工程では、基板101上に離散して形成された発光部104間の隙間を埋めるように低屈折率体106を形成する工程を含み、更に、低屈折率体106の上面に沿って複数の発光部104の第2導電型の半導体を接続する第2の配線103a、103bおよび103cを形成する上部配線工程を更に備えることが好ましい。この場合、低屈折率体106を、発光部104間の隙間を埋めるように形成して表面を略平らにしてから、上部配線工程を行なうため、上部配線工程が容易となるからである。
【0104】
また、下部配線工程は、基板101上に結晶性の導電体膜をパターニングする工程を含み、発光部位置規定工程において、パターニングされた導電体膜上に発光部104が形成される位置が規定され、更に、発光部104が、無機半導体からなることが好ましい。この場合、下部配線を形成する工程が、結晶性の無機半導体部からなる発光部を形成する下地形成を兼ねることができて、良好な結晶性の発光部を簡略な工程で形成することができるからである。
【0105】
図10および図11は、第1実施形態の自発光ディスプレイ100を製造する他の手順を説明する図である。
【0106】
この変形例では、まず、既に説明した図3および図4を用いて説明した工程と同じ工程を行う。
【0107】
次に、図10に示すように、基板全面にシリコン窒化膜122を堆積し、フォトリソグラフィーによりシリコン窒化膜122に開口部を設ける。この開口部の大きさは、次に行なう発光部形成工程でエピタキシャル成長する柱状の発光部104の太さを規定することとなる。柱状の発光部104の太さは、例えば、100nm〜10μmとすることができる。この工程は、基板101上の所定の位置に複数の発光部104を形成する位置を規定するものであり、発光部位置規定工程を構成している。
【0108】
次に、発光部形成エピタキシャル工程を行う。詳しくは、図11に示すように、成長温度950℃で、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、第1導電型の半導体107(例えばAlGaN)、活性層109(例えばGaN)、第2導電型の半導体108(例えばAlGaN)を、この順にエピタキシャル成長させる。尚、発光部形成エピタキシャル工程の後、シリコン窒化膜122を除去してもよいが、必ずしも除去する必要はない。次に、既に説明した図7〜9を用いて説明した工程と同じ工程を行うことにより、自発光ディスプレイ100を完成するようになっている。
【0109】
上記変形例の手順によれば、基板101上の所定の位置に複数の発光部104を形成する位置を規定する発光部位置規定工程において、基板101上に、基板101上の所定の位置が開口するように開口部を設けたマスクを形成する工程を含み、発光部形成エピタキシャル工程は、開口部において半導体を選択的にエピタキシャル成長させる工程を含んでいる。
【0110】
これは発光部位置規定工程および発光部形成エピタキシャル工程の組合せとして好適であり、簡易に結晶性が良好な発光部を形成することが可能となる。また、開口部の大きさを場所により変えることにより、発光部の大きさを場所により容易に変えることができる。例えば、3原色の画素のそれぞれにおいて、各色の発光効率に応じて発光部の大きさを変えることができる。
【0111】
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態の自発光ディスプレイの概略断面図である。
【0112】
第2実施形態の自発光ディスプレイは、複数の発光部は、通電により青色光を発光し、上記緑色画素では、上記発光部で発生した青色光を緑色光に変換する蛍光体が設けられ、上記赤色画素では、上記発光部で発生した青色光を赤色光に変換する蛍光体が設けられている点が、第1実施形態の自発光ディスプレイを異なる。すなわち、第2実施形態は、基板上に形成された複数の発光部の夫々は、青色画素、緑色画素、赤色画素のいずれかに対応する点は、第1実施形態と同様であるが、発光部が青色に発光し、蛍光体は赤色蛍光体と青色蛍光体の2種類である点が第1実施形態と異なる。
【0113】
図12に示すように、本実施の形態の自発光ディスプレイ200は、基板201上に、複数の第1の配線(図12では第1の配線202bのみを示す)が、それぞれ第1の方向としての基板201上の一方向に延在している。第1の配線202b上には、それぞれが画素となり青色光を発光する柱状の発光部204が略等間隔に離間して形成されている。柱状の発光部204は、第1の配線202bに接する側から、第1導電型の半導体207、活性層209および第2導電型の半導体208が順に積層されてなる。
【0114】
上記第1の配線202b上に離散的に形成された複数の柱状の発光部204の間は、発光部204を構成する半導体よりも屈折率が低い低屈折率体206によって充填されている。発光部204および低屈折率体206上には、透明電極からなる第2の配線203a、203b、203cが、それぞれ基板上の上記一方向と交差する第2の方向としての他方向に延在している。
【0115】
そして、それぞれが画素となる各発光部204の第1導電型の半導体207は複数の第1の配線のいずれかに接続され、第2導電型の半導体208は、第2の配線203a、203b、203cのいずれかに接続されている。第1の配線および第2の配線を1つずつ選択することにより、特定の画素、すなわち、特定の発光部204を選択することができる。各発光部204上には、青色光を赤色光に変換する赤色蛍光体211Rが配置されるか、または、青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体211Gが配置されるか、または、蛍光体が配置されず、赤色蛍光体211Rが配置された画素は、赤色画素205Rとなり、緑色蛍光体211Gが配置された画素は、緑色画素205Gとなり、蛍光体が配置されない画素は、青色画素205Bとなる。
【0116】
本実施の形態の自発光ディスプレイ200は、第1実施形態の自発光ディスプレイ100とほぼ同様の手順で形成することができる。変更する点は、(i)発光部204が青色光を発光するように発光部204を設計する(例えば、発光層209をInGaNとしてバンドギャップを調整する)点と、(ii)青色画素205Bの上には蛍光体を塗布しない点である。ここで、上記(i)は、活性層209のバンドギャップを適宜調整することにより容易に実現できる。
【0117】
本実施の形態の自発光ディスプレイ200は、青色画素205B、緑色画素205Gおよび赤色画素205Rを備えているので、カラー化が可能となる。また、発光部204では青色光を発光させ、緑色画素205Gでは青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体211Gを設けて緑色光に変換し、赤色画素205Rでは青色光を赤色光に変換する赤色蛍光体211Rを設けて赤色光に変換することにより、3種類の発光部を設ける必要がなく、一種類で足りる。また、青色画素では発光部で発生する青色をそのまま用いるため、蛍光体の種類も、2種類で足りる。
【0118】
(第3実施形態)
図13は、本発明の第3実施形態の自発光ディスプレイ300の概略の断面図である。
【0119】
第3実施形態の自発光ディスプレイ300は、基板上に形成された複数の発光部が、夫々青色画素、緑色画素、黄色画素、赤色画素のいずれかに対応し、上記複数の発光部は通電により紫外光を発光し、上記青色画素では、上記発光部で発生した紫外光を緑色光に変換する蛍光体が設けられ、上記緑色画素では、上記発光部で発生した紫外光を緑色光に変換する蛍光体が設けられ、上記黄色画素では、上記発光部で発生した紫外光を黄色光に変換する蛍光体が設けられ、上記赤色画素では、上記発光部で発生した紫外光を赤色光に変換する蛍光体が設けられている点が、第1実施形態の自発光ディスプレイと異なる。すなわち、第3実施形態の自発光ディスプレイ300は、画素が、青色画素、緑色画素、黄色画素および赤色画素の4種類からなる点が、第1実施形態の自発光ディスプレイと異なる。
【0120】
図13に示すように、第3実施形態の自発光ディスプレイ300は、基板301上に、複数の第1の配線(図13では第1の配線302bのみを示す)が形成され、複数の第1の配線は、互いに間隔をおいて存在しており、各第1の配線は、第1の方向としての基板上の一方向に延在している。
【0121】
第1の配線302b上には、紫外光を発光する柱状の発光部304が略等間隔に離間して形成され、各発光部304毎に、画素が構成されるようになっている。柱状の発光部304は、第1の配線302bに接する側から、第1導電型の半導体307、活性層309および第2導電型の半導体308が、順次積層されてなる。第1の配線302b上に離散的に形成された複数の柱状の発光部304間は、発光部304を構成する半導体よりも屈折率が低い低屈折率体306によって充填されている。
【0122】
発光部304および低屈折率体306上には、透明電極からなる複数の第2の配線303a、303b、303c、303dが存在している。複数の第2の配線303a、303b、303c、303dの夫々は、基板上の一方向と交差する第2の方向としての他方向に延在している。各画素を構成する各発光部304の第1導電型の半導体307は、複数の第1の配線のいずれかに接続され、第2導電型の半導体308は、第2の配線303a、303b、303c、303dのいずれかに接続されている。第1の配線および第2の配線を1つずつ選択することにより、特定の画素、すなわち、特定の発光部304を選択することができる。
【0123】
各発光部304上には、紫外光を赤色光に変換する赤色蛍光体310R、紫外光を黄色光に変換する黄色蛍光体310Y、紫外光を緑色光に変換する緑色蛍光体310G、または、紫外光を青色光に変換する青色蛍光体310Bのいずれかが配置されている。赤色蛍光体310Rが配置された画素は、赤色画素305Rを構成し、黄色蛍光体310Yが配置された画素は、黄色画素305Yを構成し、緑色蛍光体310Gが配置された画素は、緑色画素305Gを構成し、青色蛍光体310Bが配置された画素は、青色画素305Bを構成している。
【0124】
第3実施形態の自発光ディスプレイ300は、第1実施形態の自発光ディスプレイ100とほぼ同様の手順で形成することができる。変更する点は、黄色画素305Yを新たに設けるための黄色蛍光体310Yを塗布する工程を追加することのみである。
【0125】
第3実施形態の自発光ディスプレイ300は、青色画素、緑色画素、黄色画素および赤色画素を備えているので、カラー化が可能となる。また、いわゆる4原色を用いているから、表現できる色の範囲を広くすることができる。また、発光部で紫外光を発光させ、青色画素で紫外光を青色光に変換する蛍光体を設けて青色光に変換し、緑色画素で紫外光を緑色光に変換する蛍光体を設けて緑色光に変換し、黄色画素で紫外光を黄色光に変換する蛍光体を設けて黄色光に変換し、赤色画素で紫外光を赤色光に変換する蛍光体を設けて赤色光に変換することにより、4種類の発光部を設ける必要がなく、1種類の発光部のみで、自発光ディスプレイ300を構成することができる。また、各画素では、それぞれ眼に見えない紫外光を波長変換しているため、単色光を得るのが容易で、色再現性を良くすることができる。
【0126】
(第4実施形態)
図14は、本発明の第4実施形態の自発光ディスプレイ400の概略断面図である。
【0127】
第4実施形態の自発光ディスプレイ400では、基板上に形成された複数の発光部は、夫々青色画素、緑色画素、黄色画素、赤色画素のいずれかに対応し、上記複数の発光部は通電により青色光を発光し、上記緑色画素では、上記発光部で発生した青色光を緑色光に変換する蛍光体が設けられ、上記黄色画素では、上記発光部で発生した青色光を黄色光に変換する蛍光体が設けられ、上記赤色画素では、上記発光部で発生した青色光を赤色光に変換する蛍光体が設けられている。すなわち、第2実施形態との比較において、発光部が、青色光を発光する点は、同一である一方、画素が、3種類でなくて、青色画素、緑色画素、黄色画素および赤色画素の4種類である点が異なる。
【0128】
図14に示すように、第4実施形態の自発光ディスプレイ400は、基板401上に、複数の第1の配線(図14では第1の配線402bのみを示す)を配置し、各第1の配線は、基板401上を第1の方向である一方向に延在している。第1の配線402b上には、青色光を発光する複数の柱状の発光部404が略等間隔に離間して形成され、各発光部404毎に画素が構成されるようになっている。
【0129】
各柱状の発光部404は、第1の配線402bに接する側から、第1導電型の半導体407、活性層409および第2導電型の半導体408が順次積層されてなる。第1の配線402b上に離散的に形成された複数の柱状の発光部404の間は、発光部404を構成する半導体よりも屈折率が低い低屈折率体406によって充填されている。
【0130】
上記発光部404および低屈折率体406上には、透明電極からなる複数の第2の配線403a、403b、403c、403dが存在し、複数の第2の配線403a、403b、403c、403dは、互いに間隔をおいて位置し、各第2の配線403a、403b、403c、403dは、基板401上の上記一方向と交差する第2の方向としての他方向に延在している。
【0131】
各画素を構成する各発光部404の第1導電型の半導体407は、複数の第1の配線のいずれかに接続され、第2導電型の半導体408は、第2の配線403a、403b、403c、403dのいずれかに接続されている。第1の配線および第2の配線を1つずつ選択することにより、特定の画素、すなわち、特定の発光部404を選択することができる。
【0132】
各発光部404上には、青色光を赤色光に変換する赤色蛍光体411が配置されるか、または、青色光を黄色光に変換する黄色蛍光体411Yが配置されるか、または、青色光を緑色光に変換する緑色蛍光体411Gが配置されるか、または、蛍光体が配置されないようになっている。上記赤色蛍光体411が配置された画素は、赤色画素505Rを構成し、黄色蛍光体411Yが配置された画素は、黄色画素405Yを構成し、緑色蛍光体411Gが配置された画素は、緑色画素405Gを構成し、蛍光体が配置されない画素は、青色画素405Bを構成している。
【0133】
第4実施形態の自発光ディスプレイ400は、第2実施形態の自発光ディスプレイ200とほぼ同様の手順で形成されることができる。変更する点は、黄色画素405Yを新たに設けるための黄色蛍光体510Yを塗布する工程を追加することのみである。
【0134】
第4実施形態の自発光ディスプレイ400は、青色画素、緑色画素、黄色画素および赤色画素を設けることにより、カラー化が可能となる。また、色の再現のために、いわゆる4原色を用いているから、表現できる色の範囲を広くすることができる。また、発光部では青色光を発光させ、緑色画素では青色光を緑色光に変換する蛍光体を設けて緑色光に変換し、黄色画素では青色光を黄色光に変換する蛍光体を設けて黄色光に変換し、赤色画素では青色光を赤色光に変換する蛍光体を設けて赤色光に変換することにより、4種類の発光部を設ける必要がなく、1種類の発光部のみで、自発光ディスプレイ400を構成することができる。また、青色画素では発光部で発生する青色をそのまま用いるため、蛍光体の種類も、3種類のみで、自発光ディスプレイ400を構成することができる。
【0135】
(第5実施形態)
図15は、本発明の第5実施形態の自発光ディスプレイ500の概略断面図である。
【0136】
第5実施形態の自発光ディスプレイ500では、基板501上に形成された複数の発光部は、複数種の画素(赤色画素、黄色画素、緑色画素および青色画素)のいずれかに対応し、各発光部は、対応する種類の画素に応じて、所定の分光分布(赤色、黄色、緑色および青色)で発光するようになっている。すなわち、赤色画素、黄色画素、緑色画素および青色画素に属する発光部は、それぞれ赤色、黄色、緑色および青色に発光するようになっている。
【0137】
図15示すように、第5実施形態の自発光ディスプレイ500は、基板501上に、複数の第1の配線(図15では第1の配線502bのみを示す)が位置し、複数の第1の配線は、互いに間隔をおいて位置しており、各第1の配線は、第1の方向としての基板501上の一方向に延在している。
【0138】
第1の配線502b上には、赤色、黄色、緑色および青色に発光する柱状の発光部504R、504Y、504Gおよび504Bが略等間隔に離間して形成され、各発光部504R、504Y、504Gおよび504B毎に画素が構成されるようになっている。
【0139】
各柱状の発光部504R(504Y、504G、504B)は、第1の配線502bに接する側から、第1導電型の半導体507R(507Y、507G、507B)、活性層509R(509Y、509G、509B)および第2導電型の半導体508R(508Y、508G、508B)が順次積層されてなる。また、発光部504R、504Y、504Gおよび504Bを構成する半導体よりも屈折率が低い低屈折率体506が、第1の配線502b上に離散的に形成された複数の柱状の発光部504R、504Y、504Gおよび504Bの間に充填されている。
【0140】
発光部504R、504Y、504G、504Bおよび低屈折率体506上には、透明電極からなる第2の配線503a、503b、503c、503dが形成され、各第2の配線503a、503b、503c、503dは、基板501上の一方向と交差する第2の方向としての他方向に延在している。
【0141】
各画素を構成する各発光部504R(504Y、504G、504B)の第1導電型の半導体507R(507Y、507G、507B)は、複数の第1の配線のいずれかに接続され、第2導電型の半導体508R(508Y、508G、508B)は、第2の配線503a(503b、503c、503d)に接続されている。第1の配線および第2の配線を1つずつ選択することにより、特定の画素、すなわち、特定の発光部504R、504Y、504Gおよび504Bを選択することができるようになっている。
【0142】
第5実施形態では、発光部504Rは、赤色に発光し、発光部504Yは、黄色に発光し、発光部504Gは、緑色に発光し、発光部504Bは、青色に発光するようになっている。各発光部毎に異なる波長または分光分布で発光する理由は、活性層509R、509Y、509Gおよび509Bの厚さが、量子効果を奏するほど薄く、かつ、それぞれの厚さが異なるためである。活性層509R、509Y、509Gおよび509Bの厚さが十分薄い場合、量子井戸内でサブバンドが形成され、実効的なバンドギャップが広がるからである。
【0143】
具体的には、活性層509R、509Y、509Gおよび509BがInNの場合、活性層509Rの厚さを2.5nmとすると630nm(赤色)を発光し、活性層509Yの厚さを2.35nmとすると580nm(黄色)を発光し、活性層509Gの厚さを2.2nmとすると520nm(緑色)を発光し、活性層509Bの厚さを2.0nmとすると460nm(青色)を発光させることができる。
【0144】
また、活性層509R、509Y、509Gおよび509BがIn0.6Ga0.4Nの場合、活性層509Rの厚さを4.8nmとすると630nm(赤色)を発光し、活性層509Yの厚さを3.9nmとすると580nm(黄色)を発光し、活性層509Gの厚さを3.25nmとすると520nm(緑色)を発光し、活性層509Bの厚さを2.75nmとすると460nm(青色)を発光させることができる。
【0145】
発光部504R、504Y、504Gおよび504Bの太さは、それぞれ異なるが、これは後述するように、発光部504R、504Y、504Gおよび504Bの活性層509R、509Y、509Gおよび509Bの厚さを簡易に変えるためである。なお、活性層は一層で構成しても良く、多層で構成しても良い。
【0146】
第5実施形態の自発光ディスプレイ500は、第1実施形態の自発光ディスプレイ100とほぼ同様の手順で形成することができる。変更する点は、発光部504R、504Y、504Gおよび504Bの太さを、それぞれ異なるように形成する点である。尚、発光部504R、504Y、504Gおよび504Bの太さを変えるためには、例えば、図10において、シリコン窒化膜122に設ける開口部の大きさを変えるようにすれば良い。
【0147】
発光部の太さが太いほど、活性層の成長速度が速くなるため、活性層が厚くなり、発光波長を長波長化することができる。また、発光部の太さを適宜変えるようにすると、それぞれ異なる分光分布(波長)で発光する複数種の発光部を一度に形成することができるため、製造プロセスを簡略化することができる。
【0148】
なお、発光部の太さを変えた場合、第1導電型の半導体および第2導電型の半導体の成長速度も変わり、画素により発光部の長さが変わってしまう場合がある。このような場合は、低屈折率体506の厚さを一番短い発光部に合わせて形成し、低屈折率体506から突出した発光部を研磨すればよい。こうすることにより、低屈折率体506と、発光部504R、504Y、504G、504Bとからなる表面を平滑化することができる。
【0149】
第5実施形態の自発光ディスプレイ500は、複数種の画素を備えているので、カラー化が可能となる。また、基板501上に形成された複数の発光部は、複数種の画素のいずれかに対応し、対応する種類の画素に応じて所定の分光分布(波長)で発光するため、波長を変換するための蛍光体を設ける必要がない。
【0150】
(第6実施形態)
図16は、本発明の第6実施形態の自発光ディスプレイ600の一部の平面図であり、図17は、図16のBBにおける矢視断面図である。
【0151】
第6実施形態の自発光ディスプレイ600は、下部配線(第1の配線)661a, 661b,661cが基板601と発光部の間に配置されるのではなく、基板601の裏面に配置され、基板に穿たれたコンタクト孔により発光部と電気的に接続されている点が、第1実施形態の自発光ディスプレイと異なる。
【0152】
図16および17に示すように、第6実施形態の自発光ディスプレイ600では、複数の第1の配線661a、661b、661cが、基板601の裏面に配置され、複数の第1の配線661a、661b、661cは、互いに間隔をおいて位置し、各第1の配線661a、661b、661cは、第1の方向としての基板601上の一方向に延在している。
【0153】
基板601上には、紫外光を発光する柱状の発光部604が略等間隔に離間して形成され、各発光部604毎に画素が構成されるようになっている。柱状の発光部604は、第1の配線661a、661b、661cのいずれかと、基板601を貫通するコンタクト孔662を介して電気的に接続されている。柱状の発光部604は、第1の配線661a、661b、661cに近い側から、第1導電型の半導体607、活性層609および第2導電型の半導体608が順次積層されてなる。基板601上に離散的に形成された複数の柱状の発光部604の間には、発光部604を構成する半導体よりも屈折率が低い低屈折率体606が充填されている。
【0154】
発光部604および低屈折率体606上には、透明電極からなる複数の第2の配線603a、603b、603cが存在し、複数の第2の配線603a、603b、603cは、互いに間隔をおいて位置し、各第2の配線603a、603b、603cは、基板601上の一方向と交差する第2の方向としての他方向に延在している。
【0155】
各画素を構成する各発光部604の第1導電型の半導体607は、第1の配線661a、661b、661cのいずれかに接続され、第2導電型の半導体608は、第2の配線603a、603b、603cのいずれかに接続されている。第1の配線および第2の配線を1つずつ選択することにより、特定の画素、すなわち、特定の発光部604を選択することができる。
【0156】
各発光部604上には、紫外光を赤色光に変換する赤色蛍光体610Rが配置されるか、または、紫外光を緑色光に変換する緑色蛍光体610Gが配置されるか、または、紫外光を青色光に変換する青色蛍光体610Bが配置されている。赤色蛍光体610Rが配置された画素は、赤色画素605Rを構成し、緑色蛍光体610Gが配置された画素は、緑色画素605Gを構成し、青色蛍光体610Bが配置された画素は、青色画素605Bを構成している。
【0157】
図16では、赤色画素605R、緑色画素605G、青色画素605Bが、それぞれ3画素ずつ描かれているが、各画素数は、3画素に限らず所望の画素数を採用することができる。また、図16および図17では、1個の発光部604が1画素を構成しているが、複数個の発光部604が1画素を構成するようにしてもよい。複数個の発光部604が1画素を構成する場合、ある発光部604が点灯不良を起こした場合でも、その画素が全く点灯しなくなることを防ぐことができるので、画素不良を目立たなくすることができる。
【0158】
基板601は、サファイア基板、無ドープのGaNなどを用いることができる。基板601にはコンタクト孔が貫通し、その裏面には第1の配線が形成されているため、基板601は、絶縁性を有する必要がある。また、基板601上に発光部604をエピタキシャル成長するため、基板601は、結晶性が良くて、発光部604を構成する半導体と格子定数が近いものが好ましい。
【0159】
上記第1の配線661a、661b、661cは、例えば、銅、金、タングステンなどの金属を用いることができる。また、コンタクト孔662には、同様の金属を充填することができる。また、上記第2の配線603a、603b、603cは、例えば、ITO、IZOなどの透明電極を用いることができる。
【0160】
発光部604を構成する第1導電型の半導体607には、n型AlGaNやn型GaNを用いることができ、第2導電型の半導体608には、p型AlGaNやp型GaNを用いることができ、活性層609には、AlGaNなどを用いることができる。尚、柱状の発光部604の断面は、円形のほか、三角形、四角形、六角形などの多角形であっても良い。
【0161】
また、低屈折率体606としては、SOGや透明樹脂を用いることができる。低屈折率体606は、発光部604を構成する半導体(第1導電型の半導体607および第2導電型の半導体608)よりも屈折率が小さい。それゆえ、発光部604内で発生した光が、内部から発光部604と低屈折率体606との界面に入射すると、低屈折率体606に入射する入射角が臨界角より大きい場合は、光が全反射して、発光部604の内側に留まることになる。したがって、発光部604の側壁から隣接する発光部(画素)に漏れる光を少なくすることができる。
【0162】
発光部604と低屈折率体606を構成する物質は、好ましくは、発光部604がGaN(屈折率約2.4)からなり、低屈折率体606がエポキシ樹脂やシリコン樹脂などの透明樹脂(屈折率約1.5)からなる。この場合の臨界角は、約39°である。また、発光部604と低屈折率体606を構成する物質は、より好ましくは、発光部604がGaN(屈折率約2.4)からなり、低屈折率体606が多孔質SOG(屈折率約1.3)からなる。この場合の臨界角は、約33°である。
【0163】
尚、低屈折率体606は、必ずしも離間して形成されている柱状の発光部604の間を完全に充填している必要はなく、少なくとも柱状の発光部604の側壁に接する位置に配置されていれば良い。例えば、柱状の発光部604の側壁に、低屈折率体606が薄膜状に形成され、更に、薄膜状の低屈折率体606上に反射膜を形成してもよい。この場合、柱状の発光部604の側壁には、低屈折率体606と反射膜の積層膜が形成されることとなり、柱状の発光部で発生した光が隣接する発光部(画素)に漏れることを、ほぼ完全に防ぐことが可能となる。尚、このような構成とした場合は、複数の発光部604の間に残された隙間を更に樹脂等で埋めておくことが好ましい。
【0164】
柱状の発光部604の大きさとしては、例えば、直径に関しては10nmから1mmを採用でき、長さに関しては100nmから1mmを採用することができる。また、より好適には、直径に関し100nmから10μmを採用することができ、長さに関し1μmから100μmを採用することができる。
【0165】
本実施の形態の自発光ディスプレイは、以下に述べるように、VLS(Vapor Liquid Solid)法等で基板601上に直接発光部604を形成することができて、かつ、柱状の発光部をナノスケールやマイクロスケールに微細化することができる。このため、画素を微細化することにより、極めて高精細な自発光ディスプレイを構成することが可能であり、モバイル用途のディスプレイとして好適に使用されることができる。一方、柱状の発光部604を比較的大きくした場合は、大型ディスプレイや高輝度のディスプレイとして好適に使用することができる。
【0166】
第6実施形態の自発光ディスプレイ600では、基板601上に離散的に配置された発光部の側壁に、発光部604を構成する半導体よりも屈折率が小さな低屈折率体606が接しているため、発光部内部で発生した光は、臨界角よりも大きな角度で低屈折率体606に入射した場合、全反射をして発光部604の内部に留まることになり、最終的に発光部604の上部から放射される。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができる。更には光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイ600の消費電力を抑えることができる。
【0167】
また、本実施の形態の自発光ディスプレイ600は、第1の配線661a、662b、662cが基板601の裏面に配置されているため、発光部604を基板601上に直接形成することが可能となる。したがって、結晶性の良い基板を用いることにより結晶性の良い発光部604を形成するのが容易になるから、発光部の発光効率を容易に向上させることができ、自発光ディスプレイを容易に低消費電力化することができる。
【0168】
図18〜図24は、第6実施形態の自発光ディスプレイ600を製造する手順の一例を説明する図である。以下、それらの図を用いて、第6実施形態の自発光ディスプレイ600の製造方法を説明する。
【0169】
まず、図18に示すように、絶縁性の基板601、例えば、サファイア基板、無ドープのGaN基板、無ドープのシリコン基板を準備する。
【0170】
次に、図19に示すように、基板上全面にNiやAuなどの触媒金属をスパッタ法により堆積し、フォトリソグラフィー工程により基板601上にドット状の金属触媒粒子621を形成する。この後、さらにアニールによりドット状の金属触媒粒621を凝集させることもできる。金属触媒粒の粒径は、後に形成する柱状の発光部604の太さに応じて決めればよい。柱状の発光部604の太さは、例えば、100nm〜10μmとすることができる。この工程は、基板601上の複数の発光部604を形成する位置を規定する工程であって、発光部位置規定工程を構成している。
【0171】
次に、発光部形成エピタキシャル工程を行う。詳しくは、図20に示すように、成長温度800℃で、VLS法により、第1導電型の半導体607(例えばAlGaN)、活性層609(例えばGaN)、第2導電型の半導体608(例えばAlGaN)を、この順にエピタキシャル成長させる。
【0172】
ここで、使用するガスは、AlGaNを成長させる際は、TMG、TMA、NHを用いることができ、また、キャリアガスとしてHを用いることができる。また、GaNを成長させる際は、TMG、NHおよびHを用いることができる。また、半導体に導電性を与える不純物としては、n型の導電型とする際は、SiHを、p型の導電型とする際は、CpMgを添加すればよい。第1導電型の半導体607、活性層609および第2導電型の半導体608は、発光部604を構成する。尚、発光部604の長さは、例えば、1μm〜50μmとすることができる。
【0173】
次に、金属触媒粒621をエッチングにより除去した後、低屈折率体形成工程を行う。詳しくは、図21に示すように、発光部を構成する半導体の屈折率よりも小さい屈折率をもつ低屈折率体606を、基板601上に離散的に形成された複数の発光部604の側壁に接するように配置する。
【0174】
ここで、具体的には、複数の発光部604間の隙間を樹脂またはSOGで充填することができる。このとき、発光部604の上面が低屈折率体606で埋まってしまった場合は、発光部604の上面が露出するまで適宜エッチングを行なうようにする。
【0175】
次に、上部配線工程を行う。詳しくは、図22に示すように、ITOまたはIZOを低屈折率体606および発光部604の上面上に一様に堆積した後、フォトリソグラフィー工程を行なうことによって、低屈折率体606の上面に沿って複数の発光部を接続する第2の配線603a、603b、603cを形成する。
【0176】
次に、図23に示すように、発光部604の第1導電型の半導体607に到達するまで、基板601の裏面に開口するコンタクト孔662をエッチングにより基板601の裏面から形成する。
【0177】
その後、下部配線工程を行う。詳しくは、図24に示すように、コンタクト孔662を金属で埋め込み、金属からなる第1の配線661a、662b、662cをパターニングにより形成する。続いて、各発光部604(各画素)上に、赤色蛍光体610R、緑色蛍光体610Gまたは青色蛍光体610Bのいずれか1つをインクジェットにより塗布する。
【0178】
尚、発光部604の大きさが小さい場合、具体的には、発光部604の直径が30μm以下の場合には、通常の蛍光体(粒子の大きさが10〜20μm)を用いて画素毎に蛍光体を塗布するのが困難になる。この場合は、蛍光体粒子の直径が1μm以下、より好適には、10nm〜100nm程度のナノ粒子蛍光体を塗布するのが好ましい。これにより、赤色画素605R、緑色画素605Gおよび青色画素605Bが規定され、自発光ディスプレイ600が完成する。
【0179】
上記手順によれば、発光部604を構成する第1の半導体607および第2の半導体608よりも屈折率の低い低屈折率体606を、少なくとも発光部604の側壁部に接するように形成しているから、発光部604内部で発生した光が、臨界角よりも大きな角度で低屈折率体606に入射した場合に全反射を行って、発光部604の内部に留まり、最終的に発光部604の上部から放射されることになる。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れを抑制することができて、画像の滲みを少なくすることができる。更には光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイ600の消費電力を抑えることができる。
【0180】
また、発光部604が、基板601上のあらかじめ規定された位置に、エピタキシャル成長により一括して形成されるため、複数の発光部604を、1つ1つ基板上に実装する必要がない。したがって、製造工程を大幅に簡略化することができる。また、第1の配線661a、662b、662cが、基板601の裏面に形成され、発光部604が基板601上に直接エピタキシャル成長により形成されているから、結晶性の良い発光部604を形成するのが容易になる。したがって、発光部604の発光効率を向上することができて、自発光ディスプレイ600を更に低消費電力化することができる。
【0181】
(第7実施形態)
図25は、本発明の第7実施形態の自発光ディスプレイの一部の平面図であり、図26は、図25のCCにおける矢視断面図である。
【0182】
第7実施形態の自発光ディスプレイ700が、第1実施形態の自発光ディスプレイと大きく異なるのは、基板701上に第1導電型の半導体膜と第2導電型の半導体の半導体膜をこの順に積層した積層膜を形成し、その後、この積層膜をエッチングすることにより複数の柱状の発光部を形成する点である。
【0183】
また、下部配線(第1の配線)が基板と発光部の間に配置されるのではなく、基板の裏面に配置され、基板に穿たれたコンタクト孔により発光部と電気的に接続する点である。
【0184】
図25および図26に示すように、第7実施形態の自発光ディスプレイ700では、基板701の裏面に、複数の第1の配線761a、761b、761cが形成され、複数の第1の配線761a、761b、761cは、互いに間隔をおいて配置され、各第1の配線761a、761b、761cは、第1の方向としての基板701上の一方向に延在している。
【0185】
上記基板701上には、紫外光を発光する柱状の発光部704が略等間隔に離間して形成され、各発光部704毎に画素が構成されるようになっている。各柱状の発光部704は、基板701を貫通するコンタクト孔762を介して第1の配線761a、761b、761cのいずれかと電気的に接続されている。柱状の発光部704は、第1の配線761a、761b、761cに近い側から、第1導電型の半導体707、活性層709および第2導電型の半導体708が順次積層されてなる。基板701上に離散的に形成された複数の柱状の発光部704の間は、発光部704を構成する半導体よりも屈折率が低い低屈折率体706によって充填されている。
【0186】
発光部704および低屈折率体706上には、透明電極からなる複数の第2の配線703a、703b、703cが配置され、複数の第2の配線703a、703b、703cは、互いに間隔をおいて位置し、各第2の配線703a、703b、703cは、基板701上の一方向と交差する第2の方向としての他方向に延在している。
【0187】
各画素を構成する各発光部704の第1導電型の半導体707は、第1の配線761a、761b、761cのいずれかに接続され、第2導電型の半導体708は、第2の配線703a、703b、703cのいずれかに接続されている。第1の配線および第2の配線を1つずつ選択することにより、特定の画素、すなわち、特定の発光部704を選択することができる。
【0188】
各発光部704上には、紫外光を赤色光に変換する赤色蛍光体710Rが配置されるか、または、紫外光を緑色光に変換する緑色蛍光体710Gが配置されるか、または、紫外光を青色光に変換する青色蛍光体710Bが配置されるようになっている。赤色蛍光体710Rが配置された画素は、赤色画素705Rを構成し、緑色蛍光体710Gが配置された画素は、緑色画素705Gを構成し、青色蛍光体710Bが配置された画素は、青色画素705Bを構成している。
【0189】
図25では、赤色画素705R、緑色画素705G、青色画素705Bが、それぞれ3画素ずつ描かれているが、各色の画素の数は、3に限らず、所望の如何なる数も採用することができる。尚、図25および図26では、1個の発光部704が、1画素を構成しているが、複数個の発光部704が1画素を構成するようにしてもよい。複数個の発光部704が1画素を構成する場合、ある発光部704が点灯不良を起こした場合でも、その画素が全く点灯しなくなることを防ぐことができるので、画素不良を目立たなくすることができる。
【0190】
尚、基板701としては、サファイア基板、無ドープのGaNなどを用いることができる。基板701には、コンタクト孔が貫通し、その裏面には第1の配線が形成されているため、基板701は、絶縁性を有している必要がある。また、基板701上に発光部704をエピタキシャル成長するため、基板701は、結晶性が良くて、発光部704を構成する半導体と格子定数が近いものが好ましい。第1の配線761a、761b、761cは、例えば、銅、金、タングステンなどの金属を用いることができる。また、コンタクト孔762には、同様の金属を充填することができる。また、第2の配線703a、703b、703cは、例えば、ITO、IZOなどの透明電極を用いることができる。
【0191】
また、発光部704を構成する第1導電型の半導体707には、n型AlGaNやn型GaNを用いることができ、第2導電型の半導体708には、p型AlGaNやp型GaNを用いることができ、活性層709には、AlGaNなどを用いることができる。
【0192】
尚、柱状の発光部704の断面は、円形であっても良く、三角形、四角形、六角形などの多角形であっても良い。尚、第1導電型の半導体として、n型のGaNを用い、第2導電型の半導体として、p型のGaNを用いる場合は、p型のGaNを低抵抗化するのは、n型のGaNを低抵抗化するよりも難しいため、図26に示すように、p型のGaNからなる第2導電型の半導体708の長さを、n型のGaNからなる第1導電型の半導体707よりも短くするのが好ましい。また、低屈折率体706としては、SOGや透明樹脂を用いることができる。
【0193】
上記低屈折率体706は、発光部704を構成する半導体(第1導電型の半導体707および第2導電型の半導体708)よりも屈折率が小さい。それゆえ、発光部704内で発生した光が、内部から発光部704と低屈折率体706との界面に入射すると、入射角が臨界角より大きい場合は、その界面で全反射して発光部704の内側に留まる。したがって、発光部704の側壁から隣接する発光部(画素)に漏れる光を少なくすることができる。
【0194】
発光部704と低屈折率体706を構成する物質は、好ましくは、発光部704がGaN(屈折率約2.4)からなり、低屈折率体706がエポキシ樹脂やシリコン樹脂などの透明樹脂(屈折率約1.5)からなる。この場合の臨界角は、約39°である。また、発光部704と低屈折率体706を構成する物質は、より好ましくは、発光部704がGaN(屈折率約2.4)からなり、低屈折率体706が多孔質SOG(屈折率約1.3)からなる。この場合の臨界角は、約33°である。
【0195】
なお、低屈折率体706は、必ずしも離間して形成されている柱状の発光部704の間を完全に充填している必要はなく、少なくとも柱状の発光部704の側壁に接していればよい。例えば、柱状の発光部704の側壁に、低屈折率体706が薄膜状に形成され、更に薄膜状の低屈折率体706上に反射膜を形成する構成であっても良い。この場合、柱状の発光部704の側壁には、低屈折率体706と反射膜の積層膜が形成されることとなるから、柱状の発光部で発生した光が隣接する発光部(画素)に漏れることを、ほぼ完全に防ぐことができる。尚、このような構成とした場合は、複数の発光部704の間に残された隙間を更に樹脂等で埋めておくことが好ましい。
【0196】
柱状の発光部704の大きさとしては、例えば、直径は、10nmから1mmの間の寸法を採用でき、長さは、100nmから100μmの間の寸法を採用することができる。より好適には、柱状の発光部704の直径は、100nmから10μmの間の寸法を採用でき、長さは、1μmから10μmの間の寸法を採用することができる。
【0197】
第7実施形態の自発光ディスプレイ700は、以下に述べるように、基板上に第1導電型の半導体膜と第2導電型の半導体の半導体膜をこの順に積層した半導体積層膜を形成し、その後この積層膜をエッチングすることにより複数の柱状の発光部704を一度に形成するこのができて、かつ、柱状の発光部をナノスケールやマイクロスケールに微細化することができる。このため、画素を微細化することにより、極めて高精細な自発光ディスプレイとすることが可能であり、モバイル用途のディスプレイとして好適である。一方、柱状の発光部704を比較的大きくした場合は、大型ディスプレイや高輝度のディスプレイとして好適である。
【0198】
第7実施形態の自発光ディスプレイ700では、発光部704を構成する半導体よりも屈折率が小さな低屈折率体706が、基板701上に離散的に配置された発光部704の側壁に接しているため、発光部704の内部で発生した光は、臨界角よりも大きな角度で低屈折率体706に入射した場合に全反射を行って発光部704の内部に留まり、最終的に発光部704の上部から放射される。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができる。更には光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイ700の消費電力を抑えることができる。
【0199】
また、第7実施形態の自発光ディスプレイ700では、第1の配線761a、762b、762cが基板701の裏面に配置されているため、発光部704を基板701上に直接形成することが可能となる。そのため、結晶性の良い基板を用いることにより結晶性の良い発光部704を形成するのが容易である。ゆえに、発光部704の発光効率を向上して自発光ディスプレイを低消費電力化することができる。
【0200】
図27〜図34は、第7実施形態の自発光ディスプレイ700の形成方法の一例を説明する図である。以下、自発光ディスプレイ700の形成方法の一例を説明する。
【0201】
まず、図27に示すように、絶縁性の基板701、例えば、サファイア基板、無ドープのGaN基板、無ドープのシリコン基板等を準備する。
【0202】
次に、図28に示すように、基板701上に、成長温度900℃で、第1導電型の半導体膜763(例えばn型AlGaN)、活性層764(例えばGaN)、第2導電型の半導体膜765(例えばp型AlGaN)を、この順にエピタキシャル成長させる。使用するガスは、AlGaNを成長させる際はTMG、TMA、NHを使用することができ、また、キャリアガスとしてHを用いることができる。また、GaNを成長させる際は、TMG、NHおよびHを用いればよい。また、半導体に導電性を与える不純物としては、n型の導電型とする際はSiHを、p型の導電型とする際はCpMgを添加すればよい。第1導電型の半導体膜763および第2導電型の半導体膜765の厚さは、例えば、それぞれ5μmおよび200nmとすることができる。
【0203】
次に、図29に示すように、第2導電型の半導体765上にフォトレジスト766をパターニングする。その後、図30に示すように、パターニングされたフォトレジスト766をマスクとして第2導電型の半導体膜765、活性層764および第1導電型の半導体膜763を非等方性エッチングして、基板701上に複数の柱状の発光部704を形成する(発光部形成エッチング工程)。
【0204】
ここで。残された第1導電型の半導体膜763、活性層764および第2導電型の半導体膜765が、それぞれ発光部704を構成する第1導電型の半導体707、活性層709および第2導電型の半導体膜708となる。なお、この後に柱状に形成された発光部704に残されたエッチングダメージを除去するため、発光部704表面を20%〜30%のTMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)でウェットエッチングしてもよい。
【0205】
この場合、発光部704の表面付近のエッチングダメージを除去できるだけでなく、面方位によるエッチングレートの違いから、表面のほぼ全面を、c面とすることができる。したがって、発光部704表面の発光分布を均一とし、発光効率を向上することができる。もしくは、発光部704表面を140℃の熱リン酸に数分浸すことによっても、発光部704の表面付近のエッチングダメージを除去することができる。
【0206】
次に、図31に示すように、基板701上に離散的に形成された複数の発光部704の側壁に接するように、発光部を構成する半導体の屈折率よりも小さい屈折率をもつ低屈折率体706を配置する(低屈折率体形成工程)。
【0207】
具体的には、複数の発光部704間の隙間を樹脂またはSOGで充填することができる。このとき、発光部704の上面が低屈折率体706で埋まってしまった場合は、発光部704の上面が露出するまで適宜エッチングを行なう。
【0208】
次に、図32に示すように、ITOまたはIZOを低屈折率体706および発光部704の上面上に一様に堆積した後、フォトリソグラフィー工程を行なうことによって、低屈折率体706の上面に沿って複数の発光部を接続する第2の配線703a、703b、703cを形成する(上部配線工程)。
【0209】
次に、図33に示すように、発光部704の第1導電型の半導体707に到達するまで、基板701の裏面に開口するコンタクト孔762をエッチングにより基板701の裏面から形成する。その後、図34に示すように、コンタクト孔762を金属で埋め込み、金属からなる第1の配線761a、762b、762cをパターニングして形成し(下部配線工程)、各発光部704(各画素)上に、赤色蛍光体710R、緑色蛍光体710Gまたは青色蛍光体710Bのいずれか1つをインクジェットにより塗布する。
【0210】
なお、発光部704の大きさが小さい場合、具体的には、発光部704の直径が30μm以下の場合には、通常の蛍光体(粒子の大きさが10〜20μm)を用いて画素毎に蛍光体を塗布するのが困難になる。この場合は、蛍光体粒子の直径が1μm以下、より好適には、10nm〜100nm程度のナノ粒子蛍光体を塗布するのが好ましい。これにより、赤色画素705R、緑色画素705Gおよび青色画素705Bが規定され、自発光ディスプレイ700が完成する。
【0211】
上記手順によれば、発光部704を構成する第1の半導体707および第2の半導体708より屈折率の低い低屈折率体706を、発光部704の少なくとも側壁部に接するように形成するため、発光部704内部で発生した光が、臨界角よりも大きな角度で低屈折率体706に入射した場合に全反射を行って発光部704の内部に留まり、最終的に発光部704の上部から放射されることになる。したがって、ある画素から隣接する画素への光漏れが抑制され、画像の滲みを少なくすることができる。更には光漏れが少ない分、発光量を抑えることができるため、自発光ディスプレイ700の消費電力を抑えることができる。
【0212】
また、複数の柱状の発光部704の夫々が、第1導電型の半導体膜763と第2導電型の半導体膜765とがこの順に積層されてなる半導体積層膜が形成された基板をエッチングすることにより形成される。このため、複数の発光部704を1つ1つ基板上に実装する必要がなくて、製造工程を大幅に簡略化することができる。
【0213】
更に、第1の配線761a、762b、762cが、基板701の裏面に形成され、その一部が発光部704となる、第1導電型の半導体膜763および第2導電型の半導体膜765を、基板701上に直接エピタキシャル成長したため、結晶性の良い発光部704を形成するのが容易になる。したがって、発光部の発光効率を向上して自発光ディスプレイを更に低消費電力化することができる。
【0214】
(第8実施形態)
図35は、本発明の第8実施形態の自発光ディスプレイを構成する画素の回路図である。また、図36は、第8実施形態の自発光ディスプレイの一部の平面図であり、図37は、図36のDDにおける矢視断面図であり、図38は、図36のEEにおける矢視断面図である。
【0215】
第8実施形態の自発光ディスプレイは、アクティブ駆動される点で、第1実施形態の自発光ディスプレイと異なる。第8実施形態の自発光ディスプレイでは、基板上には、複数の信号線と、複数の走査線と、上記複数の信号線と走査線の交点に設けられたスイッチングトランジスタおよび駆動トランジスタとが形成され、上記各発光部の第1導電型の半導体は、上記駆動トランジスタのドレインに夫々電気的に接続され、上記各発光部の第2導電型の半導体は、上記複数の発光部上に形成された共通透明電極に接続され、上記自発光ディスプレイはアクティブ駆動されるようになっている。
【0216】
より具体的には、図35に示すように、各画素において、信号線831と走査線832とが交差し。信号線831は、各画素のスイッチングトランジスタ835のソースに接続される一方、走査線832は、各画素のスイッチングトランジスタ835のゲートに接続されている。また、スイッチングトランジスタ835のドレインは、画素キャパシタ837と、駆動トランジスタ836のゲートとに接続されている。また、駆動トランジスタ836のソースには、電源線833が接続され、駆動トランジスタ836のドレインには、発光部804の一方の端子が接続される。また、発光部804の他方の端子は、上部共通電極803に接続されている。
【0217】
図36〜図38に示すように、基板801上には、それぞれ他結晶シリコンからなる第1の配線層841と、第2の配線層842とが形成されている。第1の配線層841と、第2の配線層842の間には、接続部839を除いて、絶縁膜層845が形成されている。
【0218】
走査線832は、第1の配線層841で構成される。また、信号線831と、電源線833とは、第2の配線層842で構成される。
【0219】
スイッチングトランジスタ835は、第1の配線層841の一部がゲートを構成し、第2の配線842の一部がソース、チャネルおよびドレインを構成する。第2の配線842には、無ドープ領域843(図38参照)が設けられており、これがスイッチングトランジスタ835のチャネルとなる。また、駆動トランジスタ836もまた、第1の配線層841の一部がゲートを構成し、第2の配線842の一部がソース、チャネルおよびドレインを構成する。第2の配線842には、無ドープ領域844(図37参照)が設けられており、これが駆動トランジスタ836のチャネルとなる。
【0220】
画素キャパシタ837は、スイッチングトランジスタ835のドレインから延びる第2の配線842と、コンタクト孔838を介して上部共通電極803と接続された第1の電極841との間の静電容量を利用している。
【0221】
第1導電型の半導体807、第2導電型の半導体808および活性層809からなる発光部804は、第2配線層842からなる駆動トランジスタ836のドレインと、上部共通電極803に接続されている。
【0222】
発光部804上の上部共通電極803上には、赤色蛍光体810R、緑色蛍光体(図示せず)または青色蛍光体(図示せず)のいずれか1つが形成されており、それぞれ赤色画素805R、緑色画素805Gおよび青色画素805Bとなる。
【0223】
本実施の自発光ディスプレイの形成手順は、概ね以下の通りである。まず、基板上に信号線831、走査線832、電源線833、スイッチングトランジスタ835、駆動トランジスタ836および画素キャパシタ837を、TFTプロセスを用いて形成する。
【0224】
次に、発光部804を、第1実施形態で説明した方法で形成する。その後、上部共通電極834を形成する。これは、第1実施形態において、第2の配線を形成する方法と同様に行なえばよい。ただし、共通電極なので、第1実施形態の場合のようにパターニングする必要はない。
【0225】
上記構成によれば、各画素はアクティブ駆動されるので、駆動電圧を低くし、発光部を長寿命化し、画素間の干渉を効果的に防止することができる。
【0226】
(第9実施形態)
図39は、本発明の第9実施形態のモバイル電子機器900の構成図である。
【0227】
このモバイル電子機器900は、自発光ディスプレイ951、自発光ディスプレイ951を駆動するドライバ952、演算部953、入力インターフェース954、通信回路955およびアンテナ856を備えている。
【0228】
自発光ディスプレイ951は、前述した本発明の自発光ディスプレイよりなる。このモバイル電子機器900は、本発明の自発光ディスプレイ951を備えているから、バックライトを有する液晶ディスプレイ等より、低消費電力を実現できる。更には、このモバイル電子機器900は、本発明の自発光ディスプレイ951を備えているため、画像の滲みが少なく、高精細とすることが可能であり、他の自発光ディスプレイと比べても消費電力を小さくすることができる。
【0229】
このモバイル電子機器900は、通信回路955およびアンテナ956を備えて通信機能を有している。また、このモバイル電子機器900は、入力インターフェース954備えて、電話、テレビ電話、インターネットの利用、メールの利用、配信された書籍の閲覧等の機能を有している。また、このモバイル電子機器900は、辞書、表計算、ワープロ等の機能を備えるようにすることもできる。
【0230】
尚、本発明では、発光部の1個毎に独立な画素を構成しても良く、または、一画素に、複数個の発光部が含まれていても良い。
【0231】
また、本発明では、第1導電型の半導体と、第2導電型の半導体とは、必ずしも基板の法線方向に対向していなくても良く、基板の法線方向以外の方向に対向する構成であっても良い。
【0232】
また、本発明では、第1導電型が、n型で、第2導電型が、p型であっても良く、第1導電型が、p型で、第2導電型が、n型であっても良い。
【0233】
また、例えば、上述の異なる二以上の実施形態の一部または全部を組み合わせた発明が、本発明の新たな実施形態を構成することは、勿論であり、上述のある実施形態の発明と、上述のある変形例の発明とを組み合わせて作成される発明が、本発明の新たな実施形態を構成することも勿論である。正確にいうと、上記明細書の説明で行った、全ての実施形態および全ての変形例で構成される内容から二以上の発明特定事項を組み合わせて作成される発明が、本発明の新たな実施形態に含まれることは、勿論である。
【符号の説明】
【0234】
1,101,201,301,401,501,601,701,801 基板
102a,102b,102c,202b,302b,402b,502b,661a,661b,661c,761a,761b,761c 第1の配線
103a,103b,103c,203a,203b,203c,303a,303b,303c,303d,403a,403b,403c,403d,503a,503b,503c,503d,603a,603b,603c,703a,703b,703c 第2の配線
104,204,304,404,604,704,804,504B,504G,504R,504Y 発光部
105B,205B,305B,405B,605B,705B,805B 青色画素
105G,205G,305G,405G,605G,705G,805G 緑色画素
105R,205R,305R,505R,605R,705R,805R 赤色画素
106,206,306,406,506,606,706 低屈折率体
107,207,307,407,607,707,807,507R,507Y,507G,507B 第1導電型の半導体
108,208,308,408,608,708,808,508R,508Y,508G,508B 第2導電型の半導体
109,209,309,409,609,709,809,764,509R,509Y,509G,509B 活性層
110B,310B,610B,710B 青色蛍光体
110G,211G,310G,411G,610G,710G 緑色蛍光体
110R,211R,310R,610R,710R,810R 赤色蛍光体
121 金属触媒粒
200,300,400,500,600,700,951 自発光ディスプレイ
305Y,405Y 黄色画素
310Y,411Y,510Y 黄色蛍光体
411 蛍光体
662,762 コンタクト孔
763 第1導電型の半導体膜
765 第2導電型の半導体膜
766 フォトレジスト
803,834 共通電極
835 スイッチングトランジスタ
836 駆動トランジスタ
838 コンタクト孔
900 モバイル電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
上記基板上に互いに間隔をおいて配置された複数の柱状の発光部と
を備え、
上記各発光部は、第1導電型の半導体と第2導電型の半導体とを有し、
上記各発光部の側壁に接触すると共に、上記発光部の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率体
を備えることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記発光部の上記基板側とは反対側の上面は、上記低屈折率体よりも大きい高屈折率体と接していることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記基板上に配置されると共に、互いに間隔をおいて第1の方向に延在する複数の第1の配線と、
上記複数の発光部上に配置されると共に、互いに間隔をおいて第2の方向に延在する複数の第2の配線と
を備え、
上記第1導電型の半導体は、上記第2導電型の半導体に上記基板の法線方向に対向し、
上記各発光部の上記第1導電型の半導体は、上記複数の第1の配線のうちのいずれか1つに電気的に接続される一方、上記各発光部の上記第2導電型の半導体は、上記複数の第2の配線のうちのいずれか1つに電気的に接続され、
パッシブ駆動されることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項4】
請求項3に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記各第2の配線は、透明電極であることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記発光部は、無機半導体からなることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項6】
請求項1または2に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記複数の発光部上に形成されると共に、上記複数の発光部の上記第2導電型の半導体を電気的に接続する共通透明電極と、
上記基板上に配置されると共に、ゲートと、上記発光部の上記第1導電型の半導体に電気的に接続されたドレインとを有する駆動トランジスタと、
上記駆動トランジスタのゲートに電気的に接続されたドレインを有するスイッチングトランジスタと
を備え、
アクティブ駆動されることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記発光部は、GaN層を有すること特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項8】
請求項7に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記発光部は、InGaN、AlGaN、または、AlInGaNのいずれかからなる活性層を含むことを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記基板上に配置された結晶性の導電膜パターンを
備え、
上記発光部は、上記導電膜パターン上に配置され、
上記発光部は、結晶性の無機半導体からなることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項10】
請求項9に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記発光部の高さは、上記発光部の幅よりも大きいことを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項11】
請求項9または10に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記結晶性の導電膜パターンは、シリコンからなるか、または、上記基板側からシリコンとGaNとを順次積層してなる積層膜からなり、
上記発光部は、GaN層を有することを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記発光部から発光される光が到達可能な位置にナノ粒子蛍光体を配置したことを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記各発光部は、青色画素、緑色画素、または、赤色画素の一部であり、
上記各発光部は、青色光を発光し、
上記緑色画素は、上記発光部で発生した青色光を緑色光に変換する蛍光体を有し、
上記赤色画素は、上記発光部で発生した青色光を赤色光に変換する蛍光体を有していることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項14】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記各発光部は、青色画素、緑色画素、または、赤色画素の一部であり、
上記各発光部は、紫外光を発光し、
上記青色画素は、上記発光部で発生した紫外光を青色光に変換する蛍光体を有し、
上記緑色画素は、上記発光部で発生した紫外光を緑色光に変換する蛍光体を有し、
上記赤色画素は、上記発光部で発生した紫外光を赤色光に変換する蛍光体を有することを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項15】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記各発光部は、青色画素、緑色画素、黄色画素、または、赤色画素の一部であり、
上記複数の発光部は、青色光を発光し、
上記緑色画素は、上記発光部で発生した青色光を緑色光に変換する蛍光体を有し
上記黄色画素は、上記発光部で発生した青色光を黄色光に変換する蛍光体を有し、
上記赤色画素は、上記発光部で発生した青色光を赤色光に変換する蛍光体を有していることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項16】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記各発光部は、青色画素、緑色画素、黄色画素、または、赤色画素の一部であり、
上記各発光部は、紫外光を発光し、
上記青色画素は、上記発光部で発生した紫外光を緑色光に変換する蛍光体を有し、
上記緑色画素は、上記発光部で発生した紫外光を緑色光に変換する蛍光体を有し、
上記黄色画素は、上記発光部で発生した紫外光を黄色光に変換する蛍光体を有し、
上記赤色画素は、上記発光部で発生した紫外光を赤色光に変換する蛍光体を有していることを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項17】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記各発光部は、予め定められた複数の種類の画素のうちのいずれかの画素の一部であり、
上記各発光部は、その発光部が属する種類の画素に対応して予め定められた分光分布を有する光を発光することを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項18】
基板上における複数の発光部を形成する互いに間隔をおいた複数の位置を規定する発光部位置規定工程と、
上記基板上の上記各発光部を形成する位置に、第1導電型の半導体と、第2導電型の半導体とを順次エピタキシャル成長により形成して、上記発光部の少なくとも一部を形成する発光部形成エピタキシャル工程と、
上記第1導電型の半導体の屈折率よりも低くて、かつ、上記第2導電型の半導体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率体を、上記各発光部の側壁部に接触するように配置する低屈折率体形成工程と
を備えることを特徴とする自発光ディスプレイの製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の自発光ディスプレイの製造方法において、
上記発光部位置規定工程は、上記基板上の所定の位置に金属触媒粒を配置する工程を含み、
上記発光部形成エピタキシャル工程は、上記金属触媒粒を触媒としてVapor Liquid Solid法により半導体をエピタキシャル成長させる工程を含むことを特徴とする自発光ディスプレイの製造方法。
【請求項20】
請求項18に記載の自発光ディスプレイの製造方法において、
上記発光部位置規定工程は、上記基板上に、上記基板上の所定の位置につながる開口部を有するマスクを形成する工程を含み、
上記発光部形成エピタキシャル工程は、上記開口部内で半導体をエピタキシャル成長させる工程を含むことを特徴とする自発光ディスプレイの製造方法。
【請求項21】
請求項18から20までのいずれか一つに記載の自発光ディスプレイの製造方法において、
上記低屈折率体形成工程は、上記発光部間の隙間を埋めるように低屈折率体を形成する工程を含み、
上記第2導電型の半導体を接続する配線を上記低屈折率体の上面に形成する上部配線工程を備えることを特徴とする自発光ディスプレイの製造方法。
【請求項22】
請求項21に記載の自発光ディスプレイの製造方法において、
上記発光部は、結晶性の無機半導体からなり、
上記基板上に下部配線を形成する下部配線形成工程を備え、
上記下部配線工程は、上記基板上に結晶性の導電体膜をパターニングする工程を含み、
上記発光部位置規定工程は、上記結晶性の導電体膜に対する上記発光部の位置を規定することを特徴とする自発光ディスプレイの製造方法。
【請求項23】
基板上に、第1導電型の半導体膜と、第2導電型の半導体膜とをこの順に積層してなる半導体積層膜を形成した後、エッチングを行うことにより、第1導電型の半導体と、第2導電型の半導体とを有する複数の柱状の発光部を形成する発光部形成エッチング工程と、
上記第1導電型の半導体の屈折率よりも低くて、かつ、上記第2導電型の半導体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率体を、上記各発光部の側壁部に接触するように配置する低屈折率体形成工程と
を備えることを特徴とする自発光ディスプレイの製造方法。
【請求項24】
請求項1から17までのいずれか一項に記載の自発光ディスプレイを備えたことを特徴とするモバイル電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−55170(P2013−55170A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191295(P2011−191295)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】