説明

航空機位置測定システム、信号種類判定方法およびセンタ局ならびにプログラム

【課題】航空機位置測定システムにおいて航空機が送信する信号の種類を自律的に判定する。
【解決手段】信号の送信パターンの情報を記憶する送信パターン記憶部7と、信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、送信パターン記憶部7に記憶されている送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定する信号種類判定部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機位置測定システム、信号種類判定方法およびセンタ局ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機位置測定システムについて図9を参照して説明する。図9は、航空機位置測定システムの概念図である。航空機位置測定システムは、図9に示すように、位置情報が確定した複数の受信局Rl〜R5と、1つのセンタ局Cとを備える。複数の受信局Rl〜R5は、1つの航空機Aから送信される信号をそれぞれ受信する。センタ局Cは、複数の受信局Rl〜R5の位置情報と複数の受信局Rl〜R5で上記信号を受信した際の受信時間差情報とに基づき、航空機Aの位置および高度を測定する。なお、この測定方法については、双曲線測位方式として広く知られている技術であるので、本明細書での説明は省略する。また、このような航空機位置測定システムは、マルチラテレーションシステムと呼ばれている。
【0003】
上記信号は、一般的に、モードAコード、モードCコードと呼ばれる信号である。モードAコードは、航空機Aの1つのフライトプラン毎に付与される識別情報である。すなわち、航空機Aが離陸してから着陸するまでの期間に限定して付与される識別情報である。モードCコードは、航空機Aが自己申告する高度情報を含む信号である。通常、モードAコードとモードCコードとは連続的に組み合わされた送信パターンを形成する。その他の信号としては、航空機Aに恒久的に付与されるモードSコードがある。
【0004】
また、図9に示すように、センタ局Cと航空路監視レーダ局Rとの間には回線Lが設けられる。この回線によりセンタ局Cと航空路監視レーダ局Rとは連携して処理を実行することができる。
【0005】
例えば、航空機Aは、モードAコード、モードCコードを自律的に送信しているわけではなく、航空路監視レーダ局Rからの質問信号に対してモードAコード、モードCコードを応答している。したがって、センタ局Cは、航空路監視レーダ局RがモードAコードを応答するように質問信号を送信したか、あるいは、モードCコードを応答するように質問信号を送信したかを確認することができる。これにより、センタ局Cは、その質問信号に対する応答としてモードAコードとモードCコードとを区別することができる。
【0006】
【特許文献1】特開平8−105966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の航空機位置測定システムは、航空路監視レーダ局との連携が必須である。したがって、センタ局と航空路監視レーダ局との間には、回線を設ける必要がある。さらに、航空路監視レーダ局から質問信号が送信された直後のタイミングに、航空機から応答信号が送信される。よって、センタ局は、航空路監視レーダ局から質問信号が送信されたタイミングをリアルタイムで認識する必要がある。
【0008】
したがって、遅延の少ない高品質な回線が要求されるため、回線設備に要するコストおよび工数を小さく抑えることは困難である。特に、航空路監視レーダ局の監視空域から逸脱した空域を、航空機位置測定システムによって監視しようとする場合には、センタ局と航空路監視レーダ局との間の距離は長い場合が多い。このような長い距離において高品質の回線を確保することは高いコストを要する。
【0009】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、航空機が送信する信号の種類を自律的に判定することができる航空機位置測定システム、信号種類判定方法およびセンタ局ならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、位置情報が確定した複数の受信局と、1つのセンタ局とを備え、複数の受信局は、1つの航空機から送信される信号をそれぞれ受信する手段を備え、センタ局は、複数の受信局の位置情報と複数の受信局で信号を受信した際の受信時間差情報とに基づき、航空機の位置および高度を測定する手段を備え、信号は、複数種類の信号を含み、この複数種類の信号の組み合わせによる特定の送信パターンを有する航空機位置測定システムである。
【0011】
ここで、本発明の特徴とするところは、送信パターンの情報を記憶する送信パターン記憶手段と、信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、送信パターン記憶手段に記憶されている送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定する信号種類判定手段とを備えるところにある。
【0012】
また、本発明を信号種類判定方法としての観点から観ると、本発明は、位置情報が確定した複数の受信局と、1つのセンタ局とを備え、複数の受信局は、1つの航空機から送信される信号をそれぞれ受信し、センタ局は、複数の受信局の位置情報と複数の受信局で信号を受信した際の受信時間差情報とに基づき、航空機の位置および高度を測定し、信号は、複数種類の信号を含み、この複数種類の信号の組み合わせによる特定の送信パターンを有する航空機位置測定システムに適用される信号種類判定方法である。
【0013】
ここで、本発明の特徴とするところは、送信パターンの情報を記憶するステップと、信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、記憶するステップの処理により記憶している送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定するステップとを有するところにある。
【0014】
また、本発明をセンタ局としての観点から観ると、本発明は、位置情報が確定した複数の受信局の位置情報と複数の受信局で1つの航空機から送信される信号をそれぞれ受信した際の受信時間差情報とに基づき、航空機の位置および高度を測定する手段を備えたセンタ局である。
【0015】
ここで、本発明の特徴とするところは、信号は、複数種類の信号を含み、この複数種類の信号の組み合わせによる特定の送信パターンを有し、送信パターンの情報を記憶する送信パターン記憶手段と、信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、送信パターン記憶手段に記憶されている送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定する信号種類判定手段とを備えるところにある。
【0016】
また、本発明をプログラムとしての観点から観ると、本発明は、情報処理装置にインストールすることより、その情報処理装置に、位置情報が確定した複数の受信局の位置情報と複数の受信局で1つの航空機から送信される信号をそれぞれ受信した際の受信時間差情報とに基づき、航空機の位置および高度を測定する機能を備えたセンタ局の機能を実現するプログラムである。
【0017】
ここで、本発明の特徴とするところは、信号は、複数種類の信号を含み、この複数種類の信号の組み合わせによる特定の送信パターンを有し、送信パターンの情報を記憶する送信パターン記憶機能と、信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、送信パターン記憶機能に記憶されている送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定する信号種類判定機能とを実現するところにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、航空機が送信する信号の種類を自律的に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第一の実施の形態)
本発明の第一の実施の形態の航空機位置測定システムを図1から図3を参照して説明する。図1は、第一の実施の形態の航空機位置測定システムの全体構成図である。図2は、モードAコードおよびモードCコードの送信パターンを示す図である。図3は、第一の実施の形態の信号種類判定手順を示すフローチャートである。
【0020】
第一の実施の形態の航空機位置測定システムは、図1に示すように、位置情報が確定した複数の受信局Rl〜R5と、1つのセンタ局Cとを備える。複数の受信局Rl〜R5は、1つの航空機Aから送信される信号をそれぞれ受信する手段(図示省略)を備える。センタ局Cは、受信局位置記憶部3に記憶されている複数の受信局Rl〜R5の位置情報と、受信情報収集部1により収集した複数の受信局Rl〜R5で上記信号を受信した際の受信時間差情報とに基づき、航空機Aの位置(緯度・経度)および高度を測定する手段としての位置解析部2を備える。
【0021】
また、受信情報収集部1により収集した受信信号の中から上記信号を抽出する信号抽出部4と、信号抽出部4により抽出した上記信号を一時記憶する信号記憶部5とを備える。
【0022】
上記信号は、図2に示すように、モードAコードとモードCコードとを含み、このモードAコードおよびモードCコードの組み合わせによる特定の送信パターンを有する。図2の例では、モードAコードを2回連続した送信した後にモードCコードを1回送信する。この送信パターンの情報を記憶する送信パターン記憶手段としての送信パターン記憶部7を備える。
【0023】
第一の実施の形態では、上記信号を全て同種類の信号(すなわち、モードAコード)とみなして受信した後、送信パターン記憶部7に記憶されている送信パターンの情報に基づき、信号の種類(すなわち、モードAコードまたはモードCコード)を判定する信号種類判定手段としての信号種類判定部6を備える。
【0024】
次に、信号種類判定部6の処理手順を図3のフローチャートを参照して説明する。図3に示すように、信号種類判定部6は、送信パターン記憶部7から送信パターン情報を取得し(ステップSl)、信号記憶部5から信号を読み出す(ステップS2)。このときに、同じ種類の信号が2回連続したら(ステップS3のYes)、信号種類判定部6は、その後に続く信号をモードCコードと判定する(ステップS4)。また、これにより、信号種類判定部6は、2回連続した同じ種類の信号を、必然的にモードAコードと判定できる(ステップS5)。
【0025】
(第一の実施の形態の効果)
第一の実施の形態によれば、送信パターン情報に基づき自律的にモードAコードおよびモードCコードを判定することができる。これにより、センタ局Cは、航空路監視レーダ局Rが航空機Aに対して質問信号を送信したタイミングをリアルタイムで確認する必要がなく、航空路監視レーダ局Rとセンタ局Cとの間の回線における遅延許容量を大きくとることができる。したがって、回線の設置コストおよび工数を削減することができる。
【0026】
(第二の実施の形態)
本発明の第二の実施の形態の航空機位置測定システムを図4を参照して説明する。図4は、第二の実施の形態の航空機位置測定システムの全体構成図である。第二の実施の形態では、センタ局Cと航空路監視レーダ局Rとが連携して処理を実行する。この際に、リアルタイム性は重要ではない。したがって、センタ局Cと航空路監視レーダ局Rとの間の回線Lにおける遅延許容量は大きくとることができる。よって、回線Lの設備コストおよび工数を低く抑えることができる。
【0027】
第二の実施の形態では、航空路監視レーダ局Rからの航空機監視報告を受信する監視報告受信手段としての監視報告受信部9を備える。また、信号種類判定部6により判定されたモードAコードとモードCコードとはモードAコード・モードCコード記憶部8に記憶されている。このモードAコード・モードCコード記憶部8を参照し、監視報告受信部9により受信した航空機監視報告からセンタ局Cが受信したモードAコードと一致するモードAコードを検索する識別情報検索手段としての識別情報検索部10を備える。
【0028】
さらに、識別情報検索部10は、識別情報検索手段の他に、モードAコード・モードCコード記憶部8に記憶されているモードAコードの中から航空機監視報告に含まれるモードAコードと一致するモードAコードが検索されたときには、センタ局Cが受信したモードAコードおよびモードCコードを信頼性の高い信号として判定する信頼性判定手段も有する。
【0029】
すなわち、モードAコードは、航空機Aの1回のフライトプランに対して付与される識別情報であり、原則として、同じ時間帯に同じ空域において異なる航空機同士に同じモードAコードが付与される事態は起こり得ない。したがって、航空路監視レーダ局Rとセンタ局Cとの双方において同一のモードAコードを取得したということであれば、ほぼ間違いなく、同一の航空機Aの存在を航空路監視レーダ局Rおよびセンタ局Cで確認したことになる。
【0030】
なお、識別情報検索部10は、モードAコード・モードCコード記憶部8に記憶されているモードAコードの中から航空機監視報告に含まれるモードAコードと一致するモードAコードを検索できなかった場合には、エラー出力を行い、管理者に対して誤り発生の可能性を通知する。
【0031】
(第二の実施の形態の効果)
第二の実施の形態によれば、第一の実施の形態において判定したモードAコードおよびモードCコードについて、さらに信頼性を高めることができる。
【0032】
(第三の実施の形態)
第三の実施の形態の航空機位置測定システムを図5から図8を参照して説明する。図5は、第三の実施の形態の航空機位置測定システムの概念図である。第三の実施の形態の航空機位置測定システムは、図5に示すように、航空機Aから申告された高度情報と、位置解析部2(図5では図示省略)により航空機Aを測定対象として測定された高度情報とを当該航空機AのモードAコードに基づき比較(ステップS10)する手段である比較部12を高度情報照合部11に備える。さらに、この比較部12の比較結果に基づき申告された高度情報と測定された高度情報とが異なるときには、申告された高度情報を測定された高度情報により訂正(ステップS11のNo)する手段である訂正部13を高度情報照合部11に備える。また、高度情報照合部11の訂正部13は、航空機Aから申告された高度情報と、位置解析部2により航空機Aを測定対象として測定された高度情報とが一致した場合には(ステップS11のYes)、高度情報確認情報を航空路監視レーダ局Rに送信する。また、高度情報照合部11の訂正部13は、航空機Aから申告された高度情報と、位置解析部2により航空機Aを測定対象として測定された高度情報とが不一致の場合には(ステップS11のNo)、申告高度情報を実測高度情報により訂正する(ステップS12)。
【0033】
ここで、モードSコードについて図6および図7を参照して説明する。図6は、モードS一括質問を説明するための図である。図7は、モードS個別質問を説明するための図である。前述したように、モードSコードとは、航空機Aに恒久的に付与される識別情報がある。すなわち、モードAコードは、航空機Aの1回のフライトプラン毎に付与される識別情報である。このため、航空機Aのフライトプランが完了した時点で消滅し、航空機Aが新たなフライトプランを提出した時点で新たなモードAコードが付与される。これに対し、モードSコードについは航空機Aが製造されてから廃機されまるで変わらない。
【0034】
図6は、航空路監視レーダ局Rのレーダ装置が同時に3機の機影をディスプレイ上に写し出している状況を示している。このとき、航空機監視レーダ局Rは、全機に対してモードSコードを問い合わせている(モードS一括質問)。モードS一括質問に対し、各機は、自機のモードSコードと自機が測定した高度情報(申告高度情報という)を航空路監視レーダ局Rに応答することになっている。
【0035】
図6の例では、航空機♯1は、モードSコード♯1、申告高度3000ftを応答し、航空機♯2は、モードSコード♯2、申告高度3500ftを応答し、航空機♯3は、モードSコード♯3、申告高度2000ftを応答している。
【0036】
次に、図7は、1機に対してモードS個別質問を行っている状況を示している。航空路監視レーダ局Rは、モードS一括質問によって取得した各機のモードSコードを用いて特定の1機を指定することにより、モードS個別質問を送信することができる。モードS個別質問を受信した航空機は、自機のモードSコードおよび申告高度と共にモードAコードを応答することになっている。図7の例では、航空機♯1がモードSコード♯1、申告高度3000ft、モードAコード“1001”を応答している。このようにして、航空路監視レーダ局Rは、各機のモードSコードを利用して各機のモードAコードを取得することができる。
【0037】
次に、航空路監視レーダ局Rを有する航空管制局は、取得した各機のモードAコードを利用してセンタ局Cに対し、申告高度の確認を要求することができる。すなわち、申告高度は、各機搭載した高度測定装置によって測定した高度情報であるため、万が一、高度測定装置に異常があった場合には、誤った高度情報が申告される可能性が否めない。そこで、センタ局Cによって測定した実測高度と申告高度とを比較することにより、誤った申告高度情報を発見して訂正することが可能となる。
【0038】
図8は、高度情報照合部11の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、高度情報照合部11は、航空管制局を経由して航空路監視レーダ局RからモードAコードと申告高度情報とを受信する(ステップS20)。高度情報照合部11は、受信したモードAコードを、センタ局Cが保持するモードAコードと照合する(ステップS21)。一致するモードAコードが有れば(ステップS22のYes)、高度情報照合部11の比較部12は、そのモードAコードに対応する申告高度情報と実測高度情報とを比較する(ステップS23)。また、このとき、一致するモードAコードが無ければ(ステップS22のNo)、比較部12はその旨を航空管制局に報告する(ステップS27)。比較した結果、申告高度情報と実測高度情報とが一致すれば(ステップS24のYes)、高度情報照合部11の訂正部13は、高度情報を確認した旨の情報を航空管制局に送信する(ステップS25)。しかし、比較した結果、申告高度情報と実測高度情報とが不一致であれば(ステップS24のNo)、高度情報照合部11の訂正部13は、申告高度情報を実測高度情報により訂正し(ステップS26)、その訂正した高度情報を航空管制局に送信する。このとき、高度情報照合部11の訂正部13は、訂正した旨の報告の送信も併せて行うことがよい。
【0039】
(第三の実施の形態の効果)
第三の実施の形態によれば、センタ局Cの実測高度情報を用いて申告高度情報の誤りを発見して訂正することができる。このため、航空機の安全運行を図ることができる。
【0040】
(プログラムの実施例)
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本実施の形態のセンタ局Cにおける各機能を実現するプログラムの実施例を説明する。ここで、情報処理装置とは、汎用のコンピュータ装置である。
【0041】
本実施例のプログラムは記録媒体に記録されることにより、情報処理装置は、この記録媒体を用いて本実施例のプログラムをインストールすることができる。あるいは、本実施例のプログラムを保持するサーバからネットワークを介して直接、情報処理装置に本実施例のプログラムをインストールすることもできる。
【0042】
これにより、情報処理装置を用いて、本実施の形態のセンタ局Cにおける受信情報収集部1、位置解析部2、受信局位置記憶部3、信号抽出部4、信号記憶部5、信号種類判定部6、送信パターン記憶部7、モードAコード・モードCコード記憶部8、監視報告受信部9、識別情報検索部10、高度情報照合部11の機能を実現することができる。その他にもソフトウェアによって実現可能な機能については本実施例のプログラムによって併せて実現してもよい。
【0043】
なお、本実施例のプログラムは、情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0044】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、本発明の要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。例えば、航空機Aとして旅客機を図示した。しかしながら、航空機Aは、ヘリコプターやジェット戦闘機やその他の飛翔体など、様々な飛行物体であってよい。また、モードAコード、モードCコード、モードSコードを例に挙げて説明した。しかしながら、送信パターンに規則性を有するあらゆる信号を用いることができる。また、送信パターンの規則性が一定である必要はない。すなわち、送信パターンが時々刻々変化するような信号であってもその変化のスケジュールがわかっていればよい。また、所定の航空路を監視する航空路監視レーダ局Rに代えて不特定の空域を監視するレーダ局を備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、航空機の安全運行に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第一の実施の形態の航空機位置測定システムの全体構成図である。
【図2】モードAコードおよびモードCコードの送信パターンを示す図である。
【図3】第一の実施の形態の信号種類判定手順を示すフローチャートである。
【図4】第二の実施の形態の航空機位置測定システムの全体構成図である。
【図5】第三の実施の形態の航空機位置測定システムの概念図である。
【図6】モードS一括質問を説明するための図である。
【図7】モードS個別質問を説明するための図である。
【図8】高度情報照合部の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】航空機位置測定システムの概念図である。
【符号の説明】
【0047】
1 受信情報収集部、2 位置解析部(測定する手段)、3 受信局位置記憶部、4 信号抽出部、5 信号記憶部、6 信号種類判定部(信号種類判定手段)、7 送信パターン記憶部(送信パターン記憶手段)、8 モードAコード・モードCコード記憶部、9 監視報告受信部(監視報告受信手段)、10 識別情報検索部(識別情報検索手段、信頼性判定手段)、11 高度情報照合部(比較する手段、訂正する手段)、12 比較部(比較する手段)、13 訂正部(訂正する手段)、A 航空機、C センタ局、R 航空路監視レーダ局、Rl〜R5 受信局(受信する手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報が確定した複数の受信局と、1つのセンタ局とを備え、
複数の上記受信局は、1つの航空機から送信される信号をそれぞれ受信する手段を備え、
上記センタ局は、複数の上記受信局の位置情報と複数の上記受信局で上記信号を受信した際の受信時間差情報とに基づき、上記航空機の位置および高度を測定する手段を備え、
上記信号は、複数種類の信号を含み、この複数種類の信号の組み合わせによる特定の送信パターンを有する、
航空機位置測定システムにおいて、
上記送信パターンの情報を記憶する送信パターン記憶手段と、
上記信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、上記送信パターン記憶手段に記憶されている送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定する信号種類判定手段と、
を備えることを特徴とする航空機位置測定システム。
【請求項2】
前記送信パターンは、種類mの信号をp回連続送信した後に、種類nの信号をq回連続送信する送信パターンであり、
前記信号種類判定手段は、p回連続した同一種類の受信信号に続くq回連続した同一種類の受信信号を種類nの信号であると判定する手段を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の航空機位置測定システム。
【請求項3】
前記信号には、前記航空機に対し、1回のフライトプラン毎に付与される識別情報を含み、
前記受信局の受信エリアと共通する空域を監視する航空路監視レーダ局からの航空機監視報告を受信する監視報告受信手段と、
この監視報告受信手段により受信した上記航空機監視報告から前記受信局が受信した前記信号に含まれる識別情報と一致する識別情報を検索する識別情報検索手段と、
この識別情報検索手段により上記一致する識別情報が検索されたときには、前記受信局が受信した前記信号を信頼性の高い信号として判定する信頼性判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項2記載の航空機位置測定システム。
【請求項4】
航空機から申告された高度情報と、この航空機を測定対象として前記測定する手段により測定された高度情報とを当該航空機の識別情報に基づき比較する手段と、
この比較する手段の比較結果に基づき上記申告された高度情報と上記測定された高度情報とが異なるときには、上記申告された高度情報を上記測定された高度情報により訂正する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の航空機位置測定システム。
【請求項5】
位置情報が確定した複数の受信局と、1つのセンタ局とを備え、
複数の上記受信局は、1つの航空機から送信される信号をそれぞれ受信し、
上記センタ局は、複数の上記受信局の位置情報と複数の上記受信局で上記信号を受信した際の受信時間差情報とに基づき、上記航空機の位置および高度を測定し、
上記信号は、複数種類の信号を含み、この複数種類の信号の組み合わせによる特定の送信パターンを有する、
航空機位置測定システムに適用される信号種類判定方法において、
上記送信パターンの情報を記憶するステップと、
上記信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、上記記憶するステップの処理により記憶している上記送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定するステップと、
を有することを特徴とする信号種類判定方法。
【請求項6】
前記送信パターンは、種類mの信号をp回連続送信した後に、種類nの信号をq回連続送信する送信パターンであり、
前記信号の種類を判定するステップの処理として、p回連続した同一種類の受信信号に続くq回連続した同一種類の受信信号を種類nの信号であると判定する、
ことを特徴とする請求項5記載の信号種類判定方法。
【請求項7】
前記信号には、前記航空機に対し、1回のフライトプラン毎に付与される識別情報を含み、
前記受信局の受信エリアと共通する空域を監視する航空路監視レーダ局からの航空機監視報告を受信するステップと、
受信した上記航空機監視報告から前記受信局が受信した前記信号に含まれる識別情報と一致する識別情報を検索するステップと、
この識別情報を検索するステップの処理により上記一致する識別情報が検索されたときには、前記受信局が受信した前記信号を信頼性の高い信号として判定するステップと、
を有することを特徴とする請求項6記載の信号種類判定方法。
【請求項8】
航空機から申告された高度情報と、この航空機を測定対象として測定された高度情報とを当該航空機の識別情報に基づき比較するステップと、
この比較するステップの処理による比較結果に基づき上記申告された高度情報と上記測定された高度情報とが異なるときには、上記申告された高度情報を上記測定された高度情報により訂正するステップと、
を有することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載の信号種類判定方法。
【請求項9】
位置情報が確定した複数の受信局の位置情報と複数の上記受信局で1つの航空機から送信される信号をそれぞれ受信した際の受信時間差情報とに基づき、上記航空機の位置および高度を測定する手段を備えたセンタ局において、
上記信号は、複数種類の信号を含み、この複数種類の信号の組み合わせによる特定の送信パターンを有し、
上記送信パターンの情報を記憶する送信パターン記憶手段と、
上記信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、上記送信パターン記憶手段に記憶されている送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定する信号種類判定手段と、
を備えることを特徴とするセンタ局。
【請求項10】
前記送信パターンは、種類mの信号をp回連続送信した後に、種類nの信号をq回連続送信する送信パターンであり、
前記信号種類判定手段は、p回連続した同一種類の受信信号に続くq回連続した同一種類の受信信号を種類nの信号であると判定する手段を備える、
ことを特徴とする請求項9記載のセンタ局。
【請求項11】
前記信号には、前記航空機に対し、1回のフライトプラン毎に付与される識別情報を含み、
前記受信局の受信エリアと共通する空域を監視する航空路監視レーダ局からの航空機監視報告を受信する監視報告受信手段と、
この監視報告受信手段により受信した上記航空機監視報告から前記受信局が受信した前記信号に含まれる識別情報と一致する識別情報を検索する識別情報検索手段と、
この識別情報検索手段により上記一致する識別情報が検索されたときには、前記受信局が受信した前記信号を信頼性の高い信号として判定する信頼性判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項10記載のセンタ局。
【請求項12】
航空機から申告された高度情報と、この航空機を測定対象として前記測定する手段により測定された高度情報とを当該航空機の識別情報に基づき比較する手段と、
この比較する手段の比較結果に基づき上記申告された高度情報と上記測定された高度情報とが異なるときには、上記申告された高度情報を上記測定された高度情報により訂正する手段と、
を備えることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項記載のセンタ局。
【請求項13】
情報処理装置にインストールすることより、その情報処理装置に、
位置情報が確定した複数の受信局の位置情報と複数の上記受信局で1つの航空機から送信される信号をそれぞれ受信した際の受信時間差情報とに基づき、上記航空機の位置および高度を測定する機能を備えたセンタ局の機能を実現するプログラムにおいて、
上記信号は、複数種類の信号を含み、この複数種類の信号の組み合わせによる特定の送信パターンを有し、
上記送信パターンの情報を記憶する送信パターン記憶機能と、
上記信号を全て同種類の信号とみなして受信した後、上記送信パターン記憶機能に記憶されている送信パターンの情報に基づき、信号の種類を判定する信号種類判定機能と、
を実現することを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記送信パターンは、種類mの信号をp回連続送信した後に、種類nの信号をq回連続送信する送信パターンであり、
前記信号種類判定機能として、p回連続した同一種類の受信信号に続くq回連続した同一種類の受信信号を種類nの信号であると判定する機能を実現する、
ことを特徴とする請求項13記載のプログラム。
【請求項15】
前記信号には、前記航空機に対し、1回のフライトプラン毎に付与される識別情報を含み、
前記受信局の受信エリアと共通する空域を監視する航空路監視レーダ局からの航空機監視報告を受信する監視報告受信機能と、
この監視報告受信機能により受信した上記航空機監視報告から前記受信局が受信した前記信号に含まれる識別情報と一致する識別情報を検索する識別情報検索機能と、
この識別情報検索機能により上記一致する識別情報が検索されたときには、前記受信局が受信した前記信号を信頼性の高い信号として判定する信頼性判定機能と、
を実現することを特徴とする請求項14記載のプログラム。
【請求項16】
航空機から申告された高度情報と、この航空機を測定対象として前記測定する機能により測定された高度情報とを当該航空機の識別情報に基づき比較する機能と、
この比較する機能の比較結果に基づき上記申告された高度情報と上記測定された高度情報とが異なるときには、上記申告された高度情報を上記測定された高度情報により訂正する機能と、
を実現することを特徴とする請求項13から15のいずれか1項記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−300146(P2009−300146A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152631(P2008−152631)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】