説明

荷電粒子ビーム検査方法及び装置

【課題】 基板内部に生じる局所的帯電の定量的で詳細な大きさを把握でき、チャージングを低減することができる荷電粒子ビーム検査方法及び装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 荷電粒子ビーム検査方法及び装置において、荷電粒子ビーム光学鏡筒の下面と試料との間に、導電性を有し、かつ、荷電粒子光学系の光路に沿って開口を有し、かつ、試料の表面上のEB照射点から見て、鏡筒の下部の一部を覆う板を設ける。複数枚のスキャン画像の各々、あるいは複数枚のスキャン画像を積算した積算画像と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求め、当該倍率の変動または変動の傾向から、荷電粒子ビームが照射されている局所領域における倍率との相関量を求め、その値に応じてランディングエネルギーを変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの検査技術に関し、特にウェハ、電極回路などの微細パターンを検査するための走査型電子顕微鏡やウェハ表面検査装置等の荷電粒子ビーム検査方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ウェハ等の半導体の検査において、測定した画像データと設計データとを比較し、欠陥を検査することは周知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年では、ウェハ等のパターン寸法の微細化に伴い、ウェハ等の半導体の検査において、走査型電子顕微鏡等の荷電粒子ビーム検査装置が用いられることから、絶縁物である半導体の試料であるウェハ等では、例えば電子ビーム等の照射により絶縁物の帯電(チャージング、チャージアップ等ともいう)が時間的に変動し、走査像の劣化が発生してしまう。
【0004】
そのため、例えば特許文献2の段落0029〜0042に記載されているように、試料の最適化の目標物指定、具体的には、観察倍率、加速電圧、電流量、及び帯電の安定化を図る寸法の種類(例えば、ラインパターンの幅、コンタクトホールの穴底寸法など)を決定し(ステップ101)、電子線の照射時間t1及び取得画像の積算フレーム数nf1及び画像の取得回数n1を設定し(ステップ102)、積算フレーム数の画像を取得し(ステップ103)、取得した画像から目標とする寸法を取得し(ステップ104)、t1秒の間、電子線を照射し(ステップ105)、ステップ103からステップ105までの手順を複数回繰り返す。ステップ105で取得した目標寸法の変動量を帯電安定化部に保存する。
【0005】
そして、表面電界制御部で、ブースタ電極に印加するブースタ電圧、若しくは、試料に印加するリターディング電圧、若しくはその両方を変更し、ステップ108で、光学条件補正部で最適な倍率補正、フォーカス補正、最適偏向視点の算出を行い、走査偏向器に送る電流と対物レンズの励磁電極を制御する。ステップ110で新しい同様なパターンに移動し、ステップ103からステップ110までを複数回繰り返す等の方法が用いられている。
【0006】
また、例えば特許文献3の段落0010〜0032には、減速電界型カラムを搭載し、かつ試料の表面電位を測定する表面電位測定部と、表面電位測定部を用いて検出された表面電位に基づいて減速電界型カラムにフィードバックをかけるフィードバック制御部とを具備してなることを特徴とする走査型電子顕微鏡が記載されている。さらに、所定の加速電圧で電子ビームを放出する電子銃と、この電子銃から放出される電子ビームの加速電圧を設定する加速電圧制御用電源と、電子銃から放出された電子ビームを収束及び偏向する電子光学系と、試料表面近傍にリターディング電界をかけるリターディング回路と、試料の表面電位を測定する表面電位測定部と、この表面電位測定部により測定された表面電位があらかじめ設定された加速電圧制御用電源又はリターディング回路の少なくともいずれか一方にフィードバックをかけるフィードバック制御部とを具備する走査型電子顕微鏡が記載されている。特許文献3の0056は、図5の測定点を囲むようにして設置された少なくとも3個以上の静電電位計プローブにて各ポイントでの表面電位を同時に測定する旨記載されている。
【0007】
また、例えば特許文献4の段落0005には、ウェハを載置して移動可能なステージと、ステージの移動方向に沿って同一ライン上に配置される参照用電子銃及び検査用電子銃であって、ウェハの検査領域に1次電子ビームを照射する参照用電子銃及び検査用電子銃と、参照用電子銃及び検査用電子銃の間に配置され、参照用電子銃からの1次電子ビームが照射されたウェハ部分の基板電位を測定する基板電位測定器と、ウェハの材質に依存する、基板電位とウェハへのランディング電位との相関を表した関数テーブルを用いて、基板電位測定器によって測定された基板電位に基づき、検査用電子銃への加速電圧あるいはウェハへのランディング電圧を変化させることにより、ウェハからの2次電子放出効率を制御して、ウェハの帯電による影響を低減又は相殺させる加速電圧コントローラとを備えているウェハの欠陥検査装置が記載されている。
【特許文献1】特許3641229号公報
【特許文献2】特開2005−345272号公報
【特許文献3】特開2001−52642号公報
【特許文献4】特許3711244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の検査装置や欠陥検査装置では、基板上の表面電流もしくは基板電位を検出していた。そして、複数の画像データを取得し、設計データとの比較照合を行っていた。しかし、基板表面に生じる局所的帯電の定量的で詳細な大きさ、局所領域における倍率との相関量を把握することができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、複数枚の検査画像を取得し、設計データとの比較照合を行い、しかも、倍率を求めて、ランディングエネルギーを変化させ、基板内部に生じる局所的帯電の定量的で詳細な大きさ、局所領域における倍率との相関量を把握できる荷電粒子ビーム検査方法及び装置を提供することを目的とする。また、本発明は、例えば電子ビーム等の照射による絶縁物の帯電の時間的な変動、材質による傾向を捉え、チャージングを低減することができる荷電粒子ビーム検査方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決手段を例示すると、請求項1〜20に記載の荷電粒子ビーム検査方法および装置である。
【発明の実施の形態】
【0011】
本発明は、荷電粒子ビーム検査方法および装置を改良したものである。例えば、荷電粒子ビームによる多数のスキャン画像を得る荷電粒子ビーム検査方法および装置を改良したものである。
【0012】
本発明の1つの形態においては、スキャン画像の各々、若しくは2枚またはそれ以上のスキャン画像を積算した複数の積算画像の各々と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める。そのあと、倍率の変動又は変動の傾向から、荷電粒子光学系によるランディングエネルギーを変化させる。あるいは、求められた倍率に基づいて荷電粒子ビームが照射されている局所領域における倍率との相関量を求め、その値に応じてランディングエネルギーを変化させる。
【0013】
また、好ましくは、倍率が大きくなる場合には、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを現状値より大きくし、または、倍率が小さくなる場合には、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを現状値より小さくする。
【0014】
また、前記ランディングエネルギーを現状値より大きくするために、荷電粒子ビーム光学系の加速電圧を上げるか(例えば2kV→2.5kV)、若しくは、試料電位を下げ(例えば−500V→−100V)、又は、前記ランディングエネルギーを現状値より小さくするために、荷電粒子ビーム光学系の加速電圧を下げるか、若しくは、試料電位を上げる(例えば−500V→−600V)。
【0015】
また、本発明の別の実施形態においては、荷電粒子ビームにより得たスキャン画像の複数枚を積算して、積算画像を得る。そして、荷電粒子ビーム光学鏡筒の下面と試料との間に、導電性を有し、かつ、荷電粒子光学系の光路にそって開口を有し、かつ、試料面上のEB照射点から見て、鏡筒の下部の一部を覆う板が設けられており、スキャン画像の各々、あるいはそれらのスキャン画像を積算した複数の積算画像の各々と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求めるステップを有する。さらに、上記倍率の変動又は変動の傾向から、上記板に印加する電圧を変化させるステップ、又は求められた倍率に基づいて荷電粒子ビームが照射されている局所領域における倍率との相関量を求め、その値に応じてランディングエネルギーを変化させるステップを有する。
【0016】
倍率が大きくなる場合には、前記板への印加電圧を現状値よりプラスにし、または、倍率が小さくなる場合には、前記板への印加電圧を現状値よりマイナスにするのが好ましい。
【0017】
また、前述の荷電粒子ビーム検査方法において、試料の検査領域によって、ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧を、変化させる。
【0018】
また、試料の材質、パターン密度、パターン形状に対応した前記ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧に関するデータベースにもとづいて、前記設計データの選択した検査領域に応じて、ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧を選択する。
【0019】
また、前述の荷電粒子ビーム検査方法において、同じ試料に対して、複数回撮影して得られたスキャン画像の枚数をaとし、それらのスキャン画像のうち積算に用いるスキャン画像の枚数をbとするとき、検査画像は、複数枚(例えばa=8)のスキャン画像の積算から構成され、a>b を満たす複数枚(例えばb=2)のスキャン画像の積算画像毎に、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める。
【0020】
また、前述の荷電粒子ビーム検査方法において、好ましくは、画像の枚数と倍率との関係で表わされる傾き量と、ランディングエネルギーとの相関関係をとり、その相関関係に基づいてランディングエネルギーを制御する。
【0021】
積算画像には、中間の積算画像、例えば、スキャン画像2枚ずつの積算画像と、全体の積算画像、例えば所定時間毎のスキャン画像全体枚数の積算画像がある。
【0022】
また、本発明の別の実施形態においては、荷電粒子ビーム検査装置が、荷電粒子ビームによるスキャン画像から検査画像を得る荷電粒子ビーム検査装置が複数のスキャン画像の各々、または、それらのスキャン画像を積算した積算画像(中間又は全体の積算画像)と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める手段と、上記倍率の変動又は変動の傾向から、荷電粒子光学系によるランディングエネルギーを変化させる手段を含む。
【0023】
また、前述の荷電粒子ビーム検査装置において、倍率が大きくなる場合には、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを現状値より大きくし、または、倍率が小さくなる場合には、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを現状値より小さくする。
【0024】
また、前述の荷電粒子ビーム検査装置において、前記ランディングエネルギーを現状値より大きくするために、荷電粒子ビーム光学系の加速電圧を上げるか、若しくは、試料電位を下げ、又は、前記ランディングエネルギーを現状値より小さくするために、荷電粒子ビーム光学系の加速電圧を下げるか、若しくは、試料電位を上げる。
【0025】
また、本発明の更に別の実施形態においては、荷電粒子ビームによるスキャン画像の複数枚を積算して積算画像を得る荷電粒子ビーム検査装置において、複数のスキャン画像の各々、あるいはそれらのスキャン画像を積算した積算画像(中間又は全体の積算画像)と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める手段と、荷電粒子ビーム光学鏡筒の下面と試料との間に、導電性を有し、かつ、荷電粒子光学系の光路に沿って開口を有し、かつ、試料面上のEB照射点から見て、鏡筒の下部の一部を覆う板を有し、上記倍率の変動又は変動の傾向から、上記板に印加する電圧を変化させる手段を設ける。
【0026】
また、前述の荷電粒子ビーム検査装置において、倍率が大きくなる場合には、前記板への印加電圧を現状値よりプラスにし、または、倍率が小さくなる場合には、前記板への印加電圧を現状値よりマイナスにすることを特徴とする。
【0027】
また、前述の荷電粒子ビーム検査装置において、試料の検査領域によって、ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧を、変化させる。
【0028】
また、前述の荷電粒子ビーム検査装置において、試料の材質、パターン密度、パターン形状に対応した前記ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧に関するデータベースにもとづいて、前記設計データの選択した検査領域に応じて、前記ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧を選択する。
【0029】
また、前述の荷電粒子ビーム検査装置において、積算画像は、複数枚のスキャン画像が積算されたものであり、同じ試料に対して、複数回撮影した得られたスキャン画像の枚数をaとし、それらのスキャン画像のうち積算に用いるスキャン画像の枚数をbとするとき、a>b を満たす、複数枚のスキャン画像からなる積算画像(中間又は全体の積算画像)の各々に対して、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める手段を含む。
【0030】
本発明によれば、複数の検査画像(中間又は全体の積算画像)を取得し、設計データとの比較照合を行い、しかも、倍率を求め、求められた倍率に基づいて荷電粒子ビームが照射されている局所領域における倍率との相関量を求め、その値に応じて、または、倍率の変動や変動の傾向から、ランディングエネルギーを変化させるので、基板内部に生じる局所的帯電の定量的で詳細な大きさを把握することができ、さらに、例えば電子ビーム等の照射により絶縁物の帯電の時間的な変動や、材質による傾向、倍率との相関量を捉え、チャージングを低減することができる。
【実施例】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明に係る荷電粒子ビーム装置の好適な実施例について説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1実施例に係る荷電粒子ビーム装置の構造を示す概略断面図、図2は、MoSiの密度が大きいマスクである場合における取得画像枚数に対する倍率の変化を示すグラフ、図3は、SiOの密度が大きいマスクである場合における取得画像枚数に対する倍率の変化を示すグラフ、図4は、倍率とチャージング(帯電)の様子を材質ごとに示した図、図5は、倍率変動と2次電子の試料上における占有率の関係を示す図、図6は、スキャン画像又はそれらの積算画像と、基準画像(設計データ)との対比方法を示す図、図7は、スキャン画像又はそれらの積算画像と、基準画像(設計データ)との別の対比方法を示す。
【0033】
図1において、荷電粒子ビーム装置として荷電粒子光学系を鏡筒10内に配置した走査電子顕微鏡が一つの好ましい例として示されている。
【0034】
この走査電子顕微鏡において、鏡筒10の上部には電子ビーム源11(電子銃)が配置されている。この電子ビーム源11から発生した電子ビーム41は、順にアライメントコイル12(第1偏向手段)、スティグコイル13(第2偏向手段)で偏向され、対物レンズ14(倍率調整手段)で倍率調整され、試料21上を走査する。
【0035】
試料21から発生する荷電粒子42(2次電子、反射電子など)は、検出器30で検出される。そして、図示しないモニター等の画像表示手段で試料像が表示される。
【0036】
図示例の走査電子顕微鏡の荷電粒子光学系には、図2に示すように、板状部材の形で、帯電を防止すると共に、窒素(N)、アルゴン(Ar)などの不活性ガス、または酸素(O)、オゾン(O)などのガスを導入する帯電防止部材110を設ける。この帯電防止部材110は、CPP(Charge preventive plate)と称されている。帯電防止部材110は、試料の荷電粒子照射個所に向けてガスを放出する他、負の電圧が印加されるものとして構成される。
【0037】
なお、後述するように、鏡筒10は、試料21と共に、接地(アース)することもできる。また、荷電粒子光学系20を配置した鏡筒10全体を正電圧に印加することもできる。
【0038】
図示例では、荷電粒子光学系の下部に対物レンズ14が配置されている。対物レンズ14はコイルと磁極と静電偏向器143とから構成されている。
【0039】
電子ビーム源11から発光された電子ビーム41は、偏向器143で偏向され、コイルで磁化された磁極で集束され、試料21に照射される。
【0040】
偏向器143は、例えば8極静電偏向器である。試料21は、試料ホルダ122に保持されている。
【0041】
図示例では、対物レンズ14と試料21の間に、帯電防止部材110が配置されている。帯電防止部材110は、絶縁体で形成された固定部121を介して磁極142に取り付けられている。帯電防止部材110の厚さは、数mm程度である。帯電防止部材110は、対物レンズ14、試料21に接触することなく、対物レンズ14と試料21との間の極めて狭い間隙に配置されている。
【0042】
帯電防止部材110は電圧Vcに印加されている。試料21は試料ホルダ122を介して電圧Vsに印加されている。ここで、各電圧VcおよびVsは負電圧である。また対物レンズ14は接地(アース)されている。
【0043】
さらに、帯電防止部材CPP、試料表面の各々の電圧を計測するための電位計を設け、各々の電圧を計測してもよい。
【0044】
電子銃11(電子ビーム源)、2次電子検出器30、帯電防止部材110、試料印加電圧部材は、演算制御部111に接続され、試料印加電圧(ランディングエネルギー)の制御が行われる。なお、その他のアライメントコイル12(第1偏向手段)、スティグコイル13(第2偏向手段)、対物レンズ14、静電偏向器143等も演算制御部111に接続され、制御されるようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施例の変形例として、帯電防止部材110を、鏡筒下部に配置された対物レンズ14の下側磁極部材として構成することもできる。この場合、対物レンズ14の上側磁極と下側磁極が電気的に絶縁されていなければならない。上側磁極と下側磁極の間にスペーサ(絶縁部材)を配置することによって、上側磁極と下側磁極とを電気的に絶縁することができ、下側磁極内にガス導入のための流路を下側磁極の形状に沿って穿孔し(くり抜き)、配置することによっても、前述の実施例と同様の効果を奏する。
【0046】
図示例では、試料21面上の電子ビーム照射点へ向けてガスの流路が傾斜して形成されているので、所定の状態で窒素等のガスを放出すると、窒素ガスが試料面の電子ビーム照射点に向け放出される。この放出されたガスは電子ビームの1次電子、もしくは2次電子や反射電子と反応してイオン化し、当該イオンが試料21表面の電子と反応して試料21の負電荷を取り除き帯電を防止する。この際、ガスGは荷電ビームの照射点に向け放出されるから、効率よく試料の荷電ビームの照射点近傍に配置でき、ガスの量を少ないものとすることができる。
【0047】
なお、このガス放出口には、自動的に傾動可能なノズルを配置することができ、ガス放出の角度を変えることができる。
【0048】
また、上記実施例では、帯電防止部材110の開口部113周縁に4つの放出口を設けているが、放出口の数及び配置状態はこれに限定されず、開口部113周縁にスリットを設けて、そこからガスを放出できるようにしたり、ガス放出口を6つ、8つ・・・に増やしたりすることもできる。
【0049】
このような帯電防止部材CPPを設けることにより、試料上のチャージアップ(帯電)を軽減できるが、下記に示す帯電量の定量化を行い、試料における電子ビームのランディングエネルギーを制御することにより、さらなる帯電防止を行うことができる。
【0050】
例えば、同一の試料画像を複数取得し、それらの画像を積算した中間又は全体の画像を求め、予め記憶された設計データと対比し、倍率を求め、求められた倍率に基づいて荷電粒子ビームが照射される局所的な領域における帯電量を把握し、その値に応じてランディングエネルギーを変動させ、チャージアップを低減させる。
【0051】
<検査画像(パターン像)と基準画像(パターン像)(設計データ)との対比>
検査した画像(パターン像)と、設計データである基準画像(パターン像)との比較方法として、下記にあげる方法がある。
【0052】
ここで、スキャン画像とは、試料をスキャンして取得した試料の画像をいい、積算画像とは、複数のスキャン画像を所定枚数(例えば2枚毎)又は所定時間内の全枚数を積算して取得した試料の画像をいう。すべてスキャン画像を積算した試料の画像、またはすべての積算画像を積算した試料の画像を、検査画像という。
【0053】
(1)図6に示すように、試料(パターン)を荷電粒子ビーム、例えば電子ビームを用いてスキャンし、発生する二次電子あるいは反射電子等の荷電粒子により、1枚目のスキャン画像1を取得する。同じ試料を繰り返しスキャンし、2枚目、3枚目、・・・、n枚目のスキャン画像2〜nを取得する。取得したスキャン画像の各々と、予め記憶手段に記憶された基準となる基準画像(設計データ)とをパターンマッティングし、それぞれのスキャン像と基準画像(設計データ)との画像変化を調べることにより、電子ビームが照射されている試料の局所的な領域における倍率の変化を検査する。この場合、倍率は、2次電子検出器30に接続された演算制御部111に各々の画像が記憶され、記憶された画像を対比して演算により求められる。
【0054】
また、1枚目と2枚目のスキャン画像2、3の積算をとり、中間積算画像1とし、(n−1)枚目とn枚目の中間積算画像m(=n/2)を取得し、それらの中間積算画像1、中間積算画像2、・・・、中間積算画像mの積算をとり、平均した中間積算画像と、予め記憶手段に記憶された基準となる基準画像(設計データ)とをパターンマッティングし、それぞれの中間積算画像と基準画像(設計データ)との画像変化を調べることにより、電子ビームが照射されている試料の局所的な領域における倍率の変化を検査する。この場合、倍率は、2次電子検出器30に接続された演算制御部111に各々の画像が記憶され、記憶された画像を対比して演算により求められる。
【0055】
ただし、nは8、16、24、32等の偶数とすることが好ましい。これにより、試料へのチャージングによる試料像の瞬間変化をとらえることができる。
【0056】
(2)また、図7に示すように、1枚目のスキャン画像1、2枚目のスキャン画像2、3枚目のスキャン画像3、・・・、n枚目のスキャン画像nを取得し、これらのスキャン画像の全体を所定時間(例えば数時間)毎に積算し、その全体の積算画像(1−image)と、予め記憶手段に記憶された基準となる基準像(設計データ)とをパターンマッティングし、試料の倍率の変化を検査する。
【0057】
さらに、ある程度の荷電粒子ビームを試料に照射しつづけている時間間隔(例えば数時間程度)をあけて、再び1枚目のスキャン画像、2枚目のスキャン画像、3枚目のスキャン画像、・・・、n枚目のスキャン画像を取得し、それらを積算した積算画像(2−image)を取得し、同様の操作を繰り返し、積算画像(3−image)、・・・、積算画像(K−image)を取得し、予め記憶手段に記憶された基準となる基準像とをパターンマッティングし、試料の倍率の変化を検査する。同様に、倍率は、2次電子検出器30に接続された演算制御部111に各々の画像が記憶され、記憶された画像を対比して演算により求められる。
【0058】
この場合、スキャン画像を取得し、それらを積算した積算画像を取得し、基準像とのパターンマッティングを行い、試料の倍率の変化を検査するスキャン検査時間を所定時間とってから、例えば2〜3時間経過し、同様のスキャン検査時間を所定時間とり、検査を行ってもよいし、1枚ごとのスキャン画像取得を、所定時間間隔をあけて行い、倍率の変化を検査してもよい。
【0059】
これにより、試料へのチャージングの長時間の変化をとらえることができる。
【0060】
(3)また、試料のX、Yの方向において、X方向の倍率、Y方向の倍率MagX、MagY、電子ビームのX方向の平行移動、Y方向の平行移動ShiftX、ShiftY、電子ビームのX方向の回転移動、Y方向の回転移動RotX、RotYの各々を変化させ、スキャン画像M1(MagX,MagY,ShiftX,ShiftY,RotX,RotY)、スキャン画像M2(MagX’,MagY’,ShiftX’,ShiftY’,RotX’,RotY’)、スキャン画像M3(MagX’’,MagY’’,ShiftX’’,ShiftY’’,RotX’’,RotY’’)、・・・、スキャン画像Mn(MagX(n),MagY(n),ShiftX(n),ShiftY(n),RotX(n),RotY(n))を取得する。
【0061】
上述の(1)、(2)と同じように、1枚目のスキャン画像と予め記憶手段に記憶された基準となる基準像(設計データ)とをパターンマッティングし、試料の倍率の変化を検査してもよいし、1枚目と2枚目のスキャン画像を積算し、中間積算画像1とし、(n−1)枚目とn枚目の中間積算画像m(=n/2)を取得し、それらの中間積算画像1、中間積算画像2、・・・、中間積算画像mを積算し、積算した検査画像と、予め記憶手段に記憶された基準となる基準像(設計データ)とをパターンマッティングし、試料の倍率の変化を検査してもよい。ただし、nは8、16、24、32等の偶数とする。これにより、試料へのチャージングによる試料像の瞬間変化をとらえることができる。
【0062】
あるいは、1枚目のスキャン画像、2枚目のスキャン画像、3枚目のスキャン画像、・・・、n枚目のスキャン画像を取得し、これらのスキャン画像を積算し、その積算画像(1−image)と、予め記憶手段に記憶された基準となる基準像(設計データ)とをパターンマッティングし、試料の倍率の検査を行う。
【0063】
さらに、ある程度の荷電粒子ビームを試料に照射しつづけている時間間隔(例えば数時間程度)をあけて、再び1枚目のスキャン画像、2枚目のスキャン画像、3枚目のスキャン画像、・・・、n枚目のスキャン画像を取得し、これらを積算した検査画像(2−image)を取得し、同様の操作を繰り返し、積算画像(3−image)、・・・、積算画像(K−image)を取得し、予め記憶手段に記憶された基準となる基準像(設計データ)とをパターンマッティングし、試料の倍率の変化の検査を行う。ここでも上述と同様に、1枚ごとのスキャン画像取得を、所定時間間隔をあけて行い、倍率の変化を検査してもよい。
【0064】
上述と同様に、倍率は、2次電子検出器30に接続された演算制御部111に各々の画像が記憶され、記憶された画像を対比して演算により求められる。
【0065】
これにより、試料へのチャージングの長時間の変化をとらえることができる。
【0066】
なお、検査に用いる試料は、SiO(石英ガラス)基板上にMoSiパターンが形成されているようなマスクの様に導電性試料や、レチクル等の様に石英基板(絶縁性)上にクロム(導電性)膜がパターニングされているようなCOG(例えば特許文献3(特開2001−52642号公報)の段落0006、0007を参照)である。
【0067】
また、電子ビームの照射条件は、例えば加速電圧Vaccを1800V、試料印加電圧(Landing Energy)を1200V、取得する画像の枚数を32枚とする。
【0068】
その結果を図2、図3に示す。
【0069】
図2では、マスクのうちMoSiの密度が大きい試料(MoSi Rich Pattern)を用い、図3では、マスクのうちSiOの密度が大きい試料(Glass Rich Pattern)に対して、画像枚数に対する倍率の変化を示している。
【0070】
図2、図3において、横軸に2枚ずつ積算した積算画像の各々(1番目のスキャン画像と2番目のスキャン画像を積算した1番目の積算画像、同様に2番目の積算画像、・・・、16番目の積算画像の番号)、縦軸に倍率を示す。角印の折れ線グラフは電子ビームの走査方向がY方向である場合を示し、丸印の折れ線グラフは電子ビームの走査方向がX方向である場合を示す。
【0071】
図2に示すように、試料がMoSiの密度が大きいマスクである場合、画像の枚数が増えるに従い、電子ビームの走査方向がX方向およびY方向のいずれの方向においても、倍率が線形に増加していることが分かり、長時間電子ビームが試料に照射されるにつれて、試料上に電子が蓄積され、プラスの電荷が増加している。すなわち、プラスに帯電していることがわかる。
【0072】
一方、図3に示すように、試料がSiOの密度が大きいマスクである場合、電子ビームがX方向に走査される場合に、取得される画像の枚数が増えると、倍率が急激に落ちており、ある枚数以上になると、倍率の変化が横ばいになることがわかる。すなわち、試料上に蓄積される電子の量が一定の飽和状態に達し、チャージアップを発生させていることがわかる。電子ビームがY方向に走査される場合では、取得される画像の枚数が増えても、倍率の変化は少なく、試料上に蓄積される電子の量がほぼ一定であることがわかる。
【0073】
これは、SiO基板上にパターンがX方向では間隔を設けて形成される場合が多く、照射される電子ビームが基板のほうに溜まりやすく、一方Y方向ではパターン間隔が密に形成される場合が多いため、一定の飽和状態に達した後、その後変化があまりないものと考えられる。
【0074】
この図2及び図3から明らかなように、図4に示すように、試料がMoSiの密度が大きいマスクの場合には、試料の表面にプラスの電荷(帯電)がより溜まる方向へ変化し、試料がSiOの密度が大きいマスクの場合には、試料の表面にマイナスの電荷(帯電)がより溜まる方向へ変化することがわかり、実際に上述の通り確かめられたことになる。すなわち、倍率との相関量を的確に把握できたことが確かめられたのである。この倍率との相関量は、いわば試料の帯電量と表現してもよい。
【0075】
そこで、倍率の変動に対する試料上での2次電子の放出率を示すと、図5に示すようになり、例えばMoSiの密度が大きいマスクの場合には、試料の表面プラスの電荷(帯電)がより溜まる方向へ変化するため(MoSiの、2次電子放出率1よりも上側の曲線)、2次電子の放出率を抑えるには、MoSiの密度が大きいマスクについて試料電位(ランディングエネルギー)を大きくすることで試料表面に帯電する電子と、基板内部を流れる電流との平衡状態を保つことができるので、チャージングを低減することができる。
【0076】
ランディングエネルギー(試料印加電圧)を変化させる方法としては、次の方法がある。
【0077】
(1)加速電圧Vaccを上げる方法、
(2)加速電圧から試料表面電圧を引いて求める方法、
本例では、加速電圧Vaccを1800V、試料表面電圧を−100Vとすることで、ランディングエネルギーは、1700Vの負電圧である。
【0078】
同様に、SiOの密度が大きいマスクについては、図5から明らかなように、MoSiの密度が大きいマスクに対して、倍率の変化の大きさが小さいので、ランディングエネルギーを小さくすることで、試料表面に帯電する電子と、基板内部を流れる電流との平衡状態を保つことができるので、チャージングを低減することができる。
【0079】
以上のことから、試料表面に帯電する電子と、基板内部を流れる電流との平衡状態を保つように、ランディングエネルギーを制御することにより、チャージングを低減することができる。
【0080】
なお、前述の実施例では、荷電粒子ビームとして電子ビームを用いているが、本発明は、これに限定されず、陽子線、中性子線、エックス線等の荷電粒子ビームであってもよい。また、マスクについて倍率の変動を検査したが、ウェハについても同様のランディングエネルギーを制御することにより、チャージングを低減することができる。さらに、電子顕微鏡などに限定されず、ウェハ表面検査装置、半導体製造装置等にも設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の好適な1つの実施例に係る荷電粒子ビーム装置の構造を示す断面図、
【図2】MoSiの密度が大きいマスクである場合における取得画像枚数に対する倍率の変化を示すグラフ、
【図3】SiOの密度が大きいマスクである場合における取得画像枚数に対する倍率の変化を示すグラフ、
【図4】倍率とチャージング(帯電)の様子を材質ごとに示した図、
【図5】倍率変動と2次電子の試料上における占有率の関係を示す図、
【図6】スキャン画像又は積算画像と、基準像(設計データ)との対比方法を示す図、
【図7】スキャン画像又は積算画像と、基準像(設計データ)との別の対比方法を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
10 鏡筒
11 電子ビーム源
12 アライメントコイル
13 スティグコイル
14 対物レンズ
21 試料
30 検出器
41 電子ビーム
42 荷電粒子
110 帯電防止部材
113 帯電防止部材の開口部
122 試料ホルダ
143 偏向器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームにより試料を検査する方法において、
複数枚のスキャン画像の各々、または、複数枚のスキャン画像を積算して得た積算画像と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求めるステップと、
当該倍率の変動または変動の傾向から、荷電粒子ビームが照射されている局所領域における倍率との相関量を求め、その値に応じて荷電粒子ビームのランディングエネルギーを変化させるステップ
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
荷電粒子ビームにより試料を検査する方法において、
複数枚のスキャン画像と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求めるステップと、
当該倍率の変動または変動の傾向から、荷電粒子ビームが照射されている局所領域における倍率との相関量を求め、その値に応じて荷電粒子ビームのランディングエネルギーを変化させるステップを含むことを特徴とする検査方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の荷電粒子ビーム検査方法において、
倍率が大きくなる場合には、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを現状値より大きくし、または、倍率が小さくなる場合には、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを現状値より小さくすることを特徴とする検査方法。
【請求項4】
請求項3記載の検査方法において、
前記ランディングエネルギーを現状値より大きくするために、荷電粒子ビーム光学系の加速電圧を上げるか、若しくは、試料電位を下げ、
前記ランディングエネルギーを現状値より小さくするために、荷電粒子ビーム光学系の加速電圧を下げるか、若しくは、試料電位を上げることを特徴とする検査方法。
【請求項5】
荷電粒子ビームによる複数枚のスキャン画像を積算して、積算画像を得る、試料の検査方法において、
荷電粒子ビーム光学鏡筒の下面と試料との間に、導電性を有し、かつ、荷電粒子光学系の光路に沿って開口を有し、かつ、試料の表面上のEB照射点から見て、鏡筒の下部の一部を覆う板を有し、
複数枚のスキャン画像の各々、あるいは複数枚のスキャン画像を積算して得た積算画像と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求めるステップと、
上記倍率の変動または変動の傾向から、上記板に印加する電圧を変化させるステップを有することを特徴とする検査方法。
【請求項6】
請求項5記載の検査方法において、
倍率が大きくなる場合には、前記板への印加電圧を現状値よりプラスにし、または、倍率が小さくなる場合には、前記板への印加電圧を現状値よりマイナスにすることを特徴とする検査方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の検査方法において、
試料の検査領域によって、ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、または、前記板に印加する電圧を、変化させることを特徴とする検査方法。
【請求項8】
請求項7記載の検査方法において、
試料の材質、パターン密度、パターン形状に対応した前記ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、または、前記板に印加する電圧に関するデータベースにもとづいて、前記設計データの選択した検査領域に応じて、前記ランディングエネルギー、
加速電圧、試料電位、または、前記板に印加する電圧を選択することを特徴とする検査方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の検査方法において、
同じ試料に対して、複数回撮影して得られたスキャン画像の枚数をaとし、それらのスキャン画像のうち積算に用いられるスキャン画像の枚数をbとするとき、a>b を満たす、複数枚のスキャン画像からなる複数の積算画像の各々に対して、設計データとの比較照合を行い、倍率を求めることを特徴とする検査方法。
【請求項10】
請求項1〜9の荷電粒子ビーム検査方法において、
スキャン画像の枚数と倍率との関係で表わされる傾き量と、ランディングエネルギーとの相関関係をとり、その相関関係に基づいてランディングエネルギーを制御することを特徴とする検査方法。
【請求項11】
荷電粒子ビームにより試料を検査する検査装置において、
複数のスキャン画像の各々、または、複数のスキャン画像を積算した積算画像と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める手段と、
当該倍率の変動または変動の傾向から荷電粒子ビームが照射されている局所領域における倍率との相関量を求め、その値に応じてランディングエネルギーを変化させる手段を含むことを特徴とする検査装置。
【請求項12】
荷電粒子ビームにより試料を検査する検査装置において、
複数のスキャン画像と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める手段と、
当該倍率の変動または変動の傾向から荷電粒子ビームが照射されている局所領域における倍率との相関量を求め、その値に応じてランディングエネルギーを変化させる手段を含むことを特徴とする検査装置。
【請求項13】
請求項11または12記載の検査装置において、
倍率が大きくなる場合には、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを現状値より大きくし、または、倍率が小さくなる場合には、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを現状値より小さくすることを特徴とする検査装置。
【請求項14】
請求項11または12記載の検査装置において、
前記ランディングエネルギーを現状値より大きくするために、荷電粒子ビーム光学系の加速電圧を上げるか、若しくは、試料電位を下げ、
又は、前記ランディングエネルギーを現状値より小さくするために、荷電粒子ビーム光学系の加速電圧を下げるか、若しくは、試料電位を上げることを特徴とする検査装置。
【請求項15】
荷電粒子ビームによるスキャン画像の複数枚を積算して、積算画像を得て、試料を検査する装置において、
複数のスキャン画像の各々、あるいはそれらのスキャン画像を積算した積算画像と、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める手段と、
荷電粒子ビーム光学鏡筒の下面と試料との間に、導電性を有し、かつ、荷電粒子光学系の光路に沿って開口を有し、かつ、試料面上のEB照射点から見て、鏡筒の下部の一部を覆う板と、
上記倍率の変動または変動の傾向から、上記板に印加する電圧を変化させる手段
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項16】
請求項15記載の検査装置において、
倍率が大きくなる場合には、前記板への印加電圧を現状値より試料電位よりプラスにし、または、倍率が小さくなる場合には、前記板への印加電圧を現状値より試料電位よりマイナスにすることを特徴とする検査装置。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれか1項に記載の検査装置において、
試料の検査領域によって、前記ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧を、変化させることを特徴とする検査装置。
【請求項18】
請求項17記載の検査装置において、
試料の材質、パターン密度、パターン形状に対応した前記ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧に関するデータベースにもとづいて、前記設計データの選択した検査領域に応じて、前記ランディングエネルギー、加速電圧、試料電位、若しくは、前記板に印加する電圧を選択することを特徴とする検査装置。
【請求項19】
請求項11〜18のいずれか1項に記載の検査装置において、
同じ試料に対して、複数回撮影した得られたスキャン画像の枚数をaとし、それらのスキャン画像のうち積算に用いられるスキャン画像の枚数をbとするとき、a>b を満たす、複数枚のスキャン画像からなる複数の積算画像の各々に対して、設計データとの比較照合を行い、倍率を求める手段を含むことを特徴とする検査装置。
【請求項20】
請求項11〜19のいずれか1項に記載の検査装置において、
スキャン画像の枚数と倍率との関係で表わされる傾き量と、ランディングエネルギーとの相関関係をとり、その相関関係に基づいてランディングエネルギーを制御する手段を有することを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−76070(P2008−76070A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252388(P2006−252388)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【出願人】(301014904)株式会社ナノジオメトリ研究所 (15)
【Fターム(参考)】