説明

蒸着用のプロセスガスを生成する方法及び装置

【課題】処理パラメータの変動をあまり受けない、化学蒸着用の前駆体物質のより制御可能な計量を行う。
【解決手段】加工物30上に層を生成する方法であって、層を生成する少なくとも1つの成分を計量し、この成分は計量の際に液相中に存在し、次の処理工程において、異なる凝集状態に少なくとも部分的に変わる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的に、基材上への機能層の蒸着に関する。特に、本発明は化学蒸着、及び蒸着に用いられる材料の計量に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカン溶媒組成及びポリアミン溶媒組成が特許文献1から既知である。溶媒組成は、例えば、データメモリ用のいわゆるSBT層(SrBiTa層)を蒸着するために、化学蒸着用の有機金属前駆体物質から流体を供給するのに用いられる。前駆体を気相に変えるには、フラッシュ蒸発が用いられる。この方法では、圧力を低減することによって部分蒸発が行われる。
【0003】
特許文献2は、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)及び酸素から成るガス混合物を、プラズマコーティング用のプロセスガスとして生成する装置を記載している。このため、いくつかのフィラーパッキングが、冷却可能な細長い垂直のカラム内に積み上げられて配置されている。カラムの上部領域はカラムへの入口降下管及びガス出口を有している。さらに、出口ガスの温度、圧力、及び量を測定する装置が設けられている。
【0004】
前駆体を蒸発させる、従来から用いられている別のシステムはいわゆるバブラーである。このシステムでは、キャリアガスにより液体前駆体中に気泡が発生する。前駆体が蒸発してガス泡になり、キャリアガスと共に運ばれる。
【0005】
しかしながら、圧力、温度、及び前駆体ガス流量が同時に、蒸発速度に多大な影響を及ぼすため、前駆体流量に対する生産安定性の点から、バブラーは設定しにくいことが示されている。例えば、気泡サイズがほんの少し変化するだけで、蒸発に利用される表面積が結果的に変化するため、前駆体濃度に多大な影響を及ぼす可能性がある。このことはまた、従来技術から既知の他の蒸発器にも当てはまる。例えば、特許文献2において提案されているようなカラムでは、プロセスガスの前駆体含量はカラムの温度に応じて決まる。ここでは、フラッシュ蒸発におけるように、カラム内に広がる圧力もまた影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0004470号
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第19960333号
【特許文献3】ドイツ特許第2350848号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、処理パラメータの変動をあまり受けない、化学蒸着用の前駆体物質のより制御可能な計量を行うという課題に基づいている。本発明によるこの課題の達成は独立請求項に提示されている。本発明の有利な構成及び改良は従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は加工物上に層を生成する方法であって、層を生成するための少なくとも1つの成分、特に層形成成分を計量し、この成分は計量の際に液相中にあり、次の処理工程において異なる凝集状態(aggregate-state)に少なくとも部分的に変わる。このようにして、層は異なる凝集状態にされた成分から作製される。異なる凝集状態として、特に気相及びプラズマが挙げられる。
【0009】
本発明はここでは様々な化学蒸着法(CV法)に適している。真空条件又は低圧条件下での化学蒸着の他に、大気圧下での熱CVD法又は大気圧プラズマ蒸着等の大気圧CVD法を用いてもよい。他の方法には火炎熱分解又はいわゆる「燃焼CVD」(CCVD、燃焼CVD)がある。
【0010】
特に、本発明は加工物上に層を蒸着する方法であって、
液体リザーバに液体状の第1のプロセスガス成分を供給し、
前記液体状のプロセスガス成分を計量装置を介して蒸発器(2)に導入し、
前記液体状の第1のプロセスガス成分(34)を蒸発器内で蒸発させ、気相に変換し、反応器(20)に供給し、
エネルギー源によって、前記第1のプロセスガス成分との反応ゾーンを反応器の充填領域内に生成し、
反応ゾーン内で形成する前記第1のプロセスガス成分の反応生成物により加工物上にコーティングを蒸着する方法を提供する。このようにして、反応器への前記第1のプロセスガス成分の質量流を、蒸発器への液体状のプロセスガス成分の流量を制御することで計量装置に作用する制御装置によって制御される。
【0011】
特に好ましい一改良では、好ましくは加工物上に層をプラズマ化学蒸着する化学蒸着の方法を提供する。このため、
液体リザーバに液体状の第1のプロセスガス成分を供給し、
液体状の第1のプロセスガス成分を蒸発器に導入し、
液体状の第1のプロセスガス成分を蒸発器内で蒸発させ、気相に変換し、
コーティングされる加工物を有する反応器をポンプによって真空引きし、
気体状の第1のプロセスガス成分を反応器の真空引きされた領域に供給し、
第1のプロセスガス成分を充填した反応器の真空引きされた領域内のプラズマを電磁界によって点火し、
プラズマ中に形成する第1のプロセスガス成分の反応生成物により加工物上にコーティングが蒸着する。
このようにして、反応器への第1のプロセスガス成分の質量流が、蒸発器への液体状のプロセスガス成分の流量の制御による制御装置によって制御される。この実施形態では、それに応じて反応ゾーンがプラズマ形態で生成される。しかしながら、本発明は明らかに他のタイプの反応ゾーンに用いることもできる。例えば、熱CVDによる蒸着が考えられる。このようにして、反応生成物が形成する被加熱ゾーンが生成される。CVDだけでなく反応PVDも本発明の適用範囲として、真空蒸着に該当する。この目的のために、層を真空蒸発するか又はスパッタリングし、少なくとも1つの前駆体又は1つの第1の成分を真空環境又は低圧環境に供給する。
【0012】
本発明は特定の加工物に限定されない。平坦な加工物及びかさばった加工物の両方も、特に中空体もコーティングすることができる。中空体の場合、特に内側コーティングも考えられる。
【0013】
真空蒸着の場合では、特に低圧条件又は真空条件下での化学蒸着の場合のように、反応器全体を全ての場合に真空引きする必要はない。例えば、中空体状の加工物の内側だけをコーティングする場合、加工物を反応器内で気密にしてポンプ及び供給ラインに接続し、内側を真空引きすることができる。環境は任意選択的に常圧のままであっても別個に真空にされてもよい。
【0014】
また非常にわずかな質量流の正確な計量は液体形態で可能であることが示されている。本発明の一改良によれば、ここでの計量によって設定される液体状のプロセスガス成分の質量流は、0.0005g/時間〜2000g/時間、好ましくは0.05g/時間〜50g/時間、特に好ましくは0.1g/時間〜20g/時間の範囲にある。これは蒸着が気相及び/又はプラズマから行われる場合に特に重要である。気相に変わることにより体積に大幅な増加が生じる。結果として、液体成分の質量流での不正確さが気体成分の質量流ではかなり増幅される。しかしながら、本発明により気体成分の質量流を非常に正確に且つ安定して制御することができることが示されている。質量流は同じく体積流としても制御することができる。ここでは液体成分の体積流の好ましい範囲は、5ナノリットル/分〜1000マイクロリットル/分、好ましくは10ナノリットル/分〜100マイクロリットル/分、特に好ましくは20ナノリットル/分〜10マイクロリットル/分の範囲にある。
【0015】
異なる凝集状態、特に気体状態に変えられる成分の所望の計量精度を達成するために、本発明のさらに別の改良によれば、特に液体体積流の計量精度が30μL/分未満、好ましくは3μL/分未満、特に好ましくは0.3μL/分未満の範囲でもたらされる。
【0016】
さらに、プラズマ蒸着の場合では、特に好ましい方法での蒸着にパルスプラズマを用いる。
【0017】
したがって、加工物上に層を蒸着する方法を実施するための、本発明の装置は、
液体状の第1のプロセスガス成分用の液体リザーバ、
計量装置、
蒸発器、
液体状のプロセスガス成分(34)を蒸発器に供給するライン、
コーティングされる加工物を収容するように構成される反応器、
揮発性分解生成物を反応器のコーティング領域から除去することができる、反応器に接続されるガス出口、
蒸発器内で蒸発した気体状の第1のプロセスガス成分を反応器に供給する供給ライン、
第1のプロセスガス成分を充填した反応器の領域内に反応ゾーンを生成し、反応ゾーン内で形成する気体状の第1のプロセスガス成分の反応生成物により加工物上にコーティングが蒸着するように、反応器に接続されるエネルギー源、及び
質量流を設定する計量装置によって蒸発器への液体状のプロセスガス成分の流量を制御するように構成されている、反応器への第1のプロセスガス成分の質量流を制御する制御装置、
を有することを特徴とする。
【0018】
エネルギー源はまた、好ましくは制御装置又は別の調整又は制御装置によって制御することができる。
【0019】
したがって、加工物上に層をプラズマ蒸着する装置の場合では、本発明の装置は、
液体状の第1のプロセスガス成分用の液体リザーバ、
蒸発器、
液体状のプロセスガス成分を蒸発器に供給するライン、
コーティングされる加工物を収容するように構成される反応器、
反応器のコーティング領域を真空引きするために反応器に接続されるポンプ、
蒸発器内で蒸発した気体状の第1のプロセスガス成分を反応器に供給する供給ライン、及び
反応器に接続される電磁界源であって、該電磁界源によって生成される電磁界によって第1のプロセスガス成分で充填した反応器の真空引きされた領域でプラズマを点火し、プラズマ中に形成する第1のプロセスガス成分の反応生成物により加工物上にコーティングを蒸着するための電磁界源を有する。次に、質量流を設定するための蒸発器への液体状のプロセスガス成分の流量を制御するように構成されている、反応器内の第1のプロセスガス成分の質量流を制御する制御装置がある。
【0020】
静電界源も電磁界源として解釈される。これは例えばグロー放電プラズマによる層蒸着に用いられ得る。
【0021】
しかしながら、本発明は、プラズマ化学蒸着の他に、他のタイプの化学蒸着、すなわち一般にはCVDにも用いることができる。したがって、蒸着プロセスによれば、電磁界源は省いてもよい。一例としてここでは熱CVDに言及している。
【0022】
蒸発器への液体状の第1のプロセスガス成分の流れを生成するために、例えば、ポンプ又は加圧リザーバ等の流体供給装置を設けることができる。加圧リザーバの場合、例えば液体状のプロセスガス成分の他にガスをリザーバに充填することで蒸発器に対して高圧下にあるようにすることができる。このことは、例えば低圧が蒸発器内で生じているか又は維持されている場合に当てはまる。この場合では、十分な低圧であると仮定して、リザーバが常圧に保たれている場合に、第1のプロセスガス成分が蒸発器にも供給される。別の可能性は、重力により生じる静水圧及び蒸発器に対するリザーバの構成を用いることである。この目的のために、リザーバ内の液位は蒸発器への入口点よりも上に配される。
【0023】
本発明によれば、有機物質及び/又は有機金属物質を制御計量するための液体計量システムが提供される。
【0024】
驚くべきことに、本発明による液体計量により、質量流、及びこれに関連した蒸着層の特性の非常に正確で再現可能な制御も可能となる。蒸発により体積に大幅な増加が生じるため、液体は蒸発前ではあまり十分に計量され得ないと考えるべきである。ゆえに、遜色ない精度のために、液体の計量には、絶対的な誤差を著しく低下させる必要がある。
【0025】
しかしながら、本発明による方法を用いれば、層の蒸着を非常に正確に制御することができることが示されている。プロセスガス成分(単数又は複数)の質量流の変動が非常に小さく、このことは蒸着層に関しても実証することができる。例えば、層は低い光錯乱を呈し、全ての層特性が正確に再現可能であることが証明されている。
【0026】
本発明による方法は、従来から典型的に用いられているバブラーに比して、プラズマコーティング又は前駆体ガスの調製のための非常に単純な方法を提示する。簡単な構成により、本発明によるシステムはガス発生器としてバブラーを用いるシステムよりも経済的でもある。
【0027】
第1のプロセスガス成分の迅速な蒸発を達成するには、液体状の第1のプロセスガス成分が蒸発器内のノズルにより噴霧される場合が特に有利である。概して、蒸発器内の液体状の第1のプロセスガス成分の蒸発速度は、液体状のプロセスガス成分の流入量よりも高く設定することができる。このようにして、蒸発器内に大量の液体材料が集まることが回避される。したがって、蒸発器は、例えばバブラーとは対照的に或る程度「乾燥」するように操作される。ゆえに、蒸発器に導入される液体材料は非常に迅速に蒸発するため、供給ライン内の流れの変化が蒸発器内のガス前駆体の質量流に直接影響し、そのため、ほぼ遅延のない制御が液体計量によって可能となる。
【0028】
第1のプロセスガス成分は好ましくは、少なくとも第2のプロセスガス成分と混合されて、プロセスガス混合物を形成する。ここで特に適しているのは、特に希ガス等の不活性ガスである。かかるガスは特にプラズマの点火を容易にし、より低い前駆体濃度でプラズマが維持されることを可能にする。しかしながら、代替的に窒素を不活性ガスとして用いることもできる。代替的に又は付加的に、例えば酸素、オゾン、水素、アンモニア、又は炭化水素等の反応性ガスを用いてもよい。
【0029】
また、第1のプロセスガス成分と第2のプロセスガス成分との混合が蒸発器内で行われる場合が特に有利であることが立証されている。この目的のために、第1のプロセスガス成分と第2のプロセスガス成分とを蒸発器内で混合してプロセスガス混合物を形成するために、リザーバ内に保管されている第2のプロセスガス成分用に蒸発器への供給ラインが設けられる。蒸発器内では、混合物は、蒸発した前駆体の質量の変動(個々の滴蒸発により生じ得る)を防止するか又は低減するのに有利であることが既に立証されている。
【0030】
液体状の第1のプロセスガス成分の流れを制御するために、適した装置によって瞬時流量を求める。次に、その流量をパラメータとして、制御装置によって制御される制御プロセスに入力する。好ましくは、液体状のプロセスガス成分の流量は、蒸発器に至る供給ライン内の質量流センサを用いて測定される。このセンサは、蒸発器に至る液体状の第1のプロセス成分の供給ライン内に配置され、また、制御装置に接続される。
【0031】
計量された液体成分は、本発明の別の改良によれば精製される必要はない。その代わり、少なくとも2つの成分から成る混合物を流動的に計量することも考えられ得る。バブラーを用いて混合物を蒸発する場合、それらの成分の濃度は各自の蒸気圧に応じて決まる。したがって、本発明によって、混合のために蒸発器内で成分が迅速且つ完全に蒸発するので、大量の液体が蒸発器内に集まらない限り、それらの量の割合は実質的に蒸気圧とは関係しない。
【0032】
適した測定原理は、流体による伝熱に関する質量流の測定である。このタイプのセンサは例えば特許文献3から既知である。特に、液体状の第1のプロセスガス成分の流れ方向に沿って離間した2つの測定点間で、温度差を求めることができる。この目的のために、温度差を求める2つの温度測定センサが、液体状の第1のプロセスガス成分の流れ方向に沿って離間して設けられる。温度差が大きいほど質量流も大きくなる。さらに、流出液体内での温度勾配を生成するために、温度を変更する装置が設けられる。最も単純な場合では、液体を加熱素子を通過して流すことができる。加熱装置は1つ又は2つの温度測定センサを加熱することもできる。例えば、励起した抵抗素子又は熱電対を温度センサとして用いることができ、温度センサを用いて温度を測定し、同時に液体を加熱する。
【0033】
コーティングの際の反応器の圧力は、本発明の好適な改良によれば、反応器からポンプへの排出ライン内のチョークによって制御される。このポンプは制御装置と連通するか又は制御装置に接続されるため、制御装置によって制御されることができる。したがって、制御装置はチョークによって反応器の圧力を調整するように構成される。
【0034】
次に、反応器内にあるプロセスガス量の調整を、一方で圧力を制御することによって、他方で本発明による液体計量によって質量流を制御することによって達成することができる。その場合、反応器及び蒸発器間のプロセスガス量の絞りの調整は必要とされない。
【0035】
本発明によって、各種の機能性コーティングを、平坦状及び三次元状の基材又は成形された基材上に生成することができる。1つの特別な利点は、低蒸気圧により前駆体物質から成る機能性コーティングを生成する際の非常に優れた適性である。この方法を用いる場合、生成に適したプロセスでは、第1のプロセスガス成分を蒸発させ、室温で200mbar未満、好ましくは80mbar未満、特に好ましくは10mbar未満の蒸気圧を有する反応器に供給することができる。このことはまた、130℃の温度で10000mbar未満、好ましくは1300mbar未満、特に好ましくは50mbar未満の蒸気圧を有する部材にも当てはまる。本発明は、低蒸気圧又は高沸点を示す前駆体を用いて、高質量流にも達する非常に効率的な方法を提供する。
【0036】
バブラーに比して、液体リザーバ内の液体状の第1のプロセスガス成分は100℃以下、好ましくは50℃以下の温度で、特に好ましくは周囲温度でさらに加熱することなく、保管することができるということに本発明の別の特別な利点がある。室温で前駆体を保管することは、より低い生産コストをもたらし、前駆体の望ましくない変化(長期の加熱に起因し得る)を防止することができる。液体リザーバは冷却されてもよい。いずれも、蒸発器内での蒸発温度又は130℃の温度で、長時間は安定でない準安定物質を前駆体として使用することを可能にする。
【0037】
特に、低蒸気圧を有すると共に準安定性でもある前駆体を用い、且つこれを正確に計量することができる。バブラーを用いる場合、このような計量は可能ではないであろう。その理由は前駆体が蒸発温度で長時間、蒸発器の液体リザーバ内に保持されるからである。
【0038】
概して、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、又はヘキサエチレングリコールジメチルエーテル等の非環式ポリエーテルを第1のプロセスガス成分として用いてもよい。ここでの一例は、前駆体又は第1のプロセスガス成分又は当該プロセスガス成分の成分としてのテトラエチレングリコールジメチルエーテル(「テトラグライム」)の液体計量である。この物質は比較的低い蒸気圧を有する。前駆体を気体相に変えるために、質量流センサ、電子制御装置により制御される絞り弁、不活性キャリアガス、及び蒸発器とを有する液体計量装置を用いてもよい。この装置により、薬剤ガラス瓶の内側がテトラエチレングリコールジメチルエーテルのプラズマ重合でコーティングされる。その場合、ガラス瓶のコーティングされた内側の面は、コーティングされていないガラス瓶に比して、非常に低いたんぱく質吸収を示す。テトラエチレングリコールジメチルエーテルを前駆体として用いる場合、次いで、ポリエチレングリコール含有コーティング又はポリエチレングリコール様コーティング(「PEGコーティング」)を加工物上に蒸着し得る。かかる層は、たんぱく質拒絶(protein-rejecting)コーティング又はたんぱく質排斥(protein-repellant)コーティングのための一例である。医薬包装の分野では、かかるコーティングにも特別な注意がなされる。たんぱく質は多くの場合、ガラス表面上で変性する傾向があるが、このような変性は、本発明により生成され得るPEG皮膜等のたんぱく質排斥コーティングを用いることで防ぐことができるか、又は少なくともかなり遅らせることができる。ゆえに、このようにしてコーティングされた薬剤容器内に、接種物(inoculations)等、デリケートなたんぱく質ベースの薬剤をより良好に保管することができる。
【0039】
概して、医薬製品又は医療製品及び診断用途用の製品も、機能性を改善するために本発明によりコーティングすることができる。かかる製品はチューブ、医薬噴霧器、又は関連エラストマー部材、カートリッジ、又はボトルであってもよい。診断用途に関する製品の場合では、特にマイクロアレイが想定される。低蒸気圧を用いて前駆体から成る層を蒸着するためにいくつかの利点が与えられる。リザーバをより低温度で保持することができることにより、これらのプロセスガス成分をより容易に扱うことができる。
【0040】
本発明は、例えばガラスチューブ又は医薬包装のコーティングのために、ガラス、ガラスセラミック、ポリマー、及びエラストマーから成る物質に用いることができる。医薬包装の例として、ガラス瓶、カートリッジ、噴霧器、ゴムストッパ、又はエラストマーコーティングシール表面が挙げられる。本発明はまた、中空針等の金属表面のコーティングにも適している。この場合、コーティングされた物体は有利な特性として、摩擦が低減され得ると共にバリア効果が高まり得る。
【0041】
同様に、照明素子(illuminating elements)上に、光学フィルタコーティング、反射コーティング、及び反射防止コーティング並びに透明バリア層等、光学機能を達成することができる。
【0042】
本発明により作成され得るコーティングの考えられ得る有利な特性を以下に再び挙げる。
i)高分子の吸収の修正、好ましくは高分子が拒絶又は排斥されるような修正、
ii)摩擦又は摩擦係数の変更、好ましくは摩擦の低減、
iii)ガスの透過に抗するバリアコーティングとしての効果、
iv)基材の成分の分散又は抽出に対するバリアコーティングとしての効果、
v)熱バリアとしての効果、
vi)防汚効果、
vii)細胞付着低減
viii)抗菌効果、
ix)接着性又は接着改善性、
x)表面粗さの改変、好ましくは表面粗さの低減、
xi)表面の化学特性の改変、特に、例えばエッチングに抗する耐化学性の増大、
xii)スクラッチに対する保護、
xiii)反射性、又は反射防止効果、半透明性、透明性、装飾効果、のような光学機能性、及び
xiv)基材に比して高い熱伝導性又は伝熱性を有する導電性コーティング。
【0043】
用い得る前駆体、又は第1のプロセスガス成分を、以下の群に分けることができる。
群I):低蒸気圧を有する前駆体:
これらには以下が属する:
a)既に述べた、ガラス瓶、噴霧器、及びカートリッジのたんぱく質拒絶コーティング用の、テトラエチレングリコールジメチルエーテルのようなポリエーテル、及び
b)例えばガラス瓶、噴霧器、及びカートリッジに対するバリアコーティング用、及び光学機能性コーティング用の有機金属前駆体。
群II):平均蒸気圧又は高蒸気圧を有する前駆体:
これらには以下が属する:
a)HMDSO、TMDSO等の有機珪素化物、
b)例えば光学機能性コーティング又はバリアコーティング用の、TiCl、SiCl等の金属ハロゲン化物、及び
c)APS、DETA等のシロキサン。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明によるコーティング装置の概略的な構成を示す図である。
【図2】本発明により生成されたポリエチレングリコールコーティング上のフィブリノーゲン吸着のグラフ図である。
【図3】本発明により生成されたポリエチレングリコールコーティング上の水の接触角の測定値を示す図である。
【図4】ガス発生器の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
実施形態を使用すると共に、添付の図面を参照して本発明をより詳細に以下に説明する。
【0046】
図1に、加工物をプラズマCVDコーティングする装置1の構成を示す。この装置の基本原理は、層を加工物上に蒸着し、層を生成する少なくとも1つの成分を計量し、この成分が計量の際に液相中に存在し、次の処理工程において、異なる凝集状態に少なくとも部分的に変えられるということに基づく。
【0047】
装置1は主要な構成要素として、反応器20と、蒸発器2を有するガス発生器4とを備える。さらに、ガス発生器4は、液体状の第1のプロセスガス成分を有する液体リザーバ3を備える。流体供給装置5が液体状の第1のプロセスガス成分を、供給ライン9を通して蒸発器2内のノズル11に供給する。流体供給装置として、例えばリザーバ3の加圧を用いることもできる。ノズル11では、小滴を形成して迅速な蒸発を達成するために、液体状の第1のプロセスガス成分を噴霧する。
【0048】
別の供給ライン15によって、不活性ガスを第2のプロセスガス成分として、容器13から蒸発器2に導き、蒸発した第1のプロセスガス成分と混合させ、層蒸着に用いられるプロセスガスが生成される。蒸着される層及び前駆体によって、代替的に又は付加的に反応ガスを供給することもできる。
【0049】
反応器20の内側200に、加工物30が配置されている。加工物30、ここでは例えばスプレー本体が中空体構造を有し、その内側がコーティングされる。この目的のために、加工物30の内側31は排出ライン22でポンプ26に接続され、真空引きされる。加工物30の壁が十分に厚い場合は、加工物の周囲も常圧のままとすることができる。その一方、差圧が加工物の機械的負荷容量に適合するまで周囲を真空引きし、外側でプラズマが全く点火されない限り、プラズマの点火には圧力が小さすぎるか又は大きすぎる。
【0050】
第1のプロセスガス成分と第2のプロセスガス成分により蒸発器2内で発生するプロセスガスは、反応器20の真空引きされた領域、すなわち加工物30の内側31に供給される。エネルギー源、例えばマイクロ波源21が、反応器の内側200に放射される電磁界を発生させる。電磁界によって、プロセスガスが充満した反応器の真空引きされた領域内でプラズマが点火され、ここで、プラズマ中に形成する第1のプロセスガス成分の反応生成物により、加工物30上にコーティングが蒸着する。したがって、内側31には、加工物上にコーティングとして蒸着される反応生成物が生成される反応ゾーン32が形成される。マイクロ波源の代替として、プラズマを発生させるのに中周波又は高周波源も用いてもよい。
【0051】
コーティングプロセスは制御装置40によって制御され、ここでは、反応器への第1のプロセスガス成分の質量流は、蒸発器への液体状の第1のプロセスガス成分の流量の制御によって制御される。典型的な質量流は0.0005g/時間〜2000g/時間、好ましくは0.05g/時間〜50g/時間、特に好ましくは0.1g/時間〜20g/時間の範囲にある。対応する体積流について、典型的な範囲は5nL/分〜1000μL/分、好ましくは10nL/分〜100μL/分、特に好ましくは20nL/分〜10μL/分にある。
【0052】
コーティング領域内の圧力の制御は、ポンプ26に至る排出ライン22内の制御装置40によって制御されるチョーク24によって行われる。
【0053】
蒸発器2から反応器20に至る供給ライン17内に弁19を設けることも有用であり、弁19もまた図示したように制御装置40によって制御される。したがって、加工物30が出し入れされるとき、且つコーティング前に行われる真空引きの際、蒸発器を遮断することができる。しかしながら、第1のプロセスガス成分又は蒸発器内で生成されるプロセスガスの質量流の制御はここでは行われないことが好ましい。ゆえに、弁19を単に切換弁として構成することができる。
【0054】
この目的のために、流量は供給ライン9内の質量流センサ7によって測定され、測定値が制御装置40に送られる。質量流センサ7は、供給ライン9内の流れ方向に沿って離間して配置されると共に温度勾配を測定する2つの温度センサ71、72を有する。局部熱を供給すると共に流れ方向に沿って温度勾配を生じさせるために熱源が設けられる。例えば、温度センサ71、72を、通電加熱式抵抗素子(current-heated resistive elements)として構成してもよい。液体供給装置5を制御することによって所望値が設定される。代替的に又は付加的に、制御弁も設けてもよい。制御弁を設けることは、リザーバ3を加圧することによって液体状の第1のプロセスガス成分を蒸発器2に供給する場合に有利である。
【0055】
蒸着プロセスの開始時及び終了時を制御するために、図示の例ではマイクロ波源21であるエネルギー源もまた、制御装置によって制御される。
【0056】
図2及び図3は、本発明による方法によって、たんぱく質排斥コーティングでコーティングされた薬剤のガラス瓶の特性を示す。
【0057】
プロセスガス成分としてテトラエチレングリコールジメチルエーテルでCVD蒸着によってコーティングを蒸着した。ここでは、本発明による液体計量を用いた。ここでは前駆体を室温でリザーバ内に保管した。蒸着がパルスプラズマ中のプラズマ重合により行われた。
【0058】
図2は、たんぱく質排斥ポリエチレングリコールコーティング上のフィブリノーゲン吸着の測定値、及びコーティングされていないガラス瓶に対する参照値を示す。コーティングを0.7ジュール〜8.8ジュールの範囲の、異なるパルスエネルギーで蒸着した。
【0059】
図2を参照すると、本発明に従って蒸着したコーティングによって、たんぱく質吸収の著しい低減を達成できることが分かる。
【0060】
図3はコーティングされたガラス瓶での水の接触角を示す。
【0061】
図を参照すると、パルスエネルギーの有意な依存性が分かる。パルスエネルギーが増すにつれ、フィブリノーゲン吸着が増す。接触角も増す。水の接触角はここでは、0.7ジュールの低パルスエネルギーでの51度から、8.75ジュールのパルスエネルギーでの66.7度の角度まで様々である。結果的に、より低いエネルギーで蒸着された層は、低いたんぱく質吸収に寄与する親水性を有する。
【0062】
概して、本発明の一改良によれば、上記結果を考慮して、プロセスガス成分として、たんぱく質排斥ポリエチレングリコールコーティング若しくはポリエチレングリコール様コーティング又は層を、テトラエチレングリコールジメチルエーテルで蒸着するために、パルスプラズマを用い、ここでは低パルスエネルギーを用いるが、このパルスエネルギーは3ジュールを超えない。
【0063】
先の例には限定しないが、ここではパルスプラズマが概して好ましい。
【0064】
図2及び図3が言及しているサンプルの生成を一実施形態として、以下により詳細に説明する。
【0065】
液体前駆体であるテトラエチレングリコールジメチルエーテルを室温で閉容器内に保管し、不活性ガスによって加圧する。ここでは、リザーバ中の液体状の第1のプロセスガスと反応しないか又は有意な程度に反応しないガスであれば不活性ガスとして適している。
【0066】
前駆体が液体計量システムに流入し、ここでは流量が、温度センサとして熱電対を有する熱質量流センサによって測定される。次の制御弁を用いて、所望値の質量流が設定される。この計量プロセス中、前駆体は流体のままである。アルゴンガスが蒸発器に供給され、キャリアガスとして用いられる。次に、アルゴンガスは、前駆体と共に蒸着するために用いられるプロセスガスを形成する。総容量10ミリメートルの2つのガラス瓶をダブルチャンバ反応器に挿入し、同時に0.1mbar未満のベース圧まで真空引きする。
【0067】
テトラエチレングリコールジメチルエーテルの質量流を、制御弁によって0.95グラム/時間に設定する。キャリアガスについては、同時に1.6sccmの流量に設定し、それにより、真空引き後、プロセスガス中に52体積%の前駆体濃度があるようにする。
【0068】
第1の加熱及び処理工程によって、ガラス瓶はアルゴンプラズマによって120℃の処理温度に加熱される。プラズマは2.45GHzのマイクロ波周波数及びガラス瓶1つ当たり250ワットの平均出力を有するパルスマイクロ波源により維持される。このようにして、ガラス瓶1つ当たり50sccmのアルゴン質量流及び0.2mbarの処理圧力が設定される。
【0069】
加熱直後の第2の工程では、プロセスガスが蒸発器から反応器、又は反応器内に配置されているガラス瓶へ導入され、そこでは0.2mbarのプロセスガス圧力が設定される。
【0070】
同じ2.45GHzの周波数のマイクロ波源の出力が反応器の2つのチャンバに分与され、プロセスガス中のプラズマが2つのガラス瓶内で点火される。
【0071】
測定値に対応する4つの異なるパルスエネルギーを図2及び図3に示す。処理パラメータを以下の表に示す:
【0072】
【表1】

【0073】
全ての蒸着プロセスにおいて、ガラス瓶の内側に約50ナノメートルの厚みを有するコーティングが生成された。
【0074】
図4は、ガス発生器4の構成を示し、図1に示すガス発生器の代わりに使用可能な方法を示す。
【0075】
この実施形態の場合、流体供給装置5がない。代わりに、或る特定の高圧が容器内に確立されるまでリザーバ3に不活性ガス35を充満させることによって、このリザーバを加圧する。次に、高圧により、液体状の第1のプロセスガス成分34をライン9を通してノズル11に流す。質量流の制御はここでは、制御装置40に接続されると共に制御装置40によって制御される制御弁33によって達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物(30)上に層を蒸着する方法であって、
液体リザーバ(3)に液体状の第1のプロセスガス成分(34)を供給し、
前記液体状の第1のプロセスガス成分(34)を計量装置(5、33)を介して蒸発器(2)に供給し、
前記液体状の第1のプロセスガス成分(34)を前記蒸発器(2)内で蒸発して気相に変換し、
気体状の前記第1のプロセスガス成分を反応器(20)に供給し、
前記第1のプロセスガス成分との反応ゾーン(32)を、前記反応器(20)の充填領域内にエネルギー源(21)によって生成し、
前記反応ゾーン(32)内で形成する前記第1のプロセスガス成分の反応生成物により前記加工物(30)上にコーティングを蒸着し、
前記反応器(20)への前記第1のプロセスガス成分(34)の質量流が、前記蒸発器(2)への前記液体状のプロセスガス成分(34)の流量を制御することで前記計量装置に作用する制御装置(40)によって制御されることを特徴とする方法。
【請求項2】
コーティングされる加工物(30)を有する反応器(20)をポンプ(26)によって真空引きし、
前記気体状の第1のプロセスガス成分を前記反応器(20)の真空引きされた領域に供給し、
前記第1のプロセスガス成分を充填した前記反応器(20)の前記真空引きされた領域内のプラズマが電磁界によって点火され、
前記プラズマ中に形成する前記第1のプロセスガス成分の反応生成物により前記加工物(30)上にコーティングを蒸着する、加工物(30)上に層をプラズマ蒸着する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計量装置によって設定される体積流が5nL/分〜1000μL/分、好ましくは10nL/分〜100μL/分、特に好ましくは20nL/分〜10μL/分の範囲にある、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記液体の前記体積流の計量精度が30μL/分未満、好ましくは3μL/分未満、特に好ましくは0.3μL/分未満の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプロセスガス成分を、第2のプロセスガス成分と混合してプロセスガス混合物を形成し、前記第1のプロセスガス成分と前記第2のプロセスガス成分との混合は前記蒸発器(2)内で行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記蒸発器(2)に至る供給ライン(9)における液体状のプロセスガス成分(34)の流量が、質量流センサ(7)を用いて測定される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記蒸発器(2)内の前記液体状のプロセスガス成分(34)の蒸発速度が、前記液体状のプロセスガス成分(34)の流入よりも速く設定される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記反応器(20)内の圧力が、該反応器(20)から前記ポンプ(26)に至る前記排出ライン内のチョーク(24)によって制御される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1のプロセスガス成分として、前記蒸発器(2)内の蒸発温度又は130℃で長時間安定しない準安定性物質を用いる、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つの成分の混合物が流動的に計量される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1のプロセスガス成分(34)は蒸発し、130℃の温度で10000mbar未満、好ましくは1300mbar未満、特に好ましくは50mbar未満の蒸気圧を有する前記反応器(20)に供給される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ポリエーテルが前記第1のプロセスガス成分(34)として蒸発し、前記ポリエーテルは、好ましくは非環式ポリエーテル、特に好ましくはモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、又はヘキサエチレングリコールジメチルエーテル、特に好ましくはテトラエチレングリコールジメチルエーテルであり、パルスプラズマを使用し、及び3ジュールを超えないパルスエネルギーを用いて、前記加工物(30)上にポリエチレングリコール含有コーティング又はポリエチレングリコール様コーティングを蒸着する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
加工物(30)上に層を蒸着する装置(1)であって、
液体状の第1のプロセスガス成分(34)用の液体リザーバ(3)、
計量装置(5、33)、
蒸発器(2)、
前記液体状のプロセスガス成分(34)を前記蒸発器(2)に供給するライン、
コーティングされる前記加工物(30)を収容するように構成される反応器(20)、
前記液体分解生成物を前記反応器(20)のコーティング領域から除去することができる、前記反応器(20)に接続されるガス排出ポート(22)、
前記蒸発器(2)内で蒸発した気体状の前記第1のプロセスガス成分を前記反応器(20)に供給する供給ライン(17)、
前記第1のプロセスガス成分を充填した前記反応器(20)の領域内に反応ゾーンを生成し、前記反応ゾーン内で形成する前記第1のプロセスガス成分の反応生成物により前記加工物(30)上にコーティングを蒸着するように、前記反応器(20)に接続されるエネルギー源(21)、及び
前記質量流を設定する前記計量装置(5、33)によって前記蒸発器(2)への前記液体状のプロセスガス成分(34)の流量を制御するように構成されている、前記反応器(20)への前記第1のプロセスガス成分の質量流を制御する制御装置(40)、
を有することを特徴とする装置。
【請求項14】
加工物(30)上に層をプラズマ蒸着する、請求項13に記載の装置(1)
液体状の第1のプロセスガス成分(34)用の液体リザーバ(3)、
計量装置、
蒸発器(2)、
前記液体状のプロセスガス成分(34)を前記蒸発器(2)に供給するライン、
コーティングされる加工物(30)を収容するように構成される反応器(20)、
前記反応器(20)のコーティング領域を真空引きするために、前記反応器(20)に接続されるポンプ(26)、
前記蒸発器(2)内で蒸発した気体状の前記第1のプロセスガス成分を前記反応器(20)に供給する供給ライン(17)、
前記反応器(20)に接続される電磁界源(21)であって、該電磁界源(21)によって生成される電磁界によって前記第1のプロセスガス成分を充填した前記反応器(20)の前記真空引きされた領域内でプラズマを点火し、該プラズマ中に形成する前記第1のプロセスガス成分の反応生成物により前記加工物(30)上にコーティングを蒸着するようにするための、電磁界(21)、及び
前記質量流を設定するための蒸発器(2)への前記液体状のプロセスガス成分(34)の流量を制御するように構成されている、前記反応器(20)への前記第1のプロセスガス成分の質量流を制御する制御装置(40)、
を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
前記制御装置(40)が、前記反応器(20)から前記ポンプ(26)に至る前記排出ライン内の前記制御装置(40)と連通するチョーク(24)によって、前記反応器(26)内の圧力を制御するように構成される、請求項13又は14のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−167527(P2009−167527A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−325916(P2008−325916)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】