説明

薄膜トランジスタ、有機電界発光表示装置、薄膜トランジスタの製造方法及び有機電界発光表示装置の製造方法

【課題】半導体層における特性が更に向上した薄膜トランジスタ及び当該薄膜トランジスタを備える有機電界発光表示装置とこれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る薄膜トランジスタは、基板上に位置するバッファ層と、前記バッファ層上に位置するソース/ドレイン領域及び1又は複数のチャンネル領域を有する半導体層と、前記基板全面にわたって設けられるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、前記基板全面にわたって設けられる層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極とを含み、前記半導体層のチャンネル領域の多結晶シリコン層は、低角結晶粒界のみを含み、高角結晶粒界は、前記半導体層のチャンネル領域以外の領域に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ、有機電界発光表示装置、薄膜トランジスタの製造方法及び有機電界発光表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多結晶シリコン層は、高い電界効果移動度や高速動作回路に適用されるとともにCMOS回路構成が可能であるという長所が有し、薄膜トランジスタ用半導体層の用途としても多く用いられる。このような多結晶シリコン層を用いた薄膜トランジスタは、主に能動行列液晶ディスプレイ装置(AMLCD)の能動素子と有機電界発光素子(OLED)のスイッチング素子及び駆動素子に用いられる。
【0003】
このとき、薄膜トランジスタに用いる多結晶シリコン層の製造は、直接蒸着法、高温熱処理を利用する技術またはレーザ熱処理方法などが用いられる。レーザ熱処理方法は、低温工程が可能であるとともに、高い電界効果移動度が実現されるが、高価のレーザ装備を必要とするため、その代替技術が求められている。
【0004】
現在、金属を用いた非晶質シリコンの結晶化方法は、固相結晶化(SPC、Solid Phase Crystallization)よりも低い温度で早く結晶化するために多く研究されている。金属を用いた結晶化方法は、金属誘導結晶化(MIC、Metal Induced Crystallization)方法と金属誘導側面結晶化(MILC、Metal Induced Lateral Crystallization)方法とがある。しかしながら、金属を用いた上記方法の場合においても金属汚染により薄膜トランジスタの素子特性が低下するという問題があった。
【0005】
一方、金属量を低減すると同時に良質の多結晶シリコン層を形成するために、イオン注入機を介して金属のイオン濃度を調節して高温処理、急速熱処理またはレーザ照射で良質の多結晶シリコン層を形成する技術と金属誘導結晶化方法により多結晶シリコン層の表面を平坦化させるために粘性のある有機膜と液状金属とを混合してスピンコーティング方法で薄膜を蒸着した後、熱処理工程によって結晶化させる方法が開示されている。しかしながら、上記結晶化方法の場合でも、多結晶シリコン層において最も重要とされるグレーン大きさの大型化及び均一度の観点から問題があった。
【0006】
上記問題を解決するために、基板上に金属触媒層を蒸着し、その上にキャッピング層を形成した後、上記キャッピング層上に非晶質シリコン層を形成して熱処理あるいはレーザを用いて金属触媒を、キャッピング層を介して非晶質シリコン層に拡散させてシードを形成させた後、これを利用して多結晶シリコン層を得る方法としてSGSが用いられる。かかるSGS方法は、金属触媒が蓋層を介して拡散するため、金属汚染を防止することができるという長所を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記方法においても金属触媒の均一な低濃度制御が困難であって、結晶化の開始位置、成長方向及び結晶粒の大きさの制御ができないという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、半導体層における特性が更に向上した薄膜トランジスタ及び当該薄膜トランジスタを備える有機電界発光表示装置とこれらの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、基板と、前記基板上に位置するバッファ層と、前記バッファ層上に位置するソース/ドレイン領域及び1又は複数のチャンネル領域を有する半導体層と、前記基板全面にわたって設けられるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、前記基板全面にわたって設けられる層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極と、を含み、前記半導体層のチャンネル領域の多結晶シリコン層は、低角結晶粒界のみを含み、高角結晶粒界は、前記半導体層のチャンネル領域以外の領域に位置する薄膜トランジスタが提供される。
【0010】
前記半導体層のチャンネル領域以外の領域には、結晶粒界が含まれることが好ましい。
【0011】
前記チャンネル領域の以外の領域には、金属シリサイドが位置することが好ましい。
【0012】
前記金属シリサイドは、ライン状に設けられることが好ましい。
【0013】
前記半導体層の前記金属シリサイドと前記結晶粒界との間に、チャンネル領域が形成されることが好ましい。
【0014】
前記金属シリサイドは、1〜100μmの間隔で設けられていてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基板を形成する工程と、前記基板上にバッファ層を形成する工程と、前記バッファ層上に非晶質シリコン層を形成する工程と、前記非晶質シリコン層上の一部に保護層パターンを形成する工程と、前記基板全面にわたって金属触媒層を形成する工程と、前記金属触媒層が形成された基板を熱処理して前記保護層パターンのエッジに金属シリサイドをライン形状に形成した後、前記金属シリサイドをシードにして前記非晶質シリコン層を結晶化する工程と、前記保護層パターンを除去する工程と、前記多結晶シリコン層をパターニングして半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜上に前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極を形成する工程と、を含む薄膜トランジスタの製造方法が提供される。
【0016】
前記保護膜パターンは、長方形に形成し、当該保護膜パターンの厚みを2000Å以上に形成することが好ましい。
【0017】
前記半導体層をパターニングする工程では、前記半導体層のチャンネル領域が前記多結晶シリコン層の低角結晶粒界のみを含むように形成し、高角結晶粒界は、前記チャンネル領域以外の領域に位置するように形成することが好ましい。
【0018】
前記半導体層のチャンネル領域は、前記金属シリサイドラインと結晶粒界との間に位置するように形成されることが好ましい。
【0019】
前記ゲート電極は、前記半導体層のチャンネル領域に対応するように形成されることが好ましい。
【0020】
前記金属触媒層は、金属触媒の割合が1012〜1014atom/cmとなるように形成されることが好ましい。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、基板と、前記基板上に位置するバッファ層と、前記バッファ層上に位置する半導体層と、前記基板全面にわたって位置するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極と、前記基板全面にわたって位置する層間絶縁膜と、前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極と、前記基板上に位置する保護膜と、前記保護膜上に位置し、前記ソース/ドレイン電極と電気的に接触する第1電極、有機膜層及び第2電極と、を備え、前記半導体層のチャンネル領域の多結晶シリコン層は、低角結晶粒界のみを含み、高角結晶粒界は、前記半導体層のチャンネル領域以外の領域に位置する有機電界発光表示装置が提供される。
【0022】
前記半導体層のチャンネル領域以外の領域には、結晶粒界が含まれることが好ましい。
【0023】
前記チャンネル領域の以外の領域には、金属シリサイドが位置することが好ましい。
【0024】
前記金属シリサイドは、ライン状に形成されることが好ましい。
【0025】
前記半導体層の前記金属シリサイドと前記結晶粒界との間に、チャンネル領域が形成されることが好ましい。
【0026】
前記金属シリサイドは、1〜100μmの間隔で設けられてもよい。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、基板を形成する工程と、前記基板上にバッファ層を形成する工程と、前記バッファ層上に非晶質シリコン層を形成する工程と、前記非晶質シリコン層上の一部に保護層パターンを形成する工程と、前記基板全面にわたって金属触媒層を形成する工程と、前記金属触媒層が形成された基板を熱処理して前記保護層パターンのエッジに金属シリサイドをライン形状に形成した後、前記金属シリサイドをシードにして前記非晶質シリコン層を結晶化する工程と、前記保護層パターンを除去する工程と、前記多結晶シリコン層をパターニングして半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜を形成する工程と、前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極を形成する工程と、前記基板全面にわたって保護膜を形成する工程と、前記保護膜上に前記ソース/ドレイン電極と電気的に接触する第1電極、有機膜層及び第2電極を形成する工程と、を含む有機電界発光表示装置の製造方法が提供される。
【0028】
前記保護膜パターンは、長方形に形成し、当該保護膜パターンの厚みを2000Å以上に形成することが好ましい。
【0029】
前記半導体層をパターニングする工程では、前記半導体層のチャンネル領域が前記多結晶シリコン層の低角結晶粒界のみを含むように形成し、高角結晶粒界は、前記チャンネル領域以外の領域に位置するように形成することが好ましい。
【0030】
前記半導体層のチャンネル領域は、前記金属シリサイドラインと結晶粒界との間に位置するように形成されることが好ましい。
【0031】
前記ゲート電極は、前記半導体層のチャンネル領域に対応するように形成されることが好ましい。
【0032】
前記金属触媒層は、金属触媒の割合が1012〜1014atom/cmとなるように形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように本発明によれば、保護層パターン及び金属触媒を用いて非晶質シリコン層を結晶化する方法において、シードをコントロールして多結晶シリコン層を製造することで、特性の向上した半導体層を形成することができ、特性の改善した薄膜トランジスタ及び有機電界発光表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1A】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示す図である。
【図1B】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示す図である。
【図1C】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示す図である。
【図1D】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示す図である。
【図1E】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示す図である。
【図1F】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示す図である。
【図1G】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを示す図である。
【図1H】結晶粒界を含む半導体層の特性を示すデータである。
【図1I】結晶粒界を含まない半導体層の特性を示すデータである。
【図2】本発明の実施形態による有機電界発光表示装置に関する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
本発明の実施形態は、金属触媒を用いる非晶質シリコン層の結晶化方法において、保護層パターンを用いて金属触媒によって金属シリサイドを制御し、半導体層における特性の向上した薄膜トランジスタとその製造方法、及び薄膜トランジスタを用いた有機電界発光表示装置に関する。本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタは、非晶質シリコン層上部に保護層パターンを形成した後に、金属触媒による結晶化法を利用して製造され、半導体層のチャンネル領域に結晶粒界を含まないため、特性の向上した半導体層を実現することができる。
【0037】
(第1実施形態)
図1A〜図1Fは、本発明の第1の実施形態に係る薄膜トランジスタを示す図である。
図1Aに示すように、基板100を準備し、上記基板100上に、バッファ層110を形成する。このとき、上記バッファ層110としては、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びこれらの二重層などが用いられる。
【0038】
そして、上記バッファ層110上に、非晶質シリコン層120aを全面に形成する。
【0039】
その後、図1Bに示すように、上記非晶質シリコン層120a上に保護層パターン130を形成する。そして、上記保護層パターン130を含む基板全面にわたって、金属触媒層135を形成する。このとき、上記保護層パターン130は長方形形状に形成することが好ましい。
【0040】
上記保護層パターン130は金属触媒が拡散されないように、2000Å(200nm)以上に形成し、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜及びこれらの混合層で形成される。上記金属触媒層135の形成には、Ni、Pd、Ag、Au、Al、Sn、Sb、Cu、Tr及びCdからなる群より選択されたいずれか1つの金属が用いられ、特にニッケルを用いることが好ましい。
【0041】
そして、上記金属触媒層は、低濃度であり、金属触媒の割合が1012〜1014atom/cmに形成することが好ましい。その理由は、金属触媒の割合が1012atom/cm以下の場合は、結晶化の核となるシードの量が少なくなり、多結晶シリコン層に結晶化することが困難であるからであり、金属触媒の割合が1014atom/cmよりも大きい場合は、非晶質シリコン層に拡散する金属触媒の量が多くなり、多結晶シリコン層の結晶粒が小さく、残留の金属触媒の量が多くなって、その後に形成する半導体層の特性が低下するからである。
【0042】
その後、上記基板100を熱処理し、上記非晶質シリコン層120aを多結晶シリコン層120bに結晶化する。上記熱処理は、200〜700℃の温度で行う。
【0043】
図1C及び図1Dに示すように、上記金属触媒層135は、上記保護層パターン130のアウトライン形状として、上記非晶質シリコン層120aと金属シリサイドsを形成し、ライン形状をなす。上記金属シリサイドsは、1〜100μmの間隔で配列されているが、これは、上記金属触媒が1012〜1014atom/cmの濃度で塗布されているためである。
【0044】
したがって、上記保護層パターン130のアウトライン形状に沿って長方形形状に配列された上記金属シリサイドsは、低角結晶粒界(low angle grain boundary)と高角結晶粒界(high angle grain boundary)とを含み、側面に成長して低角結晶粒界だけを含むように、結晶が成長する。そして、上記結晶成長が互いに突き当たる部分に、高角結晶粒界である結晶粒界bが形成される。
【0045】
上記結晶粒界bは、上記長方形のアウトライン形状の金属シリサイドsから結晶が四方に成長するので、長方形の角には約45度の角度Aの結晶粒界を含むことになる。
【0046】
よって、上記方法のように、保護層パターン130を利用することで、金属シリサイドの位置コントロールが可能であり、所望の領域に質のよい多結晶シリコン層を形成することができ、半導体層の品質向上とパターニングをコントロールすることができる。
【0047】
そして、図1E及び図1Fに示すように、上記保護層パターン130を除去し、上記多結晶シリコン層120bをパターニングして、半導体層120を形成する。
【0048】
このとき、上記保護膜パターン130は、以後に形成される半導体層120によってパターニングしなければならない。上記半導体層120は、ソース/ドレイン領域120s、120d及びチャンネル領域120cを含むことになるが、上記半導体層120のチャンネル領域120cは、薄膜トランジスタの特性を左右する非常に重要な領域であるため、電子の流れを妨害する結晶粒界は、チャンネル領域に形成されないことが好ましい。よって、半導体層120のチャンネル領域120cを形成する場合に、上記多結晶シリコン層120bの金属シリサイドsから側面成長して低角結晶粒界Lだけが含まれた領域のみが、上記半導体層120のチャンネル領域120cとして形成される。上記低角結晶粒界Lは、電流の流れる方向と平行な方向に位置する。
【0049】
したがって、上記保護層パターン130の幅Yは、半導体層のチャンネル領域120cの幅Yの3倍以上の大きさであり、保護層パターン130の長さXは、半導体層のチャンネル領域120cの長さYの2倍以上の長さを有していることが好ましい。このようにすることで、金属シリサイドsから結晶が成長して互いに突き当たることで形成された結晶粒界bが、チャンネル領域に位置することを避けることができ、ライン形状に配列された金属シリサイドsもチャンネル領域以外の領域に形成される。その結果、チャンネル領域には、トラップのない、特性が向上した薄膜トランジスタを形成することができる。
【0050】
続いて、図1Gに示すように、上記のように形成された半導体層上部にゲート絶縁膜140を形成し、上記ゲート絶縁膜140上に上記半導体層120のチャンネル領域120cに対応するゲート電極150をを形成する。そして、層間絶縁膜160を形成し、上記半導体層120のソース/ドレイン領域120s、120dと電気的に接触されるソース/ドレイン電極170a、170bを形成して、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタを完成する。
【0051】
図1Hは、半導体層のチャンネル領域に結晶粒界が含まれた薄膜トランジスタに関する漏洩電流散布の特性データであり、図1Iは、半導体層のチャンネル領域に結晶粒界が含まれない薄膜トランジスタに関する漏洩電流散布の特性データである。図1Hと図1Iとを比較した場合、結晶粒界が含まれない図1Iにおいて、Ioffである際に漏洩電流が急激に落ちており、本発明の実施形態に係る結晶粒界が含まれない半導体層を形成することで、特性の向上した薄膜トランジスタを提供することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態で説明した薄膜トランジスタを含む有機電界発光表示装置に関するものであって、同一の構成要素はその説明を省略する。
【0053】
図2は、実施例1の薄膜トランジスタを含む有機電界発光表示装置を示す図である。図2に示すように、上記の薄膜トランジスタを含む基板100上に、上記ソース/ドレイン電極170a、170bの一部を露出する保護膜175を形成する。
【0054】
そして、上記保護膜175上に上記ソース/ドレイン電極170a、170bと電気的に接触する第1電極180を形成した後、上記第1電極180の一部を露出させて、画素を定義する画素定義膜185を形成する。
【0055】
その後、上記露出した第1電極180上に有機発光層を含む有機膜層190を形成し、上記基板100全面にわたって第2電極195を形成し、本発明の実施形態に係る有機電界発光表示装置を完成する。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0057】
100 基板
110 バッファ層
120 半導体層
120a 非晶質シリコン層
120b 多結晶シリコン層
120c チャンネル領域
120s,120d ソース/ドレイン領域
130 保護層パターン
135 金属触媒層
140 ゲート絶縁膜
150 ゲート電極
160 層間絶縁膜
170a,170b ソース/ドレイン電極
175 保護膜
180 第1電極
185 画素定義膜
190 有機膜層
195 第2電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層上に位置するソース/ドレイン領域及び1又は複数のチャンネル領域を有する半導体層と、
前記基板全面にわたって設けられるゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、
前記基板全面にわたって設けられる層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極と、
を含み、
前記半導体層のチャンネル領域の多結晶シリコン層は、低角結晶粒界のみを含み、
高角結晶粒界は、前記半導体層のチャンネル領域以外の領域に位置する
ことを特徴とする、薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記半導体層のチャンネル領域以外の領域には、結晶粒界が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記チャンネル領域の以外の領域には、金属シリサイドが位置することを特徴とする、請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記金属シリサイドは、ライン状に設けられることを特徴とする、請求項3に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記半導体層の前記金属シリサイドと前記結晶粒界との間に、チャンネル領域が形成されることを特徴とする、請求項3に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記金属シリサイドは、1〜100μmの間隔で設けられることを特徴とする、請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
基板を形成する工程と、
前記基板上にバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層上に非晶質シリコン層を形成する工程と、
前記非晶質シリコン層上の一部に保護層パターンを形成する工程と、
前記基板全面にわたって金属触媒層を形成する工程と、
前記金属触媒層が形成された基板を熱処理して前記保護層パターンのエッジに金属シリサイドをライン形状に形成した後、前記金属シリサイドをシードにして前記非晶質シリコン層を結晶化する工程と、
前記保護層パターンを除去する工程と、
前記多結晶シリコン層をパターニングして半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記保護膜パターンは、長方形に形成し、当該保護膜パターンの厚みを2000Å以上に形成することを特徴とする、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記半導体層をパターニングする工程では、
前記半導体層のチャンネル領域が前記多結晶シリコン層の低角結晶粒界のみを含むように形成し、
高角結晶粒界は、前記チャンネル領域以外の領域に位置するように形成することを特徴とする、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記半導体層のチャンネル領域は、前記金属シリサイドラインと結晶粒界との間に位置するように形成されることを特徴とする、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
前記ゲート電極は、前記半導体層のチャンネル領域に対応するように形成されることを特徴とする、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記金属触媒層は、金属触媒の割合が1012〜1014atom/cmとなるように形成されることを特徴とする、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
基板と、
前記基板上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層上に位置する半導体層と、
前記基板全面にわたって位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極と、
前記基板全面にわたって位置する層間絶縁膜と、
前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極と、
前記基板上に位置する保護膜と、
前記保護膜上に位置し、前記ソース/ドレイン電極と電気的に接触する第1電極、有機膜層及び第2電極と、
を備え、
前記半導体層のチャンネル領域の多結晶シリコン層は、低角結晶粒界のみを含み、高角結晶粒界は、前記半導体層のチャンネル領域以外の領域に位置することを特徴とする、有機電界発光表示装置。
【請求項14】
前記半導体層のチャンネル領域以外の領域には、結晶粒界が含まれることを特徴とする、請求項13に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項15】
前記チャンネル領域の以外の領域には、金属シリサイドが位置することを特徴とする、請求項13に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項16】
前記金属シリサイドは、ライン状に形成されることを特徴とする、請求項13に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項17】
前記半導体層の前記金属シリサイドと前記結晶粒界との間に、チャンネル領域が形成されることを特徴とする、請求項13に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項18】
前記金属シリサイドは、1〜100μmの間隔で設けられることを特徴とする、請求項17に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項19】
基板を形成する工程と、
前記基板上にバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層上に非晶質シリコン層を形成する工程と、
前記非晶質シリコン層上の一部に保護層パターンを形成する工程と、
前記基板全面にわたって金属触媒層を形成する工程と、
前記金属触媒層が形成された基板を熱処理して前記保護層パターンのエッジに金属シリサイドをライン形状に形成した後、前記金属シリサイドをシードにして前記非晶質シリコン層を結晶化する工程と、
前記保護層パターンを除去する工程と、
前記多結晶シリコン層をパターニングして半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に位置するゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜を形成する工程と、
前記半導体層と電気的に接触するソース/ドレイン電極を形成する工程と、
前記基板全面にわたって保護膜を形成する工程と、
前記保護膜上に前記ソース/ドレイン電極と電気的に接触する第1電極、有機膜層及び第2電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記保護膜パターンは、長方形に形成し、当該保護膜パターンの厚みを2000Å以上に形成することを特徴とする、請求項19に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項21】
前記半導体層をパターニングする工程では、
前記半導体層のチャンネル領域が前記多結晶シリコン層の低角結晶粒界のみを含むように形成し、
高角結晶粒界は、前記チャンネル領域以外の領域に位置するように形成されることを特徴とする、請求項19に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項22】
前記半導体層のチャンネル領域は、前記金属シリサイドと結晶粒界との間に位置するように形成されることを特徴とする、請求項19に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項23】
前記ゲート電極は、前記半導体層のチャンネル領域に対応するように形成されることを特徴とする、請求項19に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項24】
前記金属触媒層は、金属触媒の割合が1012〜1014atom/cmとなるように形成されることを特徴とする、請求項19に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。



【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−109062(P2011−109062A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172102(P2010−172102)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】