説明

薄膜成長用反応装置

【課題】原子層堆積(ALD)式薄膜堆積装置において反応物質パルスに続くパージ期間に反応物質残りの少ない堆積装置を提供する。
【解決手段】堆積チャンバ内に画定された空間内に載置されたウエハ上に薄膜を堆積させるように構成され、前記空間と連通するガス流入口と、さらに、密閉面605を含む密閉部604とを備え、前記堆積チャンバと、前記ウエハを前記空間内において支持するように形成されたサセプタ602であって、サセプタ602が密閉面605に対して密閉を行う第1の位置と、サセプタ602が密閉面605に対して密閉を行わなくなる下方の第2の位置との間を、前記堆積チャンバに対して鉛直方向に移動するように形成されたサセプタ602と、を備える。前記第1の位置において、密閉面605とサセプタ602との間の界面と、サセプタ602上に配置された前記ウエハの上面との間の垂直方向の距離が、約2ミリメートル未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2005年1月18日出願の仮出願第60/645,581号、および2005年2月24日出願の仮出願第60/656,832号に対し、35U.S.C.§119(e)に基づき優先権の利益を主張し、これらの出願の全ての内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、化学処理装置に関する。特に、本発明は、反応チャンバ内において薄膜を成長させる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
基板面に薄膜を堆積させる気相成長法がいくつかある。これらの方法には、真空蒸着堆積、分子線エピタキシー(MBE)、化学気相成長法(CVD)(低圧の有機金属CVD、およびプラズマCVDを含む)、および原子層エピタキシー(ALE)(最近では原子層堆積(ALD)と呼ばれることが多い)の異なる変形が含まれる。
【0004】
素材からシリコンウエハなどの基板に薄膜を形成するALDは、半導体産業において知られるプロセスである。ALDは、自己飽和反応(self-saturating reaction)がサイクルにおいて起こることにより薄膜が積み重ねられる一種の気相成長である。膜厚は、行われたサイクルの回数により決まる。ALDプロセスでは、気体の前駆物質が、交互に繰り返し基板またはウエハに供給されて、ウエハ上に素材からなる薄膜が形成される。1つの反応物質が、自己制限式のプロセスにおいてウエハ上に吸着する。次の反応物質のパルスが、吸着した素材と反応して、所望の素材から単一の分子層を形成する。配位子交換またはゲッタリング反応における場合などの、適切に選択された試薬との反応によって、分解が生じ得る。一般的なALD反応では、分子からなる単分子層のみが、サイクルごとに形成される。ターゲットの厚さに達するまで成長サイクルを繰り返すことにより、膜が厚くなる。
【0005】
ALDプロセスでは、被膜される少なくとも1つの面を有する1枚またはそれ以上の基板と、所望の生成物を形成する反応物質とを、リアクタまたは堆積チャンバ内に導入する。一般に、1枚またはそれ以上の基板を、ウエハ支持部またはサセプタ上に配置する。ウエハ支持部を、リアクタ内に画定されるチャンバ内に配置する。ウエハを、反応ガスの凝縮温度より上でかつ反応ガスの熱分解温度より下の所望の温度まで加熱する。
【0006】
ALDに特有の特徴は、面が飽和状態に達するまで、各反応物質が基板にパルス式に送出されることである。上述のように、1つの反応物質が、一般的に、基板面に吸着し、その後、第2の反応物質が、被吸着種と反応する。成長速度は、自己制限されるので、CVDにおける場合のように反応物質の温度または流束ではなく、反応シーケンスの繰り返し速度に比例する。
【0007】
自己制限式の成長を行うために、連続した反応物質パルス同士の間のパージまたは他の除去ステップにより、気相の反応物質同士を混合させないようにしておく。パージステップ中に所望の素材からの成長は起こらないので、パージステップの期間を制限し得ることが好ましい。パージステップの期間が短縮される程、リアクタ内における反応物質の吸着および反応に利用できる時間が長くなり得るが、反応物質は相互に反応することが多いので、堆積が自己制限式であるという性質を損なうCVD反応の危険を低減させるために、気相の反応物質が混合されることは避けるべきである。反応チャンバのすぐ上流または下流の共有の管における混合があっても、付随的に生じるCVDとそれに続く粒子の生成とにより、プロセスに汚染が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
気相反応物質が混じり合うことを妨げるために、ALDリアクタは、パージステップ中に反応物質が反応物質源から反応チャンバに流れないように、供給導管の一部分に、「不活性ガス弁調節」または「拡散障壁」機構を含み得る。不活性ガス弁調節には、供給導管内を流れる通常の反応物質の流れに対向する方向に流れるガスの、ガス相の、対流障壁を形成することを伴う。T.Suntola著、「Atomic
Layer Epitaxy」、Handbook of Crystal Growth III、Thin Films and Epitaxy、Part B: Growth Mechanisms and Dynamics、第14章、D.T.J.
Hurle編集、Elsevier Science V.B.、1994年、601〜663ページを参照。その開示は、参照によりここに組み込まれる。特に、624〜626ページを参照。このような先行技術の構成によって、気相の反応物質の混合は起こらなかったが、なお改良の余地はある。特に、実験による研究から、反応チャンバ内に、パージが困難なデッドポケットおよび/または再循環セルがあることが分かった。したがって、前の反応物質パルスの一部分が、次の反応物質パルス中に反応チャンバ内に残ったままになっている場合がある。これは、CVD成長が反応チャンバ内と基板自体の上とにおいて生じかねず、不都合である。反応チャンバ内においてCVD成長が起こることによって、粒子の流出が増加することになる場合があり、不都合である。
【0009】
よって、パージしやすく、また、パージステップ後に反応物質が残存する場合があるデッドポケットがないかまたはかなり減少した、改良型リアクタ設計が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の一実施形態は、原子層堆積(ALD)薄膜式の堆積装置を含み、当該装置は、堆積チャンバを含み、当該堆積チャンバは、堆積チャンバ内に画定された空間内において載置されたウエハ上に薄膜を堆積させるように構成されている。堆積チャンバは、ガス流入口を含み、当該ガス流入口は、その空間と連通する。ガスシステムは、ガスを堆積チャンバのガス流入口に送出するように構成される。ガスシステムの少なくとも一部分は、堆積チャンバ上方に配置される。ガスシステムは、複数のガスの流れを混合させるように構成された混合器を含む。移送部材は、混合器およびガス流入口と連通する。移送部材は、ガスを、ガス流入口に入る前に水平方向に拡散させるように形成された水平方向に末広形の一対の壁を含む。
【0011】
本発明の別の実施形態は、原子層堆積(ALD)薄膜式の堆積装置を含み、当該装置は、堆積チャンバ内に画定された空間内において載置されたウエハ上に薄膜を堆積させるように構成されている。堆積チャンバは、ガス流入口を含み、当該ガス流入口は、その空間と連通する。堆積チャンバは、密閉部をさらに備え、当該密閉部は、密閉面を含む。サセプタは、空間内においてウエハを支持するように形成される。サセプタは、サセプタが密閉面に対して密閉を行う第1の位置と、サセプタが密閉面に対して密閉を行わなくなる下方の第2の位置との間を、堆積チャンバに鉛直方向に移動するように構成される。第1の位置において、密閉面とサセプタとの間の界面と、サセプタに配置されたウエハとの間の垂直方向の距離が、約2ミリメートル未満である。
【0012】
本発明の別の実施形態は、半導体基板を処理するための基板支持部を備える。基板支持部は、凹所を有する上面を含む。凹所は、基板支持部の上面が、基板の縁部分に沿ってのみ基板と接触するように形成される。
【0013】
本発明の別の実施形態は、堆積(ALD)式の薄膜堆積装置を含み、当該装置は、堆積チャンバを含み、当該堆積チャンバの空間内において載置されたウエハ上に薄膜を堆積するように構成される。堆積チャンバは、その空間と連通するガス流入口を含む。堆積チャンバは、さらに、密閉部を備え、当該密閉部は、密閉面を含む。サセプタは、空間内においてウエハを支持するように形成される。サセプタは、サセプタが密閉面に対して密閉を行う第1の位置と、サセプタが密閉面に対して密閉を行わなくなる下方の第2の位置との間を、堆積チャンバに鉛直方向に移動するように構成される。サセプタは、第1の位置において、ウエハがサセプタに配置されたとき、ウエハの、ガスの流れに対して前の縁が、ウエハの後縁と比較して、密閉面からさらに遠く配置されるように、形成される。
【0014】
これらおよび他の目的は、以下の詳細から明らかになる既知のプロセスおよび装置を超える利点とともに以下に説明し、特許請求の範囲に記載する本発明により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】原子層堆積(ALD)装置の正面、上面および左側面からの斜視図である。
【図1B】図1AのALD装置の底面、背面および左側面からの斜視図である。
【図2】図1のALD装置を2−2線に沿って切った切取斜視図である。
【図3】図1AのALD装置内のガス分配装置(図2では一部分が見える)の斜視図である。
【図4】各反応ガス管のバッファ領域を示す図3のガス分配装置の混合器組立体の上流の部材に結合された反応ガス管の平面図である。
【図5】図1AのALD装置のガス分配装置およびリアクタチャンバの一部分の概略断面図である。
【図6】ALD装置内の反応チャンバのトッププレートに結合されたガス分配装置の変形実施形態の一部分の斜視図である。
【図7】図6のガス分配装置の平面図である。
【図8】ガス分配装置を取り外した図6のトッププレートの平面図である。
【図9】図7の9−9線に沿った断面図である。
【図9A】図9の一部分の拡大図である。
【図10】図1のALD装置内のリアクタのサセプタ、基板およびボトムプレートの概略図である。
【図11】図9と同様だがALD装置のサセプタおよびボトムプレートも図示した断面図である。
【図12】図11のサセプタおよびボトムプレートの部分上斜視図である。
【図13】図11のサセプタを180度回転させた上斜視図である。
【図14】サセプタに配置された基板も示す、図13の14−14線に沿った断面図である。
【図15】リフトピンとサセプタとを配置した実施形態の縁部分を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1Aは、ALD装置100の実施形態の斜視図である。ALD装置100は、上部材110と、底部材112と、前部材118とを含み、これらの部材が、ともに、ALD装置100のハウジングの一部分を形成する。図1Aに示す実施形態では、上部ヒーター114が、上部材110を貫通する。上部ヒーター114は、ALD装置100の上部内の温度を維持するように構成される。同様に、下部ヒーター116が、底部材112を貫通する。下部ヒーターは、ALD装置100の下部内の温度を維持するように構成される。
【0017】
ALD装置100の前部材118は、ゲートバルブとして機能し、開口部120を覆う。図1Aの開口部120を点線で描いている。一旦、前部材118を取り外すと、開口部120は、ALD装置100により処理されるウエハを受け入れ得る。このように、受け入れられたウエハは、ALD装置100内の堆積チャンバ内に配置される。一旦、処理が完了すると、ウエハを、堆積チャンバから同じ開口部120を通って取り出し得る。
【0018】
ALD制御システム(図示せず)は、ウエハ処理中にALD装置100を制御するように構成される。例えば、ALD制御システムは、ALD装置100内外への反応物質およびバッファガスの流れを制御するために、コンピュータ制御システムと、電気的に制御される弁とを含み得る。ALD制御システムは、あるタスクを実行する、FPGAまたはASICなどの、ソフトウェアまたはハードウェアコンポーネントなどのモジュールを含む場合がある。モジュールは、コンピュータ制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体に常駐するように構成し、また、1つまたはそれ以上の処理装置において実行される構成にすることが好ましい場合がある。
【0019】
図1Bは、底部材112を示すALD装置100の斜視図である。ALD装置100は、一組の継手102(a)、102(b)、104(a)〜(d)をさらに含む。この例示的な構成では、ALD装置100は、4つの別個の反応気体源を含む。これらの反応気体源の2つが、継手102(a)、102(b)によりALD装置100に連結されている。これらのガス源は、圧縮してもしなくてもよい。これらの気体源は、例えば、固体昇華器(solid sublimation vessels)、液体バブラーまたはガスボンベであり得る。第3および第4の反応気体源が、継手104(b)、104(c)によりALD装置100に連結される。
【0020】
一実施形態では、各反応気体源は、関連づけられる不活性ガス源を有し、当該不活性ガス源は、反応物質をパルス式に送った後、反応気体管をパージするために使用し得る。例えば、継手102(a)および102(b)に連結された反応気体源と関連付けられる不活性ガス源は、継手104(a)および104(d)にそれぞれ連結され得る。継手104(b)および104(c)に連結された反応気体源と関連付けられる不活性ガス源はまた、継手104(b)および104(c)にもそれぞれ連結され得る。これらの不活性ガス源は、加圧してもしなくてもよい。これらの不活性ガス源は、例えば、希ガスまたは窒素ガス源の場合がある。ALD制御システム(図示せず)は、種々のガスの、ALD装置100への到達可否が選択的に行われ得るように、1つまたはそれ以上の弁を制御する。
【0021】
ALD装置100は、ウエハを堆積チャンバ内に挿入して、ウエハに薄膜を堆積させるように構成され得る。一般に、ALD装置100は、継手102(a)、102(b)の一方、または継手104(b)、104(c)の一方を経て、第1の反応ガスを受け入れ得る。ALD装置100はまた、継手104(a)〜104(d)を経て不活性ガスを受け入れ得る。一実施形態では、不活性ガスは、第1の反応ガスとともに堆積チャンバに入って、ウエハ上に第1の反応物質からなる単分子層だけを吸着させる。適切な弁(図示せず)を切り換えることによって、第1の反応ガスの流れが、好ましくは不活性ガス弁調節(IGV)機構(inert gas valving(IGV)arrangement)により停止され、次に、堆積チャンバおよびガス管が、継手104(a)、104(b)、104(c)、および104(d)からの不活性ガスでパージされる。堆積チャンバおよびガス管が、パージされた後、堆積サイクルが、他の反応ガスの1つまたはそれ以上の反応ガスにより続行される。一実施形態では、交互にパルス式に送出される反応物質が、基板またはウエハ面上において相互に反応して、各サイクルにおいて所望の生成物からなる単分子層のみを形成する。本来のALDを変形することによって、均一性がいくらか犠牲になっても、サイクルごとの、1つの単分子層上における堆積速度が増し得ることに留意すべきである。
【0022】
ALD装置100の実施形態では、2つを超える反応ガスを、各サイクルにおいてALD装置100の中に(パージ期間を間にはさんで)連続して流して、ウエハ上に化合物を形成し得る。堆積チャンバ内において吸着または反応が起こった後、各反応ガスの過剰量は、続いて、ガス出口106(図1B)から排出され得る。堆積チャンバからのガスの除去の助けとなるように、また堆積チャンバ内を低圧状態にするように、ガス出口106を真空ポンプに連結し得る。さらに、底部材112の他方の継手のどれかを真空ポンプに連結することにより、ALD装置100全体を排気して低圧にし得る。
【0023】
図2は、図1Aの2−2線に沿って切除したALD装置100の断面図である。ALD装置100内には、ガス分配装置202(図4にさらに詳細を示す)と、堆積チャンバ200とがあり、当該堆積チャンバ200は、トッププレートまたはカバープレート314、ボトムプレートまたはベースプレート206、サセプタまたはウエハ支持部204および排気除去器316により形成される。ガス分配装置202の上側に配置されているのは、1枚またはそれ以上の反射板208であり、また、堆積チャンバ200の下側に配置されているのは、1枚またはそれ以上の反射板210である。ALD装置100は、ウエハ支持部204、ウエハ支持部のヒーター216、およびサーマルスイッチ218をさらに含む。
【0024】
ウエハ支持部204は、ALD装置内に配置され、堆積プロセス中に基板またはウエハを支持するように構成される。ウエハ支持部204は、堆積チャンバ200内において回転するように適合され得る。ウエハ支持部のヒーター216は、ウエハ支持部204を加熱するように構成され得る。サーマルスイッチ218は、上部材110に設け得る。サーマルスイッチ218は、上部材110の温度をモニターするように構成され得る。本装置100は、本装置の種々の面を所望の温度に維持するために他の温度センサおよび制御機構を含むことが、理解されるだろう。
【0025】
ここに示す実施形態は、ガス分配装置202の上部と上部材110との間に熱障壁を提供する上反射板208を含む。同様に、下反射板210は、堆積チャンバ200の下部と底部材112との間に熱障壁を提供する。反射板208および210は、低圧環境において堆積チャンバを放射加熱することを助けるためにも使用される。図2に示すように、上部ヒーター114は、コイル212に結合され、当該コイル212は、上反射板208を貫通する。コイル212は、ガス分配装置202の上部を放射により加熱し得るように構成される。同様に、下部ヒーター116は、コイル214に結合され、当該コイル214は、下反射板210を貫通し、堆積チャンバ200の下部を加熱する。あるいは、他の加熱装置を使用してよい。
【0026】
ガス分配装置202は、継手102(a)、102(b)、104(b)、104(c)から入る反応ガスと、継手104(a)〜(d)から入る不活性ガスとを、ALD装置100に送るように構成される(図1Bを参照)。ガス分配装置202は、継手104(a)〜(d)から入る不活性ガスの1つまたはそれ以上を、所定のパルスの間に継手102(a)、102(b)、104(b)、104(c)から入る複数の反応ガスの1つの反応ガスと選択的に混合させるように、さらに構成される。結果として生じる混合物が、堆積チャンバ200に入る。各パルスの後に、ガス分配装置202は、パージなどによって、ガス出口106を経て堆積チャンバから、反応しなかった反応物質および不活性ガスを排出する。継手という用語は、1つまたはそれ以上のガス管同士の間においてガスの流れをつなぐことを示すために使用している。ここに示す継手の位置は、例示目的で示したに過ぎず、ガス管に沿った別の位置に配置してよい。さらに、所与の継手と関連づけられるガス管は、ガスをガス分配装置202の内外に流すように構成され得る。後述するように、ここに説明する例示的な実施形態における種々の継手は、ガス分配装置202内外へのガスの流れを表す。しかしながら、本発明は、ここに開示した例示的な実施形態に限定されない。
【0027】
反応ガスがALD装置100の中を循環する順番は、所望の製品により異なる。各ガスが堆積チャンバ200に入る前の、1つまたはそれ以上の反応ガス同士の相互作用を最小限にするために、反応ガスのパルス同士の間に、継手104(a)〜(d)から入る不活性ガスを、ALD装置100の中を周期的に循環させるか、または連続して流す。このようにして、不活性ガスが、堆積チャンバ200をパージする。以下に説明するように、種々の反応ガスと不活性ガスとは、開口部120から装入されるウエハに堆積が行われるように、ALD装置100の中を規則正しく循環する。
【0028】
図3は、図1AのALD装置100の堆積チャンバ200およびガス分配装置202の斜視図である。ガス分配装置202は、複数のガス管、混合器組立体304、移送管310、および吸気プレナムまたはマニホールド312を備える。堆積チャンバ200は、カバープレート314、ベースプレート206、および排気除去器316を含む。ガス分配装置202は、吸気プレナム312において堆積チャンバ200に連結される。
【0029】
図4において最もよく分かるように、この例では、複数のガス管が、4つの反応ガス管300、303、309、315と、8つの緩衝管301、302、305、307、311、313、317、および319とを含む。各反応ガス管は、緩衝管の2つと結合される。反応ガス管300は、緩衝管301、302と結合される。反応ガス管303は、緩衝管305、307と結合される。反応ガス管307は、緩衝管311、313と結合される。反応ガス管315は、緩衝管317、319と結合される。ガス分配装置202は、ALD装置100の構成により異なるもっと多くのまたは少ない反応ガス管と緩衝管とを含み得る。さらに、各反応ガス管は、2つの緩衝管に結合してもよいし、またはしなくてもよい。例えば、複数の反応ガス管の1つまたはそれ以上の管を、別の反応ガス管を結合せずに緩衝管に結合し得る。緩衝管に結合されていない反応ガス管は、他の手段により遮断し得る。
【0030】
各反応ガス管は、ガス分配装置202内に4つの継手を含む。反応ガス管300は、継手300(a)、300(b)、300(c)、および300(d)を備える。反応ガス管303は、継手303(a)、303(b)、303(c)、および303(d)を備える。反応ガス管309は、継手309(a)、309(b)、309(c)、および309(d)を備える。反応ガス管315は、継手315(a)、315(b)、315(c)、および315(d)を備える。各反応ガス管用の継手を後述する。
【0031】
継手300(a)は、反応ガス管300を継手102(b)と結合し、当該継手102(b)は、反応物質源(図1Bを参照)に通じる。継手300(b)は、反応ガス管300を緩衝管302と結合する。継手300(c)は、反応ガス管300を緩衝管301と結合する。継手300(d)は、反応ガス管300を混合器組立体304と結合する。
【0032】
継手303(a)は、反応ガス管303を継手104(b)と結合し、当該継手104(b)は、別の反応物質源と通じる(図1B)。継手303(b)は、反応ガス管303を緩衝管307と結合する。継手303(c)は、反応ガス管303を緩衝管305と結合する。継手303(d)は、反応ガス管303を混合器組立体304と結合する。
【0033】
継手309(a)は、反応ガス管309を継手104(c)と結合し、当該継手104(c)は、別の反応物質源と通じる(図1Bを参照)。継手309(b)は、反応ガス管309を緩衝管313と結合する。継手309(c)は、反応ガス管309を緩衝管311と結合する。継手309(d)は、反応ガス管309を混合器組立体304と結合する。
【0034】
継手315(a)は、反応ガス管315を継手源102(a)と結合し、当該継手源102(a)は、さらに別の反応物質源と通じる(図1Bを参照)。継手315(b)は、反応ガス管315を緩衝管319と結合する。継手315(c)は、反応ガス管315を緩衝管317と結合する。継手315(d)は、反応ガス管315を混合器組立体304と結合する。
【0035】
緩衝管301、302、305、307、311、313、317、および319は、継手301(a)、302(a)、305(a)、307(a)、311(a)、313(a)、317(a)、および319(a)をそれぞれ含む。
【0036】
図3および図4に示す実施形態では、各継手301(a)、305(a)、311(a)、および317(a)は、ガス分配装置202内への流路を提供する。継手301(a)は、緩衝管301を継手104(a)と結合する(図1Bを参照)。継手305(a)は、緩衝管305を継手104(b)と結合する(図1Bを参照)。継手311(a)は、緩衝管311を継手104(c)と結合する(図1Bを参照)。継手317(a)は、緩衝管317を継手104(d)と結合する(図1Bを参照)。
【0037】
各継手302(a)、307(a)、313(a)、および319(a)は、ガス分配装置202と排気除去器316との間の、連結部320(a)〜(d)を介した流路を提供する。連結部320(a)は、継手302(a)を排気除去器316と連結する。連結部320(b)は、継手307(a)を排気除去器316と連結する。連結部320(c)は、継手313(a)を排気除去器316と連結する。連結部320(d)は、継手319(a)を排気除去器316と連結する。これらの連結は、不活性ガス弁調節(IGV)の操作に役立つ。
【0038】
図3に示す実施形態では、反応ガス管300、303、309、および315は、反応ガスを混合器組立体304に送る。緩衝管301、305、311、および317は、不活性ガスを混合器組立体304に送る。その結果生じる混合物(一度に1つの反応物質が不活性ガスと反応する)が、移送管310を通って、吸気プレナム312に流れる。吸気プレナム312は、移送管310の中の流路に対して横断方向に混合物を分配する。混合物は、吸気プレナム312を出てカバープレート314を通って堆積チャンバ200内に入る。図2および図3に示すように、カバープレート314は、ベースプレート206に隣接しており、2枚のプレートが、それらの間に、ウエハ支持部204に配置された基板またはウエハ上方に混合物を流す流路を形成する。ベースプレート206およびカバープレート314の外周は、実質的に長方形である。
【0039】
混合物パルスが、堆積チャンバ200を横切っている間に、基板の面を飽和させる。流れる混合物と、その前のパルスにより引き起こされて残った基板の面との間に吸着または反応が、起こる。混合物は、堆積チャンバ200を通過した後、排気除去器316に向かって流れる。排気除去器316は、混合物がウエハを飽和させた後、過剰の混合物およびどんな副生成物も集めるように構成される。一実施形態では、排気除去器316内の領域の圧力は、堆積チャンバ200内の圧力よりも低い。負の圧力源または真空部は、排気除去器316および/またはガス出口106と流体連通して、堆積チャンバ200から混合物を引き出し得る。排気除去器316は、ガス出口106と流体連通している。集められた混合物は、ガス出口106から堆積チャンバ200を出る。
【0040】
なお図3を参照すると、混合器組立体304は、上流部材306および下流部材308を含む。上流部材306は、反応ガス管および緩衝管と流体連通している。上流部材306は、混合物が下流部材308に入るよりも前に、反応ガスを不活性ガスと混合するように構成される。下流部材308は、上流部材306と移送管310との間において混合物をじょうご状に通す。下流部材308は、一般に、混合物の流路の断面積を連続して狭くすることにより、混合物が下流部材308内を再循環する傾向を最小限にするように、構成される。
【0041】
図4は、緩衝管に結合された反応ガス管と、混合器組立体の上流部材306との上平面図である。継手300(c)と継手300(b)との間の反応ガス管300内に、緩衝領域400(a)が形成される。継手303(c)と継手303(b)との間の反応ガス管303内に、緩衝領域400(b)が形成される。継手309(c)と継手309(b)との間の反応ガス管309内に、緩衝領域400(c)が形成される。継手315(c)と継手315(b)との間の反応ガス管315内に、緩衝領域400(d)が形成される。緩衝管301、305、311、および317は、ガス分配装置202内への流路を形成しており、継手300(b)、303(b)、309(b)、および315(b)の下流の、関連づけられるガス管に結合している。このように、継手301(a)、305(a)、311(a)、および317(a)から入ってくるガスは、反応ガス管と、緩衝管302、307、311、および319との継手の下流の、反応ガス管300、303、309、315に入る。固定されたオリフィスを、継手302(a)、307(a)、313(a)および319(a)に配置してもよい。
【0042】
図3において分かるように、継手302(a)、307(a)、313(a)および319(a)は、排気除去器316と連通している。オリフィスは、ガスが排気除去器316に流れにくくなり堆積チャンバ200を迂回しにくくなる通路を作り出す。このように、反応ガスのパルス中に、継手300(a)、303(a)、309(a)または315(a)から入る反応ガスの少量が、堆積チャンバを迂回して、排気除去器316に直接流れる。オリフィスにより生じる制限によって、反応物質の分流量が制限される。パージステップ中、継手301(a)、305(a)、311(a)、および317(a)から入る少なくとも不活性ガスの一部分が、継手300(b)、303(b)、309(b)、および315(b)に向かう逆向きの流れを生じて、緩衝領域400(a)〜(d)が、反応ガス管内に形成される。緩衝領域は、パージステップ中に、または他の反応ガス管の1つから混合器組立体304内へ反応物質からなる反応物質が流れている間に、反応ガスがリアクタ内に拡散することを妨げる。
【0043】
例えば、ALD処理ステップ中、反応ガスは、反応ガス管300を通って混合器組立体の上流部材306に流れる。この反応ガスの少量は、緩衝管302から継手302(a)を通って排気除去器316内に分流される。緩衝管に分流されるガスの量は、継手302(a)に固定されたオリフィスの大きさにより異なる。固定されたオリフィスの大きさは、ガスをある程度排気除去器316に分流するように変更し得る。残りの反応ガスは、緩衝領域400(a)を通って継手300(c)に流れる。
【0044】
反応ガスを上流部材306内に押し込むために、不活性ガスを、継手301(a)から導入してもよいし導入しなくてもよい。不活性ガスを継手301(a)から導入した場合、不活性ガスは、継手300(c)において反応ガスと合流し、上流部材306に流れる。パルスステップの後、反応ガスが、ガス管からパージされる。ガス管のパージは、例えば、残りのどんな反応ガスも上流部材306内に拡散させないように、継手300(a)からの反応ガスの流れを遮断することによりかつ/または不活性ガスを使用することにより、行い得る。遮断弁を、被加熱領域外に配置し、反応ガスの流れを遮断するために使用し得る。不活性ガス弁調節(IGV)プロセスにおいて継手301(a)から不活性ガスを導入し得る。2001年12月27日公開の米国特許出願公開第2001/0054377号明細書にその全体が説明されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
不活性ガスの流れの第1の部分は、緩衝領域400(a)に入り、継手300(b)の上流をまたは継手300(b)に向かって逆向きに流れる。ガスの流れの第2の部分は、上流部材306の下流を上流部材306に向かって流れる。第1の部分は、緩衝領域400(a)の端部において反応ガス管300を出て、緩衝管302に入る。第1の部分が緩衝領域400(a)を流れている間に、継手300(a)の上流の遮断弁と継手300(b)との間の残りの反応ガスが、上流部材306に流れるまたは拡散することが、妨げられ、(離れた)物理的な弁は、高温により摩耗しない。第1の部分は、緩衝部または拡散障壁(または不活性ガス弁)を形成し、当該緩衝部または拡散障壁によって、反応ガスが、反応ガス管300を通って混合器組立体304に流れることが妨げられる。ALD制御システムは、継手300(a)の上流の遮断弁を周期作動させることによって、不活性ガスを緩衝管301内に流すか流さないかを制御し得る。このように、ALD制御システムは、継手300(a)から反応ガス管300に入る反応ガスの、上流部材306への到達是非を迅速に制御し得る。さらに、パージステップ、および他の反応ガスの次のパルスの間に、継手300(a)の上流の遮断弁と、継手300(b)との間に位置する「デッドスペース」内の反応ガスが、上流部材306内に拡散することが妨げられ得る。これは、異なる反応ガスが、隔離されたままであり、気相においては反応せず、基板の面においてしか反応しないことから、ALDに好ましい場合がある。
【0046】
継手303(a)からガス分配装置202に入る反応ガスの、上流部材306への到達は、ガスを、緩衝管305から反応ガス管303内に継手303(c)から流し、かつ継手303(a)の上流の遮断弁を使用することにより、同様に制御される。継手303(c)から反応ガス管に入るガスの第1の部分は、緩衝部400(b)を形成する。このように、ガスの第1の部分は、反応ガス管303から入る反応ガスが、上流部材306に入ることを妨げる。継手303(c)において反応ガス管に入るガスの第2の部分は、緩衝領域400(b)から流出し、上流部材306に向かって流れる。
【0047】
継手309(a)からガス分配装置202に入る反応ガスの、上流部材306への到達は、ガスを、緩衝管311から反応ガス管309内に継手309(c)から流し、かつ継手309(a)の上流の遮断弁を使用することにより、同様に制御される。継手309(c)から反応ガス管に入るガスの第1の部分は、緩衝部400(c)を形成する。このように、ガスの第1の部分は、反応ガス管309から入る反応ガスが、上流部材306に入ることを妨げる。継手309(c)から反応ガス管に入るガスの第2の部分は、緩衝領域400(c)から流出し、上流部材306に向かって流れる。
【0048】
継手315(a)からガス分配装置202に入る反応ガスの、上流部材306への到達は、ガスを、緩衝管317から反応ガス管315内に継手315(c)から流し、かつ継手315(a)の上流の遮断弁を使用することにより、同様に制御される。継手315(c)から反応ガス管に入るガスの第1の部分は、緩衝部400(d)を形成する。このように、ガスの第1の部分は、反応ガス管315から入る反応ガスが、上流部材306に入ることを妨げる。継手315(c)から反応ガス管に入るガスの第2の部分は、緩衝領域400(d)から流出し、上流部材306に向かって流れる。
【0049】
上述のように、緩衝管301、305、311、および317からガス分配装置202に入り、緩衝領域400(a)〜(d)を形成するガスの第1の部分は、緩衝管302、307、313、および319から出て行く。緩衝管302、307、313、および319から出て行くガスは、堆積チャンバ200を通過せずに排気除去器316に入る。このように、不活性ガスの第1の部分は、堆積チャンバ200を迂回し、堆積チャンバ200の下流の排気除去器316により集められる。
【0050】
上述のように、緩衝管301、305、311、および317からガス分配装置202に入るガス、および緩衝領域400(a)〜(d)から流出するガスからなる第2の部分は、混合器組立体304に入る。反応物質パルス中に、第2の部分は、他の反応ガス管からの1つまたはそれ以上の反応ガスと混合され、混合器組立体304に到達する。このように、第2の部分は、堆積チャンバ200の中を流れる。現在のALD処理ステップにより異なるが、ガスは、各緩衝管301、305、311、および317の中を周期的に流れ得る。
【0051】
ALD制御システムにより堆積チャンバ200への到達を要求された反応ガスは、各反応ガス管を通って混合器組立体304内に流れる。ALD制御システムは、ALD制御システムにより堆積チャンバ200への到達を要求されなかった反応ガスと関連づけられる反応ガス管内に、緩衝領域400を形成する。緩衝領域400のない反応ガス管の中を流れる反応ガスは、その他の反応ガス管を通って混合器組立体304内に同時に流れる1つまたはそれ以上の不活性ガスの第2の部分と、混合される。上に説明したように、これらのガスの第1の部分は、その他の反応ガス管内に緩衝領域を形成し、堆積チャンバ200を迂回する。
【0052】
4つの反応ガス管を含むALD装置100の一実施形態では、各反応ガスは、交互に混合器組立体304に到達する。本実施形態では、ALD制御システムにより選択された反応ガスは、不活性または「バッファ」ガス流が残りの3つの反応ガス管内を流れている間に、混合器組立体304内に流れる。本実施形態を続けると、緩衝領域から流出するガスの第2の部分が、混合器組立体304に入る。次に、当該パルスの反応ガスは、混合器組立体304内において第2の部分の不活性ガスと混合される。
【0053】
ALD装置100のここに示す実施形態の別の態様および特徴は、2004年5月7日付出願の米国特許出願第10/841585号明細書に見出され、その全体が、参照によりここに組み込まれる。
【0054】
図5は、上述の移送管310、プレナム312、トッププレート314およびボトムプレート206の実施形態の断面図である。特に、この図は、混合器組立体304から堆積チャンバ200までのガス通路を示す。図5に示すように、シム500が、プレナム312とトッププレート314との間に配置され得る。シム500には、一連の小さい注入孔501を設けることができ、当該注入孔501は、堆積チャンバ200に均一な流れを供給するのに十分な背圧をプレナム312内に生成するように設けられる。しかしながら、図5に示すように、この設計によって、堆積チャンバ200と移送管310との間に多数の再循環セル502が作り出されることになる。これらの再循環セル502内に、続いて起こるパルスによる反応物質が集まる。この結果、堆積チャンバ200内においてCVD堆積が起こり得る。このようなCVD堆積は、一般に望ましくなく、堆積チャンバ200内に粒子が付着することになる場合がある。さらに、シム500によって、ガス流が急に圧縮され次に膨張し得る。これによって、ガスの温度が急に下がる結果、ガス流中の前駆物質の凝縮が起こり得る。
【0055】
図6〜図9Aは、移送部材510およびトップ(カバー)プレート514の実施形態を示す。本実施形態では、ガス流の圧縮および膨張を円滑に行うことにより、ガス通路内の再循環セルを減らすかまたは除去する必要がある。図6および図7は、それぞれ、移送部材510およびトッププレート514の、上斜視図および平面図である。図8は、移送部材510を取り外したトッププレート514の上平面図である。図9は、図7の9−9線に沿った断面図であり、図9Aは、図9の一部分の拡大図である。
【0056】
ここに示すように、移送部材510は、概ね三角形の流路を形成し、当該流路は、混合器304からガスを徐々に膨張させ得る。図8〜図9において最もよく分かるように、ここに示した実施形態における移送部材510は、混合器304に概ね隣接する第1の部分518と、トッププレート514の開口部522に概ね隣接する第2の部分520と、を含む。図7および図8に示すように、第1の部分518は、水平方向に末広形の一対の壁519を含み、当該壁519は、角度Aで水平方向に拡大し、また、第2の部分520は、水平方向に末広形の一対の壁521を含み、当該壁521は、角度Bで水平方向に拡大する。一実施形態では、角度Bは、角度Aより大きい。一実施形態では、Aは、約5度から45度までであり、Bは、約30度から75度である。ここに示す実施形態では、水平方向に末広形の壁は、実質的にまっすぐである。しかしながら、変更された実施形態では、水平方向に末広形の壁は、湾曲させ、円弧状にし、また連続して変化させかつ/または弓形(segmented)にしてよい。このような実施形態では、末広形の壁の末広の角度は、上述の範囲内の平均または中間であり得る。
【0057】
図9に示すように、移送部材510は、上壁523を含み、当該上壁523は、部分的に、ガス流路511の高さを定め、ガス流路511の高さは、壁519と、壁521と、上壁523と、トッププレート514の上面525とにより、定められる。一実施形態では、第1の部分518では、ガス流路511の高さh1は、実質的に一定であることが好ましい。第2の部分520では、ガス流路511の高さh2は、ガス流の方向に徐々に低くなっていく。こうして、開口部522に隣接した第2の部分520の容積は、図5のプレナム312と比較して、減少し得る。さらに、ガス流の膨張が円滑に行われ、チャンバの幅にわたってガス流が広がる助けとなる背圧が増すように、ガス通路の高さは、移送部材510が水平方向に拡大するにつれて低くなる。ここに示す実施形態では、流路211により画定されるガス通路は、堆積チャンバ200内のガス通路と概ね平行でありその反対側にある(例えば、図11を参照)。
【0058】
ここに示す実施形態の別の利点は、ガス流路511が、移送部材510と、トッププレート514の上面525との間に形成されることである。この「クラムシェル」形の構成によって、例えば、管に比べて、移送部材511の洗浄・修理がしやすくなる。特に、トッププレート514からの取り外しを行うと、大きな開口が生じ、当該開口が、移送部材511の内側の面に露出して、洗浄・修理が容易になる。
【0059】
ここで図8、図9および図9Aを参照すると、移送部材510からガスを受け入れる開口部522が、トッププレート514に設けられる。一実施形態では、開口部522の断面積は、第2の部分520の端の(ガス流に対する)断面積と実質的に等しい。こうして、移送部材510からトッププレート514内へのガスの円滑な流れが、促進される。開口部522の形状は、概ね長い長方形であり得る。図8を参照。
【0060】
図9Aに示すように、トッププレート514は、開口部522から、徐々に縮小する部分524を含み、当該部分524は、幅が狭くなった領域526に連結されている。縮小部分524は、テーパーまたは傾斜のついた壁525を含み、当該壁525は、徐々にガス流の断面積を狭める。ここに示す実施形態では、幅が狭くなった領域526は、実質的に一定の断面積の概ね長方形のスリットを含み、当該スリットは、トッププレート514を下へ概ね垂直方向に延びる。狭くなった領域526は、混合器304と堆積チャンバ200との間の(ガス流に関して)断面積が最も狭い、ガス流の部分である。狭くなった領域526は、特に堆積チャンバ200の幅w(図8を参照)に沿って均一な流れを供給するのに十分な背圧を生成するように構成される。狭くなった領域526の端は、拡大部分528と連通している。拡大部分528は、緩やかなまたはテーパーのついた壁529を含み、当該壁は、ガスが堆積チャンバ200に入るにつれて徐々に膨張するように、ガス流の断面積を大きくするように形成される。拡大部分528の流出口530は、堆積チャンバ200と連通している。
【0061】
狭くなった領域526は、図5に関して記載したシム500の個々の孔(実質的に二次元の通路)と比較して、堆積チャンバ200を垂直および水平方向に長く延びる(三次元の通路である)(図8を参照)ことが好ましい。例えば、個々の孔と比較すると、x平面(すなわち孔同士の間)、z方向(すなわち孔の下)における再循環セルおよびデッドスペースは、排除されるかまたは減少する。移送部材510、プレナム512およびトッププレート514をこの構成にすることによって、混合器304からガスが取り出され、堆積チャンバ200の一部分に広がることが好ましい。次に、ガス流は、堆積チャンバ200内に流入するにつれて、180度回転させられる。
【0062】
堆積チャンバ200内に、利用されない容積および/または再循環セルも形成される場合がある。例えば、図10は、図1〜図4の堆積チャンバ200の基板Sおよびサセプタプレート204の概略図である。ここに示すように、基板Sとサセプタプレート204との間に間隙g2が存在し、またサセプタプレート204とベースプレート206との間に間隙g1が存在する。ある場合には、これらの間隙g1、g2は、パージすることが困難であり、再循環セルを含み、かつ/または利用されない容積である場合がある。
【0063】
図11は、図7の9−9線と同様の線に沿った、ボトムプレート600およびサセプタ602の変形実施形態の部分断面図である。図12は、ボトムプレート600およびサセプタ602の部分斜視図である。ここに図示したように、本実施形態では、ベースプレート600は、厚さtの密閉部604を有する。密閉部604の下面605は、サセプタ602を密閉して、反応チャンバが密閉される。一実施形態では、密閉部604の端部606は、サセプタ602に配置される基板の厚さと概ね等しい厚さtである。基板の厚さにより異なるが、密閉部604の厚さは、約0.5から約3ミリメートルの範囲であり得る。このように、ガスがボトムプレート600上方を基板に向かって流れるにつれて、基板の厚さと概ね等しい深さの浅い段状部のみがガスにさらされる。これによって、再循環ゾーンの大きさが小さくなるか、または再循環ゾーンが取り除かれ、堆積チャンバ200のパージが促進される。
【0064】
ボトムプレート600およびサセプタ602を図11および図12に示す構成にすることの別の利点は、ボトムプレート600とサセプタ602との間の密閉または接触面が、図10の構成と比較して高くなることである。例えば、ここに示す実施形態では、密閉部604の下面605と基板とは、実質的に同じ垂直方向の高さに配置される。一実施形態では、下面605と基板との間の高さの相違は、約0から約2ミリメートルである。この構成にすることによって、基板とボトムプレート604との間の利用されない空間の容積が減少し、堆積チャンバ200内の再循環セルの形成が妨げられるかまたは制限されることが好ましい。
【0065】
図13および図14に、サセプタ602をさらに詳細に示す。図13は、サセプタ602の上斜視図であり、当該サセプタ602は、図11および図12に示した向きに対して180度回転している。図14は、基板を配置したサセプタ602の断面図である。
【0066】
本実施形態では、サセプタ602は、基板Sが堆積チャンバ200に対して中心をずらして配置され得るように構成されている。このように、基板と、サセプタ602とボトムプレート600との間の界面との間の間隙g3は、基板Sの(ガスの流れに対して)前の縁からさらに遠くにずらし得る。一般に、基板の前縁は、基板の後縁に対して、堆積チャンバ200内への流入口の近傍に配置され、当該後縁は、堆積チャンバ200の流出(排気)口の近傍に配置される。
【0067】
別の実施形態では、基板を、サセプタの中心に配置(実質的に中心に配置)し得る。このような実施形態では、サセプタ602とボトムプレート600との間の界面と、基板の縁との間の距離を長くするように、サセプタを大きくし得る。一実施形態では、サセプタ602の直径は、基板の直径よりも少なくとも約10%大きい。別の実施形態では、サセプタのこの直径は、基板の直径よりも少なくとも約25%大きい。別の実施形態では、サセプタの直径は、基板の直径より約10%〜約25%大きい。このような実施形態ではまた、基板の前縁と、サセプタと密閉面との間の界面との間の空間を広げ得る。上述の大きいサセプタはまた、単独で使用することもできるし、または基板の前縁と、サセプタと密閉面との間の界面との間の空間がさらに大きくなるように、この段落において説明した中心をずらす特徴と組み合わせて用いることもできる。
【0068】
幅および/またはサイズが同じサセプタの、基板の前縁と、サセプタ602とボトムプレート600との間の界面との間の間隙g3を広げ得ることが好ましい。このように、サセプタ602とボトムプレート600との間の切れ目により作り出されるどんな再循環セルも、基板Sの前縁からさらに遠くにずれる。よって、一実施形態では、サセプタ602に配置される基板の中心は、サセプタ602とボトムプレート600との間の界面または密閉部に対して非対称的にかつ/または中心をずらして配置される。変形実施形態では、サセプタは、サセプタ602とボトムプレート600との間の切れ目から基板の前縁をさらに遠ざけるように、非円形または非対称的な形状にし得る。
【0069】
図11に示すように、サセプタ602は、複数のピン609を含むことができ、当該ピン609は、サセプタ上の基板の動きを抑制または制限するようにサセプタ602の上面から延びる。ピン609は、基板の動きを抑制または制限するために使用する場合がある肩部または畝状部(例えば、図10において間隙g2を作り出す肩部を参照)と置き換え得る。このような肩部または畝状部は、再循環および/または利用されないゾーンを作り出す場合があるので、好ましくない。よって、一実施形態では、密閉面とサセプタとの間の界面との間のサセプタ上面領域は、実質的に平坦で、このような肩部または畝状部を含まない。このような構成にすることによって、再循環および/または利用されないゾーンが取り除かれ得る。
【0070】
図13を引き続き参照し、図14を参照すると、サセプタは、凹所領域610を含むことができ、当該凹所領域610は、基板がその縁にのみ接触する(または実質的に接触する)ように、形成される(図14を参照)。この実施形態は、ウエハが湾曲しかつ/またはサセプタが半球状になることが問題化しにくくするのに役立つ。特に、ウエハが湾曲しかつ/または半球状になることによって、基板の縁とサセプタとの間に隙間が生じる場合がある。ガスは、この隙間に閉じ込められて、パージが不十分になり、裏面堆積が起こる恐れがある。図14に示すようにその縁に沿って基板を接触させることによって、ウエハが湾曲しかつ/または半球状になることにより基板Sの縁とサセプタ602との間に隙間が生じなくなる。これによって、基板とサセプタとの間にガスが閉じ込められなくなるか、または閉じ込められにくくなる。一実施形態では、凹所領域610の深さは、約0.2から0.5ミリメートルである。別の実施形態では、基板Sとサセプタ602とは、連続したまたは実質的に連続した密閉部が基板Sの縁に沿って形成されるように形成される。
【0071】
引き続き図13を参照すると、凹所610を、サセプタ602と基板との間の密閉部も概ね円形になるように概ね円形にし得る。さらに、ここに示すように、凹所610の中心cを、概ね円形のサセプタ602の外側の縁に対して「中心をずらして」配置し得る。このように、基板の(ガスの流れに対して)前の縁を、上述のように後縁と比較して、ボトムプレート600の密閉部604から間隔を置いて配置し得る。これによって、ウエハが、ウエハの前の再循環セルからさらに間隔を置いて配置され得る。クロスフローリアクタ内においてウエハ全体の上方にガスが流されるので、サセプタとベースプレートとの間の後方密閉部の再循環セルは、堆積の均一性にそれ程影響を与えない。
【0072】
図15は、縁と接触するリフトピン620の実施形態の部分断面図を示し、当該リフトピン620は、上述のサセプタ602と組み合わせて使用し得る。ここに示すように、ピン620は、ピンヘッド622を含むことができ、当該ピンヘッド622は、基板Sを固定するためのノッチ624または面取りされた縁を含む。ピンヘッド622は、基板の縁と接触するように形成され、概ねサセプタ602と凹所領域610との間の界面にある。ピンヘッド622は、ピンシャフト626に結合可能であり、当該ピンシャフト626は、サセプタの開口部628を貫通する。
【0073】
ピン620は、サセプタ602が堆積チャンバ200内に持ち上げられるとき、ピンヘッド622がサセプタ602に形成された凹所領域630内に配置されるように、形成され得る。サセプタが下降させられると、ピンヘッド622は、サセプタ602に相対的に持ち上がり得る。例えば、代理人整理番号ASMEX.532Aであり、2006年1月
日付出願で同時係属中の米国特許出願第 / 号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように、一実施形態では、ピン620が凹所630内に着座する「下降」位置から持ち上がるように、基板は、リフト機構により下向きに移動させられる。このように下向きに移動させることによって、支持ピン620の底面が、サセプタ602の下に位置するコネクタ(図示せず)と接触する。ピン620がコネクタと接触することによって、シャフト626の下部を囲むばね(図示せず)が圧縮される。サセプタ602が下向きに移動させられている間ばねが圧縮されるにつれて、ばねは、サセプタ620が次に持ち上げられたときにピン620を相対的に「下降」させやすくなる復元力を得る。したがって、コネクタによりピンを下向きに移動させるために、ばねとプラットフォームまたは「フロア」とを組み合わせることによって、堆積チャンバ200に対してピンを固定する必要なしに、サセプタ602が上下動している間に、ピンを相対的に固定したままにし得る。
【0074】
本発明をある好ましい実施形態および例に関して開示してきたが、本発明が、特に開示した実施形態を超えて、他の代替実施形態、および/または本発明、明確な変更およびその均等物の利用にまで及ぶことが、当業者には理解されるだろう。さらに、本発明のいくつかの変形を示し詳細に説明してきたが、それらは、本発明の範囲内であって、この開示に基づいて当業者に容易に理解されるだろう。実施形態の特定の特徴および態様を、本発明の範囲内において、種々の組み合わせまたは組み合わせの構成要素にすることができることも、理解される。したがって、ここに開示した発明のモードを変更するために、ここに開示した実施形態の種々の特徴および態様を、相互に組み合わせ得るかまたは置き換え得ることを理解すべきである。よって、ここに開示した本発明の範囲は、ここに開示した上述の特定の実施形態により限定されないが、以下の特許請求の範囲を公平に読むことによってのみ定められるものと解釈される。
【0075】
(1)堆積チャンバ内に画定された空間内において載置されたウエハに薄膜を堆積させるように構成され、前記空間内と連通するガス流入口を含む、前記堆積チャンバと、
前記堆積チャンバのガス流入口にガスを送出するように構成され、前記堆積チャンバの上方に少なくともその一部分が配置されるガスシステムと、
を備え、当該ガスシステムは、
複数のガスの流れを混合するように構成された混合器と、
前記混合器と前記ガス流入口とに流体連通し、前記ガス流入口に入る前にガスを水平方向に拡散させるように形成された水平方向に末広形の一対の壁を含む移送部材と、
を備える原子層堆積(ALD)式薄膜堆積装置。
(2)前記移送部材は、第1の部分と、下流の第2の部分と、を含み、前記第1の部分は、第1の角度で末広形になった水平方向に末広形の一対の壁を含み、前記第2の部分は、前記第1の角度よりも大きい第2の角度で末広形になった、水平方向に末広形の一対の壁を含む。
(3)前記水平方向に末広形の壁は、実質的にまっすぐである。
(4)前記水平方向に末広形の壁は、湾曲している。
(5)前記移送部材により画定される前記ガス通路の第1の部分の高さは、実質的に一定である。
(6)前記移送部材により画定される前記ガス通路の第2の部分の高さは、ガスの流れる方向に低くなる。
(7)前記移送部材により画定される前記ガス通路の第1の部分の高さは、実質的に一定である。
(8)前記移送部材を通る流路は、ウエハに実質的に平行である。
(9)移送部材および前記混合器は、前記堆積チャンバの上方に配置される。
(10)前記移送部材を通る流路は、ウエハに実質的に平行である。
(11)前記堆積チャンバ内の空間を通る流路は、前記移送部材を通る流路に実質的に平行でありかつそれと反対側にある。
(12)前記堆積チャンバの前記ガス流入口は、前記移送部材と連通する縮小部分と、前記堆積チャンバ内の空間と連通する拡大部分と、前記縮小部分と拡大部分との間に位置する幅が狭くなった部分と、を含み、前記縮小部分は、前記プレナムから前記幅が狭くなった部分の方へ前記ガス通路の断面積が狭くなるように形成され、前記拡大部分は、前記幅が狭くなった部分から前記堆積チャンバ内の空間の方へ前記ガス通路の断面積が広くなるように形成される。
(13)前記混合器と前記堆積部との間の前記ガス通路の断面積は、前記幅が狭くなった部分において最も狭くなる。
(14)前記堆積チャンバのガス流入口は、前記堆積チャンバ内の空間を通る流路が前記移送部材を通る流路に実質的に平行でありかつその反対側に存在するように、形成される。
(15)前記堆積チャンバは、トッププレートと、ボトムプレートと、鉛直方向に移動して前記ボトムプレートに対して密閉を行うサセプタとを含み、また、前記ガス流入口は、前記トッププレートに形成される。
(16)前記堆積チャンバは、トッププレートと、ボトムプレートと、サセプタとを含み、当該サセプタは、第1の部分において前記ボトムプレートの下面に対して密閉を行うように前記ボトムプレートに対して鉛直方向に移動する構成となっている。
(17)堆積チャンバ内に画定された空間内に載置されたウエハ上に薄膜を堆積させるように構成され、前記空間と連通するガス流入口と、さらに、密閉面を含む密閉部とを備える、前記堆積チャンバと、
前記ウエハを前記空間内において支持するように形成されたサセプタであって、前記サセプタが前記密閉面に対して密閉を行う第1の位置と、前記サセプタが前記密閉面に対して密閉を行わなくなる下方の第2の位置との間を、前記堆積チャンバに対して鉛直方向に移動するように形成された前記サセプタと、
を備え、
前記第1の位置において、前記密閉面と前記サセプタとの間の界面と、前記サセプタ上に配置された前記ウエハとの間の垂直方向の距離が、約2ミリメートル未満である原子層堆積(ALD)式薄膜堆積装置。
(18)前記密閉面とサセプタとの間の界面と、前記サセプタ上に配置された前記ウエハとは、垂直方向において実質的に同じ高さに配置される。
(19)前記密閉面と前記サセプタとの間の界面との間の前記サセプタの上面領域は、実質的に平坦である。
(20)前記密閉部の端の厚さは、約0.5から約3ミリメートルである。
(21)前記堆積チャンバは、トッププレートと、ボトムプレートとを備え、前記ボトムプレートは、少なくとも部分的に、前記密閉部を形成し、また、前記トッププレートは、少なくとも部分的に、前記ガス流入口を形成する。
(22)前記サセプタは、前記ウエハが前記サセプタ上に配置されたとき、前記ウエハの、ガスの流れに対して前の縁が、前記ウエハの後縁と比較して、前記密閉面から、より遠くに配置されるように、形成される。
(23)前記サセプタの直径は、前記ウエハの直径より約10%〜約25%大きい。
(24)半導体基板を処理するための基板支持部であって、当該基板支持部は、凹所を有する上面を含み、前記凹所は、前記基板支持部の上面が、前記基板の縁部分に沿ってのみ前記基板に接触するように形成される基板支持部。
(25)前記凹所の深さは、約0.2から約0.5ミリメートルである。
(26)前記凹所は、概ね円形である。
(27)前記概ね円形の凹所の中心は、前記支持部の外側の縁に対してずらして配置される。
(28)前記支持部の上面と、前記基板とは、概ね円形の密閉部を形成する。
(29)前記概ね円形の密閉部の中心は、前記支持部の外側の縁に対してずらして配置される請求項28に記載の基板支持部。
(30)前記サセプタの縁と前記凹所との間の前記サセプタの上面の領域は、実質的に平坦である。
(31)前記上面の領域は、少なくとも1つのピンを含む。
(32)堆積チャンバ内に画定された空間内に載置されたウエハに薄膜を堆積させるように形成され、前記空間と連通するガス流入口と、さらに、密閉面を含む密閉部とを備える、前記堆積チャンバと、
前記ウエハを前記空間内において支持するように形成されたサセプタであって、前記サセプタが前記密閉面に対して密閉を行う第1の位置と、前記サセプタが前記密閉面に対して密閉を行わなくなる下方の第2の位置との間を、前記堆積チャンバに対して鉛直方向に移動するように形成された前記サセプタと、
を備え、
前記サセプタは、前記第1の位置において、前記ウエハが前記サセプタに配置されるとき、前記ウエハの、ガスの流れに対して前の縁が、前記ウエハの後の縁と比較して、前記密閉面から、より遠くに配置されるように、形成される原子層堆積(ALD)式薄膜堆積装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積チャンバ内に画定された空間内に載置されたウエハ上に薄膜を堆積させるように構成され、前記空間と連通するガス流入口と、さらに、密閉面を含む密閉部とを備える、前記堆積チャンバと、
前記ウエハを前記空間内において支持するように形成されたサセプタであって、前記サセプタが前記密閉面に対して密閉を行う第1の位置と、前記サセプタが前記密閉面に対して密閉を行わなくなる下方の第2の位置との間を、前記堆積チャンバに対して鉛直方向に移動するように形成された前記サセプタと、
を備え、
前記第1の位置において、前記密閉面と前記サセプタとの間の界面と、前記サセプタ上に配置された前記ウエハの上面との間の垂直方向の距離が、約2ミリメートル未満である原子層堆積(ALD)式薄膜堆積装置。
【請求項2】
前記密閉面とサセプタとの間の界面と、前記サセプタ上に配置された前記ウエハとは、垂直方向において実質的に同じ高さに配置される請求項1に記載のALD式薄膜堆積装置。
【請求項3】
前記基板と、前記密閉面と前記サセプタとの間の界面との間の前記サセプタの上面領域は、実質的に平坦である請求項1に記載のALD式薄膜堆積装置。
【請求項4】
前記堆積チャンバは、トッププレートと、ボトムプレートとを備え、前記ボトムプレートは、少なくとも部分的に、前記密閉部を形成し、また、前記トッププレートは、少なくとも部分的に、前記ガス流入口を形成する請求項1に記載のALD式薄膜堆積装置。
【請求項5】
前記ウエハは前記サセプタ上に配置され、前記ウエハの、ガスの流れに対して前の縁が、前記ウエハの後縁と比較して、前記密閉面から、より遠くに配置されるように、形成される請求項1に記載のALD式薄膜堆積装置。
【請求項6】
前記サセプタの直径は、前記ウエハの直径より約10%〜約25%大きい請求項1に記載のALD式薄膜堆積装置。
【請求項7】
半導体基板を処理するための基板支持部であって、当該基板支持部は、凹所を有する上面を含み、前記凹所は、前記基板支持部の上面が、前記基板の縁部分に沿ってのみ前記基板に接触するように形成される基板支持部。
【請求項8】
前記凹所の深さは、約0.2から約0.5ミリメートルである請求項7に記載の基板支持部。
【請求項9】
前記凹所は、概ね円形である請求項7に記載の基板支持部。
【請求項10】
前記概ね円形の凹所の中心は、前記支持部の外側の縁に対してずらして配置される請求項9に記載の基板支持部。
【請求項11】
前記支持部の上面と、前記基板とは、概ね円形の密閉部を形成する請求項7に記載の基板支持部。
【請求項12】
前記概ね円形の密閉部の中心は、前記支持部の外側の縁に対してずらして配置される請求項11に記載の基板支持部。
【請求項13】
前記サセプタの縁と前記凹所との間の前記サセプタの上面の領域は、実質的に平坦である請求項7に記載の基板支持部。
【請求項14】
前記上面の領域は、少なくとも1つのピンを含む請求項13に記載の基板支持部。
【請求項15】
堆積チャンバ内に画定された空間内に載置されたウエハに薄膜を堆積させるように形成され、前記空間と連通するガス流入口と、さらに、密閉面を含む密閉部とを備える、前記堆積チャンバと、
前記ウエハを前記空間内において支持するように形成されたサセプタであって、前記サセプタが前記密閉面に対して密閉を行う第1の位置と、前記サセプタが前記密閉面に対して密閉を行わなくなる下方の第2の位置との間を、前記堆積チャンバに対して鉛直方向に移動するように形成された前記サセプタと、
前記サセプタが前記第1の位置のとき、ガスの流れに対して、前の縁が後の縁と比較して、前記密閉面から、より遠くに配置されるように、前記サセプタ上に配置されたウエハと、
を備えた、原子層堆積(ALD)式薄膜堆積装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−89863(P2012−89863A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265435(P2011−265435)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【分割の表示】特願2007−551472(P2007−551472)の分割
【原出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(500019890)エーエスエム アメリカ インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】