説明

衛星位置決めシステム受信機を作動する方法および装置

【課題】衛星位置決めシステム受信機を作動する方法および装置
【解決手段】クライアント/サーバアーキテクチャにおいて衛星位置決めシステム(SPS)受信機を操作するための装置および方法。方法の1事例において、第1の時間に第1の複数の擬似距離が決定され、第1の時間の後の第2の時間に第2の複数の擬似距離が決定される。第1の複数の擬似距離および第2の複数の擬似距離は記憶される。第2の時間の後、第1の複数の擬似距離および第2の複数の擬似距離は、通常1つの送信でロケーションサーバに送信される。該ロケーションサーバはその後、該第1の複数の擬似距離から第1位置を決定し、該第2の複数の擬似距離から第2位置を決定する。1つの特定の例においては、該第1の複数の擬似距離および該第2の複数の擬似距離は、所定の種類の事象に応答して送信され、該ロケーションサーバは、時間にわたり収集されたディファレンシャルGPSデータの集合を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛星位置決めシステム( Satellite Positioning System(SPS))受信機を作動する方法に関し、特に受信機が無線通信リンクを介してその位置に関する情報を提供するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
全地球測位システム(GPS)のような通常の衛星位置決めシステム(SPS)は衛星からの信号を使用して、それらの位置を決定する。GPS受信機は一般に、非常に多数のGPS衛星から同時に送信された信号の相対的な到達時間を計算することによりそれらの位置を決定する。これらの衛星は、それらのメッセージの一部として、ここではまとめて天体暦データと呼ばれる、衛星位置決めデータと、クロックタイミングを加えた時刻に関するデータの両者を送信する。GPS信号を探索し、捕捉し、非常に多数の衛星に関する天体暦データを読み取って、このデータから受信機の位置を計算するプロセスは時間がかかり、しばしば数分を必要とする。多くの場合、この長い処理時間は容認できず、さらに移動式(portable)操作及び適用において電池寿命を著しく制限する。
【0003】
現在のGPS受信機のもう一つの現在の制限は、それらの操作が、マルチプルな(multiple)衛星が、障害物なしに、はっきり見えており、そして、良好な品質のアンテナがこのような信号を受信するために適切に配置されている状況に制限されることである。したがって、それらは一般に、移動式の本体取付け(body-mounted)適用において、かなりの数の葉のついた木(foliage)または建造物による遮断が生じる領域において、および建造物内において使用できない。
【0004】
GPS受信システムの2つの基本的な機能:(1)種々のGPS衛星への擬似距離(pseudoranges)の計算、(2)これらの擬似距離と衛星タイミングおよび天体暦データを使用した受信プラットホーム(platform)の位置の計算、がある。擬似距離は、各衛星から受信された信号とGPS受信機内のローカルクロック(local clock)との間で測定された時間遅延に過ぎない。衛星天体暦およびタイミングデータは、GPS信号が捕捉され追跡されると、それから抽出される。上述のように、この情報の収集には一般に比較的長い時間(30秒乃至数分のような)を要し、低い誤り率を達成するために良好な受信信号レベルで行われなければならない。
【0005】
最近、GPS受信機は、それが移動するとその受信機の位置を送信するために車内においてセルラー電話または移動電話のような無線送信機と共に使用されている。通常の結合されたGPS/通信システムは典型的に、無線送信機から遠く離れて配置された基地局までの位置を送信する。典型的に、GPS受信機はその位置を決定し、その後その情報を送信機に提供し、該送信機はその後、GPS受信機が次の位置を決定する前に、該決定された位置を送信する。これにより、その位置を、無線信号を通じて、受信する遠く離れて配置された基地局におけるオペレータは、GPS受信機が時間にわたって移動するにつれて、その経路(route)を追跡することが可能になる。たとえば米国特許第 5,663,734号に記載されている別の実施形態においては、通信送信機を含む移動GPS受信機は、完了した位置計算(GPS受信機の緯度、経度および高度のような)ではなく、時間タグ付(time-tagged)擬似距離の情報を送信する。この場合、GPS受信機を含む移動ユニットは、GPS信号を収集してこれらの信号を処理し、特定の時間に見えている種々の衛星への擬似距離を決定し、その後その送信機はこれらの擬似距離を、遠く離れて配置された基地局に送信し、その後該基地局はこれらの擬似距離を、移動ユニットの位置を決定するために基地局で収集された、あるいはそこに供給された天体暦データを加えた擬似距離の時間タグを用いて処理する。その上この場合、送信機は、GPS受信機が次の組の擬似距離を決定する前に、1組の擬似距離を送信する。
【0006】
これらの先の両アプローチは、移動中のGPS受信機の経路を追跡するための1つの方法を提供するが、これらの技術の使用に関するいくつかの問題がある。その位置を決定して該位置を遠く離れて配置された基地局に送信する移動GPS受信機の場合、移動ユニットは、GPS受信機がその位置を決定する前に擬似距離の計算および天体暦データの読み取りを行うことが可能であるために、天空の良好な視野を有し、そしてマルチプルな衛星をはっきり受信しなければならない。さらに、この移動GPS受信機がいくつかの位置を計算し、その後それらを1つの送信で送信することを試みる場合、この受信機は典型的に、大きい組のディファレンシャル補正が基地局でバッファされ(buffered)ない限り、ディファレンシャル(differential)GPS補正(corrections)から利益を得ることができない。GPS信号の一連のデジタル化されたサンプルを収集し、その一連のもの(series)を1つの送信で送信する移動GPS受信機は、大量の電池電力を消費し、収集され、記憶され、送信される大量のデータのせいで無線リンクにおいて混雑(congestion)を生じさせる可能性がある。たとえば、欧州特許出願第0 508 405号を参照されたい。
【0007】
擬似距離を一時に1つ送信する移動GPS受信機の場合、通信送信機は、擬似距離が決定された後にそれら擬似距離の各セットを送信するために繰り返しパワーアップされ(powered up)なければならない。これは、移動ユニットにおける電池寿命を短くする傾向があり、また、該移動ユニットと基地局との間の無線通信リンクにおいて混在を生じさせる可能性がある。さらに、放送時間(air time)の費用はこのような動作に関して高価である可能性がある。
【0008】
したがって、移動GPSユニットによりある期間にわたって位置情報のマルチプルなセットを提供するための改良された方法およびシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明は衛星位置決めシステム受信機を作動する方法および装置を提供するもので、受信機の位置を時間にわたり追跡することが可能となる。
【0010】
本発明による方法の1事例において、第1の時間に第1の複数の擬似距離(pseudorange)が決定され、そして第1の時間の後の第2の(あるいは追加の)時間に第2の(あるいは追加の)複数の擬似距離が決定される。第1の複数の擬似距離および第2の複数の擬似距離は衛星位置決めシステム受信機内に記憶される。第2の時間の後、第1の複数の擬似距離および第2の複数の擬似距離は移動SPS受信機から送信される。
【0011】
本発明の方法のある特定の事例において、時間にわたり連続して受入れられた擬似距離のセットのキュー(queue)が記憶され、そして移動GPSユニットから、所定の種類の事象(event)の発生としてまたは警報状態(alarm condition)として送信される。所定の種類の事象が生じたかまたは警報状態が生じたのかの決定に従って送信が行なわれる。典型的には、GPS受信機は第1の複数の擬似距離が決定されたものから第1のGPS信号を受信し、そしてさらに第2の複数の擬似距離が決定されたものから第2のGPS信号を受信するであろう。移動ユニットはまた第1のGPS信号が移動ユニットにおいて受信された第1の受信時間を決定し、そしてさらに第2のGPS信号が移動ユニットのおいて受信された第2の受信時間を決定するであろう。これらの受信時間は擬似距離のセットと共に送信されるであろう。移動GPSユニットの受信時間によって特定される種々の時間における位置を決定するために、基地局は1つの信号送信またはパケットのような方法の何れかにより擬似距離のセットのキューを受信し、擬似距離を擬似距離の受信時間と共に、そして天体暦データと共に使用するであろう。所定の種類の事象(または警報状態)が生じない場合は、ある実施例では、擬似距離の情報はいかなる時間においても送信されない。本発明の種々の他の概念および事例が以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは本発明の1事例に対応する移動GPSユニットの経路を追跡するシステムを示す。
【図1B】図1Bは移動ユニットの種々の時間における位置を決定するために遠隔に配置されたロケーションサーバのために移動GPSユニットにより実行される方法の1事例を示す。
【図1C】図1Cはロケーションサーバが移動ユニットにより時間にわたり受取られた擬似距離のセットのキューから種々の位置を決定する方法の1事例を示す。
【図2】セルベースの通信システムを使用して時間にわたり移動ユニットの位置を追跡するシステムの他の例を示す。
【図3】本発明の1事例においてセルラーベースの通信システムと共に使用可能なロケーションサーバの例を示す。
【図4】本発明の1事例に対応する通信システムと結合される移動GPS受信機の事例を示す。
【図5】本発明の1事例と共に使用可能なGPS基準局の1事例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は例示の方法で図示されており、そして添付の図面の図には限定されず、同様の参照符号は同様の要素を示す。
本発明は受信機の移動を示すために、時間にわたり位置情報を提供する衛星位置決めシステム(SPS)受信機の使用に関する。以下の記述および図面は本発明について記載し、しかも本発明を限定するものとして解釈されるものではない。本発明が全体として理解されるように、多くの固有の詳細説明が記述される。しかしながら、ある事例においては、本発明について不必要に不明瞭となるのを避けるために、周知のまたは慣習的なものの説明は詳細には記載していない。
【0014】
図1は、移動GPS受信機が移動するにしたがってその位置を時間にわたり追跡するシステムの1事例を示す。移動GPS受信機12に関し道路11における最近の位置が地図上に示される。また前の位置14、16、18、20、22、および24も道路11に示されている。図1Aに示される特定の例において、移動GPS受信機12の使用者は道路11を下方に運転したものであり、そして位置14から開始し、位置16、18、20、22、および24を通過し、そして現在は図1Aに示される位置にいる。移動GPS受信機12はGPS受信機を含み、これは、移動GPS受信機12の1事例である図4に示される通信システム78のような通信システムの一部である送信機に擬似距離の出力を提供可能な通常のGPS受信機でよい。これに代えて、移動GPS受信機12は米国特許第5,663、734号に記載されたGPS受信機および通信システムと同様のものとすることができる。いずれの事例においても、移動GPS受信機12は擬似距離、およびそれから擬似距離が決定されたGPS信号が何時受信されたかを示すタイムスタンプ(time stamp)を記憶するためのメモリを含む。
【0015】
また、図1Aのシステムは、移動GPSユニット12と結合されたまたはその一部である通信システムと、無線通信システムを介して通信するロケーションサーバ(location server)25を含む。基地局25は典型的にディファレンシャルGPSの時間シーケンスおよび衛星天体暦(ephemeris)情報を記憶するための記憶装置26を含む。また基地局25は典型的に視野内の衛星から衛星天体暦データを読み込み、さらにGPS時間を提供し、そしてさらにディファレンシャルGPSの情報を提供することのできるGPS基準受信機(reference receiver)27を含む。このように、GPS基準受信機27はディファレンシャルGPSおよび衛星天体暦情報を決定し、およびそれにGPS時間をタイムスタンプし、そして基地局は記憶装置26にこれを記憶することができる。この動作は時間にわたり繰返して実行され、その結果時間にわたり視野内の種々の衛星に対する天体暦およびディファレンシャルGPS情報のキューが存在する。
【0016】
他の実施例において、GPS受信機27は、この受信機が基地局サーバ25に提供するのと同一形式の情報の遠隔ソースによって置き換えることができる。例えば、GPS受信機の小規模なネットワークを、そのような情報を地理的に分散した多数の基地局に提供するために用いて、必要となるGPS基準受信機の全体数を減少することができる。
【0017】
図1Bは本発明による方法の一例を示す。この方法はステップ31で始まり、ここでGPS信号は移動GPSユニットによって受信され、複数のGPS衛星に対する複数の擬似距離(pseudorange)が決定される。前述したようにGPS受信機は、この擬似距離の決定にハードウエア相関を利用する通常の受信機でよい。代替えとして、この擬似距離は米国特許第5,663,734号公報に説明されているように決定することができる。更に他の方法として、このGPS信号は、該信号が受信された時間を示すタイムスタンプと共に、受信及びデジタル化及び記憶できる。この場合、擬似距離ではなく、これらデジタル化された信号が送信される。この方法では、このかなり大量のデータを記憶及び送信するために、大容量メモリ及び広い送信帯域幅が必要となる。ステップ33において、複数の擬似距離がタイムスタンプされ(time stamped)、この複数の擬似距離は対応するタイムスタンプと共に記憶される。このタイムスタンプは移動ユニットにより受信されたGPS信号からGPS時間を読み取ることによって得られるか、又は移動ユニット12と基地局25の間でメッセージを通信するために用いられた通信システムが、CDMAセル通信システムを用いる場合の或るインスタンス(instances)において得られる。このCDMA信号は信号の一部として時間を含み、この通信システム及び移動ユニット12はこの時間を読み込み、それを使用して、擬似距離が決定されるGPS信号の受信時間をタイムスタンプすることができる。擬似距離が決定されるGPS信号の収集時間を決定する他の方法は、同時係属中の米国特許出願第08/794,649号(出願日:1997年2月3日、発明者:Norman F. Krasner)に説明され、それは参考として本願に組み込まれている。
【0018】
本発明による方法の一実施例において、ステップ35に示されているように所定の種類の事象が発生したか(または警報状態が発生したか)判断される。尚、このステップはオプションであって、それは典型的にそれらの対応するタイムスタンプと共に記憶された擬似距離を送信するか否かを決定するために用いられる。所定の種類の事象(又は警報状態)が発生しなかった場合、処理はステップ31に戻り、そこで追加のGPS信号が受信され、追加の擬似距離が決定される。所定の種類の事象(または警報状態)が発生するまで、処理はステップ31、33、35を繰り返し、それにより異なる時間にとられた複数の擬似距離を収集する。各擬似距離は各々タイムスタンプを有し、そのどれもが移動ユニット12のメモリに記憶される。このメモリの一例をメモリ81として図4に示す。所定の種類の事象が発生すると、ステップ35はステップ37に進み、記憶された擬似距離及び対応するタイムスタンプがCDMAのセルベースの(cell based)通信信号のような無線通信システムを介して、ロケーションサーバ(location server)に送信される。また、ステップ37のように、擬似距離及びタイムスタンプを記憶するメモリはその部分がクリアーされる。これにより、擬似距離の他のセットを、それらの対応するタイムスタンプと共に収集し、記憶し、後に送信することができる。
【0019】
この方法は、各地点の位置を決定しそれらの位置を送信する従来の技術に対して多くの利点を有している。それは幾つかの位置が時間にわたり決定されるが送信されず、後に位置の集合が得られた後で送信されるような他の例に対しても利点を有している。移動ユニットの位置の決定には、衛星の天体暦データを得るために、適当な天空視野ならびに十分な数の衛星からの信号を読み取る十分な能力を必要とする。更にそのような方法では、位置の計算精度を向上するディファレンシャルGPS(DGPS)情報の使用は考慮されない(DGPSデータを送信するために通信リンクを使用せず、それがより多くの電力を使用することになる場合)。本発明の方法を用いると、擬似距離だけが移動ユニットにより時間にわたり決定されればよい。したがって、衛星天体暦データを読み取ることができることは必要とされない。米国特許第5,663,734号に記載されている改良された処理技術を用いると、天空が遮られているかあるいは信号が弱いときでも、大部分の例において十分な数の衛星への擬似距離を得ることができる。ある1つの事象の発生時のみの送信および擬似距離のキューイング(queuing)は送信“放送時間”を最小化し、該移動体の(mobile’ s)位置の履歴の要求時の決定をさらに可能にする。
【0020】
図1Aの例において、移動GPS受信機12は、位置14,16,18,20,22,24およびその現在位置においてGPS信号を受信し、これらの信号から擬似距離(pseudoranges)を決定し、これらの擬似距離を対応タイムスタンプとともにメモリに記憶する。もし、事象の所定の種類が、擬似距離が決定されるところの信号の第7の組の集合である場合は、移動ユニット12は、7つの擬似距離全て、および移動ユニット12に関する図1Aに示された位置における対応タイムスタンプを送信する。タイムスタンプされた擬似距離のシーケンス送信をもたらし得るその他の可能な所定事象は、多数存在する。既に述べたが、そのうちの1つとして、ある数の記憶された擬似距離に到着したことが挙げられる。別の所定の種類の事象は、警報状態あるいはその他の状態を検出して、記憶された擬似距離の送信を引き起こすところのセンサもしくは警報であってもよい。そのような例の1つとしては、車内での事故の検出、エアバックが膨らむこと、あるいは車両警報のオンなどがある。他の所定の種類の事象は、タイムスタンプされた擬似距離のキュー内に示される先行位置だけでなく移動GPS受信機の現在位置を突き止める試みのために、記憶された擬似距離の送信を基地局が依頼することがあり得る。他の所定の種類の事象としては、メモリが擬似距離を記憶する限界に達した場合が考えられる。他の所定の種類の事象としては、擬似距離の最終送信から所定時間が経過した場合が考えられる。もし、この時間が変化する場合は、擬似距離を決定するためにGPS信号が収集されて処理される間隔を変えることによって、セーブされた擬似距離の数の対応した分散も生じさせ得る。所定事象の他の例としては、移動GPS受信機のボタンをユーザが単に押すだけというものもある。
【0021】
図1Cは、ロケーションサーバ25などのロケーションサーバに関してこの発明に係る方法に従った操作がなされる場合の例を示している。図1Cの方法はステップ41から始まる。このステップにおいて、ロケーション受信機は、一連の時におけるポイントのそれぞれに対して複数のディファレンシャルGPS補正(differential GPS corrections)を決定して記憶し、さらに、各対応する複数のディファレンシャルGPS補正のタイムスタンプを記憶する。図1Aのシステムにおいて前述したように、ロケーションサーバ25は、既知の位置を持つGPS基準受信機からのディファレンシャルGPS補正を受信しあるいは決定できる。基地局および移動ユニットがポイントツーポイント無線通信(および広域拡散セルベースのシステムでないもの)を使用する場合において、GPS基準受信機は、通常はロケーションサーバと共同設置され、通常は、ロケーションサーバ25により追跡されている移動ユニットと同じ視野内の衛星を持っている。GPS基準受信機27は、一般的な方法でディファレンシャルGPS補正を決定することができ、またディファレンシャルGPS補正が決定されたGPS信号が受信された時におけるポイントを示すGPS時間を提供することもでき、そして、GPS基準受信機27は、時における各ポイントに対するこの情報セットをロケーションサーバに提供し、そのロケーションサーバによりこの情報は記憶装置26に記憶されることになる。図1Cに示す手続全体の間、ステップ41は、通常は、反復して生じる。すなわち、ディファレンシャルGPS補正および各補正に関する対応するタイムスタンプのキューを得るために、ステップ41に記述された操作は反復され、連続して生じる。このことから、移動ユニット12などの移動ユニットの拡張された移動期間に渡り、ディファレンシャルGPS補正が可能となる。たとえば、もし、移動ユニット12が、道路11に示される位置14から位置24を通り過ぎた現在の位置まで移動するのに1時間を要するとすれば、最低限1時間分のディファレンシャルGPS補正が必要となる。しかしながら、もし、各移動ユニットの位置履歴を決定するために必要な期間に制限があるときは、これらの補正のキューサイズは小さいままにされてもよい(たとえば、このキューを最後の1分間に対応させるなど)。
【0022】
基地局(ロケーションサーバ)が広大な地理的な領域に対するサービスを行なうときは、ネットワーク全体にディファレンシャル補正を提供するGPS基準受信機の基準ネットワークが要求されるかも知れないことは、認識されるであろう。この点について、以下、さらに説明する。図1Cに戻ると、ステップ43において、ロケーションサーバは、幾つかの擬似距離のセットおよび各セットに関する対応タイムスタンプを含む送信を受信する。ここで、擬似距離およびタイムスタンプが1つの送信で送信されている間、この送信は幾つかのデータパケットに渡ってなされ、あるいは遮断され得ることは、認識されるであろう。とはいえ、この発明の趣旨からいえば、これはそれでもなお、タイムスタンプされた擬似距離のキューの単一送信とみなすことができる。ステップ45において、ディファレンシャルGPS補正に対するタイムスタンプと擬似距離の各セットに対するタイムスタンプとを比較することにより、ロケーションサーバは、擬似距離の各セットとともに使用するに最も適したディファレンシャルGPS補正を選択する。その結果、ロケーションサーバは、その時間適応性が擬似距離のタイムスタンプに時間的に最も近いようなディファレンシャルGPS補正を決定するようになる。適切なディファレンシャルGPS補正を選択したあと、擬似距離のセットは、これらのディファレンシャルGPS補正により補正される。この発明の好ましい実施例ではこのディファレンシャルGPS補正のキューを用いているが、このことは、この発明の実施の形態によっては必ずしも必須ではない。ステップ47において、ロケーションサーバは、補正された擬似距離および対応タイムスタンプの各セットから、送信中の移動GPSユニットの位置を決定する。このようにして、ロケーションサーバは、移動ユニットが位置14にいたときに得られる擬似距離に関連するタイムスタンプにより示される時間において位置14に移動ユニット12がいたということを決定できる。さらに、ロケーションサーバは、位置16,18,20,22,24およびその現在位置を決定でき、かつ、移動ユニットがこれらの位置にいたときの時間を決定できる。このようにして、ロケーションサーバは、空間的にも時間的にも、移動ユニットの移動を追跡できるようになる。この情報は、ステップ49において、多くの異なる方法で使用される。たとえば、基地局は、無線通信システムを介して移動ユニット12にヘルプ情報を送信して返すことにより、守衛・管理サービス(concierge services)あるいは経路情報(routing information)を移動ユニット12のオペレータに提供できる。
【0023】
位置の時間履歴が算出される擬似距離の時間履歴を有することは、サーバーが移動局の位置並びに速度を追跡するのを可能にする。このことは、自動車事故で移動体のアンテナが機能しなくなったときなどの非常時に、移動体の位置を突き止める為に重要なことである。
【0024】
前述した説明は、一般に、移動ユニット12の通信システムと基地局25の通信システムとの間のポイントツーポイント通信システムを想定しているけれども、以下に述べるようなセルに基づく通信システムであり得ることが理解されるだろう。
【0025】
図2は、本発明のシステム101の一例を示している。このシステムは、複数のセルサイトを備える、セルベースの通信システムを有しており、これらは個々に、特定の地理的な地域と位置に対するサービスを行うように設計されている。セルラー即ちセルに基づく複数の通信システムの一例は、セルベースの電話システムのような、当業者によく知られたものがある。図2は、セルのオーバーラップを示すために示されたものではないことを認識するべきである。しかし、セルの信号カバレージ地域は、実際にはオーバーラップしている。図1に見られるようなセルベースの通信システムは、3つのセル102、103、並びに104を有する。対応したセルサイト並びに/若しくは、セルラーサービスエリアを有する複数のセルは、前記システム101に含まれて、移動スイッチングセンター105と移動スイッチングセンター106のような、1つ若しくはそれ以上のセルベースのスイッチングセンターと結合される。セル102のような各セル内に、セル基地局102aのような、無線セル基地局(時としてセルサイトと言及される)は存在し、このセル基地局102aは、セルベースの通信信号を使用する無線通信媒体を介して通信システムと通信できるように設計されており、前記通信システムは、移動GPS受信機とセルベースの通信信号を使用することにより通信するための、代表的には、受信機と送信機とを有している。
【0026】
この結合された通信システムと移動GPS受信機とは、図2に示される受信機102bのような結合されたシステムを備えている。そのようなGPS受信機と通信システムを有する結合されたシステムの一例は、図4で示されており、前記GPSアンテナ77と通信システムアンテナシステム79の両方を有することもある。各セルサイトは、代表的には、移動スイッチングセンターに結合されている。図2においては、セルベース102a並びに103aは、それぞれ、接続102c、103cを介してスイッチングセンター105に結合されており、セルベース104aは接続104cを介して異なった移動スイッチングセンター106に結合されている。これらの接続は、代表的には、各セルベースと移動スイッチングセンター105、106との間の無線接続である。各セルベースは、特定のセルサイト/ベースによりサービスを行われた通信システムとの通信のためのアンテナを備えている。一例において、セルサイトは、セルサイトによりサービスを行われるエリア内の移動セルラー電話(GPS受信機と統合された)と通信する、セルラー電話のセルサイトでもあり得る。
【0027】
本発明の代表的な実施例において、受信機102のような移動GPS受信機は、GPS受信機と前記通信システムが同じハウジング内に入れられているような、GPS受信機と統合されたセルに基づく通信システムを有している。この一例としては、統合されたGPS受信機を有するセルラー電話があり、この電話はセルラー電話トランシーバと共通の回路を共有している。この結合されたシステムがセルラー電話通信に使用されているとき、送信は受信機102bとセルベース102aの間に生じる。受信機102bからセルベース102aへの送信は、次に、接続102cを通じて移動スイッチセンター105へ、これに続いて、移動スイッチングセンター105によりサービスを行なわれたセル内のもう一つのセルラー電話へ、または、陸上ベースの電話システム/ネットワーク112を介するもう一つの電話へ(代表的には有線の)接続を介して、伝播される。有線という用語には光ファイバと例えばコッパーケーブリングなど他の無線でない接続が含まれることは、理解されるべきである。受信機102aと通信する他の電話からの送信は、移動スイッチングセンター105から接続102c並びにセルベース102aを介して受信機102bへ従来の方法で伝えられる。図2の一例において、一実施例ではSS7ネットワークとして言及されている通信ネットワーク115を通して、各移動スイッチングセンター(MSC)は少なくとも一つの特定地区のショートメッセージサービスセンター(SMSC)に結合されている。 このネットワークは、ショートメッセージ(管理情報とデータ)が電話ネットワークの要素の間で渡されることを可能にするように設計されている。図2は、一例と、幾つかのMSCが一つの特定地区のSMSCに結合されることが可能であるということとを、示しているのが理解されるであろう。前記ネットワーク115は、MSC105,106と、特定地区のSMSC107、108とを互いに連結させている。また、図2の一例は、特定地区のSMSC107と特定地区のSMSC108とにネットワーク115を介して結合される2つのGPSロケーションサーバー109,110を示している。図2の分散システムの一実施例において、ネットワーク115は、永久パケットにより切り替えられるデータネットワークであり、各種GPSロケーションサーバーと様々な特定地区のSMSCとMSCとを互に連結させている。これにより、各特定地区のSMSCは、ロケーションサーバーの混雑即ちロケーションサーバーが不足した場合もGPSロケーションサーバーが有用である位置サービスのリクエストを発送するルーターとして機能することができる。このように、特定地区のSMSC107は、移動GPS受信機102b(移動GPS受信機102bの利用者が、統合されたセル電話で911に電話する)からの位置サービスのリクエストを、もしロケーションサーバー109が混雑即ち不足しているとき、即ち、他のやり方では位置サービスのリクエストが不可能なときに、ロケーションサーバー110へと発送できる可能性がある。
【0028】
各GPSロケーションサーバーは、GPSロケーションサーバーにディファレンシャルGPSの補正と衛星の天体暦のデータを提供するGPS基準ステーションの広域ネットワークに、代表的には、結合されている。このGPS基準ステーションの広域ネットワークは、GPS基準ネットワーク111に示されるように、専用のパケットにより切り替えられるデータネットワークを介して、代表的には、各GPSロケーションサーバーに結合されている。従って、ロケーションサーバー109は、接続109aを介して、ネットワーク111からのデータを受け取り、サーバー110は接続110aを介してネットワーク111からのデータを受け取る。基準ネットワーク111は通信ネットワーク112に結合され得る。代わりに、GPS基準受信機は、各ロケーションサーバーにおいて、衛星の天体暦とGPS時間をGPSロケーションサーバーに提供するために使用され得る。図2に示されるように、各GPSロケーションサーバーはまた、2つのアプリケーションサーバー114,116が結合されている公衆交換電話網(PSTN)112のような通信ネットワークに結合される。
【0029】
2つのGPSロケーションサーバーは、一実施例において、移動GPS受信機によって受信されたGPS信号を使用して、移動GPS受信機(受信機102b)の位置を決定するために使用される。
【0030】
各GPSロケーションサーバは、移動GPS受信機から擬似レンジと、このGPS基準ネットワークから衛星天体暦データとを受信し、移動GPS受信機の位置の経路を計算し、さらに、これら位置は、ネットワーク112(例えば、公衆交換電話網PSTN)を通して、この位置が、アプリケーションサーバでユーザに示されている(例えば、マップに示されている)、アプリケーションサーバの1つ(もしくは両方)に送られる。一般に、このGPSロケーションサーバは、計算するが、このGPSロケーションサーバで位置を(例えば、ディスプレーによって)示さない。アプリケーションサーバはセルの1つにおける特定のGPS受信機の位置のためのリクエストをGPSロケーションサーバに送り、そのGPSロケーションサーバは、GPS受信機の位置の経路を決め、特定のアプリケーションにこれらの位置を報告するために、移動スイッチングセンタを通して特定の移動GPS受信機との対話を始め得る。他の実施の形態において、GPS受信機の位置決定は、移動GPS受信機のユーザによって始められ得る。例えば、移動GPS受信機のユーザは、移動GPS受信機の位置で緊急状態を示すために、セルフォンで911を押すことができ、これは、ここで記述された手段で、位置決定プロセスを始めることができる。
【0031】
セルラベースのもしくはセルベースの通信システムは、二つ以上の送信機を有する通信システムであり、それらの各々は、瞬時に、予め規定された異なる地理的な領域を提供することが、表され得る。カバーされるこの領域は、特定のセルラシステムに依存しているが、一般に、各送信機は、20マイルより小さい地理的な半径を有するセルを提供する無線送信機である。セルラテレフォン、PCS(personal communication system)、SMR(specialized mobile radio)、単一方向および両方向のページャシステム、RAM、ARDIS、ワイヤレスパケットデータシステムのような数々のタイプのセルラ通信システムがある。一般に、予め規定された地理的な領域は、セルと呼ばれ、複数のセルは、セルラサービス領域に一つにまとめられ、これら複数組のセルは、地上ベースのテレフォンシステムおよび/もしくはネットワークとの接続を備える1つもしくは複数のセルラスイッチングセンタに結合されている。サービス領域は、広告目的のために、度々使用される。故に、二つ以上のサービス領域は、1つのスイッチングセンタに接続されているケースがあり得る。あるいは、1つのサービス領域内でのセルは、特に、人口過密領域では、異なるスイッチングセンタに接続されるケースが時々ある。一般に、サービス領域は、互いに、地理的にきわめて近接した中に、セルの集合として規定されている。上の記述に適合する他のセルラシステムのクラスは衛星ベースのものであり、ここにおいてセルラの基地局もしくはセルサイトは、地球を一般に旋回する衛星である。これらシステムにおいて、セルのセクタおよびサービス領域は、非常に大きくなり得、時間の関数として移動し得る。このようなシステムの例は、Iridium、Globalstar、Orbcomm、Odysseyを有する。
【0032】
図3は、図2でGPSサーバ109もしくはGPSサーバ110として使用され得るGPSロケーションサーバ50の一例を示している。このGPSサーバ50は、故障許容ディジタルコンピュータシステムになり得るデータ処理ユニット51を有する。このGPSサーバ50はまた、モデムもしくは他の通信インターフェース52と、モデムもしくは他の通信インターフェース53と、モデムもしくは他の通信インターフェース54とを有する。これら通信インターフェースは、ネットワーク60、62、64として示されている3つの異なるネットワークの間で、図3に示されているロケーションサーバからおよびへの情報の交換のための連結性を備えている。このネットワーク60は、1つまたは複数の移動スイッチングセンタ、および/もしくは複数の地上のフォンシステムスイッチもしくは複数のセルサイトを有する。このネットワークの例は、図2に示され、このGPSサーバ109は、図3のサーバ50を表している。このように、ネットワーク60は、移動スイッチングセンタ105、106と、セル102、103、104とを有するとみなされ得る。ネットワーク64は、通信インターフェースを有するそれぞれ通常のコンピュータシステムである、アプリケーションサーバ114、116を有するとみなされ得、一般的に、緊急のテレフォンコール911に答えるコントロールセンタである1つもしくは複数の「PSAP‘s」(Public Safety Answering Point)を有する。図2のGPS基準ネットワーク111を表すネットワーク62は、ディファレンシャルGPS補正情報を備え、データ処理ユニットに衛星の天体暦のデータを有するGPS信号データもまた有するようにデザインされたGPS基準受信機であるGPS受信機のネットワークである。このサーバ50が、非常に大きな地理的な領域を提供する場合、任意GPS受信機56のような、局所的な任意GPS受信機は、この領域の至るところに、移動SPS受信機の見えるところにある全てのGPS衛星を観測することができ得ない。従って、このネットワーク62は、本発明にしたがって広い領域にわたり衛星の天体暦のデータとディファレンシャルGPS補正データとを収集し、提供している。
【0033】
図3に示されているように、大容量記憶装置55は、データ処理ユニット51に結合されている。一般に、この大容量記憶装置55は、データ用の記憶装置と、図2の受信機102bのような移動GPS受信機から擬似距離を受信した後、GPS位置計算を実行するためのソフトウエアとを有し得る。これら擬似距離は、セルサイトと、移動スイッチングセンタと、モデムもしくは他のインターフェース53とを通して一般に受信されている。この大容量記憶装置55はまた、少なくとも1つの実施の形態で、ソフトウエアを含み、それはモデムもしくは他のインターフェース54を通してGPS基準ネットワーク32によって備えられる衛星の天体暦データを受信および利用するために使用される。この大容量記憶装置55はまた、上で述べられるように、衛星の天体暦とディファレンシャルGPSの補正とをタイムスタンプの列を特定するデータベースもしくは記憶装置55aを一般に有し得る。
【0034】
本発明の典型的な実施の形態において、図2(図3のネットワーク62として示されている)のGPS基準ネットワーク111は、GPS基準ネットワークにおける様々な基準受信機から見えている衛星からの生の衛星データメッセージを備えると同時に、ディファレンシャルGPS情報と、対応するタイムスタンプとを備えているので、任意GPS受信機56は必要でない。モデムもしくは他のインターフェース54を通してネットワークから得られる衛星の天体暦のデータは、移動GPS受信機のための位置情報を計算するために移動GPS受信機から得られる擬似距離で従来の手段で使用され得る。インターフェース52、53、54はそれぞれ、ネットワーク64の場合に他のコンピュータシステムに、ネットワーク60の場合にセルラベースの通信システムに、ネットワーク62の場合にコンピュータシステムのような送信装置に、データ処理ユニットを結合するモデムもしくは他の適当な通信インターフェースであり得る。1つの実施の形態において、ネットワーク62は、地理的な領域にわたり散在されたGPS基準受信機の散在された集合を有することは、明らかになり得る。いくつかの実施の形態において、セルラベースの通信システムを通して移動GPS受信機に伝達されるセルサイトもしくはセルラサービス領域の近くの受信機から得られるディファレンシャル補正GPS情報は、移動GPS受信機の近似の位置に適切なディファレンシャルGPS補正情報を有し得る。
【0035】
図4はGPS受信機および通信システムトランシーバを含む全般化された結合システムを示す。一例において、通信システムトランシーバはセルラー電話である。システム75はGPSアンテナ77を有するGPS受信機76および通信アンテナ79を有する通信トランシーバ78を含む。GPS受信機76は図4に示された接続80を通して通信トランシーバ78に結合される。メモリ81は上述されたように決定された擬似距離のキューおよび対応しているタイムスタンプを記憶する。このメモリ81はGPS受信機76に結合され、また通信トランシーバに結合されてもよい(例えばメモリは二重ポートされる)。1つの動作モードにおいて、通信システムトランシーバ78はアンテナ79を通して近似のドプラー情報を受信し、この近似ドプラー情報をリンク80によりGPS受信機76へ供給し、それはGPSアンテナ77を通してGPS衛星からのGPS信号を受信することにより擬似距離の決定を実行する。決定された擬似距離は通信システムトランシーバ78を通してGPSロケーションサーバへ送信される。典型的に、通信システムトランシーバ78はアンテナ79を通して信号をセルサイトへ送り、それはそれからこの情報をGPSロケーションサーバへ転送し戻す。システム75の種々の実施例の例は技術において知られている。例えば、U.S.特許5,663,734には改良されたGPS受信機システムを利用する結合されたGPS受信機および通信システムの例が記述されている。結合されたGPSおよび通信システムの他の例は1996年5月23日に申請された審査中の出願番号No.08/652,833に記述された。U.S.特許5,663,734において記述されているような受信機は改良された性能を提供するが、最も通常のGPS受信機は図4における受信機76として作動するように修正され得る。図4のシステム75は、SPS受信機を有する多数の代わりの通信システムと同様に、擬似距離が決定されるGPS信号の受信の時間を典型的にタイムスタンプするであろう。特に、システム75は、SPS信号の移動ユニットでの受信の時間をタイムスタンプするため、GPS時間(GPS衛星から受信されまたは推定された)を使用してもよく、あるいはCDMA送信(好ましい実施例として)からの時間を使用してもよい。
【0036】
図5はGPS基準局の一実施例示す。各基準局がこの方法で構成され、通信ネットワークまたは媒体に結合されることが認識されるであろう。典型的に、図5のGPS基準局90のような各GPS基準局は、アンテナ91の視界にあるGPS衛星からのGPS信号を受信するGPSアンテナ91に結合された2重周波数GPS基準受信機92を含む。GPS基準受信機は技術においてよく知られている。本発明の一実施例によれば、GPS基準受信機92は受信機92からの出力として少なくとも2つの型の情報を提供する。擬似距離の出力93はプロセッサおよびネットワークインターフェイス95に供給され、これらの擬似距離の出力(および基準擬似距離が決定されるSPS信号が受信された時間)は、GPSアンテナ91の視界にあるこれらの衛星に関して、通常の方法で擬似距離のディファレンシャル補正(pseudorange differential correction)を計算するために使用される。プロセッサおよびネットワークインターフェイス95は技術においてよく知られるように、GPS基準受信機からのデータを受信するインターフェイスを有する通常のデジタルコンピュータシステムであってもよい。プロセッサ95はGPSアンテナ91の視界にある各衛星の適当な擬似距離の補正を決定するため、擬似距離データを処理するように設計されたソフトウエアを典型的に含む。これらの擬似距離の補正(およびそれらの対応するタイムスタンプ)はそれから、他のGPS基準局がまた結合される通信ネットワークまたは媒体96へネットワークインターフェイスを通して送信される。GPS基準受信機92はまた衛星天文暦データ出力94を提供する。このデータはプロセッサおよびネットワークインターフェイス95へ供給され、それはそれからこのデータを通信ネットワーク96へ送信し、それは図2のGPS基準ネットワーク111に含まれる。
【0037】
衛星天文暦データ出力94は典型的に、各GPS衛星から受信された実際のGPS信号に符号化された完全な生の50ボーナビゲーション2進データの少なくとも一部を提供する。この衛星天文暦データはGPS衛星からのGPS信号における毎秒50ビットデータ流として放送されるナビゲーションメッセージの部分であり、GPS ICD−200文献により詳細に記述される。プロセッサおよびネットワークインターフェイス95はこの衛星天文暦データ出力94を受信し、リアルタイムでまたはリアルタイムに近くそれを通信ネットワーク96へ送信する。以下に記述されるように、通信ネットワークに送信されたこの衛星天文暦データは、本発明の態様にしたがって種々のGPSロケーションサーバのネットワークを通してより後で受信される。
【0038】
本発明のある実施例において、衛星天文暦データメッセージのようなナビゲーションメッセージのあるセグメントのみが、ネットワークインターフェイスおよび通信ネットワークの帯域幅要求を下げるためにロケーションサーバへ送られてもよい。典型的にまた、このデータは連続的に供給される必要がないかもしれない。例えば、全部で5フレーム一緒よりもむしろ天文暦情報を含む最初の3フレームのみが、リアルタイムでまたはリアルタイムに近く通信ネットワーク96に規則的な基準で送信されてもよい。本発明の一実施例において、Norman F. Krasnerにより1997年2月3日に申請された審査中の出願番号No.08/794,649に記述された方法のように、衛星データメッセージに関する時間を測定する方法を実行するために、ロケーションサーバは1つまたはそれ以上のGPS基準受信機から送信される完全なナビゲーションメッセージを受信してもよいことが認識される。ここに使用されるように、“衛星天文暦データ”なる用語は、GPS衛星により送信された衛星ナビゲーションメッセージ(例えば、50ボーメッセージ)の一部に過ぎない、またはこの衛星天文暦データの少なくとも数学的表現であるデータを含む。例えば、衛星天文暦データの用語はGPS衛星から送信されるGPS信号に符号化された50ボーデータメッセージの一部のことをいう。GPS基準受信機92は、衛星天文暦データを含む2進データ出力94を提供するために、基準受信機92の視界にある異なるGPS衛星からの異なるGPS信号を復号することがまた認識されるであろう。
【0039】
本発明の方法が図2のセルベースのシステムの移動ユニットの時間の経路を時間にわたり追跡するために使用されるとき、1つのロケーションサーバは1つのセルから複数の他のセルへの特定の移動ユニットの移動を追跡するかもしれない。かかるシステムの相互接続により、セル102に始まった移動ユニットからの信号の受信すら、移動ユニットがセル104へ移動した後でさえ、同じロケーションサーバにより追跡され得る。代わりに、1つのロケーションサーバは他のロケーションサーバへ特定の移動ユニットのために決定された位置および時間を示すその経路データを転送してもよく、他のロケーションサーバは移動ユニットが1つのセルサイト即ちセルラーサービスセンターから他のセルサイト即ちセルラーサービスセンターへ移動するとき、その移動ユニットの追跡を引き継ぐ。
【0040】
本発明の方法と装置とはGPS衛星との関連で記述してきたが、その開示内容はシュウドライト(pseudolites)または衛星とシュウドライトとの組み合わせを利用した位置決めシステムにも等しく応用できることは理解できよう。シュウドライトはL帯域搬送信号で変調した、通常GPS時間に同期するPNコード(GPS信号に似ている)を放送する地上ベースの送信機である。各送信機には一意のPNコードが割り付けられ、これにより遠隔地にある受信機により識別できる。シュウドライトは、軌道を回っている衛星からのGPS信号を受信できない場合、たとえばトンネルや、坑内、建物、他の密閉された場所で有用である。ここで用いる「衛星」なる用語は、シュウドライト又はシュウドライト相当物を含むことも意味し、またここで用いる「GPS信号」なる用語はシュウドライト又はシュウドライト相当物からのGPS類似信号を含むことも意味する。
【0041】
上記説明では、合衆国地球位置決め衛星(GPS)システムでの応用を例として本発明を記述してきた。しかし、これらの方法は同様な衛星位置決めシステム、特にロシアのグロナス・システムにも等しく応用可能であることは明らかである。グロナノス・システムは、主として、異なる擬似ランダムなコードを用いるのではなく、僅かに異なる搬送周波数を用いて異なる衛星からの送信相互に区別をつける点でGPSシステムと異なっている。この状況で、新たな衛星からの送信を処理する際に、異なった搬送周波数に対応する異なる指数乗算器を使ってデータを前処理する場合を除いて、前述の回路構成とアルゴリズムの殆ど全てが応用できる。ここで用いた「GPS」なる語は、ロシアのグロナス・システムを含む代替衛星位置決めシステムを含む。
【0042】
本明細書の上記説明では、本発明は特定の実施例を参照して説明した。しかし、添付の特許請求の範囲に述べたように、本発明の範囲内で様々な改良、変更が可能である。したがって、本明細書と図面とは発明を示すものであるが、本発明を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数個の擬似距離を第1の時間で決定することと、
第2の複数個の擬似距離を第1の時間後の第2の時間で決定することと、
前記第1の複数個の擬似距離を記憶し、前記第2の複数個の擬似距離を記憶することと、
前記第1の複数個の擬似距離と前記第2の複数個の擬似距離とを前記第2の時間後に送信することを備えた、衛星位置決めシステム(SPS)受信機の操作方法。
【請求項2】
所定の種類の事象が発生したか否かを決定し、所定の種類の事象が発生したとの決定に応答して前記第1の複数個の擬似距離と前記第2の複数個の擬似距離とを送信することを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の種類の事象は、(a)センサがある状態を検出すること;(b)記憶限度に達したこと;(c)所定数の複数組の擬似距離がすでに記憶されたこと;(d)擬似距離の最新の組を送信してから所定時間が経過したこと;(e)外部ソースからのコマンドが通信リンクを介したものであること、のうちの一つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の複数個の擬似距離が決定される第1SPS信号を前記SPS受信機において受信することと、
前記第1SPS信号を前記SPS受信機で受けた第1受信時間を決定することと、
前記第2の複数個の擬似距離が決定される第2SPS信号を前記SPS受信機において受信することと、
この第2SPS信号が前記SPS受信機で受信された第2受信時間を決定することと、
前記第1受信時間と前記第2受信時間とを送信することと
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
所定の種類の事象が発生したか否かを決定し、前記所定の種類の事象が発生したとの決定に応答して前記第1の複数個の擬似距離と、前記第2の複数個の擬似距離と、前記第1受信時間と、前記第2受信時間とを送信することを更に備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の種類の事象が、擬似距離の最新の組を送信してから経過した所定時間を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定時間は変更可能である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定時間を変更することにより、前記第1の複数個の擬似距離と前記第2の複数個の擬似距離との間の時間間隔が変更される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の複数個の擬似距離と前記第2の複数個の擬似距離とが、決定され、時間にわたり順次記憶され、データの集合として送信される一連の複数組の擬似距離の一部である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
SPS信号を受信するSPS無線周波数受信機と、
前記SPS無線周波数受信機に結合され、前記SPS信号から複数の擬似距離を決定するプロセッサ、ここにおいて前記プロセッサは第1時間で受信したSPS信号から第1の複数個の擬似距離を決定し、前記第1時間後の第2時間で受信したSPS信号から第2の複数個の擬似距離を決定する、
前記プロセッサに結合され、前記第1複数個の擬似距離と前記第2の複数個の擬似距離とを記憶するメモリと、
前記メモリに結合され、前記第1の複数個の擬似距離と前記第2の複数個の擬似距離とを前記第2時間後に送信する送信機とを備えた衛星位置決めシステム(SPS)受信機。
【請求項11】
所定の種類の事象に応答して、前記送信機が前記第1の複数個の擬似距離と前記第2の複数個の擬似距離とを送信する、請求項10に記載のSPS受信機。
【請求項12】
前記SPS無線周波数受信機が前記第1の複数個の擬似距離が決定される第1SPS信号を受信し、前記SPS無線周波数受信機が前記第2の複数個の擬似距離が決定される第2SPS信号を受信し、前記第1SPS信号が受信された第1受信時間が決定され前記メモリに記憶され、前記第2SPS信号が受信された第2受信時間が決定され、前記メモリに記憶され、前記送信機が前記第1受信時間と前記第2受信時間とを送信する、請求項11に記載のSPS受信機。
【請求項13】
前記第1受信時間と前記第2受信時間とがSPS信号から決定される、請求項12に記載のSPS受信機。
【請求項14】
前記第1受信時間と前記第2受信時間とが、前記プロセッサに結合された通信受信機が受信したセルベースの通信信号中で受けた時間信号から決定される、請求項12に記載のSPS受信機。
【請求項15】
第1時間で受信の第1SPS信号から決定した第1の複数個の擬似距離を受信することと、
前記第1時間後の第2時間で受信の第2SPS信号から決定した第2の複数個の擬似距離を受信することと、
前記第1の複数個の擬似距離から第1位置を決定し、前記第2の複数個の擬似距離から第2の位置を決定することを備え、
前記第1の複数個の擬似距離と前記第2の複数個の擬似距離とは前記第2時間後に1つの送信で受信された、衛星位置決めシステム(SPS)情報から位置を決定する方法。
【請求項16】
前記1つの送信は所定の種類の事象の後に起きる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の複数個の擬似距離の補正を対応する第1補正時間の間記憶し、第2の複数個の擬似距離の補正を対応する第2補正時間の間記憶することと、
前記第1位置を前記第1の複数個の擬似距離の補正からも決定し、前記第2位置を前記第2の複数個の擬似距離の補正からも決定することとを更に備えた、請求項15に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−107520(P2010−107520A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−2895(P2010−2895)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【分割の表示】特願2000−547489(P2000−547489)の分割
【原出願日】平成11年4月13日(1999.4.13)
【出願人】(500480274)スナップトラック・インコーポレーテッド (21)
【Fターム(参考)】