説明

表示システム、操作者特定方法、車載表示システムおよび入力制御システム

【課題】運転席からの操作か助手席からの操作かを区別して検出するのに際して、正確に操作者を特定することを課題とする。
【解決手段】この車載システムは、パルス信号(例えば、電流など)を供給するパルス信号供給部と、各種制御を行う制御部と、操作者からの操作を受け付けるタッチパネルと、画像などを表示するデュアルディスプレイと、操作者が座る各シートに備えられるシートセンサーとから構成される。そして、この車載システムは、タッチパネルを操作可能な複数の操作者それぞれに対して、タイミングが異なるパルス信号(電流)を供給し、複数の操作者がタッチパネルを操作した場合に、操作者に供給されたパルス信号(電流)を、タッチパネルを介して検出し、検出したパルス信号(電流)のタイミングから操作者を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチパネルディスプレイを備え、タッチパネルディスプレイを操作する操作者を特定し、操作者の操作に応じた処理を行う表示システム、操作者特定方法、また車載の入出力デバイスを制御する車載表示システムおよび入力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車などでは、TVやナビゲーションを搭載したカーナビゲーションが搭載されている。従来のカーナビゲーションでは、TVとナビゲーションのどちらかしか提供できなかったが、最近では、運転席と助手席とで別々の映像を提供するタッチパネル式やリモコン式のDualView液晶を搭載したカーナビゲーションが普及してきている。
【0003】
ところが、タッチパネル式のDualView液晶を搭載したカーナビゲーションでは、運転席と助手席とに別々の映像および別々の操作入力画像が供給されるが、入力部(操作部)であるタッチパネルを運転席と助手席とで共通に使用しているため、どちらからの操作であるかを区別することができない。そのため、例えば、助手席乗員が音量を上げようとタッチパネルを操作したが、当該操作が音量ではなく、運転席の運転者が視聴しているカーナビゲーションの表示形式を変更する操作であると認識して、運転席および助手席の利用者が意図しない動作をしてしまうなどの問題が発生している。
【0004】
そこで、運転席からの操作と助手席からの操作を区別して検出し、それぞれに応じた操作を実行する様々な技術が開示されている。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2006−47534号公報)では、運転席と助手席とに別々の電源から周波数の異なる電流を供給し、タッチパネルから当該電流を検出して周波数を判定することで、運転席からの操作か助手席からの操作か複数の操作者を区別して検出する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−47534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の技術は、ノイズの影響を受け易い周波数によって複数の操作者を区別して検出するために、誤検出が多く、正確に操作者を特定することができないという課題があった。
【0008】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、複数の操作者を区別して検出するのに際して、誤検出を防止し、正確に操作者を特定することが可能である表示システム、操作者特定方法、車載表示システムおよび入力制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明はタッチパネルを有する入力手段と、前記入力手段を操作可能な複数の操作者のそれぞれにタイミングの異なるパルス信号を供給するパルス信号供給手段と、前記入力手段を操作する操作者を特定する操作者特定手段と、前記操作者特定手段により特定された操作者の前記入力手段への操作に応じた制御を行う操作制御手段とを備え、前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記入力手段を介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者の特定を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記入力手段は、ハードスイッチをさらに備え、前記操作者特定手段は、前記操作者がハードスイッチを操作した場合に、前記パルス信号供給手段により前記操作者に供給された前記パルス信号を、前記ハードスイッチを介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者の特定を行なうことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記パルス供給手段は、前記操作者特定手段によって検出されたパルス信号から前記操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、前記操作者に供給するパルス信号を調整する調整手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、タッチパネルを有する入力手段を操作する操作者を特定し、前記特定された操作者の前記入力手段への操作に応じた制御を行うことに適した操作者特定方法であって、前記入力手段を操作可能な複数の操作者それぞれにタイミングが異なるパルス信号を供給するパルス信号供給工程と、前記複数の操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給工程により前記操作者に供給されたパルス信号を、前記入力手段を介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者を特定する操作者特定工程と、を含んだことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記入力手段は、前記複数の操作者が操作可能なハードスイッチをさらに備え、前記操作者特定工程は、前記操作者が前記ハードスイッチを操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記ハードスイッチを介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者の特定を行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、上記の発明において、前記パルス信号供給工程は、前記操作者特定工程によって検出されたパルス信号から前記操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、前記操作者に供給するパルス信号を調整する調整工程をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、タッチパネルを有する入力手段と、運転席および前記運転席以外の少なくとも一つの座席に配置され、運転席乗員および前記運転席以外の少なくとも一つの座席の乗員に対して、タイミングの異なるパルス信号を供給するパルス信号供給手段と、前記入力手段を操作する操作者を特定する操作者特定手段と、前記操作者特定手段により特定された操作者の前記入力手段への操作に応じた制御を行う操作制御手段とをさらに備え、前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記入力手段を介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者が運転席乗員か前記運転席以外の少なくとも一つの座席の乗員かを特定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に係る発明は、上記の発明において、前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記入力手段を介して複数回サンプリングし、サンプリング結果に基づいて、前記操作者の特定を行うことを特徴とする。
【0017】
また、請求項9に係る発明は、上記の発明において、前記操作者特定手段は、前記入力手段を介して検出されたパルス信号から前記操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、前記入力手段および前記操作者特定手段の少なくとも一方の感度を変更することを特徴とする。
【0018】
また、請求項10に係る発明は、上記の発明において、前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記操作者を介したパルス信号とともに、前記入力手段が前記操作者によって操作されたことを示す操作信号を検出し、前記パルス信号供給手段は、前記操作者特定手段によって前記パルス信号が検出されるタイミングと、前記操作者特定手段によって前記操作信号が検出されるタイミングとを比較し、タイミングが異なる場合に、当該タイミングが一致するように前記操作者に供給するパルス信号のレベルを調整することを特徴とする。
【0019】
また、請求項11に係る発明は、上記の発明において、前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記操作者を介したパルス信号とともに、前記入力手段が前記操作者によって操作されたことを示す操作信号を検出し、前記操作信号が検出されるタイミングの範囲内の前記操作者を介したパルス信号のレベルに基づいて、前記操作者を介して検出したパルス信号の検出閾値および前記操作者に供給するパルス信号のレベルの少なくとも一方を調整することを特徴とする。
【0020】
また、請求項12に係る発明は、運転席および前記運転席以外の少なくとも一つの座席に配置され、運転席乗員および前記運転席以外の少なくとも一つの座席の乗員に対して、タイミングの異なるパルス信号を供給するパルス信号供給手段と、車両乗員からの操作を受け付ける入力手段と、前記入力手段を操作した操作者を特定する操作者特定手段と、前記操作者特定手段により特定された操作者の前記入力手段への操作に応じた制御を行う操作制御手段とを備え、前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記入力手段を介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者が運転席乗員か前記運転席以外の少なくとも一つの座席の乗員かを特定することを特徴とする。
【0021】
また、請求項13に係る発明は、上記の発明において、前記操作制御手段は、車両の運転に関連する操作が行なわれ、当該操作の操作者が前記操作者特定手段によって運転者以外の乗員であると特定された場合には当該操作に応じた制御を抑止することを特徴とする。
【0022】
また、請求項14に係る発明は、上記の発明において、前記運転に関する操作は、変速機操作、パーキングブレーキ操作、警音器操作、車載灯具操作、ワイパー操作、デフォッガ操作のいずれかを含むことを特徴とする。
【0023】
また、請求項15に係る発明は、上記の発明において、前記操作制御手段は、車体装備の集中管理動作に対する操作が行なわれ、当該操作の操作者が前記操作者特定手段によって前記集中管理の実行権限を有する乗員であると特定された場合に当該操作に応じた制御を実行することを特徴とする。
【0024】
また、請求項16に係る発明は、上記の発明において、前記車載装備の集中管理動作は、複数のドアの施錠機構を一括して制御する集中ドアロック動作、複数の窓の開閉を一括して制御する集中窓制御、所定のドアの開閉操作を禁止するロック制御動作のいずれかを含むことを特徴とする。
【0025】
また、請求項17に係る発明は、上記の発明において、前記操作制御手段は、各座席の乗員が個別に操作可能な車体装備の個別動作に対する操作が行なわれ、当該操作の操作者が前記操作者特定手段によって特定された場合に、該操作者の座席に対応する個別動作を実行することを特徴とする。
【0026】
また、請求項18に係る発明は、上記の発明において、前記車体装備の個別動作は、車室の空調動作、座席状態変更動作、窓開閉動作のうちいずれかを含むことを特徴とする。
【0027】
また、請求項19に係る発明は、上記の発明において、前記操作制御手段は、走行中の操作が規制されている操作入力を車両走行中に受け付け、かつ前記操作者特定手段によって操作者が運転者以外の乗員であると特定された場合に前記操作入力に対応する動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1、4、7の発明によれば、タッチパネルを有し、操作可能な複数の操作者のそれぞれにタイミングの異なるパルス信号を供給し、操作する操作者を特定し、特定された操作者の操作に応じた制御を行い、操作者が操作した場合に、供給されたパルス信号を検出し、検出したパルス信号のタイミングから操作者の特定を行うので、供給する電流に対するノイズを最低限に抑えることができる結果、正確に操作者を特定することが可能である。
【0029】
例えば、車載装置としてカーナビゲーションを使用した場合、パルス信号のタイミングを0.2秒ずらして運転席と助手席とに供給したとすると、当該パルス信号が検出されるタイミングで運転席からの操作と助手席からの操作を区別することができ、ノイズを最低限に抑えることができる結果、正確に操作者を特定することが可能である。
【0030】
また、請求項2または5の発明によれば、操作者がハードスイッチを操作した場合に、操作者に供給されたパルス信号を、ハードスイッチを介して検出し、検出したパルス信号のタイミングから操作者の特定を行なうので、ハードスイッチをさらに備えた場合、タッチパネルに限らずハードスイッチにおいても、正確に操作者を特定することが可能である。
【0031】
例えば、車載装置としてカーナビゲーションを使用した場合、カーナビゲーションを起動するハードスイッチと、TVを起動するハードスイッチとが同一のハードスイッチであるときに、助手席からハードスイッチが操作されるとTVを起動し、運転席から操作されるとカーナビを起動するなど、タッチパネルに限らずハードスイッチにおいても、正確に操作者を特定して、操作者に応じた操作を実行することが可能である。さらに、例えば、上記したように、TVとカーナビとを同じハードスイッチで起動させるなど、複数の機能を持つハードスイッチを一つのハードスイッチとして集約することができる結果、車載器が増えるに連れて、増加しているハードスイッチの数を削減することが可能である。
【0032】
また、請求項3または6の発明によれば、検出されたパルス信号から操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、操作者に供給するパルス信号を調整するので、操作者個々に対して、パルスの幅や高さを微調整することができる結果、より正確に操作者を特定することが可能である。
【0033】
例えば、電気を通しにくい人や通し易い人に応じて、パルス信号の幅を長くしたり短くしたり、また、パルス信号の幅を高くしたり低くしたり様々な手法でパルス信号を調整することができる結果、操作者個々に対して、より正確に操作者を特定することが可能である。
【0034】
また、請求項8の発明によれば、操作者が入力手段を操作した場合に、供給されたパルス信号を、入力手段を介して複数回サンプリングし、サンプリング結果に基づいて、操作者の特定を行うので、供給する電流に対するノイズを考慮した上で操作者を特定することができる結果、誤検出を防止することが可能であり、さらに正確に操作者を特定することが可能である。
【0035】
例えば、サンプリングされたパルス信号に、運転席乗員に供給したタイミングのパルス信号、助手席乗員に供給したタイミングのパルス信号、両方が操作したと思われる、または、両方に供給したパルス信号が重なったと思われるタイミングのパルス信号、ノイズなどの影響を受けていずれのタイミングにも属さないタイミングのパルス信号などが含まれる場合に、任意の様々な条件を用いて操作者を特定することができる結果、誤検出を防止することが可能であり、さらに正確に操作者を特定することが可能である。
【0036】
また、請求項9の発明によれば、入力手段を介して検出されたパルス信号から操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、入力手段および操作者特定手段の少なくとも一方の感度を変更するので、操作者それぞれに対して最も適した受信感度でパルス信号を検出することができる結果、操作者の誤った特定を防止することが可能である。
【0037】
例えば、体の大きい人を介したパルス信号と小さい人を介したパルス信号とを同じ感度で検出すると、体の小さい人に比べて、体の大きい人を介したパルス信号が検出しにくい。そのため、体の大きい人を介したパルス信号を見逃したりするなど誤検出が起こる。そこで、本発明を用いることで、体の小さい人に比べて、体の大きい人を検出する場合に、入力手段および操作者特定手段の少なくとも一方の感度をより高い感度に変更する。すると、体の大きい人を介したパルス信号と小さい人を介したパルス信号とを同じレベルで検出することができる結果、操作者の誤った特定を防止することが可能である。
【0038】
また、請求項10の発明によれば、操作者が入力手段を操作した場合に、操作者を介したパルス信号とともに、入力部が操作者によって操作されたことを示す操作信号をさらに検出し、パルス信号が検出されるタイミングと、操作信号が検出されるタイミングとを比較し、タイミングが異なる場合に、当該タイミングが一致するように、操作者に供給するパルス信号のレベルを調整するので、パルス信号を検出する最も適した検出レベルを維持することができる結果、パルス信号の誤検出を強固に防止することが可能である。
【0039】
例えば、パルス信号が検出されるタイミングが、操作信号が検出されるタイミングよりも長い場合、両方のタイミングが一致するように、供給するパルス信号のレベルを大きくする方向に調整し、パルス信号が検出されるタイミングが、操作信号が検出されるタイミングよりも長い場合、両方のタイミングが一致するように、供給するパルス信号のレベルを小さくする方向に調整することができる結果、パルス信号を検出する最も適した検出レベルを常に維持することが可能である。
【0040】
また、請求項11の発明によれば、操作者が入力手段を操作した場合に、操作者を介して検出したパルス信号とともに、入力手段が操作者によって操作されたことを示す操作信号を検出し、操作信号が検出されるタイミングの範囲内の操作者を介したパルス信号のレベルに基づいて、操作者を介して検出したパルス信号の検出閾値および操作者に供給するパルス信号のレベルの少なくとも一方を調整するので、最も適したレベルと検出閾値とを用いてパルス信号を検出することができる結果、パルス信号の誤検出をより強固に防止することが可能である。
【0041】
例えば、車載システムは、パルス信号が検出されるタイミングが、操作信号が検出されるタイミングに対して十分検出できる時間を維持しているが、検出する時間的余裕が短い場合には、検出閾値を下げて、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを下げる方向に調整し、パルス信号が検出されるタイミングが、操作信号が検出されるタイミングと同等の検出波形になるよう調整する。また、車載システムは、検出する時間的余裕は長いが、パルス信号が検出されるタイミングが、操作信号が検出されるタイミングに対して不十分である場合、検出閾値を上げて、さらに、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを上げる方向に調整し、パルス信号が検出されるタイミングが、操作信号が検出されるタイミングと同等の検出波形になるように調整することができる。
【0042】
また、請求項12の発明によれば、車両の乗員のそれぞれにタイミングの異なるパルス信号を供給し、操作者である乗員を特定し、特定された操作者の操作に応じた制御を行い、操作者が操作した場合に、供給されたパルス信号を検出し、検出したパルス信号のタイミングから操作者の特定を行うので、供給する電流に対するノイズを最低限に抑えることができる結果、正確に操作者を特定することが可能である。
【0043】
また、請求項13の発明によれば、車両の運転に関連する操作を運転者以外の乗員が行なったことが特定された場合には、その操作を受け付けないので、運転者以外の乗員が運転操作に関与することを防ぐことが出来る。
【0044】
例えば、請求項14に示したように、変速機操作、パーキングブレーキ操作、警音器操作、車載灯具操作、ワイパー操作、デフォッガ操作などを運転者以外の乗員が実行することを防ぐことが出来る。
【0045】
また、請求項15の発明によれば、車体装備の集中管理動作に対する操作は、その操作の操作者の実行権限を有する乗員であると特定された場合にのみ受け付けるので、権限の与えられていない乗員が車体装備の集中管理動作を実行することを防ぐことができる。
【0046】
例えば、請求項16に示したように、複数のドアの施錠機構を一括して制御する集中ドアロック動作、複数の窓の開閉を一括して制御する集中窓制御、所定のドアの開閉操作を禁止するロック制御動作などについては、権限を与えられた乗員のみが実行可能となる。
【0047】
また、請求項17の発明によれば、各座席の乗員が個別に操作可能な車体装備の個別動作に対する操作が行なわれ他場合に、その操作の操作者を特定してどの座席に対応する個別動作を実行するかを決定する。そのため、他の席の乗員による誤動作の防止や、個別動作に対するインターフェースを共通化することによるインターフェースの小型化を実現することが可能となる。
【0048】
例えば、請求項18に示したように、車室の空調動作、座席状態変更動作、窓開閉動作などについて誤動作の防止やインターフェースの共通化を行なうことができる。
【0049】
また、請求項19の発明によれば、走行中の操作が規制されている操作入力であっても、運転者以外の乗員からの操作であれば実行可能とすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る表示システム、操作者特定方法、車載表示システムおよび入力制御システムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例で用いる主要な用語、本実施例に係る車載装置の概要および特徴、車載装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0051】
[用語の説明]
まず最初に、本実施例で用いる主要な用語を説明する。本実施例で用いる「車載システム(特許請求の範囲に記載の「表示システム」「操作者特定方法」「車載表示システム」に対応する。)」とは、車に搭載されたカーナビゲーションシステムなどのコンピュータシステムのことであり、具体的には、液晶モニタなどにカーナビゲーションやTVなどを表示し、タッチパネルやリモコンなどにより各種操作を受け付ける。このようなカーナビゲーションシステムなどの「車載システム」では、カーナビかTVのどちらかを液晶モニタに表示して、カーナビの場合には目的地の設定や表示形式の切替などを液晶モニタのタッチパネルから受け付けて実行し、また、TVの場合にはチャンネル切替や音量の調整などを実行する。また、運転席と助手席とで異なる画像を表示するDualView液晶を備えている場合、一般的には、「車載システム」は、画面上は二つの画像を表示しているが、各種操作を行うためのタッチパネルやスイッチ類などは共用で使用される。
【0052】
もっとも、最近のカーナビゲーションシステム(「車載システム」)は、TVやカーナビだけでなく、DVDを挿入したり、デジタルカメラなどを接続することができるなど、運転者の運転負担を軽減したり、快適な運転を提供したり、また、同乗者を快適にするためにより様々なサービスを提供している。そのため、運転席と助手席(後部座席を含む)とで、異なる画像を表示するDualView液晶を備えたカーナビゲーションシステムは、運転者と同乗者とのそれぞれを快適にするサービスを別々に提供することができ、より運転者や同乗者を快適にするカーナビゲーションシステムだといえる。また、以前はリモコンによる操作が中心であったが、タッチパネルによる操作にすることで、利用者の負担を軽減している。なお、本実施例では、運転席の乗員からの操作と助手席の乗員からの操作とを区別する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、運転席の乗員からの操作と助手席の乗員からの操作と後部座席の乗員からの操作とを区別するようにしてもよい。また、本実施例では、本発明が車載システムとして搭載されている場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、TVなどDualView液晶やマルチView液晶を利用するあらゆる場合について適用することができる。
【0053】
[車載システムの概要および特徴]
次に、図1を用いて、実施例1に係る車載システムの概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る車載システムの全体構成を示すシステム構成図である。
【0054】
図1に示したように、車載システムは、運転席と助手席とにシートセンサーが備え付けてあり、これにパルス信号(例えば、電流など)を供給することで、これらのシートに座った運転者または助手席に座った同乗者にパルス信号を供給する。そして、この車載システムは、パルス信号を供給するパルス信号供給部と、各種制御を行う制御部と、操作者からの操作を受け付けるタッチパネルと、画像などを表示するデュアルディスプレイと、操作者が座る各シートに備えられるシートセンサーとから構成される。
【0055】
このような構成のもと、実施例1に係る車載システムは、上記したように、タッチパネルを操作する操作者を特定することを概要とするものであり、特に、正確に操作者を特定することが可能である点に主たる特徴がある。
【0056】
この主たる特徴を具体的に説明すると、シートセンサーによりシートに人が座ったことが検出されると、車載システムは、パルス信号供給部からタッチパネルを操作可能な複数の操作者のそれぞれにタイミングの異なるパルス信号を供給する(図1の(1)と(2)参照)。具体的に例を挙げると、シートセンサー(運転席)とシートセンサー(助手席)とにより運転シートと助手席シートにそれぞれ人が座ったことが検出されると、車載システムのパルス信号供給部は、タッチパネルを操作する複数の操作者に電流を供給するために、それぞれのシートセンサーに対して、タイミングが異なるパルス信号(パルス信号A(電流A)とパルス信号B(電流B))、例えば、パルス周期やパルス幅、立ち上がりが異なるパルス信号などを様々な手法で供給する。
【0057】
そして、車載システムは、操作者がタッチパネルを操作した場合に、パルス信号供給部により操作者に供給されたパルス信号を、タッチパネルを介して検出し、検出したパルス信号のタイミングから操作者の特定を行う(図1の(3)と(4)参照)。上記した例で具体的に説明すると、車載システムの制御部は、運転席の運転者がタッチパネルを操作した場合に、シートセンサー(運転席)に供給されたパルス信号A(電流A)が運転者の体を通って、タッチパネルからパルス信号供給部に伝送されて、当該パルス信号A(電流A)を検出する。そして、車載システムの制御部は、検出したパルス信号のタイミングによりタッチパネルを操作した操作者を運転席に座っている運転者と判定する。
【0058】
すると、車載システムは、判定した操作者に適した操作内容を実行する。例えば、タッチパネルへの操作が、運転席乗員からの場合、デュアルディスプレイのカーナビの表示を切り替える操作であり、助手席乗員からの場合、TVの音量を上げる操作であるとすると、車載システムの制御部は、操作者が運転者乗員と判定されると、デュアルディスプレイのカーナビの表示を切り替える操作を実行する。一方、操作者が助手席乗員と判定されると、車載システムの制御部は、TVの音量を上げる操作を実行する。
【0059】
このように、実施例1に係る車載システムは、複数の操作者からの操作を区別して検出するのに際して、操作者に供給するパルス信号(例えば、電流など)に対するノイズを最低限に抑えることができる結果、上記した主たる特徴のごとく、正確に操作者を特定することが可能である。
【0060】
[車載システムの構成]
次に、図2を用いて、図1に示した車載システムの構成を説明する。図2は、実施例1に係る車載システムの構成を示すブロック図である。図2に示すように、この車載システムは、シートセンサー10と、シートセンサー11と、タッチパネルディスプレイ15と、パルス信号供給部20と、制御部30とから構成される。
【0061】
シートセンサー10は、運転シートに人が座ったことを検出するとともに、後述するパルス信号供給部20から供給されたパルス信号(電流)を、座った運転者に供給する。具体的に例を挙げると、シートセンサー10は、運転シートに人が座ると、座ったことを検出した旨の信号を後述するパルス信号供給部20に通知し、パルス信号供給部20からパルス信号A(電流A)を運転者に供給する。
【0062】
シートセンサー11は、助手席シートに人が座ったことを検出するとともに、後述するパルス信号供給部20から供給されたパルス信号(電流)を、座った同乗者(助手席の乗員)に供給する。具体的に例を挙げると、シートセンサー10と同様に、シートセンサー11は、助手席シートに人が座ると、座ったことを検出した旨の信号を後述するパルス信号供給部20に通知し、パルス信号供給部20からパルス信号B(電流B)を同乗者(助手席の乗員)に供給する。なお、本実施例では、シートセンサーが運転席と助手席とに備え付けられた場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに後部座席などに備え付けるようにしてもよい。
【0063】
タッチパネルディスプレイ15は、タッチパネル16とデュアルディスプレイ17とを重ねあわせて構成され、各種画像や動画などを表示出力し、タッチパネル16は、操作者から入力される各種操作を受け付ける入力部である。なお、タッチパネルディスプレイ15は、特許請求の範囲に記載の「入力手段」に対応する。
【0064】
タッチパネル16は、マトリックススイッチや抵抗膜式スイッチなどから構成され、デュアルディスプレイ17上の表示に対応する箇所を押さえることでカーナビなどの機器への操作を指示するとともに、操作の際にパルス信号(電流)を受け付けて、当該パルス信号を後述するパルス信号供給部20に出力する入力装置である。上記した例で具体的に説明すると、タッチパネル16は、運転席から各種操作を受け付けると、当該操作内容(操作位置)を後述する制御部30に出力するとともに、シートセンサー10から供給されるパルス信号A(電流A)を運転者の体を介して受け付けて、操作位置を示す信号に当該パルス信号A(電流A)が重畳した信号を後述するパルス信号供給部20に出力する。
【0065】
パルス信号供給部20は、論理和基板21とControl基板22とを備え、タッチパネル16を操作する複数の操作者それぞれに対して、タイミングが異なるパルス信号(電流)を供給するとともに、操作者に供給して検出されたパルス信号(電流)から操作者の電気的特性を検出し、後述する制御部30により操作者が特定され易いように、検出した電気的特性に応じて、操作者に供給するパルス信号を調整する。なお、パルス信号供給部20は、特許請求の範囲に記載の「パルス信号供給手段」に対応する。
【0066】
上記した例で具体的に説明すると、パルス信号供給部20の論理和基板21は、シートセンサー10またはシートセンサー11からシートに人が座ったことを示す信号を受信すると、図3に示したように、タッチパネルを操作可能な乗員が着座する運転席と助手席とのそれぞれに、立ち上がりのタイミングが異なるパルス信号A(電流A)とパルス信号B(電流B)とに、後述する制御部30から出力された電流を変換して供給する。具体的には、論理和基板21は、時刻t0、t2で立ち上がるパルス信号A(電流A)(図3の(1)参照)を運転席のシートセンサー10に供給し、時刻t1、t4で立ち上がるパルス信号B(電流B)(図3の(2)参照)を助手席のシートセンサー11に供給する。なお、ここでは、立ち上がりの異なるパルス信号について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、パルス周期やパルス幅が異なるパルスなどを供給するようにしてもよい。また、図3は、パルス信号供給部によって供給されるタイミングの異なるパルス信号の例を示す図である。
【0067】
Control基板22は、論理和基板21を介して各シートセンサーに電流を供給したり、タッチパネル16から受け付けた操作位置を示す信号にパルス信号(電流)が重畳した信号を後述する制御部30に出力したり、操作者に供給して検出されたパルス信号(電流)から操作者の電気的特性を検出し、後述する制御部30により操作者が特定され易いように、検出した電気的特性に応じて、操作者に供給する電流のパルス信号を調整したりする。上記した例で具体的に説明すると、Control基板22は、タッチパネル16から運転席による操作を受け付けた場合、運転席乗員を介したパルス信号Aを後述する制御部30に出力する。
【0068】
また、Control基板22は、タッチパネル16から運転席による操作を受け付けた場合、運転者を介して供給されるパルス信号から操作者の電気的特性として電気を通し易い体質か否かを判定し、電気を通し易い体質と判定すると、当該パルス信号A(電流A)を調整することなく供給する。
【0069】
一方、電気を通しにくいと判定すると、Control基板22は、検出され易いように、供給するパルス信号を調整する。例を挙げると、Control基板22は、図4に示したように、供給始めの時刻t0に比べて、電気的特性を判定した時刻T(調整後)以降のパルス信号A(電流A)のパルスの高さを高くしたり(図4の(1)参照)、パルスの幅を長くしたり(図4の(2)参照)と、時刻T以降に供給するパルス信号(電流A)のパルスを調整する。なお、Control基板22は、特許請求の範囲に記載の「調整手段」に対応する。また、図4は、パルス信号の調整例を示す図である。
【0070】
制御部30は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有するとともに、特に本発明に密接に関連するものとしては、操作者特定部31と、操作実行部32とを備え、これらによって種々の処理を実行する。
【0071】
操作者特定部31は、操作者がタッチパネル16を操作した場合に、パルス信号供給部20により操作者に供給されたパルス信号(電流)を、タッチパネル16とControl基板22を介して検出し、検出したパルス信号(電流)のタイミングから操作者の特定を行う。上記した例で具体的に説明すると、操作者特定部31は、運転席の運転者がタッチパネル16を操作した場合に、パルス信号供給部20により操作者に供給されたパルス信号A(電流A)を、操作位置を示す信号にパルス信号Aが重畳された信号からパルス信号供給部20のControl基板22を介して当該パルス信号A(電流A)を検出し、当該パルス信号A(電流A)のタイミングから操作者を運転者と特定するとともに、操作位置を示す信号から、特定した操作者の操作内容を示す信号を後述する操作実行部32に出力する。なお、操作者特定部31は、特許請求の範囲に記載の「操作者特定手段」に対応する。
【0072】
操作実行部32は、操作者が特定された場合に、操作者に適した操作内容を実行、または、操作内容に対応する機器に操作内容を実行させるための指示を出力する。具体的に例を挙げると、TVの音量を上げる操作と、カーナビの表示を切り替える操作とがタッチパネル上で同一の操作位置である場合に、操作実行部32は、操作者特定部31により運転席からの操作と特定された信号が入力されたときには、カーナビの表示の切り替えを実行したり、または、対応する機器に実行させ、助手席からの操作と特定された信号が入力されたときには、TVの音量上昇を実行したり、または、対応する機器に実行させる。なお、ここで説明したTVの音量を上げる操作と、カーナビの表示を切り替える操作とはあくまで例であり、空調などの様々な操作を行うことができる。なお、操作実行部32は、特許請求の範囲に記載の「操作制御手段」に対応する。
【0073】
[車載システムによる処理]
続いて、図5を用いて、車載システムによる処理を説明する。図5は、実施例1に係る車載システムにおける操作者特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0074】
(操作者特定処理の流れ)
図5に示すように、シートセンサー10またはシートセンサー11によりシートに人が座ったことが検出されると(ステップS501肯定)、パルス信号供給部20は、当該人が座ったことが検出されたシートセンサーに対してパルス信号(電流)を供給する(ステップS502)。
【0075】
具体的に例を挙げると、運転席と助手席とに人が座わると、シートセンサー10およびシートセンサー11は、人が座ったことを検出して、その旨を示す信号をパルス信号供給部20に出力する。そして、パルス信号供給部20は、当該信号を受信すると、運転席のシートセンサー10と、助手席のシートセンサー11とにそれぞれ、タイミングが異なるパルス信号(電流Aと電流B)を供給する(図3参照)。
【0076】
その後、Control基板22を介してタッチパネル16からの操作位置を示す信号にパルス信号(電流)が重畳された信号から当該パルス信号が検出されると(ステップS503肯定)、制御部30の操作者特定部31は、検出したパルス信号(電流)のタイミングから操作者を特定し(ステップS504)、操作実行部32は、操作位置を示す信号および特定された操作者に基づいた操作内容を実行する(ステップS505)。
【0077】
上記した例で具体的に説明すると、TVの音量を上げる操作と、カーナビの表示を切り替える操作とがタッチパネル16上で同一の操作位置である場合に、運転席の運転者により、タッチパネル16上で操作を受け付けると、操作者特定部31は、Control基板22を介して、運転席を介したパルス信号(電流)が重畳された操作位置を示す信号からパルス信号を検出し、検出したパルス信号(電流)のタイミングから操作者を運転席の運転者と特定し、その旨の信号を操作実行部32に出力するとともに、操作位置を示す信号を操作実行部32に出力する。すると、操作実行部32は、当該運転者の操作に応じたカーナビの表示の切替を実行したり、または、対応する機器に実行させる。
【0078】
一方、操作者特定部31により操作者が助手席の乗員と判定された場合、操作実行部32は、当該助手席の乗員に応じたTVの音量上昇を実行したり、または、対応する機器に実行させる。
【0079】
(パルス調整処理の流れ)
次に、図6を用いて、車載システムによるパルス調整処理を説明する。図6は、実施例1に係る車載システムにおけるパルス調整処理の流れを示すフローチャートである。
【0080】
図6に示したように、タッチパネル16から操作位置を示す信号にパルス信号が重畳された信号からパルス信号(電流)が検出されると(ステップS601肯定)、パルス信号供給部20は、操作者を通してタッチパネル16に流れて操作者特定部31により検出されたパルス信号(電流)から、操作者の電気的特性を検出する(ステップS602)。
【0081】
具体的に例を挙げると、運転席からタッチパネル16が操作されると、操作者特定部31は、Control基板22を介したタッチパネル16からの操作位置を示す信号に重畳された信号のパルス信号(電流)がパルス信号A(電流A)であると検出し、当該検出したパルス信号がパルス信号A(電流A)である旨の信号をパルス信号供給部20に出力する。そして、当該信号が入力されたパルス信号供給部20は、当該パルス信号A(電流A)から操作者(運転者)の電気的特性として電気を通しにくい体質か否かなどを検出する。
【0082】
続いて、パルス信号供給部20は、検出した電気的特性に応じて供給するパルス信号(電流)のパルスを調整して(ステップS603)、調整したパルス信号(電流)を対応するシートセンサーに供給する(ステップS604)。
【0083】
上記した例で具体的に説明すると、パルス信号供給部20は、当該パルス信号A(電流A)から操作者(運転者)の電気的特性として電気を通しにくい体質と検出した場合、供給するパルス信号(電流)のパルス幅を広げたり、パルスの高さを高くしたりなど様々な手法でパルス信号を調整し、当該調整したパルス信号を運転席のシートセンサー10に電流を供給する。
【0084】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、タッチパネル16を有し、操作可能な複数の操作者のそれぞれにタイミングの異なるパルス信号を供給し、操作する操作者を特定し、特定された操作者の操作に応じた制御を行い、操作者が操作した場合に、供給されたパルス信号を検出し、検出したパルス信号のタイミングから操作者の特定を行うので、供給するパルス信号(電流)に対するノイズを最低限に抑えることができる結果、正確に操作者を特定することが可能である。
【0085】
例えば、車載装置としてカーナビゲーションを使用した場合、パルス信号のタイミングを0.2秒ずらして運転席と助手席とに供給したとすると、当該パルスが検出されるタイミングで運転席からの操作と助手席からの操作を区別することができ、ノイズを最低限に抑えることができる結果、正確に操作者を特定することが可能である。
【0086】
また、実施例1によれば、検出されたパルス信号から操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、操作者に供給するパルス信号を調整するので、操作者個々に対して、パルスの幅や高さを微調整することができる結果、より正確に操作者を特定することが可能である。
【0087】
例えば、電気を通しにくい人や通し易い人に応じて、パルスの幅を長くしたり短くしたり、また、パルスの高さを高くしたり低くしたり様々な手法でパルスを調整することができる結果、操作者個々に対して、より正確に操作者を特定することが可能である。
【0088】
なお、実施例1では、シートに人が座ったことが検出されると、座ったことが検出されたシートセンサーに対してパルス信号を供給するように構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、運転席および助手席の両方に人が座った場合に限り、操作者を特定する必要があるため、運転席および助手席の両方に人が座ったことが検出されると、パルス信号が供給されるようにしてもよい。
【0089】
また、実施例1では、デュアルディスプレイに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、運転席と助手席とで同じ画像を見ている場合に用いてもよい。例えば、操作者を特定することにより走行中に運転者によりなされた操作のみを受け付けないようにしてもよい。
【0090】
また、実施例1では、Control基板には、操作位置を示す信号にパルス信号が重畳した信号が入力され、制御部に操作位置を示す信号にパルス信号が重畳した信号を出力する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、操作位置を示す信号とパルス信号とが別々のControl基板に入力され、制御部に操作位置を示す信号とパルス信号とが別々に出力されるようにしてもよく、また、操作位置を示す信号がControl基板を介さず、直接、制御部に入力されるようにしてもよい。
【0091】
また、実施例1のパルス調整処理は、環境により人の電気的特定が変化するために、常に行われてよく、車載システムが動作したとき、ディスプレイにタッチパネルに触れることを促す表示を出力することにより、最初に調整を行うようにしてもよい。さらに、実施例1のパルス調整処理は、パルス信号供給部で人の電気的特性を検出し、パルス信号の調整を行っているが、制御部で、入力される操作者を介したパルス信号から電気的特性を検出し、制御部から出力される電流を調整して、パルス信号を調整するようにしてもよく、後述する操作者の体型予測により、パルス信号を調整してもよい。
【実施例2】
【0092】
ところで、実施例1では、操作者に供給したパルス信号(電流)をタッチパネルから検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハードスイッチから検出するようにしてもよい。
【0093】
そこで、実施例2では、図7と図8を用いて、操作者に供給したパルス信号(電流)をハードスイッチから検出する場合について説明する。まず、図7を用いて、実施例2に係る車載システムの構成について説明する。なお、図7は、実施例2に係る車載システムの構成を示す図である。
【0094】
[車載システムの構成(実施例2)]
図7に示したように、実施例1と同様、実施例2に係る車載システムは、運転席と助手席とに備え付けられたシートセンサーと、パルス信号(電流)を供給する論理和基板、Control基板と、各種制御を行う制御部と、操作者からの操作を受け付けるタッチパネルと、画像などを表示するデュアルディスプレイとから構成される。
【0095】
そして、実施例1と異なる点は、ハードスイッチ(SW(1)〜SW(3))と、ハードスイッチに備え付けられたSWセンサー(1)〜SWセンサー(3)と、それぞれのSWセンサーとSWとに接続されたControl基板(1)〜Control基板(3)とを備える。
【0096】
上記した実施例1とは異なる構成について、それぞれ具体的に説明すると、SW(1)〜SW(3)は、カーナビやTVなどカーナビゲーションシステムを操作する入力部であり、操作者によって操作されると、操作者に供給されるパルス信号(電流)が操作者の体を通して伝達されたパルス信号(電流)を検出し、当該パルス信号(電流)をControl基板(1)〜Control基板(3)に出力するカーナビの電源やTVの起動などに用いられるハードスイッチである。
【0097】
SWセンサー(1)〜SWセンサー(3)は、当該SWセンサー(1)〜SWセンサー(3)を操作した操作者に供給されるパルス信号(電流)を、シールドによって接続されるControl基板(1)〜Control基板(3)に出力する。
【0098】
Control基板(1)〜Control基板(3)は、実施例1で説明したControl基板22と同様の機能を有する。例えば、Control基板(1)〜Control基板(3)は、SWセンサー(1)〜SWセンサー(3)によって操作者を介したパルス信号(電流)が入力される。また、Control基板(1)〜Control基板(3)は、SWセンサー(1)〜SWセンサー(3)やSW(1)〜SW(3)から運転席の乗員や助手席の乗員からの操作を受け付けた場合、運転者や助手席の乗員を介して供給されたパルス信号(電流)から操作者の電気的特性を検出し、当該特性に応じて対応するシートセンサーに供給するパルス信号を調整する。しかしながら、SW(1)〜SW(3)のON/OFF信号がパルス信号(電流)とは別に入力される点および制御部に対して当該パルス信号(電流)のみを出力する点が実施例1とは異なる。
【0099】
このような構成のもと、シートセンサーによりシートに人が座ったことが検出されると、車載システムのパルス信号供給部は、各SWを操作可能な複数の操作者それぞれに対して、タイミングが異なるパルス信号(電流)を供給する(図7の(1)と(2)参照)。具体的には、シートセンサー(運転席)とシートセンサー(助手席)とにより運転シートと助手席シートにそれぞれ人が座ったことが検出されると、車載システムのパルス信号供給部は、SW(1)〜SW(3)を操作可能な複数の操作者にパルス信号(電流)を供給するために、それぞれのシートセンサーに対して、タイミングが異なるパルス信号A(電流A)とパルス信号B(電流B)とを供給する。
【0100】
そして、車載システムの制御部は、操作者がSWを操作した場合に、パルス信号供給部により操作者に供給されたパルス信号(電流)を、SWセンサーを介して検出し、検出したパルス信号(電流)のタイミングから操作者を特定する(図7の(3)と(4)参照)。上記した例で具体的に説明すると、車載システムの制御部は、運転席の運転者がSW(1)を操作した場合に、シートセンサー(運転席)に供給されるパルス信号A(電流A)が運転者の体を通って、SWセンサー(1)からControl基板(1)を介して供給されるとともに、SW(1)のON信号がControl基板(1)に供給される。そして、車載システムの制御部は、供給されたパルス信号(電流)のタイミングによりパルス信号A(電流A)と判定し、SW(1)を操作した操作者を運転席に座っている運転者と判定する。
【0101】
このように、実施例2に係る車載システムによれば、操作者がハードスイッチを操作した場合に、操作者に供給されたパルス信号(電流)を、ハードスイッチに設けられたSWセンサーを介して検出し、検出したパルス信号のタイミングから操作者を特定するので、入力部としてハードスイッチをさらに備える場合に、タッチパネルに限らずハードスイッチにおいても、正確に操作者を特定することが可能である。
【0102】
[ハードスイッチの構成(実施例2)]
次に、図8を用いて、図7に示したハードスイッチの構成について説明する。図8は、ハードスイッチの全体構成を説明するための図である。
【0103】
図8に示すように、このハードスイッチ(SW(1)〜SW(3))は、SW部82と、検知用電極83(SWセンサー)と、Pt板84とから構成される。筐体81は、SWを構成するためのSW部82やPt板84などの電気機器を納める箱である。具体的には、筐体81は、車載システムや車体などに固定されており、SW部82やPt板84などの電気機器が外れたりしないように、これらの電気機器を固定する役割をはたす。
【0104】
SW部82は、操作者に流れるパルス信号(電流)を検知する検知用電極83を内部に備え、Pt板84と一定の距離を離して設定される。具体的には、このSW部82は、押下される形状の場合、筺体81よりも少し突出しており、操作者が押下し易い構成となっていたり、また、On/Offのスイッチ形状のものでもよい。例を挙げると、SW部82は、操作者によって押下されると、SW接点がONになる。
【0105】
検知用電極83は、操作者に流れるパルス信号(電流)を検知する電極である。具体的には、検知用電極83は、運転者によりSWが操作されると、運転者に供給されるパルス信号A(電流A)を運転者を介して検知し、対応するControl基板にパルス信号A(電流A)送信する。
【0106】
Pt板84は、集積回路、抵抗器、コンデンサーなどの電子部品を実装し、その部品間を接続して電子回路を構成する配線を形成した板状またはフィルム状のプリント基板である。具体的には、Pt板84は、SW接点のON/OFF状態を示す信号を、対応するControl基板に出力する回路が構成されており、操作者によってSW部82を押下されると、SW接点がON状態である旨の信号を出力する。
【0107】
[車載システムによる処理(実施例2)]
続いて、図9を用いて、車載システムによる処理を説明する。図9は、実施例2に係る車載システムにおけるハードスイッチ操作者特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0108】
(ハードスイッチ操作者特定処理の流れ)
図9に示すように、シートセンサー(運転席)またはシートセンサー(助手席)によりシートに人が座ったことが検出されると(ステップS901肯定)、パルス信号供給部は、当該人が座ったことが検出されたシートセンサーに対してパルス信号(電流)を供給する(ステップS902)。
【0109】
具体的に例を挙げると、運転席と助手席とに人が座わると、シートセンサー(運転席)およびシートセンサー(助手席)は、人が座ったことを検出して、その旨を示す信号をパルス信号供給部に出力する。そして、パルス信号供給部は、当該信号を受信すると、運転席のシートセンサー(運転席)と、助手席のシートセンサー(助手席)とにそれぞれ、タイミングが異なるパルス信号(電流Aと電流B)を供給する。
【0110】
その後、Control基板(1)〜Control基板(3)を介してSW(1)〜SW(3)からのON信号が検出されると(ステップS903肯定)、制御部は、SWセンサー(1)〜SWセンサー(3)から検出したパルス信号(電流)のタイミングから操作者を特定し(ステップS904)、操作されたSWおよび特定された操作者に基づいた操作内容に応じた処理を実行したり、または、対応する機器に実行させる(ステップS905)。
【0111】
上記した例で具体的に説明すると、助手席の乗員が視聴する画像(例えば、TVなど)の音量を上げる操作と、運転者が視聴する画像(例えば、カーナビの画像など)の表示を切り替える操作とが同一のハードスイッチ(SW1)である場合に、運転席の運転者により、ハードスイッチ(SW1)で操作を受け付けると、制御部は、Control基板(1)を介して運転者を介したパルス信号を検出し、検出したパルス信号のタイミングから操作者を運転席の運転者と特定し、その旨の信号を出力するとともに、操作されたハードスイッチがSW1である旨の信号を出力する。すると、制御部は、当該運転者の操作に応じたカーナビの表示の切り替えを実行したり、または、対応する機器に実行させる。
【0112】
一方、制御部により操作者が助手席の乗員と判定された場合、制御部は、当該助手席の乗員の操作に応じたTVの音量上昇を実行したり、または、対応する機器に実行させる。
【0113】
(ハードスイッチによるパルス調整処理の流れ)
次に、図10を用いて、車載システムによるパルス調整処理を説明する。図10は、実施例2に係る車載システムにおけるハードスイッチによるパルス調整処理の流れを示すフローチャートである。
【0114】
図10に示したように、ハードスイッチ(SWセンサー)からパルス信号が検出されると(ステップS1001肯定)、パルス信号供給部は、操作者を通してハードスイッチに流れて検出されたパルス信号(電流)から、操作者の電気的特性を検出する(ステップS1002)。
【0115】
具体的に例を挙げると、運転席からSW(1)が操作されると、制御部は、Control基板(1)を介したパルス信号(電流)がパルス信号A(電流A)であると検出し、当該検出したパルス信号(電流)がパルス信号A(電流A)である旨の信号をパルス信号供給部に出力する。そして、当該信号が入力されたパルス信号供給部は、当該パルス信号A(電流A)から操作者(運転者)の電気的特性として電気を通しにくい体質か否かを検出する。
【0116】
続いて、パルス信号供給部は、検出した電気的特性に応じて供給するパルス信号(電流)を調整して(ステップS1003)、調整したパルス信号(電流)を対応するシートセンサーに供給する(ステップS1004)。
【0117】
上記した例で具体的に説明すると、パルス信号供給部は、当該パルス信号A(電流A)から操作者(運転者)の電気的特性として電気を通しにくい体質と検出した場合、供給するパルス信号(電流)のパルス幅を広げたり、パルスの高さを高くしたりなど様々な手法でパルス信号を調整し、当該調整したパルス信号を運転席のシートセンサー(運転席)に電流を供給する。
【0118】
[実施例2による効果]
このように、実施例2によれば、操作者がハードスイッチを操作した場合に、操作者に供給されたパルス信号を、ハードスイッチを介して検出し、検出したパルス信号のタイミングから操作者の特定を行うので、タッチパネルに限らずハードスイッチにおいても、正確に操作者を特定することが可能である。
【0119】
例えば、車載装置としてカーナビゲーションを使用した場合、カーナビゲーションを起動するハードスイッチと、TVを起動するハードスイッチとが同一のハードスイッチである場合、助手席からハードスイッチが操作されるとTVを起動し、運転席から操作されるとカーナビを起動するなど、タッチパネルに限らずハードスイッチにおいても、正確に操作者を特定して、操作者に応じた操作を実行することが可能である。さらに、例えば、上記したように、TVとカーナビとを同じハードスイッチで起動させるなど、複数の機能を持つハードスイッチを一つのハードスイッチとして集約することができる結果、車載器が増えるに連れて、増加しているハードスイッチの数を削減することが可能である。
【0120】
なお、実施例2では、実施例1と同様に、シートに人が座ったことが検出されると、座ったことが検出されたシートセンサーに対してパルス信号を供給するように構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、運転席および助手席の両方に人が座った場合に限り、操作者を特定する必要があるため、運転席および助手席療法に人が座ったことが検出されると、パルス信号が供給されるようにしてもよい。
【0121】
また、実施例2では、デュアルディスプレイに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、運転席と助手席とで同じ画像を見ている場合に用いてもよい。例えば、操作者を特定することにより走行中に運転者によりなされた操作のみを受け付けないようにしてもよい。
【0122】
また、実施例2では、Control基板には、パルス信号およびSWのON信号が入力され、ON信号が入力されたControl基板から制御部にパルス信号を出力する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、SWのON信号にパルス信号を重畳した信号を入力し、パルス信号のみ、または、ON信号に重畳した信号を出力するようにしてもよく、また、ON信号がControl基板を介さず、直接、制御部に入力されるようにしてもよい。
【0123】
また、実施例2のパルス調整処置は、環境により人の電気的特定が変化するために、常に行われてよく、車載システムが動作したとき、ディスプレイにタッチパネルに触れることを促す表示を出力することにより、最初に調整を行うようにしてもよい。さらに、実施例2のパルス調整処理は、実施例1と同様に、パルス信号供給部で人の電気的特性を検出し、パルス信号の調整を行っているが、入力される操作者を介したパルス信号から電気的特性を制御部で検出し、制御部から出力される電流を調整して、パルス信号を調整するようにしてもよく、後述する操作者の体型予測により、パルス信号を調整してもよい。
【実施例3】
【0124】
ところで、実施例1と2では、操作者がタッチパネルやハードスイッチなどの入力部を操作した場合に、当該入力部を介してパルス信号を検出して操作者の特定を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、入力部を介して複数回分サンプリングし、サンプリング結果に基づいて、操作者の特定を行うようにしてもよい。
【0125】
そこで、実施例3では、図11〜図13を用いて、操作者が入力部を操作すると、操作者に対して供給したパルス信号を入力部を介して複数回分サンプリングし、サンプリングしたパルス信号が所定の条件を満たすことを条件に、操作者の特定を行う場合について説明する。なお、構成については、実施例1または実施例2と同様にであるため、その説明は省略する。
【0126】
例えば、実施例3に係る車載システムは、操作者が一回入力部を操作すると、入力部を介して15回分のパルス信号をサンプリングすることとなる。そして、このサンプリングされる15回分のパルス信号には、「運転席の乗員に供給したタイミングのパルス信号」、「助手席の乗員に供給したタイミングのパルス信号」、「両方が操作したと思われる、または、両方に供給したパルス信号が重なったと思われるタイミングのパルス信号」、「ノイズなどの影響を受けていずれのタイミングにも属さないタイミングのパルス信号」が含まれる。なお、ここでは、15回分をサンプリングする場合について説明するが、サンプリングする回数に制限はなく、20回分をサンプリングするようにしてもよい。なお、パルス信号は、1回の操作(短押し)でも15回分のサンプリングが行える周期でシートセンサーに供給されているものとする。
【0127】
そして、車載システムは、このようにして15回分サンプリングしたパルス信号が所定の条件を満たすことを条件に、操作者の特定を行う。そこで、車載システムが、15回分サンプリングしたパルス信号操作者の特定を行う際に用いる所定の条件(図11〜図13)について説明する。
【0128】
図11は、サンプリングしたパルス信号から操作者を特定する条件の例を示した図である。この車載システムは、上記したように、操作者が入力部を操作した場合に、操作者に対して供給したパルス信号を入力部を介して15回分サンプリングする。そして、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち、図11に示すように、「運転席の乗員の情報をもつ信号」つまり「運転席の乗員に供給したタイミングのパルス信号」と、「助手席の乗員の情報をもつ信号」つまり「助手席の乗員に供給したタイミングのパルス信号」とを用いて、操作者を特定する。
【0129】
具体的に例を挙げれば、車載システムは、図11に示すように、15回分サンプリングしたパルス信号のうち、「運転席の乗員の情報をもつ信号が8回分以上」つまり「運転席者に供給したタイミングのパルス信号が8回分以上検出された」場合には、当該操作者を「運転席の乗員」と特定する(図11の1参照)。また、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち、「助手席の乗員の情報をもつ信号が8回分以上」つまり「助手席者に供給したタイミングのパルス信号が8回分以上検出された」場合には、当該操作者を「助手席の乗員」と特定する(図11の2参照)。また、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち、「運転席の乗員の情報も助手席の乗員の情報も8回分未満」つまり「運転席の乗員に供給したタイミングのパルス信号の検出された回数が8回未満であり、かつ、助手席の乗員に供給したタイミングのパルス信号の検出された回数が8回未満である」場合には、「操作者なし」と特定する(図11の3参照)。
【0130】
そして、実施例3に係る車載システムは、操作者の特定を行う条件として、図11に示した条件に限らず図12に示すように、さらに詳細な条件を設けて利用してもよい。なお、図12は、サンプリングしたパルス信号から操作者を特定する条件の例を示した図である。図12と図11とが異なる点は、「運転席者の情報をもつ信号」と「助手席者の情報をもつ信号」とに加えて、「運転席者と助手席者との情報をもつ信号」つまり「両方が操作したと思われるまたは両方に供給したパルス信号が重なったと思われるタイミングのパルス信号」を考慮して、操作者を「運転席者」か「助手席者」か「どちらでもない」かを特定する点である。
【0131】
ここでは、図12に示した操作者特定の条件のうち図11とは異なる点についてのみ説明すると、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち、図12の3に示すように、「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」つまり「両方が操作したと思われるまたは両方に供給したパルス信号が重なったと思われるタイミングのパルス信号」の検出された回数が、「操作者なしの情報をもつ信号」つまり「ノイズなどの影響を受けていずれのタイミングにも属さないタイミングのパルス信号」が検出された回数よりも多い場合に、「運転席の乗員の操作を優先させる」ことで、操作者を特定する。
【0132】
この場合、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」が「操作者なしの情報をもつ信号」より多く検出された場合に、さらに、「運転席者の情報をもつ信号が8回分以上」と「運転席者と助手席者との両方の情報をもつ信号」との合計が「10回以上」であると、操作者を「運転席の乗員」と特定し(図12の3−1参照)、「10回未満」であると、「操作者なし」と特定する(図12の3−2参照)。
【0133】
一方、15回分サンプリングしたパルス信号のうち、「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」が「操作者なしの情報をもつ信号」が検出された回数よりも多い場合に、「助手席の乗員の操作を優先させる」ことで、操作者を特定するとする。この場合、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」が「操作者なしの情報をもつ信号」より多く検出された場合に、さらに、「助手席の乗員の情報をもつ信号が8回分以上」と「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」との合計が「10回以上」であると、操作者を「助手席の乗員」と特定し(図12の3−3参照)、「10回未満」であると、「操作者なし」と特定する(図12の3−4参照)。
【0134】
また、「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」が「操作者なしの情報をもつ信号」が検出された回数よりも少ない場合に、車載システムは、「操作者なし」と特定する(図12の4参照)。なお、上記したように、どちらの情報を優先させるかは、あらかじめ利用者などにより定めておいてもよいし、操作は連続して行われる可能性が高いため、前回の操作で特定された操作者を優先するようにしてもよく、走行中は助手席の乗員を優先するようにしてもよい。
【0135】
また、車載システムは、最も多く検出された信号から操作者を特定するようにしてもよい。そこで、図13を用いて、車載システムが、最も多く検出された信号から操作者を特定する場合について説明する。図13は、サンプリングしたパルス信号から操作者を特定する条件の例を示した図である。
【0136】
図13に示すように、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち「運転席の乗員の情報をもつ信号が最も多い」場合に、操作者を「運転席の乗員」と特定し(図13の1参照)、「助手席の乗員の情報をもつ信号が最も多い」場合に、操作者を「助手席の乗員」と特定する(図13の2参照)。
【0137】
そして、車載システムは、「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号が最も多い」場合に、運転席の乗員の操作または助手席の乗員の操作を優先させて、操作者を特定する(図13の3参照)。具体的には、運転席の乗員の操作を優先させる場合、車載システムは、「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号が最も多い」かつ、「運転席の乗員の情報をもつ信号」と「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」との合計が「10回以上」であると、操作者を「運転席の乗員」と特定し(図13の3−1参照)、「10回未満」であると、「操作者なし」と特定する(図13の3−2参照)。
【0138】
一方、助手席の乗員の操作を優先させる場合、車載システムは、「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号が最も多い」かつ、「助手席の乗員の情報をもつ信号」と「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」との合計が「10回以上」であると、操作者を「助手席の乗員」と特定し(図13の3−3参照)、「10回未満」であると、「操作者なし」と特定する(図13の3−4参照)。
【0139】
そして、車載システムは、「操作者なしの情報をもつ信号が最も多い」場合に、15回分サンプリングしたパルス信号から「操作者なしの情報をもつ信号」を除く「運転席の乗員の情報をもつ信号」、「助手席の乗員の情報をもつ信号」、「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」のうち最も多く検出された信号から操作者を特定する(図13の4参照)。
【0140】
具体的には、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち「操作者なしの情報をもつ信号が最も多い」場合に、次に検出された回数の多い信号が「運転席の乗員の情報をもつ信号」であると、操作者を「運転席の乗員」と特定し(図13の4−1参照)、「助手席の乗員の情報をもつ信号」であると、操作者を「助手席の乗員」と特定(図13の4−2参照)する。
【0141】
そして、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち「操作者なしの情報をもつ信号が最も多い」場合に、次に検出された回数の多い信号が「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」であると、運転席の乗員の操作または助手席の乗員の操作を優先させることで、操作者を特定する(図13の4−3参照)。
【0142】
運転席の乗員の操作を優先させる場合、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち「操作者なしの情報をもつ信号が最も多い」であり、次に検出された回数の多い信号が「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」である場合に、「運転席の乗員の情報をもつ信号」と「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」との合計が「10回以上」であると、操作者を「運転席の乗員」と特定し(図13の4−3−1参照)、「10回未満」であると、「操作者なし」と特定する(図13の4−3−2参照)。
【0143】
一方、助手席の乗員の操作を優先させる場合、車載システムは、15回分サンプリングしたパルス信号のうち「操作者なしの情報をもつ信号が最も多い」であり、次に検出された回数の多い信号が「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」である場合に、「助手席の乗員の情報をもつ信号」と「運転席の乗員と助手席の乗員との両方の情報をもつ信号」との合計が「10回以上」であると、操作者を「助手席の乗員」と特定し(図13の4−3−3参照)、「10回未満」であると、「操作者なし」と特定する(図13の4−3−4参照)。
【0144】
このように、実施例3によれば、操作者が入力部を操作した場合に、供給されたパルス信号を、入力部を介して複数回分サンプリングし、サンプリングしたパルス信号が所定の条件を満たすことを条件に、操作者の特定を行うので、供給するパルス信号に対するノイズを考慮した上で操作者を特定することができる結果、誤検出を防止することが可能であり、さらに正確に操作者を特定することが可能である。
【0145】
例えば、サンプリングされたパルス信号に、運転席の乗員に供給したタイミングのパルス信号、助手席の乗員に供給したタイミングのパルス信号、両方が操作したと思われる、または、両方に供給したパルス信号が重なったと思われるタイミングのパルス信号、ノイズなどの影響を受けていずれのタイミングにも属さないタイミングのパルス信号などが含まれる場合に、任意の様々な条件を用いて操作者を特定することができる結果、誤検出を防止することが可能であり、さらに正確に操作者を特定することが可能である。なお、図11〜13に示した各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。なお、上記したように、どちらの情報を優先させるかは、あらかじめ利用者などにより定めておいてもよいし、操作は連続して行われる可能性が高いため、前回の操作で特定された操作者を優先するようにしてもよいし、走行中は助手席の乗員を優先するようにしてもよい。
【実施例4】
【0146】
ところで、実施例1〜3では、操作者がタッチパネルやハードスイッチなどの入力部を操作した後に、当該入力部を介してパルス信号を検出して操作者の特定を行う場合について説明したが、操作者がタッチパネルやハードスイッチなどの入力部を操作して、入力部がONされたことを検出した後に、当該入力部を介してパルス信号を検出して操作者の特定を行うようにしてもよい。
【0147】
具体的には、図14に示すように、車載システムは、操作者が入力部を操作しようとして指をスイッチ(例えば、タッチパネルやハードスイッチなど)に近づけると、操作者の体を通してパルス信号を検出することとなるが(図14の状態1)、この状態で検出されたパルス信号を無視または破棄し、実際に入力部がON状態になってから、検出されたパルス信号から操作者の特定を開始する(図14の状態2)。なお、図14は、パルス信号検出状態を説明するための図である。なお、構成については、実施例1または実施例2と同様であるため、説明は省略する。
【0148】
ハードスイッチを例に挙げて説明すると、車載システムは、図15に示すように、操作者が入力部を操作しようとして指をハードスイッチに近づけると、操作者の体を通してパルス信号を検出する。ところが、車載システムは、この状態で検出したパルス信号を破棄する。そして、車載システムは、図16に示すように、操作者によって実際にスイッチが押下されたことを検出すると、この状態以降に検出されたパルス信号から操作者の特定を開始する。なお、操作者によって実際にハードスイッチが押下されたことを検出する手法としては、回路による信号検出など公知の手法を用いて検出することができる。また、図15は、操作者が入力部を操作しようとハードスイッチを押下する前の状態を説明するための図であり、図16は、操作者がハードスイッチを押下した状態を説明するための図である。
【0149】
このように、実施例4によれば、操作者がタッチパネルやハードスイッチを操作しようと指を近づけた状態や触れた状態で検出したパルス信号を破棄し、タッチパネルやハードスイッチを実際に操作者が押下した状態から検出したパルス信号から操作者の特定を行うので、例えば、運転席の乗員が助手席の乗員に操作説明するために、タッチパネルやハードスイッチに指を近づけている場合や服などがタッチパネルやハードスイッチに触れた場合に検出するパルス信号を破棄することができる結果、誤検出を防止することが可能であり、さらに正確に操作者を特定することが可能である。なお、実施例1〜3では、シートに人が座ったことを検出した場合に、パルス信号をシートセンサーに供給するようにしていたが、タッチパネルやハードスイッチを実際に操作者が押下した場合に、パルス信号をシートセンサーに供給するようにしても同様の効果が得られる。さらに、実施例3で示したように、タッチパネルやハードスイッチを実際に操作者が押下した場合に、所定個のパルス信号をシートセンサーに供給するようにしても同様の効果が得られる。
【実施例5】
【0150】
ところで、一般的には、操作者によって人体の伝導率が異なることが多い。そこで、本発明に係る車載システムは、検出されたパルス信号から操作者の伝導率を算出し、算出された伝導率が低い場合に、入力部、パルス信号供給部、操作者特定部の少なくともいずれかの感度をより高い感度に変更するようにしてもよい。
【0151】
具体的に例を挙げれば、実施例5に係る車載システムは、図17に示すように、あらかじめ伝導率の閾値を保持しておき、検出されたパルス信号から操作者の伝導率を算出し、算出された伝導率が低い場合に、入力部、パルス信号供給部、操作者特定部の少なくともいずれかの感度を高い感度に変更する。このようにすることで、操作者それぞれに対して最も適した受信感度でパルス信号を検出することができる結果、操作者の誤った特定を防止することが可能である。なお、図17は、感度を変更した場合に検出されるパルス信号の例を示す図である。また、構成については、実施例1と実施例2と同様であるので、説明は省略する。
【0152】
また、車載システムは、伝導率をパルス信号から直接検出するのではなく、他の要因によって伝導率を予測し、感度の変更を行うことができる。具体的には、車載システムは、シートベルトの引き出された量や座席シートの確度・前後の位置によって、操作者の体型を予測し、予測した体型に応じて感度を変更することができる。
【0153】
例えば、シートベルトの引き出された量が少ない場合や座席シートの前後の位置が前方よりの場合、車載システムは、座席シートに座っている操作者の体型が小さいために、シートセンサーとの設置面積が小さいと予測し、感度を上昇(より高い受信感度)に変更する。また、車載システムは、助手席側のシートベルトが引き出されていない場合、助手席の乗員の情報をもつパルス信号が検出されても破棄し、運転席の乗員が操作者であると特定する。
【0154】
このように、伝導率、伝導率以外のシートベルトの引き出し量などの要因によって、運転席の乗員や助手席の乗員の体格などに応じて感度を変更し、操作者の特定を行うことが可能である。
【実施例6】
【0155】
ところで、本発明に係る車載システムは、操作者が入力部を操作した場合に、操作者を介したパルス信号を検出するとともに、入力部が操作者によって操作されたことを示す操作信号(例えば、タッチパネルの操作位置信号やハードスイッチのON信号など)をさらに検出し、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整するようにすることもできる。
【0156】
そこで、実施例6では、図18〜図21を用いて、操作者が入力部を操作した場合に、操作者を介したパルス信号を検出するとともに、入力部が操作者によって操作されたことを示す操作信号をさらに検出し、操作者を介したパルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間:例えば、前述のパルス信号を15回分サンプリングする区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とを比較し、タイミングが異なる場合に、当該タイミングが一致するようにシートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整する場合について説明する。なお、構成については、実施例1と実施例2と同様であるので、説明は省略する。
【0157】
図18に示すように、パルス信号検出状態とSW状態(例えば、ハードスイッチなど)とを比較すると、検出条件としては、SWのON区間(B)とパルス信号の操作者特定区間(A)とが等しいほどパルス信号を正確に検出することができ、検出余裕度(C)が大きいほど検出しやすいと言える。なお、検出レベルとは、シートセンサーから人体を介して検出したパルス信号のレベルであり、SWのON信号とは、操作者の指がSWに近づく、あるいは、接触した際に検出される信号である。また、図18は、パルス信号検出状態とSW状態とを比較するための図である。
【0158】
ところが、操作者それぞれの伝導率などにより、図19に示すように、SWのON区間(B)の時間に比べて、操作者特定区間(A)の時間が短く、また、検出余裕度(C)も小さい場合が発生する。このような状態が発生した場合、シートセンサーから人体を介して検出したパルス信号のレベルが弱いことを示している。そこで、実施例6に係る車載システムは、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とが一致するように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを大きくする方向に調整する。なお、図19は、検出されたパルス信号のレベルが弱い場合の例を示す図である。
【0159】
また、図20に示すように、SWのON区間(B)の時間に比べて、操作者特定区間(A)の時間が長く、また、検出余裕度(C)も大きい場合が発生する。このような状態が発生した場合、シートセンサーから人体を介して検出したパルス信号のレベルが強いことを示している。そこで、車載システムは、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とが一致するように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを小さくする方向に調整する。なお、図20は、検出されたパルス信号のレベルが強い場合の例を示す図である。
【0160】
そして、上記したように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを変更するタイミングとしては、周期的に行ってもよく、その頻度は任意に行うことができる。また、実施例1、2と同様に、車載システムが動作したとき、ディスプレイにタッチパネルに触れることを促す表示を行うことにより、最初に調整を行うようにしてもよい。そこで、次に、図21を用いて、パルス信号が検出されるタイミング(SWのON区間)と操作信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)とが一致するように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整する場合のフローチャートを説明する。
【0161】
図21は、実施例6に係る車載システムにおけるシートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整する処理の流れを示すフローチャートである。図21に示すように、SW(例えば、タッチパネルやハードスイッチなど)からパルス信号を検出すると(ステップS2101肯定)、車載システムは、操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間(B))とパルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間(A))とが等しいか否かを判定する(ステップS2102)。
【0162】
続いて、SWのON区間(B)と操作者特定区間(A)とが等しくない場合(ステップS2101否定)、車載システムは、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より大きいか否かを判定する(ステップS2103)。
【0163】
そして、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より大きい場合(ステップS2103肯定)、車載システムは、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とが一致するように、供給するパルス信号のレベルを大きくする方向に調整する(ステップS2104)。
【0164】
一方、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より小さい場合(ステップS2103否定)、車載システムは、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とが一致するように、供給するパルス信号のレベルを小さくする方向に調整する(ステップS2105)。
【0165】
そして、このように供給するパルス信号のレベルを調整した後、ステップS2102に戻り、周期的に、上記した処理を実行する。
【0166】
このように、実施例6に係る車載システムは、操作者が入力部を操作した場合に、操作者を介したパルス信号とともに、入力部が操作者によって操作されたことを示す操作信号をさらに検出し、パルス信号が検出されるタイミングと、操作信号が検出されるタイミングとを比較し、タイミングが異なる場合に、当該タイミングが一致するようにシートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整するので、パルス信号を検出する最も適した検出レベルを維持することができる結果、パルス信号の誤検出を強固に防止することが可能である。
【0167】
例えば、車載システムは、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)が、操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)よりも長い場合、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とが一致するように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを大きくする方向に調整する。また、車載システムは、パルス信号が検出されるタイミングが、操作信号が検出されるタイミングよりも長い場合、パルス信号が検出されるタイミングと操作信号が検出されるタイミングとが一致するように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを小さくする方向に調整することができる結果、パルス信号を検出する最も適した検出レベルを常に維持することが可能である。
【0168】
また、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)と、当該タイミング以外に検出余裕度(C)を用いて、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整するようにしてもよい。例えば、車載システムは、あらかじめ検出余裕度の「閾値」を保持しておき、パルス信号が検出されると、検出した際の検出余裕度(C)と「閾値」とを比較し、検出余裕度(C)が「閾値」よりも小さい場合には、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを大きくする方向に調整し、検出余裕度(C)が「閾値」よりも大きい場合には、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを小さくする方向に調整するようにしてもよい。
【0169】
また、上記したパルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とからレベルを調整する手法と、検出余裕度(C)からレベルを調整する手法とを組み合わせて用いることもできる。例えば、システムに電源が投入されてから数回は、検出余裕度(C)からパルス信号のレベルを調整し、その後、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とからパルス信号のレベルを調整するようにしてもよい。また、パルス信号が検出されるタイミング(操作者特定区間)や検出余裕度(C)に閾値を設けておき、検出されるたびに、それぞれの閾値との差分を算出し、当該差分が一定以上になった場合にのみ、上記した調整手法を実施するようにしてもよい。なお、調整順序は、これに限定されるものではなく、逆であってもよい。
【0170】
また、このようにして調整されたパルス信号のレベルを操作者ごとに記憶しておき、使用する際に、利用者によって読み出されるようにしてもよい。例えば、「父親」「母親」「兄」などと操作者ごとにレベルを記憶しておき、使用する際に、利用者によって自分のレベルを読み出すようにしてもよい。
【実施例7】
【0171】
ところで、実施例6では、パルス信号が検出されるタイミング(検出されたパルス信号の操作者特定区間)と操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間)とが一致しない場合に、供給するパルス信号のレベルを調整する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、操作者特定部で、操作者を特定するのに最低限必要となるパルス信号の検出閾値を調整するとともに、調整された検出閾値以上になるように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整するようにしてもよい。
【0172】
そこで、実施例7では、図22〜図26を用いて、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整する際に、操作信号が検出されるタイミングの範囲内で、操作者特定部で操作者を特定するのに最低限必要となるパルス信号の検出閾値を調整するとともに、調整された検出閾値以上になるように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整する例について説明する。なお、構成については、実施例1または実施例2と同様であるので、説明は省略する。
【0173】
例えば、図22に示すように、検出されるパルス信号の操作者特定区間(A)は、SWのON区間(B)に対して十分検出できる時間を維持しているが、検出されるパルス信号の検出余裕度(C)が低いため、実施例6で説明したようなシートセンサーへのレベルを可変するだけでは、SWのON区間(B)と同等の検出波形にすることができない。
【0174】
そこで、このような場合、図23に示すように、実施例7に係る車載システムは、検出閾値を下げて、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを下げる方向に調整し、検出されるパルス信号の操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)と同等の検出波形になるようにする。なお、図22は、パルス信号の検出余裕度が低い場合の例を示す図であり、図23は、検出閾値を下げてパルス信号のレベルを調整した例を示す図である。
【0175】
また、図24に示すように、検出余裕度(C)は高いが、検出されるパルス信号の操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)に対して不十分である場合、実施例7に係る車載システムは、図25に示すように、検出閾値を上げて、さらに、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを上げる方向に調整し、検出されるパルス信号の操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)と同等の検出波形になるようにする。なお、図24は、パルス信号の検出余裕度が高い場合の例を示す図であり、図25は、検出閾値を上げてパルス信号のレベルを調整した例を示す図である。
【0176】
次に、図26を用いて、上記で説明した検出閾値とパルス信号のレベルとを調整する処理の流れを説明する。図26は、実施例7に係る車載システムにおける検出閾値とパルス信号のレベルとを調整する処理の流れを示すフローチャートである。
【0177】
図26に示すように、SW(例えば、タッチパネルやハードスイッチなど)からパルス信号を検出すると(ステップS2601肯定)、車載システムは、操作信号が検出されるタイミング(SWのON区間(B))とパルス信号が検出されるタイミング(検出されるパルス信号の操作者特定区間(A))とが等しいか否かを判定する(ステップS2602)。
【0178】
続いて、SWのON区間(B)と検出されるパルス信号の操作者特定区間(A)とが等しくない場合(ステップS2602否定)、車載システムは、操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)より大きく、かつ、検出閾値が検出余裕度(C)より大きいか否かを判定する(ステップS2603)。
【0179】
そして、操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)より大きく、かつ、検出閾値が検出余裕度(C)より大きい場合(ステップS2603肯定)、車載システムは、検出閾値を下げて(ステップS2604)、さらに、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを下げる方向に調整する(ステップS2605)。
【0180】
一方、操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)より小さい、または、検出閾値が検出余裕度(C)より小さい場合(ステップS2603否定)、車載システムは、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より大きく、かつ、検出閾値が検出余裕度(C)より大きいか否かを判定する(ステップS2606)。
【0181】
そして、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より大きく、かつ、検出閾値が検出余裕度(C)より大きい場合(ステップS2606肯定)、車載システムは、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを上げる方向に調整する(ステップS2607)。
【0182】
一方、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より小さく、または、検出閾値が検出余裕度(C)より小さい場合(ステップS2606否定)、車載システムは、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より大きく、かつ、検出閾値が検出余裕度(C)より小さいか否かを判定する(ステップS2608)。
【0183】
そして、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より大きく、かつ、検出閾値が検出余裕度(C)より小さい場合(ステップS2608肯定)、車載システムは、検出閾値を上げて(ステップS2609)、さらに、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを上げる方向に調整する(ステップS2610)。
【0184】
一方、SWのON区間(B)が操作者特定区間(A)より小さい、または、検出閾値が検出余裕度(C)より大きい場合(ステップS2608否定)、車載システムは、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを下げる方向に調整する(ステップS2611)。
【0185】
その後、車載システムは、SWからパルス信号を検出すると(ステップS2601肯定)、上記したステップS2602〜ステップS2611の処理を繰り返す。
【0186】
このように、実施例7によれば、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整する際に、操作信号が検出されるタイミングの範囲内で、操作者を特定するのに最低限必要となるパルス信号の検出閾値を調整するとともに、調整された検出閾値以上になるように、シートセンサーに供給するパルス信号のレベルを調整するので、最も適したレベルと検出閾値とを用いてパルス信号を検出することができる結果、パルス信号の誤検出をより強固に防止することが可能である。
【0187】
例えば、車載システムは、操作者特定区間(A)は、SWのON区間(B)に対して十分検出できる時間を維持しているが、検出余裕度(C)が低い場合には、検出閾値を下げて、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを下げる方向に調整し、操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)と同等の検出波形になるようにしたり、また、検出余裕度(C)は高いが、操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)に対して不十分である場合、検出閾値を上げて、さらに、シートセンサーへ出力されるパルス信号のレベルを上げる方向に調整し、操作者特定区間(A)がSWのON区間(B)と同等の検出波形になるようにすることができる。なお、パルス信号の検出閾値とシートセンサーへ供給するパルス信号のレベルの両方の調整について説明したが、必ずしも両方を行う必要はなく、どちらか一方のみを用いて調整するようにしてもよい。
【実施例8】
【0188】
つづいて、操作者の特定を利用した車載用の入力制御システムの具体例について説明する。図27は、操作者の特定を利用する車載装置の概要構成を説明する概要構成図である。同図に示した車載装置100では、物理操作機構110をパルス信号供給部20および制御部30に接続するとともに、制御部30をナビゲーションユニット121、オーディオユニット122、車両操作系123、車体装備操作系124に接続している。
【0189】
ここで、物理操作機構110とは、シフトレバーやパーキングブレーキ操作機構、ウインカースイッチ、警音器の操作部、ウインドウ操作用ハードスイッチ、ドアロック操作用ハードスイッチ、シートポジション調節装置の操作部など任意の操作手段である。
【0190】
かかる物理操作手段110についてもタッチパネルディスプレイ15と同様にセンサが設けられており、パルス信号の検出によってどの座席の乗員が操作者であるかを特定することが可能である。
【0191】
ナビゲーションユニット121は、車両の走行経路の設定と誘導、道路状況や周辺施設などの情報提供を行なう装置である。また、オーディオユニット122は、テレビやラジオなどの放送受信、CD,DVD,HDDなどに格納したコンテンツの再生などを行なう装置である。
【0192】
運転操作系123は、運転に関連する操作、具体的には、図28に示したように、シフトレバー操作、パーキングブレーキ操作、警音器操作、ウインカー操作、ヘッドライトや車幅灯などの灯火系の操作、ワイパーの操作、窓のくもりを除去するデフォッガの操作、ETCに関わる操作などを受け付けて実行する車載装置群である。また、車両の横滑りを防止するVSCのキャンセル操作、オーバードライブの操作なども運転操作に含まれる。
【0193】
車体装備操作系124は、ドアの施錠機構や窓の開閉機構などの車載装備を制御する装置である。これらの装備は、個別制御機器132として各座席の乗員が自らの座席に対応する車載装備を個別に制御可能である。そして、集中管理装置131は、複数の座席に対応する個別の車体装備を一括して制御する機能を提供する装置である。
【0194】
具体的には、図28に示したように、個別制御としては、各座席近傍の空調操作、シートの前後位置や背もたれ角度、座面高さなどを調整するシートポジション変更、座席に設けられたシートヒータ操作、ウインドウの操作、ドアロック操作、ドア開閉操作などがある。
【0195】
集中管理では、複数のドアを一括して施錠・解錠する集中ドアロック、各ウインドウの開閉を一括して禁止する集中ウインドウロック、所定のドアの開閉操作を禁止する、所謂チャイルドロックなどが含まれる。
【0196】
この車載装置100において、制御部30は、操作者特定部31による操作者の特定結果を用いてナビケーションユニット121、オーディオユニット122、運転操作系123、車体装備操作系124の動作制御を行なう。
【0197】
具体的には、図29に示したように、運転操作を検出した場合に、その操作者が運転者であると特定されたならばその操作を受け付けて実行するが、操作者が運転者以外の乗員であると特定されたならば、その操作を受け付けないことで、運転者以外の乗員による運転操作を防止する。
【0198】
なお、ここで操作者が運転者であるか否かが特定できなかった場合には、その運転操作を受け付けて実行することとしている。これは、実際の操作者が運転者であった場合に、その運転操作を受け付けないと車両の適切な走行に影響を与えることを考慮したものである。
【0199】
つぎに、車体装備の集中管理については、その操作者が運転者であると特定されたならばその操作を受け付けて実行するが、操作者が運転者以外の乗員であると特定された場合、および操作者が不明である場合には、その操作を受け付けないことで、運転者以外の乗員による運転操作を防止する。
【0200】
この集中管理について操作者が不明である場合に操作を受け付けないこととしているのは、車体装備の集中管理は仮に運転者からの操作であるにも関わらず実行されない状況が発生しても、車両の走行上の問題が発生することが少なく、また個別制御によって所望の状態を実現することが可能であるためである。
【0201】
なお、ここでは、集中管理を実行する権限を運転者にのみ与えているが、運転席以外の任意の座席の乗員に対して集中管理の実行権限を付与することが可能であり、また運転者に対して集中管理の権限を与えないことも可能である。
【0202】
車体装備の個別制御については、操作者特定部31によって特定された操作者の座席に対応する個別動作を実行する。例えば、運転席乗員が窓開放操作を行なった場合には、運転席ドアの窓を開放し、助手席乗員が窓開放操作を行なった場合には、助手席ドアの窓を開放する。後部座席についても、同様に操作できる。
【0203】
個別操作については、座席ごとに操作手段がそれぞれ割り当てられている場合と、複数の座席で操作手段が共通化されている場合がある。座席ごとに操作手段がそれぞれ割り当てられている場合、操作者が不明である場合であってもその操作を実行可能とすることが望ましい。一方、複数の座席で操作手段が共通化されている場合には、操作者が不明であるとどの座席に対応して制御すべきであるかが不明であるので、操作の受け付けは行なわない。
【0204】
つぎに、ナビゲーションユニット121やオーディオユニット122については、走行中に運転者が複雑な操作や映像の鑑賞を行なうと安全走行への悪影響が懸念されるため、一部の機能は走行中には規制されている。
【0205】
しかし、運転者以外の乗員については、複雑な操作や映像の鑑賞を行なっても走行への影響が無いため、図30に示したように、操作者が運転者以外であると特定された場合には、走行規制の対象操作であっても操作を受け付ける。この時、操作者が不明である場合には、運転者による操作である可能性を考慮し、操作を受け付けないことが望ましい。
【0206】
つづいて、図31を参照し、制御部30による入力制御の具体例について説明する。同図に示したディスプレイ表示D1およびディスプレイ表示D2は、タッチパネルディスプレイ15に表示される仮面の例である。
【0207】
ディスプレイ表示D1では、助手席のシートポジション操作と窓開閉操作に対応する操作ボタンと、運転席の窓開閉操作に対応する操作ボタンが表示されている。
【0208】
助手席乗員が助手席のシートポジション操作や、窓開閉操作に対応する操作ボタンに触れたことをタッチパネルによって検知したならば、対応する制御が実行される。同様に、運転席乗員が窓開閉に対応する操作ボタンに触れたことを検知したならば、対応する制御が実行される。
【0209】
しかしながら、助手席乗員が運転席の窓の開閉ボタンを操作した場合や、運転席乗員が助手席に関する操作を行なった場合には、その操作は受け付けられない。
【0210】
すなわち、ディスプレイ表示D1は、座席ごとに操作手段がそれぞれ割り当てられている状態である。
【0211】
つぎに、ディスプレイ表示D2では、シート制御や窓制御に対する操作ボタンが運転席と助手席とで共通化されている。この場合、助手席乗員が窓の開閉ボタンを操作したならば、助手席側の窓が開閉制御され、運転席乗員が窓の開閉ボタンを操作したならば、運転席側の窓が開閉制御される。
【0212】
なお、ディスプレイ表示D2を表示した状態において、助手席乗員がシート制御のボタンを操作した場合には、助手席の座席の調節制御を行なうが、運転席乗員がシート制御のボタンを操作した場合には、その操作を受け付けないことが望ましい。これは、運転中に座席の調節を行なうと、安全走行上の問題が発生する可能性があるためである。すなわち、ここではシートの調節を運転席乗員に対する走行規制対象の操作としている。
【0213】
そして、ディスプレイ表示D1とディスプレイ表示D2は、ディスプレイに表示すべき情報の量やその優先順序によって相互に切替可能である。
【0214】
このように、操作者の特定を利用して車載装置の動作制御を行なうことで、運転者以外の乗員による運転操作への関与防止、車体装備の集中管理に対する権限設定、個別制御おける誤操作防止、個別制御の操作手段の共通化による入力手段の小型化を実現することが可能である。
【0215】
ところで、物理操作機構110は、操作を受け付けた場合に、操作状態が物理操作機構110の状態に反映されるものがある。例えば、ウインカーを操作する操作レバーは、オン状態とオフ状態とでレバーの位置が異なる。
【0216】
このような操作手段に対し、操作者特定による操作受け付けの可否を制御することとすると、操作によってレバーがオンの位置に移動しているにも関わらず制御が実行されず、操作手段の状態と動作状態が不整合を起こす場合がある。
【0217】
かかる点から、操作者特定による入力制御を行なう物理操作機構110は、跳ね返りスイッチのように動作状態に関わらず操作受け付け後に所定の位置に戻る機構であることが好適である。また、操作状態と動作状態が不整合を起こす可能性のある機構を採用する場合には、不整合が生じた際に通知を行なうようにしておくことが望ましい。
【実施例9】
【0218】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)ハードスイッチの構成、(2)システム構成等、(3)プログラムにそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0219】
(1)ハードスイッチの構成
例えば、実施例2では、操作者に供給したタイミングが異なるパルス信号(電流)を供給して検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、周波数の異なる電流を供給して検出するようにしてもよい。具体的には、ハードスイッチから操作者を特定するために、タッチパネルと同様に、タイミングが異なるパルス信号(電流)を供給するのではなく、ハードスイッチに対しては周波数が異なる電流を供給するようにしてもよい。例えば、車載システムは、運転席側のシートセンサーには、周波数100ヘルツの電流を供給し、助手席側のシートセンサーには、周波数50ヘルツの電流を供給し、これらの電流をハードスイッチから検出し、周波数を測定して、操作者を特定する。
【0220】
また、実施例2では、操作者の電気的特性に応じて供給するパルス信号(電流)のパルスを調整する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハードスイッチの場合、ハードスイッチの構成を変更して、感度を上げてもよい。例えば、ハードスイッチの表面をメッキにしたり、SW部を薄くしたり、SW部の一部に穴をあけたり、SW部の一部を金属にしたりしてもよい。
【0221】
(2)システム構成等
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理(例えば、電流の供給など)の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0222】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、パルス信号供給部と制御部とを統合するなど)して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0223】
(3)プログラム
なお、上記の実施例では、本発明を実現する各装置(例えば、車載システムなど)を機能面から説明したが、各装置の各機能はパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータにプログラムを実行させることによって実現することもできる。すなわち、上記の実施例で説明した各種の処理手順は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータ上で実行することによって実現することができる。そして、これらのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。さらに、これらのプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。つまり、例を挙げれば、実施例1に示したような表示制御プログラムを格納したCD−ROM(装置ごとに別個のCD−ROMであってもよい)を配布し、このCD−ROMに格納されたプログラムを各コンピュータが読み出して実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0224】
以上のように、本発明に係る表示システム、操作者特定方法、車載表示システムおよび入力制御システムは、操作する操作者を特定し、操作者の操作に応じた処理を行うことに有用であり、特に、正確に操作者を特定することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】実施例1に係る車載システムの全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】実施例1に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【図3】パルス信号供給部によって供給されるタイミングの異なるパルス信号の例を示す図である。
【図4】パルス信号の調整例を示す図である。
【図5】実施例1に係る車載システムにおける操作者特定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1に係る車載システムにおけるパルス調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施例2に係る車載システムの構成を示す図である。
【図8】ハードスイッチの全体構成を説明するための図である。
【図9】実施例2に係る車載システムにおけるハードスイッチ操作者特定処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施例2に係る車載システムにおけるハードスイッチによるパルス調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】サンプリングしたパルス信号から操作者を特定する条件の例を示した図である。
【図12】サンプリングしたパルス信号から操作者を特定する条件の例を示した図である。
【図13】サンプリングしたパルス信号から操作者を特定する条件の例を示した図である。
【図14】パルス信号検出状態を説明するための図である。
【図15】操作者が入力部を操作しようとハードスイッチを押下する前の状態を説明するための図である。
【図16】操作者がハードスイッチを押下した状態を説明するための図である。
【図17】受信感度を変更した場合に検出されるパルス信号の例を示す図である。
【図18】パルス信号検出状態とSW状態とを比較するための図である。
【図19】検出されたパルス信号のレベルが弱い場合の例を示す図である。
【図20】検出されたパルス信号のレベルが強い場合の例を示す図である。
【図21】実施例6に係る車載システムにおけるパルス信号のレベルを調整する処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】パルス信号の検出余裕度が低い場合の例を示す図である。
【図23】検出閾値を下げてパルス信号のレベルを調整した例を示す図である。
【図24】パルス信号の検出余裕度が高い場合の例を示す図である。
【図25】検出閾値を上げてパルス信号のレベルを調整した例を示す図である。
【図26】実施例7に係る車載システムにおける検出閾値とパルス信号のレベルとを調整する処理の流れを示すフローチャートである。
【図27】実施例8に係る車載装置の概要構成を説明する概要構成図である。
【図28】運転操作、車載装備操作の具体例を説明する説明図である。
【図29】操作者特定による入力制御の具体例を説明する説明図である。
【図30】操作者特定による走行規制解除について説明する説明図である。
【図31】ディスプレイの表示例について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0226】
10 シートセンサー(運転席)
11 シートセンサー(助手席)
15 タッチパネルディスプレイ
16 タッチパネル
17 デュアルディプレイ
20 パルス信号供給部
21 論理和基板
22 Contorol基板
30 制御部
31 操作者特定部
32 操作実行部
81 筺体
82 SW部
83 検知用電極
84 Pt板
100 車載装置
110 物理操作機構
121 ナビゲーションユニット
122 オーディオユニット
123 運転操作系
124 車体装備操作系
131 集中管理装置
132 個別制御機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを有する入力手段と、
前記入力手段を操作可能な複数の操作者のそれぞれにタイミングの異なるパルス信号を供給するパルス信号供給手段と、
前記入力手段を操作する操作者を特定する操作者特定手段と、
前記操作者特定手段により特定された操作者の前記入力手段への操作に応じた制御を行う操作制御手段とを備え、
前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記入力手段を介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者の特定を行うことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記入力手段は、ハードスイッチをさらに備え、
前記操作者特定手段は、前記操作者がハードスイッチを操作した場合に、前記パルス信号供給手段により前記操作者に供給された前記パルス信号を、前記ハードスイッチを介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者の特定を行なうことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記パルス信号供給手段は、前記操作者特定手段によって検出されたパルス信号から前記操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、前記操作者に供給するパルス信号を調整する調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の表示システム。
【請求項4】
タッチパネルを有する入力手段を操作する操作者を特定し、前記特定された操作者の前記入力手段への操作に応じた制御を行うことに適した操作者特定方法であって、
前記入力手段を操作可能な複数の操作者それぞれにタイミングが異なるパルス信号を供給するパルス信号供給工程と、
前記複数の操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給工程により前記操作者に供給されたパルス信号を、前記入力手段を介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者を特定する操作者特定工程と、
を含んだことを特徴とする操作者特定方法。
【請求項5】
前記入力手段は、前記複数の操作者が操作可能なハードスイッチをさらに備え、
前記操作者特定工程は、前記操作者が前記ハードスイッチを操作した場合に、前記パルス信号供給工程により供給された前記パルス信号を、前記ハードスイッチを介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者の特定を行うことを特徴とする請求項4に記載の操作者特定方法。
【請求項6】
前記パルス信号供給工程は、前記操作者特定工程によって検出されたパルス信号から前記操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、前記操作者に供給するパルス信号を調整する調整工程をさらに備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の操作者特定方法。
【請求項7】
タッチパネルを有する入力手段と、
運転席および前記運転席以外の少なくとも一つの座席に配置され、運転席乗員および前記運転席以外の少なくとも一つの座席の乗員に対して、タイミングの異なるパルス信号を供給するパルス信号供給手段と、
前記入力手段を操作する操作者を特定する操作者特定手段と、
前記操作者特定手段により特定された操作者の前記入力手段への操作に応じた制御を行う操作制御手段とを備え、
前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記入力手段を介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者が運転席乗員か前記運転席以外の少なくとも一つの座席の乗員かを特定することを特徴とする車載表示システム。
【請求項8】
前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記入力手段を介して複数回サンプリングし、サンプリング結果に基づいて、前記操作者の特定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の表示システム。
【請求項9】
前記操作者特定手段は、前記入力手段を介して検出されたパルス信号から前記操作者の電気的特性を検出し、検出された電気的特性に基づいて、前記入力手段および前記操作者特定手段の少なくとも一方の感度を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の表示システム。
【請求項10】
前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記操作者を介したパルス信号とともに、前記入力手段が前記操作者によって操作されたことを示す操作信号を検出し、
前記パルス信号供給手段は、前記操作者特定手段によって前記パルス信号が検出されるタイミングと、前記操作者特定手段によって前記操作信号が検出されるタイミングとを比較し、タイミングが異なる場合に、当該タイミングが一致するように前記操作者に供給するパルス信号のレベルを調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の表示システム。
【請求項11】
前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記操作者を介した検出したパルス信号とともに、前記入力手段が前記操作者によって操作されたことを示す操作信号を検出し、前記操作信号が検出されるタイミングの範囲内の前記操作者を介したパルス信号のレベルに基づいて、前記操作者を介した検出したパルス信号の検出閾値および前記操作者に供給するパルス信号のレベルの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の表示システム。
【請求項12】
運転席および前記運転席以外の少なくとも一つの座席に配置され、運転席乗員および前記運転席以外の少なくとも一つの座席の乗員に対して、タイミングの異なるパルス信号を供給するパルス信号供給手段と、
車両乗員からの操作を受け付ける入力手段と、
前記入力手段を操作した操作者を特定する操作者特定手段と、
前記操作者特定手段により特定された操作者の前記入力手段への操作に応じた制御を行う操作制御手段とを備え、
前記操作者特定手段は、前記操作者が前記入力手段を操作した場合に、前記パルス信号供給手段により供給された前記パルス信号を、前記入力手段を介して検出し、前記検出したパルス信号のタイミングから前記操作者が運転席乗員か前記運転席以外の少なくとも一つの座席の乗員かを特定することを特徴とする入力制御システム。
【請求項13】
前記操作制御手段は、車両の運転に関連する操作が行なわれ、当該操作の操作者が前記操作者特定手段によって運転者以外の乗員であると特定された場合には当該操作に応じた制御を抑止することを特徴とする請求項12に記載の入力制御システム。
【請求項14】
前記運転に関する操作は、変速機操作、パーキングブレーキ操作、警音器操作、車載灯具操作、ワイパー操作、デフォッガ操作のいずれかを含むことを特徴とする請求項13に記載の入力制御システム。
【請求項15】
前記操作制御手段は、車体装備の集中管理動作に対する操作が行なわれ、当該操作の操作者が前記操作者特定手段によって前記集中管理の実行権限を有する乗員であると特定された場合に当該操作に応じた制御を実行することを特徴とする請求項12〜14のいずれか一つに記載の入力制御システム。
【請求項16】
前記車載装備の集中管理動作は、複数のドアの施錠機構を一括して制御する集中ドアロック動作、複数の窓の開閉を一括して制御する集中窓制御、所定のドアの開閉操作を禁止するロック制御動作のいずれかを含むことを特徴とする請求項15に記載の入力制御システム。
【請求項17】
前記操作制御手段は、各座席の乗員が個別に操作可能な車体装備の個別動作に対する操作が行なわれ、当該操作の操作者が前記操作者特定手段によって特定された場合に、該操作者の座席に対応する個別動作を実行することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一つに記載の入力制御システム。
【請求項18】
前記車体装備の個別動作は、車室の空調動作、座席状態変更動作、窓開閉動作のうちいずれかを含むことを特徴とする請求項17に記載の入力制御システム。
【請求項19】
前記操作制御手段は、走行中の操作が規制されている操作入力を車両走行中に受け付け、かつ前記操作者特定手段によって操作者が運転者以外の乗員であると特定された場合に前記操作入力に対応する動作を実行することを特徴とする請求項12〜18のいずれか一つに記載の入力制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2008−233064(P2008−233064A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156803(P2007−156803)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】