説明

表示装置およびその作製方法

【課題】画素に光センサを有する表示部を用いて、画像の表示機能と、文字情報の入力機能とを備える表示画面を有する入力装置を提供する。
【解決手段】位置情報を検出するため、表示部の各画素に光センサを設ける。また、表示部の画素回路のトランジスタ、および光センサは単結晶半導体層で形成する。単結晶半導体層を用いることで、素子ごとの特性のばらつきがなくなり、高精度の位置検出が実現される。また、表示部は、ガラス基板等の透光性の基板に、単結晶半導体基板から分割された単結晶半導体層を設けた基板で作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力機能を有する表示部を備えた表示装置(以下、入力装置ともいう)、およびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
指やスタイラスペンで画面を触れることで文字情報を入力できる表示パネルが、普及しており、例えば、PDA(Personal Digital Assistant 又は、Personal Data Assistance)等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機器、自動車のナビゲーションシステム、現金自動支払機(ATM)等に用いられている。
【0003】
このような表示パネルとして、画面に光センサを設けたものが知られている(特許文献1〜3参照)。画面を指等で触れると、光センサの受光光量が変化するため、その変化を検出することで、指で触れた位置を検出することができる。
【0004】
特許文献1では、表示部兼入力部の画素にEL素子と光電変換素子を設け、ペン入力時に使用するペンのペン先で光を反射させることで、精度の良い情報入力を実現している。
【0005】
特許文献2では、画像表示時と光センサ出力時にバックライトのオン、オフを制御することで、光センサの検出精度を向上させている。
【0006】
特許文献3では、液晶表示装置の画素に光センサを設けて、表示装置の画面にイメージセンサを内蔵することで、本人認証システムを構築している。
【特許文献1】特開2002−287900号公報
【特許文献2】特開2006−317682号公報
【特許文献3】特開2002−33823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画素に光センサを有し、表示機能と入力機能を備えた表示部を備え、光センサによる位置検出を精度良く行うことを可能にする入力装置を提供することを目的の1つとする。
【0008】
本発明は、画素に光センサを有し、表示機能と入力機能を備えた表示部を備え、光センサによる位置検出を精度良く行うことを可能にする入力装置の作製方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つは、複数の画素を有する表示部と、複数の画素に設けられ、液晶素子およびトランジスタを含む画素回路と、複数の画素の全てまたは一部に設けられ、光センサおよびトランジスタを有するセンサ回路と、画素回路に電気的に接続されている画素用駆動回路と、センサ回路に電気的に接続されているセンサ用駆動回路と、センサ用駆動回路および前記画素用駆動回路に電気的に接続された表示切替回路と、を有し、センサ用駆動回路に、光センサの検出信号が入力され、かつ検出信号を表示切替回路に出力し、表示切替回路は、センサ用駆動回路から入力された検出信号をもとに、表示部の表示を切り替える信号を画素用駆動回路に出力し、画素回路、センサ回路、画素用駆動回路、およびセンサ用駆動回路は、同一基板上に形成され、画素回路、センサ回路、画素用駆動回路、およびセンサ用駆動回路のトランジスタの半導体層は単結晶半導体層でなり、光センサの光電変換層は、単結晶半導体層でなることを特徴とする表示装置である。
【0010】
上記の本発明に係る表示装置は、複数の発光ダイオードを含み、前記表示部を照明するためのバックライト装置を含んでいてもよい。
【0011】
上記の本発明に係る表示装置において、画素回路に、液晶素子の代わりに、発光素子を設けてもよい。
【0012】
本発明の1つは、複数の画素を有する表示部と、複数の画素に設けられ、液晶素子およびトランジスタを含む画素回路と、複数の画素の全てまたは一部に設けられ、光センサおよびトランジスタを有するセンサ回路と、画素回路に電気的に接続されている画素用駆動回路と、センサ回路に電気的に接続されているセンサ用駆動回路と、を有する表示装置の作製方法である。本発明の作製方法において、単結晶半導体基板および支持基板を用意し、加速されたイオンを単結晶半導体基板に添加することで、単結晶半導体基板の表面から所定の深さの領域に損傷領域を形成し、支持基板または単結晶半導体基板の少なくとも一方にバッファ層を形成し、バッファ層を介して支持基板と単結晶半導体基板を密着させ、バッファ層の表面と、バッファ層表面と密接している面とを接合させることで、支持基板に単結晶半導体基板を固定し、単結晶半導体基板の加熱によって損傷領域に亀裂を生じさせ、単結晶半導体基板を支持基板から分離することにより、単結晶半導体基板から分離された単結晶半導体層が固定された支持基板を形成し、単結晶半導体層を素子ごとに分割して、複数の単結晶半導体層を形成し、分割された単結晶半導体層から、画素回路、センサ回路、画素用駆動回路、およびセンサ用駆動回路のトランジスタ、ならびに光センサを形成する。
【0013】
上記の本発明の作製方法において、表示装置は、画素回路に、液晶素子の代わりに、発光素子を有することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の表示装置は、トランジスタおよび光センサを単結晶半導体層で形成されているため、画素ごと、素子ごとに特性のばらつきが少ないため、光センサによる位置検出を精度良く行うことができる。
【0015】
本発明の表示装置の作製方法では、単結晶半導体基板から形成された単結晶半導体層からトランジスタおよび光センサを形成しているため、画素ごと、素子ごとに特性のばらつきが少ないため、光センサによる位置検出を精度良く行うことが可能な入力装置を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を説明する。本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなく、その形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は実施形態および実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、異なる図面間で同じ参照符号が付されている要素は同じ要素を表しており、材料、形状、作製方法等について繰り返しになる説明は省略している。
【0017】
(実施形態1)
本実施形態は、本発明の表示機能と入力機能を備えた表示部を有する入力装置について説明する。
【0018】
まず、本発明に係る入力装置の構成を説明する。図1は、入力装置の構成例の1つを示すブロック図である。入力装置10は、表示部11、ならびに表示部11に電気的に接続された走査線駆動回路12、データ線駆動回路13を有する。さらに、入力装置10は、走査線駆動回路12およびデータ線駆動回路13を制御するためのディスプレイ制御回路16、センサ用走査線駆動回路14およびセンサ用データ線駆動回路15を制御するセンサ制御回路17を有する。さらに、入力装置10は、ディスプレイ制御回路16およびセンサ制御回路17を制御する演算回路18、および各種のデータを保存するメモリ回路19を有する。
【0019】
演算回路18は、入力装置10に含まれる回路の制御、各種演算処理等を行う回路であり、CPU(Central Processing Unit)、画像処理用演算回路等を含む。
【0020】
メモリ回路19はデータ記憶用の回路であり、演算回路18が実行するコンピュータプログラム、画像処理用フィルタおよびルックアップテーブル等を記憶するROM、演算回路18が計算した演算結果、映像データ等を記憶するRAM等を含む。
【0021】
表示部11は、複数の画素21を有する。各画素21には、表示素子およびトランジスタを有する画素回路と、光センサ22およびトランジスタを有するセンサ回路が設けられている。
【0022】
画素回路は、走査線により走査線駆動回路12に接続され、データ線によりデータ線駆動回路13に接続されている。表示素子としては、液晶素子のような通過する光の偏波状態を変更する素子、EL(エレクトロルミネッセンス)素子等の発光素子等がある。画素回路により、液晶素子の液晶分子の配向が制御され、通過する光の偏光状態が制御され、所望の輝度で画素21が発光する。あるいは、画素回路により発光素子の明るさが制御され、所望の輝度で画素21が発光する。このように走査線駆動回路12およびデータ線駆動回路13は、画素回路を駆動する画素用駆動回路23を構成する。
【0023】
センサ回路は、センサ用走査線によりセンサ用走査線駆動回路14に接続され、センサ用データ線によりセンサ用データ線駆動回路15に接続されている。光センサ22は、受光した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、フォトダイオードが用いられる。センサ用走査線駆動回路14から出力されるセンサ選択信号で指定された行の各画素21から、光センサ22で検出された信号がセンサ用データ線駆動回路15に出力される。このように、センサ用走査線駆動回路14およびセンサ用データ線駆動回路15は、センサ回路を駆動するセンサ用駆動回路24を構成する。
【0024】
ディスプレイ制御回路16は、画素用駆動回路23(走査線駆動回路12およびデータ線駆動回路13)を制御する回路である。ディスプレイ制御回路16から入力される信号にしたがって、走査線駆動回路12は走査線に信号を出力し、かつデータ線駆動回路13は画像データをデータ線に出力する。表示部11では、走査線およびデータ線に入力された信号にしたがって、画像が表示される。例えば、ディスプレイ制御回路16は、アナログの画像データをデジタルデータに変換するA−D変換回路(アナログ−デジタル変換回路)、デジタルの画像データをアナログのデータに変換するD−A変換回路(デジタル−アナログ変換回路)、ガンマ補正等の画像処理を行う画像処理回路等を含む。
【0025】
センサ制御回路17は、センサ用駆動回路24(センサ用走査線駆動回路14およびセンサ用データ線駆動回路15)を制御する回路である。センサ制御回路17から入力される信号にしたがって、センサ用走査線駆動回路14は、センサ用走査線に信号を出力する。センサ制御回路17は、表示部11からセンサ用データ線駆動回路15に入力された検出信号をセンサ用データ線駆動回路15から読み込む。センサ制御回路17または演算回路18において、検出信号を解析し、光センサ22の位置が検出される。
【0026】
ディスプレイ制御回路16、センサ制御回路17、および演算回路18は、表示切替回路29を構成する。表示切替回路29は、センサ用駆動回路24から入力された検出信号をもとに、表示部11に表示される画像を切り替える信号を画素用駆動回路23に出力する。つまりセンサ制御回路17または演算回路18で検出された光センサ22の位置情報をもとに、演算回路18では、表示部11に表示される画像を決定し、ディスプレイ制御回路16を制御して、表示部11に表示される画像を変更する。
【0027】
入力装置10において、表示部11の画素回路およびセンサ回路のトランジスタ、ならびに走査線駆動回路12、データ線駆動回路13、センサ用走査線駆動回路14およびセンサ用データ線駆動回路15に含まれるトランジスタは、同じ基板上に形成されている。
【0028】
これらのトランジスタの半導体層は単結晶半導体層でなり、かつ光センサ22の光電変換層も単結晶半導体層でなる。このことにより、多結晶シリコン等で作製された素子と比較して、素子ごとの特性のばらつきが格段抑えられるため、光センサ22により高精度の位置検出が可能になる。また、各画素21での輝度のばらつきも抑えられるため、信頼性の高い入力装置10を提供することができる。
【0029】
また、単結晶半導体層が用いられているため、高移動度で、かつ大電流を流せるトランジスタを作製することができる。その結果として、トランジスタのサイズを小さくすることができるので、走査線駆動回路12、データ線駆動回路13、センサ用走査線駆動回路14およびセンサ用データ線駆動回路15の占有面積を小さくできるため、表示部11の大画面化、高精細化ができる。
【0030】
なお、入力装置10において、走査線駆動回路12等の駆動回路だけでなく、他の回路も表示部11と同じ基板に集積化することもできる。このような回路として、ディスプレイ制御回路16の全てまたは一部、センサ制御回路17の全てまたは一部、演算回路18の全てまたは一部、メモリ回路19の全てまたは一部等がある。
【0031】
入力装置10において、表示部11の画素回路のトランジスタ、センサ回路の光センサ22、ならびに走査線駆動回路12、データ線駆動回路13、センサ用走査線駆動回路14およびセンサ用データ線駆動回路15に含まれるトランジスタを作製するための基板には、透光性の基板上に絶縁膜を介して単結晶半導体層が設けられている半導体基板を用いることができる。図2は、このような半導体基板の構成例を示す斜視図である。
【0032】
図2A〜図2Cに示す半導体基板31〜33は、SOI構造の基板であり、絶縁層上に単結晶半導体層が形成されている基板である。図2Aに示すように、半導体基板31は、バッファ層42を介して単結晶半導体層41が支持基板40に固定されている基板である。バッファ層42の表面と支持基板40の表面が接合することで、単結晶半導体層41が支持基板40に固定されている。
【0033】
図2Bに示すように、半導体基板32は、バッファ層43を介して単結晶半導体層41が支持基板40に固定されている基板である。バッファ層43の表面と単結晶半導体層41の表面が接合することで、単結晶半導体層41が支持基板40に固定されている。
【0034】
図2Cに示すように、半導体基板33は、バッファ層42と43を介して単結晶半導体層41が支持基板40に固定されている基板である。バッファ層43の表面とバッファ層42の表面が接合することで、単結晶半導体層41が支持基板40に固定されている。
【0035】
支持基板40は、透光性を有する基板を用いる。具体的には、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板が挙げられる。支持基板40としてガラス基板を用いるのが好ましい。
【0036】
ガラス基板には、熱膨張係数が25×10−7/℃以上50×10−7/℃以下(好ましくは、30×10−7/℃以上40×10−7/℃以下)であり、歪み点が580℃以上700℃以下である基板を用いることが好ましい。また、半導体素子の汚染を抑えるため、ガラス基板は無アルカリガラス基板が好ましい。無アルカリガラス基板の材料には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等のガラス材料等がある。
【0037】
単結晶半導体層41は、単結晶半導体基板を分割することで形成される層である。この単結晶半導体基板には、市販の半導体基板を用いることができ、例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板等の第14族元素でなる単結晶半導体基板を用いることができる。
【0038】
バッファ層42および43は、単層構造でも膜を2層以上積層した多層構造でもよい。バッファ層42、43を構成する絶縁膜として、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化ゲルマニウム、窒化ゲルマニウム膜、酸化窒化ゲルマニウム膜、窒化酸化ゲルマニウム膜等のシリコンまたはゲルマニウムを組成に含む絶縁膜を用いることができる。また、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム等の金属の酸化物でなる絶縁膜、窒化アルミニウム等の金属の窒化物でなる絶縁膜、酸化窒化アルミニウム膜等の金属の酸化窒化物でなる絶縁膜、窒化酸化アルミニウム膜等の金属の窒化酸化物でなる絶縁膜を用いることもできる。
【0039】
次に、図3〜図5を用いて、入力装置10の構成について説明する。図3は、表示素子に液晶素子が用いられた入力装置10の構成を説明するための断面図である。図4、図5は、表示素子に発光素子が用いられた入力装置10の構成を説明するための断面図である。
【0040】
図3の入力装置10において、表示部11、画素用駆動回路23およびセンサ用駆動回路24によって、アクティブマトリクス型の液晶パネルが構成される。図3の制御回路部50は、画素用駆動回路23およびセンサ用駆動回路24等の表示部11と同じ基板に形成される回路群を指している。図3にはこの制御回路部50の断面として、2つのトランジスタ51を図示している。また、表示部11の断面として、1つの画素21を図示しており、光センサ22を構成するフォトダイオード53、画素回路に含まれる液晶素子54およびトランジスタ55を図示している。さらに、入力装置10は、表示部11を照明するためのバックライト装置56を有する。
【0041】
液晶パネルを構成するため第1基板101に対向し、かつ間隔を開けて第2基板102がシール材103により固定されている。第1基板101と第2基板102の間に液晶分子が封入されており、液晶層104が形成されている。
【0042】
トランジスタ51、フォトダイオード53およびトランジスタ55は、図2A〜図2Cに示すような単結晶半導体層を有する半導体基板から形成される。図3に示すように、トランジスタ51、55およびフォトダイオード53は、絶縁膜105を介して第1基板101上に形成されている。トランジスタ51、55の半導体層106、およびフォトダイオード53の光電変換層107は絶縁膜105上に形成され、それぞれ単結晶半導体層でなる。第1基板101は、図2の支持基板40に対応し、絶縁膜105は、バッファ層42、43の一方または両方に対応する。そして、トランジスタ51、55の半導体層106、およびフォトダイオード53の光電変換層107は、単結晶半導体層41から形成される層である。
【0043】
トランジスタ51、および55は、半導体層106、絶縁膜108でなるゲート絶縁膜、導電膜109でなるゲート電極、ならびに導電膜110でなるソース電極およびドレイン電極を有する。半導体層106にチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。
【0044】
フォトダイオード53は、光電変換層107、導電膜110でなる2つの電極を有する。絶縁膜108を介して光電変換層107上に形成されている導電膜109は、遮光膜として機能する。光電変換層107には、PIN接合が形成されている。
【0045】
導電膜110は、導電膜109を覆う絶縁膜111上に形成されている。導電膜110を覆って絶縁膜112が形成されている。絶縁膜112上に画素電極113が形成されている。画素電極113は、導電膜110を介してトランジスタ55に電気的に接続されている。また、絶縁膜112上には、第1基板101と第2基板102の間隔を維持するための絶縁膜114が形成されている。画素電極113および絶縁膜114を覆って配向膜115が形成されている。配向膜115は必要に応じて形成される。
【0046】
画素電極113はバックライト装置56からの光が通過する透光性の電極である。そのため、画素電極113を構成する導電膜には、酸化インジウムに酸化スズを混ぜたインジウムスズ酸化物膜、インジウムスズ酸化物に酸化シリコンを混ぜたインジウムスズシリコン酸化物膜、酸化インジウムに酸化亜鉛を混ぜたインジウム亜鉛酸化物膜、酸化亜鉛膜、または酸化スズ膜等を用いることができる。
【0047】
第1基板101には、外部接続端子58が形成されている。外部接続端子58は、導電膜110と導電膜116との積層膜でなる。導電膜116は画素電極113と同じ導電膜から形成される。外部接続端子58は、第1基板101上に形成されていない回路と、第1基板101に形成されている回路を電気的に接続するための端子である。外部接続端子58には、異方性導電膜117によってFPC(フレキシブルプリントサーキット)118が電気的に接続されている。
【0048】
他方、第2基板102上には、カラーフィルタ121およびブラックマトリクス(以下、「BM」という)122が形成されている。カラーフィルタ121およびBM122上に対向電極123が形成され、対向電極123を覆って配向膜124が形成されている。画素電極113と対向電極123で液晶層104を挟む構造により液晶素子54が構成される。
【0049】
使用者は第1基板101側から表示部11を見ることで、画像を認識することができ、また、第1基板101側を指59等で触れることで、情報を入力することができる。
【0050】
バックライト装置56の光源から発した照明光57は、表示部11を照明する。照明光57は、第2基板102を通過し、カラーフィルタ121を通過することで、所定の波長成分だけが取り出される。照明光57は、液晶層104、画素電極113を通過し、第1基板101を通過し、表示部11の外部に取り出される。図3に示すように、指59等で表示部11に触れると、第1基板101を通過した照明光57が反射され、フォトダイオード53の光電変換層107に入射する。よって、フォトダイオード53で検出された信号を解析することで、表示部11のどの画素21に指59が触れたかを検出することができる。
【0051】
図3の入力装置10では、フォトダイオード53に遮光膜(導電膜109)を設けられているため、第2基板102側から入射する光を遮ることができる。
【0052】
バックライト装置56の光源として、冷陰極管、発光ダイオード(以下、「LED」という)等を用いることができる。LEDを用いることが好ましい。LEDを間欠的に発光させ、その発光期間と同期させて、フォトダイオード53の検出信号を読み取ることで、外光等によるノイズを低減することができる。
【0053】
また、バックライト装置56に、画像を表示させるための可視光域で発光するLEDの他に、人間の目で視覚できない赤外光を発するLEDを設けてもよい。このようなLEDとして、波長800nm以上1μm以下に発光スペクトルのピークを有するLEDを用いればよい。これは、フォトダイオード53の光電変換層107に単結晶シリコン層を用いた場合、波長800nm以上1μm以下の波長域で、フォトダイオード53の受光感度が高いからである。人間の目で視認できない光を用いることで、バックライト装置56の照明光57やカラーフィルタ121によって、表示部11の画像の色合いが最適化するように設計することが容易になり、かつフォトダイオード53で高精度の位置検出ができる。
【0054】
なお、図3の表示部11の表示方式はTN(Twisted Nematic)モードとしたが、他の方式とすることもできる。例えば、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード等がある。
【0055】
図4の入力装置10において、表示部11は、アクティブマトリクス型のELパネルを構成している。図4には制御回路部50の断面として、2つのトランジスタ61を図示している。また、表示部11の断面として、1つの画素21を図示しており、光センサ22を構成するフォトダイオード62、画素回路に含まれるトランジスタ63、および発光素子64を図示している。
【0056】
図4に示すように、トランジスタ61、フォトダイオード62、トランジスタ63および発光素子64は第1基板141上に形成されている。ELパネルを構成するため第1基板141に対向し、第2基板142が樹脂層143により固定されている。樹脂層143には、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができる。
【0057】
トランジスタ61、63およびフォトダイオード62は、図2A〜図2Cに示すような単結晶半導体層を有する半導体基板から形成される。図4に示すように、トランジスタ61、63およびフォトダイオード62は、絶縁膜145を介して第1基板141に上に形成されている。トランジスタ61、63の半導体層146、およびフォトダイオード62の光電変換層147は絶縁膜145上に形成され、それぞれ単結晶半導体層でなる。第1基板141は、図2の支持基板40に対応し、絶縁膜145は、バッファ層42、43の一方または両方に対応する。そして、トランジスタ61、63の半導体層146、およびフォトダイオード62の光電変換層147は、単結晶半導体層41から形成される層である。
【0058】
トランジスタ61、63は、半導体層146、絶縁膜148でなるゲート絶縁膜、導電膜149でなるゲート電極、ならびに導電膜150でなるソース電極およびドレイン電極を有する。半導体層146にチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。なお、トランジスタ63には、導電膜150と同じ導電膜でなる画素電極151が接続されている。
【0059】
フォトダイオード62は、光電変換層147、導電膜150でなる2つの電極を有する。光電変換層147には、PIN接合が形成されている。
【0060】
導電膜150および画素電極151は、導電膜149を覆う絶縁膜153上に形成されている。導電膜150および画素電極151を覆って絶縁膜154が形成されている。絶縁膜154には画素電極151の上面を露出する開口部が形成されている。その開口部において、画素電極151上に、EL層155、対向電極156が積層されている。画素電極151と対向電極156でEL層155を挟む構造により発光素子64が構成される。
【0061】
EL層155は、少なくとも発光層を含む層である。該発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を含んでいてもよい。
【0062】
画素電極151はEL層155で発した光65を反射する反射電極である。画素電極151を構成する導電膜には、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、クロム、銀等の金属膜、当該金属の合金膜、または当該金属の導電性化合物膜を用いることができる。
【0063】
対向電極156は光65を通過する透光性の電極である。対向電極156を構成する導電膜には、酸化インジウムに酸化スズを混ぜたインジウムスズ酸化物膜、インジウムスズ酸化物に酸化シリコンを混ぜたインジウムスズシリコン酸化物膜、酸化インジウムに酸化亜鉛を混ぜたインジウム亜鉛酸化物膜、酸化亜鉛膜、または酸化スズ膜等を用いることができる。
【0064】
第1基板141には、外部接続端子66が形成されている。外部接続端子66は、導電膜149、導電膜150、および導電膜158との積層膜でなる。導電膜158は画素電極151と同じ導電膜から形成される。外部接続端子66は、第1基板141上に形成されていない回路と、第1基板141に形成されている回路を電気的に接続するための端子である。外部接続端子66には、異方性導電膜159によってFPC160が電気的に接続されている。
【0065】
使用者は、第2基板142側から表示部11を見ることで、画像が認識することができ、また、第2基板142側を指59等で触れることで、情報を入力することができる。
【0066】
光65は第2基板142を通過し、表示部11の外部に取り出される。図4に示すように、指59等で表示部11に触れると、第2基板142を通過した光65が反射され、フォトダイオード62の光電変換層147に入射する。よって、フォトダイオード62で検出された信号を解析することで、表示部11のどの画素21に指59が触れたかを検出することができる。
【0067】
最後に、図5の入力装置10について説明する。図5の入力装置10において、図4と同様、表示部11は、アクティブマトリクス型のELパネルを構成している。図4との違いは、発光素子64で発した光65を第1基板141側から取り出す点である。以下、図4と構成が異なる部分を説明する。
【0068】
導電膜150を覆って絶縁膜170が形成されている。絶縁膜170上に画素電極171が形成され、トランジスタ63に電気的に接続されている。画素電極171を覆って絶縁膜172が形成されている。絶縁膜172には画素電極171の上面を露出する開口部が形成されている。その開口部において、画素電極171上に、EL層155、対向電極174が積層されている。画素電極171と対向電極174でEL層155を挟む構造により発光素子64が構成される。
【0069】
画素電極171はEL層155で発した光65を通過する透光性の電極である。画素電極171を構成する導電膜には、酸化インジウムに酸化スズを混ぜたインジウムスズ酸化物膜、インジウムスズ酸化物に酸化シリコンを混ぜたインジウムスズシリコン酸化物膜、酸化インジウムに酸化亜鉛を混ぜたインジウム亜鉛酸化物膜、酸化亜鉛膜、または酸化スズ膜等を用いることができる。
【0070】
対向電極174は、EL層155で発した光65を反射する反射電極である。対向電極174を構成する導電膜には、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、クロム、銀等の金属膜、当該金属の合金膜、または当該金属の導電性化合物膜を用いることができる。
【0071】
外部接続端子66は、導電膜149、導電膜150、および導電膜175との積層膜でなる。導電膜175は画素電極171と同じ導電膜から形成される。
【0072】
使用者は、第1基板141側から表示部11を見ることで、画像が認識することができ、また、第1基板141側を指59等で触れることで、情報を入力することができる。
【0073】
光65は第1基板141を通過し、表示部11の外部に取り出される。図5に示すように、指59等で表示部11に触れると、第1基板141を通過した光65が反射され、フォトダイオード62の光電変換層147に入射する。よって、フォトダイオード62で検出された信号を解析することで、表示部11のどこの画素21に指59が触れたかを検出することができる。
【0074】
なお、図4および図5において、発光素子64を間欠的に発光させ、その発光期間と同期させて、フォトダイオード62の検出信号を読み取ることで、外光等によるノイズを低減することができる。
【0075】
(実施形態2)
本実施形態では、図3のような、表示素子として液晶素子を有する表示部11の構成について説明する。
【0076】
図6Aは表示部11の構成例を示す回路図であり、図6Bは1つの画素21の回路図である。
【0077】
表示部11はx行y列に配列された画素21を有する。画素21は、液晶素子を有する画素回路25、光センサを有するセンサ回路26を有する。
【0078】
また、表示部11には、x本の走査線SL1〜SLx、y本のデータ線DL1〜DLy、x本の容量線CL1〜CLx、x本のリセット用走査線RL1〜RLx、y本のセンサ用出力線OL1〜OLy、およびy本のセンサ用電源線VBが設けられている。なお、図6Bにおいては、各信号線の順序を示す符号を省略している。
【0079】
走査線SL1〜SLxは走査線駆動回路12に接続され、データ線DL1〜DLyはデータ線駆動回路13に接続されている。また、リセット用走査線RL1〜RLxはセンサ用走査線駆動回路14に接続され、センサ用出力線OL1〜OLyはセンサ用データ線駆動回路15に接続されている。センサ用出力線OL1〜OLyには、それぞれ、定電流電源200が接続されている。定電流電源200に各センサ用出力線OL1〜OLyは接続されており、一定の電流が供給されている。また、y本のセンサ用電源線VBは、共通の電源回路に接続されている。各センサ用電源線VBは一定の電位(基準電位)に保たれている。
【0080】
画素21は、それぞれ画素回路25およびセンサ回路26を有する。画素回路25は、スイッチングトランジスタ201、液晶素子202および保持容量203を有する。スイッチングトランジスタ201のゲート電極は走査線SLに接続されている。そのソース領域およびドレイン領域は、一方がデータ線DLに、他方が液晶素子202の画素電極に接続されている。保持容量203の一方の電極は液晶素子202の画素電極に接続され、他方の電極は容量線CLに接続されている。
【0081】
センサ回路26は、リセット用トランジスタ211、バッファ用トランジスタ212、選択用トランジスタ213、およびフォトダイオード214を有している。リセット用トランジスタ211のゲート電極はリセット用走査線RLに接続され、そのソース領域はセンサ用電源線VBに接続され、そのドレイン領域はバッファ用トランジスタ212のゲート電極およびフォトダイオード214に接続されている。センサ用電源線VBには、バッファ用トランジスタ212のドレイン領域も接続されている。
【0082】
選択用トランジスタ213のゲート電極は走査線SLに接続されている。そのソース領域およびドレイン領域は、一方はバッファ用トランジスタ212のソース領域に接続されており、他方はセンサ用出力線OLに接続されている。
【0083】
次に、センサ回路26の動作方法について説明する。図7は、センサ回路26のタイミングチャートである。
【0084】
リセット用トランジスタ211、バッファ用トランジスタ212及び選択用トランジスタ213はそれぞれ、nチャネル型トランジスタでもpチャネル型トランジスタでもどちらでもよい。ここでは、説明の都合、リセット用トランジスタ211はnチャネル型トランジスタとし、バッファ用トランジスタ212はpチャネル型トランジスタとし、選択用トランジスタ213はnチャネル型トランジスタとする。なお、リセット用トランジスタ211とバッファ用トランジスタ212の極性は異なる方が望ましい。
【0085】
まず、リセット用走査線RL1の信号により、リセット用走査線RL1に接続された全てのリセット用トランジスタ211は、導通状態とし、残りのリセット用走査線RL2〜RLxに接続されたすべてのリセット用トランジスタ211は、すべて非導通状態にある。この状態をリセット用走査線RL1が選択状態とする。このとき、第1行にある各センサ回路26において、センサ用電源線VBの電位は、リセット用トランジスタ211を介して、バッファ用トランジスタ212のゲート電極に供給される。そのため、フォトダイオード214の電極間には、逆バイアスの電圧が印加される。
【0086】
このとき、バッファ用トランジスタ212のソース領域は、センサ用電源線VBの電位(基準電位)から、バッファ用トランジスタ212のソース領域とゲート領域の電位差を差し引いた電位に保たれている。かつ、走査線SL1の信号によって、走査線SL1に接続された全ての選択用トランジスタ213は、非導通状態にある。なお、リセット用走査線RLが選択されている期間をリセット期間TRと呼ぶことにする。また、図7において、Tpdは、全ての画素21のフォトダイオード214で受光した光量を読み取る期間を表している。
【0087】
次に、リセット用走査線RL1の電位を変化し、対応する行にあるリセット用トランジスタ211を全て非導通状態にする。この状態をリセット用走査線RL1の非選択状態とよぶ。同時に、リセット用走査線RL2を選択状態にする。
【0088】
リセット用走査線RL1が非選択状態で、対応する行のフォトダイオード214に光が照射されていると、フォトダイオード214の電極間に電流が流れ、リセット期間TR1中に印加されたフォトダイオード214の電極間の逆バイアス電圧が低くなる。しかる後、走査線SL1に入力される信号によって、対応する行の選択用トランジスタ213が導通状態になる。
【0089】
リセット用走査線RL1が非選択状態になった後、同じ行の選択用トランジスタ213が選択されるまでの期間をサンプリング期間TS1と呼ぶことにする。他の行でも同様である。
【0090】
サンプリング期間TS1において、時間の経過に従って、フォトダイオード214の電極間の逆バイアス電圧が小さくなる。この逆バイアス電圧の変化量は、フォトダイオード214の光電変換層に照射された光の強度に比例する。センサ回路26では、フォトダイオード214の一方の電極の電位は一定に保たれている。よって、フォトダイオード214では、バッファ用トランジスタ212のゲート電極に接続されている電極の電位が低下する。つまり、バッファ用トランジスタ212のゲート電極の電位が低下することになる。
【0091】
センサ回路26では、バッファ用トランジスタ212のソース領域は、定電流電源200に接続されているので、バッファ用トランジスタ212はソースフォロワとして機能することになる。つまり、バッファ用トランジスタ212のゲート・ソース間電圧は、常に等しく保たれる。そのため、フォトダイオード214の電極間の電位が変化することによって、バッファ用トランジスタ212のゲート電極の電位が変化し、かつ同じ変化量で、バッファ用トランジスタ212のソース領域の電位も変化する。サンプリング期間TS1の後、走査線SL1が選択されると、サンプリング期間TS1が終了し、バッファ用トランジスタ212のソース領域の電位の変化は、センサ用出力線OL1〜OLyに出力される。
【0092】
一方、リセット用走査線RL1が非選択の状態になると、リセット用走査線RL2が選択状態になり、リセット期間TR2が開始し、しかる後、リセット用走査線RL2を非選択状態になり、サンプリング期間TS2が開始する。このような信号の入力をリセット用走査線RL1〜RLxおよび走査線SL1〜SLxで行うことで、1フレーム期間において、全ての画素21において、フォトダイオード214で受光した光量を電圧信号として読み取ることができる。
【0093】
表示部11では、画素回路25において、所定の輝度の光を表示素子が発し、画像の表示が行われる。同時にセンサ回路において、光センサで受光した光量が検出されるため、画像の表示と、接触による情報の入力を同時に行うことができる。
【0094】
なお、センサ回路26において、選択用トランジスタ213のゲート電極を走査線SLに接続する代わりに、選択用トランジスタ213用のセンサ用走査線を行ごとに設け、各行の選択用トランジスタ213のゲート電極をこのセンサ用走査線に接続してもよい。このセンサ用走査線は、センサ用走査線駆動回路14に接続される。センサ用走査線駆動回路14から、リセット用走査線RLおよびセンサ用走査線に信号が供給され、リセット期間TRおよびサンプリング期間TSが制御される。
【0095】
本実施形態は他の実施形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0096】
(実施形態3)
本実施形態では、図4および図5のような、表示素子として発光素子を有する表示部11の構成について説明する。
【0097】
図8Aは表示部11の構成例を示す回路図であり、図8Bは1つの画素21の回路図である。表示部11は、x行y列に配列された画素21を有する。画素21は、発光素子を有する画素回路27、光センサを有するセンサ回路28を有する。
【0098】
表示部11には、x本の走査線SL1〜SLx、y本のデータ線DL1〜DLy、y本の発光素子用電源線VL1〜VLy、x本のリセット用走査線RL1〜RLx、y本のセンサ用出力線OL1〜OLy、およびy本のセンサ用電源線VBが設けられている。なお、図8Bにおいては、各信号線の順序を示す符号を省略している。
【0099】
走査線SL1〜SLxは走査線駆動回路12に接続され、データ線DL1〜DLyはデータ線駆動回路13に接続されている。また、リセット用走査線RL1〜RLxはセンサ用走査線駆動回路14に接続され、センサ用出力線OL1〜OLyはセンサ用データ線駆動回路15に接続されている。センサ用出力線OL1〜OLyには、それぞれ、定電流電源200が接続されている。定電流電源200に、各センサ用出力線OL1〜OLyは接続されており、一定の電流が供給されている。また、y本のセンサ用電源線VBは、共通の電源回路に接続されている。各センサ用電源線VBの電位は一定の電位(基準電位)に保たれている。
【0100】
画素回路27は、選択用トランジスタ221、表示制御用トランジスタ222、発光素子223、および保持容量224を有する。選択用トランジスタ221のゲート電極は走査線SLに接続されている。そのソース領域およびドレイン領域は、一方がデータ線DLに、他方が表示制御用トランジスタ222のゲート電極に接続されている。表示制御用トランジスタのソース領域およびドレイン領域は、一方が発光素子用電源線VLに接続され、他方が発光素子223に接続されている。また、保持容量224の一方の電極は表示制御用トランジスタのゲート電極に接続され、他方が発光素子用電源線VLに接続されている。
【0101】
各トランジスタ221、222は単結晶半導体層から形成されているので、そのしきい値電圧値のばらつきが抑えられるため、画素回路27にしきい値電圧値の補正回路が不必要であり、画素回路27の構成を図8Bに示すような、最もトランジスタの数が少ない回路とすることができる。
【0102】
センサ回路28の回路構成は、図6Bと同様であり、また同様に動作する。また、センサ回路28においても、選択用トランジスタ213のゲート電極を走査線SLに接続する代わりに、選択用トランジスタ213用のセンサ用走査線を行ごとに設け、各行の選択用トランジスタ213のゲート電極をこのセンサ用走査線に接続してもよい。このセンサ用走査線は、センサ用走査線駆動回路14に接続される。センサ用走査線駆動回路14から、リセット用走査線RLおよびセンサ用走査線に信号が供給され、リセット期間TRおよびサンプリング期間TSが制御される(図7参照)。
【0103】
本実施形態は他の実施形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0104】
(実施形態4)
本発明は、表示部を備えた電子機器に適用することができる。このような電子機器として、例えば、ビデオカメラやデジタルカメラ等のカメラ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(携帯型デジタル音楽プレイヤー、カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体に記憶された画像データ、および音声データを再生する装置)等が挙げられる。
【0105】
まず、本発明の入力装置をPDAに適用した例を説明する。図9は、PDAの外観図である。PDA1000は、筐体1001内に、図1に示すシステムが内蔵されている。PDA1000は、表示部1002、操作ボタン1003、外部接続ポート1004を有する。表示部1002をペンや指等で触れることで、PDA1000に情報を入力することができる。
【0106】
表示部1002の画面モードには主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0107】
図10A〜図10Dは、表示モードの画面を説明するためのPDA1000の正面図である。図10Aおよび図10Cには、PDA1000を横にしたときの画面を示し、図10Bおよび図10DにはPDA1000を縦にしたときの画面を示す。
【0108】
表示モードは、PDA1000をディスプレイとして使用するモードである。表示部1002に、静止画像、動画像が表示される(図10Aおよび図10B参照)。例えば、メモリ回路19に保存された静止画像や動画像を表示する、テレビジョン放送電波を受信してテレビ放送を表示する、インターネットに接続してホームページを表示する等、様々な画像データを表示部1002に表示することができる。
【0109】
また、表示モードでは、図10C、図10Dに示すように、表示部1002の画面の一部に動作メニューを選択できるアイコン1020を表示させてもよい。使用者がアイコン1020に触れると、対応するメニューに切り替わる。例えば、音楽を聴く場合には、音符のアイコン1020に触れる。この場合には、表示部1002の点線で囲んだ画面1021に、静止画像、動画像が表示される。
【0110】
図11Aは、入力モードの画面を説明するためのPDA1000の正面図である。図11Aに示すように、表示部1002には、キーボード1030が表示され、また、画面1031には、キーボード1030から入力された文字を表示する。入力モードでは、文字の入力操作を優先するため、表示部1002の画面のほとんどにキーボード1030が表示される。キーボード1030のキー配列は使用する言語によって、変更される。
【0111】
入力モードで、文字を入力する方法を説明する。使用者は、キーボード1030の入力したい文字キーを指やペン先で触ればよい。例えば、「A」が表示されたキーに触れると、表示部1002に設けられた光センサの検出信号から、「A」のキーが選択されたことが検出され、画面1031に「A」が表示される。
【0112】
図11B〜図11Dは、表示+入力モードの画面を説明するためのPDA1000の正面図である。図11Bおよび図11CにはPDA1000を縦にしたときの画面を示し、図11DにはPDA1000を横にしたときの画面を示す。
【0113】
図11B〜図11Dに示すように、表示部1002には、キーボード1040が表示される。さらに、画面1041は、入力モードの画面に対応し、キーボード1040から入力された文字を表示される画面である。文字の入力は、入力モードと同様にキーボード1040のキーを指やペン先で触れることで行うことができる。画面1042は、表示モードの画面に対応し、表示モードと同様に、静止画像、動画像が表示される。キーボード1040のキー配列は、使用する言語によって変更できるようになっている。ここでは、表示部1002に、QWERTY配列のキーボード1040を表示させている。
【0114】
なお、図11Cに示すように、画面1042に動作メニューを選択するアイコン1020を表示させることもできる。
【0115】
なお、PDA1000内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、PDA1000の向き(縦か横か)を判断して、表示部1002の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0116】
また、画面モードの切り替えは、表示部1002を触れること、又は操作ボタン1003の操作により行われる。また、表示部1002に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0117】
また、入力モードにおいて、表示部1002の光センサで検出される信号を検知し、表示部1002のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0118】
表示部1002は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部1002に掌や指を触れることで、掌紋、指紋、指静脈等を撮像することで、本人認証を行うことができる。
【0119】
本発明の入力装置はPDAの他、表示部を有する各種の電子機器に適用することができる。図12にこのような電子機器の一例を示す。
【0120】
図12Aは示すテレビジョン装置1100の外観図である。テレビジョン装置1100は、筐体1101、表示部1102、支持台1103等を有する。筐体1101に本発明の入力装置が内蔵され、表示部1102の画素には光センサが設けられており、表示部1102は表示機能と情報入力機能を有する。
【0121】
図12Bはモニタ1120の外観図である。モニタ1120は、筐体1121、表示部1122、支持台1123等を有する。筐体1121に本発明の入力装置が内蔵され、表示部1122の画素には光センサが設けられており、表示部1122は表示機能と情報入力機能を有する。
【0122】
図12Cは携帯型テレビジョン装置1130の外観図である。携帯型テレビジョン装置1130は、筐体1131、表示部1132、アンテナ1133等を有する。筐体1131に本発明の入力装置が内蔵され、表示部1132の画素には光センサが設けられており、表示部1132は表示機能と情報入力機能を有する。
【0123】
本実施形態は他の実施形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0124】
(実施形態5)
図1の構成例では、表示部11の全ての画素21に光センサ22を設けたが、一部の画素に光センサ22を設けてもよい。本実施形態では、このような表示部11の構成例を説明する。
【0125】
まず、図3のような、表示素子として液晶素子を有する表示部11の構成例について説明する。図13は表示部11の構成例を示す回路図であり、図6の表示部11の変形例である。図13には、6行8列の画素を示し、且つ信号線の順序を示す符号を省略している。
【0126】
表示部11には、列ごとに、赤色(R)を表示する画素(以下、「R−画素」という)、緑色(G)を表示する画素(以下、「G−画素」という)、青色(B)を表示する画素(以下、「B−画素」という)が設けられている。本実施形態では、R−画素には、画素回路25およびセンサ回路26を設け、G−画素およびB−画素には、センサ回路26を設けず、画素回路25のみを設ける。画素回路25およびセンサ回路26の構成は、図6Bと同様である。
【0127】
次に、図4および図5のような、表示素子として発光素子を有する表示部11の構成例について説明する。図14は表示部11の構成例を示す回路図であり、図8の表示部11の変形例である。図14には、6行8列の画素を示し、且つ信号線の順序を示す符号を省略している。
【0128】
表示部11には、列ごとに、R−画素、G−画素、B−画素が設けられている。本実施形態では、R−画素には画素回路27およびセンサ回路28を設け、G−画素およびB−画素には、センサ回路28を設けず、画素回路27のみを設ける。画素回路27およびセンサ回路28の構成は、図8Bと同様である。
【0129】
センサ回路26および28のフォトダイオード214の光電変換層に単結晶シリコン層を用いた場合、波長600nm以上の波長域では、フォトダイオード214の受光感度が低い。つまり、G−画素、およびB−画素で発した緑色または青色の光はフォトダイオード214で受光されても、信号強度の変化が少ない。そこで、本実施形態では、フォトダイオード214の受光感度が高い、赤色の光を発するR−画素のみにセンサ回路26又はセンサ回路28を設ける。
【0130】
このような構成により、G−画素、およびB−画素が配置されている列では、センサ用出力線OLおよびセンサ用電源線VBが設けられないので、画素の集積度を向上させることができる。よって、高精細な表示部11を形成することができる。
【0131】
(実施形態6)
本実施形態では、表示部、画素用駆動回路およびセンサ用駆動回路を作製するための半導体基板の作製方法について説明する。本実施形態では、半導体基板の作製方法の一例として、図2Aに示す半導体基板31と同様な積層構造をもつ半導体基板の作製方法について説明する。
【0132】
図15は、半導体基板の作製方法を説明するための断面図である。
【0133】
まず、単結晶半導体基板401を準備する(図15(A−1)参照)。単結晶半導体基板401は、市販の単結晶半導体基板を用いることができ、例えば、単結晶のシリコン基板やゲルマニウム基板等である。市販の単結晶シリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)サイズ、直径18インチ(450mm)の円形のウエハが知られている。なお、単結晶半導体基板401の形状は円形に限られず矩形状等に加工した単結晶半導体基板を用いることも可能である。
【0134】
次に、単結晶半導体基板401の表面に絶縁膜402を形成する(図15(A−1)参照)。
【0135】
絶縁膜402は、化学気相成長法(以下、「CVD法」という。)やスパッタリング法等により酸化シリコン膜(SiOx)、酸化窒化シリコン膜(SiOxNy)(x>y)で設けることができる。また、単結晶半導体基板401を酸化することにより形成された酸化物膜でもよい。単結晶半導体基板401の酸化処理はドライ熱酸化で行うこともできるが、酸化雰囲気中にハロゲンまたはハロゲン化合物の気体を添加することが好ましい。このような気体には、HClが代表例であり、他にはHF、NF、HBr、Cl、ClF、BCl、F、Br等がある。また、単結晶半導体基板401の酸化処理は、オゾン水、過酸化水素水又は硫酸過水等による表面処理で行うこともできる。
【0136】
また、絶縁膜402は平滑面を有する絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、絶縁膜402の表面の平均面粗さ(Ra)が0.5nm以下、自乗平均粗さ(Rms)が0.6nm以下、好ましくは、平均面粗さが0.3nm以下、自乗平均粗さが0.4nm以下となるように形成する。
【0137】
また、CVD法で絶縁膜402を形成する場合には、例えば、原料に有機シランを用いて酸化シリコン膜を形成することができる。有機シランを用いて形成された酸化シリコン膜を用いることによって、絶縁膜402の表面を平坦にすることができるためである。
【0138】
有機シランとしては、テトラエトキシシラン(略称;TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、トリメチルシラン((CHSIH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(略称;TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(略称;HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0139】
次に、絶縁膜402を介して、電界で加速されたイオンでなるイオンビーム403を単結晶半導体基板401に照射して、単結晶半導体基板401の表面から所定の深さの領域にイオンを導入することにより、損傷領域404を形成する(図15(A−2)参照)。
【0140】
イオンビーム403は、ソースガスを励起して、ソースガスのプラズマを生成し、電界の作用により、プラズマから、これに含まれるイオンを引き出すことで生成される。イオンを単結晶半導体基板401に導入するには、質量分離を伴わないイオンドーピング法を用いることができる。また、質量分離を伴うイオン注入法を用いてもよい。ソースガスには水素ガス、ハロゲンガス、ヘリウムガス等を用いることができる。
【0141】
損傷領域404が形成される領域の深さは、イオンビーム403の加速エネルギーとイオンビーム403の入射角によって調節することができる。加速エネルギーは加速電圧、ドーズ量等により調節できる。イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さの領域に損傷領域404が形成される。イオンを導入する深さで、単結晶半導体基板401から分離される半導体層の厚さが決定される。損傷領域404が形成される深さは10nm以上500nm以下であり、好ましい深さの範囲は50nm以上200nm以下である。
【0142】
例えば、ソースガスに水素(H)を用い、イオンドーピング装置でイオンを導入する場合、水素ガスを励起してH、H、Hを含むプラズマを生成することができる。ソースガスから生成されるイオン種の割合は、プラズマの励起方法、プラズマを発生させる雰囲気の圧力、ソースガスの供給量等を調節することで、変化させることができる。
【0143】
は他の水素イオン種(H、H)よりも、水素原子の数が多く、その結果質量が大きいため、同じエネルギーで加速される場合、H、Hよりも単結晶半導体基板401のより浅い領域に導入される。イオンビーム403に含まれるHの割合を高くすることにより、水素イオンの平均侵入深さのばらつきが小さくなるので、単結晶半導体基板401に水素の深さ方向の濃度プロファイルはより急峻になり、そのプロファイルのピーク位置を浅くすることができる。従って、イオンドーピング法を用いる場合、イオンビーム403に含まれるH、H、Hの総量に対してHが50%以上、好ましくは80%以上含まれるようにする。
【0144】
水素ガスを用いて、イオンドーピング法でイオンの導入を行う場合、加速電圧10kV以上200kV以下、ドーズ量1×1016ions/cm以上6×1016ions/cm以下とすることができる。この条件で水素イオンを導入することで、イオンビーム403に含まれるイオン種やイオンの割合にもよるが、損傷領域404を単結晶半導体基板401の深さ50nm以上500nm以下の領域に形成することができる。
【0145】
次に、絶縁膜402上に絶縁膜405を形成する(図15(A−3)参照)。絶縁膜405は、支持基板と貼り合わされる層(接合層)として機能する。
【0146】
絶縁膜405として、窒化シリコン膜(SiNx)、又は窒化酸化シリコン膜(SiNxOy)(x>y))、酸化窒化シリコン膜(SiOxNy)(x>y))を形成することができる。絶縁膜405として、窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜を形成することで、支持基板に含まれる可動イオンや水分等の不純物が単結晶半導体層に拡散することを防ぐためのバリア層として絶縁膜405を機能させることができるため、好ましい。
【0147】
また、絶縁膜405と支持基板との接合には水素結合が大きく寄与するため、絶縁膜405は、水素が含まれるように形成する。絶縁膜405として、水素を含有する窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜を用いることによって、Si−H、Si−OH、N−H、N−OHを結合種として、ガラス等の支持基板と水素結合による強固な接合を形成することが可能となる。水素を含む絶縁膜405の形成方法としては、プラズマCVD法を用い、成膜時の基板温度を室温以上350℃以下、好ましくは室温以上300℃以下にし、かつ水素を組成とする原料ガスを用いる。成膜時の基板温度を低くすることによって、形成される絶縁膜405の表面の粗さを小さくすることができる。これは、成膜時の基板温度が高くなるにつれて膜の堆積表面での水素ラジカル等によるエッチング反応が過多となり、表面荒れを起こすためである。
【0148】
より具体的には、上記の成膜温度の条件下で、プラズマCVD法により、少なくともシランガス、アンモニアガス及び水素ガスを含む原料ガスを用いて、窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜の成膜を行うことが好ましい。窒化酸化シリコン膜を形成する場合は、原料ガスに窒素酸化物ガスを添加すればよい。アンモニアガスや水素ガスを用いることによって、膜中に水素を含む絶縁膜405を得ることができる。また、成膜時の基板温度を低くすることによって、成膜中の脱水素反応が抑制され、絶縁膜405に含まれる水素の量を多くすることができる。その結果、支持基板との接合を強固に行うことが可能となる。
【0149】
次に、支持基板400を準備する(図15B参照)。支持基板400は、透光性の基板を用いる。具体的には、支持基板400として用いることのできる基板は、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われるガラス基板や、表面に酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜が形成されたプラスチック基板等がある。
【0150】
また、支持基板400として、ガラス基板を用いることにより、例えば、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)といわれる大面積のマザーガラス基板を用いることができる。
【0151】
次に、単結晶半導体基板401と支持基板400とを接合させる(図15C参照)。単結晶半導体基板401表面に形成された絶縁膜405と支持基板400の表面とを密着させることにより接合が形成される。この接合は、ファンデルワールス力が作用しており、支持基板400と単結晶半導体基板401を圧接することにより、Si−H、Si−OH、N−H、N−OHを結合種として、水素結合による強固な接合を形成することが可能となる。
【0152】
単結晶半導体基板401と支持基板400を接合させる前に、接合面をメガソニック洗浄することが好ましい。あるいは、接合面の洗浄は、メガソニック洗浄とオゾン水洗浄の双方行うことがより好ましい。それは、洗浄処理により、接合面の有機物等のゴミが除去され、接合面を親水化することができるからである。
【0153】
支持基板400と絶縁膜405を接合させた後に、400℃以下の加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、支持基板400と単結晶半導体基板401の接合強度が向上する。
【0154】
また、加熱処理を行う前、又は加熱処理と同時に加圧処理を行うことが好ましい。加圧処理は、接合面に垂直な方向に圧力が加わるように行う。加圧処理を行うことによって、支持基板400の表面や絶縁膜405の表面に凹凸がある場合であっても、緻密性が低い絶縁膜405により当該凹凸が吸収され、単結晶半導体基板401と支持基板400との接合不良を効果的に低減することが可能となる。なお、加熱処理の温度は、支持基板400の耐熱温度以下で行えばよく、例えば、200乃至600℃で行えばよい。
【0155】
次に、加熱処理を行って、損傷領域404を劈開面として単結晶半導体基板401の一部を支持基板400から分離する(図15D参照)。加熱処理温度は400℃以上支持基板400の歪み点以下とする。加熱処理にRTA(Rapid Thermal Anneal)装置のような急速加熱を行うことができる装置を用いる場合には、支持基板400の歪点より高い温度で加熱処理を行うことが可能になる。
【0156】
加熱処理により、損傷領域404の微小な空洞の体積変化が起こり、損傷領域404に亀裂を生じさせることができる。すなわち、損傷領域404に沿って単結晶半導体基板401を劈開することが可能となる。その結果、支持基板400上には、単結晶半導体基板401と同じ結晶性の単結晶半導体層406が形成される。
【0157】
以上の工程により、支持基板400上に絶縁膜402及び絶縁膜405を介して単結晶半導体層406が設けられた半導体基板410が作製される。絶縁膜402および絶縁膜405がバッファ層407である。
【0158】
単結晶半導体基板401を劈開させた後、単結晶半導体層406にレーザ光を照射するレーザ照射処理を行うことが好ましい。レーザ光を照射し、単結晶半導体層406を溶融させることで、単結晶半導体層406の結晶性を回復させ、かつその上面の平坦性を向上することができるからである。
【0159】
半導体基板の作製方法は、上記の工程に限定されるものではない。例えば、イオンの導入を、絶縁膜405の形成前でなく、絶縁膜405を形成した後に絶縁膜402及び絶縁膜405を介して行うことによって、単結晶半導体基板401の表面から所定の深さの領域に損傷領域404を形成してもよい。
【0160】
別の作製方法としては、支持基板400側に絶縁膜を形成し、この絶縁膜と絶縁膜405を接合させることで、図2Cの半導体基板33と同じ積層構造を有する半導体基板を作製することができる。
【0161】
また、別の作製方法としては、損傷領域404を形成した後、絶縁膜402を除去し、単結晶半導体基板401の表面を露出させる。そして、支持基板400側に絶縁膜を形成し、この絶縁膜と単結晶半導体基板401を接合させることで、図2Bの半導体基板32と同じ積層構造を有する半導体基板を作製することができる。
【0162】
(実施形態7)
本実施形態では、単結晶半導体層を有する半導体基板から、液晶素子を有する表示部を備えた入力装置の作製方法について説明する。
【0163】
本実施形態では、図6A、図6Bの画素回路25およびセンサ回路26を有する表示部、ならびに画素用駆動回路23およびセンサ用駆動回路24が同一の半導体基板に作製されたパネルの作製方法を説明する。
【0164】
図16は、画素の構成を説明するレイアウト図であり、図16には画素において、半導体基板に形成される画素回路およびセンサ回路のレイアウトが示されている。図17は、入力装置の構造を説明する断面図である。
【0165】
本実施形態の入力装置は、半導体基板の単結晶半導体層を用いて表示部11、画素用駆動回路23およびセンサ用駆動回路24のトランジスタが形成されている。なお、図17は入力装置の主要部を図示しており、画素回路25として、スイッチングトランジスタ201、液晶素子202および保持容量203が図示され、センサ回路26として、リセット用トランジスタ211およびフォトダイオード214を図示している。本実施形態では、スイッチングトランジスタ201、リセット用トランジスタ211はnチャネル型トランジスタ(以下、「n型トランジスタ」と呼ぶ。)とする。
【0166】
さらに、画素用駆動回路23およびセンサ用駆動回路24(ここでは、これらの回路を総称して「駆動回路30」と呼ぶこととする。)として、nチャネル型トランジスタ231、およびpチャネル型トランジスタ(以下、「p型トランジスタ」と呼ぶ。)232でなるインバータ回路を図示している。
【0167】
また、図17において、画素回路25の断面図は図16の切断線a1−a2による断面図であり、センサ回路26の断面図は図16の切断線b1−b2による断面図である。
【0168】
以下、図18〜図20を用いて、入力装置の作製方法を説明する。図18〜図20は、入力装置の作製方法を説明するための断面図であり、図示の仕方は図17と同様である。
【0169】
まず、図18Aに示すように、半導体基板を準備する。本実施形態では、図15の半導体基板410を用いる。つまり、透光性の基板500は支持基板400に対応し、絶縁膜501は、バリア層として機能する絶縁膜405に対応し、絶縁膜502は絶縁膜402に対応する。単結晶半導体層503は、単結晶半導体層406に対応する。
【0170】
なお、単結晶半導体層503には、n型トランジスタおよびp型トランジスタの形成領域に合わせて、硼素、アルミニウム、ガリウム等のp型不純物元素(アクセプタとなる不純物元素)、若しくはリン、砒素等のn型不純物元素(ドナーとなる不純物元素)を添加することが好ましい。
【0171】
次に、図18Bに示すように、単結晶半導体層503をエッチングして、半導体素子の配置に合わせて島状に分離した単結晶半導体層505〜509を形成する。
【0172】
次に、図18Cに示すように、単結晶半導体層505〜509を覆って、絶縁膜510を形成する。絶縁膜510はトランジスタのゲート絶縁膜、容量の誘電体を構成する。次いで、絶縁膜510上に、電極、および配線を構成する導電膜を形成する。本実施形態では、導電膜511および導電膜512でなる2層構造の導電膜を形成する。
【0173】
絶縁膜510は、CVD法、スパッタリング法、又はALE法等により、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化シリコン層、又は窒化酸化シリコン層等の絶縁層を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。
【0174】
なお、絶縁膜510は単結晶半導体層505〜509との界面を形成するので、絶縁膜510において、これら単結晶半導体層505〜509に接する層は、酸化シリコン層、または酸化窒化シリコン層で形成することが好ましい。これは、窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層のように酸素よりも窒素の含有量が多い膜を形成すると、トラップ準位が形成され界面特性が問題となる恐れがあるからである。
【0175】
電極、配線を形成する導電膜511、512は、金属膜、合金膜または金属化合物膜で形成することができる。例えば、タンタル、窒化タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、又はニオブ等でなる金属膜、これらの金属元素の合金でなる膜、またはこれらの金属化合物膜等がある。これらの膜はCVD法やスパッタリング法により形成することができる。
【0176】
導電膜511と導電膜512の組み合わせには、例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜、窒化タングステン膜とタングステン膜、窒化モリブデン膜とモリブデン膜等がある。なお、窒化タンタル膜とタングステン膜との積層膜は、両者のエッチングの選択比が高く、好ましい。ここでは、導電膜511として、厚さ20nm〜100nmの窒化タンタル膜を形成し、導電膜512として、厚さ100nm〜400nmのタングステン膜を形成する。なお、電極、配線等を構成する導電膜は、1層でも3層以上の積層膜でもよい。3層構造の場合は、モリブデン層とアルミニウム層とモリブデン層の積層構造を採用するとよい。
【0177】
次に、導電膜512上にレジストマスクを選択的に形成する。そして、2度のエッチング処理により、2層構造の導電膜515〜518が形成される(図18D参照)。導電膜515は容量線CLであり、導電膜516は走査線SLであり、導電膜517はリセット用走査線RLである。また、導電膜518は、CMOSインバータ回路の出力配線である。
【0178】
まず、導電膜511および導電膜512をエッチングして、単結晶半導体層505、および507〜509上に、テーパー状であり、かつ導電膜511と導電膜512の積層膜を形成する。このエッチングにより、導電膜515〜518の下層の導電膜515a〜518aが形成される。次に、レジストマスクを導電膜512の上に残したまま、導電膜512のみをエッチングして、導電膜511よりもその幅を細くし、導電膜515b〜518bを形成する。導電膜515〜518を形成した後、レジストマスクを除去する。
【0179】
導電膜515〜518を形成するエッチング処理は適宜選択することができる。エッチング速度を向上するには、ECR(Electron Cyclotron Resonance)方式やICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)方式等の高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いるとよい。
【0180】
次に、単結晶半導体層505、507および508にn型高抵抗不純物領域521を形成するため、イオンドーピング法、またはイオン注入法により、リン、砒素等のドナー不純物を添加する。本実施形態では、単結晶半導体層506、および509にドナー不純物が添加されないようにするため、レジストマスク520を形成する。
【0181】
このドナー不純物の添加は、導電膜515〜518において、上層の導電膜515b〜518bをマスクにして行われる。つまり、ドナー不純物が下層の導電膜515a〜518aを通過するように、ドナー不純物元素を添加する。そのため、図19Aに示すように、各単結晶半導体層505、507および508には、自己整合的にn型高抵抗不純物領域521が形成される。
【0182】
例えば、リンを添加する場合には、n型トランジスタ(201、211、231)の高抵抗領域を形成するために、このn型高抵抗不純物領域521に、1×1017atoms/cm乃至5×1018atoms/cm程度の濃度でリンが含まれるようにする。ドナー不純物元素の添加工程が終了後、レジストマスク520を除去する。
【0183】
次に、n型トランジスタ(201、211、231)のソース領域、およびドレイン領域、およびフォトダイオードのn型不純物領域を形成する。このため、単結晶半導体層506〜508の一部、および単結晶半導体層509を覆うレジストマスク522を形成する。そして、レジストマスク522をマスクとして、イオンドーピング法又はイオン注入法により、単結晶半導体層506〜508にドナー不純物元素を添加して、n型低抵抗不純物領域523を形成する(図19B参照)。
【0184】
ここでは、リンを単結晶半導体層506〜508に添加し、添加される濃度を5×1019atoms/cm乃至5×1020atoms/cm程度になるようにすることとする。n型低抵抗不純物領域523はn型トランジスタのソース領域又はドレイン領域として機能する。
【0185】
また、単結晶半導体層505、507、および508において、ドナー不純物元素が添加されなかった領域が、それぞれ、チャネル形成領域524〜528となる。なお、保持容量203において、絶縁膜510が誘電体であり、導電膜515およびチャネル形成領域526が一対の電極を構成する。また、単結晶半導体層505に形成されたn型低抵抗不純物領域523の1つにより、スイッチングトランジスタ201と保持容量203が電気的に接続される。
【0186】
次に、レジストマスク522を除去した後、フォトダイオード214のp型不純物領域、ならびにp型トランジスタのソース領域およびドレイン領域を形成する。このため、単結晶半導体層506および509の一部、ならびに単結晶半導体層505、507、および508を覆うレジストマスク530を形成する。そして、レジストマスク530をマスクとして、イオンドーピング法又はイオン注入法により、単結晶半導体層506および509にアクセプタ不純物元素を添加して、p型低抵抗不純物領域531を形成する(図19C参照)。
【0187】
アクセプタ不純物元素として、硼素、アルミニウム、ガリウム等が用いられる。ここでは、硼素を添加し、p型低抵抗不純物領域531の硼素濃度が1×1020atoms/cm乃至5×1021atoms/cm程度になるようにする。
【0188】
単結晶半導体層506において、各不純物領域521、523、および531の形成工程で、ドナー不純物元素およびアクセプタ不純物元素が添加されていない領域533(以下、ノンドープ領域533と呼ぶ。)は、PIN接合のi型領域として機能する。つまり、単結晶半導体層506には、p型低抵抗不純物領域531、ノンドープ領域533、n型低抵抗不純物領域523によって、PIN接合が形成され、光電変換層として機能する。
【0189】
また、単結晶半導体層509において、ドナー不純物元素およびアクセプタ不純物元素が添加されていない領域はチャネル形成領域532となる。
【0190】
レジストマスク530を除去した後、500℃以上基板500の歪み点以下の熱処理を行って、単結晶半導体層505〜509に添加したドナー不純物元素およびアクセプタ不純物元素を活性化する。
【0191】
次に、基板500全面に絶縁膜535を形成する(図20A参照)。絶縁膜535は、無機材料または有機材料でなる単層構造の膜でも、積層構造の膜でもよい。例えば、絶縁膜535を構成する膜として、CVD法やスパッタリング法により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、又は窒化酸化シリコン膜等を形成することができる。また、ポリイミド膜、ポリアミド膜、ポリビニルフェノール膜、ベンゾシクロブテン膜、アクリル膜若しくはエポキシ膜、シロキサン樹脂等のシロキサン材料でなる膜、オキサゾール樹脂膜を、スピンコート法等の塗布法により形成することができる。
【0192】
例えば、絶縁膜535を2層構造にする場合、1層目に厚さ100nmの窒化酸化シリコン膜を形成し、2層目に厚さ900nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。
【0193】
次に、絶縁膜535にコンタクトホールを形成した後、単層構造または積層構造の導電膜を形成する。この導電膜を構成する膜には、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、ネオジム等の金属膜、これら金属元素を含む合金膜、これらの金属化合物膜を用いることができる。例えば、チタンを含有したアルミニウム合金膜、ネオジムを含有したアルミニウム合金膜等である。導電膜を3層構造とする場合、例えばアルミニウム膜若しくは上述したようなアルミニウム合金膜を、チタン膜で挟んだ膜を形成することができる。
【0194】
形成された導電膜をエッチング処理して、導電膜536〜544を形成する(図20A参照)。導電膜536はデータ線DLであり、導電膜537はセンサ用出力線OLであり、導電膜538は、スイッチングトランジスタ201および保持容量203を液晶素子202に電気的に接続するための電極である。
【0195】
また、導電膜539はフォトダイオード214を容量線CLに電気的に接続するための電極である。導電膜540はフォトダイオード214とリセット用トランジスタ211を電気的に接続するための電極であり、かつフォトダイオード214の遮光膜として機能する。導電膜541はセンサ用電源線VBである。
【0196】
導電膜542はn型トランジスタ231のソース電極であり、導電膜543はp型トランジスタ232のソース電極であり、導電膜544はCMOSインバータの出力配線である。
【0197】
次に、基板500全面にパッシベーション膜545、および絶縁膜546を形成する。ここでは、パッシベーション膜545として厚さ50nm〜100nmの窒化シリコン膜をプラズマCVD法で形成する。絶縁膜546は、絶縁膜535と同様に形成することができる(図20B参照)。
【0198】
次に、パッシベーション膜545および絶縁膜546に導電膜538に達するコンタクトホールを形成した後、絶縁膜546上に、透光性の導電膜を形成する。この導電膜をエッチングして、画素電極547を形成する(図20B参照)。
【0199】
以上の工程により、半導体基板を用いて、画素回路25、センサ回路26および駆動回路30が作製される。また、図示していないが、基板500には外部接続端子も形成される。
【0200】
画素電極547はバックライト装置56からの光が通過する透光性の電極である。そのため、画素電極547を構成する導電膜には、酸化インジウムに酸化スズを混ぜたインジウムスズ酸化物膜、インジウムスズ酸化物に酸化シリコンを混ぜたインジウムスズシリコン酸化物膜、酸化インジウムに酸化亜鉛を混ぜたインジウム亜鉛酸化物膜、酸化亜鉛膜、または酸化スズ膜等を用いることができる。
【0201】
そして、画素内に、柱状のスペーサ548を形成する。次に、基板500全面に配向膜549を形成する。スペーサ548は感光性樹脂膜を用いて形成することができる。配向膜549は必要に応じて形成する。また、配向膜549は必要に応じてラビング処理が行われる。
【0202】
次に、図20Cを用いて、対向基板の作製方法を説明する。ガラスでなる基板571上に、カラーフィルタ572、およびBM(ブラックマトリクス)573が形成される。画素回路25においては、BM573によりスイッチングトランジスタ201および保持容量203が遮光される。また、駆動回路30もBM573で遮光される。
【0203】
カラーフィルタ572およびBM573上に透光性導電膜でなる対向電極574を形成する。対向電極574を構成する導電膜は画素電極547と同様に形成することができる。次に、基板571全面に配向膜575を形成する。配向膜575は必要に応じて形成する。また、配向膜575は必要に応じてラビング処理が行われる。
【0204】
次に、図20Bの基板500と、図20Cの基板571の間に液晶層581を形成することで、液晶パネルが完成する(図17参照)。液晶素子202は、画素電極547、対向電極574および液晶層581で形成される。
【0205】
液晶層581を形成するには、大別して2つの方法がある。1つは、注入口を残して、基板500または基板571に未硬化のシール材を形成し、基板500と基板571を貼り合わせ、シール材を硬化させる。次に、注入口から液晶材料を注入し、しかる後、注入口を封止する方法である。もう1つは、基板500または基板571に、注入口を作らずに未硬化シール材を形成する。そして、シール材を形成した基板の表面に液晶材料を滴下してから、他方の基板を貼り合わせて、シール材を硬化させる方法である。
【0206】
以上の工程により、本形態に係る液晶パネルを有する入力装置が作製される。なお、バックライト装置が基板571側に設けられており、バックライト装置からの照明光は、基板571に入射し、基板500から外部に取り出される。基板500側が表示部11の画面になり、基板500側を指等で触れることにより、表示部11で情報を入力することができる。
【0207】
なお、基板500上には、駆動回路30以外の回路を形成することができる。単結晶半導体層503から素子を形成することができるため、例えば演算回路を構成するCPU、ディスプレイ制御回路を構成する画像処理回路等を基板500上に形成することができる。
【0208】
(実施形態8)
本実施形態では、単結晶半導体層を有する半導体基板から、発光素子を有する表示部を備えた入力装置の作製方法について説明する。
【0209】
本実施形態では、図8A、図8Bの画素回路27およびセンサ回路28を有する表示部、ならびに画素用駆動回路23およびセンサ用駆動回路24が同一の半導体基板に作製されたパネルの作製方法を説明する。
【0210】
図21は、入力装置の構造を説明する断面図である。
【0211】
本実施形態の入力装置は、半導体基板上に表示部11、画素用駆動回路23およびセンサ用駆動回路24のトランジスタが形成されている。なお、図21は入力装置の主要部を図示しており、画素回路27として、表示制御用トランジスタ222および発光素子223が図示され、センサ回路28として、リセット用トランジスタ211およびフォトダイオード214が図示されている。本実施形態では、表示制御用トランジスタ222はn型トランジスタとし、リセット用トランジスタ211はn型トランジスタとしている。
【0212】
さらに、駆動回路30として、nチャネル型トランジスタ231、およびpチャネル型トランジスタ232でなるインバータ回路を図示している。
【0213】
以下、図22を用いて、入力装置の作製方法を説明する。図22は、入力装置の作製方法を説明するための断面図であり、図示の仕方は図21と同様である。
【0214】
まず、図18A〜図20Bで示した工程に従って、表示部のトランジスタ、容量素子およびフォトダイオード、ならびに駆動回路30のトランジスタ、容量素子等を作製する。その状態を図22Aに示す。なお、表示制御用トランジスタ222において、絶縁膜535上に形成された導電膜601は発光素子用電源線VLであり、導電膜602は発光素子223を構成する画素電極であり、反射電極として機能する。
【0215】
次に、パッシベーション膜545に導電膜602の表面を露出する開口部を形成する。パッシベーション膜545上に、導電膜602の端部を覆う絶縁膜603を形成する(図22B参照)。
【0216】
絶縁膜603は感光性樹脂で形成することが好ましい。感光性樹脂としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料等がある。絶縁膜603は、発光素子223のEL層を素子ごとに分割するための隔壁膜として機能する。
【0217】
次に、導電膜602上に、EL層604および対向電極605を形成する。EL層604としては、少なくとも発光層を形成し、該発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を適宜形成してもよい。有機化合物を含む膜は、インクジェット法等の塗布法や蒸着法により形成することができる。
【0218】
対向電極605は透光性の電極である。対向電極605を構成する導電膜には、酸化インジウムに酸化スズを混ぜたインジウムスズ酸化物膜、インジウムスズ酸化物に酸化シリコンを混ぜたインジウムスズシリコン酸化物膜、酸化インジウムに酸化亜鉛を混ぜたインジウム亜鉛酸化物膜、酸化亜鉛膜、または酸化スズ膜等を用いることができる。
【0219】
以上で、導電膜602と対向電極605との間に、少なくとも発光層を有するEL層604が挟持された発光素子223が形成される(図22B参照)。
【0220】
次に、基板500の上面に基板607を固定する(図21参照)。本実施形態では、基板500と基板607の間には、固体である樹脂608を設けている。樹脂608の代わりに、シール材により不活性ガスを基板500と基板607の中に封入してもよい。なお、対向電極605を覆うように窒化シリコン膜等でなる保護膜を形成してもよい。
【0221】
以上の工程により、本形態に係るELパネルを有する入力装置が作製される。なお、本実施形態では、発光素子223の光は、導電膜602で反射され、基板607から外部に取り出される。基板607側が表示部11の画面になり、基板607側を指等で触れることにより、表示部11で情報を入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】入力装置の構成例を示すブロック図。
【図2】A−C:半導体基板の構成例を示す斜視図。
【図3】表示部に液晶素子が形成された入力装置の構成を説明するための断面図。
【図4】表示部に発光素子が形成された入力装置の構成を説明するための断面図。
【図5】表示部に発光素子が形成された入力装置の構成を説明するための断面図。
【図6】A:液晶素子が形成された表示部の構成例を示す回路図。B:画素回路の回路図。
【図7】センサ回路の動作方法を説明するタイミングチャート。
【図8】A:発光素子が形成された表示部の構成例を示す回路図。B:画素回路の回路図。
【図9】PDAの外観図。
【図10】表示モードの画面を説明するためのPDAの正面図。
【図11】A−D:入力モードおよび表示+入力モードの画面を説明するためのPDAの正面図。
【図12】A−C:入力装置を有する電子機器の外観図。
【図13】液晶素子が形成された表示部の構成例を示す回路図。
【図14】発光素子が形成された表示部の構成例を示す回路図。
【図15】A−1〜A−3、B−D:半導体基板の作製方法を説明する断面図。
【図16】画素の構成を説明するレイアウト図。
【図17】入力装置の構造を説明する断面図。
【図18】A−D:入力装置の作製方法を説明する断面図。
【図19】A−C:入力装置の作製方法を説明する断面図。
【図20】A−C:入力装置の作製方法を説明する断面図。
【図21】入力装置の構造を説明する断面図。
【図22】A、B:入力装置の作製方法を説明する断面図。
【符号の説明】
【0223】
SL 走査線
DL データ線
CL 容量線
RL リセット用走査線
OL センサ用出力線
VB センサ用電源線
VL 発光素子用電源線

10入力装置
11 表示部
12 走査線駆動回路
13 データ線駆動回路
14 センサ用走査線駆動回路
15 センサ用データ線駆動回路
16 ディスプレイ制御回路
17 センサ制御回路
18 演算回路
19 メモリ回路
21 画素
22 光センサ
23 画素用駆動回路
24 センサ用駆動回路
25 画素回路
26 センサ回路
27 画素回路
28 センサ回路
29 表示切替回路
30 駆動回路

31 半導体基板
32 半導体基板
33 半導体基板
40 支持基板
41 単結晶半導体層
42 バッファ層
43 バッファ層

50 制御回路部
51 トランジスタ
53 フォトダイオード
54 液晶素子
55 トランジスタ
56 バックライト装置
57 照明光
58 外部接続端子
59 指
61 トランジスタ
62 フォトダイオード
63 トランジスタ
64 発光素子
65 光
66 外部接続端子

101 第1基板
102 第2基板
103 シール材
104 液晶層
105 絶縁膜
106 半導体層
107 光電変換層
108 絶縁膜
109 導電膜
110 導電膜
111 絶縁膜
112 絶縁膜
113 画素電極
114 絶縁膜
115 配向膜
116 導電膜
117 異方性導電膜
118 FPC
121 カラーフィルタ
122 ブラックマトリクス
123 対向電極
124 配向膜

141 第1基板
142 第2基板
143 樹脂層
145 絶縁膜
146 半導体層
147 光電変換層
148 絶縁膜
149 導電膜
150 導電膜
151 画素電極
153 絶縁膜
154 絶縁膜
155 EL層
156 対向電極
158 導電膜
159 異方性導電膜
160 FPC
170 絶縁膜
171 画素電極
172 絶縁膜
174 対向電極
175 導電膜

200 定電流電源
201 スイッチングトランジスタ
202 液晶素子
203 保持容量
211 リセット用トランジスタ
212 バッファ用トランジスタ
213 選択用トランジスタ
214 フォトダイオード
221 選択用トランジスタ
222 表示制御用トランジスタ
223 発光素子
224 保持容量
231 nチャネル型トランジスタ
232 pチャネル型トランジスタ

400 支持基板
401 単結晶半導体基板
402 絶縁膜
403 イオンビーム
404 損傷領域
405 絶縁膜
406 単結晶半導体層
407 バッファ層
410 半導体基板

500 基板
501 絶縁膜
502 絶縁膜
503 単結晶半導体層
505〜509 単結晶半導体層
510 絶縁膜
511 導電膜
512 導電膜
515〜518 導電膜
520 レジストマスク
521 n型高抵抗不純物領域
522 レジストマスク
523 n型低抵抗不純物領域
524〜528 チャネル形成領域
530 レジストマスク
531 p型低抵抗不純物領域
532 チャネル形成領域
533 ノンドープ領域
535 絶縁膜
536〜544 導電膜
545 パッシベーション膜
546 絶縁膜
547 画素電極
548 スペーサ
549 配向膜
571 基板
572 カラーフィルタ
573 ブラックマトリクス
574 対向電極
575 配向膜
581 液晶層

601 導電膜
602 導電膜
603 絶縁膜
604 EL層
605 対向電極
607 基板
608 樹脂

1000 PDA
1001 筐体
1002 表示部
1003 操作ボタン
1004 外部接続ポート
1020 アイコン
1021 画面
1030 キーボード
1031 画面
1040 キーボード
1041 画面
1042 画面

1100 テレビジョン装置
1101 筐体
1102 表示部
1103 支持台
1120 モニタ
1121 筐体
1122 表示部
1123 支持台
1130 携帯型テレビジョン装置
1131 筐体
1132 表示部
1133 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する表示部と、
前記複数の画素に設けられ、液晶素子およびトランジスタを含む画素回路と、
前記複数の画素の全てまたは一部に設けられ、光センサおよびトランジスタを有するセンサ回路と、
前記画素回路に電気的に接続されている画素用駆動回路と、
前記センサ回路に電気的に接続されているセンサ用駆動回路と、
前記センサ用駆動回路および前記画素用駆動回路に電気的に接続された表示切替回路と、を有し、
前記センサ用駆動回路は、前記光センサの検出信号が入力され、かつ前記検出信号を前記表示切替回路に出力し、
前記表示切替回路は、前記センサ用駆動回路から入力された前記検出信号をもとに、前記表示部の表示を切り替える信号を前記画素用駆動回路に出力し、
前記画素回路、前記センサ回路、前記画素用駆動回路、および前記センサ用駆動回路は、同一基板上に形成され、
前記画素回路、前記センサ回路、前記画素用駆動回路、および前記センサ用駆動回路のトランジスタの半導体層は単結晶半導体層でなり、
前記光センサの光電変換層は、結晶半導体層でなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
複数の画素を有する表示部と、
前記複数の画素に設けられ、液晶素子およびトランジスタを含む画素回路と、
前記複数の画素の全てまたは一部に設けられ、光センサおよびトランジスタを有するセンサ回路と、
前記画素回路に電気的に接続されている画素用駆動回路と、
前記センサ回路に電気的に接続されているセンサ用駆動回路と、
前記センサ用駆動回路および前記画素用駆動回路に電気的に接続された表示切替回路と、
複数の発光ダイオードを含み、前記表示部を照明するためのバックライト装置と、を有し、
前記センサ用駆動回路は、前記光センサの検出信号が入力され、かつ前記検出信号を前記表示切替回路に出力し、
前記表示切替回路は、前記センサ用駆動回路から入力された前記検出信号をもとに、前記表示部の表示を切り替える信号を前記画素用駆動回路に出力し、
前記画素回路、前記センサ回路、前記画素用駆動回路、および前記センサ用駆動回路は、同一基板上に形成され、
前記画素回路、前記センサ回路、前記画素用駆動回路、および前記センサ用駆動回路のトランジスタの半導体層は単結晶半導体層でなり、
前記光センサの光電変換層は、単結晶半導体層でなることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記バックライト装置は、波長800nm以上1μm以下に発光スペクトルのピークを有する発光ダイオードを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
複数の画素を有する表示部と、
前記複数の画素に設けられ、発光素子およびトランジスタを含む画素回路と、
前記複数の画素の全てまたは一部に設けられ、光センサおよびトランジスタを有するセンサ回路と、
前記画素回路に電気的に接続されている画素用駆動回路と、
前記センサ回路に電気的に接続されているセンサ用駆動回路と、
前記センサ用駆動回路および前記画素用駆動回路に電気的に接続された表示切替回路と、
を有し、
前記センサ用駆動回路は、前記光センサの検出信号が入力され、かつ前記検出信号を前記表示切替回路に出力し、
前記表示切替回路は、前記センサ用駆動回路から入力された前記検出信号をもとに、前記表示部の表示を切り替える信号を前記画素用駆動回路に出力し、
前記画素回路、前記センサ回路、前記画素用駆動回路、および前記センサ用駆動回路は、同一基板上に形成され、
前記画素回路、前記センサ回路、前記画素用駆動回路、および前記センサ用駆動回路のトランジスタの半導体層は単結晶半導体層でなり、
前記光センサの光電変換層は、単結晶半導体層でなることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
複数の画素を有する表示部と、
前記複数の画素に設けられ、液晶素子およびトランジスタを含む画素回路と、
前記複数の画素の全てまたは一部に設けられ、光センサおよびトランジスタを有するセンサ回路と、
前記画素回路に電気的に接続されている画素用駆動回路と、
前記センサ回路に電気的に接続されているセンサ用駆動回路と、を有する表示装置の作製方法であり、
単結晶半導体基板および支持基板を用意し、
加速されたイオンを前記単結晶半導体基板に添加することで、前記単結晶半導体基板の表面から所定の深さの領域に損傷領域を形成し、
前記支持基板または前記単結晶半導体基板の少なくとも一方にバッファ層を形成し、
前記バッファ層を介して前記支持基板と前記単結晶半導体基板を密着させ、前記バッファ層の表面と、前記バッファ層表面と密接している面とを接合させることで、前記支持基板に前記単結晶半導体基板を固定し、
前記単結晶半導体基板の加熱によって前記損傷領域に亀裂を生じさせ、前記単結晶半導体基板を前記支持基板から分離することにより、前記単結晶半導体基板から分離された単結晶半導体層が固定された支持基板を形成し、
前記単結晶半導体層を素子ごとに分割して、複数の単結晶半導体層を形成し、
前記分割された単結晶半導体層から、前記画素回路、前記センサ回路、前記画素用駆動回路、および前記センサ用駆動回路のトランジスタ、ならびに前記光センサを形成することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項6】
複数の画素を有する表示部と、
前記複数の画素に設けられた、発光素子およびトランジスタを含む画素回路と、
前記複数の画素の全てまたは一部に設けられ、光センサおよびトランジスタを有するセンサ回路と、
前記画素回路に電気的に接続されている画素用駆動回路と、
前記センサ回路に電気的に接続されているセンサ用駆動回路と、を有する入力装置の作製方法であり、
単結晶半導体基板および支持基板を用意し、
加速されたイオンを前記単結晶半導体基板に添加することで、前記単結晶半導体基板の表面から所定の深さの領域に損傷領域を形成し、
前記支持基板または前記単結晶半導体基板の少なくとも一方にバッファ層を形成し、
前記バッファ層を介して前記支持基板と前記単結晶半導体基板を密着させ、前記バッファ層の表面と、前記バッファ層表面と密接している面とを接合させることで、前記支持基板に前記単結晶半導体基板を固定し、
前記単結晶半導体基板の加熱によって前記損傷領域に亀裂を生じさせ、前記単結晶半導体基板を前記支持基板から分離することにより、前記単結晶半導体基板から分離された単結晶半導体層が固定された支持基板を形成し、
前記単結晶半導体層を素子ごとに分割して、複数の単結晶半導体層を形成し、
前記分割された単結晶半導体層から、前記画素回路、前記センサ回路、前記画素用駆動回路、および前記センサ用駆動回路のトランジスタ、ならびに前記光センサを形成することを特徴とする表示装置の作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2009−157367(P2009−157367A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306991(P2008−306991)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】