説明

表示装置および液晶素子

【課題】広い視野角での立体視表示を実現できる立体表示装置を得る。
【解決手段】映像を表示する表示部と、光を透過および遮断する、表示部の表示面内における垂直方向Yから傾いた第1の方向に延伸するように形成された複数の液晶バリアを有する液晶バリア部とを備える。上記液晶バリア部は、液晶層と、液晶バリアに対応する位置に、前記液晶層を挟むように構成された第1の電極(透明電極110,120)および第2の電極とを有する。上記第1の電極は、第1の方向に延伸する第1の幹部分61と、第1の幹部分の両側において、第1の幹部分に対して非線対称な方向にそれぞれ延伸する複数の枝部分63とを含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視表示が可能なパララックスバリア方式の表示装置、およびそのような表示装置に用いられる液晶素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体視表示を実現できる表示装置が注目を集めている。立体視表示は、互いに視差のある(視点の異なる)左眼映像と右眼映像を表示するものであり、観察者が左右の目でそれぞれを見ることにより奥行きのある立体的な映像として認識することができる。また、互いに視差がある3つ以上の映像を表示することにより、観察者に対してより自然な立体映像を提供することが可能な表示装置も開発されている。
【0003】
このような表示装置は、専用の眼鏡が必要なものと、不要なものとに大別されるが、観察者にとっては専用の眼鏡は煩わしく感じるものであり、専用の眼鏡が不要なものが望まれている。専用の眼鏡が不要な表示装置としては、例えば、レンチキュラーレンズ方式や、視差バリア(パララックスバリア)方式などがある。これらの方式では、互いに視差がある複数の映像(視点映像)を同時に表示し、表示装置と観察者の視点との相対的な位置関係(角度)によって見える映像が異なるようになっている。例えば、特許文献1には、クロストークおよびモアレの発生を低減するために、液晶バリアを表示画面の斜め方向に延伸するように構成した、パララックスバリア方式の表示装置が提案されている。
【0004】
ところで、2次元映像を表示する表示装置では、一般に、広い視野角が望まれている。例えば、特許文献2,3には、液晶表示装置において、幹部分と枝部分からなる画素電極を複数の領域に分け、領域間で枝部分の延伸方向が異なるように構成することにより、表示面の左右方向および上下方向において視野角を対称にすることにより広い視野角の実現を図る、いわゆるマルチドメイン方式の表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−86506号公報
【特許文献2】特開2009−151204号公報
【特許文献3】特開2002−107730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、立体視表示を表示できる表示装置でも、広い視野角が望まれている。しかしながら、特許文献1には、広い視野角を実現する方法についての記載が一切ない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、広い視野角での立体視表示を実現できる表示装置および液晶素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、表示部と、液晶バリア部とを備えている。表示部は、映像を表示するものである。液晶バリア部は、光を透過および遮断する、表示部の表示面内における垂直方向から傾いた第1の方向に延伸するように形成された複数の液晶バリアを有するものである。上記液晶バリア部は、液晶層と、液晶バリアに対応する位置に、液晶層を挟むように構成された第1の電極および第2の電極とを有している。上記第1の電極は、第1の方向に延伸する第1の幹部分と、第1の幹部分の両側において、第1の幹部分に対して非線対称な方向にそれぞれ延伸する複数の枝部分とを含んでいる。
【0009】
本発明の液晶素子は、液晶層と、第1の電極および第2の電極とを備えている。液晶層は、映像を表示する表示部の表示面と離間するように配置されたものである。第1の電極および第2の電極は、液晶層を挟むように構成されたものである。上記第1の電極は、表示部の表示面内における垂直方向から傾いた第1の方向に延伸するように形成された第1の幹部分と、第1の幹部分の両側において、第1の幹部分に対して非線対称な方向にそれぞれ延伸する複数の枝部分とを含んでいる。
【0010】
本発明の表示装置および液晶素子では、表示面の垂直方向から傾いた第1の方向に延伸する複数の開閉部を開閉動作することにより、表示部に表示された複数の異なる視点の映像が立体的に視認されるように表示される。その際、その開閉部を構成する液晶層の液晶分子は、第1の方向に延伸する幹部分の両側において、その幹部分に対して非対称な方向に延伸する枝部分の延伸方向にそれぞれ配向するように制御される。
【0011】
本発明の表示装置では、例えば、複数の枝部分は、第1の幹部分の両側において、垂直方向に対して線対称な方向にそれぞれ延伸するのが望ましい。
【0012】
また、例えば、複数の枝部分は、第1の方向に沿って設けられた複数のサブ電極領域のそれぞれに設けてもよい。また、例えば、第1の電極は、サブ電極領域ごとに、第1の幹部分と交差する第2の方向に延伸する第2の幹部分を有し、複数の枝部分は、第1の幹部分の片側において、第2の幹部分を挟んで配置された第1の枝領域および第2の枝領域と、第1の幹部分に対して、第1の枝領域の反対側に配置された第3の枝領域と、第1の幹部分に対して、第2の枝領域の反対側に配置された第4の枝領域のそれぞれおいて、同じ方向に延伸していてもよい。この場合、例えば、第1から第4の枝領域における枝部分は、第1の幹部分および第2の幹部分の両方から遠ざかる方向に延伸するのが望ましい。また、例えば、第1の枝領域における枝部分の延伸方向は、第4の枝領域における枝部分の延伸方向と互いに等しく、第2の枝領域における枝部分の延伸方向は、第3の枝領域における枝部分の延伸方向と互いに等しくしてもよい。
【0013】
この場合、例えば、第2の方向は、表示部の表示面内における水平方向に対応し、各サブ電極領域において、第1の枝領域における枝部分の延伸方向と第2の枝領域における枝部分の延伸方向とは、第2の幹部分に対して互いに線対称であり、第3の枝領域における枝部分の延伸方向と第4の枝領域における枝部分の延伸方向とは、第2の幹部分に対して互いに線対称にしてもよい。また、例えば、第2の方向は、表示部の表示面内における水平方向から傾いた方向に対応し、各サブ電極部分において、第1の枝領域における枝部分の延伸方向と第2の枝領域における枝部分の延伸方向とは、第2の幹部分に対して互いに非線対称であり、第3の枝領域における枝部分の延伸方向と第4の枝領域における枝部分の延伸方向とは、第2の幹部分に対して互いに非線対称にしてもよい。
【0014】
また、例えば、第1の電極の液晶層とは反対側に設けられ、表示部の表示面内における垂直方向および水平方向のうちの一方の方向に偏光した光を通過させる第1の偏光板と、第2の電極の液晶層とは反対側に設けられ、垂直方向および水平方向のうちの他方の方向に偏光した光を通過させる第2の偏光板とをさらに備え、第1の枝領域における枝部分および第4の枝領域における枝部分は、水平方向から反時計まわりに45度傾いた方向に延伸し、第2の枝領域における枝部分および第3の枝領域における枝部分は、水平方向から時計まわりに45度傾いた方向に延伸していてもよい。
【0015】
また、例えば、複数の枝部分は、第1の幹部分に対して互いに反対側に配置された第1の枝領域および第2の枝領域のそれぞれおいて同じ方向に延伸するとともに、枝領域間で異なる方向に延伸していてもよい。また、例えば、第1の電極の液晶層とは反対側に設けられ、表示部の表示面内における垂直方向および水平方向のうちの一方の方向に偏光した光を通過させる第1の偏光板と、第2の電極の液晶層とは反対側に設けられ、垂直方向および水平方向のうちの他方の方向に偏光した光を通過させる第2の偏光板とをさらに備え、第1の枝領域における枝部分は、水平方向から反時計まわりに45度傾いた方向に延伸し、第2の枝領域における枝部分は、水平方向から時計まわりに45度傾いた方向に延伸していてもよい。
【0016】
また、例えば、本発明の表示装置は、3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、複数の液晶バリアは、複数の第1の液晶バリアと、複数の第2の液晶バリアを有し、3次元映像表示モードでは、表示部が複数の異なる視点映像を表示し、複数の第1の液晶バリアが透過状態になるとともに、複数の第2の液晶バリアが遮断状態になることにより、3次元映像を表示し、2次元映像表示モードでは、表示部が1つの視点映像を表示し、複数の第1の液晶バリアおよび複数の第2の液晶バリアが透過状態になることにより、2次元映像を表示するようにしてもよい。この場合、例えば、複数の第1の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされ、3次元映像表示モードでは、複数の第1の液晶バリアは、バリアグループごとに、時分割的に透過状態および遮断状態との間で切り換わるようにしてもよい。
【0017】
また、例えば、表示部は液晶表示部であり、バックライトをさらに備え、液晶表示部は、バックライトと液晶バリア部との間に配置されていてもよい。また、例えば、表示部は液晶表示部であり、バックライトをさらに備え、液晶バリア部は、バックライトと液晶表示部との間に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示装置および液晶素子によれば、第1の方向に延伸する第1の幹部分の両側において、枝部分の延伸方向を互いに非対称にしたので、広い視野角を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図3】図1に示した表示駆動部および表示部の一構成例を表すブロック図である。
【図4】図1に示した表示部の一構成例を表す説明図である。
【図5】図1に示した液晶バリアの一構成例を表す説明図である。
【図6】図1に示した液晶バリアに係る透明電極の一構成例を表す平面図である。
【図7】図1に示した液晶バリアのグループ構成例を表す説明図である。
【図8】図1に示した表示部および液晶バリアの一動作例を表す模式図である。
【図9】図1に示した表示部および液晶バリアの一動作例を表す他の模式図である。
【図10】図1に示した液晶バリアにおける液晶分子の配向方向の一例を表す模式図である。
【図11】図1に示した液晶バリアにおける液晶分子の配向方向の一例を表す他の模式図である。
【図12】図1に示した立体表示装置の視野角特性の一例を表す特性図である。
【図13】比較例に係る透明電極の一構成例を表す平面図である。
【図14】比較例に係る立体表示装置の視野角特性の一例を表す特性図である。
【図15】第1の実施の形態の変形例に係る透明電極の一構成例を表す平面図である。
【図16】他の変形例に係る透明電極の一構成例を表す平面図である。
【図17】他の変形例に係る透明電極の一構成例を表す平面図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る透明電極の一構成例を表す平面図である。
【図19】第2の実施の形態の変形例に係る透明電極の一構成例を表す平面図である。
【図20】変形例に係る立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図21】変形例に係る立体表示装置の一動作例を表す模式図である。
【図22】他の変形例に係る表示部および液晶バリアの一動作例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0021】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係る液晶素子は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。立体表示装置1は、制御部40と、表示駆動部50と、表示部20と、バックライト駆動部42と、バックライト30と、バリア駆動部41と、液晶バリア部10とを備えている。
【0022】
制御部40は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて、表示駆動部50、バックライト駆動部42、およびバリア駆動部41に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部40は、表示駆動部50に対して映像信号Sdispに基づく映像信号Sを供給し、バックライト駆動部42に対してバックライト制御信号CBLを供給し、バリア駆動部41に対してバリア制御信号CBRを供給するようになっている。ここで、映像信号Sは、立体表示装置1が立体視表示を行う場合に、後述するように、それぞれが複数(この例では6つ)の視点映像を含む映像信号SA,SBから構成されるものである。
【0023】
表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動するものである。表示部20は、この例では液晶表示部であり、液晶表示素子を駆動して、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行うようになっている。
【0024】
バックライト駆動部42は、制御部40から供給されるバックライト制御信号CBLに基づいてバックライト30を駆動するものである。バックライト30は、表示部20に対して面発光した光を射出する機能を有している。バックライト30は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)などを用いて構成されるものである。
【0025】
バリア駆動部41は、制御部40から供給されるバリア制御信号CBRに基づいて液晶バリア部10を駆動するものである。液晶バリア部10は、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過(開動作)または遮断(閉動作)するものであり、液晶を用いて構成された複数の開閉部11,12(後述)を有している。
【0026】
図2は、立体表示装置1の要部の一構成例を表すものであり、(A)は立体表示装置1の分解斜視構成を示し、(B)は立体表示装置1の側面図を示す。図2に示したように、立体表示装置1では、これらの各部品は、バックライト30、表示部20、および液晶バリア部10の順に配置されている。つまり、バックライト30から射出した光は、表示部20および液晶バリア部10を介して、観察者に届くようになっている。
【0027】
(表示駆動部50および表示部20)
図3は、表示駆動部50および表示部20のブロック図の一例を表すものである。表示駆動部50は、タイミング制御部51と、ゲートドライバ52と、データドライバ53とを備えている。タイミング制御部51は、ゲートドライバ52およびデータドライバ53の駆動タイミングを制御するとともに、制御部40から供給された映像信号Sを映像信号S1としてデータドライバ53へ供給するものである。ゲートドライバ52は、タイミング制御部51によるタイミング制御に従って、表示部20内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ53は、表示部20の各画素Pixへ、映像信号S1に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ53は、映像信号S1に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0028】
図4は、表示部20の一構成例を表すものであり、(A)は画素Pixの回路図の一例を示し、(B)は表示部20の断面構成を示す。
【0029】
画素Pixは、図4(A)に示したように、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Cとを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)により構成されるものであり、ゲートがゲート線Gに接続され、ソースがデータ線Dに接続され、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Cの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Cは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線Csに接続されている。ゲート線Gはゲートドライバ52に接続され、データ線Dはデータドライバ53に接続されている。
【0030】
表示部20は、図4(B)に示したように、駆動基板201と対向基板205との間に、液晶層203を封止したものである。駆動基板201は、上記TFT素子Trを含む画素駆動回路(図示せず)が形成されたものであり、この駆動基板201上には、画素Pix毎に画素電極202が配設されている。対向基板205には、図示しないカラーフィルタやブラックマトリクスが形成されており、更に液晶層203側の面には、対向電極204が各画素Pixに共通の電極として配設されている。表示部20の光入射側(ここでは、バックライト30側)および光出射側(ここでは、液晶バリア部10側)には、偏光板206a,206bが、互いにクロスニコルまたはパラレルニコルとなるように貼り合わせられている。
【0031】
(液晶バリア部10)
図5は、液晶バリア部10の一構成例を表すものであり、(A)は液晶バリア部10における開閉部の配置構成を示し、(B)は(A)の液晶バリア部10のV−V矢視方向の断面構成を示す。なお、この例では、液晶バリア部10はノーマリーブラック動作を行うものとする。つまり、液晶バリア部10は、駆動されていない状態では光を遮断するものとする。
【0032】
液晶バリア部10は、いわゆるパララックスバリアであり、図5(A)に示したように、光を透過または遮断する複数の開閉部(液晶バリア)11,12を有している。これらの開閉部11,12は、立体表示装置1が通常表示(2次元表示)および立体視表示のどちらを行うかにより、異なる動作を行う。具体的には、開閉部11は、後述するように、通常表示の際には開状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、閉状態(遮断状態)となるものである。開閉部12は、後述するように、通常表示の際には開状態(透過状態)、立体視表示の際には、時分割的に開閉動作を行うものである。
【0033】
これらの開閉部11および開閉部12は、XY平面における一方向(ここでは、例えば垂直方向Yから所定の角度θをなす方向)に延在して設けられている。このように、開閉部11,12を斜め方向に延伸するように形成することにより、立体表示装置1のモアレを低減することができる。開閉部11の幅E1と、開閉部12の幅E2とは、互いに異なっており、ここでは例えばE1>E2となっている。但し、開閉部11,12の幅の大小関係はこれに限定されず、E1<E2であってもよく、また、E1=E2であってもよい。このような開閉部11,12は、液晶層(後述する液晶層19)を含んで構成されており、この液晶層19への駆動電圧によって、開閉が切り替わるようになっている。
【0034】
液晶バリア部10は、図5(B)に示したように、例えばガラス等からなる透明基板13と透明基板16との間に液晶層19を備えたものである。この例では、透明基板13が光入射側、透明基板16が光出射側に配置されている。透明基板13の液晶層19側の面、および透明基板16の液晶層19側の面には、例えばITOなどからなる透明電極層15,17がそれぞれ形成されている。透明基板13の光入射側および透明基板16の光出射側には、偏光板14,18が貼り合わせられている。液晶層19は、例えば、VA(垂直配向)モードの液晶が用いられる。
【0035】
透明電極層15は、複数の透明電極110,120を有している。そして、透明電極層17は、各透明電極110,120に共通の電極として設けられている。この例では、透明電極層17には0Vが印加されている。透明電極層15の透明電極110と、透明電極層17におけるその透明電極110に対応する部分とは、開閉部11を構成している。同様に、透明電極層15の透明電極120と、透明電極層157におけるその透明電極120に対応する部分とは、開閉部12を構成している。このような構成により、液晶バリア部10では、透明電極110,120に電圧を選択的に印加し、液晶層19がその電圧に応じた液晶配向になることにより、開閉部11,12毎の開閉動作を行うことができるようになっている。これらの透明電極層15,17の液晶層19側の面には、図示しない配向膜が形成されている。
【0036】
偏光板14,18は、液晶層19への入射光および出射光の各偏光方向を制御するものである。偏光板14の透過軸は、例えば水平方向Xの方向に配置され、偏光板18の透過軸は、例えば垂直方向Yの方向に配置される。すなわち、偏光板14,18の各透過軸は、互いに直交するように配置される。
【0037】
図6は、透明電極層15における透明電極110,120の一構成例を表すものである。透明電極110,120は、それぞれ、開閉部11,12の延伸方向と同じ方向(垂直方向Yから所定の角度θをなす方向)に延伸する幹部分61を有している。角度θは、例えば18度に設定可能である。透明電極110,120には、それぞれ、幹部分61の延伸方向に沿ってサブ電極領域70が並設されている。各サブ電極領域70は、幹部分62と、枝部分63とを有している。幹部分62は、幹部分61と交差する方向に延伸するように形成されており、この例では、水平方向Xの方向に延伸している。各サブ電極領域70には、幹部分61および幹部分62により区切られた4つの枝領域(ドメイン)71〜74が設けられている。
【0038】
枝部分63は、各枝領域71〜74において、幹部分61,62から延びるように形成されている。枝部分63のライン幅は、各枝領域71〜74において互いに等しくなっており、同様にスリット幅も、これらの枝領域71〜74において互いに等しくなっている。枝部分63は、枝領域71〜74のそれぞれにおいて同じ方向に延伸している。枝領域71の枝部分63の延伸方向と、枝領域73の枝部分63の延伸方向とは、垂直方向Yを軸として対称になっており、同様に、枝領域72の枝部分63の延伸方向と、枝領域74の枝部分63の延伸方向とは、垂直方向Yを軸として対称になっている。言い換えれば、枝領域71の枝部分63の延伸方向と枝領域73の枝部分63の延伸方向とは、幹部分61を軸としては非対称になっており、枝領域72の枝部分63の延伸方向と枝領域74の枝部分63の延伸方向とは、幹部分61を軸としては非対称になっている。また、枝領域71の枝部分63の延伸方向と、枝領域72の枝部分63の延伸方向とは、幹部分62(水平方向X)を軸として対称になっており、同様に、枝領域73の枝部分63の延伸方向と、枝領域74の枝部分63の延伸方向とは、幹部分62(水平方向X)を軸としては対称になっている。この例では、具体的には、枝領域71,74の枝部分63は、水平方向Xから反時計まわりに所定の角度φだけ回転させた方向に延伸しており、枝領域72,73の枝部分63は、水平方向Xから時計まわりに所定の角度φだけ回転させた方向に延伸している。角度φは、例えば45度が望ましい。
【0039】
この構成により、透明電極層15(透明電極110,120)および透明電極層17に電圧を印加してその電位差が大きくなると、液晶層19における光の透過率が増大し、開閉部11,12は透過状態(開状態)になる。一方、その電位差が小さくなると、液晶層19における光の透過率が減少し、開閉部11,12は遮断状態(閉状態)となる。
【0040】
なお、この例では、液晶バリア部10はノーマリーブラック動作を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばノーマリーホワイト動作を行うものであってもよい。この場合には、透明電極層15および透明電極層17の間の電位差が大きくなると、開閉部11,12は遮断状態となり、その電位差が小さくなると、開閉部11,12は透過状態となる。なお、ノーマリーブラック動作とノーマリーホワイト動作の選択は、例えば、偏光板と液晶配向により設定することができる。
【0041】
液晶バリア部10では、複数の開閉部12はグループを構成し、同じグループに属する複数の開閉部12は、立体視表示を行う際、同じタイミングで開動作および閉動作を行うようになっている。以下に、開閉部12のグループについて説明する。
【0042】
図7は、開閉部12のグループ構成例を表すものである。開閉部12は、この例では2つのグループを構成している。具体的には、1つおきに配置された複数の開閉部12が、グループAおよびグループBをそれぞれ構成している。なお、以下では、グループAに属する開閉部12の総称として開閉部12Aを適宜用い、同様に、グループBに属する開閉部12の総称として開閉部12Bを適宜用いるものとする。
【0043】
バリア駆動部41は、立体視表示を行う際、同じグループに属する複数の開閉部12が同じタイミングで開閉動作を行うように駆動する。具体的には、バリア駆動部41は、後述するように、グループAに属する複数の開閉部12Aと、グループBに属する複数の開閉部12Bとを、時分割的に交互に開閉動作するように駆動する。
【0044】
図8は、立体視表示および通常表示(2次元表示)を行う場合の液晶バリア部10の状態を、断面構造を用いて模式的に表すものであり、(A)は立体視表示を行う一状態を示し、(B)は立体視表示を行う他の状態を示し、(C)は通常表示を行う状態を示す。液晶バリア部10には、開閉部11および開閉部12(開閉部12A,12B)が交互に配置されている。この例では、開閉部12Aは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。同様に、開閉部12Bは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。以下の説明では、画素Pixは、3つのサブピクセル(RGB)から構成されたピクセルとするが、これに限定されるものではなく、例えば、画素Pixがサブピクセルであってもよい。また、液晶バリア部10において、光が遮断される部分は斜線で示している。
【0045】
立体視表示を行う場合には、表示駆動部50に映像信号SA,SBが交互に供給され、表示部20はそれらに基づいて表示を行う。そして、液晶バリア部10では、開閉部12(開閉部12A,12B)が時分割的に開閉動作を行い、開閉部11が閉状態(遮断状態)を維持する。具体的には、映像信号SAが供給された場合には、図8(A)に示したように、開閉部12Aが開状態になるとともに、開閉部12Bが閉状態になる。表示部20では、後述するように、この開閉部12Aに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SAに含まれる6つの視点映像に対応する表示を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることにより、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。同様に、映像信号SBが供給された場合には、図8(B)に示したように、開閉部12Bが開状態になるとともに、開閉部12Aが閉状態になる。表示部20では、後述するように、この開閉部12Bに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SBに含まれる6つの視点映像に対応する表示を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることにより、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。立体表示装置1では、このように、開閉部12Aと開閉部12Bを交互に開放して映像を表示することにより、後述するように、表示装置の解像度を高めることができるようになっている。
【0046】
通常表示(2次元表示)を行う場合には、液晶バリア部10では、図8(C)に示したように、開閉部11および開閉部12(開閉部12A,12B)はともに開状態(透過状態)を維持するようになっている。これにより、観察者は、映像信号Sに基づいて表示部20に表示された通常の2次元映像をそのまま見ることができる。
【0047】
ここで、立体表示装置1は、本発明における「表示装置」の一具体例に対応する。開閉部11,12は、本発明における「液晶バリア」の一具体例に対応する。透明電極110,120は、本発明における「第1の電極」の一具体例に対応する。透明電極層17は、本発明における「第2の電極」の一具体例に対応する。幹部分61は、本発明における「第1の幹部分」の一具体例に対応する。幹部分62は、本発明における「第2の幹部分」の一具体例に対応する。枝領域71〜74は、本発明における「第1〜第4の枝領域」の一具体例にそれぞれ対応する。開閉部12(開閉部12A,12B)は、本発明における「第1の液晶バリア」の一具体例に対応し、開閉部11は、本発明における「第2の液晶バリア」の一具体例に対応する。
【0048】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の立体表示装置1の動作および作用について説明する。
【0049】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、立体表示装置1の全体動作概要を説明する。制御部40は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて、表示駆動部50、バックライト駆動部42、およびバリア駆動部41に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。バックライト駆動部42は、制御部40から供給されるバックライト制御信号CBLに基づいてバックライト30を駆動する。バックライト30は、面発光した光を表示部20に対して射出する。表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動する。表示部20は、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行う。バリア駆動部41は、制御部40から供給されるバリア制御命令CBRに基づいて液晶バリア部10を駆動する。液晶バリア部10の開閉部11,12(12A,12B)は、バリア制御命令CBRに基づいて開閉動作を行い、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過または遮断する。
【0050】
(立体視表示の詳細動作)
次に、いくつかの図を参照して、立体視表示を行う場合の詳細動作を説明する。
【0051】
図9は、表示部20および液晶バリア部10の動作例を表すものであり、(A)は、映像信号SAが供給された場合を示し、(B)は映像信号SBが供給された場合を示す。
【0052】
映像信号SAが供給された場合には、図9(A)に示したように、表示部20の画素Pixのそれぞれは、映像信号SAに含まれる6つの視点映像のそれぞれに対応する画素情報P1〜P6を表示する。このとき、画素情報P1〜P6は、開閉部12A付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示される。映像信号SAが供給された場合には、液晶バリア部10では、開放部12Aが開状態(透過状態)になるとともに、開放部12Bが閉状態になるように制御される。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Aによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0053】
映像信号SBが供給された場合には、図9(B)に示したように、表示部20の画素Pixのそれぞれは、映像信号SBに含まれる6つの視点映像のそれぞれに対応する画素情報P1〜P6を表示する。このとき、画素情報P1〜P6は、開閉部12B付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示される。映像信号SBが供給された場合には、液晶バリア部10では、開放部12Bが開状態(透過状態)になるとともに、開放部12Aが閉状態になるように制御される。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Bによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0054】
このように、観察者は、左眼と右眼とで、画素情報P1〜P6のうちの異なる画素情報を見ることとなり、観察者は立体的な映像として感じることができる。また、開閉部12Aと開閉部12Bを時分割的に交互に開放して映像を表示することにより、観察者は、互いにずれた位置に表示される映像を平均化して見ることとなる。よって、立体表示装置1は、開閉部12Aのみをもつ場合に比べ、2倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、立体表示装置1の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/3(=1/6×2)で済むこととなる。
【0055】
(視野角特性)
まず、液晶バリア部10の液晶層19における液晶分子の配向について説明する。
【0056】
図10は、電圧印加時の各枝領域71〜74における液晶分子の配向方向を模式的に表すものである。 図11は、図10の透明電極120のXI−XI矢視方向の断面における液晶分子の配向方向を表すものである。なお、ここでは、説明の便宜上、透明電極120(開閉部12)を例に説明するが、透明電極110(開閉部11)についても同様である。
【0057】
透明電極120(透明電極層15)と透明電極層17との間に電圧が印加されていないときには、液晶分子Mは、透明電極層15,17に垂直な方向に配向している。このとき、液晶バリア部10の開閉部12は光を遮断し、閉状態となる。一方、透明電極120(透明電極層15)と透明電極層17との間に電圧が印加されたときには、液晶分子Mは、図10に示したように、各枝領域71〜74の枝部分63の延伸方向に沿うように倒れる。具体的には、液晶分子Mは、図11に示したように、その液晶分子Mの長軸方向が等電位面に平行になるように配向する。このとき、液晶バリア部10の開閉部12は光を透過し、開状態となる。
【0058】
このように、開状態では、液晶分子Mは、図10に示したように、各枝領域71〜74において、水平方向Xから角度φ(例えば45度)の方向に配向する。すなわち、液晶分子Mが配向する方向は、偏光板14の透過軸の方向(この例では水平方向X)、偏光板18の透過軸の方向(この例では垂直方向Y)の中間の方向となる。これにより、以下に示すように、立体表示装置1の視野角特性を左右方向および上下方向に対称にすることができる。
【0059】
図12は、立体表示装置1の視野角特性を表すものであり、(A)は白色表示時における視野角特性を示し、(B)は白色表示と黒色表示とのコントラストに関する視野角特性を示す。図12(A),(B)において、左右方向は立体表示装置1の表示面の水平方向と対応し、上下方向は表示画面の垂直方向と対応している。図12(A)は、白色表示時の明るさを等高線で示したものであり、中心に近づくほど明るくなっていることを示している。図12(A)において、破線は、明るさがピークの半分に対応する等高線を示している。また、図12(B)は、コントラストを等高線で示したものであり、中心に近づくほどコントラストが高くなっていることを示している。図12(B)において、破線は、コントラストが100になる等高線を示している。
【0060】
図12(A),(B)に示したように、等高線は、左右方向および上下方向に対称になっている。このことは、立体表示装置1では、例えば、表示画面に向かって、右方向の所定角度から見た明るさおよびコントラストと、左方向のその所定角度から見た明るさおよびコントラストがほぼ等しいことを意味し、同様に、上方向の所定角度から見た明るさおよびコントラストと、下方向のその所定角度から見た明るさおよびコントラストがほぼ等しいことを意味する。すなわち、立体表示装置1の視野角特性は、左右方向および上下方向に対称になっている。
【0061】
立体表示装置1では、図6に示したように、斜め方向に延伸するように形成した開閉部11,12(図5)に対応して、透明電極110の幹部分61も斜め方向に延伸するように形成し、一方、各枝領域71〜74の枝部分63は、それぞれ水平方向Xから角度φ(例えば45度)の方向に延伸するように形成している。これにより、液晶分子Mは、角度φの方向に配向するようになる。この角度φは、偏光板14の透過軸の方向および偏光板18の透過軸の方向の中間の方向の角度に対応するものであるため、視野角特性を、左右方向および上下方向に対称にすることができる。
【0062】
(比較例)
次に、比較例に係る立体表示装置1Rについて説明する。本比較例は、各枝領域の枝部分の延伸方向が本実施の形態とは異なるように構成したものである。
【0063】
図13は、比較例に係る立体表示装置1Rの透明電極110R,120Rの一構成例を表すものである。透明電極110R,120Rには、それぞれ、幹部分61の延伸方向に沿ってサブ電極領域70Rが並設されている。各サブ電極領域70Rは、幹部分64と、枝部分63Rとを有している。幹部分64は、幹部分61と直交する方向に延伸するように形成されている。各サブ電極領域70Rには、幹部分61および幹部分64により区切られた4つの枝領域71R〜74Rが設けられている。
【0064】
枝部分63Rは、幹部分61,64から延びるように形成されている。枝領域71Rの枝部分63Rの延伸方向と、枝領域73Rの枝部分63Rの延伸方向とは、幹部分61を軸として対称になっており、同様に、枝領域72Rの枝部分63Rの延伸方向と、枝領域74Rの枝部分63Rの延伸方向とは、幹部分61を軸として対称になっている。また、枝領域71Rの枝部分63Rの延伸方向と、枝領域72Rの枝部分63Rの延伸方向とは、幹部分64に対して対称になっており、同様に、枝領域73Rの枝部分63Rの延伸方向と、枝領域74Rの枝部分63Rの延伸方向とは、幹部分64に対して対称になっている。この例では、具体的には、枝領域71R,74Rの枝部分63Rは、幹部分64の延伸方向から反時計回りに所定の角度φRだけ回転させた方向に延伸しており、枝領域72R,73Rの枝部分63Rは、幹部分64の延伸方向から時計まわりに所定の角度φRだけ回転させた方向に延伸している。ここで、角度φRは、例えば45度である。この構成は、マルチドメイン方式の液晶表示装置の画素電極(例えば特許文献2,3)を、角度θだけ回転させたものと同様である。なお、この例では、枝領域71R〜74Rにおける枝部分63Rの延伸方向が、本実施の形態の場合(図6)と比べて回転していることに対応して、偏光板14,18の透過軸も同様に回転させている。
【0065】
図14は、比較例に係る立体表示装置1Rの視野角特性を表すものであり、(A)は白色表示時における視野角特性を示し、(B)は白色表示と黒色表示とのコントラストに関する視野角特性を示す。
【0066】
図14(A),(B)に示したように、比較例に係る立体表示装置1Rでは、上記実施の形態に係る立体表示装置1の場合(図12)とは異なり、等高線は、左右方向および上下方向に対称になっておらず、幹部分61(開閉部11,12)の傾き(角度θ)に対応した角度だけ時計周りに回転している。これにより、左右方向および上下方向の視野角が、上記実施の形態に係る立体表示装置1の場合(図12)に比べて狭くなってしまう。
【0067】
一方、本実施の形態に係る立体表示装置1では、図12に示したように、等高線が、左右方向および上下方向に対称になっているため、左右方向および上下方向の視野角を広くすることができる。
【0068】
[効果]
以上のように本実施の形態では、垂直方向からずれた方向に延伸する幹部分61を設け、枝領域71の枝部分の延伸方向と枝領域73の枝部分の延伸方向とを、幹部分61を軸として非対称にし、枝領域72の枝部分の延伸方向と枝領域74の枝部分の延伸方向とを、幹部分61を軸として非対称にしたので、左右方向の視野角を自由に設定することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、枝領域71の枝部分の延伸方向と枝領域73の枝部分の延伸方向とを、垂直方向Yを軸として対称にし、枝領域72の枝部分の延伸方向と枝領域74の枝部分の延伸方向とを、垂直方向Yを軸として対称にしたので、左右方向の視野角を対称にすることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、表示面内の水平方向に延伸する幹部分62を設け、枝領域71の枝部分の延伸方向と枝領域72の枝部分の延伸方向とを、幹部分62(水平方向X)を軸として対称にし、枝領域73の枝部分の延伸方向と枝領域74の枝部分の延伸方向とを、幹部分62(水平方向X)を軸として対称にしたので、上下方向の視野角を対称にすることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、枝領域71,74の枝部分の延伸方向を、水平方向から反時計まわりに45度の方向にするとともに、枝領域72,73の枝部分の延伸方向を、水平方向から時計まわりに45度の方向にしたので、広い視野角を実現することができる。
【0072】
また、本実施の形態では、幹部分61を、開閉部11,12の延伸方向と同じ方向に延伸するように形成したので、例えば階段状に形成する場合に比べて、シンプルな電極構造を実現できるとともに、開閉部11,12の上端と下端間における透明電極の抵抗値を低減することができる。
【0073】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、幹部分62を水平方向Xの方向に延伸するように形成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、幹部分61と直交する方向に延伸するように形成してもよい。
【0074】
図15は、本変形例に係る透明電極110B,120Bの一構成例を表すものである。透明電極110B,120Bには、それぞれ、幹部分61の延伸方向に沿ってサブ電極領域70Bが並設されている。各サブ電極領域70Bは、幹部分64と、枝部分63とを有している。幹部分64は、幹部分61と直交する方向に延伸するように形成されている。各サブ電極領域70Bには、幹部分61および幹部分64により区切られた4つの枝領域71B〜74Bが設けられている。
【0075】
ここで、幹部分64は、本発明における「第2の幹部分」の一具体例に対応する。
【0076】
枝部分63は、各枝領域71B〜74Bにおいて、幹部分61,64から延びるように形成されている。枝領域71Bの枝部分63の延伸方向と枝領域72Bの枝部分63の延伸方向とは、水平方向Xを軸として対称になっており、枝領域73Bの枝部分63の延伸方向と枝領域74Bの枝部分63の延伸方向とは、水平方向Xを軸として対称になっている。言い換えれば、枝領域71Bの枝部分63の延伸方向と枝領域72Bの枝部分63の延伸方向とは、幹部分64を軸として非対称になっており、枝領域73Bの枝部分63の延伸方向と枝領域74Bの枝部分63の延伸方向とは、幹部分64を軸として非対称になっている。
【0077】
この場合でも、各枝領域71B〜74Bの枝部分63を、それぞれ水平方向Xから角度φ(例えば45度)の方向に延伸するように形成したので、液晶分子Mは、角度φの方向に配向するようになり、視野角特性を左右方向および上下方向に対称にすることができ、広い視野角を実現することができる。
【0078】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、透明電極110,120は、開閉部11,12の延伸方向に延伸する幹部分61を有するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図16,17に示したように、この幹部分61に加え、同じ方向に延伸する他の電極をさらに有していてもよい。図16は、上記実施の形態の透明電極110,120(図6)のそれぞれにおいて、両側に外縁部分65を備えたものである。図17は、上記変形例の透明電極110B,120B(図15)のそれぞれにおいて、両側に外縁部分65を備えたものである。透明電極をこのように構成することにより、開閉部11,12の上端と下端間における透明電極の抵抗値を低減することができる。
【0079】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る立体表示装置2について説明する。本実施の形態は、2つの枝領域を有する透明電極を用いて液晶バリアを構成するものである。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図1)と同様である。なお、上記第1の実施の形態に係る立体表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0080】
図18は、立体表示装置2に係る透明電極210,220の一構成例を表すものである。透明電極210,220には、それぞれ、幹部分61により区切られた2つの枝領域81,82が設けられている。
【0081】
枝部分63は、各枝領域81,82において、幹部分61から延びるように形成されている。枝部分63は、枝領域81,82のそれぞれにおいて同じ方向に延伸するとともに、枝領域ごとに異なる方向に延伸している。枝領域81の枝部分63の延伸方向と、枝領域82の枝部分63の延伸方向とは、垂直方向Yを軸として対して対称になっている。言い換えれば、枝領域81の枝部分63の延伸方向と枝領域82の枝部分63の延伸方向とは、幹部分61を軸として非対称になっている。具体的には、枝領域81の枝部分63は、水平方向Xから反時計まわりに所定の角度φだけ回転させた方向に延伸しており、枝領域82の枝部分63は、水平方向Xから時計まわりに所定の角度φだけ回転させた方向に延伸している。角度φは、例えば45度が望ましい。なお、枝領域81,82における枝部分63の延伸方向はこれに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、枝領域81の枝部分63は、水平方向Xから時計まわりに所定の角度φだけ回転させた方向に延伸し、枝領域82の枝部分63は、水平方向Xから反時計まわりに所定の角度φだけ回転させた方向に延伸するようにしてもよい。
【0082】
以上のように本実施の形態では、垂直方向からずれた方向に延伸する幹部分61を設け、枝領域81の枝部分の延伸方向と枝領域82の枝部分の延伸方向とを、幹部分61を軸として非対称にしたので、左右方向の視野角を自由に設定することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、枝領域81の枝部分の延伸方向と枝領域82の枝部分の延伸方向とを、垂直方向Yを軸として対称にしたので、左右方向の視野角を対称にすることができる。
【0084】
また、本実施の形態では、枝領域81の枝部分の延伸方向を、水平方向から反時計まわりに45度の方向にするとともに、枝領域82の枝部分の延伸方向を、水平方向から時計まわりに45度の方向にしたので、広い視野角を実現することができる。
【0085】
その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0086】
[変形例2]
上記実施の形態では、透明電極210,220は、開閉部11,12の延伸方向に延伸する幹部分61を有するようにしたが、これに限定されるものではなく、上記第1の実施の形態の変形例と同様に、この幹部分61に加え、同じ方向に延伸する他の電極をさらに有していてもよい。図19は、上記第2の実施の形態の透明電極210,220(図18)のそれぞれにおいて、両側に外縁部分65を備えたものである。
【0087】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0088】
例えば、上記実施の形態等では、立体表示装置1のバックライト30、表示部20、液晶バリア部10は、この順に配置したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、図20に示したように、バックライト30、液晶バリア部10、表示部20の順に配置してもよい。
【0089】
図21は、本変形例に係る表示部20および液晶バリア部10の動作例を表すものであり、(A)は、映像信号SAが供給された場合を示し、(B)は映像信号SBが供給された場合を示す。本変形例では、バックライト30から射出した光は、まず液晶バリア部10に入射する。そして、その光のうち、開閉部12A,12Bを透過した光が表示部20において変調されるとともに、6つの視点映像を出力するようになっている。
【0090】
また、例えば、上記実施の形態等では、開閉部12は2つのグループを構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば3つ以上のグループを構成するようにしてもよい。これにより、表示の分解能をさらに改善することができる。以下に、その詳細を説明する。
【0091】
図22は、開閉部12が3つのグループA,B,Cを構成する場合の例を表すものである。上記実施の形態と同様に、開閉部12AはグループAに属する開閉部12を示し、開閉部12BはグループBに属する開閉部12を示し、開閉部12CはグループCに属する開閉部12を示す。
【0092】
このように、開閉部12A,12B,12Cを時分割的に交互に開放して映像を表示することにより、この変形例に係る立体表示装置は、開口部12Aのみをもつ場合に比べ、3倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、この立体表示装置の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/2(=1/6×3)で済むこととなる。
【0093】
また、例えば、上記実施の形態等では、映像信号SA,SBが6つの視点映像を含むようにしたが、これに限定されるものではなく、5つ以下の視点映像や、7つ以上の視点映像を含むようにしてもよい。この場合、図8に示した液晶バリア部10の開閉部12A,12Bと、画素Pixとの関係も変化する。すなわち、例えば、映像信号SA,SBが5つの視点映像を含む場合には、開閉部12Aは、表示部20の5つの画素Pixに1つの割合で設けることが望ましく、同様に、開閉部12Bは、表示部20の5つの画素Pixに1つの割合で設けることが望ましい。
【0094】
また、例えば、上記実施の形態等では、開閉部12は複数のグループを構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、グループを構成せずに、立体視表示において全ての開閉部12を開くようにしてもよい。
【0095】
また、例えば、上記実施の形態等では、表示部20は液晶表示部としたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば有機EL(Electro Luminescence)などを用いたEL表示部であってもよい。この場合、図1に示したバックライト駆動部42およびバックライト30は不要となる。
【符号の説明】
【0096】
1,1B,2…立体表示装置、10…液晶バリア、11,12,12A,12B,12C…開閉部、13,16…透明基板、14,18,206a,206b…偏光板、15,17…透明電極層、19,203…液晶層、20…表示部、30…バックライト、40…制御部、41…バリア駆動部、42…バックライト駆動部、50…表示駆動部、51…タイミング制御部、52…ゲートドライバ、53…データドライバ、61,62,64…幹部分、63…枝部分、65…外縁部分、70,70B,70C,70D…サブ電極領域、71〜74,71B〜74B,71C〜74C,71D〜74D…枝領域、110,110B,110C,110D,120,120B,120C,120D,210,220…透明電極、201…駆動基板、202…画素電極、204…対向電極、205…対向基板、A,B…グループ、C…保持容量素子、CBL…バックライト制御信号、CBR…バリア制御信号、D…データ線、E1,E2…幅、G…ゲート線、LC…液晶素子、L…等電位面、M…液晶分子、Pix…画素、P1〜P6…画素情報、S,S1,SA,SB,SC,Sdisp…映像信号、Tr…TFT素子、θ,φ…角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示部と、
光を透過および遮断する、前記表示部の表示面内における垂直方向から傾いた第1の方向に延伸するように形成された複数の液晶バリアを有する液晶バリア部と
を備え、
前記液晶バリア部は、
液晶層と、
前記液晶バリアに対応する位置に、前記液晶層を挟むように構成された第1の電極および第2の電極と
を有し、
前記第1の電極は、
前記第1の方向に延伸する第1の幹部分と、
前記第1の幹部分の両側において、前記第1の幹部分に対して非線対称な方向にそれぞれ延伸する複数の枝部分と
を含む
表示装置。
【請求項2】
前記複数の枝部分は、前記第1の幹部分の両側において、前記垂直方向に対して線対称な方向にそれぞれ延伸している
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の枝部分は、前記第1の方向に沿って設けられた複数のサブ電極領域のそれぞれに設けられている
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の電極は、サブ電極領域ごとに、前記第1の幹部分と交差する第2の方向に延伸する第2の幹部分を有し、
前記複数の枝部分は、
前記第1の幹部分の片側において、前記第2の幹部分を挟んで配置された第1の枝領域および第2の枝領域と、
前記第1の幹部分に対して、前記第1の枝領域の反対側に配置された第3の枝領域と、
前記第1の幹部分に対して、前記第2の枝領域の反対側に配置された第4の枝領域
のそれぞれおいて、同じ方向に延伸している
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1から第4の枝領域における枝部分は、前記第1の幹部分および前記第2の幹部分の両方から遠ざかる方向に延伸している
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の枝領域における枝部分の延伸方向は、前記第4の枝領域における枝部分の延伸方向と互いに等しく、
前記第2の枝領域における枝部分の延伸方向は、前記第3の枝領域における枝部分の延伸方向と互いに等しい
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2の方向は、前記表示部の表示面内における水平方向に対応し、
各サブ電極領域において、
前記第1の枝領域における枝部分の延伸方向と前記第2の枝領域における枝部分の延伸方向とは、前記第2の幹部分に対して互いに線対称であり、
前記第3の枝領域における枝部分の延伸方向と前記第4の枝領域における枝部分の延伸方向とは、前記第2の幹部分に対して互いに線対称である
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2の方向は、前記表示部の表示面内における水平方向から傾いた方向に対応し、
各サブ電極部分において、
前記第1の枝領域における枝部分の延伸方向と前記第2の枝領域における枝部分の延伸方向とは、前記第2の幹部分に対して互いに非線対称であり、
前記第3の枝領域における枝部分の延伸方向と前記第4の枝領域における枝部分の延伸方向とは、前記第2の幹部分に対して互いに非線対称である
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1の電極の前記液晶層とは反対側に設けられ、前記表示部の表示面内における垂直方向および水平方向のうちの一方の方向に偏光した光を通過させる第1の偏光板と、
前記第2の電極の前記液晶層とは反対側に設けられ、前記垂直方向および前記水平方向のうちの他方の方向に偏光した光を通過させる第2の偏光板と
をさらに備え、
前記第1の枝領域における枝部分および前記第4の枝領域における枝部分は、前記水平方向から反時計まわりに45度傾いた方向に延伸し、
前記第2の枝領域における枝部分および前記第3の枝領域における枝部分は、前記水平方向から時計まわりに45度傾いた方向に延伸している
請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の枝部分は、
前記第1の幹部分に対して互いに反対側に配置された第1の枝領域および第2の枝領域 のそれぞれおいて同じ方向に延伸するとともに、枝領域間で異なる方向に延伸している
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1の電極の前記液晶層とは反対側に設けられ、前記表示部の表示面内における垂直方向および水平方向のうちの一方の方向に偏光した光を通過させる第1の偏光板と、
前記第2の電極の前記液晶層とは反対側に設けられ、前記垂直方向および前記水平方向のうちの他方の方向に偏光した光を通過させる第2の偏光板と
をさらに備え、
前記第1の枝領域における枝部分は、前記水平方向から反時計まわりに45度傾いた方向に延伸し、
前記第2の枝領域における枝部分は、前記水平方向から時計まわりに45度傾いた方向に延伸している
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、
前記複数の液晶バリアは、複数の第1の液晶バリアと、複数の第2の液晶バリアを有し、
前記3次元映像表示モードでは、前記表示部が複数の異なる視点映像を表示し、前記複数の第1の液晶バリアが透過状態になるとともに、前記複数の第2の液晶バリアが遮断状態になることにより、3次元映像を表示し、
前記2次元映像表示モードでは、前記表示部が1つの視点映像を表示し、前記複数の第1の液晶バリアおよび前記複数の第2の液晶バリアが透過状態になることにより、2次元映像を表示する
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項13】
前記複数の第1の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされ、
前記3次元映像表示モードでは、前記複数の第1の液晶バリアは、バリアグループごとに、時分割的に透過状態および遮断状態との間で切り換わる
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示部は液晶表示部であり、
バックライトをさらに備え、
前記液晶表示部は、前記バックライトと前記液晶バリア部との間に配置されている
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項15】
前記表示部は液晶表示部であり、
バックライトをさらに備え、
前記液晶バリア部は、前記バックライトと前記液晶表示部との間に配置されている
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項16】
映像を表示する表示部の表示面と離間するように配置された液晶層と、
前記液晶層を挟むように構成された第1の電極および第2の電極と
を備え、
前記第1の電極は、
前記表示部の表示面内における垂直方向から傾いた第1の方向に延伸するように形成された第1の幹部分と、
前記第1の幹部分の両側において、前記第1の幹部分に対して非線対称な方向にそれぞれ延伸する複数の枝部分と
を含む
液晶素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−163854(P2012−163854A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25324(P2011−25324)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】