説明

表示装置

【課題】 γ補正にソフトウエア制御を使用せず、ハードウエア的に複数種類のガンマ補正値を切換えることができる表示装置を提供すること。
【解決手段】 マトリクス状に配置された複数の表示画素、γ補正用基準電圧を発生する基準電圧発生回路、及び、前記基準電圧発生回路からのγ補正用基準電圧に応じて入力されたデジタル画像信号をD/A変換してγ補正されたアナログ階調信号を生成し、前記アナログ階調信号をそれぞれの表示画素に供給するD/Aコンバータを備えた表示装置において、前記基準電圧発生回路をそれぞれ異なるγ補正値に対応して複数個設けるて基準電圧発生回路部を形成するとともに、所定のγ補正値に対応した基準電圧発生回路の複数個のγ補正用基準電圧を同時に切り替え・選択して前記D/Aコンバータに供給するスイッチ手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、LED(発光ダイオード)表示装置等のγ補正手段を有する表示装置に関し、特に使用環境に応じて所定のγ補正値に切り替えることができるγ補正手段を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極線管(CRT、ブラウン管)においては、駆動電圧Vと発光輝度Yとの間の関係は比例関係ではなく、Y=KVγという関係式で表現される。この定数γをガンマ(gamma)と呼び、わが国のテレビジョン(TV)方式においては、あらかじめこの特性を考慮しγ=2.2として送信側で補正を行っている。送信側で元の信号に加えられたγ補正は、画像の明るさだけでなく赤・緑・青(RGB)の割合まで変えてしまうが、受信側ではそのγ補正された信号をCRTで表示すると、駆動電圧Vと発光強度Yとの関係が比例関係となって、元の色を再現できるようになっている。
【0003】
しかしながら、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、RGBの3原色のLEDを使用したLED表示装置等においては、駆動電圧と輝度ないし透過光量との間の関係はCRTの場合とは異なるので、TV受信機用の液晶表示装置、プラズマディスプレイあるいはLED表示装置においては受信側でγ補正を行ってCRTで表示した場合と同様の色が再現できるようにする必要がある。
【0004】
たとえば、液晶表示装置における液晶表示パネルの各液晶セルに印加される電圧Vと光の透過率Tとの関係、即ちV−T特性の一例を図3に示す。この場合、8ビット=256の階調表示ができる液晶表示装置とするために、印加電圧を均等に分割し、256階調の信号レベルとし、黒レベルの透過率を0、白レベルの透過率を100%として正規化するならば、図4に示すような信号レベル対透過率Tの関係となる。ここで、信号レベルの0は黒を、信号レベルの256は白を意味する。
【0005】
一方、人間の目が表示された画像に対して違和感なく自然に感じるのは、画像の信号レベルと輝度との関係が図5のTVモード曲線に示すような特性でなければならないことが知られている。この場合、信号レベルXと透過率Tの関係は、T∝Xγで表される。この定数γもガンマとよばれ、液晶表示パネルではγ=2.0〜2.6程度が良いといわれている。なお、図5のTVモード曲線はγ=2.2の場合の曲線を示す。
【0006】
したがって、図3及び図4の特性を有する液晶表示パネルを使用して、図5に示したTVモードの特性を持つ液晶表示装置とするためには、図4の特性を持つ液晶表示パネルの液晶セルにかける電圧として、図5に示したTVモードの出力と同一の輝度が得られる信号レベルに相当するアナログ電圧を液晶セルに印加すればよいことになる。
【0007】
最近の液晶表示パネルを使用したTV受信機のγ補正はソース信号を制御することで行っている(下記特許文献1及び2参照)。そこで、本発明の理解のために、以下において従来の液晶表示装置のγ補正について、図6〜図9を用いて説明する。なお、図6は従来の液晶表示装置の内部構成を示すブロックダイアグラムであり、図7は図6におけるソースドライバ回路の具体的なブロックダイアグラムであり、図8は図7のガンマ補正用の基準電圧生成回路及びアナログ/デジタル(A/D)変換回路の一具体例を示す図であり、また、図9は、液晶表示パネルに対して図5に示した理想出力と同一の曲線を得るための信号レベル対印加電圧の関係を示す図である。
【0008】
液晶表示装置10Bは、図6に示したように、A/D変換回路部11及び液晶駆動回路部12を備えている。A/D変換回路部11は、インタフェース(I/F)回路13、A/Dコンバータ14及びスケーラIC15を備えており、パーソナルコンピュータ(PC)16ないしTVチューナ等17のアナログRGB信号を生成する機器から入力されたアナログRGB信号(0.7Vp−p)は、A/D変換回路部11のI/F回路13を経てA/Dコンバータ14及びスケーラIC15によりたとえば赤、緑、青に対応するRGB各8ビットのデジタル信号に変換され、液晶駆動回路部12へ入力されるようになっている。また、PC16が直接デジタルRGB信号を生成するものであれば、このデジタルRGB信号は直接液晶駆動回路部12へ入力される。なお、アナログRGB信号を生成する機器は、TVチューナだけでなくビデオテープ再生機、DVD再生機等も存在するが、本願明細書においてはこれらのアナログRGB信号を生成する機器をまとめてTVチューナ等と表現する。
【0009】
一方、液晶駆動回路部12は、液晶表示パネル18、I/F回路19、タイミングコントローラ20、ゲートドライバ21及びソースドライバ22を備えており、液晶駆動回路へ入力された各種デジタルRGB信号は、I/F回路19を経て所定の入力ソースのものが選択されてタイミングコントローラ20へ入力され、タイミングコントローラ20は、デジタル化されたRGBの各8ビットの表示信号DR、DG、DBと水平同期信号HS、スタートパルスHSP信号及びソースドライバ用クロックSCLK信号等の制御信号をソースドライバ22へ出力するとともに、垂直同期信号VSやゲートドライバ用クロック信号GCLKをゲートドライバ21へ出力する。
【0010】
ソースドライバ22は、図7に示すように、8×3ビットラッチ23、シフトレジスタ24、サンプリングメモリ25、ホールドメモリ26、レベルシフタ27、D/Aコンバータ28、出力バッファ29、基準電圧発生回路30を備えている。
【0011】
タイミングコントローラ20からソースドライバ22へ入力されたデジタル化されたRGBの各8ビットの表示信号DR、DG、DBは、ラッチ23において時分割で内部にラッチされ、サンプリングメモリ25、ホールドメモリ26、レベルシフタ27を経て、水平同期信号HSに同期して基準電圧発生回路30からの基準電圧を基にD/Aコンバータ28によりD/A変換を行うことにより階調表示用のアナログ電圧(階調表示電圧)を発生し、出力バッファ29を経て液晶表示パネル18のY〜Yからなるn本の信号線31に供給される。また、タイミングコントローラ20からゲートドライバ21へ供給された垂直同期信号VSやゲートドライバ用クロック信号GCLKは、ゲートドライバ21により処理されて走査信号を液晶表示パネル18のX〜Xからなるm本の走査線32に供給する。なお、これらソースドライバ22及びゲートドライバ21内の具体的な信号処理に関しては、既に周知(下記特許文献1及び2参照)であるので、その詳細な説明は省略する。
【0012】
このようにして、ソースドライバ22において、液晶表示パネル18の信号線31に印加する階調表示用電圧をアナログ電圧に変換することにより、液晶表示パネル18の光透過率をRGBの各画素に対して8ビット、すなわち256段階の階調表示を実現している。
【0013】
この場合、基準電圧発生回路30からの基準電圧を基にD/Aコンバータ28により階調表示用のアナログ電圧を得る際に所定のγ補正が行われるが、その基準電圧発生回路30及びD/Aコンバータ28の一具体例を図8を用いて説明する。
【0014】
D/Aコンバータ28は、表示信号DR、DG、DBがそれぞれ8ビットのデジタル信号である場合、2=256とおりのアナログ電圧を発生する回路である。基準電圧発生回路30自体は、たとえば8本の抵抗R〜Rが直列に接続された抵抗分割回路によって図示しない定電圧源から供給されている一定の電圧VRを8分割し、図5に示した理想出力曲線画が得られるように任意に選択した8個の基準電圧VR〜VR(VRも含めると9個)を得、このVR〜VRをD/Aコンバータ28に供給する。なお、RVARは基準電圧微調整用の半固定抵抗である。この基準電圧発生回路30自体で生成する基準電圧は複数個であれば任意であるが、あまり数が少ないと補正間隔が粗くなるため、通常6個以上、特に高精度補正の場合には8個以上が使用されている。
【0015】
そして、D/Aコンバータ28内では、基準電圧発生回路30から供給された9個の基準電圧V〜Vを基に、隣り合う各基準電圧間の電圧を等間隔にそれぞれ32分割して32×8=256個の参照基準電圧V〜V255を作成する。この場合、基準電圧発生回路30は一つのソースドライバ用ICに一つ設けられて共有され、D/Aコンバータ28はソースドライバICの各信号線31ごとに設けられる。
【0016】
そして、A/Dコンバータ28内において、この256個の参照基準電圧V〜V255のうちからラッチ23、サンプリングメモリ25、ホールドメモリ26及びレベルシフタ27を経て供給された表示信号DR、DG、DBのそれぞれのデジタル信号に対応する参照基準電圧が一つ選択されてアナログ階調出力値として出力され、液晶表示パネル18のY〜Yからなるn本の信号線31に供給されるようになっている。
【0017】
このように、階調表示用アナログ電圧に相当する参照基準電圧V〜V255は基準電圧発生回路30における8本の抵抗R〜Rの抵抗比によって決まることになから、D/Aコンバータ28によりγ補正された階調表示用のアナログ電圧を得る際には、図9に示したような信号レベル対印加電圧の関係が得られるように、基準電圧発生回路30にて一定の電圧VRを非等分に分割して基準電圧VR〜VRを発生させる方法が一般的に行われている。
【特許文献1】特開2002−175060号公報(段落[0002]〜[0039]、図9、図13、図17)
【特許文献2】特開2002−250908号公報(段落[0002]〜[0004]、[0011]〜[0019]、図13〜図15、図17)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、たとえばTV量販店では画面表示の鮮やかさを強調するためにダイナミックモードで映像を表示させているが、家庭ではノーマルなTVモードで映像を表示させるのが一般的である。また、PCやカーナビゲーション等の画像はダイナミックレンジが大きく、コントラストの高い信号が多いため、γ=2.5程度のγ補正で使用されているが、特にシネマ等の映像信号については中間調信号成分が多いため、γ=2.2ないしそれ以下のγ補正となせば自然な色調で表示することが可能となる。したがって、たとえばPCのディスプレイ用に適したγ補正がなされている液晶表示装置でTV等の映像を表示させると若干暗い映像となってしまう。そのため、表示すべき映像ソースごとあるいは必要とする表示効果に応じてγ補正を変えることが要望されている。
【0019】
従来は、前述のγ補正は所定の一定値に固定され、コントラストの制御や色のシフトをソフトウエアで対応しており、たとえばTV用に適したγ補正がなされている液晶表示装置においては、TVの映像信号をダイナミックモードの表示画面とする場合やシネマモードの表示画面とする場合も全てソフト制御となっていた。しかしながら、このようなソフト制御では制御用のメモリが計算処理が必要であり、構成が複雑となり、またコストも高くなってしまう。
【0020】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、その目的は、γ補正にソフトウエア制御を使用せず、ハードウエア的に複数種類のガンマ補正値を切換えることができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、本願の請求項1に係る表示装置は、マトリクス状に配置された複数の表示画素、γ補正用基準電圧を発生する基準電圧発生回路、及び、前記基準電圧発生回路からのγ補正用基準電圧に応じて入力されたデジタル画像信号をD/A変換してγ補正されたアナログ階調信号を生成し、前記アナログ階調信号をそれぞれの表示画素に供給するD/Aコンバータを備えた表示装置において、前記基準電圧発生回路をそれぞれ異なるγ補正値に対応して複数個設けるて基準電圧発生回路部を形成するとともに、所定のγ補正値に対応した基準電圧発生回路の複数個のγ補正用基準電圧を同時に切り替え・選択して前記D/Aコンバータに供給するスイッチ手段を設けたことを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の表示装置において、前記基準電圧発生回路は、所定の基準電圧を抵抗分圧回路によって複数個のγ補正電圧に分圧したものであることを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項3に係る発明は、前記請求項1に記載の表示装置において、前記スイッチ手段がアナログスイッチであることを特徴とする。
【0024】
さらに、本願の請求項4に係る発明は、前記請求項1に記載の表示装置において、前記基準電圧発生回路は少なくとも2個設けられ、それぞれの基準電圧発生回路で発生させる複数個のγ補正用基準電圧の組み合わせは、PCモード、ダイナミックモード、TVモード、シネマモードから選択された少なくとも2つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上記のような構成を備えることにより、以下のような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1に係る発明によれば、表示装置のγ補正値の切り替えに際し、直接スイッチ手段により切り替えることができるため、従来技術のようのようなソフト制御によるγ補正では必要であった複雑な制御用のメモリや計算手段が不要となり、簡単な構成で安価にγ補正値の切り替えができる表示装置を提供することができるようになり、加えて、D/Aコンバータに入力される複数のγ補正用基準電圧を直接切り替えているため、簡単に色味を変化させることができるばかりか、色の再現性が良好となる。
【0026】
また、請求項2の発明によれば、抵抗分圧回路は組み合わせる抵抗値を任意に選択できるため、所望の複数のγ補正用基準電圧の組み合わせを容易に発生させることができる。
【0027】
また、請求項3の発明によれば、アナログスイッチは小型でありながら容易に多段かつ多接点のスイッチを得ることができるため、配線構造を複雑化することなく、所望のγ補正値に対応した複数のγ補正用基準電圧を同時に選択・切り替えすることができるようになる。
【0028】
さらに、請求項4の発明によれば、必要に応じてPCモード、ダイナミックモード、ノーマルなTVモード、シネマモードなど、それぞれの入力画像信号に対応した最適なγ補正値を切り替え・選択することができるので、人の目に自然に見える画像表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図1及び図2を参照にして本発明の実施例を説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための表示装置として液晶表示装置の例を説明するものであるが、本発明は液晶表示装置のみでなく、マトリクス状に配置された複数の表示画素を有する表示装置、たとえばプラズマディスプレイパネル、LED表示装置等に対して等しく適用できるものである。
【0030】
なお、図1は、本実施例の液晶表示装置の内部構成を示すブロックダイアグラムであり、図2は図1のソースドライバ回路における基準電圧生成回路及びA/D変換回路の一具体例を示す図であり、図1及び図2においては、図3〜図6に示した従来例の液晶表示パネル10Bと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略することとする。
【0031】
本実施例における液晶表示装置10Aが図6に示した従来の液晶表示装置10Bと構成が相違している点は、ソースドライバ22がγ補正切換端子33を有しており、このγ補正切換端子33に入力されたγ補正切換入力に応じてソースドライバ22のD/Aコンバータ28に入力される複数個のγ補正用基準電圧VR〜VRの組み合わせを全て所定のγ補正値用のものに切り替えることができるようになっている点である。
【0032】
本実施例のソースドライバ22における基準電圧発生回路部34の具体的構成及びD/Aコンバータ28との接続関係を図2を用いて説明する。本実施例の基準電圧発生回路部34は、たとえば3個の異なるγ補正値にそれぞれ対応した複数個のγ補正用基準電圧の組合せを生成する第1基準電圧発生回路34-1、第2基準電圧発生回路34-2、第3基準電圧発生回路34-3と、これらの基準電圧発生回路34-1〜34-3からの3組のγ補正用基準電圧の組合せから任意の一組の基準電圧の組合せVR〜VRを選択してD/Aコンバータ28に送出するγ補正電圧切換回路35を備えている。
【0033】
第1基準電圧発生回路34-1、第2基準電圧発生回路34-2及び第3基準電圧発生回路34-3は、たとえばそれぞれ8本の抵抗R01〜R71、R02〜R72、及びR03〜R73による抵抗分圧回路からなり、それぞれの分圧抵抗R71、R72及びR73の一方の端部は並列に接続されて基準電圧微調整用半固定抵抗VVARを介して図示しない定電圧源から供給され一定の電圧VRが印加されている。これらの抵抗R01〜R71、R02〜R72、及びR03〜R73の組合せは、それぞれ所定のγ補正値に対応した基準電圧の組合せが得られるように選択されている。
【0034】
また、各基準電圧発生回路34-1〜34-3のそれぞれの8本の抵抗による組み合わせは、一般的には並列に接続する場合を示したが、各基準電圧回路中のある特定の抵抗をそれぞれ選択し、VR〜VRのうちどれかを選択する方法もある。
【0035】
この場合のγ補正値としては、たとえば、PCモード、ダイナミックモード、ノーマルなTVモード、シネマモードなど、それぞれの入力画像信号に応じた最適な数値を適宜選択し得る。
【0036】
そして、それぞれの抵抗の分圧点はそれぞれ平行にγ補正電圧切換回路35のたとえば8回路3接点のアナログスイッチSW〜SWの固定端子に接続されており、このγ補正電圧切換回路35のγ補正入力切換端子33に入力されたγ補正切換入力信号に基いて所定のγ補正値に対応する一組の基準電圧の組合せVR〜VRを選択してD/Aコンバータ28に送出する。
【0037】
なお、図2においては、第1基準電圧発生回路34-1において生成したγ補正用基準電圧の組合せを選択してD/Aコンバータ28に送出するようになした例を示した。また、図2においては、アナログスイッチSW〜SWの選択出力部にそれぞれバッファ回路が接続されているが、これは基準電圧発生回路部34の出力インピーダンスを下げて十分な出力電流を供給することができるようにするためであり、D/Aコンバータ28の入力インピーダンスが基準電圧発生回路部34の出力インピーダンスに比して十分に大きければ省略することができる。
【0038】
このようにして、γ補正切換端子33に入力されたγ補正切換入力により予め設定された所定のγ補正値に所定のγ補正値に対応する一組の基準電圧の組合せVR〜VRを選択してD/Aコンバータ28に送出するようにしたので、液晶表示パネル18のY〜Yからなるn本の信号線31には選択された所定のガンマ補正がなされたアナログ階調出力値が供給されるので、所望の色調の画像を表示させることができるようになる。この場合、アナログスイッチSW〜SWにより直接所望のγ補正値に対応する一組の基準電圧の組合せVR〜VRを選択しているため、簡単に色味を変化させることができ、しかも、色の再現性が良好となる。
【0039】
なお、本実施例においては、第1〜第3基準電圧発生回路34-1〜34-3をそれぞれ8本の抵抗による抵抗分圧回路としたものを示したが、より高精度にγ補正したい場合には、より多くの抵抗を用いてより多くのガンマ補正用基準電圧を作成すればよい。さらに、本実施例においては、第1〜第3基準電圧発生回路34-1〜34-3の3個の基準電圧発生回路を使用した例を示したが、この基準電圧発生回路の数は2個以上であれば任意であり、当業者が適宜に定めればよい。
【0040】
また、本実施例では、基準電圧発生回路部34として一方の極性の基準電圧を発生するものを例示したが、一般に液晶表示パネルの駆動方式としては液晶セルの分極を防止するために交流駆動を行うものがあるが、このような場合、基準電圧発生回路部34として正負両極性の出力を発生するものを採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例の液晶表示装置の内部構成を示すブロックダイアグラムである。
【図2】図1のソースドライバ回路における基準電圧生成回路及びA/D変換回路の一具体例を示す図である。
【図3】液晶表示装置における液晶表示パネルの各液晶セルに印加される電圧Vと光の透過率Tとの関係を示す図である。
【図4】図3の曲線を黒レベルの透過率を0、白レベルの透過率を100%として正規化した信号レベル対透過率Tの関係を示す図である。
【図5】各種モードの画像の信号レベルと輝度との関係を示す図である。
【図6】従来の液晶表示装置の内部構成を示すブロックダイアグラムである。
【図7】図6におけるソースドライバ回路の具体的なブロックダイアグラムである。
【図8】図7の基準電圧生成回路及びA/D変換回路の一具体例を示す図である。
【図9】液晶表示パネルに対して図5に示した理想出力と同一の曲線を得るための信号レベル対印加電圧の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
10A、10B 液晶表示装置
11 A/D変換回路部
12 液晶駆動回路部
18 液晶表示パネル
20 タイミングコントローラ
21 ゲートドライバ
22 ソースドライバ
23 ラッチ
24 シフトレジスタ
25 サンプリングメモリ
28 D/Aコンバータ
30 基準電圧発生回路
31 信号線
32 走査線
33 γ補正切換端子
34 基準電圧発生回路部
34-1〜34-3 基準電圧発生回路
35 γ補正電圧切換回路
VR〜VR 基準電圧
〜V255 参照基準電圧
SW〜SW アナログスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の表示画素、γ補正用基準電圧を発生する基準電圧発生回路、及び、前記基準電圧発生回路からのγ補正用基準電圧に応じて入力されたデジタル画像信号をD/A変換してγ補正されたアナログ階調信号を生成し、前記アナログ階調信号をそれぞれの表示画素に供給するD/Aコンバータを備えた表示装置において、前記基準電圧発生回路をそれぞれ異なるγ補正値に対応して複数個設けて基準電圧発生回路部を形成するとともに、所定のγ補正値に対応した基準電圧発生回路の複数個のγ補正用基準電圧を同時に切り替え・選択して前記D/Aコンバータに供給するスイッチ手段を設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記基準電圧発生回路は、所定の基準電圧を抵抗分圧回路によって複数個のγ補正電圧に分圧したものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記スイッチ手段がアナログスイッチであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記基準電圧発生回路は少なくとも2個設けられ、それぞれの基準電圧発生回路で発生させる複数個のγ補正用基準電圧の組み合わせは、PCモード、ダイナミックモード、TVモード、シネマモードから選択された少なくとも2つであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−98422(P2006−98422A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280758(P2004−280758)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】