説明

表示装置

【課題】簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置を提供する。
【解決手段】映像投影部115と位置検出部210と制御部250とを備えた表示装置を提供する。映像投影部115は、表示オブジェクトを有する映像を含む光束112を観視者の片目に向けて投影する。位置検出部210は、前記観視者の位置と、前記光束と共に前記観視者に向けて投影されたマーカ光450の位置と、を検出する。制御部250は、前記位置検出部によって検出された前記観視者の位置と前記マーカ光の位置とに基づいて、前記映像投影部を制御することにより、前記光束の投影位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一例としてヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display:HUD)がある。HUDは、例えば車両用の表示装置や航空機のコックピット用の表示装置として用いられ、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの画像形成装置により形成された表示映像を、フロントガラス等に設けられるハーフミラー等のコンバイナ(半透過反射体)に反射させて、車両や航空機を操縦する観視者に与える。HUDは、コンバイナで反射して観視者に到る表示映像と、コンバイナを透過して観察者に到る外界映像と、を重畳させて観視者に与える。その結果、観視者は表示映像と外界映像とを同時に見ることが可能であり、自然で見易い映像を提供できる。
【0003】
通常のHUDの場合、HUDの表示は両眼で観視される。HUDによって表示される表示映像の奥行き位置は、光学的な虚像位置であり、多くの場合操縦者から2〜3m先の位置に設定される。従って、両眼視のHUDの場合、操縦者が操縦中に遠方を見ながらHUDの表示を同時に見ようとすると、HUDの表示映像は2重像となって認識されるため、見にくい。逆に、HUDの表示映像を見ようとすると、両眼視差によって表示像は2〜3m先に認識されるために、背景の遠方を同時に認識することが不可能である。
【0004】
さらに、HUDにおいては、表示映像は、所定の厚みを有するフロントガラス等のコンバイナで反射して観視者に投影されるので、この映像を両眼で見ると二重像(パララックス)が発生し、表示が見難くなる。
【0005】
このような両眼視差に起因した見難さを解決するために、片目で表示像を観察する単眼視HUDが提案されている。また、上記の二重像を防止する目的で、片目のみに表示像を呈示する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この時、表示映像は片目のみに呈示されるため、映像を含む光束は、観視者の片目の位置に精度良く制御されて投影されることが必要である。
【0007】
物体の位置を計測手法として、被計測物にレーザ光を照射して得られるスペックルパターンを検出する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、レーザ光を人間の目に向けて照射するのは例えばFDAやJIS、IEC等において規制や規定が定められており、設計に制限がある。
【0008】
一方、コンベアに載置されたワーク(物品)に対するトラッキングにおいて、エンコーダパルスの信号を用いる手法がある(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この手法は、コンベアとワークとの間のずれに対しては効果がなく、制御する位置精度の点で改善の余地がある。
【0009】
このように、従来の技術では、観視者の片目を精度良く検出することが難しく、観視者の片目に簡便で精度良く映像を呈示できる技術は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−228172号公報
【特許文献2】特開平9−49705号公報
【特許文献3】特開2000−263475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、表示オブジェクトを有する映像を含む光束を観視者の片目に向けて投影する映像投影部と、前記観視者の位置と、前記光束と供に前記観視者に向けて投影されたマーカ光の位置と、を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された前記観視者の位置と前記マーカ光の位置とに基づいて、前記映像投影部を制御することにより、前記光束の投影位置を調整する制御部と、を備えたことを特徴とする表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡便で高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る表示装置の要部の構成及び動作を例示する模式図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る表示装置の要部の構成及び動作を例示する模式図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係る表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
【図10】本発明の第5の実施例に係る表示装置の要部の構成及び動作を例示する模式図である。
【図11】本発明の第6の実施例に係る表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の距離、大きさ、厚み及び幅の相互の関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
【0017】
図1に表したように、本発明の第1の実施形態に係る表示装置11は、映像投影部115と位置検出部210と制御部250とを備える。
【0018】
表示装置11は、片目で見る表示装置であり、任意の用途に用いることができるが、以下では、車載用のHUDとして用いる場合について説明する。
すなわち、表示装置11は、車両730(移動体)に搭載される。
車両730は、表示装置11が呈示する映像を観視する観視者100が搭乗する自動車、二輪車、列車及び航空機等の各種の移動体である。観視者100は、車両730に搭乗するヒトであり、例えば車両730を操縦する操縦者(運転者)とすることができる。
【0019】
表示装置11は、例えば車両730の中、すなわち、例えば、観視者100から見て車両730のダッシュボード720の奥に設けられる。
【0020】
映像投影部115は、表示オブジェクト180を有する映像を含む光束112を観視者100の片目101に向けて投影する。
【0021】
表示オブジェクト180とは、表示装置11が観視者100に呈示する映像に設けられるものであり、例えば、表示装置11が搭載される車両730の運行情報に関する各種の像である。表示オブジェクト180は、例えば、車両730の進路を示す矢印、注意及び警告等の表示内容である。また、表示オブジェクト180は、例えば、車両730の外界の任意の場所の番地等の位置情報、及び、道路の名称や周辺の建物等の名称情報等の任意の外界情報を含むことができる。さらに、表示オブジェクト180は、例えば、車両730の現在位置や速度や燃料等の任意の車両情報を含むことができる。
【0022】
映像投影部115は、例えば、映像生成部130と映像形成部110と投影部120とを有する。
【0023】
映像生成部130は、表示オブジェクト180を含む映像に対応する映像信号を生成し、映像形成部110に供給する。
【0024】
映像形成部110は、供給された映像信号に基づいて、映像形成部110の画面に映像を形成する。
映像形成部110としては、例えば、液晶表示装置(LCD)やDMD(Digital Micromirror Device)、及び、MEMS(Micro-electro-mechanical System)等の各種光スイッチを用いることができる。また、映像形成部110には、レーザプロジェクタやLED(Light Emitting Diode)プロジェクタなどを用いることもでき、その場合は、レーザビームやLEDからの光により映像を形成する。以下では、映像形成部110としてLCDを用いる例として説明する。
【0025】
投影部120は、映像形成部110で形成された映像を観視者100の片目101に投影する。
投影部120は、例えば、光源121とアパーチャ124とミラー126とを含む。光源121から出射した光は、映像形成部110に入射し、映像形成部110で形成された映像に基づいて変調された光束112となる。そして、アパーチャ124によって光束112の形状は整形され、光束112は、ミラー126を経て車両730の例えばフロントガラス710(ウインドシールド、透明板)に向けて出射する。この時、投影部120の図示しない各種の光学部品によって光束112の発散角(拡散角)が制御される。
【0026】
光束112は、例えばフロントガラス710に設けられる反射体711により反射され、観視者100の片目101に投影される。そして観視者100は、反射体711を介して、虚像形成位置181aの位置に形成された虚像181を知覚する。反射体711は、透光性と反射性の両方を有するように設計され、観視者100は、外界の背景と、光束112に含まれる表示オブジェクト180を有する映像と、を同時に見ることができる。このように、表示装置11は、HUDとして使用できる。
【0027】
観視者100の位置における光束112の投影領域114(すなわち、投影位置及び投影範囲)は、観視者100が片目101で映像を観視できるように制御される。例えば、観視者100の両眼の間隔は平均6cmであるので、観視者100の頭部105上における光束112の投影領域114の左右方向の幅は6cm程度に制御され、片目101に光束112が投影される。なお、映像の見易さから、観視者100の優位眼に映像を投影することが望ましく、片目101としては優位眼が用いられることが望ましい。また、投影領域114の投影位置及び投影範囲は、映像投影部115に用いられる光学部品(アパーチャ124を含む)を後述する制御部250によって制御することで、制御される。
【0028】
図2は、表示装置11の映像投影部115の映像形成部110及び投影部120の構成を例示している。
図2に表したように、光源121と映像形成部110との間にライトガイド122が設けられ、光源121からの光源光が映像形成部110に導入される。映像形成部110の光出射側には、リレーレンズ123、凹レンズ125及びミラー126がこの順に設けられる。リレーレンズ123は、光の進む方向に順に配置された第1〜第4レンズ123a〜123dを有し、第2レンズ123bと第3レンズ123cとの間にアパーチャ124が設けられている。本具体例では、光源121、ライトガイド122、リレーレンズ123、凹レンズ125及びミラー126が、投影部126に含まれる。
【0029】
光源121から出射した光源光は、映像形成部110によって映像を含む光束112となり、光束112は、リレーレンズ123、アパーチャ124、凹レンズ125及びミラー126を経て、観視者100に投影される。
【0030】
そして、映像形成部110の近傍に、後述するマーカ光放射部410が設けられ、マーカ光放射部410から放射されたマーカ光450も、光束112と供に、観視者100に投影される。
【0031】
光源121には、LEDや高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザなど各種のものを用いることができる。また、リレーレンズ123及び凹レンズ125は、任意の構成を有することができる。さらに、ミラー126には、例えばパワーを有する凹面鏡を用いることができ、映像を所定の比率で拡大または縮小できる。なお、投影部120には、例えば、非球面フレネルレンズ等を設け、フロントガラス710の形状に合わせて光束112の形(断面形状など)を制御できるように設計することもできる。なお、本具体例は、投影部120と映像形成部110の構成の一例であり、映像を含む光束112を観視者100に投影できる構成であれば、投影部120及び映像形成部110には任意の構成を使用できる。
【0032】
一方、図1に例示した位置検出部210は、車両730に搭乗する観視者100の位置と、マーカ光450の位置と、を検出する。観視者100の位置としては、例えば観視者100の片目101の位置が採用される。
【0033】
マーカ光450は、光束112と供に観視者100に向けて投影される。すなわち、マーカ光450は、光束112に対して予め定められた空間的な関係を有する。例えば、マーカ光450の進行方向は、光束112の進行方向に対応している。すなわち、マーカ光450は、観視者100の位置における光束112の投影領域114に対して予め定められた空間的な関係を有する。例えば、観視者100の位置における光束112の投影領域114の位置とマーカ光450の投影位置とは対応している。
【0034】
従って、マーカ光450は、光束112の投影領域114の境界の、空間内での位置(投影位置)を示すことができる。
例えば、マーカ光450の光源としては、光束112の光路中または光路の近傍に付設されたマーカ光放射部410(第1マーカ光生成部)が用いられる。マーカ光放射部410には、例えば赤外発光LED等を用いることができる。
【0035】
マーカ光450は、光束112の投影位置及び投影範囲と対応するように設計される。例えば、マーカ光放射部410は、映像形成部110の表示画面のアクティブエリアの境界近傍に設けることができる。また、マーカ光放射部410は、投影領域114の形状を決めるアパーチャ等の開口部の境界部分に設けることができる。これにより、マーカ光放射部410から出射したマーカ光450は、投影部120の光学系によって、映像を含む光束112と供に観視者100の頭部105に投影され、光束112の投影領域114に対応する。このように、マーカ光450は、映像投影部115から観視者100に向けて投影されることによって、マーカ光450は、光束112の投影領域114を示すことができる。
【0036】
マーカ光450には、光束112に含まれる映像の内容の視認を妨げないように、映像に用いられる光束112の波長とは異なる光を用いることが望ましい。映像を含む光束112には可視光が用いられるので、マーカ光450には、可視光以外の任意の波長の光を用いることができるが、観視者100への負担の観点からマーカ光450には赤外光を用いることが望ましい。以下では、マーカ光450として赤外光を用いる場合として説明する。
【0037】
なお、マーカ光450は、映像を含む光束112とは別として記載するが、マーカ光450は、映像を含む光束112の投影領域114を示すものであれば光束112に含まれても良い。以下では、説明を簡単にするために、マーカ光450は、映像を含む光束112とは別の光源から放射された光である場合として説明する。
【0038】
位置検出部210は、例えば、観視者100及びマーカ光450を撮像する撮像部211と、撮像部211によって撮像された撮像画像を画像処理する画像処理部212と、画像処理部212で画像処理されたデータに基づいて、観視者100の片目101の位置を判断し、検出する演算部213と、を含むことができる。
演算部213においては、例えば、特許第3279913号公報などに記載されている人物認証に関する技術を用いて、観視者100の顔認識と顔部品としての眼球位置を算出し、観視者100の映像を投影すべき片目101の位置を判断して検出する。
【0039】
また、演算部213は、マーカ光450の位置を判断して検出する。ただし、マーカ光450の位置は、画像処理部212によって画像処理された撮像画像のデータから直接求めても良い。以下では、マーカ光450も、演算部213によって求められる場合として説明する。
【0040】
なお、撮像部211は、例えば、車両730の運転席の前方や側方に配置され、例えば、操縦者である観視者100の顔面の像を撮像し、これを用いて上記のように、観視者100の片目101及びマーカ光450の位置を検出できる。
【0041】
また、撮像部211は、映像投影部115に含まれる各種の光学部品(例えばミラー等)から得られる光を分離して、観視者100の顔面の像を間接的に撮像しても良い。この場合は、撮像部211は、映像投影部115に付設される。以下では、撮像部211が、車両730の運転席の前方や側方に配置され、例えば、操縦者である観視者100の顔面の像を直接撮像する場合として説明する。
【0042】
なお、必要に応じて、観視者100の顔面を照明する照明装置214をさらに設けても良い。昼間のように周囲が明るい場合は、周囲の光(例えば太陽光)が顔面において反射した光を撮像できる。そして、夜間のように周囲が暗い場合は、照明装置214によって顔面を照明し、この照明光が顔面において反射した光を撮像できる。この時、映像の観視の邪魔にならないように、この照明光は例えば赤外光を用いることが望ましい。また、表示装置11が、車載用のHUD以外の用途である場合において、例えば表示装置11が用いられる環境が一定の明るさを有する場所であるならば、上記の照明装置214は省略できる。
【0043】
以下では、一例として、赤外光を発光する例えばLEDからなる照明装置214が車両730の室内、特に操縦席の前方に設けられる場合として説明する。照明装置214は撮像部211に付属させることができる。なお、この照明装置214は、周囲の明るさの環境に関係なく常時発光しても良く、また、周囲の明るさに応じて発光と非発光とを切り換えるようにしても良い。この照明装置214の明るさは、例えば太陽光に含まれる赤外線の強度と同程度かそれよりも弱く設定され得る。
【0044】
一方、マーカ光450の強度は、例えば太陽光よりも強く、そして、上記の照明光よりも強く設定されることが望ましい。これにより、マーカ光450は、太陽光や上記の照明光に埋もれることなく、位置検出部210によって精度良く検出できる。もし、マーカ光450の強度が、太陽光や上記の照明光よりも弱い場合は、マーカ光450と太陽光及び照明光との区別がつき難くなり、マーカ光450の検出が難しくなる。
【0045】
一方、制御部250は、位置検出部210によって検出された観視者100の位置とマーカ光450の位置とに基づいて、映像投影部115を制御することにより、光束112の投影位置を調整する。位置検出部210によって検出された観視者100の位置としては、例えば、位置検出部210によって検出された観視者100の片目101の位置が採用される。すなわち、片目101の位置とマーカ光450の位置との相対的な差に基づいて、光束112の投影位置を調整する。
【0046】
例えば、映像投影部115の投影部120に用いられるミラー126の角度を、制御部250の駆動部260によって調整する。これにより、光束112の投影位置を調整する。なお、駆動部260は制御部250の内部に設けても良く、制御部250とは別に設けても良い。
また、制御部250は、例えば、投影部120に用いられる各種の光学部品を制御して、光束112の投影範囲を制御しても良い。
【0047】
このように、制御部250は、光束112の投影領域114の境界の空間的な位置を、片目101の位置及びマーカ光450の位置の検出結果に基づいて制御する。具体的には、光束112の投影領域114の範囲内に片目101が入るように、投影領域114の境界の空間的な位置を制御する。
【0048】
多くの場合には、光束112の投影領域114の中に片目101が位置するように、投影領域114の位置が制御される。ただし、光束112の投影領域114の投影範囲を変化させて、投影領域114の中に片目101が位置するようにしても良い。この場合も、光束112の投影領域114の境界の位置が変化しており、ここでは、光束112の投影範囲を変える場合も、光束112の投影位置を調整することに含める。
【0049】
なお、制御部250は、例えば、映像形成部110を制御して映像の輝度やコントラストなどを調整しても良い。
【0050】
これにより、観視者100の頭部105が動いた際にも、それに追従して、映像の呈示領域(投影領域114である投影位置及び投影範囲の少なくともいずれか)を制御することが可能となり、観視者100の頭部105の移動による映像呈示位置からの外れがなくなり、実用的な観視範囲を広くすることが可能になる。
【0051】
この時、本実施形態に係る表示装置11においては、位置検出部210において、片目101の位置と供に、光束112の投影領域114を示すマーカ光450を検出するので、片目101と投影領域114との位置の検出精度が高い。
【0052】
例えば、マーカ光450を用いない比較例の場合は、片目101の位置のみが検出され、光束112が実際に投影されている投影領域114の位置は検出されない。このため、片目101の位置がたとえ精度良く検出されたとしても、光束112の投影領域114と片目101との相対的な位置とで、ずれが発生する可能性がある。また、比較例の場合には、例えば位置検出部210や映像投影部115の光学軸がずれた場合には、片目101の検出位置と投影領域114との相対的な位置ずれが発生し、さらに精度が劣化する。また、誤差が累積し、次第に位置の検出精度が劣化する可能性がある。
【0053】
これに対し、本実施形態に係る表示装置11では、位置検出部210で片目101の位置とマーカ光450とを検出し、これらの相対的な位置の差を用いて投影領域114(投影領域114の位置)を制御できるので、投影領域114と片目101との相対的な位置の検出精度が高い。そして、位置検出部210や映像投影部115の光学軸がずれた場合でも、片目101の位置と投影領域114の位置とを相対的に検出できる。そして、累積誤差が生じない。このため、高い精度が維持できる。これにより、簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置が提供できる。
【0054】
上記において、位置検出部210は、片目101の位置とマーカ光450の位置とを検出できれば、位置検出部210の構成は任意である。例えば、位置検出部210は、片目101の位置を検出する検出器(例えば撮像部)と、マーカ光450の位置とを検出する検出器(例えば撮像部)と、を別に有しても良い。ただし、これらの検出器を別に設けた場合、これらの検出器の例えば光学軸にずれなどがあった場合に精度が劣化するので、位置検出部210においては、片目101の位置及びマーカ光450の位置を同一の光学系で検出することが望ましい。本具体例では、位置検出部210には、1つの撮像部211が用いられる。1つの撮像部211によって片目101及びマーカ光450を撮像できるので、高い精度が実現できる。
【0055】
片目101及びマーカ光450のそれぞれ検出の精度を向上するために、片目101の検出のための光と、マーカ光450の光と、を別の光とすることが望ましい。
【0056】
本実施形態の表示装置11においては、片目101の検出のための光とマーカ光450との空間的な配置が変えられる。
【0057】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)は、片目101の検出のための光とマーカ光450とで、空間的な配置を変える時の動作を例示している。同図(b)〜(e)は、映像を含む光束112の投影領域114及びマーカ光450の投影領域(マーカ光投影領域454)の異なる配置を例示している。なお、同図(b)〜(e)は見やすさのために、投影領域114及びマーカ光投影領域454の位置をずらして図示している。
【0058】
図3(a)に表したように、片目101の検出のための光とマーカ光450とで空間的な配置を変える場合には、例えば、映像を含む光束112の投影領域114の外側にマーカ光450の投影領域(マーカ光投影領域454)が配置される。これにより、片目101に光束112が投影されている場合に、片目101の位置とは別の位置にマーカ光450が投影される。これにより、片目101の位置を、例えば撮像部211の撮像画像を画像処理して演算部213によって検出することが容易となる。一方、マーカ光450は、片目101の位置とは異なった位置に配置されているので、マーカ光450の検出も容易となる。
【0059】
もし、片目101の位置とマーカ光450の位置が実質的に重なった場合には、片目101及びマーカ光450の検出精度が比較的低くなるが、このように、片目101の検出のための光とマーカ光450とで空間的な配置を変えることで、検出が容易となり、検出精度が向上する。
【0060】
すなわち、映像を含む光束112が投影される投影領域114と、マーカ光450が投影されるマーカ光投影領域454と、が互いに異なるようにすることができる。すなわち、観視者100の位置において、映像を含む光束112の投影領域114と、マーカ光450の投影領域(マーカ光投影領域454)と、は互いに異なることが望ましい。特に、観視者100の位置において、映像を含む光束112が投影される投影領域114は、マーカ光450が投影される領域(すなわち、マーカ光投影領域454)以外の領域を有することが望ましい。
これにより、マーカ光投影領域454と、映像を含む光束112が投影される投影領域114と、を空間的に分離して、片目101とマーカ光450とを精度良く検出できる。
【0061】
例えば、図3(b)及び(c)に表したように、映像を含む光束112が投影される投影領域114と、マーカ光投影領域454と、が互いに重ならないようにすることができる。すなわち、図3(b)の例では、投影領域114の外部において、投影領域114の図面中の上部と下部とに、マーカ光投影領域454が設けられている。また、図3(c)の例では、投影領域114の外部において、投影領域114を取り囲むようにマーカ光投影領域454が設けられている。これにより、マーカ光投影領域454ではない部分である投影領域114に片目101が配置された場合においても、マーカ光450によって邪魔されることなく、片目101を検出でき、片目101の検出の精度が向上する。なお、マーカ光投影領域454は、投影領域114の周辺に任意の個数設けることができる。
【0062】
また、例えば、図3(d)に表したように、映像を含む光束112が投影される投影領域114は、マーカ光投影領域454を含み、さらに、マーカ光投影領域454とは異なる領域を有するようにすることができる。本具体例では、投影領域114の中心部において、投影領域114は、マーカ光投影領域454以外の領域を有している。これにより、マーカ光投影領域454ではない部分の投影領域114に片目101が配置された場合においても、マーカ光450によって邪魔されることなく、片目101が検出できる。
【0063】
また、例えば、図3(e)に表したように、マーカ光投影領域454が、投影領域114を含み、さらに、投影領域114以外の領域を有するようにしても良い。ただし、この場合には、マーカ光投影領域454が、投影領域114よりも広くなるので、片目101の位置が投影領域114の内部に入った場合に、片目101がマーカ光投影領域454の内部に入ることがある。このため、マーカ光450の強度と顔面からの反射光の強度との差によっては、マーカ光450に邪魔されて片目101の検出が難しくなることがある。
【0064】
従って、観視者100の位置において、映像を含む光束112が投影される投影領域114は、マーカ光450が投影される領域(マーカ光投影領域454)とは異なる領域を有することが望ましい。これにより、片目101の位置は、マーカ光投影領域454とは異なる領域に配置されることが多くなり、片目101の検出が容易となり、片目101の位置とマーカ光450の位置とを精度良く検出できる。
【0065】
なお、図3(b)及び(d)に例示したように、マーカ光450は複数の領域において観視者100の頭部105に投影されることが望ましい。すなわち、マーカ光450が1つの領域である場合においては、そのマーカ光450の位置と片目101の位置とが完全に重なった場合に、それらの検出が難しくなる。これに対して、マーカ光450を複数の領域とすることで、1つのマーカ光450が片目101の位置と重なった場合においても、マーカ光450の他の領域によってマーカ光450の位置が検出でき、また、片目101ではない方の片目や、観視者100の顔の各種の顔部品や輪郭の位置によって片目101の位置に対応する位置を推定できる。
【0066】
さらに、図3(b)及び(d)に例示したように、マーカ光450の複数の領域は、映像を含む光束112の投影領域114の中心を挟むように配置されることが望ましい。これにより、映像を含む光束112が片目101を含む領域に投影されている状態において、マーカ光450の複数の領域の間に片目101が配置される。これのため、片目101を検出する時に、観視者100の顔全体の中から片目101を認識するのではなく、複数のマーカ光450に挟まれた領域内において片目101を認識すれば良くなるので、片目101の位置の検出が高速化され、また、演算部213等の構成を簡単化できる。
【0067】
また、図3(c)に例示したように、マーカ光450の領域(マーカ光投影領域454)が1つであっても、マーカ光450は、映像を含む光束112の投影領域114の中心を取り囲むように配置されることが望ましい。これによっても、片目101を検出する時に、マーカ光450の内側に配置された片目101を認識すれば良くなるので、片目101の位置の検出が高速化され、また、演算部213等の構成を簡単化できる。
【0068】
このように、マーカ光450が投影される領域(マーカ光投影領域454)は、観視者100の位置において映像を含む光束112の投影領域114の中心部を挟むように、単数または複数設けられることが望ましい。ここで、「中心部を挟む」とは、複数の領域の間に中心部が配置される状態(例えば図3(b)及び(d)に例示した状態)の他、連続的な1つの領域の内部に中心部が配置された状態(例えば図3(c)に例示した状態)も含む。
【0069】
以下、本実施形態に係る実施例について説明する。
(実施例1)
図4は、本発明の第1の実施例に係る表示装置の要部の構成及び動作を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)は、第1の実施例に係る表示装置11aの要部の構成を例示している。なお、同図(a)では、投影部120に用いられるレンズ等は省略されている。また、同図(b)及び(c)は、表示装置11aの動作を例示しており、同図(b)は、観視者100の頭部105における光束112の投影状態を例示しており、同図(b)はマーカ光450の投影状態を例示している。
【0070】
図4(a)に表したように、表示装置11aの映像投影部115において、光源121から光源光121aが出射される。光源光121aは、主として可視光である。この光源光121aが映像形成部110であるLCDに入射する。そして、映像形成部110から出射した映像信号を含む光112aは、アパーチャ124に入射する。
【0071】
一方、映像形成部110のアクティブエリア110aの外側の額縁部110fに、マーカ光450となる光451aを放射するマーカ光放射部410が設けられる。マーカ光放射部410には、例えば、赤外発光のLEDが用いられ、すなわち、マーカ光450となる光451aには、赤外光が用いられる。マーカ光450となる光451aは、アパーチャ124に入射する。
【0072】
アパーチャ124には、映像を含む光束112を透過するための映像透過領域112rと、マーカ光450となる光451aを透過するマーカ光透過領域450rと、が、設けられている。
【0073】
すなわち、アパーチャ124の開口部124o(開口絞り)の特定の部分、すなわち、開口部124oの中心部に、赤外線カットフィルタ113(赤外光減衰層)を有する領域が設けられる。すなわち、アパーチャ124は、アパーチャの開口部124oの中心部に設けられ、赤外光を減衰させる赤外線カットフィルタ113を有する。
【0074】
そして、開口部124oのうち、赤外線カットフィルタ113が設けられていない領域が、マーカ光透過領域450rとなる。
一方、開口部124oの全体において可視光が透過でき、開口部124oの全体が映像透過領域112rとなる。
【0075】
すなわち、本具体例では、映像透過領域112rにおける上部と下部がマーカ光透過領域450rとなる。すなわち、映像透過領域112rの中心部において、映像透過領域112rは、マーカ光透過領域450rとは異なる領域を有す。すなわち、図3(d)に例示した構成と同様の構成の例である。
【0076】
そして、映像透過領域112rから出射した光112bが、光束112となり、投影部120の光学系によって観視者100の頭部105に投影される。そして、マーカ光透過領域450rから出射した光451bが、マーカ光450として、投影部120の光学系によって観視者100の頭部105に投影される。
【0077】
このように、表示装置11aにおいては、映像投影部115は、映像を形成する映像形成部110と、映像形成部110と観視者100との間に設けられ、観視者100の位置における光束112の投影領域114を定めるアパーチャ124と、映像形成部110とアパーチャ124との間に設けられ、マーカ光450となる光を出射するマーカ光放射部410(第1マーカ光生成部)と、を有する。なお、映像形成部110としてLCDが用いられる場合には、LCDの光学スイッチングに寄与する液晶層が映像形成部110の実効的な部分であり、この液晶層とアパーチャ124との間に、マーカ光放射部410が設けられれば良い。
【0078】
図4(b)は、可視光で観察した場合の観視者100の頭部105への光束112の投影状態を例示している。図4(b)に例示したように、光束112の投影領域114は、映像透過領域112rの形状に基づいた形状となる。
【0079】
図4(c)は、赤外光で観察した場合の観視者100の像であり、例えば、位置検出部210で撮像された撮像画像の一例である。図4(c)に表したように、観視者100の頭部105においては、マーカ光450のマーカ光投影領域454は、マーカ光透過領域450rの形状に基づいた形状となる。本具体例では、映像を含む光束112が投影される投影領域114における上部と下部の2つの領域において、マーカ光450が投影される。
【0080】
このように、本具体例では、映像を含む光束112が投影される投影領域114は、マーカ光450のマーカ光投影領域454を含み、マーカ光450が投影される領域とは異なる領域(すなわち、中心部)を有する。そして、マーカ光450は、観視者100の位置において、映像を含む光束112が投影される投影領域114の中心を挟むように、上部と下部の複数の領域を有する。
【0081】
そして、位置検出部210によって、観視者100の頭部105を撮像して、片目101の位置とマーカ光450の位置とを検出する。なお、本具体例では、位置検出部210の撮像部211には、可視光カットフィルタが設けられ、赤外線の像を撮像することができる。これにより、映像を含む光束112の状態や周囲の明るさ等の変化からの影響を低減でき、片目101及びマーカ光450の位置の検出の精度が高まる。
【0082】
マーカ光450は赤外光であり、このとき、片目101の検出にも赤外光を用いることができる。すなわち、位置検出部210において、観視者100の頭部105で反射する赤外光を撮像し、撮像された画像から、片目101の位置とマーカ光450の位置を検出できる。そして、映像を含む光束112が片目101に正しく投影され、マーカ光投影領域454の間の領域に片目101が配置されている場合においても、マーカ光投影領域454の間の領域では、マーカ光450が投影されていないので、片目101からの反射光がマーカ光450によって実質的に消されることがなく、片目101の位置を確実に検出できる。すなわち、太陽光などの周囲の光や照明装置214からの光によって、赤外光が観視者100に照射され、それによって片目101が認識され、一方、その光よりも強度が強いマーカ光450が検出される。
【0083】
そして、既に説明したように、制御部250によって、制御部250は、位置検出部210によって検出された片目101の位置とマーカ光450の位置とに基づいて、映像投影部115を制御し、光束112の投影領域114を調整する。例えば、片目101の位置に、マーカ光450の2つのマーカ光投影領域454の中心が配置されるように、ミラー126の角度を、制御部250の駆動部260によって、フィードバックしながら調整する。
【0084】
このように、本実施例の表示装置11aにおいては、片目101の検出のための光とマーカ光450とで空間的な配置を変える方法が適用することで、片目101及びマーカ光450の検出が容易となる。
【0085】
なお、本実施例は、アパーチャ124の開口部124oにおいて、映像透過領域112rの中心の部分に赤外線カットフィルタ113が設けられ、赤外線カットフィルタ113が設けられない部分がマーカ光透過領域450rとなり、開口部124oの全体が投影領域114に対応する映像透過領域112rとなる例である。すなわち、この場合は、光束112の投影領域114の中心部にはマーカ光450が投影されず、投影領域114の上と下の部分にマーカ光450の投影領域が配置される例である。
【0086】
ただし、本発明はこれに限らず、アパーチャ124の開口部124oの中心部に赤外線カットフィルタ113を設け、その中心部の上下に赤外線のみを透過させる赤外線パスフィルタをそれぞれ設けても良い。この場合は、図3(b)に例示した構成となり、アパーチャ124の開口部124oの中心部が映像透過領域112rとなり、この部分が観視者100の位置において光束112の投影領域114となる。そして、赤外線パスフィルタの領域が、マーカ光投影領域454となる。すなわち、映像を含む光束112の投影領域114の外の上及び下において、マーカ光450が投影され、この場合は、映像を含む光束112が投影される投影領域114と、マーカ光450が投影されるマーカ光投影領域454と、が互いに重ならないようにできる。
【0087】
なお、表示装置11aを例えば、太陽光の下で使用する際、位置検出部210の撮像部211に可視光カットフィルタが設けられ、太陽光に含まれる可視光の影響を低減することが行われるが、この場合においても、観視者100の顔の撮像には問題ない。すなわち、太陽光には、可視光以外の光線が多量に含まれており、可視光以外の例えば赤外線によって顔を撮像検出することが可能である。また、その際、マーカ光450として、太陽光に含まれる赤外線よりも光量が多い赤外線を用いることで、マーカ光450の検出も問題ない。
【0088】
また、屋外の夜等では、太陽光に含まれる赤外線が実質的に存在しないため、照明装置214からの照明光(例えば赤外光)によって顔の検出を行う。その際、両方とも赤外光である照明光とマーカ光450とが混在するが、マーカ光450の光量を照明光よりも多くすれば良い。
【0089】
なお、映像形成部110としてLCDではなく、MEMS等の光スイッチを用いた場合においても、そのアクティブエリア(光スイッチによって輝度が変調される空間)の外側に上記のマーカ光放射部410(例えば赤外発光のLED)を設けることで、同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、映像形成部110として、例えば有機EL表示装置のように自発光型表示装置を用いても良く、この場合も、自発光型表示装置のアクティブエリアの外の額縁部に、上記のマーカ光放射部410(例えば赤外発光のLED)を設けることができる。
【0091】
さらに、映像形成部110として、例えば、可視光と同時に赤外光を発光する有機EL表示装置等の自発光型表示装置を用いることで、マーカ光放射部410を省略することもできる。
また、自発光型表示装置として、例えば可視光を発光する有機ELを用いたアクティブエリアと、その外側に設けられ赤外光を発光する有機ELからなる赤外発光部と、を有する自発光型表示装置を用いることで、発光効率が高まる。
【0092】
また、映像形成部110として、レーザプロジェクタを用いる場合は、映像形成用のレーザプロジェクタとは別にマーカ光放射部410(例えば赤外発光のLED)を設ければ良い。
【0093】
なお、アパーチャ124の開口部124o以外の部分は、例えば可視光及び赤外光に対して遮光性がある例えば金属等を用いることができる。そして、開口部124oには可視光に対して透光性を有する任意の構成を採用することができる。例えば、開口部124oの中央部に赤外線カットフィルタ113として、可視光を透過して赤外光を遮蔽するガラス板やアクリル板を配置し、赤外線カットフィルタ113以外の開口部124oの領域は空洞(空気)とすることができる。
【0094】
また、開口部124oにおける赤外線カットフィルタ113及び開口部124oの形状は、映像を含む光束112が片目101に投影されつつ、観視者100の顔面の像から片目101の位置が検出でき、そして、マーカ光450が検出可能であれば、任意である。
【0095】
(第2の実施例)
図5は、本発明の第2の実施例に係る表示装置の要部の構成を例示する模式図である。 なお、同図では、投影部120に用いられるレンズ等は省略されている。
図5に表したように、第1の実施形態に係る第2の実施例の表示装置11bの映像投影部115においては、光源121として、可視光VL及び赤外光IRLを含む光を出射する光源が用いられる。すなわち、光源光121aは可視光VL及び赤外光IRLを含む。
【0096】
この光源光121aが映像形成部110であるLCDに入射する。映像形成部110のアクティブエリア110aの外側の額縁部110fよりもさら外側に、可視光カットフィルタ460(可視光減衰層)が設けられる。可視光カットフィルタ460の部分に入射した光源光121aは、可視光VLがカットされ、赤外光IRLが通過し、マーカ光450となる光451aとなる。光451aは、アパーチャ124に入射する。
【0097】
一方、映像形成部110に入射した光源光121aは、映像形成部110において赤外光IRLが減衰し実質的に赤外光の成分は消失し、可視光VLによる映像信号を含む光112aとなる。光112aは、アパーチャ124に入射する。
【0098】
アパーチャ124には、実施例1と同様に、映像を含む光束112を透過するための映像透過領域112rと、マーカ光450となる光451aを透過するマーカ光透過領域450rと、が、設けられ、その機能は同様である。
【0099】
このように、表示装置11bにおいては、映像投影部115は、映像を形成する映像形成部110と、映像形成部110と観視者100との間に設けられ、観視者100の位置における光束112の投影領域を定めるアパーチャ124と、映像形成部110のアパーチャ124とは反対の側に設けられ、マーカ光450となる光を出射する第2マーカ光生成部480と、を有する。本具体例では、第2マーカ光生成部480は、光源121である。すなわち、光源121において、第2マーカ光生成部480と投影部120における光源とが兼用されている。
本具体例の場合には、映像形成部110であるLCDでは赤外光を実質的に透過させないので、以下の構成が適用される。すなわち、映像投影部115は、映像形成部110のアクティブエリア110aの外側に設けられ、可視光を減衰させる可視光カットフィルタ460をさらに有し、第2マーカ光生成部480から発光したマーカ光450は、可視光カットフィルタ460を通過して、アパーチャ124に入射する。
【0100】
そして、表示装置11bは、実施例1に係る表示装置11aと同様に、マーカ光投影領域454と、映像を含む光束112が投影される投影領域114と、を空間的に分離して、片目101とマーカ光450とを精度良く検出できる。
【0101】
表示装置11bにおいては、表示装置11aにおけるマーカ光放射部410(例えば赤外発光のLED)が省略でき、マーカ光450となる光451aが、映像の投影のための光源121で兼用されることで光源の構成が簡単になる。なお、可視光カットフィルタ460は必要に応じて設ければ良く省略が可能である。
【0102】
なお、映像形成部110としてLCDではなく、MEMS等の光スイッチを用いた場合においても、空間内においてその光スイッチによって輝度が変調されるアクティブエリアの外側に上記の可視光カットフィルタ460を設けることで、同様の効果を得ることができる。
【0103】
(第2の実施の形態)
第2の実施形態に係る表示装置においては、片目101の検出のための光とマーカ光450とで、波長が変えられる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
図6に表したように、第2の実施形態に係る表示装置12(図示しない)においては、片目101の検出のための光とマーカ光450とで波長が変えられ、この場合には、マーカ光450のマーカ光投影領域454と映像を含む光束112の投影領域114とは実質的に同じであっても良い。
【0104】
片目101の検出のための光と、マーカ光450と、が互いに異なる波長を有している場合には、位置検出部210においてそれぞれの波長特性に適合する処理を行うことで、片目101とマーカ光450は区別でき、もし、マーカ光投影領域454の位置と片目101の位置とが重なっていても、両者の位置は容易に検出できる。
【0105】
例えば、マーカ光450は、映像を含む光束112に含まれる波長とは異なる波長を有する光によって観視者に向けて投影されることができる。例えば、マーカ光450は、赤外光によって観視者に向けて投影されることができる。
【0106】
例えば、昼間のように、観視者100の周囲が明るい場合には、観視者100には可視光及び赤外光を含めた広い範囲の波長を含む光が照射されている。この時、観視者100の頭部105で反射した可視光によって片目101を検出し、一方、マーカ光450として、周囲の光に含まれる赤外光の成分よりも強度が強い赤外光を用いることで、片目101とマーカ光450は区別でき、両者の位置は容易に検出できる。
【0107】
また、観視者100の周囲が明るい場合において、片目101の検出が赤外光であっても、マーカ光450が、片目101の検出のための赤外光とは異なる波長であれば、片目101とマーカ光450は区別でき、両者の位置は容易に検出できる。
【0108】
また、夜間のように、観視者100の周囲が暗い場合には、例えば、所定の波長特性を有する照明光が観視者100の頭部105に照射され、頭部105に於いて反射した所定の波長の光よって片目101を検出できる。一方、マーカ光450として、上記の照明光とは異なる波長特性の光を用いることで、片目101とマーカ光450は区別でき、両者の位置は容易に検出できる。
【0109】
例えば、照明光として比較的波長領域の広い赤外光を用い、マーカ光450として狭い範囲の特定の波長を有する赤外光を用いることで両者の区別が容易となる。また、照明光として狭い範囲の特定の波長の赤外光を用い、マーカ光450として比較的波長領域の広い赤外光を用いても良い。すなわち、片目101の検出のための光と、マーカ光450と、が互いに異なる波長特性を有し、片目101の検出のための光とマーカ光450の検出のための光(マーカ光450そのもの)とで波長が変えられれば良い。
【0110】
このように、表示装置12は、観視者100の頭部105を照明し、マーカ光450とは異なる波長の光を発光する照明装置214をさらに備えることができる。これにより、片目101の検出のための光とマーカ光450の検出のための光(例えばマーカ光450そのもの)とで波長を変えることが容易となる。
【0111】
片目101の検出のための光とマーカ光450とで波長を変える方法は、マーカ光450となる光の波長、上記の照明光の波長、位置検出部210の撮像部211に設けられる波長フィルタ、及び、位置検出部210における画像処理の際の波長の抽出特性を制御することによって実現できる。
これにより、簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置が提供できる。
【0112】
本実施形態に係る表示装置12では、片目101とマーカ光450とを異なる波長で検出する方法が採用される。
すなわち、表示オブジェクトを有する映像を含む光束を観視者の片目に向けて投影する表示方法であって、前記観視者の位置と、前記観視者に向けて投影され、前記観視者の位置における前記光束の投影領域を示すマーカ光の位置と、を異なる波長で検出し、前記検出された前記観視者の位置と前記マーカ光の位置とに基づいて、前記光束の投影領域を調整する表示方法が採用される。上記の観視者の位置として、例えば観視者の片目の位置を採用することができる。
【0113】
以下、本実施形態に係る実施例について説明する。
(第3の実施例)
図7は、本発明の第3の実施例に係る表示装置の要部の構成及び動作を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)は、第2の実施形態に係る第3の実施例の表示装置12aの要部の構成を例示し、同図(b)は、表示装置12aの動作を例示している。なお、同図(a)では、投影部120に用いられるレンズ等は省略されている。
【0114】
図7(a)に表したように、表示装置12aの映像投影部115において、光源121から、光源光121aが出射され、映像形成部110に入射し、映像形成部110から出射した映像信号を含む光112aが、アパーチャ124に入射する。
【0115】
一方、映像形成部110のアクティブエリア110aの外側の額縁部110fに、マーカ光放射部410が設けられる。マーカ光放射部410には例えば赤外発光のLEDが用いられ、マーカ光450となる光451aを発光する。光451aは、波長λ1を主波長とする赤外光である。光451aは、アパーチャ124に入射する。
【0116】
アパーチャ124には、赤外線カットフィルタ113は設けられず、単に開口部124oが設けられただけであり、従って、映像を含む光束112を透過するための映像透過領域112rと、マーカ光450となる光451aを透過するマーカ光透過領域450rと、は実質的に同じである。
【0117】
そして、図7(b)に表したように、観視者100の頭部105においては、光束112及びマーカ光450の配置及び形状は、実質的に同じである。
【0118】
一方、観視者100の顔面を照明する照明装置214が設けられており、照明装置214は、波長λ1とは異なる波長λ2を主波長とする赤外光を発光する。これにより、観視者100の顔面は、波長λ2の赤外光の照明光によって照明され、位置検出部210は、波長λ2の光を抽出することによって、片目101の位置を検出できる。
【0119】
そして、位置検出部210は、波長λ1の光を抽出することによって、マーカ光450の位置を検出できる。
【0120】
このように、片目101の検出のための光とマーカ光450とで波長を変えることで、片目101とマーカ光450とが区別し易くなり、表示装置12aによれば、簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置が提供できる。
なお、既に説明したように、片目101の検出のための光とマーカ光450とで異なる波長が用いられれば良く、その波長は任意である。なお、観視者100の顔面を照明する光として周囲の光を用いることができる場合には、照明装置214は省略でき、また、照明装置214の機能を本実施形態に係る表示装置以外に設けても良い。
【0121】
(第4の実施例)
図8は、本発明の第4の実施例に係る表示装置の要部の構成を例示する模式図である。 なお、同図では、投影部120に用いられるレンズ等は省略されている。
図8に表したように、第2の実施形態に係る第4の実施例の表示装置12bの映像投影部115においては、光源121から、可視光VL及び赤外光IRLを含む光源光121aが出射される。
【0122】
この光源光121aが映像形成部110であるLCDに入射する。映像形成部110の額縁部110fの外側には可視光カットフィルタ460が設けられ、赤外光のマーカ光450となる光451aが、アパーチャ124に入射する。ここで、光451aの主波長は、波長λ1とする。この波長λ1は、可視光カットフィルタ460の波長特性を制御することで制御できる。一方、映像形成部110に入射した光源光121aは、可視光VLによる映像信号を含む光112aとなり、光112aは、アパーチャ124に入射する。
光451a及び光112aはアパーチャ124を介してそれぞれ光451b及び光112bとなり、それらは、それぞれマーカ光450及び光束112となって観視者100の頭部105に投影される。
【0123】
そして、表示装置12aと同様に、観視者100の顔面を照明する照明装置214が設けられ、照明装置214は、波長λ1とは異なる波長λ2を主波長とする赤外光を発光する。これにより、位置検出部210は、波長λ2の光を抽出することによって、片目101の位置を検出し、波長λ1の光を抽出することによって、マーカ光450の位置を検出できる。
【0124】
このように、片目101の検出のための光とマーカ光450とで波長を変えることで、片目101とマーカ光450とが区別し易くなり、表示装置12bによれば、簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置が提供できる。
【0125】
(第3の実施の形態)
本実施形態においては、片目101の検出のための光とマーカ光450とで、時間的な特性を変える。例えば、片目101の位置とマーカ光450の位置が時分割で検出される。
【0126】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る表示装置の動作を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)及び(b)は、片目101の検出のための光とマーカ光450とで、時間的な特性を変える場合の動作を例示している。
図9(a)及び(b)に表したように、第3の実施形態に係る表示装置13(図示せず)では、マーカ光450は、例えばパルス的に生成され、観視者100に向かって投影される。一方、映像を含む光束112は連続的に生成され、観視者100に向けて連続的に出射される。図9(a)は、マーカ光450が投影されている瞬間を例示しており、図9(b)は、マーカ光450が投影されていない瞬間を例示している。
なお、これらの図に例示したように、本具体例では、マーカ光投影領域454と、映像を含む光束112の投影領域114と、は実質的に同じである。
【0127】
このように、マーカ光450を間欠的に投影することで、マーカ光450及び片目101の検出において、これらの分離がし易くなる。すなわち、マーカ光450が間欠的に投影されることで、マーカ光450が観視者100に投影される期間と投影されない期間が発生する。この時、マーカ光450が投影されていない時の観視者の撮像画像には、マーカ光450が現れないので、マーカ光450が妨げとなることがなく、片目101の位置が検出される。また、マーカ光450が投影されている期間の撮像画像からマーカ光450の位置が検出される。
【0128】
さらに、マーカ光450の投影のタイミングに同期させて、位置検出部210の動作を制御することで、マーカ光450と片目101との分離がさらにし易くなる。例えば、マーカ光450が投影されている時の撮像画像からマーカ光450を検出することができる。そして、マーカ光450が投影されていない時の撮像画像から片目101を検出することができる。
【0129】
このように、マーカ光450は、間欠的に観視者100に向けて投影される。すなわち、例えば、マーカ光450がある期間において所定の強度で投影され、別の期間には、マーカ光450が実質的に投影されないようにすることができる。さらに、ある期間において所定の強度でマーカ光450が投影され、別の期間において、前記強度とは異なる強度でマーカ光450が投影されても良い。このように、マーカ光450の強度が時間に対して変化すれば良い。
【0130】
このように、本実施形態に係る表示装置13においては、マーカ光450は間欠的に(時間に対して強度を変えて)観視者に向けて投影される。
【0131】
そして、位置検出部210は、観視者100の位置とマーカ光450の位置とを、互いに異なるタイミングで検出する。この時、観視者100の位置としては、例えば、観視者100の片目101の位置が採用される。すなわち、例えば、互いに異なるタイミングで撮像された片目101の像とマーカ光450の像から、片目101の位置とマーカ光450の位置とを検出する。
【0132】
これにより、片目101とマーカ光450とが検出し易くなり、表示装置13によれば、簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置が提供できる。
【0133】
そして、マーカ光450の強度を時間に対して変化させ、位置検出部210は、マーカ光450の強度の時間に対する変化に同期してマーカ光450の位置及び片目101の位置の少なくともいずれかを検出することで、さらに、検出の精度を向上させることができる。
【0134】
さらに、映像を含む光束112は、所定のフレーム周期で観視者100に投影され、位置検出部210は、このフレーム周期に同期してマーカ光450の位置及び片目101の位置の少なくともいずれかを検出することができる。このとき、片目101の位置とマーカ光450の位置とは、互いに異なるタイミングで検出されることができる。
【0135】
マーカ光450の検出と片目101の検出とのタイミングを変える構成は任意であり、例えば上記のように、マーカ光450をパルス的に生成しても良く、また、マーカ光450の強度を時間に対して変調しても良い。なお、マーカ光450の強度の時間に対する変化は、観視者100の視認性を低下させない限り任意である。例えば、マーカ光450として可視光以外の光(例えば赤外光)を用いる場合は、マーカ光450の強度の時間に対する変化は任意であり、例えば、マーカ光450のパルスの周期は任意である。
【0136】
また、例えば、光束112が、例えば一定のフレーム周波数の映像を含む場合に、例えば用いられる光源121をそのフレーム周期に同期させて点滅させ、例えば、フレーム同士の間の期間にマーカ光450を投影してそれを検出し、映像が投影されているフレームの期間の間に片目101を検出しても良い。
【0137】
さらに、光束112が、例えば一定のフレーム周波数の映像を含む場合において、フレーム同士の間の期間の光束112自体をマーカ光450として用いることもできる。この場合は、マーカ光放射部410を省略できる。すなわち、1つのフレームの期間において光束112は映像を含み、フレーム同士の間の期間には、光束112は映像を含まない任意の波長の光を含むように構成する。そして、フレーム同士の間の期間における光束112の投影領域114は、実質的にマーカ光450の機能を果たし、これを検出することにより、光束112の投影領域114が検出される。すなわち、この場合は、光束112そのものがマーカ光450となる例である。ただし、この場合も、光束112が映像を含む期間と、光束112がマーカ光450となる期間とは、時間的に分離され、これにより、片目101及びマーカ光450を検出し易くなる。
【0138】
さらに、映像を含む光束112を間欠的に生成しても良く、また、光束112の強度を時間に対して変調しても良く、これらの時間的な変化に同期させて、マーカ光450及び片目101を検出することができる。すなわち、光束112が一定のフレーム周波数の映像を含む場合において、フレーム同士の間の期間は光束112の明るさは低くしておき、この期間において片目101を検出し、フレーム期間中において投影されている光束112をマーカ光450として検出することもできる。
【0139】
このように、光束112の明るさの時間に対しての変化も、観視者100の視認性を低下させない限り任意である。すなわち、光束112は映像を含むので可視光を含む。このため、光束112の明るさを時間的に変調する場合は、その周波数を一定以上(例えば約50Hz以上)に高めることで、フリッカを感じなくなり、視認性に悪影響を与えない。
【0140】
なお、上記のように、マーカ光450の検出と片目101の検出とのタイミングを変えて行う場合には、片目101の検出のための光とマーカ光450とで、空間的な配置及び波長は実質的に同じでも良い。例えば、図9(a)及び(b)に例示したように、本具体例では、マーカ光投影領域454と光束112の投影領域114とは実質的に同じである。そして、この時、片目101の検出のための光と、マーカ光450と、で波長を実質的に同じとすることができる。
【0141】
このように、本実施形態に係る表示装置13においては、片目101を検出するタイミングとマーカ光450を検出するタイミングが異なる方法が採用される。
すなわち、表示オブジェクトを有する映像を含む光束を観視者の片目に向けて投影する表示方法であって、前記観視者の位置と、前記観視者に向けて投影され、前記観視者の位置における前記光束の投影領域を示すマーカ光の位置と、を異なるタイミングで検出し、前記検出された前記観視者の位置と前記マーカ光の位置とに基づいて、前記光束の投影領域を調整する表示方法が採用される。上記の観視者の位置として、例えば観視者の片目の位置を採用することができる。
【0142】
以下、本実施形態に係る実施例の表示装置について説明する。
(第5の実施例)
図10は、本発明の第5の実施例に係る表示装置の要部の構成及び動作を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)は、第3の実施形態に係る第5の実施例の表示装置13aの要部の構成を例示している。なお、同図(a)では、投影部120に用いられるレンズ等は省略されている。同図(b)及び(c)は、表示装置13aの動作を例示しており、同図(b)は、マーカ光450が投影されている瞬間を例示しており、同図(c)は、マーカ光450が投影されていない瞬間を例示している。
【0143】
図10(a)に表したように、表示装置12aの映像投影部115において、光源121から、光源光121aが出射され、映像形成部110に入射し、映像形成部110から出射した映像信号を含む光112aが、アパーチャ124に入射する。
【0144】
一方、映像形成部110のアクティブエリア110aの外側の額縁部110fに、マーカ光放射部410が設けられる。マーカ光放射部410には例えば赤外発光のLEDが用いられ、マーカ光450となる光451aを発光する。光451aは、波長λ1を主波長とする赤外光である。光451aは、アパーチャ124に入射する。
【0145】
ここで、本具体例においては、マーカ光放射部410はパルス的に発光する。すなわち、例えば、位置検出部210内に設けられた発振部240で発生するパルス信号に基づいて、マーカ光放射部410の赤外発光のLEDに電流が通電され、これにより、マーカ光放射部410は所定のタイミングでパルス的に赤外光を発光する。
【0146】
なお、アパーチャ124には、赤外線カットフィルタ113は設けられず、単に開口部124oが設けられただけであり、従って、映像を含む光束112を透過するための映像透過領域112rと、マーカ光450となる光451aを透過するマーカ光透過領域450rと、は実質的に同じである。
【0147】
そして、図10(b)及び(c)に表したように、観視者100の頭部105においては、光束112及びマーカ光450の配置及び形状は、実質的に同じである。
ただし、マーカ光450が観視者100に投影されるタイミングは光束112とは異なっている。本具体例の場合は、光束112は観視者100に向けて常時投影されている。一方、マーカ光450は、発振部240のパルス信号に対応してパルス的に投影される。 そして、マーカ光450の投影のタイミングに同期させて、すなわち、発振部240のパルス信号に同期させて、位置検出部210の動作を制御することで、マーカ光450と片目101とを分離して検出することができる。
【0148】
これにより、片目101とマーカ光450とを検出し易くなり、表示装置12aによれば、簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置が提供できる。
【0149】
なお、本具体例において、照明装置214を設けても良く、照明装置214の発光のタイミングが、マーカ光450の投影のタイミングと異なっていれば良い。すなわち、照明装置214は常時発光しても良く、また、マーカ光放射部410と異なるタイミングで発光しても良い。なお、この場合には、マーカ光放射部410と照明装置214の波長は実質的に同じであっても良い。
【0150】
なお、この場合も、映像形成部110としてMEMS等の光スイッチや有機EL表示装置等の自発光型表示装置を用いることができ、マーカ光放射部410は、これらの表示装置のアクティブエリアの外に(例えば赤外発光のLED)を設けることができる。さらに、映像形成部110として、レーザプロジェクタなども用いることができる。
【0151】
(第6の実施例)
図11は、本発明の第6の実施例に係る表示装置の要部の構成を例示する模式図である。
なお、同図では、投影部120に用いられるレンズ等は省略されている。
図11に表したように、第3の実施形態に係る第6の実施例の表示装置13bの映像投影部115においては、光源121として、可視光VL及び赤外光IRLを含む光源光121aが出射される光源が用いられる。
この時、光源121はパルス的に発光する。すなわち、例えば、位置検出部210内に設けられた発振部240で発生するパルス信号に基づいて光源121は発光し、これにより、光源光121aは、所定のタイミングでパルス的に発光する可視光VL及び赤外光IRLを発光する光となる。
【0152】
この光源光121aが映像形成部110であるLCDに入射する。映像形成部110の額縁部110fの外側には可視光カットフィルタ460が設けられ、赤外光のマーカ光450となる光451aが、アパーチャ124に入射する。一方、映像形成部110に入射した光源光121aは、可視光VLによる映像信号を含む光112aとなり、光112aは、アパーチャ124に入射する。
光451a及び光112aはアパーチャ124を介してそれぞれ光451b及び光112bとなり、それらは、それぞれマーカ光450及び光束112となって観視者100の頭部105に投影される。マーカ光450及び光束112は所定のタイミングで強度が変化する光である。
【0153】
そして、マーカ光450の投影のタイミングに同期させて、すなわち、発振部240のパルス信号に同期させて、位置検出部210の動作を制御することで、マーカ光450と片目101とを分離して検出することができる。
【0154】
これにより、片目101とマーカ光450とが検出し易くなり、表示装置13bによれば、簡便に高い位置精度で観視者の片目に映像を呈示できる表示装置が提供できる。
【0155】
なお、本具体例においては、映像を含む光束112もパルス的に発生されるので、パルスの周波数はフリッカが知覚される周波数以上(例えば50Hz以上)に設定される。
【0156】
なお、本具体例においても、照明装置214を設けても良く、照明装置214の発光のタイミングが、マーカ光450の強度の変化のタイミングと異なっていれば良い。すなわち、照明装置214は常時発光して強度が変化しなくても良く、また、マーカ光450の強度の変化と異なるタイミングで発光しても良い。
【0157】
なお、上記で説明した第1〜第3の実施形態を組み合わせて実施しても良い。すなわち、片目101の検出のための光とマーカ光450とで、空間的な配置を変える方法と、波長を変える方法と、時間的な特性を変える方法(例えばマーカ光450及び片目101の検出を異なるタイミングで行う方法)と、の少なくとも2つ以上を組み合わせて実施しても良い。
【0158】
このとき、例えば、表示オブジェクトを有する映像を含む光束を観視者の片目に向けて投影する表示方法であって、前記観視者の位置と、前記観視者に向けて投影され、前記観視者の位置における前記光束の投影領域を示すマーカ光の位置と、を異なる波長及び異なるタイミングの少なくともいずれかで検出し、前記検出された前記観視者の位置と前記マーカ光の位置とに基づいて、前記光束の投影領域を調整する表示方法が採用される。上記の観視者の位置として、例えば観視者の片目の位置を採用することができる。
【0159】
なお、上記においては、本実施形態に係る表示装置が車両等の移動体に搭載されるHUDとして応用される例について説明したが、本発明はこれに限らず、片目で見る任意の表示装置に応用できる。例えば、片目で見ることで奥行き知覚を増強して呈示する、ゲームなどの娯楽用の他、医療用や各種のデザイン用に用いられる各種の表示装置にも応用することが可能である。
【0160】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示装置を構成する光源、発光部、光学部品、レンズ、ミラー、プリズム、レンチキュラー板、アパーチャ、光学膜、光減衰層等の各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0161】
その他、本発明の実施の形態として上述した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0162】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0163】
11、11a、11b、12、12a、12b、13、13a、13b 表示装置
100 観視者
101 片目
105 頭部
110 映像形成部
110a アクティブエリア
110f 額縁部
112 光束
112a、112b 光
112r 映像透過領域
113 赤外線カットフィルタ(赤外光減衰層)
114 投影領域
115 映像投影部
120 投影部
121 光源
121a 光源光
122 ライトガイド
123 リレーレンズ
123a〜123d 第1〜第4レンズ
124 アパーチャ
124o 開口部
125 凹レンズ
126 ミラー
130 映像生成部
180 表示オブジェクト
181 虚像
181a 虚像形成位置
210 位置検出部
211 撮像部
212 画像処理部
213 演算部
214 照明装置
240 発振部
250 制御部
260 駆動部
410 マーカ光放射部(第1マーカ光生成部)
450 マーカ光
450r マーカ光透過領域
451a、451b 光
454 マーカ光投影領域
460 可視光カットフィルタ
480 第2マーカ光生成部
710 フロントガラス
711 反射体
720 ダッシュボード
730 車両(移動体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示オブジェクトを有する映像を含む光束を観視者の片目に向けて投影する映像投影部と、
前記観視者の位置と、前記光束と供に前記観視者に向けて投影されたマーカ光の位置と、を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記観視者の位置と前記マーカ光の位置とに基づいて、前記映像投影部を制御することにより、前記光束の投影位置を調整する制御部と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記マーカ光は、赤外光であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記映像投影部は、前記映像を形成する映像形成部と、
前記映像形成部と前記観視者との間に設けられ、前記観視者の位置における前記光束の投影領域を定めるアパーチャと、
前記映像形成部と前記アパーチャとの間に設けられ、前記マーカ光となる光を出射する第1マーカ光生成部と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記アパーチャは、前記アパーチャの開口部の中心部に設けられ、赤外光を減衰させる赤外光減衰層を有することを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記マーカ光が投影される領域は、前記観視者の位置において前記光束の投影領域の中心部を挟むように設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
前記観視者の位置において、前記光束の投影領域と前記マーカ光の投影領域と、は互いに異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項7】
前記観視者の位置において、前記光束の投影領域は、前記マーカ光の投影領域以外の領域を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記位置検出部は、前記マーカ光の波長とは異なる波長の光で前記観察者の位置を検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項9】
前記位置検出部は、前記観視者の位置と前記マーカ光の位置とを、互いに異なるタイミングで検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項10】
前記マーカ光は、間欠的に前記観視者に投影されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−156929(P2010−156929A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−436(P2009−436)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】