説明

表面処理方法、被覆組成物およびその使用、ならびにその方法を使用して得られる被覆表面

表面処理方法であって、液相中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなる塗料組成物を用意する工程、該塗料組成物を表面に塗布する工程、塗布した塗料組成物から該液相を蒸発させる工程、および該乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、該ワックス粒子を融着させる工程を含んでなる方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
1.発明の背景
本発明は、露出された表面の処理方法、例えば特に鋼、アルミニウム、砂岩、大理石、花こう岩、スレート、セメント、繊維補強セメント、レンガ、タイル、繊維ガラス補強材料、および木材から製造された表面構造を有する記念建造物、建物および構造物、ならびに公共および私用の輸送車両、例えばバス、列車、路面電車、等、および道路および交通標識の保護処理に使用する処理方法、および、落書きおよび/または汚染に対する処理方法、さらには船体の防汚処理に使用する処理方法、およびその方法により得られる露出表面、ならびにその使用に関する。
【0002】
本明細書および請求項で使用する用語「落書き」は、表面上に形成されたすべての好ましくない絵、図、文字、または他の記号を意味する。
【0003】
多くの国で、特に廃棄物および燃焼生成物から生じる汚染に対して環境を保護するための厳しい環境規制を行っているが、建物、建築材料、公共および私用の輸送車両、等の表面上の、汚染による堆積物および腐食は、依然として問題を引き起こしている。
【0004】
従って、そのような廃棄物の堆積および燃焼生成物、特にスモッグ、の形成を阻止および/または除去すること、特に酸性雨、硫黄酸化物、および窒素酸化物により形成される反応生成物の形成を阻止すること、およびそのような表面上の落書き塗料を容易に除去することが望まれている。
【0005】
そのような表面の落書きを包含する汚染堆積物を除去するための清浄作業は、高圧サンドブラスト処理または高温蒸気または強力で有害な化学洗浄剤による処理を必要とすることが多い。また、そのような清浄作業に続いて、表面はさらに回復させる必要が多くあり、新しい表面処理または塗装を必要とすることがある。
【0006】
同様に、船体の防汚処理も、高圧サンドブラスト処理または強力で有害な化学洗浄剤による処理を包含する清浄作業および表面処理を頻繁に行い、続いて、新しい塗料および/または防汚剤の塗布を必要とすることが多い。
【0007】
特に防汚製品に関しては、現在水環境を汚染している殺菌剤、TBT、および重金属の使用を阻止するための新しい、非常に厳しい規制が幾つかの国で施行されつつある。従って、無毒性の防汚塗料を提供するための多大な努力がなされている。
【0008】
そのため、建物、建築材料、公共および私用の輸送車両、船体、等の表面を処理するための、汚染物または汚染堆積物を除去するのにあまり複雑ではない洗浄方法を必要とし、環境に有害な薬剤の使用、回復および再塗装を回避するか、または少なくすることができる、改良された方法および手段が必要とされている。
【0009】
本発明は、塗料組成物でシートを処理し、そのシートを保護目的に使用する方法を提供することにより、汚染、気候による消耗、落書き、防汚、鳥の糞、等に対して保護することにも関する。これは、シートを該方法で処理し、そのシートを保護すべき表面に貼り付けるか、または保護すべき表面にすでに貼り付けられたシートを該方法で処理することにより、達成することができる。
【0010】
重合体材料製のシートは、日常生活の多くの場面で、バス、タクシーおよび建物上に図形を展示するのに使用される。シートは、持続性、耐久性および保護の必要条件を満たす。シートは、屋内にも使用できる。上記の保護および公告、等の目的に、幾種類かのシートが市販されている。これらのシートを張り合わせ、内張、接着層および外側表面となるフィルムを構成することが多い。また、シートは、表面、例えば建物の前面、窓、道路標識、ターポリン、水中構造物、を保護する目的でも存在する。これらのシートも、塗料組成物で処理することにより表面を保護する本発明の対象である。
【0011】
本発明はさらに、ポリオレフィンワックスの被覆をシートに施す方法にも関する。ポリオレフィンワックスをシートに塗布する方法では、液体中に分散させたポリオレフィンワックスの粒子を含んでなる塗料組成物をシートに塗布し、続いて液体を蒸発させ、熱処理してワックス粒子を融着(coalescing)状態にしてシートの連続被覆を形成し、その被覆を固化させ、保護被覆を形成する。
【0012】
先行技術の概観
落書きおよび汚染物に対する保護
落書きの問題に対処する方法は、表面に保護被覆を施し、表面を保護することである。
【0013】
基本的に2種類の被覆がある。
【0014】
第一の種類は、落書きの被覆透過を阻止し、落書きを除去できるようにする、いわゆる「犠牲塗料」である。しかし、除去工程により、落書きのみならず、被覆も除去されるので、落書きを除去した後、保護被覆を再度塗布しなければならない。
【0015】
第二の種類は、落書きの被覆透過を阻止し、落書きを除去できるようにし、表面と強力な結合を形成し、被覆を除去せずに落書きを除去できるようにする、いわゆる「永久塗料」である。
【0016】
米国特許第4241141号は、表面が落書きにより永久的に傷つけられるのを防止する方法であって、保護すべき表面を、実質的に10〜35重量%の重合体(該重合体は、硬質モノマー25〜70重量%、軟質モノマー15〜50重量%、および酸モノマー15〜30重量%を含み、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはそれらの混合物で中和されている)、0〜15重量%の、無水マレイン酸と炭素原子が30を超える鎖長を有する混合アルファオレフィンの付加物のカリウムまたはナトリウム塩、0〜2重量%の、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエチルおよびそれらの混合物からなる群から選択された融着性溶剤、0〜3重量%の消泡剤、レベリング剤、およびそれらの混合物、および90〜45重量%の水からなり、30℃未満のMFTおよびpH7.0〜10.0を有する、除去可能な犠牲塗料組成物で被覆し、b)犠牲塗料を乾燥させる方法に関する。しかし、この塗料は、それを除去するのに洗浄溶剤を必要とする。
【0017】
米国特許第4241141号には、犠牲塗料の塗布を、刷毛塗り、ワイピング、ロール塗りまたはスプレーを包含するいずれかの好適な塗布技術で行うことができ、次いで塗料を触れる程度に乾燥するまで乾燥または硬化させることがさらに記載されている。乾燥工程は、一般的に約10〜約30分間必要とするが、表面を加熱して水を追い出せば、乾燥時間をより短くすることもできる。
【0018】
米国特許第5387434号は、(a)ワックス、ケイ酸ナトリウム、ロジンおよびガム、およびそれらの組合せからなる群から選択された部材、および(b)水を含んでなる別の除去可能な落書き防止塗料を開示している。
【0019】
部材(a)は、5〜80重量%の量で、この落書き防止塗料を塗布する表面上に落書きバリヤーを形成するのに有効な量で存在する。この表面に付けられた落書きは、落書きバリヤーに阻まれ、落書きを含む落書き防止塗料を表面から力をかけて洗浄することにより、除去することができる。
【0020】
力をかける洗浄は、好ましくは水を使用し、温度120〜190°F、250psiを超える圧力で行う。必要に応じて、洗浄した表面に新しい落書き防止塗料を再塗布することができる。
【0021】
米国特許第5750269号は、コンクリート、花こう岩、大理石、塗装表面、等を落書きから保護するのに有用な、
a)約10〜50重量%の、酸価10〜40、125℃におけるBrookfield Thermosel粘度50〜2500cP、およびRBSP90〜130℃を有する、酸化された低分子量ポリエチレンワックス、
b)約10〜80重量%の、RBSP30〜75℃を有するパラフィンワックス、および
c)約10〜80重量%の、硬質モノマー15〜75重量%、軟質モノマー20〜70重量%、および0〜30重量%酸モノマーを含む熱可塑性アクリル系共重合体
を含んでなる、除去可能な塗料組成物に関する。
【0022】
好ましい実施態様で、この組成物は、固体a)、b)、およびc)が総固体濃度約5〜50重量%の水性エマルションになるように、水をさらに含んでなる。
【0023】
米国特許第5750269号は、構造物の表面に落書き防止塗料を塗布することにより、構造物を保護する方法であって、上記の水性塗料組成物を該表面に塗布し、該組成物を乾燥させ、水を除去することを含んでなる方法にも関する。
【0024】
米国特許第5750269号には、この塗料組成物を容易に除去できること、この塗料は、永久的であることを意図しない塗料(例えば落書き)が塗布されることになるすべての表面に塗布することができること、およびこの組成物は、コンクリート、等の表面上に塗装またはスプレーすることにより、エマルションの形態で塗布し、次いで乾燥させ、その基材のための保護被覆を形成できることが記載されている。
【0025】
さらに、一時的な、または好ましくない塗料が塗布された後、この組成物の層は、単に高温の水または蒸気を、例えばスプレーまたはジェットの形態で作用させるだけで、最上部の塗料と共に簡単に除去できることも記載されている。
【0026】
米国特許第4348586号は、広告の貼り付け、落書きおよび/または塗料の浸透および付着から、および粉塵および汚染物の付着から保護するための、除去可能な被覆を形成する表面処理方法であって、融点が45℃〜110℃である、植物を起源とする少なくとも一種の合成ワックス、ミクロクリスタリンワックス、またはそれらの混合物を含む水性組成物で表面を処理し、続いて、接着防止組成物(水を含まない有機溶剤中に、組成物の重量に対して10〜30重量%の量で存在する少なくとも一種のミクロクリスタリンワックス、および接着防止組成物の総重量に対して10〜30重量%の量で存在する、粘度500〜2,500,000csのメチルポリシロキサン、粘度10〜100,000csのメチルフェニルポリシロキサン、またはそれらの混合物であるシリコーン油を含む)を塗布する方法に関する。
【0027】
ヨーロッパ特許第20577号は、除去可能な塗料組成物に関する。この組成物は、水性媒体中に、少なくとも一種の融点が45℃〜110℃である自己乳化し得るワックスを含む。好ましい実施態様は、植物を起源とする合成ワックス、鉱物ワックスおよびミクロクリスタリンワックスの混合物の使用を含んでなる。ヨーロッパ特許第20577号には、支持体、例えば壁、上に塗布されたこの組成物が、広告の貼り付け、落書きおよび/または塗料の浸透および付着から、および粉塵および様々な汚染物の付着から保護するのに好適であると記載されている。
【0028】
独国特許第19743566A1号は、永久的被覆に、より詳しくは、外側および/または内側表面に塗布するための、少なくとも一種のミクロクリスタリンポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレン系ワックスを非水溶性結合剤と共に含んでなる、ワックス系落書き防止塗料(I)に関する。結合剤の量は、典型的には70〜90重量%である。
【0029】
船体の防汚処理
船舶、海洋構造物、等に対する海洋汚染生物の付着および成長は、非常に大きな問題を引き起こし、海洋汚染生物の付着および成長を抑制するための様々な防汚塗料が使用されている。
【0030】
一般的な種類の防汚塗料は、好適な結合剤または結合剤混合物中に分散させた殺菌剤を含む塗料である。使用の際、殺菌剤が溶解し、周囲の水中に放出され、防汚特性を発揮する。
【0031】
別の種類の防汚塗料では、結合剤に化学的に結合した防汚剤が水中で徐々に溶解または加水分解し、防汚剤を放出する。
【0032】
この種の塗料は、アクリル系重合体を基剤とし、その中でカルボキシル基が有機スズ基とエステル化されている。使用の際、重合体が海水中で加水分解し、防汚剤として作用するトリアルキルスズ化合物を放出する。
【0033】
近年、塗料中の殺菌剤の使用に関する規制が厳しくなっている。従って、これらの好ましくない特性を示さない防汚塗料が必要とされている。
【0034】
米国特許第5814172号は、海中環境に露出される構造物上の海洋生物を抑制する方法であって、
熱可塑性である重合した第一樹脂の中に分散した、平均粒子径が5ミクロンを超える殺菌剤粒子を含んでなる部分を有するシート(シート部分は等方性の機械的特性を有し、シートの面内で非弾性的に伸びることができる)を形成すること、
シートを構造物の表面に密着させると共に、シートを拡張し、それによってシートの面内でシートを永久的に伸ばし、海中環境に対するバリヤーを形成し、シート中の殺菌剤粒子の一部が海中環境に露出されることを含んでなる、方法に関する。
【0035】
ヨーロッパ特許第643657A1号は、流体媒体中を前進し、周囲の媒体に対する摩擦のために流れの抵抗に合う船舶に関する。
【0036】
ヨーロッパ特許第643657A1号は、過剰成長および移動している船舶と周囲の媒体との間の摩擦抵抗どのように下げるかという問題を取り扱っている。
【0037】
ヨーロッパ特許第643657A1号によれば、この問題は、防汚繊維の房の形態にある被覆を含んでなる船舶または他の海洋構造物により解決されるが、該房は、水と接触する表面の少なくとも一部に、1平方mmあたり繊維50〜300本の密度で静電気的に付けられた、防汚性の毒性薬品を含まない、長さ0.5〜5mmの合成繊維を含んでなり、該繊維は実質的に該表面に対して直角に密着している。
【0038】
ヨーロッパ特許第643657A1号はさらに、船舶または他の海洋構造物の水面下にある表面上での過剰成長を阻止する方法に関し、この方法は、
その水中表面に接着剤を塗布すること、
防汚性の毒性薬品を含まない、長さ0.5〜5mmの合成繊維を含んでなる繊維の房を水中表面の少なくとも一部に静電気的に付け、該繊維の房は、該接着剤により、該表面に対して実質的に直角に、1平方mmあたり繊維50〜300本の密度で接着することを含んでなる。
【0039】
ヨーロッパ特許第426904A1号は、基材、特に船舶の外側表面に塗料を塗布し、水中環境で海洋生物に露出されることによる汚染から表面を保護する方法であって、塗料が、重合した過フッ化炭化水素材料からなり、例えば干渉性形態の放射線、例えばレーザー光線、により基材に熱的に融着するが、その際、過フッ化炭化水素被覆が十分なエネルギーを吸収して融解し、基材および界面近くを加熱するのに十分なエネルギーを通過させ、被覆と基材界面を結合させる、方法に関する。
【0040】
好ましい実施態様では、過フッ化炭化水素材料を基材上に静電気的にスプレーし、次いで基材に熱的に融着させる。
【0041】
仏国特許第2157074号は、特に船体の外側表面を汚染から保護する方法に関し、この方法により、これらの表面は過フッ化炭化水素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン、を基剤とする塗料で被覆する。
【0042】
米国特許第4895881号は、水中に沈める表面上に被覆するための防汚組成物であって、組成物の乾燥重量に対して1〜50%の結合剤、ポリテトラフルオロエチレン粒子、および組成物の乾燥重量に対して5〜95%の、金属銅および銅および亜鉛化合物からなる群から選択された防汚剤を含んでなり、少なくとも一種のハロゲン化炭化水素を包含する液体分散媒体も含んでなり、ポリテトラフルオロエチレン粒子は該液体分散媒体中に分散している組成物に関する。
【0043】
この塗料組成物は、追加量の結合剤、例えばエポキシ樹脂および他の熱可塑性または硬化性の、過フッ化炭化水素重合体との組合せに好適な結合剤をさらに含むことができる。
【0044】
これらの被覆は、様々な様式で、例えば塗料ブラシ、ローラー、スプレー、浸漬、フローコーティングで塗布することができ、米国特許第4895881号には、これらの塗料は、例えば280℃より高い、例えば300〜315℃で1〜20分間、例えば5〜10分間加熱して融解(焼結)させるか、あるいはフレームスプレーしてもよいことが記載されている。
【0045】
他の技術分野
米国特許第4499225号は、様々な電気部品、自動車部品、等の被覆に使用できる塗料組成物に関する。優れた外観、良好な耐薬品性、高い絶縁特性および良好な耐水性が達成される。この塗料組成物は、実質的に水中に分散させた被膜形成成分からなり、該被膜形成成分は、60〜99重量%の、主成分としてポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらの誘導体からなる群から選択された一種以上の樹脂、および1〜40重量%の、低分子量の酸化されたポリエチレンおよび/またはその誘導体を含んでなる。記載されている試験例1〜3により達成される被服の厚さは200〜350ミクロンである。これらの塗料組成物を塗布するには、スプレー塗装、浸漬塗装、電着塗装、等を使用できる。試験例1および2では、塗料組成物を塗布した後、200℃で10分間、試験例3では180℃で10分間焼き付けている。
【0046】
米国特許第6033736号は、塗料プライマーおよび塗料補修接着剤として使用する水性ワックスエマルションに関し、これらの新規な塗料被覆両方の、および建築物表面上の古い亀裂の入った、または剥離している被覆の密着性および耐久性を改良する方法を記載している。この方法は、水性ワックスエマルションを表面に塗布することを含んでなり、該エマルションは、2〜50重量%の少なくとも一種の水分散性微粒子状ワックス、少なくとも一種の乳化剤、および40〜98重量%の水を含んでなり、エマルションを塗布し、乾燥させてから上塗り塗料を塗布する。ワックスは、カルナウバワックス、動物ワックス、鉱物ワックス、例えばパラフィンおよびミクロクリスタリンワックスおよび剛性ワックス、例えばFischer-Tropschワックスでよい。合成ワックスは、ポリエチレンワックスおよび化学的に変性した炭化水素ワックスでもよい。ワックスの融点は、100℃を超えることもできるが、好ましくは50〜100℃である。この塗料を顕微鏡で観察し、ワックス微粒子が乾燥した被覆中で形態学的に分離したままであることが確認されている。米国特許第6033736号の説明では、被覆の顕微鏡的に多孔質のビーズ状表面により塗料がワックスに堅く固定されていると考えられる。
【0047】
上記の方法により、塗料を続いて都合良く除去することができる。例えば、水性ワックスエマルションをプライマーとして使用する場合、そのプライマー上の塗料は、加圧熱水を使用してワックスのプライマー被覆を融解させ、古い塗料を運び去ることにより、容易に除去することができる。
【0048】
2.発明の開示
発明の目的
本発明の目的は、表面処理の改良された方法を提供することであり、特に表面に保護被覆を施す改良された方法を提供することである。
【0049】
特に、本発明は、
1.表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施し、
2.表面に、汚染物および腐食から保護する実質的に永久的な被覆を施し、
3.水中構造物、例えば船体、に実質的に永久的な防汚被覆を施す
改良された方法を提供することである。
【0050】
本発明の別の目的は、安価に製造でき、容易に塗布することができ、環境的に安全に使用できる塗料組成物、特に落書き防止塗料組成物、を提供することである。
【0051】
本発明の目的は、落書き、汚染物および腐食に対する改良された保護方法を提供することである。
【0052】
本発明の目的は、シートの表面を処理する改良された方法を提供すること、特にシートの表面に保護被覆を施す改良された方法を提供することである。
【0053】
本発明の別の目的は、被覆されたシートの製造方法を提供すること、特に保護被覆を施したシートを製造する改良された方法を提供することである。
【0054】
別の目的は、構造物の表面を保護する改良された方法を提供すること、特に構造物上のシートを被覆する改良された方法を提供することである。
【0055】
特に、本発明の目的は、
シートの表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施し、
シートの表面に実質的に永久的な、汚染物および腐食から保護する被覆を施す
改良された方法を提供することである。
【0056】
他の目的は本説明の他の部分に記載する。
【0057】
発明の開示
本発明の一態様により、液相中に分散させたポリオレフィンワックスの、またはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなる塗料組成物を提供する。
【0058】
本願で、用語「ポリオレフィン」は、「唯一のモノマーとしてのオレフィンの重合により製造された重合体、その共重合体、ならびにその酸化された、またはハロゲン化された、特にフッ素化された誘導体」を意味する。
【0059】
用語「ポリオレフィンワックスの混合物」は、「2種類以上の異なった重合体の顕微鏡的に均質な混合物(そのブレンドが、可視光波長の数倍より小さい尺度で均質である場合を含む)」を意味する。
【0060】
ポリオレフィンワックスは、以下に説明するように、ポリオレフィン骨格中の炭素原子の中間数により特徴付けられる。炭化水素中の炭素原子の数n、炭素骨格中ではCは、室温および大気圧におけるその物質の物理的状態を決定し、C〜Cは気体状態に対応し、C〜Cは液体状態に対応し、C〜C500はワックス状固体状態に対応し、500炭素原子より十分上では巨大分子の樹脂状重合体に対応する。nに関する上記の値は、nの増加により気体状態から固体状態への移行を例示するための例示目的のためにのみ記載する。特定の実材料に対する実際のn値は、炭化水素分子の製造に使用するモノマーの種類によって異なる。
【0061】
ポリオレフィンワックスを使用することの利点の一つは、ポリオレフィンワックスが、高温における加熱処理で流動し、低粘度の液体になり、続いて加熱処理の際および後に、化学的に不活性であり、機械的耐性を有する固体状態重合体の被覆に固まる能力を有することであると考えられる。
【0062】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、単独重合体、共重合体、ブロック共重合体およびランダム共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0063】
被覆材料としてポリオレフィンワックスを使用することの利点の一つは、ポリオレフィンが示す低い表面エネルギーである。
【0064】
ポリオレフィンワックス材料の粒子を使用することの他の利点を、特に化学組成の材料パラメータ、分子構造、メルトインデックス、粘度、メルトフロー比、粒子径、および分子量に関して以下に説明する。
【0065】
ポリオレフィンワックスは、オレフィンの、重合度が低い重合体として定義することもできる。
【0066】
ポリオレフィンワックスのアルカンは、半対数尺度でプロットした時に実質的に対称的な分子量分布を有することができる。分子量分布の最大における分子量として定義されるピーク分子量Mは、正規分布曲線に対する数平均分子量Mと重量平均分子量Mの間に入る。一実施態様で、分子量分布は均質であり、一モードである。
【0067】
合成ワックスは、高圧重合または低圧(ツィーグラー型触媒)重合により合成することができる。合成ワックスは、ポリエチレンプラスチック樹脂製造で生じる副生成物でよい。さらに、合成ワックスは、減圧蒸留し、より狭い分子量分布を得ることができる。
【0068】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスの製造工程はFischer-Tropsch合成に基づく。
【0069】
一実施態様で、メタロセン触媒をポリオレフィンワックスの製造工程で使用する。
【0070】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは熱可塑性材料である。
【0071】
好ましい実施態様で、塗料組成物の液相は、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子の融点または融点範囲より低い沸点または沸点範囲を有する。
【0072】
液相は、比較的低い温度、すなわち約50〜110℃で容易に蒸発し、環境的に許容され、ポリオレフィンワックスの粒子の懸濁液を支持するのに好適な液体または液体混合物を基剤とすべきである。
【0073】
一実施態様で、その液体または液体混合物は、温度50〜110℃、好ましくは70〜110℃、好ましくは75〜100℃、好ましくは75〜99℃、好ましくは75〜95℃で容易に蒸発する。
【0074】
ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子の融点または融点範囲は、好ましくは60〜250℃、特に90〜140℃である。
【0075】
好ましい実施態様で、塗料組成物の液相は有機系である。
【0076】
塗料組成物の液相は、実質的にエーテル、エステル、ケトン、アルコールおよびそれらの混合物からなる群の部材からなることができる。
【0077】
液相は、アルコール、好ましくはエチルアルコール、および所望により水を含んでなることができ、その際、液相中の水の濃度は、重量で計算して、50%まででよい。
【0078】
一実施態様で、塗料組成物の液相は、アルコール、好ましくはエチルアルコール、を含んでなる。
【0079】
別の好ましい実施態様で、塗料組成物の液相は、実質的に水性でよい。
【0080】
一実施態様で、塗料組成物の液相は、実質的にエチルアルコール、96%エタノールからなる。
【0081】
一実施態様で、塗料組成物の液相は、アルコール、好ましくはエチルアルコール、および水を含んでなる。
【0082】
一実施態様で、塗料組成物は、重量で計算して、
−ポリオレフィンワックス/ポリオレフィンワックス混合物1〜25%、好ましくは9〜13%、−液相99〜75%、好ましくは91〜87%を含む。
【0083】
さらに、塗料組成物は、希釈剤、分散剤、保存剤、乳化剤、および着色剤からなる群から選択された一種以上の補助剤を含んでなることができ、その際、塗料組成物は、重量で計算して、10%までの補助剤を含むことができる。
【0084】
着色剤は、染料または顔料系の着色剤から選択することができる。
【0085】
他の好ましい実施態様で、塗料組成物は、実質的に液相中に分散させたポリオレフィンワックスの、またはポリオレフィンワックス混合物の粒子からなる。
【0086】
一実施態様で、塗料組成物は、実質的に液相中に分散させたポリオレフィンワックスの粒子からなる。
【0087】
一実施態様で、塗料組成物は、実質的に液相中に分散させたポリオレフィンワックス混合物の粒子からなる。
【0088】
他の好ましい実施態様で、塗料組成物は、実質的に液体の有機相または水相中に分散させたポリオレフィンワックスの、またはポリオレフィンワックス混合物の粒子、および希釈剤、分散剤、保存剤、乳化剤、および着色剤からなる群から選択された一種以上の補助剤からなる。
【0089】
好ましいポリオレフィンワックスは、液相中に容易に分散し得る特徴を有する。一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、分散過程を改良する添加剤を実質的に使用せずに、分散する。
【0090】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスおよび酸化された、および/またはハロゲン化された、特にフッ素化されたポリエチレンおよびポリプロピレンワックスからなる群から選択される。
【0091】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の成分は、重合度が10〜3000、特に10〜500、特に20〜300、特に30〜200、特に30〜150、特に30〜100、特に8〜100、特に20〜80である。
【0092】
重合度は、重合して重合体を形成するモノマーの数として定義される。
【0093】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の成分は、酸化されたポリエチレンワックスである。
【0094】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、酸化されたポリエチレンワックスであり、酸価が1〜100mgKOH/g、好ましくは1〜40mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/g、さらに好ましくは2〜20mgKOH/g、さらに好ましくは2〜10mgKOH/gである。
【0095】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の少なくとも一種の成分は、ポリエチレンワックスである。
【0096】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは実質的にポリエチレンワックスである。
【0097】
一実施態様で、ポリエチレンワックスの粒子径は0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmである。
【0098】
一実施態様で、ポリエチレンワックスの融点は70〜200℃、好ましくは90〜150℃、特に90〜120℃である。
【0099】
一実施態様で、ポリエチレンワックスのピーク融点は70〜145℃、好ましくは80〜140℃、特に90〜135℃、特に95〜130℃、特に99〜128℃、特に95〜120℃である。ピーク融点は、サーモグラム、すなわち瞬間的熱容量と温度の関係のプロットを与える示差走査熱量測定(DSC)法により測定することができる。ピーク融点は、サーモグラム−プロットのピークとして記録する。
【0100】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは、重合度が10〜3000、特に10〜2000、特に10〜1000、特に10〜500、特に20〜300、特に30〜200、特に40〜150、特に40〜100である。
【0101】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは、重合度が50〜3000、特に50〜1500、特に60〜1000である。
【0102】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは、実質的に線状ポリエチレン分子からなる。
【0103】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは、高密度ポリエチレン、HDPEとして特徴付けられる。HDPEは、密度が0.94〜0.99g/cmであり、主として分岐していないポリエチレンからなる。
【0104】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは、149℃における粘度が2000mPas以下、1000mPas以下、300mPas以下、好ましくは200mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくは100mPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは50mPas以下、好ましくは40mPas以下、好ましくは20mPas以下、好ましくは10mPas以下、好ましくは5mPas以下である。
【0105】
これらの値は、ゼロせん断粘度値として記録する。ゼロせん断粘度値は、ゼロせん断速度における見掛け粘度であり、直接測定できる値ではないが、ある有限せん断速度の範囲にわたって観察した粘度の外挿によって得ることができる。
【0106】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは分子量分布M/Mが1〜25、好ましくは1〜10、好ましくは1〜5、好ましくは1〜3、好ましくは1〜2、好ましくは1〜1.5、好ましくは1〜1.2である。パラメータMおよびMの伝統的な測定方法では、M値は常にM値以下である(MおよびMの定義およびそれらの関係に関しては、「Handbook of polyethylene」、A.J. Peacock, Marcel Dekker Inc., 2000, pp. 7-10参照)。メルトフロー比のパラメータは、一般的な傾向としての分子量分布パラメータに関する概算測定である。
【0107】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが6.0以下であり、好ましくは分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが4.0以下であり、より好ましくは分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが2.0以下である。
【0108】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは分子量Mが400〜40000で、分子量分布M/Mが5.0以下であり、好ましくは分子量分布M/Mが4.0以下であり、好ましくは分子量分布M/Mが3.0以下である。
【0109】
別の好ましい実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたは、ポリオレフィンワックス混合物が望ましい場合、ポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種は、ポリエチレンワックスであり、その際、ポリエチレンワックスの粒子径は0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmであり、ポリエチレンワックスの融点は70〜200℃、好ましくは90〜150℃、特に90〜130℃、特に90〜120℃でよい。
【0110】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは、重合度が10〜500、特に20〜300、特に30〜200、特に30〜150、特に30〜100であり、粒子径が0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmであり、ピーク融点が70〜145℃、好ましくは80〜140℃、特に90〜135℃、特に95〜120℃であり、149℃における粘度が300mPas以下、好ましくは200mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくは100mPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは50mPas以下、好ましくは40mPas以下、好ましくは20mPas以下、好ましくは10mPas以下、好ましくは5mPas以下であり、分子量分布M/Mが1〜10、好ましくは1〜5、好ましくは1〜3、好ましくは1〜2、好ましくは1〜1.5、好ましくは1〜1.2である。
【0111】
一実施態様で、ポリエチレンワックスは、重合度が50〜3000、特に50〜1500、特に60〜1000であり、粒子径が0.1〜50μm、好ましくは2〜25μm、特に3〜10μmであり、DSC融点が90〜145℃、好ましくは90〜132℃、特に95〜132℃、特に100〜130℃であり、149℃における粘度が2000mPas以下、好ましくは1000mPas以下、好ましくは400mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは30mPas以下、好ましくは10mPas以下、好ましくは5mPas以下であり、分子量分布M/Mが1〜10、好ましくは1〜5、好ましくは1.2〜4である。
【0112】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、ポリエチレンワックス、Shamrock Technologiesから市販のShamrock S-394, SP 5、平均粒子径18μm、比重0.95g/cm、DSC融点113℃、軟化点99℃である。
【0113】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、ポリエチレンワックス、Shamrock Technologiesから市販のShamrock S-394, N 5、平均粒子径12.5μm、比重0.95g/cm、DSC融点113℃、軟化点99℃である。
【0114】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、ポリエチレンワックス、Shamrock Technologiesから市販のShamrock S-394, N 1、平均粒子径5μm、比重0.95g/cm、DSC融点113℃、軟化点99℃である。
【0115】
上記のパラメータ値は、製造業者により規定されている。Shamrock S-394, N 1に関する幾つかのパラメータは、Danish Polymer Centreによっても測定されており、Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS800で測定してDSCピーク融解温度101.4℃および129℃における粘度16mPasが得られている。さらに、粒子径排除(size exclusion)クロマトグラフィーをShamrock S-394, N 1に行っている。得られたクロマトグラムから、ピーク分子量は1200g/モルであり、多分散度は1.5と計算された。
【0116】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、ポリエチレンワックス、Dansk Voksfabrik A/S、コペンハーゲン、から市販のDAVOSI、比重0.96〜0.98g/cm、滴点(drop forming point)(DGF-M-III 3)125℃、酸価約4mgKOH/g、粒子径8〜14μmである。
【0117】
上記のパラメータ値は、製造業者により規定されている。幾つかのパラメータがDanish Polymer Centreによっても測定されており、Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS800で測定してDSCピーク融解温度126.8℃および149℃における粘度240mPasが得られている。さらに、粒子径排除クロマトグラフィーをDAVOSIに行っている。得られたクロマトグラムから、ピーク分子量は10000g/モルであり、多分散度は2.6と計算された。
【0118】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスはBaker Petroliteから市販のPOLYWAX 500、融点約71℃、である。一実施態様で、ポリオレフィンワックスはBaker Petroliteから市販のPOLYWAX 655、融点約87℃、である。一実施態様で、ポリオレフィンワックスはBaker Petroliteから市販のPOLYWAX 850である。一実施態様で、ポリオレフィンワックスはBaker Petroliteから市販のPOLYWAX 1000、融点約103℃、である。一実施態様で、ポリオレフィンワックスはBaker Petroliteから市販のPOLYWAX 2000、融点約112℃、である。一実施態様で、ポリオレフィンワックスはBaker Petroliteから市販のPOLYWAX 3000、融点約115℃、である。上記のPOLYWAX製品はすべて、エチレン単独重合体であり、線状であり、分子量分布M/Mが約1.1であり、高度に結晶性であることを特徴する。
【0119】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の少なくとも一種の成分は、ポリプロピレンワックスである。
【0120】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、ポリプロピレンワックスである。一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の少なくとも一種の成分は、プロピレンと一種以上の他のオレフィンの共重合体である。
【0121】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスの粒子径は0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmである。
【0122】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスのピーク融点は70〜250℃、好ましくは70〜200℃、好ましくは100〜180℃、好ましくは100〜170℃、特に110〜160℃、特に120〜150℃、特に100〜140℃である。
【0123】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスは、実質的に分岐していないポリプロピレン分子からなる。ポリプロピレン分子の分岐が減少すると、融解分布が狭くなる。
【0124】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスは、実質的にアイソタクチックポリプロピレン分子からなるとして特徴付けられる。アイソタクチックポリプロピレンは、すべてのプロピレンモノマーの挿入が同一であるために、すべてのメチル基が同じ立体化学を有する分子からなる。
【0125】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスは、実質的にシンジオタクチックポリプロピレン分子からなるとして特徴付けられる。モノマーが規則的に交互に挿入され、ペンダントメチル基が交互に配置されている立体化学により、シンジオタクチックポリプロピレンが得られる。
【0126】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスは、実質的に立体的ブロック重合体構造からなる、すなわち分子が、シンジオタクチックまたはアイソタクチックである断片を有する、として特徴付けられる。一実施態様で、ポリプロピレンは、アタクチックポリプロピレンを含んでなり、ペンダントメチル基が不規則に配置されている。
【0127】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスは、190℃における粘度が400mPas以下、好ましくは200mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくは100mPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは50mPas以下、好ましくは40mPas以下、好ましくは20mPas以下、好ましくは10mPas以下である。
【0128】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスは、230℃/2.16kgにおけるメルトフローが40g/分以上、好ましくは100g/分以上、好ましくは500g/分以上、好ましくは1000g/分以上、好ましくは4000g/分以上、好ましくは8000g/分以上である。メルトフローは、ASTM試験D1238Lにより、直径2.095mmダイを通して2.16kg負荷、230℃、10分間で流動する溶融重合体の重量として測定される。
【0129】
一実施態様で、ポリプロピレンワックスは分子量分布M/Mが1〜25、好ましくは1〜10、好ましくは1〜5、好ましくは1〜3、好ましくは1〜2、好ましくは1〜1.5、好ましくは1〜1.2である。
【0130】
別の好ましい実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたは、ポリオレフィンワックス混合物が望ましい場合、ポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種は、ポリプロピレンワックスであり、その際、ポリプロピレンワックスの粒子径は0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmであり、ポリプロピレンワックスの融点は70〜250℃、好ましくは100〜180℃、特に100〜140℃でよい。
【0131】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスは、粒子径0.1〜50μm、好ましくは0.5〜25μm、特に2〜20μmのプロピレンの共重合体であり、ポリプロピレンワックスのピーク融点が70〜250℃、好ましくは100〜180℃、特に120〜170℃であり、重合度が50〜3000、特に50〜1500、特に60〜1000であり、149℃における粘度が2000mPas以下、好ましくは1000mPas以下、好ましくは300mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは40mPas以下、好ましくは20mPas以下、好ましくは10mPas以下、好ましくは5mPas以下であり、分子量分布M/Mが1〜5、好ましくは1〜2、好ましくは1〜1.5である。
【0132】
一実施態様で、ポリオレフィンワックスは、ポリプロピレン共重合体粉末、Shamrock S 363、平均粒子径5μm、比重0.94g/cm、DSC融点140℃、軟化点68℃である。
【0133】
別の好ましい実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の成分の一種は、ポリテトラフルオロエチレンワックスである。しかし、ポリテトラフルオロエチレンワックスは、好ましくは他のポリオレフィンワックスとの混合物またはアロイで使用する。
【0134】
ポリテトラフルオロエチレンワックスの粒子径は0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmであり、ポリテトラフルオロエチレンワックスの融点は250〜360℃、好ましくは260〜330℃、特に280〜320℃でよい。一実施態様では、塗料組成物はPTFE、すなわちポリテトラフルオロエチレンの60%水性分散液、Shamrock FLUORO AQ 60、平均粒子径2〜3μm、pH7〜8、見掛け密度1.47である。
【0135】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分は、実質的に一般式:CHCHR−(CHCHR−CHR−CH(式中、nは、15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47および48であり、R=HまたはCHである。)により表されるアルカンの群から選択された一種以上のアルカンからなる。
【0136】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分は、実質的に一般式:CHCHR−(CHCHR−CHR−CH(式中、nは、49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123,124,125,126,127,128,129,130,131,132,134,135,136,137,138,139,140,141,142,143,144,145,146,147,148,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,188,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200,201,202,203,204,205,206,207,208,209,210,211,212,213,214,215,216,217,218,219,220,221,222,223,224,225,226,227,228,229,230,231,232,233,234,235,236,237,238,239,240,241,242,243,244,245,246,247および248であり、R=HまたはCHである。)により表されるアルカンの群から選択された一種以上のアルカンからなる。
【0137】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分は、実質的に一般式:CHCHR−(CHCHR−CHR−CH(式中、nは、249,250,251,252,253,254,255,256,257,258,259,260,261,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,288,289,290,291,292,293,294,295,296,297,298,299,300,301,302,303,304,305,306,307,308,309,310,311,312,313,314,315,316,317,318,319,320,321,322,323,324,325,326,327,328,329,330,331,332,333,334,335,336,337,338,339,340,341,342,343,344,345,346,347,348,349,350,351,352,353,354,355,356,357,358,359,360,361,362,363,364,365,366,367,368,369,370,371,372,373,374,375,376,377,378,379,380,381,382,383,384,385,386,387,388,389,390,391,392,393,394,395,396,397,398,399,400,401,402,403,404,405,406,407,408,409,410,411,412,413,414,415,416,417,418,419,420,421,422,423,424,425,426,427,428,429および430であり、R=HまたはCHである。)により表されるアルカンの群から選択された一種以上のアルカンからなる。
【0138】
一実施態様で、塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の成分は、実質的に一般式CHCHR−(CHCHR−CHR−CHにより表されるアルカンの群から選択された一種以上のアルカンからなり、ここでnは430〜3000、好ましくは430〜2000、好ましくは430〜1000である。
【0139】
一実施態様で、アルカンは、ある数の、アルカンの炭素骨格上に分岐として位置するアルキル基を有し、該数は30以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
【0140】
一実施態様で、アルカンの炭素骨格上に位置するアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルからなる群から選択され、好ましくはエチル、ブチル、ヘキシル、オクチルからなる群から選択され、より好ましくはエチルおよびブチルからなる群から選択され、さらに好ましくはエチルである。
【0141】
一実施態様で、R=CHであり、メチル基はすべて同じ立体化学を有する。
【0142】
一実施態様で、R=CHであり、立体化学は、あるメチル基から隣接する他のメチル基へと変化する。
【0143】
一実施態様で、R=CHであり、分子構造が立体ブロックである。
【0144】
本発明の一態様で、表面処理方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を用意する工程、
−該塗料組成物を表面に塗布する工程、
−塗布した塗料組成物から該液相を蒸発させる工程、および
−該乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、該ワックス粒子を融着させる工程
を含んでなる方法を提供する。
【0145】
本発明の別の態様で、表面に保護被覆を施す方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を表面に塗布し、
−塗布した塗料組成物から該液相を蒸発させ、
−該乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、該ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、該ワックス粒子を表面の連続被覆にし、
該熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める
ことにより行う、方法を提供する。
【0146】
ポリオレフィンワックス粒子は、塗布した塗料組成物から液相を蒸発させる際に、それらの形状を保存し、実質的にすべての液相が蒸発した時、粒子は実質的に乾燥した状態で残される。
【0147】
「融着する」/「融着」は、「粒子が融解または一緒に成長することにより、分離した粒子の非凝集相から凝集相を形成する/形成すること」を意味する。
【0148】
形成された凝集相は、開口部を有するポリオレフィン材料からなることがある。これらの開口部は、融着して凝集相を形成する一部の粒子が、それらの間で、融着前に、表面を完全に充填せず、被覆しないために生じる。
【0149】
本発明の一態様では、粒子径が比較的小さいので、熱処理により実質的に粒子全体が軟化し、熱処理の影響を受けていない粒子が実質的に内側に残らないので、これらの粒子は他の粒子と融着することができる。
【0150】
本発明の一実施態様で、ポリオレフィンワックスの粘度は、ポリオレフィンワックス粒子が非過剰加熱にさらされる時間に対して、低い値に急速に移行する。「非過剰加熱」とは、粒子の化学構造が損なわれない、および/または加熱処理にさらされる基材の材料が損なわれない加熱条件を意味する。
【0151】
一実施態様で、すべてのポリオレフィンワックス分子が加熱処理に均質に応答するには、低いメルトフロー比が好ましい。
【0152】
本発明の一実施態様で、粒子材料は、下記の物理的パラメータおよび特徴、すなわち化学的不活性、機械的耐性、メルトインデックス、粘度、メルトフロー比および粒子径、のすべて、またはほとんどすべてに有利な値を有するポリオレフィンワックスである。
【0153】
一実施態様では、該加熱処理された塗料組成物が固まって保護性被覆になる時に、ポリオレフィンワックスは再結晶し、塗料組成物のポリオレフィンワックス粒子の結晶構造とは別の結晶構造を形成する。一実施態様では、保護性被覆の固化に関連する過程が、ポリオレフィンワックスの無定形区域および/または結晶性区域と無定形区域の間の界面区域を形成する。「結晶性区域」、「無定形区域」、および「界面区域」の定義は、ここに参考として含める「Handbook of polyethylene」、A.J. Peacock, Marcel Dekker Inc., 2000, p. 68、および添付の図1参照。
【0154】
蒸発工程は、塗布した塗料組成物を室温/周囲温度で蒸発させることにより行えるが、良く知られている加熱装置を使用して熱を作用させることもできる。
【0155】
ワックス粒子を融着状態にする加熱処理は、良く知られている加熱装置を使用して、例えばIR放射線または熱風または高温ガスを使用して行うことができる。
【0156】
これらの方法の好ましい実施態様では、塗料組成物の液相が、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子の融点または融点範囲より低い沸点または沸点範囲を有する。これによって、ワックス粒子の温度が非常に高くなり、融着状態になる前、すなわち表面の連続被覆が形成される前に、液相を実質的に蒸発させることができる。
【0157】
一実施態様では、塗料組成物を表面にスプレーで塗布する。
【0158】
塗料組成物は、刷毛塗り、ワイピング、またはロール塗りを包含するいずれかの好適な塗布技術により塗布することができるが、好ましい実施態様では、塗料組成物を表面にスプレーにより塗布する。一実施態様では、ポリオレフィンワックスを液相中に分散させて得られる塗料組成物は、被覆すべき表面に、好ましくは高圧塗布を使用せずに塗布することができる。塗料組成物は、好ましくは手で操作するスプレービンで塗布することができる。
【0159】
本方法を落書きに対する保護処理として使用する場合、塗料組成物は、被覆された表面に付けられた落書きマークが保護被覆を通り、下にある表面に浸透するのを阻止するのに有効な量で塗布する。
【0160】
本方法を攻撃的なガスまたは液体に対する保護処理として使用する場合、塗料組成物は、被覆された表面と接触する攻撃的なガスまたは液体が保護被覆を通り、下にある表面に浸透するのを阻止するのに有効な量で塗布する。
【0161】
好ましい実施態様により、塗料組成物は表面に50〜350ml/mの量で塗布する。
【0162】
塗布する塗料組成物の量は、処理または保護すべき表面の多孔度および性質によって決定される。さらに、塗料組成物中にあるポリオレフィンワックス/ポリオレフィンワックス混合物の重量百分率も、処理または保護すべき表面の多孔度および性質によって決定される。
【0163】
一実施態様では、塗布される塗料組成物の量は、被覆の望ましい厚さによって決定される。一実施態様では、達成される被覆の厚さは、20μm未満、好ましくは10μm未満、好ましくは5μm未満、好ましくは1μm未満である。
【0164】
塗布する塗料組成物の典型的な濃度および量を下記の表1に示す。
【0165】
【表1】

【0166】
塗料組成物は、選択された量のポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物を、選択された量の選択された液体中に、所望により分散剤の存在下で、それ自体公知の様式で、例えば例でさらに説明するように、分散させることにより、製造する。
【0167】
好ましい実施態様は、請求項1〜52に記載する。
【0168】
本発明の他の態様により、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の表面処理への使用、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の、表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための使用、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の、表面に実質的に永久的な、汚染物および腐食に対する保護被覆を施すための使用、および
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の、水中構造物、例えば船体、に実質的に永久的な防汚被覆を施すための使用
を提供する。
【0169】
本発明の他の態様により、
−請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法により被覆した表面を有する構造物を含んでなる製造製品、および
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を使用して被覆した表面を有する構造物を含んでなる製造製品
を提供する。
【0170】
一実施態様で、製品は、一組のタービン、例えば風車タービン、のブレードである。請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法および/または請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を使用する利点の一つは、耐久性および保護性表面被覆を有するブレードを提供することである。
【0171】
一実施態様で、製品は、流体または固体物質用のタンク、例えば金属製タンクまたはガラス繊維製タンクである。請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法および/または請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を使用する利点の一つは、耐久性および保護性表面被覆を有する金属製タンクを提供することである。
【0172】
一実施態様で、製品は、eternit(繊維セメント)製のプレート、特に建物の屋根材および化粧面、である。請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法および/または請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を使用する利点の一つは、耐久性および保護性表面被覆を有するeternit製のプレートを提供することである。
【0173】
一実施態様で、製品は、大理石製のプレート、特に建物のファサード、である。請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法および/または請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を使用する利点の一つは、耐久性および保護性表面被覆を有する大理石製のプレートを提供することである。
【0174】
一実施態様で、製品は、金属物体、特に飛行機の翼、である。請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法および/または請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を使用する利点の一つは、金属物体に表面被覆を施し、金属物体の氷結防止性を改良することである。
【0175】
本発明の一態様により、これらの物体は、
シートの処理方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を用意する工程、
−該塗料組成物をシートの少なくとも一表面に塗布する工程、
−塗布された塗料組成物から該液相を蒸発させる工程、および
−該乾燥した、塗布された塗料組成物を加熱処理にかけ、該ワックス粒子を融着させる工程、
を含んでなる方法、
および/または
被覆されたシートの製造方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物をシートの少なくとも一表面に塗布する工程、
−塗布された塗料組成物から該液相を蒸発させる工程、
−該乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、該ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、該ワックス粒子をシートの連続被覆にする工程、および
該熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める工程
を含んでなる方法、
および/または
構造物上のシートを被覆することにより、構造物の表面に保護被覆を施す方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物をシートに塗布する工程、
−塗布された塗料組成物から該液相を蒸発させる工程、
−該乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、該ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、該ワックス粒子をシートの連続被覆にする工程、および
該熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める工程
を含んでなる方法
を提供することにより得られる。
【0176】
ポリオレフィンワックスは、どちらもここに参考として含める同日出願デンマーク特許出願第DKPA200201135号、同日出願デンマーク特許出願第DKPA2003XXXXX(本願と同じ出願者および同じ提出日付)に開示されているポリオレフィンワックスでよい。
【0177】
一実施態様では、2種類以上の被覆をシートに施し、一つの被覆を別の被覆に施し、さらにその上に他の被覆を施す。
【0178】
シートは、一つ以上のフィルムを含んでなり、接着層および内張も含んでなる。
【0179】
一実施態様では、シートは張り合わせた構造である。
【0180】
一実施態様では、シートはフィルムである。
【0181】
フィルムは、例えばフィルムの表面張力特性および/または静電気特性により、専用の接着剤層が存在しなくても接着させることができる。
【0182】
一実施態様では、シートは、第一主要接着剤層側およびシートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層、および第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有するフィルムを含んでなり、該第二主要フィルム側が第一主要接着剤層側に結合しており、塗料組成物は該第一主要フィルム側に塗布される。
【0183】
上記の用語「結合する」は、フィルムと接着剤層が互いに接着し、接着剤層がフィルム側面を完全に、またはほとんど完全に覆うので、フィルムの2つのフィルム側面の一方の実質的に全表面が、接着剤層の2つの接着剤層側面の一方の実質的に全表面と接触することを意味する。用語「結合している」は、上記と同様に、あるフィルムの片側と別のフィルムの片側との間の関係を限定するが、ただし2つのそのようなフィルム間の力はフィルムと接着剤層の場合とは強度および性質が異なる場合がある。さらに、用語「結合している」は、上記と同様に、主要シート表面と内張の表面との間の関係を限定するが、ただし2つのそのような表面間の力はフィルムと接着剤層の場合とは強度および性質が異なる場合がある。
【0184】
一実施態様では、シートは、第一主要接着剤層側およびシートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層、および第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有するフィルムを含んでなり、該第二主要フィルム側が第一主要接着剤層側に結合しており、塗料組成物は該第一主要フィルム側に塗布される。この実施態様では、フィルムは実質的に厚さ0.025mmを有し、実質的にポリエステルから製造され、フィルムと接着剤層の合計の厚さは実質的に0.050〜0.075mmであり、接着剤が感圧である。
【0185】
一実施態様では、シートは、第一主要接着剤層側およびシートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層、およびそれぞれ第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する2つ以上のフィルムを含んでなり、各フィルムは互いに積み重ねられているので、上のフィルムの第二主要フィルム側が下のフィルムの第一主要フィルム側に結合しているが、ただし積重の最も下にあるフィルムは別で、これはその第二主要フィルム側が第一主要接着剤層側に結合しており、最上部のフィルム側が該被覆方法にかけられる。
【0186】
一実施態様では、シートは、第一主要接着剤層側およびシートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層、およびそれぞれ第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する2つ以上のフィルムを含んでなり、各フィルムは互いに積み重ねられているので、上のフィルムの第二主要フィルム側が下のフィルムの第一主要フィルム側に結合しているが、ただし積重の最も下にあるフィルムは別で、これはその第二主要フィルム側が第一主要接着剤層側に結合しており、最上部のフィルム側が該被覆方法にかけられ、第二主要接着剤層側が構造物に付けられる。
【0187】
この実施態様のシートを構造物に付ける場合、時間が経過する中で、フィルム層の積重中の別のフィルム層を露出するのが好ましい場合がある。例えば処理して最上部のフィルム側の上に被覆を形成した最上部のフィルム層を、積重から部分的または完全に除去し、処理されていないフィルム層を露出させることができる。その後、処理されていないフィルム層を該被覆方法にかける。このようにして、構造物に新しいシートを付けずに、被覆されたフィルム層を再生することができる。そのような2つのフィルム側間の接着力は、一つのフィルムを接着している別のフィルムから手で除去できるような強度の力である。
【0188】
一実施態様では、シートは、2対以上の層を含んでなり、各層の対は、第一主要接着剤層側および第二主要接着剤層側を有する接着剤層、および第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有するフィルムを含んでなり、第二主要フィルム側は第一主要接着剤層側に結合しており、各層の対が別の層の対の上に積み重ねられているので、上にある対の第二主要接着剤層側が下にある層の対の第一主要フィルム側に結合し、最上部フィルム側が該被覆方法にかけられる。
【0189】
一実施態様では、シートは、第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する一つのフィルムを含んでなり、第一主要フィルム側および第二主要フィルム側が該被覆方法にかけられる。
【0190】
一実施態様では、フィルムは、主要フィルム側に塗布された、ラッカー、上刷りクリア、クリアコートまたはバッキング、およびそれらの組合せ、の群から選択された一種以上の塗布可能な物質をさらに含んでなる。この実施態様では、シートを、摩耗率が高い表面、例えば交通量の多い区域における床、に、該被覆方法にかけてから付けることができるが、好ましくは付けてから該被覆方法にかける。
【0191】
一実施態様では、シートの厚さは20μm〜8000μm、好ましくは30μm〜5000μm、より好ましくは30μm〜2000μm、さらに好ましくは30μm〜500μmである。一実施態様では、フィルムの厚さは20μm〜4000μm、好ましくは20μm〜2000μm、より好ましくは20μm〜500μm、さらに好ましくは20μm〜250μmである。
【0192】
フィルムは、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル、ポリウレタン、ポリアセチル、ポリオレフィン系イオノマー、エチレン酢酸ビニル重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ウレタン、アクリレート重合体、エポキシ重合体、エポキシアクリレート重合体、およびそれらの混合物からなる群から選択された材料から製造され、好ましくは、該材料は、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、該材料は、ポリエステルおよびポリ塩化ビニル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0193】
フィルムは着色または染色することができ、フィルムは無色、清澄、不透明または透明でよい。本発明の一態様では、フィルムに図形を付けるための多くの技術の一つ、例えば静電印刷、ピエゾインクジェット印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷または熱インクジェット印刷、により、図形をフィルム上に印刷する。一実施態様では、フィルムは実質的にポリエステルフィルムである。一実施態様では、フィルムは実質的にビニルフィルムである。
【0194】
接着剤層は、アクリル樹脂、ゴム、ポリオレフィンおよびそれらの混合物からなる群から選択された材料から製造される。接着剤層は、感圧または非感圧でよい。一実施態様では、接着剤層は感圧である。
【0195】
一実施態様では、接着剤層は、粘着付与剤、油、安定剤、難燃剤、UV光吸収剤およびそれらの混合物からなる群から選択された一種以上の物質をさらに含んでなる。
【0196】
一実施態様では、接着剤層の厚さは5μm〜150μm、好ましくは10μm〜50μm、より好ましくは10μm〜25μmである。
【0197】
シートは、幾つかの方法で製造することができる。結合層は、押出被覆してから、乾燥および/または硬化させることができる。
【0198】
本発明の一実施態様では、請求項64に記載の被覆されたシートの製造方法により、シートを含んでなる製品を製造する。
【0199】
本発明の一実施態様では、請求項64に記載の被覆されたシートの製造方法により、シートを含んでなる製品を製造するが、該製品は主要シート表面に結合したライナーをさらに含んでなる。
【0200】
ライナーは、クラフト紙、ポリエチレン被覆紙、重合体ライナーの群から選択された材料を含んでなる。
【0201】
本発明の一実施態様では、製品はロールとして提供される。
【0202】
本発明の一実施態様では、製品は個別シートとして提供される。個別シートは、そのシートを貼り付ける前に、大きな修正、例えばシートの分割、を必要とせずに操作できるシートとして定義される。ただし、個別シートは、シートを貼り付けた後、小さな修正を加える、例えばシートの小断片を切り取る、ことはできる。
【0203】
一実施態様では、シートは、フィルムが接着剤層上にあり、該接着剤層がライナー上にある。
【0204】
一実施態様では、構造物を請求項73の製品で完全に、または部分的に覆い、該構造物は、建物、建物の部品、エレベーター、窓、ドア、タイル、壁、仕切り、家具、看板、掲示板、工芸品、車両からなる群から選択される。
【0205】
一実施態様では、構造物は、請求項77に記載されており、そこでは車両がバス、列車、自動車、地下鉄からなる群から選択される。
【0206】
一実施態様では、請求項73の製品の使用は、請求項77〜78のいずれか一項に記載する構造物の表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための使用である。
【0207】
一実施態様では、請求項73の製品の使用は、請求項77〜78のいずれか一項に記載する構造物の表面に、汚染物および腐食から保護する実質的に永久的な被覆を施すための使用である。
【0208】
一実施態様では、請求項82に記載の方法を提供する。
【0209】
一実施態様では、請求項83に記載の方法を提供する。
【0210】
一実施態様では、請求項84に記載の方法を提供する。
【0211】
一実施態様では、請求項85に記載の方法を提供する。
【0212】
一実施態様では、請求項86に記載の方法を提供する。
【0213】
一実施態様では、請求項87に記載の方法を提供する。
【0214】
一実施態様では、請求項88に記載の方法を提供する。
【0215】
一実施態様では、構造物を、請求項81〜88のいずれか一項に記載の方法にかけ、該構造物は、建物、エレベーター、窓、ドア、タイル、壁、仕切り、家具、看板、掲示板、工芸品、車両からなる群から選択される。
【0216】
一実施態様では、構造物は、請求項88に記載されており、そこでは車両がバス、列車、自動車、地下鉄からなる群から選択される。
【0217】
一実施態様では、請求項81〜88のいずれか一項に記載する方法の使用は、請求項89または90に記載の構造物の表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための使用である。
【0218】
一実施態様では、請求項81〜88のいずれか一項に記載する方法の使用は、請求項89または90に記載の構造物の表面に、汚染物および腐食から保護する実質的に永久的な被覆を施すための使用である。
【0219】
一実施態様では、請求項81〜88のいずれか一項に記載する方法の使用は、請求項89または90に記載の構造物の表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための使用である。
【0220】
一実施態様では、請求項81〜88のいずれか一項に記載する方法の使用は、請求項89または90に記載の構造物の表面に、汚染物および腐食から保護する実質的に永久的な被覆を施すための使用である。
【0221】
以下に添付の図面を参照しながら、好ましい実施態様の詳細な説明により、本発明の実施態様を例としてのみさらに説明する。
【0222】
3.詳細な説明
図1aは、シート1を側方断面図で図式的に示す。シート1は、フィルム3が接着剤層2の上にある。フィルム3および接着剤層2は互いに結合しており、このシートは、張り合わされた構造として示されている。シートの最上部表面でもある第一主要フィルム側4も示す。
【0223】
図1bは、図1aのシートを示すが、そこでは被覆5が、シート11の最上部表面でもある第一主要フィルム側14に施されている。
【0224】
図2は、シート101を側方断面図で図式的に示す。シート101は2個のフィルム103からなり、これらが積み重ねられてフィルムの積重構造を形成している。フィルムの積重構造は、接着剤層102の上にある。上記のフィルム積重構造の主要側は、下にあるフィルム積重構造の主要表面に結合しており、下にあるフィルムの主要側および主要接着剤層側は互いに結合している。シート101は、張り合わせた構造として示されている。最上部のフィルム表面は主要第一フィルム側104であり、被覆方法にかけられる。
【0225】
図3は、シート201を側方断面図で図式的に示す。シート201は、2つの対205からなる。各対205は、同一であり、接着剤層202の上にフィルム203がある。2つの対205は、互いに積み重ねられており、下にある対のフィルム203が、上にある対の接着剤層202に結合している。最上部のフィルム表面は主要第一フィルム側204であり、被覆方法にかけられる。
【0226】
図4は、被覆されたシート401を側方断面図で図式的に示す。シート401は、クリアコート407上に被覆408がある。クリアコート407は、フィルム403の第一主要フィルム側の上にあり、フィルム403は、接着剤層402の上にあり、接着剤層402はライナー406の上にある。
【0227】
ここで本発明を下記の例により説明するが、これらの例は、例示目的のためにのみ記載するのであり、制限するものではない。下記の例で、他に指示がない限り、部数および百分率はすべて重量で、温度は摂氏で表示する。
【0228】
4.実施例
本発明の好ましい実施態様を例によりさらに説明するが、これらの例は、例示目的のためにのみ記載するのであり、制限するものではない。
【0229】
例で使用する材料は下記の通りである。
ワックス
カルナウバワックス:カルナウバワックス、タイプCARNAUBA CARE 100、Brenntag Nordicから市販、融点80〜86℃、酸価(ASTM D1386)2〜7。
セレシンワックス:セレシンワックス粉末、比重0.8g/cm、沸点約300℃、融点57〜59℃。
PE(1):ポリエチレンワックス粉末、DAVOSI、平均粒子径3〜5μm、
比重0.96〜0.98g/cm、滴点(DGF-M-III 3)125℃
PE(2):ポリエチレンワックス粉末、Shamrock S 394, N1、平均粒子径5μm、
比重0.95g/cm、DSC融点113℃、軟化点99℃
PE(3):ポリエチレンワックス粉末、Shamrock S 394, SP 5、平均粒子径18μm、
比重0.95g/cm、DSC融点113℃、軟化点99℃
PP(1):ポリプロピレン共重合体ワックス粉末、Shamrock S 363、平均粒子径5μm、比重0.94g/cm、DSC融点140℃、軟化点68℃
PTFE(1):ポリテトラフルオロエチレンの60%水性分散液、Shamrock FLUORO AQ 60、平均粒子径2〜3μm、pH7〜8、見掛け密度1.47
【0230】
溶剤/酸
油:パラフィン油、医薬品等級、ParafluidタイプPL501A、Parafluid Mineraloelgesellschaft GmbH、ハンブルグ、独国、から市販
アセトン:市販等級、Borup Kemi AS、デンマーク
キシレン:市販等級、Borup Kemi AS、デンマーク
ホワイトスピリット:市販等級、Borup Kemi AS、デンマーク
アルコール:変性エチルアルコール、市販等級、Borup Kemi AS、デンマーク
濃硫酸:96%市販等級、Borup Kemi AS、デンマーク
水:水道水
【0231】
補助剤
着色剤:Aquatop Teknomix 2990、Teknos Denmark ASから市販
【0232】
比較試験
比較例A(カルナウバワックス)
表面:コンクリート板90x160mm
油とカルナウバワックスの混合物(90:10)を小さな容器中でワックスが融解するまで加熱した。直ちに混合物をブラシでコンクリート板に塗布した。
20℃、相対湿度65%で24時間乾燥させた。
次いで、溶剤系の落書き塗料を被覆した表面上にスプレーし、20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
次いで、落書きを高圧(水、90〜100バール)洗浄にかけた。
結果:落書きは、高圧(水、90〜100バール)洗浄により除去できなかった。
【0233】
比較例B(セレシンワックス)
表面:コンクリート板90x160mm
油とセレシンワックスの混合物(90:10)を小さな容器中でワックスが融解するまで加熱した。直ちに混合物をブラシでコンクリート板に塗布した。
20℃、相対湿度65%で24時間乾燥させた。
次いで、溶剤系の落書き塗料を被覆した表面上にスプレーし、20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
次いで、落書きを高圧(水、90〜100バール)洗浄にかけた。
結果:落書きは、高圧(水、90〜100バール)洗浄により除去できなかった。
【0234】
本発明の例
下記の塗料組成物を製造し、下記の例で使用した。
【表2】

【0235】
例1(PE(1)Davosi−ポリエチレンワックス粉末)
表面:ガラス板70x150mm、鋼板150x150mm、
塗布量:6.7 10−5ml/cm
【0236】
ワックス混合物をエアレススプレーガンにより鋼板上に塗布し、3時間乾燥させた。試験試料の表面が白色のワックス粉末で覆われていることが観察された。次いで、試験試料の表面をRipack 2000ガス加熱ガンにより、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。
【0237】
20℃、相対湿度65%で12時間放置した。
【0238】
次いで、溶剤系の落書き塗料を被覆した表面上にスプレーし、塗料を20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0239】
観察
落書きは、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0240】
下記の試験試料基材に対して同様の試験を行った。
自動車用塗料を塗布した鋼板 100x100mm
コンクリート板 100x100mm
平滑なスレート板 100x100mm
粗いスレート板 100x100mm
平滑な花こう岩板 100x100mm
粗い花こう岩板 100x100mm
平滑な大理石板 100x100mm
砂岩板 100x100mm
【0241】
すべての層に対する観察
落書きは、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0242】
試験鋼試料の一つに、同じワックス被覆上で50までの落書き塗料の繰り返し層を塗布し、除去した。
【0243】
鋼板試験試料のもう一つに対する耐摩耗性を試験するために、3Mの硬質緑色キッチンスポンジで1000回繰り返し研磨(各30秒間)を行った。次いで、溶剤系落書き塗料を被覆した表面上にスプレーし、20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0244】
さらなる観察
非加熱表面では、ワックス被覆は布または軟質スポンジで容易に除去された。
【0245】
片側だけ被覆した砂岩試料の一つに、溶剤系落書き塗料を、上記のように、被覆側ならびに非被覆側の両方にスプレーした。
【0246】
観察
被覆側では、落書きは、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。非被覆側では、落書きは除去されなかった。
【0247】
次いで、濃硫酸を被覆側の約50%に薄い層で塗布した。
【0248】
90分後、浄水で酸を除去し、表面を乾燥させた。
【0249】
観察
硫酸による目に見える攻撃は検出されなかった。
【0250】
1時間後、落書き塗料の新しい層を塗布し、上記のように放置した。
【0251】
観察
落書きは、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0252】
非被覆側に同様の硫酸による試験を行った。
【0253】
観察
落書き塗料は酸により希釈/破壊され、酸により砂岩の表面も劣化し始めた。
【0254】
ワックス組成物に対する加熱処理の影響を調査するために、ワックス粉末約15gを金属製カップ中で加熱することにより、直径約60mm、厚さ15mmまでの多くの試料を成形した。
【0255】
4個の試料をそれぞれ褐色、青色、緑色および黒色に染色した。
【0256】
成形した試料を様々な液体、例えば
濃硫酸
アルコール
ホワイトスピリット
キシレン
アセトン
水道水
中に浸漬した。
【0257】
21日後の観察
試料の損傷または目に見える種類の劣化は一切検出されなかった。液体の着色も観察されなかった。
【0258】
着色試料1個を海水中に18箇月浸漬した。
【0259】
観察
試料の損傷または目に見える種類の劣化は一切検出されなかった。
【0260】
拡散開口度に関する試験
拡散開口度を評価するために、側面の一つに直径40mmの円を残した以外、すべての側面を上記のように処理したコンクリートの板(100x150x12mm)に対して試験を行った。
【0261】
該円の真上に、直径40mm、高さ600mmのガラス管を鋼板上にシリコーンで接着した。
【0262】
この管を浄水500mmで満たし、板を各角部で4個の木片上に置き、テーブル板から浮き上がらせた。
【0263】
観察
5〜10秒間後、水は被覆されたコンクリート板から非常に急速に滴り始めた。
【0264】
交通標識に対する試験
特殊な光反射処理した交通標識に、我々の被覆により光反射度が低下するかを確認する試験を行った。
【0265】
ワックス混合物をエアレススプレーガンで鋼板上に塗布し、3時間乾燥させた。次いで、試験試料の表面をRipack 2000ガス加熱ガンにより、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。
【0266】
20℃、相対湿度65%で12時間放置した。
【0267】
夜間に行った光試験により、被覆は光反射に対して悪影響を及ぼさないことが立証された。
【0268】
被覆された表面に対する変色の試験
数多くの基材に対する広範囲な、様々な試験の観察により、色および/または光沢の変化は極めて小さいことが示された。塗料を塗布しなかった鋼に対しても、暗色化および光沢増加は極めて限られていることが観察された。
【0269】
コケおよび藻類に対する保護の試験
コンクリートおよび鋼に対する一連の試験の観察により、この被覆には、湿り気のある、および濡れた環境におけるコケや藻類の生長を回避するか、または強く抑制する顕著な効果があることが分かった。
【0270】
例2(PE(2)Shamrock S 394, N1−ポリエチレンワックス粉末)
表面:ガラス板70x150mm、鋼板150x150mm、
塗布量:6.7 10−5ml/cm
【0271】
ワックス混合物をエアレススプレーガンにより鋼板上に塗布し、3時間乾燥させた。次いで、試験試料の表面をRipack 2000ガス加熱ガンにより、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。
【0272】
20℃、相対湿度65%で12時間放置した。
【0273】
次いで、溶剤系の落書き塗料を被覆した表面上にスプレーし、塗料を20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0274】
観察
落書きは、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0275】
例3(PE(3)Shamrock S 394, SP5−ポリエチレンワックス粉末)
表面:ガラス板70x150mm、鋼板150x150mm、
塗布量:6.7 10−5ml/cm
【0276】
ワックス混合物をエアレススプレーガンにより鋼板上に塗布し、3時間乾燥させた。次いで、試験試料の表面をRipack 2000ガス加熱ガンにより、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。
【0277】
20℃、相対湿度65%で12時間放置した。
【0278】
次いで、溶剤系の落書き塗料を被覆した表面上にスプレーし、塗料を20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0279】
観察
落書きは、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0280】
例4(PP(1)Shamrock S 363, −ポリプロピレンワックス粉末)
表面:ガラス板70x150mm、鋼板150x150mm、
塗布量:6.7 10−5ml/cm
【0281】
ワックス混合物をエアレススプレーガンにより鋼板上に塗布し、3時間乾燥させた。次いで、試験試料の表面をRipack 2000ガス加熱ガンにより、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。
【0282】
20℃、相対湿度65%で12時間放置した。
次いで、溶剤系の落書き塗料を被覆した表面上にスプレーし、塗料を20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0283】
観察
落書きは、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0284】
比較例PTFE(1)Shamrock FLUORO AQ60−ポリテトラフルオロエチレン粉末の60%水性分散液
水で50%に希釈したワックス分散液をエアレススプレーガンにより鋼板上に塗布し、3時間乾燥させた。次いで、試験試料の表面をRipack 2000ガス加熱ガンで加熱した。
【0285】
20℃、相対湿度65%で12時間放置した。
【0286】
次いで、溶剤系の落書き塗料を被覆した表面上にスプレーし、塗料を20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0287】
観察
落書きは、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により部分的にしか除去されなかったが、分散物は基材に結合できず、該洗浄方法により容易に除去された。
【0288】
結論
この製品は、恐らく塗布されたワックス粒子が保護被覆に融着していないので、意図する目的には使用できない。
【0289】
分散試験の観察
例5
PEワックス粉末の挙動を調査するために、そのような粉末をキャリヤー(エタノール)中に分散させ、一連の試料(下記参照)を電子顕微鏡で観察した。
【0290】
試験試料−ガラス板
Davosiワックス、PE(1)−エタノールと混合し、ガラス板上にスプレーする。
Davosiワックス、PE(1)−エタノールと混合し、ガラス板上にスプレーし、加熱する。
Shamrock タイプS 394 SP5ワックス−エタノールと混合し、ガラス板上にスプレーする。
Shamrock タイプS 394 SP5ワックス−エタノールと混合し、ガラス板上にスプレーし、加熱する。
Shamrock タイプS 394 N1ワックス−エタノールと混合し、ガラス板上にスプレーする。
Shamrock タイプS 394 N1ワックス−エタノールと混合し、ガラス板上にスプレーし、加熱する。
【0291】
観察
観察から、ワックス粉末は、エタノール中に溶解しないことが明らかであった。様々なワックス粉末をエタノールと混合したすべての試料で、ワックス粒子は無傷であることは明らかであった。
【0292】
同様に、熱処理後、ワックス粒子は透明で均質な、永久的に非常に安定した、耐熱性で耐薬品性のシートに変換されたことが明らかである。
【0293】
防汚用途に関する追加試験
例6(GRP板による試験)
ゲル被覆されたGRP板、約100x400mmの片側の50%を処理した。
【0294】
ワックス混合物(Davosiポリエチレンワックス粉末10gを96%エタノール1000g中に入れた)をエアレススプレーガンにより鋼板上に塗布し、3時間乾燥させた。次いで、試験試料の表面をRipack 2000ガス加熱ガンで、ホワイトワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。
【0295】
20℃、相対湿度65%で12時間放置した。
【0296】
試験試料を、デンマーク、BogenseのLeisure Boat Marineで海水中に30日間浸漬した。
【0297】
30日後の観察
非処理/被覆表面は、表面に強く付着した藻類のために緑色であった。
【0298】
処理/被覆表面は、屋外の空気中で硬化させた後の僅かに汚れているように見えたが、非常に細かい粒子(藻類ではない)は素手で容易に除去された。
【0299】
例7(鋼板による試験)
試験試料:黒色鋼板、寸法約150x150mm。
片側の50%(約75x150mm)を処理した。
【0300】
ワックス混合物(Davosiポリエチレンワックス粉末10gを96%エタノール1000g中に入れた)をエアレススプレーガンにより鋼板上に塗布し、3時間乾燥させた。次いで、試験試料の表面をRipack 2000ガス加熱ガンで、ホワイトワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。
【0301】
20℃、相対湿度65%で12時間放置した。
【0302】
試験試料を、デンマーク、BogenseのLeisure Boat Marineで海水中に30日間浸漬した。
【0303】
30日後の観察
非処理/被覆表面は、ひどく錆び、フジツボが付着していた。
【0304】
処理した表面は、僅かに汚れていた(ブラシおよび浄水で容易に除去された)が、板は、その他の点では錆びまたは藻類により攻撃されなかった。
【0305】
拡散開口度の試験
例8
試験1
寸法100x200x10mmの平滑なコンクリート試料の、直径40mmの円形区域を除いたすべての面上に塗料組成物を塗布した。塗料組成物は、ポリエチレンワックス粉末タイプDavosi100gを96%エタノール1リットル中に混合することにより、製造した。
【0306】
この塗料組成物をエアレススプレーガンにより塗布し、2時間乾燥させた。キャリヤー(エタノール)蒸発後、白色のワックス粉末がシートの表面を覆っていることが観察された。次いで、表面をRipack 2000ガス加熱ガンで、ホワイトワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した後、被覆を48時間放置した。
【0307】
未処理の円形区域で、直径40mm、高さ600mmのガラス管をシリコーン接着剤で固定し、24時間放置した。
【0308】
この管を低温の水道水で満たし、コンクリート試料を4個の直径10mmの鋼製ボルト上に置き、試料をテーブルから浮き上がらせた。
【0309】
観察
4〜5秒間後、最初の水滴がテーブル板に落ち、水はコンクリート試料を通して毎秒1〜2滴で滴下した。
【0310】
試験2
より多くの個別被覆が拡散開口度を下げる、または無くすことができるかを見るために、上記の試験1と類似の試験を行った。
【0311】
寸法100x200x10mmの平滑なコンクリート試料の、直径40mmの円形区域を除いたすべての面上に塗料組成物を塗布した。塗料組成物は、ポリエチレンワックス粉末タイプDavosi100gを96%エタノール1リットル中に混合することにより、製造した。塗料組成物は3回の連続した被覆処理でエアレススプレーガンにより表面上に塗布した。各被覆処理毎に、キャリヤー(エタノール)蒸発後、白色のワックス粉末が表面を覆っていることが観察された。キャリヤー蒸発後、表面は2時間乾燥させた。次いで、表面をRipack 2000ガス加熱ガンで、ホワイトワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱し、被覆を45時間放置した。3回の被覆は、それぞれ6時間の間隔を置いて塗布した。
【0312】
未処理の円形区域で、直径40mm、高さ600mmのガラス管をシリコーン接着剤で固定し、24時間放置した。
【0313】
この管を低温の水道水で満たし、コンクリート試料を4個の直径10mmの鋼製ボルト上に置き、試料をテーブルから浮き上がらせた。
【0314】
観察
4〜5秒間後、最初の水滴がテーブル板に落ち、水はコンクリート試料を通して毎秒1〜2滴で滴下した。
【0315】
結論:3回までの被覆を施しても、拡散開口度が少なくなる、または無くなることはない。
【0316】
耐薬品性試験
例9
耐薬品性を試験するために、下記の試験を行った。この試験には、寸法97x35x10mmのコンクリートおよび大理石の試料を使用した。塩酸溶液を試料に対して使用した。
【0317】
【表3】

【0318】
鋼板上被覆の耐久性試験
例10
ポリエチレンワックス粉末Davosi10gを96%エタノール1リットル中に混合することにより、塗料組成物を製造した。塗料組成物をエアレススプレーガンで、寸法150x150mmの鋼板の半分の区域(区域1と表示する)上に塗布し、3時間乾燥させた。エタノールが蒸発した時、白色のワックス粉末が表面を覆っていることが観察された。次いで、Boschエア加熱ガンにより表面を、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。この組成物を20℃、相対湿度65%で12時間放置した。溶剤系落書き塗料を表面全体(区域1+区域2)にスプレーし、20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0319】
観察
区域1における落書き塗料は、爪および/またはクレジットカードを使用して容易に除去された。区域2では、爪および/またはクレジットカードでは落書きを除去できなかった。
【0320】
継続試験
2日間の間隔を置いて、新しい落書き層を塗布し、放置した落書き塗料を除去する工程を繰り返した。50回の反復落書き層を板上で塗布/除去した。
【0321】
観察
区域1における落書き塗料は、爪および/またはクレジットカードを使用して容易に除去された。区域2では、爪および/またはクレジットカードでは落書きを除去できなかった。
【0322】
追加試験
追加の材料を試験した。これらの材料を下記の表に、選択された物理的パラメータと共に記載する。
【0323】
【表4】

【0324】
材料A1〜A7の分散液を様々な量の水およびエタノールで製造したが、それらの被覆結果を以下に説明する。A8は、Clariantから水性分散液として供給された。
【0325】
96体積%エタノール100%、水0%
A1〜A4の分散液は、分離する傾向を示した。
A5〜A7は安定した分散液を形成した。A1〜A7の分散液を鋼板に塗布し、乾燥させた後、加熱ガンを使用して加熱した。その後、落書き塗料を鋼板に塗布し、放置した。
【0326】
その後、落書き塗料の除去し易さを試験したが、その結果を以下に示す。
A1を使用した時の被覆上の落書き塗料は除去できなかった。
A2〜A5を使用した時の被覆上の落書き塗料は除去できた。
A6〜A7を使用した時の被覆上の落書き塗料は除去できなかった。
【0327】
96体積%エタノール50%、水50%
A1〜A4の分散液は分離した。
A5は安定した分散液を形成した。A1〜A5の分散液を鋼板に塗布し、乾燥させた後、加熱ガンを使用して加熱した。その後、落書き塗料を鋼板に塗布し、放置した。
【0328】
その後、落書き塗料の除去し易さを試験したが、その結果を以下に示す。
A1〜A4を使用した時の被覆上の落書き塗料は除去できなかった。
A5を使用した時の被覆上の落書き塗料は除去できた。
【0329】
96体積%エタノール0%、水100%
A1〜A5の分散液は分離した。
A1〜A5およびA8の分散液を鋼板に塗布し、乾燥させた後、加熱ガンを使用して加熱した。その後、落書き塗料を鋼板に塗布し、放置した。
【0330】
その後、落書き塗料の除去し易さを試験したが、その結果を以下に示す。
A1〜A5を使用した時の被覆上の落書き塗料は除去できなかった。
A8を使用した時の被覆上の落書き塗料は除去できた。
【0331】
シートに関連する例
例11
試験1
Marseilles公共輸送会社の公共バスに商品名3M Scotchcal 639, High Gloss Overlaminate 639の装飾シートを貼り付け、バスの全側面およびドアを覆った。
【0332】
ポリエチレンワックス粉末Davosi10gを96%エタノール1リットル中に混合することにより、塗料組成物を製造した。塗料組成物をエアレススプレーガンで、シート上に塗布し、3時間乾燥させた。エタノールが蒸発した時、白色のワックス粉末がシートの表面を覆っていることが観察された。次いで、Ripack 2000ガス加熱ガンによりシートの表面を、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。塗布されたポリエチレンワックス粉末の量は、6.7・10−5ml/cmであった。この組成物を20℃、相対湿度65%で3時間放置した。
【0333】
溶剤系落書き塗料を被覆された表面上に約0.1mの2つの区域にスプレーし、20℃、相対湿度65%で6時間放置した。
【0334】
観察
2区域の第一にある落書き塗料は、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0335】
さらに18時間後:
2区域の第二にある落書き塗料は、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0336】
試験2
別の試験をバスに行った。商品名3M Scotchcal 639, High Gloss Overlaminate 639の装飾シートを貼り付け、バスの全側面およびドアを覆ったが、試験1に記載したようにシートを被覆しなかった。
【0337】
溶剤系落書き塗料を被覆された表面上に約0.1mの2つの区域にスプレーし、20℃、相対湿度65%で6時間放置した。
【0338】
観察
6時間後、落書き塗料は、硬質ブラシを機械的に強くかけることにより、部分的に除去できた。
【0339】
さらに18時間後:
落書き塗料は除去できなかった。
【0340】
例12
3M Scotchcal 639, High Gloss Overlaminate 639のシート210x320mmを予め製造した塗料組成物で被覆した。
【0341】
ポリエチレンワックス粉末Davosi7gを96%エタノール1リットル中に混合することにより、塗料組成物を製造した。塗料組成物をエアレススプレーガンで、1、2、3および4で表す4つの部分区域からなるシート上に、塗料組成物がシートの半分、すなわち区域1および2を覆うように塗布し、3時間乾燥させた。エタノールが蒸発した時、白色のワックス粉末がシートの表面を覆っていることが観察された。次いで、Boschエア加熱ガンにより表面を、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。この組成物を20℃、相対湿度65%で12時間放置した。溶剤系落書き塗料をシート表面全体(区域1〜4)にスプレーし、20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0342】
次いで、シートを折り曲げて幾つかの堅い折り目を付け、塗布した被覆のたわみ性を試験した。次いで、この自己接着性ラミネートを1mm鋼板に貼り付けた。
【0343】
観察
区域1における落書き塗料は、爪およびクレジットカードを使用して容易に除去された。これは、ラミネートを折り曲げた所にも当てはまる。
【0344】
区域3では、落書き塗料は表面により堅く付着していたが、爪およびクレジットカードで除去できた。
【0345】
継続試験
さらに24時間後、区域2および4における落書き塗料を除去する試みを行った。
観察
区域2における落書き塗料は、爪およびクレジットカードを使用して容易に除去された。これは、折り目を付けた「線」にも当てはまる。
【0346】
区域4における落書き塗料は爪またはクレジットカードを使用して除去できなかった。
【0347】
試験13
Blue Oracal Series 640パーマネントホイルのシートを、例11に記載した3M 639ラミネートと同じ条件下で試験した。
【0348】
塗料組成物の製造は、例11と同様に行った。
【0349】
ポリエチレンワックス粉末Davosi7gを96%エタノール1リットル中に混合することにより、塗料組成物を製造した。塗料組成物をエアレススプレーガンで、1、2、3および4で表す4つの部分区域からなるシート上に、塗料組成物がシートの半分、すなわち区域1および2を覆うように塗布し、3時間乾燥させた。エタノールが蒸発した時、白色のワックス粉末がシートの表面を覆っていることが観察された。次いで、Boschエア加熱ガンにより表面を、白色ワックス粉末が融解し、透明になるまで加熱した。この組成物を20℃、相対湿度65%で12時間放置した。溶剤系落書き塗料をシート表面全体(区域1〜4)にスプレーし、20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0350】
次いで、シートを折り曲げて幾つかの堅い折り目を付け、塗布した被覆のたわみ性を試験した。次いで、この自己接着性ラミネートを1mm鋼板に貼り付けた。
【0351】
観察
区域1における落書き塗料は、爪およびクレジットカードを使用して容易に除去された。これは、ラミネートを折り曲げた所にも当てはまる。
【0352】
区域2では、落書き塗料はクレジットカードで除去できなかった。
【0353】
継続試験
さらに24時間後、区域2および4における落書き塗料を除去する試みを行った。
【0354】
観察
区域2における落書き塗料は、爪およびクレジットカードを使用して容易に除去された。これは、折り目を付けた「線」にも当てはまる。
【0355】
区域4における落書き塗料は爪またはクレジットカードを使用して除去できなかった。
【0356】
例14
ポリエチレンワックス粉末Shamrock S-394、粒子径5μm、を96%エタノール1リットルと混合することにより製造した塗料組成物でシート3M Scotchcal 639, High Gloss Overlaminate 639を被覆した。塗料組成物は、一個以上のエアレススプレーガンを使用し、連続工程で、シートをスプレー区域中に連続的に移動させることにより、シート上に塗布した。塗料組成物を塗布した後、スプレー区域から出たシート部分は乾燥区域に入り、そこでエタノールを蒸発させた。その後、乾燥区域から出たシート部分は、加熱区域に入り、そこで塗料組成物の粒子が融解した。その後、加熱区域から出たシート部分は、冷却区域に入り、融解した組成物を固化させ、実質的に連続した被覆をシート上に形成した。
【0357】
次いで、被覆されたシートに溶剤系落書き塗料を塗布した。塗料を20℃、相対湿度65%で24時間放置した。
【0358】
観察
落書き塗料は、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。
【0359】
同じワックス被覆されたシート上に落書き塗料の反復層を50回まで塗布し、除去することができる。
【0360】
例15
例11に記載するようにして貨車にシートを貼り付ける。例11で製造した塗料組成物を、シート被覆した貨車の一部に塗布する。その後、シートに例11の表面処理方法を行う。
【0361】
その後、被覆されたシートに溶剤系落書き塗料を塗布し、塗料を放置した。
【0362】
観察
落書き塗料は、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去された。同じワックス被覆されたシート上に落書き塗料の反復層を50回まで塗布し、除去することができる。
【0363】
例16
例11に記載したシートを予め製造した塗料組成物で被覆する。塗料組成物の製造は、例11と同様に行う。塗料組成物は、一個以上のエアレススプレーガンを使用てシート上に塗布する。塗料組成物を塗布した後、シートを乾燥させ、エタノールを蒸発させる。その後、シートを熱処理し、ポリエチレン粒子を融解させる。その後、シートを冷却し、融解した組成物を固化させ、実質的に連続した被覆をシート上に形成する。
【0364】
次いで、被覆されたシートに溶剤系落書き塗料を塗布する。塗料を20℃、相対湿度65%で24時間放置する。
【0365】
観察
落書き塗料は、ブラシおよびぬるま湯ならびに高圧洗浄(水、90〜100バール)により容易に除去できることが分かる。
【0366】
同じワックス被覆されたシート上に落書き塗料の反復層を50回まで塗布し、除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0367】
【図1a】第一の種類のシートを図式的に示す。
【図1b】被覆を施した第一の種類のシートを図式的に示す。
【図2】第二の種類のシートを図式的に示す。
【図3】第三の種類のシートを図式的に示す。
【図4】被覆を施した第四の種類のシートを図式的に示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相中に分散させた、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなる、塗料組成物。
【請求項2】
前記塗料組成物の液相が、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子の融点または融点範囲よりも低い沸点または沸点範囲を有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記塗料組成物の前記液相が有機系である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記塗料組成物の前記液相が、エーテル、エステル、ケトン、アルコールおよびそれらの混合物からなる群の部材から実質的になる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記塗料組成物の前記液相が、アルコール、好ましくはエチルアルコール、を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記塗料組成物の前記液相が、アルコール、好ましくはエチルアルコール、および水を含んでなる、請求項5に記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記液相中の水の濃度が、重量換算で50%以下である、請求項6に記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記塗料組成物の前記液相が、実質的に水性である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記塗料組成物が、重量換算で、
−ポリオレフィンワックス/ポリオレフィンワックス混合物1〜25%、好ましくは9〜13%、−液相99〜75%、好ましくは91〜87%を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項10】
前記塗料組成物が、希釈剤、分散剤、保存剤、乳化剤、および着色剤からなる群から選択される一種以上の補助剤を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項11】
前記塗料組成物が、重量換算10%以下の補助剤を含有する、請求項10に記載の塗料組成物。
【請求項12】
前記塗料組成物が、液相中に分散させた、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子から実質的になる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項13】
前記塗料組成物が、液体の有機相または水相中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子、および希釈剤、分散剤、保存剤、乳化剤、および着色剤からなる群から選択された一種以上の補助剤から実質的になる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項14】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ならびに、酸化および/またはハロゲン化された、特にフッ素化されたポリエチレンおよびポリプロピレンワックスからなる群から選択されるものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項15】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の成分の重合度が8〜100、特に20〜80である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項16】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分が、酸化されたポリエチレンワックスである、請求項14または15に記載の塗料組成物。
【請求項17】
前記酸化されたポリエチレンワックスの酸価が1〜100mgKOH/g、好ましくは1〜40mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/g、さらに好ましくは2〜20mgKOH/g、さらに好ましくは2〜10mgKOH/gである、請求項16に記載の塗料組成物。
【請求項18】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種が、ポリエチレンワックスである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項19】
前記ポリオレフィンワックスが、実質的にポリエチレンワックスである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項20】
前記ポリエチレンワックスの粒子径が0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmである、請求項14〜19のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項21】
前記ポリエチレンワックスの融点が70〜200℃、好ましくは90〜150℃、特に90〜120℃である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項22】
前記ポリエチレンワックスのピーク融点が70〜145℃、好ましくは80〜140℃、特に90〜135℃、特に95〜120℃である、請求項14〜21のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項23】
前記ポリエチレンワックスの重合度が10〜3000、特に10〜2000、特に10〜1000、特に10〜500、特に20〜300、特に30〜200、特に40〜150、特に40〜100である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項24】
前記ポリエチレンワックスの重合度が50〜3000、特に50〜1500、特に60〜1000である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項25】
前記ポリエチレンワックスが、実質的に線状ポリエチレンからなる、請求項14〜24のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項26】
前記ポリエチレンワックスが高密度ポリエチレン、HDPEである、請求項14〜25のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項27】
前記ポリエチレンワックスの149℃における粘度が2000mPas以下、1000mPas以下、300mPas以下、好ましくは200mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくは100mPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは50mPas以下、好ましくは40mPas以下である、請求項14〜26のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項28】
前記ポリエチレンワックスの分子量分布M/Mが1〜25、好ましくは1〜10、好ましくは1〜5、好ましくは1〜3、好ましくは1〜2、好ましくは1〜1.5、好ましくは1〜1.2である、請求項14〜27のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項29】
前記ポリエチレンワックスの分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが6.0以下であり、好ましくは分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが4.0以下であり、より好ましくは分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが2.0以下である、請求項14〜28のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項30】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種がポリプロピレンワックスである、請求項14または15に記載の塗料組成物。
【請求項31】
前記ポリオレフィンワックスが実質的にポリプロピレンワックスである、請求項14または15に記載の塗料組成物。
【請求項32】
前記塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種が、プロピレンと一種以上の他のオレフィンの共重合体である、請求項14または15に記載の塗料組成物。
【請求項33】
前記ポリプロピレンワックスの粒子径が0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmである、請求項14、15、30〜32のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項34】
前記ポリプロピレンワックスの融点が70〜250℃、好ましくは100〜180℃、特に100〜140℃である、請求項14、15、30〜33のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項35】
前記ポリプロピレンワックスのピーク融点が70〜200℃、好ましくは100〜170℃、特に110〜160℃、特に120〜150℃である、請求項14、15、30〜34のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項36】
前記ポリプロピレンワックスが、実質的に分岐していないポリプロピレン分子からなる、請求項14、15、30〜35のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項37】
前記ポリプロピレンワックスが、実質的にアイソタクチックポリプロピレン分子からなることを特徴とする、請求項14、15、30〜36のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項38】
前記ポリプロピレンワックスが、実質的にシンジオタクチックポリプロピレン分子からなることを特徴とする、請求項14、15、30〜36のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項39】
前記ポリプロピレンワックスが、実質的に立体的ブロック重合体構造からなる、すなわち分子が、シンジオタクチックまたはアイソタクチックである断片を有することを特徴とする、請求項14、15、30〜36のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項40】
前記ポリプロピレンワックスの190℃における粘度が400mPas以下、好ましくは200mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくは100mPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは50mPas以下、好ましくは40mPas以下である、請求項14、15、30〜39のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項41】
前記ポリプロピレンワックスの230℃/2.16kgにおけるメルトフローが40g/分以上、好ましくは100g/分以上、好ましくは500g/分以上、好ましくは1000g/分以上、好ましくは4000g/分以上、好ましくは8000g/分以上である、請求項14、15、30〜40のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項42】
前記ポリプロピレンワックスの分子量分布M/Mが1〜25、好ましくは1〜10、好ましくは1〜5、好ましくは1〜3、好ましくは1〜2、好ましくは1〜1.5、好ましくは1〜1.2である、請求項14、15、30〜41のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項43】
前記塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の成分の一種がポリテトラフルオロエチレンワックスである、請求項14または15に記載の塗料組成物。
【請求項44】
前記ポリテトラフルオロエチレンワックスの粒子径が0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmである、請求項43に記載の塗料組成物。
【請求項45】
前記ポリテトラフルオロエチレンワックスの融点が250〜360℃、好ましくは260〜330℃、特に280〜320℃である、請求項43または44に記載の塗料組成物。
【請求項46】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分が、実質的に一般式:CHCHR−(CHCHR−CHR−CH(式中、nは、15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47および48であり、R=HまたはCHである)により表されるアルカンの群から選択される一種以上のアルカンからなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項47】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたは前記ポリオレフィンワックス混合物中の成分が、実質的に一般式:CHCHR−(CHCHR−CHR−CH(式中、nは、49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123,124,125,126,127,128,129,130,131,132,134,135,136,137,138,139,140,141,142,143,144,145,146,147,148,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,188,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200,201,202,203,204,205,206,207,208,209,210,211,212,213,214,215,216,217,218,219,220,221,222,223,224,225,226,227,228,229,230,231,232,233,234,235,236,237,238,239,240,241,242,243,244,245,246,247および248であり、R=HまたはCHである)により表されるアルカンの群から選択された一種以上のアルカンからなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項48】
前記アルカンが、前記アルカンの炭素骨格上に分岐として位置するアルキル基数を有し、前記アルキル基数が30以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である、請求項46または47に記載の塗料組成物。
【請求項49】
前記アルカンの炭素骨格上に位置する前記アルキル基が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルからなる群から選択されるものであり、好ましくはエチル、ブチル、ヘキシル、オクチルからなる群から選択され、より好ましくはエチルおよびブチルからなる群から選択され、さらに好ましくはエチルである、請求項48に記載の塗料組成物。
【請求項50】
=CHであり、前記メチル基がすべて同じ立体化学を有する、請求項46または47に記載の塗料組成物。
【請求項51】
=CHであり、前記立体化学が、あるメチル基から隣接する他のメチル基へと変化する、請求項46または47に記載の塗料組成物。
【請求項52】
=CHであり、分子構造が立体ブロックである、請求項46または47に記載の塗料組成物。
【請求項53】
表面処理方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を用意する工程、
−前記塗料組成物を前記表面に塗布する工程、
−前記塗布した塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、および
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記ワックス粒子を融着させる工程
を含んでなる、方法。
【請求項54】
表面に保護被覆を施す方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を前記表面に塗布し、
−前記塗布した塗料組成物から前記液相を蒸発させ、
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、前記ワックス粒子を表面の連続被覆にし、
前記熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める
ことにより行う、方法。
【請求項55】
前記塗料組成物を前記表面にスプレーで塗布する、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
前記塗料組成物が前記表面に50〜350ml/mの量で塗布される、請求項53〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の表面処理への使用。
【請求項58】
請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の、表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための使用。
【請求項59】
請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の、表面に実質的に永久的な、汚染物および腐食に対する保護被覆を施すための使用。
【請求項60】
請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の、水中構造物、例えば船体、に実質的に永久的な防汚被覆を施すための使用。
【請求項61】
請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法により得られる表面を有する構造物を含んでなる製造製品。
【請求項62】
請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物の使用により得られる表面を有する構造物を含んでなる製造製品。
【請求項63】
シートの処理方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を用意する工程、
−前記塗料組成物を前記シートの少なくとも一表面に塗布する工程、
−前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、および
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を加熱処理にかけ、前記ワックス粒子を融着させる工程、
を含んでなる、方法。
【請求項64】
被覆されたシートの製造方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を前記シートの少なくとも一表面に塗布する工程、
−前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、前記ワックス粒子を前記シートの連続被覆にする工程、および
前記熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める工程
を含んでなる、方法。
【請求項65】
前記シートがフィルムである、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記シート1が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層2、ならびに
第一主要フィルム側4および第二主要フィルム側を有するフィルム3を含んでなり、前記第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、前記塗料組成物が前記第一主要フィルム側4に塗布される、請求項63または64に記載の方法。
【請求項67】
前記シート101が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層102、および
それぞれ第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する2つ以上のフィルム103を含んでなり、
各フィルムは互いに積み重ねられ、上のフィルムの第二主要フィルム側が下のフィルムの第一主要フィルム側に結合しているが、積重の最も下にあるフィルムは別で、これはその第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、最上部のフィルム側104に前記被覆方法を実施する、請求項63または64に記載の方法。
【請求項68】
前記シート201が、2対以上の層205を含んでなり、各層205の対が、第一主要接着剤層側および第二主要接着剤層側を有する接着剤層202、および
第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有するフィルム203を含んでなり、第二主要フィルム側が第一主要接着剤層側に結合しており、
各層205の対が別の層205の対の上に積み重ねられ、上にある対の第二主要接着剤層側が下にある層205の対の第一主要フィルム側に結合し、最上部フィルム側204に前記被覆方法を実施する、請求項63または64に記載の方法。
【請求項69】
前記シートが、第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する一つのフィルムを含んでなり、前記第一主要フィルム側および前記第二主要フィルム側に前記被覆方法を実施する、請求項63または64に記載の方法。
【請求項70】
前記フィルムが、主要フィルム側に塗布された、ラッカー、上刷りクリア、クリアコートまたはバッキング、およびそれらの組合せの群から選択された一種以上の塗布可能な物質をさらに含んでなる、請求項63〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記シートの厚さが20ミクロン〜8000ミクロン、好ましくは30ミクロン〜5000ミクロン、より好ましくは30ミクロン〜2000ミクロン、さらに好ましくは30ミクロン〜500ミクロンである、請求項63〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記フィルムの厚さが20ミクロン〜4000ミクロン、好ましくは20ミクロン〜2000ミクロン、より好ましくは20ミクロン〜500ミクロン、さらに好ましくは20ミクロン〜250ミクロンである、請求項63〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
請求項63〜72のいずれか一項に記載の方法により処理されたシートを含んでなる製品。
【請求項74】
主要シート表面に結合したライナーをさらに含んでなる、請求項73に記載の製品。
【請求項75】
ロールとして提供される、請求項73または74に記載の製品。
【請求項76】
個別シートとして提供される、請求項73または74に記載の製品。
【請求項77】
請求項73に記載の製品によって、完全にまたは部分的に覆われた構造物であって、建物、建物の部品、エレベーター、窓、ドア、タイル、壁、仕切り、家具、看板、掲示板、工芸品、車両からなる群から選択される、構造物。
【請求項78】
前記車両がバス、列車、地下鉄、自動車からなる群から選択される、請求項77に記載の構造物。
【請求項79】
請求項77または78に記載の構造物の表面に、実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための、請求項73に記載の製品の使用。
【請求項80】
請求項77または78に記載の構造物の表面に、汚染物および腐食から保護する実質的に永久的な被覆を施すための、請求項73に記載の製品の使用。
【請求項81】
構造物の表面に、前記構造物上のシートを被覆することにより、保護被覆を施す方法であって、
−請求項1〜52のいずれか一項に記載の塗料組成物を前記シートに塗布する工程、
−前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を加熱処理にかけ、前記乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、前記ワックス粒子を前記シートの連続被覆にする工程、および
前記熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める工程
を含んでなる、方法。
【請求項82】
前記シートがフィルムからなる、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記シート1が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層2、および
第一主要フィルム側4および第二主要フィルム側を有するフィルム3を含んでなり、前記第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、前記塗料組成物が前記第一主要フィルム側4に塗布される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記シート101が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層102、および
各第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する2つ以上のフィルム103を含んでなり、
各フィルムは互いに積み重ねられ、上のフィルムの第二主要フィルム側が下のフィルムの第一主要フィルム側に結合しているが、積重の最も下にあるフィルムは別で、これはその第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、最上部のフィルム側104に前記被覆方法を実施する、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
前記シート201が、2対以上の層205を含んでなり、各層205の対が、第一主要接着剤層側および第二主要接着剤層側を有する接着剤層202、および
第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有するフィルム203を含んでなり、前記第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、
各層205の対が別の層205の対の上に積み重ねら、上にある対の第二主要接着剤層側が下にある層205の対の第一主要フィルム側に結合し、最上部フィルム側204に前記被覆方法を実施する、請求項81に記載の方法。
【請求項86】
前記フィルムが、主要フィルム側に塗布された、ラッカー、上刷りクリア、クリアコートまたはバッキング、およびそれらの組合せの群から選択された一種以上の塗布可能な物質をさらに含んでなる、請求項81〜85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記シートの厚さが20ミクロン〜8000ミクロン、好ましくは30ミクロン〜5000ミクロン、より好ましくは30ミクロン〜2000ミクロン、さらに好ましくは30ミクロン〜500ミクロンである、請求項81〜86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記フィルムの厚さが20ミクロン〜4000ミクロン、好ましくは20ミクロン〜2000ミクロン、より好ましくは20ミクロン〜500ミクロン、さらに好ましくは20ミクロン〜250ミクロンである、請求項81〜87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
請求項81〜88のいずれか一項に記載の方法により塗布された構造物であって、建物、建物の部品、エレベーター、窓、ドア、タイル、壁、仕切り、家具、看板、掲示板、工芸品、車両からなる群から選択される、構造物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなる塗料組成物であって、前記ポリオレフィンワックスまたは前記ポリオレフィンワックス混合物中の成分が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ならびに酸化されたポリエチレンおよびポリプロピレンワックスからなる群から選択されるものであり、前記塗料組成物を表面に塗布し、前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させて、乾燥した前記の塗布塗料組成物に熱処理を施し、前記ワックス粒子を融着させてなる、塗料組成物。
【請求項2】
前記塗料組成物の液相が、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子の融点または融点範囲よりも低い沸点または沸点範囲を有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記塗料組成物の前記液相が有機系である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記塗料組成物の前記液相が、実質的にエーテル、エステル、ケトン、アルコールおよびそれらの混合物からなる群の部材からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記塗料組成物の前記液相が、アルコール、好ましくはエチルアルコール、を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記塗料組成物の前記液相が、アルコール、好ましくはエチルアルコール、および水を含んでなる、請求項5に記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記液相中の水の濃度が、重量換算50%以下である、請求項6に記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記塗料組成物の前記液相が、実質的に水性である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記塗料組成物が、重量換算で
−ポリオレフィンワックス/ポリオレフィンワックス混合物1〜25%、好ましくは9〜13%、液相99〜75%、好ましくは91〜87%を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項10】
前記塗料組成物が、希釈剤、分散剤、保存剤、乳化剤、および着色剤からなる群から選択された一種以上の補助剤を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項11】
前記塗料組成物が、重量換算で10%以下の補助剤を含有する、請求項10に記載の塗料組成物。
【請求項12】
前記塗料組成物が、液相中に分散させた、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子から実質的になる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項13】
前記塗料組成物が、実質的に液体の有機相または水相中に分散させたポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子、および希釈剤、分散剤、保存剤、乳化剤、および着色剤からなる群から選択された一種以上の補助剤からなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項14】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の成分の重合度が8〜100、特に20〜80である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項15】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分が、酸化されたポリエチレンワックスである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項16】
前記酸化されたポリエチレンワックスの酸価が1〜100mgKOH/g、好ましくは1〜40mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/g、さらに好ましくは2〜20mgKOH/g、さらに好ましくは2〜10mgKOH/gである、請求項16に記載の塗料組成物。
【請求項17】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種がポリエチレンワックスである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項18】
前記ポリオレフィンワックスが実質的にポリエチレンワックスである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項19】
前記ポリエチレンワックスの粒子径が0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項20】
前記ポリエチレンワックスの融点が70〜200℃、好ましくは90〜150℃、特に90〜120℃である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項21】
前記ポリエチレンワックスのピーク融点が70〜145℃、好ましくは80〜140℃、特に90〜135℃、特に95〜120℃である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項22】
前記ポリエチレンワックスの重合度が10〜3000、特に10〜2000、特に10〜1000、特に10〜500、特に20〜300、特に30〜200、特に40〜150、特に40〜100である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項23】
前記ポリエチレンワックスの重合度が50〜3000、特に50〜1500、特に60〜1000である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項24】
前記ポリエチレンワックスが、実質的に線状ポリエチレンからなる、請求項1〜23のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項25】
前記ポリエチレンワックスが高密度ポリエチレン、HDPEである、請求項1〜24のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項26】
前記ポリエチレンワックスの149℃における粘度が2000mPas以下、1000mPas以下、300mPas以下、好ましくは200mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくは100mPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは50mPas以下、好ましくは40mPas以下である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項27】
前記ポリエチレンワックスの分子量分布M/Mが1〜25、好ましくは1〜10、好ましくは1〜5、好ましくは1〜3、好ましくは1〜2、好ましくは1〜1.5、好ましくは1〜1.2である、請求項1〜26のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項28】
前記ポリエチレンワックスの分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが6.0以下であり、好ましくは分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが4.0以下であり、より好ましくは分子量Mが400〜3500で、分子量分布M/Mが2.0以下である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項29】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種がポリプロピレンワックスである、請求項1または14に記載の塗料組成物。
【請求項30】
前記ポリオレフィンワックスが実質的にポリプロピレンワックスである、請求項1または14に記載の塗料組成物。
【請求項31】
前記塗料組成物中に分散させたポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種が、プロピレンと一種以上の他のオレフィンの共重合体である、請求項1または14に記載の塗料組成物。
【請求項32】
前記ポリプロピレンワックスの粒子径が0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmである、請求項1、14、29〜31のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項33】
前記ポリプロピレンワックスの融点が70〜250℃、好ましくは100〜180℃、特に100〜140℃である、請求項1、14、29〜32のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項34】
前記ポリプロピレンワックスのピーク融点が70〜200℃、好ましくは100〜170℃、特に110〜160℃、特に120〜150℃である、請求項1、14、29〜33のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項35】
前記ポリプロピレンワックスが、実質的に分岐していないポリプロピレン分子からなる、請求項1、14、29〜34のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項36】
前記ポリプロピレンワックスが、実質的にアイソタクチックポリプロピレン分子からなるとして特徴付けられる、請求項1、14、29〜35のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項37】
前記ポリプロピレンワックスが、実質的にシンジオタクチックポリプロピレン分子からなるとして特徴付けられる、請求項1、14、29〜35のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項38】
前記ポリプロピレンワックスが、実質的に立体的ブロック重合体構造からなる、すなわち分子が、シンジオタクチックまたはアイソタクチックである断片を有することを特徴とする、請求項1、14、29〜35のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項39】
前記ポリプロピレンワックスの190℃における粘度が400mPas以下、好ましくは200mPas以下、好ましくは150mPas以下、好ましくはmPas以下、好ましくは70mPas以下、好ましくは50mPas以下、好ましくは40mPas以下である、請求項1、14、29〜38のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項40】
前記ポリプロピレンワックスの230℃/2.16kgにおけるメルトフローが40g/分以上、好ましくは100g/分以上、好ましくは500g/分以上、好ましくは1000g/分以上、好ましくは4000g/分以上、好ましくは8000g/分以上である、請求項1、14、29〜39のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項41】
前記ポリプロピレンワックスの分子量分布M/Mが1〜25、好ましくは1〜10、好ましくは1〜5、好ましくは1〜3、好ましくは1〜2、好ましくは1〜1.5、好ましくは1〜1.2である、請求項1、14、29〜40のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項42】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分が、実質的に一般式:CHCHR−(CHCHR−CHR−CH(式中、nは、15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47および48であり、R=HまたはCHである)により表されるアルカンの群から選択される一種以上のアルカンからなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項43】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたは前記ポリオレフィンワックス混合物中の成分が、実質的に一般式:CHCHR−(CHCHR−CHR−CH(式中、nは、49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123,124,125,126,127,128,129,130,131,132,134,135,136,137,138,139,140,141,142,143,144,145,146,147,148,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,188,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200,201,202,203,204,205,206,207,208,209,210,211,212,213,214,215,216,217,218,219,220,221,222,223,224,225,226,227,228,229,230,231,232,233,234,235,236,237,238,239,240,241,242,243,244,245,246,247および248であり、R=HまたはCHである)により表されるアルカンの群から選択された一種以上のアルカンからなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項44】
前記アルカンが、前記アルカンの炭素骨格上に分岐として位置するアルキル基数を有し、前記アルキル基数が30以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である、請求項42または43に記載の塗料組成物。
【請求項45】
前記アルカンの炭素骨格上に位置する前記アルキル基が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルからなる群から選択され、好ましくはエチル、ブチル、ヘキシル、オクチルからなる群から選択されるものであり、より好ましくはエチルおよびブチルからなる群から選択され、さらに好ましくはエチルである、請求項4に記載の塗料組成物。
【請求項46】
=CHであり、前記メチル基がすべて同じ立体化学を有する、請求項42または43に記載の塗料組成物。
【請求項47】
=CHであり、前記立体化学が、あるメチル基から隣接する他のメチル基へと変化する、請求項42または43に記載の塗料組成物。
【請求項48】
=CHであり、分子構造が立体ブロックである、請求項42または43に記載の塗料組成物。
【請求項49】
表面処理方法であって、
−請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物を用意する工程、
−前記塗料組成物を前記表面に塗布する工程、
−前記塗布した塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、および
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記ワックス粒子を融着させる工程
を含んでなる、方法。
【請求項50】
表面に保護被覆を施す方法であって、
−請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物を前記表面に塗布し、
−前記塗布した塗料組成物から前記液相を蒸発させ、
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、前記ワックス粒子を表面の連続被覆にし、
−前記熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める
ことにより行う、方法。
【請求項51】
前記塗料組成物を前記表面にスプレーで塗布する、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記塗料組成物が前記表面に50〜350ml/mの量で塗布される、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記表面が、鋼、アルミニウム、砂岩、大理石、花こう岩、スレート、セメント、繊維補強セメント、レンガ、タイル、繊維ガラス補強材料、および木材から製造された表面構造を有する記念建造物、建物、構造物、公共および私用の輸送車両、例えばバス、列車、路面電車、道路および交通標識、シート、および船体の表面から選択される、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物の表面処理への使用。
【請求項55】
請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物の、表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための使用。
【請求項56】
請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物の、表面に実質的に永久的な、汚染物および腐食に対する保護被覆を施すための使用。
【請求項57】
請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物の、水中構造物、例えば船体、に実質的に永久的な防汚被覆を施すための使用。
【請求項58】
請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法により得られる表面を有する構造物を含んでなる製造製品。
【請求項59】
請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物の使用により得られる表面を有する構造物を含んでなる製造製品。
【請求項60】
シートの処理方法であって、
−請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物を用意する工程、
−前記塗料組成物を前記シートの少なくとも一表面に塗布する工程、
−前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、および
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を加熱処理にかけ、前記ワックス粒子を融着させる工程、
を含んでなる、方法。
【請求項61】
被覆されたシートの製造方法であって、
−請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物を前記シートの少なくとも一表面に塗布する工程、
−前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、前記ワックス粒子を前記シートの連続被覆にする工程、および
前記熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める工程
を含んでなる、方法。
【請求項62】
前記シートがフィルムである、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記シート1が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層2、および
第一主要フィルム側4および第二主要フィルム側を有するフィルム3を含んでなり、前記第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、前記塗料組成物が前記第一主要フィルム側4に塗布される、請求項60または61に記載の方法。
【請求項64】
前記シート101が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層102、および
それぞれ第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する2つ以上のフィルム103を含んでなり、
各フィルムは互いに積み重ねられ、上のフィルムの第二主要フィルム側が下のフィルムの第一主要フィルム側に結合しているが、ただし積重の最も下にあるフィルムは別で、これはその第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、最上部のフィルム側104に前記被覆方法を実施する、請求項60または61に記載の方法。
【請求項65】
前記シート201が、2対以上の層205を含んでなり、各層205の対が、第一主要接着剤層側および第二主要接着剤層側を有する接着剤層202、および
第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有するフィルム203を含んでなり、第二主要フィルム側が第一主要接着剤層側に結合しており、
各層205の対が別の層205の対の上に積み重ねられ、上にある対の第二主要接着剤層側が下にある層205の対の第一主要フィルム側に結合し、最上部フィルム側204に前記被覆方法を実施する、請求項60または61に記載の方法。
【請求項66】
前記シートが、第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する一つのフィルムを含んでなり、前記第一主要フィルム側および前記第二主要フィルム側に前記被覆方法を実施する、請求項60または61に記載の方法。
【請求項67】
前記フィルムが、主要フィルム側に塗布された、ラッカー、上刷りクリア、クリアコートまたはバッキング、およびそれらの組合せ、の群から選択された一種以上の塗布可能な物質をさらに含んでなる、請求項60〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記シートの厚さが20ミクロン〜8000ミクロン、好ましくは30ミクロン〜5000ミクロン、より好ましくは30ミクロン〜2000ミクロン、さらに好ましくは30ミクロン〜500ミクロンである、請求項60〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記フィルムの厚さが20ミクロン〜4000ミクロン、好ましくは20ミクロン〜2000ミクロン、より好ましくは20ミクロン〜500ミクロン、さらに好ましくは20ミクロン〜250ミクロンである、請求項60〜68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
請求項60〜69のいずれか一項に記載の方法により処理されたシートを含んでなる製品。
【請求項71】
主要シート表面に結合したライナーをさらに含んでなる、請求項70に記載の製品。
【請求項72】
ロールとして提供される、請求項70または71に記載の製品。
【請求項73】
個別シートとして提供される、請求項70または71に記載の製品。
【請求項74】
請求項70に記載の製品で完全に、または部分的に覆われた構造物であって、建物、建物の部品、エレベーター、窓、ドア、タイル、壁、仕切り、家具、看板、掲示板、工芸品、車両からなる群から選択される、構造物。
【請求項75】
前記車両がバス、列車、地下鉄、自動車からなる群から選択される、請求項74に記載の構造物。
【請求項76】
請求項74または75に記載の構造物の表面に、実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための、請求項70に記載の製品の使用。
【請求項77】
請求項74または75に記載の構造物の表面に、汚染物および腐食から保護する実質的に永久的な被覆を施すための、請求項70に記載の製品の使用。
【請求項78】
構造物の表面に、前記構造物上のシートを被覆することにより、保護被覆を施す方法であって、
−請求項1〜48のいずれか一項に記載の塗料組成物を前記シートに塗布する工程、
−前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を加熱処理にかけ、前記乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、前記ワックス粒子を前記シートの連続被覆にする工程、および
−前記熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める工程
を含んでなる、方法。
【請求項79】
前記シートがフィルムからなる、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記シート1が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層2、および
第一主要フィルム側4および第二主要フィルム側を有するフィルム3を含んでなり、前記第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、前記塗料組成物が前記第一主要フィルム側4に塗布される、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記シート101が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層102、および
それぞれ第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する2つ以上のフィルム103を含んでなり、
各フィルムは互いに積み重ねられ、上のフィルムの第二主要フィルム側が下のフィルムの第一主要フィルム側に結合しているが、積重の最も下にあるフィルムは別で、これはその第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、最上部のフィルム側104に前記被覆方法を実施する、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記シート201が、2対以上の層205を含んでなり、各層205の対が、第一主要接着剤層側および第二主要接着剤層側を有する接着剤層202、および
第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有するフィルム203を含んでなり、前記第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、
各層205の対が別の層205の対の上に積み重ねられ、上にある対の第二主要接着剤層側が下にある層205の対の第一主要フィルム側に結合し、最上部フィルム側204に前記被覆方法を実施する、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記フィルムが、主要フィルム側に塗布された、ラッカー、上刷りクリア、クリアコートまたはバッキング、およびそれらの組合せ、の群から選択された一種以上の塗布可能な物質をさらに含んでなる、請求項78〜82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記シートの厚さが20ミクロン〜8000ミクロン、好ましくは30ミクロン〜5000ミクロン、より好ましくは30ミクロン〜2000ミクロン、さらに好ましくは30ミクロン〜500ミクロンである、請求項78〜83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記フィルムの厚さが20ミクロン〜4000ミクロン、好ましくは20ミクロン〜2000ミクロン、より好ましくは20ミクロン〜500ミクロン、さらに好ましくは20ミクロン〜250ミクロンである、請求項78〜84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
請求項78〜85のいずれか一項に記載の方法により塗布された構造物であって、建物、建物の部品、エレベーター、窓、ドア、タイル、壁、仕切り、家具、看板、掲示板、工芸品、車両からなる群から選択される、構造物。
【請求項87】
前記車両がバス、列車、地下鉄、自動車からなる群から選択される、請求項86に記載の構造物。
【請求項88】
請求項86または87に記載の構造物の表面に、実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための、請求項78〜85のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項89】
請求項86または87に記載の構造物の表面に、汚染物および腐食から保護する実質的に永久的な被覆を施すための、請求項78〜85のいずれか一項に記載の方法の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相中に分散させた、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなる塗料組成物であって、前記ポリオレフィンワックスまたは前記ポリオレフィンワックス混合物中の成分が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ならびに酸化されたポリエチレンおよびポリプロピレンワックスからなる群から選択されるものであり、前記塗料組成物を表面に塗布し、前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させて、乾燥した前記の塗布塗料組成物に熱処理を施し、前記ワックス粒子を融着させてなる、塗料組成物。
【請求項2】
前記塗料組成物の前記液相が、アルコール、好ましくはエチルアルコール、および水を含んでなる、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記塗料組成物が、重量換算で、
ポリオレフィンワックス/ポリオレフィンワックス混合物1〜25%、好ましくは9〜13%、および
液相99〜75%、好ましくは91〜87%を含有する、請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記塗料組成物が、重量換算で10%以下の、希釈剤、分散剤、保存剤、乳化剤、および着色剤からなる群から選択された補助剤を含有する、請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種がポリエチレンワックスである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記ポリエチレンワックスの粒子径が0.1〜100μm、好ましくは2〜25μm、特に4〜20μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記ポリエチレンワックスの融点が70〜200℃、好ましくは90〜150℃、特に90〜120℃である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記ポリエチレンワックスが、高密度ポリエチレンHDPEである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記塗料組成物中に分散させた前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物中の成分の一種がポリプロピレンワックスである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項10】
表面処理方法であって、
−液相中に分散させた、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなり、前記ポリオレフィンワックスまたは前記ポリオレフィンワックス混合物中の成分が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ならびに酸化されたポリエチレンおよびポリプロピレンワックスからなる群から選択される塗料組成物を用意する工程、
−前記塗料組成物を前記表面に塗布する工程、
−前記塗布した塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、および
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記ワックス粒子を融着させる工程
を含んでなる、方法。
【請求項11】
表面に保護被覆を施す方法であって、
−液相中に分散させた、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなり、前記ポリオレフィンワックスまたは前記ポリオレフィンワックス混合物中の成分が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ならびに酸化されたポリエチレンおよびポリプロピレンワックスからなる群から選択される塗料組成物を前記表面に塗布し、
−前記塗布した塗料組成物から前記液相を蒸発させ、
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記乾燥した塗料組成物の温度を上昇させて、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、前記ワックス粒子を表面の連続被覆にし、
−前記熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める
ことにより行う、方法。
【請求項12】
前記塗料組成物を前記表面にスプレーで塗布する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記塗料組成物が前記表面に50〜350ml/mの量で塗布される、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記表面が、鋼、アルミニウム、砂岩、大理石、花こう岩、スレート、セメント、繊維補強セメント、レンガ、タイル、繊維ガラス補強材料、および木材から製造された表面構造を有する記念建造物、建物、構造物、公共および私用の輸送車両、例えばバス、列車、路面電車、道路および交通標識、シート、および船体の表面から選択される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物の表面処理への使用。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物の、表面に実質的に永久的な落書き防止被覆を施すための使用。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物の、表面に実質的に永久的な、汚染物および腐食に対する保護被覆を施すための使用。
【請求項18】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物の、水中構造物、例えば船体、に実質的に永久的な防汚被覆を施すための使用。
【請求項19】
請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法により得られる表面を有する構造物を含んでなる製造製品。
【請求項20】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物の使用により得られる表面を有する構造物を含んでなる製造製品。
【請求項21】
シートの処理方法であって、
−液相中に分散させた、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなり、前記ポリオレフィンワックスまたは前記ポリオレフィンワックス混合物中の成分が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ならびに酸化されたポリエチレンおよびポリプロピレンワックスからなる群から選択される塗料組成物を用意する工程、
−前記塗料組成物を前記シートの少なくとも一表面に塗布する工程、
−前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、および
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を加熱処理にかけ、前記ワックス粒子を融着させる工程、
を含んでなる、方法。
【請求項22】
被覆されたシートの製造方法であって、
−液相中に分散させた、ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を含んでなり、前記ポリオレフィンワックスまたは前記ポリオレフィンワックス混合物中の成分が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ならびに酸化されたポリエチレンおよびポリプロピレンワックスからなる群から選択される塗料組成物を前記シートの少なくとも一表面に塗布する工程、
−前記塗布された塗料組成物から前記液相を蒸発させる工程、
−前記乾燥した、塗布された塗料組成物を熱処理にかけ、前記乾燥した塗料組成物の温度を上昇させ、前記ポリオレフィンワックスまたはポリオレフィンワックス混合物の粒子を融着状態にし、前記ワックス粒子を前記シートの連続被覆にする工程、および
−前記熱処理した塗料組成物を保護被覆に固める工程
を含んでなる、方法。
【請求項23】
前記シートがフィルムである、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記シート(1)が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層(2)、および
第一主要フィルム側(4)および第二主要フィルム側を有するフィルム(3)を含んでなり、前記第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、前記塗料組成物が前記第一主要フィルム側(4)に塗布される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項25】
前記シート(101)が、
第一主要接着剤層側および前記シートの底部表面を限定する第二主要接着剤層側を有する接着剤層(102)、および
それぞれ第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有する2つ以上のフィルム(103)を含んでなり、
各フィルムは互いに積み重ねられているので、上のフィルムの第二主要フィルム側が下のフィルムの第一主要フィルム側に結合しているが、ただし積重の最も下にあるフィルムは別で、これはその第二主要フィルム側が前記第一主要接着剤層側に結合しており、
最上部のフィルム側(104)が前記被覆方法にかけられる、請求項21または22に記載の方法。
【請求項26】
前記シート(201)が、
2対以上の層(205)を含んでなり、各層(205)の対が、第一主要接着剤層側および第二主要接着剤層側を有する接着剤層(202)、および第一主要フィルム側および第二主要フィルム側を有するフィルム(203)を含んでなり、第二主要フィルム側が第一主要接着剤層側に結合しており、各層(205)の対が別の層(205)の対の上に積み重ねられているので、上にある対の第二主要接着剤層側が下にある層(205)の対の第一主要フィルム側に結合し、
最上部フィルム側(204)に前記被覆方法を実施する、請求項21または22に記載の方法。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法により処理されたシートを含んでなる製品。
【請求項28】
主要シート表面に結合したライナーをさらに含んでなる、請求項27に記載の製品。
【請求項29】
請求項27に記載の製品で完全に、または部分的に覆われた構造物であって、建物、建物の部品、エレベーター、窓、ドア、タイル、壁、仕切り、家具、看板、掲示板、工芸品、バス、列車、地下鉄、自動車からなる群から選択される、構造物。
【請求項30】
請求項29に記載の構造物の表面に、実質的に永久的な落書き防止被覆または汚染物および腐食から保護する実質的に永久的な被覆を施すための、請求項27に記載の製品の使用。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−501359(P2006−501359A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505563(P2005−505563)
【出願日】平成15年7月16日(2003.7.16)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000499
【国際公開番号】WO2004/011563
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(505029746)バイオポイント、アンパルトゼルスカブ (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOPOINT APS
【Fターム(参考)】