複数のインタフェースを有するモバイルデバイスにおいて、サービス品質を高めるために、複数のセッションにおいてVoIP/VIP送信をインタリーブすること
第1のモバイルデバイスは、2つのエアインタフェースを有する。第1のモバイルデバイスは、その第1のインタフェースを用いて、第1のセッションにおいて、VoIP/VIPパケットを第2のデバイスへ送信する。サービス品質が低下すると、第1のデバイスは、第2のエアインタフェースを用いる第2のセッションが確立されるようにする。そして、単一のメディアストリームのパケットを第1のデバイスから第2のデバイスへ通信するために、第1のエアインタフェースと第2のエアインタフェースとの両方が使用される。パケットは、第1および第2のセッションにおいて、インタリーブ方式で送信され、単位時間当たりに、1つのセッションで通信されるパケットの、他のセッションで通信されるパケットに対する比率が、1つのセッションによって提供されるサービス品質の、他のセッションによって提供されるサービス品質に対する比率にしたがって調節される。第2のデバイスは、パケットのデータペイロードの順序付けを行い、もって、単一のメディアストリームを再構築する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、一般に、IPテレフォニーに関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ電話のようなモバイル通信デバイスは、複数のエアインタフェースを有しうる。一例では、セルラ電話は、従来、CDMA(符号分割多元接続)トランシーバを用いたセルラ電話ネットワークを用いて、比較的長距離にわたって通信をすることができる。セルラ電話のCDMAトランシーバは、セルラ電話ネットワーク上のセルラBTS(基地送信機サイト)と通信する。更に、セルラ電話は、IEEE 802.11トランシーバを用いた無線ローカルエリアネットワーク(LAN)を用いて、比較的短距離で通信することができる。セルラ電話の802.11トランシーバは、LAN上のアクセスポイントと無線で通信する。
【0003】
第1のパーティは、VoIP(voice over Internet Protocol)技術を用いて第2のパーティへ通話するために、セルラ電話を使用することができる。音声データは、セルラ電話から、アクセスポイントへの802.11無線リンク、LAN、及びインターネットを介して、IPパケットによって第2のパーティへと通信される。第1のパーティがそのような通話に従事している場合、第1のパーティが、2つのエアインタフェースを持つモバイル通信デバイスを移動させ、2つのアクティブなインタフェースが、完全よりも少ない有効範囲を持つようになるかもしれない。このような従来式のアプローチは、より良い有効範囲を持つインタフェースを用いることを開始し、より良いインタフェースを用いてRTPのようなリアルタイムトラフィックを送ることを開始する。モバイル通信デバイスは、切り換わったインタフェース条で完全な有効範囲を持つ訳ではないので、サービス品質が影響を受ける。そして、選択されたインタフェースは、インタフェースについての有効範囲が完全に失われるまで、または、その他のインタフェースについての有効範囲が改善するまで、RTPデータを送るために使用される。解決策が望まれる。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0004】
モバイル通信デバイス(例えば、セルラ電話)は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)との無線通信のための1つのエアインタフェースと、セルラ電話ネットワークとのセルラ電話通信のための別のエアインタフェースとを有する。無線LANとの無線通信は、例えば、IEEE 802.11に従いうる。セルラ電話ネットワークは、例えば、CDMA(符号分割多元接続)電話ネットワークでありうる。
【0005】
第1の斬新な局面にしたがって、モバイル通信デバイスは、先ず、第1のセッションにおいて、エアインタフェースのうちの1つを介して、メディアストリームのデータペイロードVoIPパケットを、ターゲット通信デバイスへ送信するために使用される。VoIPパケットは、IP(Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)及びRTP(Real-Time Protocol)を用いて通信される。VoIPメディアストリームは、例えば、モバイル通信デバイスを用いた第1のパーティAと、ターゲット通信デバイスを用いた第2のパーティBとの間の会話のための音声データを含む。
【0006】
そして、モバイル通信デバイスの他のエアインタフェースを用いて通話を継続することが望まれる。これは、例えば、初めは短距離無線LANインタフェースとして使用されているエアインタフェースによるものかもしれない。パーティAは、短距離の無線LANの有効範囲領域から出るかもしれない。より長距離のセルラ電話エアインタフェースを用いることに切り換えることによって、通話を継続することが望まれる。あるいは、第1のエアインタフェースを用いることから、第2のエアインタフェースへ切り換えることが望まれる。ここで、第1のエアインタフェースは、より長距離のセルラ電話インタフェースであり、第2のエアインタフェースは、より短距離の無線LANインタフェースである。最初はセルラ電話エアインタフェースが使用されるが、次に、パーティAが、無線LANの有効範囲領域へ移動する。例えば、パーティAのセルラ電話プロバイダが、そのセルラ電話ネットワーク上で音声会話を伝送することに課金するのであれば、パーティAはそのセルラエアインタフェースを用いることをやめ、より費用の安い無線LANエアインタフェースを用いて通話を継続することが望ましい。
【0007】
最初に使用されていたエアインタフェースから別のエアインタフェースへ切り換えることを望む理由に関わらず、パーティAのモバイル通信デバイスは、パーティBのターゲット通信デバイスへSPAWN SIPメッセージを送る。SPAWN SIPメッセージは、IP、TCP(Transmission Control Protocol)、及びSIP(Session Initialization Protocol) を用いて通信される。ターゲットは、SPAWN識別子を含む200 OK SIPメッセージを送ることによって応答する。その後、モバイル通信デバイスは、他のインタフェースを介してSIP INVITE要求をターゲットへ送ることによって、他のエアインタフェースを介した第2のセッションをセットアップする。SIP INVITE要求は、SPAWN識別子を含んでいる。第2のセッションは初期化され、第1及び第2のセッションの両方が、アクティブなVoIPセッションとなる。どちらのセッションも、回路切換リンクを含む。ターゲット通信デバイスは、第1のセッションと第2のセッションとを関連付けるSIP INVITE要求で受信されるSPAWN識別子を用いる。
【0008】
第2のセッションが一旦初期化されると、モバイル通信デバイスは、第1のセッションにおいて、メディアストリームのためVoIPパケットを送信することをやめ、第2のセッションにおいて、メディアストリームのため次のVoIPパケットを送信する。幾つかの実施形態では、モバイル通信デバイスからターゲットへとハンドオフ制御パケットが送られ、ターゲットに対して、次のVoIPパケットは第1のセッション内ではもはや受信されないが、第2のセッション内で受信されることを知らせる。他の実施形態では、メディアストリームのデータペイロードVoIPパケットはもはや第1のセッションにおいてターゲットによって受信されないので、ターゲットは、データペイロードVoIPパケットを通信するために第2のセッションが使用されているが、メディアストリームのデータペイロードVoIPパケットは第2のセッションにおいてターゲットによって受信されていると判定する。VoIPパケットが、第2のセッションにおいて通信されていると、ターゲットがどのようにして判定するかに関わらず、パーティAの通信デバイスとパーティBの通信デバイスとの間の両方向におけるVoIPパケットのフローは、第2のセッションで生じ、第1のセッションでは生じない。
【0009】
例えば、データペイロードVoIPパケットが、会話のための音声データを含んでいる場合、VoIPパケットを受信する通信デバイスは、第2のセッションで受信したVoIPペイロードを、FIFO(first in first out)バッファ内に、第1のセッションで受信したVoIPパケットのペイロードの後にバッファする。VoIPパケットは、RTPシーケンス番号及びタイムスタンプにしたがってFIFO内に順序付けられる。FIFOバッファの出力は、通信デバイスのユーザによって聞かれる音に変換される。
【0010】
2つのセッションがアクティブなままである限り、データペイロードVoIPパケットのフローは、所望により、1つのセッションから別のセッションへと切り換えることができる。データペイロードVoIPパケットを通信するために使用されていないセッションは、所望により、停止することができる。第1のセッションを停止するために、モバイル通信デバイスは、SIPプロトコルにしたがって、SIP BYEメッセージをターゲット通信デバイスへ送る。第2の斬新な局面にしたがって、モバイル通信デバイスは、第1のエアインタフェースと第2のエアインタフェースとの両方を有する。例えば、第1のエアインタフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)上の無線アクセスポイントと無線RF通信するためのIEEE 802.11インタフェースでありうる。例えば、第2のエアインタフェースは、セルラ電話ネットワーク上のアクセスポイントと無線RF通信するためのCDMAセルラ電話インタフェースでありうる。
【0011】
VoIP/VIP通話では、モバイル通信デバイスは、モバイル通信デバイスから第2のIPデバイスへと第1のセッションにおいてVoIP/VIPパケットを通信するために第1のエアインタフェースを用いる。モバイル通信デバイス内のソフトウェアは、第1のセッションによって与えられたサービス品質に関して定期的に評価する。この評価が、サービス品質が不適当または受け入れられないレベルへ低下したことを示す場合、かつ、第2のエアインタフェースを使用することが可能な場合、モバイル通信デバイスは、モバイル通信デバイスと第2のIPデバイスとの間に第2のセッションが確立されるようにする。ここで、第2のセッションは、モバイル通信デバイスの第2のエアインタフェースを用いた通信を含んでいる。
【0012】
第2のセッションが一旦確立されると、第1のセッションを終了するのではなく、モバイル通信デバイスから第2のIPデバイスへと単一のメディアストリームのVoIP/VIPパケットを通信するために、第1のセッションと第2のセッションとの両方が使用される。一例では、単一のメディアストリームは、このモバイル通信デバイスを使用する人の声を表す音声データである。VoIP/VIPパケットは、インタリーブ方式で、第1のセッションおよび第2のセッションで、第2のIPデバイスへ送信される。第2のIPデバイスは、第1のセッションおよび第2のセッションからVoIP/VIPパケットを受信する。そして、VoIP/VIPパケットのデータペイロードを順序付けるためにRTPタイムスタンプおよび/またはRTPシーケンス番号を用いる。これによって、単一のメディアストリームを再構築する。モバイル通信デバイスは、第1のセッションによって与えられるサービス品質と、第2のセッションによって与えられるサービス品質との定期的な評価を行う。1つの実施形態では、第1のセッションにおいてモバイル通信デバイスから送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションに対する比率は、第1のセッションのサービス品質の評価と、第2のセッションのサービス品質の評価との比率である。セッションのサービス品質評価の1つの例は、単位時間当たりに第2のIPデバイスによって、セッション内で受信されるパケット数である。第1のセッションにおいてモバイル通信デバイスによって送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションに対する比は、これら2つのセッションにおけるサービス品質の変化する評価を反映するために定期的に調節される。この比率は必ずしも計算された値である必要はないが、所与の期間内に、1つのセッションにおいて、他のセッションに比べて、どれくらい多くのVoIP/VIPパケットが送信されるかを示す固有の結果である。セッションのサービス品質評価は、RTCPレポートにおける情報、アクセスポイントから受信した検出信号強度情報、および/またはアクセスポイントから受信した瞬時ビットレート情報を含みうる。
【0013】
モバイル通信デバイスから送信されるVoIP/VIPパケットの比率が調節されるのと同じ方法で、第1のセッションにおいてモバイル通信デバイスへ送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションにおける場合に対する比率もまた調節される。モバイル通信デバイスから送信されるパケットの比率は、モバイル通信デバイスへ送信されるパケットの比率と同じである必要はない。モバイル通信デバイスおよび第2のIPデバイスにおけるサービス品質の評価を行うために使用されるメカニズムは必ずしも同一である必要はない。
【0014】
更なる実施形態が、以下の詳細記述に記載される。この要約は、発明を定義することを意図していない。本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【詳細な説明】
【0015】
図1は、1つの斬新な局面にしたがったIP(Internet Protocol)テレフォニー通信システム1の簡略トポロジカルブロック図である。第1のパーティ(図1において「パーティA」と示す)は、例えばIP電話2のようなモバイル無線通信デバイスを用いる。IP電話2は、図1においてIPアドレス#1と示されたIPアドレスを有する。もしもIP電話2が、アクセスポイント3の通信範囲内にあるのであれば、IP電話2は、LAN(ローカルエリアネットワーク)4上のアクセスポイント3との短距離無線通信が可能である。この例では、IP電話2及びアクセスポイント3は、IEEE 802.11仕様にしたがって通信する。LAN4は、パーティAが、ローカル領域内においてIP電話2を移動することができ、アクセスポイントのうち少なくとも1つを経由してLAN4と通信し続けることができるように、複数のアクセスポイントを含む。
【0016】
システム1は更に、セルラ電話ネットワーク5を含んでいる。この例において、セルラ電話ネットワーク5は、CDMA(符号分割多元接続)セルラ電話ネットワークである。またIP電話2は、CDMAセルラ電話ネットワーク5において、トランシーバを用いて長距離の無線通信を行うことができる。パーティAは、IP電話2を用いて、CDMAセルラ電話ネットワーク5によって通話を行ったり、受信する。IP電話2は、CDMAセルラ電話通信のみならず、802.11通信も可能であるので、IP電話2は、デュアルモードIP電話と称される。
【0017】
LAN4及びセルラ電話ネットワーク5はIPネットワークに接続される。この例において、IPネットワークは、インターネットすなわち「インターネット」6である。インターネット6は、複数の相互接続したルータを含んでいる。SIPプロキシ7は、LAN4からインターネット6へ、また、インターネット6からLAN4へとIPパケットを通信できるように、LAN4とインターネット6との両方に配置される。SIPプロキシ7は、LAN4のATLANTA1.COMドメインのためのインバウンドプロキシとアウトバウンドプロキシとの両方として動作する。SIPプロキシ7は、LAN4上のサーバとして、及び、インターネット6上のクライアントとして動作する。SIPプロキシ7は、他のSIPプロキシ及びSIPセッション終点との間で、SIP要求及びSIP応答を中継する。
【0018】
他のSIPプロキシ8は、セルラ電話ネットワーク5、及びインターネット6の両方に配置され、これによって、SIPプロキシ8は、セルラ電話ネットワーク5からインターネット6へ、及び、インターネット6からセルラ電話ネットワーク5へとIPパケットを通信することができる。SIPプロキシ8は、セルラ電話ネットワーク5のATLANTA2.COMドメインのためのインバンドプロキシ及びアウトバウンドプロキシの両方として動作する。SIPプロキシ8は、セルラ電話ネットワーク5上のサーバとして、及び、インターネット6上のクライアントとして動作する。SIPプロキシ8は、他のSIPプロキシ及びSIPセッション終点との間で、SIP要求及びSIP応答を中継する。
【0019】
第2のパーティ(図1に示す「パーティB」)は、IP電話9のような第2の通信デバイスを有する。この例では、IP電話9は、モバイルIP電話ではなく、むしろ、固定式の陸線IP電話である。IP電話9は、図1においてIPアドレス#2と示されたIPアドレスを持っている。IP電話9は、LAN10を経由してインターネット6に接続される。LAN10は、例えば、パーティBのインターネットサービスプロバイダ(ISP)によって維持されるLANであるかもしれないし、又は、パーティBの雇用者によって維持される企業LANでもありうる。SIPプロキシ11は、LAN 10、およびインターネット6に配置される。LAN10からインターネット6へ、及び、インターネット6からLAN10へとIPパケットを通信できるように、LAN10とインターネット6との両方に配置される。SIPプロキシ11は、LAN10のBILOXI.COMドメインのためのインバンドプロキシと、アウトバウンドプロキシとの両方として動作する。SIPプロキシ11は、LAN10上のサーバとして、及び、インターネット6上のクライアントとして動作する。SIPプロキシ11は、他のSIPプロキシ及びSIPセッション終点との間で、SIP要求及びSIP応答を中継する。
【0020】
図2は、IP電話2及びSIPプロキシ7を示す。プロトコル処理レイヤのスタック12は、SIPプロキシ7のハードウェアプラットフォーム上で動作する。SIPプロキシ7,8及び11の各々で動作するプロトコル処理レイヤには、このようなスタックがある。スタック12は、MACレイヤ13、IPレイヤ14、TCPレイヤ15、及びSIPレイヤ16を含んでいる。MACは「媒体アクセス制御」を表わす。IPは「インターネットプロトコル」を表わす。TCPは「転送制御プロトコル」を表わす。SIPは「セッション初期化プロトコル」を表わす。IP電話2内のプロセッサは、プロトコル処理レイヤの類似のスタック17を実行する。スタック17は、IPレイヤ18、TCPレイヤ19、及びSIPレイヤ20を含んでいる。スタック12,17の各々は、IPレイヤ及びTCPレイヤを含んでいるので、IP電話2とSIPプロキシ7との間でTCP接続を確立することができる。図2では、IP電話2内の黒い点が、IP電話2のIPアドレス#1を表わす。SIPプロキシ7内の黒い点は、IPアドレスを表わす。左端の矢印は、IP電話2及びSIPプロキシ7内で終端する第1のTCP接続21を表わす。IPプロトコル通信は、単なるベストエフォート通信だが、IPに加えてTCPを用いることによって、TCP接続21を介したIP電話2とSIPプロキシ7との間の情報の信頼できる通信が可能となる。TCP接続21が確立され、IP電話2とSIPプロキシ7との間で維持されるのと同じ方法で、第2のTCP接続22が確立され、IPプロトコル処理レイヤとTCPプロトコルレイヤとを含むスタック、及び、IPアドレスを有するインターネット上の他のデバイスとSIPプロキシ7との間で維持される。SIPプロキシ11(図1参照)は、そのような1つのデバイスである。図2では、右端の矢印は、SIPプロキシ7で一端が終端し、SIPプロキシ11で他端が終端している第2のTCP接続22を表す。
【0021】
図3は、斬新な方法にしたがった第1のステップのブロック図である。この図では、時間は、垂直のディメンションにおける上端から下端まで及ぶ。“パーティA”とラベルされたボックスと、このボックスから下の方向へ伸びる垂線は、IP電話2を表す。“パーティB”とラベルされたボックスと、このボックスから下の方向へ伸びる垂線は、IP電話9を表す。「SIPプロキシ#1」とラベルされた垂線は、SIPプロキシ7を表わす。「SIPプロキシ#2」とラベルされた垂線は、SIPプロキシ11を表わす。
【0022】
IP電話2内には、IP電話2がLAN4と通信している場合に使用されるSIPプロキシの識別情報が格納されている。IP電話2は、IP電話2がセルラ電話ネットワーク5と通信している場合に使用される別のSIPプロキシの別の識別情報を格納する。この例において、LAN4と通信している場合に使用されるSIPプロキシの識別情報は、PROXY1.ATLANTA1.COMである。セルラ電話ネットワーク5と通信している場合に使用されるSIPプロキシの識別情報は、PROXY3.ATLANTA2.COMである。IP電話2はLAN4と通信しているので、IP電話2は、識別情報PROXY1.ATLANTA1.COMを用い、この識別情報を解釈して、識別されたSIPプロキシのLAN側のIPアドレスを取得する。この識別されたSIPプロキシのLAN側のIPアドレスが、前のSIPトランザクションでアドレスされたSIPプロキシと関連付けられてIP電話2内にキャッシュされると、このキャッシュされたIPアドレスは、SIPプロキシのLAN側のIPアドレスとして使用される。この識別されたSIPプロキシのLAN側のIPアドレスが、IP電話2内にキャッシュされていないのであれば、IP電話2は、DNSサーバ(図示せず)にDNS要求を送る。DNSサーバは、この例では、LAN4に配置される。DNSサーバは、各SIPプロキシに対するIPアドレスを含むルックアップテーブルを含む。DNSサーバは、IP電話2にIPアドレスを送り返すことによって、DNS要求に応答する。この例では、IP電話2のIPアドレスは10.32.1.141である。識別されたSIPプロキシのLAN側のIPアドレスを、IP電話2がどのようにして取得するかに関わらず、IP電話2は、SIP呼出人又は発信人として動作し、IP電話2とSIPプロキシ7との間のTCP接続21を介して、SIPプロキシのLAN側のIPアドレスへSIP INVITE要求を送る。図3では、パーティAからATLANTA1.COMへ伸びる一番上の矢印23は、このSIP INVITE要求の送信を示している。
【0023】
図4は、SIP INVITE要求のブロック図である。SIP INVITE要求のヘッダフィールド部は、SIP INVITE要求が、SIPアドレスBOB@BILOXI.COMへ向けられていることを示している。SIP INVITE要求のヘッダフィールド部は、SIP INVITEが、SIPアドレスALICE@ATLANTA1.COMからのものであることを示す。SIP INVITE要求は、SIPプロキシ7上で終端しているTCP接続において受信され、SIPプロキシ7のSIPプロトコル処理レイヤへ提供される。SIPプロキシ7のSIPプロトコル処理レイヤは、このアドレス情報を検査し、BOB@BILOXI.COMを得る。そして、SIPプロトコル処理レイヤは、SIP INVITE要求をどこへ送信するかを判定するポリシーのセットを用いる。このポリシーのセットは、各ドメインネームに対する関連するSIPプロキシを示す。本例では、ポリシーは、ドメインネームBILOXI.COMが、関連するSIPプロキシ#2によってサービス提供されるべきであることを示す。そして、SIPプロキシ7内のSIPプロトコル処理レイヤは、識別されたSIPプロキシ#2を解釈し、SIPプロキシ#2のインターネット側のIPアドレスを決定する。これは、キャッシュされた情報を調べることにより、又は、DNSサーバルックアップを行うことによってなされうる。SIPプロキシ#2のインターネット側IPアドレスが一旦決定されると、SIPプロキシ7は、SIPプロキシ#2へのTCP接続を確立し、SIP INVITE要求を、インターネット6を介してSIPプロキシ#2へ転送する(図1参照)。SIPプロキシ#2は、ドメインBILOXI.COM上にある。BILOXI.COMは、LAN10のドメインネームである。図3のブロック図において、ATLANTA1.COMからBILOXI.COMへ伸びる矢印24は、SIPプロキシ7からSIPプロキシ11へのSIP INVITE要求の転送を表わす。
【0024】
SIPプロキシ11は、このSIP INVITE要求を受信する。SIPプロキシ11上で動作するスタックのSIPレイヤは、LAN10上の全てのデバイスのIPアドレスを知っている。SIP INVITE要求の、示されたSIP呼出先アドレスBOB@BILOXI.COMから、SIPプロキシ11のSIPレイヤは、BOB@BILOXI.COMのIPアドレスを取得し、SIP INVITE要求を、TCP接続を介して、IP電話9のIPアドレス(IPアドレス#2)へ転送する。図3では、BILOXI.COMからパーティBへ伸びる矢印25は、この転送を表わす。IP電話9のスタックのSIPレイヤは、このSIP INVITE要求を受信し、SIPプロトコルにしたがって、200 OK SIPメッセージを返す。200 OK SIPメッセージは、上述した転送処理と逆の処理によって、SIPプロキシ11及びSIPプロキシ7を介して、パーティA及びIP電話2へ戻される。図3では、この転送は、矢印26、27及び28によって表わされる。
【0025】
次に、IP電話2は、200 OK SIPメッセージを受信し、これからIP電話9のIPアドレスを得る。そして、IP電話2は、IP電話2からIP電話9へのTCP接続を直接的に確立することができる。200 OK SIPメッセージを受信することに応じて、IP電話2は、TCP接続を介して、IP電話9へとSIPアクノレッジ(ACK)メッセージを送り返す。図3では、これは、パーティAからパーティBまで直接伸びている矢印29によって図示される。
【0026】
図5は、SIP INVITE要求、200 OKメッセージ、及びACKを含むSIPトランザクションを示す。トランザクションの3つ全てのSIPメッセージが、ネットワークを通って同時に伝搬するものとして例示されていているが、SIPメッセージは、実際には、上述したように、一度に1つ送られ、受信される。SIPトランザクションの結果は、(パーティAの)IPアドレス#1と、(パーティBの)IPアドレス#2の初期化である。データペイロードがセッション中に通信されていようともいまいとも、終了していない初期化SIPセッションは、“アクティブ”であると呼ばれる。本例では、第1のSIPセッションが一旦初期化されると、音声及び/又はビデオデータペイロードを有する第1のVoIP/VIP(voice over IP or video over IP)が、RTP(Real-Time Protocol)プロトコルにしたがって、UDP(User Datagram Protocol)パケットによって、IP電話2のIPアドレス#1とIP電話9のIPアドレス#2との間で通信される。第1のセッションのデータペイロードはIPの上のUDPの上のRTPを使用して通信される、一方、第1のセッションの制御パケットは、IP、TCP、及びSIPを用いて通信される。
【0027】
図6は、IP電話2とIP電話9との間のこれら第1のVoIP/VIP IPデータペイロードパケットの幾つかの通信を例示している。この通信は、802.11プロトコルにしたがった、LAN4のアクセスポイント3とIP電話2との間の無線通信を含む。802.11は、比較的短距離のRF通信プロトコルである。本例では、パーティAは、アクセスポイント3から更に遠くへ移動する。IP電話2は、アクセスポイント3から受信したRF送信の信号強度を検知する。本例では、検知された信号強度の表示は、IP電話2において、IP電話2内の802.11トランシーバの受信機増幅器から出力されるRSSI(Radio Signal Strength Indicator)信号として利用可能である。アクセスポイント3内の802.11トランシーバの受信機増幅器はまた、IP電話2から受信したRF送信の信号強度を検知する。この検知された信号強度は、アクセスポイント3からIP電話2へと報告される。このように、IP電話2は、両方向で受信した送信の強度を認識する。パーティA及びIP電話2がアクセスポイント3から離れると、IP電話2とアクセスポイント3との間の802.11無線リンクの検知された信号強度は、しきい値に達するまで低下する。しきい値に到達すると、IP電話2は、IP電話2が、その長距離のセルラ電話トランシーバを用いて第2のSIPセッションを初期するべきであると判定する。IP電話2は、第1のセッションにおいて、SPAWNメッセージと呼ばれる斬新なSIPメッセージをパーティAからパーティBへ送ることによって、この第2のSIPセッションを初期化する。
【0028】
図7は、SPAWN SIPメッセージを例示するブロック図である。
【0029】
図8は、パーティAからパーティBへのSPAWN SIPメッセージの通信を例示するブロック図である。上述したように、パーティAからパーティBへとINVITE SIPメッセージが通信されるのと同じ方法で、SPAWN SIPメッセージもまた、IP電話2から、802.11無線リンクを介してLAN4上のアクセスポイント3へ、LAN4を介してSIPプロキシ7へ、インターネット6を介してSIPプロキシ11へ、LAN10を介してパーティBのIP電話9へ通信される。パーティBのIP電話9は、SPAWN SIPメッセージを受信し、パーティAのIP電話2に200 OK SIPメッセージを送り返すことにより応答する。しかしながら、この200 OK SIPメッセージは、SPAWN ID(SPAWN識別子)を含んでいる。IP電話9は、FROMフィールド、TOフィールド、CALL−IDフィールド、及び第1のセッションのCSEQ番号のハッシュを生成することによって、SPAWN IDを生成する。このSPAWN IDは、将来の参照のためにIP電話9内に格納され、第2のセッションが第1のセッションと関連付けられる。本例では、SPAWN IDは、200 OK SIPメッセージ内のフィールド名“SPAWN−ID”に続く16バイトキャラクタストリングである。SPAWN IDを含む200 OK SIPメッセージは、SIPプロキシ11及びSIPプロキシ7を介してIP電話2に転送される。
【0030】
図9は、SPAWN SIP要求と、SPAWN ID及びACKを含む200 OKとを含むSIPトランザクションを例示するブロック図である。例示するように、このトランザクションは第1のSIPセッションにおいて生じる。
【0031】
図10は、200 OKを受信すると、第2のINVITE SIP要求を発行する次のステップを例示するブロック図である。IP電話2内の黒い点はIPアドレスを表わす。第2のINVITE要求は、SPAWN IDを含んでおり、パーティAのIP電話2からパーティBのIP電話9へ通信される。この第2のINVITE要求は、CDMAセルラ電話リンクを介してIP電話2から、セルラ電話ネットワーク5上のアクセスポイント(BTS又は基地送信サイトとも呼ばれる)30へ通信され、次に、セルラ電話ネットワーク5を介してSIPプロキシ#3(SIPプロキシ8)へ通信される。この通信は、IP電話2におけるIPアドレス#3における一端、及びその他の端において終端するTCP接続を介して、SIPプロキシ8のセルラ電話ネットワーク側IPアドレスへ通信される。そして、第2のINVITE要求が、インターネット6を介してSIPプロキシ8から、他のTCP接続を介してSIPプロキシ11へと転送される。この第2のINVITE要求は、その後、LAN10を介してSIPプロキシ11から、別のTCP接続を介してパーティBのIP電話9へと転送される。
【0032】
パーティBのIP電話9は、既に存在するアクティブセッション(第1のセッション)によって、通常は、到来するINVITE要求を拒絶するが、本発明では、パーティBのIP電話9内のSIPレイヤ機能が、到来する第2のINVITE要求のSPAWN IDを認識し、それ自身のRTPストリームを開くことを含む第2のセッションを確立アップし、この第2のセッションを第1のセッションに関連付ける。IP電話9は、SPAWN IDを、格納されたSPAWN IDのリストと比較することによって、到来する第2のINVITE要求のSPAWN IDを認識する。
【0033】
図10Aは、IP電話9内で動作するソフトウェアの構造の簡略図である。IP電話9は、200 OK SIPメッセージを、パーティAのIP電話2へ返すことによって応答する。IP電話2は、IP電話9にACKを返すことによって、トランザクションを終了する。第2のINVITE要求、200 OK、及びACKは、CDMA無線リンク及びCDMA BTS30を介してIP電話2と通信される。
【0034】
図11は、アクティブな第1のセッションと、現在初期化されたアクティブな第2のセッションとを例示する図である。第2のセッションはアクティブであるが、データペイロードパケットは、IP、UDP、及びRTPを用いて、第2のセッションにおいて、まだ通信されていない。(IP電話2とアクセスポイント3との間の802.11通信を含む)第1のセッションは、第1のCALL−IDを有する。一方、(IP電話2とセルラBTS30との間のCDMA通信を含む)現在初期化されている第2のセッションは、第2のCALL−IDを有する。
【0035】
図12は、IP電話2とIP電話9との間のペイロードデータメディアフローが、第1のセッションから第2のセッションへと切り換わる(すなわち、「ハンドオフ」される)次のステップを例示する。矢印31,32は、パーティAのIP電話2と、パーティBのIP電話9との間のペイロードデータメディアフローVoIPパケットの初期フローを例示する。データ制御ハンドオフパケットが、IP、UDP、及びRTPを用いて、パーティAのIP電話2から、パーティBのIP電話9へ送られる。本例では、このデータ制御ハンドオフパケットは、SIPプロキシ7,11を介して第1のセッションで通信されるが、このデータ制御ハンドオフパケットはまた、SIPプロキシ8,11を介して第2のセッションで通信される。矢印33は、データ制御ハンドオフパケットの転送を示す。データ制御ハンドオフパケットは、一例として、SWITCH−FROM:フィールド名と、SWITCH−TO:フィールド名とを含むSIPメッセージである。データ制御ハンドオフパケットは、IP電話9へ通信するために使用され、次のデータペイロードパケットが、第2のセッションで送られる。データ制御ハンドオフパケットの起こりうる損失に対処するために、パーティBは、IPアドレス#3を用いるパーティAのIP電話2によって発信された制御パケットを拒否しないことが命じられる。
【0036】
図13は、第1のセッションにおいてIP電話2からIP電話9へ通信されるデータペイロードパケットに続くメディアフローハンドオフ制御パケット34を例示する。
【0037】
図14は、メディアフローハンドオフ制御パケット34のブロック図である。メディアフローハンドオフ制御パケットを送った後、IP電話2は、第1のセッションにおいて、メディアストリームのデータペイロードを送ることから、第2のセッションにおいて、メディアストリームのデータペイロードを送ることに切り換える。本例におけるメディアストリームは、音声会話である。IP電話9がメディアフローハンドオフ制御パケットを受信した場合、IP電話9は、第2のセッションにおいて、次のデータペイロードパケットを受信し、これらパケットのデータペイロードを、FIFO(first-in-first out)メモリ内の、第1のセッションにおいて以前に受信したパケットのデータパケットの後にバッファする。このデータペイロードはFIFOから出力され、RTPシーケンス番号及びタイムスタンプにしたがって順序付けられるように、IP電話9のユーザに提供される。したがって、メディアストリームのデータペイロードは、認識できるほど通話が破壊されることなく、第1のアクティブなセッションから第2のアクティブなセッションへとシームレスに切り換えられる。第1のセッションも第2のセッションも、切換回路部を含んでいない。第1のセッションも第2のセッションも、VoIPパケットを含んでおり、IP電話9は、2つのセッションを知っている。2つのセッションは、3方式の通話を構成しない。更に、SIPプロキシ7,8,11は、この斬新なSPAWN方法をサポートする如何なる特別な機能も含まない標準的なSIPプロキシである。図12では、矢印34,35は、第2のセッションにおける次のVoIPデータペイロードパケットのフローを例示する。
【0038】
図15は、データ制御ハンドオフパケットが第1のセッションにおいて通信された後の、第2のセッションにおけるデータペイロードVoIPパケットのフローを例示する。IP電話2は、フローデータパケットペイロードVoIPパケットを、必要に応じて、又は希望に応じて、第1のセッションと第2のセッションとの間で切り換えることができる。
【0039】
図16は、次のステップを例示する。このステップでは、IP電話2が、IP電話9にSIP BYEメッセージを送ることによって、第1のセッションを終了する。802.11無線リンクの信号強度が低下する場合、IP電話2とアクセスポイント3との間の通信が存在している間、このSIP BYEメッセージが送られる。このBYEメッセージが送信され受信された後、第1のセッションが終了し、メディアストリームのためのデータペイロードパケットの通信を維持するために第2のセッションが使用される。
【0040】
図17は、第1のセッションが終了した後、第2のセッションにおけるデータペイロードVoIPパケットのフローを示す。
【0041】
上述した例は、802.11リンクを有する第1のセッションから、CDMAリンクを有する第2のセッションへの切換を含むが、これはそうである必要はない。別の例では、第1のセッションが、CDMA無線リンクを含み、第2のセッションが、802.11無線リンクを含む。そのような状態は、パーティAが最初はセルラBTS30を介したCDMA通信を用いており、次に、アクセスポイント3のローカル有効範囲領域に到達する場合に生じる。CDMAサービス及び802.11サービスともに、アクセスポイント3のローカル有効範囲領域内で利用可能であるが、上述した本方法は、802.11無線リンクを含む第2のセッションをセットアップするために使用される。その後、データペイロードVoIPパケットのフローが、CDMA第1のセッションから、802.11第2のセッションへと切り換えられる。CDMAリンクの使用に関する課金を避けるために、第2のセッションが一旦アクティブになり、VoIPメディアストリームのデータペイロードを取り扱うと、CDMAリンクを有する第1のセッションが終了する。
【0042】
図18は、代替データフローハンドオフメカニズムを示す。1つのセッションから別のセッションへのデータペイロードVoIPパケットの切り換えをシグナルするためにハンドオフ制御パケットを送るのではなく、IP電話2は単に、第2のセッションにおいて、データペイロードVoIPパケットを通信し始める。矢印36は、パーティAからパーティBへと通信される最初のデータペイロードVoIPパケットを表す。パーティBが第1のセッションにおいてデータペイロードVoIPパケットを受信した場合、パーティBは、第1のセッションにおいてパーティAへ送ることを望んでいるあらゆるデータペイロードVoIPパケットを送ることによって応答する。パーティBからパーティAへのデータペイロードVoIPパケットのフローは、矢印37によって示される。第1のセッションから第2のセッションへのデータペイロードVoIPパケットのフローを切り換えるために、パーティAは単に、第2のセッションにおいて、データペイロードVoIPパケットをパーティBへ送ることを開始する。このフローは、矢印38によって表わされる。パーティBが、第2のセッションにおいて、データペイロードVoIPパケットを受信し始めると、パーティBは、第2のセッションにおいてパーティAへ送ることを望んでいる次のあらゆるデータペイロードVoIPパケットを送ることによって応答する。第2のセッションにおけるパーティBからパーティAへのデータペイロードVoIPパケットのフローは、矢印39によって表される。
【0043】
パーティBが、IP電話において終端するTCP接続を介してVoIPデータペイロードパケットが送られるIP電話を有するシステムについて上述したが、パーティBは、IP電話を有しておらず、メディアゲートウェイを経由するIPテレフォニーを用いることもできる。通話がパーティBへの通話である場合、このメディアゲートウェイがVoIP通話を受信し、パーティBへの従来式の第2の通話を行い、VoIP通話とこの従来式の第2の通話との間でペイロード情報を中継する。通話がパーティBから発信された通話である場合、パーティBが、メディアゲートウェイへ従来式の通話を行い、メディアゲートウェイが、意図する呼出先へと第2のVoIP通話を行い、メディアゲートウェイが、従来式の通話とVoIP通話との間でペイロード情報を中継する。したがって、メディアゲートウェイは、パーティBのためのダミーのIP電話として動作する。
【0044】
上述した例におけるIP電話9は、陸線IP電話であるが、他の例では、IP電話9は、(例えば、セルラ電話のような)モバイル無線通信デバイスである。第1及び第2のセッションは、モバイルIP電話か陸線IP電話かの何れかによって開始することができる。
【0045】
図19は、第2の斬新な局面にしたがった方法の図である。モバイル通信デバイスは、第1のエアインタフェースと第2のエアインタフェースとを有する。第1のエアインタフェースは、第1のネットワーク上のトランシーバとモバイル通信デバイスとの間の第1の無線通信リンクによってVoIP/VIPパケットを通信するために利用することができる。第2のエアインタフェースは、第2のネットワーク上のトランシーバとモバイル通信デバイスとの間の第2の無線通信リンクによってVoIP/VIPパケットを通信するために利用することができる。一例において、モバイル通信デバイスは、IP電話として動作可能なセルラ電話である。図19の方法が実現される代表的なシステムは、図1に例示するシステムである。セルラ電話はIP電話2である。IP電話2の第1のエアインタフェースは802.11インタフェースであり、第1の無線通信リンクは、IP電話2とローカルエリアネットワーク(LAN)4との間のセルラ電話リンクである。IP電話2の第2のエアインタフェースはセルラ電話インタフェースであり、第2の無線通信リンクは、IP電話2とセルラ電話ネットワーク5との間のセルラ電話リンクである。
【0046】
図19に例示する方法におけるステップ100では、パーティAが、第1のセッションにおいてパーティBと通信するために、モバイル通信デバイス(例えばIP電話2)を用いる。記載されている例では、パーティBはIP電話9を使用している。第1のセッション(例えば、しばしば「SIP RTPセッション」、「SIPセッション」、または「VoIPセッション」と呼ばれるSIPによって確立されたRTPセッション)が、図1乃至図5に関連して上述したような1つの例において確立される。モバイル通信デバイスは、第1のエアインタフェースを使用して、第1のセッションにおいて、メディアストリームのデータペイロードを送信する。
【0047】
次に(ステップ101において)、パーティAは、図6に関連して上述したように、第1のネットワーク4上の無線アクセスポイント3からIP電話2を移動させる。この移動の結果、IP電話2と無線アクセスポイント3との間の無線通信リンクによって与えられるサービス品質が低下する。このサービス品質の低下は、例えば、以下のうちの1または複数を含みうる。第1のセッションにおいてIP電話2からIP電話9へ通信することが可能なデータペイロードビットレート(ビット/秒)の減少、第1のセッションにおいてIP電話9からIP電話2へ通信することが可能なデータペイロードビットレート(ビット/秒)の減少、第1のセッションにおいてIP電話2からIP電話9へ単位時間あたりに通信されるRTPパケットの合計数の減少、第1のセッションにおいてIP電話9からIP電話2へ単位時間あたりに通信されるRTPパケットの合計数の減少、IP電話2からIP電話9への第1のセッションにおける通信中に喪失されるRTPパケット数の増加、IP電話9からIP電話2への第1のセッションにおける通信中に喪失されるRTPパケット数の増加、IP電話2またはIP電話9の何れかへ到来するパケットの到着の間におけるジッタの増加、IP電話2からIP電話9へとパケットを完全に通信するために必要とされる時間(しばしば、レイテンシと呼ばれる)の増加、IP電話9からIP電話2へとパケットを完全に通信するために必要とされる時間の増加。サービス品質の減少によって、IP電話2によって、アクセスポイント3によって、あるいはこれら両方によって検出されるように、RF信号強度が低下することが明らかになりうる。
【0048】
IP電話2は、サービス品質の1または複数の表示を使用して、サービス品質の低下を検出する(ステップ101)。IP電話2が、サービス品質の低下を検知することができる多くの方法がある。一例では、IP電話2は、IP電話9から、第1セッションにおいて、RTCP(リアルタイム制御プロトコル)受信機レポート(RR)パケットを受信する。これらRTCP受信機レポートは、第1セッションにおいて、IP電話9上で受信されたパケットの総数を含んでいる。IP電話2は、引き続くRTCP受信機レポートにおけるパケット値の総数から、最初のRTCP受信機レポートにおけるパケット値の総数を引くことにより、時間内においてIP電話9へと受信されたパケット数を判定する。IP電話2は、2つのRTCPレポート間の時間差を判定し、次に、この時間差から、時間内において受信された判定されたパケット数を分割する。これによって、単位時間毎にIP電話9へ受信される適切なパケット数を得ることができる。この値は、1つの実施形態では、サービス品質の評価として使用される。
【0049】
IP電話2は、規則的ベースで定期的にサービス品質の低下を検出するためにこの動作を行い、単位時間毎に第1のセッションにおいてIP電話9上で受信されたパケット数を追跡する。単位時間当たりにIP電話9上で受信されたパケット数が閾レベルを下回った場合、IP電話2は、第2のVoIPセッションに対して、IP電話2とIP電話9との間の通信を確立させる(ステップ102)。第2のセッションは、IP電話2の第2のエアインタフェースを用いて、セルラ電話ネットワーク5上のアクセスポイント3とIP電話2との間の通信を含む。
【0050】
サービス品質の低下を検出する別の方法は、連続したRTCP受信機レポートの到着間ジッタフィールド、喪失カウントフィールド、および/または喪失比(喪失したパケット比)フィールドの使用を含む。これらフィールドにおける値から、到着間ジッタと喪失したパケットの合計数が時間にわたってモニタされる。単位時間毎に喪失したパケット数が、閾レベルよりも増加した場合、あるいは、到着間ジッタが、閾レベルよりも増加した場合には、サービス品質が低下したとの判定がなされる。
【0051】
第2のセッションは、任意の適切な方法を用いて確立される。ここで記載される例では、図7乃至図11に関連して上述した方法を用いて第2のセッションが確立される。IP電話2は、第1のセッションを識別するSIP SPAWNメッセージをIP電話9へ通信する。IP電話9は、SIP OKメッセージをIP電話2へ戻すことによって応答する。SIP OKメッセージは、SPAWN識別子を含んでいる。そして、IP電話2は、SPAWN識別子を含むSIP INVITEメッセージをIP電話9へ通信する。IP電話9は、SIP INVITEメッセージを受信し、第2のセッションを確立し、SIP INVITEメッセージを用いて、第2のセッションを第1のセッションに関連付ける。
【0052】
第2のセッションが一旦アクティブになると、第1のセッションを終了するのではなく、第2の斬新な局面の方法にしたがってIP電話2とIP電話9との間の単一のメディアストリームのVoIP/VIPパケットを通信するために、第1のセッションと第2のセッションとの両方が同時に使用される。この単一のメディアストリームは、例えば、パーティAの音声を表す音声データでありうる。音声データメディアストリームは、VoIP/VIPパケットのデータペイロードで伝送される。例えば、メディアストリームの音声データの4つのセグメントが、以下のようにして、IP電話2からIP電話9へ通信されうる。すなわち、第1の音声データが、第1のセッションを介して、第1のVoIP/VIPパケットで通信され、次に、第1の音声データに続く第2の音声データが、第2のセッションを介して、第2のVoIP/VIPパケットで通信され、次に、第2の音声データに続く第3の音声データが、第1のセッションを介して、第3のVoIP/VIPパケットで通信され、次に、第3の音声データに続く第4の音声データが、第2のセッションを介して、第4のVoIP/VIPパケットで通信される。したがって、音声データは、2つのセッションを介して、インタリーブ方式で通信される。RTPプロトコルにしたがって、VoIP/VIPパケットはそれぞれ、RTPシーケンス番号と同様、RTPタイムスタンプを有する。IP電話9は、第1のセッションおよび第2のセッションを介して、IP電話9へ到来するVoIP/VIPパケットを受信し、メディアストリームを再構築できるように、RTPタイムスタンプおよび/またはRTPシーケンス番号を用いてデータペイロードを順序付ける。4つのVoIP/VIPパケットが単一のメディアストリームの音声データを伝送する上述した例では、データペイロードが、第1のデータペイロード、第2のデータペイロード、第3のデータペイロード、第4のデータペイロードのような順序でIP電話9によって順序付けられる。IP電話9は、データペイロードを適切に順序付けるために、RTCPシーケンス番号とRTCPタイムスタンプとを用いる。適切に順序付けられたデータペイロードは、再構築メディアストリームを構成する。
【0053】
1つの実施形態では、メディアストリームの同じ数からなるデータペイロードは、単位時間当たりに常に第1のセッションおよび第2のセッションで通信される。あるいは、単位時間当たりに第1のセッションで通信されるデータペイロードの、第2のセッションで通信されるデータペイロードに対する比率は、変えられる。このデータペイロードの比率は、第1のセッションのサービス品質の評価と、第2のセッションのサービス品質の評価との間の関係によって決定される。サービス品質の様々な異なる表示は、セッションのサービス品質の尺度として使用することができる。例えば、IP電話2は、第1のセッションにおいて、IP電話9からRTCP受信機レポートパケットを受信する。
【0054】
IP電話2は、RTCP受信機レポートで受信した合計パケット数を用いて、第1のセッションのサービス品質の評価を行い、第2のセッションのサービス品質の評価を行う(ステップ104)。例えば、第1のセッションにおいて、単位時間当たりにIP電話9上で受信されたパケット数が、第2のセッションにおいて、単位時間当たりにIP電話9上で受信されたパケット数よりも低下した場合、IP電話2とLANアクセスポイント3との間の第1の無線通信リンクに問題があろう。したがって、IP電話2は、インタリーブ方式で、第1のセッションおよび第2のセッションを介して、メディアストリームの連続的なデータペイロードを通信する(ステップ105)。ここで、IP電話2から、第1のセッションによって送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションによって送信されるVoIP/VIPパケットに対する比率は、第1のセッションを用いて利用可能な評価済みサービス品質の、第2のセッションを用いて利用可能な評価済みサービス品質に対する比率に設定される。1つのセッションで利用可能なサービスの、他のセッションで利用可能なサービスに対する相対的な品質が変わると、IP電話2もまた、第1のセッションによって送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションによって送信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を変える。第1のセッションか第2のセッションの何れかを用いて利用可能なサービス品質が、IP電話2からIP電話9へ所望のメディアストリーム情報を通信するのに適切ではない場合、第1のセッションと第2のセッションとを組み合わせた通信機能が適切であるかもしれず、また、通信負荷を共有するために使用され、何れかのセッションのみを用いることでは利用できないサービス品質特性が達成される。
【0055】
図20は、第2の斬新な局面にしたがって、IP電話2からIP電話9へと通信されるVoIP/VIPパケットを図示する簡略図である。この図では、上側の時間軸が、第1のセッションを用いたIP電話2からIP電話9への通信を表す。下側の時間軸は、第2のセッションを用いたIP電話2からIP電話9への通信を表す。時間は左から右へ進む。このブロック図は横軸においてスケールするべきではないが、様々なVoIP/VIPパケットの互いの相対的なタイミングを示すように表される。
【0056】
先ず、期間106では、1乃至4と示された一連のVoIP/VIPが、第1のセッションを用いて通信される。次に、時間107において、第1のセッションにおいてサービス品質の低下が検出され、第2のセッションが確立される。その後、5乃至10と示された6つのVoIP/VIPパケットは、第1のセッションと第2のセッションとの両方を用いて、IP電話2から、インタリーブ方式で通信される。2つのセッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットの数は、同じである。なぜなら、第1のセッションによって提供されるサービス品質の評価は、第2のセッションによって提供されるサービス品質の評価と実質的に同じだからである。図示する例において、この条件は、第1のセッションと第2のセッションとの間のサービス品質の相対的な評価が変わる時間108まで続く。第1のセッションによって提供されるサービス品質は、第2のセッションによって提供されるサービス品質よりも2倍良いと判定される。したがって、時間108で始まって、第1のセッションでは、第2のセッションよりも、単位時間あたりに2倍の数のVoIP/VIPパケットが通信される。11乃至16と示された更に6つのVoIP/VIPパケットが、時間108の後に通信されていることが示される。
【0057】
IP電話2が、第1のセッションで送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションで送信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を定期的に調節するのと同じ方法で、IP電話9もまた、IP電話2へ、第1のセッションで送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションで送信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を定期的に調節することができる。IP電話9は、例えば、第1のセッションについて、IP電話2からRTCP受信機レポートを受信し、第2のセッションについても、IP電話2からRTCP受信機レポートを受信しうる。IP電話9は、これら受信機レポートにおける情報を用いて、第1のセッションによって提供されるサービス品質と、第2のセッションによって提供されるサービス品質との評価を行う。そして、IP電話9は、1つのセッションによって提供されるサービス品質の評価の、他のセッションによって提供されるサービス品質の評価に対する比率が同じになるように、IP電話2へ、第1のセッションで通信されたVoIP/VIPパケットの、第2のセッションで通信されたVoIP/VIPパケットに対する比率を調節する。
【0058】
図21は、第2の斬新な局面にしたがってIP電話9からIP電話2へ通信されるVoIP/VIPパケットを例示する簡略図である。この図では、第1の6つのVoIP/VIPパケットが、時間109の前に、第1のセッションで通信される。IP電話9は、第1のセッションによって提供されるサービス品質の評価を行い、第2のセッションによって提供されるサービス品質の評価を行う。図示する例では、2つのセッションは、同じサービス品質を提供しているものと判定される。したがって、時間109の後、IP電話9は、第1のセッションにおいてVoIP/VIPパケットの半分を送信し、第2のセッションにおいてその半分を送信する。図20において、通信されるVoIP/VIPパケットの相対比率が変わる時は、図21において、通信されるVoIP/VIPパケットの相対比率が変わる時と異なる。これは、2つの方向において使用されるセッションの相対比率が、同じになる必要はないという点を示している。
【0059】
したがって、到来するメディアストリームのRTPデータペイロードを通信するために、および、発信されるメディアストリームのRTPデータペイロードを通信するために、IP電話2の両方のエアインタフェースが使用されることが理解される。2つのエアインタフェースのうちの1つを用いることは、それを介する通信が完全に喪失した場合に停止されうる。2つのエアインタフェースのうちの1つを用いることはまた、他のエアインタフェースを介した通信が十分に良好であり、その1つのエアインタフェースのみを用いることを保証できるのであれば停止される。どれだけの数のエアインタフェースを使用するか、および、どれだけの割合にするかの判定は、単純な関数であるか、多くの変数を含む関数でありうる。これら変数は、コスト情報およびサービス品質の表示を示す。
【0060】
単位時間当たりにセッションにおいて受信される合計パケット数が変わる理由は多くある。第1の無線通信リンクは、IP電話2からIP電話9への通信パス全体のうちのほんの一部であることが認識される。そのため、セッションで受信される合計パケット数の減少は、データを通信するための第1の無線リンクの能力の低下のせいであるとは全く考えられないかもしれない。したがって、単位時間当たりに受信される合計パケット数を含む上述したものとは異なるサービス品質の評価が適用されうる。一例では、RTCP受信機レポートパケットが適用されず、無線アクセスポイント3が、第1の無線リンクのパフォーマンスに関するサービス品質情報(例えば、瞬時ビットレート情報、および/または、アクセスポイントで検出されたRF信号強度の表示)を保持する。このサービス品質情報は、MACレイヤ通信、または、RTPレイヤやSIPレイヤの下のその他の通信を用いて、無線アクセスポイント3からIP電話2へと通信される。IP電話2は、セルラアクセスポイント30から、第2の無線通信リンクに関する同様なサービス品質情報を受信する。2つの無線通信リンクに関するサービス品質情報は、その後、2つのセッションによって与えられる相対的なサービス品質の評価を行うために使用される。
【0061】
ある特定の実施形態が、説明目的のために上述されたが、本発明はそれに限定されない。第2の斬新な局面における第2のセッションの確立を引き起こすイベントは、全てのケースにおいて、第1のセッションにおけるサービス品質の低下である必要はない。一例では、第1のセッションによって提供されるサービス品質の実質的な低下は検出されず、単位時間当たり通信されるメディアストリームのデータ量が増加し、所望の方法(例えば、所望の最大レイテンシ)でメディアストリームのデータを通信するために第1のセッションはもはや適切ではなくなる。それに応じて、メディアストリームのデータのうちの過剰なデータを通信するために第2のセッションが確立される。過剰なデータが通信され、単位時間当たりに通信されるデータ量がそのオリジナルのレベルへと低下すると、第2のセッションはもはや必要とされず、控えめに使用されるか、あるいは、終了する。したがって、第2の斬新な局面は、第1のセッションに過度に負荷をかけて、第1のセッションの通信における望ましくないレイテンシをもたらしうるデータのスラッグを通信するために使用することができる。そのようなデータスラッグの例は、電話会話の間に通信される静止画像情報およびビデオ情報を含む。第2の斬新な局面の例が、2つのエアインタフェースを介して、インタリーブ方式でパケットを通信するモバイル通信デバイスに関連付けられて上述されたが、モバイル通信デバイスは、3またはそれ以上のエアインタフェースを介し、第2の斬新な局面に従うインタリーブ方式でパケットを通信することができる。したがって、上述した具体的実施形態の様々な特徴の変更、適応、及び組み合わせは、特許請求の範囲で述べられた本発明の範囲から逸脱することなく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、1つの斬新な局面にしたがったIP(Internet Protocol)テレフォニー通信システム1の簡略トポロジカルブロック図である。
【図2】図2は、図1のシステムにおけるIP電話2とSIPプロキシ7との間のTCP接続を例示する。
【図3】図3は、斬新な方法にしたがった第1のステップのブロック図である。
【図4】図4は、斬新な方法にしたがって第1のセッションをセットアップするSIP INVITE要求のブロック図である。
【図5】図5は、第1のセッションの初期化を例示する。
【図6】図6は、パーティAが、図1のシステムのアクセスポイント3からIP電話2を移動する第1のセッションを例示する。
【図7】図7は、本斬新な方法にしたがって、IP電話2からIP電話9へ送られるSPAWN SIPメッセージの図である。
【図8】図8は、本斬新な方法にしたがって、SPAWN SIPメッセージの通信を例示するブロック図を示す。
【図9】図9は、図1のシステムによるSPAWN SIPメッセージの通信、及び、SPAWN IDを含む200 OK SIPメッセージを戻すことを例示する。
【図10】図10は、本斬新な方法にしたがって第2のセッションを初期化するために、IP電話2からIP電話9へ第2のSIP INVITE要求を送ることを例示する。
【図10A】図10Aは、IP電話9において実行するソフトウェアの構造の簡略図である。
【図11】図11は、アクティブな第1及び第2の両セッションを例示する。
【図12】図12は、第1のセッションから第2のセッションへとVoIPデータパケットを切り換えるようシグナルするために、メディアハンドオフ制御パケットを使用することを例示するブロック図である。
【図13】図13は、IP電話2からIP電話9へのハンドオフ制御パケットの送信を例示する。
【図14】図14は、ハンドオフ制御パケットのブロック図である。
【図15】図15は、第2のセッションによるデータペイロードのフローを示す。
【図16】図16は、第1のセッションを終了するために、IP電話2からIP電話9へBYE SIPメッセージを送信することを例示する。
【図17】図17は、第1のセッションの終了後における図1のシステムを例示する。ここで、メディアストリームのデータペイロードVoIPパケットは、もはや第1のセッションでは通信されていないが、第2のセッションにおいて通信されている。
【図18】図18は、メディアストリームのVoIPデータペイロードパケットが、第1のセッションにおいてもはや通信されていないが、第2のセッションにおいて通信されることをIP電話9が判定する他の方法を例示する。
【図19】図19は、第2の斬新な局面にしたがった方法の図である。
【図20】図20は、第2の斬新な局面にしたがって、モバイル通信デバイスから第2のIPデバイスへ通信されるVoIP/VIPパケットを例示する簡略図である。
【図21】図21は、第2の斬新な局面にしたがって、第2のIPデバイスからモバイル通信デバイスへ通信されるVoIP/VIPパケットを例示する簡略図である。
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、一般に、IPテレフォニーに関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ電話のようなモバイル通信デバイスは、複数のエアインタフェースを有しうる。一例では、セルラ電話は、従来、CDMA(符号分割多元接続)トランシーバを用いたセルラ電話ネットワークを用いて、比較的長距離にわたって通信をすることができる。セルラ電話のCDMAトランシーバは、セルラ電話ネットワーク上のセルラBTS(基地送信機サイト)と通信する。更に、セルラ電話は、IEEE 802.11トランシーバを用いた無線ローカルエリアネットワーク(LAN)を用いて、比較的短距離で通信することができる。セルラ電話の802.11トランシーバは、LAN上のアクセスポイントと無線で通信する。
【0003】
第1のパーティは、VoIP(voice over Internet Protocol)技術を用いて第2のパーティへ通話するために、セルラ電話を使用することができる。音声データは、セルラ電話から、アクセスポイントへの802.11無線リンク、LAN、及びインターネットを介して、IPパケットによって第2のパーティへと通信される。第1のパーティがそのような通話に従事している場合、第1のパーティが、2つのエアインタフェースを持つモバイル通信デバイスを移動させ、2つのアクティブなインタフェースが、完全よりも少ない有効範囲を持つようになるかもしれない。このような従来式のアプローチは、より良い有効範囲を持つインタフェースを用いることを開始し、より良いインタフェースを用いてRTPのようなリアルタイムトラフィックを送ることを開始する。モバイル通信デバイスは、切り換わったインタフェース条で完全な有効範囲を持つ訳ではないので、サービス品質が影響を受ける。そして、選択されたインタフェースは、インタフェースについての有効範囲が完全に失われるまで、または、その他のインタフェースについての有効範囲が改善するまで、RTPデータを送るために使用される。解決策が望まれる。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0004】
モバイル通信デバイス(例えば、セルラ電話)は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)との無線通信のための1つのエアインタフェースと、セルラ電話ネットワークとのセルラ電話通信のための別のエアインタフェースとを有する。無線LANとの無線通信は、例えば、IEEE 802.11に従いうる。セルラ電話ネットワークは、例えば、CDMA(符号分割多元接続)電話ネットワークでありうる。
【0005】
第1の斬新な局面にしたがって、モバイル通信デバイスは、先ず、第1のセッションにおいて、エアインタフェースのうちの1つを介して、メディアストリームのデータペイロードVoIPパケットを、ターゲット通信デバイスへ送信するために使用される。VoIPパケットは、IP(Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)及びRTP(Real-Time Protocol)を用いて通信される。VoIPメディアストリームは、例えば、モバイル通信デバイスを用いた第1のパーティAと、ターゲット通信デバイスを用いた第2のパーティBとの間の会話のための音声データを含む。
【0006】
そして、モバイル通信デバイスの他のエアインタフェースを用いて通話を継続することが望まれる。これは、例えば、初めは短距離無線LANインタフェースとして使用されているエアインタフェースによるものかもしれない。パーティAは、短距離の無線LANの有効範囲領域から出るかもしれない。より長距離のセルラ電話エアインタフェースを用いることに切り換えることによって、通話を継続することが望まれる。あるいは、第1のエアインタフェースを用いることから、第2のエアインタフェースへ切り換えることが望まれる。ここで、第1のエアインタフェースは、より長距離のセルラ電話インタフェースであり、第2のエアインタフェースは、より短距離の無線LANインタフェースである。最初はセルラ電話エアインタフェースが使用されるが、次に、パーティAが、無線LANの有効範囲領域へ移動する。例えば、パーティAのセルラ電話プロバイダが、そのセルラ電話ネットワーク上で音声会話を伝送することに課金するのであれば、パーティAはそのセルラエアインタフェースを用いることをやめ、より費用の安い無線LANエアインタフェースを用いて通話を継続することが望ましい。
【0007】
最初に使用されていたエアインタフェースから別のエアインタフェースへ切り換えることを望む理由に関わらず、パーティAのモバイル通信デバイスは、パーティBのターゲット通信デバイスへSPAWN SIPメッセージを送る。SPAWN SIPメッセージは、IP、TCP(Transmission Control Protocol)、及びSIP(Session Initialization Protocol) を用いて通信される。ターゲットは、SPAWN識別子を含む200 OK SIPメッセージを送ることによって応答する。その後、モバイル通信デバイスは、他のインタフェースを介してSIP INVITE要求をターゲットへ送ることによって、他のエアインタフェースを介した第2のセッションをセットアップする。SIP INVITE要求は、SPAWN識別子を含んでいる。第2のセッションは初期化され、第1及び第2のセッションの両方が、アクティブなVoIPセッションとなる。どちらのセッションも、回路切換リンクを含む。ターゲット通信デバイスは、第1のセッションと第2のセッションとを関連付けるSIP INVITE要求で受信されるSPAWN識別子を用いる。
【0008】
第2のセッションが一旦初期化されると、モバイル通信デバイスは、第1のセッションにおいて、メディアストリームのためVoIPパケットを送信することをやめ、第2のセッションにおいて、メディアストリームのため次のVoIPパケットを送信する。幾つかの実施形態では、モバイル通信デバイスからターゲットへとハンドオフ制御パケットが送られ、ターゲットに対して、次のVoIPパケットは第1のセッション内ではもはや受信されないが、第2のセッション内で受信されることを知らせる。他の実施形態では、メディアストリームのデータペイロードVoIPパケットはもはや第1のセッションにおいてターゲットによって受信されないので、ターゲットは、データペイロードVoIPパケットを通信するために第2のセッションが使用されているが、メディアストリームのデータペイロードVoIPパケットは第2のセッションにおいてターゲットによって受信されていると判定する。VoIPパケットが、第2のセッションにおいて通信されていると、ターゲットがどのようにして判定するかに関わらず、パーティAの通信デバイスとパーティBの通信デバイスとの間の両方向におけるVoIPパケットのフローは、第2のセッションで生じ、第1のセッションでは生じない。
【0009】
例えば、データペイロードVoIPパケットが、会話のための音声データを含んでいる場合、VoIPパケットを受信する通信デバイスは、第2のセッションで受信したVoIPペイロードを、FIFO(first in first out)バッファ内に、第1のセッションで受信したVoIPパケットのペイロードの後にバッファする。VoIPパケットは、RTPシーケンス番号及びタイムスタンプにしたがってFIFO内に順序付けられる。FIFOバッファの出力は、通信デバイスのユーザによって聞かれる音に変換される。
【0010】
2つのセッションがアクティブなままである限り、データペイロードVoIPパケットのフローは、所望により、1つのセッションから別のセッションへと切り換えることができる。データペイロードVoIPパケットを通信するために使用されていないセッションは、所望により、停止することができる。第1のセッションを停止するために、モバイル通信デバイスは、SIPプロトコルにしたがって、SIP BYEメッセージをターゲット通信デバイスへ送る。第2の斬新な局面にしたがって、モバイル通信デバイスは、第1のエアインタフェースと第2のエアインタフェースとの両方を有する。例えば、第1のエアインタフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)上の無線アクセスポイントと無線RF通信するためのIEEE 802.11インタフェースでありうる。例えば、第2のエアインタフェースは、セルラ電話ネットワーク上のアクセスポイントと無線RF通信するためのCDMAセルラ電話インタフェースでありうる。
【0011】
VoIP/VIP通話では、モバイル通信デバイスは、モバイル通信デバイスから第2のIPデバイスへと第1のセッションにおいてVoIP/VIPパケットを通信するために第1のエアインタフェースを用いる。モバイル通信デバイス内のソフトウェアは、第1のセッションによって与えられたサービス品質に関して定期的に評価する。この評価が、サービス品質が不適当または受け入れられないレベルへ低下したことを示す場合、かつ、第2のエアインタフェースを使用することが可能な場合、モバイル通信デバイスは、モバイル通信デバイスと第2のIPデバイスとの間に第2のセッションが確立されるようにする。ここで、第2のセッションは、モバイル通信デバイスの第2のエアインタフェースを用いた通信を含んでいる。
【0012】
第2のセッションが一旦確立されると、第1のセッションを終了するのではなく、モバイル通信デバイスから第2のIPデバイスへと単一のメディアストリームのVoIP/VIPパケットを通信するために、第1のセッションと第2のセッションとの両方が使用される。一例では、単一のメディアストリームは、このモバイル通信デバイスを使用する人の声を表す音声データである。VoIP/VIPパケットは、インタリーブ方式で、第1のセッションおよび第2のセッションで、第2のIPデバイスへ送信される。第2のIPデバイスは、第1のセッションおよび第2のセッションからVoIP/VIPパケットを受信する。そして、VoIP/VIPパケットのデータペイロードを順序付けるためにRTPタイムスタンプおよび/またはRTPシーケンス番号を用いる。これによって、単一のメディアストリームを再構築する。モバイル通信デバイスは、第1のセッションによって与えられるサービス品質と、第2のセッションによって与えられるサービス品質との定期的な評価を行う。1つの実施形態では、第1のセッションにおいてモバイル通信デバイスから送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションに対する比率は、第1のセッションのサービス品質の評価と、第2のセッションのサービス品質の評価との比率である。セッションのサービス品質評価の1つの例は、単位時間当たりに第2のIPデバイスによって、セッション内で受信されるパケット数である。第1のセッションにおいてモバイル通信デバイスによって送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションに対する比は、これら2つのセッションにおけるサービス品質の変化する評価を反映するために定期的に調節される。この比率は必ずしも計算された値である必要はないが、所与の期間内に、1つのセッションにおいて、他のセッションに比べて、どれくらい多くのVoIP/VIPパケットが送信されるかを示す固有の結果である。セッションのサービス品質評価は、RTCPレポートにおける情報、アクセスポイントから受信した検出信号強度情報、および/またはアクセスポイントから受信した瞬時ビットレート情報を含みうる。
【0013】
モバイル通信デバイスから送信されるVoIP/VIPパケットの比率が調節されるのと同じ方法で、第1のセッションにおいてモバイル通信デバイスへ送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションにおける場合に対する比率もまた調節される。モバイル通信デバイスから送信されるパケットの比率は、モバイル通信デバイスへ送信されるパケットの比率と同じである必要はない。モバイル通信デバイスおよび第2のIPデバイスにおけるサービス品質の評価を行うために使用されるメカニズムは必ずしも同一である必要はない。
【0014】
更なる実施形態が、以下の詳細記述に記載される。この要約は、発明を定義することを意図していない。本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【詳細な説明】
【0015】
図1は、1つの斬新な局面にしたがったIP(Internet Protocol)テレフォニー通信システム1の簡略トポロジカルブロック図である。第1のパーティ(図1において「パーティA」と示す)は、例えばIP電話2のようなモバイル無線通信デバイスを用いる。IP電話2は、図1においてIPアドレス#1と示されたIPアドレスを有する。もしもIP電話2が、アクセスポイント3の通信範囲内にあるのであれば、IP電話2は、LAN(ローカルエリアネットワーク)4上のアクセスポイント3との短距離無線通信が可能である。この例では、IP電話2及びアクセスポイント3は、IEEE 802.11仕様にしたがって通信する。LAN4は、パーティAが、ローカル領域内においてIP電話2を移動することができ、アクセスポイントのうち少なくとも1つを経由してLAN4と通信し続けることができるように、複数のアクセスポイントを含む。
【0016】
システム1は更に、セルラ電話ネットワーク5を含んでいる。この例において、セルラ電話ネットワーク5は、CDMA(符号分割多元接続)セルラ電話ネットワークである。またIP電話2は、CDMAセルラ電話ネットワーク5において、トランシーバを用いて長距離の無線通信を行うことができる。パーティAは、IP電話2を用いて、CDMAセルラ電話ネットワーク5によって通話を行ったり、受信する。IP電話2は、CDMAセルラ電話通信のみならず、802.11通信も可能であるので、IP電話2は、デュアルモードIP電話と称される。
【0017】
LAN4及びセルラ電話ネットワーク5はIPネットワークに接続される。この例において、IPネットワークは、インターネットすなわち「インターネット」6である。インターネット6は、複数の相互接続したルータを含んでいる。SIPプロキシ7は、LAN4からインターネット6へ、また、インターネット6からLAN4へとIPパケットを通信できるように、LAN4とインターネット6との両方に配置される。SIPプロキシ7は、LAN4のATLANTA1.COMドメインのためのインバウンドプロキシとアウトバウンドプロキシとの両方として動作する。SIPプロキシ7は、LAN4上のサーバとして、及び、インターネット6上のクライアントとして動作する。SIPプロキシ7は、他のSIPプロキシ及びSIPセッション終点との間で、SIP要求及びSIP応答を中継する。
【0018】
他のSIPプロキシ8は、セルラ電話ネットワーク5、及びインターネット6の両方に配置され、これによって、SIPプロキシ8は、セルラ電話ネットワーク5からインターネット6へ、及び、インターネット6からセルラ電話ネットワーク5へとIPパケットを通信することができる。SIPプロキシ8は、セルラ電話ネットワーク5のATLANTA2.COMドメインのためのインバンドプロキシ及びアウトバウンドプロキシの両方として動作する。SIPプロキシ8は、セルラ電話ネットワーク5上のサーバとして、及び、インターネット6上のクライアントとして動作する。SIPプロキシ8は、他のSIPプロキシ及びSIPセッション終点との間で、SIP要求及びSIP応答を中継する。
【0019】
第2のパーティ(図1に示す「パーティB」)は、IP電話9のような第2の通信デバイスを有する。この例では、IP電話9は、モバイルIP電話ではなく、むしろ、固定式の陸線IP電話である。IP電話9は、図1においてIPアドレス#2と示されたIPアドレスを持っている。IP電話9は、LAN10を経由してインターネット6に接続される。LAN10は、例えば、パーティBのインターネットサービスプロバイダ(ISP)によって維持されるLANであるかもしれないし、又は、パーティBの雇用者によって維持される企業LANでもありうる。SIPプロキシ11は、LAN 10、およびインターネット6に配置される。LAN10からインターネット6へ、及び、インターネット6からLAN10へとIPパケットを通信できるように、LAN10とインターネット6との両方に配置される。SIPプロキシ11は、LAN10のBILOXI.COMドメインのためのインバンドプロキシと、アウトバウンドプロキシとの両方として動作する。SIPプロキシ11は、LAN10上のサーバとして、及び、インターネット6上のクライアントとして動作する。SIPプロキシ11は、他のSIPプロキシ及びSIPセッション終点との間で、SIP要求及びSIP応答を中継する。
【0020】
図2は、IP電話2及びSIPプロキシ7を示す。プロトコル処理レイヤのスタック12は、SIPプロキシ7のハードウェアプラットフォーム上で動作する。SIPプロキシ7,8及び11の各々で動作するプロトコル処理レイヤには、このようなスタックがある。スタック12は、MACレイヤ13、IPレイヤ14、TCPレイヤ15、及びSIPレイヤ16を含んでいる。MACは「媒体アクセス制御」を表わす。IPは「インターネットプロトコル」を表わす。TCPは「転送制御プロトコル」を表わす。SIPは「セッション初期化プロトコル」を表わす。IP電話2内のプロセッサは、プロトコル処理レイヤの類似のスタック17を実行する。スタック17は、IPレイヤ18、TCPレイヤ19、及びSIPレイヤ20を含んでいる。スタック12,17の各々は、IPレイヤ及びTCPレイヤを含んでいるので、IP電話2とSIPプロキシ7との間でTCP接続を確立することができる。図2では、IP電話2内の黒い点が、IP電話2のIPアドレス#1を表わす。SIPプロキシ7内の黒い点は、IPアドレスを表わす。左端の矢印は、IP電話2及びSIPプロキシ7内で終端する第1のTCP接続21を表わす。IPプロトコル通信は、単なるベストエフォート通信だが、IPに加えてTCPを用いることによって、TCP接続21を介したIP電話2とSIPプロキシ7との間の情報の信頼できる通信が可能となる。TCP接続21が確立され、IP電話2とSIPプロキシ7との間で維持されるのと同じ方法で、第2のTCP接続22が確立され、IPプロトコル処理レイヤとTCPプロトコルレイヤとを含むスタック、及び、IPアドレスを有するインターネット上の他のデバイスとSIPプロキシ7との間で維持される。SIPプロキシ11(図1参照)は、そのような1つのデバイスである。図2では、右端の矢印は、SIPプロキシ7で一端が終端し、SIPプロキシ11で他端が終端している第2のTCP接続22を表す。
【0021】
図3は、斬新な方法にしたがった第1のステップのブロック図である。この図では、時間は、垂直のディメンションにおける上端から下端まで及ぶ。“パーティA”とラベルされたボックスと、このボックスから下の方向へ伸びる垂線は、IP電話2を表す。“パーティB”とラベルされたボックスと、このボックスから下の方向へ伸びる垂線は、IP電話9を表す。「SIPプロキシ#1」とラベルされた垂線は、SIPプロキシ7を表わす。「SIPプロキシ#2」とラベルされた垂線は、SIPプロキシ11を表わす。
【0022】
IP電話2内には、IP電話2がLAN4と通信している場合に使用されるSIPプロキシの識別情報が格納されている。IP電話2は、IP電話2がセルラ電話ネットワーク5と通信している場合に使用される別のSIPプロキシの別の識別情報を格納する。この例において、LAN4と通信している場合に使用されるSIPプロキシの識別情報は、PROXY1.ATLANTA1.COMである。セルラ電話ネットワーク5と通信している場合に使用されるSIPプロキシの識別情報は、PROXY3.ATLANTA2.COMである。IP電話2はLAN4と通信しているので、IP電話2は、識別情報PROXY1.ATLANTA1.COMを用い、この識別情報を解釈して、識別されたSIPプロキシのLAN側のIPアドレスを取得する。この識別されたSIPプロキシのLAN側のIPアドレスが、前のSIPトランザクションでアドレスされたSIPプロキシと関連付けられてIP電話2内にキャッシュされると、このキャッシュされたIPアドレスは、SIPプロキシのLAN側のIPアドレスとして使用される。この識別されたSIPプロキシのLAN側のIPアドレスが、IP電話2内にキャッシュされていないのであれば、IP電話2は、DNSサーバ(図示せず)にDNS要求を送る。DNSサーバは、この例では、LAN4に配置される。DNSサーバは、各SIPプロキシに対するIPアドレスを含むルックアップテーブルを含む。DNSサーバは、IP電話2にIPアドレスを送り返すことによって、DNS要求に応答する。この例では、IP電話2のIPアドレスは10.32.1.141である。識別されたSIPプロキシのLAN側のIPアドレスを、IP電話2がどのようにして取得するかに関わらず、IP電話2は、SIP呼出人又は発信人として動作し、IP電話2とSIPプロキシ7との間のTCP接続21を介して、SIPプロキシのLAN側のIPアドレスへSIP INVITE要求を送る。図3では、パーティAからATLANTA1.COMへ伸びる一番上の矢印23は、このSIP INVITE要求の送信を示している。
【0023】
図4は、SIP INVITE要求のブロック図である。SIP INVITE要求のヘッダフィールド部は、SIP INVITE要求が、SIPアドレスBOB@BILOXI.COMへ向けられていることを示している。SIP INVITE要求のヘッダフィールド部は、SIP INVITEが、SIPアドレスALICE@ATLANTA1.COMからのものであることを示す。SIP INVITE要求は、SIPプロキシ7上で終端しているTCP接続において受信され、SIPプロキシ7のSIPプロトコル処理レイヤへ提供される。SIPプロキシ7のSIPプロトコル処理レイヤは、このアドレス情報を検査し、BOB@BILOXI.COMを得る。そして、SIPプロトコル処理レイヤは、SIP INVITE要求をどこへ送信するかを判定するポリシーのセットを用いる。このポリシーのセットは、各ドメインネームに対する関連するSIPプロキシを示す。本例では、ポリシーは、ドメインネームBILOXI.COMが、関連するSIPプロキシ#2によってサービス提供されるべきであることを示す。そして、SIPプロキシ7内のSIPプロトコル処理レイヤは、識別されたSIPプロキシ#2を解釈し、SIPプロキシ#2のインターネット側のIPアドレスを決定する。これは、キャッシュされた情報を調べることにより、又は、DNSサーバルックアップを行うことによってなされうる。SIPプロキシ#2のインターネット側IPアドレスが一旦決定されると、SIPプロキシ7は、SIPプロキシ#2へのTCP接続を確立し、SIP INVITE要求を、インターネット6を介してSIPプロキシ#2へ転送する(図1参照)。SIPプロキシ#2は、ドメインBILOXI.COM上にある。BILOXI.COMは、LAN10のドメインネームである。図3のブロック図において、ATLANTA1.COMからBILOXI.COMへ伸びる矢印24は、SIPプロキシ7からSIPプロキシ11へのSIP INVITE要求の転送を表わす。
【0024】
SIPプロキシ11は、このSIP INVITE要求を受信する。SIPプロキシ11上で動作するスタックのSIPレイヤは、LAN10上の全てのデバイスのIPアドレスを知っている。SIP INVITE要求の、示されたSIP呼出先アドレスBOB@BILOXI.COMから、SIPプロキシ11のSIPレイヤは、BOB@BILOXI.COMのIPアドレスを取得し、SIP INVITE要求を、TCP接続を介して、IP電話9のIPアドレス(IPアドレス#2)へ転送する。図3では、BILOXI.COMからパーティBへ伸びる矢印25は、この転送を表わす。IP電話9のスタックのSIPレイヤは、このSIP INVITE要求を受信し、SIPプロトコルにしたがって、200 OK SIPメッセージを返す。200 OK SIPメッセージは、上述した転送処理と逆の処理によって、SIPプロキシ11及びSIPプロキシ7を介して、パーティA及びIP電話2へ戻される。図3では、この転送は、矢印26、27及び28によって表わされる。
【0025】
次に、IP電話2は、200 OK SIPメッセージを受信し、これからIP電話9のIPアドレスを得る。そして、IP電話2は、IP電話2からIP電話9へのTCP接続を直接的に確立することができる。200 OK SIPメッセージを受信することに応じて、IP電話2は、TCP接続を介して、IP電話9へとSIPアクノレッジ(ACK)メッセージを送り返す。図3では、これは、パーティAからパーティBまで直接伸びている矢印29によって図示される。
【0026】
図5は、SIP INVITE要求、200 OKメッセージ、及びACKを含むSIPトランザクションを示す。トランザクションの3つ全てのSIPメッセージが、ネットワークを通って同時に伝搬するものとして例示されていているが、SIPメッセージは、実際には、上述したように、一度に1つ送られ、受信される。SIPトランザクションの結果は、(パーティAの)IPアドレス#1と、(パーティBの)IPアドレス#2の初期化である。データペイロードがセッション中に通信されていようともいまいとも、終了していない初期化SIPセッションは、“アクティブ”であると呼ばれる。本例では、第1のSIPセッションが一旦初期化されると、音声及び/又はビデオデータペイロードを有する第1のVoIP/VIP(voice over IP or video over IP)が、RTP(Real-Time Protocol)プロトコルにしたがって、UDP(User Datagram Protocol)パケットによって、IP電話2のIPアドレス#1とIP電話9のIPアドレス#2との間で通信される。第1のセッションのデータペイロードはIPの上のUDPの上のRTPを使用して通信される、一方、第1のセッションの制御パケットは、IP、TCP、及びSIPを用いて通信される。
【0027】
図6は、IP電話2とIP電話9との間のこれら第1のVoIP/VIP IPデータペイロードパケットの幾つかの通信を例示している。この通信は、802.11プロトコルにしたがった、LAN4のアクセスポイント3とIP電話2との間の無線通信を含む。802.11は、比較的短距離のRF通信プロトコルである。本例では、パーティAは、アクセスポイント3から更に遠くへ移動する。IP電話2は、アクセスポイント3から受信したRF送信の信号強度を検知する。本例では、検知された信号強度の表示は、IP電話2において、IP電話2内の802.11トランシーバの受信機増幅器から出力されるRSSI(Radio Signal Strength Indicator)信号として利用可能である。アクセスポイント3内の802.11トランシーバの受信機増幅器はまた、IP電話2から受信したRF送信の信号強度を検知する。この検知された信号強度は、アクセスポイント3からIP電話2へと報告される。このように、IP電話2は、両方向で受信した送信の強度を認識する。パーティA及びIP電話2がアクセスポイント3から離れると、IP電話2とアクセスポイント3との間の802.11無線リンクの検知された信号強度は、しきい値に達するまで低下する。しきい値に到達すると、IP電話2は、IP電話2が、その長距離のセルラ電話トランシーバを用いて第2のSIPセッションを初期するべきであると判定する。IP電話2は、第1のセッションにおいて、SPAWNメッセージと呼ばれる斬新なSIPメッセージをパーティAからパーティBへ送ることによって、この第2のSIPセッションを初期化する。
【0028】
図7は、SPAWN SIPメッセージを例示するブロック図である。
【0029】
図8は、パーティAからパーティBへのSPAWN SIPメッセージの通信を例示するブロック図である。上述したように、パーティAからパーティBへとINVITE SIPメッセージが通信されるのと同じ方法で、SPAWN SIPメッセージもまた、IP電話2から、802.11無線リンクを介してLAN4上のアクセスポイント3へ、LAN4を介してSIPプロキシ7へ、インターネット6を介してSIPプロキシ11へ、LAN10を介してパーティBのIP電話9へ通信される。パーティBのIP電話9は、SPAWN SIPメッセージを受信し、パーティAのIP電話2に200 OK SIPメッセージを送り返すことにより応答する。しかしながら、この200 OK SIPメッセージは、SPAWN ID(SPAWN識別子)を含んでいる。IP電話9は、FROMフィールド、TOフィールド、CALL−IDフィールド、及び第1のセッションのCSEQ番号のハッシュを生成することによって、SPAWN IDを生成する。このSPAWN IDは、将来の参照のためにIP電話9内に格納され、第2のセッションが第1のセッションと関連付けられる。本例では、SPAWN IDは、200 OK SIPメッセージ内のフィールド名“SPAWN−ID”に続く16バイトキャラクタストリングである。SPAWN IDを含む200 OK SIPメッセージは、SIPプロキシ11及びSIPプロキシ7を介してIP電話2に転送される。
【0030】
図9は、SPAWN SIP要求と、SPAWN ID及びACKを含む200 OKとを含むSIPトランザクションを例示するブロック図である。例示するように、このトランザクションは第1のSIPセッションにおいて生じる。
【0031】
図10は、200 OKを受信すると、第2のINVITE SIP要求を発行する次のステップを例示するブロック図である。IP電話2内の黒い点はIPアドレスを表わす。第2のINVITE要求は、SPAWN IDを含んでおり、パーティAのIP電話2からパーティBのIP電話9へ通信される。この第2のINVITE要求は、CDMAセルラ電話リンクを介してIP電話2から、セルラ電話ネットワーク5上のアクセスポイント(BTS又は基地送信サイトとも呼ばれる)30へ通信され、次に、セルラ電話ネットワーク5を介してSIPプロキシ#3(SIPプロキシ8)へ通信される。この通信は、IP電話2におけるIPアドレス#3における一端、及びその他の端において終端するTCP接続を介して、SIPプロキシ8のセルラ電話ネットワーク側IPアドレスへ通信される。そして、第2のINVITE要求が、インターネット6を介してSIPプロキシ8から、他のTCP接続を介してSIPプロキシ11へと転送される。この第2のINVITE要求は、その後、LAN10を介してSIPプロキシ11から、別のTCP接続を介してパーティBのIP電話9へと転送される。
【0032】
パーティBのIP電話9は、既に存在するアクティブセッション(第1のセッション)によって、通常は、到来するINVITE要求を拒絶するが、本発明では、パーティBのIP電話9内のSIPレイヤ機能が、到来する第2のINVITE要求のSPAWN IDを認識し、それ自身のRTPストリームを開くことを含む第2のセッションを確立アップし、この第2のセッションを第1のセッションに関連付ける。IP電話9は、SPAWN IDを、格納されたSPAWN IDのリストと比較することによって、到来する第2のINVITE要求のSPAWN IDを認識する。
【0033】
図10Aは、IP電話9内で動作するソフトウェアの構造の簡略図である。IP電話9は、200 OK SIPメッセージを、パーティAのIP電話2へ返すことによって応答する。IP電話2は、IP電話9にACKを返すことによって、トランザクションを終了する。第2のINVITE要求、200 OK、及びACKは、CDMA無線リンク及びCDMA BTS30を介してIP電話2と通信される。
【0034】
図11は、アクティブな第1のセッションと、現在初期化されたアクティブな第2のセッションとを例示する図である。第2のセッションはアクティブであるが、データペイロードパケットは、IP、UDP、及びRTPを用いて、第2のセッションにおいて、まだ通信されていない。(IP電話2とアクセスポイント3との間の802.11通信を含む)第1のセッションは、第1のCALL−IDを有する。一方、(IP電話2とセルラBTS30との間のCDMA通信を含む)現在初期化されている第2のセッションは、第2のCALL−IDを有する。
【0035】
図12は、IP電話2とIP電話9との間のペイロードデータメディアフローが、第1のセッションから第2のセッションへと切り換わる(すなわち、「ハンドオフ」される)次のステップを例示する。矢印31,32は、パーティAのIP電話2と、パーティBのIP電話9との間のペイロードデータメディアフローVoIPパケットの初期フローを例示する。データ制御ハンドオフパケットが、IP、UDP、及びRTPを用いて、パーティAのIP電話2から、パーティBのIP電話9へ送られる。本例では、このデータ制御ハンドオフパケットは、SIPプロキシ7,11を介して第1のセッションで通信されるが、このデータ制御ハンドオフパケットはまた、SIPプロキシ8,11を介して第2のセッションで通信される。矢印33は、データ制御ハンドオフパケットの転送を示す。データ制御ハンドオフパケットは、一例として、SWITCH−FROM:フィールド名と、SWITCH−TO:フィールド名とを含むSIPメッセージである。データ制御ハンドオフパケットは、IP電話9へ通信するために使用され、次のデータペイロードパケットが、第2のセッションで送られる。データ制御ハンドオフパケットの起こりうる損失に対処するために、パーティBは、IPアドレス#3を用いるパーティAのIP電話2によって発信された制御パケットを拒否しないことが命じられる。
【0036】
図13は、第1のセッションにおいてIP電話2からIP電話9へ通信されるデータペイロードパケットに続くメディアフローハンドオフ制御パケット34を例示する。
【0037】
図14は、メディアフローハンドオフ制御パケット34のブロック図である。メディアフローハンドオフ制御パケットを送った後、IP電話2は、第1のセッションにおいて、メディアストリームのデータペイロードを送ることから、第2のセッションにおいて、メディアストリームのデータペイロードを送ることに切り換える。本例におけるメディアストリームは、音声会話である。IP電話9がメディアフローハンドオフ制御パケットを受信した場合、IP電話9は、第2のセッションにおいて、次のデータペイロードパケットを受信し、これらパケットのデータペイロードを、FIFO(first-in-first out)メモリ内の、第1のセッションにおいて以前に受信したパケットのデータパケットの後にバッファする。このデータペイロードはFIFOから出力され、RTPシーケンス番号及びタイムスタンプにしたがって順序付けられるように、IP電話9のユーザに提供される。したがって、メディアストリームのデータペイロードは、認識できるほど通話が破壊されることなく、第1のアクティブなセッションから第2のアクティブなセッションへとシームレスに切り換えられる。第1のセッションも第2のセッションも、切換回路部を含んでいない。第1のセッションも第2のセッションも、VoIPパケットを含んでおり、IP電話9は、2つのセッションを知っている。2つのセッションは、3方式の通話を構成しない。更に、SIPプロキシ7,8,11は、この斬新なSPAWN方法をサポートする如何なる特別な機能も含まない標準的なSIPプロキシである。図12では、矢印34,35は、第2のセッションにおける次のVoIPデータペイロードパケットのフローを例示する。
【0038】
図15は、データ制御ハンドオフパケットが第1のセッションにおいて通信された後の、第2のセッションにおけるデータペイロードVoIPパケットのフローを例示する。IP電話2は、フローデータパケットペイロードVoIPパケットを、必要に応じて、又は希望に応じて、第1のセッションと第2のセッションとの間で切り換えることができる。
【0039】
図16は、次のステップを例示する。このステップでは、IP電話2が、IP電話9にSIP BYEメッセージを送ることによって、第1のセッションを終了する。802.11無線リンクの信号強度が低下する場合、IP電話2とアクセスポイント3との間の通信が存在している間、このSIP BYEメッセージが送られる。このBYEメッセージが送信され受信された後、第1のセッションが終了し、メディアストリームのためのデータペイロードパケットの通信を維持するために第2のセッションが使用される。
【0040】
図17は、第1のセッションが終了した後、第2のセッションにおけるデータペイロードVoIPパケットのフローを示す。
【0041】
上述した例は、802.11リンクを有する第1のセッションから、CDMAリンクを有する第2のセッションへの切換を含むが、これはそうである必要はない。別の例では、第1のセッションが、CDMA無線リンクを含み、第2のセッションが、802.11無線リンクを含む。そのような状態は、パーティAが最初はセルラBTS30を介したCDMA通信を用いており、次に、アクセスポイント3のローカル有効範囲領域に到達する場合に生じる。CDMAサービス及び802.11サービスともに、アクセスポイント3のローカル有効範囲領域内で利用可能であるが、上述した本方法は、802.11無線リンクを含む第2のセッションをセットアップするために使用される。その後、データペイロードVoIPパケットのフローが、CDMA第1のセッションから、802.11第2のセッションへと切り換えられる。CDMAリンクの使用に関する課金を避けるために、第2のセッションが一旦アクティブになり、VoIPメディアストリームのデータペイロードを取り扱うと、CDMAリンクを有する第1のセッションが終了する。
【0042】
図18は、代替データフローハンドオフメカニズムを示す。1つのセッションから別のセッションへのデータペイロードVoIPパケットの切り換えをシグナルするためにハンドオフ制御パケットを送るのではなく、IP電話2は単に、第2のセッションにおいて、データペイロードVoIPパケットを通信し始める。矢印36は、パーティAからパーティBへと通信される最初のデータペイロードVoIPパケットを表す。パーティBが第1のセッションにおいてデータペイロードVoIPパケットを受信した場合、パーティBは、第1のセッションにおいてパーティAへ送ることを望んでいるあらゆるデータペイロードVoIPパケットを送ることによって応答する。パーティBからパーティAへのデータペイロードVoIPパケットのフローは、矢印37によって示される。第1のセッションから第2のセッションへのデータペイロードVoIPパケットのフローを切り換えるために、パーティAは単に、第2のセッションにおいて、データペイロードVoIPパケットをパーティBへ送ることを開始する。このフローは、矢印38によって表わされる。パーティBが、第2のセッションにおいて、データペイロードVoIPパケットを受信し始めると、パーティBは、第2のセッションにおいてパーティAへ送ることを望んでいる次のあらゆるデータペイロードVoIPパケットを送ることによって応答する。第2のセッションにおけるパーティBからパーティAへのデータペイロードVoIPパケットのフローは、矢印39によって表される。
【0043】
パーティBが、IP電話において終端するTCP接続を介してVoIPデータペイロードパケットが送られるIP電話を有するシステムについて上述したが、パーティBは、IP電話を有しておらず、メディアゲートウェイを経由するIPテレフォニーを用いることもできる。通話がパーティBへの通話である場合、このメディアゲートウェイがVoIP通話を受信し、パーティBへの従来式の第2の通話を行い、VoIP通話とこの従来式の第2の通話との間でペイロード情報を中継する。通話がパーティBから発信された通話である場合、パーティBが、メディアゲートウェイへ従来式の通話を行い、メディアゲートウェイが、意図する呼出先へと第2のVoIP通話を行い、メディアゲートウェイが、従来式の通話とVoIP通話との間でペイロード情報を中継する。したがって、メディアゲートウェイは、パーティBのためのダミーのIP電話として動作する。
【0044】
上述した例におけるIP電話9は、陸線IP電話であるが、他の例では、IP電話9は、(例えば、セルラ電話のような)モバイル無線通信デバイスである。第1及び第2のセッションは、モバイルIP電話か陸線IP電話かの何れかによって開始することができる。
【0045】
図19は、第2の斬新な局面にしたがった方法の図である。モバイル通信デバイスは、第1のエアインタフェースと第2のエアインタフェースとを有する。第1のエアインタフェースは、第1のネットワーク上のトランシーバとモバイル通信デバイスとの間の第1の無線通信リンクによってVoIP/VIPパケットを通信するために利用することができる。第2のエアインタフェースは、第2のネットワーク上のトランシーバとモバイル通信デバイスとの間の第2の無線通信リンクによってVoIP/VIPパケットを通信するために利用することができる。一例において、モバイル通信デバイスは、IP電話として動作可能なセルラ電話である。図19の方法が実現される代表的なシステムは、図1に例示するシステムである。セルラ電話はIP電話2である。IP電話2の第1のエアインタフェースは802.11インタフェースであり、第1の無線通信リンクは、IP電話2とローカルエリアネットワーク(LAN)4との間のセルラ電話リンクである。IP電話2の第2のエアインタフェースはセルラ電話インタフェースであり、第2の無線通信リンクは、IP電話2とセルラ電話ネットワーク5との間のセルラ電話リンクである。
【0046】
図19に例示する方法におけるステップ100では、パーティAが、第1のセッションにおいてパーティBと通信するために、モバイル通信デバイス(例えばIP電話2)を用いる。記載されている例では、パーティBはIP電話9を使用している。第1のセッション(例えば、しばしば「SIP RTPセッション」、「SIPセッション」、または「VoIPセッション」と呼ばれるSIPによって確立されたRTPセッション)が、図1乃至図5に関連して上述したような1つの例において確立される。モバイル通信デバイスは、第1のエアインタフェースを使用して、第1のセッションにおいて、メディアストリームのデータペイロードを送信する。
【0047】
次に(ステップ101において)、パーティAは、図6に関連して上述したように、第1のネットワーク4上の無線アクセスポイント3からIP電話2を移動させる。この移動の結果、IP電話2と無線アクセスポイント3との間の無線通信リンクによって与えられるサービス品質が低下する。このサービス品質の低下は、例えば、以下のうちの1または複数を含みうる。第1のセッションにおいてIP電話2からIP電話9へ通信することが可能なデータペイロードビットレート(ビット/秒)の減少、第1のセッションにおいてIP電話9からIP電話2へ通信することが可能なデータペイロードビットレート(ビット/秒)の減少、第1のセッションにおいてIP電話2からIP電話9へ単位時間あたりに通信されるRTPパケットの合計数の減少、第1のセッションにおいてIP電話9からIP電話2へ単位時間あたりに通信されるRTPパケットの合計数の減少、IP電話2からIP電話9への第1のセッションにおける通信中に喪失されるRTPパケット数の増加、IP電話9からIP電話2への第1のセッションにおける通信中に喪失されるRTPパケット数の増加、IP電話2またはIP電話9の何れかへ到来するパケットの到着の間におけるジッタの増加、IP電話2からIP電話9へとパケットを完全に通信するために必要とされる時間(しばしば、レイテンシと呼ばれる)の増加、IP電話9からIP電話2へとパケットを完全に通信するために必要とされる時間の増加。サービス品質の減少によって、IP電話2によって、アクセスポイント3によって、あるいはこれら両方によって検出されるように、RF信号強度が低下することが明らかになりうる。
【0048】
IP電話2は、サービス品質の1または複数の表示を使用して、サービス品質の低下を検出する(ステップ101)。IP電話2が、サービス品質の低下を検知することができる多くの方法がある。一例では、IP電話2は、IP電話9から、第1セッションにおいて、RTCP(リアルタイム制御プロトコル)受信機レポート(RR)パケットを受信する。これらRTCP受信機レポートは、第1セッションにおいて、IP電話9上で受信されたパケットの総数を含んでいる。IP電話2は、引き続くRTCP受信機レポートにおけるパケット値の総数から、最初のRTCP受信機レポートにおけるパケット値の総数を引くことにより、時間内においてIP電話9へと受信されたパケット数を判定する。IP電話2は、2つのRTCPレポート間の時間差を判定し、次に、この時間差から、時間内において受信された判定されたパケット数を分割する。これによって、単位時間毎にIP電話9へ受信される適切なパケット数を得ることができる。この値は、1つの実施形態では、サービス品質の評価として使用される。
【0049】
IP電話2は、規則的ベースで定期的にサービス品質の低下を検出するためにこの動作を行い、単位時間毎に第1のセッションにおいてIP電話9上で受信されたパケット数を追跡する。単位時間当たりにIP電話9上で受信されたパケット数が閾レベルを下回った場合、IP電話2は、第2のVoIPセッションに対して、IP電話2とIP電話9との間の通信を確立させる(ステップ102)。第2のセッションは、IP電話2の第2のエアインタフェースを用いて、セルラ電話ネットワーク5上のアクセスポイント3とIP電話2との間の通信を含む。
【0050】
サービス品質の低下を検出する別の方法は、連続したRTCP受信機レポートの到着間ジッタフィールド、喪失カウントフィールド、および/または喪失比(喪失したパケット比)フィールドの使用を含む。これらフィールドにおける値から、到着間ジッタと喪失したパケットの合計数が時間にわたってモニタされる。単位時間毎に喪失したパケット数が、閾レベルよりも増加した場合、あるいは、到着間ジッタが、閾レベルよりも増加した場合には、サービス品質が低下したとの判定がなされる。
【0051】
第2のセッションは、任意の適切な方法を用いて確立される。ここで記載される例では、図7乃至図11に関連して上述した方法を用いて第2のセッションが確立される。IP電話2は、第1のセッションを識別するSIP SPAWNメッセージをIP電話9へ通信する。IP電話9は、SIP OKメッセージをIP電話2へ戻すことによって応答する。SIP OKメッセージは、SPAWN識別子を含んでいる。そして、IP電話2は、SPAWN識別子を含むSIP INVITEメッセージをIP電話9へ通信する。IP電話9は、SIP INVITEメッセージを受信し、第2のセッションを確立し、SIP INVITEメッセージを用いて、第2のセッションを第1のセッションに関連付ける。
【0052】
第2のセッションが一旦アクティブになると、第1のセッションを終了するのではなく、第2の斬新な局面の方法にしたがってIP電話2とIP電話9との間の単一のメディアストリームのVoIP/VIPパケットを通信するために、第1のセッションと第2のセッションとの両方が同時に使用される。この単一のメディアストリームは、例えば、パーティAの音声を表す音声データでありうる。音声データメディアストリームは、VoIP/VIPパケットのデータペイロードで伝送される。例えば、メディアストリームの音声データの4つのセグメントが、以下のようにして、IP電話2からIP電話9へ通信されうる。すなわち、第1の音声データが、第1のセッションを介して、第1のVoIP/VIPパケットで通信され、次に、第1の音声データに続く第2の音声データが、第2のセッションを介して、第2のVoIP/VIPパケットで通信され、次に、第2の音声データに続く第3の音声データが、第1のセッションを介して、第3のVoIP/VIPパケットで通信され、次に、第3の音声データに続く第4の音声データが、第2のセッションを介して、第4のVoIP/VIPパケットで通信される。したがって、音声データは、2つのセッションを介して、インタリーブ方式で通信される。RTPプロトコルにしたがって、VoIP/VIPパケットはそれぞれ、RTPシーケンス番号と同様、RTPタイムスタンプを有する。IP電話9は、第1のセッションおよび第2のセッションを介して、IP電話9へ到来するVoIP/VIPパケットを受信し、メディアストリームを再構築できるように、RTPタイムスタンプおよび/またはRTPシーケンス番号を用いてデータペイロードを順序付ける。4つのVoIP/VIPパケットが単一のメディアストリームの音声データを伝送する上述した例では、データペイロードが、第1のデータペイロード、第2のデータペイロード、第3のデータペイロード、第4のデータペイロードのような順序でIP電話9によって順序付けられる。IP電話9は、データペイロードを適切に順序付けるために、RTCPシーケンス番号とRTCPタイムスタンプとを用いる。適切に順序付けられたデータペイロードは、再構築メディアストリームを構成する。
【0053】
1つの実施形態では、メディアストリームの同じ数からなるデータペイロードは、単位時間当たりに常に第1のセッションおよび第2のセッションで通信される。あるいは、単位時間当たりに第1のセッションで通信されるデータペイロードの、第2のセッションで通信されるデータペイロードに対する比率は、変えられる。このデータペイロードの比率は、第1のセッションのサービス品質の評価と、第2のセッションのサービス品質の評価との間の関係によって決定される。サービス品質の様々な異なる表示は、セッションのサービス品質の尺度として使用することができる。例えば、IP電話2は、第1のセッションにおいて、IP電話9からRTCP受信機レポートパケットを受信する。
【0054】
IP電話2は、RTCP受信機レポートで受信した合計パケット数を用いて、第1のセッションのサービス品質の評価を行い、第2のセッションのサービス品質の評価を行う(ステップ104)。例えば、第1のセッションにおいて、単位時間当たりにIP電話9上で受信されたパケット数が、第2のセッションにおいて、単位時間当たりにIP電話9上で受信されたパケット数よりも低下した場合、IP電話2とLANアクセスポイント3との間の第1の無線通信リンクに問題があろう。したがって、IP電話2は、インタリーブ方式で、第1のセッションおよび第2のセッションを介して、メディアストリームの連続的なデータペイロードを通信する(ステップ105)。ここで、IP電話2から、第1のセッションによって送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションによって送信されるVoIP/VIPパケットに対する比率は、第1のセッションを用いて利用可能な評価済みサービス品質の、第2のセッションを用いて利用可能な評価済みサービス品質に対する比率に設定される。1つのセッションで利用可能なサービスの、他のセッションで利用可能なサービスに対する相対的な品質が変わると、IP電話2もまた、第1のセッションによって送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションによって送信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を変える。第1のセッションか第2のセッションの何れかを用いて利用可能なサービス品質が、IP電話2からIP電話9へ所望のメディアストリーム情報を通信するのに適切ではない場合、第1のセッションと第2のセッションとを組み合わせた通信機能が適切であるかもしれず、また、通信負荷を共有するために使用され、何れかのセッションのみを用いることでは利用できないサービス品質特性が達成される。
【0055】
図20は、第2の斬新な局面にしたがって、IP電話2からIP電話9へと通信されるVoIP/VIPパケットを図示する簡略図である。この図では、上側の時間軸が、第1のセッションを用いたIP電話2からIP電話9への通信を表す。下側の時間軸は、第2のセッションを用いたIP電話2からIP電話9への通信を表す。時間は左から右へ進む。このブロック図は横軸においてスケールするべきではないが、様々なVoIP/VIPパケットの互いの相対的なタイミングを示すように表される。
【0056】
先ず、期間106では、1乃至4と示された一連のVoIP/VIPが、第1のセッションを用いて通信される。次に、時間107において、第1のセッションにおいてサービス品質の低下が検出され、第2のセッションが確立される。その後、5乃至10と示された6つのVoIP/VIPパケットは、第1のセッションと第2のセッションとの両方を用いて、IP電話2から、インタリーブ方式で通信される。2つのセッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットの数は、同じである。なぜなら、第1のセッションによって提供されるサービス品質の評価は、第2のセッションによって提供されるサービス品質の評価と実質的に同じだからである。図示する例において、この条件は、第1のセッションと第2のセッションとの間のサービス品質の相対的な評価が変わる時間108まで続く。第1のセッションによって提供されるサービス品質は、第2のセッションによって提供されるサービス品質よりも2倍良いと判定される。したがって、時間108で始まって、第1のセッションでは、第2のセッションよりも、単位時間あたりに2倍の数のVoIP/VIPパケットが通信される。11乃至16と示された更に6つのVoIP/VIPパケットが、時間108の後に通信されていることが示される。
【0057】
IP電話2が、第1のセッションで送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションで送信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を定期的に調節するのと同じ方法で、IP電話9もまた、IP電話2へ、第1のセッションで送信されるVoIP/VIPパケットの、第2のセッションで送信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を定期的に調節することができる。IP電話9は、例えば、第1のセッションについて、IP電話2からRTCP受信機レポートを受信し、第2のセッションについても、IP電話2からRTCP受信機レポートを受信しうる。IP電話9は、これら受信機レポートにおける情報を用いて、第1のセッションによって提供されるサービス品質と、第2のセッションによって提供されるサービス品質との評価を行う。そして、IP電話9は、1つのセッションによって提供されるサービス品質の評価の、他のセッションによって提供されるサービス品質の評価に対する比率が同じになるように、IP電話2へ、第1のセッションで通信されたVoIP/VIPパケットの、第2のセッションで通信されたVoIP/VIPパケットに対する比率を調節する。
【0058】
図21は、第2の斬新な局面にしたがってIP電話9からIP電話2へ通信されるVoIP/VIPパケットを例示する簡略図である。この図では、第1の6つのVoIP/VIPパケットが、時間109の前に、第1のセッションで通信される。IP電話9は、第1のセッションによって提供されるサービス品質の評価を行い、第2のセッションによって提供されるサービス品質の評価を行う。図示する例では、2つのセッションは、同じサービス品質を提供しているものと判定される。したがって、時間109の後、IP電話9は、第1のセッションにおいてVoIP/VIPパケットの半分を送信し、第2のセッションにおいてその半分を送信する。図20において、通信されるVoIP/VIPパケットの相対比率が変わる時は、図21において、通信されるVoIP/VIPパケットの相対比率が変わる時と異なる。これは、2つの方向において使用されるセッションの相対比率が、同じになる必要はないという点を示している。
【0059】
したがって、到来するメディアストリームのRTPデータペイロードを通信するために、および、発信されるメディアストリームのRTPデータペイロードを通信するために、IP電話2の両方のエアインタフェースが使用されることが理解される。2つのエアインタフェースのうちの1つを用いることは、それを介する通信が完全に喪失した場合に停止されうる。2つのエアインタフェースのうちの1つを用いることはまた、他のエアインタフェースを介した通信が十分に良好であり、その1つのエアインタフェースのみを用いることを保証できるのであれば停止される。どれだけの数のエアインタフェースを使用するか、および、どれだけの割合にするかの判定は、単純な関数であるか、多くの変数を含む関数でありうる。これら変数は、コスト情報およびサービス品質の表示を示す。
【0060】
単位時間当たりにセッションにおいて受信される合計パケット数が変わる理由は多くある。第1の無線通信リンクは、IP電話2からIP電話9への通信パス全体のうちのほんの一部であることが認識される。そのため、セッションで受信される合計パケット数の減少は、データを通信するための第1の無線リンクの能力の低下のせいであるとは全く考えられないかもしれない。したがって、単位時間当たりに受信される合計パケット数を含む上述したものとは異なるサービス品質の評価が適用されうる。一例では、RTCP受信機レポートパケットが適用されず、無線アクセスポイント3が、第1の無線リンクのパフォーマンスに関するサービス品質情報(例えば、瞬時ビットレート情報、および/または、アクセスポイントで検出されたRF信号強度の表示)を保持する。このサービス品質情報は、MACレイヤ通信、または、RTPレイヤやSIPレイヤの下のその他の通信を用いて、無線アクセスポイント3からIP電話2へと通信される。IP電話2は、セルラアクセスポイント30から、第2の無線通信リンクに関する同様なサービス品質情報を受信する。2つの無線通信リンクに関するサービス品質情報は、その後、2つのセッションによって与えられる相対的なサービス品質の評価を行うために使用される。
【0061】
ある特定の実施形態が、説明目的のために上述されたが、本発明はそれに限定されない。第2の斬新な局面における第2のセッションの確立を引き起こすイベントは、全てのケースにおいて、第1のセッションにおけるサービス品質の低下である必要はない。一例では、第1のセッションによって提供されるサービス品質の実質的な低下は検出されず、単位時間当たり通信されるメディアストリームのデータ量が増加し、所望の方法(例えば、所望の最大レイテンシ)でメディアストリームのデータを通信するために第1のセッションはもはや適切ではなくなる。それに応じて、メディアストリームのデータのうちの過剰なデータを通信するために第2のセッションが確立される。過剰なデータが通信され、単位時間当たりに通信されるデータ量がそのオリジナルのレベルへと低下すると、第2のセッションはもはや必要とされず、控えめに使用されるか、あるいは、終了する。したがって、第2の斬新な局面は、第1のセッションに過度に負荷をかけて、第1のセッションの通信における望ましくないレイテンシをもたらしうるデータのスラッグを通信するために使用することができる。そのようなデータスラッグの例は、電話会話の間に通信される静止画像情報およびビデオ情報を含む。第2の斬新な局面の例が、2つのエアインタフェースを介して、インタリーブ方式でパケットを通信するモバイル通信デバイスに関連付けられて上述されたが、モバイル通信デバイスは、3またはそれ以上のエアインタフェースを介し、第2の斬新な局面に従うインタリーブ方式でパケットを通信することができる。したがって、上述した具体的実施形態の様々な特徴の変更、適応、及び組み合わせは、特許請求の範囲で述べられた本発明の範囲から逸脱することなく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、1つの斬新な局面にしたがったIP(Internet Protocol)テレフォニー通信システム1の簡略トポロジカルブロック図である。
【図2】図2は、図1のシステムにおけるIP電話2とSIPプロキシ7との間のTCP接続を例示する。
【図3】図3は、斬新な方法にしたがった第1のステップのブロック図である。
【図4】図4は、斬新な方法にしたがって第1のセッションをセットアップするSIP INVITE要求のブロック図である。
【図5】図5は、第1のセッションの初期化を例示する。
【図6】図6は、パーティAが、図1のシステムのアクセスポイント3からIP電話2を移動する第1のセッションを例示する。
【図7】図7は、本斬新な方法にしたがって、IP電話2からIP電話9へ送られるSPAWN SIPメッセージの図である。
【図8】図8は、本斬新な方法にしたがって、SPAWN SIPメッセージの通信を例示するブロック図を示す。
【図9】図9は、図1のシステムによるSPAWN SIPメッセージの通信、及び、SPAWN IDを含む200 OK SIPメッセージを戻すことを例示する。
【図10】図10は、本斬新な方法にしたがって第2のセッションを初期化するために、IP電話2からIP電話9へ第2のSIP INVITE要求を送ることを例示する。
【図10A】図10Aは、IP電話9において実行するソフトウェアの構造の簡略図である。
【図11】図11は、アクティブな第1及び第2の両セッションを例示する。
【図12】図12は、第1のセッションから第2のセッションへとVoIPデータパケットを切り換えるようシグナルするために、メディアハンドオフ制御パケットを使用することを例示するブロック図である。
【図13】図13は、IP電話2からIP電話9へのハンドオフ制御パケットの送信を例示する。
【図14】図14は、ハンドオフ制御パケットのブロック図である。
【図15】図15は、第2のセッションによるデータペイロードのフローを示す。
【図16】図16は、第1のセッションを終了するために、IP電話2からIP電話9へBYE SIPメッセージを送信することを例示する。
【図17】図17は、第1のセッションの終了後における図1のシステムを例示する。ここで、メディアストリームのデータペイロードVoIPパケットは、もはや第1のセッションでは通信されていないが、第2のセッションにおいて通信されている。
【図18】図18は、メディアストリームのVoIPデータペイロードパケットが、第1のセッションにおいてもはや通信されていないが、第2のセッションにおいて通信されることをIP電話9が判定する他の方法を例示する。
【図19】図19は、第2の斬新な局面にしたがった方法の図である。
【図20】図20は、第2の斬新な局面にしたがって、モバイル通信デバイスから第2のIPデバイスへ通信されるVoIP/VIPパケットを例示する簡略図である。
【図21】図21は、第2の斬新な局面にしたがって、第2のIPデバイスからモバイル通信デバイスへ通信されるVoIP/VIPパケットを例示する簡略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータペイロード、第2のデータペイロード、第3のデータペイロード、および第4のデータペイロードを通信する方法であって、前記第1のデータペイロードはメディアストリームのデータを含み、前記第2のデータペイロードは前記メディアストリーム内の前記第1のデータペイロードの後のデータを含み、前記第3のデータペイロードは前記メディアストリーム内の前記第2のデータペイロードの後のデータを含み、前記第4のデータペイロードは前記メディアストリーム内の前記第3のデータペイロードの後のデータを含み、前記方法は、
(a)第1のIPアドレスと第2のIPアドレスとの間で、第1のセッションにおいて、第1のVoIP/VIP(voice over Internet Protocol or video over Internet Protocol)パケットを通信することであって、前記第1のIPアドレスは第1のデバイスに関連付けられたIPアドレスであり、前記第2のIPアドレスは第2のデバイスに関連付けられたIPアドレスであり、前記第1のVoIP/VIPパケットを通信することは、前記第1のVoIP/VIPパケットを、第1のネットワーク上のトランシーバと前記第1のデバイスとの間で、第1の無線通信リンクを介して通信することを含み、前記第1のVoIP/VIPパケットは前記第1のデータペイロードを含むことと、
(b)第3のIPアドレスと前記第2のIPアドレスとの間で、第2のセッションにおいて、第2のVoIP/VIPパケットを通信することであって、前記第3のIPアドレスは前記第1のデバイスに関連付けられたIPアドレスであり、前記第1のセッションと前記第2のセッションとは同時にアクティブであり、前記第2のVoIP/VIPパケットを通信することは、前記第2のVoIP/VIPパケットを、第2のネットワーク上のトランシーバと前記第1のデバイスとの間で、第2の無線通信リンクを介して通信することを含み、前記第2のVoIP/VIPパケットは前記第2のデータペイロードを含むことと、
(c)前記(b)の後、前記第1の無線通信リンクを介して、前記第1のIPアドレスと前記第2のIPアドレスとの間で、前記第1のセッションにおいて、第3のVoIP/VIPパケットを通信することであって、前記第3のVoIP/VIPパケットは、前記第3のデータペイロードを含むことと、
(d)前記(c)の後、前記第2の無線通信リンクを介して、前記第2のIPアドレスと前記第3のIPアドレスとの間で、前記第2のセッションにおいて、第4のVoIP/VIPパケットを通信することであって、前記第4のVoIP/VIPパケットは、前記第4のデータペイロードを含むことと、
(e)前記第1、第2、第3、および第4のデータペイロードを、第1、第2、第3、第4のデータペイロードの順に順序付けることによって、前記第2のデバイスにおいて、前記メディアストリームの少なくとも一部を再構築することと
を備える方法。
【請求項2】
前記第1および第3のVoIP/VIPパケットは、無線LAN(local area network)通信プロトコルにしたがって、前記第1の無線通信リンクを介して通信され、前記第2および第4のVoIP/VIPパケットは、セルラ電話通信プロトコルにしたがって、前記第2の無線通信リンクを介して通信され、前記第1の無線デバイスは、IP電話、セルラ電話、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、無線通信機能を有するコンピュータからなるグループから採用される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1、第2、第3、および第4のVoIP/VIPパケットは、それぞれがRTP(Real-Rime Transport Protocol)タイムスタンプを含んでいるRTPパケットであり、前記再構築するステップ(e)は、前記RTPタイムスタンプを用いて前記順序付けを行うことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1、第2、第3、および第4のVoIP/VIPパケットは、それぞれがRTP(Real-Rime Transport Protocol)シーケンス番号を含んでいるRTPパケットであり、前記再構築するステップ(e)は、前記RTPシーケンス番号を用いて前記順序付けを行うことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のセッションに関するサービス品質情報を含む第1のRTCP(Real-Time Control Protocol)受信機レポートを、前記第1のデバイスにおいて受信することと、
前記第1のセッションに関するサービス品質情報を用いて、前記第1のセッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットの、前記第2のセッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を変えることと
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の無線通信リンクの信号強度である検出済信号強度を示す情報を受信することと、
前記情報を用いて、前記第1のセッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットの、前記第2の通信セッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を変えることと
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のセッションにおいて、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスへと、前記第1のセッションを識別するSIP(Session Initialization Protocol)SPAWNメッセージを通信することと、
前記第2のデバイスから前記第1のデバイスへ、SPAWN識別子を含むSIP OKメッセージを通信することと、
前記第1のデバイスから前記第2のデバイスへ、前記SPAWN識別子を含むSIP INVITEメッセージを通信することと、
前記SIP INVITEメッセージを前記第2のデバイスにおいて受信することとを更に備え、
前記第2のデバイスは、前記SIP INVITEメッセージを用いて、前記第2のセッションを前記第1のセッションに関連付け、前記第2のセッションは、前記SIP INVITEメッセージの通信の結果として確立される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1データペイロードのデータ、前記第2のデータペイロードのデータ、前記第3のデータペイロードのデータ、および前記第4のデータペイロードのデータは、音声データ、静止画像データ、ビデオデータからなるグループから採用されるタイプからなる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
メディアストリームの複数のデータペイロードを通信する方法であって、
(a)モバイル通信デバイスと第2のデバイスとの間に、第1のVoIP/VIP(Voice over Internet Protocol or Video over Internet Protocol)通信パスを確立することであって、前記第1のVoIP/VIP通信パスは、前記モバイル通信デバイス上の第1のエアインタフェースと、第1のネットワーク上のアクセスポイントとの間の第1の無線通信リンクを含むことと、
(b)前記モバイル通信デバイスと前記第2のデバイスとの間に、第2のVoIP/VIP(Voice over Internet Protocol or Video over Internet Protocol)通信パスを確立することであって、前記第2のVoIP/VIP通信パスは、前記モバイル通信デバイス上の第2のエアインタフェースと、第2のネットワーク上のアクセスポイントとの間の第2の無線通信リンクを含むことと、
(c)前記データペイロードの第1のサブセットを、前記第1のVoIP/VIP通信パスを介して、前記モバイル通信デバイスから前記第2のデバイスへ通信することと、
(d)前記データペイロードの第2のサブセットを、前記第2のVoIP/VIP通信パスを介して、前記モバイル通信デバイスから前記第2のデバイスへ通信することと、
(e)前記モバイル通信デバイスから前記第2のデバイスへと前記第1のVoIP/VIP通信パスを介して通信されるデータペイロードの、前記モバイル通信デバイスから前記第2のデバイスへと前記第2のVoIP/VIP通信パスを介して通信されるデータペイロードの比率を複数回調節することと、
(f)前記データペイロードの第1および第2のサブセットを前記第2のデバイス上で受信して、前記第1および第2のサブセットのデータペイロードを順序付けして、前記メディアストリームを再構築することと
を備える方法。
【請求項10】
前記モバイル通信デバイスはセルラ電話であり、前記第1のネットワークはローカルエリアネットワーク(LAN)であり、前記第1のエアインタフェースは802.11インタフェースであり、前記第2のネットワークはセルラ電話ネットワークであり、前記第2のエアインタフェースはセルラ電話インタフェースである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記比率は、前記(e)において、前記VoIP/VIP通信パスによって提供されるサービス品質の第1の評価を行い、前記第2のVoIP/VIP通信パスによって提供されるサービス品質の第2の評価を行い、その後、前記第1および第2の評価を用いて、前記第1のVoIP/VIP通信パスを介したデータペイロードの送信と、前記第2のVoIP/VIP通信パスを介したデータペイロードの送信とを制御することによって調節される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記比率は、計算された値ではなく、前記調節の結果である請求項9に記載の方法。
【請求項13】
モバイル通信デバイスであって、
第1のエアインタフェースと、
第2のエアインタフェースと、
プロトコル処理レイヤのスタックを実行するプロセッサとを備え、
第1のVoIP/VIPデータペイロードが、第1のセッションにおいて、前記第1のエアインタフェースから第2のデバイスへ送信され、第2のVoIP/VIPデータペイロードが、第2のセッションにおいて、前記第2のエアインタフェースから前記第2のデバイスへ送信され、単位時間当たりに、前記第1のエアインタフェースから送信される第1のVoIP/VIPデータペイロードの数の、前記第2のエアインタフェースから送信される第2のVoIP/VIPペイロードの数に対する比率が、前記第1および第2のVoIP/VIPデータペイロードの送信中に複数回調節され、前記第1および第2のVoIP/VIPデータペイロードは、単一のメディアストリームのペイロードであるモバイル通信デバイス。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記第1のセッションのサービス品質を評価することと、
前記第2のセッションのサービス品質を評価することと
からなる各ステップを実行するためのプロセッサ実行可能命令のセットを実行する請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記第1のセッションのサービス品質を評価することと、
前記評価のうちの少なくとも一部に基づいて、前記第2のセッションが確立されるべきであることを決定することと
からなる各ステップを実行するためのプロセッサ実行可能命令のセットを実行するが、前記決定の結果として、前記第2のVoIP/VIPデータペイロードの前記送信に先立って、前記第2のセッションが確立される請求項14に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記第1のVoIP/VIPデータペイロードを通信する際に含まれる第1のアクセスポイントから、第1の信号強度情報を受信することと、
前記第2のVoIP/VIPデータペイロードを通信する際に含まれる第2のアクセスポイントから、第2の信号強度情報を受信することと、
前記第1の信号強度情報と前記第2の信号強度情報とに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のエアインタフェースから送信される前記第1のVoIP/VIPデータペイロードの、前記第2のエアインタフェースから送信される前記第2のVoIP/VIPデータペイロードに対する比率を調節することと
からなる各ステップを実行するためのプロセッサ実行可能命令のセットを実行する請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項17】
前記プロセッサは、
前記第1のVoIP/VIPデータペイロードを通信する際に含まれる第1のアクセスポイントから、第1のデータレート情報を受信することと、
前記第2のVoIP/VIPデータペイロードを通信する際に含まれる第2のアクセスポイントから、第2のデータレート情報を受信することと、
前記第1のデータレート情報と前記第2のデータレート情報とに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のエアインタフェースから送信される前記第1のVoIP/VIPデータペイロードの、前記第2のエアインタフェースから送信される前記第2のVoIP/VIPデータペイロードに対する比率を調節することと
からなる各ステップを実行するためのプロセッサ実行可能命令のセットを実行する請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項18】
前記モバイル通信デバイスはセルラ電話であり、前記第1のセッションはSIP(Session Initiation Protocol)を用いて確立され、前記第2のセッションはSIPを用いて確立される請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項19】
前記比率は、計算された値ではなく、前記調節の結果である請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項20】
モバイル通信デバイスであって、
第1のエアインタフェースと、
第2のエアインタフェースと、
前記第1のエアインタフェースから送信された第1のVoIPパケットの、前記第2のエアインタフェースから送信された第2のVoIPパケットに対する比率を調節する手段とを備え、
前記第1のVoIPパケットは第1のセッションにおいて送信され、前記第2のVoIPパケットは第2のセッションにおいて送信され、前記第1のセッションおよび前記第2のセッションは同時にアクティブであり、前記第1のVoIPパケットと前記第2のVoIPパケットとは、単一の音声データメディアストリームのための音声データを含むモバイル通信デバイス。
【請求項21】
前記手段は、プロセッサ実行可能な命令のセットを実行するプロセッサである請求項20に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項1】
第1のデータペイロード、第2のデータペイロード、第3のデータペイロード、および第4のデータペイロードを通信する方法であって、前記第1のデータペイロードはメディアストリームのデータを含み、前記第2のデータペイロードは前記メディアストリーム内の前記第1のデータペイロードの後のデータを含み、前記第3のデータペイロードは前記メディアストリーム内の前記第2のデータペイロードの後のデータを含み、前記第4のデータペイロードは前記メディアストリーム内の前記第3のデータペイロードの後のデータを含み、前記方法は、
(a)第1のIPアドレスと第2のIPアドレスとの間で、第1のセッションにおいて、第1のVoIP/VIP(voice over Internet Protocol or video over Internet Protocol)パケットを通信することであって、前記第1のIPアドレスは第1のデバイスに関連付けられたIPアドレスであり、前記第2のIPアドレスは第2のデバイスに関連付けられたIPアドレスであり、前記第1のVoIP/VIPパケットを通信することは、前記第1のVoIP/VIPパケットを、第1のネットワーク上のトランシーバと前記第1のデバイスとの間で、第1の無線通信リンクを介して通信することを含み、前記第1のVoIP/VIPパケットは前記第1のデータペイロードを含むことと、
(b)第3のIPアドレスと前記第2のIPアドレスとの間で、第2のセッションにおいて、第2のVoIP/VIPパケットを通信することであって、前記第3のIPアドレスは前記第1のデバイスに関連付けられたIPアドレスであり、前記第1のセッションと前記第2のセッションとは同時にアクティブであり、前記第2のVoIP/VIPパケットを通信することは、前記第2のVoIP/VIPパケットを、第2のネットワーク上のトランシーバと前記第1のデバイスとの間で、第2の無線通信リンクを介して通信することを含み、前記第2のVoIP/VIPパケットは前記第2のデータペイロードを含むことと、
(c)前記(b)の後、前記第1の無線通信リンクを介して、前記第1のIPアドレスと前記第2のIPアドレスとの間で、前記第1のセッションにおいて、第3のVoIP/VIPパケットを通信することであって、前記第3のVoIP/VIPパケットは、前記第3のデータペイロードを含むことと、
(d)前記(c)の後、前記第2の無線通信リンクを介して、前記第2のIPアドレスと前記第3のIPアドレスとの間で、前記第2のセッションにおいて、第4のVoIP/VIPパケットを通信することであって、前記第4のVoIP/VIPパケットは、前記第4のデータペイロードを含むことと、
(e)前記第1、第2、第3、および第4のデータペイロードを、第1、第2、第3、第4のデータペイロードの順に順序付けることによって、前記第2のデバイスにおいて、前記メディアストリームの少なくとも一部を再構築することと
を備える方法。
【請求項2】
前記第1および第3のVoIP/VIPパケットは、無線LAN(local area network)通信プロトコルにしたがって、前記第1の無線通信リンクを介して通信され、前記第2および第4のVoIP/VIPパケットは、セルラ電話通信プロトコルにしたがって、前記第2の無線通信リンクを介して通信され、前記第1の無線デバイスは、IP電話、セルラ電話、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、無線通信機能を有するコンピュータからなるグループから採用される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1、第2、第3、および第4のVoIP/VIPパケットは、それぞれがRTP(Real-Rime Transport Protocol)タイムスタンプを含んでいるRTPパケットであり、前記再構築するステップ(e)は、前記RTPタイムスタンプを用いて前記順序付けを行うことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1、第2、第3、および第4のVoIP/VIPパケットは、それぞれがRTP(Real-Rime Transport Protocol)シーケンス番号を含んでいるRTPパケットであり、前記再構築するステップ(e)は、前記RTPシーケンス番号を用いて前記順序付けを行うことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のセッションに関するサービス品質情報を含む第1のRTCP(Real-Time Control Protocol)受信機レポートを、前記第1のデバイスにおいて受信することと、
前記第1のセッションに関するサービス品質情報を用いて、前記第1のセッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットの、前記第2のセッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を変えることと
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の無線通信リンクの信号強度である検出済信号強度を示す情報を受信することと、
前記情報を用いて、前記第1のセッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットの、前記第2の通信セッションにおいて単位時間当たりに通信されるVoIP/VIPパケットに対する比率を変えることと
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のセッションにおいて、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスへと、前記第1のセッションを識別するSIP(Session Initialization Protocol)SPAWNメッセージを通信することと、
前記第2のデバイスから前記第1のデバイスへ、SPAWN識別子を含むSIP OKメッセージを通信することと、
前記第1のデバイスから前記第2のデバイスへ、前記SPAWN識別子を含むSIP INVITEメッセージを通信することと、
前記SIP INVITEメッセージを前記第2のデバイスにおいて受信することとを更に備え、
前記第2のデバイスは、前記SIP INVITEメッセージを用いて、前記第2のセッションを前記第1のセッションに関連付け、前記第2のセッションは、前記SIP INVITEメッセージの通信の結果として確立される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1データペイロードのデータ、前記第2のデータペイロードのデータ、前記第3のデータペイロードのデータ、および前記第4のデータペイロードのデータは、音声データ、静止画像データ、ビデオデータからなるグループから採用されるタイプからなる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
メディアストリームの複数のデータペイロードを通信する方法であって、
(a)モバイル通信デバイスと第2のデバイスとの間に、第1のVoIP/VIP(Voice over Internet Protocol or Video over Internet Protocol)通信パスを確立することであって、前記第1のVoIP/VIP通信パスは、前記モバイル通信デバイス上の第1のエアインタフェースと、第1のネットワーク上のアクセスポイントとの間の第1の無線通信リンクを含むことと、
(b)前記モバイル通信デバイスと前記第2のデバイスとの間に、第2のVoIP/VIP(Voice over Internet Protocol or Video over Internet Protocol)通信パスを確立することであって、前記第2のVoIP/VIP通信パスは、前記モバイル通信デバイス上の第2のエアインタフェースと、第2のネットワーク上のアクセスポイントとの間の第2の無線通信リンクを含むことと、
(c)前記データペイロードの第1のサブセットを、前記第1のVoIP/VIP通信パスを介して、前記モバイル通信デバイスから前記第2のデバイスへ通信することと、
(d)前記データペイロードの第2のサブセットを、前記第2のVoIP/VIP通信パスを介して、前記モバイル通信デバイスから前記第2のデバイスへ通信することと、
(e)前記モバイル通信デバイスから前記第2のデバイスへと前記第1のVoIP/VIP通信パスを介して通信されるデータペイロードの、前記モバイル通信デバイスから前記第2のデバイスへと前記第2のVoIP/VIP通信パスを介して通信されるデータペイロードの比率を複数回調節することと、
(f)前記データペイロードの第1および第2のサブセットを前記第2のデバイス上で受信して、前記第1および第2のサブセットのデータペイロードを順序付けして、前記メディアストリームを再構築することと
を備える方法。
【請求項10】
前記モバイル通信デバイスはセルラ電話であり、前記第1のネットワークはローカルエリアネットワーク(LAN)であり、前記第1のエアインタフェースは802.11インタフェースであり、前記第2のネットワークはセルラ電話ネットワークであり、前記第2のエアインタフェースはセルラ電話インタフェースである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記比率は、前記(e)において、前記VoIP/VIP通信パスによって提供されるサービス品質の第1の評価を行い、前記第2のVoIP/VIP通信パスによって提供されるサービス品質の第2の評価を行い、その後、前記第1および第2の評価を用いて、前記第1のVoIP/VIP通信パスを介したデータペイロードの送信と、前記第2のVoIP/VIP通信パスを介したデータペイロードの送信とを制御することによって調節される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記比率は、計算された値ではなく、前記調節の結果である請求項9に記載の方法。
【請求項13】
モバイル通信デバイスであって、
第1のエアインタフェースと、
第2のエアインタフェースと、
プロトコル処理レイヤのスタックを実行するプロセッサとを備え、
第1のVoIP/VIPデータペイロードが、第1のセッションにおいて、前記第1のエアインタフェースから第2のデバイスへ送信され、第2のVoIP/VIPデータペイロードが、第2のセッションにおいて、前記第2のエアインタフェースから前記第2のデバイスへ送信され、単位時間当たりに、前記第1のエアインタフェースから送信される第1のVoIP/VIPデータペイロードの数の、前記第2のエアインタフェースから送信される第2のVoIP/VIPペイロードの数に対する比率が、前記第1および第2のVoIP/VIPデータペイロードの送信中に複数回調節され、前記第1および第2のVoIP/VIPデータペイロードは、単一のメディアストリームのペイロードであるモバイル通信デバイス。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記第1のセッションのサービス品質を評価することと、
前記第2のセッションのサービス品質を評価することと
からなる各ステップを実行するためのプロセッサ実行可能命令のセットを実行する請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記第1のセッションのサービス品質を評価することと、
前記評価のうちの少なくとも一部に基づいて、前記第2のセッションが確立されるべきであることを決定することと
からなる各ステップを実行するためのプロセッサ実行可能命令のセットを実行するが、前記決定の結果として、前記第2のVoIP/VIPデータペイロードの前記送信に先立って、前記第2のセッションが確立される請求項14に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記第1のVoIP/VIPデータペイロードを通信する際に含まれる第1のアクセスポイントから、第1の信号強度情報を受信することと、
前記第2のVoIP/VIPデータペイロードを通信する際に含まれる第2のアクセスポイントから、第2の信号強度情報を受信することと、
前記第1の信号強度情報と前記第2の信号強度情報とに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のエアインタフェースから送信される前記第1のVoIP/VIPデータペイロードの、前記第2のエアインタフェースから送信される前記第2のVoIP/VIPデータペイロードに対する比率を調節することと
からなる各ステップを実行するためのプロセッサ実行可能命令のセットを実行する請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項17】
前記プロセッサは、
前記第1のVoIP/VIPデータペイロードを通信する際に含まれる第1のアクセスポイントから、第1のデータレート情報を受信することと、
前記第2のVoIP/VIPデータペイロードを通信する際に含まれる第2のアクセスポイントから、第2のデータレート情報を受信することと、
前記第1のデータレート情報と前記第2のデータレート情報とに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のエアインタフェースから送信される前記第1のVoIP/VIPデータペイロードの、前記第2のエアインタフェースから送信される前記第2のVoIP/VIPデータペイロードに対する比率を調節することと
からなる各ステップを実行するためのプロセッサ実行可能命令のセットを実行する請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項18】
前記モバイル通信デバイスはセルラ電話であり、前記第1のセッションはSIP(Session Initiation Protocol)を用いて確立され、前記第2のセッションはSIPを用いて確立される請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項19】
前記比率は、計算された値ではなく、前記調節の結果である請求項13に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項20】
モバイル通信デバイスであって、
第1のエアインタフェースと、
第2のエアインタフェースと、
前記第1のエアインタフェースから送信された第1のVoIPパケットの、前記第2のエアインタフェースから送信された第2のVoIPパケットに対する比率を調節する手段とを備え、
前記第1のVoIPパケットは第1のセッションにおいて送信され、前記第2のVoIPパケットは第2のセッションにおいて送信され、前記第1のセッションおよび前記第2のセッションは同時にアクティブであり、前記第1のVoIPパケットと前記第2のVoIPパケットとは、単一の音声データメディアストリームのための音声データを含むモバイル通信デバイス。
【請求項21】
前記手段は、プロセッサ実行可能な命令のセットを実行するプロセッサである請求項20に記載のモバイル通信デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2009−506680(P2009−506680A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528209(P2008−528209)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/033271
【国際公開番号】WO2007/025161
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/033271
【国際公開番号】WO2007/025161
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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