説明

試料の面積またはコンフルエンスを決定するための方法と装置

試料の面積またはコンフルエンスは、試料と試料の周りのバックグラウンドに関する定量的位相データを得ることにより決定される。試料の境界は、位相データ測定値のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの導関数を取って、それにより最大スロープの点を決定することにより、定量的位相データから決定される。境界に適用可能なデータ値を求めるために、既定のデータ値を上回るか下回るデータ値は試料内にあると見なすように導関数上の最もよく適合する線が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の面積またはコンフルエンスを決定するための方法と装置に関する。本発明は、特に細胞のような一般に透明の試料に適用されて、細胞の面積またはコンフルエンスの決定を可能にして、増殖とコンフルエンスの効果を測定できるようにする。しかし本発明は、他のタイプの試料にも適用されることを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
いくつかの試料、特に透明の試料の面積またはコンフルエンスを決定する時には大きな困難を経験する。これは主に、試料の面積またはコンフルエンスを測定することができるよう、試料の境界が実際にどこにあるかを決定することが困難なためである。生存細胞は光透過性の物体であり、通常細胞質とバックグラウンドとのコントラストがほとんど無いため、視覚化することが困難である。細胞構造は染色または標識後に画像化でき同定できるが、これは試料の生存活性に影響を与える。培養中の生きた細胞は、その透明性のためにおよびプラスチック性の培養器具を介する画像化に伴う本質的な問題があるため、視覚化することが特に困難である。培養中の生きた細胞を画像化することが、単に系統維持のためではなく、インビトロで増殖介入の作用を評価するためにも重要である。
【0003】
透明の生存活性のある染色されていない検体、例えば細胞は、当該細胞とそれらのバックグラウンドとの区別を増強させる光学的位相差顕微鏡使用することで視覚化することができる。光学的位相差顕微鏡は1930年代にFiz Zernikeにより発明され、これは位相板を使用して試料を直接通過する光の速度を変化させて、試料から偏光する光と半波長異なるようにしている。この方法により相殺的干渉が起き、明るいバックグラウンドに対して画像の詳細が暗く現れることを可能にする。細胞の位相性のこの視覚化は、位相が多くて振幅の少ない透明物体の屈折率や厚さについて重要な情報を提供し、そうでない場合、明視野顕微鏡を使用して観察してもほとんど情報は得られない。染色していない透明の試料を視覚化するために、暗視野(Dark Field)、差干渉コントラスト(Differential Interference Contrrast)、およびホフマン調節コントラスト(Hoffman Modulation Contrast)を含む位相差顕微鏡の種々の方法が使用されている。これらの方法のそれぞれが透明試料の視覚化増強を可能にするが、これらはすべて固有の問題、例えば細胞の端のひずみ、および細胞の端の顕著なハローの生成が視覚分析を困難にしている。さらに重要なことは、これらの方法により得られる情報は、定性的分析にのみ有用なことである。
【0004】
本発明の要約
本発明の目的は、試料を破壊せず、また従来技術の光学的方法の上記問題を回避する、試料の面積またはコンフルエンスの決定を可能にする方法と装置を提供することである。
【0005】
本発明は、試料の面積またはコンフルエンスを決定するための方法であって:
試料と試料の周りのバックグラウンドに関する定量的位相データを準備し;
定量的位相データから試料の境界を決定し;そして
境界内の面積を測定することにより試料の面積またはコンフルエンスを決定する、
ことを含んで成る方法を提供する。
【0006】
定量的位相データを使用して面積を求めるため、染色を伴う場合のように試料が破壊されることは無い。すなわち所定の時間にわたって試料の以後の測定をすることにより、試料の増殖パターンを所定の時間にわたって測定することができる。さらに定量的位相データは、細胞の端のひずみとハローの生成に伴う困難さを回避し、試料の実際の境界を同定することを容易にし、それにより試料の面積またはコンフルエンスの決定を提供する。
【0007】
好ましくは、定量的位相データは、試料からの光を検出器により検出して、異なってフォーカスされた試料の画像を作成し、定量的位相データが含まれる試料の位相マップを作成するような強度伝播方程式(Transfer of Intensity Equation)を解くアルゴリズムにより、異なる画像から定量的位相データを決定することにより得られる。
【0008】
最も好ましくは、式はメルボルン大学(Melbourne University)名義の国際特許出願PCT/AU99/00949とイアチアイメージングピーティーワイ社(Iatia Imaging Pty Ltd.)名義の国際特許出願PCT/AU02/01398に記載の方法により解かれる。これらの2つの国際特許出願の内容は、引用により本明細書に組み入れられる。
【0009】
好ましくは、試料の境界を決定する工程は、試料とバックグラウンドの定量的位相データ測定値のヒストグラムを作成する工程、ヒストグラムの導関数を取って試料の境界の近傍のヒストグラムの最大スロープの点を決定する工程、そして導関数に最もよく適合する線を決定して境界に適用可能なデータ値を求め、決定したデータ値を上回るか下回るデータ値を試料の内側であると見なす工程とを含む。
【0010】
好ましくは、面積またはコンフルエンスを決定する工程は、境界内のデータ試料の数から面積またはコンフルエンスを決定する工程を含む。
【0011】
本発明の好ましい態様において、各データ試料は検出器の画素に適用可能であり、各画素面積は既知であり、その結果、既知の画素面積、及び既定のデータ値を上回るか下回るデータ値を示す画素の数、から、試料の面積またはコンフルエンスが決定される。
【0012】
本発明はまた、試料の面積またはコンフルエンスを決定する方法であって:
試料から放出される光を検出器により検出して、異なってフォーカスされた少なくとも2つの画像を作成して2組の生データを準備し;
2組の生データから、試料とそのバックグラウンドの定量的位相マップを決定し;
決定した画素値を上回るか下回る検出器の画素に適用可能な個々の位相データ値から試料の境界を決定し;そして
画素面積に、前記の決定した画素値を上回るか下回る画素の数を掛けて面積またはコンフルエンスを決定することにより、試料の面積またはコンフルエンスを決定する、ことを含んで成る方法である。
【0013】
好ましくは、画素値はグレースケール値であり、決定したグレースケール値を上回るグレースケール値は試料内にあると見なされ、グレースケール値に画素面積を掛けて試料の面積またはコンフルエンスが決定される。
【0014】
好ましくは、前記の決定した画素値は、グレースケールの画素値の最大変化率を特定し、それにより試料の境界を特定することにより決定される。
【0015】
好ましくは最大変化率は、試料とそのバックグラウンドを検出するすべての画素についてグレースケール値のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの導関数を決定して種々の画素でのグレースケール値の最大変化率のグラフの尺度を準備し、そして曲線に最もよく適合する線を決定してグレースケール値を決定し、決定したグレースケール値より大きいすべてのグレースケール値を試料の内側であると見なすように試料の境界を規定することにより決定される。
【0016】
好ましくは、生データは、少なくとも1つのフォーカス内試料画像、及び少なくとも1つのフォーカス外試料画像を含んで成る。
【0017】
最も好ましくは、生データはフォーカス内試料画像と1つの正にデフォーカスした画像と負にデフォーカスした画像を含んで成る。
【0018】
本発明は、試料の面積またはコンフルエンスを決定するための装置であって:
試料と試料の周りのバックグラウンドに関する定量的位相データを受け取り;
定量的位相データから試料の境界を決定し;そして
境界内の面積を測定することにより試料の面積または試料のコンフルエンスを決定するためのプロセッサーを含んで成る装置を提供する。
【0019】
好ましくは、前記装置はさらに、異なってフォーカスされた試料の画像を作成するための検出器を更に含んで成り、そして、前記プロセッサーが強度伝播方程式を解くアルゴリズムにより異なる画像から定量的位相データを決定して、位相データが含まれる試料の位相マップを作成するためのものである。
【0020】
好ましくは、プロセッサーは、試料とバックグラウンドの定量的位相データのヒストグラムを作成し、ヒストグラムの導関数を取って試料の境界の近傍のヒストグラムの最大スロープの点を決定し、そして導関数上の最もよく適合する線を決定して試料の境界に適用可能なデータ値を求め、決定したデータ値を上回るか下回るデータ値を試料の内側であると見なすことにより、試料の境界を決定する。
【0021】
好ましくはプロセッサーは、境界内にあるデータ試料の数からコンフルエンスの面積を決定することを含む。
【0022】
本発明の好ましい態様において、各データ試料は検出器の画素に適用可能であり、各画素面積は既知であり、その結果プロセッサーは、既知の画素面積、及び既定のデータ値を上回るか下回るデータ値を示す画素の数、から、試料の面積またはコンフルエンスを決定する。
【0023】
本発明はまた、試料の面積またはコンフルエンスを決定するための装置であって:
異なってフォーカスされた試料の少なくとも2つの画像を作成して、2組の生データを得るために、試料から放出される光を検出器により検出するための検出器;
2組の生データから、試料とそのバックグラウンドの定量的位相マップを決定するためのプロセッサー
とを含んで成る装置であり、
前記プロセッサーはまた、既定の画素値を上回るか下回る検出器の画素に適用可能な個々の位相データ値から試料の境界を決定し;そして
前記プロセッサーはまた、画素面積に、既定の画素値を上回るか下回る画素の数を掛けて面積またはコンフルエンスを決定することにより、試料の面積またはコンフルエンスを決定することを特徴とする。
【0024】
好ましくは画素値はグレースケール値であり、決定したグレースケール値を上回るグレースケール値は試料内にあると見なされ、グレースケール値に画素面積を掛けて試料の面積またはコンフルエンスが決定される。
【0025】
好ましくは、前記の決定した画素値は、グレースケールの画素値の最大変化率を特定し、試料の境界を特定することにより決定される。
【0026】
好ましくは最大変化率は、試料とそのバックグラウンドを検出するすべての画素についてグレースケール値のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの導関数を決定して種々の画素でのグレースケール値の最大変化率のグラフの尺度を準備し、そして曲線に最もよく適合する線を決定してグレースケール値を決定し、決定したグレースケール値より大きいすべてのグレースケール値を試料の内側であると見なすように試料の境界を規定することにより決定される。
【0027】
好ましくは生データは、試料の両側に等しく配置された少なくとも2つのデフォーカスした画像を含んで成る。
【0028】
最も好ましくは生データは、フォーカス内試料画像と試料の1つの正にデフォーカスした画像と1つの負にデフォーカスした画像を含んで成る。
【0029】
本発明は、試料と試料の周りのバックグラウンドに関する定量的位相データを提供することにより試料の面積またはコンフルエンスを決定するためのコンピュータープログラムであって:
定量的位相データから試料の境界を決定するためのコードと;そして
境界内の面積を測定することにより試料の面積または試料のコンフルエンスを決定するするためのコードと、
を含んで成るコンピュータープログラムを提供する。
【0030】
好ましくは、試料からの光を検出器により検出して、異なってフォーカスされた試料の画像を作成し、プログラムは、強度伝播方程式を解くアルゴリズムにより、異なる画像から定量的位相データを決定するコードを含み、それにより定量的位相データが含まれる試料の位相マップを作成することにより、定量的位相データが得られる。
【0031】
好ましくは試料の境界を決定するためのコードは、試料とバックグラウンドの定量的位相データ測定値のヒストグラムを作成するためのコードと、ヒストグラムの導関数を取って試料の境界の近傍のヒストグラムの最大スロープの点を決定するためのコードと、そして導関数に最もよく適合する線を決定して境界に適用可能なデータ値を求め、決定したデータ値を上回るか下回るデータ値を試料の内側であると見なすコードとを含む。
【0032】
好ましくは、面積またはコンフルエンスを決定するためのコードは、境界内の多くのデータ試料からコンフルエンスの面積を決定するためのコードを含む。
【0033】
本発明の好ましい態様において、各データ試料は検出器の画素に適用可能であり、各画素面積は既知であり、その結果、既知の画素面積、及び既定のデータ値を上回るか下回るデータ値を示す画素の数から、試料の面積またはコンフルエンスが決定される。
【0034】
本発明はまた、試料から放出される光を検出器により検出して、異なってフォーカスされた試料の少なくとも2つの画像を作成して、2組の生データを得ることにより、試料の面積またはコンフルエンスを決定するためのコンピュータープログラムであって:
2組の生データから、試料とそのバックグラウンドの定量的位相マップを決定するためのコードと;
決定した画素値を上回るか下回る検出器の画素に適用可能な個々の位相データ値から試料の境界を決定するためのコードと;そして
画素面積に、前記の決定した画素値を上回るか下回る画素の数を掛けて面積またはコンフルエンスを決定することにより、試料の面積またはコンフルエンスを決定するためのコードとを含んで成るプログラムである。
【0035】
好ましくは、画素値はグレースケール値であり、決定したグレースケール値を上回るグレースケール値は試料内にあると見なされ、グレースケール値に画素面積を掛けて試料の面積またはコンフルエンスが決定される。
【0036】
好ましくは、前記の決定した画素値は、グレースケールの画素値の最大変化率を特定し、それにより試料の境界を特定するためのコードにより決定される。
【0037】
好ましくは最大変化率は、試料とそのバックグラウンドを検出するすべての画素についてグレースケール値のヒストグラムを作成するためのコードと、ヒストグラムの導関数を決定して種々の画素でのグレースケール値の最大変化率のグラフの尺度を求めるためのコードと、そして曲線に最もよく適合する線を決定してグレースケール値を決定し、決定したグレースケール値より大きいすべてのグレースケール値を試料の内側であると見なすように試料の境界を規定するコードとにより、決定される。
【0038】
好ましくは生データは、少なくとも1つのフォーカス内試料画像、及び少なくとも1つのフォーカス外試料画像を含んで成る。
【0039】
最も好ましくは、生データはフォーカス内試料画像と、試料の1つの正にデフォーカスした画像と負にデフォーカスした画像を含んで成る。
【0040】
本発明の一態様の詳細な説明
図1において、試料の面積またはコンフルエンスを決定するための装置10が示される。装置10は、検出器12、例えば電荷結合素子型のカメラ等を含む。カメラ12は、周知なように、一般的に長方形に並んだ多くの画素から形成される。
【0041】
試料ステージ14は、透明のプレート中またはスライドの上などに細胞のような試料を保持するために与えられる。光源16は、光を提供するために与えられる。本明細書で使用された光への言及は、電磁スペクトル、および粒子または音響放射線の見える部分または見えない部分を意味すると理解されたい。
【0042】
試料16からの光は、20で模式的に示す調整光学系を通過して光線22を生成し、これは試料Sを通過し、検出器12により検出される。
【0043】
試料Sとその周りのバックグラウンドの定量的位相マップを形成するために、異なるフォーカスで試料の3つの画像が作成される。最初の画像は、図1に示すようにステージ14の位置にあるフォーカス内画像である。第2の画像は、位置14'にある正にデフォーカスした画像であり、第3の画像は位置14"にある負にデフォーカスした画像である。これらの3つの画像から得られる生データは、強度伝播方程式を解くアルゴリズムで使用されて、その結果試料と試料の周りのバックグラウンドに関する定量的位相データが得られる。定量的位相マップを生成するための使用されたアルゴリズムは、前記国際特許出願に開示されており、従って本明細書では繰り返さない。定量的位相マップを生成するためのこの方法は好適であるが、試料の定量的位相マップを与える他の方法も使用できることを理解されたい。
【0044】
定量的位相マップは、検出器12に接続されたプロセッサー40で作成され、試料Sの位相画像は、プロセッサー40に接続されたモニター50で見ることができる。
【0045】
図2は、得られる画像の図であり、試料Sとその周りのバックグラウンドを示し、これは白であることが最も都合がよい。従って、強度伝播方程式を解くアルゴリズムは、検出器12の各画素での、試料Sとその周りのバックグラウンドに適用可能な定量的位相尺度を与える。所望であれば試料Sのバックグラウンドは、図2に示すようにマスクMでマスキングされ、その結果、バックグラウンドに存在するようなほこりなどのスプリアスイベントは最少にされる。マスクM内の検出器12の各画素は、0〜255の間のグレーレベル値で与えられ、これが、マスクM内の試料Sとその周りのバックグラウンドの画素で定量的位相測定値の指標となる。
【0046】
検出器12中の各画素の定量的位相データがいったん決定されると、図3に示すような画素についてのグレースケール値のヒストグラムが作成される。典型的にはヒストグラムは図3に示すものと類似であり、ここで周りのバックグラウンドは、「ブラックライト」に適用可能な非常に低いグレースケール値Vを有し、またはブラックライトが試料Sを通過する場合ブラックライトのゼロ位相遅延を有する。通常このグレースケール画像は黒い画像上で白色として見られ、その結果試料Sの周りのバックグラウンド領域は典型的には黒であり、試料の画像は白色として現れる。しかし系の性質が、バックグラウンド領域が厚く試料より多くの位相遅延を有するようなものなら反対の場合もあり、さらに所望であれば、通常の画像を反転させて、バックグラウンドが白色で現れて試料がより暗いかまたは黒のコントラストとして現れてもよい。試料内を光が通過する際の位相遅延により試料S内のグレースケール値は上昇し、それにより更に明るい色を供する傾向となり、その結果より高いグレーレベル値Vを与える。典型的には試料Sの平均値は、例えば図3に示すように175のグレーレベルでもよい。
【0047】
試料Sの境界は、隣接する画素値の間に最大の変化のある位置の指標となる。この理由は、境界の外ではバックグラウンドが遅延を供することはなく、その結果非常に低い、例えば20のグレースケール値を供するためである。この境界では、そして試料S内では、画素値ははるかに高いであろう。従って、試料境界の領域内にあり、且つ最大の変化率を示すヒストグラム上の点を決定することにより、試料Sの境界のグレーレベル値の指標が得られる。最大の変化率を決定するために、境界の近傍のヒストグラム機能の導関数が決定される。これはまたプロセッサー40によっても実施される。
【0048】
ユーザーは図3のヒストグラムを見ることにより、境界の有力な位置を特定することができる。図3中のAと記した曲線の位置は、バックグラウンドを示す多数の画素に明らかに起因し、一般に試料Sによる位相遅延が無いため、非常に低いグレースケールを有するであろう。図3中のBと記した曲線の部分は、境界領域中にあることが認識され、導関数は典型的には、点(例えば図3のCとD)の間の曲線の部分から取られる。グラフの極値点Eは、図4のX軸を横切る導関数の一部であり、図4中の曲線Gの一部は、試料Sの境界に起因する図4のグレーレベル値Vを特定する線であろう。すなわち、曲線Gの部分に最もよく適合する図4の線Lを形成することにより、境界を特定する画素のグレースケール値を決定することができる。図4の実施例では,グレースケール値は150である。
【0049】
従って試料Sの面積またはコンフルエンスは、面積またはコンフルエンスは、160以上のグレースケール値を供する画素の数を測定することにより決定することができる。従って、これは、試料Sが一緒となっている多数の細胞である場合、試料の面積または試料のコンフルエンスを与えるであろう。
【0050】
本発明の例を以下に示す。
【0051】
気道平滑筋細胞を、肺移植切除術患者の気管支からコラゲナーゼおよびエラスターゼ消化により得た。10% FCSを有し、2mM L-グルタミン、100U/mlペニシリン-G、100μg/ml ストレプトマイシン、および2μg/mlアンホテリシンBを補足したフェノールレッド不含DMEM中で培養物を維持した。細胞を1:4の分割比で、1mmol/L EDTAを含有する0.5%トリプシンに暴露することにより毎週継代した。コンフルエンスを決定する実験のために、細胞をプラスチックの培養プレートに、上記培地中2.5×104〜4×104細胞/ウェルで接種した。24時間、細胞を培養プレートに接着させた後、毎日測定値を求め、3日後の培地を交換した。
【実施例】
【0052】
実施例1
ツァイスプラン−ネオフルアー(Zeiss Plan-Neofluar)(×10、0.30NA)対物レンズを使用するツァイスアキシオベルト(Zeiss Axiovert)100M倒立顕微鏡を取り付けた白黒の1300×1030画素のクールスナップ(Coolsnap)FX CCDカメラ(ローパーサイエンティフィック(Roper Scientific))を使用して、明視野画像を捕捉した。最適な試料照明を確保するために、各光学装置(集光装置と対物レンズアラインメントおよび70%視野幅の集光装置ストップ)についてケーラー(Koeler)照射条件を確立した。位相マップを算出するために、1つのフォーカス内画像と等距離の正および負にデフォーカスした画像(この例ではzzμmのデフォーカス距離を使用して)を採取した。これは、対物並進のために圧電性位置調整装置(ピフォック(PiFoc)、フィジックインスツルメンツ(Physik Instruments)、カールスルーエ(Karlsruhe)、ドイツ)を使用して行った。次に明視野画像を処理して、QPmソフトウェア(v2.0、イアチア社(IATIA Ltd.)、オーストラリア)を使用して位相マップを作成した。採取した3つの明視野画像に基づく位相マップ作成は、3つの画像の間の光明暗度の変化率のソフトウェア自動計算を使用した[6]。位相マップ計算について得られた画像のセット以外に、各試料について、計算した光学的位相画像化技術が実施できるように従来の光学的位相技術も使用して画像を得た(プラン−ネオフルアー(Plan-Neofluar)、×10、NA0.30)。3つの異なる画像タイプの例の比較図(明視野、位相マップおよび光学的位相)を図5に示す。2つの位相画像と比較して、明視野画像で観察できる詳細な構造の欠如が顕著である(図5A)。光学的に得られた位相画像(図5C)と比較してQPmソフトウェアで計算した位相マップ(図5B)を使用して得られた明確な細胞境界の定義も明らかであった。
【0053】
位相マップ画像を分析してコンフルエンスを評価し、93時間にわたって培養筋肉細胞の増殖を測定した。培養プレートの底のマークを使用して、顕微鏡ステージ上の階調スケールを参照して、培養プレート中の参照点の再現性位置を決定した。これは、24時間間隔の延長期間にわたって同じ領域の細胞(中央の参照点の周りの視野中の細胞)の測定を可能にした。
【0054】
各時間間隔でコンフルエンスと細胞数測定の平行測定ができるように、培養プレートを準備した。位相画像捕捉後、細胞をトリプシン(1mmol EDTAを含有する0.55%v/v)に暴露して培養基質から取り上げ、標準的血球計算法を使用して計測した。6つのウェルプレートについて均一な増殖速度を確保するために、同じ細胞継代タイプからすべてのウェルに同じ密度で接種し、同じインキュベーション条件に付した。6つのウェルプレートの1つのウェルを毎日のコンフルエンス測定のために繰り返し画像化し、残りの5つのウェルは細胞数測定のために1日1回採取した。位相マップのコンフルエンス測定と血球計算法による細胞数測定により求めた細胞増殖測定値の間の関係を推定した。
【0055】
図5に示した画像を調べると、明視野条件下で培養細胞単層を見る時に遭遇する困難さが示される。図5Aでは最適化したケーラー(Koehler)照射条件にもかかわらず、細胞の輪郭と突起がかろうじて認識されるのみである。図5Bでは、典型的に観察されるように、計算された位相マップははるかに大きな動的コントラスト範囲を示す。図5Cに示す同じ視野の光学的位相画像は、明視野画像と比較してある程度改善されたコントラストを示す。これは細胞の境界で特に強調(および少しひずんでいる)されるが、光学的位相図は内部の細胞と非細胞画像の特徴の間のあまり有用ではないコントラストを与える。
【0056】
位相マップ(すなわち図5B)を(QPmソフトウェア画像分析手段を使用して)分析して、画素明暗度ヒストグラム(図6A)を作成して細胞の構造に関連する位相シフト特性を特定した。多くの位相マップヒストグラムを調べると、ヒストグラムの最も急勾配の最初の部分は、細胞外物質から細胞物質を再現性よく区別するのに使用できることを示した。明暗度ヒストグラム(図6B)の導関数の上行性部分に線形関数を適合させ、x軸に外挿して、細胞物質と非細胞物質とのセグメント化が位相マップ(図6C)を使用して行われる閾値グレーレベルを求めた。この新規計算は、細胞の区別についての画像セグメント化の完全に非主観的な方法を与える。次に外挿された閾値を使用して、位相画像(図6D参照)において細胞物質の非細胞物質からの区別を示すバイナリーイメージを作成した(イメージ−プロプラス(Image-Pro Plus)ソフトウェアv3.0、メディアサイバアーネティクス(Media Cybernetics)、アメリカ合衆国)。これらのセグメント化操作により生成したバイナリーマップを単に使用して、調べた全視野面積のパーセント(%セクション面積)として表される培養物のコンフルエンスの尺度として、培養プレート上の「黒い」区切られた細胞物質の量を合計する。図5と6に示した「ケース」画像分析として使用された培養物について、この値は5.68%であり、これらの条件下での接種後約20時間の培養物の典型的な値であった。
【0057】
8ビット画像(グレースケールは0〜225の範囲の値を示す)は、上記で要約したセグメント化法について最適であることがわかった。利用可能なコントラスト範囲を大きくするために、および閾値点の決定の正確性を改良できる可能性のために、12ビット画像を使用する分析も行った。しかし、12ビット画像のヒストグラム中のノイズの増加が、閾値グレーレベルの測定における改善を相殺することが全体に観察された。
【0058】
この分析法は、細胞をバックグラウンドから区別するための閾値点の正確で偏りの無い計算を可能にする。この方法で満足できる閾値結果を求めるために決定的に重要なことは、ハローと細胞の端のひずみが抑制されて正確な細胞の区別を可能にする位相マップで利用可能なデータの量である。従来の光学的位相法を使用して捕捉した画像を用いて同じ分析法を行っても、信頼できる結果は得られなかった(図7)。光学的位相画像の細胞物質と非細胞物質とのコントラストの差の低下は、カーブフィッティング法を不安定にし、光学的画像法の不均一な照射明暗度の作用により、閾値決定法において局所的変動が発生する。光学的位相画像の明暗度ヒストグラムから作成した導関数を調べると、これらのプロットは位相マップから得られたものよりやや複雑であり、複数のピークを示すことが明らかになった(図7A)。すなわち切片外挿法はこれらのプロットに容易に適用できず、非主観的閾値法を使用することは不可能である。光学的位相画像のセグメント化に関連する困難さは図7Bに例示され、ここでは、閾値法により作成されるバイナリーイメージは画像の左上に細胞外領域を導入し(図3D)、画像の下の部分で他の位置の境界を明確に示せないことが明らかである。この視野の不均一性と細胞区別の困難さの組合せ作用は、同様の閾値法を使用した位相マップ作成と比較すると、この培養物試料のコンフルエンス状態を2倍以上顕著に過剰推定する。
【0059】
いくつかの異なる患者細胞系統からのHASM細胞培養物のコンフルエンスの漸進的上昇を測定するために、位相マップ閾値法とセグメント化法を適用した。標準化した密度で再継代と接種後に、92時間にわたって繰り返し画像化して培養物増殖を追跡した。図8Aに示すようにこの期間にほぼ線形の良好な応答が観察され、コンフルエンスの程度は24時間で約8%から92時間後に約17%まで上昇した。
【0060】
図8Bは、図5Aで追跡した3つの系統のこの増殖期間中の同じ培養物ウェルについて、定量的位相計算培養物コンフルエンスと血球計算法により測定した細胞数との相関を示す。これらの2つの増殖法の間で高度の相関(r2=0.95)が観察される。これらの知見は、増殖性成長が細胞採取と計測により従来法で(および破壊的に)評価される状況では、in situのQPmイメージング法が信頼できかつ非破壊代替物を与えることを示す。
【0061】
例として、添付の図面を参照して本発明の好ましい態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明を具体化した装置の図である。
【図2】図2は、図1の例で使用した検出器上に形成された試料の画像の図である。
【図3】図3は、図2の画像中の試料の境界を特定するのに使用された試料値のヒストグラムである。
【図4】図4は、図4のヒストグラム曲線の導関数を示すグラフである。
【図5A】3つの異なる画像タイプの例の比較図(明視野、位相マップおよび光学的位相)。2つの位相画像と比較して、明視野画像で観察できる詳細な構造の欠如が顕著である。
【図5B】QPmソフトウェアで計算した位相マップ。
【図5C】光学的に得られた位相画像。
【図6A】画素明暗度ヒストグラム。
【図6B】明暗度ヒストグラム。
【図6C】位相マップ。
【図6D】位相画像。
【図7A】明暗度ヒストグラム。
【図7B】位相画像。
【図8A】細胞のコンフルエンスと細胞数との相関。
【図8B】図5Aで追跡した3つの系統のこの増殖期間中の同じ培養物ウェルについて、定量的位相計算培養物コンフルエンスと血球計算法により測定した細胞数との相関。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の面積またはコンフルエンスを決定するための方法であって:
試料と試料の周りのバックグラウンドに関する定量的位相データを準備し;
定量的位相データから試料の境界を決定し;そして
境界内の面積を決定することにより試料の面積またはコンフルエンスを決定することを含んで成る方法。
【請求項2】
定量的位相データが、試料からの光を検出器により検出して、異なってフォーカスされた試料の画像を作成し、強度伝播方程式(Transfer of Intensity Equation)を解くアルゴリズムにより、異なる画像から定量的位相データを決定して、定量的位相データが含まれる試料の位相マップを作成することにより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料の境界を決定する工程が、試料とバックグラウンドの定量的位相データ測定値のヒストグラムを作成する工程、ヒストグラムの導関数を取って試料の境界の近傍のヒストグラムの最大スロープの点を決定する工程、そして導関数に最もよく適合する線を決定して境界に適用可能なデータ値を求め、決定したデータ値を上回るか下回るデータ値を試料の内側であると見なす工程とを含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
面積またはコンフルエンスを決定する工程が、境界内の多くのデータ試料から面積またはコンフルエンスを決定する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
各データ試料が検出器の画素に適用可能であり、各画素面積が既知であり、その結果、既知の画素面積、及び既定のデータ値を上回るか下回るデータ値を示す画素の数、から、試料の面積またはコンフルエンスが決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
試料の面積またはコンフルエンスを決定する方法であって:
試料から放出される光を検出器により検出して、異なってフォーカスされた少なくとも2つの画像を作成して2組の生データを準備し;
2組の生データから、試料とそのバックグラウンドの定量的位相マップを決定し;
決定した画素値を上回るか下回る検出器の画素に適用可能な個々の位相データ値から試料の境界を決定し;そして
画素面積に、前記の決定した画素値を上回るか下回る画素の数を掛けて面積またはコンフルエンスを決定することにより、試料の面積またはコンフルエンスを決定すること、を含んで成る方法。
【請求項7】
画素値がグレースケール値であり、決定したグレースケール値を上回るグレースケール値が試料内にあると見なされ、グレースケール値に画素面積を掛けて試料の面積またはコンフルエンスが決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記の決定した画素値が、グレースケールの画素値の最大変化率を特定し、それにより試料の境界を特定することにより決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
最大変化率が、試料とそのバックグラウンドを検出するすべての画素についてグレースケール値のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの導関数を決定して種々の画素でのグレースケール値の最大変化率のグラフの尺度を準備し、そして曲線に最もよく適合する線を決定してグレースケール値を決定し、決定したグレースケール値より大きいすべてのグレースケール値を試料の内側であると見なすように試料の境界を規定することにより決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
生データが、少なくとも1つのフォーカス内試料画像、及び少なくとも1つのフォーカス外試料画像を含んで成る、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
生データがフォーカス内試料画像と1つの正にデフォーカスした画像と負にデフォーカスした画像を含んで成る、請求項10の方法。
【請求項12】
試料の面積またはコンフルエンスを決定するための装置であって:
試料と試料の周りのバックグラウンドに関する定量的位相データを受け取り;
定量的位相データから試料の境界を決定し;そして
境界内の面積を測定することにより試料の面積または試料のコンフルエンスを決定するためのプロセッサーを含んで成る装置。
【請求項13】
異なってフォーカスされた試料の画像を作成するための検出器を更に含んで成る請求項12に記載の装置であって、プロセッサーが、強度伝播方程式を解くアルゴリズムにより、異なる画像から定量的位相データを決定して、位相データが含まれる試料の位相マップを作成するためのものである、装置。
【請求項14】
前記プロセッサーが、試料とバックグラウンドの定量的位相データのヒストグラムを作成し、ヒストグラムの導関数を取って試料の境界の近傍のヒストグラムの最大スロープの点を決定し、そして導関数上の最もよく適合する線を決定して、決定するデータ値を上回るか下回るデータ値は試料の内側であると見なすように試料の境界に適用可能なデータ値を求めることにより、試料の境界を決定することを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
境界内にあるデータ試料の数からコンフルエンス又は面積を決定する、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
各データ試料が検出器の画素に適用可能であり、各画素面積が既知であり、その結果プロセッサーが、既知の画素面積、及び既定のデータ値を上回るか下回るデータ値を示す画素の数、から、試料の面積またはコンフルエンスを決定する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
試料の面積またはコンフルエンスを決定するための装置であって:
異なってフォーカスされた試料の少なくとも2つの画像を作成して、2組の生データを得るために、試料から放出される光を検出器により検出するための検出器;
2組の生データから、試料とそのバックグラウンドの定量的位相マップを決定するためのプロセッサー
とを含んで成る装置であって、
前記プロセッサーがまた、決定した画素値を上回るか下回る検出器の画素に適用可能な個々の位相データ値から試料の境界を決定し;そして
前記プロセッサーがまた、画素面積に、前記の決定した画素値を上回るか下回る画素の数を掛けて面積またはコンフルエンスを決定することにより、試料の面積またはコンフルエンスを決定する、装置。
【請求項18】
画素値がグレースケール値であり、決定したグレースケール値を上回るグレースケール値が試料内にあると見なされ、グレースケール値に画素面積を掛けて試料の面積またはコンフルエンスが決定される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
決定しされる画素値が、グレースケールの画素値の最大変化率を特定し、それにより試料の境界を特定することにより決定される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
最大変化率が、試料とそのバックグラウンドを検出するすべての画素についてグレースケール値のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの導関数を決定して種々の画素でのグレースケール値の最大変化率のグラフの尺度を準備し、そして曲線に最もよく適合する線を決定してグレースケール値を決定し、決定したグレースケール値より大きいすべてのグレースケール値が試料の内側であると見なすように試料の境界を規定することにより決定される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
生データが、試料の両側に等しく配置された少なくとも2つのデフォーカスした画像を含んで成る、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
生データが、フォーカス内試料画像と試料の1つの正にデフォーカスした画像と1つの負にデフォーカスした画像を含んで成る、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
試料と試料の周りのバックグラウンドに関する定量的位相データを提供することにより試料の面積またはコンフルエンスを決定するためのコンピュータープログラムであって:
定量的位相データから試料の境界を決定するためのコードと;そして
境界内の面積を測定することにより試料の面積または試料のコンフルエンスを決定するするためのコードと、
を含んで成るコンピュータープログラム。
【請求項24】
請求項23に記載のコンピュータープログラムであって、定量的位相データが、試料からの光を検出器により検出して、異なってフォーカスされた試料の画像を作成することにより得られ、且つ前記プログラムが、強度伝播方程式を解くアルゴリズムにより、異なる画像から定量的位相データを決定するコードを含み、その結果、位相データが含まれる試料の位相マップが作成される、プログラム。
【請求項25】
試料の境界を決定するためのコードが、試料とバックグラウンドの定量的位相データ測定値のヒストグラムを作成するためのコードと、ヒストグラムの導関数を取って試料の境界の近傍のヒストグラムの最大スロープの点を決定するためのコードと、そして導関数に最もよく適合する線を決定して試料の境界に適用可能なデータ値を求め、決定したデータ値を上回るか下回るデータ値を試料の内側であると見なすコードとを含んで成る、請求項23に記載のコンピュータープログラム。
【請求項26】
面積またはコンフルエンスを決定するためのコードが、境界内の多くのデータ試料から面積またはコンフルエンスを決定するためのコードを含む、請求項23に記載のコンピュータープログラム。
【請求項27】
各データ試料が検出器の画素に適用可能であり、各画素面積が既知であり、その結果、既知の画素面積、及び既定のデータ値を上回るか下回るデータ値を示す画素の数、から、試料の面積またはコンフルエンスが決定される、請求項23に記載のコンピュータープログラム。
【請求項28】
試料から放出される光を検出器により検出して、異なってフォーカスされた試料の少なくとも2つの画像を作成して、2組の生データを得ることにより、試料の面積またはコンフルエンスを決定するためのコンピュータープログラムであって:
2組の生データから、試料とそのバックグラウンドの定量的位相マップを決定するためのコードと;
決定した画素値を上回るか下回る検出器の画素に適用可能な個々の位相データ値から試料の境界を決定するためのコードと;そして
画素面積に、前記の決定した画素値を上回るか下回る画素の数を掛けて面積またはコンフルエンスを決定することにより、試料の面積またはコンフルエンスを決定するためのコードと、を含んで成るコンピュータープログラム。
【請求項29】
画素値がグレースケール値であり、決定したグレースケール値を上回るグレースケール値が試料内にあると見なされ、グレースケール値に画素面積を掛けて試料の面積またはコンフルエンスが決定される、請求項28に記載のコンピュータープログラム。
【請求項30】
前記の決定した画素値が、グレースケールの画素値の最大変化率を特定し、それにより試料の境界を特定するためのコードにより決定される、請求項28に記載のコンピュータープログラム。
【請求項31】
最大変化率が、試料とそのバックグラウンドを検出するすべての画素についてグレースケール値のヒストグラムを作成するためのコードと、ヒストグラムの導関数を決定して種々の画素でのグレースケール値の最大変化率のグラフの尺度を得るためのコードと、そして曲線に最もよく適合する線を決定して試料の境界を規定するグレースケール値を決定し、決定したグレースケール値より大きいすべてのグレースケール値を試料の内側であると見なすコードとにより決定される、請求項30に記載のコンピュータープログラム。
【請求項32】
生データが、少なくとも1つのフォーカス内試料画像、及び少なくとも1つのフォーカス外試料画像を含んで成る、請求項28に記載のコンピュータープログラム。
【請求項33】
生データがフォーカス内試料画像と、試料の1つの正にデフォーカスした画像と負にデフォーカスした画像を含んで成る、請求項32に記載のコンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2007−509314(P2007−509314A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527219(P2006−527219)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001261
【国際公開番号】WO2005/029413
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(506096224)イアティア イメージング プロプライアタリー リミティド (4)
【Fターム(参考)】