説明

試料を結像する際の焦点位置を決定するための方法およびセット・アップ

本発明は、試料(4)を結像する際の焦点位置を決定するための方法に関する。この方法では、試料上に視野絞りを結像し、この画像を、視野絞りに対して傾斜した位置敏感型の受信装置を用いて検出し、受信装置内の強度分布により焦点位置を規定する。本発明は、さらに、本発明による方法の実施に関するセット・アップに関する。本発明によれば、前述の形式の方法において、試料(4)上への視野絞りの結像に、光学格子を少なくとも部分的に重ね、位置敏感型の受信装置を用いて、試料によって反射された光に対する強度値を決定し、これらの強度値を、受信装置内の位置に割り当て、位置に関係づけられた強度値から、位置に関係づけられたコントラスト値を決定し、現在の焦点位置に相当する位置としての受信装置内のコントラスト・フォーカスの位置を、これらのコントラスト値を用いて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料(4)を結像する際の焦点位置を決定するための方法であって、試料上に視野絞りを結像し、この画像を、視野絞りに対して傾斜した位置敏感型の受信装置を用いて検出し、受信装置内の強度分布により焦点位置を規定する方法に関する。本発明は、さらに、本発明による方法の実施に関するセット・アップに関する。
【背景技術】
【0002】
結像オプティクスを用いて、試料または試料の一片を正確に結像するためには、試料を結像オプティクスの焦点位置に正確に配置する必要がある。画像の焦点がずれている場合には、試料位置を結像オプティクスに対してどの方向についてどの程度変化させるべきかを知ること、適用可能ならば、フォーカシングに対して使用できる個々の調整指示を導き出すことが重要である。
【0003】
この状況では、三角測量法、コントラスト評価を伴う結像方法、および傾斜した共焦点アパーチャ・スロットを用いた位置決定がよく知られている。
三角測量法では、コリメートされたレーザ・ビームが反射されて、結像レンズの瞳面内に入り、結像光路に対するこのレーザ・ビームの進路から、試料によって反射されたレーザ光のZ位置が導き出される。
【0004】
この方法の本質的に欠点は、深さの異なる試料面内のレーザ光を結像する結果、画像に歪みが生成されるために、検出信号が、鮮明さ範囲の所定の深度を超えて大きく変化することである。
【0005】
残念なことに、焦点位置を決定する際の精度は、測定結果の決定が、検出器の捕捉範囲の中心で行なわれるのか、あるいは周囲で行なわれるのかによって異なる。この影響を補償するために、焦点位置の決定を、複数の反復ステップで行なわなければならないが、その結果、この方法は比較的時間のかかるのものとなってしまう。
【0006】
コントラスト評価を伴う結像方法では、試料の照明は、照明光路の視野絞り面内に格子を配置することによる格子状の強度分配に従って行なわれる。このように照明された試料を、受信装置上に結像する。こうして、結像オプティクスと試料との間の距離が異なる一組の画像が記録され、この組からコントラストが最も高い画像が選択される。この画像に割り当てられている結像オプティクスと試料との間の距離が、最適な焦点距離として分類される。
【0007】
欠点としては、画像の組を記録するために、多くの異なるz位置に高精度で近づかなければならないため、この方法は比較的時間のかかるものとなってしまうことである。
傾斜した共焦点アパーチャ・スロットを用いた位置決定では、アパーチャ・スロットが、照明光路の視野絞り面内に配置されて、試料上に結像される。試料によって反射された光は、アパーチャ・スロットに対して傾斜した状態で設けられたCCDラインに送られて、反射光が最大となるCCDラインの位置が決定される。この方法の場合のように、焦点位置の計算が、ライン上に単一の画像を用いて行なうことができ、焦点計算の結果が比較的短い時間で入手できる。
【0008】
しかしながら、試料中の不純物または試料表面における擾乱性の構造によって強度の変動が起こり得るため、測定結果が誤ったものになる可能性があるという欠点がある。この方法の主な問題は、CCDライン上にギャップを結像する際に大きく調整する必要があることである。これは、高い精度を得るためにギャップ(またはライン)を非常に狭くしなければならないことに起因する。さらに完全に補正された結像オプティクスも必要とされる。
【0009】
特にチップ製造の場合には、構造としてますます微細かつ薄いものが目標とされている。そのため、製造精度を検証するために用いる検査方法に対する要求がますます高まっている。したがって、より一層の高速かつ正確なフォーカシングを、好ましくは製造手順を妨害することなく行なうことが要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上に基づいて、本発明の基本的な課題は、焦点位置を決定する際の精度をさらに増加させること、さらに、このような正確な方法の実施を可能にするセット・アップを示すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、傾斜した共焦点のアパーチャ・スロットを用いた位置決定の主題グループに対応付けることができる。
本発明によれば、前述した形式の方法において、試料上に視野絞りを結像し、画像に、光学格子を少なくとも部分的に重ね、視野絞りに対して傾斜した位置敏感型の受信装置を用いて、試料によって反射された光の強度値が決定される。これらの強度値は、受信装置内の位置に割り当てられ、位置に関係づけられた強度値から位置に関係づけられたコントラスト値が決定され、これらのコントラスト値を用いて、受信装置内のコントラスト・フォーカスの位置が、現在の焦点位置に相当する位置として決定される。
【0012】
従来技術における該当する方法とは異なり、焦点位置は、受信装置内の最大強度に相当する位置としては決定されない。寧ろ、試料におけるアパーチャ結像に光学格子の結像を重ねることにより、位置に関係づけられたコントラスト値を決定し、これらのコントラスト値に基づいて現在の焦点位置を決定することができる。
【0013】
結果として、これまでに知られている他の方法と比較して、調整の必要性が著しく低減されるという極めて重要な優位性がもたらされる。さらに、焦点位置を決定する際の結果は、もはや、潜行的な光(underground light )、試料中の不純物、または擾乱性の試料構造によって歪められることはない。この点において、本発明によって、従来技術と比較して極めて高い精度を保証する迅速な方法が提供される。
【0014】
本発明による方法の好ましい構成のオプションにおいて、位置に関係づけられたコントラスト値I(y)が、以下の関数によって決定される。
【0015】
【数1】

I(x)は、受信装置内の位置xに割り当てられた強度値を表わし、I(xi+n)は、隣接する位置xi+nに割り当てられた強度値を表わす。好ましくは、nは1…20の範囲で選択される。
【0016】
位置に関係づけられたコントラスト値を決定した後に、現在の焦点位置Pに相当する位置が、以下の関数により決定される。
【0017】
【数2】

ここには、デフォルト最小値Iminよりも大きいすべてのコントラスト値が含まれる。
【0018】
このようにして、従来技術と比べて精度を高くし、調整の必要性を低減することは、すでに多くの応用例において達成されている。
さらにより高い精度を要求する場合には、第1のステップにおいて、位置P’を、デフォルト最小値Iminよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)に対する関数、
【0019】
【数3】

に基づいて決定する。その後、第2のステップにおいて、現在の焦点位置Pに相当する位置を、位置P’からデフォルト距離a以内である最小値I’minよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)に対する関数、
【0020】
【数4】

に基づいて決定する。
【0021】
第1および第2のステップにおける定数の最小値IminおよびI’minは、等しい可能性もあるし、等しくない可能性もある。
好ましくは、視野絞りをアパーチャ・スロットとして、吸収格子を帯状マスクの形状の光学格子として、CCDラインを受信装置として使用する。この場合、位置xは、CCDラインにおけるセンサ要素(以下、画素と呼ぶ)の連続的な番号によって特徴付けられる。すなわちCCDラインに2400画素がある場合、それらの位置は、x〜x2400を用いて規定される。次に、CCDラインにおける2つの画素間の距離aを、画素の数を用いて表示し、aに対するデフォルト値は好ましくは10〜1000の範囲である。
【0022】
特に自動製造制御において使用可能であるさらに進んだ構成では、受信装置内で測定される受信装置内の理想的な焦点位置P’’に対応する受信装置内の位置と、現在の焦点位置Pに対応する位置との間の距離bから、自動フォーカシングに対する入力信号が生成される。
【0023】
入力信号は好ましくは、CCDライン上に結像される位置Pと機器校正により事前に設定された位置P’’とが一致するまで、試料と結像オプティクスとの間の距離Δzを変化させるために用いられる。
【0024】
このような制御装置は従来技術より知られており、この点に関しては、これ以上の説明は必要ではない。特に、このような制御装置は、試料テーブルに結合されたステップ・モータによって駆動されることが知られている。
【0025】
他の発明の構成は、現在の焦点位置を決定することに対して好適であるだけでなく、受信装置内の検出器の受信表面に関係づけられた焦点面内での傾斜を規定することに対しても好適である。
【0026】
この点について、矩形アパーチャをアパーチャとして使用し、CCDマトリックスを受信装置として使用し、格子面内で互いに傾斜する2つの格子マスクからなる光学格子(格子マスクのそれぞれは、互いに平行に進む複数の帯状マスクを示す)を使用することが意図されている。試料上に各帯状マスクの画像を生成すること、および前述し請求項2〜4においても等しく説明される技術によりCCDマトリックスを用いて結像される各マスクに対してコントラスト・フォーカスの位置を決定することが、意図されている。
【0027】
この場合、結像される各マスクに対するコントラスト・フォーカスの位置は、現在の焦点位置に相当する。本発明によれば、2本の接続ラインの進路および傾斜は、コントラスト・フォーカスによって、結果として、CCDマトリックスの受信表面に関係づけられた焦点面の傾斜角度によって、決定される。これについては、以下でより詳細に説明する。
【0028】
この場合も、CCDマトリックスの受信表面の面に関係づけられて決定される焦点面の傾斜角度から入力信号を受け取ることは、大いにあり得ることである。その入力信号を、結像光路の光軸に対する試料傾斜に作用する制御装置を用いた傾斜角度の補正を行なうために使用できる。
【0029】
本発明の前述した構成のオプションのそれぞれにおいて、光学格子のギャップ長は、試料の選択された一片の反射能力、および/または散乱光または反射光、およびその結果としての擾乱光の強度に基づいて、事前に設定される。コントラスト・フォーカスを決定する際の精度を高めるためには、試料の一片の反射能力が低いほど、あるいは擾乱性の散乱光または反射光が強いほど、ギャップ長を小さく事前設定しなければならない。
【0030】
また強度値をさらに処理する場合に、次のことが優位であることも分かるものと考えられる。すなわち最初に、隣接する画素の強度値を、結像される格子の周期に渡って平均化し、次に、受け取った強度信号Iist(実際の値)のデフォルト強度信号Isoll(設定点値)からのずれを決定し、最後に、結果として生じる差に基づいてコントラスト値を補正することである。
【0031】
優位性は、第1に、決定すべきなのは、唯1つの強度値、すなわち平均化された強度信号Iistであるということである。この強度信号Iistの、予想すべき強度信号Isollからのずれに基づいて、光路内の粉塵または不規則に反射する試料が原因の障害が補償されるように、コントラスト値を補正する。
【0032】
隣接する画素の強度値は、すべてのxに対する関数、
【0033】
【数5】

に基づいて平均化され、n=2…100であり、nは好ましくは、格子周期当たりの画素数に対応する。
【0034】
本発明は、さらに、これまで説明してきた方法のステップを実施するためのセット・アップに関する。そのセット・アップは特に、顕微鏡のセット・アップであり、照明光路を発生させるための光源と、試料に照明光路を向けるために用いられる結像オプティクスと、結像光路内のカメラ・セット・アップとを含み、
−格子マスクが重ねられたギャップ開口部が照明光路中に配置され、
−結像光路から偏向された検出光路がCCDラインに向けられ、
−CCDラインは、検出光路の光軸とのα≠90°の角度を含み、
−CCDラインは、位置に関係づけられた強度値I(x)と位置に関係づけられたコントラスト値I(y)とを決定するための評価装置に接続され、
−評価装置は、現在の焦点位置に相当する位置として、CCDラインにおけるコントラスト・フォーカスの位置を決定する。
【0035】
優位な点は、ギャップ開口部を、試料における画像の細部の周囲長さおよびサイズを規定するアパーチャに付随させることである。アパーチャは、視野絞り面内に配置されている。アパーチャは照明光路の中心に配置され、ギャップ開口部は照明光路の周囲に存在する。
【0036】
散乱性の高い表面を有する試料の観察および試験に対して特に好適な本発明によるセット・アップの構成のオプションにおいては、アパーチャを、光軸に対して垂直に配置しなければならないが、ギャップ開口部が含む光軸との角度は、CCDラインが検出光路の光軸に対して傾斜する角度に対応し、試料とギャップ開口部との間の光路長は試料とCCDラインとの間の光路長に等しい。
【0037】
すなわち、評価装置は、関数、
【0038】
【数6】

に基づいて位置に関係づけられたコントラスト値I(y)を決定する差分形成器を含むことができる。強度値I(x)およびI(xi+n)はそれぞれ、位置xおよびxi+nに割り当てられている。また評価装置には、デフォルト最小値Iminよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)に対する関数、
【0039】
【数7】

に基づいて、コントラスト・フォーカスを現在の焦点位置nに相当する位置として決定する算出回路も備え付けられている。
【0040】
CCDラインにおいては、値nによって、隣接する位置の互いに対する距離が規定される。この点において、nは、変数であり、n=1…20である応用例により事前に設定される。
【0041】
特に、仕上げ精度の制御も自動化される自動バイオチップ製造用装置に関係する応用例の場合には、使用される評価装置内に、CCDラインにおける現在の焦点位置Pに対応する位置とCCDラインにおける理想的な焦点位置P’’に対応する位置との間の距離bを決定するために、算出回路が設けられる。この結果、理想的な焦点位置からのずれに対する測定値が得られる。
【0042】
したがって、評価装置の構成によって、理想的な焦点位置からのずれからにより入力信号を決定することができ、評価装置の構成が、焦点位置を補正するための制御装置、すなわち試料と結像オプティクスとの間の距離Δzを変化させることにより補正する制御装置に接続されているのであれば、これも優位である。これは、現在の焦点位置と理想的な焦点位置との間の距離を制御することで、距離bが0に進む傾向となり、その結果、理想的な焦点位置を表わすようになるまで、調整するためである。
【0043】
現在の焦点位置および配置を決定する際に最適な結果を得るために、優位なことは、理想的な焦点位置から試料上に結像するためにそれぞれ用いられる格子の周波数を、結像オプティクスの光学分解能限界に適合させることである。好ましくは、それぞれの場合においてCCDラインの5つの画素が、1つの格子周期に対応しなければならない。
【0044】
また本発明による方法および前述したセット・アップは、無地の試料表面を結像する際にレベルを同じにするために用いることもできる。レベルを同じにすることは、レンズ光路の光軸に対する試料表面の傾斜を決定して、デフォルト値、好ましくは90°の角度を光軸に対して得るように調整することにより行なう。
【0045】
このために、セット・アップに、光軸に垂直な座標方向XおよびYにおいて再配置可能な試料テーブルを備え付けなければならない。この結果、直線上に位置しない試料表面における異なる3点をフォーカスすることができる。これら3点のそれぞれに対して、CCDラインにおける現在の焦点位置、ならびに理想的な焦点位置からの配置および/または焦点距離が決定される。
【0046】
レンズ光路の光軸に対する試料表面の傾斜を、配置の幾何学的な組み合わせから計算し、かつ/あるいは、試料表面の傾斜を、現在の焦点位置と理想的な焦点位置との間の配置または3点すべてに対する焦点距離が等しくなるように、試料を傾斜することによって変化させる。その結果として、試料表面は、レンズ光路の光軸に対して垂直に配置される。
【0047】
制御装置、すなわち3点の直線的な調整形式または二軸回転の調整形式の制御装置は、現在の傾斜およびこの傾斜から生成されるべき調整指示により、望ましくない傾斜が補正されるまで駆動される。
【0048】
以下、本発明をいくつかの構成例に基づいて説明する。関係する図面は、添付の通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
図1に、バイオチップの記録に用いられる結像光学システム、すなわち顕微鏡のセット・アップを示す。顕微鏡を用いるバイオチップの検出の場合、特に蛍光顕微鏡の場合には、焦点位置を見つけることが極めて難しい。
【0050】
図1による顕微鏡セット・アップには基本的に、光軸2を有する照明光路を発生させる照明源1と、照明源1を試料4の表面(この場合にはバイオチップの表面)上に結像するレンズ3とが含まれる。試料表面によって反射されるかあるいは散乱される光は、光軸5を有する結像光路としての受信装置、すなわちCCDカメラに到達する。
【0051】
試料表面は、レンズ3と視野レンズ7とからなる結像オプティクスを用いて、受信装置6の受信表面上に結像されて、観察および評価のために利用可能となる。
照明光路および結像光路は、ビーム・スプリッタ9の分割面8において、偏向されるかあるいは分裂する。
【0052】
本発明によれば、アパーチャ・セット・アップ11は、照明光路のアパーチャ面10内に配置され、図2に拡大表示される。
図2から明らかなように、このアパーチャ・セット・アップ11はすなわち、画像領域を規定する四角形のアパーチャ開口部12を示している。しかしながら、アパーチャ開口部12の外側には、円形の制限13によって特徴付けられる照明光路の内側に、アパーチャ・スロットのギャップ開口部14が配置され、規則的な格子15に重ねられている。
【0053】
試料4を照明すると、ギャップ開口部14(規則的な格子15の構造が重ねられている)が、試料4の表面上に結像される。結像光路内の光は、試料4によって反射されるか、あるいは散乱されて、ビーム・スプリッタ9まで戻り、そこで、すなわち分割面8において、照明光路に到着するようにそちらに向かって偏向され、視野レンズ16を通過し、他のビーム・スプリッタ18の分割面17における照明光路から出力されて、CCDライン19に送られる。
【0054】
レンズ3および視野レンズ16は、格子構造が重ねられたギャップ開口部14をCCDライン19上に結像する結像オプティクスとしての機能を果たす。CCDライン19は、アパーチャ・セット・アップ11に対して傾斜している。ギャップ開口部14を含むアパーチャ・セット・アップ11は、照明光路の光軸2に対して垂直に配置されているが、CCDライン19は、検出光路の光軸33に対して90°に等しくない角度、好ましくは45°を形成している。
【0055】
図3に、CCDライン19の象徴的表現(symbolic representation )を示す。この表現によって明らかなように、CCDライン19は、一列の多数の受信要素(以下、画素20と呼ぶ)を示している。各画素20は、CCDライン19における固定位置xに割り当てられている。すなわち、CCDライン19が2400個の画素20を示す場合には、仮定として、CCDライン19の一端では位置x=1が、一方、CCDライン19の反対の端では位置x=2400が、画素20によって占められているとする。
【0056】
各画素20の出口において、強度信号I(x)が入手可能である。すなわち各画素20は、割り当てられた位置xにおける結像光路の強度を示す。規則的な格子15を含むギャップ開口部14が、傾斜されたCCDライン19上に結像されるため、規則的な格子15が鮮明に結像される正確に1つの位置がCCDライン内に存在する。現在の焦点位置Pに対応するこの位置は、割り当てられた1つまたは複数の画素20に基づいて決定される。
【0057】
以下に説明する本発明による方法によって、現在の焦点位置を、これまでの従来技術によるものに比べてより正確に決定することができる。
本発明によれば、吸収された放射の強度値I(x)が、画素20の各位置xに対して決定される。この結果、図4に表わされるように、CCDライン19に渡る強度曲線が得られる。図4に明らかなように、画素x700〜x1200の範囲における結像放射の強度は、残りの範囲の強度よりもはるかに高い。
【0058】
しかしながら、従来技術の場合とは異なり、最大強度の位置が求められることも現在の焦点位置として規定されることもない。寧ろ、強度値I(x)は最初に、位置に関係づけられたコントラスト値となるように処理される。すなわち、位置に関係づけられたコントラスト値I(y)は、以下の関数により決定される。
【0059】
【数8】

つまり、位置xの強度値I(x)と隣接位置xi+nの強度値I(xi+n)との差を、それぞれの場合において算出する。ここで、nは変数であり、好ましくは1〜20の間で選択されるべきものである。
【0060】
このようにして得られたそれぞれの差を、位置xに対するコントラスト値I(y)として割り当てる。この結果、図5に表わされるようなコントラスト値I(y)の曲線が得られる。
【0061】
図5に明らかなように、y600〜y1100の範囲におけるコントラスト値I(y)は、CCDライン19の残りの範囲のコントラスト値よりもはるかに大きい。
本発明によれば、コントラスト・フォーカスを、他のステップにおいて、コントラスト値I(y)から、デフォルト最小値Iminよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)に対する関数、
【0062】
【数9】

に基づいて決定する。現在の例では、Iminはすなわち、図5に表わすような量によって事前に設定されている。
【0063】
選択された例においては、このコントラスト・フォーカスは、位置y850にほぼ配置されたCCDライン19内の位置に割り当てられている。この現在の焦点位置Pは、本発明によって決定されている。
【0064】
本発明による方法の優位な規定において、CCDライン19における現在の焦点位置Pを、次のステップにおいて、理想的な焦点位置P’’と比較する。理想的な焦点位置は、顕微鏡セット・アップの校正から、すなわち無地の試料表面を用いて決定されており、ここではその位置はy1200であると仮定する。
【0065】
図5に表わした例では、位置Pと位置P’’との間に、350個の画素からなる距離が生じている。CCDライン19は、個々の2つの画素20間のある特定の距離dを、それぞれ示している。このことから導き出せることは、この場合には、現在の焦点位置Pfは理想的な焦点位置P’’から、距離dのほぼ350倍だけ離れており、受信装置6上に試料表面の鮮明な画像を得るためには、焦点位置を補正しなければならないということである。
【0066】
この補正は通常、試料4とレンズ3との間の距離Δzを変化させることによって行なう。
実際には、使用するCCDラインにおける異なる画素間の距離dは、精度原因に対する測定によって決定され、測定結果によってセット・アップは校正されて、校正された状態で試料評価に使用される。
【0067】
強度値I(x)の処理を、前述した方法で、また自動フォーカシング用に行なうために、顕微鏡セット・アップにさらに、図6に表わしたような評価装置21および位置決め装置22を備え付け、CCDライン19を評価装置21に接続し、評価装置21を位置決め装置22に信号送信経路を用いて接続する。
【0068】
評価装置21には、位置に関係づけられたコントラスト値I(y)を決定するための差分形成器、および現在の焦点位置Pに相当する位置としてのコントラスト・フォーカスを決定するための算出回路が含まれる。また評価装置21には、値n=1…20および最小値Iminを事前に設定するための手段も備え付けられている。
【0069】
加えて、図6の構成例によれば、現在の焦点位置Pと、理想的な焦点位置P’’に対応するCCDライン19内の位置との間の距離bを決定するための算出回路が評価装置21内に設けられている。この算出回路は、位置決め装置22を用いた調整指示を生成することもできる。位置決め装置22は、試料4とレンズ3との間の距離Δzを、事前に設定された方向Rに、距離bに等価な量だけ変化させるためのものである。
【0070】
CCDライン19における現在の焦点位置PをRの方向に移動させるためには、レンズ3と試料4との間の距離を増加させるような調整指示を生成しなければならない。逆の場合も同様に、現在の焦点位置PをRとは反対方向に変移させる場合には、この距離を、調整指示を用いて短くする必要がある。調整指示を実行した後で、現在の焦点位置Pが理想的な焦点位置P’’に重なった場合に、自動フォーカシングは終了する。
【0071】
自動フォーカシングの精度に対するさらに高い要求を満たす請求項4による特別な方法のオプションでは、次のことが行われる。すなわち、評価装置21は、デフォルト最小値Iminよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)を考慮して、最初にCCDライン19内での位置P’を決定し、その時になってようやく、次のステップで、位置P’からデフォルト距離a以内にあるデフォルト最小値Iminよりも大きいコントラスト値I(y)をすべて考慮して、現在の焦点位置Pを決定する。
【0072】
この2段階の方法によって、フォーカシングが不規則に行なわれる影響が回避される。この回避は、現在の焦点位置Pを決定するための土台として扱われる補正されたコントラスト・フォーカスを決定することによって行なわれる。
【0073】
複数の界面を有する層システムに属する試料の上または中の界面に対して焦点位置を決定するためには、図4に表わした最大および最小に対するコントラストを増加させるように処置を取ることができる。すなわちこれは、格子ギャップ長を調整することによって達成される。
【0074】
このようにすることにより、格子ギャップによる最大長さを変化させることができる。非常に狭い格子ギャップを選択すると、強度分布も狭くなる。この結果、「共焦点の」条件が形成され、他の界面によって反射された光はCCDライン19に到達しない。このようにして、CCDライン19上に結像される格子帯のコントラストを高めることができ、その結果、ガラス/空気界面に近い特有の低反射を伴うガラス/水界面を精度良くフォーカスすることができ、またそれらの互いに対する距離を正確に測定することもできる。
【0075】
この点について、図7に、CCDライン19にガラス/水界面を結像する際の強度曲線を示す。x500〜x1100の範囲に検出することができる不規則の原因は、互いにほぼ150μmの距離にある隣接する散乱界面である。
【0076】
図7に表わした強度値I(x)を、前述の方法でさらに処理することによって、図8に表わすような位置に関係づけられたコントラスト値I(y)が得られる。
これまで示した本発明によるセット・アップの構成においては、アパーチャ12およびギャップ開口部14の両方とも、アパーチャ・セット・アップのコンポーネントとして、照明光路の光軸2に対して垂直に配置されている。この結果、表面の散乱が軽微な程度のみである試料4を評価する際に、優れた測定結果が得られる。
【0077】
しかしながら、図9に、比較的散乱性の高い表面を有する試料4を試験する場合に特に好適な構成における本発明によるセット・アップを表わす。
これまで示した構成例と同様に、図9の構成においても、視野絞り面10に配置されたアパーチャ・セット・アップ11は、ギャップ開口部14およびアパーチャ12を示す。この場合も、ギャップ開口部14を用いて焦点位置を決定し、アパーチャ12を用いて試料4における画像の細部の周囲長さおよびサイズを規定する。
【0078】
アパーチャ12は、照明光路の光軸2のほぼ中心に配置され、ギャップ開口部14は、照明光路の周囲に配置される。
この場合には、例外として、ギャップ開口部14は光軸2に対する角度を含み、その角度は、CCDライン19が検出光路の光軸33に対して傾斜している量に等しい。しかしながら、アパーチャ12は、依然として、照明光路の光軸2に対して垂直に配置されている。
【0079】
加えて、試料4とギャップ開口部14との間の光路の長さは、試料4とCCDライン19との間の光路と同じである。
すなわち、このようなアパーチャ・セット・アップ11は、ギャップ開口部14を有するアパーチャ部分11.1と、アパーチャ12を有するアパーチャ部分11.2とを別個に製造し、後に結合することによって、技術的に実現することができる。
【0080】
一方でギャップ開口部14と試料4との間の光路長と、他方で試料4とCCDライン19との間の光路長とが等しいという要求が表わした状況において満たされるのは、光軸2、光軸33、およびビーム・スプリッタ18の分割面17が交差する交差点から、光軸2とギャップ開口部14との交差点までの距離が、光軸33とCCDライン19との交差点までの距離と同じ場合である。
【0081】
図10に、本発明による方法の他のオプションを実行するためのセット・アップを表わす。このセット・アップは、焦点位置を正確に決定する必要がある以外に、受信装置6の受信表面に対して試料面を傾斜する必要がある応用例に対して好適である。
【0082】
説明を簡潔にするために、可能ならば、図1の場合と同様に、同じコンポーネントに対して同じ符号番号を用いる。
図10に示すセット・アップと図1に示すセット・アップとの間の違いは、試料4に向かうように向けられた第2の照明光路24を発生させる第2の照明源23が設けられていることにある。照明光路24は、さらなるビーム・スプリッタ26の分割層25において試料4に向かうように偏向され、ビーム・スプリッタ9において、照明源1から発生する照明光路の光軸2と融合する。
【0083】
図11に拡大表示される視野絞り面27に、アパーチャ・セット・アップ28が存在する。アパーチャ・セット・アップ28は、2つの半アパーチャ28.1および28.2からなる。両方のセット・アップは、照明光路24において互いに隣り合って、試料4上に結像するための画像領域を完全に満たしている。
【0084】
照明源1および23は、交互に動作される。すなわち照明源1は、観察および評価を目的として受信装置6のCCDカメラ上に試料表面を結像するために使用されるが、照明源23は、現在の焦点位置と、受信装置6の受信表面に対する試料4の傾斜角度とを決定するためのみに用いられる。
【0085】
2つの半アパーチャ28.1および28.2はそれぞれ、互いに平行に進む多くのギャップ開口部29および30からなる。ギャップ開口部29および30はそれぞれ、図1によるセット・アップにおける格子構造が重ねられたギャップ開口部14を含んでいる。半アパーチャ28.1のギャップ開口部29は、半アパーチャ28.2のギャップ開口部30に対して垂直に配置されている。
【0086】
格子構造は、ギャップ開口部29および30それぞれに対して垂直に配置されている。すなわち、格子ベクトルは、個々のギャップ開口部29または30に対して平行に進む。
図1に示すセット・アップの場合のような傾斜されたCCDライン19は、この場合は必要ない。試料4から来る結像光がレンズ3、ビーム・スプリッタ9、視野レンズ7、およびビーム・スプリッタ26を通過した後に、アパーチャ・セット・アップ28が、受信装置6内のCCDマトリックス上に結像される。
【0087】
図12に、ギャップ開口部29および30の画像が必要とする画素ライン31および32を有するCCDマトリックスの象徴的表現を示す。
画素ライン31内の格子構造を含むギャップ開口部29のそれぞれは、CCDマトリックス上に結像されて、各画素の信号出力において利用可能な強度信号I(x)を生成する。これは、格子構造を含むCCDマトリックスのうちの1つの画素ライン32上にそれぞれ結像されるギャップ開口部30にも適用される。
【0088】
図1による個々のCCDライン19に対してすでに前述したように、この方法のオプションの場合も、決定された強度値I(x)は、位置に関係づけられたコントラスト値I(y)に結びつく。正確に前述の方法により、現在の焦点位置Pをそれぞれ示すコントラスト・フォーカスを決定することができる。
【0089】
コントラスト・フォーカスを、結像された半アパーチャ28.1または28.2のそれぞれに対して、直線によって接続することができる。2つのまっすぐな直線は、対応する直線方程式y=m*x+n,y=m*x+nによって定義される。
【0090】
変数nおよびnによって、現在の焦点位置に対する測定が、校正された状態で行なわれる。nおよびnがデフォルト距離値に対応する際に、結像オプティクスはフォーカスされる。
【0091】
加えて、直線y=m*x+nの傾きを記述し、結果として平行な配置から画素ライン31および32に向かうずれを記述する変数mからの数学的な関係に基づいて、焦点面のmからの第1の傾斜角度および第2の傾斜角度が、試料4の面に関係づけられて決定される。
【0092】
セット・アップの校正された状態においては、変数mおよびmは、試料4の面に関係づけられた焦点面の傾斜角度に比例していると仮定される。
2つの変数mおよびmが設定点値、好ましくは値「ゼロ」に対応するまで、試料4の面を意図的に傾斜した場合、傾斜は補正される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明による方法の実施のためのセット・アップの基本原理を示す図。
【図2】図1の視野絞り面におけるアパーチャ・セット・アップに関する細部を示す図。
【図3】受信装置として用いられるCCDラインの象徴的表現を示す図。
【図4】CCDラインに渡っての結果として生じる典型的な強度曲線を示す図。
【図5】図4の強度曲線より生じるコントラスト値の曲線を示す図。
【図6】自動フォーカシングのための評価装置および位置決め装置を用いる本発明によるセット・アップの機器を示す図。
【図7】CCDライン上にガラス/水界面を結像する際の典型的な強度曲線を示す図。
【図8】図7の強度曲線により生じるコントラスト値の曲線を示す図。
【図9】傾斜した受信装置および傾斜したギャップ開口部を用いる本発明によるセット・アップの構成を示す図。
【図10】焦点位置を正確に決定し、かつ受信装置内の受信表面に対して試料面を傾斜するための本発明によるセット・アップのオプションを示す図。
【図11】図10のアパーチャ・セット・アップの拡大された表現を示す図。
【図12】図10によるセット・アップのCCDマトリックスの画素ラインにおけるコントラスト・フォーカスのアウトラインを示す図。
【図13】コントラスト・フォーカスを通る接続ラインの例を示す図。
【符号の説明】
【0094】
1…照明源、2…照明光路の光軸、3…レンズ、4…試料、5…結像光路の光軸、6…受信装置、7…視野レンズ、8…分割面、9…ビーム・スプリッタ、10…視野絞り面、11…アパーチャ・セット・アップ、12…アパーチャ、13…制限、14…ギャップ開口部、15…規則的な格子、16…視野レンズ、17…分割面、18…ビーム・スプリッタ、19…CCDライン、20…画素、21…評価装置、22…位置決め装置、23…照明源、24…照明光路、25…分割面、26…ビーム・スプリッタ、27…アパーチャ面、28…アパーチャ・セット・アップ、28.1,28.2…半アパーチャ、29,30…ギャップ開口部、31,32…画素ライン、33…検出光路の光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料(4)を結像する際の焦点位置を決定するための方法であって、
前記試料(4)上に視野絞りを結像して、前記試料(4)上の前記視野絞りの結像に、光学格子の結像を少なくとも部分的に重ね、
前記試料(4)によって反射された光の強度値I(x)を、前記視野絞りに対して傾斜した位置敏感型の受信装置を用いて取得して、前記受信装置内の位置に対する割当てを可能にし、
前記強度値I(x)から、位置に関係づけられたコントラスト値を決定し、
現在の焦点位置に相当する位置として、前記受信装置内のコントラスト・フォーカスの位置を決定する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記位置に関係づけられたコントラスト値I(y)を、前記受信装置内の位置iに割り当てられた強度値I(x)と、隣接する位置i+nに割り当てられた強度値I(xi+n)との差である関数、
【数1】

に基づいて決定し、好ましくはn=1…20である、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記現在の焦点位置Pに相当する位置を、デフォルト最小値Iminよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)に対する関数、
【数2】

に基づいて決定する、方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の方法において、
第1のステップにおいて、位置P’を、デフォルト最小値Iminよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)に対する関数、
【数3】

に基づいて決定し、
第2のステップにおいて、前記現在の焦点位置に相当する位置を、前記位置P’からデフォルト距離a以内であるデフォルト最小値I’minよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)に対する関数、
【数4】

に基づいて決定する、方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法において、
ギャップ開口部(14)を有する視野絞り、帯状マスクの形状の光学格子としての規則的な格子(15)、および受信装置としてのCCDライン(19)を使用し、
位置iを、前記CCDライン(19)の画素(20)の連続的な番号によって特徴付け、
距離aは、a=10…1000の範囲において事前に設定される画素(20)の数である、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法において、前記受信装置内で測定される距離bであって、位置Pと前記受信装置内の理想的な焦点位置に対応する位置P’’との間の距離であるbから、好ましくは前記試料(4)と結像オプティクスとの間の距離Δzを変化させることによって、自動フォーカシングに対する入力信号を生成する、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法において、
前記視野絞りとしての矩形アパーチャと、
前記受信装置としてのCCDマトリックスと、
格子面内で互いに傾斜する2つの格子マスクからなる光学格子であって、該格子マスクはそれぞれ、互いに平行に進む複数の帯状マスクを示す、光学格子と、
を使用し、
前記試料上に前記帯状マスクのそれぞれの画像を生成し、請求項2〜4に記載されるように、結像された各マスクに対するコントラスト・フォーカスの位置を、前記CCDマトリックス内の現在の焦点位置に相当する位置として決定し、
前記コントラスト・フォーカスにより2本の接続ラインの進路および傾斜を決定し、
結果として、前記CCDマトリックスの受信表面に関係づけられた焦点面の傾斜角度を決定する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記傾斜角度を補正するために、前記受信表面の面に関係づけられた焦点面の前記傾斜角度から入力信号を導き出す、方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法において、試料の選択された一片の反射能力および/または擾乱性の散乱光もしくは反射光の強度によって、光学格子のギャップ長を決定し、コントラスト・フォーカスおよび相応する現在の焦点位置を決定する際の精度を高めるために、前記試料の一片の反射能力が低いほど、あるいは前記擾乱性の散乱光または反射光が強いほど、前記ギャップ長を小さく事前設定する、方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法において、
前記受信装置の隣接する画素(20)の強度値を、結像される格子の周期に渡って平均化し、
得られた強度信号Iist(実際の値)のデフォルト強度信号Isoll(設定点値)からのずれを決定し、
前記ずれを補償および平衡化するために、光路中の粉塵または他の無秩序に起因して乱されたコントラスト値I(y)を補正する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、隣接する画素(20)の強度値を、すべてのxに対する関数、
【数5】

に基づいて平均化し、n=2…100であり、nは好ましくは格子周期当たりの画素数に対応する、方法。
【請求項12】
前記方法のステップにより焦点位置を決定するための、特に顕微鏡に対するセット・アップであって、該顕微鏡は、
照明光路を発生させるための照明源(1)と、
前記照明光路を試料(4)に向けるために用いられる結像オプティクスと、
結像光路内のカメラ・セット・アップと、を含み、
格子マスクが重ねられたギャップ開口部(14)が、前記照明光路において配置され、
前記光路から偏向された検出光路が、該検出光路の光軸(33)とのα≠90°の角度を含むCCDライン(19)に向けられ、
前記CCDライン(19)は、位置に関係づけられた強度値I(x)と位置に関係づけられたコントラスト値I(y)とを決定するための評価装置(21)に接続され、
現在の焦点位置に相当する位置として、前記CCDライン(19)におけるコントラスト・フォーカスの位置を決定するために前記評価装置(21)は形成されることを特徴とするセット・アップ。
【請求項13】
請求項12に記載のセット・アップにおいて、
前記ギャップ開口部(14)は、前記試料4における画像の細部の周囲長さおよびサイズを規定するアパーチャ(12)とともに、視野絞り面において配置され、
前記アパーチャ(12)は前記照明光路の光軸(2)の中心に配置され、前記ギャップ開口部(14)は前記照明光路の周囲に配置されることを特徴とするセット・アップ。
【請求項14】
請求項13に記載のセット・アップにおいて、
前記アパーチャ(12)は、前記照明光路の前記光軸(2)に対して垂直に配置され、
前記ギャップ開口部(14)は前記光軸(2)との角度を含み、該角度は、前記CCDライン(19)が前記検出光路の前記光軸(33)に対して傾斜する角度に対応し、
前記試料(4)と前記ギャップ開口部(14)との間の光路長は、前記試料(4)と前記CCDライン(19)との間の光路長に等しいことを特徴とするセット・アップ。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載のセット・アップにおいて、
前記評価装置(21)が、
位置に関係づけられたコントラスト値I(y)を決定する差分形成器であって、前記CCDライン(19)内の位置iに割り当てられた強度値I(x)と、隣接する位置i+nに割り当てられた強度値I(xi+n)(好ましくはn=1…20)との差である関数、
【数6】

により決定する差分形成器と、
現在の焦点位置に相当する位置として、コントラスト・フォーカスを決定するための算出回路であって、デフォルト最小値Iminよりも大きいすべてのコントラスト値I(y)に対する関数、
【数7】

に基づいて決定する算出回路と、
を含むことを特徴とするセット・アップ。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1項に記載のセット・アップにおいて、
算出回路が、位置Pと、前記CCDライン(19)内の理想的な焦点位置に対応する位置P’’との間の距離bを決定するために前記評価装置内に設けられ、
前記評価装置(21)は、前記試料(4)と前記結像オプティクスとの間の距離Δzを変化させるための位置決め装置(22)に接続されることを特徴とするセット・アップ。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載のセット・アップにおいて、格子周波数が、前記結像オプティクスの光学分解能限界に適合され、好ましくは、それぞれの場合において前記CCDライン(19)の5つの画素(20)が1つの格子周期に対応するセット・アップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2006−524831(P2006−524831A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505285(P2006−505285)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004427
【国際公開番号】WO2004/097493
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(597141922)カール ツァイス イェナ ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】