説明

誘導加熱式炊飯設備

【課題】搭載するインバータを効率的に使用し、誘導加熱式炊飯ユニット及びその炊飯設備の炊飯処理能力を低下させることなく、搭載するインバータの台数を削減することを技術的課題とする。
【解決手段】誘導加熱式炊飯設備(1)は、複数の炊飯部(7)と、前記炊飯部に収容され、且つ誘導加熱される釜(8)と、を含む、列状に配置された複数の誘導加熱式炊飯ユニット(9)と、釜を前記炊飯部に搬送、収容、取り出しするための、前記炊飯ユニット上を走行するようになった移送機(11)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定時間間隔で継続的にご飯を炊飯して供給することが可能な誘導加熱式炊飯設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、釜を用いた炊飯においては、釜を効率良く加熱するために、釜の底面だけでなく、釜の側面も同時に加熱することが望ましく、そのためには、釜の底面及び側面に加熱コイルを配置し、さらに、これらの加熱コイルにそれぞれ高周波電流を通電させるためのインバータを複数配設する必要があった。例えば、特許文献1に記載されている誘導加熱式炊飯ユニットは、各炊飯ユニットに複数の加熱コイルを設け、前記加熱コイルごとにインバータを配設した構造となっている。しかし、前炊き工程や蒸し煮工程などでは、釜の側面を加熱する必要がなく、したがって、前記側面を加熱するための加熱コイルに通電するインバータは、本炊き工程以外では使用する必要がないため、前記インバータを効率的に使用しているとは言い難い状況であった。
【0003】
また、インバータを効率良く使用することを目的とした炊飯ユニットとして、特許文献2に、2系統の加熱コイルを1系統のインバータで制御する炊飯ユニットが記載されている。しかし、前記炊飯ユニットの制御方法では、2系統の加熱コイルに同時に通電することが可能な構成となっているものの、前記加熱コイルへの出力を個別に制御することができない。このため、前記炊飯ユニットのインバータの制御方法では、2系統の加熱コイルで同時に釜を加熱する場合に、適切な加熱制御を行うことが困難である。
【0004】
通常、誘導加熱式炊飯設備は、同時に複数の釜を加熱する必要があるため、複数の炊飯ユニットを備えることになる。そのため、搭載するインバータの台数も必然的に多くなる。しかし、インバータは、炊飯ユニットを構成する部品の中で最もコストがかかる部品である。したがって、インバータを効率的に使用し、誘導加熱式炊飯設備の炊飯処理能力を低下させることなく、搭載するインバータの台数を最小限にすることが望まれている。
【0005】
【特許文献1】特許第3193304号
【特許文献2】特開平10−201614
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点にかんがみて、搭載するインバータを効率的に使用し、誘導加熱式炊飯ユニット及びその炊飯設備の炊飯処理能力を低下させることなく、搭載するインバータの台数を削減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、複数の炊飯部と、前記炊飯部に収容される釜の底面を加熱するための底面用加熱コイル及び側面を加熱するための側面用加熱コイルと、前記底面用加熱コイルに高周波電流を通電するための、各底面用加熱コイルに搭載されたインバータと、側面用加熱コイルに高周波電流を通電するための、前記複数の炊飯部の側面用加熱コイルに共通的に搭載された単一のインバータと、前記単一のインバータからの高周波電流を前記複数の炊飯部の側面用加熱コイルの1つに通電するために前記単一のインバータと側面用加熱コイルとの間に接続された切り換えスイッチと、を含む、列状に配置された複数の誘導加熱式炊飯ユニットと、釜を前記炊飯部に搬送、収容、取り出しするための、前記炊飯ユニット上を走行するようになった移送機と、を有する誘導加熱式炊飯設備を提供する。
【0008】
本発明によれば、切り換えスイッチはオン・オフ制御の可能な電磁開閉器からなるのがよい。
【0009】
本発明によれば、移送機は、釜を炊飯ユニットの炊飯部のうちの一方に順次搬送して収容し、ついで、炊飯ユニットの他方の炊飯部に順次搬送して収容するように作動され、炊飯後釜の炊飯部からの取り出も同様な仕方で行われるように作動される。移送機は、レール上を走行する電動式搬送台車からなり、該台車は、該台車に装着された空気シリンダと、釜の出し入れに当たって、前記空気シリンダの作動によって昇降され、台車の移動で釜の鍔に横から入ってこれに係合するフックと、を含むのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記の構成では、各炊飯ユニットの複数の炊飯部のうち、釜の側面を加熱する必要のある炊飯部の側面用加熱コイルにのみ高周波電流を通電するようにしたことで、側面用加熱コイルごとにインバータを搭載する必要がなくなり、したがって、前記炊飯ユニットに搭載するインバータの台数を削減することが可能となった。すなわち、炊飯ユニットの炊飯部の数を維持したままインバータの搭載台数を削減できるので、誘導加熱式炊飯設備の炊飯処理能力を低下させることなく、炊飯ユニットの製造コストを抑えることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は、誘導加熱式炊飯設備1の全体を示す斜視図であって、図2は、誘導加熱式炊飯設備1の全体を示す側面図である。誘導加熱式炊飯設備1には、各々一対の炊飯部7を有する複数の、本例では4台の炊飯ユニット9a〜9dが列状に配置されている。炊飯ユニット9a〜9dは同一の構造をしている。なお、炊飯設備の規模に応じて配設する炊飯ユニットの台数を増減することが可能である。また、炊飯条件によっては、配設する炊飯ユニットの構造を同一とする必要はない。
【0012】
図3は、誘導加熱式炊飯設備1で炊飯を行う際の炊飯手順を示した図である。まず、炊飯する米を洗米送米機2に投入し(ステップS1)、洗米送米機2にて洗米する(ステップS2)。洗米が終了した米は搬送パイプ3を通って浸漬装置4に搬送される。浸漬装置4は、フレーム5の上方に配置されている。浸漬装置4に搬送された米は、一定時間、浸漬装置4にて浸漬される(ステップS3)。浸漬装置4の下端は、バルブ14を介して配米装置6と接続しており、浸漬が終了した米は配米装置6に送られる。配米装置6では、釜8aに投入する米の量を計量し(ステップS5)、配米装置6の下方に搬入されている釜8aに適量を配米する(ステップS6)。釜8aは、配米装置6の下部に配設したローラーコンベア15の一端である搬送口10から投入し(ステップS4)、配米装置6の下部に搬送される。配米後、釜8aに適量の水を加水装置13により加え(ステップS7)、加水後、釜8aに蓋を装着し、釜8aをローラーコンベア7上の釜受取部12まで搬送する。符号8bは、釜受取部12に搬送された釜を表している。この位置に搬送された釜8bは、移送機11によって炊飯ユニット9の炊飯部7に搬送される(ステップS8)。
【0013】
移送機11は、釜受取部12に搬送されている釜8bを炊飯部7a〜7hの何れかに搬入する。符号8cは、各炊飯部に搬入された釜を示している。なお、図1及び図2において、炊飯部7cは釜が搬入されていない状態を示している。
【0014】
釜が炊飯部に搬入されると、炊飯工程が行われる(ステップS9)。炊飯工程終了後は蒸らし工程を行うため、釜8cは、ローラーコンベア20の一端である釜搬出部21まで移送機11にて炊飯部7より搬出される(ステップS10)。符号8dは、炊飯終了後に移送機11によって釜搬出部21に搬出されている釜を示している。釜搬出部21に搬出された釜は、ローラーコンベア20上で蒸らし工程が行われる(ステップS11)。なお、釜搬出部21に搬出された釜は、ローラーコンベア上の反転部22の方向に順次搬送され、その間に蒸らし工程が行われる。符号8eは、ローラーコンベア20上で蒸らし工程を行っている釜を示している。蒸らし工程が終了した釜は、反転機23に装着され、反転機23によって反転され、釜内部のご飯が取出部24に取り出される。符号8fは、反転機23に装着され、蓋が外された状態の釜を示している。
【0015】
上記の実施形態では、誘導加熱式炊飯設備1は、図1及び2から明らかなように、釜受取部12、列状に配置された複数の炊飯ユニット9、及び釜搬出部21がこの順序で直線的に配列されているが、釜排出部21を釜受取部とこれに隣接して位置した炊飯ユニットとの間に設け、そのローラーコンベア20を釜排出部21から曲げて列状配置の複数の炊飯ユニットとほぼ平行に設置してもよい。この設計では、誘導加熱式炊飯設備の設置面積が少なくて済むと言った効果がある。
【0016】
図4は、本発明の誘導加式炊飯設備に用いられる炊飯ユニット9aを斜視図で示しており、該炊飯ユニットの一対即ち2つの炊飯部7aと炊飯部7bには、それぞれ、その周囲に複数本の、本例では4本の釜支持ピン39が植設され、炊飯部7a、7bに搬入される釜を、その鍔と支持ピン39との係合によって炊飯ユニットの上面から浮かして支持するようになっている。炊飯ユニットの炊飯部7a、7bには、それぞれ、図5に示すように、炊飯部7a、7bに搬入された釜8cの底面を加熱するための底面用加熱コイル30、31及び炊飯部7a、7bに搬入された釜8cの側面を加熱するための側面用加熱コイル32、33が設けられている。底面用加熱コイル30、31は、インバータ34、35とそれぞれ接続されており、底面用加熱コイル30、31に高周波電流を通電するようになっている。インバータ36は、側面用加熱コイル32又は側面用加熱コイル33に高周波電流を通電するためのインバータであって、インバータ36と側面用加熱コイル32の間には、切換スイッチ37が設けられており、インバータ36と側面用加熱コイル33の間には、切換スイッチ38が設けられている。切換スイッチ37及び切換スイッチ38には、高周波電流を使用する場合に一般的に用いられる電磁開閉器を使用することができ、本発明においてはマグネットスイッチを用いている。インバータ36によって側面用加熱コイル32に高周波電流を通電する場合は、切換スイッチ37をON、切換スイッチ38をOFFにし、インバータ36によって側面用加熱コイル33に高周波電流を通電する場合は、切換スイッチ37をOFF、切換スイッチ38をONにする。釜8cの側面を加熱する側面用加熱コイル32と側面用加熱コイル33とがインバータ36を共有しているため、側面用加熱コイル32及び側面用加熱コイル33の両方に同時に通電することはできない。このため、炊飯部7aと炊飯部7bとでは、交互に釜の側面を加熱することになる。
なお、インバータ34、35及び36と切換スイッチ37、38は、図示しない制御部によって制御されている。
【0017】
移送機は、一般的な移送装置を用いることができるが、図示した実施形態では、図9、図10及び図11に詳細に示す電動式搬送台車からなるのが好ましい。本発明の誘導加熱式炊飯設備1に用いられたこの電動式搬送台車11は、フレーム16上部に配設したレール17に沿って列状配置の炊飯ユニット上を直線方向に走行するようになっている。電動式搬送台車11は、該台車上に装着された空気シリンダ11aと、該空気シリンダ11aの作動によって昇降されるロッド11bに取り付けられ、台車の移動で、支持ピン39によって炊飯ユニットの上面から浮かして支持された釜の鍔に横から入ってこれに係合するフック11cと、を含み、図示しない制御装置で制御されるようになっている。かくして、釜受取部12に搬送された釜を炊飯ユニットの炊飯部に搬送するときには、空気シリンダの作動で昇降ロッド11bを下降させ、移送機11の走行操作によりフック11cをその釜の鍔の下に横から入り込ませ、空気シリンダ11aを前とは逆に作動してそのロッド11bを上昇させる。すると、フック11cが釜の鍔に係合してこれをつり上げる。その状態で、台車11を走行させて釜を意図する炊飯ユニット9の炊飯部7の真上まで搬送し、空気シリンダ11aによるロッドの下降で釜を炊飯部に搬入させる。フックを釜の鍔から外すには、上記の操作を逆にすればよい。また炊飯後の釜出の場合も、台車11の操作を、炊き上がった釜を炊飯部からつり上げた後釜をローラーコンベア20の一端である釜搬出部21まで搬送する点を除いて先に述べた操作と同様に行えばよい。
【0018】
次に炊飯工程について説明する。炊飯工程は、炊飯ユニット9a〜9dの炊飯部7a〜7hにて行われる。図6は、炊飯ユニット9aの炊飯部7aでの炊飯工程をタイムチャートで示した図であり、横軸は炊飯工程における時間、縦軸はインバータからの出力を示している。なお、前記出力は、インバータ34とインバータ36との総出力である。炊飯工程は、前炊き工程、本炊き工程、蒸し煮工程及び釜搬送工程からなる。前炊き工程は、移送機11によって炊飯部7に釜が搬入されてから開始される。図5では前炊き工程を5分間としているが、この時間は炊飯条件によって変更することができる。前炊き工程後、炊飯部7の出力を最大にして本炊き工程を行う。本炊き工程では、前半は最大出力で加熱し、後半は出力を調節して加熱する。なお、本炊き工程を10分間としているが、この時間は炊飯条件によって適切に変更すればよい。本炊き工程後、蒸し煮工程を行う。蒸し煮工程は前炊き工程よりも弱い出力で釜を加熱する。蒸し煮工程の時間は炊飯条件によって適切に変更することが可能である。蒸し煮工程が終了した釜は、移送機11によって、炊飯部7から搬出される。そして、次の釜が移送機11によって搬入され、前炊き工程が開始される。このようなルーチンで、炊飯ユニット9a〜9dの各炊飯部7a〜7hにおいて継続的に炊飯が行われる。なお、前炊き工程及び蒸し煮工程では、釜の底面のみの加熱であって、釜の側面の加熱はしていない。また、釜搬送中は、釜を加熱していない。つまり、釜の側面を加熱するのは本炊き工程だけであるので、側面用加熱コイル32に高周波電流を通電するのはこの工程のときだけとなる。
【0019】
炊飯ユニット9aの炊飯部7a及び7bの炊飯タイミングについて説明する。なお、炊飯部7a及び炊飯部7bの炊飯工程は共通である。図7は、炊飯部7a及び炊飯部7bでの炊飯工程を同一の時間軸で表示した図であって、横軸は炊飯工程における時間、縦軸はインバータからの出力を示している。なお、図7における炊飯部7aのインバータの出力は、インバータ34とインバータ36との総出力であって、同様に、図7における炊飯部7bのインバータの出力は、インバータ35とインバータ36との総出力である。まず、炊飯部7aに釜が搬入され、搬入後に、前炊き工程、本炊き工程、蒸し煮工程の順で炊飯が行われる。図7で示している炊飯タイミングでは、炊飯部7aで炊飯が始まってから12分後に、炊飯部7bで前炊き工程が開始される。炊飯部7bでも炊飯部7aと同様に、前炊き工程、本炊き工程、蒸し煮工程の順で炊飯が行われる。炊飯部7aでの炊飯開始から5分後、炊飯部7aで本炊き工程が開始される。本炊き工程では、釜の側面も同時に加熱するため、側面用加熱コイル32に通電が行われる。本発明では本炊き工程を10分間としているので、炊飯部7aの一回目の本炊き工程は、炊飯部7aでの炊飯開始から15分後に終了する。この時点で、インバータ36による側面用加熱コイル32への通電も終了する。炊飯部7aでの炊飯が開始されてから17分後には、炊飯部7bで本炊き工程が開始され、炊飯部7bに搬入された釜8cの側面を加熱するための側面用加熱コイル33に、インバータ36によって高周波電流が通電される。炊飯部7bにおいても本炊き工程の時間は10分としているので、炊飯部7aでの炊飯が開始されてから27分後に本炊き工程が終了する。この時点で、インバータ36による側面加熱用加熱コイル33への通電も終了する。この2分後(炊飯部7aでの炊飯が開始されてから29分後)に、炊飯部7aでの次の本炊き工程が始まる。
【0020】
このように、炊飯ユニット9aの炊飯部7a及び炊飯部7bでは、本炊き工程が交互に重ならないように炊飯が繰り返し行われる。炊飯ユニット9aは、炊飯部7aと炊飯部7bとで交互に釜の側面を加熱する構造となっているので、本炊き工程が重ならないように炊飯工程を行う必要がある。しかし、本炊き工程が重ならないかぎり、炊飯部7aと炊飯部7bとで自由に炊飯工程を設定することが可能である。これは、炊飯ユニット9bの炊飯部7c及び7d、炊飯ユニット9cの炊飯部7e及び7f、炊飯ユニット9dの炊飯部7g及び7hについても同様である。
【0021】
本発明の誘導加熱式炊飯設備1では、複数の炊飯ユニットを配設し、該炊飯ユニットの各炊飯部により連続的に炊飯を行うことで、一定時間間隔でご飯を供給する構成となっている。図8により、4台の炊飯ユニット9a〜9dの8つの炊飯部7a〜7hによって、一定時間間隔でご飯を供給する炊飯パターンについて説明する。図8は、炊飯部7a〜7hでの炊飯工程を同一の時間軸で表示した説明図であって、横軸は炊飯工程における時間、縦軸はインバータからの出力を示している。ここでは、炊飯部7aでの炊飯開始時刻を0分として説明する。なお、前記出力は、各炊飯部の、釜の底面を加熱する底面用加熱コイル及び側面を加熱する側面用加熱コイルへのインバータからの総出力である。炊飯は、炊飯部7a、炊飯部7c、炊飯部7e、炊飯部7g、炊飯部7b、炊飯部7d、炊飯部7f、炊飯部7hの順で開始される。表1に各炊飯部での炊飯開始時刻を示している。
【0022】
【表1】

【0023】
表1に示しているように、本発明では3分間隔で炊飯を開始するように設定している。
これは、1時間あたり20釜分のご飯を供給するためである。炊飯部7a〜7hでの炊飯工程は、すべて共通であるので、炊飯を開始する時間を3分間隔にすれば、炊飯終了時間を3分間隔とすることができる。また、継続的にご飯を供給するため、炊飯部7hで炊飯工程が終了した後、その3分後に炊飯部7aの炊飯工程が終了するように炊飯サイクルを設定している。この炊飯サイクルによって、一定時間間隔でご飯を供給できる構成としている。なお、本実施例では3分間隔で炊飯が行われるように設定しているが、この間隔は3分間に限定されるものではなく、炊飯条件によって自由に設定すればよい。
【0024】
本発明の炊飯ユニットの他の実施形態を図12及び図13に示す。この実施形態では、1台の炊飯ユニットに3つの炊飯部を設けられている。図12は、3つの炊飯部60a〜60cが設けられた炊飯ユニット9eを示している。基本的な構造は、炊飯ユニット9a〜9dと同一である。また、炊飯ユニット9eに装備されている加熱コイル及びインバータは、図13に示すような構成とすることを特徴としている。符号8cは炊飯部60a〜60cに搬入された釜を示している。符号50aは炊飯部60aに搬入された釜8cの底面を加熱するための底面用加熱コイル、符号50bは炊飯部60bに搬入された釜8cの底面を加熱するための底面用加熱コイル、そして、符号50cは炊飯部60cに搬入された釜8cの底面を加熱するための底面用加熱コイルである。底面用加熱コイル50aは、インバータ40aと接続されており、インバータ40aは底面用加熱コイル50aに高周波電流を通電するために配設されたインバータである。底面用加熱コイル50bは、インバータ40bと接続されており、インバータ40bは底面用加熱コイル50bに高周波電流を通電するために配設されたインバータである。底面用加熱コイル50cは、インバータ40cと接続されており、インバータ40cは底面用加熱コイル50cに高周波電流を通電するために配設されたインバータである。符号51aは、炊飯部60aに搬入された釜8cの側面を加熱するための側面用加熱コイル、符号51bは、炊飯部60bに搬入された釜8cの側面を加熱するための側面用加熱コイル、そして、符号51cは、炊飯部60cに搬入された釜8cの側面を加熱するための側面用加熱コイルである。インバータ41は、側面用加熱コイル51a、51b及び51cの何れかに高周波電流を通電するためのインバータであって、インバータ41と側面用加熱コイル51aとの間には切換スイッチ42a、インバータ41と側面用加熱コイル51bとの間には切換スイッチ42b、そして、インバータ41と側面用加熱コイル51cとの間には切換スイッチ42cが設けられている。切換スイッチ42a、42b及び42cには、高周波電流を使用する場合に一般的に用いられる電磁開閉器を使用することができ、本発明においてはマグネットスイッチを用いている。インバータ41によって加熱コイル51aに高周波電流を通電する場合は、切換スイッチ42aをON、切換スイッチ42b及び42cをOFFにし、インバータ41によって加熱コイル51bに高周波電流を通電する場合は、切換スイッチ42bをON、切換スイッチ42a及び42cをOFFにする。また、インバータ41によって加熱コイル51bに高周波電流を通電する場合は、切換スイッチ42cをON、切換スイッチ42a及び42bをOFFにする。釜8cの側面を加熱する側面用加熱コイル51a、51b及び51cが、一つのインバータを共有しているため、加熱コイルに51a、51b及び51cに同時に通電することはできない。このため、炊飯部60a、60b及び60cでは、交互に釜の側面を加熱することになる。なお、インバータ40a、40b、40c及び41と切換スイッチ42a〜42cは、図示しない制御部によって制御されている。
【0025】
本発明のこの実施形態による炊飯ユニット9eを複数台列状に設置して誘導加熱式炊飯設備1としてもよい。ただし、炊飯ユニット9eは釜の側面を加熱するための側面用加熱コイルに高周波電流を通電するためのインバータを3つの炊飯部で共有しているため、該炊飯部において、本炊き工程の時間がそれぞれ重ならないように炊飯工程を行う必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
インバータを時間的に使い分けることが可能な装置であれば、本件発明の誘導加熱式炊飯設備1と同様な方法で、搭載するインバータの台数を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】誘導加熱式炊飯設備を示す斜視図である。
【図2】誘導加熱式炊飯設備の側面図である。
【図3】炊飯手順のフローを示した図である。
【図4】炊飯ユニットの構造を説明するための図である。
【図5】炊飯ユニットにおける加熱コイル及びインバータの構成を説明するための図である。
【図6】炊飯部での炊飯工程を説明するための図である。
【図7】炊飯ユニットでの炊飯タイミングを説明するための図である。
【図8】誘導加熱式炊飯設備における炊飯タイミングを説明するための図である。
【図9】釜をつり上げた状態で示す電動式搬送台車の斜視図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】電動式搬送台車の拡大斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態による炊飯ユニットの斜視図である。
【図13】図12に示す炊飯ユニットにおける加熱コイル及びインバータの構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0028】
1 誘導加熱式炊飯設備
2 洗米送米機
3 搬送パイプ
4 浸漬装置
5 フレーム
6 配米装置
7 炊飯部
8 釜
9 炊飯ユニット
10 搬入口
11 移送機
11a空気シリンダ
11b昇降ロッド
11cフック
12 釜受取部
13 加水装置
14 バルブ
15 ローラーコンベア
16 フレーム
17 レール
20 ローラーコンベア
21 釜搬出部
22 反転部
23 反転機
24 取出部
30 底面用加熱コイル
31 底面用加熱コイル
32 側面用加熱コイル
33 側面用加熱コイル
34 インバータ
35 インバータ
36 インバータ
37 切換スイッチ
38 切換スイッチ
40 インバータ
41 インバータ
42 切換スイッチ
50 底面用加熱コイル
51 側面用加熱コイル
60 炊飯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の炊飯部と、前記炊飯部に収容される釜の底面を加熱するための底面用加熱コイル及び側面を加熱するための側面用加熱コイルと、前記底面用加熱コイルに高周波電流を通電するための、各底面用加熱コイルに搭載されたインバータと、側面用加熱コイルに高周波電流を通電するための、前記複数の炊飯部の側面用加熱コイルに共通的に搭載された単一のインバータと、前記単一のインバータからの高周波電流を前記複数の炊飯部の側面用加熱コイルの1つに通電するために前記単一のインバータと側面用加熱コイルとの間に接続された切り換えスイッチと、を含む、列状に配置された複数の誘導加熱式炊飯ユニットと、釜を前記炊飯部に搬送、収容、取り出しするための、前記炊飯ユニット上を走行するようになった移送機と、を有する誘導加熱式炊飯設備。
【請求項2】
前記切り換えスイッチはオン・オフ制御される電磁開閉器からなる、請求項1に記載の誘導加熱式炊飯設備。
【請求項3】
前記移送機は、釜を前記炊飯ユニットの炊飯部のうちの一方に順次搬送して収容し、ついで、他方の炊飯部に順次搬送して収容するように作動され、炊飯後釜の炊飯部からの取り出も同様な仕方で行われるように作動される、請求項1に記載の誘導加熱式炊飯設備。
【請求項4】
前記移送機は、レール上を走行する電動式搬送台車からなり、該台車は、該台車に装着された空気シリンダと、釜の出し入れに当たって、前記空気シリンダの作動によって昇降され、台車の移動で釜の鍔に横から入ってこれに係合するフックと、を含む、請求項1又は3に記載の誘導加熱式炊飯設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−144197(P2007−144197A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349683(P2006−349683)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【分割の表示】特願2006−198613(P2006−198613)の分割
【原出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】