説明

誤接続防止回路

【課題】屋外装置が一般の購入品である場合は屋内装置との接続正誤確認のために特別な加工を必要とする。
【解決手段】屋外装置17,18は送信装置または受信装置であって異なる電源入力条件を採り得る。屋外装置17,18とケーブルで接続された屋内装置16に設けられた誤接続防止回路1は、ケーブル接続の誤りを内部回路の切替えにより自動的に修正する。セレクタ1〜4は電源入力条件に適合するように屋外装置17,18への電源6,7および電源供給経路を選択し、セレクタ3,4は屋内装置16の中核部(不図示)との間の送受信と整合するように屋外装置17,18との信号接続経路を選択する。信号接続経路は電源供給経路の一部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤接続防止回路に関し、特に、屋内装置と屋外装置で構成されケーブルを介して接続される通信装置等における誤接続防止回路に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の誤接続防止は、誤接続による過電流や過電圧で機器が破損するのを防ぐために行われてきた。従来、その安直な防止策として、例えばコネクタに識別ラベルを貼る処置を採っていた。また、電源を受ける側の装置に所定のインピーダンス素子を設け、電源供給側装置からインピーダンス素子に所定の電圧または電流を印加して、インピーダンス素子の電流または電圧を検出することにより、それらが所定の範囲内か否かによって、両装置が適切な組合せか否かを判定する手法も知られている。
【0003】
しかし、前者の方法では、誤接続であってもコネクタの嵌合自体はできるため、正しい接続かを確認するためには、別途の方策を講じなければならない。また、後者の方法では、識別信号用のラインが特別に必要になるが、識別信号を供給される側が一般の購入品である場合には、そのような仕組みを入れることや接続ピンを増やすことができないという問題点がある。
【0004】
なお、衛星からの電波を適切に受信するためのシステムであって、装置の誤接続防止に係るものではないが、屋内ユニットは、屋外ユニットへ電圧の供給を開始する際、先ず最大の電圧を選択して初期化し、その後は受信する電波に応じた電圧を供給することにより、ケーブル接続の場合におけるLNB(Low Noise Block down converter)へ供給電圧の立上り鈍化を回避した技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−333640号公報
【特許文献2】特開2000−341161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、屋外装置が一般の購入品である場合は、屋内装置との接続正誤確認のために特別な加工が必要であるということである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、屋外装置と屋内装置とのインタフェースは不変のままで屋外装置の誤接続を自動的に修正するために、電気信号の有無により電流供給経路と信号接続経路を切り替える回路を屋内装置に設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の誤接続防止回路は、屋外装置へ供給する電流の閾値との比較および屋外装置からのサーマルノイズ検波により、接続している屋外装置を識別し、供給電源および入出力信号の切替えを屋内装置において自動で行うため、目視による正誤確認作業や特別な措置を採ることなく長い同軸ケーブルで屋内装置と屋外装置へ接続することができるという利点がある。この結果、人的要因による機器破損のリスクを低減できるので、例えば現地の工事員や作業者にとって特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の誤接続防止回路を示すブロック図である。
【図2】電源6と屋外装置との4つの接続形態を示す図である。
【図3】電源7と屋外装置との4つの接続形態を示す図である。
【図4】電源から供給される電流を示す図である。
【図5】屋外装置が同じ電源に接続されているときのセレクタ切替え制御を示す図である。
【図6】屋外装置が異なる電源に接続されているときのセレクタ切替え制御を示す図である。
【図7】制御部9の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の誤接続防止回路は、送信装置または受信装置であって異なる電源入力条件を採り得る屋外装置とケーブルで接続された屋内装置に設けられ、ケーブル接続の誤りを内部回路の切替えにより自動的に修正する。屋内装置からは誤接続防止回路を経由して屋外装置へ電源を供給し、また、誤接続防止回路は屋内装置の中核部からの送信信号を屋外装置へ送出し、屋外装置からの受信信号を屋内装置の中核部へ送出する。
【0011】
電源供給は屋外装置の電源入力条件に適合するように電源および電源供給経路を選択して行なう。また、送信装置への送信信号および受信装置からの受信信号の接続は、屋内装置の中核部との送受信と整合するように信号接続経路を選択して行なう。信号接続経路は電源供給経路の一部を形成することに顕著な特徴がある。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1を参照すると、本発明の誤接続防止回路1は衛星通信装置の屋内装置16に内蔵されていて、2つの電源6,7および2つの屋外装置17,18に接続されている。屋外装置17,18は、一方が屋内装置16からの送信信号をアンテナへ送出するBUC(Block Up Converter)、他方がアンテナからの受信信号を屋内装置16へ送出するLNB(Low Noise Block down converter)であるべきである。一般的には、送信信号にはノイズが無く、受信信号にはノイズが重畳される。
【0014】
また、屋外装置17,18は、これらを正常に動作させるための電源入力条件を有する。この例では、2つの電源入力条件があるものとして、一方を低い電源入力条件(+24V,1A)、他方を高い電源入力条件(+48V,2A)とする。電源6は、+24Vの供給電圧でもって低い電源入力条件を満たすべき電力を屋外装置17,18へ供給することができ、電源7は、+48Vの供給電圧でもって高い電源入力条件を満たすべき電力を屋外装置17,18へ供給することができる。電源6,7の供給電力は、これらに接続される屋外装置17,18の電源入力条件を満たすことが必要である。
【0015】
以上のように、屋外装置17,18それぞれは、BUCかLNBということと、低い電源入力条件か高い電源入力条件かということとで、4とおりの場合があり得る。しかし、屋外装置17と屋外装置18は、外観および接続コネクタの見分けがつき難く、共にBUCあるいはLNBということもあり得るし、電源入力条件を満たさない電源6,7と接続されるということもあり得る。前者の場合は、衛星通信信号の送受信ができず、後者の場合には過電流のために機器を破損するという危険性がある。
【0016】
誤接続防止回路1は、電源・信号分配器10と電源・信号合成器11を含むと共に、屋内装置16と屋外装置17,18とのインタフェースは不変のままで、接続先の屋外装置を自動的に識別し、接続が適切になるように自動で切り替えるため、屋内装置16と屋外装置17,18とのケーブルの誤接続をなくすることができる。
【0017】
このための手段として、誤接続防止回路1は、電源・信号分配器10と電源・信号合成器11の他に、2つの電流検出部2,3と、4つのセレクタ4,5,12,13と、表示部8と、2つのノイズ検波器14,15を備えている。
【0018】
電源6が屋外装置17へ電力を供給する経路は、セレクタ4、電流検出部2、電源・信号分配器10およびセレクタ12を経るストレートラインと、セレクタ5、電流検出部3、電源・信号合成器11およびセレクタ12を経るクロスラインとがある。電源6が屋外装置18へ電力を供給する経路は、セレクタ5、電流検出部3、電源・信号合成器11およびセレクタ13を経るストレートラインと、セレクタ4、電流検出部2、電源・信号分配器10および電源・信号合成器11を経るクロスラインとがある。電源7についても同様である。通常はストレートライン接続となっており、後述のような制御部9による制御を受けるとクロスライン接続に切り替る。
【0019】
図2は、電源6と屋外装置17,18との4つの接続形態を示す。分岐機能を有して接続経路を形成するセレクタ4,5,12,13によるルートのみを示し、その他の部分は省略している。なお、電源7と屋外装置17,18との接続形態も同様である。
【0020】
図2(A)は、電源6と屋外装置17をストレートラインで接続する様子を示しており、電源6からセレクタ4と12を経て屋外装置17へ到る。図2(B)は、電源6と屋外装置17をクロスラインで接続する様子を示しており、電源6からセレクタ5と12を経て屋外装置18へ到る。
【0021】
また、図2(C)は、電源6と屋外装置18をストレートラインで接続する様子を示しており、電源6からセレクタ5と13を経て屋外装置18へ到る。図2(D)は、電源6と屋外装置18をクロスラインで接続する様子を示しており、電源6からセレクタ4と13を経て屋外装置18へ到る。
【0022】
図3は、電源7と屋外装置17,18との4つの接続形態を示し、図3(A)〜図2(D)は図2(A)〜図2(D)に対応する。
【0023】
電流検出部2,3は、当該経路を流れる電流を検出して制御部9へ通知する。制御部9は、その電流を閾値と比較して閾値以下であれば現状を維持し、超過していれば過電流が流れると危険なのでセレクタ4,5を接続オフとした後でセレクタ4,5の接続を切り替える。それでも電流が超過していればセレクタ4,5を接続オフとし、表示部8にアラーム状態であることを外部に表示させる。表示部8は、例えば、発光ダイオード等でよい。セレクタ4を接続オフにする。
【0024】
セレクタ4は、制御部9からの上記制御により、電源6または7と屋外装置17とを接続し、セレクタ5は、制御部9からの上記制御により、電源6または7と屋外装置18とを接続するようにする。制御部9は、このときのセレクタ4,5による接続状態を記憶する。
【0025】
図4は、電源6,7から供給される電流と、屋外装置17,18の電源入力条件が適合している場合に電源供給経路を流れる電流(A)と、適合していない場合に電源供給経路を流れる電流(B)を示す。適合している場合とは、例えば、供給電圧が+24Vである電源6と電源入力条件が+24V、1Aである屋外装置17とを接続する場合である。この場合は、図4(A)に示すように、電源供給経路を流れる電流の最大値は約1.0Aであって、閾値1.2A以下である。
【0026】
一方、適合していない場合とは、例えば、供給電圧が+24Vである電源6と電源入力条件が+48V、2Aである屋外装置17とを接続する場合である。この場合は、図3(B)の斜め楕円で示すように、電源供給経路を流れる電流の最大値は閾値1.2Aを超える。制御部9は、電流が閾値を超えた時点で電源6から屋外装置17への電源供給を停止し、その後に電源7を屋外装置17へ接続する。
【0027】
電源・信号分配器10は、電源6,7からの電力をセレクタ12と13へ供給し、またセレクタ12または13からの受信信号を屋内装置16の中核部(図示省略)へ送出する。一方、電源・信号合成器11は、電源6,7からの電力と屋内装置16の中核部からの送信信号とを合成してセレクタ12と13へ供給する。
【0028】
屋外装置17,18は、送信用のBUCまたは受信用のLNBである。BUCの場合は、屋内装置16への方向の信号を扱っていないためノイズフロアを超えるサーマルノイズは発生せず、LNBの場合は、屋内装置16への方向の信号を扱うためLNBのアンプからサーマルノイズを発生する。
【0029】
セレクタ12,13には屋外装置17,18がケーブルを介して接続され、衛星通信信号の送受信はセレクタ12,13を介して行う。ノイズ検波器14,15は屋内装置16の入出力ポートの直前に配置されており、ノイズ検波器14は屋外装置17、ノイズ検波器15は屋外装置18の各サーマルノイズを検波して制御部9へ通知する。
【0030】
制御部9は、ノイズ検波器14とノイズ検波器15の両方からノイズ検波の通知を受けたり、両方からノイズ検波の通知を受けない場合には表示部8にエラー表示する。前者は屋外装置17,18として共にLNBが接続されており、後者の場合は屋外装置17,18として共にBUCが接続されていることになるからである。
【0031】
制御部9は、ノイズ検波器14からだけノイズ検波の通知を受けたときは現状を維持する。つまり、ノイズ検波器14がノイズを検出するということは、屋外装置17がLNBであって、通常はストレートライン接続であるため、LNBがセレクタ12を介して電源・信号分配器10へ導かれるので、適正な接続がなされていることになるからである。
【0032】
しかし、片方のノイズ検波だけがあっても、それがノイズ検波器14からのものでない場合には、制御部9はクロスライン接続に切り替える。つまり、セレクタ13に接続されている屋外装置18はLNBであり、セレクタ12に接続されている屋外装置17はBUCということになるので、LNBと電源・信号分配器10、BUCと電源・信号合成器11を接続するように切り替えるのである。
【0033】
この場合、屋外装置17と屋外装置18が互いに異なる電源6,7に接続されているときは、セレクタ4,5も同時に切り替えて、先に電流検出により定められた電源6,7と屋外装置17,18の間の接続が変更されることを阻止する。このことは、電流検出に基づく電源6,7と屋外装置17,18の間のセレクタ4,5による接続状態が制御部9に記憶されているので可能である。
【0034】
図5は、屋外装置17と屋外装置18が同じ電源6に接続されているときの上述のセレクタ切替え制御を図示したものである。先ず、図5(A)に示すように、電源6と屋外装置17について、図2(A)に示したストレートライン接続、電源6と屋外装置18について、図2(C)に示したストレートライン接続がされているとする。
【0035】
このときに、ノイズ検波の結果によりセレクタ12,13について切替えが発生して、屋外装置17について図2(B)、屋外装置18について図2(D)に示したクロスライン接続になってもセレクタ4および5について切替えは発生せず、図5(B)に示すような接続となる。この接続によっても、図5(A)に示したのと同様に、屋外装置17は電源6に接続され、屋外装置18は電源7に接続されている。これにより、適正な電源接続と適正な送受信接続の双方を担保することができる。
【0036】
図6は、屋外装置17が電源6、屋外装置18が電源7というように異なる電源に接続されているとき上述のセレクタ切替え制御を図示したものである。先ず、図6(A)に示すように、電源6について、図2(A)に示したストレートライン接続、電源7について、図3(C)に示したストレートライン接続がされているとする。屋外装置17は電源6に接続され、屋外装置18は電源7に接続されているので、屋外装置17と屋外装置18が互いに異なる電源6,7に接続されていることになる。
【0037】
このときに、ノイズ検波の結果によりセレクタ12,13について切替えが発生して、電源6について、図2(B)に示したクロスライン接続、電源7について、図2(D)に示したクロスライン接続になったとする。この場合は、セレクタ6,7についても切替えが発生して、図6(B)に示すような接続となる。この接続によっても、図6(A)に示したのと同様に、屋外装置17は電源6に接続され、屋外装置18は電源7に接続されている。これにより、適正な電源接続と適正な送受信接続の双方を担保することができる。
【0038】
次に、以上のように構成された本誤接続防止回路1の動作について、制御部9の動作を示す図7のフローチャートを参照しながら場合に分けて説明する。電源6は供給電圧が+24V、電源7は供給電圧が+48Vであるとする。先ず、セレクタ4とセレクタ12は、図2(A)のようにストレートラインにより電源6と屋外装置17を接続する(図7のステップS1)。電源6から電源・信号分配器10を経由して屋外装置17へ電流が流れる。
【0039】
(1)ステップS2でYesの場合
この電流は電流検出部2で検出され、閾値以下であるときは(図7のステップS2でYes)、屋外装置17は低い電源入力条件であることが分かる。セレクタ5とセレクタ13は、図2(C)のようにストレートラインにより電源6と屋外装置18を接続する(図7のステップS5)。電源6から電源・信号合成器11を経由して屋外装置18へ電流が流れる。
【0040】
(1.1)ステップS6でYesの場合
この電流は電流検出部3で検出され、閾値以下であるときは(図7のステップS6でYes)、屋外装置18も低い電源入力条件であることが分かる。この場合、図5(A)に示すように、屋外装置17と18は共に電源6に接続されることとなる。
【0041】
次に、2つのノイズ検波器14,15の内の片方のみがノイズを検波し(図7のステップS9でYes)、そのノイズがノイズ検波器14からのものであるときは(図7のステップS11でYes)、屋外装置17はLNB、屋外装置18はBUCということであるので、正しい接続である。
【0042】
しかし、2つのノイズ検波器14,15の内の片方のみのノイズ検出でないときは(図7のステップS9でNo)、制御部9は、エラー判定しエラー処理を行って制御を終了する(図7のステップS10)。屋外装置17と18が同じタイプの装置(共にLNBまたはBUC)であるからである。エラー処理では、全てのセレクタ4,5,12,13の接続をオフにして、表示部8にてアラーム状態であることを外部に表示する。
【0043】
また、片方のみのノイズ検波がノイズ検波器14からのものでないときは(図7のステップS11でNo)、セレクタ12およびセレクタ13における接続を図5(B)に示すように切り替える(図7のステップS13)。即ち、セレクタ12は電源・信号合成器11と屋外装置17を接続し、セレクタ13は電源・信号分配器10と屋外装置18を接続する。これにより、LNBとBUCの逆接続が是正される。この場合は、上述のように屋外装置17と18は同じ電源6に接続されているので(図7のステップS12でYes)、セレクタ12,13における切替えが電源接続に影響を及ぼすことはない。
【0044】
このように、屋外装置17と18が共に低い電源入力条件の場合に電源6を自動的に接続すると共に、屋外装置17,18としてLNBとBUCを取り違えて接続していても自動的に修正することができる。
【0045】
(1.2)ステップS6でNoの場合
電流検出部3で検出される電流が閾値を超える電流を検出するときは(ステップS6でNo)、屋外装置18は高い電源入力条件であることが分かる。このときは、セレクタ5における接続を切り替えて、図3(C)のようにストレートラインにより、電源7と屋外装置18とを接続する(図4のステップS7)。結局、この場合の電源6,7と屋外装置17,18の接続は図6(A)に示すようになる。電源7から電源・信号合成器11を経由して屋外装置18へ電流が流れる、電流検出部3によって検出される。この電流が閾値以下になれば(図4のステップS8でYes)、次にノイズ検波チェックの段階(図4のステップS9〜S14)に入る。
【0046】
一方、電流検出部3が検出する電流が閾値を超えていれば(図4のステップS8でNo)、制御部9はエラー判定しエラー処理を行って制御を終了する(図4のステップS10)。電源7も適正なものではないことが判明したからである。
【0047】
ステップS9〜ステップS11の処理は前述のとおりであるが、この場合は、電源6が屋外装置17、電源7が屋外装置18に接続されているため、ステップS12においてNoとされる。従って、図6(B)に示すように、セレクタ12およびセレクタ13における接続を切り替えると同時に、セレクタ4およびセレクタ5における接続も切り替える(図4のステップS14)。これは、LNBとBUCの逆接続の是正による電源接続の矛盾を修正する措置である。
【0048】
このように、屋外装置17が低い電源入力条件、屋外装置18が高い電源入力条件の場合に、電源6を屋外装置17、電源7を屋外装置18へ自動的に接続すると共に、屋外装置17および18としてLNBまたはBUCを誤接続していても自動的に修正することができる。
【0049】
(2)ステップS2でNoの場合
電流検出部2で検出される電流が閾値を超えているときは(ステップS2でNo)、屋外装置17は高い電源入力条件であることが分かる。この場合は、セレクタ4における接続を切り替えて、図3(A)のように電源7と屋外装置17とをストレートラインにより接続する(図4のステップS3)。電源7から電源・信号分配器10を経由して屋外装置17へ電流が流れ、電流検出部2によって検出される。この電流が閾値以下になれば(図4のステップS4でYes)、次に屋外装置18の電源接続のチェックおよびノイズ検波のチェック段階(図4のステップS5〜S14)に移る。
【0050】
一方、電流検出部2で検出される電流がなお閾値以下でなれば(図4のステップS4でNo)、制御部9はエラー判定しエラー処理を行って制御を終了する(図4のステップS10)。電源7も適正なものではないことが判明したからである。
【0051】
(2.1)ステップS6でYesの場合
セレクタ5とセレクタ13は、図2(C)のようにストレートラインにより電源6と屋外装置18を接続する(図7のステップS5)。電源6から電源・信号合成器11を経由して屋外装置18へ電流が流れる。
【0052】
この電流は電流検出部3で検出され、閾値以下であるときは(図7のステップS6でYes)、屋外装置18は低い電源入力条件であることが分かる。この場合、電源6が屋外装置18、電源7が屋外装置17に接続されているため、ステップS12においてNoとされる。従って、図6により説明したように、セレクタ12およびセレクタ13における接続を切り替えると同時に、セレクタ4およびセレクタ5における接続も切り替える(図4のステップS14)。これは、LNBとBUCの逆接続の是正による電源接続の矛盾を修正する措置である。
【0053】
このように、屋外装置17が高い電源入力条件、屋外装置18が低い電源入力条件の場合に、電源6を屋外装置18、電源7を屋外装置17へ自動的に接続すると共に、屋外装置17および18としてLNBまたはBUCを誤接続していても自動的に修正することができる。
【0054】
(2.2)ステップS6でNoの場合
電流検出部3で検出される電流が閾値を超える電流を検出するときは(ステップS6でNo)、屋外装置18は高い電源入力条件であることが分かる。このときは、セレクタ5における接続を切り替えて、図3(C)のようにストレートラインにより、電源7と屋外装置18とを接続する(図4のステップS7)。結局、屋外装置17と18は共に電源7に接続されることとなる。電源7から電源・信号合成器11を経由して屋外装置18へ電流が流れる、電流検出部3によって検出される。この電流が閾値以下になれば(図4のステップS8でYes)、次にノイズ検波チェックの段階(図4のステップS9〜S14)に入る。
【0055】
ステップS9〜S14における処理は上述のとおりである。この場合、(1.1)の場合と同様に屋外装置17と18は同じ電源に接続されているので(図4のステップS12でYes)、LNBとBUCの逆接続を是正するために、セレクタ12,13における切替え(図4のステップS13)をしても電源接続に影響を及ぼすことはない。
【0056】
このように、屋外装置17と18が共に高い電源入力条件の場合に電源7を自動的に接続すると共に、屋外装置17,18としてLNBとBUCを取り違えて接続していても自動的に修正することができる。
【0057】
以上、詳細に説明したように、本誤接続防止装置によれば、屋外装置17,18が電源入力条件に適合していない電源に接続されていても、適正な電源に自動的に接続し直し、また、屋外装置17,18としてLNBとBUCを取り違えて接続していても、正しいLNBまたはBUCに自動的に接続し直すことができる。
【0058】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0059】
(付記1)送信装置または受信装置であって異なる電源入力条件を採り得る屋外装置とケーブルで接続され該屋外装置への電源供給および通信制御を行う屋内装置に設けられた誤接続防止回路において、前記電源供給が前記電源入力条件に適合するように電源および電源供給経路を選択する電源選択手段と、前記送信装置への送信信号および前記受信装置からの受信信号の接続が前記通信制御のための送信または受信と整合するように前記送信信号および前記受信信号の信号接続経路を選択する信号選択手段を有し、前記信号接続経路が前記電源供給経路の一部を形成することを特徴とする誤接続防止回路。
【0060】
(付記2)前記電源および電源供給経路の選択は、前記電源供給経路を流れる電流が前記電源入力条件で定まる所定の閾値以下であること判定して行うことを特徴とする付記1に記載の誤接続防止回路。
【0061】
(付記3)前記信号接続経路を選択は、前記信号接続経路におけるサーマルノイズ検波の有無により行なうことを特徴とする付記1または2に記載の誤接続防止回路。
【0062】
(付記4)前記屋外装置が異なる前記電源に接続されている場合に、前記電源供給経路の選択で定められた信号接続経路を前記信号接続経路の選択で他方へ切り替えるときは、当該電源供給経路の余の部分を他方へ切り替えて当初の電源供給経路と等価な電源供給経路を形成することを特徴とする付記1〜3に記載の誤接続防止回路。
【0063】
(付記5)それぞれが送信装置または受信装置であって低電源入力条件または高電源入力条件を採り得る第1の屋外装置,第2の屋外装置へ、低電圧の第1の電源または高電圧の第2の電源からの電源供給および通信制御を行う屋内装置に設けられた誤接続防止回路において、前記第1の電源または前記第2の電源を選択する第1セレクタと、前記第1の電源または前記第2の電源を選択する第2セレクタと、前記第1セレクタで選択された電源と前記屋外装置からの受信信号を分配する電源・信号分配器と、前記第2セレクタで選択された電源と前記屋外装置への送信信号を合成する電源・信号合成器と、前記電源・信号分配器または前記電源・信号合成器を選択して前記第1の屋外装置を接続する第3セレクタと、前記電源・信号合成器または前記電源・信号合成器を選択して前記第2の屋外装置を接続する第4セレクタを有し、前記第1セレクタと前記第2セレクタは前記電源・信号分配器を流れる電流または前記電源・信号合成器を流れる電流が前記電源入力条件に適合するように前記選択を行い、また、前記第3セレクタと前記第4セレクタは前記第1の屋外装置からのサーマルノイズまたは前記第2の屋外装置からのサーマルノイズ検波の有無によって前記選択を行なうことを特徴とする誤接続防止回路。
【0064】
(付記6)前記第1の屋外装置と前記第2の屋外装置が異なる前記電源に接続されている場合に、前記第1セレクタ〜第4セレクタにおける選択で定められた電源供給経路を前記第3セレクタと第4セレクタにおける選択で他方へ切り替えるときは、前記第1セレクタおよび前記第2セレクタにおける選択をも同時に切り替えることを特徴とする付記5に記載の誤接続防止回路。
【0065】
(付記7)前記屋外装置の一方は前記送信信号を前記屋内装置からアンテナへ送出するBUC(Block Up Converter)であり、前記屋外装置の他方はアンテナからの前記受信信号を前記屋内装置へ送出するLNB(Low Noise Block down converter)であることを特徴とする付記1〜6に記載の誤接続防止回路。
【符号の説明】
【0066】
1 誤接続防止回路
2,3 電流検出部
4,5 セレクタ
6,7 電源
8 表示部
9 制御部
10 電源・信号分配器
11 電源・信号合成器
12,13 セレクタ
14,15 ノイズ検波器
16 屋内装置
17,18 屋外装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置または受信装置であって異なる電源入力条件を採り得る屋外装置とケーブルで接続され該屋外装置への電源供給および通信制御を行う屋内装置に設けられた誤接続防止回路において、
前記電源供給が前記電源入力条件に適合するように電源および電源供給経路を選択する電源選択手段と、
前記送信装置への送信信号および前記受信装置からの受信信号の接続が前記通信制御のための送信または受信と整合するように前記送信信号および前記受信信号の信号接続経路を選択する信号選択手段を有し、
前記信号接続経路が前記電源供給経路の一部を形成することを特徴とする誤接続防止回路。
【請求項2】
前記電源および電源供給経路の選択は、前記電源供給経路を流れる電流が前記電源入力条件で定まる所定の閾値以下であること判定して行うことを特徴とする請求項1に記載の誤接続防止回路。
【請求項3】
前記信号接続経路を選択は、前記信号接続経路におけるサーマルノイズ検波の有無により行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の誤接続防止回路。
【請求項4】
前記屋外装置が異なる前記電源に接続されている場合に、前記電源供給経路の選択で定められた信号接続経路を前記信号接続経路の選択で他方へ切り替えるときは、当該電源供給経路の余の部分を他方へ切り替えて当初の電源供給経路と等価な電源供給経路を形成することを特徴とする請求項1〜3に記載の誤接続防止回路。
【請求項5】
それぞれが送信装置または受信装置であって低電源入力条件または高電源入力条件を採り得る第1の屋外装置,第2の屋外装置へ、低電圧の第1の電源または高電圧の第2の電源からの電源供給および通信制御を行う屋内装置に設けられた誤接続防止回路において、
前記第1の電源または前記第2の電源を選択する第1セレクタと、
前記第1の電源または前記第2の電源を選択する第2セレクタと、
前記第1セレクタで選択された電源と前記屋外装置からの受信信号を分配する電源・信号分配器と、
前記第2セレクタで選択された電源と前記屋外装置への送信信号を合成する電源・信号合成器と、
前記電源・信号分配器または前記電源・信号合成器を選択して前記第1の屋外装置を接続する第3セレクタと、
前記電源・信号合成器または前記電源・信号合成器を選択して前記第2の屋外装置を接続する第4セレクタを有し、
前記第1セレクタと前記第2セレクタは前記電源・信号分配器を流れる電流または前記電源・信号合成器を流れる電流が前記電源入力条件に適合するように前記選択を行い、また、前記第3セレクタと前記第4セレクタは前記第1の屋外装置からのサーマルノイズまたは前記第2の屋外装置からのサーマルノイズ検波の有無によって前記選択を行なうことを特徴とする誤接続防止回路。
【請求項6】
前記第1の屋外装置と前記第2の屋外装置が異なる前記電源に接続されている場合に、前記第1セレクタ〜第4セレクタにおける選択で定められた電源供給経路を前記第3セレクタと第4セレクタにおける選択で他方へ切り替えるときは、前記第1セレクタおよび前記第2セレクタにおける選択をも同時に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の誤接続防止回路。
【請求項7】
前記屋外装置の一方は前記送信信号を前記屋内装置からアンテナへ送出するBUC(Block Up Converter)であり、前記屋外装置の他方はアンテナからの前記受信信号を前記屋内装置へ送出するLNB(Low Noise Block down converter)であることを特徴とする請求項1〜6に記載の誤接続防止回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−239089(P2012−239089A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107801(P2011−107801)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】