調理装置
【課題】一度に調理することができる料理量は少ないものの多種類の調理を一台の装置によって短時間で行うことができる多機能型の調理装置を提供することである。
【解決手段】下面に第一の発熱手段22が配設されているグリドル熱板14と、このグリドル熱板14上に略密閉した調理空間32を形成する下面開口の調理箱12,13であり内部に第二の発熱手段33が配設されて前記グリドル熱板14の上面に開閉自在に設けられた調理空間形成手段と、前記調理空間32内に注水してこの調理空間32内に沸騰蒸気を生成する沸騰蒸気生成手段40と、メニュー選択手段55を備えて選択された調理毎に前記調理空間32を維持する調理時間と前記沸騰蒸気生成手段40における注水回数と前記第二の発熱手段33による加熱時間とを設定するプログラム設定手段36とよりなる。
【解決手段】下面に第一の発熱手段22が配設されているグリドル熱板14と、このグリドル熱板14上に略密閉した調理空間32を形成する下面開口の調理箱12,13であり内部に第二の発熱手段33が配設されて前記グリドル熱板14の上面に開閉自在に設けられた調理空間形成手段と、前記調理空間32内に注水してこの調理空間32内に沸騰蒸気を生成する沸騰蒸気生成手段40と、メニュー選択手段55を備えて選択された調理毎に前記調理空間32を維持する調理時間と前記沸騰蒸気生成手段40における注水回数と前記第二の発熱手段33による加熱時間とを設定するプログラム設定手段36とよりなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファミリーレストラン、喫茶店等の軽食レストラン、ファーストフード店(以下、これらを総称して飲食店と称する)等において、一度に調理することができる料理量は少ないものの多種類の調理を一台の装置によって短時間で行うことができる多機能型の調理装置に係り、特に、従来の調理内容毎に設計された専用調理機に較べて調理時間が1/2〜1/3に短縮でき、調理プログラムを予め設定することによって熟練を必要とせずに多種類の調理を行うことができ、かつ、電力使用量等を半減できるようにした省エネルギー型の調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食店で必要とする調理装置は、その店で採用しているメニューに基づいて選択使用されているものであるが、近年、洋食メニューが主であったファミリーレストランにおいても和食系のメニューも増やして多様化するなどの傾向がある。例えば、ハンバーグもあれば焼魚定食もあり、店によっては、ピザも餃子もあるなどのようにそのメニューは多様化している。そして、これらの食材は、調理前までの鮮度を保つために冷凍保存されていることが多い。
【0003】
つぎに、各種の調理とその調理のための調理装置との関係を図1乃至図5に基づいて説明する。まず、ハンバーグを調理するには、図1に外観を示したような電気グリドル1が用いられる。この電気グリドル1は、鉄製の厚板でできていて裏面にシーズヒータを密着させて220℃近辺の温度に保たれるグリドル熱板2を備えている。ハンバーグの場合には、グリドル熱板2の上に12〜20個ぐらい載せ、4〜5分調理してからこれらを裏返して3〜4分、計7〜9分調理するが、基本的にこの調理は、調理人の勘で行っている。また、常温のグリドル熱板2を所定温度まで上げるのに10分ぐらいかかるから、最初から調理完了までには、17分はかかることになる。そのため、短時間で調理するためには、シーズヒータに常に通電してグリドル熱板2の温度を調理可能な温度に保っていなければならない。しかしながら、ファミリーレストラン等においても、一度に多量のハンバーグの注文が入ることが少なく、省エネの観点からも望ましくない。
【0004】
次いで、焼魚を焼く場合には、図2に示す上火式電気魚焼器3が用いられる。この上火式魚焼器3は、筐体4の上面にシーズヒータがあって上下に可動の焼き網5の上に魚を載せ、調理人が焼き加減を見ながらひっくり返したり焼き上げ時間を見計らったりするものである。しかしながら、前蓋がなくオープンになっているので、調理状態の見易さはあるが熱気は前面から逃げて庫内温度は上がり難いから時間がかかり、仕上がりまでに10〜15分かかることになる。かつ、省エネとは程遠い構造であり、厨房室に熱気を放散するため、余り使われなくなってきている。
【0005】
また、図3に示すものは、開閉自在の前蓋6が付いた魚焼器7であり、内部には上下にヒータが設けられていて調理する魚をひっくり返す手間がいらず、家庭でも広く使われているものであるが、前蓋6を開いたときに中の熱気は殆ど放出されてしまうため、6分もの予熱時間を必要とし、少なくとも焼き上がりまで10分ぐらいはかかるものである。さらに、特に図示しないが、家庭用として広く使われている魚焼器としては、上蓋を開放する形式のものが存し、この形式の魚焼器は、上下にシーズヒータが設けられていて魚をひっくり返す手間がいらない状態にしているが、やはり、上蓋を開いたときに熱気は放出されるから、調理時間が予熱時間を入れて10分ぐらいはかかるものである。ただ、この形式のものは、上下の器体を引き出して別々に洗うことができるという特長を持つものである。
【0006】
ピザを焼く場合には、図4に示すピザオーブン8を使う。このピザオーブン8は、内部に6段の焼網棚があって一度に8インチのピザを6枚焼けるというものである。しかしながら、ピザ専門店ではないファミリーレストランでサイドメニューとしてピザを提供している店舗では、一度に6枚焼くというオーダは殆どなく、1〜2枚を自動的に短時間(2〜3分)で焼くことができる器械が要望されている。また、このピザオーブン8もピザを出し入れするときに前蓋9を前方に開放するため、その都度、内部の熱気は厨房室に逃げ、また、1〜2枚を焼く場合にも10分ぐらいの予熱時間を必要とし、省エネの観点からも望ましいものではない。
【0007】
餃子を焼く器械としては、専用機としてかなり自動化された図5に示す自動餃子焼機10が存する。このような餃子専用の自動餃子焼機10は、餃子の注文が多いラーメン店や中華料理店などでは活躍するが、ファミリーレストランなどでのサイドメニューとしての餃子の注文は前述の自動餃子焼機10を使うほどのものではない。
【0008】
【特許文献1】特許第3717120号明細書
【特許文献2】特開2006−087816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
飲食店において、ハンバーグも焼魚もピザも餃子もメニューに加えて客の多様なニーズに応えようとした場合、調理機として図1〜図5に示したそれぞれの専用機を設備しなければならなかった。しかしながら、専門店ではない飲食店においては、そのような設備に見合う注文は、特殊なケースを除いてはないと言える。また、これらの専用機は、それぞれの調理を大量に行うことができるという利点を有する反面、自動化されていないので、使いこなすのに熟練を必要とし、かつ、少量の注文をこなすには電力の使用量も莫大なものとなり、また、殆どの調理機は調理物の出し入れ時に前蓋を開放する形式であるため、熱気が逃げてしまうエネルギーロスがあり、また、不使用時に電源を切っておくと、調理時間の何倍もの予熱時間がかかり、ランニングコストの増大を招き、かつ、作業環境を悪化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、下面に第一の発熱手段が配設されているグリドル熱板と、このグリドル熱板上に略密閉した調理空間を形成する下面開口の調理箱であり内部に第二の発熱手段が配設されて前記グリドル熱板の上面に開閉自在に設けられた調理空間形成手段と、前記調理空間内に注水してこの調理空間内に沸騰蒸気を生成する沸騰蒸気生成手段と、メニュー選択手段を備えて選択されたメニュー毎に前記調理空間を維持する調理時間と前記沸騰蒸気生成手段における注水回数と前記第二の発熱手段による加熱時間とを設定するプログラム設定手段と、よりなる調理装置である。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の調理装置において、調理箱により形成される調理空間の容積は、各種調理の略一人前から二人前の量が収納できることを目安に設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1、2記載の調理装置において、グリドル熱板の上面に配設される調理箱は、2個又は3個並設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の調理装置において、調理箱により調理空間が形成されたことを検出する検出信号に基づいて前記調理箱を閉止する調理箱閉止手段と、前記検出信号の発生時を始点として予め選択された調理により定められた調理時間の経過後に前記調理箱閉止手段による前記調理箱の閉止状態を解除して前記調理箱を上方に開放する調理箱開放手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の調理装置において、プログラム設定器はメニュー選択手段を備え、選択されたメニュー毎に設定可能な調理時間選択手段、注水回数設定手段、第二の発熱手段による加熱時間設定手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、ハンバーグや焼魚やピザや餃子等の多彩なメニューも1台で熟練を要せずに、従来の1/2〜数分の1の時間で調理することができ、調理対象に対する熱の集中浸透を最大限に図ることができ、予め定めたメニュー別の調理プログラムをマイコン制御により自動的に行うことによって未熟練者でも調理することが可能であり、特に、電力使用量を低減することができて省エネ効果も大きく、作業環境も良好に保つことができ、特に、一度に調理することができる料理量は少ないものの多種類の調理を一台の装置によって短時間で行うことができる多機能型の調理装置を提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、調理箱により形成される調理空間の容積は、各種調理の略一人前から二人前の量が収納できることを目安に設定されているため、エネルギー効率の高い状態で調理することができ、調理対象を効率よく加熱することができ、しかも、調理時間が短くてよく、電力使用量を低減することができて省エネ効果も大きく、作業環境も良好に保つことができるものである。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、グリドル熱板の上面に配設される調理箱は、2個又は3個並設されているため、装置を小型化して調理空間の狭い飲食店でも余裕をもって設置することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、調理箱により調理空間を形成してからは人手をかけることなく自動的に調理が完了するため、調理の失敗がなく、しかも、調理箱の開放により調理完了を報知することができるため、調理場におけるロスタイムがなくなるものである。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、プログラム設定器はメニュー選択手段を備え、選択されたメニュー毎に設定可能な調理時間選択手段、注水回数設定手段、第二の発熱手段による加熱時間設定手段を備えているため、調理対象に応じた適切な調理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の態様を図6〜図17に基づいて説明する。図6は、調理機11の外観全体図であり、右の調理箱12が開かれていて左の調理箱13が調理中で閉じられている状態を示す。これらの調理箱12,13は、調理空間形成手段となるものである。グリドル熱板14は、器体下枠15と器体甲板16とで構成されている本体17のほぼ中央部の半分ぐらいを占める大きさのものであり、このグリドル熱板14の周囲は一段高くなったグリドル囲み枠18で後面と両側が囲まれ、前面には掃き出し傾斜板19が溶接されていて、調理後の焦げカスや油等が前面に着脱自在に置かれた細長いごみ受けトレイ20に掻き出せるようになっている。図7には、グリドル熱板14が本体17の取付穴枠21に落とし込まれる直前の状態が図示されており、図8には、そのグリドル熱板14が本体17に落とし込まれて固定され、かつ、ごみ受けトレイ20を少し前方に動かした状態が図示されている。ついで、図9、図10、図11には、三本のシーズヒータ22(第一の発熱手段)と温度センサー23と温度調節器24とがグリドル熱板14の裏面に取り付けられている状態が示されている。このようなグリドル熱板14は、本実施の態様における主要な調理熱源となるものであり、その機能と形態は、図1で示した従来広く使われている電気グリドル1の形態に類似している。このグリドル熱板14は、温度調節器24と三本のシーズヒータ22からの熱伝導によって、常に280℃と通常のグリドルより高めの温度に設定されていて、常時280℃を保つようその通電のON−OFF制御がなされている。また、温度調節器24とシリーズに過昇防止温度調節器57を接続してグリドル熱板14の異常温度上昇を防いでいる。さらに、このグリドル熱板14は、10mm程度の厚い鉄板で作られていて大きな熱容量をもっている。このような熱容量の大きい厚い鉄板を使用する理由は、このグリドル熱板14上に冷凍食品等を置いて調理した場合の温度低下を防ぐとともに、後述するが、このグリドル熱板14上に注水して水を蒸発させて沸騰させてもグリドル熱板14の温度低下を小さく保ちたいというものである。また、グリドル熱板14の裏面には、三本のシーズヒータ22を密着させて設けているが、これらは三本とも同じ電力のものとすることにより三相電源に接続することが可能であり、また、接ぎ変えて単相200V電源にも対応させることができる。
【0021】
図6の外観図及び図12、図13から判る如く、本実施の態様における構成上の主体となるグリドル熱板14を左右に2分して左右の調理箱12,13が調理箱回動軸25を中心に回動自在となっていて、両方を閉じたときには、グリドル熱板14を殆ど覆ってしまうような関係になっている。具体的には、各調理箱12,13の大きさは、幅175mm×奥行240mm×高さ55mmとしている。因みに、グリドル熱板14の大きさは、幅370mm×奥行240mmである。調理箱12,13が開いている時の状態を図12に示し、調理箱12,13が閉じて調理中である状態を図13に示す。
【0022】
各調理箱12,13の構造を図6、図12、図13に基づいて説明する。まず、図6で判るように、調理箱12,13は、器体バックガード26から前方に突き出た調理箱保持枠27に取り付けられた前記調理箱回動軸25を回転中心として支えられている。また、調理箱12,13は、調理箱連結体28の先端部の調理箱結合軸29に係合する調理箱結合フック30を介して吊り下げられていて、把手31でグリドル熱板14上に引き上げると、図12及び図13で判るように、グリドル熱板14の上に調理箱12、13で密閉した調理空間32を形成することとなる。このような調理空間32の大きさは、ハンバーグ、焼魚、餃子等のそれぞれ一人前から二人前の調理が可能である寸法に設定されているものであり、調理時間の短縮と消費エネルギーの削減とを図っている。
【0023】
調理箱12,13の上部には、調理箱ヒータ33(第二の発熱手段)が組み込まれていて、この調理箱ヒータ33は調理箱12、13を下げると調理箱回動軸25の奥の起動磁石34が磁気感応スイッチ35を閉じ、プログラム設定器36(プログラム設定手段)をスタートさせる。このプログラム設定器36は、同時に電磁石37に通電して調理箱12,13の先端の吸着板38を吸着して調理箱12,13を閉じた状態を保持しながら調理箱ヒータ33に通電し、調理箱12,13で密閉された空間、すなわち、調理空間32を加熱し、赤熱した調理箱ヒータ33からは輻射熱を放射して調理物39をシーズヒータ22による加熱とともに上下から加熱することになる。前述のプログラム設定器36で通電制御される電磁石37と吸着板38とはプログラム設定器36で設定されているプログラムとともに調理箱閉止手段及び調理箱開放手段を構成する。加熱時間は、予めプログラム設定器36で設定されている。調理箱12、13内に設けられた調理箱ヒータ33は、温度調節はされないが、プログラム設定器36で調理時間とは別に4分以上の通電設定はできないようにしてある。そのため、4分以上の加熱はなされないため、特別な過昇防止手段を設けることなく安全性を確保することができる。さらに、調理箱12,13を閉じると、プログラム設定器36で予め設定したプログラムに従い調理箱12、13の奥の沸騰蒸気生成手段を構成する注水ノズル40から水がグリドル熱板14上に間歇的に注水され、注水された水はグリドル熱板14の熱によって沸騰蒸気となって調理物39を加熱するようになっている。なお、本装置においては、本体17の器体バックガード26の中央上部に水道に接続されている給水口41が設けられている。給水制御は減圧弁42を経由して分岐された2個の電磁弁43に接続されることにより行われている。なお、前述の調理箱回動軸25は、注水回転継ぎ手ともなっており、注水ノズル40はこの注水回転継ぎ手として機能する調理箱回動軸25を介して連結されているため、注水管がフレキシブルである必要はなく、この部分の耐久性は大きい。注水ノズル40からの調理箱12,13内への注水は、10秒間隔毎に0.5秒(注水量にして27cc)行われるようプログラムされていて、その注水回数はプログラム設定器36で調理メニューごとに予め1〜9回の範囲で設定することができる。このグリドル熱板14に対する注水回数は、9回を限度とし、それ以上の回数の設定はできない。また、その必要性はない。注水ノズル40から放出された水は、注水ノズル40の先端に設けられた注水拡散板44によって一旦は調理箱12,13の内部上面に放散されるが、調理箱12、13の内壁を伝わって調理箱12、13で覆われたグリドル熱板14上に落下し、この280℃に熱せられているグリドル熱板14上において数秒で沸騰蒸気になって調理箱12、13内の調理空間32内に充満し、調理物39に急速に浸透してその調理物を加熱することになる。沸騰蒸気の持つ熱量は、その温度が100℃であっても100℃の乾燥空気の持つ熱量に較べて計算上は7倍以上の熱量を持っていることになっている。このことは、「乾燥サウナ」の室温は100℃ぐらいであっても人間は火傷も何もしないで発汗が促進されるために利用されるが、「やかん」の湯が沸騰して吹き出している蒸気は、100℃ではあるが瞬間的に触れるだけで火傷をすることからもその違いと沸騰蒸気の持つ威力を知ることができる。なお、10秒ごとに注水して蒸気化することは、蒸気の持つ加熱浸透力を持続させることを意図しているものである。
【0024】
つぎに、グリドル熱板14は、載せた調理物39を加熱するという機能の他に沸騰蒸気を発生させる熱源としての重要な役割を持っている。グリドル熱板14は、厚さ10mmの鉄板でできていてその裏面には、2.2kW/時のシーズヒータ22を密着させ、本装置の電源スイッチ45を入れると電源ランプ46が点灯し、プログラム設定器36とは関係なく専用の温度調節器24でグリドル熱板14の温度を上げる。このグリドル熱板14の温度は電源投入から約10分で280℃に達し、プログラム設定器36による調理が可能となる。このように調理可能になったときには、電源スイッチ45上部の調理可能ランプ47により表示される。以後、ON−OFF制御により280℃を下回ったときにはシーズヒータ22をONにして280℃を維持する働きをする。一旦、280℃に達してから、何も調理をしないときでも280℃を維持するときの消費電力は約0.8kW/時であるから、アイドルタイム以外は常に電源を入れていつでも調理できるように待機している使用方法となる。グリドル熱板14は、その温度が280℃に達した時点でグリドル熱板14全部で192kcalの熱量を持つものであり、この上に1回当たり27ccの水が10秒間隔で注がれても瞬時に蒸気化されることは既に述べた。蒸気化はグリドル熱板14から熱を奪うことによるものであり、27ccの水が蒸気化するのに約17kcalの熱を奪うものであり、例えば、水の注水回数を3回とすれば51kcalの熱が奪われるため、グリドル熱板14の温度はその分低下するが、すぐにグリドル熱板14のシーズヒータ22がONになって熱量を補給し温度低下を補う働きをするが、瞬間的に210℃ぐらいまで低下することがある。このため、グリドル熱板14の温度は普通のグリドル調理温度が200〜220℃あるのに対して高めに設定しているものである。
【0025】
近年、家庭用のオーブンでも業務用のものでもヒータ加熱の他に庫内に蒸気を発生させて調理するスチームオーブンが多くなっている。しかしながら、特に業務用の場合は蒸気の発生器の構造がコンパクトであるが複雑で水の不純物が蒸発皿に付着してメンテナンスが面倒なので問題となることが多い。また、水道を直結することはできずに必ず水道と機器との間に純水器等の指定器械を入れなければならず、この機器のメンテナンス費用が相当なものとなっている。これに対して、本実施の態様の装置においては、給水口41と電磁弁43との間に水道圧の変化で1回当たりの給水量が違わないように減圧弁42が挿入してあるため、水圧が5kg/cm2 から0.6kg/cm2 の間の変化をしても電磁弁43への水圧を0.5kg/cm2 に保つものである。また、280℃のグリドル熱板14の上に注水することにより沸騰蒸気をほぼ密閉された調理箱12、13内に発生させるという構造は、実にシンプルなものであり、水道水内の不純物等があっても調理が終ったらグリドル熱板14の表面の焦げカスや油分等を前面に掻き出すと云う作業を伴うものであり、前述のようなメンテナンス費用はゼロと云える。
【0026】
つぎに、図14に基づいて調理箱12,13の着脱方法につき説明する。各調理箱12,13は、図12、図13で判るように、平常は調理箱連結体28の先端の調理箱結合軸29に調理箱結合フック30が係合して恰も一体であるかのように結合しているが、調理箱12,13先端の調理箱着脱把手48を手前上方に引き上げると簡単に外すことができる。よって、調理箱12、13を調理箱連結体28から外してからその内面の汚れを洗浄して元に戻すことも容易であり、使用上の大きな特長を備えていると云える。また、調理箱12、13内には、調理箱ヒータ33の先端が係合してその調理箱ヒータ33を固定するヒータ位置決め板49が固定されており、さらに、奥側の壁面には、調理箱ヒータ33が挿入される調理箱ヒータ用長四角穴50と注水ノズル用丸穴51とが形成されている。
【0027】
グリドル熱板14は、前述のように、調理の都度、油分や調理物からの汁が固化した物や焦げカス当で汚れるものである。グリドル熱板14の前面には、傾斜した掻き出し傾斜板19がつらいちに一体に形成されている。その下に図14に示すようにグリドル熱板14よりも横幅が広いごみ受けトレイ20が入るようになっていてグリドル熱板14の清掃性・使用性の向上を図っている。
【0028】
本実施の態様の装置においては、調理が終了すると、自動的に調理箱12,13が開いて作業者に知らせるとともに、余分な加熱等を行わないで済み、調理の失敗を防ぐようになっている。自動開放の構造としてメカニズムを使うと故障の原因となるため、本実施の態様においては、ソリッドステート構造とも云える電磁石吸着方式を採用している。図12、図13及び図15により説明すると、調理箱12,13は、調理箱持ち上げばね52によって略45°の角度に持ち上げられているが、把手31を持って押し下げると調理箱12,13と連動する起動磁石34が甲板の背面内側にある磁気感応スイッチ35に近づき磁気感応スイッチ35の接点を閉じる。調理箱12,13と連動して位置変動する起動磁石34と甲板の背面内側に固定的に設けられている磁気感応スイッチ35との間には、バックガードを構成するステンレス板で隔離されている。このようなステンレス板は、磁力線を通すものの水や汚れを通すことはなく、この種の調理装置において、起動磁石34や磁気感応スイッチ35等の磁力線感応部品をステンレス板で隔離して配設することは、故障の発生を未然に防止するための優れた工夫である。すなわち、起動磁石34と磁気感応スイッチ35との配置は、磨耗やメカニズムのない状態でなされているものであり、調理機の故障を防ぎ、耐久性の向上に大きく寄与しているものである。この磁気感応スイッチ35が閉じた信号は、プログラム設定器36に送られ、プログラム設定器36は、リレー箱53を介して電磁石37に電流を送り器体甲板の上に近づいてきている吸着板38を吸着して調理箱12,13をグリドル熱板14の上に略密閉した調理箱12,13として調理空間32を形成し、予め設定された調理時間の間、電磁石37に電流を送り続け、メニュープログラム終了と同時に電流を切ると調理箱12,13は、調理箱持ち上げばね52の力で開き、ブザーが鳴って調理終了を知らせるものである。この時、調理箱12、13が二連以上の複数個の場合、ブザーの音色が同じであるとどの調理箱12、13が開いたのかわからないが、調理箱12,13毎に音色を変えておくとどの調理箱12,13が開いたのか音色によって認識することができ、作業性が向上するものである。なお、調理箱12,13は、調理箱持ち上げばね52によって常時開く方向へ付勢されている。そのため、吸着板38が電磁石37で吸着されている状態から、調理が終了して電磁石37の吸着力がなくなる状態になると、調理箱12,13は調理箱持ち上げばね52で持ち上がり、この持ち上がり時のイナーシャで開放末端に衝撃を伴うことになる。このショックを和らげるために図示はしないが自動開放ダンパばねが設けられており、開放時の衝撃を緩和している。
【0029】
本実施の態様の装置の調理のプログラム設定器36の設定パネル54は、図16に示す通りであり、メニューは3種類の異なる調理プログラムを設定できるものとしている。まず、メニュー選択手段を構成する選択釦55でメニュー「1」「2」「3」のいずれかを選択して表示させた後、選択釦55を押して調理時間選択手段による調理時間、注水回数選択手段による注水回数、加熱時間設定手段による上加熱時間の順にそれぞれを設定していくものである。メニュー「1」「2」「3」の三種の異なるメニューを別にスイッチ選択制とし、使用上の向上を図っている。
【0030】
表1に、実際に本調理装置による3種類のメニューに対する最も調理結果のよかった調理プログラムの設定結果を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
・まず、調理完了とともに調理物39の芯温を測定し、85℃以上あることを条件とした。
【0033】
・さば半身開きとピザは、グリドル熱板14に直接載せると焦げすぎるため、図17に示す焼網56に載せて調理して良い焦げ目がついた。
【0034】
・調理箱12、13の上部の調理箱ヒータ33は、M形で0.75kWのものとしたが、調理プログラムで早めに切断して焦げ過ぎを防いだ。しかし、調理箱ヒータ33自体のワッテージを下げると赤熱状態にならず、焦げ目が付きにくくなるのと、本調理箱ヒータ33は調理箱12、13の容積全体の温度を上げるのに役立つとともに蒸気発生時の蒸気温度を上げる効果もある。
【0035】
・餃子の場合、表1のデータとしては2人前の12個の調理例を示したが、1人前の6個でも同じ調理プログラムで調理できる。
【0036】
・表1における前述のいずれの場合も従来一般的に行われている調理法と比較して1/2の調理時間で済み、予熱時間の必要な調理法と比較するとさらにスピーディに調理できることとなる。また、その分、電力エネルギーを節減し多大な省エネルギー効果を発揮するものである。
【0037】
本実施の態様における装置は、高めの温度の280℃を維持するグリドル熱板14の上に開閉自在の調理箱12,13を設け、調理箱12,13の中にはグリドル熱板14を加熱するシーズヒータ22とは別の調理箱ヒータ33を備え、1人前〜2人前の調理物39をグリドル熱板14の上に載せて調理箱12,13で略密閉した最小容積の調理空間32を形成し、この調理空間32の中へ間歇的に注水することによってグリドル熱板14の熱で瞬間的に沸騰蒸気を発生させ、調理空間32内を高温蒸気で満たし、調理物39の下からは、グリドル熱板14の熱伝導と熱輻射、上からは瞬間的に赤熱した調理箱ヒータ33からの輻射熱との綜合効果を発揮させて従来の1/2以下のスピードで自動調理し、自動開放するようにした調理装置である。また、2個の調理箱12,13に対して、各々3種類の調理プログラムを設定でき、誰でも失敗のない調理ができる。さらに、調理箱12,13の容積を調理物39の1人前〜2人前で入る程度の大きさに限定したことにより、予熱時間をなくし、沸騰蒸気の熱浸透を間歇注水によって持たせ、その効果を最大限に発揮するようにし、特別な蒸気発生機構を持たずにグリドル熱板14に注水することによって簡単でメンテナンス不要の蒸気発生機構を持つものである。
【0038】
また、本実施の態様における装置は、調理物39が焼魚や餃子、ピザ等のように、適度な「焼き目(焦げ目)」を両面又は片面に付けたい調理物に適したものである。この他にも「しゅうまい」などの蒸し物にも適し、さらに、ハンバーグ・グラタン・焼き鳥・焼いか・手羽先・牛タン・カレイ・さんま・かます開き等の調理に向いている。
【0039】
このように、本実施の態様における装置は、大量調理には不向きなものであるが、ファミリーレストラン等で、1人前または2人前のメニューのオーダが間歇的に入ってくるのをさばくのに最適なものであり、そのような用途に使用すると、時間とエネルギーの節減効果は莫大なものが得られるものである。
【0040】
なお、前述の説明においては、二つの調理箱12,13が独立的に左右に隣接して配置された状態のものについて説明したが、これらは三連のものとして構成してもよいものである。もちろん、特殊な場合として、一つの調理箱しかない装置として利用することも可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来の電気グリドルの一例を示す斜視図である。
【図2】従来の上火式電気魚焼器の一例を示す斜視図である。
【図3】従来の魚焼器の一例を示す斜視図である。
【図4】従来のピザオーブンの一例を示す斜視図である。
【図5】従来の自動餃子焼機の一例を示す斜視図である。
【図6】本実施の態様における調理機の斜視図である。
【図7】グリドル熱板を組み立てる前の分解斜視図である。
【図8】グリドル熱板をセットした状態の斜視図である。
【図9】グリドル熱板の斜視図である。
【図10】グリドル熱板を下方から見た斜視図である。
【図11】グリドル熱板に温度調節器等を組み立てた状態の下方から見た斜視図である。
【図12】調理箱を開放した状態の縦断側面図である。
【図13】調理箱を閉じた状態の縦断側面図である。
【図14】調理箱のみを取り外した状態の分解斜視図である。
【図15】調理箱固定手段と調理箱開放手段とを示す縦断側面図である。
【図16】プログラム設定器の操作パネルを示す正面図である。
【図17】焼網の斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
12 調理箱
13 調理箱
14 グリドル熱板
22 第一の発熱手段
32 調理空間
33 第二の発熱手段
36 プログラム設定手段
40 沸騰蒸気生成手段
55 メニュー選択手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファミリーレストラン、喫茶店等の軽食レストラン、ファーストフード店(以下、これらを総称して飲食店と称する)等において、一度に調理することができる料理量は少ないものの多種類の調理を一台の装置によって短時間で行うことができる多機能型の調理装置に係り、特に、従来の調理内容毎に設計された専用調理機に較べて調理時間が1/2〜1/3に短縮でき、調理プログラムを予め設定することによって熟練を必要とせずに多種類の調理を行うことができ、かつ、電力使用量等を半減できるようにした省エネルギー型の調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食店で必要とする調理装置は、その店で採用しているメニューに基づいて選択使用されているものであるが、近年、洋食メニューが主であったファミリーレストランにおいても和食系のメニューも増やして多様化するなどの傾向がある。例えば、ハンバーグもあれば焼魚定食もあり、店によっては、ピザも餃子もあるなどのようにそのメニューは多様化している。そして、これらの食材は、調理前までの鮮度を保つために冷凍保存されていることが多い。
【0003】
つぎに、各種の調理とその調理のための調理装置との関係を図1乃至図5に基づいて説明する。まず、ハンバーグを調理するには、図1に外観を示したような電気グリドル1が用いられる。この電気グリドル1は、鉄製の厚板でできていて裏面にシーズヒータを密着させて220℃近辺の温度に保たれるグリドル熱板2を備えている。ハンバーグの場合には、グリドル熱板2の上に12〜20個ぐらい載せ、4〜5分調理してからこれらを裏返して3〜4分、計7〜9分調理するが、基本的にこの調理は、調理人の勘で行っている。また、常温のグリドル熱板2を所定温度まで上げるのに10分ぐらいかかるから、最初から調理完了までには、17分はかかることになる。そのため、短時間で調理するためには、シーズヒータに常に通電してグリドル熱板2の温度を調理可能な温度に保っていなければならない。しかしながら、ファミリーレストラン等においても、一度に多量のハンバーグの注文が入ることが少なく、省エネの観点からも望ましくない。
【0004】
次いで、焼魚を焼く場合には、図2に示す上火式電気魚焼器3が用いられる。この上火式魚焼器3は、筐体4の上面にシーズヒータがあって上下に可動の焼き網5の上に魚を載せ、調理人が焼き加減を見ながらひっくり返したり焼き上げ時間を見計らったりするものである。しかしながら、前蓋がなくオープンになっているので、調理状態の見易さはあるが熱気は前面から逃げて庫内温度は上がり難いから時間がかかり、仕上がりまでに10〜15分かかることになる。かつ、省エネとは程遠い構造であり、厨房室に熱気を放散するため、余り使われなくなってきている。
【0005】
また、図3に示すものは、開閉自在の前蓋6が付いた魚焼器7であり、内部には上下にヒータが設けられていて調理する魚をひっくり返す手間がいらず、家庭でも広く使われているものであるが、前蓋6を開いたときに中の熱気は殆ど放出されてしまうため、6分もの予熱時間を必要とし、少なくとも焼き上がりまで10分ぐらいはかかるものである。さらに、特に図示しないが、家庭用として広く使われている魚焼器としては、上蓋を開放する形式のものが存し、この形式の魚焼器は、上下にシーズヒータが設けられていて魚をひっくり返す手間がいらない状態にしているが、やはり、上蓋を開いたときに熱気は放出されるから、調理時間が予熱時間を入れて10分ぐらいはかかるものである。ただ、この形式のものは、上下の器体を引き出して別々に洗うことができるという特長を持つものである。
【0006】
ピザを焼く場合には、図4に示すピザオーブン8を使う。このピザオーブン8は、内部に6段の焼網棚があって一度に8インチのピザを6枚焼けるというものである。しかしながら、ピザ専門店ではないファミリーレストランでサイドメニューとしてピザを提供している店舗では、一度に6枚焼くというオーダは殆どなく、1〜2枚を自動的に短時間(2〜3分)で焼くことができる器械が要望されている。また、このピザオーブン8もピザを出し入れするときに前蓋9を前方に開放するため、その都度、内部の熱気は厨房室に逃げ、また、1〜2枚を焼く場合にも10分ぐらいの予熱時間を必要とし、省エネの観点からも望ましいものではない。
【0007】
餃子を焼く器械としては、専用機としてかなり自動化された図5に示す自動餃子焼機10が存する。このような餃子専用の自動餃子焼機10は、餃子の注文が多いラーメン店や中華料理店などでは活躍するが、ファミリーレストランなどでのサイドメニューとしての餃子の注文は前述の自動餃子焼機10を使うほどのものではない。
【0008】
【特許文献1】特許第3717120号明細書
【特許文献2】特開2006−087816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
飲食店において、ハンバーグも焼魚もピザも餃子もメニューに加えて客の多様なニーズに応えようとした場合、調理機として図1〜図5に示したそれぞれの専用機を設備しなければならなかった。しかしながら、専門店ではない飲食店においては、そのような設備に見合う注文は、特殊なケースを除いてはないと言える。また、これらの専用機は、それぞれの調理を大量に行うことができるという利点を有する反面、自動化されていないので、使いこなすのに熟練を必要とし、かつ、少量の注文をこなすには電力の使用量も莫大なものとなり、また、殆どの調理機は調理物の出し入れ時に前蓋を開放する形式であるため、熱気が逃げてしまうエネルギーロスがあり、また、不使用時に電源を切っておくと、調理時間の何倍もの予熱時間がかかり、ランニングコストの増大を招き、かつ、作業環境を悪化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、下面に第一の発熱手段が配設されているグリドル熱板と、このグリドル熱板上に略密閉した調理空間を形成する下面開口の調理箱であり内部に第二の発熱手段が配設されて前記グリドル熱板の上面に開閉自在に設けられた調理空間形成手段と、前記調理空間内に注水してこの調理空間内に沸騰蒸気を生成する沸騰蒸気生成手段と、メニュー選択手段を備えて選択されたメニュー毎に前記調理空間を維持する調理時間と前記沸騰蒸気生成手段における注水回数と前記第二の発熱手段による加熱時間とを設定するプログラム設定手段と、よりなる調理装置である。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の調理装置において、調理箱により形成される調理空間の容積は、各種調理の略一人前から二人前の量が収納できることを目安に設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1、2記載の調理装置において、グリドル熱板の上面に配設される調理箱は、2個又は3個並設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の調理装置において、調理箱により調理空間が形成されたことを検出する検出信号に基づいて前記調理箱を閉止する調理箱閉止手段と、前記検出信号の発生時を始点として予め選択された調理により定められた調理時間の経過後に前記調理箱閉止手段による前記調理箱の閉止状態を解除して前記調理箱を上方に開放する調理箱開放手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の調理装置において、プログラム設定器はメニュー選択手段を備え、選択されたメニュー毎に設定可能な調理時間選択手段、注水回数設定手段、第二の発熱手段による加熱時間設定手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、ハンバーグや焼魚やピザや餃子等の多彩なメニューも1台で熟練を要せずに、従来の1/2〜数分の1の時間で調理することができ、調理対象に対する熱の集中浸透を最大限に図ることができ、予め定めたメニュー別の調理プログラムをマイコン制御により自動的に行うことによって未熟練者でも調理することが可能であり、特に、電力使用量を低減することができて省エネ効果も大きく、作業環境も良好に保つことができ、特に、一度に調理することができる料理量は少ないものの多種類の調理を一台の装置によって短時間で行うことができる多機能型の調理装置を提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、調理箱により形成される調理空間の容積は、各種調理の略一人前から二人前の量が収納できることを目安に設定されているため、エネルギー効率の高い状態で調理することができ、調理対象を効率よく加熱することができ、しかも、調理時間が短くてよく、電力使用量を低減することができて省エネ効果も大きく、作業環境も良好に保つことができるものである。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、グリドル熱板の上面に配設される調理箱は、2個又は3個並設されているため、装置を小型化して調理空間の狭い飲食店でも余裕をもって設置することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、調理箱により調理空間を形成してからは人手をかけることなく自動的に調理が完了するため、調理の失敗がなく、しかも、調理箱の開放により調理完了を報知することができるため、調理場におけるロスタイムがなくなるものである。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、プログラム設定器はメニュー選択手段を備え、選択されたメニュー毎に設定可能な調理時間選択手段、注水回数設定手段、第二の発熱手段による加熱時間設定手段を備えているため、調理対象に応じた適切な調理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の態様を図6〜図17に基づいて説明する。図6は、調理機11の外観全体図であり、右の調理箱12が開かれていて左の調理箱13が調理中で閉じられている状態を示す。これらの調理箱12,13は、調理空間形成手段となるものである。グリドル熱板14は、器体下枠15と器体甲板16とで構成されている本体17のほぼ中央部の半分ぐらいを占める大きさのものであり、このグリドル熱板14の周囲は一段高くなったグリドル囲み枠18で後面と両側が囲まれ、前面には掃き出し傾斜板19が溶接されていて、調理後の焦げカスや油等が前面に着脱自在に置かれた細長いごみ受けトレイ20に掻き出せるようになっている。図7には、グリドル熱板14が本体17の取付穴枠21に落とし込まれる直前の状態が図示されており、図8には、そのグリドル熱板14が本体17に落とし込まれて固定され、かつ、ごみ受けトレイ20を少し前方に動かした状態が図示されている。ついで、図9、図10、図11には、三本のシーズヒータ22(第一の発熱手段)と温度センサー23と温度調節器24とがグリドル熱板14の裏面に取り付けられている状態が示されている。このようなグリドル熱板14は、本実施の態様における主要な調理熱源となるものであり、その機能と形態は、図1で示した従来広く使われている電気グリドル1の形態に類似している。このグリドル熱板14は、温度調節器24と三本のシーズヒータ22からの熱伝導によって、常に280℃と通常のグリドルより高めの温度に設定されていて、常時280℃を保つようその通電のON−OFF制御がなされている。また、温度調節器24とシリーズに過昇防止温度調節器57を接続してグリドル熱板14の異常温度上昇を防いでいる。さらに、このグリドル熱板14は、10mm程度の厚い鉄板で作られていて大きな熱容量をもっている。このような熱容量の大きい厚い鉄板を使用する理由は、このグリドル熱板14上に冷凍食品等を置いて調理した場合の温度低下を防ぐとともに、後述するが、このグリドル熱板14上に注水して水を蒸発させて沸騰させてもグリドル熱板14の温度低下を小さく保ちたいというものである。また、グリドル熱板14の裏面には、三本のシーズヒータ22を密着させて設けているが、これらは三本とも同じ電力のものとすることにより三相電源に接続することが可能であり、また、接ぎ変えて単相200V電源にも対応させることができる。
【0021】
図6の外観図及び図12、図13から判る如く、本実施の態様における構成上の主体となるグリドル熱板14を左右に2分して左右の調理箱12,13が調理箱回動軸25を中心に回動自在となっていて、両方を閉じたときには、グリドル熱板14を殆ど覆ってしまうような関係になっている。具体的には、各調理箱12,13の大きさは、幅175mm×奥行240mm×高さ55mmとしている。因みに、グリドル熱板14の大きさは、幅370mm×奥行240mmである。調理箱12,13が開いている時の状態を図12に示し、調理箱12,13が閉じて調理中である状態を図13に示す。
【0022】
各調理箱12,13の構造を図6、図12、図13に基づいて説明する。まず、図6で判るように、調理箱12,13は、器体バックガード26から前方に突き出た調理箱保持枠27に取り付けられた前記調理箱回動軸25を回転中心として支えられている。また、調理箱12,13は、調理箱連結体28の先端部の調理箱結合軸29に係合する調理箱結合フック30を介して吊り下げられていて、把手31でグリドル熱板14上に引き上げると、図12及び図13で判るように、グリドル熱板14の上に調理箱12、13で密閉した調理空間32を形成することとなる。このような調理空間32の大きさは、ハンバーグ、焼魚、餃子等のそれぞれ一人前から二人前の調理が可能である寸法に設定されているものであり、調理時間の短縮と消費エネルギーの削減とを図っている。
【0023】
調理箱12,13の上部には、調理箱ヒータ33(第二の発熱手段)が組み込まれていて、この調理箱ヒータ33は調理箱12、13を下げると調理箱回動軸25の奥の起動磁石34が磁気感応スイッチ35を閉じ、プログラム設定器36(プログラム設定手段)をスタートさせる。このプログラム設定器36は、同時に電磁石37に通電して調理箱12,13の先端の吸着板38を吸着して調理箱12,13を閉じた状態を保持しながら調理箱ヒータ33に通電し、調理箱12,13で密閉された空間、すなわち、調理空間32を加熱し、赤熱した調理箱ヒータ33からは輻射熱を放射して調理物39をシーズヒータ22による加熱とともに上下から加熱することになる。前述のプログラム設定器36で通電制御される電磁石37と吸着板38とはプログラム設定器36で設定されているプログラムとともに調理箱閉止手段及び調理箱開放手段を構成する。加熱時間は、予めプログラム設定器36で設定されている。調理箱12、13内に設けられた調理箱ヒータ33は、温度調節はされないが、プログラム設定器36で調理時間とは別に4分以上の通電設定はできないようにしてある。そのため、4分以上の加熱はなされないため、特別な過昇防止手段を設けることなく安全性を確保することができる。さらに、調理箱12,13を閉じると、プログラム設定器36で予め設定したプログラムに従い調理箱12、13の奥の沸騰蒸気生成手段を構成する注水ノズル40から水がグリドル熱板14上に間歇的に注水され、注水された水はグリドル熱板14の熱によって沸騰蒸気となって調理物39を加熱するようになっている。なお、本装置においては、本体17の器体バックガード26の中央上部に水道に接続されている給水口41が設けられている。給水制御は減圧弁42を経由して分岐された2個の電磁弁43に接続されることにより行われている。なお、前述の調理箱回動軸25は、注水回転継ぎ手ともなっており、注水ノズル40はこの注水回転継ぎ手として機能する調理箱回動軸25を介して連結されているため、注水管がフレキシブルである必要はなく、この部分の耐久性は大きい。注水ノズル40からの調理箱12,13内への注水は、10秒間隔毎に0.5秒(注水量にして27cc)行われるようプログラムされていて、その注水回数はプログラム設定器36で調理メニューごとに予め1〜9回の範囲で設定することができる。このグリドル熱板14に対する注水回数は、9回を限度とし、それ以上の回数の設定はできない。また、その必要性はない。注水ノズル40から放出された水は、注水ノズル40の先端に設けられた注水拡散板44によって一旦は調理箱12,13の内部上面に放散されるが、調理箱12、13の内壁を伝わって調理箱12、13で覆われたグリドル熱板14上に落下し、この280℃に熱せられているグリドル熱板14上において数秒で沸騰蒸気になって調理箱12、13内の調理空間32内に充満し、調理物39に急速に浸透してその調理物を加熱することになる。沸騰蒸気の持つ熱量は、その温度が100℃であっても100℃の乾燥空気の持つ熱量に較べて計算上は7倍以上の熱量を持っていることになっている。このことは、「乾燥サウナ」の室温は100℃ぐらいであっても人間は火傷も何もしないで発汗が促進されるために利用されるが、「やかん」の湯が沸騰して吹き出している蒸気は、100℃ではあるが瞬間的に触れるだけで火傷をすることからもその違いと沸騰蒸気の持つ威力を知ることができる。なお、10秒ごとに注水して蒸気化することは、蒸気の持つ加熱浸透力を持続させることを意図しているものである。
【0024】
つぎに、グリドル熱板14は、載せた調理物39を加熱するという機能の他に沸騰蒸気を発生させる熱源としての重要な役割を持っている。グリドル熱板14は、厚さ10mmの鉄板でできていてその裏面には、2.2kW/時のシーズヒータ22を密着させ、本装置の電源スイッチ45を入れると電源ランプ46が点灯し、プログラム設定器36とは関係なく専用の温度調節器24でグリドル熱板14の温度を上げる。このグリドル熱板14の温度は電源投入から約10分で280℃に達し、プログラム設定器36による調理が可能となる。このように調理可能になったときには、電源スイッチ45上部の調理可能ランプ47により表示される。以後、ON−OFF制御により280℃を下回ったときにはシーズヒータ22をONにして280℃を維持する働きをする。一旦、280℃に達してから、何も調理をしないときでも280℃を維持するときの消費電力は約0.8kW/時であるから、アイドルタイム以外は常に電源を入れていつでも調理できるように待機している使用方法となる。グリドル熱板14は、その温度が280℃に達した時点でグリドル熱板14全部で192kcalの熱量を持つものであり、この上に1回当たり27ccの水が10秒間隔で注がれても瞬時に蒸気化されることは既に述べた。蒸気化はグリドル熱板14から熱を奪うことによるものであり、27ccの水が蒸気化するのに約17kcalの熱を奪うものであり、例えば、水の注水回数を3回とすれば51kcalの熱が奪われるため、グリドル熱板14の温度はその分低下するが、すぐにグリドル熱板14のシーズヒータ22がONになって熱量を補給し温度低下を補う働きをするが、瞬間的に210℃ぐらいまで低下することがある。このため、グリドル熱板14の温度は普通のグリドル調理温度が200〜220℃あるのに対して高めに設定しているものである。
【0025】
近年、家庭用のオーブンでも業務用のものでもヒータ加熱の他に庫内に蒸気を発生させて調理するスチームオーブンが多くなっている。しかしながら、特に業務用の場合は蒸気の発生器の構造がコンパクトであるが複雑で水の不純物が蒸発皿に付着してメンテナンスが面倒なので問題となることが多い。また、水道を直結することはできずに必ず水道と機器との間に純水器等の指定器械を入れなければならず、この機器のメンテナンス費用が相当なものとなっている。これに対して、本実施の態様の装置においては、給水口41と電磁弁43との間に水道圧の変化で1回当たりの給水量が違わないように減圧弁42が挿入してあるため、水圧が5kg/cm2 から0.6kg/cm2 の間の変化をしても電磁弁43への水圧を0.5kg/cm2 に保つものである。また、280℃のグリドル熱板14の上に注水することにより沸騰蒸気をほぼ密閉された調理箱12、13内に発生させるという構造は、実にシンプルなものであり、水道水内の不純物等があっても調理が終ったらグリドル熱板14の表面の焦げカスや油分等を前面に掻き出すと云う作業を伴うものであり、前述のようなメンテナンス費用はゼロと云える。
【0026】
つぎに、図14に基づいて調理箱12,13の着脱方法につき説明する。各調理箱12,13は、図12、図13で判るように、平常は調理箱連結体28の先端の調理箱結合軸29に調理箱結合フック30が係合して恰も一体であるかのように結合しているが、調理箱12,13先端の調理箱着脱把手48を手前上方に引き上げると簡単に外すことができる。よって、調理箱12、13を調理箱連結体28から外してからその内面の汚れを洗浄して元に戻すことも容易であり、使用上の大きな特長を備えていると云える。また、調理箱12、13内には、調理箱ヒータ33の先端が係合してその調理箱ヒータ33を固定するヒータ位置決め板49が固定されており、さらに、奥側の壁面には、調理箱ヒータ33が挿入される調理箱ヒータ用長四角穴50と注水ノズル用丸穴51とが形成されている。
【0027】
グリドル熱板14は、前述のように、調理の都度、油分や調理物からの汁が固化した物や焦げカス当で汚れるものである。グリドル熱板14の前面には、傾斜した掻き出し傾斜板19がつらいちに一体に形成されている。その下に図14に示すようにグリドル熱板14よりも横幅が広いごみ受けトレイ20が入るようになっていてグリドル熱板14の清掃性・使用性の向上を図っている。
【0028】
本実施の態様の装置においては、調理が終了すると、自動的に調理箱12,13が開いて作業者に知らせるとともに、余分な加熱等を行わないで済み、調理の失敗を防ぐようになっている。自動開放の構造としてメカニズムを使うと故障の原因となるため、本実施の態様においては、ソリッドステート構造とも云える電磁石吸着方式を採用している。図12、図13及び図15により説明すると、調理箱12,13は、調理箱持ち上げばね52によって略45°の角度に持ち上げられているが、把手31を持って押し下げると調理箱12,13と連動する起動磁石34が甲板の背面内側にある磁気感応スイッチ35に近づき磁気感応スイッチ35の接点を閉じる。調理箱12,13と連動して位置変動する起動磁石34と甲板の背面内側に固定的に設けられている磁気感応スイッチ35との間には、バックガードを構成するステンレス板で隔離されている。このようなステンレス板は、磁力線を通すものの水や汚れを通すことはなく、この種の調理装置において、起動磁石34や磁気感応スイッチ35等の磁力線感応部品をステンレス板で隔離して配設することは、故障の発生を未然に防止するための優れた工夫である。すなわち、起動磁石34と磁気感応スイッチ35との配置は、磨耗やメカニズムのない状態でなされているものであり、調理機の故障を防ぎ、耐久性の向上に大きく寄与しているものである。この磁気感応スイッチ35が閉じた信号は、プログラム設定器36に送られ、プログラム設定器36は、リレー箱53を介して電磁石37に電流を送り器体甲板の上に近づいてきている吸着板38を吸着して調理箱12,13をグリドル熱板14の上に略密閉した調理箱12,13として調理空間32を形成し、予め設定された調理時間の間、電磁石37に電流を送り続け、メニュープログラム終了と同時に電流を切ると調理箱12,13は、調理箱持ち上げばね52の力で開き、ブザーが鳴って調理終了を知らせるものである。この時、調理箱12、13が二連以上の複数個の場合、ブザーの音色が同じであるとどの調理箱12、13が開いたのかわからないが、調理箱12,13毎に音色を変えておくとどの調理箱12,13が開いたのか音色によって認識することができ、作業性が向上するものである。なお、調理箱12,13は、調理箱持ち上げばね52によって常時開く方向へ付勢されている。そのため、吸着板38が電磁石37で吸着されている状態から、調理が終了して電磁石37の吸着力がなくなる状態になると、調理箱12,13は調理箱持ち上げばね52で持ち上がり、この持ち上がり時のイナーシャで開放末端に衝撃を伴うことになる。このショックを和らげるために図示はしないが自動開放ダンパばねが設けられており、開放時の衝撃を緩和している。
【0029】
本実施の態様の装置の調理のプログラム設定器36の設定パネル54は、図16に示す通りであり、メニューは3種類の異なる調理プログラムを設定できるものとしている。まず、メニュー選択手段を構成する選択釦55でメニュー「1」「2」「3」のいずれかを選択して表示させた後、選択釦55を押して調理時間選択手段による調理時間、注水回数選択手段による注水回数、加熱時間設定手段による上加熱時間の順にそれぞれを設定していくものである。メニュー「1」「2」「3」の三種の異なるメニューを別にスイッチ選択制とし、使用上の向上を図っている。
【0030】
表1に、実際に本調理装置による3種類のメニューに対する最も調理結果のよかった調理プログラムの設定結果を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
・まず、調理完了とともに調理物39の芯温を測定し、85℃以上あることを条件とした。
【0033】
・さば半身開きとピザは、グリドル熱板14に直接載せると焦げすぎるため、図17に示す焼網56に載せて調理して良い焦げ目がついた。
【0034】
・調理箱12、13の上部の調理箱ヒータ33は、M形で0.75kWのものとしたが、調理プログラムで早めに切断して焦げ過ぎを防いだ。しかし、調理箱ヒータ33自体のワッテージを下げると赤熱状態にならず、焦げ目が付きにくくなるのと、本調理箱ヒータ33は調理箱12、13の容積全体の温度を上げるのに役立つとともに蒸気発生時の蒸気温度を上げる効果もある。
【0035】
・餃子の場合、表1のデータとしては2人前の12個の調理例を示したが、1人前の6個でも同じ調理プログラムで調理できる。
【0036】
・表1における前述のいずれの場合も従来一般的に行われている調理法と比較して1/2の調理時間で済み、予熱時間の必要な調理法と比較するとさらにスピーディに調理できることとなる。また、その分、電力エネルギーを節減し多大な省エネルギー効果を発揮するものである。
【0037】
本実施の態様における装置は、高めの温度の280℃を維持するグリドル熱板14の上に開閉自在の調理箱12,13を設け、調理箱12,13の中にはグリドル熱板14を加熱するシーズヒータ22とは別の調理箱ヒータ33を備え、1人前〜2人前の調理物39をグリドル熱板14の上に載せて調理箱12,13で略密閉した最小容積の調理空間32を形成し、この調理空間32の中へ間歇的に注水することによってグリドル熱板14の熱で瞬間的に沸騰蒸気を発生させ、調理空間32内を高温蒸気で満たし、調理物39の下からは、グリドル熱板14の熱伝導と熱輻射、上からは瞬間的に赤熱した調理箱ヒータ33からの輻射熱との綜合効果を発揮させて従来の1/2以下のスピードで自動調理し、自動開放するようにした調理装置である。また、2個の調理箱12,13に対して、各々3種類の調理プログラムを設定でき、誰でも失敗のない調理ができる。さらに、調理箱12,13の容積を調理物39の1人前〜2人前で入る程度の大きさに限定したことにより、予熱時間をなくし、沸騰蒸気の熱浸透を間歇注水によって持たせ、その効果を最大限に発揮するようにし、特別な蒸気発生機構を持たずにグリドル熱板14に注水することによって簡単でメンテナンス不要の蒸気発生機構を持つものである。
【0038】
また、本実施の態様における装置は、調理物39が焼魚や餃子、ピザ等のように、適度な「焼き目(焦げ目)」を両面又は片面に付けたい調理物に適したものである。この他にも「しゅうまい」などの蒸し物にも適し、さらに、ハンバーグ・グラタン・焼き鳥・焼いか・手羽先・牛タン・カレイ・さんま・かます開き等の調理に向いている。
【0039】
このように、本実施の態様における装置は、大量調理には不向きなものであるが、ファミリーレストラン等で、1人前または2人前のメニューのオーダが間歇的に入ってくるのをさばくのに最適なものであり、そのような用途に使用すると、時間とエネルギーの節減効果は莫大なものが得られるものである。
【0040】
なお、前述の説明においては、二つの調理箱12,13が独立的に左右に隣接して配置された状態のものについて説明したが、これらは三連のものとして構成してもよいものである。もちろん、特殊な場合として、一つの調理箱しかない装置として利用することも可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来の電気グリドルの一例を示す斜視図である。
【図2】従来の上火式電気魚焼器の一例を示す斜視図である。
【図3】従来の魚焼器の一例を示す斜視図である。
【図4】従来のピザオーブンの一例を示す斜視図である。
【図5】従来の自動餃子焼機の一例を示す斜視図である。
【図6】本実施の態様における調理機の斜視図である。
【図7】グリドル熱板を組み立てる前の分解斜視図である。
【図8】グリドル熱板をセットした状態の斜視図である。
【図9】グリドル熱板の斜視図である。
【図10】グリドル熱板を下方から見た斜視図である。
【図11】グリドル熱板に温度調節器等を組み立てた状態の下方から見た斜視図である。
【図12】調理箱を開放した状態の縦断側面図である。
【図13】調理箱を閉じた状態の縦断側面図である。
【図14】調理箱のみを取り外した状態の分解斜視図である。
【図15】調理箱固定手段と調理箱開放手段とを示す縦断側面図である。
【図16】プログラム設定器の操作パネルを示す正面図である。
【図17】焼網の斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
12 調理箱
13 調理箱
14 グリドル熱板
22 第一の発熱手段
32 調理空間
33 第二の発熱手段
36 プログラム設定手段
40 沸騰蒸気生成手段
55 メニュー選択手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に第一の発熱手段が配設されているグリドル熱板と、このグリドル熱板上に略密閉した調理空間を形成する下面開口の調理箱であり内部に第二の発熱手段が配設されて前記グリドル熱板の上面に開閉自在に設けられた調理空間形成手段と、前記調理空間内に注水してこの調理空間内に沸騰蒸気を生成する沸騰蒸気生成手段と、メニュー選択手段を備えて選択されたメニュー毎に前記調理空間を維持する調理時間と前記沸騰蒸気生成手段における注水回数と前記第二の発熱手段による加熱時間とを設定するプログラム設定手段と、よりなることを特徴とする調理装置。
【請求項2】
調理箱により形成される調理空間の容積は、各種調理の略一人前から二人前の量が収納できることを目安に設定されていることを特徴とする請求項1記載の調理装置。
【請求項3】
グリドル熱板の上面に配設される調理箱は、2個又は3個並設されていることを特徴とする請求項1、2記載の調理装置。
【請求項4】
調理箱により調理空間が形成されたことを検出する検出信号に基づいて前記調理箱を固定する調理箱固定手段と、前記検出信号の発生時を始点として予め選択された調理により定められた調理時間の経過後に前記調理箱閉止手段による前記調理箱の閉止状態を解除して前記調理箱を上方に開放する調理箱開放手段と、を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の調理装置。
【請求項5】
プログラム設定器はメニュー選択手段を備え、選択されたメニュー毎に設定可能な調理時間選択手段、注水回数設定手段、第二の発熱手段による加熱時間設定手段を備えていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の調理装置。
【請求項1】
下面に第一の発熱手段が配設されているグリドル熱板と、このグリドル熱板上に略密閉した調理空間を形成する下面開口の調理箱であり内部に第二の発熱手段が配設されて前記グリドル熱板の上面に開閉自在に設けられた調理空間形成手段と、前記調理空間内に注水してこの調理空間内に沸騰蒸気を生成する沸騰蒸気生成手段と、メニュー選択手段を備えて選択されたメニュー毎に前記調理空間を維持する調理時間と前記沸騰蒸気生成手段における注水回数と前記第二の発熱手段による加熱時間とを設定するプログラム設定手段と、よりなることを特徴とする調理装置。
【請求項2】
調理箱により形成される調理空間の容積は、各種調理の略一人前から二人前の量が収納できることを目安に設定されていることを特徴とする請求項1記載の調理装置。
【請求項3】
グリドル熱板の上面に配設される調理箱は、2個又は3個並設されていることを特徴とする請求項1、2記載の調理装置。
【請求項4】
調理箱により調理空間が形成されたことを検出する検出信号に基づいて前記調理箱を固定する調理箱固定手段と、前記検出信号の発生時を始点として予め選択された調理により定められた調理時間の経過後に前記調理箱閉止手段による前記調理箱の閉止状態を解除して前記調理箱を上方に開放する調理箱開放手段と、を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の調理装置。
【請求項5】
プログラム設定器はメニュー選択手段を備え、選択されたメニュー毎に設定可能な調理時間選択手段、注水回数設定手段、第二の発熱手段による加熱時間設定手段を備えていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の調理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−82236(P2009−82236A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252707(P2007−252707)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(591052125)日本洗浄機株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(591052125)日本洗浄機株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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