説明

車両の補機支持構造

【課題】車両前部のエンジンルームにおける車幅方向に延びるシュラウドの車両後方近傍に補機を配置支持する車両の補機支持構造において、エンジンルームのコンパクト化を図りながら、補機を車両前突時に確実に保護する。
【解決手段】エアクリーナ31の前部を前側取付ブラケット33を介してシュラウド16に、その後部下側を後側取付ブラケット34を介して車体に取り付けられたマウント36に取付支持する。前側取付ブラケット33に、シュラウド16の後退時に該シュラウド16に当接することで該前側取付ブラケット33をシュラウド16から取り外す取外し機構を設ける。後側取付ブラケット34に、エアクリーナ31の上部が後退するように該エアクリーナ31が揺動することを許容するゴムブッシュ39を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部のエンジンルームにおける車幅方向に延びるシュラウドの車両後方近傍に補機を配置支持する車両の補機支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両前部のエンジンルームは、より広い車室を確保するため、よりコンパクトにすることが求められている。このようにコンパクト化されたエンジンルームでは、エンジンやエアクリーナ等の補機を密に配置する必要がある。ここで、補機をエンジンルームに強固に固定支持すると、補機は車両前突時に車両前部の変形を妨げるものとなり、その結果、車両前突時にその衝撃荷重を十分に吸収することができないおそれがある。
【0003】
そこで、特許文献1及び2には、車両前突時にその衝撃荷重を十分に吸収することができるよう、補機が車両前突時に車両後方に移動するものが開示されている。特許文献1では、車幅方向に延びるシュラウドの車両後方近傍にエアクリーナ(補機)を配置支持しており、このエアクリーナは車両前突時に後退するようになっている。また、特許文献2では、車体にブラケットを介してエアクリーナ(補機)を取付支持しており、このエアクリーナは車両前突時に後退しながら上方に移動するようになっている。
【特許文献1】特開2007−1526号公報
【特許文献2】特開2006−194223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2のいずれのものも、エアクリーナが車両前突時に全体的に後退するため、車体や他の補機などに接触する場合があり、それ故、エアクリーナを確実に保護することができないという問題がある。
【0005】
この問題を解決するためには、エアクリーナと車体や他の補機などとの間に広いスペースを確保すればよいが、これは、エンジンルームのコンパクト化に反する。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両前部のエンジンルームにおける車幅方向に延びるシュラウドの車両後方近傍に補機を配置支持する車両の補機支持構造において、エンジンルームのコンパクト化を図りながら、補機を車両前突時に確実に保護することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、車両前部のエンジンルームにおける車幅方向に延びるシュラウドの車両後方近傍に補機を配置支持する車両の補機支持構造であって、上記補機は、その前部が前側取付部材を介して上記シュラウドに、その後部下側が後側取付部材を介して車体又は該車体に取り付けられた剛性部材に取付支持されており、上記前側取付部材には、上記シュラウドの後退時に該シュラウドに当接することで該前側取付部材を上記シュラウドから取り外す取外し機構が設けられており、上記後側取付部材には、上記補機の上部が後退するように該補機が揺動することを許容する揺動許容部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
これにより、シュラウドの車両後方に補機を近接配置しているので、エンジンルームのコンパクト化を図ることができる。
【0009】
また、補機の前部をシュラウドに取り付けるための前側取付部材に、シュラウドの後退時にシュラウドに当接することで前側取付部材をシュラウドから取り外す取外し機構を設けるとともに、補機の後部下側を車体又は剛性部材に取り付けるための後側取付部材に、補機の上部が後退するように補機が揺動することを許容する揺動許容部を設けているので、車両前突時にシュラウドが後退すると、前側取付部材はシュラウドから外れ、補機はその上部が後退するように揺動する。このため、従来のように補機が全体的に後退する場合と比較して、補機が車体や他の補機などに接触する可能性を低くすることができる。したがって、補機を車両前突時に確実に保護することができる。
【0010】
以上から、エンジンルームのコンパクト化を図りながら、補機を車両前突時に確実に保護することができる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記前側取付部材は、前側取付ブラケットであり、上記取外し機構は、上記前側取付ブラケットの一部を構成し、上記シュラウドのアッパ部に取り付けられたシュラウド取付部と、上記前側取付ブラケットの一部を構成し、上記シュラウドの後退時に上記シュラウドのアッパ部に当接することで上記シュラウド取付部を所定方向に変位させて上記前側取付ブラケットを上記シュラウドから取り外す変位案内部とを有していることを特徴とするものである。
【0012】
これにより、ブラケットという簡単な構成で、シュラウドの後退時に前側取付部材をシュラウドから取り外すことが可能になる。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記前側取付ブラケットは、上記シュラウド取付部が上記シュラウドのアッパ部上面に取り付けられていて、上記補機における上記シュラウドのアッパ部上面よりも下側部分を載置支持する補機取付部と、上記シュラウド取付部と該補機取付部との間に設けられ、車両前方から後方に行くに従って下方に傾斜する上記変位案内部としての傾斜部とを有していることを特徴とするものである。
【0014】
これにより、前側取付ブラケットのシュラウド取付部をシュラウドのアッパ部上面に、前側取付ブラケットの補機取付部を補機におけるシュラウドのアッパ部上面よりも下側部分に取り付けているので、前側取付ブラケットをほぼシュラウドのアッパ部上面よりも下方に位置させることができ、前側取付ブラケットの上方突出を抑えることができる。このため、エンジンルームのコンパクト化をより一層図ることができる。
【0015】
また、補機におけるシュラウドのアッパ部上面よりも下側部分を前側取付ブラケットの補機取付部に載置支持しているので、補機を前側取付ブラケットに仮置きすることができ、補機の組み付け性を向上させることができる。
【0016】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記シュラウドは、上記車体よりも変形容易でかつ車両前突時にその衝撃荷重を吸収するクラッシュカンを介して、上記車体に車両前突時に後退可能に取付支持されていることを特徴とするものである。
【0017】
これにより、シュラウドをクラッシュカンを介して車体に車両前突時に後退可能に取付支持しているので、シュラウドを車両前突時に後退させることができ、シュラウド及び補機をクラッシュカンにて衝撃荷重を吸収することができる軽度の車両前突時に確実に保護することができる。
【0018】
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、上記補機は、その上部後側が車両前方に凹んでおり、上記補機の車両後方近傍には、第2補機が配置されていることを特徴とするものである。
【0019】
これにより、補機の上部後側が車両前方に凹んでいるので、補機上部の後方に補機上部の後退スペースを確保することができ、補機を車両前突時により一層確実に保護することができる。
【0020】
また、補機の車両後方に第2補機を近接配置しているので、エンジンルームのコンパクト化をより一層図りながら、これらの補機をアクセス容易にすることができる。
【0021】
以上から、エンジンルームのコンパクト化をより一層図りつつ、補機及び第2補機をアクセス容易にし、かつ補機を車両前突時により一層確実に保護することができる。
【0022】
第6の発明は、上記第1〜5のいずれか1つの発明において、上記揺動許容部は、上記補機が後上方に揺動することを許容するものであり、上記補機は、車両前方に突出しかつ該補機の揺動時に上記シュラウドよりも上方に位置する突出部を有していることを特徴とするものである。
【0023】
これにより、シュラウドと車両前方に突出する補機の突出部とを密に配置しながら、突出部が補機の揺動時にシュラウドよりも上方に位置するので、突出部の下方にシュラウドの後退スペースを確保することができ、シュラウド及び突出部を車両前突時に確実に保護することができる。
【0024】
第7の発明は、上記第2の発明において、上記取外し機構は、上記シュラウドと上記前側取付ブラケットのシュラウド取付部とを締結する締結部材と、上記前側取付ブラケット及び締結部材のいずれか一方に設けられ、上記シュラウドの後退時に上下方向の荷重を受けて変形することで上記締結部材による締結を解除する変形容易部とをさらに有していることを特徴とするものである。
【0025】
これにより、前側取付ブラケット及び締結部材のいずれか一方に変形容易部を設けるという簡単な構成で、前側取付ブラケット及び締結部材の他方を工夫することなく、締結部材によるシュラウド及び前側取付ブラケットのシュラウド取付部の締結を解除することができる。
【0026】
第8の発明は、上記第1〜7のいずれか1つの発明において、上記補機は、エアクリーナであり、上記エアクリーナは、エアクリーナ本体と、上記シュラウドと該エアクリーナ本体との間に配置され、変形容易かつ交換可能な連結ダクトとを有していることを特徴とするものである。
【0027】
これにより、シュラウドとエアクリーナ本体との間に連結ダクトを配置しているので、シュラウド、連結ダクト、及びエアクリーナ本体が密に配置されることになり、エンジンルームのコンパクト化をより一層図ることができる。
【0028】
また、シュラウドとエアクリーナ本体との間の連結ダクトを変形容易なものにしているので、連結ダクトをシュラウドの後退時にシュラウド及びエアクリーナ本体保護用のクッションとして機能させることができる。このため、シュラウド及びエアクリーナ本体を車両前突時に確実に保護することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、シュラウドの車両後方に補機を近接配置しているので、エンジンルームのコンパクト化を図ることができ、また、補機の前部をシュラウドに取り付けるための前側取付部材に、シュラウドの後退時にシュラウドに当接することで前側取付部材をシュラウドから取り外す取外し機構を設けるとともに、補機の後部下側を車体又は剛性部材に取り付けるための後側取付部材に、補機の上部が後退するように補機が揺動することを許容する揺動許容部を設けているので、車両前突時にシュラウドが後退すると、前側取付部材はシュラウドから外れ、補機はその上部が後退するように揺動し、このため、従来のように補機が全体的に後退する場合と比較して、補機が車体や他の補機などに接触する可能性を低くすることができ、したがって、補機を車両前突時に確実に保護することができ、以上から、エンジンルームのコンパクト化を図りながら、補機を車両前突時に確実に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
(実施形態1)
−車両の前部車体構造−
図1は、本発明の実施形態に係る補機支持構造を備えた車両の前部車体の平面図であり、図2は、車両の前部車体の斜視図であり、図3は、車両の前部車体の正面図であり、図4は、車両の前部車体の拡大平面図であり、図5は、車両の前部車体を上下方向と直角をなす平面に沿って切った概略断面図である。なお、これらの図では、図を見易くするため、部材の図示を適宜省略している。このことは、以下に示す図でも同様である。
【0032】
図1等中、符号11,12は車両前部のエンジンルーム10の車幅方向両側に車両前後方向に延びるようにそれぞれ配設された左右のフロントサイドフレームである。13,14はエンジンルーム10の車幅方向両側に車両前後方向に延びるように配設された左右のクラッシュカンであり、これらのクラッシュカン13,14は、その後端のフランジ部13a,14aが左右のフロントサイドフレーム11,12前端のフランジ部11a,12aにそれぞれ取付結合されていて、フロントサイドフレーム(車体)11,12よりも変形容易に構成されているとともに、車両前突時にその衝撃荷重を吸収するようになっている。15はエンジンルーム10に車幅方向に延びるように配設された頑丈なバンパーレインフォースメントであり、このバンパーレインフォースメント15は左右のクラッシュカン13,14前端の間に架設連結されている。
【0033】
符号16はエンジンルーム10におけるバンパーレインフォースメント15の車両後方でかつ左右のクラッシュカン13,14の間で車幅方向に延びるように配設された略矩形枠状のシュラウドであり、このシュラウド16は樹脂製(本実施形態ではFRP製)のものであり、その枠内には、ラジエター17が取付支持されている。このことで、ラジエター17は、フロントサイドフレーム11,12よりも車両前方に配置されることになる。シュラウド16は、上下方向に延びる左右のサイド部16a,16bと、これらのサイド部16a,16bの上端の間に車幅方向に延びるように架設されたアッパ部16cと、サイド部16a,16bの下端の間に車幅方向に延びるように架設されたロア部16dとを有している。左右のサイド部16a,16bは、その上下方向中央部がバンパーレインフォースメント15の後面に取付ブラケット18,19を介してそれぞれ取り付けられている。これらの取付ブラケット18,19は、車両前突時にその衝撃荷重を吸収するため、車両前後方向に屈曲している。また、左右のサイド部16a,16bの車幅方向外側面には、車両前方及び上下方向に開くU字状のフック部16e(図では左側のフック部のみ図示)がそれぞれ形成されており、これらのフック部16eは、左右のクラッシュカン13,14上面の後端にそれぞれボルト止めされている。このことで、シュラウド16の車幅方向及び車両前方への移動が規制されている。そして、シュラウド16は、車両前突時には、クラッシュカン13,14が車両後方に潰れ変形しかつフック部16eがクラッシュカン13,14から外れることで、バンパーレインフォースメント15とともに車両後方へ下がるようになっている。
【0034】
シュラウド16のアッパ部16cの左端部には、外気を取り込む吸気口16fが形成されており、この吸気口16f周縁部には、吸気口16fからの吸気を通す樹脂製の上流側吸気ダクト20が取り付けられている。この上流側吸気ダクト20は、シュラウド16のアッパ部16cから車両後方に延びた後、車両左方に湾曲している。シュラウド16のアッパ部16cにおける吸気口16fの車両左側(車幅方向外側)の部分には、エアクリーナ取付用の取付部16gが形成されており、この取付部16gの後端部には、ファスナー挿通用の円状の挿通孔16hが形成されている。
【0035】
なお、図1等中、符号21は左側のサスペンションタワー、22はバンパー、23,24は左右のプリクラッシュカン、25はエアコンディショナー用のコンデンサーである。
【0036】
−車両の補機支持構造−
図6は、補機支持構造の左側面図であり、図7は、補機支持構造を車幅方向と直角をなす平面に沿って切った断面図であり、図8は、補機支持構造の斜視図である。
【0037】
図1、図6〜図8に示すように、エンジンルーム10におけるシュラウド16左端部の車両後方近傍には、吸気中の異物やホコリを除去するためにフィルター31iを用いたエンジン用のエアクリーナ(補機)31が配置支持されている。このことで、エアクリーナ31は、シュラウド16の吸気口16fに近接されることになり、よって、吸気口16fとエアクリーナ31との間の距離が短くなり、吸気抵抗が小さくなる。また、エンジンルーム10におけるエアクリーナ31の車両後方近傍には、バッテリ(第2補機)32が配置支持されている。以上のようにして、シュラウド16、エアクリーナ31及びバッテリ32は、密に配置されている。
【0038】
図9は、エアクリーナの斜視図であり、図10は、エアクリーナを車幅方向と直角をなす平面に沿って切った断面図であり、図11は、エアクリーナを車両前後方向と直角をなす平面に沿って切った断面図である。
【0039】
エアクリーナ31は、図1、図6〜図11に示すように、上流側吸気ダクト20からの吸気を通す上流側連結ダクト31aと、この上流側連結ダクト31aからの吸気を通す樹脂製のエアクリーナボックス(エアクリーナ本体)31bと、このエアクリーナボックス31bからの吸気を通す下流側連結ダクト31cと、吸気脈動を抑制して吸気抵抗を小さくするチャンバー(突出部)31dとを備えている。
【0040】
上流側連結ダクト31aは、その上流端が上流側吸気ダクト20の下流端に連結取付されていて、上流側吸気ダクト20から車両左方に延びた後、車両後方に湾曲して、その下流端がエアクリーナボックス31bと連通している。このことで、上流側連結ダクト31aは、シュラウド16及びラジエター17とエアクリーナボックス31bとの間に配置されることになる。また、上流側連結ダクト31aは、上流側吸気ダクト20やエアクリーナボックス31bよりも変形容易なラバー製のものであり、破損時等に新しいものと交換することが可能になっていて、ブロー成形等によって製造されている。このように、上流側連結ダクト31aを低強度のものにすることで、上流側連結ダクト31aの取付性や振動の吸収性、クッション性を向上させている。
【0041】
エアクリーナボックス31bは、上下方向略中央で上下に2分割されていて、上側部材31eと下側部材31fとで形成されている。上側部材31eは、その後面が下側部材31fの後面よりも車両前方に位置している。つまり、エアクリーナボックス31bは、その上部後側が車両前方に凹んでいる(特に図6を参照)。このことで、詳細は後述するが、エアクリーナボックス31b上部の後方にエアクリーナ31上部の後退スペースを確保している。上側部材31eの左側部分は、上方に突出しており、この突出部の右面(車幅方向内側面)には、下流側連結ダクト31cの上流端が連結取付されている。上側部材31eの上面は、シュラウド16の取付部16g上面よりも上方に位置している。
【0042】
下側部材31fの下面は、その右端寄りの部分が下方に突出しており、この突出部の前面には、上流側連結ダクト31aの下流端が連結取付されている。下側部材31fの前面における車幅方向略中央部の上端には、取付ブラケット31gが一体に形成されており、この取付ブラケット31gは、下側部材31fから車両前方に突出していて、シュラウド16の取付部16g上面よりも下側にあり、その前端部にボルト挿通用の円状の挿通孔31hが形成されている。下側部材31f内の上側には、比較的面積の大きいフィルター31iがエアクリーナボックス31bの内部空間を仕切るように嵌合取付されている。
【0043】
下流側連結ダクト31cは、上側部材31eから車両右方に延びた後、車両後方に湾曲して、その下流端が下流側吸気ダクト26の上流端と連通している。チャンバー31dは、下流側連結ダクト31cの湾曲部31jの前面から車両前方に突出していて、通常はシュラウド16と車両前後方向視で重なる高さ位置に位置しているが、位置エアクリーナ31の揺動時はシュラウド16のアッパ部16cよりも上方に位置するようになっている。このことで、詳細は後述するが、チャンバー31dの下方にシュラウド16の後退スペースを確保している。
【0044】
また、エアクリーナ31は、その前部が前側取付ブラケット(前側取付部材)33を介してシュラウド16に、その後部下側が左右の後側取付ブラケット(後側取付部材)34,35を介して、バッテリ載置支持用のマウント(剛性部材)36に取付支持されている。このマウント36は、図示は省略するが、エプロンパネル(車体)に取付固定されていて、シュラウド16の後退時に壊れたりしないように、比較的高い剛性(強度)を持っている。以下、図6、図7、図10〜図13を参照しながら、エアクリーナ31の取付支持構造について詳細に説明する。
【0045】
図12は、エアクリーナを取り外した状態における車両の前部車体構造の平面図であり、図13は、左側のゴムブッシュの断面図である。
【0046】
前側取付ブラケット33は、略クランク状に形成されていて、略水平に延びる前側水平部(シュラウド取付部、取外し機構)33aと、この前側水平部33aの後端から車両後方に延び、かつ車両前方から後方に行くに従って下方に傾斜する傾斜部(変位案内部、取外し機構)33bと、この傾斜部33bの後端(下端)から車両後方にかつ略水平に延びる後側水平部(補機取付部)33cとを有している。このように、傾斜部33bは、前側及び後側水平部33a,33cの間に設けられていて、これらを互いに連結している。
【0047】
前側水平部33aの前部には、ファスナー挿通用の円状の挿通孔33dが形成されており、この挿通孔33d及びシュラウド16の取付部16gの挿通孔16hに挿通された樹脂製のファスナー(締結部材、変形容易部)37によって、前側水平部33aは、シュラウド16の取付部16g上面に留められている。このファスナー(クリップ)37は、変形容易なものであり、詳細は後述するが、シュラウド16の後退時には、上方向の荷重を受けて変形することで、ファスナー37によるシュラウド16及び前側取付ブラケット33の前側水平部33aの締結を解除するようになっている。前側水平部33aの前端には、ファスナー37が簡単に外れないようにするため、そこから下方に垂下する垂下部33eが形成されている。
【0048】
傾斜部33bは、詳細は後述するが、シュラウド16の後退時には、シュラウド16の取付部16g後端に当接することで、前側水平部33aを上方向(所定方向)に変位させて前側取付ブラケット33をシュラウド16から取り外すようになっている。
【0049】
後側水平部33cの後部には、ボルト挿通用の円状の挿通孔33fが形成されており、この挿通孔33f及びエアクリーナボックス31bの取付ブラケット31gの挿通孔31hに挿通されたボルトとナットとからなる締結部材38によって、後側水平部33cは、エアクリーナボックス31bの取付ブラケット31gに締結固定されている。また、後側水平部33cは、エアクリーナの取付ブラケット31gを載置支持している。このことで、後側水平部33cは、エアクリーナ31におけるシュラウド16のアッパ部16c上面よりも下側部分をその下方から載置支持している。
【0050】
左側の後側取付ブラケット34は、それぞれ略同じ高さ位置で略水平に延びる前側及び後側水平部34a,34bと、これらの水平部34a,34bの間にそこから垂下するように設けられ、前側及び後側水平部34a,34bを互いに連結する略コ字状のコ字状部34cとを有している。このような構成を採用することで、左側の後側取付ブラケット34は、比較的強い衝撃荷重を受けると、撓むようになっている。
【0051】
前側水平部34aには、ゴムブッシュ固定用の円状の固定孔34dが形成されており、このゴムブッシュ(揺動許容部)39は、略中空円環状に形成された振動吸収用のものであって、上側円環部39aと、この上側円環部39aの下方に位置し、かつ外径が上側円環部39aの外径よりも小さく固定孔34dの孔径と略同じである中間円環部39bと、この中間円環部39bの下方に位置し、かつ上端の外径が前側水平部34aの固定孔34dと略同じで上側円環部39aの外径よりも小さく中間円環部39bの外径よりも大きい下側円環部39cとを有している。そして、ゴムブッシュ39を前側水平部34aの固定孔34dに圧入してその中間円環部39bを固定孔34dに嵌合することによって、ゴムブッシュ39は、前側水平部34aの固定孔34dに取付固定されている。また、ゴムブッシュ39の中空部39dに挿通されたピン40によって、前側水平部34aは、ゴムブッシュ39を介してエアクリーナボックス31bの後端部における左端部(車幅方向外側端部)の下面に留められている。つまり、前側水平部34aは、ゴムブッシュ39を介してエアクリーナ31を支持している。ゴムブッシュ39は、詳細は後述するが、シュラウド16の後退時に前側取付ブラケット33がシュラウド16から外れることで、エアクリーナ31の上部が車両後方に変位するようにエアクリーナ31が揺動すること、すなわちエアクリーナ31が全体として後上方に揺動することを許容するようになっている。後側水平部34bは、マウント36の前端部における左端部の下面に取付固定されている。
【0052】
一方、右側の後側取付ブラケット35は、略水平に延びる前側水平部35aと、この前側水平部35aの後端から車両後方に延び、かつ車両前方から後方に行くに従って上方に傾斜する傾斜部35bと、この傾斜部35bの後端(上端)から車両後方にかつ略水平に延びる後側水平部35cとを有している。このような構成を採用することで、右側の後側取付ブラケット35は、比較的強い衝撃荷重を受けると、撓むようになっている。前側水平部35aには、ゴムブッシュ固定用の円状の固定孔(図示せず)が形成されている。この固定孔には、左側の後側取付ブラケット34のゴムブッシュ39と同様のゴムブッシュ(揺動許容部)41が圧入固定されている。そして、このゴムブッシュ41の中空部41aに挿通されたピン42によって、前側水平部35aは、ゴムブッシュ41を介してエアクリーナボックス31bの後端部における右端部(車幅方向内側端部)部分の下面に留められている。後側水平部35cは、マウント36の前端部における右端部の下面に取付固定されている。
【0053】
なお、エアクリーナ31は、上流側吸気ダクト20及び上流側連結ダクト31aを介してシュラウド16のアッパ部16cに取付固定されている。
【0054】
−補機支持構造の動作−
以下、図14〜図16を参照しながら、車両のオフセット前面衝突時における補機支持構造の動作について説明する。
【0055】
図14は、車両のオフセット前面衝突時の状態を示す図5相当図であり、図15は、車両のオフセット前面衝突時の初期状態を示す図7相当図であり、図16は、車両のオフセット前面衝突時の終期状態を示す図7相当図である。
【0056】
車両左側が軽く前突すると、左側クラッシュカン13が車両後方に潰れ変形するとともに、シュラウド16の左側フック部16eが左側クラッシュカン13から外れ、シュラウド16がバンパーレインフォースメント15とともに後退する(図14の二点鎖線を参照)。このとき、シュラウド16及びバンパーレインフォースメント15は、その車両左側が車両右側よりも後退する。
【0057】
このようにシュラウド16が後退すると、図15に示すように、シュラウド16の取付部16g後端が前側取付ブラケット33の傾斜部33bに当接する。この傾斜部33bは車両前方から後方に行くに従って下方に傾斜しているので、前側取付ブラケット33はその当接によって上方向の荷重を受ける。このことで、ファスナー37も上方向の荷重を受けて変形し、シュラウド16の取付部16gの挿通孔16hから外れたり壊れたりする。それによって、ファスナー37によるシュラウド16及び前側取付ブラケット33の前側水平部33aの締結が解除され、前側取付ブラケット33はシュラウド16によって跳ね上げられて上方に移動する。こうして、前側取付ブラケット33はシュラウド16から外れる。
【0058】
このように前側取付ブラケット33がシュラウド16から外れると、前側取付ブラケット33に作用する上向きの荷重によって、ピン40,42が、エアクリーナ31の後部下側を支持するゴムブッシュ39,41が変形することで車両後方に傾倒し、エアクリーナ31がピン40,42(ゴムブッシュ39,41)を揺動中心として後上方に揺動する。このとき、後側取付ブラケット34,35も幾らか車両後方に曲がり変形する。これらのことで、エアクリーナ31の上部が車両後方に移動する一方、その下部は全体的には車両後方には移動しない(図16を参照)。なお、エアクリーナ31は揺動するものの、バッテリ32には当接しない。
【0059】
このようにエアクリーナ31の上部が車両後方に変位するが、エアクリーナボックス31bの上部後側を車両前方に凹ませているので、エアクリーナボックス31b上部とバッテリ32との間にはスペースが確保され、エアクリーナ31はバッテリ32に当接しない。また、エアクリーナ31が後傾すると、チャンバー31dがシュラウド16のアッパ部16cよりも上方に移動するので、チャンバー31dの下方には空間が確保され、シュラウド16はその下方空間に入り込む。さらに、シュラウド16が後退すると、エアクリーナ31の上流側連結ダクト31aがシュラウド16及びラジエター17とエアクリーナボックス31bとの間に挟まれるが、上流側連結ダクト31aは低強度なので潰れ、シュラウド16、ラジエター17及びエアクリーナボックス31b保護用のクッションの役割を果たす。
【0060】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、シュラウド16の車両後方にエアクリーナ31を近接配置しているので、エンジンルーム10のコンパクト化を図ることができる。また、エアクリーナ31の前部をシュラウド16に取り付けるための前側取付ブラケット33に、シュラウド16の後退時にシュラウド16に当接することで前側取付ブラケット33をシュラウド16から取り外す取外し機構を設けるとともに、エアクリーナ31の後部下側をマウント36に取り付けるための後側取付ブラケット34,35に、エアクリーナ31の上部が後退するようにエアクリーナ31が揺動することを許容するゴムブッシュ39,41を設けているので、車両前突時にシュラウド16が後退すると、前側取付ブラケット33はシュラウド16から外れ、エアクリーナ31はその上部が後退するように揺動する。このため、従来のようにエアクリーナ31が全体的に後退する場合と比較して、エアクリーナ31が車体や他の補機などに接触する可能性を低くすることができる。したがって、エアクリーナ31を車両前突時に確実に保護することができる。以上から、エンジンルーム10のコンパクト化を図りながら、エアクリーナ31を車両前突時に確実に保護することができる。
【0061】
また、ブラケットという簡単な構成で、シュラウド16の後退時に前側取付ブラケット33をシュラウド16から取り外すことが可能になる。
【0062】
さらに、前側取付ブラケット33の前側水平部33aをシュラウド16のアッパ部16c上面に、前側取付ブラケット33の後側水平部33cをエアクリーナ31におけるシュラウド16のアッパ部16c上面よりも下側にある取付ブラケット31gに取り付けているので、前側取付ブラケット33をほぼシュラウド16のアッパ部16c上面よりも下方に位置させることができ、前側取付ブラケット33の上方突出を抑えることができる。また、エアクリーナ31やバッテリ32の上方突出も抑えている。以上から、エンジンルーム10のコンパクト化をより一層図ることができる。したがって、ボンネットの位置を低くすることができ、その乗員保護性能を向上させることができる。
【0063】
さらにまた、エアクリーナ31におけるシュラウド16のアッパ部16c上面よりも下側にある取付ブラケット31gを前側取付ブラケット33の後側水平部33cに載置支持しているので、エアクリーナ31を前側取付ブラケット33に仮置きすることができ、エアクリーナ31の組み付け性を向上させることができる。
【0064】
また、シュラウド16をクラッシュカン13,14を介してフロントサイドフレーム11,12に車両前突時に後退可能に取付支持しているので、シュラウド16を車両前突時に後退させることができ、シュラウド16を車両前突時に確実に保護することができる。
【0065】
さらに、シュラウド16をエンジンルーム10の車両前側に配置しているので、エンジンルーム10のスペース効率を向上させることができ、例えば、シュラウド16とエンジン等との間の風通しをよくすることができる。
【0066】
さらにまた、エアクリーナ31の上部後側が車両前方に凹んでいるので、エアクリーナ31上部の後方にエアクリーナ31上部の後退スペースを確保することができ、エアクリーナ31を車両前突時により一層確実に保護することができる。また、エアクリーナ31の車両後方にバッテリ32を近接配置しているので、エンジンルーム10のコンパクト化をより一層図りながら、これらの補機31,32をアクセス容易にすることができる。以上から、エンジンルーム10のコンパクト化をより一層図りつつ、エアクリーナ31及びバッテリ32をアクセス容易にし、かつエアクリーナ31を車両前突時により一層確実に保護することができる。
【0067】
また、車両前方に突出するエアクリーナ31のチャンバー31dが通常時は上下方向においてシュラウド16と重なる低い位置に配置されることでチャンバー31dの上方突出を抑えながら、エアクリーナ31の揺動時はシュラウド16よりも上方に位置するので、チャンバー31dの下方にシュラウド16の後退スペースを確保することができ、シュラウド16を車両前突時に確実に保護することができる。
【0068】
さらに、ファスナー37を変形容易なものにするという簡単な構成で、前側取付ブラケット33を工夫することなく、ファスナー37によるシュラウド16及び前側取付ブラケット33の前側水平部33aの締結を解除することができる。
【0069】
さらにまた、シュラウド16とエアクリーナボックス31bとの間に上流側連結ダクト31aを配置しているので、シュラウド16、上流側連結ダクト31a、及びエアクリーナボックス31bが密に配置されることになり、エンジンルーム10のコンパクト化をより一層図ることができる。
【0070】
また、シュラウド16とエアクリーナボックス31bとの間の上流側連結ダクト31aを変形容易かつ交換可能なものにしているので、上流側連結ダクト31aをシュラウド16の後退時にシュラウド16及びエアクリーナボックス31b保護用のクッションとして機能させることができる。このため、シュラウド16及びエアクリーナボックス31bを軽度な車両前突時に確実に保護することができるとともに、上流側連結ダクト31aのみを交換すればよいので、修理費を抑えることができる。
【0071】
なお、本実施形態では、締結部材を樹脂製のファスナー37で構成しているが、これに限らず、変形容易な金属製のボルト及びナットで構成してもよい。
【0072】
(実施形態2)
本実施形態は、前側取付ブラケット33をシュラウド16から取り外す取外し機構の構成が実施形態1とは異なるものである。以下、その相違点について主に説明する。
【0073】
図17は、補機支持構造を車幅方向と直角をなす平面に沿って切った断面図であり、図18は、前側取付ブラケットの斜視図である。
【0074】
図17、図18に示すように、シュラウド16の取付部16gの後端部には、ボルト挿通用の円状の挿通孔16hが形成されている。前側取付ブラケット33には、前側水平部33a及び傾斜部33bに亘って車両前後方向に延びる、ボルト挿通用の長孔状のスリット33gが形成されており、このスリット33gの前端及びシュラウド16の取付部16gの挿通孔16hに挿通された段付きボルトとナットとからなる締結部材43によって、前側水平部33aは、シュラウド16の取付部16g上面に留められている。前側取付ブラケット33のスリット33g周縁部(変形容易部)は、詳細は後述するが、シュラウド16の後退時には、上方向の荷重を受けて変形することで、締結部材43によるシュラウド16及び前側取付ブラケット33の前側水平部33aの締結を解除するようになっている。なお、前側水平部33aの前端には、実施形態1のように、垂下部33eは形成されていない。
【0075】
−補機支持構造の動作−
以下、図14、図19、図20を参照しながら、車両のオフセット前面衝突時における補機支持構造の動作について説明する。
【0076】
図19は、車両のオフセット前面衝突時の初期状態を示す図17相当図であり、図20は、車両のオフセット前面衝突時の終期状態を示す図17相当図である。
【0077】
車両左側が軽く前突すると、左側クラッシュカン13が車両後方に潰れ変形するとともに、シュラウド16の左側フック部16eが左側クラッシュカン13から外れ、シュラウド16がバンパーレインフォースメント15とともに後退する(図14の二点鎖線を参照)。
【0078】
このようにシュラウド16が後退すると、図19に示すように、シュラウド16が前側取付ブラケット33に対し車両後方に相対移動し、シュラウド16の取付部16gの挿通孔に取り付けられた締結部材43が前側取付ブラケット33のスリット33gに案内されてその前端側から後端側へと移動する。
【0079】
シュラウド16がさらに後退すると、シュラウド16の取付部16g後端が前側取付ブラケット33の傾斜部33bに当接し、前側取付ブラケット33はその当接によって上方向の荷重を受けて上方に移動しようとする。ここで、前側取付ブラケット33は締結部材43によってシュラウド16に留められているので、前側取付ブラケット33のスリット33g周縁部が締結部材43によって変形してスリット33gが拡がる。そうして、締結部材43はその拡がったスリット33gから抜けて外れ、前側取付ブラケット33の前側水平部33aに対し下方に相対移動する。それによって、締結部材43によるシュラウド16及び前側取付ブラケット33の前側水平部33aの締結が解除され、前側取付ブラケット33はシュラウド16によって跳ね上げられて上方に移動する。こうして、前側取付ブラケット33はシュラウド16から外れる。
【0080】
このように前側取付ブラケット33がシュラウド16から外れると、前側取付ブラケット33に作用する上向きの荷重によって、ピン40,42が、ゴムブッシュ39,41が変形することで車両後方に傾倒し、エアクリーナ31がピン40,42(ゴムブッシュ39,41)を揺動中心として後上方に揺動する(図20を参照)。このことで、エアクリーナ31の上部が車両後方に移動する一方、その下部は大体において車両後方には移動しない。
【0081】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、実施形態1とほぼ同様の効果が得られる。
【0082】
また、前側取付ブラケット33に変形容易部を設けるという簡単な構成で、締結部材43を工夫することなく、締結部材43によるシュラウド16及び前側取付ブラケット33の前側水平部33aの前側水平部33aの締結を解除することができる。
【0083】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、補機をエアクリーナ31で、第2補機をバッテリ32で構成しているが、これに限らず、それぞれ他の補機で構成してもよい。
【0084】
また、上記各実施形態では、後側取付ブラケット34,35をバッテリ載置支持用のマウント36に取付支持しているが、これに限らず、車体に直接取付支持したり、車体に取り付けられた他の剛性部材に取付支持したりしてもよい。
【0085】
さらに、上記各実施形態では、シュラウド16の後退時に前側取付ブラケット33の前側水平部33aを上方向に変位させることで前側取付ブラケット33がシュラウド16から外れることを可能にしているが、これに限らず、例えば、前側水平部33aを左方向や
右方向、下方向に変位させることで前側取付ブラケット33がシュラウド16から外れることを可能にしてもよい。
【0086】
さらにまた、上記各実施形態では、揺動許容部をゴムブッシュ39,41で構成しているが、これに限らず、例えば、ヒンジで構成してもよい。あるいは、後側取付ブラケット34,35自体を変形容易なものとし、これを揺動許容部としてもよい。
【0087】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0088】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明にかかる車両の補機支持構造は、エンジンルームのコンパクト化を図りながら、補機を車両前突時に確実に保護する用途等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態に係る補機支持構造を備えた車両の前部車体の平面図である。
【図2】車両の前部車体の斜視図である。
【図3】車両の前部車体の正面図である。
【図4】車両の前部車体の拡大平面図である。
【図5】車両の前部車体を上下方向と直角をなす平面に沿って切った概略断面図である。
【図6】補機支持構造の左側面図である。
【図7】補機支持構造を車幅方向と直角をなす平面に沿って切った断面図である。
【図8】補機支持構造の斜視図である。
【図9】エアクリーナの斜視図である。
【図10】エアクリーナを車幅方向と直角をなす平面に沿って切った断面図である。
【図11】エアクリーナを車両前後方向と直角をなす平面に沿って切った断面図である。
【図12】エアクリーナを取り外した状態における車両の前部車体構造の平面図である。
【図13】左側のゴムブッシュの断面図である。
【図14】車両のオフセット前面衝突時の状態を示す図5相当図である。
【図15】車両のオフセット前面衝突時の初期状態を示す図7相当図である。
【図16】車両のオフセット前面衝突時の終期状態を示す図7相当図である。
【図17】補機支持構造を車幅方向と直角をなす平面に沿って切った断面図である。
【図18】前側取付ブラケットの斜視図である。
【図19】車両のオフセット前面衝突時の初期状態を示す図17相当図である。
【図20】車両のオフセット前面衝突時の終期状態を示す図17相当図である。
【符号の説明】
【0091】
10 エンジンルーム
11,12 フロントサイドフレーム(車体)
13,14 クラッシュカン
16 シュラウド
16c アッパ部
31 エアクリーナ(補機)
31a 上流側連結ダクト
31b エアクリーナボックス(エアクリーナ本体)
31d チャンバー(突出部)
31g 取付ブラケット
32 バッテリ(第2補機)
33 前側取付ブラケット(前側取付部材)
33a 前側水平部(取外し機構、シュラウド取付部)
33b 傾斜部(取外し機構、変位案内部)
33c 後側水平部(補機取付部)
33g スリット
34,35 後側取付ブラケット(後側取付部材)
36 マウント(剛性部材)
37 ファスナー(取外し機構、締結部材、変形容易部)
39,41 ゴムブッシュ(揺動許容部)
43 締結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部のエンジンルームにおける車幅方向に延びるシュラウドの車両後方近傍に補機を配置支持する車両の補機支持構造であって、
上記補機は、その前部が前側取付部材を介して上記シュラウドに、その後部下側が後側取付部材を介して車体又は該車体に取り付けられた剛性部材に取付支持されており、
上記前側取付部材には、上記シュラウドの後退時に該シュラウドに当接することで該前側取付部材を上記シュラウドから取り外す取外し機構が設けられており、
上記後側取付部材には、上記補機の上部が後退するように該補機が揺動することを許容する揺動許容部が設けられていることを特徴とする車両の補機支持構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両の補機支持構造において、
上記前側取付部材は、前側取付ブラケットであり、
上記取外し機構は、上記前側取付ブラケットの一部を構成し、上記シュラウドのアッパ部に取り付けられたシュラウド取付部と、上記前側取付ブラケットの一部を構成し、上記シュラウドの後退時に上記シュラウドのアッパ部に当接することで上記シュラウド取付部を所定方向に変位させて上記前側取付ブラケットを上記シュラウドから取り外す変位案内部とを有していることを特徴とする車両の補機支持構造。
【請求項3】
請求項2記載の車両の補機支持構造において、
上記前側取付ブラケットは、
上記シュラウド取付部が上記シュラウドのアッパ部上面に取り付けられていて、
上記補機における上記シュラウドのアッパ部上面よりも下側部分を載置支持する補機取付部と、上記シュラウド取付部と該補機取付部との間に設けられ、車両前方から後方に行くに従って下方に傾斜する上記変位案内部としての傾斜部とを有していることを特徴とする車両の補機支持構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の補機支持構造において、
上記シュラウドは、上記車体よりも変形容易でかつ車両前突時にその衝撃荷重を吸収するクラッシュカンを介して、上記車体に車両前突時に後退可能に取付支持されていることを特徴とする車両の補機支持構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両の補機支持構造において、
上記補機は、その上部後側が車両前方に凹んでおり、
上記補機の車両後方近傍には、第2補機が配置されていることを特徴とする車両の補機支持構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の補機支持構造において、
上記揺動許容部は、上記補機が後上方に揺動することを許容するものであり、
上記補機は、車両前方に突出しかつ該補機の揺動時に上記シュラウドよりも上方に位置する突出部を有していることを特徴とする車両の補機支持構造。
【請求項7】
請求項2記載の車両の補機支持構造において、
上記取外し機構は、上記シュラウドと上記前側取付ブラケットのシュラウド取付部とを締結する締結部材と、上記前側取付ブラケット及び締結部材のいずれか一方に設けられ、上記シュラウドの後退時に上下方向の荷重を受けて変形することで上記締結部材による締結を解除する変形容易部とをさらに有していることを特徴とする車両の補機支持構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の車両の補機支持構造において、
上記補機は、エアクリーナであり、
上記エアクリーナは、エアクリーナ本体と、上記シュラウドと該エアクリーナ本体との間に配置され、変形容易かつ交換可能な連結ダクトとを有していることを特徴とする車両の補機支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−30335(P2010−30335A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191801(P2008−191801)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】