説明

車両制御システム

【課題】回生制御の開始や回生制御からの復帰による変速の頻度の増加を抑制可能な車両制御システムを提供すること。
【解決手段】エンジン20と、力行および回生が可能な電動機30と、エンジンおよび電動機と車両1の駆動輪との間で動力を伝達する有段の自動変速機40とを備え、エンジンを停止して電動機を動力源として車両を走行させる電動機走行を実行可能であり、かつ、電動機走行において、電動機の動作が力行あるいは回生の何れであるかにかかわらず所定の変速制御を実行するものであって、所定の変速制御は、電動機の回転数を回生の効率が高い回転数とする変速制御、あるいはエンジンを動力源として車両を走行させる場合よりも同じ車速における電動機の回転数を高い回転数とする変速制御の少なくともいずれか一方である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車両等の回生が可能な車両において、回生制御を実行する場合に、変速機の変速比を大きくする制御が公知である。例えば、特許文献1には、車両の運動エネルギを変速機を経由させて回生機構に伝達し、かつ、そのエネルギを蓄積させる回生制御を実行可能なハイブリッド車の制御装置において、回生制御を実行する場合に、変速機の変速比を大きくするダウンシフト制御を実行するハイブリッド車の制御装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−50866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、回生制御を実行する場合にダウンシフト制御を実行するシステムでは、回生制御の開始時と回生制御からの復帰時にそれぞれ変速がなされることで、変速の頻度が高くなり、ドライバビリティの低下等を招く可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、回生制御を実行可能な車両において、回生制御の開始や回生制御からの復帰による変速の頻度の増加を抑制可能な車両制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両制御システムは、エンジンと、力行および回生が可能な電動機と、前記エンジンおよび前記電動機と車両の駆動輪との間で動力を伝達する有段の自動変速機とを備え、前記エンジンを停止して前記電動機を動力源として前記車両を走行させる電動機走行を実行可能であり、かつ、前記電動機走行において、前記電動機の動作が前記力行あるいは前記回生の何れであるかにかかわらず所定の変速制御を実行するものであって、前記所定の変速制御は、前記電動機の回転数を前記回生の効率が高い回転数とする変速制御、あるいは前記エンジンを動力源として前記車両を走行させる場合よりも同じ車速における前記電動機の回転数を高い回転数とする変速制御の少なくともいずれか一方であることを特徴とする。
【0007】
上記車両制御システムにおいて、前記所定の変速制御とは、前記自動変速機において選択可能な変速段のうち前記回生の効率が最適となる変速段を選択する変速制御であることが好ましい。
【0008】
上記車両制御システムにおいて、前記電動機走行の実行中に制動操作が検出された場合、前記所定の変速制御に代えて制動時の変速制御を行って前記電動機による前記回生を実行し、かつ、前記制動時の変速制御では、同じ車速に対して、前記所定の変速制御よりも前記自動変速機において複数段低速側の変速段を選択することが好ましい。
【0009】
上記車両制御システムにおいて、更に、前記エンジンと前記電動機および前記自動変速機との動力の伝達経路に設けられ、前記伝達経路における動力の伝達が可能な状態と動力の伝達が不能な状態とを切替えるクラッチを備え、車速が前記電動機走行の可能な車速よりも高車速である場合に前記クラッチにより前記伝達が可能な状態とするものであって、前記伝達が可能な状態で制動操作が検出されて前記電動機による前記回生を実行中に、車速が低下して前記クラッチにより前記伝達が不能な状態に切替える場合、前記伝達が不能な状態への切替え後に前記所定の変速制御に代えて制動時の変速制御を行って前記電動機による前記回生を実行し、かつ、前記制動時の変速制御では、同じ車速に対して、前記所定の変速制御よりも前記自動変速機において複数段低速側の変速段を選択することが好ましい。
【0010】
上記車両制御システムにおいて、前記制動時の変速制御の実行中に前記制動操作が検出されなくなると、前記制動時の変速制御を終了して前記所定の変速制御を実行することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる車両制御システムは、電動機走行において、電動機の動作が力行あるいは回生の何れであるかにかかわらず所定の変速制御を実行するものであって、所定の変速制御は、電動機の回転数を回生の効率が高い回転数とする変速制御、あるいはエンジンを動力源として車両を走行させる場合よりも同じ車速における電動機の回転数を高い回転数とする変速制御の少なくともいずれか一方である。本発明にかかる車両制御システムによれば、力行時および回生時のいずれであっても所定の変速制御がなされることで、回生制御の開始や回生制御からの復帰による変速の頻度の増加を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態にかかる車両制御システムによる車両制御を説明するための図である。
【図2】図2は、実施形態にかかる車両の概略構成を示す図である。
【図3】図3は、変速時の回生効率について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる車両制御システムの一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
(実施形態)
図1から図3を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、エンジンと、力行および回生が可能な電動機と、エンジンおよび電動機と車両の駆動輪との間で動力を伝達する有段の自動変速機とを備える車両制御システムに関する。図1は、本発明の実施形態にかかる車両制御システムによる車両制御を説明するための図、図2は、実施形態にかかる車両の概略構成を示す図である。
【0015】
本実施形態の車両制御システム1−1は、エンジンとモータ(MG)の二つの動力源と流体継手を介して連結される動力伝達装置を備えたハイブリッド車両において、ドライバがアクセル開放したときに回生制御を実行する。このときに回生効率を悪化させる損失は、MG損失、TM損失(ギヤ比の選択方法)および変速中の回生エネルギー損失が支配的になる。従来、ハイブリッド車両の回生制御において、以下のような問題があった。
【0016】
効率が最適となるギヤ段で回生を実行しようとすると変速が多くなり回生効率が悪化することがある。これは、回生中に変速を実行すると変速ショックを低減するために回生エネルギーの一部を使用する必要があるためである。
【0017】
また、変速を実施せずに回生を実行するとMG効率が悪い領域を使用することになり、回生効率が低下する。これは、MG効率は一般的に低回転領域で低く、TM効率は高回転領域で低いため、回生効率の向上のためには回生中のMG動作点を制御する必要性があるためである。
【0018】
力行状態と回生状態とでギヤ段を変更する(力行状態と回生状態とで選択されるギヤ段が一致していない)と、変速頻度が増加し、ドライバビリティが低下する。これは、ドライバがアクセルON→OFF操作をしたときに最適な回生ギヤ段に変速すると、次の加速要求時には再び力行用のギヤ段へと変速を実施する必要があるためである。
【0019】
高車速でエンジンを連れ回しながら回生を実施しているときには、低ギヤ段で走行するとエンジンフリクション損失が増加して回生効率が低下する。言い換えると、エンジンフリクショントルクは回転数に比例して飛躍的に大きくなるため、エンジンを連れ回しているときとエンジンを連れ回していないときとで最適なギヤ段は異なる。
【0020】
本実施形態では、上記の回生効率を悪化させる損失を最適化する方法として以下の3つの方法を示す。
(1)回生開始時のギヤ段決定方法。
(2)回生から力行へのモード遷移を速やかに実行する方法。
(3)高車速からの減速制御方法。
【0021】
上記の方法による効果は、以下の通りである。
(1)回生中の効率改善。
(2)回生変速に伴うロスエネルギー低減。
(3)回生←→力行移行時の変速頻度低減。
【0022】
本実施形態は、以下の(A)から(E)を備えることを前提としている。
(A)内燃機関:単独で走行が可能なシステム。
(B)モータージェネレータ:力行・回生が可能なシステム。
(C)インプットとアウトプットを係合・開放できるクラッチ。
(D)ドライバのアクセル操作を検出できる装置。
(E)ドライバのブレーキ操作を検出できる装置。
【0023】
図2を参照して、本実施形態にかかる車両について説明する。図2において、符号1は、ハイブリッド車両を示す。ハイブリッド車両1は、原動機としてのエンジン(内燃機関)20と、MG(電動機)30と、自動変速機40とを有する。エンジン20は、出力軸(クランクシャフト)21から機械的な動力を出力する公知の内燃機関である。エンジン20の出力軸21とMG30の回転軸31との間には、クラッチ22が設けられている。クラッチ22は、エンジン20と図示しない駆動輪との動力の伝達経路に配置され、伝達経路を接続または切断するものであり、例えば摩擦係合式のクラッチである。クラッチ22は、伝達経路における動力の伝達が可能な状態と動力の伝達が不能な状態とを切替えるものである。クラッチ22は、図示しないアクチュエータに後述する油圧制御装置80からATF等の作動流体の圧力(油圧)が供給されることで係合可能であり、かつ、係合することでエンジン20と図示しない駆動輪との動力の伝達を可能とする。
【0024】
MG30は、回転軸31と連結され、回転軸31と一体に回転するロータ32と、ロータ32の径方向外側に配置され、車体側に固定されたステータ33とを有する。つまり、MG30は、エンジン20と駆動輪との動力の伝達経路におけるクラッチ22よりも駆動輪側に連結されており、伝達経路としての回転軸31を介してクラッチ22および駆動輪に動力を伝達する(クラッチ22および駆動輪と相互に動力を伝達する)ことが可能である。
【0025】
MG30は、供給された電力を機械的な動力(モータ出力トルク)に変換して回転軸31から出力するモータとしての機能(力行機能)と、回転軸31に入力された機械的な動力を電力に変換して回収するジェネレータ(発電機)としての機能(回生機能)とを有する。MG30は、図示しないバッテリ(蓄電装置)と接続されており、バッテリとの間で電力を授受することができる。MG30がモータとして機能する場合、ステータ33は、電力の供給を受けて回転磁界を発生させ、その回転磁界に引き付けられてロータ32が回転して回転軸31からモータ出力トルクを出力する。一方、MG30がジェネレータとして機能する場合、回転軸31に入力されるトルクによりロータ32が回転し、その回転がステータ33で交流電力に変換される。MG30には、回転軸31の回転数を検出する図示しないレゾルバが設けられており、レゾルバの検出結果を示す信号がECU100に出力される。
【0026】
自動変速機40は、エンジン20およびMG30と車両の図示しない駆動輪との間で動力を伝達する有段の自動変速機である。自動変速機40は、トルクコンバータ50と、ギヤトレーン(変速機構)60と、電動式のオイルポンプ70と、油圧制御装置80とを有する。トルクコンバータ50は、入力軸51、出力軸54、流体伝達機構52およびロックアップクラッチ53を有する。入力軸51は、MG30の回転軸31と接続されており、回転軸31と一体に回転する。流体伝達機構52は、入力軸51と出力軸54との間で作動流体によりトルクを伝達できる流体継手である。ロックアップクラッチ53は、入力軸51と出力軸54とを接続または切断するクラッチである。ロックアップクラッチ53が係合すると、トルクコンバータ50は、流体伝達機構52を介さずに入力軸51から出力軸54に直接トルクを伝達することができる。
【0027】
トルクコンバータ50の出力軸54は、ギヤトレーン60の入力軸61に接続されており、トルクコンバータ50を介して伝達されるエンジン20やMG30の出力トルクは、入力軸61に入力される。ギヤトレーン60は、トルクコンバータ50から入力される回転を変速して、出力軸62から図示しない駆動輪に出力する変速機構である。本実施形態のギヤトレーン60は有段式の変速機構であるが、これには限定されず、ギヤトレーン60は無段式の変速機構であってもよい。
【0028】
ギヤトレーン60は、例えば、変速要素としての図示しない複数の遊星歯車機構と、摩擦係合手段としての図示しない複数のクラッチおよびブレーキとを組み合わせて構成される多段式の変速装置である。変速要素が有するキャリヤやリングギヤ等の回転要素において、停止させる回転要素をブレーキにより切り替え、また、入力されるトルクを伝達する回転要素をクラッチで切り替えることにより、ギヤトレーン60の変速段が変更される。
【0029】
オイルポンプ70は、各摩擦係合手段を動作させるための油圧を発生させる。油圧制御装置80は、オイルポンプ70が発生させる油圧を摩擦係合手段に配分すると共に、摩擦係合手段に配分する油圧を調整することができる。ギヤトレーン60では、変速段ごとに係合させる摩擦係合手段の組合せが決められており、油圧制御装置80は、ギヤトレーン60の目標変速段に応じて係合させる各摩擦係合手段に油圧を供給する。これにより、油圧制御装置80は、変速前の変速段に対応する摩擦係合手段を開放すると共に変速後の変速段に対応する摩擦係合手段を係合させる。油圧制御装置80は、各変速段の摩擦係合手段に対応するソレノイドバルブ(クラッチソレノイド)を有しており、変速前後の変速段に対応するソレノイドバルブをそれぞれ制御して変速を実行する。
【0030】
ハイブリッド車両1には、車両の各部を制御するECU(車両制御装置)100が設けられている。ECU100には、エンジン回転数、車速、バッテリの充電状態SOC、アクセル開度、ブレーキ操作量、MG30の回転数等を示す信号が入力される。ECU100は、これらの信号に基づいて、エンジン20、MG30、油圧制御装置80をそれぞれ制御する。ECU100は、エンジン20の燃料噴射量や燃料噴射時期、点火時期等を制御することで、エンジン20から出力される動力(エンジン出力トルク)の大きさを調整する。また、ECU100は、MG30とバッテリとの間に設けられた図示しないインバータの動作を制御することで、MG30とバッテリとの間の電力の授受を制御する。また、ECU100は、MG30の出力トルクあるいはMG30の発電量を制御する。また、ECU100は、油圧制御装置80を制御して自動変速機40の変速制御やクラッチ22の係合状態(係合/非係合)の制御を行う。本実施形態の車両制御システム1−1は、エンジン20、クラッチ22、MG30、自動変速機40およびECU100を備える。
【0031】
ハイブリッド車両1は、クラッチ22を開放し、かつエンジン20を停止してMG30を動力源としてハイブリッド車両1を走行させるEV(電気自動車)走行、および、クラッチ22を係合状態とし、かつエンジン20およびMG30を動力源としてハイブリッド車両1を走行させるEHV(ハイブリッド電気自動車)走行が可能である。本実施形態のEV走行は、電動機走行に対応する。
【0032】
ECU100は、EV走行において、力行状態あるいは回生状態でMG30を動作させる。MG30において力行させる場合、ECU100は、MG30をモータとして動作させ、バッテリからの電力によりMG30にモータ出力トルクを出力させる。また、MG30において回生させる場合、ECU100は、MG30をジェネレータとして機能させてハイブリッド車両1の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、発電された電力によりバッテリを充電する。
【0033】
EHV走行では、ECU100は、エンジン20を動力源としてハイブリッド車両1を走行させる。エンジン出力トルクによりハイブリッド車両1を走行させるときに、ECU100は、MG30に発電を行わせてバッテリを充電させることができるとともに、バッテリからの電力によりMG30にモータ出力トルクを出力させてエンジン20をアシストさせることもできる。また、EHV走行において、減速時にMG30に回生発電を行わせることが可能である。ECU100は、例えば、運転者により制動操作がなされているときに回生制御を実行する。
【0034】
ECU100は、例えば、低車速かつ低負荷の走行状態においてハイブリッド車両1をEV走行モードで走行させ、中高車速や中高負荷の走行状態ではEHV走行モードでハイブリッド車両1を走行させる。図1は、ハイブリッド車両1の走行状態に応じてなされるECU100による車両制御を説明するための図である。
【0035】
図1において、横軸は、ペラ軸回転数、すなわち、ギヤトレーン60の出力軸62の回転数を示す。ペラ軸回転数は、ハイブリッド車両1の車速に対応している。また、縦軸において、横軸よりも上側は、スロットル開度を示し、横軸よりも下側は、減速要求パワーを示す。スロットル開度は、エンジン20の図示しないスロットルバルブの開度であり、アクセル開度に基づいて決定される。減速要求パワーは、ハイブリッド車両1に要求される負の(減速側の)走行パワーである。
【0036】
図1において、符号R1は、EV走行が可能な領域であるEV領域を示す。EV領域R1では、ECU100は、基本的に、EV走行によりハイブリッド車両1を走行させる。つまり、EV領域R1では、基本的にエンジン20の出力する動力によらずに、MG30を動力源として、MG30を力行状態あるいは回生状態としてハイブリッド車両1を走行させる。EV領域R1よりも高回転側や高負荷側は、EHV走行モードが選択されるEHV領域である。
【0037】
符号Np1は、クラッチ22の開放を許可するか否かのペラ軸回転数の閾値であるクラッチ開放許可回転数を示す。ECU100は、ペラ軸回転数が、クラッチ開放許可回転数Np1よりも大きい(車速がEV走行の可能な車速よりも高車速である)場合に、クラッチ22を係合状態としてエンジン20とMG30および自動変速機40との動力の伝達を可能とする。一方、ペラ軸回転数が、クラッチ開放許可回転数Np1以下となると、クラッチ22の開放が許可され、クラッチ22が開放されてエンジン20は駆動輪側から切り離される。クラッチ開放許可回転数Np1は、EV領域R1および後述する低速側ブレーキON領域R2における高回転側の境界線となっている。また、符号Np2は、エンジン20を停止するか否かを判定するペラ軸回転数の閾値であるエンジン停止回転数を示す。EV領域R1において、ペラ軸回転数がエンジン停止回転数Np2未満の領域ではエンジン20が停止され、ペラ軸回転数がエンジン停止回転数Np2以上の領域ではエンジン20が運転される。
【0038】
符号R11は、MG30を力行状態としてハイブリッド車両1に前進方向の加速度を発生させる力行領域を示す。また、符号R12は、MG30を回生状態としてハイブリッド車両1に回生制動力を作用させる回生領域を示す。MG30を力行状態とするか回生状態とするかは、要求パワーやスロットル開度に基づいて決定される。要求パワーは、例えば、アクセル開度、車速およびブレーキ操作量に基づいて決定される。アクセル開度は、運転者により操作される図示しないアクセルペダル(操作子)の操作量である。また、ブレーキ操作量は、運転者により操作される図示しないブレーキペダル(操作子)の操作量である。ブレーキ操作量は、ブレーキペダルに作用する踏力やブレーキペダルの踏込み量とすることができる。
【0039】
ブレーキ操作がなされていない場合の要求パワーは、例えば、アクセル開度と車速に基づいて決定される。ECU100は、例えば、アクセル開度と車速とに基づいて要求加速度を決定し、決定された要求加速度と車両の諸元とに基づいて要求駆動力を決定し、決定された要求駆動力と車速とに基づいて要求パワーを決定する。アクセルオフ(例えば、アクセル全閉に対応するアクセル開度)の状態における要求パワーは、エンジンブレーキ相当の減速パワーPw1とされる。エンジンブレーキ相当の減速パワーPw1とは、クラッチ22を係合させ、MG30による回生を行わずに、エンジン20を被駆動状態として走行した場合のエンジンブレーキに相当するパワーである。エンジンブレーキ相当の減速パワーPw1の大きさ(絶対値)は、ペラ軸回転数が低下するほど減少する。
【0040】
回生領域R12において、アクセル開度が大きくなると減速要求パワーの大きさは小さなものとなり、回生領域R12と力行領域R11との境界(横軸上)では、減速要求パワーがゼロである。力行領域R11では、要求パワーは正の値となる。スロットル開度は、要求パワーに対応している。運転者のアクセル操作等により、回生領域R12から力行領域R11に入った場合には、MG30の動作状態は、回生状態から力行状態に移行する。一方、運転者のアクセル操作等により、力行領域R11から回生領域R12に入った場合には、MG30の動作状態は、力行状態から回生状態に移行する。
【0041】
ブレーキ操作がなされている場合の要求パワーは、例えば、ブレーキ操作量に基づいて決定される。ECU100は、例えば、ブレーキ操作量に対応する制動力(減速パワー)とエンジンブレーキ相当の減速パワーPw1との和を減速要求パワーとして決定する。つまり、ブレーキONされた場合の減速要求パワーは、エンジンブレーキ相当の減速パワーPw1よりも負の側(図1における下側)の減速要求パワーとなる。
【0042】
力行領域R11では、ECU100は、要求パワーを実現するように、MG30を力行状態としてモータ出力トルクによりハイブリッド車両1を駆動する。また、回生領域R12では、ECU100は、減速要求パワーを実現するように、MG30を回生状態として回生発電によりハイブリッド車両1に回生制動力を作用させる。このときの減速パワーの大きさは、エンジンブレーキ相当の減速パワーPw1の大きさ以下である。すなわち、回生領域R12でハイブリッド車両1に作用する減速度は、アクセルオフの状態で最大となる。回生領域R12では、運転者が、アクセル開度によって負のトルクコントロールを行うことができる。
【0043】
なお、EV領域R1であっても、バッテリの充電状態SOCが低下した場合など、EHV走行にてハイブリッド車両1を走行させる場合がある。この場合、ECU100は、ペラ軸回転数がクラッチ開放許可回転数Np1以下であってもクラッチ22を係合状態とし、エンジン停止回転数Np2未満のペラ軸回転数であってもエンジン20を運転させてEHV走行を可能とする。
【0044】
符号R2は、EV領域R1において走行中にブレーキONとされた状態の運転領域である低速側ブレーキON領域を示す。また、符号R3は、EV領域R1よりも高速側の領域(EHV領域)において走行中にブレーキONとされた状態の運転領域である高速側ブレーキON領域を示す。低速側ブレーキON領域R2では、ECU100は、MG30を回生状態として回生発電によりハイブリッド車両1に回生制動力を作用させる。このときの回生量は、減速要求パワーに相当する制動力をハイブリッド車両1に作用させることができる値とされる。これにより、エンジンブレーキ相当の減速パワーPw1よりも大きな減速パワーを回生により発生させ、運転者の減速要求に応えることができる。
【0045】
高速側ブレーキON領域R3では、クラッチ22は係合状態であり、エンジン20は連れ回された状態でエンジンブレーキを発生させる。高速側ブレーキON領域R3では、ECU100は、運転者によるブレーキ操作に応じてMG30による回生を行う。ECU100は、ブレーキ操作量に応じた制動力を発生させるように、回生制御を実行する。
【0046】
次に、本実施形態の変速制御について説明する。ハイブリッド車両1は、有段の自動変速機40を備えている。ECU100は、あらかじめ定められた変速線に基づいて、自動変速機40の変速制御を行う。図1において、符号Su1,Su2,Su3,Su4,Su5は、それぞれ1速から2速、2速から3速、3速から4速、4速から5速、5速から6速への変速段のアップシフト線を示す。また、符号Sd6,Sd5,Sd4,Sd3,Sd2は、それぞれ6速から5速、5速から4速、4速から3速、3速から2速、2速から1速への変速段のダウンシフト線を示す。
【0047】
従来、回生制御を実行する場合に、変速機の変速比を大きくする制御がなされる場合がある。変速比が大きくされることで、例えば、回生時の回生効率を向上させることができる。しかしながら、回生制御の実行時に力行時よりも変速比が大きくされる車両では、MG30の回生状態と力行状態とで異なる変速点に基づくアップシフト判定やダウンシフト判定がなされることとなる。これにより、回生領域R12から力行領域R11へ移行する場合や、力行領域R11から回生領域R12へ移行する場合に変速段の切替えが生じやすくなる。その結果、EV走行時における変速の頻度が多くなり、ドライバビリティが低下する。また、以下に図3を参照して説明するように、変速が発生することで、回生の効率が低下する。
【0048】
図3は、変速時の回生効率について説明するための図である。図3には、回生時にダウンシフトがなされる場合のタイムチャートが示されている。図3において、横軸は時間である。また、符号101は変速判断、符号102はMG30の回転数(MG回転数)、符号103はMG30の出力トルク(MGトルク)、符号104は車両要求パワー、符号105はダウンシフト時にMG30において回生により回収されるパワーを示す。
【0049】
時刻t0においてダウンシフトの変速判断がなされると、変速が開始される。時刻t1においてトルク相が開始し、時刻t2においてイナーシャ相が開始する。ダウンシフトでは、ECU100は、変速ショックの低減や変速前の同期回転数から変速後の同期回転数にMG回転数102を上昇させること等のために、MGトルク103を増加させる。これにより、MG30で回生により回収できるパワーが減少する。ダウンシフトがない場合であれば回収可能な符号Pw3で示すパワーが、ダウンシフトがなされる場合には回収できなくなるため、実際に回収可能なパワーは、符号Pw2で示すパワーのみとなる。すなわち、変速中の回生取得率は、以下の式(1)で示す率にとどまり、回生効率がその分低下することとなる。
回生取得率 = Pw2/(Pw2+Pw3)…(1)
【0050】
本実施形態では、EV走行時において、回生の効率が良い変速段が選択されるだけでなく、MG30の回生状態と力行状態とで同じ変速段が選択される。つまり、アクセル開度に基づいてMG30の動作が力行および回生の一方から他方に移行する場合に、選択される変速段が移行の前後で同一とされる。例えば、5速変速段から6速変速段へのアップシフトは、変速線Su5に基づいて変速判断がなされるが、この変速線Su5は、力行時と回生時で共通(走行パワーの変化に対して連続)である。また、6速変速段から5速変速段へのダウンシフトは、変速線Sd6に基づいて変速判断がなされるが、この変速線Sd6は、力行時と回生時で共通(走行パワーの変化に対して連続)である。他のアップシフト変速線Su1,Su2,Su3,Su4やダウンシフト変速線Sd5,Sd4,Sd3,Sd2についても力行時と回生時で共通とされている。これにより、回生から力行に移行するときや力行から回生に移行するとき、言い換えると、力行領域R11および回生領域R12の一方の領域から他方の領域に移るときに変速が生じることが抑制される。よって、EV走行時に変速がなされる頻度が低減し、ドライバビリティや回生効率の低下が抑制される。
【0051】
本実施形態では、アップシフト線Su1,Su2,Su3,Su4,Su5およびダウンシフト線Sd6,Sd5,Sd4,Sd3,Sd2は、それぞれペラ軸回転数を示す横軸と直交する方向に延びている。これにより、EV領域R1では、車速の変化によってのみ変速が行われるようになっており、要求パワーやスロットル開度(アクセル開度)の変化では、変速が生じない。これにより、力行領域R11から回生領域R12への移行時や回生領域R12から力行領域R11への移行時に変速が生じることがより確実に抑制可能となっている。
【0052】
本実施形態では、EV走行時の変速線は、EHV走行時の変速線よりも高回転側にある。図1において、符号Su1h,Su2h,Su3h,Su4h,Su5hは、それぞれEV領域R1においてEHV走行を行うときの1速から2速、2速から3速、3速から4速、4速から5速、5速から6速への変速段のアップシフト線を示す。また、符号Sd6h,Sd5h,Sd4h,Sd3h,Sd2hは、それぞれEV領域R1においてEHV走行を行うときの6速から5速、5速から4速、4速から3速、3速から2速、2速から1速への変速段のダウンシフト線を示す。
【0053】
例えば、EV領域R1において、EV走行時には変速線Sd6に基づいて6速変速段から5速変速段へのダウンシフト判定がなされ、EHV走行時には変速線Sd6hに基づいて6速変速段から5速変速段へのダウンシフト判定がなされる。EV走行時に参照される変速線Sd6は、EHV走行時の変速線Sd6hよりもペラ軸回転数の高回転側にある。つまり、EV走行時には、EHV走行時よりもペラ軸回転数が高回転(高車速)でダウンシフト判定がなされる。他のダウンシフト線Sd5,Sd4,Sd3,Sd2についても同様であり、EV走行時にはEHV走行時よりも高回転でダウンシフト判定がなされる。よって、EV走行の回生時においてMG30の回転数が高回転に維持され、MG30において高効率で回生発電がなされる。
【0054】
EV領域R1における各ダウンシフト線Sd6,Sd5,Sd4,Sd3,Sd2は、例えば、選択可能な変速段のうち、ペラ軸回転数に対してMG30における回生効率が最適(最高)となる変速段が選択されるように設定されることが好ましい。このようにすれば、回生時に常に最適な変速段が選択され、MG30において最適な効率でハイブリッド車両1の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することが可能となる。
【0055】
EV領域R1におけるEV走行時のアップシフト線Su1,Su2,Su3,Su4,Su5が、EHV走行時のアップシフト線Su1h,Su2h,Su3h,Su4h,Su5hよりもそれぞれ高回転側にあることで、力行時にMG30が高回転の効率のよい動作点でトルクを出力することができる。
【0056】
このように車両制御システム1−1は、電動機走行において、MG30の回転数を回生の効率が高い回転数とする変速制御や、エンジン20を動力源として車両を走行させる場合よりも同じ車速におけるMG30の回転数を高い回転数とする変速制御である所定の変速制御を行う。この所定の変速制御は、電動機の動作が力行あるいは回生の何れであるかにかかわらず実行される。つまり、力行時において、MG30の回転数を回生の効率が高い回転数とする変速制御がなされる。よって、力行から回生に移行するときに、高い回生効率で回生発電を開始することができる。なお、所定の変速制御は、MG30の回転数を回生の効率が高い回転数とする変速制御、あるいはエンジン20を動力源として車両を走行させる場合よりも同じ車速におけるMG30の回転数を高い回転数とする変速制御の少なくともいずれか一方であればよい。
【0057】
また、本実施形態では、減速中に比較的低車速で運転者が減速要求(ブレーキ操作)しているときは、速やかに低速側の変速段への変速制御が実行される。具体的には、EV領域R1で走行中に、ブレーキ操作がなされて低速側ブレーキON領域R2に移行すると、ECU100は、低速側ブレーキON領域R2において、所定の変速制御に代えて、制動時の変速制御を行ってMG30による回生を実行する。この制動時の変速制御では、同じ車速に対して、所定の変速制御よりも複数段低速側の変速段が選択される。本実施形態では、低速側ブレーキON領域R2において、EV領域R1における変速段よりも低速側の予め定められた変速段、例えば、2速変速段が選択される。これにより、その後の変速の機会を減少させて、変速による回生エネルギー損失を低減することが可能となる。
【0058】
例えば、EV領域R1において6速変速段で走行しているときに、ブレーキ操作がなされる(制動操作が検出される)と、6速変速段から2速変速段にダウンシフトされる。その後に低速側ブレーキON領域R2で走行してペラ軸回転数が低下しても、変速線Sd2の回転数に低下するまではダウンシフトされない。つまり、低速の2速変速段に変速されることで、その後の変速の回数が低減され、変速に伴うロスエネルギーが低減される。なお、低速側ブレーキON領域R2では、クラッチ22が開放されてエンジン20が切り離されている。このため、6速から2速のような大幅なダウンシフトがなされても、その後にEHV走行の場合のようなエンジンフリクションの増大による損失増加を招くことはない。また、低速の変速段で走行することで、MG30の回転数を高回転として回生効率を高めることができる。ECU100は、制動時の変速制御の実行中に制動操作が検出されなくなる(回生領域R12に移行する)と、制動時の変速制御を終了して所定の変速制御を実行する。
【0059】
また、本実施形態では、高車速で運転者が減速要求(ブレーキ操作)しているときはエンジン回転数を低く抑える変速段への変速制御が実行される。具体的には、EV領域R1よりも高速側の領域で走行中にブレーキ操作がなされて高速側ブレーキON領域R3に移行する(矢印Y1参照)と、ECU100は、予め定められた高速側の変速段、例えば6速変速段に自動変速機40をアップシフトさせる。これにより、クラッチ22が係合してエンジン20を連れ回している状態での回生効率の向上が可能となる。高速側の変速段で走行することで、エンジン20のフリクションが小さなものとなり、エンジン損失が低減することで、減速要求パワーのうち回生によって回収可能なパワーの割合が増加するためである。
【0060】
また、減速時にエンジン20を切り離せる車速まで到達したときは、速やかに低速側の変速段への変速制御が実行される。具体的には、ECU100は、高速側ブレーキON領域R3において制動操作が検出されてMG30による回生を実行している間に、ペラ軸回転数がクラッチ開放許可回転数Np1まで低下する(低速側ブレーキON領域R2に移行する)と、クラッチ22を開放状態に切替える。クラッチ22の開放状態への切替え後には、所定の変速制御に代えて制動時の変速制御を行ってMG30により回生を実行する。この制動時の変速制御において選択される変速段は、上記のものと同様である。ECU100は、高速側ブレーキON領域R3から低速側ブレーキON領域R2に移行すると、自動変速機40を6速変速段から2速変速段にダウンシフトさせる。これにより、その後の変速の機会を減少させて、変速による回生エネルギー損失を低減することが可能となる。ECU100は、制動時の変速制御の実行中に制動操作が検出されなくなる(回生領域R12に移行する)と、制動時の変速制御を終了して所定の変速制御を実行する。
【0061】
なお、本実施形態において、バッテリの充電状態SOCによってEV領域R1やエンジン停止回転数Np2を可変とするようにしてもよい。例えば、充電状態SOCが低い場合には、EV領域R1を縮小したり、エンジン停止回転数Np2を低回転側の回転数に変更したりしてもよい。一方、充電状態SOCが高い場合には、EV領域R1を拡大したり、エンジン停止回転数Np2を高回転側の回転数に変更したりしてもよい。
【0062】
本実施形態の車両制御システム1−1が適用可能なハイブリッド車両は、図2を参照して説明したハイブリッド車両1には限定されない。エンジンと、力行および回生が可能な電動機と、エンジンおよび電動機と駆動輪との間で動力を伝達する自動変速機とを備えるハイブリッド車両であれば、車両制御システム1−1が適用可能である。例えば、電動機を二つ備えるハイブリッド車両であっても本実施形態の車両制御システム1−1が適用可能である。
【0063】
本実施形態では、自動変速機40が有段である場合を例に説明したが、これには限定されず、ハイブリッド車両1は自動変速機40として無段変速機を備えるものであってもよい。自動変速機40が無段変速機である場合、力行時と回生時とで同一あるいは実質的に同一の変速線に基づく変速制御がなされるようにすればよい。ここで、実質的に同一とは、例えば、MG30の回生量を変更することなく変速が可能なことを示す。
【0064】
(実施形態の変形例)
上記実施形態の変形例について説明する。上記実施形態において、低速側ブレーキON領域R2や高速側ブレーキON領域R3における目標変速段は、要求減速パワーに応じた各変速段の回生効率に基づいて決定されてもよい。例えば、EV領域R1や高速側ブレーキON領域R3から低速側ブレーキON領域R2に移行した場合に、要求減速パワーとペラ軸回転数から各変速段の回生効率を算出し、最も回生効率の高い変速段にダウンシフトさせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる車両制御システムは、回生制御を実行な車両に有用であり、特に、回生制御の開始や回生制御からの復帰による変速の頻度の増加を抑制するのに適している。
【符号の説明】
【0066】
1−1 車両制御システム
1 ハイブリッド車両
20 エンジン
22 クラッチ
30 MG
40 自動変速機
60 ギヤトレーン
100 ECU
Np1 クラッチ開放許可回転数
Np2 エンジン停止回転数
Pw1 エンジンブレーキ相当の減速パワー
R1 EV領域
R11 力行領域
R12 回生領域
R2 低速側ブレーキON領域
R3 高速側ブレーキON領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、力行および回生が可能な電動機と、前記エンジンおよび前記電動機と車両の駆動輪との間で動力を伝達する有段の自動変速機とを備え、
前記エンジンを停止して前記電動機を動力源として前記車両を走行させる電動機走行を実行可能であり、かつ、前記電動機走行において、前記電動機の動作が前記力行あるいは前記回生の何れであるかにかかわらず所定の変速制御を実行するものであって、
前記所定の変速制御は、前記電動機の回転数を前記回生の効率が高い回転数とする変速制御、あるいは前記エンジンを動力源として前記車両を走行させる場合よりも同じ車速における前記電動機の回転数を高い回転数とする変速制御の少なくともいずれか一方である
ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
前記所定の変速制御とは、前記自動変速機において選択可能な変速段のうち前記回生の効率が最適となる変速段を選択する変速制御である
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記電動機走行の実行中に制動操作が検出された場合、前記所定の変速制御に代えて制動時の変速制御を行って前記電動機による前記回生を実行し、かつ、前記制動時の変速制御では、同じ車速に対して、前記所定の変速制御よりも前記自動変速機において複数段低速側の変速段を選択する
請求項1または2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
更に、前記エンジンと前記電動機および前記自動変速機との動力の伝達経路に設けられ、前記伝達経路における動力の伝達が可能な状態と動力の伝達が不能な状態とを切替えるクラッチを備え、
車速が前記電動機走行の可能な車速よりも高車速である場合に前記クラッチにより前記伝達が可能な状態とするものであって、
前記伝達が可能な状態で制動操作が検出されて前記電動機による前記回生を実行中に、車速が低下して前記クラッチにより前記伝達が不能な状態に切替える場合、前記伝達が不能な状態への切替え後に前記所定の変速制御に代えて制動時の変速制御を行って前記電動機による前記回生を実行し、かつ、前記制動時の変速制御では、同じ車速に対して、前記所定の変速制御よりも前記自動変速機において複数段低速側の変速段を選択する
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記制動時の変速制御の実行中に前記制動操作が検出されなくなると、前記制動時の変速制御を終了して前記所定の変速制御を実行する
請求項3または4に記載の車両制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−214700(P2011−214700A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85572(P2010−85572)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】