車両制御装置
【課題】 ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる車両制御装置を提供する。
【解決手段】 車両制御用のアクチュエータ(エンジン15、制動制御装置)を備えた車両に搭載され、自車両の進行方向前方の走行環境を計測する走行環境計測部(カメラ1a,1b)と、走行環境計測部による走行環境の計測結果の信頼度(存在信頼度)を判定する信頼度判定部22と、判定された信頼度を必要条件としてアクチュエータの作動を行うコントロールユニット2と、を備えた。
【解決手段】 車両制御用のアクチュエータ(エンジン15、制動制御装置)を備えた車両に搭載され、自車両の進行方向前方の走行環境を計測する走行環境計測部(カメラ1a,1b)と、走行環境計測部による走行環境の計測結果の信頼度(存在信頼度)を判定する信頼度判定部22と、判定された信頼度を必要条件としてアクチュエータの作動を行うコントロールユニット2と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両制御装置では、カメラの撮像画像内に停止線が存在するか否かを判定し、停止線が存在すると判定した場合、音声によるドライバへの報知、減速制御による運転介入等の運転支援を行っている。この記載に関係する技術の一例は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−63398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来装置において、ドライバに与える違和感を軽減して欲しいとのニーズがある。
本発明の目的は、ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる車両制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、自車両の進行方向前方の走行環境を計測して当該計測結果の信頼度を判定し、判定された信頼度を必要条件として車両制御用のアクチュエータの作動を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の車両制御装置の構成図である。
【図2】実施例1のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】同一進行方向の車線が自車線のみの場合の、停止線とそれ以外のものの見え方の違いを示す模式図である。
【図4】同一進行方向に複数の車線がある場合の、停止線とそれ以外のものの見え方の違いを示す模式図である。
【図5】停止線検出の信頼度算出方法の例を示した模式図である。
【図6】信頼度係数加算値1の設定マップである。
【図7】停止線検出の信頼度算出方法の例を示した模式図である。
【図8】信頼度係数加算値2の設定マップである。
【図9】停止線検出の信頼度算出方法の例を示した模式図である。
【図10】信頼度係数加算値3の設定マップである。
【図11】停止制御と減速制御を行う場合の停止ポイントと必要減速度との関係を示す図である。
【図12】停止線までの予測到達時間および自車速に基づく支援方法の一覧を示す図である。
【図13】実施例2のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】一時停止標識の存在信頼度を、当該標識の検出された位置から判定する模式図である。
【図15】検出された一時停止標識の横位置と、当該一時停止標識の存在信頼度の関係を、様々な一時停止標識の検出高さにて示した模式図である。
【図16】一時停止標識の存在信頼度を、当該標識の検出された一辺の長さから判定する模式図である。
【図17】実施例3のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】各対象物の停止必要性ポイントの一覧を示す図である。
【図19】各対象物の存在信頼度の判定方法の一覧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の車両制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施例は、多くのニーズに適応できるように検討されており、ドライバに与える違和感を軽減できることは検討されたニーズの1つである。
【0009】
(実施例1)
まず、構成を説明する。
〔全体構成〕
図1は、実施例1の車両制御装置の構成図であり、車両制御装置は、走行環境認識部1と、コントロールユニット(アクチュエータ制御部、制動制御部)2と、イグニッションスイッチ3と、起動スイッチ4と、車速センサ(速度検出部)5と、ブレーキペダルストロークセンサ6と、アクセル開度センサ(アクセルペダル操作状態検出部)7と、加速度センサ8と、ディスプレイ9と、スピーカ10と、ブレーキコントロールユニット(以下、ブレーキCU)11と、液圧ユニット(以下、HU)12と、ホイルシリンダ13a,13b,13c,13dと、エンジンコントロールユニット(以下、エンジンCU)14と、エンジン(アクチュエータ)15とを備える。
走行環境認識部1は、車載カメラ(走行環境計測部であって、以下、カメラという。)1a,1bと、RAM1cと、CPU1dと、プログラムROM1eと、データROM1fとを有する。カメラ1a,1bは、例えば、ルームミラーの左右に取り付けられ、自車両の進行方向前方を所定の俯瞰、取り付け位置で撮像するステレオカメラである。ステレオカメラは、2つのカメラ1a,1bで同一計測点を撮影した際に生じる見え方の違い(以降、視差)を利用し、三角測量の原理により距離を求めることができる。例えば、対象までの距離をZ、カメラ間の距離をB、カメラの焦点距離をf、視差をδとすると、距離Zは、下記の式(1)で求めることができる。ただし、単位は全て同じ(例えば、mm)である。
Z = (B × f) / δ …(1)
RAM1cは、カメラ1a,1bにより撮像された撮像画像が取り込まれる。プログラムROM1eはCPU1dにより実行される車線、標識、立体物等を検出し、距離を算出するためのプログラムが記録されている。CPU1dは、データROM1fに記録された車線、標識、立体物等のテンプレートを参照して上記プログラムを実行し、撮像画像から白線、道路標識、立体物等を検出すると共に、これらとの距離を算出する。
なお、走行環境認識部1は、路面に存在する停止線を検出する。上述したように、カメラ1a,1bは検出物との距離を測定できるため、撮像画像内で停止線と思われる部分のうち、路面に存在する部分のみを停止線と判断することで、ノイズや他物体による停止線の誤判定を抑制できる。
【0010】
コントロールユニット2は、RAM2aと、CPU20と、プログラムROM2bと、データROM2cとを有する。RAM2aは、走行環境認識部1による検出結果の情報が取り込まれる。プログラムROM2bは、CPU20により実行される報知、減速制御等の運転支援を行うためのプログラムが記録されている。CPU20は、各スイッチ、センサからの情報およびデータROM2cに記録されたデータを参照して上記プログラムを実行し、実行結果に応じてディスプレイ9、スピーカ10およびブレーキCU11を制御する。例えば、道路形状等に応じた最適速度に対して自車両の速度が超過している場合、ディスプレイ9とスピーカ10の少なくとも一方を用いてドライバに速度超過を報知する。または、自車両の速度が最適速度となるようにブレーキCU11またはエンジンCU13に対し減速度を発生させる要求を出力する。
イグニッションスイッチ3は、エンジン15が始動したときON、停止したときOFFとなるスイッチである。
起動スイッチ4は、車室内に設置され、ドライバが上記報知、運転介入プログラムを起動するためのスイッチである。起動スイッチ4がONされたとき、コントロールユニット2および走行環境認識計測システム1は起動する。
車速センサ5は、自車両の車体速(以下、自車速)を検出する。ブレーキペダルストロークセンサ6は、ブレーキペダルのストローク量を検出する。アクセル開度センサ7は、アクセル開度を検出する。アクセル開度は、ドライバの操作するアクセルペダルのストローク量に比例するため、アクセル開度を検出することで、アクセルペダルの操作状態を検出できる。加速度センサ8は、自車両に作用する前後方向加速度および左右方向加速度を検出する。
ディスプレイ9は、車室内に設置され、走行環境認識部1およびコントロールユニット2からの情報を表示する。
スピーカ10は、コントロールユニット2からの指令に応じて、ドライバに警報を発する。
ブレーキCU11は、コントロールユニット2からの要求に応じて、液圧ユニット12を制御する。HU12は、ポンプおよび複数のバルブを備え、ブレーキCU11からの制動指令に応じて各ホイルシリンダ13a,13b,13c,13dに供給するブレーキ液圧を制御する。各ホイルシリンダ13a,13b,13c,13dは、各輪に対応して設けられ、ブレーキ液圧に応じて車輪に制動力を付与する。以下の説明では、ブレーキCU11、HU12および各ホイルシリンダ13a,13b,13c,13dをまとめて車両に制動力を付与する制動制御装置(アクチュエータ)という。
エンジンCU13は、コントロールユニット2からの要求に応じて、エンジン14の燃料カットを行い、エンジンブレーキを発生させる。
【0011】
〔運転支援制御処理〕
図2は、実施例1のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。この処理は、所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、走行環境認識部1に対し撮像画像から停止線を検出する指令を出力する停止線検出処理を実行し、ステップS2へ移行する。停止線は、路面に横方向に引かれた白っぽい領域を検出することで識別する。なお、カメラ1a,1bが色彩を判別できない構造である場合は、周囲よりも輝度の高い領域を検出することで停止線を識別する。ここで、図3のように停止線候補領域が車線区分線との交点を終端としていること、あるいは図4のように車線区分線が停止線候補領域との交点を終端としていること、車線区分線と停止線候補領域の輝度が同程度であること、といった判断基準を追加することにより、路面に生じた陰影により偶然生じた横方向の輝度の高い領域や、自転車横断帯の区画線、交差道路の車線区画線といった、停止線以外のものとの識別を行う。
ステップS2では、停止線判別部21において、ステップS1で停止線が検出されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS3へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS3では、信頼度判定部22において、停止線の存在信頼度を算出し、ステップS4へ移行する。実施例1では、3つの信頼度係数加算値1,2,3をそれぞれ算出し、これらの合計値を存在信頼度とする。例えば、ある奥行き方向の幅の中の領域において、図5のように左右方向に検出された輝度の高いポイントの個数が多いほど、または当該ポイントのうち左右車線区分線に挟まれた領域に存在するポイントの割合が大きいほど、停止線としての信頼度が高いものと見なし、信頼度係数加算値1を高くする(図6)。また、奥行き方向の幅についても、図7のように輝度が高いポイントの奥行き方向の分散を算出し、分散が大きい場合は停止線でない可能性が高いとして、信頼度係数加算値2を低くする(図8)。なお、図8では分散が一定未満の場合、信頼度係数加算値2は一定の最大値としているが、分散が過度に小さい場合には、停止線ではない細線である可能性があるため、信頼度係数加算値2を小さくするようにしてもよい。さらに、図9のように輝度が高いポイントの高さ方向の分散を算出し、分散が大きい場合は停止線でない可能性が高いとして信頼度係数加算値3を低くする(図10)。なお、輝度が高いポイントの高さ方向の平均を算出し、平均値が路面高さから離れている場合に信頼度係数加算値3を低くしてもよい。
【0012】
ステップS4では、停止線の存在信頼度が一定(所定値)以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS5へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS5では、到達時間算出部23により算出された停止線までの予測到達時間が所定時間T2以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS6へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS6では、アクセルOFFであるか否かを、アクセル開度が所定開度A1以下であるか否かにより判定する。YESの場合にはステップS7へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。ここで、所定開度A1は、駆動力が発生しないアクセル開度の最大値である。
ステップS7では、ブレーキOFFであるか否かを判定する。YESの場合にはステップS8へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS8では、自車速が30km/h以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS9へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
ステップS9では、自車速が20km/h以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS10へ移行し、NOの場合にはステップS14へ移行する。
ステップS10では、到達時間算出部23により算出された停止線までの予測到達時間が所定時間T1(<T2)以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS11へ移行し、NOの場合にはステップS13へ移行する。
ステップS11では、ディスプレイ9およびスピーカ10により、ドライバに対し一時停止が必要であり、ドライバの減速操作により停止が要求される旨の警報を行い、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、ブレーキCU11に対し停止線の直前で自車速がゼロとなるような減速度を発生させる要求を出力する停止制御を行い、リターンへ移行する。
ステップS13では、ディスプレイ9およびスピーカ10により、ドライバに対し制御介入により停止制御が必要な旨の告知を行い、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、ブレーキCU11に対し上記停止制御よりも小さな減速度を発生させる要求を出力する減速制御を行い、リターンへ移行する。
ステップ15では、一定速制御モードであるか否かを判定する。YESの場合にはステップS16へ移行し、NOの場合にはステップS17へ移行する。一定速制御モードとエンジンブレーキモードは、スイッチ切り替えによりドライバが選択するモードである。
ステップS16では、エンジンCU13に対し、一定速を維持する一定速制御を行う要求を出力し、リターンへ移行する。
ステップS17では、エンジンCU13に対し、エンジンブレーキを発生させる要求を出力し、リターンへ移行する。
図11は、停止制御と減速制御を行う場合の停止ポイントと必要減速度との関係を示す図であり、停止ポイントはP3,P2,P1の順に自車両に近いことをあらわす。図11に示すように、停止線までの予測到達時間がT1以下となるP3以上の停止ポイントでは、停止制御を実施する。予測到達時間がT1-T2間となるP2-P3間のポイントでは、減速制御を実施する。予測到達時間がT2を超えるP1-P2間のポイントでは、停止制御および減速制御を実施しない。
上記運転支援制御処理における算出された停止線の存在信頼度の高さ、停止線までの予測到達時間および自車速に基づく支援方法の一覧を図12に示す。
【0013】
次に、作用を説明する。
〔運転支援時の違和感軽減作用〕
上記特許文献1に記載のものは、停止線を検出したか否かにより運転支援の実施可否を判断しているため、検出結果の信頼性の高さが運転支援に反映されない。このため、検出結果に基づく運転支援が、誤検知に基づくものとなったとき、実際の状況に応じた最適な運転支援、すなわち、ドライバの望む運転支援が実施されず、ドライバに違和感を与える可能性がある。特に、特許文献1では単眼カメラの撮像画像から停止線までの距離を算出しているため、検出結果の信頼性が低く、不正確な検知結果に基づく運転支援となる可能性が高い。なお、特許文献1では、カーナビゲーションシステムの情報を用いて撮像画像から算出した停止線までの距離を補正しているが、カーナビゲーションシステムのデータベースに保存された情報と実際の状況とが相違している場合には信頼性の向上は望めない。
これに対し、実施例1のコントロールユニット2では、走行環境認識部1により検出された停止線の存在信頼度を算出し(ステップS3)、存在信頼度が所定値以上の場合には、停止制御(ステップS12)、減速制御(ステップS14またはステップS17)、一定速制御(ステップS16)のいずれかの運転支援を行い、存在信頼度が所定値未満の場合には運転支援を行わない。つまり、検出結果の信頼性(存在信頼度)の高さを運転支援に反映させ、存在信頼度の高さに応じて制御介入の度合いを変化させるため、実際の状況に応じた最適な運転支援と実際の運転支援との乖離を抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。ここで、走行環境認識部1は、検出物までの距離を測定可能なステレオカメラ1a,1bの撮像画像から停止線を検出しているため、予測到達時間を精度よく算出でき、停止線までの距離に合致した運転支援を行うことができる。
また、コントロールユニット2は、ステップS6でアクセルOFFと判定され、ステップS7でブレーキOFFと判定された場合にのみ、運転支援を行い、ステップS6でアクセルON、またはステップS7でブレーキONと判定された場合には、運転支援を行わない。ドライバの加速意思に抗して減速制御等、運転支援のための制御介入を行うと、ドライバに違和感を与える。また、ドライバ自身が減速操作をしている状態で減速制御を行うと、車両の減速度がドライバの意図した減速度(減速操作量に応じた減速度)よりも大きくなることで、ドライバに違和感を与えるおそれがある。よって、ドライバに加速または減速意思がある場合には、ドライバの操作に任せて運転支援を制限することで、ドライバに与える違和感を防止できる。
【0014】
コントロールユニット2の信頼度判定部22は、図6に示したように、カメラ1a,1bによって撮像された撮像画像の中で、左右方向に検出された輝度の高いポイントの個数が多いほど、または当該ポイントのうち左右車線区分線に挟まれた領域に存在するポイントの割合が多いほど、存在信頼度が高いと判定する。また、図8に示したように、輝度の高いポイントの奥行き方向の分散が小さい場合には存在信頼度が高く、分散が大きい場合には存在信頼度が低いと判定する。さらに、図10に示したように、輝度が高いポイントの高さ方向の分散が小さい場合には存在信頼度が高く、分散が大きい場合には存在信頼度が低いと判定する。停止線は白線であり、撮像画像内での輝度が路面と比較して高くなるため、輝度に基づいて存在信頼度を判定することで、カメラ1a,1bが色彩を判別できない場合であっても、撮像画像内から停止線の領域を容易に把握できる。また、輝度が高いポイントの密度が高いほど存在信頼性を高くするため、信頼度の判定精度が高められる。
コントロールユニット2は、ステップS8で自車速が30km/h以下であると判定された場合、ステップS9で自車速が20km/h以下であると判定されたとき、停止制御を実施し、20km/hよりも高いと判定されたとき、減速制御を実施する。例えば、走行環境認識部1により交差点や横断歩道が検出されているが、ドライバ自身は停止不要と判断しているような状況において、減速制御を行った場合、ドライバに違和感を与える。これに対し、アクセルおよびブレーキが共にOFFの状態で自車速が30km/h以下である場合には、ドライバが停止意思を持っている可能性が高いと判断できるため、その場合にのみ停止制御または減速制御を行い、ドライバが停止意思を持っていないと判断できる場合には、停止制御または減速制御を制限することで、ドライバに与える違和感を軽減できる。なお、自車速が30km/h以上の場合、ドライバにより一定速制御モードが選択されているときには自車速を一定に維持し、エンジンブレーキモードが選択されているときにはエンジンブレーキを発生させるため、ドライバの望む走行状態を維持できる。
コントロールユニット2は、ステップS10で停止線までの予測到達時間が所定時間T1以下であると判定された場合には停止制御を実施し、予測到達時間が所定時間T1よりも長いと判定された場合には減速制御を実施するため、停止線の位置に応じて車両を減速させることができる。また、ステップS5で停止線までの予測到達時間が所定時間T2よりも長いと判定された場合には減速制御を実施しないため、停止線の遠方から弱い減速制御が継続することでドライバに違和感や不快感を与えるのを防止できる。加えて、遠方から減速制御を実施しないため、停止すべき状況の誤検知も防止できる。
【0015】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両制御装置では、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 車両制御用のアクチュエータ(エンジン15、制動制御装置)を備えた車両に搭載され、自車両の進行方向前方の走行環境を計測する走行環境計測部(カメラ1a,1b)と、走行環境計測部による走行環境の計測結果の信頼度(存在信頼度)を判定する信頼度判定部22と、判定された信頼度を必要条件としてアクチュエータの作動を行うコントロールユニット2と、を備えた。これにより、アクチュエータの作動を実際の走行環境に応じた最適な動作に近付けることができ、ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる。
(2) 走行環境計測部は、カメラ1a,1bであって、信頼度判定部22は、カメラ1a,1bによって撮像された走行環境としての路面の映像内における複数地点の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて道路上に引かれた停止線の信頼度を判定する。これにより、カメラ1a,1bが色彩を判別できない場合であっても、映像内から停止線の領域を容易かつ精度よく把握できる。
(3) アクチュエータは、制動制御装置であるため、停止線の信頼度に応じて自車両を減速させ、ドライバの運転負荷を軽減できる。
(4) ドライバの操作するアクセルペダルの操作状態を検出するアクセル開度センサ7を備え、コントロールユニット2は、検出されたアクセルペダルの操作状態からドライバの減速意思(アクセルOFF)が検出された場合、算出された信頼度に応じて制動制御装置を作動させ車両を減速させる。これにより、ドライバの加速意思に抗して車両を減速させることでドライバに与える違和感を防止できる。
【0016】
(実施例2)
まず、構成を説明する。実施例1と同一の構成については図示ならびに説明を省略する。
〔運転支援制御処理〕
図13は、実施例2のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図2に示した実施例1のフローチャートと同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS21では、走行環境認識部1に対し撮像画像から停止線および一時停止標識を検出する指令を出力する停止位置推定要素検出処理を実行し、ステップS22へ移行する。一時停止標識は、例えば、あらかじめデータROM2cに記憶した一時停止標識のテンプレートとのマッチングにより行う。
ステップS22では、一時停止標識判別部24において、ステップS21で一時停止標識が検出されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS23へ移行し、NOの場合にはステップS2へ移行する。
ステップS23では、一時停止標識の停止必要性ポイントを、総合停止必要性ポイントに加算し、ステップS24へ移行する。停止必要性ポイントとは、停止位置推定要素となる対象物(ここでは一時停止標識)の停止必要性の高さをポイント化したもので、実施例2では、停止必要性を4段階に分類し、ポイントが高い順に、「停止必須」、「停止が必要な可能性が高い」、「要警戒」、「停止不要」とする。一時停止標識は、それが実際に存在するとき必ず停止しなければならず、一時停止標識の存在する位置は停止すべき位置と一致している可能性が極めて高いため、停止必要性ポイントは、「停止必須」となる。
ステップS24では、信頼度判定部22において、一時停止標識の存在信頼度を算出し、ステップS25へ移行する。一時停止標識は、大きさ、形状、位置、記載内容といった判断要素から、一時停止標識が存在する確からしさ算出する。一時停止標識の設置位置および寸法は、「道路標識、区画線および道路標示に関する命令」に定められているため、これに基づき、図14,15に示すように、定められている領域(存在信頼度最高領域)外となる高さ1m以下に位置する場合は一時停止標識である可能性が低い、定められている寸法である一辺が40cmから160cmの間でないものは一時停止標識である可能性が低い、というような判断基準とする。寸法に関しては、図16に示すように標準寸法である一辺が80cmの場合に存在信頼度を最も高くし、認められている拡大縮小範囲の限界である40cmおよび160cmに近づくに従って徐々に存在信頼度を低下させ、これらの限界値を超えた場合には急激に低い値とする。位置に関しては、前記命令にて高さ1m以上、車両通行帯の真上に設置する場合は高さ4.5m以上と指定されていることから、図に示すような車線部は存在信頼度を高くし、車線部よりも右や下に位置する場合は急激に存在信頼度を低くし、左や上に位置する場合は前記命令を逸脱するものではないので緩やかに存在信頼度を低くする。なお、前記命令の改訂や例外的な設置状況に対応する必要性、測定誤差やノイズを勘案する必要性から、数値は例示したものに限定するものではない。一時停止標識の記載内容としては、赤字に白文字の「止まれ」の文字が認知できることが理想的であり、記載内容からの存在確からしさが最高となるが、カメラ1a,1bが色彩を判別できない場合には、輝度の低い領域中に輝度の高い前記文字表記が検出できる状態が、最も存在確からしさが高い状況となる。また、以上に述べたような状況に比して認識状況が劣る場合でも、類似形状の標識、例えば、徐行標識との誤認を防ぐため、標識全体がほぼ単色であるといった判断基準を設けることで、精度よく一時停止標識を検出できる。
【0017】
ステップS25では、一時停止標識による停止位置ポイント(係数)に、ステップS24で算出された存在信頼度を掛けた(乗算した)ものを停止位置精度ポイントとし、ステップS26へ移行する。停止位置ポイントは、固有停止位置係数設定部25により設定される。ここで、停止位置ポイントは、対象物(ここでは一時停止標識)による停止位置の確かさをポイント化したもので、実施例2では、停止位置を、3段階に分類し、ポイントが高い順に、「停止位置そのもの」、「停止位置確定には弱い」、「対象の位置は不明確」とする。一時停止標識は、停止位置に存在する可能性が極めて高いため、停止位置ポイントは、「停止位置そのもの」とする。
ステップS26では、ステップS25で算出された一時停止標識による停止位置精度ポイントを、総合停止位置精度ポイントに加算し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS21で停止線が検出されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS27へ移行し、NOの場合にはステップS30へ移行する。
ステップS27では、停止線の停止必要性ポイントを、総合停止必要性ポイントに加算し、ステップS28へ移行する。停止線は、警戒を要するものであるため、停止必要性ポイントは、「要警戒」とする。
ステップS28では、停止線による停止位置ポイント(係数)に、ステップS3で算出された存在信頼度を掛けた(乗算した)ものを停止位置精度ポイントとし、ステップS29へ移行する。停止位置ポイントは、固有停止位置係数設定部25により設定される。停止線は、停止位置そのものであるため、停止位置ポイントは、「停止位置そのもの」とする。
ステップS29では、ステップS28で算出された停止線の停止位置精度ポイントを、総合停止位置精度ポイントに加算し、ステップS30へ移行する。
ステップS30では、総合停止位置精度ポイントと総合停止必要性ポイントとの和を算出して停止ポイントとし、ステップS31へ移行する。
ステップS31では、ステップS30で算出された総合停止位置精度ポイントと総合停止必要性ポイントとの和が一定(所定値)以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS5へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
【0018】
次に、作用を説明する。
〔運転支援時の違和感軽減作用〕
実施例2では、停止位置推定要素である一時停止標識と停止線について、停止必要性の高さを表す停止必要性ポイントと、停止位置の確かさを表す停止位置ポイントに存在信頼度を乗算した停止位置精度ポイントをそれぞれ算出し、これらの総和(総合停止必要性ポイント+総合停止位置精度ポイント)が所定値以上である場合に、運転支援を行う。つまり、停止位置の確かさだけでなく、停止必要性の高さを運転支援に反映させ、停止位置の精度と停止必要性とに応じて制御介入の度合いを変化させるため、実際の状況に応じた最適な運転支援と実際の運転支援との乖離を抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
また、実施例2では、一時停止標識および停止線の存在信頼度に停止位置ポイントを乗算して停止位置精度ポイントを算出し、運転支援に反映させている。撮像画像から求めた存在信頼度に対し、対象物による停止位置の確かさを表す停止位置ポイントを乗算して最終的な存在信頼度である停止位置精度ポイントを算出することで、停止位置で停止する必要性を高精度に算出でき、より違和感の少ない運転支援を実現できる。
なお、その他の作用効果は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両制御装置では、実施例1の効果(1)〜(4)に加え、以下の効果を奏する。
(5) 走行環境計測部(車載カメラ1a,1b)により計測された信号機または標識の種別に対応する係数を設定する固有停止位置係数設定部25を備え、信頼度判定部22は、判定された信頼度と設定された係数に基づいて、計測された走行環境の存在信頼度(停止位置精度ポイント)を算出し、コントロールユニット2は、算出された存在信頼度に応じてアクチュエータ(制動制御装置、エンジン14)を作動させる。これにより、停止位置で停止する必要性を高精度に算出でき、より違和感の少ない運転支援を実現できる。
【0019】
(実施例3)
まず、構成を説明する。実施例1,2と同一の構成については図示ならびに説明を省略する。
〔運転支援制御処理〕
図17は、実施例3のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図2に示した実施例1のフローチャート、および図13に示した実施例2のフローチャートと同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS41では、走行環境認識部1に対し撮像画像から全ての停止位置推定要素(標識、信号等)を検出する指令を出力する停止位置推定要素検出処理を実行し、ステップS22へ移行する。各停止位置推定要素は、例えば、あらかじめデータROM2cに記憶した各停止位置推定要素のテンプレートとのマッチングにより行う。
ステップS42では、ステップS21で停止位置推定要素である対象物が少なくとも1つ検出されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS43へ移行し、NOの場合にはステップS47へ移行する。
ステップS43では、ステップS41で検出された各対象物の停止必要性ポイントを、総合停止必要性ポイントに加算し、ステップS44へ移行する。各対象物の停止必要性ポイントを図18の左列に示す。なお、赤信号が検出された場合は、これが存在すれば必ず停止しなければならないため、停止必要性ポイントは、「停止必須」としているが、当該信号の位置は停止すべき位置の直上とは限らず、交差点の奥側に位置する場合もあるなど、停止すべき位置を正確に確定させる要素とは言えないため、停止必要性ポイントを「要警戒」としてもよい。
ステップS44では、信頼度判定部22において、各対象物の存在信頼度をそれぞれ算出し、ステップS45へ移行する。各対象物の存在信頼度の判定方法を図19に示す。
ステップS45では、各対象物停止位置ポイント(係数)に、ステップS44で算出された各存在信頼度を掛けた(乗算した)ものをそれぞれの停止位置精度ポイントとし、ステップS46へ移行する。各対象物の停止位置ポイントを図18の右列に示す。
ステップS46では、ステップS45で算出された各対象物による停止位置精度ポイントを、総合停止位置精度ポイントに加算し、ステップS47へ移行する。
ステップS47では、総合停止位置精度ポイントと総合停止必要性ポイントとの和を算出して停止ポイントとし、ステップS31へ移行する。なお、ステップS42で対象物が検出されなかった場合は、最低点(例えば、ゼロ)とする。
【0020】
次に、作用を説明する。
実施例3では、検出された停止位置推定要素全てについて停止必要ポイントと停止位置精度ポイントを算出し、これらの総和が所定値以上である場合に、運転支援を行うため、実施例2に対して停止位置で停止する必要性をより高精度に算出でき、より違和感の少ない運転支援を実現できる。
よって、実施例3の車両制御装置にあっては、実施例2と同様の作用効果を奏する。
【0021】
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例の運転支援では、算出された停止線の存在信頼度の高さ、ドライバの加速、減速操作の有無、停止線までの予測到達時間および自車速に基づいて、停止制御、減速制御(エンジンブレーキを含む。)、一定速制御、音声や画像などによるドライバへの警告、何もしない、を選択する例を示したが、これに限らず、存在信頼度の高さに応じて警報のみ、または減速制御のみを切り替える構成としてもよい。また、存在信頼度が高いほど減速制御により発生させる減速度をより大きくする構成としてもよい。
図2のステップS6でアクセル開度がゼロよりも大きく所定開度A1以下である場合、緩減速Aを行う構成としてもよい。
実施例1では、ブレーキONの場合には、ドライバの減速操作による減速度の発生を優先して運転支援は行わない例を示したが、別途警報を出力してもよいし、ドライバの減速操作では停止すべき位置までに停止できないと判断した場合など、ドライバの減速操作度合いと実際に必要な減速量との兼ね合いによっては制御介入を行うようにしてもよい。
実施例2,3では、停止必要性ポイントを4段階に分類し、停止位置ポイントを3段階に分類した例を示したが、各ポイントは2段階以上であれば、何段階に分類してもよい。
実施例では、走行環境計測部として2台のカメラ1a,1bによるステレオカメラを採用した例を示したが、単眼カメラと対象物までの距離を算出する手段(例えば、レーザレーダ、ミリ波レーダ等)を組み合わせた構成としてもよい。
【0022】
実施例から把握される特許請求の範囲に記載した発明以外の技術的思想について以下に説明する。
(a) 請求項2に記載の車両制御装置において、
前記信頼度判定部は、算出された輝度が所定の輝度よりも高い地点を停止線としての信頼度が高いと判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、カメラが色彩を判別できない構造であっても、停止線の信頼度を判別できる。また、道路上に引かれた白線である停止線の輝度が他の部分の輝度よりも高いため、停止線の信頼度を高精度に判別できる。
(b) 請求項2に記載の車両制御装置において、
前記信頼度判定部は、算出された輝度が所定の輝度よりも高い地点の密度を算出し、算出された密度が高い場合に停止線である信頼度が高いと判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線の信頼度を高精度に判定できる。
(c) 請求項5に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部は、道路上の停止線と、この停止線と自車両との距離を計測し、
前記計測された距離に基づいて自車両が前記停止線に到達するまでの到達時間を算出する到達時間算出部を備え、
前記アクチュエータ制御部は、前記演算された到達時間があらかじめ設定された時間よりも短く、かつ、前記信頼度判定部により判定された信頼度があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合には、前記制動制御装置を作動させることを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線の位置に応じて車両を減速させることができる。また、停止線の遠方から弱い減速制御が継続することでドライバに違和感や不快感を与えるのを防止できる。
【0023】
(d) 請求項1に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部により計測された情報は、道路上に引かれた白線および標識であって、
前記信頼度判定部は、前記白線が停止線であるか否かを判別する停止線判別部による判別結果と、前記標識が一時停止標識であるか否かを判別する一時停止標識判別部の判別結果とに基づいて信頼度を判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線と一時停止標識に基づいてアクチュエータの作動を実際の走行環境に応じた最適な動作に近付けることができ、ドライバに与える違和感を軽減できる。
(e) (d)に記載の車両制御装置において、
自車両が前記停止線に到達するまでの時間を算出する到達時間算出部を備え、
前記アクチュエータ制御部は、前記信頼度判定部による判定があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合、前記算出された到達時間があらかじめ設定された到達時間よりも短いときには前記アクチュエータを作動し、長いときには前記アクチュエータの作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線の位置に応じてアクチュエータの駆動による制御介入を行うことができる。また、停止線の遠方から弱い制御介入が継続することでドライバに違和感や不快感を与えるのを防止できる。
(f) (d)に記載の車両制御装置において、
自車両の速度を検出する速度検出部を備え、
アクチュエータは、制動制御装置であり、
前記アクチュエータ制御部は、前記信頼度判定部による判定があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合、前記検出された自車両の速度があらかじめ設定された速度よりも低いときには前記制動制御装置を作動し、高いときには前記制動制御装置の作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、ドライバが減速意思を持っている可能性が高いと判断した場合にのみ自車両を減速させることで、ドライバが減速意思を持っていない場合に自車両の減速を制限することでドライバに違和感を与えるのを防止できる。
(g) (d)に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部により計測された信号機または標識の種別に対応する係数を設定する固有停止位置係数設定部を備え、
前記信頼度判定部は、前記判定された信頼度と前記設定された係数に基づいて、計測された走行環境の存在信頼度を算出し、
前記アクチュエータ制御部は、前記算出された存在信頼度に応じて前記アクチュエータを作動させることを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止位置で停止する必要性を高精度に算出でき、より違和感の少ないアクチュエータの動作を実現できる。
【0024】
(h) 制動制御装置を備えた車両に搭載され、自車両の進行方向前方の状況を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された撮像画像から自車両が次に停止すべきポイントか否かの信頼度を判定する信頼度判定部と、
前記判定された信頼度が高い場合には前記制動制御装置の作動を許可し、低い場合には前記制動制御装置の作動を制限する制動制御部と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、制動制御装置の作動を実際の走行環境に応じた最適な動作に近付けることができ、ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる。
(i) (h)に記載の車両制御装置において、
自車両が前記停止線に到達するまでの時間を算出する到達時間算出部を備え、
前記カメラは、路面に引かれた停止線を撮像し、
前記制動制御部は、前記信頼度判定部による判定があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合、前記算出された到達時間があらかじめ設定された到達時間よりも短いときには前記制動制御装置を作動し、長いときには前記制動制御装置の作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線の位置に応じて車両を減速させることができる。また、停止線の遠方から弱い減速制御が継続することでドライバに違和感や不快感を与えるのを防止できる。
(j) (h)に記載の車両制御装置において、
自車両の速度を検出する速度検出部を備え、
前記カメラは、路面に引かれた停止線を撮像し、
前記制動制御部は、前記信頼度判定部による判定があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合、前記検出された自車両の速度があらかじめ設定された速度よりも低いときには前記制動制御装置を作動し、高いときには前記制動制御装置の作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、ドライバが減速意思を持っている可能性が高いと判断した場合にのみ自車両を減速させることで、ドライバが減速意思を持っていない場合に自車両の減速を制限することでドライバに違和感を与えるのを防止できる。
(k) (h)に記載の車両制御装置において、
前記信頼度判定部は、前記カメラによって撮像された前記走行環境としての路面の映像内における複数地点の輝度を算出し、前記算出された輝度に基づいて道路上に引かれた停止線の信頼度を判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、カメラが色彩を判別できない構造であっても、停止線の信頼度を判別できる。
(l) (k)に記載の車両制御装置において、
前記信頼度判定部は、算出された輝度が所定の輝度よりも高い地点を停止線としての信頼度が高いと判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、道路上に引かれた白線である停止線の輝度が他の部分の輝度よりも高いため、停止線の信頼度を高精度に判別できる。
(m) (h)に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部により計測された信号機または標識の種別に対応する係数を設定する固有停止位置係数設定部を備え、
前記信頼度判定部は、前記判定された信頼度と前記設定された係数に基づいて、計測された走行環境の存在信頼度を算出し、
前記制動制御部は、前記算出された存在信頼度に応じて前記制動制御装置を作動させることを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止位置で停止する必要性を高精度に算出でき、より違和感の少ない制動制御装置の動作を実現できる。
【0025】
(n) 自車両の進行方向前方の状況を撮像するカメラにより撮像された撮像画像から自車両が次に停止すべきポイントか否かの信頼度を判定し、
前記判定結果に基づいて、車両に搭載された制動制御装置の制御量を決定し、決定された制御量に基づいて前記制動制御装置を制御することを特徴とする車両制御方法。
この発明によれば、制動制御装置の作動を実際の走行環境に応じた最適な動作に近付けることができ、ドライバに与える違和感の少ない制動制御装置の作動を実現できる。
(o) (n)に記載の車両制御方法において、
判定された信頼度が高い場合には前記制動制御装置の作動を許可し、低い場合には前記制動制御装置の作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、信頼度に応じて車両を減速させることができ、ドライバに与える違和感を軽減できる。
【符号の説明】
【0026】
1a,1b 車載カメラ(走行環境計測部)
2 コントロールユニット(アクチュエータ制御部)
11 ブレーキコントロールユニット(アクチュエータ)
12 液圧ユニット(アクチュエータ)
13a,13b,13c,13d ホイルシリンダ(アクチュエータ)
15 エンジン(アクチュエータ)
22 信頼度判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両制御装置では、カメラの撮像画像内に停止線が存在するか否かを判定し、停止線が存在すると判定した場合、音声によるドライバへの報知、減速制御による運転介入等の運転支援を行っている。この記載に関係する技術の一例は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−63398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来装置において、ドライバに与える違和感を軽減して欲しいとのニーズがある。
本発明の目的は、ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる車両制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、自車両の進行方向前方の走行環境を計測して当該計測結果の信頼度を判定し、判定された信頼度を必要条件として車両制御用のアクチュエータの作動を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の車両制御装置の構成図である。
【図2】実施例1のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】同一進行方向の車線が自車線のみの場合の、停止線とそれ以外のものの見え方の違いを示す模式図である。
【図4】同一進行方向に複数の車線がある場合の、停止線とそれ以外のものの見え方の違いを示す模式図である。
【図5】停止線検出の信頼度算出方法の例を示した模式図である。
【図6】信頼度係数加算値1の設定マップである。
【図7】停止線検出の信頼度算出方法の例を示した模式図である。
【図8】信頼度係数加算値2の設定マップである。
【図9】停止線検出の信頼度算出方法の例を示した模式図である。
【図10】信頼度係数加算値3の設定マップである。
【図11】停止制御と減速制御を行う場合の停止ポイントと必要減速度との関係を示す図である。
【図12】停止線までの予測到達時間および自車速に基づく支援方法の一覧を示す図である。
【図13】実施例2のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】一時停止標識の存在信頼度を、当該標識の検出された位置から判定する模式図である。
【図15】検出された一時停止標識の横位置と、当該一時停止標識の存在信頼度の関係を、様々な一時停止標識の検出高さにて示した模式図である。
【図16】一時停止標識の存在信頼度を、当該標識の検出された一辺の長さから判定する模式図である。
【図17】実施例3のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】各対象物の停止必要性ポイントの一覧を示す図である。
【図19】各対象物の存在信頼度の判定方法の一覧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の車両制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施例は、多くのニーズに適応できるように検討されており、ドライバに与える違和感を軽減できることは検討されたニーズの1つである。
【0009】
(実施例1)
まず、構成を説明する。
〔全体構成〕
図1は、実施例1の車両制御装置の構成図であり、車両制御装置は、走行環境認識部1と、コントロールユニット(アクチュエータ制御部、制動制御部)2と、イグニッションスイッチ3と、起動スイッチ4と、車速センサ(速度検出部)5と、ブレーキペダルストロークセンサ6と、アクセル開度センサ(アクセルペダル操作状態検出部)7と、加速度センサ8と、ディスプレイ9と、スピーカ10と、ブレーキコントロールユニット(以下、ブレーキCU)11と、液圧ユニット(以下、HU)12と、ホイルシリンダ13a,13b,13c,13dと、エンジンコントロールユニット(以下、エンジンCU)14と、エンジン(アクチュエータ)15とを備える。
走行環境認識部1は、車載カメラ(走行環境計測部であって、以下、カメラという。)1a,1bと、RAM1cと、CPU1dと、プログラムROM1eと、データROM1fとを有する。カメラ1a,1bは、例えば、ルームミラーの左右に取り付けられ、自車両の進行方向前方を所定の俯瞰、取り付け位置で撮像するステレオカメラである。ステレオカメラは、2つのカメラ1a,1bで同一計測点を撮影した際に生じる見え方の違い(以降、視差)を利用し、三角測量の原理により距離を求めることができる。例えば、対象までの距離をZ、カメラ間の距離をB、カメラの焦点距離をf、視差をδとすると、距離Zは、下記の式(1)で求めることができる。ただし、単位は全て同じ(例えば、mm)である。
Z = (B × f) / δ …(1)
RAM1cは、カメラ1a,1bにより撮像された撮像画像が取り込まれる。プログラムROM1eはCPU1dにより実行される車線、標識、立体物等を検出し、距離を算出するためのプログラムが記録されている。CPU1dは、データROM1fに記録された車線、標識、立体物等のテンプレートを参照して上記プログラムを実行し、撮像画像から白線、道路標識、立体物等を検出すると共に、これらとの距離を算出する。
なお、走行環境認識部1は、路面に存在する停止線を検出する。上述したように、カメラ1a,1bは検出物との距離を測定できるため、撮像画像内で停止線と思われる部分のうち、路面に存在する部分のみを停止線と判断することで、ノイズや他物体による停止線の誤判定を抑制できる。
【0010】
コントロールユニット2は、RAM2aと、CPU20と、プログラムROM2bと、データROM2cとを有する。RAM2aは、走行環境認識部1による検出結果の情報が取り込まれる。プログラムROM2bは、CPU20により実行される報知、減速制御等の運転支援を行うためのプログラムが記録されている。CPU20は、各スイッチ、センサからの情報およびデータROM2cに記録されたデータを参照して上記プログラムを実行し、実行結果に応じてディスプレイ9、スピーカ10およびブレーキCU11を制御する。例えば、道路形状等に応じた最適速度に対して自車両の速度が超過している場合、ディスプレイ9とスピーカ10の少なくとも一方を用いてドライバに速度超過を報知する。または、自車両の速度が最適速度となるようにブレーキCU11またはエンジンCU13に対し減速度を発生させる要求を出力する。
イグニッションスイッチ3は、エンジン15が始動したときON、停止したときOFFとなるスイッチである。
起動スイッチ4は、車室内に設置され、ドライバが上記報知、運転介入プログラムを起動するためのスイッチである。起動スイッチ4がONされたとき、コントロールユニット2および走行環境認識計測システム1は起動する。
車速センサ5は、自車両の車体速(以下、自車速)を検出する。ブレーキペダルストロークセンサ6は、ブレーキペダルのストローク量を検出する。アクセル開度センサ7は、アクセル開度を検出する。アクセル開度は、ドライバの操作するアクセルペダルのストローク量に比例するため、アクセル開度を検出することで、アクセルペダルの操作状態を検出できる。加速度センサ8は、自車両に作用する前後方向加速度および左右方向加速度を検出する。
ディスプレイ9は、車室内に設置され、走行環境認識部1およびコントロールユニット2からの情報を表示する。
スピーカ10は、コントロールユニット2からの指令に応じて、ドライバに警報を発する。
ブレーキCU11は、コントロールユニット2からの要求に応じて、液圧ユニット12を制御する。HU12は、ポンプおよび複数のバルブを備え、ブレーキCU11からの制動指令に応じて各ホイルシリンダ13a,13b,13c,13dに供給するブレーキ液圧を制御する。各ホイルシリンダ13a,13b,13c,13dは、各輪に対応して設けられ、ブレーキ液圧に応じて車輪に制動力を付与する。以下の説明では、ブレーキCU11、HU12および各ホイルシリンダ13a,13b,13c,13dをまとめて車両に制動力を付与する制動制御装置(アクチュエータ)という。
エンジンCU13は、コントロールユニット2からの要求に応じて、エンジン14の燃料カットを行い、エンジンブレーキを発生させる。
【0011】
〔運転支援制御処理〕
図2は、実施例1のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。この処理は、所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、走行環境認識部1に対し撮像画像から停止線を検出する指令を出力する停止線検出処理を実行し、ステップS2へ移行する。停止線は、路面に横方向に引かれた白っぽい領域を検出することで識別する。なお、カメラ1a,1bが色彩を判別できない構造である場合は、周囲よりも輝度の高い領域を検出することで停止線を識別する。ここで、図3のように停止線候補領域が車線区分線との交点を終端としていること、あるいは図4のように車線区分線が停止線候補領域との交点を終端としていること、車線区分線と停止線候補領域の輝度が同程度であること、といった判断基準を追加することにより、路面に生じた陰影により偶然生じた横方向の輝度の高い領域や、自転車横断帯の区画線、交差道路の車線区画線といった、停止線以外のものとの識別を行う。
ステップS2では、停止線判別部21において、ステップS1で停止線が検出されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS3へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS3では、信頼度判定部22において、停止線の存在信頼度を算出し、ステップS4へ移行する。実施例1では、3つの信頼度係数加算値1,2,3をそれぞれ算出し、これらの合計値を存在信頼度とする。例えば、ある奥行き方向の幅の中の領域において、図5のように左右方向に検出された輝度の高いポイントの個数が多いほど、または当該ポイントのうち左右車線区分線に挟まれた領域に存在するポイントの割合が大きいほど、停止線としての信頼度が高いものと見なし、信頼度係数加算値1を高くする(図6)。また、奥行き方向の幅についても、図7のように輝度が高いポイントの奥行き方向の分散を算出し、分散が大きい場合は停止線でない可能性が高いとして、信頼度係数加算値2を低くする(図8)。なお、図8では分散が一定未満の場合、信頼度係数加算値2は一定の最大値としているが、分散が過度に小さい場合には、停止線ではない細線である可能性があるため、信頼度係数加算値2を小さくするようにしてもよい。さらに、図9のように輝度が高いポイントの高さ方向の分散を算出し、分散が大きい場合は停止線でない可能性が高いとして信頼度係数加算値3を低くする(図10)。なお、輝度が高いポイントの高さ方向の平均を算出し、平均値が路面高さから離れている場合に信頼度係数加算値3を低くしてもよい。
【0012】
ステップS4では、停止線の存在信頼度が一定(所定値)以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS5へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS5では、到達時間算出部23により算出された停止線までの予測到達時間が所定時間T2以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS6へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS6では、アクセルOFFであるか否かを、アクセル開度が所定開度A1以下であるか否かにより判定する。YESの場合にはステップS7へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。ここで、所定開度A1は、駆動力が発生しないアクセル開度の最大値である。
ステップS7では、ブレーキOFFであるか否かを判定する。YESの場合にはステップS8へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS8では、自車速が30km/h以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS9へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
ステップS9では、自車速が20km/h以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS10へ移行し、NOの場合にはステップS14へ移行する。
ステップS10では、到達時間算出部23により算出された停止線までの予測到達時間が所定時間T1(<T2)以下であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS11へ移行し、NOの場合にはステップS13へ移行する。
ステップS11では、ディスプレイ9およびスピーカ10により、ドライバに対し一時停止が必要であり、ドライバの減速操作により停止が要求される旨の警報を行い、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、ブレーキCU11に対し停止線の直前で自車速がゼロとなるような減速度を発生させる要求を出力する停止制御を行い、リターンへ移行する。
ステップS13では、ディスプレイ9およびスピーカ10により、ドライバに対し制御介入により停止制御が必要な旨の告知を行い、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、ブレーキCU11に対し上記停止制御よりも小さな減速度を発生させる要求を出力する減速制御を行い、リターンへ移行する。
ステップ15では、一定速制御モードであるか否かを判定する。YESの場合にはステップS16へ移行し、NOの場合にはステップS17へ移行する。一定速制御モードとエンジンブレーキモードは、スイッチ切り替えによりドライバが選択するモードである。
ステップS16では、エンジンCU13に対し、一定速を維持する一定速制御を行う要求を出力し、リターンへ移行する。
ステップS17では、エンジンCU13に対し、エンジンブレーキを発生させる要求を出力し、リターンへ移行する。
図11は、停止制御と減速制御を行う場合の停止ポイントと必要減速度との関係を示す図であり、停止ポイントはP3,P2,P1の順に自車両に近いことをあらわす。図11に示すように、停止線までの予測到達時間がT1以下となるP3以上の停止ポイントでは、停止制御を実施する。予測到達時間がT1-T2間となるP2-P3間のポイントでは、減速制御を実施する。予測到達時間がT2を超えるP1-P2間のポイントでは、停止制御および減速制御を実施しない。
上記運転支援制御処理における算出された停止線の存在信頼度の高さ、停止線までの予測到達時間および自車速に基づく支援方法の一覧を図12に示す。
【0013】
次に、作用を説明する。
〔運転支援時の違和感軽減作用〕
上記特許文献1に記載のものは、停止線を検出したか否かにより運転支援の実施可否を判断しているため、検出結果の信頼性の高さが運転支援に反映されない。このため、検出結果に基づく運転支援が、誤検知に基づくものとなったとき、実際の状況に応じた最適な運転支援、すなわち、ドライバの望む運転支援が実施されず、ドライバに違和感を与える可能性がある。特に、特許文献1では単眼カメラの撮像画像から停止線までの距離を算出しているため、検出結果の信頼性が低く、不正確な検知結果に基づく運転支援となる可能性が高い。なお、特許文献1では、カーナビゲーションシステムの情報を用いて撮像画像から算出した停止線までの距離を補正しているが、カーナビゲーションシステムのデータベースに保存された情報と実際の状況とが相違している場合には信頼性の向上は望めない。
これに対し、実施例1のコントロールユニット2では、走行環境認識部1により検出された停止線の存在信頼度を算出し(ステップS3)、存在信頼度が所定値以上の場合には、停止制御(ステップS12)、減速制御(ステップS14またはステップS17)、一定速制御(ステップS16)のいずれかの運転支援を行い、存在信頼度が所定値未満の場合には運転支援を行わない。つまり、検出結果の信頼性(存在信頼度)の高さを運転支援に反映させ、存在信頼度の高さに応じて制御介入の度合いを変化させるため、実際の状況に応じた最適な運転支援と実際の運転支援との乖離を抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。ここで、走行環境認識部1は、検出物までの距離を測定可能なステレオカメラ1a,1bの撮像画像から停止線を検出しているため、予測到達時間を精度よく算出でき、停止線までの距離に合致した運転支援を行うことができる。
また、コントロールユニット2は、ステップS6でアクセルOFFと判定され、ステップS7でブレーキOFFと判定された場合にのみ、運転支援を行い、ステップS6でアクセルON、またはステップS7でブレーキONと判定された場合には、運転支援を行わない。ドライバの加速意思に抗して減速制御等、運転支援のための制御介入を行うと、ドライバに違和感を与える。また、ドライバ自身が減速操作をしている状態で減速制御を行うと、車両の減速度がドライバの意図した減速度(減速操作量に応じた減速度)よりも大きくなることで、ドライバに違和感を与えるおそれがある。よって、ドライバに加速または減速意思がある場合には、ドライバの操作に任せて運転支援を制限することで、ドライバに与える違和感を防止できる。
【0014】
コントロールユニット2の信頼度判定部22は、図6に示したように、カメラ1a,1bによって撮像された撮像画像の中で、左右方向に検出された輝度の高いポイントの個数が多いほど、または当該ポイントのうち左右車線区分線に挟まれた領域に存在するポイントの割合が多いほど、存在信頼度が高いと判定する。また、図8に示したように、輝度の高いポイントの奥行き方向の分散が小さい場合には存在信頼度が高く、分散が大きい場合には存在信頼度が低いと判定する。さらに、図10に示したように、輝度が高いポイントの高さ方向の分散が小さい場合には存在信頼度が高く、分散が大きい場合には存在信頼度が低いと判定する。停止線は白線であり、撮像画像内での輝度が路面と比較して高くなるため、輝度に基づいて存在信頼度を判定することで、カメラ1a,1bが色彩を判別できない場合であっても、撮像画像内から停止線の領域を容易に把握できる。また、輝度が高いポイントの密度が高いほど存在信頼性を高くするため、信頼度の判定精度が高められる。
コントロールユニット2は、ステップS8で自車速が30km/h以下であると判定された場合、ステップS9で自車速が20km/h以下であると判定されたとき、停止制御を実施し、20km/hよりも高いと判定されたとき、減速制御を実施する。例えば、走行環境認識部1により交差点や横断歩道が検出されているが、ドライバ自身は停止不要と判断しているような状況において、減速制御を行った場合、ドライバに違和感を与える。これに対し、アクセルおよびブレーキが共にOFFの状態で自車速が30km/h以下である場合には、ドライバが停止意思を持っている可能性が高いと判断できるため、その場合にのみ停止制御または減速制御を行い、ドライバが停止意思を持っていないと判断できる場合には、停止制御または減速制御を制限することで、ドライバに与える違和感を軽減できる。なお、自車速が30km/h以上の場合、ドライバにより一定速制御モードが選択されているときには自車速を一定に維持し、エンジンブレーキモードが選択されているときにはエンジンブレーキを発生させるため、ドライバの望む走行状態を維持できる。
コントロールユニット2は、ステップS10で停止線までの予測到達時間が所定時間T1以下であると判定された場合には停止制御を実施し、予測到達時間が所定時間T1よりも長いと判定された場合には減速制御を実施するため、停止線の位置に応じて車両を減速させることができる。また、ステップS5で停止線までの予測到達時間が所定時間T2よりも長いと判定された場合には減速制御を実施しないため、停止線の遠方から弱い減速制御が継続することでドライバに違和感や不快感を与えるのを防止できる。加えて、遠方から減速制御を実施しないため、停止すべき状況の誤検知も防止できる。
【0015】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両制御装置では、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 車両制御用のアクチュエータ(エンジン15、制動制御装置)を備えた車両に搭載され、自車両の進行方向前方の走行環境を計測する走行環境計測部(カメラ1a,1b)と、走行環境計測部による走行環境の計測結果の信頼度(存在信頼度)を判定する信頼度判定部22と、判定された信頼度を必要条件としてアクチュエータの作動を行うコントロールユニット2と、を備えた。これにより、アクチュエータの作動を実際の走行環境に応じた最適な動作に近付けることができ、ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる。
(2) 走行環境計測部は、カメラ1a,1bであって、信頼度判定部22は、カメラ1a,1bによって撮像された走行環境としての路面の映像内における複数地点の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて道路上に引かれた停止線の信頼度を判定する。これにより、カメラ1a,1bが色彩を判別できない場合であっても、映像内から停止線の領域を容易かつ精度よく把握できる。
(3) アクチュエータは、制動制御装置であるため、停止線の信頼度に応じて自車両を減速させ、ドライバの運転負荷を軽減できる。
(4) ドライバの操作するアクセルペダルの操作状態を検出するアクセル開度センサ7を備え、コントロールユニット2は、検出されたアクセルペダルの操作状態からドライバの減速意思(アクセルOFF)が検出された場合、算出された信頼度に応じて制動制御装置を作動させ車両を減速させる。これにより、ドライバの加速意思に抗して車両を減速させることでドライバに与える違和感を防止できる。
【0016】
(実施例2)
まず、構成を説明する。実施例1と同一の構成については図示ならびに説明を省略する。
〔運転支援制御処理〕
図13は、実施例2のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図2に示した実施例1のフローチャートと同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS21では、走行環境認識部1に対し撮像画像から停止線および一時停止標識を検出する指令を出力する停止位置推定要素検出処理を実行し、ステップS22へ移行する。一時停止標識は、例えば、あらかじめデータROM2cに記憶した一時停止標識のテンプレートとのマッチングにより行う。
ステップS22では、一時停止標識判別部24において、ステップS21で一時停止標識が検出されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS23へ移行し、NOの場合にはステップS2へ移行する。
ステップS23では、一時停止標識の停止必要性ポイントを、総合停止必要性ポイントに加算し、ステップS24へ移行する。停止必要性ポイントとは、停止位置推定要素となる対象物(ここでは一時停止標識)の停止必要性の高さをポイント化したもので、実施例2では、停止必要性を4段階に分類し、ポイントが高い順に、「停止必須」、「停止が必要な可能性が高い」、「要警戒」、「停止不要」とする。一時停止標識は、それが実際に存在するとき必ず停止しなければならず、一時停止標識の存在する位置は停止すべき位置と一致している可能性が極めて高いため、停止必要性ポイントは、「停止必須」となる。
ステップS24では、信頼度判定部22において、一時停止標識の存在信頼度を算出し、ステップS25へ移行する。一時停止標識は、大きさ、形状、位置、記載内容といった判断要素から、一時停止標識が存在する確からしさ算出する。一時停止標識の設置位置および寸法は、「道路標識、区画線および道路標示に関する命令」に定められているため、これに基づき、図14,15に示すように、定められている領域(存在信頼度最高領域)外となる高さ1m以下に位置する場合は一時停止標識である可能性が低い、定められている寸法である一辺が40cmから160cmの間でないものは一時停止標識である可能性が低い、というような判断基準とする。寸法に関しては、図16に示すように標準寸法である一辺が80cmの場合に存在信頼度を最も高くし、認められている拡大縮小範囲の限界である40cmおよび160cmに近づくに従って徐々に存在信頼度を低下させ、これらの限界値を超えた場合には急激に低い値とする。位置に関しては、前記命令にて高さ1m以上、車両通行帯の真上に設置する場合は高さ4.5m以上と指定されていることから、図に示すような車線部は存在信頼度を高くし、車線部よりも右や下に位置する場合は急激に存在信頼度を低くし、左や上に位置する場合は前記命令を逸脱するものではないので緩やかに存在信頼度を低くする。なお、前記命令の改訂や例外的な設置状況に対応する必要性、測定誤差やノイズを勘案する必要性から、数値は例示したものに限定するものではない。一時停止標識の記載内容としては、赤字に白文字の「止まれ」の文字が認知できることが理想的であり、記載内容からの存在確からしさが最高となるが、カメラ1a,1bが色彩を判別できない場合には、輝度の低い領域中に輝度の高い前記文字表記が検出できる状態が、最も存在確からしさが高い状況となる。また、以上に述べたような状況に比して認識状況が劣る場合でも、類似形状の標識、例えば、徐行標識との誤認を防ぐため、標識全体がほぼ単色であるといった判断基準を設けることで、精度よく一時停止標識を検出できる。
【0017】
ステップS25では、一時停止標識による停止位置ポイント(係数)に、ステップS24で算出された存在信頼度を掛けた(乗算した)ものを停止位置精度ポイントとし、ステップS26へ移行する。停止位置ポイントは、固有停止位置係数設定部25により設定される。ここで、停止位置ポイントは、対象物(ここでは一時停止標識)による停止位置の確かさをポイント化したもので、実施例2では、停止位置を、3段階に分類し、ポイントが高い順に、「停止位置そのもの」、「停止位置確定には弱い」、「対象の位置は不明確」とする。一時停止標識は、停止位置に存在する可能性が極めて高いため、停止位置ポイントは、「停止位置そのもの」とする。
ステップS26では、ステップS25で算出された一時停止標識による停止位置精度ポイントを、総合停止位置精度ポイントに加算し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS21で停止線が検出されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS27へ移行し、NOの場合にはステップS30へ移行する。
ステップS27では、停止線の停止必要性ポイントを、総合停止必要性ポイントに加算し、ステップS28へ移行する。停止線は、警戒を要するものであるため、停止必要性ポイントは、「要警戒」とする。
ステップS28では、停止線による停止位置ポイント(係数)に、ステップS3で算出された存在信頼度を掛けた(乗算した)ものを停止位置精度ポイントとし、ステップS29へ移行する。停止位置ポイントは、固有停止位置係数設定部25により設定される。停止線は、停止位置そのものであるため、停止位置ポイントは、「停止位置そのもの」とする。
ステップS29では、ステップS28で算出された停止線の停止位置精度ポイントを、総合停止位置精度ポイントに加算し、ステップS30へ移行する。
ステップS30では、総合停止位置精度ポイントと総合停止必要性ポイントとの和を算出して停止ポイントとし、ステップS31へ移行する。
ステップS31では、ステップS30で算出された総合停止位置精度ポイントと総合停止必要性ポイントとの和が一定(所定値)以上であるか否かを判定する。YESの場合にはステップS5へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
【0018】
次に、作用を説明する。
〔運転支援時の違和感軽減作用〕
実施例2では、停止位置推定要素である一時停止標識と停止線について、停止必要性の高さを表す停止必要性ポイントと、停止位置の確かさを表す停止位置ポイントに存在信頼度を乗算した停止位置精度ポイントをそれぞれ算出し、これらの総和(総合停止必要性ポイント+総合停止位置精度ポイント)が所定値以上である場合に、運転支援を行う。つまり、停止位置の確かさだけでなく、停止必要性の高さを運転支援に反映させ、停止位置の精度と停止必要性とに応じて制御介入の度合いを変化させるため、実際の状況に応じた最適な運転支援と実際の運転支援との乖離を抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
また、実施例2では、一時停止標識および停止線の存在信頼度に停止位置ポイントを乗算して停止位置精度ポイントを算出し、運転支援に反映させている。撮像画像から求めた存在信頼度に対し、対象物による停止位置の確かさを表す停止位置ポイントを乗算して最終的な存在信頼度である停止位置精度ポイントを算出することで、停止位置で停止する必要性を高精度に算出でき、より違和感の少ない運転支援を実現できる。
なお、その他の作用効果は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両制御装置では、実施例1の効果(1)〜(4)に加え、以下の効果を奏する。
(5) 走行環境計測部(車載カメラ1a,1b)により計測された信号機または標識の種別に対応する係数を設定する固有停止位置係数設定部25を備え、信頼度判定部22は、判定された信頼度と設定された係数に基づいて、計測された走行環境の存在信頼度(停止位置精度ポイント)を算出し、コントロールユニット2は、算出された存在信頼度に応じてアクチュエータ(制動制御装置、エンジン14)を作動させる。これにより、停止位置で停止する必要性を高精度に算出でき、より違和感の少ない運転支援を実現できる。
【0019】
(実施例3)
まず、構成を説明する。実施例1,2と同一の構成については図示ならびに説明を省略する。
〔運転支援制御処理〕
図17は、実施例3のコントロールユニット2による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図2に示した実施例1のフローチャート、および図13に示した実施例2のフローチャートと同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS41では、走行環境認識部1に対し撮像画像から全ての停止位置推定要素(標識、信号等)を検出する指令を出力する停止位置推定要素検出処理を実行し、ステップS22へ移行する。各停止位置推定要素は、例えば、あらかじめデータROM2cに記憶した各停止位置推定要素のテンプレートとのマッチングにより行う。
ステップS42では、ステップS21で停止位置推定要素である対象物が少なくとも1つ検出されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS43へ移行し、NOの場合にはステップS47へ移行する。
ステップS43では、ステップS41で検出された各対象物の停止必要性ポイントを、総合停止必要性ポイントに加算し、ステップS44へ移行する。各対象物の停止必要性ポイントを図18の左列に示す。なお、赤信号が検出された場合は、これが存在すれば必ず停止しなければならないため、停止必要性ポイントは、「停止必須」としているが、当該信号の位置は停止すべき位置の直上とは限らず、交差点の奥側に位置する場合もあるなど、停止すべき位置を正確に確定させる要素とは言えないため、停止必要性ポイントを「要警戒」としてもよい。
ステップS44では、信頼度判定部22において、各対象物の存在信頼度をそれぞれ算出し、ステップS45へ移行する。各対象物の存在信頼度の判定方法を図19に示す。
ステップS45では、各対象物停止位置ポイント(係数)に、ステップS44で算出された各存在信頼度を掛けた(乗算した)ものをそれぞれの停止位置精度ポイントとし、ステップS46へ移行する。各対象物の停止位置ポイントを図18の右列に示す。
ステップS46では、ステップS45で算出された各対象物による停止位置精度ポイントを、総合停止位置精度ポイントに加算し、ステップS47へ移行する。
ステップS47では、総合停止位置精度ポイントと総合停止必要性ポイントとの和を算出して停止ポイントとし、ステップS31へ移行する。なお、ステップS42で対象物が検出されなかった場合は、最低点(例えば、ゼロ)とする。
【0020】
次に、作用を説明する。
実施例3では、検出された停止位置推定要素全てについて停止必要ポイントと停止位置精度ポイントを算出し、これらの総和が所定値以上である場合に、運転支援を行うため、実施例2に対して停止位置で停止する必要性をより高精度に算出でき、より違和感の少ない運転支援を実現できる。
よって、実施例3の車両制御装置にあっては、実施例2と同様の作用効果を奏する。
【0021】
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例の運転支援では、算出された停止線の存在信頼度の高さ、ドライバの加速、減速操作の有無、停止線までの予測到達時間および自車速に基づいて、停止制御、減速制御(エンジンブレーキを含む。)、一定速制御、音声や画像などによるドライバへの警告、何もしない、を選択する例を示したが、これに限らず、存在信頼度の高さに応じて警報のみ、または減速制御のみを切り替える構成としてもよい。また、存在信頼度が高いほど減速制御により発生させる減速度をより大きくする構成としてもよい。
図2のステップS6でアクセル開度がゼロよりも大きく所定開度A1以下である場合、緩減速Aを行う構成としてもよい。
実施例1では、ブレーキONの場合には、ドライバの減速操作による減速度の発生を優先して運転支援は行わない例を示したが、別途警報を出力してもよいし、ドライバの減速操作では停止すべき位置までに停止できないと判断した場合など、ドライバの減速操作度合いと実際に必要な減速量との兼ね合いによっては制御介入を行うようにしてもよい。
実施例2,3では、停止必要性ポイントを4段階に分類し、停止位置ポイントを3段階に分類した例を示したが、各ポイントは2段階以上であれば、何段階に分類してもよい。
実施例では、走行環境計測部として2台のカメラ1a,1bによるステレオカメラを採用した例を示したが、単眼カメラと対象物までの距離を算出する手段(例えば、レーザレーダ、ミリ波レーダ等)を組み合わせた構成としてもよい。
【0022】
実施例から把握される特許請求の範囲に記載した発明以外の技術的思想について以下に説明する。
(a) 請求項2に記載の車両制御装置において、
前記信頼度判定部は、算出された輝度が所定の輝度よりも高い地点を停止線としての信頼度が高いと判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、カメラが色彩を判別できない構造であっても、停止線の信頼度を判別できる。また、道路上に引かれた白線である停止線の輝度が他の部分の輝度よりも高いため、停止線の信頼度を高精度に判別できる。
(b) 請求項2に記載の車両制御装置において、
前記信頼度判定部は、算出された輝度が所定の輝度よりも高い地点の密度を算出し、算出された密度が高い場合に停止線である信頼度が高いと判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線の信頼度を高精度に判定できる。
(c) 請求項5に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部は、道路上の停止線と、この停止線と自車両との距離を計測し、
前記計測された距離に基づいて自車両が前記停止線に到達するまでの到達時間を算出する到達時間算出部を備え、
前記アクチュエータ制御部は、前記演算された到達時間があらかじめ設定された時間よりも短く、かつ、前記信頼度判定部により判定された信頼度があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合には、前記制動制御装置を作動させることを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線の位置に応じて車両を減速させることができる。また、停止線の遠方から弱い減速制御が継続することでドライバに違和感や不快感を与えるのを防止できる。
【0023】
(d) 請求項1に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部により計測された情報は、道路上に引かれた白線および標識であって、
前記信頼度判定部は、前記白線が停止線であるか否かを判別する停止線判別部による判別結果と、前記標識が一時停止標識であるか否かを判別する一時停止標識判別部の判別結果とに基づいて信頼度を判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線と一時停止標識に基づいてアクチュエータの作動を実際の走行環境に応じた最適な動作に近付けることができ、ドライバに与える違和感を軽減できる。
(e) (d)に記載の車両制御装置において、
自車両が前記停止線に到達するまでの時間を算出する到達時間算出部を備え、
前記アクチュエータ制御部は、前記信頼度判定部による判定があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合、前記算出された到達時間があらかじめ設定された到達時間よりも短いときには前記アクチュエータを作動し、長いときには前記アクチュエータの作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線の位置に応じてアクチュエータの駆動による制御介入を行うことができる。また、停止線の遠方から弱い制御介入が継続することでドライバに違和感や不快感を与えるのを防止できる。
(f) (d)に記載の車両制御装置において、
自車両の速度を検出する速度検出部を備え、
アクチュエータは、制動制御装置であり、
前記アクチュエータ制御部は、前記信頼度判定部による判定があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合、前記検出された自車両の速度があらかじめ設定された速度よりも低いときには前記制動制御装置を作動し、高いときには前記制動制御装置の作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、ドライバが減速意思を持っている可能性が高いと判断した場合にのみ自車両を減速させることで、ドライバが減速意思を持っていない場合に自車両の減速を制限することでドライバに違和感を与えるのを防止できる。
(g) (d)に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部により計測された信号機または標識の種別に対応する係数を設定する固有停止位置係数設定部を備え、
前記信頼度判定部は、前記判定された信頼度と前記設定された係数に基づいて、計測された走行環境の存在信頼度を算出し、
前記アクチュエータ制御部は、前記算出された存在信頼度に応じて前記アクチュエータを作動させることを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止位置で停止する必要性を高精度に算出でき、より違和感の少ないアクチュエータの動作を実現できる。
【0024】
(h) 制動制御装置を備えた車両に搭載され、自車両の進行方向前方の状況を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された撮像画像から自車両が次に停止すべきポイントか否かの信頼度を判定する信頼度判定部と、
前記判定された信頼度が高い場合には前記制動制御装置の作動を許可し、低い場合には前記制動制御装置の作動を制限する制動制御部と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、制動制御装置の作動を実際の走行環境に応じた最適な動作に近付けることができ、ドライバに与える違和感の少ない運転支援を実現できる。
(i) (h)に記載の車両制御装置において、
自車両が前記停止線に到達するまでの時間を算出する到達時間算出部を備え、
前記カメラは、路面に引かれた停止線を撮像し、
前記制動制御部は、前記信頼度判定部による判定があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合、前記算出された到達時間があらかじめ設定された到達時間よりも短いときには前記制動制御装置を作動し、長いときには前記制動制御装置の作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止線の位置に応じて車両を減速させることができる。また、停止線の遠方から弱い減速制御が継続することでドライバに違和感や不快感を与えるのを防止できる。
(j) (h)に記載の車両制御装置において、
自車両の速度を検出する速度検出部を備え、
前記カメラは、路面に引かれた停止線を撮像し、
前記制動制御部は、前記信頼度判定部による判定があらかじめ設定された信頼度よりも高い場合、前記検出された自車両の速度があらかじめ設定された速度よりも低いときには前記制動制御装置を作動し、高いときには前記制動制御装置の作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、ドライバが減速意思を持っている可能性が高いと判断した場合にのみ自車両を減速させることで、ドライバが減速意思を持っていない場合に自車両の減速を制限することでドライバに違和感を与えるのを防止できる。
(k) (h)に記載の車両制御装置において、
前記信頼度判定部は、前記カメラによって撮像された前記走行環境としての路面の映像内における複数地点の輝度を算出し、前記算出された輝度に基づいて道路上に引かれた停止線の信頼度を判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、カメラが色彩を判別できない構造であっても、停止線の信頼度を判別できる。
(l) (k)に記載の車両制御装置において、
前記信頼度判定部は、算出された輝度が所定の輝度よりも高い地点を停止線としての信頼度が高いと判定することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、道路上に引かれた白線である停止線の輝度が他の部分の輝度よりも高いため、停止線の信頼度を高精度に判別できる。
(m) (h)に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部により計測された信号機または標識の種別に対応する係数を設定する固有停止位置係数設定部を備え、
前記信頼度判定部は、前記判定された信頼度と前記設定された係数に基づいて、計測された走行環境の存在信頼度を算出し、
前記制動制御部は、前記算出された存在信頼度に応じて前記制動制御装置を作動させることを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、停止位置で停止する必要性を高精度に算出でき、より違和感の少ない制動制御装置の動作を実現できる。
【0025】
(n) 自車両の進行方向前方の状況を撮像するカメラにより撮像された撮像画像から自車両が次に停止すべきポイントか否かの信頼度を判定し、
前記判定結果に基づいて、車両に搭載された制動制御装置の制御量を決定し、決定された制御量に基づいて前記制動制御装置を制御することを特徴とする車両制御方法。
この発明によれば、制動制御装置の作動を実際の走行環境に応じた最適な動作に近付けることができ、ドライバに与える違和感の少ない制動制御装置の作動を実現できる。
(o) (n)に記載の車両制御方法において、
判定された信頼度が高い場合には前記制動制御装置の作動を許可し、低い場合には前記制動制御装置の作動を制限することを特徴とする車両制御装置。
この発明によれば、信頼度に応じて車両を減速させることができ、ドライバに与える違和感を軽減できる。
【符号の説明】
【0026】
1a,1b 車載カメラ(走行環境計測部)
2 コントロールユニット(アクチュエータ制御部)
11 ブレーキコントロールユニット(アクチュエータ)
12 液圧ユニット(アクチュエータ)
13a,13b,13c,13d ホイルシリンダ(アクチュエータ)
15 エンジン(アクチュエータ)
22 信頼度判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制御用のアクチュエータを備えた車両に搭載され、自車両の進行方向前方の走行環境を計測する走行環境計測部と、
前記走行環境計測部による走行環境の計測結果の信頼度を判定する信頼度判定部と、
前記判定された信頼度を必要条件として前記アクチュエータの作動を行うアクチュエータ制御部と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部は、カメラであって、
前記信頼度判定部は、前記カメラによって撮像された前記走行環境としての路面の映像内における複数地点の輝度を算出し、前記算出された輝度に基づいて道路上に引かれた停止線の信頼度を判定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部により計測された信号機または標識の種別に対応する係数を設定する固有停止位置係数設定部を備え、
前記信頼度判定部は、前記判定された信頼度と前記設定された係数に基づいて、計測された走行環境の存在信頼度を算出し、
前記アクチュエータ制御部は、前記算出された存在信頼度に応じて前記アクチュエータを作動させることを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記アクチュエータは、制動制御装置であることを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御装置において、
ドライバの操作するアクセルペダルの操作状態を検出するアクセルペダル操作状態検出部を備え、
前記アクチュエータ制御部は、前記検出されたアクセルペダルの操作状態からドライバの減速意思が検出された場合、前記算出された信頼度に応じて前記制動制御装置を作動させ車両を減速させることを特徴とする車両制御装置。
【請求項1】
車両制御用のアクチュエータを備えた車両に搭載され、自車両の進行方向前方の走行環境を計測する走行環境計測部と、
前記走行環境計測部による走行環境の計測結果の信頼度を判定する信頼度判定部と、
前記判定された信頼度を必要条件として前記アクチュエータの作動を行うアクチュエータ制御部と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部は、カメラであって、
前記信頼度判定部は、前記カメラによって撮像された前記走行環境としての路面の映像内における複数地点の輝度を算出し、前記算出された輝度に基づいて道路上に引かれた停止線の信頼度を判定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記走行環境計測部により計測された信号機または標識の種別に対応する係数を設定する固有停止位置係数設定部を備え、
前記信頼度判定部は、前記判定された信頼度と前記設定された係数に基づいて、計測された走行環境の存在信頼度を算出し、
前記アクチュエータ制御部は、前記算出された存在信頼度に応じて前記アクチュエータを作動させることを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記アクチュエータは、制動制御装置であることを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御装置において、
ドライバの操作するアクセルペダルの操作状態を検出するアクセルペダル操作状態検出部を備え、
前記アクチュエータ制御部は、前記検出されたアクセルペダルの操作状態からドライバの減速意思が検出された場合、前記算出された信頼度に応じて前記制動制御装置を作動させ車両を減速させることを特徴とする車両制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−63131(P2011−63131A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215802(P2009−215802)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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