説明

車両用ナビゲーション装置及び住宅内機器遠隔操作システム

【課題】 自宅に到着したユーザが所望の温度を得られるように温度調整器を制御することが可能な車両用ナビゲーション装置及び住宅内機器遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 自車両Cに取り付けられたナビゲーション装置1は、予め温度調整器AC,BTが任意温度間の温度調整に要する調整時間情報を記憶しており、この調整時間情報を基として、ユーザから温度調整器AC,BTの種類とその所望温度の入力を受けると、自車両Cに設けられた外気温センサ71により得られる外気温度から当該所望温度までの温度調整に必要な作動時間を取得する。その一方で、ナビゲーション装置1は、現在位置から住宅Hまでの経路を探索して案内を行っており、当該経路を走行した場合の住宅Hまでの到着所要時間を算出するとともに、到着所要時間が上記必要作動時間に近付いた場合に温度調整器AC,BTに対して作動開始命令を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅内に設置された温度調整器を通信ネットワークを介して制御する車両用ナビゲーション装置、及びそれを含んで構成される住宅内機器遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1のように、車両用ナビゲーション装置の位置情報から得られる自宅までの距離や到着予想時間を基に、家庭内ネットワークに接続された電化機器の操作を行うものが考えられている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−227336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作を行う電化機器がエアコン(Air Conditioner)や風呂沸かし器等の空気や水等の媒体の温度調整を行う温度調整器である場合には、周囲の温度によって目的温度までの温度調整時間が異なるため、自宅までの距離や時間しか考慮しない特許文献1の構成では、ユーザが自宅に到着しても温度調整器の温度調整が未完了であったり等して、所望の温度を得られない場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みて為されたものであり、自宅に到着したユーザが所望の温度を得られるように温度調整器を制御することが可能な車両用ナビゲーション装置及び住宅内機器遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の車両用ナビゲーション装置は、住宅内に設置された温度調整器を通信ネットワークを介して制御する車両用ナビゲーション装置であって、通信ネットワークに接続するための通信手段と、所望温度が入力される入力手段と、外気温度を検出する外気温センサと、温度調整器が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報を記憶している調整時間記憶手段と、温度調整器が外気温度から所望温度までの温度調整に必要な必要作動時間を調整時間記憶手段から取得する必要作動時間取得部と、自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、現在位置から住宅までの経路を探索する経路探索部と、経路を走行した場合の住宅までの到着所要時間を算出する到着所要時間算出部と、到着所要時間が必要作動時間に近付いた場合に温度調整器に対して作動開始命令を通信手段から送信する作動開始命令部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の住宅内機器遠隔操作システムは、上記本発明の車両用ナビゲーション装置により住宅内に設置された温度調整器を通信ネットワークを介して制御することを特徴とする。すなわち、本発明の住宅内機器遠隔操作システムは、住宅内に設置された温度調整器と、それを通信ネットワークを介して制御する車両用ナビゲーション装置とを含んで構成される住宅内機器遠隔操作システムであって、車両用ナビゲーション装置は、通信ネットワークに接続するための通信手段と、所望温度が入力される入力手段と、外気温度を検出する外気温センサと、温度調整器が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報を記憶している調整時間記憶手段と、温度調整器が外気温度から所望温度までの温度調整に必要な必要作動時間を調整時間記憶手段から取得する必要作動時間取得部と、自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、現在位置から住宅までの経路を探索する経路探索部と、経路を走行した場合の住宅までの到着所要時間を算出する到着所要時間算出部と、到着所要時間が必要作動時間に近付いた場合に温度調整器に対して作動開始命令を通信手段から送信する作動開始命令部とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記本発明によると、車両用ナビゲーション装置は、温度調整器が外気温度から所望温度までの温度調整に必要な必要作動時間を考慮して、到着所要時間が必要作動時間に近付いた場合に温度調整器に対して作動開始命令を通信手段から送信するため、ユーザは住宅に到着したときに温度調整器による所望温度を得ることができる。なお、ここで温度調整器とは、空気や水等の媒体の温度調整を行う装置である。
【0009】
次に、本発明の車両用ナビゲーション装置では、調整時間記憶手段に記憶されている調整時間情報は、通信手段により外部機器から取得されるように構成することができる。これにより、車両用ナビゲーション装置は、制御する温度調整器に応じた適切な調整時間情報を得ることができるので、より信頼性の高い必要作動時間を得ることができ、ひいては適切なタイミングで作動開始命令を行うことができる。
【0010】
かかる構成を実現するため、本発明の住宅内機器遠隔操作システムでは、温度調整器は、自身が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報である調整器側調整時間情報を記憶している調整器側記憶手段を有しており、車両用ナビゲーション装置の調整時間記憶手段に記憶されている調整時間情報は、当該調整器側記憶手段から通信手段によって取得される調整器側調整時間情報によって書き換えられるように構成することができる。これにより、車両用ナビゲーション装置は、制御する温度調整器自身が有する調整時間情報を得ることができるので、より信頼性の高い必要作動時間を得ることができ、ひいては適切なタイミングで作動開始命令を行うことができる。
【0011】
または、本発明の住宅内機器遠隔操作システムでは、通信ネットワークに接続されたサーバ装置を更に含んで構成され、該サーバ装置は、温度調整器が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報であるサーバ側調整時間情報を記憶しているサーバ側記憶手段を有しており、車両用ナビゲーション装置の調整時間記憶手段に記憶されている調整時間情報は、当該サーバ側記憶手段から通信手段によって取得されるサーバ側調整時間情報によって書き換えられるように構成することもできる。これにより、車両用ナビゲーション装置は、制御する温度調整器に応じた適切な調整時間情報をサーバ装置から得ることができるので、より信頼性の高い必要作動時間を得ることができ、ひいては適切なタイミングで作動開始命令を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(1)住宅内機器遠隔操作システム
図1は、本発明の一実施形態に係る住宅内機器遠隔操作システム100の全体を概略的に表す図である。住宅内機器遠隔操作システム100は、住宅H内に設置された温度調整器AC,BTと、これらをインターネット(通信ネットワーク)を介して制御する車両用ナビゲーション装置1(以下、単にナビゲーション装置1という)とを含んで構成される。温度調整器AC,BTは、エアコン(Air Conditioner)ACや風呂沸かし器BT等の空気や水等の媒体の温度調整を行う装置である。自車両Cに取り付けられたナビゲーション装置1は、予め温度調整器AC,BTが任意温度間の温度調整に要する調整時間情報を記憶しており、この調整時間情報を基として、ユーザから温度調整器AC,BTの種類とその所望温度の入力を受けると、自車両Cに設けられた外気温センサ71(図2参照)により得られる外気温度から当該所望温度までの温度調整に必要な作動時間を取得する。その一方で、ナビゲーション装置1は、現在位置から住宅Hまでの経路を探索して案内を行っており、当該経路を走行した場合の住宅Hまでの到着所要時間を算出するとともに、到着所要時間が上記必要作動時間に近付いた場合に温度調整器AC,BTに対して作動開始命令を送信する。以下、ナビゲーション装置1及び温度調節器AC,BTの構成と作動について詳細な説明を行う。
【0013】
(2)ナビゲーション装置
自車両Cに取り付けられたナビゲーション装置1は、図2に示すように、位置検出器2,データ入力器31,操作スイッチ群41,リモコン端末43,リモコンセンサ42,表示装置51,音声出力装置52,通信I/F(インターフェース)61,外気温センサ71,車速センサ72,外部メモリ33及びこれらが接続された制御回路10を備えている。
【0014】
位置検出器2は、GPS衛星から送信されたGPS電波を受信し、その受信したGPS電波に格納されているパラメータを演算して位置データを取得するGPS受信機21、地磁気に基づいて方位を検出し、その検出した方位を表す方位データを取得する地磁気センサ22、角速度を検出することに基づいて方位を算出し、その算出した方位を示す方位データを取得するジャイロスコープ23、走行距離を検出し、その検出した距離を示す距離データを取得する距離センサ24を備えて構成され、各センサが取得した各データを相互補完することによって、自車の現在位置の検出(特定)と正確な走行距離の計測を行う。以上の構成により、位置検出器2は本発明の位置検出手段として機能する。
【0015】
データ入力器31は、例えばCD−ROM,DVD−ROM,ハードディスクドライブ(HDD)或いはメモリカードなどの外部記録媒体32から、地図データ,マップマッチング用データ,目印データ或いはHTMLデータなどの各種データを入力する。
【0016】
操作スイッチ群41は、例えば、表示装置51と一体になったタッチスイッチ若しくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置51の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。リモコン端末43も、この操作スイッチ群41と同等の機能を有して構成されている。以上の構成により、操作スイッチ群41及びリモコン端末43は本発明の入力手段として機能し、ユーザから温度調整器AC,BTの種類とその所望温度の入力を受ける。
【0017】
表示装置51は、カラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器2から入力された車両現在位置マークと、データ入力器31から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示すると共に、画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内が表示される。また、音声出力装置52は、アンプやスピーカから構成され、目的地までの経路案内の実行時には案内のための合成音声を出力する。
【0018】
通信I/F(インターフェース)61は、携帯電話機62が接続されることにより、インターネット(通信ネットワーク)を介した通信を可能にしている。これにより、通信I/F61及び携帯電話機62が本発明の通信手段として機能する。また、本発明における通信手段としては、携帯電話機62に限らず、専用のデータ通信モジュールDCM(Data Communication Module)等を用いることができる。
【0019】
外気温センサ71は、外気温度(車外の温度)を検出する。これには例えば、自車両Cに設けられたカーエアコンが有する外気温センサを併用できる。車速センサ72は、自車両Cの走行速度を検出する。なお、本実施形態では、これらからの検出信号が制御回路10に直接入力されているが、車内LAN経由で検出信号を取得するように構成することもできる。
【0020】
外部メモリ33は、例えばHDDやメモリカードなどの記憶装置で構成され、温度調整器AC,BTが任意温度間の温度調整に要する調整時間情報として調整時間テーブル33tを記憶している。これにより、外部メモリ33が本発明の調整時間記憶手段として機能する。調整時間テーブル33tは、図3に示すように、温度調整器AC,BTの種類毎(例えば、エアコンAC,風呂沸かし器BT)のテーブル(表)を有しており、各温度調整器AC,BTにおいて媒体(例えば、エアコンACであれば空気,風呂沸かし器BTであれば水)を初期温度tから目的温度τまで温度調整するのに要する時間を調整時間Tとして有している。なお、風呂沸かし器BTが湯張り機能も有している場合には、湯温調整時間とともに湯張り時間も含めた時間を調整時間Tとすることができる。
【0021】
このように、調整時間テーブル33tは、初期温度tと目的温度τの関係により調整時間Tが得られるように構成されており、外気温センサ71から得られた外気温度を初期温度tとし、操作スイッチ群41等から入力された所望温度を目的温度τとすることによって、温度調整器AC,BTが外気温度から所望温度までの温度調整に必要な必要作動時間が取得できる。
【0022】
また、調整時間テーブル33tの内容は、通信I/F(インターフェース)61により取得する後述の調整器側調整時間テーブル(温度調整器AC,BTが有する自身の調整時間テーブル)によって更新される。なお、初期状態では、汎用の調整時間テーブル(汎用テーブル)が用いられる。
【0023】
制御回路10は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU11,ROM12,RAM13,入出力インターフェース(I/O)14及びこれらの構成を接続するバスライン15が備えられている。CPU11は、ROM12及びRAM13に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM12は、プログラム格納領域12aとデータ記憶領域12bとを有している。プログラム格納領域12aには、ナビゲーションプログラム(以下、ナビプログラムと称する)12pが格納されている。このナビプログラム12pは、RAM13上にてナビプログラム用ワークメモリ13wを作業領域とする形で作動する。他方、データ記憶領域12bには、ナビプログラム12pの動作に必要な種々のデータが格納されている。なお、これらのプログラム及びデータは、外部メモリ33に記憶されていてもよい。以上の構成によって、制御回路10は、CPU11によりナビプログラム12pが起動されると、本発明の必要作動時間取得部,経路探索部,到着所要時間算出部,作動開始命令部として機能する。
【0024】
(3)温度調節器
温度調整器AC,BTは、空気や水等の媒体の温度調整を行う装置であり、代表的なものとしてエアコン(Air Conditioner:空調装置)ACや風呂沸かし器(給湯装置)BT等を例示できる。他にも、炊飯器,電気ポット,冷蔵庫等であってもよい。各温度調整器AC,BTは、図示しないが、CPU,ROM,RAM,I/O等からなる通常のコンピュータとして構成された制御回路を有しており、この制御回路の制御によって温度調整を行う。各温度調整器AC,BTの構成及び作動は周知のものであるので、これ以上の説明は省略する。また、制御回路には通信I/Fが接続されており、これにより住宅H内に構築された家庭内LAN(Local Area Network)との接続がなされている。
【0025】
また、住宅H内には、コントロールターミナルTAが設置されており、インターネットと家庭内LANの間を中継する。すなわち、ナビゲーション装置1からの作動開始命令がインターネットを介してコントロールターミナルTAに届くと、まず認証を行い、認証に成功すると該当する温度調整器AC,BTに作動開始命令を振り分ける。なお、コントロールターミナルTAを設けずに、個々の温度調整器AC,BTにアドレスを持たせて、作動開始命令が直接届くようにしてもよい。
【0026】
なお、温度調整器AC,BTの制御回路中のROMは、自身が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報として調整器側調整時間テーブル(図示せず)を記憶している。すなわち、該ROMが本発明の調整器側記憶手段として機能する。調整器側調整時間テーブルは、ナビゲーション装置1に読み取られて調整時間テーブル33t(図3参照)とされるものである。すなわち、温度調整器AC,BTは、ナビゲーション装置1から調整器側調整時間テーブルの要求を受けると、調整器側調整時間テーブルをROMから読み出してナビゲーション装置1に送信する。そして、調整器側調整時間テーブルを受信したナビゲーション装置1は、当該テーブルを調整時間テーブル33tとして設定する。
【0027】
(4)ナビゲーション装置及び温度調節器の作動
次に、ナビゲーション装置及び温度調節器の作動について、図4ないし図6を参照して説明する。ここで、図4は、ナビゲーション装置1のCPU11が実行するナビプログラム12pの作動開始命令ルーチンを機能ブロック図で示すものであり、図5は同処理をフローチャートで示すものである。また、図6は、ナビゲーション装置1のCPU11が実行するナビプログラム12pのテーブル取得ルーチンをフローチャートで示すものである。
【0028】
(4−1)メインルーチン
ナビプログラム12pのメインルーチンについて説明する。メインルーチン(図示せず)では、目的地設定処理,経路探索処理,経路案内処理が順に行われる。まず、目的地設定処理では、CPU11は、表示装置51の画面に目的地設定のためのメニューを表示し、ユーザに操作スイッチ群41による目的地の入力を促す。次に、経路探索処理では、CPU11は、ユーザが操作スイッチ群41により目的地を入力したことを検知すると、位置検出器2から得られるデータにより自車両Cの現在位置を求め、該現在位置から目的地までの最適な経路を探索する(図4の経路探索部84)。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。次に、経路案内処理では、経路探索処理で求めた経路を表示装置51の画面上の道路地図に重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。また、表示装置51や音声出力装置52によって操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。なお、本実施形態において目的地は、制御を行う温度調整器AC,BTが設置された住宅Hであり、これらの処理では現在位置から住宅Hまでの経路の探索と案内が行われる。
【0029】
(4−2)作動開始命令ルーチン
図4及び5に示す作動開始命令ルーチンS1について説明する。作動開始命令ルーチンS1は、上記メインルーチン中において、CPU11が操作スイッチ群41等の操作を検知することで開始される。具体的には、ユーザが温度調整器AC,BTの制御を希望し、その操作を操作スイッチ群41等によって開始した場合に、CPU11がそれを検知して作動開始命令ルーチンS1が開始される。
【0030】
作動開始命令ルーチンS1が開始されると、まずCPU11は、制御を行う温度調整器AC,BTの選択とその所望温度を入力させるための画面を表示装置51に表示して、ユーザに入力を促す(ステップS11)。そして、温度調整器AC,BTの選択とその所望温度の入力が操作スイッチ群41等により行われたことを検知すると、次にCPU11は、外気温センサ71から外気温度(車外の温度)を取得する(ステップS12)。その後、CPU11は、選択された温度調整器(例えば、エアコンAC)に係る調整時間テーブル33t(図3参照)から、外気温センサ71から得られた外気温度を初期温度tとし、操作スイッチ群41等により入力された所望温度を目的温度τとして、かかる温度間の温度調整に必要なエアコンACの作動時間Tを必要作動時間として取得する(ステップS13,必要作動時間取得部81)。
【0031】
一方、経路探索部84により自車両Cの現在位置から住宅Hまでの経路が得られているので、CPU11は、当該経路を走行した場合の住宅Hまでの到着所要時間を算出する(ステップS14,到着所要時間算出部82)。到着所要時間は、現在地から住宅Hまでの経路上の距離と平均車速に基づいて算出する。現在地から目的地までの経路上の距離は地図データから取得でき、平均車速は車速センサ72から入力される自車両Cの速度に基づいて取得できる。例えば、走行した道路種別毎の平均車速を記憶しておき、経路を構成する道路種別に応じてかかる平均車速を適用することで、到着所要時間を算出する。また、この算出方法に限らず、VICS等のインフラ情報から得られる道路毎の平均速度を用いて算出してもよい。
【0032】
そして、CPU11は、求めた到着所要時間が必要作動時間に近付いたか否かを判定する(ステップS15,作動開始命令部83)。温度調整器AC,BTの作動を開始させる場合に、到着所要時間が必要作動時間と比べて過度に大きいタイミングで温度調整器AC,BTの作動を開始させると、温度調整が完了してもユーザが住宅Hに到着するまではそこから更に時間を要するため、無駄が多くなる上、その間に冷めてしまう場合がある。他方、到着所要時間が必要作動時間と比べて過度に小さいタイミングで温度調整器AC,BTの作動を開始させると、ユーザが住宅Hに到着するまでに温度調整が完了しないため、ユーザは所望の温度を得られないことになる。そのため、ユーザが住宅Hに到着したときに所望温度が得られるようにすべく、到着所要時間が必要作動時間に近付いた場合に温度調整器AC,BTの作動を開始させるのである。
【0033】
具体的には、本実施形態では、漸減していく到着所要時間が必要作動時間に達した場合に(ステップS15:Yes)、CPU11は、通信I/F61により作動開始命令を温度調整器AC,BTに対して送信する(ステップS16,作動開始命令部83)。ここで、作動開始命令を温度調整器AC,BTに対して送信するタイミングは、このように到着所要時間と必要作動時間とが一致する場合に限らず、ユーザが住宅Hに到着するまでに温度調整が完了し、且つ、無駄が多くならない範囲で適宜設定できる。
【0034】
温度調整器AC,BTのCPUは、ナビゲーション装置1からの作動開始命令を検知すると温度調整ルーチンT1を起動し、温度調整動作を開始する(ステップT11)。その後、ユーザがナビゲーション装置1で入力した所望温度に達した場合に(ステップT12:Yes)、温度調整動作を終了する(ステップT13)。この温度調整動作の開始から終了までの時間は、ナビゲーション装置1において取得した必要作動時間と同等であり、ナビゲーション装置1は、上記したように到着所要時間が必要作動時間に達するタイミングで作動開始命令を送信しているため、温度調整動作が終了するぐらいにユーザは住宅Hに到着し、所望温度を得ることができることになる。
【0035】
(4−3)テーブル取得ルーチン
次に、図6に示すテーブル取得ルーチンS2について説明する。これは、ナビゲーション装置1が制御する温度調整器AC,BTに応じた適正な調査時間テーブル33tを得るべく、温度調整器AC,BTに記憶されている調整器側調整時間テーブルをインターネット経由で取得する処理である。
【0036】
テーブル取得ルーチンS2は、上記メインルーチン中において、CPU11が操作スイッチ群41等の操作を検知することで開始される。具体的には、ユーザが温度調整器AC,BTの調整器側調整時間テーブルの取得を希望し、その操作を操作スイッチ群41等によって開始した場合に、CPU11がそれを検知してテーブル取得ルーチンS2が開始される。
【0037】
テーブル取得ルーチンS2が開始されると、まずCPU11は、選択された温度調整器AC,BTの調整時間テーブル33tを参照し、設定が未実施であるか(ステップS21),再設定が必要であるか(ステップS22)を確認して更新の必要性を判断する。設定が未実施であるか(ステップS21)とは、選択された温度調整器AC,BTにおいてそれまでに調整時間テーブル33tが更新された履歴があるか、すなわち現在汎用テーブルが用いられているか否かを判断する。また、再設定が必要であるか(ステップS22)とは、例えば前回の更新から一定の期間が経過しているか否か等を判断する。そして、更新の必要がなければ(ステップS21,S22:No)、リターンして、現在用いられている調査時間テーブル33tをそのまま用いる。
【0038】
一方、更新の必要があれば(ステップS21,S22:Yes)、CPU11は通信I/F61により、温度調整器AC,BTに対して調整器側調整時間テーブルを要求する(ステップS23)。温度調整器AC,BTのCPUは、ナビゲーション装置1からの調整器側調整時間テーブルの要求を検知すると、テーブル転送ルーチンT2を起動し、ROMから調整器側調整時間テーブルを読み出して、それをナビゲーション装置1に対して転送する(ステップT21)。ナビゲーション装置1のCPU11は、調整器側調整時間テーブルを受信すると(ステップS24:Yes)、それを調査時間テーブル33tとして更新する(ステップS25)。なお、調整器側調整時間テーブルの受信がなければ(ステップS24:No)、リターンして、現在用いられている調査時間テーブル33tをそのまま用いる。
【0039】
(5)その他
本発明の住宅内機器遠隔操作システムの変形例を、図面を参照しながら説明する。なお、上記の実施形態に係る住宅内機器遠隔操作システム100と重複する箇所については、同番号を付して説明を省略する。図7に示すように、住宅内機器遠隔操作システム200は、ナビゲーション装置1及び温度調整器AC,BTに加えて、インターネットに接続されたサーバ装置9を含んで構成されている。サーバ装置9は、温度調整器AC,BTについての調整時間テーブル(サーバ側調整時間テーブル)を記憶している調整時間テーブルデータベース93(サーバ側記憶手段)を有しており、種々の温度調整器AC,BTについての調整時間テーブルを統括管理している。これにより、ナビゲーション装置1は、テーブル取得ルーチンS2(図6参照)を行うにあたって、サーバ装置9に対してサーバ側調整時間テーブルを要求し、それを受信して調整時間テーブル33tを更新する。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の住宅内機器遠隔操作システムの全体を概略的に表す図
【図2】本発明の車両用ナビゲーション装置の電気的ブロック図
【図3】調整時間テーブルのデータ構造を表す図
【図4】本発明の車両用ナビゲーション装置が行う処理を表す機能ブロック図
【図5】本発明の車両用ナビゲーション装置が行う処理を表すフローチャート
【図6】図5のフローチャートの一部の処理を表すフローチャート
【図7】本発明の住宅内機器遠隔操作システムの変形例を概略的に表す図
【符号の説明】
【0042】
1 車両用ナビゲーション装置
2 位置検出器(位置検出手段)
9 サーバ装置
33 外部メモリ(調整時間記憶手段)
41 操作スイッチ群(入力手段)
43 リモコン端末(入力手段)
71 外気温センサ
61 通信I/F(通信手段)
10 制御部(必要作動時間取得部,経路探索部,到着所要時間算出部,作動開始命令部)
93 調整時間テーブルデータベース(サーバ側記憶手段)
100,200 住宅内機器遠隔操作システム
AC,BT 温度調整器
H 住宅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅内に設置された温度調整器を通信ネットワークを介して制御する車両用ナビゲーション装置であって、
前記通信ネットワークに接続するための通信手段と、
所望温度が入力される入力手段と、
外気温度を検出する外気温センサと、
前記温度調整器が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報を記憶している調整時間記憶手段と、
前記温度調整器が前記外気温度から前記所望温度までの温度調整に必要な必要作動時間を前記調整時間記憶手段から取得する必要作動時間取得部と、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
現在位置から前記住宅までの経路を探索する経路探索部と、
前記経路を走行した場合の前記住宅までの到着所要時間を算出する到着所要時間算出部と、
前記到着所要時間が前記必要作動時間に近付いた場合に前記温度調整器に対して作動開始命令を前記通信手段から送信する作動開始命令部と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記調整時間記憶手段に記憶されている前記調整時間情報は、前記通信手段により外部機器から取得される請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
住宅内に設置された温度調整器と、それを通信ネットワークを介して制御する車両用ナビゲーション装置とを含んで構成される住宅内機器遠隔操作システムであって、
前記車両用ナビゲーション装置は、前記通信ネットワークに接続するための通信手段と、所望温度が入力される入力手段と、外気温度を検出する外気温センサと、前記温度調整器が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報を記憶している調整時間記憶手段と、前記温度調整器が前記外気温度から前記所望温度までの温度調整に必要な必要作動時間を前記調整時間記憶手段から取得する必要作動時間取得部と、自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、現在位置から前記住宅までの経路を探索する経路探索部と、前記経路を走行した場合の前記住宅までの到着所要時間を算出する到着所要時間算出部と、前記到着所要時間が前記必要作動時間に近付いた場合に前記温度調整器に対して作動開始命令を前記通信手段から送信する作動開始命令部とを備えることを特徴とする住宅内機器遠隔操作システム。
【請求項4】
前記温度調整器は、自身が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報である調整器側調整時間情報を記憶している調整器側記憶手段を有しており、
前記車両用ナビゲーション装置の前記調整時間記憶手段に記憶されている前記調整時間情報は、当該調整器側記憶手段から前記通信手段によって取得される前記調整器側調整時間情報によって書き換えられる請求項3に記載の住宅内機器遠隔操作システム。
【請求項5】
前記通信ネットワークに接続されたサーバ装置を更に含んで構成され、
該サーバ装置は、前記温度調整器が任意温度間の温度調整に要する調整時間情報であるサーバ側調整時間情報を記憶しているサーバ側記憶手段を有しており、
前記車両用ナビゲーション装置の前記調整時間記憶手段に記憶されている前記調整時間情報は、当該サーバ側記憶手段から前記通信手段によって取得される前記サーバ側調整時間情報によって書き換えられる請求項3に記載の住宅内機器遠隔操作システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−284477(P2006−284477A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107376(P2005−107376)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】