説明

車両用制御装置および車両用制御方法

【課題】触媒の劣化を抑制する。
【解決手段】ECUは、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも大きい場合(S100にてYES)、SOCが目標値SOC(2)になるように車両を制御するSOC低下処理を実行するステップ(S104)と、触媒温度TCがしきい値TC(0)以下である場合(S100にてNO)、SOCが目標値SOC(1)になるように車両を制御する通常処理を実行するステップ(S106)とを含む、プログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と回転電機とを動力源として備えるハイブリッド車両の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンと回転電機とを動力源として備えるハイブリッド車両が公知である。このようなハイブリッド車両においては、車両の減速時に、エンジンへの燃料供給を停止(フューエルカット)することによって減速力を発生させる場合がある。しかしながら、このようなフューエルカットを排気ガスの浄化に用いられる三元触媒の温度が高い状態で行なうと、触媒周辺が酸素過剰の雰囲気(リーン雰囲気)になり触媒の劣化が促進する場合がある。そのため、回生制動によって車両を減速させることによって、フューエルカットの実行頻度を少なくすることが望ましい。
【0003】
たとえば、特開2009−051466号公報(特許文献1)は、蓄電装置の残容量(以下の説明においては、SOCとも記載する)が制御上限値と制御下限値とで規定される制御範囲内になるように制御される車両において、SOCが高いときであって、触媒の劣化が心配されるときには、回生制動により生じた電力を吸収するために、SOCの制御上限値を引き上げることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−051466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようにSOCの制御上限値を拡大させることで、蓄電装置のSOCが増えると、過充電によって蓄電装置の寿命が低下するおそれがある。上述した公報に開示された制御装置においては、このような問題について何ら考慮されていないため、解決することはできない。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、触媒の劣化を抑制する車両用制御装置および車両用制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に係る車両用制御装置は、内燃機関と回転電機と、回転電機から電力が供給される蓄電装置とを含む車両に搭載された車両用制御装置である。車両は、内燃機関の燃料噴射停止および回転電機による回生制動によって減速可能である。この車両用制御装置は、内燃機関の触媒温度が高いときには、低いときに比べて、蓄電装置における残容量が低くなるように車両を制御する。
【0008】
好ましくは、車両用制御装置は、触媒温度が第1しきい値よりも高い場合に蓄電装置の残容量が第1目標値になるように車両を制御し、触媒温度が第1しきい値以下の場合に蓄電装置の残容量が第2目標値になるように車両を制御する。第2目標値は、第1目標値よりも高い。
【0009】
さらに好ましくは、車両用制御装置は、触媒温度が高いほど、蓄電装置における残容量が低くなるように車両を制御する。
【0010】
さらに好ましくは、車両用制御装置は、蓄電装置における残容量が低くなるように車両を制御するとき、蓄電装置における残容量の目標値が低くなるように蓄電装置を制御する。
【0011】
さらに好ましくは、車両用制御装置は、触媒温度が第1しきい値よりも高い場合、蓄電装置の温度が第2しきい値よりも高いときに残容量が第1目標値になるように蓄電装置を制御する。
【0012】
さらに好ましくは、車両用制御装置は、車両の室内の温度が高いときには、低いときに比べて、蓄電装置における残容量が低くなるように車両を制御する。
【0013】
さらに好ましくは、車両は、外気導入モードと内気循環モードとのうちのいずれか一方の空調モードの選択が可能な空調装置を含む。蓄電装置は、車両の室内の空気を用いて冷却される。車両用制御装置は、触媒温度が第1しきい値よりも高い場合、内気循環モードの選択履歴に基づいて第1目標値を決定する。
【0014】
この発明の他の局面に係る車両用制御方法は、内燃機関と回転電機と、回転電機から電力が供給される蓄電装置とを含む車両に搭載された車両用制御方法である。車両は、内燃機関の燃料噴射停止および回転電機による回生制動によって減速可能である。この車両用制御方法は、内燃機関の触媒温度を取得するステップと、内燃機関の触媒温度が高いときには、低いときに比べて、蓄電装置における残容量が低くなるように車両を制御するステップとを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、触媒の高温時にはSOCが低くなる。そのため、SOCが高い場合に比べて、回生制動による減速が可能となりやすい。その結果、車両の減速時に、フューエルカットの実行機会または実行時間を減少することが可能となる。そのため、蓄電装置の寿命の低下を抑制しつつ触媒の劣化が抑制される。したがって、触媒の劣化を抑制する車両用制御装置および車両用制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る車両用制御装置を搭載したハイブリッド車両の全体構成を示す図である。
【図2】ハイブリッド車両に搭載された電池冷却システムおよび空調システムの構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUの機能ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】ハイブリッド車両の他の構成例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUの機能ブロック図である。
【図8】第2の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】SOCおよびその積算値の変化を示すタイミングチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUの機能ブロック図である。
【図11】第3の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUの機能ブロック図である。
【図13】第4の実施の形態に係る車両用制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態は、説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返されない。
【0018】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る車両用制御装置が搭載されるハイブリッド車両10の制御ブロック図が説明される。
【0019】
ハイブリッド車両10は、エンジン120と、第1モータジェネレータ(以下、第1MGと記載する)140と、第2モータジェネレータ(以下、第2MGと記載する)142と、駆動輪160と、トランスミッション182と、走行用バッテリ220と、インバータ240と、コンバータ242と、ECU(Electronic Control Unit)300とを含む。
【0020】
ハイブリッド車両10は、エンジン120および第2MG142のうちの少なくともいずれか一方を用いて走行が可能であって、かつ、第2MG142を用いて減速させることが可能な車両であれば、特に図1に示す構成に限定されるものではない。
【0021】
第1MG140は、回転電機である。第1MG140は、エンジン120の動力を用いて発電してインバータ240およびコンバータ242を経由して走行用バッテリ220を充電するジェネレータとしての機能を有する。また第1MG140は、走行用バッテリ220からの電力を受けてエンジン120のクランク軸を回転させる。それによって、第1MG140は、エンジン120を始動するスタータとして機能を有する。
【0022】
第2MG142は、回転電機である。第2MG142は、駆動輪160に駆動力を与える駆動用モータとしての機能を有する。また、第2MG142は、回生制動によって走行用バッテリ220を充電するジェネレータとしての機能を有する。
【0023】
エンジン120は、たとえばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン120の吸気通路122には、エアクリーナ122Aと、吸気温度センサ122Bと、電子スロットルバルブ122Cとが設けられる。
【0024】
エアクリーナ122Aは、吸入空気のほこりを捕捉する。吸気温度センサ122Bは、エアクリーナ122Aを通ってエンジン120に吸入される空気の温度TAを検出する。吸気温度センサ122Bは、検出された空気の温度TAを示す信号をECU300に送信する。
【0025】
電子スロットルバルブ122Cは、エンジン120に吸入される空気量を調整するためのバルブと、バルブをECU300からの制御信号THに基づいて作動させるスロットルモータと、バルブの開度を示す信号を検出してECU300に送信するためのスロットルバルブポジションセンサとを含む。
【0026】
エンジン120は、複数の気筒と、複数の気筒のそれぞれに燃料を供給する燃料噴射装置130とを含む。燃料噴射装置130は、ECU300からの燃料噴射制御信号FAに基づいて各気筒に対して適切な時期に適切な量の燃料を噴射する。
【0027】
また、エンジン120の排気通路124には、排気浄化触媒である三元触媒コンバータ124Bと、三元触媒コンバータ124Bに導入される排出ガスにおける空燃比(A/F)Rafを検出する空燃比センサ124Aと、三元触媒コンバータ124Bの温度TCを検出するための触媒温度センサ124Cと、消音器124Dとが設けられる。
【0028】
空燃比センサ124Aは、検出された空燃比Rafを示す信号をECU300に送信する。また、触媒温度センサ124Cは、三元触媒コンバータ124Bの温度TCを示す信号をECU300に送信する。また、空燃比センサ124Aに代えて、酸素センサが用いられてもよい。
【0029】
さらに、エンジン120には、エンジン120の内部を流通する冷却水の温度TWを検出するための水温センサ360と、エンジン120のクランク軸の回転数NEを検出するためのエンジン回転数センサ380とが設けられる。水温センサ360は、検出された冷却水の温度TWを示す信号をECU300に送信する。エンジン回転数センサ380は、検出されたエンジン120のクランク軸の回転数NEを示す信号をECU300に送信する。
【0030】
トランスミッション182は、リダクションギヤ180と、動力分割機構200とを含む。リダクションギヤ180は、エンジン120や第2MG142で発生した動力を駆動輪160に伝達する。また、リダクションギヤ180は、駆動輪160が受けた路面からの反力をエンジン120や第2MG142に伝達する。
【0031】
動力分割機構200は、たとえば、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)である。動力分割機構200は、エンジン120の発生する動力を駆動輪160と第1MG140との2経路に分配する。遊星歯車機構は、サンギヤとリングギヤとキャリアとピニオンギヤとを含む。たとえば、遊星歯車機構のサンギヤは、第1MG140に接続され、キャリアは、エンジン120に接続され、リングギヤは、第2MG142に接続される。なお、リングギヤと第2MG142との間には変速機構が設けられてもよい。
【0032】
駆動輪160と第1MG140との両方にエンジン120の動力を振り分けるために、動力分割機構200として遊星歯車機構が使用される。第1MG140の回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。
【0033】
走行用バッテリ220は、第1MG140および第2MG142を駆動するための電力を蓄電する蓄電装置である。走行用バッテリ220は、直流電力を出力する。本実施の形態において、走行用バッテリ220は、充電可能な二次電池である。走行用バッテリ220は、たとえば、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池などを用いて形成される。なお、これに限らず、直流電圧を生成できるもの、たとえば、キャパシタ、太陽電池、燃料電池等であっても適用され得る。
【0034】
走行用バッテリ220には、走行用バッテリ220の電流IBを検出するための電流センサ302と、走行用バッテリ220の電圧VBを検出するための電圧センサ304と、走行用バッテリ220の電池温度TBを検出するための電池温度センサ306とが設けられる。
【0035】
電流センサ302は、電流IBを示す信号をECU300に送信する。電圧センサ304は、電圧VBを示す信号をECU300に送信する。電池温度センサ306は、電池温度TBを示す信号をECU300に送信する。
【0036】
コンバータ242は、走行用バッテリ220から出力された直流電力を昇圧し、それをインバータ240に出力する。コンバータ242は、ECU300からの制御信号PWCに基づいて作動する。ECU300は、コンバータ242の出力電圧が目標電圧になるように制御信号PWCを生成することによって、コンバータ242を制御する。コンバータ242には平滑コンデンサが内蔵されている。コンバータ242が昇圧動作を行なう際には、この平滑コンデンサに電荷が蓄えられる。
【0037】
インバータ240は、走行用バッテリ220の直流と第1MG140および第2MG142の交流とを相互に変換する。インバータ240は、コンバータ242からの直流電力を入力として受け、ECU300からの制御信号PWIに基づく周波数指令値に対応した交流電力に変換して第1MG140および第2MG142に出力する。
【0038】
ECU300は、エンジン120、インバータ240およびコンバータ242等を制御することによってハイブリッド車両10が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体、すなわち、走行用バッテリ220の充放電状態、エンジン120、第1MG140および第2MG142の動作状態を制御する。
【0039】
なお、図1においてECU300は、1個のECUであるとして説明したが、2個以上のECUが用いられてもよい。たとえば、図1のECU300の動作を、エンジン120を制御するためのエンジンECUと、インバータ240およびコンバータ242を制御するためのハイブリッドECUとに分担させてもよい。
【0040】
運転席にはアクセルペダル(図示せず)が設けられる。アクセルポジションセンサ308は、アクセルペダルの踏込み量Acを検出する。アクセルポジションセンサ308は、アクセルペダルの踏込み量Acを示す信号をECU300に送信する。
【0041】
ECU300は、アクセルペダルの踏込み量Acに対応する要求駆動力に応じて、第1MG140および第2MG142の出力あるいは発電量と、エンジン120の出力とを制御する。
【0042】
さらに運転席には空調スイッチ310が設けられる。空調スイッチ310は、空調装置の内気循環モードと外気導入モードとのうちのいずれか一方の空調モードから他方の空調モードに切り換えるためのスイッチである。
【0043】
室内温度センサ314は、ハイブリッド車両10の室内の空気の温度TRを検出する。室内温度センサ314は、検出した温度TRを示す信号をECU300に送信する。
【0044】
さらに、駆動輪160のドライブシャフト162には、駆動輪160の回転速度NWを検出するための車輪速センサ312が設けられる。車輪速センサ312は、検出された駆動輪160の回転速度NWを示す信号をECU300に送信する。ECU300は、駆動輪160の回転速度NWに基づいてハイブリッド車両10の速度Vを算出する。
【0045】
上述したような構成を有するハイブリッド車両10においては、発進時や低速走行時等であってエンジン120の効率が悪い場合には、第2MG142のみによる走行が行なわれる。また、通常走行時には、たとえば動力分割機構200によりエンジン120の動力が2経路に分けられる。一方の動力で駆動輪160が直接的に駆動される。他方の動力で第1MG140を駆動して発電が行なわれる。この時、ECU300は、発生する電力で第2MG142を駆動させる。第2MG142の駆動により駆動輪160の駆動補助が行なわれる。
【0046】
一方、減速時には、駆動輪160により従動する第2MG142がジェネレータとして機能して回生発電が行なわれる。回生発電によって回収した電力は、走行用バッテリ220に蓄えられる。なお、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン120の出力を増加させて第1MG140による発電量を増加させる。これにより、走行用バッテリ220のSOCが増加させられる。また、ECU300は、低速走行時でも必要に応じてエンジン120からの駆動力を増加させる制御を行なう場合もある。たとえば、上述のように走行用バッテリ220の充電が必要な場合や、エアコン等の補機が駆動される場合や、エンジン120の冷却水の温度TWを所定温度まで上げる場合等である。
【0047】
ECU300は、走行用バッテリ220の充電量および放電量を制御する際に、電池温度TBおよび現在のSOCに少なくとも基づいて、充電電力上限値Winおよび放電電力上限値Woutを設定する(以下の説明においては、充電量および放電量の制御を充放電制御と記載する)。たとえば、現在のSOCが低下すると、放電電力上限値Woutは徐々に低く設定される。一方、現在のSOCが高くなると、充電電力上限値Winは徐々に低下するように設定される。
【0048】
また、走行用バッテリ220として用いられる二次電池は、低温時に内部抵抗が上昇する温度依存性を有する。また、高温時には、さらなる発熱によって温度が過上昇することを防止する必要がある。このため、低温時および高温時には、充放電電力を制限する(すなわち、WinおよびWoutの各々を低下させる)ことが好ましい。このように、ECU300は、電池温度TBおよび現在SOCに応じて、充電電力上限値Winおよび放電電力上限値Woutを設定する。
【0049】
さらに、図1に示すようなハイブリッド車両10においては、ECU300は、エンジン120に対して自動停止制御を実行する。すなわち、ECU300は、ハイブリッド車両10の運転状態や走行用バッテリ220の状態によっては、燃費を向上させるために、エンジン120を自動的に停止させる。そして、ECU300は、エンジン120を停止させた後もハイブリッド車両10の運転状態や走行用バッテリ220の状態によっては、エンジン120を再始動させる。
【0050】
図2に示される電池冷却システム350は、バッテリケース352と、吸気ダクト334と、電池冷却用ファン336と、排気ダクト338と、ECU300とを含む。
【0051】
バッテリケース352は、ハイブリッド車両10のトランクやフロア下において、車体パネルの上方に走行用バッテリ220を固定する。また、バッテリケース352は、走行用バッテリ220を内部に収容することによって周囲から走行用バッテリ220を保護する。
【0052】
吸気ダクト334は、ハイブリッド車両10の室内の空気をバッテリケース352へ送るための配管である。吸気ダクト334の一方端部(吸入口)は、車室の後部に連通される。吸気ダクト334の他方端部はバッテリケース352に連通される。これにより、吸気ダクト334に吸い込まれた空気はバッテリケース352へ送られる。
【0053】
電池冷却用ファン336は、吸気ダクト334に設けられ、室内の空気を吸気ダクト334から吸い込んでバッテリケース352へ送る。電池冷却用ファン336は、ECU300からの制御信号の受信に応じて作動する。電池冷却用ファン336が作動することによって車室内の空気が吸い込まれるように空気の流路が形成される。
【0054】
排気ダクト338は、バッテリケース352内の空気をハイブリッド車両10の外部に排出する空気排出路を形成する。排気ダクト338の一方端部は、バッテリケース352に接続される。排気ダクト338の他方端はハイブリッド車両10の外部に連通される。
【0055】
車室内空調システム340は、ユーザが車室内空調システム340を起動させる操作(エアコンON操作)をエアコンスイッチ(図示せず)に入力した場合に作動する。
【0056】
車室内空調システム340の作動時において、冷媒が空調用エバポレータ342内で蒸発させられることによって、空調用ファン344により車室内に送る空気の冷却および除湿が行なわれる。
【0057】
空調用ファン344が車室内に送る空気の内気と外気との間の切換は、内外気切換ドア346によって行なわれる。内外気切換ドア346の位置は、たとえば、サーボモータ(図示せず)によって内気循環モードに対応する位置と外気導入モードに対応する位置との間で切り換えられる。
【0058】
内気循環モードが選択される場合には、ECU300は、内外気切換ドア346の位置が外気の導入を遮断する位置に切り換えられるようにサーボモータを制御する。内気循環モードが選択されている場合、外気の導入が抑制されるため、空気が室内を循環するように空気の流路が形成される。
【0059】
外気導入モードが選択される場合には、ECU300は、内外気切換ドア346の位置が外気の導入を可能とする位置に切り換えられるようにサーボモータを制御する。外気導入モードが選択されている場合、外気が室内に導入され、室内の空気が車両後部から排出される空気の流路が形成される。本実施の形態においては、たとえば、外気導入モードが選択されている場合、室内に導入された空気が、吸気ダクト334、バッテリケース352および排気ダクト338を経由してハイブリッド車両10の後部から排出される空気の流路が形成される。
【0060】
以上のような構成を有するハイブリッド車両10において、減速時に、エンジン120への燃料供給を停止(フューエルカット)することによって減速力を発生させる場合がある。
【0061】
しかしながら、このようなフューエルカットを排気ガスの浄化に用いられる三元触媒コンバータ124Bの温度TCが高い状態で行なうと、触媒周辺が酸素過剰の雰囲気(リーン雰囲気)になり触媒の劣化が促進する場合がある。そのため、回生制動によって車両を減速させることによって、フューエルカットの実行頻度を少なくすることが望ましい。
【0062】
一方、走行用バッテリ220のSOCをたとえば、制御上限値と制御下限値とで規定される制御範囲内になるようにハイブリッド車両10を制御する場合において、走行用バッテリ220のSOCが高いときには、回生制動により生じた電力を吸収するためにSOCの制御上限値を拡大させる必要がある。制御上限値を拡大させることで、走行用バッテリ220のSOCが増加した場合、過充電によって寿命が低下する場合がある。
【0063】
そこで、本実施の形態においては、ECU300が、エンジン120の触媒温度が高いときには、低いときに比べて、走行用バッテリ220のSOCが低くなるようにハイブリッド車両10を制御する点に特徴を有する。
【0064】
図3に、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300の機能ブロック図を示す。ECU300は、触媒温度判定部322と、通常処理部324と、低下処理部326とを含む。
【0065】
触媒温度判定部322は、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高いか否かを判定する。しきい値TC(0)は、たとえば、触媒の材質等の物性によって設定されるしきい値であって、フューエルカット制御が実行された場合に触媒の劣化の促進によって触媒としての性能が低下する温度TC(1)よりも低い予め定められた値である。これは、しきい値TC(0)を温度TC(1)に対して余裕を持たせて設定することによって触媒温度が温度TCに到達する前に走行用バッテリ220のSOCを回生制動の一定の実行頻度が得られるSOCまで低下させておくためである。なお、触媒温度判定部322は、たとえば、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合に触媒高温フラグをオンするようにしてもよい。
【0066】
通常処理部324は、触媒温度TCがしきい値TC(0)以下である場合に通常の充放電制御(以下、通常処理とも記載する)を実行する。通常処理部324は、たとえば、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0067】
通常処理部324は、現在のSOCが目標値SOC(1)よりも低い場合には、エンジン120のパワー(駆動パワーあるいは発電パワー)および第2MG142のパワー(回生パワー)を用いてハイブリッド車両10全体としての充電量を放電量よりも増加させてSOCを増加させる。
【0068】
通常処理部324は、現在のSOCが目標値SOC(1)よりも高い場合には、第2MG12の駆動パワーを用いたり回生制動を制限したりするなどしてハイブリッド車両10全体としての放電量を充電量よりも増加させてSOCを低下させる。なお、通常処理部324は、たとえば、触媒高温フラグがオフされている場合に通常処理を実行するようにしてもよい。
【0069】
低下処理部326は、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合にSOC低下処理を実行する。具体的には、低下処理部326は、たとえば、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(1)よりも低い目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。なお、低下処理部326は、たとえば、触媒高温フラグがオンされている場合にSOC低下処理を実行するようにしてもよい。また、低下処理部326は、SOC低下処理の実行中においては、回生制動の制限を解除したり、あるいは、回生制動の制限のみ目標値SOC(1)よりも高い場合に行なったりしてもよい。
【0070】
低下処理部326は、触媒温度TCに基づいて目標値SOC(2)を設定する。本実施の形態においては、低下処理部326は、たとえば、触媒温度TCと、触媒温度TCと目標値SOC(2)との関係を示すマップとから触媒温度TCに対応する目標値SOC(2)を設定する。なお、マップは、たとえば、ECU300のメモリに記憶される。また、マップに代えて、表あるいは数式等が用いられてもよい。
【0071】
本実施の形態において、触媒温度判定部322と、通常処理部324と、低下処理部326とは、いずれもECU300のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0072】
図4を参照して、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0073】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU300は、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高いか否かを判定する。触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合(S100にてNO)、処理はS104に移される。
【0074】
S102にて、ECU300は、SOC低下処理を実行する。なお、SOC低下処理については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰返さない。S104にて、ECU300は、通常処理を実行する。なお、通常処理については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰返さない。
【0075】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300の動作について図5を用いて説明する。
【0076】
ハイブリッド車両10の触媒温度TCがしきい値TC(0)以下である場合には(S100にてNO)、通常処理が実行される(S104)。すなわち、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0077】
図5に示すように、時間T(0)になるまでは、目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電が制御される。その結果、走行用バッテリ220のSOCは、目標値SOC(1)を中心に増減するように変化する。
【0078】
エンジン120の作動中にハイブリッド車両10が登坂走行等の高負荷走行を継続する場合には、触媒温度TCは、時間の経過とともに上昇する。その結果、時間T(0)にて、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高くなる場合(S100にてYES)、SOC低下処理が実行される(S102)。すなわち、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0079】
図5に示すように、時間T(0)以降において、目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電が制御される。このとき、走行用バッテリ220のSOCは、目標値SOC(1)を中心に増減する状態から目標値SOC(2)を中心に増減する状態へと移行していく。そのため、走行用バッテリ220のSOCは低下の傾向を示す。
【0080】
また、ハイブリッド車両10が同様に走行した場合でも、低下処理が実行される場合の走行用バッテリ220における電力の入出力量は、通常処理が実行される場合の電力の入出力量よりも小さい。そのため、低下処理が実行される場合の方が電池温度TBは、低くなる傾向を示す。
【0081】
たとえば、通常処理の実行時または低下処理実行時において、走行用バッテリ220のSOCが制御下限値Aまで低下した場合には、エンジン120を始動させるなどして目標値SOC(1)またはSOC(2)までSOCが復帰するように充放電制御が行なわれる。
【0082】
このとき、低下処理時の目標値SOC(2)までのSOCの増加量ΔSOC(2)は、通常処理時の目標値SOC(1)までのSOCの増加量ΔSOC(1)よりも小さくなる。そのため、低下処理の実行時の走行用バッテリ220の充放電に伴う発熱量は通常処理の実行時よりも小さくなる。そのため、低下処理の実行時の走行用バッテリ220の電池温度TBは、通常処理の実行時よりも低くなる傾向を示す。
【0083】
このように三元触媒コンバータ124Bが高温になる前にSOCや電池温度TBを低下させておくことによって、触媒の高温時においてSOCや電池温度TBの増加を要因とした充電電力上限値Winの低下が抑制される。そのため、走行用バッテリ220においては、触媒の高温時において、回生制動による走行用バッテリ220の充電が受け入れやすくなる(回生制動が制限されにくくなる)。その結果、エンジン120に対するフューエルカット制御の実行頻度が低下する。
【0084】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両用制御装置によると、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合にSOC低下処理を実行することによって、三元触媒コンバータ124Bの高温時には走行用バッテリ220のSOCを低下させておくことができる。そのため、SOCが高い場合に比べて充電電力上限値Winの低下を抑制することができるため、回生制動の実行機会を大きくすることができる。その結果、ハイブリッド車両10の減速時にフューエルカット制御の実行機会または実行時間を減少させることが可能となる。これにより、走行用バッテリ220の寿命の低下を抑制しつつ触媒の劣化が抑制される。したがって、触媒の劣化を抑制する車両用制御装置および車両用制御方法を提供することができる。
【0085】
本実施の形態においては、MG−ECU300は、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合に、触媒温度TCと、触媒温度TCおよび目標値SOC(2)の関係を示すマップとを用いて目標値SOC(2)を設定するとして説明したが、たとえば、MG−ECU300は、触媒温度が高いときに、低いときに比べて残容量が低くなるように車両を制御できればよく、特に、これに限定されるものではない。たとえば、ECU300は、検出された触媒温度TCと目標値SOC(2)とが触媒温度が高いほど、目標値SOC(2)が低くなる比例関係であるとして、検出された触媒温度TCに所定の係数を乗じて目標値SOC(2)を決定するようにしてもよいし、予め定められた値を目標値SOC(2)として設定するようにしてもよい。
【0086】
なお、本実施の形態においては、触媒温度センサ124Cを用いて触媒温度TCを検出して取得するとして説明したが、たとえば、エンジン120の運転状態(たとえば、スロットル開度、吸入空気量、吸気温度、エンジン回転数等)に基づいて触媒温度TCを推定して取得するようにしてもよい。
【0087】
また、本実施の形態においては、ECU300は、通常処理として走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御するとして説明したが、たとえば、目標値SOC(1)を制御中心値として設定して、設定された制御中心値に対応するSOC制御範囲内で現在のSOCが維持されるように走行用バッテリ220の充放電を制御するようにしてもよい。
【0088】
同様に、ECU300は、SOC低下処理として、目標値SOC(2)を制御中心値として設定して、設定された制御中心値に対応するSOC制御範囲内で現在のSOCが維持されるように走行用バッテリ220の充放電を制御するようにしてもよい。
【0089】
ECU300は、SOC制御範囲内で現在のSOCが維持されるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。SOC制御範囲は、制御中心値に対して制御上限値および制御下限値によって規定される第1制御幅および第2制御幅をそれぞれ有するように設定される。第1制御幅と第2制御幅とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0090】
また、目標値SOC(2)を制御中心値とした場合の制御下限値および制御上限値は、目標値SOC(1)を制御中心値とした場合の制御下限値および制御上限値よりもそれぞれ低い値に設定される。また、制御上限値および制御下限値は、走行用バッテリ220の仕様上の上限値および下限値の範囲内で設定される。そのため、目標値SOC(1)を制御中心値とした場合と目標値SOC(2)を制御中心値とした場合とで制御上限値または制御下限値が同じ値に設定される場合もある。
【0091】
ECU300は、現在のSOCがSOC制御範囲の制御下限値よりも低下した場合、走行用バッテリ220の充電を行なう。すなわち、ECU300は、エンジン120の作動を要求する。そのため、エンジン120が停止している場合には、エンジン120が始動される。
【0092】
ECU300は、現在のSOCがSOC制御範囲内である場合には、走行用バッテリ220の放電を指定する。このとき、ECU300は、走行用バッテリ220の充電を目的としてエンジン120を始動させることはない。
【0093】
ECU300は、現在のSOCが制御上限値に近づく場合には、充電電力上限値Winを低く設定する。この場合、第2MG142による回生制動が制限されることにより、走行用バッテリ220の過充電が回避される。なお、回生制動の制限時には、図示しない油圧ブレーキ機構のみによって、ハイブリッド車両10全体で必要な制動力が発生される。
【0094】
また、ECU300は、目標値SOC(2)を制御中心値とした場合に回生制動が制限されることを回避するために、SOCが制御上限値を超える場合の回生制動の制限を解除したり、あるいは、回生制動の制限について条件のみをSOCが目標値SOC(1)を制御中心値とした場合の制御上限値に近づくという条件としたりしてもよい。
【0095】
そのため、目標値SOC(1)を制御中心値として選択している場合であって、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高くなる場合に、目標値SOC(2)を制御中心値として選択することによって、走行用バッテリ220のSOCを目標値SOC(1)が制御中心値として選択される場合よりも走行用バッテリ220のSOCを低下させることができる。三元触媒コンバータ124が高温になる前に走行用バッテリ220のSOCを低下させておくことができる。そのため、回生制動の実行頻度を大きくすることができる。その結果、フューエルカット制御の実行頻度あるいは実行時間を低下させることができる。
【0096】
本実施の形態においては、2つのモータジェネレータ(第1MG140および第2MG142)を有するハイブリッド車両10に本発明を適用した場合について説明したが、特にこのような形式のハイブリッド車両に限定されるものではない。ハイブリッド車両10は、たとえば、図6に示すように、エンジン120と、エンジン120のクランク軸に直結した駆動用モータジェネレータとを含むパラレル方式のハイブリッド車両であってもよい。あるいは、ハイブリッド車両10は、前輪がエンジンにて駆動され、後輪が電動機にて駆動される車両であってもよい。
【0097】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係る車両用制御装置について説明する。本実施の形態に係る車両用制御装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両用制御装置の構成と比較して、ECU300の動作が異なる。それ以外の構成については、上述の第1の実施の形態に係るハイブリッド車両10の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0098】
本実施の形態においては、ECU300が、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合、走行用バッテリ220の電池温度TBがしきい値TB(0)よりも高いときに目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する点に特徴を有する。
【0099】
図7に、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300の機能ブロック図を示す。なお、図7に示したECU300の機能ブロック図は、図3に示したECU300の機能ブロック図と比較して、電池温度判定部328を含む点と、以下に説明する一部の機能ブロックの動作とが異なる。それ以外の構成およびその動作については、上述の第1の実施の形態において説明したECU300の機能ブロック図と同じ構成および同じ動作である。そのため、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0100】
電池温度判定部328は、電池温度TBがしきい値TB(0)よりも高いか否かを判定する。しきい値TB(0)は、たとえば、充電効率がしきい値よりも低下していると判定するための予め定められた値である。なお、電池温度判定部328は、たとえば、電池温度TBがしきい値TB(0)よりも高い場合に電池高温フラグをオンするようにしてもよい。
【0101】
通常処理部324は、触媒温度TCがしきい値TC(0)以下である場合、あるいは、電池温度TBがしきい値TB(0)以下である場合に通常処理を実行する。なお、通常処理部324は、たとえば、触媒高温フラグおよび電池高温フラグのうちの少なくともいずれか一方がオフされている場合に通常処理を実行するようにしてもよい。
【0102】
低下処理部326は、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合であって、かつ、電池温度TBがしきい値TB(0)よりも高い場合にSOC低下処理を実行する。なお、低下処理部326は、たとえば、触媒高温フラグおよび電池高温フラグのうちの両方がオンされている場合に低下処理を実行するようにしてもよい。
【0103】
なお、通常処理およびSOC低下処理については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰返さない。
【0104】
本実施の形態において、触媒温度判定部322と、通常処理部324と、低下処理部326と、電池温度判定部328とは、いずれもECU300のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0105】
図8を参照して、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0106】
なお、図8に示したフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0107】
触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合に(S100にてYES)、S200にて、ECU300は、電池温度TBがしきい値TB(0)よりも高いか否かを判定する。電池温度TBがしきい値TB(0)よりも高い場合(S200にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合(S200にてNO)、処理はS104に移される。
【0108】
なお、図8のフローチャートの電池温度TBの判定と触媒温度TCの判定との判定順序は、特に触媒温度TCを判定した後に電池温度TBの判定を行なうことに限定されるものではない。たとえば、その逆の順序で判定が行なわれてもよいし、同時に判定が行なわれてもよい。
【0109】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300の動作について説明する。
【0110】
ハイブリッド車両10の触媒温度TCがしきい値TC(0)以下である場合には(S100にてNO)、あるいは、電池温度TBがしきい値TB(0)以下である場合(S200にてNO)、通常処理が実行される(S104)。すなわち、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0111】
目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電が制御された結果、走行用バッテリ220のSOCは、目標値SOC(1)を中心に増減するように変化する。
【0112】
エンジン120の作動中にハイブリッド車両10が登坂走行等の高負荷走行を継続する場合には、触媒温度TCは、時間の経過とともに上昇する。その結果、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高くなる場合であって(S100にてYES)、かつ、電池温度TBがしきい値TB(0)よりも高くなる場合(S200にてYES)、SOC低下処理が実行される(S102)。すなわち、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0113】
上述の第1の実施の形態において説明したように、低下処理が実行される場合のSOCや電池温度TBは、通常処理が実行される場合よりも低くなる傾向を示す。
【0114】
このように三元触媒コンバータ124Bが高温になる前にSOCや電池温度TBを低下させておくことによって、触媒の高温時においてSOCや電池温度TBの増加を要因とした充電電力上限値Winの低下が抑制される。そのため、走行用バッテリ220においては、触媒の高温時においては、回生制動による走行用バッテリ220の充電が受け入れやすくなる(回生制動が制限されにくくなる)。その結果、エンジン120に対するフューエルカット制御の実行頻度が小さくなる。
【0115】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両用制御装置によると、上述の第1の実施の形態に係る車両用制御装置による作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0116】
電池温度TBが高いことによって充電電力上限値Winが低下した場合、回生制動による充電が受け入れにくくなる状況になる。そのため、このような状況下において、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合にSOC低下処理が実行されることによって走行用バッテリ220のSOCを通常処理が実行される場合よりも低下させることができ、かつ、電池温度TBの上昇を抑制することができる。そのため、回生制動が制限されにくくなる。その結果、触媒の高温時においてエンジン120に対するフューエルカット制御の実行頻度を低下させることができる。
【0117】
本実施の形態においては、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合、電池温度TBがしきい値TB(0)よりも高いときにSOC低下処理を実行するとして説明したが、たとえば、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合、現在の時点以前の予め定められた期間(または、現在の位置までの予め定められた距離)における走行用バッテリ220における電力の入出力量の総和がしきい値よりも大きいときにSOC低下処理が実行されるようにしてもよい。電力の入出力量が増加するほど走行用バッテリ220における発熱量が増加して電池温度TBが増加するためである。
【0118】
より具体的には、ECU300は、所定の計算サイクル毎の走行用バッテリ220における電力の入出力量をSOCの変化量に換算して積算した値(以下、SOCの積算値と記載する)を算出する。ECU300は、予め定められた期間におけるSOCの積算値がしきい値よりも大きいときにSOC低下処理を実行する。ECU300は、予め定められた期間が経過する毎にSOCの積算値を初期値ゼロに再設定する。
【0119】
たとえば、図9の実線に示すように、時間T(1)以降、SOCが増加する場合を想定する。時間T(2)にて、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合、時間T(1)から時間T(2)までの予め定められた期間(あるいは、予め定められた距離)におけるSOCの積算値ΣSOC(0)−ΣSOC(2)がしきい値よりも大きいときに、SOC低下処理が実行されるようにしてもよい。
【0120】
あるいは、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合、上述のΣSOC(0)から図9の破線に示すように、予め定められた期間(あるいは、予め定められた距離)におけるSOCの積算値ΣSOC(0)−ΣSOC(1)がしきい値よりも大きいときに、SOC低下処理が実行されるようにしてもよい。
【0121】
あるいは、上述のSOCの積算値を電池温度TBの積算値(電池温度の変化量の絶対値の積算値)に置き換えて、触媒温度TCがしきい値T(0)よりも高い場合、電池温度TBの積算値がしきい値よりも大きいときに、SOC低下処理が実行されるようにしてもよい。
【0122】
また、上述のSOCの積算値がしきい値よりも大きいときに加えて、上述の電池温度TBの積算値がしきい値よりも大きいときに、SOC低下処理が実行されるようにしてもよい。
【0123】
<第3の実施の形態>
以下、第3の実施の形態に係る車両用制御装置について説明する。本実施の形態に係る車両用制御装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両用制御装置の構成と比較して、ECU300の動作が異なる。それ以外の構成については、上述の第1の実施の形態に係るハイブリッド車両10の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0124】
本実施の形態においては、ECU300が、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合、ハイブリッド車両10の室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高いときに目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する点に特徴を有する。
【0125】
図10に、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300の機能ブロック図を示す。なお、図10に示したECU300の機能ブロック図は、図3に示したECU300の機能ブロック図と比較して、室内温度判定部330を含む点と、以下に説明する一部の機能ブロックの動作とが異なる。それ以外の構成およびその動作については、上述の第1の実施の形態において説明したECU300の機能ブロック図と同じ構成および同じ動作である。そのため、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0126】
室内温度判定部330は、室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高いか否かを判定する。しきい値TR(0)は、たとえば、充電効率がしきい値よりも低下していると判定するための予め定められた値である。なお、室内温度判定部330は、たとえば、室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高い場合に室内高温フラグをオンするようにしてもよい。
【0127】
通常処理部324は、触媒温度TCがしきい値TC(0)以下である場合、あるいは、室内温度TRがしきい値TR(0)以下である場合に通常処理を実行する。なお、通常処理部324は、たとえば、触媒高温フラグおよび室内高温フラグのうちの少なくともいずれか一方がオフされている場合に通常処理を実行するようにしてもよい。
【0128】
低下処理部326は、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合であって、かつ、室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高い場合にSOC低下処理を実行する。なお、低下処理部326は、たとえば、触媒高温フラグおよび室内高温フラグのうちの両方がオンされている場合に低下処理を実行するようにしてもよい。
【0129】
なお、通常処理およびSOC低下処理については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰返さない。
【0130】
本実施の形態において、触媒温度判定部322と、通常処理部324と、低下処理部326と、室内温度判定部330とは、いずれもECU300のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0131】
図11を参照して、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0132】
なお、図11に示したフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0133】
触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合に(S100にてYES)、S300にて、ECU300は、室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高いか否かを判定する。室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高い場合(S300にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合(S300にてNO)、処理はS104に移される。
【0134】
なお、図11のフローチャートの室内温度TRの判定と触媒温度TCの判定との判定順序は、特に触媒温度TCを判定した後に室内温度TRの判定を行なうことに限定されるものではない。たとえば、その逆の順序で判定が行なわれてもよいし、同時に判定が行なわれてもよい。
【0135】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300の動作について説明する。
【0136】
ハイブリッド車両10の触媒温度TCがしきい値TC(0)以下である場合には(S100にてNO)、あるいは、室内温度TRがしきい値TR(0)以下である場合(S300にてNO)、通常処理が実行される(S104)。すなわち、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0137】
目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電が制御された結果、走行用バッテリ220のSOCは、目標値SOC(1)を中心に増減するように変化する。
【0138】
エンジン120の作動中にハイブリッド車両10が登坂走行等の高負荷走行を継続する場合には、触媒温度TCは、時間の経過とともに上昇する。その結果、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高くなる場合であって(S100にてYES)、加えて、室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高くなる場合(S300にてYES)、SOC低下処理が実行される(S102)。すなわち、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0139】
目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電が制御された結果、走行用バッテリ220のSOCは、目標値SOC(1)を中心に増減する状態から目標値SOC(2)を中心に増減する状態へと移行していく。そのため、走行用バッテリ220のSOCは低下の傾向を示す。
【0140】
上述の第1の実施の形態において説明したように、低下処理が実行される場合のSOCや電池温度TBは、通常処理が実行される場合よりも低くなる傾向を示す。
【0141】
このようにSOCや電池温度TBが低下することによってSOCや電池温度TBの増加を要因とした充電電力上限値Winの低下が抑制される。そのため、走行用バッテリ220においては、回生制動による走行用バッテリ220の充電が受け入れやすくなる(回生制動が制限されにくくなる)。その結果、エンジン120に対するフューエルカット制御の実行頻度が小さくなる。
【0142】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両用制御装置によると、上述の第1の実施の形態に係る車両用制御装置による作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0143】
室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高い場合には、室内温度TRがしきい値TR(0)以下である場合と比較して電池温度TBは高くなる傾向を示す。これは、走行用バッテリ220が室内の空気を用いて冷却されるためである。
【0144】
そのため、室内温度TRがしきい値TR(0)よりも高い(すなわち、電池温度TBが高い)ことによって充電電力上限値Winが低下した場合、回生制動による充電が受け入れにくくなる状況になる。そのため、このような状況下において、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合にSOC低下処理が実行されることによって走行用バッテリ220のSOCを通常処理が実行される場合よりも低下させることができ、かつ、電池温度TBの上昇を抑制することができる。そのため、回生制動が制限されにくくなる。その結果、触媒の高温時においてエンジン120に対するフューエルカット制御の実行頻度を低下させることができる。
【0145】
<第4の実施の形態>
以下、第4の実施の形態に係る車両用制御装置について説明する。本実施の形態に係る車両用制御装置は、上述の第1の実施の形態に係る車両用制御装置の構成と比較して、ECU300の動作が異なる。それ以外の構成については、上述の第1の実施の形態に係るハイブリッド車両10の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0146】
車室内においては、空気の流れがある空間の方が空気の流れがない空間の空気の温度よりも低温となる。そのため、空調モードの選択状態によって、走行用バッテリ220に供給される空気の温度に差が発生する。その結果、走行用バッテリ220の電池温度TBに影響する場合がある。
【0147】
たとえば、外気導入モードが選択されている場合には、図2の実線に示すように、空調装置から供給される空気は、吸気ダクト334の上方の図2で示す斜線の領域に到達する。一方、内気循環モードが選択されている場合には図2の破線に示すように、空調装置から供給される空気は、吸気ダクト334の上方の図2の斜線の領域に到達する前に下方に流れる。そのため、外気導入モードが選択されている場合には、吸気ダクト334まで空気の流れが形成されるのに対して、内気循環モードが選択されているときには、吸気ダクト334まで空気の流れが形成されない。
【0148】
そのため、本実施の形態におけるハイブリッド車両10においては、内気循環モードが選択された場合の方が、外気導入モードが選択された場合よりも電池温度TBが高くなる傾向を示す。
【0149】
そこで、本実施の形態においては、ECU300がエンジン120の触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合、内気循環モードの選択履歴に基づいて目標値SOC(1)を決定する点に特徴を有する。
【0150】
図12に、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300の機能ブロック図を示す。なお、図12に示したECU300の機能ブロック図は、図3に示したECU300の機能ブロック図と比較して、目標値決定部332を含む点と、以下に説明する一部の機能ブロックの動作とが異なる。それ以外の構成および動作については、上述の第1の実施の形態において説明したECU300の機能ブロック図と同じ構成および同じ動作である。そのため、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0151】
目標値決定部332は、ハイブリッド車両10の空調モードの選択状態に基づいて目標値SOC(2)を決定する。本実施の形態においては、目標値決定部332は、内気循環モードの選択履歴に基づいて目標値SOC(2)を決定する。
【0152】
目標値決定部332は、たとえば、予め定められた期間において内気循環モードが選択されている頻度(期間)を算出する。目標値決定部332は、算出された頻度に基づいて目標値SOC(2)を決定する。たとえば、目標値決定部332は、算出された頻度と、頻度と目標値との関係を示す予め定められたマップとに基づいて、目標値SOC(2)を決定するようにしてもよい。本実施の形態において、目標値決定部332は、算出された頻度が高くなるほど、目標値SOC(2)が低くなるように目標値SOC(2)を決定する。
【0153】
低下処理部326は、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合に走行用バッテリのSOCが目標値決定部332によって決定された目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0154】
本実施の形態において、触媒温度判定部322と、通常処理部324と、低下処理部326と、目標値決定部332とは、いずれもECU300のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0155】
図13を参照して、本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0156】
なお、図13に示したフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0157】
触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合に(S100にてYES)、S400にて、ECU300は、内気循環モードの選択履歴を算出する。S402にて、ECU300は、算出された選択履歴に基づいて目標値SOC(2)を決定する。
【0158】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両用制御装置であるECU300の動作について説明する。
【0159】
ハイブリッド車両10の触媒温度TCがしきい値TC(0)以下である場合には(S100にてNO)、通常処理が実行される(S104)。すなわち、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0160】
目標値SOC(1)になるように走行用バッテリ220の充放電が制御された結果、走行用バッテリ220のSOCは、目標値SOC(1)を中心に増減するように変化する。
【0161】
エンジン120の作動中にハイブリッド車両10が登坂走行等の高負荷走行を継続する場合には、触媒温度TCは、時間の経過とともに上昇する。その結果、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高くなる場合(S100にてYES)、内気循環モードの選択履歴が算出される(S400)。算出された選択履歴に基づいて目標値SOC(2)が決定されるて(S402)、SOC低下処理が実行される(S102)。すなわち、ECU300は、走行用バッテリ220のSOCが決定された目標値SOC(2)になるように走行用バッテリ220の充放電を制御する。
【0162】
上述の第1の実施の形態において説明したように、低下処理が実行される場合のSOCや電池温度TBは、通常処理が実行される場合よりも低くなる傾向を示す。
【0163】
このように三元触媒コンバータ124Bが高温になる前にSOCや電池温度TBを低下させておくことによって、触媒の高温時においてSOCや電池温度TBの増加を要因とした充電電力上限値Winの低下が抑制される。そのため、走行用バッテリ220においては、触媒の高温時においては、回生制動による走行用バッテリ220の充電が受け入れやすくなる(回生制動が制限されにくくなる)。その結果、エンジン120に対するフューエルカット制御の実行頻度が小さくなる。
【0164】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両用制御装置によると、上述の第1の実施の形態に係る車両用制御装置による作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0165】
内気循環モードが選択される頻度が高い(すなわち、電池温度TBが高い)ことによって充電電力上限値Winが低下した場合、回生制動による充電が受け入れにくくなる状況になる。そのため、このような状況下において、触媒温度TCがしきい値TC(0)よりも高い場合にSOC低下処理が実行されることによって走行用バッテリ220のSOCを通常処理が実行される場合よりも低下させることができ、かつ、電池温度TBの上昇を抑制することができる。そのため、回生制動が制限されにくくなる。その結果、エンジン120に対するフューエルカット制御の実行頻度を低下させることができる。
【0166】
本実施の形態において、目標値決定部332は、算出された頻度が高くなるほど、目標値SOC(2)が低くなるように目標値SOC(2)を決定するとして説明したが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、目標値決定部332は、算出された頻度がしきい値よりも大きい場合に所定の目標値SOC(2)を決定し、算出された頻度がしきい値以下である場合に通常処理の実行時の目標値SOC(1)を目標値SOC(2)として決定するようにしてもよい。
【0167】
また、外気導入モードが選択された場合の方が、内気循環モードが選択された場合よりも電池温度TBが高くなる傾向を示す場合には、目標値決定部332は、算出された頻度が低くなるほど(すなわち、外気導入モードが選択される頻度が高くなるほど)、目標値SOC(2)が低くなるように目標値SOC(2)を決定するようにしてもよい。このとき、目標値決定部332は、内気循環モードが選択される頻度に加えてまたは代えて吸気温度TAに基づいて目標値SOC(2)を決定するようにしてもよい。吸気温度TAは、外気温を示すものであり、外気が導入される場合には、電池温度TBに影響を与える場合があるためである。たとえば、目標値決定部332は、吸気温度TAの平均値が増加するほど目標値SOC(2)が低くなるように目標値SOC(2)を決定するようにしてもよい。
【0168】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0169】
10 ハイブリッド車両、120 エンジン、122 吸気通路、122A エアクリーナ、122B 吸気温度センサ、122C 電子スロットルバルブ、124 排気通路、124A 空燃比センサ、124B 三元触媒コンバータ、124C 触媒温度センサ、124D 消音器、130 燃料噴射装置、140 第1MG、142 第2MG、160 駆動輪、162 ドライブシャフト、180 リダクションギヤ、182 トランスミッション、200 動力分割機構、220 走行用バッテリ、240 インバータ、242 コンバータ、302 電流センサ、304 電圧センサ、306 電池温度センサ、308 アクセルポジションセンサ、310 空調スイッチ、312 車輪速センサ、314 室内温度センサ、322 触媒温度判定部、324 通常処理部、326 低下処理部、328 電池温度判定部、330 室内温度判定部、332 目標値決定部、334 吸気ダクト、336 電池冷却用ファン、338 排気ダクト、340 車室内空調システム、342 空調用エバポレータ、344 空調用ファン、346 内外気切換ドア、350 電池冷却システム、352 バッテリケース、360 水温センサ、380 エンジン回転数センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と回転電機と、前記回転電機から電力が供給される蓄電装置とを含む車両に搭載された車両用制御装置であって、前記車両は、前記内燃機関の燃料噴射停止および前記回転電機による回生制動によって減速可能であり、
前記車両用制御装置は、
前記内燃機関の触媒温度が高いときには、低いときに比べて、前記蓄電装置における残容量が低くなるように前記車両を制御する、車両用制御装置。
【請求項2】
前記車両用制御装置は、前記触媒温度が第1しきい値よりも高い場合に前記蓄電装置の残容量が第1目標値になるように前記車両を制御し、前記触媒温度が前記第1しきい値以下の場合に前記蓄電装置の残容量が第2目標値になるように前記車両を制御し、
前記第2目標値は、前記第1目標値よりも高い、請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記車両用制御装置は、前記触媒温度が高いほど、前記蓄電装置における残容量が低くなるように前記車両を制御する、請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記車両用制御装置は、前記蓄電装置における残容量が低くなるように前記車両を制御するとき、前記蓄電装置における残容量の目標値が低くなるように前記蓄電装置を制御する、請求項1または3に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記車両用制御装置は、前記触媒温度が第1しきい値よりも高い場合、前記蓄電装置の温度が第2しきい値よりも高いときに前記残容量が第1目標値になるように前記蓄電装置を制御する、請求項2または4に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記車両用制御装置は、前記車両の室内の温度が高いときには、低いときに比べて、前記蓄電装置における残容量が低くなるように前記車両を制御する、請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項7】
前記車両は、外気導入モードと内気循環モードとのうちのいずれか一方の空調モードの選択が可能な空調装置を含み、前記蓄電装置は、前記車両の室内の空気を用いて冷却され、
前記車両用制御装置は、前記触媒温度が前記第1しきい値よりも高い場合、前記内気循環モードの選択履歴に基づいて前記第1目標値を決定する、請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項8】
内燃機関と回転電機と、前記回転電機から電力が供給される蓄電装置とを含む車両に搭載された車両用制御方法であって、前記車両は、前記内燃機関の燃料噴射停止および前記回転電機による回生制動によって減速可能であり、
前記車両用制御方法は、
前記内燃機関の触媒温度を取得するステップと、
前記内燃機関の前記触媒温度が高いときには、低いときに比べて、前記蓄電装置における残容量が低くなるように前記車両を制御するステップとを含む、車両用制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−111332(P2012−111332A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261404(P2010−261404)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】