説明

車両用表示装置およびその表示方法

【課題】 ドライバに対して圧迫感を感じさせる画像を車両前方の景色に溶け込むように重畳表示する。
【解決手段】 地図情報に基づき、自車が走行している道路において、自車が安全に走行できる走行速度を安全走行速度として算出すると共に、地図情報および自車の状態に基づき、自車が走行するであろう道路における走行速度を予測走行速度として算出する。そして、予測走行速度が安全走行速度よりも速い場合、自車がスピードの出し過ぎであると判定し、道路形状に沿わせて表示する減速促進画像、例えば壁PWを作成する。こうして作成した壁PWを、フロントウィンドシールドWSのヘッドアップディスプレイに表示する。このとき、自車の前方の道路形状に沿わせて壁PWを道路に重畳表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前方の景色に画像を重畳表示させる車両用表示装置およびその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドライバのスピードの出し過ぎによる事故が起きている。このような事故は、スピードの出し過ぎによってカーブを曲がり切れなかったり、運転操作が遅れたりすることによって引き起こされる。そこで、車両走行時において、ドライバに対してスピードの出し過ぎを抑制させるため、スピードの出し過ぎを検知すると共に報知し、ドライバに減速を促す装置が提案されている。
【0003】
この種の装置として、車両の速度が設定速度以上になった場合に、音声、ブザー、光等の手段でドライバに警告する速度警報器がある(例えば、特許文献1参照)。この警報器は、メータの文字盤において警報を発する車速を指定する指定速度指示部と、指定速度指示部に備えられると共にメータの指針がこの指定速度指示部にて指定された速度を超えたことを検知する検知ユニットと、ドライバに警報(音声、ブザー、光等)を発する警報部と、を備えて構成されている。
【0004】
このような警報器では、車両のメータの文字盤において、警報を発したい速度の位置に警報ユニット(例えばフォトカプラ、フォトセンサ)を設置する。指針式メータの場合、車両走行中に設定速度以上に速度計の指針が移動したことをフォトカプラで検知する。また、デジタル式メータの場合、グラフィカル表示された指針の発光先端部をフォトセンサで検知する。こうして、メータの指針が設定速度を超えたことが検知されると、警報部にてドライバに対して警報がなされる。
【0005】
また、車両がカーブに差し掛かったときの速度に応じて警報するカーブ路警報装置がある(例えば、特許文献2参照)。このカーブ路警報装置は、車両前方を撮影するカメラと、カメラにて撮影された景色に基づき警報を発する制御を行うコンロトールユニットと、ドライバに警報する警報器と、を備えて構成されている。
【0006】
このカーブ路警報装置では、カメラにてカーブ路に設置されたカーブ曲率表示標識が撮影されると共に、この画像信号がコントロールユニットに入力される。そして、コントロールユニットでは、カメラから入力された画像信号に基づき、文字パターンと予め記憶されたカーブ曲率の文字パターンとが照合され、カーブ路の曲率半径が検出される。この検出された曲率半径から許容車速が求められる。そして、この許容車速と現在の車両の速度とが比較され、許容速度よりも基準許容速度が大きいと判定されると、車両がオーバースピードになっているとして警報器にて警報がなされる。
【特許文献1】特開平5−149959号公報
【特許文献2】特開平7−266920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記速度警報器では、メータの指針が設定速度を超えるたびに警報がなされてしまう。これにより、ドライバは頻繁にまたは継時的になされる警報に煩わしさを感じることとなる。また、カーブ路警報装置では、道路形状がカーブである場合にのみ、ドライバに車両の速度を落とさせる警報を行うため、どんな道路形状であっても警報を行うようにすることができない。
【0008】
また、上記速度警報器やカーブ路警報装置は、ドライバに速度の低下を指示するものであるにもかかわらず、ドライバが意図的に警報を無視することができることや、頻繁になされる警報にドライバが慣れてしまい、ドライバが自主的に警報に従わない場合がある。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、ドライバに対して圧迫感を感じさせる画像を車両前方の景色に重畳表示することで、自然に減速させることができる車両用表示装置およびその表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、地図情報を内蔵し、地図情報の中から自車が走行している道路の道路形状を出力する道路状況取得部(10、40)と、走行している自車の状態に応じた信号を出力する車両情報取得部(20)と、道路形状と自車の状態に応じた信号とに基づいて自車のスピードの出し過ぎを判定すると共に、道路形状に沿って表示される減速促進画像を作成する制御部(50)と、減速促進画像の画像データを入力すると共に、フロントウィンドシールド(WS)のヘッドアップディスプレイにおいて、減速促進画像を自車の前方の道路に沿わせて重畳表示する表示部(60)と、を有することを特徴としている。
【0011】
このように、自車が走行している道路や自車の状態(例えば、スロットル開度、ブレーキ油圧、ステアリング操舵角)に基づき、自車のスピードの出し過ぎを判定する。そして、自車がスピードの出し過ぎであると判定した場合、ヘッドアップディスプレイに自車の減速を促す減速促進画像を道路に重畳表示する。これにより、ドライバに対して減速促進画像に注意を促すことができ、慎重に運転させることができる。したがって、自然に減速させることができる。このような表示は、どんな道路形状であっても行うことができる。
【0012】
また、減速促進画像が自車の前方の景色に溶け込むように表示されるため、ドライバは実際の前景を視認するときと同じ感覚で減速促進画像を自然に受け入れることができる。さらに、圧迫感を感じさせる減速促進画像をヘッドアップディスプレイに表示することから、運転動作に直結するような警告、警報ができ、自然に減速させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、制御部は、地図情報に基づき、自車が安全に走行できる走行速度を安全走行速度として算出すると共に、地図情報および自車の状態に基づき、自車が走行するであろう道路における走行速度を予測走行速度として算出し、予測走行速度が安全走行速度よりも速い場合、自車がスピードの出し過ぎになると判定すると共に、減速促進画像を作成するようになっていることを特徴としている。
【0014】
このように、安全走行速度および予測走行速度を算出すると共に比較する。そして、予測走行速度が安全走行速度よりも速い場合、すなわち、自車がこのまま走行すると自車の速度が安全に走行できる速度を超える場合、自車がスピードを出し過ぎていると判定する。こうしてヘッドアップディスプレイに表示する減速促進画像を作成するか否かを判定できる。
【0015】
このような比較を行うことにより、車両が危険なスピードになった時には、既にドライバから見える前景に減速促進画像を表示することができる。これにより、減速促進画像が前景に溶け込んで表示されるので、ドライバに減速促進画像が表示されたことを気づかせないようにすることができる。このことから、減速促進画像が表示されたことによる煩わしさを低減させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、表示部は、画像表示を行う右眼用表示器(61)および左眼用表示器(62)を有し、制御部から出力された減速促進画像を、右眼用表示器および左眼用表示器から出力させて、ヘッドアップディスプレイに立体画像を表示するようになっていることを特徴としている。
【0017】
このように、減速促進画像を立体画像としてヘッドアップディスプレイに表示する。これにより、ドライバに対して減速促進画像に奥行きを感じさせることができ、減速促進画像を自車前方の道路に溶け込ませて表示することができる。したがって、減速促進画像を道路形状に沿わせて表示することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、減速促進画像は、少なくとも壁(PW、SH)、センターポール(CP)、ガードレール(GR)、白線(WL)のいずれか1つを含んでいることを特徴としている。
【0019】
このような減速促進画像を用いることにより、ドライバに対して圧迫感を与えることができ、ドライバに慎重な運転を促すことができる。これにより、自車の速度を自然に減速させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、白線は、前記道路の内側に表示されるようになっていることを特徴としている。このように白線が表示されることで、ドライバに圧迫感を与えることができ、減速を促すことができる。
【0021】
例えば、道路にセンターラインとして白線がある場合には白線をセンターラインの内側に表示する。一方、センターラインが無い場合には、虚像として新たに道路中央に白線を表示しても良い。また、車両通行帯のある道路の場合は、自車から見て左側の車両通行帯外側線の内側に白線を表示してもよい。一方、車両通行帯の無い場合は、道路の境界線の内側に白線を表示しても良い。このような、道路状況に合わせた白線の表示により、ドライバに圧迫感を与えることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明では、自車のスピードの出し過ぎに応じて減速を促す画像をフロントウィンドシールド(WS)に設けられたヘッドアップディスプレイに表示する車両用表示装置の表示方法であって、自車が走行している道路の道路形状および自車の状態を取得する手段(110、120)にて道路形状および自車の状態を取得するステップと、自車が走行している道路の道路形状に基づき、自車が安全に走行できる走行速度を安全走行速度として算出すると共に、道路形状および自車の状態に基づき、自車が走行するであろう道路における走行速度を予測走行速度として算出する手段(130)にて安全走行速度および予測走行速度を取得するステップと、予測走行速度が安全走行速度よりも速い場合、道路形状に沿って表示される減速促進画像を作成すると共に、ヘッドアップディスプレイにおいて自車の前方の道路に沿わせて減速促進画像を重畳表示する手段(140〜160)にて減速促進画像を表示するステップと、を有することを特徴としている。
【0023】
このように、自車が走行する道路の形状、自車の状態(例えば、スロットル開度、ブレーキ油圧、ステアリング操舵角)から、安全走行速度および予測走行速度を算出する。そして、予測走行速度が安全走行速度を超える、すなわちスピードの出し過ぎである場合には、減速促進画像を自車の前方の道路に重畳させてヘッドアップディスプレイに表示する。これにより、ドライバに圧迫感を感じさせると共に注意を促し、自車を自然に減速させることができる。こうしてドライバに対して慎重な運転を促すことができ、ドライバに対して減速を効率よく促すことができる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、重畳表示させる手段では、予測走行速度が安全走行速度を超えた地点から減速促進画像を表示することを特徴としている。
【0025】
このように、自車が走行している道路の先から減速促進画像を表示する。これにより、あらかじめ減速促進画像を前景に溶け込ませて表示することができるので、ドライバに減速促進画像が表示されたことによる驚きを生じさせないようにすることができる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、重畳表示させる手段では、前記減速促進画像を立体画像として前記ヘッドアップディスプレイに表示することを特徴としている。
【0027】
このように、減速促進画像を立体画像として表示する。これにより、ドライバに対して減速促進画像に奥行きを感じさせることができ、減速促進画像を自車前方の道路に溶け込ませて表示させることができる。すなわち、減速促進画像を道路形状に沿わせて表示することができるので、減速促進画像が元々道路に存在しているように見せることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、重畳表示させる手段では、減速促進画像として、少なくとも壁(PW、SH)、センターポール(CP)、ガードレール(GR)、白線(WL)のうちいずれか1つの画像を作成することを特徴としている。
【0029】
このように、上記のような減速促進画像を表示する。これにより、道路の端に表示させた壁やガードレールによって、ドライバに対して圧迫感を与え減速させることができる。また、センターポールや白線を表示することにより、ドライバに慎重な運転を促して減速させることができる。このような減速促進画像にてドライバに注意を促すことによって、自然に減速させることができる。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用表示装置のブロック構成図である。図1に示されるように、車両用表示装置は、道路状況取得部10と、車両情報取得部20と、コマンドスイッチ30と、データベース40と、制御部50と、重畳表示部60と、を備えて構成されている。
【0032】
道路情報取得部10は、車両が現在走行している道路の形状を把握するためのものであり、GPSアンテナ11を備えて構成されている。このGPSアンテナ11は、GPS衛星から発信されている現在時刻と自分の位置に関する情報を含んだ側位信号を受け取り、この側位信号を制御部50に出力する。この側位信号は、後述する制御部50にて、車両の緯度および経度、すなわち現在位置を特定するために用いられる。
【0033】
車両情報取得部20は、道路を走行する車両の状態を検出すると共に、検出した信号を制御部50に出力するものである。具体的には、この車両情報取得部20は、センサ群21〜27によって構成され、これらセンサ群21〜27にて車両の状態が検出されることとなる。このような車両情報取得部20は、スロットルセンサ21と、ブレーキ油圧センサ22と、ステアリングセンサ23と、車速センサ24と、方位センサ25と、日射センサ26と、イグニッションセンサ27と、を備えて構成されている。
【0034】
スロットルセンサ21は、エンジンの吸気管に備えられ、エンジンの燃焼室に送り込む空気(混合気)の量を調整するスロットルバルブの開閉レベル(開度)を検出するものである。スロットルセンサ21にて検出されたスロットルバルブの開閉レベルを示すスロットル信号は制御部50に出力される。そして、制御部50では、スロットル信号に応じたスロットル開度が算出される。
【0035】
ブレーキ油圧センサ22は、ブレーキ油圧の圧力を検出するものである。このブレーキ油圧センサ22は、例えば、ピエゾ抵抗効果を利用した周知構成のもので、その上面に圧力を受けて歪むダイアフラムおよび拡散抵抗などにより形成されたブリッジ回路などを備えた構成となっている。そして、ブレーキ油圧センサ22は、ブレーキ油圧を検出してその検出値に応じたレベルの電気信号を発生すると共にその電気信号を制御部50に出力する。そして、制御部50では、ブレーキ油圧センサ22から入力される電気信号が圧力値に変換される。
【0036】
ステアリングセンサ23は、ドライバがステアリングを操作したときの操舵角を検出するものである。このステアリングセンサ23は、例えば、ステアリングギアボックスに備えられ、ステアリングの操舵角に応じた信号を制御部50に出力する。そして、制御部50に入力された操舵角信号は、ステアリングの操舵角に変換される。
【0037】
車速センサ24は、車両の速度を検出するものであり、車両の速度に応じたパルス信号を制御部50に出力する。制御部50に入力されたパルス信号は、車速に変換される。
【0038】
方位センサ25は、車両がどの方向に運行しているのかを検出するものであり、例えばヨーレートセンサやジャイロセンサによって構成される。具体的には、方位センサ25は、ヨーレートセンサにより車両重心を通る鉛直軸まわりの車両回転角を検出し、ジャイロセンサによって道路の傾きを検出し、これらに基づいて車両の運行方向に関する方位信号を制御部50に出力する。
【0039】
日射センサ26は、車室内の日射量を検出するものである。この日射センサ23は、例えばフォトダイオードを備えて構成されており、インストルメントパネルの上部に設置されている。そして、この日射センサ23のフォトダイオードが車室内に入射される光の強度を例えば電圧として検出し、検出した電圧信号を制御部50に出力する。制御部50では、入力される電圧信号に応じた日射量が算出される。
【0040】
イグニッションセンサ27は、車両のイグニッションスイッチのオンまたはオフを監視するセンサである。キーがキーシリンダに差し込まれ、キーが回されることによってイグニッションスイッチがオンにされると、イグニッションセンサ27は、オン信号を制御部50に出力する。同様に、イグニッションスイッチがオフにされると、イグニッションセンサ27は、オフ信号を制御部50に出力する。
【0041】
コマンドスイッチ30は、フロントウィンドシールドにおいて、車両前方の景色に画像を重畳表示させるための表示のカスタマイズを行うためのスイッチであり、例えばステアリングに備えられている。そのため、ドライバはステアリングを握ったまま、コマンドスイッチ30の操作を行うことができるようになっている。このコマンドスイッチ30では、例えば、車両のフロントウィンドシールドに表示される画像の表示コンテンツの選択、画面表示位置の調整、画像の重畳表示または非表示の選択がなされる。
【0042】
データベース40は、データを記憶する周知の記憶媒体である。この記憶媒体としては、そのデータ量からCD−R、DVD−ROMやハードディスク等の大容量記憶装置を用いることが一般的である。本実施形態では、このデータベース40には、自車の情報(車幅等)や地図情報が記憶されている。これらの情報は、データベース40から制御部50に出力される。なお、道路状況取得部10およびデータベース40は、本発明の道路状況取得部に相当する。
【0043】
制御部50は、車両のフロントウィンドシールドにおいて車両前方の景色に画像を重畳表示させるための処理を行うものであり、入力ポート51と、メモリ52と、CPU53と、表示コントローラ54と、描画メモリ55と、出力ポート56と、を備えて構成されている。このような制御部50は、すなわち、周知のECUである。
【0044】
入力ポート51は、道路状況取得部10、車両情報取得部20、コマンドスイッチ30、そしてデータベース40からそれぞれ出力される信号を入力する、いわゆるインターフェースである。入力ポート51に入力される信号は、メモリ52とCPU53とに出力される。
【0045】
メモリ52は、入力される信号を一時的に記憶しておく記憶媒体であり、例えばRAMで構成される。このメモリ52には、入力ポート51から入力される道路状況取得部10、車両情報取得部20、データベース40の各信号やデータがドライバの運転履歴として保存される。なお、メモリ52では、その記憶容量に応じて、以前に記憶した情報を新しい情報に書き替えていく。
【0046】
ここで、ドライバの運転履歴について説明する。車両を走行させる際、ドライバによって運転の癖がある。この運転の癖とは、例えばカーブを膨らんで曲がること、車両をセンターラインに寄せること、ステアリングの操作、アクセルを踏む量等である。これらドライバの運転の癖は、上記の車両情報取得部20にて検出された各センサの値を、GPSアンテナ11およびデータベース40からメモリ52に入力される地図情報に照らし合わせて保存しておく。
【0047】
CPU53は、上記道路状況取得部10、車両情報取得部20にて検出された信号に基づき、後述する重畳表示部60にて車両前方の景色に画像を重畳表示するための重畳表示処理を実行するものである。この処理は、CPU53に記憶された重畳表示プログラムに従って実行される。CPU53は、上記処理を実行するため、車両情報取得部20から入力される信号をそれぞれのセンサに応じた物理量に変換する機能を有する。また、CPU53が実行する重畳表示処理については、後でフローチャートを参照して詳しく説明する。CPU53は、重畳表示処理の結果、すなわち重畳表示を行うか行わないかを示す信号を表示コントローラ54に出力する。
【0048】
表示コントローラ54は、重畳表示部60にて画像表示する画像描画機能を有するものである。この表示コントローラ54は、例えばゲートアレーを備えた画像描画のための専用ICを備えている。
【0049】
このような表示コントローラ54においては、上記CPU53から重畳表示を行う信号を入力すると、後述する描画メモリ55から画像データを読み出し、この画像データに基づき、フロントウィンドシールドにおいて車両前方の景色に重畳表示する画像を作成する。そして、表示コントローラ54は作成した画像を出力ポート56に出力する。
【0050】
描画メモリ55は、データを記憶する記憶媒体であり、例えば不揮発性メモリにより構成される。この描画メモリ55には、車両前方の景色に重畳表示する画像の画像データが記憶されている。この画像とは、例えば、壁、ガードレール、センターポール、白線等のドライバに対して圧迫感を与える疑似画像である。これらの各パーツは、短い区間のみが描かれたものとなっており、短い区間の画像がつなぎ合わされることで、道路に沿って配置されているものであると認識されるようになっている。また、このように短い区間のみが描かれたものになっていることで、様々な道路形状に合わせて表示することが可能となる。このような画像データは表示コントローラ54のリクエストに応じて描画メモリ55から出力される。
【0051】
出力ポート56は、表示コントローラ54にて作成された画像を重畳表示部60に出力するインターフェースである。
【0052】
重畳表示部60は、車両のヘッドアップディスプレイに画像を表示するものである。本実施形態では、この重畳表示部60は、ヘッドアップディスプレイに三次元立体画像を表示するものである。図2は、重畳表示部60の概略図である。図2に示されるように、重畳表示部60は、右眼用表示器61と、左眼用表示器62と、第1ミラー63と、第2ミラー64と、を備えて構成されている。
【0053】
右眼用および左眼用表示器61、62は、右眼用および左眼用の各画像を表示するものであり、例えばプロジェクタが採用される。右眼用表示器61、62から出力される各画像光は、第1ミラー63に照射される。なお、本実施形態では、それぞれ別々の右眼用および左眼用表示器61、62を用いているが、右眼用および左眼用画像の両方を表示できる1つの画像表示器を用いてもよい。
【0054】
第1ミラー63は、画像の歪みを防止するミラーであり、右眼用および左眼用表示器61、62から照射される各画像光を第2ミラー64に導くものである。また、第2ミラー64は、第1ミラー63から導かれる各画像光を反射し、それら画像光をインストルメントパネル上部に設けられた開口部から射出してフロントウィンドシールドWSに導くものである。
【0055】
上記右眼用および左眼用表示器61、62、第1および第2ミラー63、64は、インストルメントパネル内に収納されている。なお、重畳表示部60は、本発明の表示部に相当する。
【0056】
このような重畳表示部60においては、まず、右眼用および左眼用表示器61、62から右眼用および左眼用画像の画像光がそれぞれ出力される。それら画像は第1ミラー63に投影され、第2ミラー64に導かれる。そして、この第2ミラー64にて画像が結像される。そして、第2ミラー64を反射した各画像光は、フロントウィンドシールドWSに照射されると共に反射して、ドライバの両眼に入る。
【0057】
具体的には、第2ミラー64にて結像された各画像は、フロントウィンドシールドWSの内表面上にて反射され、右眼用画像がドライバの右眼、左眼用画像がドライバの左眼に入る。このため、ドライバには、フロントウィンドシールドWSの外側の図2に示す結像位置に、各画像の虚像が形成されたように見える。そして、結像位置における各画像の視差により、ドライバは図2に示す視認位置に立体画像を視認する。
【0058】
したがって、ドライバは視認領域に奥行きを感じた立体画像を認識することができる。このようにして、右眼用および左眼用画像の視差を利用することにより、ドライバはヘッドアップディスプレイに映し出された画像を立体的に視認することができるようになっている。
【0059】
以上が、本発明に係る車両用表示装置の構成である。
【0060】
次に、車両用表示装置が行う重畳表示処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。この処理は、車両用表示装置によって実行され、制御部50のCPU53に記録されているプログラム、すなわち、重畳表示プログラムにより実行されるものである。また、この重畳表示プログラムは、制御部50に電源が供給されると開始される。なお、本実施形態では、重畳表示を行うことがコマンドスイッチ30にて選択されているとする。
【0061】
図3に示されるフローチャートがスタートすると、ステップ100では、イグニッションスイッチがオンになっているか否かが判定される。具体的には、イグニッションセンサ27にてイグニッションスイッチのオン状態が検出され、そのオン信号が制御部50に入力されるとイグニッションスイッチがオンになっていると判定され、ステップ110に進む。一方、イグニッションスイッチがオフであると判定されるとステップ100に戻り、再びイグニッションスイッチがオンにされたか否かが判定される。
【0062】
ステップ110では、車両情報取得がなされる。具体的には、道路状況取得部10、車両情報取得部20のセンサ群21〜26の各信号が制御部50にそれぞれ入力される。さらに、データベース40の地図情報や自車の情報、ドライバがコマンドスイッチ30を操作することによって設定された設定項目が制御部50に入力される。
【0063】
ステップ120では、車両の位置および向きが算出される。車両の位置は、GPSセンサ11から入力される側位信号、およびデータベース40から入力される地図情報に基づいて算出される。また、車両の向きは、車速センサ24から入力されるパルス信号および方位センサ25から入力される方位信号に基づき算出される。
【0064】
本ステップでは、上記ステップ110から入力される各信号に基づき、スロットルセンサ21から入力されるスロットル信号からスロットルバルブの開度、ブレーキ油圧センサ22から入力される電気信号からブレーキ油圧、ステアリングセンサ23から入力される操舵角信号からステアリング操舵角、日射センサ26から入力される電圧信号から日射量もそれぞれ算出される。
【0065】
ステップ130では、路面に対する安全な走行速度および予測走行速度が算出される。まず、路面に対する安全な走行速度および予測走行速度について説明する。路面に対する安全な走行速度とは、車両が現在走行している道路において、その道路形状から車両が安全に走行できると推定される車速のことである。また、予測走行速度とは、現在走行している車両の状態(車速、車両の向き等)および車両がこの先走行する道路形状から、この先の道路を走行すると推定される車速のことである。
【0066】
本ステップにおいて、路面に対する安全な走行速度は、データベース40から入力される地図情報に基づき算出される。すなわち、現在車両が走行している道路形状から、車両が安全に走行できる速度が算出される。
【0067】
また、予測走行速度は、データベース40から入力される地図情報およびステップ120にて算出された車両情報に基づき算出される。具体的には、ドライバが車両のスピードを上げようとしているのか(スロットルバルブの開度)、スピードを落とそうとしているのか(ブレーキ油圧)、ステアリングを切っているか(ステアリング操舵角)等の現在の車両の状態から、この先の道路形状に応じた車両の速度を予測する。このとき、メモリ52に記憶されているドライバの運転履歴も用いる。このように、現在の車両の状態、ドライバの運転操作の傾向、そして走行するであろう道路形状に基づき、予測走行速度が算出される。この予測走行速度は、データベース40から入力される地図情報において、車両が通行する道路の各地点(例えば5m間隔)で算出される。
【0068】
ステップ140では、減速促進表示を行うか否かが判定される。すなわち、ステップ130にて算出された路面に対する安全な走行速度と予測走行速度とが比較される。そして、路面に対する安全な走行速度が予測走行速度よりも速い場合、車両はこの先も安全な走行速度で運行すると推定されると共に減速促進表示を行う必要はないと判定され、ステップ170に進む。
【0069】
一方、路面に対する安全な走行速度が予測走行速度よりも遅い場合、すなわち、車両が走行するであろう道路において、車両が安全な走行速度よりも速い予測走行速度にて走行すると推定される。このような場合、車両のスピードの出し過ぎになっていると共に減速促進表示を行う必要があると判定され、ステップ150に進む。
【0070】
ステップ150では、表示内容および表示位置が決定される。具体的には、制御部50において、重畳表示を行う指示がCPU53から表示コントローラ54に出力される。そして、表示コントローラ54は、描画メモリ55から画像データを読み出して、コマンドスイッチ30にて設定された設定項目、すなわち表示内容および表示位置、そして自車の車幅に基づき、減速促進画像を作成する。
【0071】
具体的に、減速促進画像は以下のように作成される。まず、減速促進表示をどのようなものにするか表示内容を決定する。本実施形態では、表示内容として壁を表示するものとする。なお、この表示内容については、ドライバがコマンドスイッチ30にて選択した項目に基づいている。また、ステップ120で算出された日射量に基づいて、表示輝度を変化させると共に、虚像である減速促進画像が前景に溶け込むように色や大きさ等を変化させる処理がなされる。この後、自車の車幅に応じて、作成された減速促進画像の表示位置が調整される。すなわち、車両の走行速度の上昇に伴ってドライバに圧迫感を与えるように表示位置が調整される。
【0072】
ステップ160では、ステップ150にて作成された減速促進画像が表示される。まず、ステップ150にて作成された減速促進画像のデータが出力ポート56を介して重畳表示部60に出力される。そして、上述のように、重畳表示部60の右眼用および左眼用表示器61、62からそれぞれ画像光が射出される。こうして射出された画像光はそれぞれ第1および第2ミラー63、64、およびフロントウィンドシールドWSを介してドライバの両眼に入射される。この減速促進画像は、予測走行速度が安全走行速度を超える地点から表示される。
【0073】
図4は、フロントウィンドシールドWSに表示される減速促進画像の一例を示した図である。図4に示されるように、車両の減速を促す画像、すなわち壁(プレッシャーウォール)PWが道路の左端に表示される。この壁PWは、道路の左端に実際に壁が存在していたとしても、その壁の内側、すなわち道路側に表示されるようになっている。また、図4に示されるように、壁PWは、車両が右カーブを曲がっているときには、車両進行方向に対して左側に表示される。これにより、ドライバは、カーブを曲がっている最中に、壁PWの圧迫感を感じ、自然に車両の速度を減速することとなる。同様に、車両が左カーブを曲がるときには、壁PWは車両進行方向に対して右側に表示される。
【0074】
なお、上記壁PWは道路の端に表示されるが、道路の端とは、車両通行帯がある車道でいうと車両通行帯最外側線上およびその内外の領域であり、車両通行帯のない車道では道路の境界線付近を指す。
【0075】
ステップ170では、イグニッションスイッチがオフであるか否かが判定される。具体的には、イグニッションセンサ27にてイグニッションスイッチのオフ状態が検出され、そのオフ状態に応じたオフ信号が制御部50に入力される。これにより、イグニッションスイッチがオフになっていると判定され、本フローチャートは終了する。一方、イグニッションスイッチがオンであると判定されるとステップ110に戻り、再び道路状況および車両情報が取得される。
【0076】
以上、説明したように、本実施形態では、自車がスピードの出し過ぎである場合、自車が走行している道路や自車の状態(例えば、スロットル開度、ブレーキ油圧、ステアリング操舵角)に基づき、ヘッドアップディスプレイにおいて自車に減速を促す減速促進画像を道路に重畳表示している。これにより、ドライバに対して減速促進画像に注意を促すことができ、慎重に運転させることができる。したがって、自然に減速させることができる。
【0077】
また、減速促進画像が自車の前方道路に一体になって表示されるため、ドライバは実際の前景を視認するときと同じ感覚で減速促進画像を自然に受け入れることができる。言い換えると、ドライバに減速促進画像が表示されたことを気づかせないようにすることができる。このような表示は、どんな道路形状であっても行うことができる。
【0078】
本実施形態では、安全走行速度および予測走行速度を算出すると共に比較している。そして、予測走行速度が安全走行速度よりも速い場合、自車がスピードを出し過ぎていると判定する。これにより、ヘッドアップディスプレイに表示する減速促進画像を作成するか否かを判定できる。したがって、車両が危険なスピードになった時には、車両前方の道路に減速促進画像を重畳表示することができる。
【0079】
また、ヘッドアップディスプレイには、立体画像としての減速促進画像を表示している。これにより、ドライバに対して減速促進画像に奥行きを感じさせることができ、減速促進画像を自車前方の道路に溶け込ませて表示することができる。したがって、道路形状に応じた減速促進画像を表示することができる。
【0080】
このような立体画像として、図4に示される壁PWを採用できる。このような減速促進画像を用いることにより、ドライバに対して圧迫感を与えることができる。したがって、ドライバに慎重な運転を促すことができ、自然に減速させることができる。
【0081】
本実施形態では、予測走行速度が安全走行速度を超える地点から減速促進画像を表示している。これにより、あらかじめ減速促進画像を前景に溶け込ませて表示することができるので、ドライバに減速促進画像が表示されたことによる驚きを生じさせないようにすることができる。
【0082】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、道路形状に合わせて壁PWを表示していたが、表示する内容(減速を促進する画像)はこの壁PWに限るものではない。以下に、表示例を示す。
【0083】
図5は、センターライン上にセンターポールを重畳表示させた例を示した図である。図5に示されるように、センターライン上に複数のセンターポールCPを重畳表示する。これにより、ドライバは、車両前方に現れるセンターポールCPに注意を促すようになり、自然に減速するようになる。
【0084】
図6は、道路の端にガードレールを重畳表示させた例を示した図である。この図に示されるように、車両走行中に道路の端にガードレールGRが表示されるとなると、ドライバは道路端から圧迫感を感じ、スピードを出しすぎないように注意する。これにより、車両は自然に減速していく。
【0085】
図7は、センターラインの隣に白線を重畳表示させた例を示した図である。図7に示されるように、センターラインの隣に白線WLを重畳表示し、センターラインを二重白線とすることで、ドライバに減速を促す。図7に示されるように、道路にセンターラインがある場合には白線WLをセンターラインの内側に表示することができる。一方、センターラインが無い場合には、虚像として新たに道路中央に白線WLを表示しても良い。また、車両通行帯のある道路の場合は、自車から見て左側の車両通行帯外側線の内側に白線WLを表示してもよい。一方、車両通行帯の無い場合は、道路の境界線の内側に白線WLを表示することもできる。このような、道路状況に合わせた白線WLの表示により、ドライバに圧迫感を与えることができる。
【0086】
また、図8は、道路の両端に岸を重畳表示させた例を示した図である。図8に示されるように、道路の両端に岸SHを重畳表示し、車両が岸SHと岸SHとの間を走行するようにすることで、ドライバに圧迫感を与えると共に減速を促す。
【0087】
以上のように、様々な画像を重畳表示することができ、ドライバに減速を促すようにしている。なお、図4〜図8に示される各画像は、その画像のみの表示に限らず、例えば図5のセンターポールCPと図6のガードレールGRを同時に表示することも可能である。また、道路の片側のみの表示に限らず、道路の両側に表示することもできる。このような表示方法においては、ドライバがコマンドスイッチ30を操作することにより自由に設定できる。また、スピードの出し過ぎに応じ、圧迫感を増加させるために、減速促進画像の表示位置を自車に近づけるように制御しても良い。
【0088】
なお、減速促進画像は、図4〜図8に示されるもの以外のものでも構わない。すなわち、ドライバに圧迫感を与える画像であれば良い。例えば、トンネル、物体(障害物)などでも良い。一方、静止物体ではなく、例えば疑似車両が自車の前をあたかも走行しているかのような動画を表示しても良い。
【0089】
第1実施形態では、GPSアンテナ11およびデータベース40の地図情報に基づき、車両が現在走行している道路の形状を得ていた。しかしながら、車両前方の景色を撮影する前方監視カメラにて道路形状を取得するようにしても良い。このような前方監視カメラとして、例えばCCDを採用できる。
【0090】
つまり、前方監視カメラを道路状況取得部10に備える。前方監視カメラにて撮影された画像が制御部50に出力される。そして、制御部50のCPU53にて画像から道路形状が取得される。こうして取得された道路形状が第1実施形態と同様に用いられることとなる。また、時間差のある画像から画像中に存在する動きベクトルを算出する、いわゆるオプティカルフローによって、車速を算出することもできる。
【0091】
また、上記前方監視カメラの他に、道路形状を取得する手段として、道路状況取得部10に通信アンテナを備えるようにしても良い。この通信アンテナは、車両の所定場所に設置されると共に、道路の端に所定間隔に配置された発信器から発信される信号を受信するものである。発信器は、道路の道路形状および発信器の位置情報を所定時間ごとに発信するものである。つまり、受信アンテナにて発信器からの信号を受信することにより、制御部50がその信号に基づき道路形状を取得する。このようにして、道路形状を取得するようにしても良い。
【0092】
第1実施形態では、減速促進画像の表示位置をコマンドスイッチ30にて調整するようにしているが、減速促進画像の位置調整方法はこれに限るものではない。例えば、インストルメントパネルに眼球位置検出部を設置してドライバの眼球位置を検出し、このドライバの眼球位置に基づき、減速促進画像の表示位置を調整するようにしても良い。
【0093】
このような眼球位置検出部は、赤外線投光ライトと、眼球撮影カメラと、を備えて構成されている。赤外線投光ライトおよび眼球撮影カメラは、インストルメントパネルの計器類の近傍に設置され、ドライバの頭部方向に向けられている。
【0094】
赤外線投光ライトは、ドライバの顔に、常に赤外光を照射するものである。赤外光を用いるのは、人間の眼が赤外光をよく反射するためである。また、眼球撮影カメラは、赤外線投光ライトの赤外光を反射した眼球を撮影し、その画像を制御部50に出力するものである。
【0095】
制御部50では、眼球撮影カメラから入力される画像に基づきドライバの眼球位置が検出される。こうして得られたドライバの眼球位置が、減速促進画像の表示位置調整のために用いられることとなる。このように、ドライバの眼球位置を検出することにより、ドライバがコマンドスイッチ30を操作して、画像の表示位置を調整する必要がなくなる。
【0096】
上記第1実施形態では、コマンドスイッチ30は、ステアリングに設置されているが、ドライバの手が届く範囲に配置されれば、車室内のどの位置にあっても良い。したがって、コマンドスイッチ30は、例えばインストルメントパネルに配置されても構わない。また、コマンドスイッチ30に替えて、重畳表示の設定を音声入力により行うようにしても良い。この場合、例えばインストルメントパネルにマイクを設置し、このマイクから設定項目を音声により入力する。そして、この音声を例えば音声解析ECUにて解析し、解析した結果(設定項目)を制御部50に出力するようにしても良い。
【0097】
第1実施形態では、データベース40にDVD−ROM等を用いるようにしているが、データの書き換え、持ち運びが可能なメモリカード等を用いても良い。
【0098】
第1実施形態では、重畳表示部60において、フロントウィンドシールドWSに立体画像を表示しているが、画像表示方法はこれに限るものではない。すなわち、ヘッドアップディスプレイに二次元画像を表示するようにしても良い。
【0099】
第1実施形態では、予測走行速度が安全走行速度を超える場合、減速促進画像を表示しているが、減速促進画像を表示するタイミングはこれに限るものではない。例えば、自車の速度が、安全走行速度を超える場合に減速促進画像を表示するようにしても良い。
【0100】
第1実施形態において図3に示されるフローチャートは実施の一例を示すものであって、これに限るものではない。
【0101】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用表示装置のブロック構成図である。
【図2】図1に示す重畳表示部の概略図である。
【図3】図1に示す制御部が実行する重畳表示プログラムの内容を表すフローチャートである。
【図4】フロントウィンドシールドに表示される減速促進画像の一例を示した図である。
【図5】センターライン上にセンターポールを重畳表示させた例を示した図である。
【図6】道路の端にガードレールを重畳表示させた例を示した図である。
【図7】センターラインの隣に白線を重畳表示させた例を示した図である。
【図8】道路の両端に岸を重畳表示させた例を示した図である。
【符号の説明】
【0103】
10…道路状況取得部、11…GPSアンテナ、20…車両情報取得部、
21…スロットルセンサ、22…ブレーキ油圧センサ、23…ステアリングセンサ、
24…車速センサ、25…方位センサ、26…日射センサ、
27…イグニッションセンサ、30…コマンドスイッチ、40…データベース、
50…制御部、51…入力ポート、52…メモリ、53…CPU、
54…表示コントローラ、55…描画メモリ、56…出力ポート、
60…重畳表示部、61…右眼用表示器、62…左眼用表示器、63…第1ミラー、
64…第2ミラー、WS…フロントウィンドシールド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を内蔵し、前記地図情報の中から自車が走行している道路の道路形状を出力する道路状況取得部(10、40)と、
走行している前記自車の状態に応じた信号を出力する車両情報取得部(20)と、
前記道路形状と前記自車の状態に応じた信号とに基づいて前記自車のスピードの出し過ぎを判定すると共に、前記道路形状に沿って表示される減速促進画像を作成する制御部(50)と、
前記減速促進画像の画像データを入力すると共に、フロントウィンドシールド(WS)のヘッドアップディスプレイにおいて、前記減速促進画像を前記自車の前方の道路に沿わせて重畳表示する表示部(60)と、を有することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記地図情報に基づき、前記自車が安全に走行できる走行速度を安全走行速度として算出すると共に、前記地図情報および前記自車の状態に基づき、前記自車が走行するであろう道路における走行速度を予測走行速度として算出し、前記予測走行速度が前記安全走行速度よりも速い場合、前記自車がスピードの出し過ぎになると判定すると共に、前記減速促進画像を作成するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、画像表示を行う右眼用表示器(61)および左眼用表示器(62)を有し、前記制御部から出力された前記減速促進画像を、前記右眼用表示器および前記左眼用表示器から出力させて、前記ヘッドアップディスプレイに立体画像を表示するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記減速促進画像は、少なくとも壁(PW、SH)、センターポール(CP)、ガードレール(GR)、白線(WL)のいずれか1つを含んでいることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記白線は、前記道路の内側に表示されるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
自車のスピードの出し過ぎに応じて減速を促す画像をフロントウィンドシールド(WS)に設けられたヘッドアップディスプレイに表示する車両用表示装置の表示方法であって、
前記自車が走行している道路の道路形状および前記自車の状態を取得する手段(110、120)にて前記道路形状および前記自車の状態を取得するステップと、
前記自車が走行している道路の道路形状に基づき、前記自車が安全に走行できる走行速度を安全走行速度として算出すると共に、前記道路形状および前記自車の状態に基づき、前記自車が走行するであろう道路における走行速度を予測走行速度として算出する手段(130)にて前記安全走行速度および前記予測走行速度を取得するステップと、
前記予測走行速度が前記安全走行速度よりも速い場合、前記道路形状に沿って表示される減速促進画像を作成すると共に、前記ヘッドアップディスプレイにおいて前記自車の前方の道路に沿わせて前記減速促進画像を重畳表示する手段(140〜160)にて前記減速促進画像を表示するステップと、を有することを特徴とする車両用表示装置の表示方法。
【請求項7】
前記重畳表示させる手段により、前記予測走行速度が前記安全走行速度を超えた地点から前記減速促進画像を表示することを特徴とする請求項6に記載の車両用表示装置の表示方法。
【請求項8】
前記重畳表示させる手段により、前記減速促進画像を立体画像として前記ヘッドアップディスプレイに表示することを特徴とする請求項6または7に記載の車両用表示装置の表示方法。
【請求項9】
前記重畳表示させる手段により、前記減速促進画像として、少なくとも壁(PW、SH)、センターポール(CP)、ガードレール(GR)、白線(WL)のうちいずれか1つを作成することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1つに記載の車両用表示装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−31618(P2006−31618A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213179(P2004−213179)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】