説明

車両用表示装置

【課題】 表示の無駄をなくし、消費電力の削減や運転者への表示の視認性を向上させることができる車両用表示装置を提供すること。
【解決手段】 運転席側へ見せる表示部分6bと、助手席側へ見せる表示部分6aを、1つのLCD21でインターレースにより行い、視差バリア22により視界を分けてデュアルビューで表示させる車両用表示装置において、助手席の乗員の有無を検知する乗員検知センサ5と、助手席の乗員がいない場合に、前記第2表示をオフにする制御部1を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席側から見た表示像と助手席側から見た表示像とが異なる画像、または、映像であるデュアルビューを表示する車両用表示装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、第1の方向に沿った第1の画像を表示し、第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の画像を表示するものであり、ディスプレイは、第1の画像の角度範囲が第2の画像の角度範囲と異なるように、第1の画像及び第2の画像を表示するように適合し、運転席側からナビゲーションを、助手席からTV、DVD等の映像を見るようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−78076号公報(第2−26頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、助手席に人が乗車していない場合でも、助手席から見える表示を行ってしまい、無駄であった。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、表示の無駄をなくし、消費電力の削減や運転者への表示の視認性を向上させることができる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、運転席側へ見せる第1の表示と、助手席側へ見せる第2の表示を、1つの表示画面で行うデュアルビューで表示させる車両用表示装置において、助手席の乗員の有無を検知する乗員検知手段と、助手席の乗員がいない場合に、前記第2表示をオフにする制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、表示の無駄をなくし、消費電力の削減や運転者への表示の視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の車両用表示装置を実現する実施の形態を、請求項1に係る発明に対応する実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両用表示装置の主要な構成を示すブロック図である。
実施例1の車両用表示装置は、制御部1とデュアルディスプレイ2、乗員検知センサ5を主要な構成とし、車両に設けられたナビゲーション装置3及びメディア再生装置4と接続されている。
【0009】
制御部1は、マイコンを有する制御回路であり、図示しないが、CPUやRAM、ROM等を備え、また、表示のための画像データを一時的に記憶するVRAM11を備えている。そして、制御部1は、ナビゲーション装置3及びメディア再生装置4、乗員検知センサ5からの入力処理と、画像処理、デュアルディスプレイ2への出力と制御処理を行う。
【0010】
デュアルディスプレイ2は、LCD21、バックライト211、視差バリア22からなり、運転席側へと助手席側への異なる内容の同時表示を行う。
LCD21は、液晶表示部であり、制御部1のVRAM11の画像データを表示する。
バックライト211は、LCD21へ背面から光を照射して、表示に輝度を与えるものである。
【0011】
視差バリア22は、後述するように、運転席側からの見る表示と助手席側から見る視界を分けるものであり、その機能については後述する。
視差バリア22は、光学的に視界を分けるものであっても、機械的に視界を分けるものであってもよい。
【0012】
ナビゲーション装置3は、内蔵する地図データと、GPS等により検知する車両の位置から地図上の車両位置の表示や、目的地への案内を行うものである。また、ナビゲーション装置3の表示画像は、制御部1を介してデュアルディスプレイ2へ出力される。
メディア再生装置4は、DVDなど映像等が記憶されたメディアを再生する装置であり、その再生した映像は、制御部1を介してデュアルディスプレイ2へ出力される。
【0013】
乗員検知センサ5は、助手席の乗員の有無を検出し、検出結果を制御部1へ
出力する。
乗員検知センサ5としては、助手席への乗員の荷重や圧力を検出するものや、熱、画像などから検出するものがある。
【0014】
次に作用を説明する。
[デュアルディスプレイの作用]
実施例1の車両用表示装置におけるデュアルディスプレイにおける表示作用について概略を説明しておく。
図2は、実施例1の車両用表示装置の表示状態を示す説明図である。
実施例1の車両用表示装置において、LCD21には、インターレース方式により、運転席側への表示部分21bと助手席側への表示部分21aとを交互に分割して画像表示する。つまり、多数の表示部分21bを合わせるとナビゲーションの画像となり、多数の表示部分21aを合わせるとDVD等の再生映像となる。
【0015】
このLCD21からわずかに間隙を持たせて視差バリア22を配置すると、視差バリア22の視界を開いた部分から、図2に示すように正面の大きい角度6aは、助手席用の視界となり、図2に示すように運転席からの視界は小さい角度6bで得られるものとなる。
【0016】
このように視差バリア22により、運転席側からは、視界6bで見えるLCD21のインターレースの表示部分が多数並ぶことによりナビゲーションの表示を得ることになる。
また、助手席側からは、視界6aで見えるLCD21のインターレースの表示部分が多数並ぶことによりDVDなどの映像の表示を得ることになる。
また、この際に音声は、ナビゲーションは必要に応じた際のみとし、DVD映像は常時とすればよい。
【0017】
[乗員検知処理]
図3に示すのは、実施例1の車両用表示装置の制御部で実行される乗員検知処理の流れを示すフローチャートであり、以下各ステップについて説明する。
【0018】
ステップS1では、処理を開始する。
【0019】
ステップS2では、乗員検知センサ5の検出結果から、助手席の乗員がないかどうかを判断し、助手席の乗員がないならばステップS3へ進み、助手席の乗員があるならば、ステップS2へ戻る。
【0020】
ステップS3では、助手席から見える表示を消す処理を行い、ステップS2へ戻る。
【0021】
[乗員検知を行い表示をオフにする作用]
実施例1の車両用表示装置では、乗員検知センサ5による助手席の乗員がないと判断した場合(ステップS2)、助手席から見える表示を消すようにする(ステップS3)。つまり、図2で説明したインターレースでの多数の交互の帯状の表示部分21aをオフにするのである。
【0022】
このように助手席の乗員がいない場合に助手席への表示部分をオフにすれば、消費電力の大幅な削減を行うことができ、かつ必要な運転席への表示は続けて行うことができる。
【0023】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用表示装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0024】
(1)運転席側へ見せる表示部分6bと、助手席側へ見せる表示部分6aを、1つのLCD21でインターレースにより行い、視差バリア22により視界を分けてデュアルビューで表示させる車両用表示装置において、助手席の乗員の有無を検知する乗員検知センサ5と、助手席の乗員がいない場合に、前記第2表示をオフにする制御部1を備えたため、表示の無駄をなくし、消費電力の削減ができる。
【0025】
この消費電力の削減は、制御で行うため、ドライバが意識しなくても緒こなれることになり、ドライバの操作負荷を増やすことなくできる点が有利である。
【実施例2】
【0026】
実施例2の車両用表示装置は、助手席への乗員がない場合に、運転席へのナビゲーション表示を行う例である。
【0027】
構成は実施例1と同様であるが、視差バリア22は、図2で説明した視界の制限を解除できる機能を有するものとする。視界の解除は、光学的なものでも機械的なものでもよい。また、視差バリア22をLCD21の表示前方から移動させるものであってもよい。
その他構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0028】
作用を説明する。
[乗員検知処理]
図4に示すのは、実施例2の車両用表示装置の制御部で実行される乗員検知処理の流れを示すフローチャートであり、以下各ステップについて説明する。
【0029】
ステップS4では、処理を開始する。
【0030】
ステップS5では、乗員検知センサ5の検出結果から、助手席の乗員がないかどうかを判断し、助手席の乗員がないならばステップS6へ進み、助手席の乗員があるならば、ステップS5へ戻る。
【0031】
ステップS6では、視差バリア22を無効にする処理を行い、ステップS5へ戻る。
【0032】
[乗員検知で表示を変更する作用]
実施例2の車両用表示装置では、乗員検知センサ5による助手席の乗員がないと判断した場合(ステップS5)、視差バリア22を無効にし、ナビゲーションの表示を行うようにする(ステップS6)。つまり、図2で説明したインターレースでの表示を解除し、LCD21が1面全体(表示部分6a+表示部分6b)で、ナビゲーション装置3の表示を行うようにする。
【0033】
これにより、より大きく、より精密で、より明るい表示を、助手席に乗員がいない場合に行うことができ、ナビゲーション表示の視認性を向上させることができる。
【0034】
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用表示装置にあっては、下記の効果を得ることができる。
【0035】
(2)運転席側へ見せる表示部分6bと、助手席側へ見せる表示部分6aを、1つのLCD21でインターレースにより行い、視差バリア22により視界を分けてデュアルビューで表示させる車両用表示装置において、助手席の乗員の有無を検知する乗員検知センサ5と、助手席の乗員がいない場合に、視差バリア22で視界を分けないようにし、且つ表示画面全体で表示部分6bの表示を行うようにする制御部1を備えたため、運転者のナビゲーションの視認性を向上させることができる。
【0036】
以上、本発明の車両用表示装置を実施例1、実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0037】
例えば、実施例1、実施例2では、インターレース方式による帯状の交互の表示部分と、帯状に透過して見える視差バリアにより構成したが、インターレースでない表示を光学系で視界を分けるものなど、別の構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1の車両用表示装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1の車両用表示装置の表示状態を示す説明図である。
【図3】実施例1の車両用表示装置の制御部で実行される乗員検知処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例2の車両用表示装置の制御部で実行される乗員検知処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 制御部
11 VRAM
2 デュアルディスプレイ
21 LCD
21a (助手席側への)表示部分
21b (運転席側への)表示部分
211 バックライト
22 視差バリア
3 ナビゲーション装置
4 メディア再生装置
5 乗員検知センサ
6a 助手席側視界角度
6b 運転席側視界角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席側へ見せる第1の表示と、助手席側へ見せる第2の表示を、1つの表示画面で行うデュアルビューで表示させる車両用表示装置において、
助手席の乗員の有無を検知する乗員検知手段と、
助手席の乗員がいない場合に、前記第2表示をオフにする制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
運転席側へ見せる第1の表示と、助手席側へ見せる第2の表示を、1つの表示画面で行い、視界バリアで視界を分けて、デュアルビューで表示させる車両用表示装置において、
助手席の乗員の有無を検知する乗員検知手段と、
助手席の乗員がいない場合に、前記視界バリアで視界を分けないようにし、且つ表示画面全体で第1の表示を行うようにする制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−320509(P2007−320509A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155482(P2006−155482)
【出願日】平成18年6月3日(2006.6.3)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】