説明

車両用通信システム及び車載器

【課題】 車両の運転者の情報が他人に対してむやみに知られてしまうことを防止しつつ、他人とのコミュニケーションを深める。
【解決手段】 車載器10と他の車載器10(他車両)との間で行われる通信に基づき、許可条件が満たされたか否かを判定し、許可条件が満たされたと判定された場合に、現在通信中の他車両に対して運転者情報を提供する。このため、車両の運転者の意図に反して、運転者情報が他人に対してむやみに知られてしまうことを防止しつつ、他人とのコミュニケーションを深めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載器同士で通信を行う車両用通信システム、及び外部装置と通信可能な車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用通信システムでは、車両の運転者の個人情報が車載器に記憶されており、車載器(車両)同士で通信(車々間通信)を行うことにより、車両の運転者の個人情報を他の車両の運転者に対して提供している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−207685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、上記車載器と同じ機能を有する車載器を搭載した車両であれば、見知らぬ人に対しても車々間通信が可能となるので、車両の運転者の意図に反して、個人情報が他人(他の車両の運転者)に知られてしまうおそれがある。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、車両の運転者に関する情報が他人(他の車両の運転者)に対してむやみに知られてしまうことを防止しつつ、他人とのコミュニケーションを深めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両に搭載された車載器同士で通信を行う車両用通信システムであって、車載器に設けられ、他の車載器と通信を行う通信手段と、車両の運転者に関する運転者情報が記憶された運転者情報記憶手段と、許可条件判定手段と、運転者情報提供手段とを備える。
【0006】
そして、許可条件判定手段が、通信手段と他の車載器との間で行われる通信に基づき、通信手段が通信を行う他の車載器に対して運転者情報の提供を許可するための許可条件が満たされたか否かを判定し、許可条件判定手段により許可条件が満たされたと判定された場合に、運転者情報提供手段が、通信手段が通信を行う他の車載器に対して、運転者情報記憶手段に記憶された運転者情報を提供する。
【0007】
これにより、請求項1に記載の発明では、誰に対しても運転者情報を提供するのではなく、許可条件が満たされた他の車載器に対して運転者情報を提供するので、車両の運転者の意図に反して、運転者情報が他人に対してむやみに知られてしまうことを防止しつつ、他人とのコミュニケーションを深めることができる。
【0008】
ここで、特許請求の範囲に記載の「運転者情報」としては、車両の運転者の氏名や誕生日等の個人情報、運転者が所有する車両に関する情報(例えば、車種や経路履歴等)、及び運転者が既に知っている情報(例えば、車両が走行したことがある地域の情報)等の情報が考えられる。
【0009】
また、許可条件判定手段は、請求項2に記載のように、通信手段と他の車載器との間で行われる通信が所定回数以上行われた場合に、許可条件が満たされたと判定してもよいし、請求項3に記載のように、通信手段と他の車載器との間で行われる通信に基づいて、車両の運転者に関する運転者情報と、他の車両の運転者に関する運転者情報との間に共通点
があるか否かを判定し、共通点があると判定した場合に、許可条件が満たされたと判定してもよい。
【0010】
また、請求項4に記載の発明では、運転者情報が複数記憶されている場合において、運転者情報記憶手段に記憶されている運転者情報の中から、他の車載器に対して提供可能である運転者情報を設定する設定手段を備えており、さらに、運転者情報提供手段は、運転者情報記憶手段に記憶された運転者情報のうち、設定手段により設定された運転者情報を、他の車載器に提供することを特徴とする。
【0011】
これにより、設定手段により設定された運転者情報だけを、他の車載器に提供するので、運転者情報が他人に対してむやみに知られてしまうことを確実に防止することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明では、運転者情報提供手段が他の車載器に提供する運転者情報に対して、その運転者情報の利用を禁止する時期を表す有効期限を設定する有効期限設定手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
これにより、車両の運転者に関する運転者情報が、他の車両(他の車載器)側で長期間残ってしまうことを防止することができる。
請求項6に記載の発明では、他の車載器の運転者情報提供手段から車載器に提供された運転者情報に対する信頼度を設定する信頼度設定手段と、信頼度設定手段により設定された信頼度を、運転者情報の提供先へ通信手段を介して送信する信頼度送信手段とを備えており、さらに、運転者情報提供手段は、運転者情報と共にその運転者情報に対応する信頼度を提供することを特徴とする。
【0014】
これによれば、運転者情報の提供を受けた人(第3者)がその信頼度を設定するので、運転者情報の信頼性を向上させることができる。
請求項7に記載の発明では、運転者情報を車載器に提供した他の車載器に対して、運転者情報の提供に対する返礼を表す返礼情報を、通信手段を介して送信する返礼送信手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
これによれば、運転者情報の提供先の人(運転者)に対して感謝の意志が伝わるので、その人に対しての心証をよくすることができ、コミュニケーションを更に深めることが期待できる。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、車両に搭載され、前記車両の外部に設置される外部装置と通信を行う車載器であって、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の通信手段、運転者情報記憶手段、許可条件判定手段、及び運転者情報提供手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
これにより、請求項8に記載の車載器では、誰に対しても運転者情報を提供するのではなく、許可条件が満たされた他の車載器に対して運転者情報を提供するので、請求項1で述べた効果と同様に、車両の運転者の意図に反して、運転者情報が他人に対してむやみに知られてしまうことを防止しつつ、他人とのコミュニケーションを深めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.車両用通信システム1の全体構成
図1は、本発明が適用された第1実施形態の車両用通信システム1の構成を表すブロック図であり、本実施形態の車両用通信システム1は、図1に示すように、車両に搭載された車載器10同士で通信を行うためのものである。
【0019】
そして、車載器10は、他の車載器10と通信を行う通信部12、車両の運転者に関する運転者情報が記憶されたHDD14、利用者による遠隔操作に応じて車載器10を起動する遠隔起動部15、各種情報を表示する表示手段としてのLCD(液晶ディスプレイ)16、車両乗員が入力操作を行うための操作部17及び車載器10全体を統括制御する制御部18等を有して構成されている。
【0020】
なお、本実施形態の通信部12は、他の車載器10以外に、コンピュータ(図示省略)や携帯電話機(図示省略)等の外部端装置とも通信可能に構成されている。
2.運転者情報
運転者情報は、図2(a)に示すように、車両関連情報、個人情報、地域情報、サービスポイント情報、特定公開情報、及び重要情報等に分類される。車両関連情報とは、運転者が所有する車両に関する情報のことであり、具体的には、車種、及び車両の経路履歴等である。
【0021】
個人情報とは、運転者の氏名、住所、電話番号、誕生日及びニックネーム等のプロフィール、並びに趣味等の個人的な情報のことである。また、地域情報とは、運転者が車両の運転中に集めた地域の情報のことであり、具体的には、地域に設置される施設(例えばガソリンスタンドやコンビニエンスストア)、地域で開催される行事(イベント)、及び地域の名産品等である。
【0022】
サービスポイント情報とは、店舗やメーカ等にて運転者に発行されたサービスポイント、及び運転者が車両(車載器10)以外の外部端末装置を利用して店舗やメーカ等から集めたサービスポイントのことである。
【0023】
特定公開情報は、他車両に対する質問項目(例えば、「音楽」や「抜け道」等の検索ワード)、車両の運転者が他車両の運転者に対して告知(主張)するための告知項目、及び車両の運転者が他車両の運転者を募集するための募集項目等からなる情報である。なお、告知項目としては、例えば、運転者が好んで聞いている音楽の曲名や趣味等が挙げられる。
【0024】
そして、本実施形態の特定公開情報は、質問項目を複数(例えば、2〜3個)掛け合わせることで、運転者の希望に合う他車両を見つける(検索)するために利用される。
重要情報とは、車載器10のパスワード等の運転者にとって重要性の高い情報のことであり、この重要情報は、他車両の運転者への公開(提供)が禁止されている。
【0025】
そして、車両関連情報、個人情報、地域情報、及びサービス情報は、各ジャンル毎に分類されており、分類された各情報には、車両と他車両との間で通信が行われる際に、その情報を他車両に対して公開(提供)するか否かを決定するための公開レベルが各々設定されている。
【0026】
公開レベルは、例えば図2(b)に示すように、例えば音楽(趣味)のジャンルでは、運転者が好んで聞いている音楽の曲名が公開レベル「1」に設定され、再生回数の多い音
楽の曲名、又は、運転者が推薦する音楽の曲名が公開レベル「2」に設定され、運転者が所有する音楽の曲名リストが公開レベル「3」に設定されている。なお、本実施形態では、公開レベルが高いほど、重要性が高いことを表している。
【0027】
また、車両関連情報のジャンルでは、車種及び車両のナンバーが公開レベル「1」に設定され、運転者がよく利用する経路が公開レベル「2」に設定され、運転者の通勤経路や抜け道等が公開レベル「3」に設定されている。
【0028】
また、プロフィールのジャンルでは、ニックネームが公開レベル「1」に設定され、運転者の氏名が公開レベル「2」に設定され、誕生日及び電話番号が公開レベル「3」に設定されている。
【0029】
そして、公開レベルは利用者により設定されるものであるが、このとき、公開レベルが、運転者情報のジャンルと、運転者情報の提供先(他の車載器10)とに基づいて設定可能となるように、運転者情報のジャンル毎の公開レベルが、運転者情報の提供先毎に個別に設定可能な構成となっている。
【0030】
3.車両用通信システム1の作動
3.1.車両用通信システム1の概略作動
本実施形態の車両用通信システム1では、運転者やディーラ等の利用者が車載器10を操作することにより、他車両の車載器10に対して運転者情報の公開(提供)を許可するか否かを決定するための許可条件等が設定される。
【0031】
そして、車両のエンジンが始動すると、車載器10(通信部12)と他車両(他の車載器10)との間で通信が行われ、この通信に基づき、許可条件が満たされたか否かを判定し、許可条件が満たされたと判定された場合に、現在通信中の他車両に対して、その他車両用の公開レベルに対応する運転者情報を提供(公開)する。
【0032】
ここで、本実施形態では、車両と他車両との遭遇回数(車載器10と他の車載器10との間で行われる通信回数)と、車両の運転者の趣味(例えば音楽)とが許可条件として設定され、車両と他車両との遭遇回数が運転者による設定回数以上で、かつ、趣味が一致した場合(車両の運転者と他車両の運転者との間に共通点があった場合)に、許可条件が満たされる。また、本実施形態では、対向車線を走行する車両や後続車両等の他車両と、自車両との間で通信可能となるように、通信範囲(例えば100m)が設定されている。
【0033】
3.2.設定処理
図3は、車載器10の制御部18にて実行される設定処理を示すフローチャートであり、この設定処理は、操作部17が利用者により操作されて車載器10の設定を行うための設定指令が入力されたときに実行される。
【0034】
そして、図3に示す設定処理が開始されると、まず設定用の入力画面がLCD16に表示される(S110)。ここで、本実施形態のS110で表示される入力画面は、運転者及び車両のID(識別番号)、運転者情報の公開レベル、遭遇回数及び趣味の許可条件、並びに他の車載器10に提供される運転者情報に対してその運転者情報の利用を禁止する時期を表す有効期限等を入力(登録)するための画面である。
【0035】
そして、S110の処理にて設定用の入力画面が表示された後、設定の終了操作が行われたか否かが判定され(S120)、このS120の処理は、設定の終了操作が行われたと判定されるまでの間、繰り返し実行される。
【0036】
そして、S120の処理にて設定の終了操作が行われたと判定されると(S120:YES)、入力画面に入力された入力結果(運転者及び車両のID、公開レベル、許可条件並びに有効期限)がHDD14に記憶され(S130)、設定処理が終了する。
【0037】
なお、本実施形態の車載器10(HDD14)には、他の車載器10(他車両)のIDが記憶されており、その他車両のID毎に設定することにより、各車両(車載器10)毎、個別に公開レベルや許可条件が設定される。
【0038】
3.3.通信処理
図4は、車載器10の制御部18にて実行される通信処理を示すフローチャートであり、この通信処理は車両のエンジンが始動したときに実行される。そして、図4に示す通信処理が実行されると、まず車載器10と通信可能な他の車載器10が検出されたか否かが判定され(S210)、このS210の処理は、通信可能な他の車載器10が検出されたと判定されるまでの間、繰り返し実行される。
【0039】
なお、以下の説明では、図4の通信処理の説明対象としている車載器10と、この車載器10と通信可能な他の車載器10との区別をわかりやすくするために、通信処理の説明の対象としている車載器10を「自車載器10A」といい、自車載器10Aと通信可能な他の車載器10のことを「他車載器10B」という。
【0040】
そして、他車載器10Bが検出されたと判定されると(S210:YES)、自車載器10Aと他車載器10Bとの間で、車両ID及び特定公開情報の交換が行われ(S220)、S210で検出された他車載器10B(他車両)と自車載器10A(自車両)との遭遇回数がカウントアップされる(S230)。
【0041】
そして、S230の処理にて遭遇回数がカウントアップされると、上述したように、この遭遇回数と特定公開情報とに基づいて、許可条件が満たされたか否かが判定される(S240)。
【0042】
つまり、S240の処理では、自車載器10Aと他車載器10Bとの遭遇回数が、設定処理にて設定された設定回数以上で、かつ、他車載器10Bから取得した特定公開情報の中に、設定処理にて設定された趣味が含まれていた場合に、許可条件が満たされたと判定する。
【0043】
そして、S240の処理にて、許可条件が満たされていないと判定された場合には(S240:NO)、その旨が他車載器10Bに通知され、処理がS210に戻り、他車載器10Bが検出されたか否かが判定される。
【0044】
一方、許可条件が満たされたと判定された場合には(S240:YES)、他車載器10Bから取得した特定公開情報に対応するジャンルの情報のうち、他車載器10Bに対応する公開レベルの運転者情報がHDD14から抽出される(S250)。
【0045】
例えば、他車載器10Bから取得された特定公開情報が「音楽」であり、自車載器10Aにて他車載器10Bに対応する「音楽」の公開レベルが「2」であった場合には、「好んで聞いている音楽の曲名」、「再生回数の多い音楽の曲名」及び「推薦する音楽の曲名」の情報、すなわち公開レベルが「2」以下の音楽の情報が抽出される。
【0046】
そして、S250の処理にて運転者情報がHDD14から抽出されると、その抽出された運転者情報に対して、その有効期限を表す有効期限情報が付与され(S260)、S250にて抽出された運転者情報及びその有効期限情報が通信にて他車載器10Bに提供(
公開)されるとともに、自車載器10Aが他車載器10Bへ送信した特定公開情報に対する回答が、他車載器10Bから取得されてこの回答(運転者情報)がHDD14に記憶される(S270)。
【0047】
続いて、S270の処理にて他車載器10Bから取得した運転者情報がLCD16に表示され(S280)、運転者情報の提供に対する返礼を表す返礼情報が他車載器10Bへ送信される(S290)。
【0048】
ここで、本実施形態では、「Thank you」のメッセージ(文章)を返礼情報として送信することにより、そのメッセージを他車載器10BのLCD16に表示させ、更には、上記メッセージにサービスポイント情報を付加することで、自車両の運転者が所持しているサービスポイントを、他車両の運転者に贈呈するようにしている。
【0049】
そして、S290の処理で返礼情報が送信されると、操作部17を介して、公開レベルや許可条件等の設定を変更するための設定変更指令が入力されたか否かが判定され(S300)、設定変更指令が入力されていないと判定された場合には(S300:NO)、処理がS210へ戻る。
【0050】
一方、設定変更指令が入力されたと判定された場合には、上述した図3に示す設定処理が行われ(S310)、この設定処理が終了すると、処理がS210へ戻る。
4.本実施形態に係る車両用通信システムの特徴
本実施形態では、誰に対しても運転者情報を提供するのではなく、許可条件が満たされた他車載器10Bに対して運転者情報を提供するので、車両の運転者の意図に反して、運転者情報が他人に対してむやみに知られてしまうことを防止しつつ、他人とのコミュニケーションを深めることができる。
【0051】
また、本実施形態では、設定処理にて設定された公開レベルに対応する運転者情報だけを、他車載器10Bに提供(公開)するので、運転者情報が他人に対してむやみに知られてしまうことを確実に防止することができる。
【0052】
また、本実施形態では、他車載器10Bに公開する運転者情報に対して有効期限を付与しているので、自車両の運転者に関する運転者情報が、他車両(他車載器10B)側で長期間残ってしまうことを防止することができる。
【0053】
また、本実施形態では、他車載器10Bから運転者情報の提供を受けた際に、それに対する返礼をしているので、運転者情報の提供先の人(運転者)に対して感謝の意志が伝わる。したがって、その運転者情報の提供先の人に対しての心証をよくすることができるので、コミュニケーションを更に深めることが期待できる。
【0054】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、通信部12が特許請求の範囲に記載された通信手段に相当し、HDD14が特許請求の範囲に記載された運転者情報記憶手段に相当し、S240の処理が特許請求の範囲に記載された許可条件判定手段に相当する。
【0055】
また、S270の処理が特許請求の範囲に記載された運転者情報提供手段に相当し、図3に示す設定処理が特許請求の範囲に記載された設定手段及び有効期限設定手段に相当し、S290の処理が特許請求の範囲に記載された返礼送信手段に相当する。
【0056】
(第2実施形態)
上記第1実施形態の車両用通信システム1では、車載器10を利用して許可条件や公開レベル等を設定していたが、本実施形態では、コンピュータ(以下、PCという。)を利用して許可条件や公開レベル等を設定可能にするとともに、利用者が指定した車両(以下、指定車両という。)に対しては、許可条件を満たしていなくても、利用者により選択された運転車情報を提供するようにしている。
【0057】
このため、本実施形態では、PCと車載器10とがインターネットを介して通信を行うようにされ、PCと車載器10との通信は、インターネットに接続されたサーバ(図示省略)を介して行われる。
【0058】
図5は、PCと車載器10との間で通信が行われる際にPC側で実行される処理を示すフローチャートであり、この制御フローは、PCの利用者がインターネットを利用してサーバにアクセスしたときに実行され、図5に示す制御フローが実行されると、まず車載器10の設定変更用の画面がPCの表示部に表示される(S410)。
【0059】
ここで、車載器10の設定変更用の表示画面は、図6に示すように、運転者情報を設定変更するための設定変更部20、運転者情報の公開レベルを設定変更するための設定変更部22、所定の運転者情報を転送する転送先(指定車両)を設定するための指定車両設定部24、自車両から指定車両へ転送する運転者情報を設定するための転送用運転者情報設定部26、及び送信ボタン28等を有して構成されている。
【0060】
また、「所定の運転者情報」とは、HDD14に記憶されている運転者情報のうち、運転者(利用者)により選択された特定の運転者情報であり、この情報に関しては、許可条件を満たしているか否かに関係なく、指定車両に対して送信(提供)される。なお、以下の説明では利用者により選択された運転者情報のことを、選択運転者情報という。
【0061】
そして、S410の処理にて設定変更用の画面が表示されると、送信ボタン28がクリックされたか否かが判定され(S420)、送信ボタンがクリックされたと判定されると(S420:YES)、各設定部20、22、24、26により設定された内容がサーバへ送信される(S420)。
【0062】
続いて、サーバから送信されてくる判定結果に基づいて、設定変更の内容に誤りがあったか否かが判定され(S430)、設定変更の内容に誤りがあったと判定された場合には(S430:YES)、その旨がPCの表示部に表示され、処理がS410へ戻る。なお、サーバから送信されてくる判定結果の詳細については後述する。
【0063】
一方、設定変更の内容に誤りがないと判定された場合には(S430:NO)、車載器10から設定変更が終了した旨の通知を受けたか否かが判定され(S440)、設定変更が終了した旨の通知を受けていないと判定された場合には(S440:NO)、車載器10からエラー通知を受けたか否かが判定される(S450)。
【0064】
そして、車載器10からエラー通知を受けたと判定された場合には(S450:YES)、処理がS410へ戻り、逆にエラー通知を受けていないと判定された場合には(S450:NO)、処理がS440へ戻る。
【0065】
また、S440の処理にて、車載器10から設定変更が終了した旨の通知を受けたと判定された場合には(S440:YES)、その旨がPCの表示部に表示され(S460)、本制御フローが終了する。
【0066】
なお、S420の処理にて、各設定部20、22、24、26により設定された内容が
サーバへ送信されると、サーバでは、PCから送信されてきた設定変更用の内容に誤りがあるか否かを判定し、その判定結果をPCへ返信するとともに、設定変更用の内容に誤りがないと判定した場合には、更にその内容をPCの利用者が所持する車両(車載器10)へ送信する。
【0067】
また、PCの利用者が所持する車両(車載器10)では、サーバから設定変更用の内容を受信した場合に、上記図3の設定処理を実行し、このとき、車両の電子機器に動作用の電力が供給されていない状態(車載器10が待機状態)であった場合には、遠隔起動部15が車載器10を起動することにより、上記図3の設定処理を実行する。
【0068】
そして、車載器10は、設定処理が終了すると、その旨をサーバを介してPCへ通知(送信)する。因みに、設定変更が無事終了した場合には、その旨がPCへ通知され、逆に設定変更に不具合が生じた場合には、その旨(エラー)がPCへ通知される。
【0069】
次に、本実施形態の通信処理について、図7を用いて説明する。なお、図7は、本実施形態の車載器10の制御部18にて実行される通信処理を示すフローチャートである。また、図7において、上記第1実施形態の通信処理(図4参照)と同じ処理については、同様のステップ番号を付しているので詳細な説明は省略する。また、このことは、後述する図8についても同様である。
【0070】
そして、図7に示す通信処理が開始され、S210にて、他車載器10Bが検出されたと判定されると(S210:YES)、この他車載器10Bを搭載した他車両が指定車両であるか否かが判定される(S211)。
【0071】
そして、S211の処理にて、他車載器10Bを搭載した車両が指定車両ではないと判定された場合には(S211:NO)、自車載器10Aと他車載器10Bとの間で、車両ID及び特定公開情報の交換が行われる(S220)。
【0072】
一方、他車載器10Bを搭載した他車両が指定車両であると判定された場合には(S211:YES)、選択運転者情報が他車載器10Bへ送信され(S212)、自車載器10Aと他車載器10Bとの間で、車両ID及び特定公開情報の交換が行われる(S220)。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、運転者情報の中から特定の運転者情報を選択して、その選択運転者情報を提供先(転送先)を指定することができるので、運転者情報が他人に対してむやみに防止することができ、車両用通信システムの使い勝手を向上させることができる。
【0074】
このため、例えば運転者は、知り合いの人に対して通勤経路の近道を提供することができ、情報の共有を図ることができる。
また、本実施形態では、PCを利用して車載器10に記憶されている運転者情報を設定変更することができるので、運転者(利用者)は、車両から離れた場所でも運転者情報の設定変更を行うことが可能となる。
【0075】
(第3実施形態)
上記第1実施形態の車両用通信システム1は、他車載器10Bから運転者情報を取得した場合に、他車載器10B側へ返礼情報だけを送信するようにしていたが、本実施形態では、返礼情報に加えて、運転者情報に対する信頼度(評価)を表す信頼度情報を送信するようにしたものである。
【0076】
ここで、信頼度情報とは、他車載器10Bの運転者情報の提供を受けた自車両の運転者(自車載器10Aの利用者)が、この運転者情報を主観的に評価した評価結果を表す情報である。
【0077】
例えば、信頼度情報は5段階に分けて評価(信頼度)が設定され、他車載器10Bから提供を受けた運転者情報が自車両の運転者にとって有益であった場合には、自車両の運転者によって評価(信頼度)が高く設定される。
【0078】
次に、図8は、本実施形態の車載器10の制御部18にて実行される通信処理を示すフローチャートであり、図8に示す通信処理が開始されてS210〜S270の処理が終了し、S270の処理にて他車載器10Bから取得した運転者情報がLCD16に表示されると(S280)、他車載器10Bから取得した運転者情報に対する信頼度(評価)を設定するための設定画面がLCD16に表示される(S281)。
【0079】
続いて、利用者による操作によって、運転者情報に対する信頼度(評価)が設定されると、その設定された信頼度を表す信頼度情報が、他車載器10Bに送信され(S282)、運転者情報の提供に対する返礼を表す返礼情報が他車載器10Bへ送信される(S290)。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、運転者情報の提供を受けた人(第3者)がその信頼度を設定するので、運転者情報の信頼性を向上させることができる。
なお、S281の処理が特許請求の範囲に記載された信頼度設定手段に相当し、S282の処理が特許請求の範囲に記載された信頼度送信手段に相当する。
【0081】
(その他の実施形態)
例えば、上記第1実施形態において、図4のS220で取得した他車両からの特定公開情報が告知項目であった場合には、許可条件を満たしているか否かに限らず、他車両の告知項目を自車両のLCD16表示するようにしてもよい。
【0082】
このようにすれば、例えば告知項目として、好んで聞いている音楽の曲名が設定されていた場合には、他車両から告知項目(特定公開情報)を取得した自車両(送信先)の運転者は、その他車両(送信元)の運転者がどのような音楽を好んで聞いているのかを知ることができ、送信先の運転者に対して親近感を抱かせることが期待できる。
【0083】
また、上記実施形態では、許可条件や公開レベルの設定を手動で設定するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、自動で設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、許可条件として、車両と他車両との遭遇回数と、趣味とが用いられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば地域を許可条件とし、車両の運転者が住んでいる地域と他車両の運転者が住んでいる地域とが一致した場合に、許可条件が満たすようにしてもよい。
【0084】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施形態の車両用通信システム1の構成を表すブロック図である。
【図2】運転者情報の説明をする説明図である。
【図3】車載器10の制御部18にて実行される設定処理を示すフローチャートである。
【図4】車載器10の制御部18にて実行される通信処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態において、PCと車載器10との間で通信が行われる際にPC側で実行される処理を示すフローチャートである。
【図6】PCにて表示される車載器10の設定変更用の画面を説明する説明図である。
【図7】第2実施形態の車載器10の制御部18にて実行される通信処理を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態の車載器10の制御部18にて実行される通信処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1…車両用通信システム、10…車載器、12…通信部、15…遠隔起動部、17…操作部、18…制御部、20…設定変更部、22…設定変更部、24…指定車両設定部、26…転送用運転者情報設定部、28…送信ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載器同士で通信を行う車両用通信システムであって、
前記車載器に設けられ、他の車載器と通信を行う通信手段と、
前記車両の運転者に関する運転者情報が記憶された運転者情報記憶手段と、
前記通信手段と前記他の車載器との間で行われる通信に基づき、前記通信手段が通信を行う他の車載器に対して前記運転者情報の提供を許可するための許可条件が満たされたか否かを判定する許可条件判定手段と、
前記許可条件判定手段により前記許可条件が満たされたと判定された場合に、前記通信手段が通信を行う他の車載器に対して、前記運転者情報記憶手段に記憶された運転者情報を提供する運転者情報提供手段と
を備えたことを特徴とする車両用通信システム。
【請求項2】
前記許可条件判定手段は、前記通信手段と前記他の車載器との間で行われる通信が所定回数以上行われた場合に、前記許可条件が満たされたと判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信システム。
【請求項3】
前記許可条件判定手段は、前記通信手段と前記他の車載器との間で行われる通信に基づいて、前記車両の運転者に関する運転者情報と、他の車両の運転者に関する運転者情報との間に共通点があるか否かを判定し、共通点があると判定した場合に、前記許可条件が満たされたと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用通信システム。
【請求項4】
前記運転者情報が複数記憶されている場合において、
前記運転者情報記憶手段に記憶されている運転者情報の中から、前記他の車載器に対して提供可能である運転者情報を設定する設定手段を備えており、
さらに、運転者情報提供手段は、前記運転者情報記憶手段に記憶された運転者情報のうち、前記設定手段により設定された運転者情報を、前記他の車載器に提供することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項5】
前記運転者情報提供手段が前記他の車載器に提供する運転者情報に対して、その運転者情報の利用を禁止する時期を表す有効期限を設定する有効期限設定手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項6】
前記他の車載器の運転者情報提供手段から前記車載器に提供された運転者情報に対する信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記信頼度設定手段により設定された信頼度を、前記運転者情報の提供先へ前記通信手段を介して送信する信頼度送信手段とを備えており、
さらに、前記運転者情報提供手段は、前記運転者情報と共に、その運転者情報に対応する信頼度を提供することを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項7】
前記運転者情報を前記車載器に提供した他の車載器に対して、前記運転者情報の提供に対する返礼を表す返礼情報を、前記通信手段を介して送信する返礼送信手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項8】
車両に搭載され、前記車両の外部に設置される外部装置と通信を行う車載器であって、
請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の通信手段、運転者情報記憶手段、許可条件判定手段、及び運転者情報提供手段を備えたことを特徴とする車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−252624(P2008−252624A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92449(P2007−92449)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】