説明

車両駆動装置

【課題】モータ、減速部、及び差動部を有する構成において車両搭載性を向上させることができる車両駆動装置を提供すること。
【解決手段】回転動力を出力するモータ21と、モータ21からの回転動力を減速して出力するとともに減速比が切り替え可能な減速部22と、減速部22からの回転動力を一対の車輪14、15に向けて分配して出力する差動部24と、減速部22の減速比を切り替える切替部23と、を備え、モータ21、減速部22、及び差動部24は、車輪14、15の車軸方向の一軸上に並べて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの駆動力により減速機構、差動機構を介して車軸を駆動する車両駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータを動力源とする車両においては、電動モータと車軸との間の動力伝達経路において減速機構及び差動機構を有する車両駆動装置を備えるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1(Fig.3)では、電動機(40)の回転軸上において、電動機(40)の一方に第1変速部(78)が配置され、電動機(40)の他方に第2変速部(104)、差動部(110)が配置された電気車両駆動装置が開示されている。この電気車両駆動装置では、電動機(40)からの出力を第1変速部(78)へ入力し、シフトクラッチ(94、96)の切替により減速比を変化させ、電動機(40)のロータ(44)の内側に配された中空軸(100)を介して第2変速部(104)におけるプラネタリのサンギヤ(108)に入力され減速してリングギヤ(112)から差動部(110)におけるダブルピニオンプラネタリのリングギヤへ入力され、差動部(110)のサンギヤ(116)の動力が、中空軸(100)の内側に配された軸を介して左側の出力軸(52)に伝達され、差動部(110)のキャリア(114)の動力が右側の出力軸(54)に伝達される。
【0004】
また、特許文献2(図3)では、誘導モ一タ(114)の内側に、遊星歯車減速組立体(130)、差動装置組立体(160)が一軸上に配置された補助電気駆動組立体が開示されている。この補助電気駆動組立体では、誘導モ一タ(114)からの出力は、平坦ディスク(126)によって遊星歯車減速組立体(130)の太陽歯車(138)へ入力されて、スプラインセット(154)を介して差動装置組立体(160)へ入力され、左側出力軸(172)に伝達されるとともに、スプラインセット(154)の内側に配された右側出力軸(184)に伝達される。
【0005】
さらに、特許文献3では、電動モータ(23)の第1軸(3)と、減速機構(21)の第2軸(5)と、ディファレンシャル装置(25)の第3軸(7)とを有する動力伝達装置が開示されている。この動力伝達装置では、ディファレンシャル装置(25)においてクラッチ機構(49)を有し、クラッチ機構(49)により電動モータ(23)からの動力を断接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0211824号明細書
【特許文献2】特表2009−502628号公報
【特許文献3】特開2007−83842号公報
【特許文献4】特開2006−176120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
しかしながら、特許文献1の第1変速部(78)では、シフトクラッチ(94、96)の切替えにより減速比を変化させるために、カウンタシャフト(80)と電動機(40)の出力軸(72)との二軸構成となっているため、車軸(16)の径方向に対して大きくなり、車両搭載性に劣る。また、特許文献1の電動機(40)の出力軸(72)の内側には、第1変速部(78)から第2変速部(104)に動力を伝達する中空軸(100)が通り、中空軸(100)の内側には、差動部(110)から左側の出力軸(52)に動力を伝達する軸が通るため、車軸(16)の径方向に対して、大きくなり車両搭載性に劣る。
【0008】
また、特許文献2の補助電気駆動組立体では、誘導モ一タ(114)の内側に減遊星歯車減速組立体(130)及び差動装置組立体(160)が一軸上に配置されているため、車軸の径方向に対して大きくなり、車両搭載性に劣る。
【0009】
また、特許文献3の動力伝達装置では、電動モータ(23)の第1軸(3)と、減速機構(21)の第2軸(5)と、ディファレンシャル装置(25)の第3軸(7)との3軸配置となっているため、体格が大きくなり車両搭載性に劣る。
【0010】
本発明の主な課題は、モータ、減速部、及び差動部を有する構成において車両搭載性を向上させることができる車両駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一視点においては、車両駆動装置において、回転動力を出力するモータと、前記モータからの回転動力を減速して出力するとともに減速比が切り替え可能な減速部と、前記減速部からの回転動力を一対の車輪に向けて分配して出力する差動部と、前記減速部の減速比を切り替える切替部と、を備え、前記モータ、前記減速部、及び前記差動部は、前記車輪の車軸方向の一軸上に並べて配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記切替部は、前記減速部に対して前記車輪の車軸を中心とする径方向外側に配設されることが好ましい。
【0013】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記減速部は、前記モータの回転動力が入力されるサンギヤと、前記サンギヤの外周にて公転可能に前記サンギヤと噛合う第1ピニオンギヤと、前記サンギヤから外周に離間して配されるとともに、前記第1リングギヤと噛合う第1リングギヤと、前記第1ピニオンギヤと一体に回転するとともに、前記第1ピニオンギヤの径よりも小さい第2ピニオンギヤと、前記第1リングギヤから軸方向にずれて配されるとともに、前記第2リングギヤと噛合う第2リングギヤと、前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤを回転可能に支持するとともに、前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤが公転したときの回転動力を前記差動部に向けて出力する第1キャリアと、を備えることが好ましい。
【0014】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記切替部は、前記第1リングギヤの回転を止めることが可能な第1ブレーキと、前記第2リングギヤの回転を止めることが可能な第2ブレーキと、を備えることが好ましい。
【0015】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記切替部は、前記第1ブレーキ及び前記第2ブレーキの動作状態を切り替えるカム機構と、前記カム機構を操作するアクチュエータと、を備えることが好ましい。
【0016】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記カム機構は、前記アクチュエータの操作に応じて回転するとともに、前記第1ブレーキ側の面、及び、前記第2ブレーキ側の面のそれぞれに第1凸部及び第2凸部を有するカムギヤと、前記第1ブレーキと前記カムギヤとの間にて回転不能かつ軸方向移動可能に配されるとともに、前記第1凸部が入ることが可能な第1凹部を有する第1カムプレートと、前記第1ブレーキと前記第1カムプレートとの間に配されるとともに、前記第1カムプレートを前記カムギヤ側に付勢する第1スプリングと、前記第2ブレーキと前記カムギヤとの間にて回転不能かつ軸方向移動可能に配されるとともに、前記第2凸部が入ることが可能な第2凹部を有する第2カムプレートと、前記第2ブレーキと前記第2カムプレートとの間に配されるとともに、前記第2カムプレートを前記カムギヤ側に付勢する第2スプリングと、を備えることが好ましい。
【0017】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記カム機構は、前記第1凸部を前記第1凹部に入れず、かつ、前記第2凸部を前記第2凹部に入れないことによって、前記第1ブレーキを係合とし、かつ、前記第2ブレーキを係合とするパーキング状態と、前記第1凸部を前記第1凹部に入れ、かつ、前記第2凸部を前記第2凹部に入れないことによって、前記第1ブレーキを非係合とし、かつ、前記第2ブレーキを係合とするLoギヤ状態と、前記第1凸部を前記第1凹部に入れ、かつ、前記第2凸部を前記第2凹部に入れることによって、前記第1ブレーキを非係合とし、かつ、前記第2ブレーキを非係合とするニュートラル状態と、前記第1凸部を前記第1凹部に入れず、かつ、前記第2凸部を前記第2凹部に入れることによって、前記第1ブレーキを係合とし、かつ、前記第2ブレーキを非係合とするHi状態と、に切り替え可能であることが好ましい。
【0018】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記カム機構は、前記カムギヤが一定方向に回転したときに、前記パーキング状態、前記Loギヤ状態、前記ニュートラル状態、前記Hiギヤ状態の順に切り替えることが好ましい。
【0019】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記モータは、発電可能なモータジェネレータであり、放電及び蓄電可能なバッテリと、前記モータの動作を制御するインバータと、前記バッテリの電力を昇圧して前記インバータを介して前記モータに供給する機能と、前記モータで発電した電力を前記インバータを介して降圧して前記バッテリに供給する機能とを有する昇降圧コンバータと、を備えることが好ましい。
【0020】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記モータ及び前記減速部を制御する電子制御装置を備えることが好ましい。
【0021】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記電子制御装置は、車速が予め設定された閾値未満であるときに前記Loギヤ状態となるように制御し、車速が前記閾値以上であるときに前記Hiギヤ状態となるように制御し、加速時に前記モータを駆動とし、減速時に前記モータを回生とし、停止時に前記パーキング状態となるように制御することが好ましい。
【0022】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記一対の車輪は、前輪及び後輪の一方の車輪であり、回転動力を出力する1又は複数の動力源と、前記動力源からの回転動力を変速して出力する変速機と、前記変速機からの回転動力を前記前輪及び前記後輪の他方の一対の車輪に向けて分配して出力する差動装置と、を備え、前記電子制御装置は、前記動力源の動作も制御することが好ましい。
【0023】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記電子制御装置は、加速時において車速が第1閾値未満である低速域のときに前記Loギヤ状態、及び、前記モータを駆動として、4輪駆動走行となるように制御し、加速時において車速が前記第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である中速域のときに前記Loギヤ状態、及び、前記モータを非駆動として2輪駆動走行とし、所定の条件が満たされたときのみ、前記Loギヤ状態、及び、前記モータを駆動として4輪駆動走行となるように制御し、加速時において車速が前記第2閾値以上である高速域のときに前記ニュートラル状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御し、停止時に前記パーキング状態となるように制御することが好ましい。
【0024】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記電子制御装置は、減速時において車速が、前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2閾値よりも小さい第3閾値以上のときに前記ニュートラル状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御し、減速時において車速が前記第3閾値未満のときに、前記Loギヤ状態、及び、前記モータを回生とするように制御することが好ましい。
【0025】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記減速部は、前記モータの回転動力が入力される第1サンギヤと、前記サンギヤの外周にて公転可能に前記サンギヤと噛合う第1ピニオンギヤと、前記第1ピニオンギヤと一体に回転するとともに、前記第1ピニオンギヤの径よりも小さい第2ピニオンギヤと、前記第2ピニオンギヤと噛合う第2リングギヤと、前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤを回転可能に支持するとともに、前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤが公転したときの回転動力を前記差動部に向けて出力する第1キャリアと、を備えることが好ましい。
【0026】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記切替部は、前記第2リングギヤの回転を止めることが可能な第2ブレーキを備えることが好ましい。
【0027】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記切替部は、前記第2ブレーキの動作状態を切り替えるカム機構と、前記カム機構を操作するアクチュエータと、を備えることが好ましい。
【0028】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記カム機構は、前記アクチュエータの操作に応じて回転するとともに、前記第2ブレーキ側の面に第2凸部を有するカムギヤと、前記第2ブレーキと前記カムギヤとの間にて回転不能かつ軸方向移動可能に配されるとともに、前記第2凸部が入ることが可能な第2凹部を有する第2カムプレートと、前記第2ブレーキと前記第2カムプレートとの間に配されるとともに、前記第2カムプレートを前記カムギヤ側に付勢する第2スプリングと、を備えることが好ましい。
【0029】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記カム機構は、前記第2凸部を前記第2凹部に入れないことによって前記第2ブレーキを係合とするLoギヤ状態と、前記第2凸部を前記第2凹部に入れることによって前記第2ブレーキを非係合とするニュートラル状態と、に切り替え可能であることが好ましい。
【0030】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記モータは、発電可能なモータジェネレータであり、放電及び蓄電可能なバッテリと、前記モータの動作を制御するインバータと、前記バッテリの電力を昇圧して前記インバータを介して前記モータに供給する機能と、前記モータで発電した電力を前記インバータを介して降圧して前記バッテリに供給する機能とを有する昇降圧コンバータと、を備えることが好ましい。
【0031】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記モータ及び前記減速部を制御する電子制御装置を備えることが好ましい。
【0032】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記一対の車輪は、前輪及び後輪の一方の車輪であり、回転動力を出力する1又は複数の動力源と、前記動力源からの回転動力を変速して出力する変速機と、前記変速機からの回転動力を前記前輪及び前記後輪の他方の一対の車輪に向けて分配して出力する差動装置と、を備え、前記電子制御装置は、前記動力源の動作も制御することが好ましい。
【0033】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記電子制御装置は、加速時において車速が第1閾値未満である低速域のときに前記Loギヤ状態、及び、前記モータを駆動として、4輪駆動走行となるように制御し、加速時において車速が前記第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である中速域のときに前記Loギヤ状態、及び、前記モータを非駆動として2輪駆動走行とし、所定の条件が満たされたときのみ、前記Loギヤ状態、及び、前記モータを駆動として4輪駆動走行となるように制御し、加速時において車速が前記第2閾値以上である高速域のときに前記ニュートラル状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御することが好ましい。
【0034】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記電子制御装置は、減速時において車速が、前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2閾値よりも小さい第3閾値以上のときに前記ニュートラル状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御し、減速時において車速が前記第3閾値未満のときに、前記Loギヤ状態、及び、前記モータを回生とするように制御することが好ましい。
【0035】
本発明の前記車両駆動装置においては、前記差動部は、前記第1キャリアと一体に回転する第3リングギヤと、前記第3リングギヤの内周にて公転可能に前記第3リングギヤと噛合う第3ピニオンギヤと、前記一対の車軸の一方と一体に回転する第2サンギヤと、前記第2サンギヤの外周にて公転可能に前記第2サンギヤと噛合う第4ピニオンギヤと、前記第3ピニオンギヤ及び前記第4ピニオンギヤを回転可能に支持するとともに、前記第3ピニオンギヤ及び前記第4ピニオンギヤが公転したときの回転動力を前記一対の車軸の他方に向けて出力する第2キャリアと、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、車両駆動装置においてモータ、減速部、及び差動部が一対の車輪の車軸方向に並べて配置(一軸配置)されているので、一対の車輪の回転軸の径方向に対して小型化が可能となり、車両搭載性が向上し、車両室内空間を確保することができる。また、一対の車輪の回転軸の径方向に対して小型化が可能となるため、最低地上高が低い低床用のハイブリッド車両、電気自動車に搭載することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1に係る車両駆動装置の構成を模式的に示した概略図である。
【図2】本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示したスケルトン図である。
【図3】本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示した径方向の断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の切替部の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
【図5】本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の切替部の動作を模式的に示した周方向の部分断面図である。
【図6】本発明の実施例1に係る車両駆動装置の走行パターンを模式的に示した表である。
【図7】本発明の実施例1に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施例2に係る車両駆動装置の走行パターンを模式的に示した表である。
【図9】本発明の実施例2に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施例3に係る車両駆動装置の構成を模式的に示した概略図である。
【図11】本発明の実施例4に係る車両駆動装置の構成を模式的に示した概略図である。
【図12】本発明の実施例4に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示したスケルトン図である。
【図13】本発明の実施例4に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示した径方向の断面図である。
【図14】本発明の実施例4に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の切替部の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
【図15】本発明の実施例4に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の切替部の動作を模式的に示した周方向の部分断面図である。
【図16】本発明の実施例4に係る車両駆動装置の走行パターンを模式的に示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態に係る車両駆動装置では、回転動力を出力するモータ(図1の21)と、前記モータからの回転動力を減速して出力するとともに減速比が切り替え可能な減速部(図1の22)と、前記減速部からの回転動力を一対の車輪(図1の14、15)に向けて分配して出力する差動部(図2の24)と、前記減速部の減速比を切り替える切替部(図2の23)と、を備え、前記モータ、前記減速部、及び前記差動部は、前記車輪の車軸方向の一軸上に並べて配置される。
【0039】
なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0040】
本発明の実施例1に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の構成を模式的に示した概略図である。
【0041】
図1を参照すると、車両駆動装置1は、車両を駆動する装置である。車両駆動装置1は、複数の動力源(エンジン2、モータジェネレータ3、4、21)を有するハイブリッド車両(エンジン2を除けば、電気自動車でも可)に搭載される。車両駆動装置1は、主な構成部として、エンジン2と、モータジェネレータ3、4と、変速機5と、差動装置6と、インバータ7、8、9と、昇降圧コンバータ10と、バッテリ11と、前輪12、13と、後輪14、15と、センサ16と、後輪駆動装置20と、電子制御装置30と、を有する。
【0042】
エンジン2は、例えば、燃料(例えば、ガソリン、軽油などの炭化水素系)の燃焼により回転動力を出力する内燃機関である。エンジン2の回転動力は、変速機5に伝達される。エンジン2は、各種センサ、アクチュエータを有し、各種センサ、アクチュエータがエンジンコントローラ32に通信可能に接続されており、エンジンコントローラ32によって制御される。
【0043】
モータジェネレータ3は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機(誘導型でも可)である。モータジェネレータ3の回転動力は、変速機5に伝達される。モータジェネレータ3は、インバータ7及び昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ3は、変速機5からの回転動力を用いて回生してバッテリ11を充電したり、バッテリ11からの電力を用いて回転動力を変速機5に出力できる。
【0044】
モータジェネレータ4は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機(誘導型でも可)である。モータジェネレータ4の回転動力は、変速機5に伝達される。モータジェネレータ4は、インバータ8及び昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ4は、変速機5からの回転動力を用いて回生してバッテリ11を充電したり、バッテリ11からの電力を用いて回転動力を変速機5に出力できる。
【0045】
変速機5は、エンジン2及びモータジェネレータ3、4のいずれかから出力された回転動力を変速して差動装置6に伝達する機構である。変速機5は、例えば、エンジン2及びモータジェネレータ3、4のいずれかから出力された回転動力が、トルクコンバータ(図示せず)を介して遊星歯車機構(複数の遊星歯車機構が組み合わさったもの)に入力され、当該遊星歯車機構で変速されて差動装置6に出力される。変速機5は、遊星歯車機構における所定の回転要素間を断接可能に係合させるクラッチや、所定の回転要素の回転を止めるブレーキを有し、当該クラッチや当該ブレーキを油圧操作する油圧回路を有し、当該油圧回路においてソレノイドを有する。変速機5は、当該ソレノイドが変速機コントローラ(図示せず)に通信可能に接続されており、変速機コントローラによって制御される。
【0046】
差動装置6は、変速機5からの回転動力により前輪12、13を差動可能に駆動する装置である。
【0047】
インバータ7は、モータジェネレータコントローラ33からの制御信号に応じて、モータジェネレータ3の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する。インバータ7は、昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電気的に接続されている。
【0048】
インバータ8は、モータジェネレータコントローラ33からの制御信号に応じて、モータジェネレータ4の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する。インバータ8は、昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電気的に接続されている。
【0049】
インバータ9は、モータジェネレータコントローラ33からの制御信号に応じて、モータジェネレータ21の動作(駆動動作、発電動作、回生動作)を制御する。インバータ9は、昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電気的に接続されている。
【0050】
昇降圧コンバータ10は、運転条件に応じて、バッテリ11の電力を昇圧してモータジェネレータ3、4、21に供給する機能と、モータジェネレータ3、4、21で発電した電力を降圧してバッテリ11に供給する機能とを有する装置である。なお、昇降圧コンバータ10は、モータジェネレータ3、4、21に対して共通に使用される。なお、昇降圧コンバータ10は、バッテリ11、及びモータジェネレータ3、4、21の仕様電圧が対応していれば、なくてもよい。
【0051】
バッテリ11は、放電及び蓄電可能な2次電池である。バッテリ11は、昇降圧コンバータ10と電気的に接続されている。
【0052】
前輪12は、車両の前方左側の車輪であり、差動装置6からの回転動力が伝達される。前輪13は、車両の前方右側の車輪であり、差動装置6からの回転動力が伝達される。後輪14は、車両の後方左側の車輪であり、差動部24からの回転動力が伝達される。後輪15は、車両の後方右側の車輪であり、差動部24からの回転動力が伝達される。
【0053】
センサ16は、車両の所定の状態を検出する装置である。センサ16には、例えば、車速、アクセル開度、ブレーキ信号、車輪回転数、シフトポジション等の車両の所定の状態を検出するセンサを用いることができる。センサ16は、図3では、モータジェネレータ21の回転速度を検出するセンサを用いている。
【0054】
後輪駆動装置20は、後輪14、15を駆動する装置である。後輪駆動装置20は、主な構成部として、モータジェネレータ21と、減速部22と、切替部23と、差動部24と、を有する。後輪駆動装置20は、モータジェネレータ21、減速部22、及び差動部24が車軸方向に並べて配置(一軸配置)されており、減速部22と差動部24との間の動力伝達経路がモータジェネレータ21の内側を通っていない。後輪駆動装置20は、切替部23が減速部22の径方向外側に配されている。
【0055】
モータジェネレータ21は、電動機として駆動するとともに発電機としても駆動する同期発電電動機(誘導型でも可)である。モータジェネレータ21は、環状をなす。モータジェネレータ21の回転動力は、減速部22に伝達される。モータジェネレータ21は、インバータ9及び昇降圧コンバータ10を介してバッテリ11と電力のやり取りを行なう。モータジェネレータ21は、減速部22からの回転動力を用いて回生してバッテリ11を充電したり、バッテリ11からの電力を用いて回転動力を減速部22に出力できる。
【0056】
減速部22は、モータジェネレータ21からの回転動力を減速(変速)して差動部24に向けて出力する機構部である。減速部22は、切替部23の動作に応じて減速比が切替可能に構成されている。減速部22は、モータジェネレータ21と差動部24との間に設けられている。
【0057】
切替部23は、減速部22における減速比を切替える機構部である。切替部23は、減速部22の径方向外側に設けられている。切替部23は、モータジェネレータ21と差動部24との間に設けられている。切替部23は、減速部22の構成部品(図2、図3のリングギヤ53、54に相当)の回転を止めることが可能なブレーキ(図2、図3の23a、23bに相当)を有するとともに、当該ブレーキの状態を切り替えるモータ式アクチュエータ(図3の67に相当)を有する。切替部23は、アクチュエータコントローラ34と通信可能に接続されており、アクチュエータコントローラ34によって動作が制御される。
【0058】
差動部24は、減速部22からの回転動力を後輪14、15に分配して出力(差動可能に駆動)する装置である。差動部24は、ダブルピニオンプラネタリ機構を用いたものでも、傘歯車を用いたものでもよい。
【0059】
なお、後輪駆動装置20の詳細な構成については、後述する(図2〜図5参照)。
【0060】
電子制御装置30は、エンジン2、モータジェネレータ3、4、21、及びアクチュエータ(図3の67)の動作を制御する装置である。電子制御装置30は、メインコントローラ31と、エンジンコントローラ32と、モータジェネレータコントローラ33と、アクチュエータコントローラ34と、を有する。
【0061】
メインコントローラ31は、エンジンコントローラ32、モータジェネレータコントローラ33、及びアクチュエータコントローラ34を介してエンジン2、モータジェネレータ3、4、21、及びアクチュエータ(図3の67)の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。メインコントローラ31は、各種センサ16(車速、アクセル関度、ブレーキ信号、車輪回転数、シフトポジション等)からの入力信号(車両の所定の状態)に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。メインコントローラ31は、各種センサ16からの入力信号に基づいて、走行パターン(図6参照)を決定し、決定した走行パターンに応じて、エンジンコントローラ32、モータジェネレータコントローラ33、及びアクチュエータコントローラ34に対して制御信号を出力する。
【0062】
エンジンコントローラ32は、エンジン2の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。エンジンコントローラ32は、エンジン2に内蔵された各種アクチュエータ(図示せず;例えば、スロットルバルブ、インジェクタ等を駆動するアクチュエータ)、各種センサ(図示せず;例えば、アクセル開度センサ、回転センサ等)、及びメインコントローラ31と通信可能に接続されている。エンジンコントローラ32は、メインコントローラ31からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0063】
モータジェネレータコントローラ33は、インバータ7、8、9を介してモータジェネレータ3、4、21の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。モータジェネレータコントローラ33は、インバータ7、8、9、各種センサ(図示せず;例えば、回転センサ等)、及びメインコントローラ31と通信可能に接続されている。モータジェネレータコントローラ33は、メインコントローラ31からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0064】
アクチュエータコントローラ34は、切替部23におけるアクチュエータ(図3の67)の動作を制御するコンピュータ(電子制御装置)である。アクチュエータコントローラ34は、アクチュエータ(図3の67)及びメインコントローラ31と通信可能に接続されている。アクチュエータコントローラ34は、メインコントローラ31からの制御信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ等を含む)に基づいて制御処理を行う。
【0065】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置のギヤ構成について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示したスケルトン図である。
【0066】
後輪駆動装置20は、モータジェネレータ21と、減速部22と、切替部23と、差動部24と、を有する。
【0067】
モータジェネレータ21は、後輪駆動装置20における動力源であり、ハウジング42に固定されたステータ47を有し、ステータ47の内側で回転するロータ50を有する。ロータ50の回転動力は、筒状の出力軸51を介して減速部22のサンギヤ部51aに伝達される。
【0068】
減速部22は、サンギヤ部51aの外周にて所定の間隔をおいて配されたリングギヤ53を有し、サンギヤ部51aの外周で公転可能にサンギヤ部51aと噛合い、かつ、リングギヤ53の内周で公転可能にリングギヤ53と噛合う大径ピニオンギヤ部52aを有する。大径ピニオンギヤ部52aは、ピニオンギヤ部材52の構成部であり、小径ピニオンギヤ部52bと一体に回転する。小径ピニオンギヤ部52bは、ピニオンギヤ部材52の構成部であり、大径ピニオンギヤ部52aの径よりも小さい。小径ピニオンギヤ部52bは、リングギヤ54の内周で公転可能にリングギヤ54と噛合う。ピニオンギヤ部材52は、段付きピニオン、ステップドピニオンともいう。ピニオンギヤ部材52は、キャリア55に回転可能に支持されている。ピニオンギヤ部材52がサンギヤ部51aに対して公転したときの回転動力は、キャリア55を介して差動部24のリングギヤ部55aに伝達される。リングギヤ53は、切替部23のブレーキ23aによって回転を止めることが可能になっている。リングギヤ54は、切替部23のブレーキ23bによって回転を止めることが可能になっている。
【0069】
切替部23は、リングギヤ53の回転を止めることが可能なブレーキ23aと、リングギヤ54の回転を止めることが可能なブレーキ23bを有する。ブレーキ23aは、リングギヤ53の径方向外側に設けられており、ハウジング42に取り付けられている。ブレーキ23bは、リングギヤ54の径方向外側に設けられており、ハウジング42に取り付けられている。ブレーキ23a、23bは、多板式でもよく、単板式でもよい。ブレーキ23a、23bは、アクチュエータ(図3の67に相当)の動作によって操作される。なお、切替部23は、アクチュエータを用いた構成以外にも、油圧、電磁クラッチ、シンクロスリーブ、ドグクラッチを用いてリングギヤ53、54の回転を止められるように構成してもよい。
【0070】
差動部24は、リングギヤ部55aの内周に所定の間隔をおいて配されたサンギヤ79を有し、リングギヤ部55aの内周で公転可能にリングギヤ部55aと噛合うピニオンギヤ75を有し、サンギヤ79の外周で公転可能にサンギヤ79と噛合うピニオンギヤ76を有し、ピニオンギヤ75、76を回転可能に支持するキャリア77を有する。サンギヤ79の回転動力は、筒状の出力軸51の内側に配された出力シャフト80を介して後輪14に伝達される。ピニオンギヤ75、76がリングギヤ部55a及びサンギヤ79に対して公転したときのキャリア77の回転動力は、出力シャフト84を介して後輪15に伝達される。
【0071】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の詳細な構成について図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示した径方向の断面図である。図4は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の切替部の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。図5は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の切替部の動作を模式的に示した周方向の部分断面図である。
【0072】
後輪駆動装置20は、主な構成部として、ハウジング41、42、43、44と、ボルト45、46と、ステータ47と、ホルダ48と、ボルト49と、ロータ50と、出力軸51と、ピニオンギヤ部材52と、リングギヤ53、54と、キャリア55、56と、カムギヤ58と、カムプレート59と、ウェーブスプリング60と、摩擦プレート61、62と、カムプレート63と、ウェーブスプリング64と、摩擦プレート65、66と、アクチュエータ67と、支持部材69と、ボルト70と、固定子71と、ボルト72と、回転子73と、ピニオンギヤ75、76と、キャリア77、78と、サンギヤ79と、出力シャフト80と、継手部材81と、ナット部材82と、シール83と、出力シャフト84と、継手部材85と、ナット部材86と、シール87と、を有する。
【0073】
ハウジング41、42、43、44は、後輪駆動装置20におけるモータジェネレータ21、減速部22、切替部23、差動部24、及びセンサ16を収容する組立可能なハウジングである。
【0074】
ハウジング41は、筒状のハウジング42の一端を塞ぐように組み付けられた蓋状の部材である。ハウジング41は、ボールベアリングを介して出力軸51を回転可能に支持する。ハウジング41は、出力シャフト80が挿通される穴部を有し、ボールベアリングを介して出力シャフト80を回転可能に支持する。ハウジング41は、当該穴部における出力シャフト80に固定された継手部材81との隙間をシールするシール83を支持(保持)する。
【0075】
ハウジング42は、ハウジング41とハウジング43との間に組み付けられた筒状の部材である。ハウジング43は、モータジェネレータ21、減速部22、及び差動部24の径方向外側を覆う。ハウジング42には、一端には蓋状のハウジング41が組み付けられ、他端にはボルト45によって蓋状のハウジング43が組み付けられている。ハウジング42の内側には、モータジェネレータ21のホルダ48がボルト49によって取り付けられている。ハウジング42の内側には、モータジェネレータ21と減速部22との間の部位に支持部材69がボルト70によって取り付けされている。ハウジング42は、カムギヤ58のギヤ部58c(アクチュエータ67と噛合う部分)を軸方向移動不能、かつ、周方向に所定の範囲で移動可能にガイドするガイド穴部42aを有する(図4参照)。ハウジング42の外側には、カムギヤ58のギヤ部58cと噛合うアクチュエータ67が固定されている。ハウジング42の内側は、カムギヤ58よりもブレーキ23b側にて、カムプレート63、ウェーブスプリング64、及び摩擦プレート65と回転不能かつ軸方向移動可能に係合している(図4参照)。ハウジング42の内側は、カムギヤ58よりもブレーキ23a側にて、カムプレート59、ウェーブスプリング60、及び摩擦プレート61と回転不能かつ軸方向移動可能に係合している(図4参照)。
【0076】
ハウジング43は、ボルト45によってハウジング42の他端を塞ぐように組み付けられた蓋状の部材である。ハウジング43は、出力シャフト84が挿通される穴部を有し、ボールベアリングを介して、出力シャフト84とスプライン係合するキャリア77を回転可能に支持する。ハウジング43は、ボールベアリングを介してリングギヤ53を回転可能に支持する。ハウジング43は、ハウジング42に対する反対側にて、ボルト46によってハウジング44が組み付けられている。
【0077】
ハウジング44は、ボルト46によってハウジング43に組み付けられた筒状の部材である。ハウジング44は、出力シャフト84が挿通され、ボールベアリングを介して出力シャフト84を回転可能に支持する。ハウジング44は、出力シャフト84に固定された継手部材85との隙間をシールするシール87を支持(保持)する。
【0078】
ボルト45は、ハウジング43をハウジング42に締結固定するための部材である。
【0079】
ボルト46は、ハウジング44をハウジング43に締結固定するための部材である。
【0080】
ステータ47は、モータジェネレータ21の固定子である。ステータ47は、環状のホルダ48の内周側に嵌入固定されている。ステータ47は、環状(分割されたピースが並んで環状になっていてもよい)に形成されており、内周側に延在したティース部を有し、当該ティース部にコイル(モータジェネレータ21が三相モータである場合、U相コイル、V相コイル、W相コイル)が巻回されている。
【0081】
ホルダ48は、ステータ47を支持するホルダである。ホルダ48は、環状の部材であり、その内周側においてステータ47が嵌入されている。ホルダ48は、ハウジング42の内側に配されており、ボルト49によってハウジング42に固定されている。
【0082】
ボルト49は、ホルダ48をハウジング42に固定するための部材である。
【0083】
ロータ50は、モータジェネレータ21の回転子である。ロータ50は、ステータ47の内周側にて、回転可能に配置されている。ロータ50は、環状に構成され、その内周側にて筒状の出力軸51が装着固定されている。
【0084】
出力軸51は、モータジェネレータ21の回転軸である。出力軸51は、円筒状に形成されている。出力軸51は、ロータ50の内周側にてロータ50に装着固定されている。出力軸51は、ボールベアリングを介してハウジング41に回転可能に支持されるとともに、ボールベアリング、リングギヤ54、ベアリング、支持部材69、及びボルト70を介してハウジング42に回転可能に支持されている。出力軸51は、モータジェネレータ21と減速部22との間の部位の外周面にセンサ16の回転子73が固定されている。出力軸51は、減速部22の内周に延在したサンギヤ部51aを有する。サンギヤ部51aは、減速部22の構成部となり、減速部22のピニオンギヤ部材52の大径ピニオンギヤ部52aと噛み合っている。出力軸51は、ブッシュを介して出力シャフト80を回転可能に支持する。
【0085】
ピニオンギヤ部材52は、減速部22の構成部材である。ピニオンギヤ部材52は、大径ピニオンギヤ部52aと小径ピニオンギヤ部52bとが一体となっている。ピニオンギヤ部材52は、出力軸51の回転軸を中心とする円周方向に所定の間隔をおいて複数個配されており、キャリア55とキャリア56の間においてキャリア55、56に回転可能に支持されている。大径ピニオンギヤ部52aは、出力軸51のサンギヤ部51aの外周にて公転可能にサンギヤ部51aと噛合っており、リングギヤ53の内周にて公転可能にリングギヤ53と噛合っている。小径ピニオンギヤ部52bは、大径ピニオンギヤ部52aと同軸で、大径ピニオンギヤ部52aよりも径が小さく設定されており、リングギヤ54の内周にて公転可能にリングギヤ54と噛合っている。
【0086】
リングギヤ53は、減速部22の構成部材である。リングギヤ54は、環状の部材であり、内周面にてピニオンギヤ部材52の小径ピニオンギヤ部52bと噛み合っている。リングギヤ54は、外周面にて複数枚の摩擦プレート62と回転不能かつ軸方向移動不能に係合している(図4参照)。リングギヤ53は、ベアリングを介して回転可能にハウジング43に支持されている。
【0087】
リングギヤ54は、減速部22の構成部材である。リングギヤ53は、環状の部材であり、内周面にてピニオンギヤ部材52の大径ピニオンギヤ部52aと噛み合っている。リングギヤ54は、外周面にて複数枚の摩擦プレート66と回転不能かつ軸方向移動不能に係合している(図4参照)。リングギヤ54は、ベアリング、支持部材69、及びボルト70を介して回転可能にハウジング42に支持されている。
【0088】
キャリア55は、減速部22の構成部材である。キャリア55は、ピニオンギヤ部材52を回転可能に支持する。キャリア55は、ベアリングを介してキャリア78に回転可能に支持されている。キャリア55は、差動部24の外周に延在したリングギヤ部55aを有する。リングギヤ部55aは、差動部24の構成部であり、内周にてピニオンギヤ75と噛合っている。
【0089】
キャリア56は、減速部22の構成部材である。キャリア56は、ピニオンギヤ部材52を回転可能に支持する。キャリア56は、ベアリングを介してリングギヤ54に回転可能に支持されている。
【0090】
カムギヤ58は、周方向に回転したときに、回転角度に応じてカムプレート59、63を軸方向に移動させるカム機能を有する環状の部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。カムギヤ58は、ハウジング42の内側で回転可能かつ径方向移動不能にガイドされる。カムギヤ58は、アクチェータ67と噛合うギヤ部58cを有する。ギヤ部58cは、カムギヤ58の外周面の一部に形成されており、ハウジング42に形成されたガイド穴部42aからハウジング42の外側に露出する。ギヤ部58cは、ガイド穴部42aによって軸方向移動不能、かつ、周方向に所定の範囲で移動可能にガイドされる。カムギヤ58は、カムプレート59、63間に挟まれた部分において、軸方向の両側の面に複数の凸部58a、58bが形成されている(図5参照)。凸部58aは、周方向において所定の間隔をおいて形成されており、ブレーキ23aのカムプレート59の凹部59aに入っていないときにカムプレート59を図5の右側に押付けてブレーキ23aを係合させ、凹部59aに入ったときにカムプレート59の押付けを解除してブレーキ23aの係合を解除する。凸部58bは、凸部58aの位置に対応して周方向において所定の間隔をおいて形成されており、ブレーキ23bのカムプレート63の凹部63aに入っていないときにカムプレート63を図5の左側に押付けてブレーキ23bを係合させ、凹部63aに入ったときにカムプレート63の押付けを解除してブレーキ23bの係合を解除する。
【0091】
カムプレート59は、カムギヤ58の回転角度に応じて軸方向に移動させるカム機能を有する環状の部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。カムプレート59は、外周面にてハウジング42と回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。カムプレート59は、ウェーブスプリング60によってカムギヤ58側に付勢されている。カムプレート59は、カムギヤ58側の面にて複数の凹部59aが形成されている(図5参照)。凹部59aは、周方向において所定の間隔をおいて形成されている。カムプレート59は、カムギヤ58の凸部58aが凹部59aに入っていないときにウェーブスプリング60側に押付けられてブレーキ23aを係合させ、凸部58aが凹部59aに入ったときに押付けが解除されてブレーキ23aの係合を解除する。
【0092】
ウェーブスプリング60は、環状で軸方向に波状に形成された弾性部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。ウェーブスプリング60は、外周面にてハウジング42と回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。ウェーブスプリング60は、カムプレート59と摩擦プレート61との間に挟み込まれている。ウェーブスプリング60は、カムプレート59をカムギヤ58側(図5の左側)に付勢し、摩擦プレート61をカムギヤ58側の反対側(図5の右側)に付勢する。
【0093】
摩擦プレート61は、環状に形成されたプレート部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。摩擦プレート61は、外周面にてハウジング42と回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。摩擦プレート61と摩擦プレート62とは、軸方向に交互に積層して配されている。図4の最も左側の摩擦プレート61は、ウェーブスプリング60によって右側に付勢されており、摩擦プレート62と当接している。図4の最も右側の摩擦プレート61は、ハウジング42によって右側への移動が規制されており、摩擦プレート62と当接している。中間にある摩擦プレート61は、両面が摩擦プレート62と当接している。摩擦プレート61は、ウェーブスプリング60を介してカムプレート59によって右側に押付けられたときに摩擦プレート62と摩擦係合してブレーキ23aを係合させ、カムプレート59の押付けが解除されたときに摩擦プレート62との摩擦係合を解除してブレーキ23aの係合を解除する。
【0094】
摩擦プレート62は、環状に形成されたプレート部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。摩擦プレート62は、内周面にてリングギヤ53に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。摩擦プレート62と摩擦プレート61とは、軸方向に交互に積層して配されている。摩擦プレート62は、両面が摩擦プレート61と当接している。摩擦プレート62は、ウェーブスプリング60を介してカムプレート59によって右側に押付けられたときに摩擦プレート61と摩擦係合してブレーキ23aを係合させ、カムプレート59の押付けが解除されたときに摩擦プレート61との摩擦係合を解除してブレーキ23aの係合を解除する。
【0095】
カムプレート63は、カムギヤ58の回転角度に応じて軸方向に移動させるカム機能を有する環状の部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。カムプレート63は、外周面にてハウジング42と回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。カムプレート63は、ウェーブスプリング64によってカムギヤ58側に付勢されている。カムプレート63は、カムギヤ58側の面にて複数の凹部63aが形成されている(図5参照)。凹部63aは、周方向において所定の間隔をおいて形成されている。カムプレート63は、カムギヤ58の凸部58bが凹部63aに入っていないときにウェーブスプリング64側に押付けられてブレーキ23bを係合させ、凸部58bが凹部63aに入ったときに押付けが解除されてブレーキ23bの係合を解除する。
【0096】
ウェーブスプリング64は、環状で軸方向に波状に形成された弾性部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。ウェーブスプリング64は、外周面にてハウジング42と回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。ウェーブスプリング64は、カムプレート63と摩擦プレート65の間に挟み込まれている。ウェーブスプリング64は、カムプレート63をカムギヤ58側(図5の右側)に付勢し、摩擦プレート65をカムギヤ58側の反対側(図5の左側)に付勢する。
【0097】
摩擦プレート65は、環状に形成されたプレート部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。摩擦プレート65は、外周面にてハウジング42と回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。摩擦プレート65と摩擦プレート66とは、軸方向に交互に積層して配されている。図4の最も右側の摩擦プレート65は、ウェーブスプリング60によって左側に付勢されており、摩擦プレート66と当接している。図4の最も左側の摩擦プレート65は、ハウジング42によって左側への移動が規制されており、摩擦プレート66と当接している。中間にある摩擦プレート65は、両面が摩擦プレート66と当接している。摩擦プレート65は、ウェーブスプリング64を介してカムプレート63によって左側に押付けられたときに摩擦プレート66と摩擦係合してブレーキ23bを係合させ、カムプレート63の押付けが解除されたときに摩擦プレート66との摩擦係合を解除してブレーキ23bの係合を解除する。
【0098】
摩擦プレート66は、環状に形成されたプレート部材であり、切替部23の構成部材である(図3、図4参照)。摩擦プレート66は、内周面にてリングギヤ54に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。摩擦プレート66と摩擦プレート65とは、軸方向に交互に積層して配されている。摩擦プレート66は、両面が摩擦プレート65と当接している。摩擦プレート66は、ウェーブスプリング64を介してカムプレート63によって左側に押付けられたときに摩擦プレート65と摩擦係合してブレーキ23bを係合させ、カムプレート63の押付けが解除されたときに摩擦プレート65との摩擦係合を解除してブレーキ23bの係合を解除する。
【0099】
アクチュエータ67は、カムギヤ58の凸部58a、58bの位置を切り替える装置であり、切替部23の構成部材である(図3〜図5参照)。アクチュエータ67は、ハウジング42に固定されている。アクチュエータ67は、カムギヤ58のギヤ部58cと噛合っている。アクチュエータ67は、アクチュエータコントローラ(図1の34)と通信可能に接続されており、アクチュエータコントローラ(図1の34)によって動作が制御される。アクチュエータ67は、アクチュエータコントローラ(図1の34)の制御に応じて、カムギヤ58を回転させることで、ブレーキ23a、23bの係合状態(係合、非係合)を切り替える。アクチュエータ67には、モータ式のアクチュエータを用いることができる。
【0100】
ここで、切替部23の動作について説明する。切替部23は、パーキング(図5(A)参照)と、Loギヤ(図5(B)参照)と、ニュートラル(図5(C)参照)と、ブレーキ23aが係合、かつ、ブレーキ23bが非係合であるHiギヤ(図5(D)参照)と、の4パターンの動作状態がある。
【0101】
パーキング(図5(A)参照)では、カムギヤ58の凸部58aがカムプレート59の凹部59aに入らず、かつ、カムギヤ58の凸部58bがカムプレート63の凹部63aに入らないように設定される。すなわち、パーキングでは、ブレーキ23a、23bの両方が係合となるように設定される。なお、パーキングでは、坂道発進で車両のずり下がりを防止するヒルホールド機能も持つ。
【0102】
Loギヤ(図5(B)参照)では、パーキングの状態から一定方向にカムギヤ58が回転移動することで、カムギヤ58の凸部58aがカムプレート59の凹部59aに入り、かつ、カムギヤ58の凸部58bがカムプレート63の凹部63aに入らないように設定される。すなわち、Loギヤでは、Hiギヤ用のブレーキ23aが非係合、かつ、Loギヤ用のブレーキ23bが係合となるように設定される。
【0103】
ニュートラル(図5(C)参照)では、Loギヤの状態から一定方向にカムギヤ58が回転移動することで、カムギヤ58の凸部58aがカムプレート59の凹部59aに入り、かつ、カムギヤ58の凸部58bがカムプレート63の凹部63aに入るように設定される。すなわち、ニュートラルでは、ブレーキ23a、23bの両方が非係合となるように設定される。
【0104】
Hiギヤ(図5(D)参照)では、ニュートラルの状態から一定方向にカムギヤ58が回転移動することで、カムギヤ58の凸部58aがカムプレート59の凹部59aに入らず、かつ、カムギヤ58の凸部58bがカムプレート63の凹部63aに入るように設定される。すなわち、Hiギヤでは、Hiギヤ用のブレーキ23aが係合、かつ、Loギヤ用のブレーキ23bが非係合となるように設定される。
【0105】
なお、Hiギヤ(図5(D)参照)とLoギヤ(図5(B)参照)との間の切替では、直接、HiギヤからLoギヤへ、又は、LoギヤからHiギヤへ切り替えるのではなく、HiギヤとLoギヤとの間でニュートラル(図5(C)参照)を経由するように設定される。
【0106】
支持部材69は、モータジェネレータ21の出力軸51の回転速度を検出するセンサ16の固定子71を支持するための環状の部材である。支持部材69は、ボルト70によってハウジング42に取付固定されている。支持部材69には、ボルト72によって固定子71が取付固定されている。支持部材69は、内周端部にてベアリングを介してリングギヤ54を回転可能に支持する。
【0107】
ボルト70は、支持部材69をハウジング42に固定するための部材である。
【0108】
固定子71は、モータジェネレータ21の出力軸51の回転速度を検出するセンサ16の構成部である。固定子71は、ボルト73によって支持部材69に固定されている。固定子71は、モータジェネレータ21の出力軸51に固定された回転子73の回転速度を検出する。固定子71は、メインコントローラ(図1の31)と通信可能に接続されている。
【0109】
ボルト72は、固定子71を支持部材69に固定するための部材である。
【0110】
回転子73は、モータジェネレータ21の出力軸51と一体に回転する部材である。回転子73は、固定子71の内側に配されている。
【0111】
ピニオンギヤ75は、差動部24におけるダブルピニオンプラネタリの径方向外側にあるピニオンギヤである。ピニオンギヤ75は、出力軸51の回転軸を中心とする円周方向に所定の間隔をおいて複数個配されており、キャリア77、78間においてキャリア77、78に回転可能に支持されている。ピニオンギヤ75は、キャリア55のリングギヤ部55aの内周にて、リングギヤ部55aに対して公転可能に噛み合っている。
【0112】
ピニオンギヤ76は、差動部24におけるダブルピニオンプラネタリの径方向内側にあるピニオンギヤである。ピニオンギヤ76は、出力軸51の回転軸を中心とする円周方向に所定の間隔をおいて複数個配されており、キャリア77、78間においてキャリア77、78に回転可能に保持されている。ピニオンギヤ76は、サンギヤ79の外周にて、サンギヤ79に対して公転可能に噛み合っている。
【0113】
キャリア77は、差動部24におけるダブルピニオンプラネタリの構成部材である。キャリア77は、ピニオンギヤ75、76を回転可能に支持する。キャリア77は、ベアリングを介してハウジング43に回転可能に支持されている。キャリア77は、内周面にて出力シャフト84に対して回転不能にスプライン係合している。
【0114】
キャリア78は、差動部24におけるダブルピニオンプラネタリの構成部材である。キャリア78は、ピニオンギヤ75、76を回転可能に支持する。キャリア78は、ベアリングを介してキャリア55を回転可能に支持している。
【0115】
サンギヤ79は、差動部24におけるダブルピニオンプラネタリの構成部材である。サンギヤ79は、外周にてピニオンギヤ76と噛合っている。サンギヤ79は、内周にて出力シャフト80に対して回転不能にスプライン係合している。
【0116】
出力シャフト80は、差動部24のサンギヤ79からの回転動力を後輪(図1の14)に伝達するシャフト(車軸)である。出力シャフト80は、差動部24の内側まで延在しており、差動部24におけるダブルピニオンプラネタリのサンギヤ79の内側にて、サンギヤ79に対して回転不能にスプライン係合している。出力シャフト80は、筒状の出力軸51の内側を挿通しており、ブッシュを介して出力軸51に回転可能に支持されている。出力シャフト80は、ベアリングを介してハウジング41に回転可能に支持されている。出力シャフト80には、継手部材81が回転不能にスプライン係合しており、ナット部材82によって継手部材81が固定されている。
【0117】
継手部材81は、出力シャフト80の回転動力を後輪(図1の14)に向けて伝達する部材である。継手部材81は、出力シャフト80に対して回転不能にスプライン係合しており、ナット部材82によって出力シャフト80に固定されている。継手部材81は、シール83と圧接している。
【0118】
ナット部材82は、継手部材81を出力シャフト80に固定するための部材である。
【0119】
シール83は、ハウジング41の穴部と継手部材81との間の隙間をシールする部材である。
【0120】
出力シャフト84は、差動部24のキャリア77からの回転動力を後輪(図1の15)に伝達するシャフト(車軸)である。出力シャフト84は、キャリア77に対して回転不能にスプライン係合している。出力シャフト84は、ベアリングを介してハウジング44に回転可能に支持されている。出力シャフト84には、継手部材85が回転不能にスプライン係合しており、ナット部材86によって継手部材85が固定されている。
【0121】
継手部材85は、出力シャフト84の回転動力を後輪(図1の15)に向けて伝達する部材である。継手部材85は、出力シャフト84に対して回転不能にスプライン係合しており、ナット部材86によって出力シャフト84に固定されている。継手部材81は、シール87と圧接している。
【0122】
ナット部材86は、継手部材85を出力シャフト84に固定するための部材である。
【0123】
シール87は、ハウジング44の穴部と継手部材85との間の隙間をシールする部材である。
【0124】
以上のような構成の後輪駆動装置20では、モータジェネレータ21の回転動力は出力軸51を介して減速部22のサンギヤ部51aに入力され、切替部23でブレーキ23a又はブレーキ23bが係合した状態のときに減速部22においてサンギヤ部51aから入力された回転動力を変速してキャリア55を介して差動部24のリングギヤ部55aに入力され、差動部24においてリングギヤ部55aから入力された回転動力が左右の出力シャフト80、84に分配される。
【0125】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の走行パターンについて図面を用いて説明する。図6は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置の走行パターンを模式的に示した表である。
【0126】
実施例1に係る車両駆動装置(図1の1)では、走行状態の全車速において加速・減速に関わらず4WD走行であり、車速V未満で加速・減速に関わらず減速部(図1の22)をLoギヤ(切替部23においてブレーキ23aが断、ブレーキ23bが接)とし、車速V以上で加速・減速に関わらず減速部(図1の22)をHiギヤ(切替部23においてブレーキ23aが接、ブレーキ23bが断)とし、加速中ではモータジェネレータ(図1の21)をON(駆動)とし、減速中ではモータジェネレータ(図1の21)をON(回生)とし、停止しているときはモータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)、切替部23においてHi側のブレーキ23aを接、かつ、Lo側のブレーキ23bを接とするように、モータジェネレータ(図1の21)及び切替部(図1の23)を制御することで、走行パターン(図6参照)を制御する。走行パターンの詳細は、以下の通りである。
【0127】
[走行パターン1]
走行パターン1では、車速がV未満(発進〜V)の低・中速域のときに、切替部(図1、図2の23)において、Hi側のブレーキ(図2の23a)をOFF(断)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21)をON(加速中では駆動、減速中では回生)とし、常時4WD走行とする。
【0128】
[走行パターン2]
走行パターン2では、車速がV以上の高速域のときに、切替部(図1、図2の23)においてHi側のブレーキ(図2の23a)をON(接)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21)をON(加速中では駆動、減速中では回生)とし、常時4WD走行とする。
【0129】
[走行パターン3]
走行パターン3では、車両が停止しているときに、切替部(図1、図2の23)においてHi側のブレーキ(図2の23a)をON(接)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21)をOFF(非駆動)とする。これにより、パーキング、ヒルホールドとなる。
【0130】
[走行パターン4]
走行パターン4では、車速に関わらず、切替部(図1、図2の23)においてHi側のブレーキ(図2の23a)をOFF(断)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21)をOFF(非駆動)とする。これにより、ニュートラルとなる。
【0131】
なお、比較例として、閾値が0個で常時4WD走行の場合、高速域でのモータジェネレータの高回転化により、モータジェネレータの大型化につながる。
【0132】
次に、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作について図面を用いて説明する。図7は、本発明の実施例1に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
【0133】
まず、電子制御装置(図1の30)は、シフトポジションがDレンジにあるか否かを判定する(ステップA1)。なお、Dレンジにあるか否かの判定は、例えば、シフトレバーの位置を検出するセンサで検出されたシフトポジションがDレンジになっているかで判定することができる。Dレンジでない場合(ステップA1のNO)、スタートに戻る。
【0134】
Dレンジである場合(ステップA1のYES)、電子制御装置(図1の30)は、車両が停止しているか否かを判定する(ステップA2)。なお、停止しているか否かは、車速センサが0であるか否かで判定できる。停止していない場合(ステップA2のNO)、ステップA4に進む。
【0135】
停止している場合(ステップA2のYES)、電子制御装置(図1の30)は、切替部(図1の23)におけるHi側のブレーキ(図2の23a)をON(接)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)とし(ステップA3)、その後、スタートに戻る。これにより、ヒルホールドとなる。
【0136】
停止していない場合(ステップA2のNO)、電子制御装置(図1の30)は、車両が加速中であるか否かを判定する(ステップA4)。なお、加速中か否かの判定は、車速センサで検出された車速の所定時間当たりの変化量がプラスか否かにより判定することができる。加速中でない場合(ステップA4のNO)、ステップA8に進む。
【0137】
加速中である場合(ステップA4のYES)、電子制御装置(図1の30)は、車速がVより小さいか否かを判定する(ステップA5)。車速がVより小さくない場合(ステップA5のNO)、ステップA7に進む。
【0138】
車速がVより小さい場合(ステップA5のYES)、電子制御装置(図1の30)は、切替部(図1の23)におけるHi側のブレーキ(図2の23a)をOFF(断)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1の21)をONとし、駆動状態を4WD(駆動)とし(ステップA6)、その後、スタートに戻る。
【0139】
車速がVより小さくない場合(ステップA5のNO)、電子制御装置(図1の30)は、切替部(図1の23)におけるHi側のブレーキ(図2の23a)をON(接)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1の21)をONとし、駆動状態を4WD(駆動)とし(ステップA7)、その後、スタートに戻る。
【0140】
加速中でない場合(ステップA4のNO)、電子制御装置(図1の30)は、車速がVより小さいか否かを判定する(ステップA8)。車速がVより小さくない場合(ステップA8のNO)、ステップA10に進む。
【0141】
車速がVより小さい場合(ステップA8のYES)、電子制御装置(図1の30)は、切替部(図1の23)におけるHi側のブレーキ(図2の23a)をOFF(断)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1の21)をONとし、駆動状態を4WD(回生)とし(ステップA9)、その後、スタートに戻る。
【0142】
車速がVより小さくない場合(ステップA8のNO)、電子制御装置(図1の30)は、切替部(図1の23)におけるHi側のブレーキ(図2の23a)をON(接)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23b)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1の21)をONとし、駆動状態を4WD(回生)とし(ステップA10)、その後、スタートに戻る。
【0143】
実施例1によれば、後輪駆動装置20において出力シャフト80、84に対しモータジェネレータ21、減速部22、差動部24が軸方向に並べて配置(一軸配置)されているので、後輪駆動装置20の出力シャフト80、84の回転軸の径方向に対して小型化が可能となり、車両搭載性が向上し、車両室内空間を確保することができる。また、後輪駆動装置20の出力シャフト80、84の回転軸の径方向に対して小型化が可能となるため、最低地上高が低い低床用のハイブリッド車両、電気自動車に搭載することが可能となる。また、径方向で一番サイズの大きくなる要因であるモータジェネレータ21を小型化するため出力トルクが小さいものを選択し、減速部22(段付プラネタリ減速部)の高減速比とすることで、小型化しても駆動トルクを稼ぐことができる。
【0144】
また、実施例1によれば、減速部22(段付プラネタリ減速部)の高減速比により、モータジェネレータ21が高回転となるため、発進〜VではLoギヤ(高減速比)を使用し、V以上ではHiギヤ(低減速比)を使用することにより、モータジェネレータ21が高回転になるのを防止して、モータ耐久性を確保しつつ全車速域での4WD性能が可能となる。
【実施例2】
【0145】
本発明の実施例2に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。図8は、本発明の実施例2に係る車両駆動装置の走行パターンを模式的に示した表である。
【0146】
実施例2は、実施例1の変形であり、電子制御装置(図1の30)の制御動作が異なる。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0147】
実施例2に係る車両駆動装置(図1の1に相当)では、車両の4WD性能を確保し、引き摺りトルクを低減し、かつ、モータの電力消費量を低減するために、低速域(加速:停止〜V1)では常時4WD走行となり、中速域(加速:V1〜V2)では原則的には2WD走行となるがスリップ、加速アシスト、旋回等の所定の条件でのみ4WD走行となり、高速域(加速:V2以上)では2WD走行となるように、モータジェネレータ(図1の21に相当)及び切替部(図1の23に相当)を制御することで、走行パターン(図8参照)を制御する。また、停止しているときはモータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)、切替部(図1、図2の23に相当)においてHi側のブレーキ(図2の23aに相当)を接、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)を接とするとするように、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)及び切替部(図1、図2の23に相当)を制御することで、走行パターン(図8参照)を制御する。走行パターンの詳細は、以下の通りである。
【0148】
[走行パターン1]
走行パターン1では、加速時において車速がV1未満(停止〜V1)の低速域のときに、切替部(図1、図2の23に相当)においてHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をON(駆動)とし、常時4WD走行とする。
【0149】
[走行パターン2]
走行パターン2では、加速時において車速がV1以上かつV2未満の中速域のときに、切替部(図1、図2の23に相当)においてHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)とし、原則的には2WD走行とするが、スリップ、加速アシスト、旋回等の所定の条件を検出したときのみ、モータジェネレータ(図1の21に相当)をON(駆動)として4WD走行とする。ここで、走行パターン2において切替部(図1、図2の23に相当)のLo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)にしているのは、スリップ等の所定の条件を検出した時に4WDの応答性の遅れがないようにする(モータジェネレータ21を通電するだけで4WD走行とする)ためであり、4WDにする必要がないときにはモータジェネレータ(図1の21に相当)の消費電力を低減させるためである。なお、V2はV1よりも大きい値である。
【0150】
[走行パターン3]
走行パターン3では、加速時において車速がV2以上の高速域のときに、切替部(図1、図2の23に相当)においてHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)とし、常時2WD走行とする。ここで、切替部(図1、図2の23に相当)のブレーキ(図2の23a、23bに相当)をOFF(断)としているのは、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)の引き摺りトルクを低減させるためである。
【0151】
[走行パターン4]
走行パターン4では、減速時において車速がV3以上(V2>V3>V1)のときに、切替部(図1、図2の23に相当)においてHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)とし、常時2WD走行とする。なお、V3は、V2近傍での走行による頻繁な動力の断接(ON/OFF)を防ぐために、V2より低く設定する。
【0152】
[走行パターン5]
走行パターン5では、減速時において車速がV3未満(V3〜停止)のときに、切替部(図1、図2の23に相当)においてHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をON(回生)とする。
【0153】
[走行パターン6]
走行パターン6では、車両が停止しているときに、切替部(図1、図2の23に相当)においてHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をON(接)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)とする。これにより、パーキング、ヒルホールドとなる。
【0154】
[走行パターン7]
走行パターン7では、車速に関わらず、切替部(図1、図2の23に相当)においてHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)とする。これにより、ニュートラルとなる。
【0155】
なお、比較例1として、閾値が2個で高速域近傍で走行した場合に、頻繁な切替部(図1、図2の23に相当)のブレーキ(図2の23a、23b)での断接を行う可能性があり、切替部の耐久性が問題となる。
【0156】
比較例2として、特許文献4のように、モータ駆動専用のバッテリを持たないエンジン・モータ複合型の四輪駆動装置(モータ駆動用バッテリを持つ四輪駆動装置:特許文献1)において2WDと4WDとの間の切替スイッチを持ち、切替スイッチON時は必要に応じて(発進・登坂走行時のように走行負荷の大きい場合)モータを制御し四輪駆動とし、表1のように9パターンの走行モードをもつものでは、4WDスリップ走行制御モードが走行パターンNo.1〜4までの間でのみ対応となっており(その他の走行パターンだとクラッチOFFとなっておりスリップ検出後にすぐにトルク伝達ができない)、車速V1の閾値が小さいと4WD走行範囲が狭くなり低速、中速域で4WD走行ができない(特許文献4の[0047]に『発進後、通常の低中速走行では、モータは駆動させず』と記載有)。逆に車速V1の閾値を大きくするとモータ消費電力が多くなる。
【0157】
[表1]

【0158】
次に、本発明の実施例2に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作について図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施例2に係る車両駆動装置における電子制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
【0159】
まず、電子制御装置(図1の30に相当)は、シフトポジションがDレンジにあるか否かを判定する(ステップB1)。なお、Dレンジにあるか否かの判定は、例えば、シフトレバーの位置を検出するセンサで検出されたシフトポジションがDレンジになっているかで判定することができる。Dレンジでない場合(ステップB1のNO)、スタートに戻る。
【0160】
Dレンジである場合(ステップB1のYES)、電子制御装置(図1の30に相当)は、車両が停止しているか否かを判定する(ステップB2)。なお、停止しているか否かは、車速センサが0であるか否かで判定できる。停止していない場合(ステップB2のNO)、ステップB4に進む。
【0161】
停止している場合(ステップB2のYES)、電子制御装置(図1の30に相当)は、切替部(図1、図2の23に相当)におけるHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をON(接)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)とし(ステップB3)、その後、スタートに戻る。これにより、ヒルホールドとなる。
【0162】
停止していない場合(ステップB2のNO)、電子制御装置(図1の30に相当)は、車両が加速中であるか否かを判定する(ステップB4)。なお、加速中か否かの判定は、車速センサで検出された車速の所定時間当たりの変化量がプラスか否かにより判定することができる。加速中でない場合(ステップB4のNO)、ステップB11に進む。
【0163】
加速中である場合(ステップB4のYES)、電子制御装置(図1の30に相当)は、車速がV1より小さいか否かを判定する(ステップB5)。車速がV1より小さくない場合(ステップB5のNO)、ステップB7に進む。
【0164】
車速がV1より小さい場合(ステップB5のYES)、又は、所定の状態を検出した場合(ステップB8のYES)、電子制御装置(図1の30に相当)は、切替部(図1、図2の23に相当)におけるHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をON(前進駆動)とし、4WD駆動とし(ステップB6;図8の走行パターン1又は2)、その後、スタートに戻る。
【0165】
車速がV1より小さくない場合(ステップB5のNO)、電子制御装置(図1の30に相当)は、車速がV2より小さいか否かを判定する(ステップB7)。車速がV2より小さくない場合(ステップB7のNO)、ステップB10に進む。
【0166】
車速がV2より小さい場合(ステップB7のYES)、電子制御装置(図1の30に相当)は、所定の状態(スリップ、加速アシスト、旋回等)を検出したか否かを判定する(ステップB8)。なお、所定の状態は、例えば、スリップであればモータジェネレータ(図3の21に相当)の出力軸(図3の51に相当)の回転速度を検出するセンサ(図3の16に相当)の検出値の変化が所定値以上のときにスリップと判定し、加速アシストであれば路面勾配を検出するセンサの検出値が所定値以上のときに加速アシストが必要であると判定し、旋回であればハンドルの位置を検出する位置が所定値以上のときに旋回と判定する。所定の状態を検出した場合(ステップB8のYES)、ステップB6に進む。
【0167】
所定の状態を検出しない場合(ステップB8のNO)、電子制御装置(図1の30に相当)は、切替部(図1、図2の23に相当)におけるHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)とし、2WDとし(ステップB9;図8の走行パターン2)、その後、スタートに戻る。
【0168】
車速がV2より小さくない場合(ステップB7のNO)、電子制御装置(図1の30に相当)は、切替部(図1、図2の23に相当)におけるHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)をOFF(非駆動)とし、常時2WD走行とし(ステップB10;図8の走行パターン3)、その後、スタートに戻る。
【0169】
加速中でない場合(ステップB4のNO)、電子制御装置(図1の30に相当)は、車速がV3以上であるか否かを判定する(ステップB11)。車速がV3以上でない場合(ステップB11のNO)、ステップB13に進む。
【0170】
車速がV3以上である場合(ステップB12のYES)、電子制御装置(図1の30に相当)は、切替部(図1、図2の23に相当)におけるHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をOFF(断)とし、モータジェネレータ(図1の21)をOFF(非駆動)とし、常時2WD走行とし(ステップB12;図8の走行パターン4)とし、その後、スタートに戻る。
【0171】
車速がV3以上でない場合(ステップB11のNO)、電子制御装置(図1の30に相当)は、切替部(図1、図2の23に相当)におけるHi側のブレーキ(図2の23aに相当)をOFF(断)とし、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)をON(接)とし、モータジェネレータ(図1の21)をON(回生)とし、4WD回生走行とし(ステップB13;図8の走行パターン5)、その後、スタートに戻る。
【0172】
実施例2によれば、実施例1と同様に、後輪駆動装置20において出力シャフト80、84に対しモータジェネレータ21、減速部22、差動部24が軸方向に並べて配置(一軸配置)されているので、後輪駆動装置20の出力シャフト80、84の回転軸の径方向に対して小型化が可能となり、車両搭載性が向上し、車両室内空間を確保することができる。また、後輪駆動装置20の出力シャフト80、84の回転軸の径方向に対して小型化が可能となるため、最低地上高が低い低床用のハイブリッド車両、電気自動車に搭載することが可能となる。また、径方向で一番サイズの大きくなる要因であるモータジェネレータ21を小型化するため出力トルクが小さいものを選択し、減速部22(段付プラネタリ減速部)の高減速比とすることで、小型化しても駆動トルクを稼ぐことができる。
【0173】
また、実施例2によれば、速度域に応じて走行パターンを制御(モータジェネレータ21及び切替部23を制御)するため、4WD性能を確保しつつ、引き摺りトルク低減(切替部23の制御による)、モータ消費電力低減(モータジェネレータ21の制御による)が可能となり、燃費を向上させることができる。車速を3つの閾値を用いて、モータジェネレータ(図1、図2の21に相当)、切替部(図1、図2の23に相当)を制御しており、発進時から低速時(モータジェネレータ21をON、切替部23のLo側のブレーキ23bを接)には常時4WD走行となり、中速域(モータジェネレータ21を原則OFF、切替部23を接)ではスリップ、加速アシスト、旋回等の所定の条件でのみ4WD走行とし、高速域(モータジェネレータ21をOFF、切替部23のブレーキ23a、23bを断)では2WD走行とすることで、走行性能を向上させることができる。
【実施例3】
【0174】
本発明の実施例3に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。図10は、本発明の実施例3に係る車両駆動装置の構成を模式的に示した概略図である。
【0175】
実施例3は、実施例1の変形例であり、実施例1における前輪(図1の12、13)の駆動に係る構成部(図1のエンジン2、モータジェネレータ3、4、変速機5、差動装置6、インバータ7、8)を廃止し、電子制御装置30´においてエンジンコントローラ(図1の32)を廃止したものである。実施例3では、走行状態の全車速において加速・減速に関わらず2WD走行であり、車速V未満で加速・減速に関わらず減速部22をLoギヤ(切替部23においてブレーキ(図2の23aに相当)が断、ブレーキ(図2の23bに相当)が接)とし、車速V以上で加速・減速に関わらず減速部22をHiギヤ(切替部23においてブレーキ(図2の23aに相当)が接、ブレーキ(図2の23bに相当)が断)とし、加速中ではモータジェネレータ21をON(駆動)とし、減速中ではモータジェネレータ21をON(回生)とし、停止しているときはモータジェネレータ21をOFF(非駆動)、切替部23においてHi側の(ブレーキ(図2の23aに相当)を接、かつ、Lo側のブレーキ(図2の23bに相当)を接とするように、モータジェネレータ21及び切替部23を制御することで、走行パターンを制御する。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0176】
実施例3によれば、実施例1と同様な効果を奏する。
【実施例4】
【0177】
本発明の実施例4に係る車両駆動装置について図面を用いて説明する。図11は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置の構成を模式的に示した概略図である。図12は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示したスケルトン図である。図13は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の構成を模式的に示した径方向の断面図である。図14は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の切替部の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。図15は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置における後輪駆動装置の切替部の動作を模式的に示した周方向の部分断面図である。図16は、本発明の実施例4に係る車両駆動装置の走行パターンを模式的に示した表である。
【0178】
実施例4は、実施例2の変形例であり、実施例2の切替部(図1、2の23に相当)におけるHi側のブレーキ(図2の23a)に関する構成(図4のリングギヤ53、カムプレート59、ウェーブスプリング60、摩擦プレート61、62)を廃止した切替部23´としたものである(図11〜図15参照)。また、実施例4では、Hi側のブレーキ(図2の23a)に関する構成を廃止したことにより、実施例2の走行パターン6(図8参照;パーキング、ヒルホールド)がなくなる(図16参照)。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0179】
実施例4によれば、実施例2と同様な効果を奏する。
【0180】
なお、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0181】
1 車両駆動装置
2 エンジン
3、4 モータジェネレータ
5 変速機
6 差動装置
7、8、9 インバータ
10 昇降圧コンバータ
11 バッテリ
12、13 前輪
14、15 後輪
16 センサ
20 後輪駆動装置
21 モータジェネレータ(モータ)
22 減速部
23、23´ 切替部
23a ブレーキ(第1ブレーキ)
23b ブレーキ(第2ブレーキ)
24 差動部
30、30´ 電子制御装置
31 メインコントローラ
32 エンジンコントローラ
33 モータジェネレータコントローラ
34 アクチュエータコントローラ
41、42、43、44 ハウジング
42a ガイド穴部
45、46 ボルト
47 ステータ
48 ホルダ
49 ボルト
50 ロータ
51 出力軸
51a サンギヤ部(第1サンギヤ)
52 ピニオンギヤ部材
52a 大径ピニオンギヤ部(第1ピニオンギヤ)
52b 小径ピニオンギヤ部(第2ピニオンギヤ)
53 リングギヤ(第1リングギヤ)
54 リングギヤ(第2リングギヤ)
55 キャリア(第1キャリア)
56 キャリア
55a リングギヤ部(第3リングギヤ)
58 カムギヤ(カム機構)
58a 凸部(第1凸部)
58b 凸部(第2凸部)
58c ギヤ部
59 カムプレート(カム機構、第1カムギヤ)
59a 凹部(第1凹部)
60 ウェーブスプリング(カム機構、第1スプリング)
61、62 摩擦プレート
63 カムプレート(カム機構、第2カムプレート)
63a 凹部(第2凹部)
64 ウェーブスプリング(カム機構、第2スプリング)
65、66 摩擦プレート
67 アクチュエータ
69 支持部材
70 ボルト
71 固定子
72 ボルト
73 回転子
75 ピニオンギヤ(第3ピニオンギヤ)
76 ピニオンギヤ(第4ピニオンギヤ)
77 キャリア(第2キャリア)
78 キャリア
79 サンギヤ(第2サンギヤ)
80 出力シャフト
81 継手部材
82 ナット部材
83 シール
84 出力シャフト
85 継手部材
86 ナット部材
87 シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動力を出力するモータと、
前記モータからの回転動力を減速して出力するとともに減速比が切り替え可能な減速部と、
前記減速部からの回転動力を一対の車輪に向けて分配して出力する差動部と、
前記減速部の減速比を切り替える切替部と、
を備え、
前記モータ、前記減速部、及び前記差動部は、前記車輪の車軸方向の一軸上に並べて配置されることを特徴とする車両駆動装置。
【請求項2】
前記切替部は、前記減速部に対して前記車輪の車軸を中心とする径方向外側に配設されることを特徴とする請求項1記載の車両駆動装置。
【請求項3】
前記減速部は、
前記モータの回転動力が入力されるサンギヤと、
前記サンギヤの外周にて公転可能に前記サンギヤと噛合う第1ピニオンギヤと、
前記サンギヤから外周に離間して配されるとともに、前記第1リングギヤと噛合う第1リングギヤと、
前記第1ピニオンギヤと一体に回転するとともに、前記第1ピニオンギヤの径よりも小さい第2ピニオンギヤと、
前記第1リングギヤから軸方向にずれて配されるとともに、前記第2リングギヤと噛合う第2リングギヤと、
前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤを回転可能に支持するとともに、前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤが公転したときの回転動力を前記差動部に向けて出力する第1キャリアと、
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の車両駆動装置。
【請求項4】
前記切替部は、
前記第1リングギヤの回転を止めることが可能な第1ブレーキと、
前記第2リングギヤの回転を止めることが可能な第2ブレーキと、
を備えることを特徴とする請求項3記載の車両駆動装置。
【請求項5】
前記切替部は、
前記第1ブレーキ及び前記第2ブレーキの動作状態を切り替えるカム機構と、
前記カム機構を操作するアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項4記載の車両駆動装置。
【請求項6】
前記カム機構は、
前記アクチュエータの操作に応じて回転するとともに、前記第1ブレーキ側の面、及び、前記第2ブレーキ側の面のそれぞれに第1凸部及び第2凸部を有するカムギヤと、
前記第1ブレーキと前記カムギヤとの間にて回転不能かつ軸方向移動可能に配されるとともに、前記第1凸部が入ることが可能な第1凹部を有する第1カムプレートと、
前記第1ブレーキと前記第1カムプレートとの間に配されるとともに、前記第1カムプレートを前記カムギヤ側に付勢する第1スプリングと、
前記第2ブレーキと前記カムギヤとの間にて回転不能かつ軸方向移動可能に配されるとともに、前記第2凸部が入ることが可能な第2凹部を有する第2カムプレートと、
前記第2ブレーキと前記第2カムプレートとの間に配されるとともに、前記第2カムプレートを前記カムギヤ側に付勢する第2スプリングと、
を備えることを特徴とする請求項5記載の車両駆動装置。
【請求項7】
前記カム機構は、
前記第1凸部を前記第1凹部に入れず、かつ、前記第2凸部を前記第2凹部に入れないことによって、前記第1ブレーキを係合とし、かつ、前記第2ブレーキを係合とするパーキング状態と、
前記第1凸部を前記第1凹部に入れ、かつ、前記第2凸部を前記第2凹部に入れないことによって、前記第1ブレーキを非係合とし、かつ、前記第2ブレーキを係合とするLoギヤ状態と、
前記第1凸部を前記第1凹部に入れ、かつ、前記第2凸部を前記第2凹部に入れることによって、前記第1ブレーキを非係合とし、かつ、前記第2ブレーキを非係合とするニュートラル状態と、
前記第1凸部を前記第1凹部に入れず、かつ、前記第2凸部を前記第2凹部に入れることによって、前記第1ブレーキを係合とし、かつ、前記第2ブレーキを非係合とするHi状態と、
に切り替え可能であることを特徴とする請求項6記載の車両駆動装置。
【請求項8】
前記カム機構は、前記カムギヤが一定方向に回転したときに、前記パーキング状態、前記Loギヤ状態、前記ニュートラル状態、前記Hiギヤ状態の順に切り替えることを特徴とする請求項6記載の車両駆動装置。
【請求項9】
前記モータは、発電可能なモータジェネレータであり、
放電及び蓄電可能なバッテリと、
前記モータの動作を制御するインバータと、
前記バッテリの電力を昇圧して前記インバータを介して前記モータに供給する機能と、前記モータで発電した電力を前記インバータを介して降圧して前記バッテリに供給する機能とを有する昇降圧コンバータと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の車両駆動装置。
【請求項10】
前記モータ及び前記減速部を制御する電子制御装置を備えることを特徴とする請求項9記載の車両駆動装置。
【請求項11】
前記電子制御装置は、
車速が予め設定された閾値未満であるときに前記Loギヤ状態となるように制御し、
車速が前記閾値以上であるときに前記Hiギヤ状態となるように制御し、
加速時に前記モータを駆動とし、
減速時に前記モータを回生とし、
停止時に前記パーキング状態となるように制御することを特徴とする請求項10記載の車両駆動装置。
【請求項12】
前記一対の車輪は、前輪及び後輪の一方の車輪であり、
回転動力を出力する1又は複数の動力源と、
前記動力源からの回転動力を変速して出力する変速機と、
前記変速機からの回転動力を前記前輪及び前記後輪の他方の一対の車輪に向けて分配して出力する差動装置と、
を備え、
前記電子制御装置は、前記動力源の動作も制御することを特徴とする請求項10記載の車両駆動装置。
【請求項13】
前記電子制御装置は、
加速時において車速が第1閾値未満である低速域のときに前記Loギヤ状態、及び、前記モータを駆動として、4輪駆動走行となるように制御し、
加速時において車速が前記第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である中速域のときに前記Loギヤ状態、及び、前記モータを非駆動として2輪駆動走行とし、所定の条件が満たされたときのみ、前記Loギヤ状態、及び、前記モータを駆動として4輪駆動走行となるように制御し、
加速時において車速が前記第2閾値以上である高速域のときに前記ニュートラル状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御し、
停止時に前記パーキング状態となるように制御することを特徴とする請求項12記載の車両駆動装置。
【請求項14】
前記電子制御装置は、
減速時において車速が、前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2閾値よりも小さい第3閾値以上のときに前記ニュートラル状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御し、
減速時において車速が前記第3閾値未満のときに、前記Loギヤ状態、及び、前記モータを回生とするように制御することを特徴とする請求項12又は13記載の車両駆動装置。
【請求項15】
前記減速部は、
前記モータの回転動力が入力される第1サンギヤと、
前記サンギヤの外周にて公転可能に前記サンギヤと噛合う第1ピニオンギヤと、
前記第1ピニオンギヤと一体に回転するとともに、前記第1ピニオンギヤの径よりも小さい第2ピニオンギヤと、
前記第2ピニオンギヤと噛合う第2リングギヤと、
前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤを回転可能に支持するとともに、前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤが公転したときの回転動力を前記差動部に向けて出力する第1キャリアと、
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の車両駆動装置。
【請求項16】
前記切替部は、前記第2リングギヤの回転を止めることが可能な第2ブレーキを備えることを特徴とする請求項15記載の車両駆動装置。
【請求項17】
前記切替部は、
前記第2ブレーキの動作状態を切り替えるカム機構と、
前記カム機構を操作するアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項16記載の車両駆動装置。
【請求項18】
前記カム機構は、
前記アクチュエータの操作に応じて回転するとともに、前記第2ブレーキ側の面に第2凸部を有するカムギヤと、
前記第2ブレーキと前記カムギヤとの間にて回転不能かつ軸方向移動可能に配されるとともに、前記第2凸部が入ることが可能な第2凹部を有する第2カムプレートと、
前記第2ブレーキと前記第2カムプレートとの間に配されるとともに、前記第2カムプレートを前記カムギヤ側に付勢する第2スプリングと、
を備えることを特徴とする請求項17記載の車両駆動装置。
【請求項19】
前記カム機構は、
前記第2凸部を前記第2凹部に入れないことによって前記第2ブレーキを係合とするLoギヤ状態と、
前記第2凸部を前記第2凹部に入れることによって前記第2ブレーキを非係合とするニュートラル状態と、
に切り替え可能であることを特徴とする請求項18記載の車両駆動装置。
【請求項20】
前記モータは、発電可能なモータジェネレータであり、
放電及び蓄電可能なバッテリと、
前記モータの動作を制御するインバータと、
前記バッテリの電力を昇圧して前記インバータを介して前記モータに供給する機能と、前記モータで発電した電力を前記インバータを介して降圧して前記バッテリに供給する機能とを有する昇降圧コンバータと、
を備えることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか一に記載の車両駆動装置。
【請求項21】
前記モータ及び前記減速部を制御する電子制御装置を備えることを特徴とする請求項20記載の車両駆動装置。
【請求項22】
前記一対の車輪は、前輪及び後輪の一方の車輪であり、
回転動力を出力する1又は複数の動力源と、
前記動力源からの回転動力を変速して出力する変速機と、
前記変速機からの回転動力を前記前輪及び前記後輪の他方の一対の車輪に向けて分配して出力する差動装置と、
を備え、
前記電子制御装置は、前記動力源の動作も制御することを特徴とする請求項21記載の車両駆動装置。
【請求項23】
前記電子制御装置は、
加速時において車速が第1閾値未満である低速域のときに前記Loギヤ状態、及び、前記モータを駆動として、4輪駆動走行となるように制御し、
加速時において車速が前記第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である中速域のときに前記Loギヤ状態、及び、前記モータを非駆動として2輪駆動走行とし、所定の条件が満たされたときのみ、前記Loギヤ状態、及び、前記モータを駆動として4輪駆動走行となるように制御し、
加速時において車速が前記第2閾値以上である高速域のときに前記ニュートラル状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御することを特徴とする請求項22記載の車両駆動装置。
【請求項24】
前記電子制御装置は、
減速時において車速が、前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2閾値よりも小さい第3閾値以上のときに前記ニュートラル状態、及び、前記モータを非駆動として、2輪駆動走行となるように制御し、
減速時において車速が前記第3閾値未満のときに、前記Loギヤ状態、及び、前記モータを回生とするように制御することを特徴とする請求項22又は23記載の車両駆動装置。
【請求項25】
前記差動部は、
前記第1キャリヤと一体に回転する第3リングギヤと、
前記第3リングギヤの内周にて公転可能に前記第3リングギヤと噛合う第3ピニオンギヤと、
前記一対の車軸の一方と一体に回転する第2サンギヤと、
前記第2サンギヤの外周にて公転可能に前記第2サンギヤと噛合う第4ピニオンギヤと、
前記第3ピニオンギヤ及び前記第4ピニオンギヤを回転可能に支持するとともに、前記第3ピニオンギヤ及び前記第4ピニオンギヤが公転したときの回転動力を前記一対の車軸の他方に向けて出力する第2キャリアと、
を備えることを特徴とする請求項3又は15記載の車両駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−240471(P2012−240471A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110091(P2011−110091)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】