説明

車体強度部材部構造

【課題】主に、車体強度部材の低剛性化や軽量化などを図り、また、部品精度を高められるようにする。
【解決手段】車体強度部材本体43が、運転席側に位置する運転席側部分44と、助手席側に位置する助手席側部分45とを有し、運転席側部分44が、運転席内側部46と運転席外側部47とを有し、運転席内側部46に、ステアリングコラム16を、前後2箇所の位置で取付可能な、コラム前部取付部52とコラム後部取付部53とが設置された車体強度部材構造であって、運転席内側部46が、強度部材部61の後部に、部品等を取付可能な部品等取付部62を有し、強度部材部61に、部品等取付部62が、一体形成され、部品等取付部62に対し、コラム後部取付部53が一体に設けられるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体強度部材部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、乗員が乗車するための車室が設けられている。そして、この車室内の前部には、後述するような車体強度部材が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、主に図24、図25に示すように、車室1は、その前部に、エンジンルームとの間を仕切る前壁2と、左右の側壁3と、床部4とを有している。このような車室1の前部に対して、インストルメントパネル5が取付けられる。そして、このインストルメントパネル5の内部に、上記した車体強度部材6が配設される。この車体強度部材6は、クロスカービーム、または、ステアリングサポートメンバなどと呼ばれている。
【0004】
そして、この車体強度部材6は、ほぼ車幅方向7へ延びて、横梁としての機能を有する車体強度部材本体8を有している。この車体強度部材本体8は、通常、鉄製の丸パイプによって構成されている。
【0005】
そして、この車体強度部材本体8は、運転席側に位置する運転席側部分11と、助手席側に位置する助手席側部分12とを有している。この場合、要求される剛性の違いから、高い剛性が必要な運転席側部分11には、相対的に径の太い丸パイプが使用され、運転席側部分11ほどの剛性が必要でない助手席側部分12には、相対的に径の細い丸パイプが使用されている。助手席側部分12は運転席側部分11と同じかそれよりも長くなるように形成されている。なお、この場合には、左ハンドル車の例となっているため、運転席側部分11が図中左側に位置し、助手席側部分12が図中右側に位置している。これに対し、右ハンドル車の場合には、特に、図示はしないが、運転席側部分11が図中右側に位置し、助手席側部分12が図中左側に位置することになる。
【0006】
そして、運転席側部分11と助手席側部分12とは、溶接によって接合されている。例えば、図26、図27に示す車体強度部材6の場合には、運転席側部分11の内端部と、助手席側部分12の内端部との境界部分には、径寸法の違いを吸収して段差なく接合を行わせるためのテーパ状をした短筒状の接続用部材13が介在され、この接続用部材13の両側に、運転席側部分11と助手席側部分12とがそれぞれ接合(溶接)されている。
【0007】
この車体強度部材本体8の両端部には、車室1の左右の側壁3に対して締結固定するためのサイドブラケット14が、ほぼ面直状態で溶接されている。このサイドブラケット14は、左右の側壁3と平行なほぼ平板状の鉄板部材で構成されている。
【0008】
また、上記した運転席側部分11の(中央部の)下方には、ほぼ車両前後方向15へ延びるステアリングコラム16(図25参照)が配設される。ステアリングコラム16は、水平方向に対して、後上がりとなるように傾斜配置されている。ステアリングコラム16の前端部は、特に図示しないが、車室1の前壁2を貫通して、前方のエンジンルーム内へと延設されている。また、ステアリングコラム16の後端部には、乗員が操作するためのステアリングホイール17が取付けられている。
【0009】
このステアリングコラム16は、この運転席側部分11に対し、前後2箇所の位置でコラム取付部に締結固定される。
【0010】
そのために、運転席側部分11には、コラム取付部として、コラム前部取付ブラケット21などのコラム前部取付部と、コラム後部取付ブラケット22などのコラム後部取付部とが、前後に溶接固定されている。なお、コラム前部取付ブラケット21およびコラム後部取付ブラケット22は、ステアリングコラム16の両側部の位置に対して、それぞれ、左右一対の状態で設けられている(図26参照)。
【0011】
このうち、コラム前部取付ブラケット21は、特に詳しくは図示しないが、ほぼ上方に開いたほぼハット状(或いはコ字状などとしても良い)の断面形状を有するように曲げ加工された鉄板部材で構成されている。また、図28に示すように、このコラム前部取付ブラケット21の後部には、側面視で、運転席側部分11の前側部分に対し当接すると共に溶接固定可能な円弧状の切欠部23(当接部)が形成されている。
【0012】
同様に、コラム後部取付ブラケット22は、図29、図30に示すように、ほぼ上方に開いたほぼコ字状(或いはハット状などとしても良い)の断面形状を有するように曲げ加工された鉄板部材で構成されている。また、図28に示すように、このコラム後部取付ブラケット22の上部前側部分には、側面視で、運転席側部分11の後側部分に対し当接すると共に溶接固定可能な円弧状の切欠部24(当接部)が形成されている。
【0013】
このコラム後部取付ブラケット22の上部後側部分には、上方に配設される計器装置25との干渉を防止するための座繰部26が形成されている。そして、必要に応じて、図29、図30に示すように、座繰部26には、上部の開放部分を閉じて、より剛性の高いボックス構造に近付けるための蓋部材27が取付けられる。この蓋部材27は、左右別々に設けるようにしても良いが、必要に応じて、一体の連結部28によって左右連結するようにしても良い。
【0014】
また、図25に示すように、車室1の前壁2と、運転席側部分11およびコラム前部取付ブラケット21との間には、車体強度部材本体8の捩れ39を防止可能なポストブラケット31が介装される。このポストブラケット31は、側面視で、後方へ向けて分岐されたほぼ二股形状、または、中間部で屈曲された側面視ほぼ「く」字形状を呈している。このポストブラケット31は、中間部が車室1の前壁2に対して締結固定されると共に、二股形状の両端部が運転席側部分11およびコラム前部取付ブラケット21に対して溶接などによって固定される。このポストブラケット31は、L型またはC型の断面形状を有するように曲げ形成された鉄板部材によって構成されている。
【0015】
更に、図24に示すように、運転席側部分11と助手席側部分12との境界部分の周辺には、車体強度部材本体8を車室1の床部4に支持可能なステー33,34が配設されている。このステー33,34は、ほぼ上下方向へ延びると共に、その下端部が、車室1の床部4に対して、直接又は間接的に締結固定され、また、その上端部が、車体強度部材本体8の下半部に対して溶接固定される。ステー33,34は、図27に示すように、上端側などが前方に若干屈曲されることにより、下端部が、上端部よりも若干後方に位置されるように構成されている。このステー33,34は、運転席側部分11または助手席側部分12の少なくとも一方に設けられる。この場合、運転席側部分11にステー33が設けられ、助手席側部分12にステー34が設けられている。このステー33,34は、車幅方向7の一側に開いたほぼコ字状の断面形状を有するように曲げ加工された鉄板部材によって構成されている。
【0016】
このような構成によれば、運転席側部分11を構成する相対的に径の太い丸パイプと、助手席側部分12を構成する相対的に径の細い丸パイプとを(接続用部材13を介するなどして)、溶接して車体強度部材本体8を構成する。
【0017】
この車体強度部材本体8に対し、サイドブラケット14と、コラム前部取付ブラケット21と、コラム後部取付ブラケット22と、ポストブラケット31と、ステー33,34とを溶接固定する。また、必要に応じ、上記コラム後部取付ブラケット22に対して、蓋部材27を取付ける。また、連結部28によって連結された蓋部材27を取付けることにより、左右のコラム後部取付ブラケット22間を連結させるようにする。
【0018】
以上により、車体強度部材6が予め構成される。
【0019】
次に、予め構成された車体強度部材6を、車室1の前部に設置する。
【0020】
車体強度部材6の設置は、先ず、車室1の左右の側壁3間で且つ床部4の上方に車体強度部材6を配置して、ステー33,34によって車体強度部材本体8の中間部を床部4に仮支持させた状態にする。
【0021】
そして、サイドブラケット14を利用して車体強度部材本体8の両端部を左右の側壁3に締結固定する。また、ステー33,34の下端部を床部4に締結固定する。更に、ポストブラケット31の中間部を前壁2に締結固定する。
【0022】
こうして、車体強度部材6が設置されたら、車体強度部材本体8の運転席側部分11の下方に配置されたステアリングコラム16を、コラム前部取付ブラケット21とコラム後部取付ブラケット22とを利用して前後2箇所の位置で、運転席側部分11に締結固定する。
【0023】
最後に、車室1の前部にインストルメントパネル5を取付け、インストルメントパネル5によって車体強度部材6が外部から見えないように覆い隠すようにする。
【0024】
そして、図示しないエンジンを起動すると、エンジンの振動が、ステアリングコラム16を介してステアリングホイール17に伝達される。
【0025】
このステアリングコラム16およびステアリングホイール17の振動は、コラム前部取付ブラケット21とコラム後部取付ブラケット22とを介して車体強度部材本体8へと伝えられる。そして、車体強度部材本体8に伝えられた、振動などの入力は、ステー33を介し床部4へ伝えられて、床部4がこれを受けることにより、図24に仮想線で示すような、車体強度部材本体8の撓み38(上下方向の曲げ)が防止される。また、車体強度部材本体8に伝えられた、振動などの入力は、ポストブラケット31を介し前壁2へ伝えられて、前壁2がこれを受けることにより、図25に矢印で示すような、車体強度部材本体8の捩れ39が防止される。
【特許文献1】特許第3734651号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかしながら、上記車体強度部材部構造には、以下のような問題があった。
【0027】
即ち、生産性の向上や、低コスト化などの要請などから、車体強度部材本体8には鉄製の丸パイプが用いられ、また、コラム前部取付ブラケット21や、コラム後部取付ブラケット22や、ステー33,34などには鉄板部材が用いられている。
【0028】
そして、必要な剛性を出すために、上記鉄板部材は、コ字状、或いは、ハット状などの断面形状を有するように曲げ加工されている。
【0029】
しかし、上記した鉄板部材の剛性が十分に確保できないような場合には、鉄板部材の板厚を増加して対応しなければならず、これによって、車体強度部材6の重量増加を招くという問題があった。
【0030】
特に、コラム後部取付ブラケット22の場合、図28に示すように、上方に配設される計器装置25との干渉を防止するために座繰部26が設けられることから、座繰部26の部分の断面係数が小さくなっているので、図29、図30に示すように、蓋部材27を取付けてボックス構造とし、剛性向上を図るようにしている。また、左右の蓋部材27間を連結部28で連結することによって、入力を分散させ得るようにしている。しかし、このような蓋部材27や連結部28による連結だけでは、大幅な剛性向上を望むことが難しいので、板厚を増加して対応せざるを得ず、重量増加の一因となっていた。
【0031】
また、上記した各鉄板部材は、車体強度部材本体8に対して溶接固定されるので、溶接部分についても所要の接合剛性が得られるようにする必要がある。
【0032】
しかし、鉄板部材と車体強度部材本体8との間の溶接部分は、溶接歪による寸法精度の悪化を避けるために、例えば、コラム後部取付ブラケット22の場合には、図28に示すように、切欠部24(当接部)の全域を溶接するのではなく、スポット溶接や、より狭い範囲への溶接などで済ませるようにしているので(部分溶接部24a)、溶接部分の剛性確保についても、必ずしも十分であるとは言えなかった。
【0033】
更に、コラム後部取付ブラケット22と、ステー33とは、車体強度部材本体8の後部に対し、車幅方向7に離れた位置に、それぞれ別個独立状態で取付けられていたので、相互に協働関係や連携関係などは存在していなかった。そのため、ステアリングコラム16からの振動などの入力は、一旦、車体強度部材本体8へ伝えられた後、車体強度部材本体8を介して、ステー33やポストブラケット31などへと伝えられ、ステー33から床部4へ、また、ポストブラケット31から前壁2へとそれぞれ伝達されることになるので、車体強度部材本体8は、剛性を上げるために、断面を拡大したり厚肉にするなどの必要が生じていた。そのため、車体強度部材6の重量増加が避けられなかった。
【0034】
更に、車体強度部材6は、上記したように、(比較的大型の)溶接構造物とされていたので、取扱いが難しく、また、上記したような溶接歪などによって部品精度を高くするのが難しかった。
【0035】
なお、上記した以外にも、本発明に至る過程で新たな問題やその他の問題などが発生することも考えられるが、そのようなものについては、本発明の実施例の中で説明することによって、この欄での記載に代えることができるものとする。但し、必要な場合には、この欄に流用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、車室の前部に、車体強度部材が配設され、車体強度部材が、ほぼ車幅方向へ延びて、横梁としての機能を有する車体強度部材本体を有し、車体強度部材本体が、運転席側に位置する運転席側部分と、助手席側に位置する助手席側部分とを有し、運転席側部分が、運転席内側部と運転席外側部とを有し、運転席内側部の運転席外側部寄りの部分に、ほぼ車両前後方向へ延びるステアリングコラムを、前後2箇所の位置で取付可能な、コラム前部取付部とコラム後部取付部とが設置され、運転席内側部の助手席側部分寄りの部分に、車体強度部材本体を車室の床部に支持可能なステーが配設された車体強度部材部構造において、運転席内側部が、横梁の一部を構成可能な強度部材部の後部に、部品等を取付可能な部品等取付部を有し、強度部材部に、部品等取付部が、一体形成され、部品等取付部に対し、コラム後部取付部が一体に設けられたことを特徴としている。
【0037】
請求項2に記載された発明は、上記において、部品等取付部が、強度部材部に沿って助手席側部分との境界部分まで一体に延設されることにより、部品共通取付部とされ、部品共通取付部に対し、ステーを取付可能なステー取付部が一体に設けられたことを特徴としている。
【0038】
請求項3に記載された発明は、上記において、強度部材部の前側に、コラム前部取付部が配設されると共に、コラム前部取付部が、強度部材部の前面と下面との2面に対して取付可能な2面対応取付面部を有して取付けられることを特徴としている。
【0039】
請求項4に記載された発明は、上記において、ステーが、その上端部に、ステー取付部と、強度部材部との2部分の下面間に跨って支持可能な2部分同時支持部を有すると共に、ステー取付部と、強度部材部との下面に、2部分同時支持部によって支持される2部分同時被支持部が形成されたことを特徴としている。
【0040】
請求項5に記載された発明は、上記において、強度部材部の前側に、コラム前部取付部が、一体形成されたことを特徴としている。
【0041】
請求項6に記載された発明は、上記において、強度部材部の前側に一体形成されたコラム前部取付部が、強度部材部に沿ってステー取付部の位置まで一体に延長形成され、ステーが、その上端部に、ステー取付部と、強度部材部と、コラム前部取付部の延長部分との3部分の下面間に跨って支持可能な3部分同時支持部を有すると共に、ステー取付部と、強度部材部と、コラム前部取付部の延長部分との下面に、3部分同時支持部によって支持される3部分同時被支持部が形成されたことを特徴としている。
【0042】
請求項7に記載された発明は、上記において、運転席内側部が、運転席外側部、および、助手席側部分とは、別体の連結部材として構成されると共に、連結部材が、運転席外側部を連結可能な第一の連結部と、助手席側部分を連結可能な第二の連結部とを有することを特徴としている。
【0043】
請求項8に記載された発明は、上記において、連結部材が、ほぼ車両前後方向に並設された少なくとも3つのブロックを備え、各ブロックが、それぞれほぼ車幅方向へ延びる閉断面部を有することにより、連結部材を連筒形状としたことを特徴としている。
【0044】
請求項9に記載された発明は、上記において、各ブロックの閉断面部が、前側ほど大きくなるように構成されたことを特徴としている。
【0045】
請求項10に記載された発明は、上記において、中間のブロックの上面部が、前側のブロックの上面部から、後側のブロックの上面部へ向けて、下り勾配に傾斜する傾斜面とされたことを特徴としている。
【0046】
請求項11に記載された発明は、上記において、中間のブロックの閉断面部が、前側のブロックとの境界に位置する縦面部と、下り勾配の傾斜面とされた上面部と、両面部の下辺部間を結ぶように設けられた上り勾配の仕切壁面部とから成る三角断面形状部とされたことを特徴としている。
【0047】
請求項12に記載された発明は、上記において、運転席外側部を連結可能な第一の連結部が、前側のブロックの閉断面部に設けられ、助手席側部分を連結可能な第二の連結部が、中間のブロックの閉断面部に設けられたことを特徴としている。
【0048】
なお、上記は、それぞれ、所要の作用効果を発揮するための必要最小限の構成であり、上記構成の詳細や、上記されていない構成については、それぞれ自由度を有しているのは勿論である。そして、上記構成の記載から読取ることが可能な事項については、特に具体的に記載されていない場合であっても、その範囲内に含まれるのは勿論である。また、上記以外の構成を追加した場合には、追加した構成による作用効果が加わることになるのは勿論である。
【発明の効果】
【0049】
請求項1の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、強度部材部に対して一体形成された部品等取付部に、コラム後部取付部が設けられたことにより、強度部材部とコラム後部取付部とが一体化されるので、部品点数の削減を図ると共に、両者間の剛性アップを図ることができる。また、強度部材部と、コラム後部取付部とが溶接されていないので、溶接歪がなく、部品精度を極めて高くすることができる。
【0050】
請求項2の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、強度部材部に対して一体形成された部品共通取付部に、ステー取付部が設けられたことにより、強度部材部とステー取付部とが一体化されるので、その分、部品点数の削減を図ると共に、両者間の剛性アップを図ることができる。また、強度部材部と、ステー取付部とが溶接されていないので、溶接歪がなく、部品精度を極めて高くすることができる。そして、部品共通取付部に対して、ステアリングコラムと、ステーとを取付けることができるので、ステアリングコラムからの(振動などの)入力を、強度部材部へほとんど通すことなく、部品共通取付部およびステーを介して車室の床部へと直接的且つ効率的に伝える(逃がす)ことができるようになり、以て、強度部材部への上記入力の伝達を低減することができる。これにより、強度部材部や車体強度部材本体全体の断面の縮小化および軽量化などを図ることが可能となる。
【0051】
請求項3の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、強度部材部に対してコラム前部取付部を2面で取付けられるようにすることにより、強度部材部に対するコラム前部取付部の取付強度を向上することができる。
【0052】
請求項4の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、上記ステアリングコラムからの(振動などの)入力と、強度部材部への(外部)入力とを、それぞれ、2部分同時支持部を有するステーによって、車室の床部へと直接的且つ効率的に伝えることができるようになるので、力の伝達にとってより有利で、しかも、より強度の高い支持状態を得ることができる。これによって、強度部材部や車体強度部材本体全体の、更なる断面の縮小化および軽量化などを図ることが可能となる。
【0053】
請求項5の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、強度部材部に対して、コラム前部取付部が一体形成されたことにより、部品点数の更なる削減を図ると共に、これらの間の剛性アップを図ることができる。また、強度部材部と、コラム前部取付部とが溶接されていないので、溶接歪がなく、部品精度を極めて高くすることができる。
【0054】
請求項6の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、上記ステアリングコラムからの(振動などの)入力と、強度部材部への(外部)入力と、コラム前部取付部への(外部)入力とを、それぞれ、車室の床部へと直接的且つ効率的に伝えることができるようになるので、力の伝達にとって、更により有利で、しかも、強度の高い支持状態を得ることができる。これによって、強度部材部や車体強度部材本体全体の、より一層の断面の縮小化および軽量化などを図ることが可能となる。
【0055】
請求項7の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、連結部材とされた運転席内側部に、運転席外側部と、助手席側部分とを、第一の連結部と、第二の連結部とを介して連結することにより、車体強度部材を簡単に組立可能な組立構造体として、取扱いを容易化することができる。また、車体強度部材の軽量化や低価格化を容易に図ることが可能となる。更に、これらの各構成部品の組立てには、溶接が必要ないので、溶接歪のない、部品精度の極めて高い車体強度部材とすることができる。
【0056】
請求項8の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、連結部材を、閉断面部を有する少なくとも3つのブロックを備えた連筒形状とすることにより、小型で、剛性の高い(特に、車両前後方向の剛性が高い)連結部材を得ることができる。これにより、連結部材および、車体強度部材全体の軽量化を図ることが可能となる。また、少なくとも3つのブロックに対して各種の機能、用途を持たせることが可能なので、連結部材を、自由度の高い構成とすることができる。
【0057】
請求項9の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、連結部材の更なる小型化を図りつつ、前側からの入力に対する剛性が最も強い構造とすることができる。
【0058】
請求項10の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、各ブロックの上面部間の段差をなくして応力集中を回避させることができる。また、中間のブロックから後側のブロックへ向けて上面部が低く成って行くようにすることにより、これらの上方に計器装置などを設置するスペースを確保することができるようになる。
【0059】
請求項11の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、中間のブロックの上方に計器装置などを設置しても、十分な断面剛性を確保することができる。
【0060】
請求項12の発明によれば、上記構成により、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、運転席外側部と助手席側部分とを異なるブロックに対して連結することにより、要求される剛性に応じて、運転席外側部の断面を相対的に大きく、助手席側部分の断面を相対的に小さくすることができる。また、運転席外側部に対し、助手席側部分を車両前後方向後方へオフセットさせて配置することができる。これにより、例えば、助手席側部分に空調ユニットを迂回させる場合に、迂回部をより小さくして、空調ユニットを余裕を以て迂回させ得るようにすることができる。更に、中間のブロックの閉断面部を三角断面形状部としたことにより、助手席側部分を三角断面のものとして、剛性を維持しつつ軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
本発明は、主に、車体強度部材の低剛性化や軽量化などを図り、また、部品精度を高められるようにすることを目的としている。
【0062】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0063】
なお、以下の実施例は、上記した背景技術や発明が解決しようとする課題などと密接な関係があるので、必要が生じた場合には、互いに、記載を流用したり、必要な修正を伴って流用したりすることができるものとする。
【実施例】
【0064】
図1〜図19、および、図20〜図23は、この発明の実施例およびその変形例などを示すものである。
【0065】
なお、車室内の主要な構成などについては、図24、図25を用いて説明したものと基本的にほぼ同様なので、必要に応じてこれらの図面を参照すると共に、これらに対する記載を以てこの実施例の説明とすることができる。この際、同一ないし均等な部分については、同一の符号を付すようにしている。但し、構成の異なる部分については、図1〜図19、図20〜図23に拠るものとする。
【0066】
「構成」まず、構成について説明する。
【0067】
自動車などの車両には、乗員が乗車するための車室が設けられている。そして、この車室内の前部には、後述するような車体強度部材が設けられている。
【0068】
例えば、図24、図25に示すように、車室1は、その前部に、エンジンルームとの間を仕切る前壁2と、左右の側壁3と、床部4とを有している。このような車室1の前部に対して、インストルメントパネル5が取付けられる。そして、このインストルメントパネル5の内部に、この発明の実施例にかかる車体強度部材41(図1(または図2)、図17、図20のいずれか参照)が配設される。この車体強度部材41は、クロスカービーム、または、ステアリングサポートメンバなどと呼ばれているものである。
【0069】
そして、上記した車体強度部材41の運転席側の部分の下方には、図2に示すように、ほぼ車両前後方向15へ延びるステアリングコラム16が配設される。ステアリングコラム16は、水平方向に対して、後上がりとなるように傾斜配置されている。ステアリングコラム16の前端部は、特に図示しないが、車室1の前壁2を貫通して、前方のエンジンルーム内へと延設されている。また、ステアリングコラム16の後端部には、乗員が操作するためのステアリングホイール17が取付けられている(図24参照)。
【0070】
そして、主に図1に示すように、この車体強度部材41は、ほぼ車幅方向7へ延びて、主に横梁(梁部材)としての機能を有する車体強度部材本体43を有している。この車体強度部材本体43は、大別して、運転席側に位置する運転席側部分44と、助手席側に位置する助手席側部分45と、両者の中間に位置する中間部との3つの部位を有している。但し、中間部は、通常、運転席側部分44または助手席側部分45のどちらかに属するように形成されることにより、運転席側部分44と、助手席側部分45との2つの部位に大別されることが多い。更に、運転席側部分44は、大別して、内側に位置する運転席内側部46と、外側に位置する運転席外側部47との2つの部位を有している。なお、運転席内側部46と運転席外側部47との境界位置については、必ずしも明確ではないが、ここでは、ステアリングコラム16が取付けられる運転席側部分44の中央部までを運転席内側部46に含むようにしている。
【0071】
この場合、運転席側部分44は、相対的に剛性が高くなるように構成され、助手席側部分45は、相対的に剛性が低くなるように構成される。即ち、運転席側部分44と、助手席側部分45とに、剛性の差を持たせることにより、必要な剛性を持ちつつ、全体の軽量化を図り得るようにしている。なお、この場合には、右ハンドル車の例となっているため、運転席側部分44が図中右側に位置し、助手席側部分45が図中左側に位置している。これに対し、左ハンドル車の場合には、特に、図示しないが、運転席側部分44が図中左側に位置し、助手席側部分45が図中右側に位置することになる。
【0072】
この車体強度部材本体43の両端部には、車室1の左右の側壁3に対して締結固定するためのサイドブラケット51が、ほぼ面直状態で取付けられている。このサイドブラケット51は、左右の側壁3と平行な、ほぼ平板状の鉄板部材で構成されている。この場合、サイドブラケット51は、助手席側部分45の外端部と、運転席外側部47の外端部とに対してそれぞれ取付けられている。
【0073】
そして、上記したステアリングコラム16は、運転席側部分44の運転席内側部46に対し、前後2箇所の位置でコラム取付部にて締結固定される。
【0074】
そのために、運転席内側部46の運転席外側部47寄りの部分(運転席側部分44全体のほぼ中央部)には、図3に示すように、コラム取付部として、ほぼ車両前後方向15へ延びるステアリングコラム16を、前後2箇所の位置で取付可能な、コラム前部取付部52とコラム後部取付部53とが設置されている。なお、上記したように、ステアリングコラム16が、後上がりに傾斜配置されていることに伴い、コラム前部取付部52は相対的に低い位置に設けられ、コラム後部取付部53は相対的に高い位置に設けられることとなる。そのために、コラム前部取付部52をコラム取付ロワ部材と言い、コラム後部取付部53をコラム取付アッパ部材と言う場合もある。
【0075】
なお、コラム前部取付部52およびコラム後部取付部53は、図4に示すように、ステアリングコラム16の両側部の位置に対して、ステアリングコラム16を挟み得るように左右一対設けられることになる(コラム後部取付部53の位置のみ図示しているが、コラム前部取付部52についても同様である)。
【0076】
また、車室1の前壁2と、運転席側部分44およびコラム前部取付部52との間には、図1(または図6)に示すように、車体強度部材本体43の捩れを防止可能なポストブラケット55が介装される。このポストブラケット55は、側面視で、後方へ向けて分岐されたほぼ二股形状、または、中間部で屈曲された側面視ほぼ「く」字形状などを呈している。この場合、ポストブラケット55は、中間部(或いは前端部)が、車室1の前壁2に対して締結固定されると共に、二股形状の両端部(或いは二つの後端部)が、運転席側部分44およびコラム前部取付部52のそれぞれに対して締結や溶接などによって固定される。この二股形状のポストブラケット55は、上記した中間部からほぼ水平方向へ延びて運転席側部分44に連結される水平アーム部と、上記した中間部からほぼ下り勾配に延びてコラム前部取付部52に連結される傾斜アーム部とを有している。このポストブラケット55は、コ字状、或いは、ハット状などの断面形状を有するように曲げ形成された鉄板部材によって構成されている。この場合、ポストブラケット55は、水平アーム部と傾斜アーム部とを構成する2つの鉄板部材を、溶接などによって接合したものなどとされている。なお、ポストブラケット55の構成については、上記したものが最適であるものの、これに限るものではない。
【0077】
更に、運転席内側部46の助手席側部分45寄りの部分には、車体強度部材本体43(の中央部周辺)を車室1の床部4に支持可能なステー56が配設されている。このステー56は、ほぼ上下方向へ延びると共に、その下端部が、車室1の床部4に対して、直接又は間接的に締結固定される。ステー56は、車体強度部材本体43への前方からの入力を受止められるようにするために、その下端部が、車体強度部材本体43の後述する強度部材部61の真下よりも若干後方にズレた位置に取付けられるように図られている(図6参照)。ステー56には、1本のみ設けられる場合と、2本設けられる場合がある。1本のみとする場合には、ステー56は、主に運転席側部分44に設けられる。また、2本とする場合には、ステー56は、主に運転席側部分44と助手席側部分45との両方に対してそれぞれ設けられる。更に、図4では、車室1の床部4における車幅方向7の中央部分に設けられた図示しないフロアトンネル部に取付けるようにするために、ステー56は、下端部が、車幅方向7の中央部へ向けて若干斜めに傾斜配置されている。
【0078】
以上が、車体強度部材本体43の基本的な構成である。
【0079】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えている。(以下、主に、図1も併せて参照のこと)。
【0080】
<構成1>
(1)図5に示すように、運転席内側部46が、主に横梁の一部を構成可能な強度部材部61と、主に部品等を取付可能な部品等取付部62とを有するものとされる。この場合には、強度部材部61が前側に位置されると共に、部品等取付部62が後側に位置されている。そして、強度部材部61に、部品等取付部62が、一体形成される。更に、この(強度部材部61と一体の)部品等取付部62に対して、コラム後部取付部53が一体に設けられる。
【0081】
(2)そして、図4に示すように、部品等取付部62が、強度部材部61に沿って助手席側部分45との境界部分まで一体に延設されることにより、部品共通取付部64とされる。更に、部品共通取付部64に対し、ステー56を取付可能なステー取付部63が一体に設けられる。
【0082】
(3)上記において、図3に示すように、強度部材部61の前側に、コラム前部取付部52が配設されるようにする。そして、コラム前部取付部52が、強度部材部61の前面61aと下面61bとの2面に対して取付可能な2面対応取付面部65を有して取付けられるようにしても良い。
【0083】
(4)上記した(3)の場合に、図6〜図8に示すように、ステー56が、その上端部に、(部品等取付部62(または部品共通取付部64。以下同様)における)ステー取付部63と、強度部材部61との(車両前後方向15の)2部分の下面間に跨って支持可能な2部分同時支持部66を有するように構成する。これに対し、ステー取付部63と、強度部材部61との下面には、2部分同時支持部66によって支持される2部分同時被支持部67が形成されるようにする。
【0084】
(5)或いは、図9に示すように、強度部材部61の前側に、コラム前部取付部52が、一体形成されるようにしても良い(一体型コラム前部取付部、および、コラム前後部取付部一体型運転席内側部)。
【0085】
(6)上記した(5)の場合に、図10に示すように、強度部材部61の前側に一体形成されたコラム前部取付部52(一体型コラム前部取付部)が、強度部材部61に沿ってステー取付部63の位置まで一体に延長形成されるようにする(延長部分52a)。そして、ステー56が、その上端部に、(部品等取付部62における)ステー取付部63と、強度部材部61と、コラム前部取付部52の延長部分52aとの3部分の下面間に跨って支持可能な3部分同時支持部68を有するように構成する。これに対し、ステー取付部63と、強度部材部61と、コラム前部取付部52の延長部分52aとの下面には、3部分同時支持部68によって支持される3部分同時被支持部69が形成されるようにする。
【0086】
なお、以上は、図1〜図19の場合に共通の構成である。また、図20〜図23の場合にもほぼ該当する構成である。
【0087】
そして、図1〜図19の場合の補足説明として、以下のような事項を挙げることができる。
【0088】
(1)の場合(図5参照)、強度部材部61と部品等取付部62との車両前後方向15の境界については、後述するように、態様によって変わることになる。また、コラム後部取付部53は、部品等取付部62の後縁側下面部分に形成される。コラム後部取付部53は、ステアリングコラム16をネジなどの締結部材で固定するためのネジ穴などを有している。この場合、部品等取付部62の後縁側下面部分は、後上がりのステアリングコラム16の傾斜とほぼ対応する後上がりの傾斜面とされており、コラム後部取付部53のネジ穴は、この傾斜面とほぼ面直に設けられる。
【0089】
(2)の場合(図4、図6参照)、ステー取付部63は、部品等取付部62の後縁側下面部分に形成される。ステー取付部63は、ステー56をネジなどの締結部材で固定するためのネジ穴などを有している。ステー取付部63のネジ穴は、上記した部品等取付部62(部品共通取付部64)の後縁側下面部分の傾斜面とほぼ面直に設けられる。また、ステー56は、図2に示すように、車幅方向7の一側に開いたほぼコ字状の断面形状を有するように曲げ加工された鉄板部材によって構成される。或いは、ステー56は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、などの軽金属や軽合金のものなどとすることができる。
【0090】
(3)の場合、コラム前部取付部52は、図3に示すような形状をしてほぼ前方で且つ下方へ延びる傾斜したコラム前部取付ブラケットなどとされている。このコラム前部取付ブラケットは、鉄板部材などによって別体に構成されている。このコラム前部取付部52には、ステアリングコラム16を締結固定するためのネジ穴52b(この場合には横穴とされている)が形成されている。コラム前部取付部52の2面対応取付面部65は、強度部材部61の前面61aと下面61bとに対応する、前面取付部65aと下面取付部65bとを有している。そして、強度部材部61の前面61aと下面61bとの2面に対する、2面対応取付面部65の前面取付部65aと下面取付部65bとの取付けは、接着剤などを用いた接着としても、ネジなどの締結部材による固定としても、これらを組合せたものなどとしても良い。
【0091】
(4)の場合、例えば、図6、図7に示すように、ステー56は、上端側を漸拡形状にして、運転席内側部46の2部分同時被支持部67を、ステー56の漸拡形状の2部分同時支持部66によって、下方からほぼ面接(線接)支持させるようにしても良い。或いは、図8に示すように、ステー56は、上端側を二股状に分岐させて、運転席内側部46の2部分同時被支持部67を、ステー56の二股状の2部分同時支持部66によって、下方からほぼ二点(二箇所)支持させるようにしても良い。
【0092】
(5)の場合、図9に示すように、コラム前部取付部52(一体型コラム前部取付部)は、少なくとも強度部材部61の前面61aから一体に延設形成されている。なお、強度部材部61の前面61aおよび下面61bの2面から一体に延設形成されるように構成しても良い。コラム前部取付部52(一体型コラム前部取付部)は、ほぼ前方で且つ下方へ延びる傾斜形状とされている。コラム前部取付部52(一体型コラム前部取付部)は、内部を複数の仕切壁で仕切られた複数の閉断面部を有する中空構造のものなどとされている。この閉断面部は、車幅方向7に延設されるものとなっている。
【0093】
(6)の場合、図10に示すように、ステー56は上端側を漸拡形状にして、運転席内側部46の3部分同時被支持部69を、ステー56の漸拡形状の3部分同時支持部68によって、下方からほぼ面接(線接)支持させるようにしても良い。また、ステー56は上端側を二股状または三股状などに分岐させて、運転席内側部46の3部分同時被支持部69を、ステー56の二股状または三股状の3部分同時支持部68によって、下方からほぼ二点(二箇所)支持または三点(三箇所)支持させるようにしても良い。このようなステー56は、一部材で構成しても、複数部材で構成しても良い。
【0094】
なお、図10では、車室1の前壁2に対し、コラム前部取付部52またはその延長部分52aの前側に位置するように、ブレーキブラケット71が取付けられている。そして、コラム前部取付部52の延長部分52aをステー56で支持するようにしたことにより、緊急時などに、ブレーキブラケット71がコラム前部取付部52またはその延長部分52aに干渉した場合に、ブレーキブラケット71からの入力を、運転席内側部46の強度部材部61に通さずに、直接ステー56を介して床部4へと逃がすことができるようになるので、或いは、コラム前部取付部52またはその延長部分52aと、床部4との間でステー56が突張って支えることになるので、その分、運転席内側部46(の強度部材部61)の剛性を下げて、車体強度部材本体43の断面縮小化や軽量化を図ることが可能となる。
【0095】
<構成2>
図1〜図19のものは、(構成1)に加えて、更に、以下の構成を備えている(以下、主に、図1も併せて参照のこと)。
【0096】
(7)図1(または図2)、図17に示すように、車体強度部材41を構成する運転席内側部46が、運転席外側部47、および、助手席側部分45とは、別体の連結部材72(連結中核部品)として構成される。そして、連結部材72が、運転席外側部47を連結可能な第一の連結部73と、助手席側部分45を連結可能な第二の連結部74とを有している。
【0097】
この場合において、第一の連結部73、および、第二の連結部74に対し、運転席外側部47、および、助手席側部分45は、例えば、図11に示すように、一部挿入固定されるようにする(挿入固定部)。この一部挿入固定は、圧入によるものとしても、図12に示すように、両者間に対して工業用接着剤や樹脂接合材75などを介在させた接着などとすることも、特に図示しないが、一部挿入固定された部分に対してボルト固定を行うことも、これらを適宜組合せることもできる。なお、一部挿入固定部分は、表面に段差が生じないように、インロー継ぎなどとすることもできる。この一部挿入固定は、車両前後方向15や上下方向などからの入力に対して強い連結部73,74を構成するものとして設定される。なお、工業用接着剤や樹脂接合材75などを介在させる場合には、第一の連結部73、および、第二の連結部74の内面に、工業用接着剤や樹脂接合材75などを配置可能な段差状の設置部などを適宜設けるようにする。
【0098】
(8)そして、図5に示すように、連結部材72が、ほぼ車両前後方向15に並設された少なくとも3つ以上のブロック76〜78を備えるようにする。そして、各ブロック76〜78が、それぞれほぼ車幅方向7へ延びる閉断面部81〜83を有することにより、連結部材72が連筒形状となるようにする。
【0099】
この場合には、3つのブロック76〜78は、一体に構成されている。また、各閉断面部81〜83は、共通の境界を有して隣接形成されている。
【0100】
(9)上記した(8)の場合に、図5に示すように、各ブロック76〜78の閉断面部81〜83が、車両前後方向15の前側のものほど大きくなるように構成する。
【0101】
即ち、前側のブロック76の閉断面部81が、中間のブロック77の閉断面部82よりも大きくなり、中間のブロック77の閉断面部82が、後側のブロック78の閉断面部83よりも大きくなるように、前側から後側へ向けて段階的に小さくなるように構成される。
【0102】
(10A)そして、中間のブロック77の上面部86が、前側のブロック76の上面部85(の後縁部)から、後側のブロック78の上面部87(の前縁部)へ向けて、下り勾配に傾斜する傾斜面とされるようにする。
【0103】
即ち、例えば、前側のブロック76の上面部85が、最も高いほぼ水平な面となり、中間のブロック77の上面部86と、後側のブロック78の上面部87とが、下り勾配に傾斜する傾斜面とされるようにする。なお、中間のブロック77の上面部86と、後側のブロック78の上面部87とは、等しい勾配を有して連続するようにしても良いが、異なる勾配としても良い。
【0104】
或いは、図14に示すように、前側のブロック76の上面部85が、最も高いほぼ水平な面となり、後側のブロック78の上面部87が、最も低いほぼ水平な面となり、中間のブロック77の上面部86が、これらの間を、(大きな)段差がなく、なだらかに結ぶ傾斜面となるようにする。
【0105】
この場合において、前側のブロック76の下面部と、中間のブロック77の下面部とは、高さを同一レベルに揃えて設置されている。また、後側のブロック78の下面部は、上記したように、中間のブロック77の下面部(の後縁部)から後上がりに傾斜する傾斜面とされている。そして、これらの下面部により、上記した、2部分同時被支持部67や3部分同時被支持部69などが構成されている。
【0106】
(10B)或いは、図13に示すように、各ブロック76〜78の各上面部85〜87は、前側から順に高さが低くなる段差形状となるようにしても良い。
【0107】
即ち、前側のブロック76の上面部85が、最も高いほぼ水平な面となり、中間のブロック77の上面部86が中間高さのほぼ水平な面となり、後側のブロック78の上面部87が、最も低いほぼ水平な面となるように、段階的に低くなるようにする。
【0108】
この場合において、各ブロック76〜78の下面部については上記と同じ構成とされている。
【0109】
(11)また、各ブロック76〜78の閉断面部81〜83は、(9)が成立する範囲で細分化することも可能である。特に、中間のブロック77の閉断面部82は、細分化するのに適している。なお、閉断面部81〜83を細分化する場合には、(9)の閉断面部81〜83の大きさの比較は、最も大きいもので行うこととし、それ以外の小さいものでは行わないものとする。
【0110】
(11A)例えば、図14に示すように、中間のブロック77の閉断面部82が、前側のブロック76との境界に位置する縦面部91と、下り勾配の傾斜面とされた上面部86と、上記両面部82,86の下辺部間を結ぶように設けられた上り勾配の仕切壁面部92とから成る三角断面形状部93を有するようにして(仕切って)も良い。なお、符号94は、仕切壁面部92によって閉断面部82に形成された、もう一つの三角断面形状部93である。なお、符号95は、中間のブロック77の傾斜した上面部86と、後側のブロック78の高さの低い上面部87とによって構成された、上方に計器装置25を設置するための座繰形状部である。
【0111】
(11B)或いは、図15に示すように、図5のものなどに対し、中間のブロック77の閉断面部82を、ほぼ後側のブロック78の上面部87の高さにて、ほぼ水平に延びる仕切壁面部92で上下に仕切って、上側に位置するほぼ直角三角形状の三角形状部96と、下側に位置するほぼ長方形状の矩形状部97とに仕切るようにすることもできる。
【0112】
(11C)或いは更に、図16に示すように、図15のものなどに対し、矩形状部97を、縦方向へ延びる仕切壁面部101で、所要大きさの前後の矩形状部102,103に仕切るようにすることもできる。
【0113】
(12)そして、3つのブロック76〜78の閉断面部81〜83のいずれかに対して、運転席外側部47を連結可能な第一の連結部73と、助手席側部分45を連結可能な第二の連結部74とを設ける。第一の連結部73および第二の連結部74は、運転席外側部47および助手席側部分45と対応する側面部分に対して、それぞれ設けるようにする。
【0114】
(12A)例えば、図1に示すように、第一の連結部73と、第二の連結部74とを、共に、前側のブロック76の閉断面部81(の両端部)に設けるようにしても良い。
【0115】
この場合には、特別な構造を採用しなければ、運転席外側部47と、助手席側部分45とは、同じ形状および大きさの断面形状となる。よって、両者の剛性に違いを持たせる場合には、肉厚や材質などを変えることによって対応することができる。
【0116】
なお、この場合には、前側のブロック76が強度部材部61となり、中間のブロック77と後側のブロック77とが部品等取付部62となる。
【0117】
(12B)或いは、図17〜図19に示すように、運転席外側部47を連結可能な第一の連結部73が、前側のブロック76の閉断面部81(の対応する端部)に設けられるようにすると共に、助手席側部分45を連結可能な第二の連結部74が、中間のブロック77の閉断面部82(の対応する端部)に設けられるようにする。
【0118】
この場合には、閉断面部81と閉断面部82との大きさの違いによって、運転席外側部47と、助手席側部分45とは、少なくとも大きさの異なる断面形状となる。また、図14〜図16に示すように、中間のブロック77の閉断面部82を仕切ることにより、助手席側部分45の大きさや断面形状を、或る程度任意に設定することが可能となる。
【0119】
また、この場合には、閉断面部81と閉断面部82との車両前後方向15の位置の違いによって、運転席外側部47と、助手席側部分45とは、図19に示すように、軸線105,106が前後にオフセットされることになる。なお、図19中、符号107は、車幅方向7の中央部に設置された空調ユニットである。そして、助手席側部分45は、この空調ユニット107との干渉を避けて後方へ迂回する迂回部108を有する迂回形状とされている。
【0120】
なお、この場合には、前側のブロック76と中間のブロック77とが強度部材部61となり、後側のブロック77が部品等取付部62となる。
【0121】
更に、(7)〜(12)の上記以外の補足説明として、以下のような事項を挙げることができる。
【0122】
まず、連結部材72は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの軽金属や軽合金、或いは、強化プラスチックなどの樹脂によって構成されたものなどとする。軽金属や軽合金とする場合には、押出工法や、ダイキャスト法などによって作成することができる。押出工法によって形成する場合には、断面形状は、長手方向に均一のものとなる。ダイキャスト法によって形成する場合には、断面形状は、自由度の高いものとなる。樹脂とする場合には、射出成形によって作成することができる。射出成形によって作成する場合には、断面形状は、自由度の高いものとなる。
【0123】
運転席外側部47や助手席側部分45には、軽量化や低価格化を図るのに有利な部材としてパイプ材を使用することができる。これらのパイプ材には、上記連結部材72と同様の素材および成形法のものを使用することができると共に、それ以外のものを使用することもできる。この場合には、運転席外側部47や助手席側部分45は、矩形断面や三角断面などの断面を有する角パイプ(四角パイプや三角パイプなど)などとされている。また、パイプ材で構成された運転席外側部47や助手席側部分45に対する上記したサイドブラケット51の取付けは、ネジ止めや、(7)に記載したのと同様の一部挿入固定などによるものとすることができる。なお、サイドブラケット51は、車体強度部材41を組立てる前に、上記したパイプ材に予め取付けて、運転席外側部47や助手席側部分45を構成しておくようにする。
【0124】
また、図5などに示すように、少なくとも連結部材72の前側のブロック76の上面部85の上部には、側面視で後方に開いた幅の狭い平行なU字状の開断面部109が車幅方向7に一体形成されている。この開断面部109は、特に図示しないが、車体強度部材41に沿って配索される図示しないワイヤハーネスを基板化してなるハーネスモジュールなどを、後方から差込んで、内部に収容可能な収容部などとして使用することができる。上記した開断面部109と同様の開断面部111,112は、図1に示すように、運転席外側部47や助手席側部分45の対応する上部に対して、車幅方向7に(一体に)延設形成することもできる。
【0125】
更に、ポストブラケット55は、図1に示すように、その水平アーム部を、上記したU字状の開断面部109の上方を通り越して、部品等取付部62の上面部分に連結するようにしても良い。或いは、ポストブラケット55は、図17に示すように、その水平アーム部を、強度部材部61の前面61aに連結するようにしても良い。
【0126】
<構成3>
図20〜図23のものは、上記した(構成1)に加えて、更に、以下の構成を備えている。但し、(構成2)についてはこの限りではない。
【0127】
この場合、車体強度部材41は、運転席側部分44と助手席側部分45とが別体とされることにより、2部品で構成されている。なお、運転席側部分44の運転席内側部46と運転席外側部47とは、一体形成されている。
【0128】
そして、一方のサイドブラケット51は、運転席側部分44の外端部に一体形成されている。また、他方のサイドブラケット51は、助手席側部分45の外端部に一体形成されている。コラム前部取付部52およびコラム後部取付部53は、運転席側部分44に一体形成されている。同様に、ステー56は、運転席側部分44に一体形成されている。
【0129】
このような、運転席側部分44と助手席側部分45とは、連結部121を介して連結されている。
【0130】
この場合、連結部121は、運転席側部分44と、助手席側部分45とが、一部重ね合わされる重複部分とされると共に、重複部分が、ネジなどの締結部材122によって締結固定されている。
【0131】
そして、運転席側部分44および助手席側部分45は、それぞれ、ほぼ全体が開断面を有するものとされている。
【0132】
この場合、運転席側部分44および助手席側部分45は、車両前後方向15の前方に開いた、ほぼ横向きV字状の上下断面形状を有する開断面のものなどとされている。
【0133】
また、ステー56も、車両前後方向15の前方に開いた、ほぼU字状の水平断面形状を有する開断面のものとされている。
【0134】
そして、運転席側部分44、助手席側部分45、ステー56の開断面部分の内部には、必要に応じて、補強リブ125が設けられている。
【0135】
この車体強度部材41は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの軽金属や軽合金によって構成されている。
【0136】
このような車体強度部材41は、ダイキャスト法などで作成される。この際、図23に示すように、型128を用いて型抜きすることにより、鋳造することが可能となる。
【0137】
「作用」次に、この実施例の作用について説明する。
【0138】
先ず、構成部品を連結して車体強度部材41を組立てる。
【0139】
図1および図17の場合には、連結部材72の第一の連結部73に、運転席外側部47を連結すると共に、第二の連結部74に、助手席側部分45を連結するようにして、車体強度部材41を組立てる。
【0140】
この際、運転席外側部47や助手席側部分45をパイプ材として、連結部材72の第一の連結部73や第二の連結部74に対し、一部挿入固定、または、嵌合固定させるようにすることにより、様々な方向からの入力に対して十分な剛性を発揮し得るものとすることができる。また、運転席外側部47や助手席側部分45をパイプ材とすることにより、パイプ材の断面係数によって、必要な反力を発生させ得るようにすることができる。
【0141】
図20の場合には、運転席側部分44と助手席側部分45とを、連結部121にて一部重ね合わせ、その重複部分を、ネジなどの締結部材122を用いて締結固定するようにして、車体強度部材41を組立てる。
【0142】
そして、このように組み立てられた車体強度部材本体43に対し、必要に応じて、コラム前部取付部52と、ポストブラケット55と、ステー56とを取付けるようにする。なお、コラム後部取付部53と、サイドブラケット51とは、予め車体強度部材41に組込まれている。コラム前部取付部52は、車体強度部材41(運転席内側部46)と一体に形成されている場合には、特に取付ける必要はない。
【0143】
このように構成された車体強度部材41を、車室1の前部に設置する。
【0144】
車体強度部材41の設置は、先ず、車室1の左右の側壁3間で且つ床部4の上方に車体強度部材41を配置して、ステー56によって車体強度部材本体43の中間部を床部4に仮支持させた状態にする。
【0145】
そして、サイドブラケット51を利用して車体強度部材本体43の両端部を左右の側壁3に締結固定する。また、ステー56の下端部を床部4に締結固定する。更に、ポストブラケット55の中間部を前壁2に締結固定する。
【0146】
こうして、車体強度部材41が設置されたら、車体強度部材本体43の運転席側部分44の下方に配置されたステアリングコラム16を、コラム前部取付部52とコラム後部取付部53とを利用して前後2箇所の位置で、運転席側部分44に締結固定する。
【0147】
最後に、車室1の前部にインストルメントパネル5を取付け、インストルメントパネル5によって車体強度部材41が外部から見えないように覆い隠すようにする。
【0148】
そして、図示しないエンジンを起動すると、エンジンの振動が、ステアリングコラム16を介してステアリングホイール17に伝達される。
【0149】
このステアリングコラム16およびステアリングホイール17の振動は、コラム前部取付部52とコラム後部取付部53とを介して車体強度部材本体43の運転席内側部46へと伝えられる。そして、運転席内側部46では、コラム後部取付部53へ伝えられた振動などの入力は、部品等取付部62(部品共通取付部64)と、ステー56とを介し床部4へ伝えられて、床部4がこれを受けることにより、車体強度部材本体43の撓み(上下方向の曲げ)が防止される。また、車体強度部材本体43に伝えられた、振動などの入力は、ポストブラケット55を介し前壁2へ伝えられて、前壁2がこれを受けることにより、車体強度部材本体43の捩れが防止される。
【0150】
この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0151】
(1)車室1の前部に、車体強度部材41が配設され、車体強度部材41が、ほぼ車幅方向7へ延びて、横梁としての機能を有する車体強度部材本体43を有し、車体強度部材本体43が、運転席側に位置する運転席側部分44と、助手席側に位置する助手席側部分45とを有し、運転席側部分44が、運転席内側部46と運転席外側部47とを有し、運転席内側部46の運転席外側部47寄りの部分に、ほぼ車両前後方向15へ延びるステアリングコラム16を、前後2箇所の位置で取付可能な、コラム前部取付部52とコラム後部取付部53とが設置され、運転席内側部46の助手席側部分45寄りの部分に、車体強度部材本体43を車室1の床部4に支持可能なステー56が配設された車体強度部材構造において、運転席内側部46が、横梁の一部を構成可能な強度部材部61の後部に、部品等を取付可能な部品等取付部62を有し、強度部材部61に、部品等取付部62が、一体形成され、部品等取付部62に対し、コラム後部取付部53が一体に設けられたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0152】
即ち、強度部材部61に対して一体形成された部品等取付部62に、コラム後部取付部53が設けられたことにより、強度部材部61とコラム後部取付部53とが一体化されるので、部品点数の削減を図ると共に、両者間の剛性アップを図ることができる。また、強度部材部61と、コラム後部取付部53とが溶接されていないので、溶接歪がなく、部品精度を極めて高くすることができる。
【0153】
(2)部品等取付部62が、強度部材部61に沿って助手席側部分45との境界部分まで一体に延設されることにより、部品共通取付部64とされ、部品共通取付部64に対し、ステー56を取付可能なステー取付部63が一体に設けられたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0154】
即ち、強度部材部61に対して一体形成された部品共通取付部64に、ステー取付部63が設けられたことにより、強度部材部61とステー取付部63とが一体化されるので、その分、部品点数の削減を図ると共に、両者間の剛性アップを図ることができる。また、強度部材部61と、ステー取付部63とが溶接されていないので、溶接歪がなく、部品精度を極めて高くすることができる。
【0155】
そして、部品共通取付部64に対して、ステアリングコラム16と、ステー56とを取付けることができるので、ステアリングコラム16からの(振動などの)入力を、強度部材部61へほとんど通すことなく、部品共通取付部64およびステー56を介して車室1の床部4へと直接的且つ効率的に伝える(逃がす)ことができるようになり、以て、強度部材部61への上記入力の伝達を低減することができる。これにより、強度部材部61や車体強度部材本体43全体の断面の縮小化および軽量化などを図ることが可能となる。より具体的には、全体として10%程度の軽量化が可能となる。
【0156】
(3)強度部材部61の前側に、コラム前部取付部52が配設されると共に、コラム前部取付部52が、強度部材部61の前面61aと下面61bとの2面に対して取付可能な2面対応取付面部65を有して取付けられることにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0157】
即ち、強度部材部61に対してコラム前部取付部52を2面で取付けられるようにすることにより、強度部材部61に対するコラム前部取付部52の取付強度を向上することができる。
【0158】
(4)ステー56が、その上端部に、ステー取付部63と、強度部材部61との2部分の下面間に跨って支持可能な2部分同時支持部66を有すると共に、ステー取付部63と、強度部材部61との下面に、2部分同時支持部66によって支持される2部分同時被支持部67が形成されたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0159】
即ち、上記ステアリングコラム16からの(振動などの)入力と、強度部材部61への(外部)入力とを、それぞれ、2部分同時支持部66を有するステー56によって、車室1の床部4へと直接的且つ効率的に伝えることができるようになるので、力の伝達にとってより有利で、しかも、強度の高い支持状態を得ることができる。これによって、強度部材部61や車体強度部材本体43全体の、更なる断面の縮小化および軽量化などを図ることが可能となる。
【0160】
(5)強度部材部61の前側に、コラム前部取付部52が、一体形成されたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0161】
即ち、強度部材部61に対して、コラム前部取付部52が一体形成されたことにより、部品点数の更なる削減を図ると共に、これらの間の剛性アップを図ることができる。また、強度部材部61と、コラム前部取付部52とが溶接されていないので、溶接歪がなく、部品精度を極めて高くすることができる。
【0162】
(6)強度部材部61の前側に一体形成されたコラム前部取付部52が、強度部材部61に沿ってステー取付部63の位置まで一体に延長形成され、ステー56が、その上端部に、ステー取付部63と、強度部材部61と、コラム前部取付部52の延長部分52aとの3部分の下面間に跨って支持可能な3部分同時支持部68を有すると共に、ステー取付部63と、強度部材部61と、コラム前部取付部52の延長部分52aとの下面に、3部分同時支持部68によって支持される3部分同時被支持部69が形成されたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0163】
即ち、上記ステアリングコラム16からの(振動などの)入力と、強度部材部61への(外部)入力と、コラム前部取付部52への(外部)入力とを、それぞれ、車室1の床部4へと直接的且つ効率的に伝えることができるようになるので、力の伝達にとって、更により有利で、しかも、強度の高い支持状態を得ることができる。これによって、強度部材部61や車体強度部材本体43全体の、より一層の断面の縮小化および軽量化などを図ることが可能となる。
【0164】
(7)運転席内側部46が、運転席外側部47、および、助手席側部分45とは、別体の連結部材72として構成されると共に、連結部材72が、運転席外側部47を連結可能な第一の連結部73と、助手席側部分45を連結可能な第二の連結部74とを有することにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0165】
即ち、連結部材72とされた運転席内側部46に、運転席外側部47と、助手席側部分45とを、第一の連結部73と、第二の連結部74とを介して連結することにより、車体強度部材41を簡単に組立可能な組立構造体として、取扱いを容易化することができる。また、車体強度部材41の軽量化や低価格化を容易に図ることが可能となる。更に、これらの各構成部品の組立てには、溶接が必要ないので、溶接歪のない、部品精度の極めて高い車体強度部材41とすることができる。
【0166】
(8)連結部材72が、ほぼ車両前後方向15に並設された少なくとも3つのブロック76〜78を備え、各ブロック76〜78が、それぞれほぼ車幅方向7へ延びる閉断面部81〜83を有することにより、連結部材72を連筒形状としたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0167】
即ち、連結部材72を、閉断面部81〜83を有する少なくとも3つのブロック76〜78を備えた連筒形状とすることにより、小型で、剛性の高い(特に、車両前後方向15の剛性が高い)連結部材72を得ることができる。これにより、連結部材72および、車体強度部材41全体の軽量化を図ることが可能となる。また、少なくとも3つのブロック76〜78に対して各種の機能、用途を持たせることが可能なので、連結部材72を、自由度の高い構成とすることができる。
【0168】
(9)各ブロック76〜78の閉断面部81〜83が、前側ほど大きくなるように構成されたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0169】
即ち、前側のブロック76の閉断面部81が、中間のブロック77の閉断面部82よりも大きく、中間のブロック77の閉断面部82が、後側のブロック78の閉断面部83よりも大きくなるように、前側から後側へ向けて段階的に小さくなるように構成されていることにより、連結部材72の更なる小型化を図りつつ、前側からの入力に対する剛性が最も強い構造とすることができる。
【0170】
(10)中間のブロック77の上面部86が、前側のブロック76の上面部85から、後側のブロック78の上面部87へ向けて、下り勾配に傾斜する傾斜面とされたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0171】
即ち、各ブロック76〜78の上面部間の段差をなくして応力集中を回避させることができる。また、中間のブロック77から後側のブロック78へ向けて上面部が低く成って行くようにすることにより、これらの上方に計器装置25を設置するスペースを確保することができるようになる。
【0172】
(11)中間のブロック77の閉断面部82が、前側のブロック76との境界に位置する縦面部91と、下り勾配の傾斜面とされた上面部86と、両面部82,86の下辺部間を結ぶように設けられた上り勾配の仕切壁面部92とから成る三角断面形状部93とされたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0173】
即ち、中間のブロック77の上方に計器装置25を設置しても、十分な断面剛性を確保することができる。
【0174】
(12)運転席外側部47を連結可能な第一の連結部73が、前側のブロック76の閉断面部81に設けられ、助手席側部分45を連結可能な第二の連結部74が、中間のブロック77の閉断面部82に設けられたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0175】
即ち、運転席外側部47と助手席側部分45とを異なるブロック76〜78に対して連結することにより、要求される剛性に応じて、運転席外側部47の断面を相対的に大きく、助手席側部分45の断面を相対的に小さくすることができる。
【0176】
また、運転席外側部47に対し、助手席側部分45を車両前後方向15後方へオフセットさせて配置することができる。これにより、例えば、助手席側部分45に空調ユニット107を迂回させる場合に、迂回部108をより小さくして、空調ユニット107を余裕を以て迂回させ得るようにすることができる。
【0177】
更に、中間のブロック77の閉断面部82を三角断面形状部93としたことにより、助手席側部分45を三角断面のものとして、剛性を維持しつつ軽量化を図ることができる。
【0178】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の実施例にかかる車体強度部材の全体斜視図である。
【図2】図1を異なる方向から見た斜視図である。
【図3】図1(または図17。以下同様)のコラム後部取付部の位置の断面図である。
【図4】図1の運転席側部分の背面図である。
【図5】図3の部分拡大断面図である。
【図6】図1のステー取付部の位置の断面図である。
【図7】図6の斜視図である。
【図8】図6に他のステーを取付けた状態を示す概略断面図である。
【図9】一体化されたコラム後部取付部を有する図3と同様の断面図である。
【図10】図9の場合の、図6と同様の断面図である。
【図11】図1の連結部の断面図である。
【図12】図11の部分拡大断面図である。
【図13】段差上面を有する運転席内側部(連結部材)の図5と同様の部分拡大断面図である。
【図14】連結部材の内部を仕切った状態を示す断面図である。
【図15】連結部材の内部を図14とは異なるように仕切った状態を示す断面図である。
【図16】図15を更に仕切った状態を示す断面図である。
【図17】本発明の実施例にかかる、図1とは異なる車体強度部材の全体斜視図である。
【図18】図17の車体強度部材本体部分の斜視図である。
【図19】図18の平面図である。
【図20】本発明の実施例にかかる、図1、図17とは異なる車体強度部材の全体斜視図である。
【図21】図20の部分拡大背面図である。
【図22】図22の側方断面図である。
【図23】図20の車体強度部材の製造手段を示す側方断面図である。
【図24】従来例の説明に用いた車体強度部材の取付状態を示す背面図である。
【図25】図24の側面図である。
【図26】従来の車体強度部材の全体斜視図である。
【図27】図26の側面図である。
【図28】図2の部分拡大図である。
【図29】コラム後部取付ブラケットおよび蓋部材を示す分解斜視図である。
【図30】図29を上方から見た図である。
【符号の説明】
【0180】
1 車室
4 床部
7 車幅方向
15 車両前後方向
16 ステアリングコラム
41 車体強度部材
43 車体強度部材本体
44 運転席側部分
45 助手席側部分
46 運転席内側部
47 運転席外側部
52 コラム前部取付部
52a 延長部分
53 コラム後部取付部
56 ステー
61 強度部材部
61a 前面
61b 下面
62 部品等取付部
63 ステー取付部
64 部品共通取付部
65 2面対応取付面部
66 2部分同時支持部
67 2部分同時被支持部
68 3部分同時支持部
69 3部分同時被支持部
72 連結部材
73 第一の連結部
74 第二の連結部
76 ブロック
77 ブロック
78 ブロック
81 閉断面部
82 閉断面部
83 閉断面部
85 上面部
86 上面部
87 上面部
91 縦面部
92 仕切壁面部
93 三角断面形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前部に、車体強度部材が配設され、
車体強度部材が、ほぼ車幅方向へ延びて、横梁としての機能を有する車体強度部材本体を有し、
車体強度部材本体が、運転席側に位置する運転席側部分と、助手席側に位置する助手席側部分とを有し、
運転席側部分が、運転席内側部と運転席外側部とを有し、
運転席内側部の運転席外側部寄りの部分に、ほぼ車両前後方向へ延びるステアリングコラムを、前後2箇所の位置で取付可能な、コラム前部取付部とコラム後部取付部とが設置され、
運転席内側部の助手席側部分寄りの部分に、車体強度部材本体を車室の床部に支持可能なステーが配設された車体強度部材構造において、
運転席内側部が、横梁の一部を構成可能な強度部材部の後部に、部品等を取付可能な部品等取付部を有し、
強度部材部に、部品等取付部が、一体形成され、
部品等取付部に対し、コラム後部取付部が一体に設けられたことを特徴とする車体強度部材部構造。
【請求項2】
部品等取付部が、強度部材部に沿って助手席側部分との境界部分まで一体に延設されることにより、部品共通取付部とされ、
部品共通取付部に対し、ステーを取付可能なステー取付部が一体に設けられたことを特徴とする請求項1記載の車体強度部材部構造。
【請求項3】
強度部材部の前側に、コラム前部取付部が配設されると共に、
コラム前部取付部が、強度部材部の前面と下面との2面に対して取付可能な2面対応取付面部を有して取付けられることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車体強度部材部構造。
【請求項4】
ステーが、その上端部に、ステー取付部と、強度部材部との2部分の下面間に跨って支持可能な2部分同時支持部を有すると共に、
ステー取付部と、強度部材部との下面に、2部分同時支持部によって支持される2部分同時被支持部が形成されたことを特徴とする請求項3記載の車体強度部材部構造。
【請求項5】
強度部材部の前側に、コラム前部取付部が、一体形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の車体強度部材部構造。
【請求項6】
強度部材部の前側に一体形成されたコラム前部取付部が、強度部材部に沿ってステー取付部の位置まで一体に延長形成され、
ステーが、その上端部に、ステー取付部と、強度部材部と、コラム前部取付部の延長部分との3部分の下面間に跨って支持可能な3部分同時支持部を有すると共に、
ステー取付部と、強度部材部と、コラム前部取付部の延長部分との下面に、3部分同時支持部によって支持される3部分同時被支持部が形成されたことを特徴とする請求項5記載の車体強度部材部構造。
【請求項7】
運転席内側部が、運転席外側部、および、助手席側部分とは、別体の連結部材として構成されると共に、
連結部材が、運転席外側部を連結可能な第一の連結部と、助手席側部分を連結可能な第二の連結部とを有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車体強度部材部構造。
【請求項8】
連結部材が、ほぼ車両前後方向に並設された少なくとも3つのブロックを備え、
各ブロックが、それぞれほぼ車幅方向へ延びる閉断面部を有することにより、連結部材を連筒形状としたことを特徴とする請求項7記載の車体強度部材部構造。
【請求項9】
各ブロックの閉断面部が、前側ほど大きくなるように構成されたことを特徴とする請求項8記載の車体強度部材部構造。
【請求項10】
中間のブロックの上面部が、前側のブロックの上面部から、後側のブロックの上面部へ向けて、下り勾配に傾斜する傾斜面とされたことを特徴とする請求項8または請求項9記載の車体強度部材部構造。
【請求項11】
中間のブロックの閉断面部が、前側のブロックとの境界に位置する縦面部と、下り勾配の傾斜面とされた上面部と、両面部の下辺部間を結ぶように設けられた上り勾配の仕切壁面部とから成る三角断面形状部とされたことを特徴とする請求項10記載の車体強度部材部構造。
【請求項12】
運転席外側部を連結可能な第一の連結部が、前側のブロックの閉断面部に設けられ、
助手席側部分を連結可能な第二の連結部が、中間のブロックの閉断面部に設けられたことを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれか1項に記載の車体強度部材部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−262703(P2009−262703A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113040(P2008−113040)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】