説明

車線判定装置及びナビゲーションシステム

【課題】片側複数車線の道路を走行している自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することができる車線判定装置を提供する。
【解決手段】車線判定装置100は、片側複数車線道路Bの進入口に予め設定された基準位置402、502を検出し、その基準位置402、502からの進入距離Lと地図情報に基づいて、自車400が片側複数車線道路Bの走行車線B1〜B3のいずれを走行しているのかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる片側二車線や片側三車線などの、同一方向に複数の車両通行帯がある道路(以下、片側複数車線道路と称する)を自車が走行している場合に、自車がいずれの車線(車両通行帯)を走行しているのかを判定する車線判定装置及びナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるナビゲーションシステムは、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)やジャイロシステム等の自律的な手法により検出される自車位置を、その付近の地図情報とともに表示する機能を有する。
【0003】
そして、ナビゲーションシステムに表示される自車位置が実際の自車位置と近いほど、位置精度は高くなり、高精度な自車位置を出力することで、乗員は実際の自車位置における適切な道路情報を把握することができる。
【0004】
従来のナビゲーションシステムは、自車位置の推定精度が低く、例えば片側複数車線道路を自車が走行している場合に、自車がいずれの車線を走行しているのかを判定することは困難であった。従って、高速道路における分岐の案内や交差点における進行方向の案内を行う場合、車線毎に異なる経路誘導を行うことができずに、乗員に対しての快適性を向上することが困難であった。すなわち、高度な経路誘導を実現するためには、自車の走行する車線を正確に判定する必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、ウィンカ操作信号と白線検知部からの信号(白線またぎ)により車線変更を判定し、自車両が走行中の車線位置を判定し、また、前方の分岐を検出し、判定された車線に基づき、所定の距離手前位置で、運転者に分岐案内を行う車載用ナビゲーション装置が開示されている。また、特許文献2には、白線の種類(実線か破線か)から走行している車線を判定する車両制御装置が開示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、交差点右左折時に車両の進行方位の変化量あるいは走行軌跡から車両の旋回半径を計算し、その旋回半径に基づいて、右折または左折後の道路の車線毎に車両が走行している確率を計算し、その確率に基づいて車両が走行している走行車線を同定する車両位置同定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−023278号公報
【特許文献2】特開2000−105898号公報
【特許文献3】特開平11−211491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、ウィンカ操作と白線またぎの両方を検出して車線変更を判定するので、ウィンカの出し忘れや白線またぎの未検知により自車両が走行中の車線位置を見失うおそれがある。また、白線またぎを前提としているため、高速道路や自動車専用道では利用可能だが、一般道の交差点では、交差点内に白線が存在しないので、白線またぎにより車線位置を推定することはできない。
【0009】
また、特許文献2では、例えば片側四車線の道路の場合、左右の車線の線種が同種になる第2および第3車線の区別ができない。従って、片側四車線以上の道路での使用は実質不可能である。また、白線による破線や点線を検出するには、何本かのペイントを検出してから線種を判定するので、車線を判定するまでに時間がかかるという問題がある。また、ペイントがかすれていたりすると、未検知や誤検知の原因にもなる。さらに、使用する国が異なると線種の規格も異なるため、実用的ではない。
【0010】
さらに、特許文献3では、自車の方位データ、走行距離データ、GPS受信機からの位置データに基づいて自車の現在位置を算出する方法、いわゆる従来のナビゲーションシステムによる位置検出方法を採用しているので、自車位置の推定精度が低く、自車の走行する車線を正確に判定可能な位置精度を得ることはできない。特に、上記従来の算出方法により算出した自車の現在位置から走行軌跡を求めているので、走行軌跡の長さに応じて誤差が累積されて自車位置の推定精度が悪化する。
【0011】
また、右左折時の旋回半径に基づいて走行車線を判断しているので、例えば交差点の中央付近まで直進してかかる位置でハンドルを目一杯切って極小の旋回半径で曲がった場合と、交差点に進入した時点からハンドルを切り始めて交差点内を大きな旋回半径で曲がった場合を比較すると、運転の違い等によって大きな影響を受けやすく、自車の走行する車線を正確に判定可能な位置精度を得ることはできない。
【0012】
そして、複数回の車線変更を行うことで走行車線の同定の精度が上がる構成を採用しているので、交差点右左折直後や車線変更が行われていない場合は走行車線の同定の精度が低い。そのため、例えば、距離間隔の短い連続した交差点を走行する際に走行車線毎に適切な経路誘導ができなくなり、その結果、ドライバが車線変更できずに経路誘導どおりの走行ができなくなる。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えばナビゲーションシステムによる高度な経路誘導を可能とすべく、片側複数車線の道路を走行している自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することができる車線判定装置及びナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明の車線判定装置は、片側複数車線道路を走行している自車の走行車線を判定する車線判定装置であって、片側複数車線道路の進入口周辺に設定された基準位置から片側複数車線道路上の自車位置までの片側複数車線道路の道路幅方向距離である進入距離と地図情報に基づいて走行車線を判定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、片側複数車線道路の進入口周辺に設定された基準位置から片側複数車線道路上の自車位置までの片側複数車線道路の道路幅方向距離である進入距離と地図情報に基づいて走行車線を判定しているので、走行車線を判定するまでの走行距離を短くすることができ、走行軌跡の長さに応じて累積される誤差を小さくすることができる。
【0016】
従って、自車が片側複数車線道路のいずれの車線に進入して走行しているのかを正確に判断でき、自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することができる。従って、ナビゲーションシステムによる高度な経路誘導が可能になる。例えば、距離間隔の短い連続した交差点を走行する場合に、交差点を曲がった直後に自車の走行車線が判定できるので、次の交差点で適切な経路誘導が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、車線判定装置の発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る車線判定装置を有するナビゲーションシステム100の機能を示すブロック図である。
【0018】
まず、ナビゲーションシステム100の構成とその処理内容について説明する。ナビゲーションシステム100は、基準位置検出部1、車速検出部2、自車方位変化量検出部3、走行軌跡演算部4、車線判定部5、自車位置検出部6、地図情報取得部7、地図情報記憶部8、情報報知部9によって構成され、ナビゲーションシステム100の図示しないコンピュータにプログラミングされ、予め定められた周期で繰り返し実行される。
【0019】
基準位置検出部1は、片側複数車線道路に進入する進入口やその周辺に予め設定されている基準位置を検出する処理を行う。基準位置は、車載カメラにより撮像した自車周囲の画像データや、通信手段により取得した通信データ等を利用して検出される。
【0020】
車速検出部2は、自車の車速を検出するものであり、例えば車両の前後左右各輪に装着された車輪速センサにより得られる値を平均して車速を検出する方法や、自車に搭載する加速度センサにより得られる自車の加速度の値を積分して車速を算出する方法などがある。
【0021】
自車方位変化量検出部3は、自車方位の変化量を検出するものであり、ジャイロセンサやヨーレイトセンサにより得られる値から自車方位の変化量を算出する。
【0022】
走行軌跡演算部4は、基準位置検出部1により検出した基準位置と、自車の車速及び自車方位の変化量に基づいて、基準位置からの自車の走行軌跡を演算する。
【0023】
車線判定部5は、基準位置からの自車の走行軌跡と地図情報に基づいて、片側複数車線道路の中で自車が走行している車線(車両通行帯)を判定する処理を行う。具体的には、走行軌跡に基づいて、基準位置から自車位置までの道路幅方向移動距離を演算し、その演算した道路幅方向移動距離と地図情報に基づいて自車の走行車線を判定する。
【0024】
自車位置検出部6は、例えばGPSを利用する等、外部信号に基づいて自車位置を検出する。なお、自車位置は、車速検出部2により検出した車速と自車方位変化量検出部3により検出した自車の方位の情報を組み合わせて自車の移動ベクトルを積分することにより演算してもよく、さらに、GPSを利用して検出した位置情報との組み合わせによって演算してもよい。
【0025】
地図情報記憶部8は、地図情報を格納した記憶媒体を備えている。記憶媒体として、コンピュータが読み取り可能なCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等が挙げられるが、情報センタからの通信によって入手する様態で実施してもよい。
【0026】
地図情報には、ナビゲーションシステム100のモニター画面(図示せず)に表示される道路地図データや、各地点の所在地データ、目的地検索や地点登録のために必要な登録地点データ等が記録されており、更に、ノード情報やリンク情報などの情報が格納されている。
【0027】
また、地図情報には、自車が進入する片側複数車線道路の車線数(車両通行帯の数)、車線幅(車両通行帯の幅)、一般道や高速道路などの道路種別や、一時停止線、横断歩道などの路上標示物から片側複数車線道路までの道路幅方向距離であるオフセット距離L0(例えば図5、図6を参照)等の種々の道路情報が含まれている。
【0028】
地図情報取得部7は、自車位置検出部6により検出された自車位置に基づいて地図情報記憶部8にアクセスし、地図情報記憶部8から自車位置周辺の地図情報を取得する。
【0029】
情報報知部9は、地図情報取得部7および車線判定部5から得られる各種情報を乗員に分かり易く音声やモニター画面で報知する処理を行う。また、車線判定部5から得られる自車が走行している車線に基づいて乗員に報知する内容を切り替えることで、より分かり易く親切な案内を実施することが可能である。
【0030】
次に、上記した構成を有するナビゲーションシステム100による車線判定方法について説明する。図2は、本実施の形態における車線判定方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0031】
まず、ステップS201では、車速検出部2により自車の車速を検出するとともに、自車方位変化量検出部3により自車の方位を検出する。そして、ステップS300において、自車周辺の地図情報を取得する処理を行う。なお、自車周辺の地図情報が取得できない場合は、車線判定処理は行われない。
【0032】
図3は、図2のステップS300における地図情報取得処理の内容を詳細に説明するためのフローチャートである。
【0033】
ステップS301において、GPSから受信した自車位置の情報(緯度、経度など)やステップS201にて検出した車速、自車方位の情報を用いて、自車位置検出部6により自車位置を検出し、ステップS302において、地図情報取得部7により地図情報記憶部8のCD−ROMやDVD−ROM、ハードディスク等の記憶媒体に記憶された地図情報から自車位置周辺の必要な部分を読み込む。
【0034】
ステップS303において、ステップS301にて検出された自車位置を、ステップS302にて読み込まれた地図情報にマッチングする処理を行う。マッチング処理の一例としては、地図上にメッシュを作成し、自車位置(緯度、経度)と地図上のメッシュ格子点の位置を比較して、自車位置の最も近傍にあるメッシュ格子点を地図上の自車位置とするマップマッチングが一般的である。
【0035】
ステップS304において、ステップS303で実行したマッチング処理の結果に応じて自車位置の更新を行い、ステップS305において、更新された自車位置に基づいてその周辺の地図情報を出力する。ここで、出力される地図情報には、少なくとも車線数、道路種別、路上標示物の位置、路上標示物から進入する道路までのオフセット距離などの道路情報が含まれている。以上、説明したように、自車位置検出部6および地図情報取得部7を用いて、自車周辺の地図情報を出力することが可能となる。
【0036】
再び図2に示すフローチャートの説明に戻り、図2のステップS300において自車周辺の地図情報を取得した後、ステップS202に移行する。ステップS202では、自車が車線判定をすべき道路の近傍に存在するか否かが判定される。
【0037】
ここで、自車が車線判定をすべき道路とは、自車が例えば左折または右折等の車両旋回により進入する片側複数車線道路をいい、自車が片側複数車線道路の近傍に存在する場合(ステップS202でYES)には、基準位置の検出を行うべく、ステップS203に進み、自車が車線判定をすべき道路の近傍に存在しない場合(ステップS202でNO)には、一連の処理を終了する(RETURN)。
【0038】
ステップS203では、基準位置検出部1によって基準位置を検出したか否かが判定され、基準位置を検出した場合(ステップS203でYES)には、自車の走行軌跡を求めるべくステップS204に進む。一方、自車が基準位置を検出していない場合(ステップS203でNO)には、一連の処理を終了する(RETURN)。
【0039】
基準位置は、例えば、車載カメラで路上標示物、縁石やガードレールなどの道路端、建物の境界などの道路外の特徴のある場所等(以下、路上標示物等と称する)を撮像することによって検出される。
【0040】
なお、路上標示物には、例えば片側複数車線道路に進入する進入道路の路面に道路鋲やペイントなどで描かれた道路標示(停止線、横断歩道、横断歩道又は自転車横断帯あり、前方優先道路など)、道路の傍らに設置された道路標識(一時停止、徐行、車両進入禁止、通行止めなど)、信号機、道路の白線形状に特徴のある箇所(白線同士で交じり合う箇所、大きく折れ曲がっている箇所など)が含まれる。
【0041】
基準位置検出部1では、車載カメラで撮影した路上標示物の位置や、路上標示物を検出した自車の位置を基準位置として検出する。基準位置の検出に、車載カメラ(撮像装置)を利用する場合、車載カメラの撮像方向は、車両前方(フロントビューカメラ)、車両側方(サイドビューカメラ)、車両後方(リアビューカメラ)もしくは斜め方向のいずれでもよく、また、全方位を撮像する全方位カメラでもよい。
【0042】
車載カメラの種類に関しては、1つのカメラで撮像する単眼カメラ、2つのカメラで撮像するステレオカメラであってもよく、搭載数に関しても、車両の前後左右方向のそれぞれに配置してもよい。
【0043】
車載カメラにより撮像された画像情報は、基準位置検出部1で画像処理が施され、パターンマッチング等の既知の方法によって特定の路上標示物を検出し、該路上標示物までの距離を演算する処理が行われる。
【0044】
図4は、車載カメラにより撮像した画像を用いて自車から路上標示物までの距離を演算する方法の一例を説明する図である。図4(a)はリアビューカメラにて撮像された画像であり、撮像範囲600の中に、左側の白線601、右側の白線602、停止線603が存在している。
【0045】
これらの道路標示601〜603を検出するため、例えば既知の手法で、映像を2値化処理してエッジを検出し、それぞれの道路標示601〜603を検出する。
【0046】
次に、自車400カメラから停止線603の手前エッジまでの離間距離Lcを演算する。カメラ映像の特徴上、撮像範囲600の左側に示した距離軸のように、画像の上方に移行するほど指数関数的に距離が遠くなり、この距離の軸は、カメラの取り付け位置や取り付け角度に応じて一意に決定できる。以上のように、図4(a)の場合、自車400カメラから停止線603の手前エッジまでの離間距離は、Lc=1[m]と算出できる。
【0047】
図4(b)はフロントビューカメラにて撮像された映像であり、撮像範囲610の中に、路上標示物として、左側の白線611、右側の白線612、停止線613、一時停止標識614、この先に交差する片側2車線道路の白線615、616が存在している。ここで、自車400カメラから一時停止を示す道路標識614までの離間距離Lcは、図4(a)と同様に求めることができ、この場合はLc=20[m]と算出できる。
【0048】
ここで、図4(b)のようにカメラで撮像された映像の中に一時停止線と一時停止標識の両方の路上標示物が存在する場合、離間距離Lcを求める際の対象となる路上標示物は一時停止標識とする。この理由としては、一般的に一時停止線は横方向のエッジの情報を用いて検出するのに対し、一時停止標識はパターンマッチングで検出するため比較的検出率が高いためである。
【0049】
さらに、路上標示物の検出に通信を利用する場合、自車および路側の両方に通信端末を設置し、路側の通信端末から路上標示物の情報を自車に送信し、自車の通信端末でその情報を受信することで路上標示物を検出すればよく、通信の手段(周波数帯、出力など)は問わない。路側の通信端末として、例えばVICSの電波ビーコンや光ビーコンなどが挙げられる。具体的には、ビーコンにより停止線などの路上標示物の位置(絶対位置もしくは自車との相対位置)を取得するとことで、自車から路上標示物間の距離を算出できる。
【0050】
なお、ここで自車が検出する路上標示物は、交差点においては一時停止線613のペイントや横断歩道のペイントである確率が高いため、これらを検出することが望ましい。
【0051】
再び図2に示すフローチャートの説明に戻り、ステップS204では、自車の走行軌跡を演算する処理が行われる。例えば、ステップS203で路上標示物を検出した自車の位置を基準位置とし、ステップS201で検出した自車の車速と自車方位の情報を用いて、基準位置からの走行軌跡が演算される。
【0052】
この走行軌跡の演算方法は、一般的には自律航法と呼ばれている。自律航法は、車速と方位から求まる車両の速度ベクトルを初期位置に足し合わせていくことで車両の位置を逐次計算する方法である。具体的には、自車の速度VSP、自車の車両旋回角度DIRを用いて(1)式および(2)式で計算できる。
X= Xz1 + VSP × Δt ×sin(DIR) (1)
Y= Yz1 + VSP × Δt ×cos(DIR) (2)
【0053】
ここで、(X、Y)は自車の現在位置、(Xz1、Yz1)は自車位置の前回の計算結果、Δtは計算周期である。
【0054】
次に、ステップS205では、自車が路上標示物を検出してから所定の基準角度以上の車両旋回が行われたか否かが判定される。ここでは、自車方位の変化量である車両旋回角度DIRが予め設定された第1の基準角度以上であるか否かが判断され、第1の基準角度以上である場合(ステップS205でYES)には、自車が車両旋回して片側複数車線道路に進入していると判断して、車線判定を行うべくステップS206に進む。
【0055】
一方、自車の車両旋回角度が第1の基準角度に満たない場合(ステップS205でNO)は、一連の処理を終了する(RETURN)。
【0056】
なお、自車が車両旋回している間は車線を判定することができないので、操舵輪の舵角や自車の方位が安定するなどの条件に基づいて車両旋回が終了したか否かを判断し、車両旋回の終了後に車線判定を行う。例えば、交差点の場合では右左折など所定の角度以上車両旋回して進入した片側複数車線道路の方位と、そのときの自車の方位との差が予め設定された第二の基準角度以下となった場合に車両旋回が終了したと判断できる。
【0057】
次に、ステップS206において、自車が走行している車線を判定する車線判定処理が行われる。ここでは、自車が進入する片側複数車線道路の延在方向をX軸方向と設定し、片側複数車線道路の道路幅方向をY軸方向と設定する。尚、本実施の形態では、X軸方向とY軸方向がほぼ直交する場合を例に説明しているが、角度は直交方向に限定されるものではなく、X軸とY軸とが交差していればよい。
【0058】
まず、ステップS204で演算した自車の走行軌跡を用いて、ステップS203にて検出した基準位置から自車の後部までの道路幅方向移動距離(Y軸方向移動距離)である進入距離Lを算出する。
【0059】
そして、進入距離Lからオフセット距離L0を減算して、片側複数車線道路の外端から自車位置までの道路幅方向距離である路車間距離L1を算出する。そして、この路車間距離L1とステップS300にて取得した地図情報(車線数、道路種別、路上標示物から進入する道路までの距離など)から自車が走行している走行車線を推定する。
【0060】
最後に、ステップS207において、ステップS206にて推定した自車の走行車線の情報に基づいて、道路案内を切り替えて乗員に音声や画面を用いて情報を報知する。
【0061】
上記した構成を有するナビゲーションシステム100によれば、車両旋回により片側複数車線道路に自車が進入した場合に、片側複数車線道路の進入口周辺に予め設定された基準位置からの車幅方向移動距離Lと地図情報に基づいて走行車線を判定しているので、走行車線を判定するまでの走行軌跡の距離を短くすることができる。
【0062】
従って、自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することができ、走行軌跡の長さに応じて累積される誤差を小さくすることができる。従って、例えばナビゲーションシステム100により、高速道路における分岐の案内や、車両前方に位置する交差点で進行方向の案内を行う場合に、車線毎に異なる経路誘導を行うことができ、乗員に対する高度な経路誘導を実現できる。
【0063】
[具体例1]
次に、図5を用いて、ナビゲーションシステム100における車線判定処理の具体例について、所定の道路状況に当てはめて説明する。
【0064】
図5は、片側一車線道路Aと片側三車線道路Bが交差する交差点Cにおいて、片側一車線道路Aを走行中の自車400が交差点Cで左折して片側三車線道路Bに進入する場合について説明する図である。なお、このときの自車400は地点P1、P2、P3、P4 の順で走行し、実線401で示すような走行軌跡を描くものとする。
【0065】
まず、自車400が地点P1に存在するとき、この地点P1が車線判定をすべき道路の近傍に存在するか否かが地図情報に基づいて判定される。これから進入しようとしている道路Bは片側三車線道路であることから、自車400は車線判定をすべき道路の近傍に存在すると判定され(ステップS202でYES)、基準位置の検出が開始される。なお、この判定は交差点Cの近傍にて行えばよく、自車位置推定誤差や地図の誤差などを考慮して判定する範囲を設定する。
【0066】
そして、自車400が道路Bへの進入口である地点P2に到達すると、路上標示物の停止線402が検出され(ステップS203でYES)、この停止線402の位置を基準位置として、自律航法により自車400の走行軌跡401を演算する処理が開始される(ステップS204)。
【0067】
なお、路上標示物である停止線402の検出は、自車400の後部に搭載されたリアビューカメラ(図示せず)を利用しており、図中に示す領域403は、リアビューカメラの検出範囲である。
【0068】
ここで、図4(a)で説明したように、自車400から停止線402の手前エッジまでの離間距離はLcと算出されるため、実際には基準位置から離間距離Lc離れた地点から自律航法による走行軌跡401の演算が開始される。
【0069】
そして、自車400が停止線402を検出した後に所定角度以上旋回して、その旋回が終了したか否かが判断される(ステップS205)。例えば、自車400が左折中の地点P3に存在する場合は、旋回角度DIRが予め設定された第一の基準角度(例えば80度(deg)以上)よりも足りないので旋回中であると判断される。そして、自車400が所定角度以上旋回して地点P4に存在する場合は、車両旋回角度DIRが第一の基準角度以上となっているので、旋回終了と判断される。
【0070】
なお、旋回中であるか否かは、自車400の舵角と方位に基づいて判断してもよい。例えば、操舵輪の舵角が予め設定された閾値よりも大きく、自車方位も安定していない場合には、旋回中であると判断できる。そして、自車400が所定角度以上旋回して地点P4に存在する場合は、操舵輪の舵角も閾値以下であり、自車方位も安定しているので、旋回終了と判断できる。
【0071】
旋回終了と判断されると、自車400が走行している車線を判定するために(ステップS206)、進入距離Lが算出される。進入距離Lは、道路Bに沿ってX軸が延在し、道路Bの道路幅方向に沿ってY軸が延在するように設定された2軸座標において、停止線402の手前エッジから旋回終了後の自車位置P4までの道路Bの道路幅方向移動距離であり、停止線402を基準位置として自律航法により計算される。なお、自律航法により計算される進入距離Lは、停止線402の手前エッジと車両の基準位置(例えば重心位置)までの道路Bの道路幅方向移動距離であるため、地点P2で停止線402を検出したときの進入距離Lは、リアビューカメラから車両の基準位置までの距離をLr(図示しない)とすると(3)式で表され、(3)式の進入距離Lに自律航法で計算する道路幅方向の移動距離を足し合わせていき、旋回終了後の進入距離Lを算出する。
L = Lc + Lr (3)
【0072】
この進入距離Lを用いて、片側複数車線道路Bの中で、自車400が走行している車線を判定する。まず、片側複数車線道路Bの車線数および道路種別等の道路情報を地図情報から取得する。ここで、道路種別を取得する理由は、道路種別と車線幅Lwが対応していると仮定しているためであり、車線幅Lwが道路情報に付加されていれば直接に車線幅Lwを取得する構成でもよい。
【0073】
また、停止線402の手前エッジから片側複数車線道路Bまでのオフセット距離L0も同様に地図情報から取得する。そして、進入距離Lからオフセット距離L0を引いた値である路車間距離L1が車線幅Lwの何倍になるかで自車400が走行している車線を判定する。すなわち、路車間距離L1は(4)式で表される。
L1 = L − L0 (4)
なお、オフセット距離L0は、各々の場所にて実測するか、航空写真などを用いて計測して地図情報に格納しておくものとする。
【0074】
この路車間距離L1は、道路Bの外側の路側端から道路B上の自車位置までの道路幅方向移動距離を示す。例えば、路車間距離L1が車線幅Lwの0.3〜0.7倍のときは最も外側の車線である左側走行車線(第1通行帯)B1と判定し、路車間距離L1が車線幅Lwの1.3〜1.7倍のときは中央走行車線(第2通行帯)B2と判定し、路車間距離L1が車線幅Lwの2.3〜2.7倍のときは最も内側(センターライン寄り)の車線である右側走行車線(第3通行帯)B3と判定し、それ以外は車線をまたいでいる可能性が高いため判定しない。
【0075】
以上説明したように、片側複数車線道路Bの進入口に設けられた基準位置である停止線402の手前エッジからの進入距離Lと地図情報に基づき、自車400が交差点Cで車両旋回して片側複数車線道路Bに進入した場合に、自車400の走行車線を判定することができる。
【0076】
[具体例2]
次に、図6を用いてナビゲーションシステム100における車線判定処理の具体例2について、所定の道路状況に当てはめて説明する。
【0077】
図6は、具体例2を説明する図であり、自車400が細い路地Dから片側三車線の幹線道路Bに進入した場合を示す図である。なお、このときの自車400はP1、P2、P3、P4の順で走行し、実線501で示すような走行軌跡を描くものとする。
【0078】
まず、自車400が地点P1に存在するとき、この地点P1が車線判定をすべき道路の近傍に存在するか否かを判定する。道路Bは、片側複数車線道路であることから、自車400は車線判定をすべき道路の近傍に存在すると判定され(ステップS202でYES)、基準位置の検出が開始される。この判定は、具体例1と同様に、路地Dから道路Bに進入する進入口の近傍にて行えばよく、自車位置推定誤差や地図の誤差などを考慮して範囲を設定する。
【0079】
そして、自車400が片側複数車線道路Bの進入口である地点P2に到達すると、路上標示物の停止線502が検出され(ステップS203でYES)、この停止線502の位置を基準位置として自律航法により自車400の走行軌跡501を演算する処理が開始される(ステップS204)。
【0080】
ここで、図4(a)で説明したように、自車から停止線402の手前エッジまでの離間距離はLcと算出されるため、実際には基準位置から離間距離Lcだけ離れた地点から自律航法による走行軌跡401の演算が開始される。
【0081】
そして、自車400が停止線502を検出した後に所定の角度以上旋回して、その旋回が終了したか否かが判定される(ステップS205)。なお、旋回が終了したか否かの判定については、具体例1と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
【0082】
そして、旋回終了と判定されると、自車400が走行している車線を判定するために(ステップS206)、図中の進入距離Lが算出される。進入距離Lは、片側複数車線道路Bに沿ってX軸が延在し、道路幅方向に沿ってY軸が延在するように設定された2軸座標において、停止線502の手前エッジから旋回後の自車400までの道路幅方向移動距離であり、停止線502を基準位置として自律航法により計算される。なお、自律航法により計算される進入距離Lは、停止線502の手前エッジと車両の基準位置(例えば重心位置)までの道路Bの道路幅方向移動距離であるため、地点P2で停止線502を検出したときの進入距離Lは、リアビューカメラから車両の基準位置までの距離をLr(図示しない)とすると(5)式で表され、(5)式の進入距離Lに自律航法で計算する道路幅方向の移動距離を足し合わせていき、旋回終了後の進入距離Lを算出する。
L = Lc + Lr (5)
【0083】
この進入距離Lを用いて、片側複数車線道路Bの中で、自車400が走行している車線を判定する。ここでは、図5の場合と同様に、まず、片側複数車線道路Bの車線数および道路種別を地図情報から取得する。また、停止線502の手前エッジから片側複数車線道路Bまでのオフセット距離L0も同様に地図情報から取得する。そして、進入距離Lからオフセット距離L0を引いた値が車線幅Lwの何倍になるかによって、自車400が走行している車線を判定する。すなわち、路車間距離L1は(6)式で表される。
L1 = L − L0 (6)
なお、オフセット距離L0は、各々の場所にて実測するか、航空写真などを用いて計測して地図情報に格納しておくものとする。
【0084】
以上説明したように、片側複数車線道路Bの進入口に設けられた基準位置である停止線502からの進入距離Lと地図情報に基づき、自車400が路地Dから片側複数車線道路Bに進入した場合に、自車400の走行車線を判定することができる。
【0085】
[具体例3]
次に、図7を用いてナビゲーションシステム100における車線判定処理の具体例3について、所定の道路状況に当てはめて説明する。
【0086】
図7は、具体例3を説明する図であり、自車700が細い路地Dから片側三車線の幹線道路Bに進入した場合を示す図である。なお、このときの自車700はP1、P2、P3、P4の順で走行し、実線701で示すような走行軌跡を描くものとする。
【0087】
まず、自車700が地点P1に存在するとき、この地点P1が車線判定をすべき道路の近傍に存在するか否かを判定する。道路Bは、片側複数車線道路であることから、自車700は車線判定をすべき道路の近傍に存在すると判定され(ステップS202でYES)、基準位置の検出が開始される。この判定は、具体例1および具体例2と同様に、路地Dから道路Bに進入する進入口の近傍にて行えばよく、自車位置推定誤差や地図の誤差などを考慮して範囲を設定する。
【0088】
そして、自車700が片側複数車線道路Bの進入口の手前である地点P2に到達すると、路上標示物である止まれ標識703が検出され(ステップS203でYES)、この止まれ標識703の位置を基準位置として自律航法により自車700の走行軌跡701を演算する処理が開始される(ステップS204)。
【0089】
なお、路上標示物である止まれ標識703の検出は、自車700の前部に搭載されたフロントビューカメラ(図示せず)を利用しており、図中に示す領域704は、フロントビューカメラの検出範囲である。また、本実施例の地点P2においては、路上標示物である停止線702もフロントビューカメラを用いて検出可能であるが、一般的にパターンマッチングを用いた画像処理の場合、止まれ標識703の方が停止線702よりも認識しやすいため、止まれ標識703を優先して検出している。
【0090】
ここで、図4(b)で説明したように、自車から止まれ標識703までの離間距離はLcと算出されるため、実際には基準位置から離間距離Lcだけ離れた地点P2から自律航法による走行軌跡701の演算が開始される。
【0091】
そして、自車700が止まれ標識703を検出した後に所定の角度以上旋回して、その旋回が終了したか否かが判定される(ステップS205)。なお、旋回が終了したか否かの判定については、具体例1、2と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
【0092】
そして、旋回終了と判定されると、自車700が走行している車線を判定するために(ステップS206)、図中の進入距離Lが算出される。進入距離Lは、片側複数車線道路Bに沿ってX軸が延在し、道路幅方向に沿ってY軸が延在するように設定された2軸座標において、止まれ標識703から旋回後の自車700までの道路Bの道路幅方向移動距離であり、止まれ標識703を基準位置として自律航法により計算される。なお、自律航法により計算される進入距離Lは、止まれ標識703と車両の基準位置(例えば重心位置)までの道路Bの道路幅方向移動距離であるため、地点P2で止まれ標識703を検出したときの進入距離Lは、フロントビューカメラから車両の基準位置までの距離をLf(図示しない)とすると(7)式で表され、(7)式の進入距離Lに自律航法で計算する道路幅方向の移動距離を足し合わせていき、旋回終了後の進入距離Lを算出する。
L = −(Lc + Lf) (7)
【0093】
この進入距離Lを用いて、片側複数車線道路Bの中で、自車700が走行している車線を判定する。ここでは、図5の場合と同様に、まず、片側複数車線道路Bの車線数および道路種別を地図情報から取得する。また、止まれ標識703から片側複数車線道路Bまでのオフセット距離L0も同様に地図情報から取得する。そして、進入距離Lからオフセット距離L0を引いた値である路車間距離L1が車線幅Lwの何倍になるかによって、自車700が走行している車線を判定する。すなわち、路車間距離L1は(8)式で表される。
L1 = L − L0 (8)
なお、オフセット距離L0は、各々の場所にて実測するか、航空写真などを用いて計測して地図情報に格納しておくものとする。
【0094】
以上説明したように、片側複数車線道路Bの進入口に設けられた基準位置である止まれ標識703からの進入距離Lと地図情報に基づき、自車700が路地Dから片側複数車線道路Bに進入した場合に、自車700の走行車線を判定することができる。
[具体例4]
次に、図8を用いてナビゲーションシステム100における車線判定処理の具体例4について、所定の道路状況に当てはめて説明する。
【0095】
図8は、具体例4を説明する図であり、自車800が細い路地Dから片側三車線の幹線道路Bに進入した場合を示す図である。なお、このときの自車800はP1、P2、P3、P4の順で走行し、実線801で示すような走行軌跡を描くものとする。また、路地Dと幹線道路Bは角度αで交差している。
【0096】
まず、自車800が地点P1に存在するとき、この地点P1が車線判定をすべき道路の近傍に存在するか否かを判定する。道路Bは、片側複数車線道路であることから、自車800は車線判定をすべき道路の近傍に存在すると判定され(ステップS202でYES)、基準位置となる路上標示物の検索が開始される。この判定は、具体例1から具体例3と同様に、路地Dから道路Bに進入する進入口の近傍にて行えばよく、自車位置推定誤差や地図の誤差などを考慮して範囲を設定する。
【0097】
そして、自車800が片側複数車線道路Bの進入口である地点P2に到達すると、路上標示物である停止線802が検出され(ステップS203でYES)、この停止線802の位置を基準位置として自律航法により自車800の走行軌跡801を演算する処理が開始される(ステップS204)。
【0098】
なお、路上標示物である停止線802の検出は、自車800の後部に搭載されたリアビューカメラ(図示せず)を利用しており、図中に示す領域803は、リアビューカメラの検出範囲である。
【0099】
ここで、図4(a)で説明したように、自車から停止線802の手前エッジまでの離間距離はLcと算出されるため、実際には基準位置から離間距離Lcだけ離れた地点P2から自律航法による走行軌跡801の演算が開始される。
【0100】
そして、自車800が停止線802を検出した後に所定の角度以上旋回して、その旋回が終了したか否かが判定される(ステップS205)。なお、旋回が終了したか否かの判定については、具体例1から具体例3と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
【0101】
そして、旋回終了と判定されると、自車800が走行している車線を判定するために(ステップS206)、図中の進入距離Lが算出される。進入距離Lは、片側複数車線道路Bに沿ってX軸が延在し、道路幅方向に沿ってY軸が延在するように設定された2軸座標において、停止線802の手前エッジから旋回後の自車800までの片側複数車線道路Bの道路幅方向移動距離であり、停止線802を基準位置として自律航法により計算される。なお、自律航法により計算される進入距離Lは、停止線802の手前エッジと車両の基準位置(例えば重心位置)までの道路Bの道路幅方向移動距離であるため、地点P2で停止線802を検出したときの進入距離Lは、リアビューカメラから車両の基準位置までの距離をLr(図示しない)とすると(9)式で表され、(9)式の進入距離Lに自律航法で計算する道路幅方向の移動距離を足し合わせていき、旋回終了後の進入距離Lを算出する。
L = (Lc + Lr)×sin(α) (9)
ここで、路地Dと幹線道路Bの角度αは、地図情報から取得する。
【0102】
この進入距離Lを用いて、片側複数車線道路Bの中で、自車800が走行している車線を判定する。ここでは、図5の場合と同様に、まず、片側複数車線道路Bの車線数および道路種別を地図情報から取得する。また、停止線802の手前エッジから片側複数車線道路Bまでのオフセット距離L0も同様に地図情報から取得する。そして、進入距離Lからオフセット距離L0を引いた値が車線幅Lwの何倍になるかによって、自車800が走行している車線を判定する。すなわち、路車間距離L1は(10)式で表される。
L1 = L − L0 (10)
なお、オフセット距離L0は、各々の場所にて実測するか、航空写真などを用いて計測して地図情報に格納しておくものとする。
【0103】
以上説明したように、片側複数車線道路Bの進入口に設けられた基準位置である停止線802からの進入距離Lと地図情報に基づき、自車800が路地Dから片側複数車線道路Bに進入した場合に、路地Dと片側複数車線道路Bの交差角が直角でなくても自車800の走行車線を判定することができる。
【0104】
また、図6から図8においては、自車が細い路地Dから片側三車線道路Bに進入した場合を説明したが、自車が駐車場(図示せず)などから道路Bに進入する場合も同様に、例えばガードレールや歩道の端部を基準位置として、かかる基準位置からの進入距離Lに基づき、自車が走行している車線を判定することが可能である。
【0105】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の様態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第1実施の形態に係わるナビゲーションシステムの構成を説明するブロック図。
【図2】車線判定処理を含むナビゲーションシステムの処理内容を示すフローチャート。
【図3】地図情報取得処理の内容を示すフローチャート。
【図4】画像を用いて自車から路上標示物までの距離を演算する方法を説明する図。
【図5】具体例1を説明する図。
【図6】具体例2を説明する図。
【図7】具体例3を説明する図。
【図8】具体例4を説明する図。
【符号の説明】
【0107】
1 基準位置検出部
2 車速検出部
3 自車方位変化量検出部
4 走行軌跡演算部
5 車線判定部
6 自車位置検出部
7 地図情報取得部
8 地図情報記憶部
9 情報報知部
100 ナビゲーションシステム(車線判定装置)
400、700、800 自車
401、501、701、801 走行軌跡
402、502、803 停止線(基準位置)
L 進入距離
L0 オフセット距離
L1 路側間距離
Lc 離間距離
A 片側一車線道路(進入道路)
B 片側三車線道路(片側複数車線道路)
B1 左側走行車線
B2 中央走行車線
B3 右側走行車線
C 交差点
D 路地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一方向に複数の車両走行帯がある片側複数車線道路の外から該片側複数車線道路に車両旋回により進入した自車の前記片側複数車線上における走行車線を判定する車線判定装置であって、
外部信号に基づいて自車位置を検出する自車位置検出部と、
該自車位置検出部により検出された自車位置に基づいて自車位置周辺の地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記片側複数車線道路の進入口周辺に予め設定された基準位置を検出する基準位置検出部と、
該基準位置検出部によって検出した基準位置から前記片側複数車線道路上の自車位置までの道路幅方向移動距離を演算する道路幅方向移動距離演算部と、
該道路幅方向移動距離演算部により演算した道路幅方向移動距離と、前記地図情報取得部により取得した地図情報に基づいて前記自車の前記走行車線を判定する車線判定部と、
を有することを特徴とする車線判定装置。
【請求項2】
前記地図情報には、前記片側複数車線の車線数、車線幅、及び前記基準位置から前記片側複数車線までの道路幅方向に沿ったオフセット距離の各情報が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の車線判定装置。
【請求項3】
自車の車速を検出する車速検出部と、自車の方位の変化量を検出する自車方位変化量検出部と、前記車速および前記自車方位の変化量に基づいて前記基準位置からの走行軌跡を演算する走行軌跡演算部を備え、
前記車線判定部は、前記走行軌跡演算部により演算した走行軌跡を用いて前記道路幅方向移動距離を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の車線判定装置。
【請求項4】
前記車線判定部は、前記自車方位変化量検出部により検出した自車方位の変化量が予め設定された第一の基準角度以上となった場合に、前記車両旋回が行われていると判断することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車線判定装置。
【請求項5】
前記車線判定部は、前記片側複数車線道路の方位と前記自車方位との差が予め設定された第二の基準角度以下となった場合に、前記車両旋回が終了したと判断することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車線判定装置。
【請求項6】
前記基準位置検出部は、道路標示の位置を前記基準位置として検出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車線判定装置。
【請求項7】
前記基準位置検出部は、道路標識の位置を前記基準位置として検出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車線判定装置。
【請求項8】
前記基準位置検出部は、道路白線形状の特徴点の位置、縁石またはガードレールを含む道路端の位置、建物の境界を含む道路外の特徴点の位置の少なくとも一つを前記基準位置として検出することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の車線判定装置。
【請求項9】
前記基準位置検出部は、自車に搭載された撮像装置で撮像された画像に基づき前記基準位置を検出することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の車線判定装置。
【請求項10】
前記基準位置検出部は、道路側に設置された通信機からの通信を受信することにより前記基準位置を検出することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の車線判定装置。
【請求項11】
前記車線判定部は、
前記道路幅方向移動距離演算部により演算された前記道路幅方向移動距離から前記オフセット距離を減算することによって前記片側複数車線道路の外端からの距離である路車間距離を演算する路車間距離演算部と、
該路車間距離演算部により演算された路車間距離と前記地図情報取得部により取得した前記地図情報の車線幅と車線数の情報に基づいて前記自車の走行車線を推定する車線推定部とを有することを特徴とする請求項2から請求項10のいずれか一項に記載の車線判定装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11に記載の車線判定装置を有するナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−13039(P2011−13039A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156118(P2009−156118)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】