説明

車載情報表示装置およびこれを用いた車両情報通信システム

【課題】自車位置を表示するとともに管理ポスト値を表示することのできる車載情報表示装置を提供する。
【解決手段】車載端末2はCPU6、GPSレシーバー7、車速センサ8、ジャイロ9、加速度センサ10,ビーコン受信機11、ステータスセンサ12、管理ポストデータベース13、地図データベース14、地図モニター15、音声出力装置(本発明の音声表示装置)16、および外部記憶装置17から構成されている。そして、地図モニター15のモニター画面には自車位置が表示されるだけではなく、自車位置における管理ポスト値が一緒に表示される。これにより、車両の運転者等の乗員は、現在走行している地上の自車の位置を知ることができるとともに、この自車位置における管理ポスト値を容易にかつより正確に、しかも迅速に知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて自車の位置情報および管理情報と、自車位置における道路の管理情報とを電子地図上に表示する車載情報表示装置、およびこれを用いて管理センターで管理車両を管理するために管理車両の位置情報および管理情報と管理車両位置における道路の管理情報とを電子地図上に表示する車両情報通信システムの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等においてはカーナビゲーションシステムが大いに普及しており、このカーナビゲーションシステムは、GPSで検出された自車の位置に対応する電子地図を電子表示装置に表示するとともに、地図の座標を基にした自律航法により自車位置を特定している。そして、特定した自車位置に基づいて、その自車位置を電子地図上に直接表示したり、あるいは自車位置の緯度経度の値を表示することにより、自車位置を車両の乗員に知らせるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、高速道路においては、その高速道路の起点からの現地点までの距離を表示したキロポスト等の道路上の位置管理情報を表示した管理ポストや道路分岐点での各場所の方向等の管理標識が、それぞれ例えば中央分離帯や走行路面の上方等に設置されている。そして、これらの管理ポストや管理標識の表示内容を直接目視したりあるいはカメラで撮影したりすることにより、一般走行車両のドライバーは自分の車両の位置を確認したり、分岐点での目的地のための車線変更等の運転操作を行っている。また、道路点検補修のための道路作業車に乗車しているドライバー等の作業者は自分の車両の位置の確認や目的地のための運転操作を行うだけではなく、作業時間や作業工程を確認調整するという、道路の保守管理作業における業務管理を行っている。
【0004】
また、一般道路においても、バスの停留所、町名番地等の位置管理情報を表示するための管理ポストや管理標識が設置されており、これらの管理ポストや管理標識を前述同様にして確認している。
【0005】
しかしながら、このような管理ポストや管理標識を目視やカメラ撮影で自車の位置を確認する方法では、そのときの天候、運転状況あるいは走行状況等によっては、これらの管理ポストや管理標識にそれぞれ表示されている表示内容はおろか、管理ポストや管理標識自体を明確に確認することが難しい場合がある。このため、道路の保守管理作業における業務管理を正確に行うことが困難であるばかりでなく、管理ポストや管理標識の表示内容をより確実に知るためには、作業者を増員せざるを得ない状況となる。
【0006】
そこで、位置管理情報表示装置が搭載されている道路管理業務車両の現在位置の緯度および経度がGPSの衛星によって検出され、その検出情報がGPSアンテナを介してGPS受信機で受信され、マイコン応用回路がこの検出情報に基づいて管理ポストもしくは管理標識データベースから該当する管理ポストもしくは管理標識の情報およびそれらの位置座標を示す緯度および経度の値を取り出して出力装置および外部ポートに伝送し、出力装置は伝送された情報を表示して業務車両の乗員に知らせる一方、外部ポートに通信装置を接続することでこの情報を遠隔地に伝送可能とし、また、外部ポートに記録装置を接続することで各情報を記録可能とすることで、管理ポストや管理標識の各表示内容をより一層正確に知ることができる車載の位置管理情報表示装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−113756号公報
【特許文献2】特開2001−264087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の特許文献1に開示のカーナビゲーションシステムを始め、従来のカーナビゲーションシステムでは、自車位置を地図表示したり、あるいはその緯度経度値を表示するだけであるため、これらの情報のみでは、例えば高速道路等において車両の事故や故障等のときに、その場所つまり車両の道路上での正確な位置を第三者に的確に伝えることが難しいという問題がある。特に、トンネル内等においては、地図の座標を基にした自律航法による自車位置の特定は難しいものとなっている。
また、従来のカーナビゲーションシステムでは、道路状況管理情報が表示されないため、自車が走行している道路がどのようにな状況にあるのかをドライバーは正確に知ることができないという問題もある。
【0008】
一方、前述の特許文献2に開示の車載の位置管理情報表示装置では、自車位置での管理ポストや管理標識の各内容を表示することで、表示された管理ポストや管理標識の各内容に基づいて道路の保守管理作業における業務管理をある程度正確に行うことができるが、自車位置と地図との連携がないため、前述と同様に、その車両の道路上での正確な位置を特定することが難しく、表示された管理ポストや管理標識の各内容に基づいて道路の保守管理作業における業務管理をより一層正確に行うことが難しいという問題がある。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、自車位置を表示するとともに管理ポスト値を表示することのできる車載情報表示装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、作業管理や道路状況管理の正確化および省力化を実現できるとともに、車両運行の安全性を向上できる車両情報通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するために、請求項1に係る発明の車載情報表示装置は、地上を走行する車両に搭載された車載情報表示装置において、前記地上における前記車両の自車位置および前記地上における管理ポスト値をともに表示するモニターを備えていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項2に係る発明の車載情報表示装置は、前記管理ポスト値が、GPS側位情報と、車速センサによる車速情報、ジャイロによる方位情報および加速度センサによる加速度情報の少なくとも1つに基づいた情報との少なくとも1つで求められ、前記モニターの画面上に、前記地上に対応する地図が表示されるとともに、この地図上に前記車両の自車位置および前記管理ポスト値がともに表示されることを特徴としている。
【0012】
更に、請求項3に係る発明の車載情報表示装置は、前記車両の自車位置および前記管理ポスト値をともに音声で表示する音声表示装置を備えていることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項4に係る発明の車載情報表示装置は、地上を走行する車両に搭載された車載情報表示装置において、前記地上における前記車両の自車位置および前記地上における管理ポスト値をともに音声で表示する音声表示装置を備えていることを特徴としている。
【0014】
更に、請求項5に係る発明の車載情報表示装置は、前記管理ポスト値における作業内容情報、作業管理情報、道路状況管理情報等のステータス情報を入力するステータス入力装置と、前記管理ポスト値と前記ステータス情報とを合わせて記録する外部記憶装置とを備えていることを特徴としている。
【0015】
更に、請求項6に係る発明の車両情報通信システムは、前記車両に搭載された車載端末と、前記車両を管理する管理センターと、前記車両に搭載されて前記車載端末内の各情報を出力する通信端末と、前記通信端末から出力される情報を前記管理センターに伝送する移動体通信網とを備えている車両情報通信システムにおいて、前記車載端末が、請求項1ないし5のいずれか1記載の車載情報表示装置であることを特徴としている。
【0016】
更に、請求項7に係る発明の車両情報通信システムは、前記移動体通信網が、無線電話あるいは携帯電話等の広域無線通信手段であること特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる車載情報表示装置によれば、車載情報表示装置に自車位置を表示するだけではなく、管理ポスト値を一緒に表示させることができる。これにより、車両の運転者等の乗員は、現在走行している地上の自車の位置を知ることができるとともに、この自車位置における管理ポスト値を容易にかつより正確に、しかも迅速に知ることができる。例えば、車載情報表示装置に従来からあるカーナビゲーション装置を利用することで、カーナビゲーション装置のモニター画面上に表示された地図上の自車位置(自車アイコン)のそばに管理ポスト値をポップアップ表示させることができる。したがって、運転者等の乗員は管理車両(自車)の自車位置を知ることができるばかりでなく、管理ポスト値を知ることができる。しかも、管理車両(自車)の自車位置、管理ポスト値、および作業内容の各情報を音声出力することで、乗員はモニター画面を見ることなく、これらの情報を知ることができ、安全性をより一層向上することができる。
【0018】
また、従来のカーナビゲーション装置と同様にGPS側位情報に基づいてモニター画面上に自車位置に対応する地図を表示することができるとともにこの地図上に自車位置をアイコンで表示することができるばかりでなく、自車位置に対応する管理ポスト値を表示することができる。しかも、車速センサからの車速パルス信号に基づいて管理ポスト値を求め(例えば、走行開始からの車速パルス数を計数することで管理ポスト値を求める)、求めた管理ポスト値をモニター画面に表示することができる。これにより、例えばトンネル内等のGPS側位を行うことができない場所であっても、管理ポスト値を車載情報表示装置の画面上に表示することができる。したがって、乗員は自車がどのような路面を走行していても管理ポスト値を確実に知ることができる。特に、車速センサに加えて、ジャイロおよび加速度センサの少なくとも一方を追加することで、トンネル内の分岐にも確実に対応して管理ポスト値を車載の表示装置の画面上に表示することができる。この場合、キロポスト情報という連続したポイント情報を用いることで、従来の地図の座標を基にした自律航法よりもより正確に自車位置を特定することができる。
【0019】
更に、得られた管理ポスト値を外部記憶装置に記録するとともに、ステータス入力装置からのステータス入力情報に基づいて管理ポスト値とその管理ポスト値に対応する作業内容情報、作業管理情報、道路状況管理情報等のステータス情報を外部記憶装置に記録しているので、管理ポスト値情報と外部記憶装置に記録された各ステータス情報とに基づいて詳細な業務帳票を作成することができる。そして、車載情報表示装置を操作してこの業務帳票をモニター画面に表示させることで、車両が走行している地上での作業管理や道路状況管理等を確実にかつ迅速に行うことができる。
【0020】
一方、本発明にかかる車両情報通信システムによれば、車載情報表示装置の前述の各情報を通信端末および移動体通信網を介して管理センターにリアルタイムに伝送することができる。したがって、管理センターのモニター画面上に、管理車両(自車)に対応する地図および管理車両(自車)のアイコンを表示できるとともに、このアイコンのそばにその管理ポスト値をポップアップ表示できる。これにより、管理車両(自車)の管理者はこれらの情報を知ることで、管理ポスト値に基づいて管理車両(自車)の走行管理、作業管理および道路状況管理等のステータス管理をリアルタイムで行うことができる。したがって、管理者は管理車両(自車)の道路上での位置を正確に知ることができるとともに、走行中の道路が一般道路であるのか、あるいは高速道路であるのかを容易にかつより正確に判断することができる、更に、高速道路上の管理車両(自車)においては、高速道路の上りを走行しているのか、あるいは下りを走行しているのかを容易にかつ確実に判断することができる。しかも、管理者は管理車両(自車)の作業管理および道路状況管理をも正確に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明にかかる車両情報通信システムの実施の形態の一例を模式的に示す図、図2はこの例の車両情報通信システムに用いられる車載情報表示装置の一例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、この例の車両情報通信システム1は、管理車両(自車)に搭載された車載端末2と、管理車両を管理する管理センター3と、管理車両に搭載されて車載端末2内の各情報を出力する通信端末4と、通信端末4から出力される情報を管理センター3に伝送する移動体通信網5とから構成されている。
【0023】
図2に示すように、車載端末2は道路等の地上を走行する車両に搭載されて本発明の車載情報表示装置の一例を構成し、中央処理装置(CPU)6、GPSレシーバー7、車速センサ8、ジャイロ9、加速度センサ10,ビーコン受信機11、ステータスセンサ12、管理ポストデータベース13、地図データベース14、地図モニター15、音声出力装置(本発明の音声表示装置)16、および外部記憶装置17から構成されている。これらのGPSレシーバー7、車速センサ8、ジャイロ9、加速度センサ10、ビーコン受信機11、ステータス入力装置12、管理ポストデータベース13、地図データベース14、地図モニター15、音声出力装置16、および外部記憶装置17は、いずれもCPU6にそれぞれ接続されている。また、CPU6には通信端末4が接続されている。車載情報表示装置としては、従来からある一般的なカーナビゲーション装置を利用することができるが、これに限定されるものではなく、車両に搭載される情報表示装置であれば、どのようなものも用いることができる。
【0024】
GPSレシーバー7は、図示しないGPS衛星からの、車載端末2が搭載されている管理車両(自車)の現在位置の緯度および経度の検出信号を、図示しないGPSアンテナを介して受信するとともに、受信した管理車両(自車)の現在位置の緯度および経度の位置情報をCPU6に伝送するように設定されている。
【0025】
また、車速センサ8は、管理車両(自車)の車両速度を検出してその速度情報をパルス信号にしてCPU6に伝送するように設定されている。
更にジャイロ9は、管理車両(自車)の方位を測定してその方位情報をCPU6に伝送するように設定されている。
更に、加速度センサ10は、管理車両(自車)の加速度を検出してその加速度情報をCPU6に伝送するように設定されている。
【0026】
更に、ビーコン受信機11は、道路に埋め込まれているビーコンからの信号を受信してこのビーコンの位置データに基づいて管理車両(自車)の現在位置の位置情報をCPU6に伝送するように設定されている。
更に、ステータス入力装置12はスイッチや外部信号入力手段等のステータス入力手段であり、管理車両(自車)のステータス入力信号をCPU6に伝送するように設定されている。
【0027】
更に、管理ポストデータベース13は種々の管理ポストの管理ポスト値を格納している。本発明において、管理ポスト値としては、高速道路のキロポスト値のデータ、道路起点からの道のり距離数値のデータ、道路等に埋め込まれたビーコンの位置データ、ICタグなどの位置確認標識を示す値のデータなどである。この管理ポスト値は、道路に沿って連続したデータである。そして、管理ポストデータベース13は、これらの種々のデータの少なくとも1つのデータおよび各管理ポスト値での作業内容のデータを格納していて、格納しているデータがCPU6に伝送されるように設定されている。
更に、地図データベース14は格納している地図データをCPU6に伝送するように設定されている。
【0028】
更に、地図モニター15は、CPU6からの管理車両(自車)の現在位置の位置情報、管理車両(自車)の方位情報、地図データ、管理ポストの位置データ(管理ポスト値)および作業内容データをモニター画面に表示するように設定されている。
更に、音声出力装置16は、CPU6からの管理車両(自車)の現在位置の位置情報、管理車両(自車)の方位情報、地図データ、管理ポストの位置データ(管理ポスト値)および作業内容データを音声出力するように設定されている。この音声出力装置16は、例えば一般の自動車等の車両に搭載されているカーオーディオ装置を利用することができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
更に、外部記憶装置17はメモリカード等の記憶手段であり、時々刻々の管理ポスト値を記録するように設定されている。
更に、移動体通信網5は、無線電話あるいは携帯電話等の一般的な広域無線電話通信手段(本発明の広域無線通信手段に相当)からなっている。
【0030】
このように構成されているこの例の車載情報表示装置においては、従来からある通常のカーナビゲーションとしての表示では、例えば図3に示すように、CPU6がGPSレシーバー7からの管理車両(自車)の位置情報を基に地図データベース14からこの位置情報に対応する地図データを呼び出し、地図モニター15の地図モニター画面(図3に示す例では、モニター画面の右側3分の2の画面)上にその地図データと管理車両(自車)の自車位置を自車アイコンAで表示する。
【0031】
更に、CPU6は、GPSレシーバー7からの管理車両(自車)の位置情報を基に管理ポストデータベース13からこの位置情報に対応する管理ポスト位置を求め、その管理ポスト値を地図モニター15の自車アイコンAのそばにポップアップ表示する(図3に示す例では、下12.4KPと表示されている。これは、下り方向12.4KPの意味である。)。その場合、管理ポストデータは道路に沿って連続した位置データであるため、CPU6は、この連続した位置データに基づいてその移動方向を判断することで、管理車両(自車)の走行が上り方向か下り方向かを判定して、その表示を地図モニター15の地図モニター画面に行っている。
【0032】
また、高速道路の簡易表示画面が地図モニター15のモニター画面(図3に示す例では、モニター画面の左側3分の1の画面)に設けられており、CPU6は、この簡易表示画面にも管理ポスト値を表示する。この場合には、簡易表示画面が下り方向を表示しているので、管理ポスト値のみを表示する(図3に示す例では、12.4KPのみが表示されている。)。
【0033】
更に、CPU6は、管理車両(自車)の自車位置および管理ポスト値を必要に応じて音声出力装置16により音声で出力させる。このように音声出力することで、地図モニター15の地図モニター画面(高速道路の場合には簡易表示画面も含む)を目視しなくても、車両の乗員はこれらの自車位置および管理ポスト値を知ることができる。
【0034】
一方、管理車両(自車)が走行する道路では、例えばトンネル内等のGPS側位を行うことができない場所がある。このようなGPS側位不能な場所では、CPU6は、車速センサ8、ジャイロ9、および加速度センサ10からの管理車両(自車)の車速情報、方位情報、および加速度情報に基づいて管理ポスト値を求めて地図モニター15の地図モニター画面に表示する(高速道路の場合には簡易表示画面にも表示する)。その場合、道路に沿って連続した管理ポストデータベース13が設けられているため、従来に一般的なカーナビゲーションよりも高精度な位置把握を行うことができる。
【0035】
なお、車速センサ8からの管理車両(自車)の車速情報のみ、あるいは車速センサ8の車速情報と加速度センサ10からの加速度情報のみの、より少ないセンサの情報からだけでも管理ポスト値を求めることができる。
また、管理ポストデータベース13に格納される位置データは、キロポストの位置データ以外に、道路の起点からの一定距離毎の位置データを用いることもできる。
【0036】
更に、CPU6は、必要に応じて、道路に埋め込まれているビーコンからの信号をビーコン受信機11で受信したビーコンの位置データに基づいても、管理車両(自車)の現在位置の位置情報を地図モニター15のモニター画面に表示する。
【0037】
更に、CPU6は、外部記憶装置17に管理車両(自車)が走行中において時々刻々変化する管理ポスト値を記録する。この記録された管理ポスト値により、管理車両(自車)の走行後において、管理車両(自車)の走行履歴や走行状態を解析する際、必要な移動情報を容易に得ることができる。
【0038】
更に、CPU6は、ステータス入力装置12により入力されるステータス入力情報に基づいて管理ポストの位置情報(管理ポスト値)とその管理ポストにおける作業内容情報、作業管理情報、道路状況管理情報等の管理ポストにおけるステータス情報を対応付けて外部記憶装置17に記録する。そして、これにより、外部記憶装置17に記録された各関係情報に基づいて詳細な業務帳票が作成される。
【0039】
なお、GPSレシーバー7、車速センサ8、ジャイロ9、加速度センサ10、およびビーコン受信機11はこれらのすべてを設ける必要はなく、これらの少なくとも1つあるいはいくつか組み合わせて設けることもできる。また、ステータス入力装置12、音声出力装置16、および外部記憶装置17は必ずしも設ける必要はなく、それぞれ、必要に応じて設けることができる。
【0040】
一方、この例の車両情報通信システム1においては、CPU6は通信端末4から前述の各情報を出力し、出力された情報は移動体通信網5を用いて管理センター3にリアルタイムに伝送される。管理センター3のモニター画面上には、例えば図4に示すように管理センター3のモニター画面上に管理車両(自車:図示例では補修車1号)に対応する地図および自車アイコンAが表示されるとともに、この自車アイコンAのそばにその管理ポスト値がポップアップ表示される(図4に示す例では、下18.4KPと表示されている。)。これにより、管理車両(自車)の管理者はこれらの情報を知る。更に、管理センター3に伝送される情報に基づいて、例えば図5に示すようなその管理車両(自車)の業務日報等の業務帳票が自動的に作成される。図5に示す例の業務日報では、業務日、車両名、グループ名、出発時刻、走行距離、作業時間、および運転者名が記録される。更に、詳細なデータとして、管理車両(自車)の各走行状況および各作業状況に応じて管理ポスト値(KP)、時間、走行距離(km)、および平均速度(km/h)等の情報が記録される。
【0041】
なお、この業務帳票の作成は前述のリアルタイムモニタリングの場合に限定されることなく、例えば外部記録装置17に記録されたデータの事後解析に基づいて行うこともできる。
また、管理車両(自車)から管理センター3への情報の伝送に限定されることなく、管理センター3から管理車両(自車)への作業内容変更の指示連絡や緊急連絡等の連絡情報を移動体通信網5を用いて伝送することもできる。
【0042】
この例の車載の位置管理情報表示装置によれば、従来からあるカーナビゲーション装置等の車載情報表示装置に管理ポスト表示機能を持たせることができる。これにより、カーナビゲーション装置等の車載情報表示装置のモニター画面上に表示された地図上の自車位置(自車アイコン)のそばに管理ポスト値をポップアップ表示させることができる。したがって、運転者等の乗員は管理車両(自車)の自車位置を知ることができるばかりでなく、管理ポスト値を容易にかつより正確に、しかも知ることができる。しかも、乗員は、車載端末2を操作してその管理ポストにおける作業内容を地図モニター15のモニター画面に表示させることで知ることができる。しかも、管理車両(自車)の自車位置、管理ポスト値、および作業内容の各情報を音声出力することで、乗員はモニター画面を見ることなく、これらの情報を知ることができ、安全性をより一層向上することができる。
【0043】
また、車速センサ8からの車速パルス信号に基づいて管理ポスト値を求め(例えば、走行開始からの車速パルス数を計数することで管理ポスト値を求める)、求めた管理ポスト値を地図モニター15のモニター画面に表示することができる。これにより、例えばトンネル内等のGPS側位を行うことができない場所であっても、管理ポスト値を従来の一般的なカーナビゲーションシステムのモニター画面を始め、車載の表示装置の画面上に表示することができる。したがって、乗員は管理車両(自車)がどのような路面を走行していても管理ポスト値を確実に知ることができる。特に、車速センサ8に加えて、ジャイロ9および加速度センサ10の少なくとも一方を追加することで、トンネル内の分岐にも確実に対応して管理ポスト値を車載の表示装置の画面上に表示することができる。この場合、キロポスト情報という連続したポイント情報を用いることで、従来の地図の座標を基にした自律航法よりもより正確に自車位置を特定することができる。
【0044】
更に、ステータス入力情報に基づいて管理ポストの位置情報(管理ポスト値)とその管理ポストにおける作業内容情報、作業管理情報、道路状況管理情報等の管理ポストにおける関係情報を外部記憶装置17に記録しているので、この外部記憶装置17に記録された各関係情報に基づいて詳細な業務帳票を作成することができる。この業務帳票により、道路での作業管理や道路状況管理等を確実にかつ迅速に行うことができる。
【0045】
一方、この例の車両情報通信システム1によれば、CPU6は車載端末2の前述の各情報を通信端末4および移動体通信網5を介して管理センター3にリアルタイムに伝送しているので、管理センター3のモニター画面上に、管理車両(自車)に対応する地図および自車アイコンAを表示できるとともに、この自車アイコンAのそばにその管理ポスト値をポップアップ表示できる。これにより、管理車両(自車)の管理者はこれらの情報を知ることで、管理ポスト値に基づいて管理車両(自車)をリアルタイムで管理することができる。したがって、管理者は管理車両(自車)の道路上での位置を正確に知ることができるとともに、走行中の道路が一般道路であるのか、あるいは高速道路であるのかを容易にかつより正確に判断することができる、更に、高速道路上の管理車両(自車)においては、高速道路の上りを走行しているのか、あるいは下りを走行しているのかを容易にかつ確実に判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の車載情報表示装置は、カーナビゲーション装置を始め、車両に搭載されて自車の位置情報および管理情報と、自車位置における道路の管理情報とを電子地図上に表示する車載情報表示装置に好適に利用することができる。
本発明の車両情報通信システムは、車載情報表示装置を用いて管理車両から離れた管理センターで管理車両を管理するために管理車両の位置情報および管理情報と管理車両位置における道路の管理情報とを電子地図上に表示する車両情報通信システムに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明にかかる車両情報通信システムの実施の形態の一例を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す例の車両情報通信システムに用いられる車載情報表示装置の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかる車載情報表示装置の実施の形態の一例におけるモニター画面を模式的に示す図である。
【図4】図1に示す車両情報通信システムにおける管理センターのモニター画面の一例を模式的に示す図である。
【図5】図1に示す車両情報通信システムにおける管理センターのモニター画面の他の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1…車両情報通信システム、2…車載端末、3…管理センター、4…通信端末、5…移動体通信網、6…中央処理装置(CPU)、7…GPSレシーバー、8…車速センサ、9…ジャイロ、10が加速度センサ,11…ビーコン受信機、12…ステータスセンサ、13…管理ポストデータベース、14…地図データベース、15…地図モニター、16…音声出力装置、17…外部記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上を走行する車両に搭載された車載情報表示装置において、
前記地上における前記車両の自車位置および前記地上における管理ポスト値をともに表示するモニターを備えていることを特徴とする車載情報表示装置。
【請求項2】
前記管理ポスト値は、GPS側位情報と、車速センサによる車速情報、ジャイロによる方位情報および加速度センサによる加速度情報の少なくとも1つに基づいた情報との少なくとも1つで求められ、
前記モニターの画面上に、前記地上に対応する地図が表示されるとともに、この地図上に前記車両の自車位置および前記管理ポスト値がともに表示されることを特徴とする請求項1記載の車載情報表示装置。
【請求項3】
前記車両の自車位置および前記管理ポスト値をともに音声で表示する音声表示装置を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の車載情報表示装置。
【請求項4】
地上を走行する車両に搭載された車載情報表示装置において、
前記地上における前記車両の自車位置および前記地上における管理ポスト値をともに音声で表示する音声表示装置を備えていることを特徴とする車載情報表示装置。
【請求項5】
前記管理ポスト値における作業内容情報、作業管理情報、道路状況管理情報等のステータス情報を入力するステータス入力装置と、前記管理ポスト値と前記ステータス情報とを合わせて記録する外部記憶装置とを備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載の車載情報表示装置。
【請求項6】
前記車両に搭載された車載端末と、前記車両を管理する管理センターと、前記車両に搭載されて前記車載端末内の各情報を出力する通信端末と、前記通信端末から出力される情報を前記管理センターに伝送する移動体通信網とを備えている車両情報通信システムにおいて、
前記車載端末は、請求項1ないし5のいずれか1記載の車載情報表示装置であることを特徴とする車両情報通信システム。
【請求項7】
前記移動体通信網は、無線電話あるいは携帯電話等の広域無線通信手段であること特徴とする請求項6記載の車両情報通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−24514(P2007−24514A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202638(P2005−202638)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(500122259)株式会社 データトロン (2)
【Fターム(参考)】