車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システム
【課題】現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供可能な車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムを提供する。
【解決手段】本発明の車載渋滞情報収集システムは、車両に搭載されると共に車両の走行状況によって渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システムであって、所定区画における車両の平均車速を取得する平均車速取得手段(車速センサ210、ECU100)と、所定区画における道路種別に応じた渋滞判定速度を取得する渋滞判定速度取得手段(ECU100、渋滞判定速度データベース710)と、前記平均車速取得手段によって取得された平均車速と、前記渋滞判定速度取得手段によって取得された渋滞判定速度とを比較する第1比較手段(ECU100)と、前記第1比較手段による比較結果に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定する判定手段(ECU100)と、前記判定手段による判定結果を送信する通信部500と、を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明の車載渋滞情報収集システムは、車両に搭載されると共に車両の走行状況によって渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システムであって、所定区画における車両の平均車速を取得する平均車速取得手段(車速センサ210、ECU100)と、所定区画における道路種別に応じた渋滞判定速度を取得する渋滞判定速度取得手段(ECU100、渋滞判定速度データベース710)と、前記平均車速取得手段によって取得された平均車速と、前記渋滞判定速度取得手段によって取得された渋滞判定速度とを比較する第1比較手段(ECU100)と、前記第1比較手段による比較結果に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定する判定手段(ECU100)と、前記判定手段による判定結果を送信する通信部500と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システムと、この車載渋滞情報収集システムから取得される情報に基づいて渋滞の状況を推定する渋滞状況推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に表示された道路の渋滞情報等の交通情報を提供することについても行われていた。その際、利用者に提供する為の交通情報を取得するシステムとして、例えば道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)やプローブカーシステムがあった。
【0003】
ここで、VICSは、道路上に設置している感知器より路上を走行する車両を検出し、その検出結果をVICSセンターが収集して交通情報(以下、VICS情報という)を作成し、カーナビゲーション装置等の端末へ提供するシステムである。
【0004】
また、プローブカーシステムは、走行中の車両がセンサ(プローブ)となり、この車両で計測された走行軌跡、速度等の情報(以下、プローブ情報という)をプローブセンタに集め、交通情報を作成するシステムである。
【0005】
そして、例えば特開2004−234649号公報にはVICSセンターから取得したVICS情報やプローブカーから収集したプローブ情報を蓄積し、蓄積した情報に対して統計処理を施すことによって交通情報を生成するナビゲーションシステムについても記載されている。
【特許文献1】特開2004−234649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のシステムにおいては、プローブカーから収集したプローブ情報の統計処理を行うものであるため、センター側システムにおける処理負荷が多大であり、処理に要する時間なども必要となり、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を提供することが困難である、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載されると共に車両の走行状況によって渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システムであって、所定区画における車両の平均車速を取得する平均車速取得手段と、所定区画における道路種別に応じた渋滞判定速度を取得する渋滞判定速度取得手段と、前記平均車速取得手段によって取得された平均車速と、前記渋滞判定速度取得手段によって取得された渋滞判定速度とを比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較結果に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を送信する送信手段と、を有することを特徴とする車載渋滞情報収集システムである。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車載渋滞情報収集システムにおいて、車両前方の画像を取得する撮像手段と、前記撮像手段によって取得された画像を解析する画像解析手段と、を有し、前記判定手段は、前記比較手段による比較結果に加え、前記画像解析手段によって画像解析された情報に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の車載渋滞情報収集システムにおいて、所定区画が渋滞しているいか否かに係る情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した情報と、前記判定手段による判定結果とを比較する第2比較手段と、を有し、前記送信手段は、前記第2比較手段による比較結果を送信することを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載渋滞情報収集システムにおける前記送信手段から送信される情報を受信すると共に、前記受信手段に対して所定区画が渋滞しているいか否かに係る情報を送信することを特徴とする渋滞状況推定システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムによれば、車載渋滞情報収集システムが、所定区間が渋滞しているか否かを判定するように構成されているので、センター側システムにおいては、車両から収集した情報の統計処理を行う必要がなく、システムの処理負荷は軽微であり、処理に要する時間も短く、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載システムの概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載システムのブロック構成の概略を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおけるセンター側サーバー装置の概要を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞状況データベース1110のデータ構造を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載側システムとセンター側サーバー装置との間における渋滞情報交換フローを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞データのマッピング処理を説明する。
【図7】本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞特性情報抽出・配信処理のフローチャートを示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける渋滞特性情報の送受信処理のフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンに基づく表示処理を説明する図である。
【図11】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンに基づく表示処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載システムの概略を示す図であり、図2は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載システムのブロック構成の概略を示す図である。図1及び図2において、10は車両、100はECU、120は計時部、200は走行情報取得部、210は車速センサ、400は車両周辺情報取得部、420はカメラユニット、500は通信部
、510は通信ユニット、600はインターフェイス部、610はディスプレイ、630はスピーカー、700はデータ記憶部、710は渋滞判定速度データベース、800はナビゲーションシステム部、810はナビゲーションシステム、811は位置情報取得部、820は地図データベースをそれぞれ示している。
【0013】
図1及び図2に示す車載システムは、1台の車両に搭載されるものを示しているが、本実施形態に係る車載システムは複数台の車両に搭載されており、これら複数の車載システムからセンター側のサーバー装置へと渋滞情報を送信するような構成となっている。また、センター側のサーバー装置は個々の車載システムから受信した情報に基づいて、渋滞の状況を推定するような構成となっている。ここで、本実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおいては、個々の車載渋滞情報収集システムが渋滞であるか否かを判定し、これを上位のセンター側の渋滞状況推定システムに送信するような構成となっている。したがって、センター側の渋滞状況推定システムにおいては、各車両の車載システムから収集した情報の統計処理を行う必要がなく、システムの処理負荷は軽微であり、処理に要する時間も短く、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供することが可能となるのである。
【0014】
なお、本実施形態の車載渋滞情報収集システムは、原動機としてエンジンを搭載し、このエンジンの駆動力により走行を行う自動車、或いは、原動機としてモーターを搭載し、モーターの駆動力のみによる走行を行う電気自動車、或いは原動機として上記双方を搭載し、モーター及び/又はエンジンによる駆動に基づいて走行するハイブリッド車などの車両に搭載することが可能である。
【0015】
本実施形態に係る車載システムにおいて、ECU100はエレクトロニックコントロールユニットの略であり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。ECU100は、図示されているECU100と接続される各構成と協働・動作する。また、ECU100は、本発明の車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける種々の制御処理は、ECU100内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。なお、特許請求の範囲に記載された「比較手段」、「判定手段」などは、このECU100の動作を上位概念的に表現したものである。なお、本実施形態においては、上記の各手段はECU100とECU100上で実行されるプログラムによって実現されるものとしているが、これらの各手段はこれに限定されるものではなく、論理回路などのハードウエアのみで実現されるようなものであってもよい。
【0016】
ECU100はさらに、計時部120を備えており、この計時部120はタイマーであり、時刻計測に利用される。計時部120と、車速センサ210から得られる情報に基づいて、所定の走行区間における車両10の平均車速を求めることが可能となる。
【0017】
走行情報取得部200は、車両10の実走行に関連する情報、或いは運転捜査情報などを取得する構成であり、例えば、車速センサ210などを含むものである。
【0018】
走行情報取得部200における車速センサ210は、車両10の速度(自車両速度)のセンシング(計測)を行うようになっている。なお、車両の走行状況を取得するものとして、その他のセンサ類を設けるようにしてもよい。
【0019】
車両周辺情報取得部400は、車両10周辺の車外の情報などを取得する構成であり、本実施形態では、車両10前方側を撮像することが可能なカメラユニット420が設けられている。なお、本実施形態においては、カメラユニット420は車両10前方のみを撮影するように設けられているが、カメラユニットをより多く搭載して、前方に加え車両1
0後方を撮影するように構成したり、或いは、車両10の四方に設け、車両10の水平方向の視界全体を網羅するように撮影するように構成したりしてもよい。カメラユニット420は、動画像を撮影が可能なものであり、さらにカメラユニット420で取得された撮影データに基づいて、ECU100が画像解析を行うことにより、周囲の車両の状況を把握することができるようになっている。
【0020】
通信部500における通信ユニット510は、無線通信によりセンター側に設けられるサーバー装置とデータの送受を行うことを可能とするものである。より詳しくは、
通信ユニット510は、車両10における車載側システムで取得された状態情報をサーバー装置に送信したり、また、サーバー装置側で把握されている渋滞状況情報、或いは、渋滞についての詳細な情報である渋滞特性情報を受信したりする。
【0021】
インターフェイス部600は、車両10の運転席部に設けられ、運転者に対し車両10に係る情報などを提供する構成である。インターフェイス部600におけるディスプレイ610は液晶などの表示装置であり、このディスプレイ610に渋滞している道路を色分けしたり、強調したりした地図を表示することによって、運転者に対して視覚的に所定の渋滞情報を報知することを可能とする。また、インターフェイス部600は、スピーカ630も含んでおり、必要に応じて運転者に対して、音声による渋滞情報案内や警告を行い得るようになっている。
【0022】
データ記憶部700には、所定区間における渋滞の有無を判定するために用いられる渋滞判定速度データベース710が設けられている。この渋滞判定速度データベース710は、車両10が走行し得る全ての道路について記憶されるものであり、それぞれの道路毎における区間(例えば、10m毎に区切られた区間)で、平均してどの程度の車速を出せるかが記憶されるものである。渋滞判定速度データベース710に記憶されている区間毎の平均車速データは、それぞれの区間が渋滞状態であるか否かを判定するための閾値となる。渋滞判定速度データベース710に記憶されている区間は、後述する渋滞状況データベース1110で定義される区間と同様のものである。車載渋滞情報収集システムでは、このような区間毎で、区間毎の渋滞判定速度を判定条件として、当該区間が渋滞している状態(値:1)であるか、渋滞していない状態(値:0)であるかを判定し、これを上位サーバー装置に送信するようにしている。
【0023】
ナビゲーションシステム部800は、ナビゲーションシステム810やこのナビゲーションシステム810が参照する地図情報などが格納されたナビゲーションシステム用の地図データベース820とからなっている。ナビゲーションシステム810は、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置座標データを計算する位置情報取得部811を用いることによって、車両の現在位置情報を取得することができる。本発明の車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおいては、ナビゲーションシステム用データベース820には、道路情報、施設情報などが記憶されているが、道路情報には道路種別情報(一般道、高速道など)を設けておくことが好ましい。また、ナビゲーションシステム用の地図データベース820で管理されている道路データは、ノードとリンクの概念によって管理されている。すなわち、道路データにおいては、例えば、交差点、高速道路のインターチェンジ等の他の道路と交わる分岐点についてはノードデータとし、出入りのない一本の道路についてはリンクとして管理するようにしている。このようなノードとリンクの概念については従来周知のものを用いることができる。
【0024】
ナビゲーションシステム部800における地図データベース820と、センター側のサーバー装置(渋滞状況推定システム)から送信される渋滞特性情報とが、ディスプレイ610上で重畳表示されることによって、車両10運転者はどの道路がどのような渋滞状況であるのかを把握することが可能となる。
【0025】
次に、センター側に設けられるサーバー装置について説明する。図3は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおけるセンター側サーバー装置の概要を示す図である。図3のセンター側のサーバー装置(渋滞状況推定システム)の構成において、1100は演算処理部、1110は渋滞状況データベース、1120は通信部をそれぞれ示している。
【0026】
サーバー装置における演算処理部1100は、CPUを中心とし記憶装置、インターフェイス装置などから構成される情報処理機構であり、従来周知のものを用いることができる。演算処理部1100は、図示されている演算処理部1100と接続される各構成と協働・動作する。また演算処理部1100は、本実施形態の渋滞状況推定システムにおける種々の制御処理は、処理コンピュータ300内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。
【0027】
サーバー装置(渋滞状況推定システム)における渋滞状況データベース1110は、車両10から収集されたデータを記憶するデータベースであり、車両10から収集されたデータにより適宜更新される。また、渋滞状況データベース1110はサーバー装置が渋滞の状況を推定し、渋滞の特性に関する情報を抽出するための元のデータベースとして利用される。
【0028】
通信部1120は車両10とデータの送受信を行い得る無線通信装置であり、これによりサーバー装置(渋滞状況推定システム)は、車両10に搭載されると共に車両10の走行状況によって渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システム(図2記載のもの)から渋滞情報を収集したり、サーバー装置側で推定された渋滞の特性に関する情報を各車両10側に配信したりすることができるようになっている。
【0029】
次に、以上のように構成されるサーバー装置(渋滞状況推定システム)における渋滞状況データベース1110についてより詳しく説明する。図4は本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞状況データベース1110のデータ構造を説明する図である。図4においては、上り下りの2車線から構成される道路の一部の渋滞状況をデータ化する場合を例としている。本実施形態においては、渋滞状況をデータ化する上では、まず、道路を適当な区画(図4におけるUnにおけるaからbまでの区画など)に分割し、
それぞれの区画において渋滞の有無をデータ化することにようにしている。また、それぞれの区画に対応して、車両10から収集された情報に基づいて、渋滞している状態(値:1)であるか、渋滞していない状態(値:0)であるかが入力されている。また、それぞれの区画における値は、車両10からの収集情報に基づき、上書き更新され、また所定時間車両10から情報が上がってこない場合には、渋滞していない状態(値:0)に戻すようにしている。以上、渋滞状況データベース1110のデータ構成方法をまとめると下記(A)乃至(D)のようになる。
(A)渋滞状況データベース1110には、それぞれの位置(・・・Un―2、Un―1、Un、Un+1、・・・・Dn―2、Dn―1、Dn、Dn+1、・・・・)に対して、1:渋滞している、0:渋滞していない、のいずれかの値が格納される。
(B)渋滞状況データベース1110におけるそれぞれの位置は、当該位置を含む所定の長さの区間(例えば、Unにおけるaからbなど)を代表している。
(C)車両10から取得される情報により、渋滞状況データベース1110は上書き更新されるようになっている。
(D)「1」である区間も、所定時間車両10から「1」であると送信されなかった場合、「0」に変更する。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る渋滞状況推定システムにおいては、車両10から送信
される区間毎における渋滞の有無の情報を管理するだけで、統計処理などを行う必要がない。このため、センター側のサーバー装置においては、システムの処理負荷は軽微であり、処理に要する時間も短く、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供することが可能となるのである。
【0031】
次に、以上のように構成される車載渋滞情報収集システム(車載システム)と渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)との間における渋滞情報の交換の流れの一例を説明する。図5は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載側システムとセンター側サーバー装置との間における渋滞情報交換フローを示す図である。図5におけるフローは、車両10が1つの区画を走行したとき発生する一連の処理手順を示したものであり、車両10が複数の区画を連続して走行する場合には、図5に示すフローが連続的に実行されることとなる。また、図5における左欄に示すフローチャートは車載渋滞情報収集システム(車載システム)における処理の流れを示すものであり、右欄に示すフローチャートは渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)における処理の流れを示すものである。
【0032】
以下、本実施形態における渋滞情報の交換の流れを、車載渋滞情報収集システム(車載システム)のフローチャートを中心に説明する。
【0033】
ステップS100で、車載渋滞情報収集システム(車載システム)における処理が開始されると、まずステップS101では、位置情報取得部811から車両10の位置情報が取得される。続く、ステップS102では、取得された位置情報を、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)に送信する。
【0034】
渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)は、車両10からの位置情報に基づき、当該位置が属する区間の渋滞有無情報を、渋滞状況データベース1110から検索し(ステップS202)、これを車両10側に送信する(ステップS203)。
【0035】
車載渋滞情報収集システム(車載システム)においては、ステップS103で、センター側サーバー装置からの渋滞情報(これを、Aとする)を受信する。ステップS104では、車速センサ210や計時部120などからの情報に基づいて、走行している区間の平均車速を取得する。ステップS105では、渋滞判定速度データベース710から渋滞判定速度を取得する。
【0036】
ステップS106では、車両10の平均車速は、渋滞判定速度データベース710に登録されている渋滞判定速度より遅いか否かが判定される。ステップS106における判定がNOであるときには、該当区間における渋滞はないものと判定(ステップS110)する。
【0037】
また、ステップS106における判定がYESであるときには、ステップS107に進み、前方におけるカメラユニット420で取得された動画像を解析し、ステップS108で、前方に所定数以上の車両が存在するか否か判定される。ステップS108における判定がNOであるときには、該当区間における渋滞はないものと判定(ステップS110)し、YESであるときには、該当区間が渋滞しているものと判定(ステップS109)する。
【0038】
ステップS111では、該当区間における渋滞の有無の判定結果(ステップ109又はステップS110の結果。これを渋滞判定Bとする)を保存する。ステップS112では、センター側サーバー装置から受信した情報Aと、車両10が走行した結果得た情報Bとが同じであるか否かが判定される。
【0039】
ステップS112の判定結果がYESであるときには、ステップS113に進み、位置情報Xと判定情報Bをセンター側サーバー装置に送信し、判定結果がNOであるときには、ステップS114に進み、位置情報Xと受信情報Aをセンター側サーバー装置に送信し、ステップS115に、進み1区間に対応する処理を終了する。
【0040】
渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)側では、車両10から送信された位置情報と渋滞の有無情報をステップS301で受信し、これに基づいて必要に応じて、ステップS302で渋滞状況データベース1110を更新する。
【0041】
次に、以上のようにして渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)が、車両10から収集した情報を具体的にどのようにデータ処理するかについて説明する。図6は本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞データのマッピング処理を説明する。センター側サーバー装置には、各車両10から区間毎に、渋滞している状態(値:1)であるか、渋滞していない状態(値:0)であるかに係る情報が収集される。センター側サーバー装置では、このような情報を、渋滞状況データベース1110中における仮想的な道路の区画にマッピングする。なお、図6に示す道路において、点線で仕切られ、「0」、「1」などの値が入力された1単位が1つの区画に対応している。
【0042】
渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)において、上記のようなマッピング処理を施した後、次に渋滞がどのようなものであるかに係る情報(渋滞特性情報)を抽出する処理が実行される。図7はマッピングされた渋滞データから渋滞特性情報を抽出して、これを各車両に配信する処理の流れを説明する図である。
【0043】
ステップS400で、処理が開始されると、ステップS401においては、渋滞状況データベース1110中でマッピングされた仮想道路上で、「1」が所定数以上連続する区間を「渋滞区間」として抽出する(図6参照)。
【0044】
また、ステップS402では、渋滞状況データベース1110中でマッピングされた仮想道路上で抽出された渋滞区間のうち、進行方向に所定数以上の「0」が存在する区間を渋滞の「先頭」として抽出する(図6参照)。
【0045】
また、ステップS403では、渋滞状況データベース1110中でマッピングされた仮想道路上で抽出された渋滞区間のうち、非進行方向に所定数以上の「0」が存在する区間を渋滞の「最後尾」として抽出する(図6参照)。
【0046】
以上のステップS401乃至ステップS403で抽出された渋滞区間情報、渋滞の先頭情報、渋滞の最後尾情報が、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)で推定される渋滞特性情報である。このような渋滞区間情報、渋滞の先頭情報、渋滞の最後尾情報によって、渋滞がどのような渋滞であるかを表現することが可能となる。
【0047】
ステップS404では、上記のような「渋滞区間」、「先頭」、「最後尾」に係る渋滞特性情報を各車両10に表示用情報として配信する。
【0048】
次に、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から配信される渋滞特性情報を車載渋滞情報収集システム(車載システム)で受信して、利用する処理について説明する。図8は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける渋滞特性情報の送受信処理のフローチャートを示す図である。
【0049】
図8において、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)で、ステップS60
1で渋滞特性情報を送信すると、車載渋滞情報収集システムでは、これをステップS501で受信する。センター側サーバー装置では、渋滞状況データベース1110中でマッピングされた情報に基づき、ステップS602で渋滞特性情報を更新して、ステップS601でこれを各車両10に配信する処理を繰り返す。
【0050】
車載渋滞情報収集システムでは、受信した渋滞特性情報を運転者に報知するべく、ディスプレイ610を用いた表示処理のサブルーチン(ステップS502)を実行する。このサブルーチンについては後に詳しく説明する。ステップS503においては、不図示のエンジンやモーターが停止されたか否かが判定される。この判定がNOであるときにはステップS501に戻る。一方判定が、YESであるときにはステップS504に進み処理を終了する。
【0051】
次に、上記の表示処理のサブルーチンについて説明する。図9は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0052】
図9において、ステップS700で、表示処理サブルーチンが開始されると、続いて、ステップS701では、ディスプレイ610で表示する範囲の地図データを地図データベース820から取得する。次のステップS702では、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から受信した表示範囲の渋滞特性情報を表示する。ステップS703では、渋滞特性情報の渋滞区間情報を地図データに重畳して、ディスプレイ610に表示する。
【0053】
ステップS704では、表示範囲の中に、渋滞区間が複数存在するか否かが判定される。ステップS704における判定がNOであればステップS711に進み、元のルーチンにリターンする。
【0054】
一方、ステップS703における判定がYESであればステップS705に進み、ディスプレイ610の表示範囲中における全ての渋滞区間Aと渋滞区間Bとの間の距離Cnを算出する。すなわち、表示範囲中における複数の渋滞区間のうち2つを抽出して、その間の距離を求める処理を網羅的に行うようにする。仮に、表示範囲中において、このような距離Cnとしてn=1〜n=NのN個が得られたものとする。
【0055】
ステップS706乃至ステップS710はn=1からn=Nまでを処理するためのループである。ステップS707では、Cn≦Dを満たすか否かが判定される。ここで、Dは所定長の距離であり定数である。この所定距離Dは、離関している渋滞区間同士でも、渋滞が連続しているかのように表示させるか否かを決定するために用いている。
【0056】
ステップS707における判定がYESであるとき、すなわち、渋滞区間同士の間の距離がDより短く、それらが連続した渋滞として表示してもよい可能性がある場合には、ステップS708に進む。このステップS708では、距離Cnの中の地図データにノードが含まれるか否かが判定される。このステップS708における判定がNOである場合、すなわち距離Cn中にノードがない場合については、ステップS709に進み、距離Cnは渋滞しているものとして表示(補完表示)して、渋滞区間同士の間も、渋滞しているかのようにして表示する。
【0057】
n=Nまでの処理が完了するとステップS710からループを抜けて、ステップS711に進み、元のルーチンに戻る。
【0058】
以上のような表示処理サブルーチンによるディスプレイ610の表示について、具体例
に基づいて説明する。図10及び図11は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンに基づく表示処理を説明する図である。
【0059】
図10(A)は地図データベース820による地図データの一例を示すものであり、図10(B)は図10(A)の地図データのノード、リンク構造を示すものである。この図10(B)に示すように、地図データは、n1乃至n4のノード(交差点部)とL1乃至L11のリンク(一本道路部)とから構成されている。
【0060】
図10(C)は渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から受信した渋滞特性情報(「渋滞区間」)データを示すものであり、この例では渋滞区間としてJ1乃至J3を受信している。ここで、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間の距離は所定距離D以下となっている。したがって、図9に示すフローのステップS707における判定は、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間に関してはYESであり、ステップS708に進む。渋滞区間J1と渋滞区間J2との間にはノードn2が存在し、また、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間にはノードn1が存在するため、ステップS708における判定はYESとなり、ステップS709に進むことはないので、図10に示す例では補完表示が行われることはない。
【0061】
したがって、ディスプレイ610における表示は、図10(A)と図10(C)とを単純に重ね合わせたものとなる。図10(D)は図10(A)と図10(C)と重畳することにより得られるディスプレイ610表示を示すものである。
【0062】
次に、渋滞区間同士の間において、補完表示処理が行われる例について図11に基づいて説明する。図11(A)は地図データベース820による地図データの一例を示すものであり、図11(B)は図11(A)の地図データのノード、リンク構造を示すものである。この図11(B)に示すように、地図データは、n1乃至n3のノード(交差点部)とL1乃至L9のリンク(一本道路部)とから構成されている。
【0063】
図11(C)は渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から受信した渋滞特性情報(「渋滞区間」)データを示すものであり、この例では渋滞区間としてJ1乃至J3を受信している。ここで、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間の距離は所定距離D以下となっている。したがって、図9に示すフローのステップS707における判定は、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間に関してはYESであり、ステップS708に進む。渋滞区間J1と渋滞区間J2との間にはノードn2が存在し、ステップS708における判定はYESとなり、ステップS709に進むことはないので、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間については補完表示が行われることはない。
【0064】
一方、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間にはノードが存在しないため、ステップS708における判定はNOとなり、ステップS709に進み、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間について補完表示が行われる。
【0065】
したがって、ディスプレイ610における表示は、図11(A)と図11(C)とを単純に重ね合わせたものと、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間も渋滞区間として表示する補完表示が行われることとなる。図11(D)はディスプレイ610の表示例を示すものである。なお、本実施例では、ステップS709において車載渋滞情報システムで距離Cnに応じて渋滞しているかいなかを表示するものとしたが、センター側のサーバー装置(渋滞状況推定システム)でこのように判断して、渋滞しているかいなかを車載渋滞情報システムに送信しても良い。
【0066】
以上のように、本実施形態における表示処理においては、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間の距離が所定距離D以下であり、かつ、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間にノードが存在しない場合には、渋滞区間が連続しているように運転者に見せる補完処理を行うものである。
【0067】
上記のような場合の表示処理では、交差点などの分岐点が存在せず、渋滞区間から抜け出せないことが明瞭であるので、運転者に渋滞解消に対する期待感を持たせることをしないために、上記のような補完処理を行うようにしている。
【0068】
一方、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間の距離が所定距離D以下であっても、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間にノードが存在するような場合には、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から受信した渋滞特性情報(「渋滞区間」)データをそのまま表示するように処理している。これは、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間のノード、すなわち交差点などの分岐点から、渋滞を迂回できる可能性が存在するので、運転者にはありのままの情報を、表示により伝達するようにするものである。本実施例では、交差点について説明をおこなったが、他の道路と交差する分岐点、例えば、高速道路のインターチェンジや、高架から高架下の道路に下りる接続点でも上述したように判断を適用することができる。
【0069】
以上のような本発明に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムによれば、車載渋滞情報収集システムが、所定区間が渋滞しているか否かを判定するように構成されているので、センター側システムにおいては、車両から収集した情報の統計処理を行う必要がなく、システムの処理負荷は軽微であり、処理に要する時間も短く、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
10・・・車両、100・・・ECU、120・・・計時部、200・・・走行情報取得部、210・・・車速センサ、400・・・車両周辺情報取得部、420・・・カメラユニット、500・・・通信部、510・・・通信ユニット、600・・・インターフェイス部、610・・・ディスプレイ、630・・・スピーカー、700・・・データ記憶部、710・・・渋滞判定速度データベース、800・・・ナビゲーションシステム部、810・・・ナビゲーションシステム、811・・・位置情報取得部、820・・・地図データベース、1100・・・演算処理部、1110・・・渋滞状況データベース、1120・・・通信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システムと、この車載渋滞情報収集システムから取得される情報に基づいて渋滞の状況を推定する渋滞状況推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に表示された道路の渋滞情報等の交通情報を提供することについても行われていた。その際、利用者に提供する為の交通情報を取得するシステムとして、例えば道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)やプローブカーシステムがあった。
【0003】
ここで、VICSは、道路上に設置している感知器より路上を走行する車両を検出し、その検出結果をVICSセンターが収集して交通情報(以下、VICS情報という)を作成し、カーナビゲーション装置等の端末へ提供するシステムである。
【0004】
また、プローブカーシステムは、走行中の車両がセンサ(プローブ)となり、この車両で計測された走行軌跡、速度等の情報(以下、プローブ情報という)をプローブセンタに集め、交通情報を作成するシステムである。
【0005】
そして、例えば特開2004−234649号公報にはVICSセンターから取得したVICS情報やプローブカーから収集したプローブ情報を蓄積し、蓄積した情報に対して統計処理を施すことによって交通情報を生成するナビゲーションシステムについても記載されている。
【特許文献1】特開2004−234649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のシステムにおいては、プローブカーから収集したプローブ情報の統計処理を行うものであるため、センター側システムにおける処理負荷が多大であり、処理に要する時間なども必要となり、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を提供することが困難である、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載されると共に車両の走行状況によって渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システムであって、所定区画における車両の平均車速を取得する平均車速取得手段と、所定区画における道路種別に応じた渋滞判定速度を取得する渋滞判定速度取得手段と、前記平均車速取得手段によって取得された平均車速と、前記渋滞判定速度取得手段によって取得された渋滞判定速度とを比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較結果に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を送信する送信手段と、を有することを特徴とする車載渋滞情報収集システムである。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車載渋滞情報収集システムにおいて、車両前方の画像を取得する撮像手段と、前記撮像手段によって取得された画像を解析する画像解析手段と、を有し、前記判定手段は、前記比較手段による比較結果に加え、前記画像解析手段によって画像解析された情報に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の車載渋滞情報収集システムにおいて、所定区画が渋滞しているいか否かに係る情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した情報と、前記判定手段による判定結果とを比較する第2比較手段と、を有し、前記送信手段は、前記第2比較手段による比較結果を送信することを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載渋滞情報収集システムにおける前記送信手段から送信される情報を受信すると共に、前記受信手段に対して所定区画が渋滞しているいか否かに係る情報を送信することを特徴とする渋滞状況推定システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムによれば、車載渋滞情報収集システムが、所定区間が渋滞しているか否かを判定するように構成されているので、センター側システムにおいては、車両から収集した情報の統計処理を行う必要がなく、システムの処理負荷は軽微であり、処理に要する時間も短く、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載システムの概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載システムのブロック構成の概略を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおけるセンター側サーバー装置の概要を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞状況データベース1110のデータ構造を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載側システムとセンター側サーバー装置との間における渋滞情報交換フローを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞データのマッピング処理を説明する。
【図7】本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞特性情報抽出・配信処理のフローチャートを示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける渋滞特性情報の送受信処理のフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンに基づく表示処理を説明する図である。
【図11】本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンに基づく表示処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載システムの概略を示す図であり、図2は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載システムのブロック構成の概略を示す図である。図1及び図2において、10は車両、100はECU、120は計時部、200は走行情報取得部、210は車速センサ、400は車両周辺情報取得部、420はカメラユニット、500は通信部
、510は通信ユニット、600はインターフェイス部、610はディスプレイ、630はスピーカー、700はデータ記憶部、710は渋滞判定速度データベース、800はナビゲーションシステム部、810はナビゲーションシステム、811は位置情報取得部、820は地図データベースをそれぞれ示している。
【0013】
図1及び図2に示す車載システムは、1台の車両に搭載されるものを示しているが、本実施形態に係る車載システムは複数台の車両に搭載されており、これら複数の車載システムからセンター側のサーバー装置へと渋滞情報を送信するような構成となっている。また、センター側のサーバー装置は個々の車載システムから受信した情報に基づいて、渋滞の状況を推定するような構成となっている。ここで、本実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおいては、個々の車載渋滞情報収集システムが渋滞であるか否かを判定し、これを上位のセンター側の渋滞状況推定システムに送信するような構成となっている。したがって、センター側の渋滞状況推定システムにおいては、各車両の車載システムから収集した情報の統計処理を行う必要がなく、システムの処理負荷は軽微であり、処理に要する時間も短く、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供することが可能となるのである。
【0014】
なお、本実施形態の車載渋滞情報収集システムは、原動機としてエンジンを搭載し、このエンジンの駆動力により走行を行う自動車、或いは、原動機としてモーターを搭載し、モーターの駆動力のみによる走行を行う電気自動車、或いは原動機として上記双方を搭載し、モーター及び/又はエンジンによる駆動に基づいて走行するハイブリッド車などの車両に搭載することが可能である。
【0015】
本実施形態に係る車載システムにおいて、ECU100はエレクトロニックコントロールユニットの略であり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。ECU100は、図示されているECU100と接続される各構成と協働・動作する。また、ECU100は、本発明の車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける種々の制御処理は、ECU100内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。なお、特許請求の範囲に記載された「比較手段」、「判定手段」などは、このECU100の動作を上位概念的に表現したものである。なお、本実施形態においては、上記の各手段はECU100とECU100上で実行されるプログラムによって実現されるものとしているが、これらの各手段はこれに限定されるものではなく、論理回路などのハードウエアのみで実現されるようなものであってもよい。
【0016】
ECU100はさらに、計時部120を備えており、この計時部120はタイマーであり、時刻計測に利用される。計時部120と、車速センサ210から得られる情報に基づいて、所定の走行区間における車両10の平均車速を求めることが可能となる。
【0017】
走行情報取得部200は、車両10の実走行に関連する情報、或いは運転捜査情報などを取得する構成であり、例えば、車速センサ210などを含むものである。
【0018】
走行情報取得部200における車速センサ210は、車両10の速度(自車両速度)のセンシング(計測)を行うようになっている。なお、車両の走行状況を取得するものとして、その他のセンサ類を設けるようにしてもよい。
【0019】
車両周辺情報取得部400は、車両10周辺の車外の情報などを取得する構成であり、本実施形態では、車両10前方側を撮像することが可能なカメラユニット420が設けられている。なお、本実施形態においては、カメラユニット420は車両10前方のみを撮影するように設けられているが、カメラユニットをより多く搭載して、前方に加え車両1
0後方を撮影するように構成したり、或いは、車両10の四方に設け、車両10の水平方向の視界全体を網羅するように撮影するように構成したりしてもよい。カメラユニット420は、動画像を撮影が可能なものであり、さらにカメラユニット420で取得された撮影データに基づいて、ECU100が画像解析を行うことにより、周囲の車両の状況を把握することができるようになっている。
【0020】
通信部500における通信ユニット510は、無線通信によりセンター側に設けられるサーバー装置とデータの送受を行うことを可能とするものである。より詳しくは、
通信ユニット510は、車両10における車載側システムで取得された状態情報をサーバー装置に送信したり、また、サーバー装置側で把握されている渋滞状況情報、或いは、渋滞についての詳細な情報である渋滞特性情報を受信したりする。
【0021】
インターフェイス部600は、車両10の運転席部に設けられ、運転者に対し車両10に係る情報などを提供する構成である。インターフェイス部600におけるディスプレイ610は液晶などの表示装置であり、このディスプレイ610に渋滞している道路を色分けしたり、強調したりした地図を表示することによって、運転者に対して視覚的に所定の渋滞情報を報知することを可能とする。また、インターフェイス部600は、スピーカ630も含んでおり、必要に応じて運転者に対して、音声による渋滞情報案内や警告を行い得るようになっている。
【0022】
データ記憶部700には、所定区間における渋滞の有無を判定するために用いられる渋滞判定速度データベース710が設けられている。この渋滞判定速度データベース710は、車両10が走行し得る全ての道路について記憶されるものであり、それぞれの道路毎における区間(例えば、10m毎に区切られた区間)で、平均してどの程度の車速を出せるかが記憶されるものである。渋滞判定速度データベース710に記憶されている区間毎の平均車速データは、それぞれの区間が渋滞状態であるか否かを判定するための閾値となる。渋滞判定速度データベース710に記憶されている区間は、後述する渋滞状況データベース1110で定義される区間と同様のものである。車載渋滞情報収集システムでは、このような区間毎で、区間毎の渋滞判定速度を判定条件として、当該区間が渋滞している状態(値:1)であるか、渋滞していない状態(値:0)であるかを判定し、これを上位サーバー装置に送信するようにしている。
【0023】
ナビゲーションシステム部800は、ナビゲーションシステム810やこのナビゲーションシステム810が参照する地図情報などが格納されたナビゲーションシステム用の地図データベース820とからなっている。ナビゲーションシステム810は、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置座標データを計算する位置情報取得部811を用いることによって、車両の現在位置情報を取得することができる。本発明の車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおいては、ナビゲーションシステム用データベース820には、道路情報、施設情報などが記憶されているが、道路情報には道路種別情報(一般道、高速道など)を設けておくことが好ましい。また、ナビゲーションシステム用の地図データベース820で管理されている道路データは、ノードとリンクの概念によって管理されている。すなわち、道路データにおいては、例えば、交差点、高速道路のインターチェンジ等の他の道路と交わる分岐点についてはノードデータとし、出入りのない一本の道路についてはリンクとして管理するようにしている。このようなノードとリンクの概念については従来周知のものを用いることができる。
【0024】
ナビゲーションシステム部800における地図データベース820と、センター側のサーバー装置(渋滞状況推定システム)から送信される渋滞特性情報とが、ディスプレイ610上で重畳表示されることによって、車両10運転者はどの道路がどのような渋滞状況であるのかを把握することが可能となる。
【0025】
次に、センター側に設けられるサーバー装置について説明する。図3は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおけるセンター側サーバー装置の概要を示す図である。図3のセンター側のサーバー装置(渋滞状況推定システム)の構成において、1100は演算処理部、1110は渋滞状況データベース、1120は通信部をそれぞれ示している。
【0026】
サーバー装置における演算処理部1100は、CPUを中心とし記憶装置、インターフェイス装置などから構成される情報処理機構であり、従来周知のものを用いることができる。演算処理部1100は、図示されている演算処理部1100と接続される各構成と協働・動作する。また演算処理部1100は、本実施形態の渋滞状況推定システムにおける種々の制御処理は、処理コンピュータ300内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。
【0027】
サーバー装置(渋滞状況推定システム)における渋滞状況データベース1110は、車両10から収集されたデータを記憶するデータベースであり、車両10から収集されたデータにより適宜更新される。また、渋滞状況データベース1110はサーバー装置が渋滞の状況を推定し、渋滞の特性に関する情報を抽出するための元のデータベースとして利用される。
【0028】
通信部1120は車両10とデータの送受信を行い得る無線通信装置であり、これによりサーバー装置(渋滞状況推定システム)は、車両10に搭載されると共に車両10の走行状況によって渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システム(図2記載のもの)から渋滞情報を収集したり、サーバー装置側で推定された渋滞の特性に関する情報を各車両10側に配信したりすることができるようになっている。
【0029】
次に、以上のように構成されるサーバー装置(渋滞状況推定システム)における渋滞状況データベース1110についてより詳しく説明する。図4は本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞状況データベース1110のデータ構造を説明する図である。図4においては、上り下りの2車線から構成される道路の一部の渋滞状況をデータ化する場合を例としている。本実施形態においては、渋滞状況をデータ化する上では、まず、道路を適当な区画(図4におけるUnにおけるaからbまでの区画など)に分割し、
それぞれの区画において渋滞の有無をデータ化することにようにしている。また、それぞれの区画に対応して、車両10から収集された情報に基づいて、渋滞している状態(値:1)であるか、渋滞していない状態(値:0)であるかが入力されている。また、それぞれの区画における値は、車両10からの収集情報に基づき、上書き更新され、また所定時間車両10から情報が上がってこない場合には、渋滞していない状態(値:0)に戻すようにしている。以上、渋滞状況データベース1110のデータ構成方法をまとめると下記(A)乃至(D)のようになる。
(A)渋滞状況データベース1110には、それぞれの位置(・・・Un―2、Un―1、Un、Un+1、・・・・Dn―2、Dn―1、Dn、Dn+1、・・・・)に対して、1:渋滞している、0:渋滞していない、のいずれかの値が格納される。
(B)渋滞状況データベース1110におけるそれぞれの位置は、当該位置を含む所定の長さの区間(例えば、Unにおけるaからbなど)を代表している。
(C)車両10から取得される情報により、渋滞状況データベース1110は上書き更新されるようになっている。
(D)「1」である区間も、所定時間車両10から「1」であると送信されなかった場合、「0」に変更する。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る渋滞状況推定システムにおいては、車両10から送信
される区間毎における渋滞の有無の情報を管理するだけで、統計処理などを行う必要がない。このため、センター側のサーバー装置においては、システムの処理負荷は軽微であり、処理に要する時間も短く、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供することが可能となるのである。
【0031】
次に、以上のように構成される車載渋滞情報収集システム(車載システム)と渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)との間における渋滞情報の交換の流れの一例を説明する。図5は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける車載側システムとセンター側サーバー装置との間における渋滞情報交換フローを示す図である。図5におけるフローは、車両10が1つの区画を走行したとき発生する一連の処理手順を示したものであり、車両10が複数の区画を連続して走行する場合には、図5に示すフローが連続的に実行されることとなる。また、図5における左欄に示すフローチャートは車載渋滞情報収集システム(車載システム)における処理の流れを示すものであり、右欄に示すフローチャートは渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)における処理の流れを示すものである。
【0032】
以下、本実施形態における渋滞情報の交換の流れを、車載渋滞情報収集システム(車載システム)のフローチャートを中心に説明する。
【0033】
ステップS100で、車載渋滞情報収集システム(車載システム)における処理が開始されると、まずステップS101では、位置情報取得部811から車両10の位置情報が取得される。続く、ステップS102では、取得された位置情報を、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)に送信する。
【0034】
渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)は、車両10からの位置情報に基づき、当該位置が属する区間の渋滞有無情報を、渋滞状況データベース1110から検索し(ステップS202)、これを車両10側に送信する(ステップS203)。
【0035】
車載渋滞情報収集システム(車載システム)においては、ステップS103で、センター側サーバー装置からの渋滞情報(これを、Aとする)を受信する。ステップS104では、車速センサ210や計時部120などからの情報に基づいて、走行している区間の平均車速を取得する。ステップS105では、渋滞判定速度データベース710から渋滞判定速度を取得する。
【0036】
ステップS106では、車両10の平均車速は、渋滞判定速度データベース710に登録されている渋滞判定速度より遅いか否かが判定される。ステップS106における判定がNOであるときには、該当区間における渋滞はないものと判定(ステップS110)する。
【0037】
また、ステップS106における判定がYESであるときには、ステップS107に進み、前方におけるカメラユニット420で取得された動画像を解析し、ステップS108で、前方に所定数以上の車両が存在するか否か判定される。ステップS108における判定がNOであるときには、該当区間における渋滞はないものと判定(ステップS110)し、YESであるときには、該当区間が渋滞しているものと判定(ステップS109)する。
【0038】
ステップS111では、該当区間における渋滞の有無の判定結果(ステップ109又はステップS110の結果。これを渋滞判定Bとする)を保存する。ステップS112では、センター側サーバー装置から受信した情報Aと、車両10が走行した結果得た情報Bとが同じであるか否かが判定される。
【0039】
ステップS112の判定結果がYESであるときには、ステップS113に進み、位置情報Xと判定情報Bをセンター側サーバー装置に送信し、判定結果がNOであるときには、ステップS114に進み、位置情報Xと受信情報Aをセンター側サーバー装置に送信し、ステップS115に、進み1区間に対応する処理を終了する。
【0040】
渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)側では、車両10から送信された位置情報と渋滞の有無情報をステップS301で受信し、これに基づいて必要に応じて、ステップS302で渋滞状況データベース1110を更新する。
【0041】
次に、以上のようにして渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)が、車両10から収集した情報を具体的にどのようにデータ処理するかについて説明する。図6は本発明の実施形態に係る渋滞状況推定システムにおける渋滞データのマッピング処理を説明する。センター側サーバー装置には、各車両10から区間毎に、渋滞している状態(値:1)であるか、渋滞していない状態(値:0)であるかに係る情報が収集される。センター側サーバー装置では、このような情報を、渋滞状況データベース1110中における仮想的な道路の区画にマッピングする。なお、図6に示す道路において、点線で仕切られ、「0」、「1」などの値が入力された1単位が1つの区画に対応している。
【0042】
渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)において、上記のようなマッピング処理を施した後、次に渋滞がどのようなものであるかに係る情報(渋滞特性情報)を抽出する処理が実行される。図7はマッピングされた渋滞データから渋滞特性情報を抽出して、これを各車両に配信する処理の流れを説明する図である。
【0043】
ステップS400で、処理が開始されると、ステップS401においては、渋滞状況データベース1110中でマッピングされた仮想道路上で、「1」が所定数以上連続する区間を「渋滞区間」として抽出する(図6参照)。
【0044】
また、ステップS402では、渋滞状況データベース1110中でマッピングされた仮想道路上で抽出された渋滞区間のうち、進行方向に所定数以上の「0」が存在する区間を渋滞の「先頭」として抽出する(図6参照)。
【0045】
また、ステップS403では、渋滞状況データベース1110中でマッピングされた仮想道路上で抽出された渋滞区間のうち、非進行方向に所定数以上の「0」が存在する区間を渋滞の「最後尾」として抽出する(図6参照)。
【0046】
以上のステップS401乃至ステップS403で抽出された渋滞区間情報、渋滞の先頭情報、渋滞の最後尾情報が、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)で推定される渋滞特性情報である。このような渋滞区間情報、渋滞の先頭情報、渋滞の最後尾情報によって、渋滞がどのような渋滞であるかを表現することが可能となる。
【0047】
ステップS404では、上記のような「渋滞区間」、「先頭」、「最後尾」に係る渋滞特性情報を各車両10に表示用情報として配信する。
【0048】
次に、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から配信される渋滞特性情報を車載渋滞情報収集システム(車載システム)で受信して、利用する処理について説明する。図8は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムにおける渋滞特性情報の送受信処理のフローチャートを示す図である。
【0049】
図8において、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)で、ステップS60
1で渋滞特性情報を送信すると、車載渋滞情報収集システムでは、これをステップS501で受信する。センター側サーバー装置では、渋滞状況データベース1110中でマッピングされた情報に基づき、ステップS602で渋滞特性情報を更新して、ステップS601でこれを各車両10に配信する処理を繰り返す。
【0050】
車載渋滞情報収集システムでは、受信した渋滞特性情報を運転者に報知するべく、ディスプレイ610を用いた表示処理のサブルーチン(ステップS502)を実行する。このサブルーチンについては後に詳しく説明する。ステップS503においては、不図示のエンジンやモーターが停止されたか否かが判定される。この判定がNOであるときにはステップS501に戻る。一方判定が、YESであるときにはステップS504に進み処理を終了する。
【0051】
次に、上記の表示処理のサブルーチンについて説明する。図9は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0052】
図9において、ステップS700で、表示処理サブルーチンが開始されると、続いて、ステップS701では、ディスプレイ610で表示する範囲の地図データを地図データベース820から取得する。次のステップS702では、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から受信した表示範囲の渋滞特性情報を表示する。ステップS703では、渋滞特性情報の渋滞区間情報を地図データに重畳して、ディスプレイ610に表示する。
【0053】
ステップS704では、表示範囲の中に、渋滞区間が複数存在するか否かが判定される。ステップS704における判定がNOであればステップS711に進み、元のルーチンにリターンする。
【0054】
一方、ステップS703における判定がYESであればステップS705に進み、ディスプレイ610の表示範囲中における全ての渋滞区間Aと渋滞区間Bとの間の距離Cnを算出する。すなわち、表示範囲中における複数の渋滞区間のうち2つを抽出して、その間の距離を求める処理を網羅的に行うようにする。仮に、表示範囲中において、このような距離Cnとしてn=1〜n=NのN個が得られたものとする。
【0055】
ステップS706乃至ステップS710はn=1からn=Nまでを処理するためのループである。ステップS707では、Cn≦Dを満たすか否かが判定される。ここで、Dは所定長の距離であり定数である。この所定距離Dは、離関している渋滞区間同士でも、渋滞が連続しているかのように表示させるか否かを決定するために用いている。
【0056】
ステップS707における判定がYESであるとき、すなわち、渋滞区間同士の間の距離がDより短く、それらが連続した渋滞として表示してもよい可能性がある場合には、ステップS708に進む。このステップS708では、距離Cnの中の地図データにノードが含まれるか否かが判定される。このステップS708における判定がNOである場合、すなわち距離Cn中にノードがない場合については、ステップS709に進み、距離Cnは渋滞しているものとして表示(補完表示)して、渋滞区間同士の間も、渋滞しているかのようにして表示する。
【0057】
n=Nまでの処理が完了するとステップS710からループを抜けて、ステップS711に進み、元のルーチンに戻る。
【0058】
以上のような表示処理サブルーチンによるディスプレイ610の表示について、具体例
に基づいて説明する。図10及び図11は本発明の実施形態に係る車載渋滞情報収集システムにおける表示処理サブルーチンに基づく表示処理を説明する図である。
【0059】
図10(A)は地図データベース820による地図データの一例を示すものであり、図10(B)は図10(A)の地図データのノード、リンク構造を示すものである。この図10(B)に示すように、地図データは、n1乃至n4のノード(交差点部)とL1乃至L11のリンク(一本道路部)とから構成されている。
【0060】
図10(C)は渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から受信した渋滞特性情報(「渋滞区間」)データを示すものであり、この例では渋滞区間としてJ1乃至J3を受信している。ここで、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間の距離は所定距離D以下となっている。したがって、図9に示すフローのステップS707における判定は、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間に関してはYESであり、ステップS708に進む。渋滞区間J1と渋滞区間J2との間にはノードn2が存在し、また、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間にはノードn1が存在するため、ステップS708における判定はYESとなり、ステップS709に進むことはないので、図10に示す例では補完表示が行われることはない。
【0061】
したがって、ディスプレイ610における表示は、図10(A)と図10(C)とを単純に重ね合わせたものとなる。図10(D)は図10(A)と図10(C)と重畳することにより得られるディスプレイ610表示を示すものである。
【0062】
次に、渋滞区間同士の間において、補完表示処理が行われる例について図11に基づいて説明する。図11(A)は地図データベース820による地図データの一例を示すものであり、図11(B)は図11(A)の地図データのノード、リンク構造を示すものである。この図11(B)に示すように、地図データは、n1乃至n3のノード(交差点部)とL1乃至L9のリンク(一本道路部)とから構成されている。
【0063】
図11(C)は渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から受信した渋滞特性情報(「渋滞区間」)データを示すものであり、この例では渋滞区間としてJ1乃至J3を受信している。ここで、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間の距離は所定距離D以下となっている。したがって、図9に示すフローのステップS707における判定は、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間に関してはYESであり、ステップS708に進む。渋滞区間J1と渋滞区間J2との間にはノードn2が存在し、ステップS708における判定はYESとなり、ステップS709に進むことはないので、渋滞区間J1と渋滞区間J2との間については補完表示が行われることはない。
【0064】
一方、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間にはノードが存在しないため、ステップS708における判定はNOとなり、ステップS709に進み、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間について補完表示が行われる。
【0065】
したがって、ディスプレイ610における表示は、図11(A)と図11(C)とを単純に重ね合わせたものと、渋滞区間J2と渋滞区間J3との間も渋滞区間として表示する補完表示が行われることとなる。図11(D)はディスプレイ610の表示例を示すものである。なお、本実施例では、ステップS709において車載渋滞情報システムで距離Cnに応じて渋滞しているかいなかを表示するものとしたが、センター側のサーバー装置(渋滞状況推定システム)でこのように判断して、渋滞しているかいなかを車載渋滞情報システムに送信しても良い。
【0066】
以上のように、本実施形態における表示処理においては、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間の距離が所定距離D以下であり、かつ、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間にノードが存在しない場合には、渋滞区間が連続しているように運転者に見せる補完処理を行うものである。
【0067】
上記のような場合の表示処理では、交差点などの分岐点が存在せず、渋滞区間から抜け出せないことが明瞭であるので、運転者に渋滞解消に対する期待感を持たせることをしないために、上記のような補完処理を行うようにしている。
【0068】
一方、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間の距離が所定距離D以下であっても、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間にノードが存在するような場合には、渋滞状況推定システム(センター側サーバー装置)から受信した渋滞特性情報(「渋滞区間」)データをそのまま表示するように処理している。これは、渋滞区間JXと渋滞区間JYとの間のノード、すなわち交差点などの分岐点から、渋滞を迂回できる可能性が存在するので、運転者にはありのままの情報を、表示により伝達するようにするものである。本実施例では、交差点について説明をおこなったが、他の道路と交差する分岐点、例えば、高速道路のインターチェンジや、高架から高架下の道路に下りる接続点でも上述したように判断を適用することができる。
【0069】
以上のような本発明に係る車載渋滞情報収集システム及び渋滞状況推定システムによれば、車載渋滞情報収集システムが、所定区間が渋滞しているか否かを判定するように構成されているので、センター側システムにおいては、車両から収集した情報の統計処理を行う必要がなく、システムの処理負荷は軽微であり、処理に要する時間も短く、現在の最新交通状況を反映した渋滞情報を即時に提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
10・・・車両、100・・・ECU、120・・・計時部、200・・・走行情報取得部、210・・・車速センサ、400・・・車両周辺情報取得部、420・・・カメラユニット、500・・・通信部、510・・・通信ユニット、600・・・インターフェイス部、610・・・ディスプレイ、630・・・スピーカー、700・・・データ記憶部、710・・・渋滞判定速度データベース、800・・・ナビゲーションシステム部、810・・・ナビゲーションシステム、811・・・位置情報取得部、820・・・地図データベース、1100・・・演算処理部、1110・・・渋滞状況データベース、1120・・・通信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されると共に車両の走行状況によって渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システムであって、
所定区画における車両の平均車速を取得する平均車速取得手段と、
所定区画における道路種別に応じた渋滞判定速度を取得する渋滞判定速度取得手段と、
前記平均車速取得手段によって取得された平均車速と、前記渋滞判定速度取得手段によって取得された渋滞判定速度とを比較する第1比較手段と、
前記第1比較手段による比較結果に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を送信する送信手段と、を有することを特徴とする車載渋滞情報収集システム。
【請求項2】
車両前方の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像を解析する画像解析手段と、を有し、
前記判定手段は、前記比較手段による比較結果に加え、前記画像解析手段によって画像解析された情報に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車載渋滞情報収集システム。
【請求項3】
所定区画が渋滞しているいか否かに係る情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した情報と、前記判定手段による判定結果とを比較する第2比較手段と、を有し、
前記送信手段は、前記第2比較手段による比較結果を送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載渋滞情報収集システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載渋滞情報収集システムにおける前記送信手段から送信される情報を受信すると共に、前記受信手段に対して所定区画が渋滞しているいか否かに係る情報を送信することを特徴とする渋滞状況推定システム。
【請求項1】
車両に搭載されると共に車両の走行状況によって渋滞情報を収集する車載渋滞情報収集システムであって、
所定区画における車両の平均車速を取得する平均車速取得手段と、
所定区画における道路種別に応じた渋滞判定速度を取得する渋滞判定速度取得手段と、
前記平均車速取得手段によって取得された平均車速と、前記渋滞判定速度取得手段によって取得された渋滞判定速度とを比較する第1比較手段と、
前記第1比較手段による比較結果に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を送信する送信手段と、を有することを特徴とする車載渋滞情報収集システム。
【請求項2】
車両前方の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された画像を解析する画像解析手段と、を有し、
前記判定手段は、前記比較手段による比較結果に加え、前記画像解析手段によって画像解析された情報に基づき、所定区間が渋滞であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車載渋滞情報収集システム。
【請求項3】
所定区画が渋滞しているいか否かに係る情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した情報と、前記判定手段による判定結果とを比較する第2比較手段と、を有し、
前記送信手段は、前記第2比較手段による比較結果を送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載渋滞情報収集システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載渋滞情報収集システムにおける前記送信手段から送信される情報を受信すると共に、前記受信手段に対して所定区画が渋滞しているいか否かに係る情報を送信することを特徴とする渋滞状況推定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−134195(P2011−134195A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294428(P2009−294428)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]