説明

車載装置

【課題】 拡大表示した画面領域を再び縮小させて元に戻す際、カーソルの移動に伴う操作レバーの移動によってユーザが抱く違和感を抑制する。
【解決手段】 カーソル位置を取得し(S200)、拡大された画面領域の外側にカーソルが位置するか否かを判断する(S210)。そして、カーソルが画面領域の外側にある場合(S210:YES)、画面領域を縮小して更新表示し(S260)、この画面領域に追従するようにカーソルを移動表示する(S270)。そして、画面領域の縮小が完了するまでの間、このような処理(S260,S270)を繰り返す。これにより、画面領域が縮小する様子がアニメーションのごとく表示され、画面領域の縮小に応じてカーソルが移動させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示手段の画面に表示される選択項目画像に対応する画面領域を拡大表示することによって、選択項目画像に対するユーザの選択指示を容易にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばナビゲーション装置や、エアコン、オーディオ等の車載機器に対する操作を、車両に搭載される表示装置(以下「車載表示装置」という)の表示画面で指示するシステムが知られている。この表示画面は例えば液晶ディスプレイなどで構成され、液晶ディスプレイに表示されるボタン等の選択項目画像の位置が指示されることで、それに応じて車載機器が操作されるという具合である。
【0003】
このようなシステムでは、運転者の運転中の視点移動を軽減する必要性から、表示画面は、運転者前方のできるだけ上方かつ遠い位置に配置することが好ましい。一方、表示画面における位置を指示するための操作部については、運転者の手もとに配置することが好ましい。
【0004】
そこで、表示画面と表示画面に対する操作部とを分離した遠隔操作システムが実用化されている。遠隔操作システムでは、操作部の操作レバーで移動するカーソルが表示画面に表示され、このカーソルによって表示画面の位置が指示される。
【0005】
このとき、例えばスライド式の操作レバーを利用し、表示画面に対するカーソルの位置と操作レバーの可動範囲に対する操作レバーの位置とを一対一に対応させた遠隔操作(絶対操作)が知られている。また、操作レバーに対し表示画面の表示内容に応じた反力(抵抗力やアシスト力)を加えることで、触覚的に運転者の操作をサポートし、操作性を向上させることが提案されている。
【0006】
例えば、選択項目画像の近傍において、カーソルが当該選択項目画像の内部へ引き込まれるようにアシストする反力を操作レバーに加える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、選択項目画像の位置に合わせ操作レバーに反力を加えるための反力マップを表示画面に対して用意しておき、この反力マップに従って、操作レバーにアシストのための反力を加えるのである。これにより、選択項目画像に対する指示を容易にし、操作性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−96669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、選択項目画像が表示画面に対して小さくなると、操作レバーに対する反力の付与を行ったとしても、選択項目画像へカーソルを合わせることが困難になる。また、複数の選択項目画像が近接した位置に表示されると、意図せぬ選択項目画像への引き込み反力により所望の選択項目画像へカーソルを合わせることが困難になる。結果として、操作性が低下する虞がある。
【0009】
そこで、選択項目画像に対応する画面領域を設定しておき、この画面領域へカーソルが移動したときに、当該画面領域を拡大表示することが考えられる。そして、何らかの操作が行われた後、画面領域を縮小表示させて元に戻すことが考えられる。
【0010】
具体的には、図5(a)に示すように、表示画面Gに対し、選択項目画像としてのボタンS1,S2,S3が小さい場合、図中に二点鎖線で示すような画面領域Aを設定しておく。そしてカーソルCがこの画面領域Aの内側へ入ると、図5(b)に示すように、画面領域Aを拡大表示する。例えば、記号Bで示すように画面領域を拡大してボタンS1〜S3を表示するという具合である。さらに、例えばカーソルCが画面領域Bの外側へ出る(位置L2へ移動させられる)ことなどを条件に、画面領域Bを縮小表示させて元に戻す。
【0011】
このとき、図5(c)に示すように、画面領域Bだけを縮小するのではなく、画面領域Bの縮小に合わせてカーソルCを元の画面領域に近い位置へ移動させることが好ましい。このようなカーソルCの移動を行わないと、カーソルCが全く無関係な位置L2に表示されることになるからである。
【0012】
ところで、上述した絶対操作では、操作レバーの位置もカーソルの移動に合わせて移動させる必要がある。しかしながら、カーソルの表示位置を自動で調整する場合、カーソルの移動(図5(c)でいう記号Mの移動)をユーザが認識できないと、操作レバーの移動がユーザに対して違和感を抱かせる虞がある。
【0013】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、拡大表示した画面領域を再び縮小させて元に戻す際、カーソルの移動に伴う操作レバーの移動によってユーザが抱く違和感を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車載装置は、表示手段の画面に表示される選択項目画像に対応する画面領域を拡大表示することによって、選択項目画像に対するユーザの選択指示を容易にするものである。なお、ここで選択項目画像は、所定のコマンドの実行命令をユーザから受け付けるために表示されるものであり、「アイコン」、「ボタン」と呼ばれるものである。
【0015】
本発明では、操作部が、操作ノブ及び、駆動力発生手段を有している。操作ノブは、ユーザによる操作に応じて可動する。また、駆動力発生手段は、操作ノブを移動させるための駆動力を発生する。また、制御部によって、操作部からの操作ノブの操作に基づく操作データにより、表示手段の画面にカーソルが表示される。
【0016】
このような構成の下、制御部は、画面領域の拡大表示の後、拡大された画面領域を元に戻す縮小表示に際し、画面領域の縮小をユーザに対し視認可能な態様で表示すると共に、カーソルを当該画面領域に追従させて表示する。
【0017】
このとき、操作部は、制御部からのカーソルの位置情報に基づき、駆動力発生手段にて、カーソルの位置に対応させて操作ノブを移動させる。
例えば、画面領域が縮小する様子を例えばアニメーションのごとく表示し、例えば画面領域の枠に沿ってカーソルを移動させるという具合である。このようにすれば、画面領域の縮小に伴ってカーソルが移動しているということをユーザが認識する可能性が大きくなり、当該カーソルの移動に伴う操作ノブの移動によってユーザが抱く違和感を抑制することができる。
【0018】
なお、「画面領域に追従させて表示する」とは、例えば、請求項2に示すように、画面領域の境界から所定距離に位置するようにカーソルを追従させて表示することが例示される。ここで所定距離が「0」の場合、縮小する画面領域の境界上にカーソルが表示されることになる。このようにすれば、画面領域の縮小とカーソルの移動との対応関係が分かりやすくなり、カーソルの移動に伴う操作ノブの移動によってユーザが抱く違和感を抑制するという効果が際だつ。
【0019】
ところで、画面領域の縮小に伴うカーソルの移動であることを分かりやすいものにするという観点から、請求項3に示すように、縮小表示に際し、カーソルのデザインを通常時のものとは別のデザインに変更することが例示される。このようにしても、画面領域の縮小とカーソルの移動との対応関係が分かりやすくなり、カーソルの移動に伴う操作ノブの移動によってユーザが抱く違和感を抑制するという効果が際だつ。
【0020】
なお、縮小する画面領域に対しカーソルを何処まで戻すかという点では、請求項4に示すように、画面領域の縮小表示が完了したときに、当該画面領域の外側に位置するようにカーソルを表示することが考えられる。このようにすれば、当該画面領域における操作の終了が分かりやすくなり、ユーザの操作性の向上に寄与する。
【0021】
このとき、一度拡大表示された選択項目画像が連続して操作されることは少ないという観点から、請求項5に示すように、駆動力発生手段が、設定される反力情報に従い、ユーザの操作に対する反力を操作ノブに加えるように構成されている前提の下、画面領域の縮小表示が完了すると、当該画面領域又は当該画面領域に含まれる選択項目画像へのカーソルの移動を妨げるための反力情報を制御部が設定するようにしてもよい。これにより、操作が終了した選択項目画像へカーソルが引き込まれることによる操作性の低下を抑制することができる。
【0022】
また、操作性の向上という意味では、縮小表示の途中でユーザが次の操作を起こす可能性もあるため、請求項6に示すように、制御部は、縮小表示に並行して操作ノブが操作された場合、カーソルの画面領域への追従を中止するようにしてもよい。この場合の「操作ノブが操作された場合」には、カーソルの移動に従う操作ノブの移動を妨げるような操作も含む。このようにすれば、画面領域の縮小を待つことなくユーザは次の操作を開始出来るため、操作性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】表示部及び操作部の車室内での配置状況を模式的に示す説明図である。
【図3】表示画面に対応する反力マップを模式的に示す説明図である。
【図4】画面領域拡大処理を示すフローチャートである。
【図5】画面領域拡大の具体例を示す説明図である。
【図6】カーソル移動処理を示すフローチャートである。
【図7】カーソル移動の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
図1は、実施形態のナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
実施形態のナビゲーション装置1は、車両に搭載されるものであり、図1に示すように、表示部10と、車両の現在地を検出する位置検出部11と、ナビゲーションECU12と、記憶媒体に格納されている地図データやプログラム等の各種データを入力するデータ入力部13と、操作者によって操作される操作部14と、音声出力部15とを備える。
【0026】
なお、図2に示すように、自動車の車室内において、表示部10は、運転者の前方にあるダッシュボード30上で運転席と助手席との中間となる位置に配置されており、運転者が表示部10の表示画面を見る際の視点移動が軽減されるようになっている。一方、操作部14は、運転席のすぐ横にあるセンターコンソール32の上面に配置されており、運転者が遠方へ手を伸ばしたり姿勢を変えたりすることなく容易に操作できるようになっている。
【0027】
図1のブロック図の説明に戻る。表示部10は、液晶ディスプレイ等の表示画面10aを有するカラー表示装置であり、ナビゲーションECU12からの映像信号の入力に応じて各種画像を表示画面10aに表示可能である。例えば、車両走行中においては、車両の現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、各種シンボルとして描画されるボタン等の付加データが地図画像上に重ねて表示される。
【0028】
操作部14は、表示画面10a上でカーソルの移動方向や決定指示を入力するためのポインティングデバイスであり、操作者(車両の運転者)によって動かされる操作ノブ18を有している。この操作ノブ18は、その軸部18aの軸方向と垂直な平面に沿って二次元方向(図中の記号X,Yで示す方向)に可動するものである。本実施形態では、上記二次元方向での操作ノブ18の可動領域は、表示画面10a(一般的には長方形で構成される)の縦横比と等しい長方形の領域である。なお、操作ノブ18は、軸部18aの軸方向下向き(図1の矢印Zの方向)にも可動し、操作者により下向きの力が加えられていない状態、すなわち押下されていない状態では、その軸方向上方の定位置に戻るようになっている。
【0029】
また、操作部14は、操作制御部16と、操作ノブ18がZ軸方向に押下されたことを検出する押操作検出センサ20と、操作ノブ18のX軸方向及びY軸方向の位置座標を検出する位置検出センサ22と、操作ノブ18の軸部18aを支持すると共に駆動力を軸部18aに加える駆動力発生ユニット24とを備える。駆動力発生ユニット24は、例えば、操作ノブ18に加えられるX軸方向及びY軸方向の操作力に応じた抵抗力やアシスト力といった反力を軸部18aに加える。
【0030】
操作制御部16は、表示部10の表示画面10aの座標と、操作ノブ18のX軸方向及びY軸方向の可動領域における座標とを一対一に対応させる。そして、可動領域における操作ノブ18の座標値はナビゲーションECU12へ操作データとして出力され、ナビゲーションECU12は、操作ノブ18の座標に対応する表示画面10a上の位置に矢印状のカーソルを表示する。これにより、操作者の操作によって操作ノブ18の位置が可動領域の任意の位置に移動すると、表示画面10a上の対応する位置にカーソルも移動する。
【0031】
一方、ナビゲーションECU12にてカーソル表示位置が移動させられた場合、ナビゲーションECU12は、カーソル位置を操作制御部16に対して送出する。これに対し、操作制御部16は、表示画面10aの座標と操作ノブ18の可動領域における座標とを一対一に対応させるように、軸部18aに対する駆動力を生じさせる。これにより、表示画面10a上のカーソル位置が変更された場合、操作ノブ18が可動領域の対応する位置に移動する。
【0032】
また、操作ノブ18をZ軸方向に押す操作(以下、決定操作とも称する)が行われると、操作制御部16は、カーソル位置での入力指示がなされたと判断し、その決定操作情報をナビゲーションECU12へ出力する。
【0033】
さらにまた、操作制御部16は、ナビゲーションECU12から入力される反力情報(詳細は後述)で定義される反力マップの内容に従い、駆動力発生ユニット24を介し、所定の位置で操作ノブ18に反力(抵抗力やアシスト力)を加える。
【0034】
位置検出部11は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波を受信して車両の位置座標を検出するGPS受信機、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ等から構成されている。そして、これらの各センサを互いに補完しながら使用することで車両の現在地を検出する。
【0035】
データ入力部13は、DVD−ROMやハードディスクドライブといった記憶媒体に格納されている各種プログラムや、ナビゲーション処理用の地図データ等の各種データを読み出し、ナビゲーションECU12へ入力するための装置である。
【0036】
音声出力部15は、各種情報を音声でユーザに報知するための装置である。これによって、表示部10による表示と音声出力部15からの音声出力との両方でユーザに対して各種情報の提供を行うことができる。
【0037】
ナビゲーションECU12は、上記各部を統括制御するための装置であり、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のコンピュータを中心に構成されている。ナビゲーションECU12は、ROMやデータ入力部13から読み出したプログラムに従って各種処理を実行する。
【0038】
例えば、ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が挙げられる。地図表示処理は、位置検出部11からの検出信号に基づいて車両の現在地を算出し、データ入力部13から読み込んだ現在地周辺の地図を所定の縮尺で表示する処理である。また、現在地の移動や、地図の表示範囲を手動で変更する操作に応じて表示中の地図画像をスクロールしたり縮尺等を変更したりする。経路案内処理は、データ入力部13から読み込んだ地図データと、ユーザにより指定された目的地とに基づいて現在地から目的地までの最適経路を算出し、その算出した最適経路を地図画像上に表示すると共に音声や表示による走行案内を行う処理である。このように、目的地までの最適経路を自動的に計算する手法として、ダイクストラ法によるコスト計算等の手法が知られている。
【0039】
次に操作部14に対する反力情報の設定について説明する。
ナビゲーションECU12は、表示部10の表示画面10aにボタン等を表示し、操作部14を介して操作者からの操作を受け付ける。このとき、操作部14から入力される座標を表示画面10a内の指示位置として決定する。そして、表示画面10a上に配置されている各種ボタン上で操作部14による決定操作がなされると、ナビゲーションECU12へ決定操作がなされた旨が通知される。
【0040】
なお、ナビゲーションECU12は、操作部14を介して操作者からの操作を受け付ける際、各ボタンの位置座標及び、それらのボタンに対応する引き込み反力等の反力マップを定義する反力情報を操作部14に対して入力する。この反力情報は、例えば、操作ノブ18の可動領域の座標と一対一に対応するマトリクス状のデータテーブルとして設定される。
【0041】
図3は、表示画面10aに対応してナビゲーションECU12が設定する反力情報において定義される反力マップを模式的に示す図である。図3は、図5(a)に対応するものであり、表示画面10aにおける個々のボタンS1〜S3の位置及び形状に対応する範囲に引き込み反力の発生範囲(図中のグレー部分)が設けられる。
【0042】
この反力情報では、引き込み反力の発生範囲に該当する座標に操作ノブ18が位置するときに、当該反力発生範囲の中心(図中の「+」印)に向けたアシスト力を操作ノブ18に加えるように定義する。
【0043】
ただし、表示画面10a上の各ボタンS1〜S3(図5参照)に対応する反力発生範囲は、対応するボタンのサイズよりもやや大きい範囲に設定されている。このようにすることで、カーソルがボタンの近傍まで接近した時点から引き込み反力を発生させることができ、カーソルの指示位置をボタンの位置に合わせ易くすることができる。
【0044】
ところで、図5(a)に示すように表示画面Gに比べボタンS1〜S3のサイズが小さくなると、操作レバー18に対する反力の付与を行ったとしても、ボタンS1〜S3へカーソルを合わせることが困難になる。また、複数のボタンS1〜S3が近接した位置に表示されると、意図せぬボタンS1〜S3への引き込み反力により所望のボタンS1〜S3へカーソルを合わせることが困難になる。
【0045】
そこで、図5(a)に示すように、表示画面Gに対しボタンS1〜S3が小さい場合、図中に二点鎖線で示すような画面領域Aを設定しておく。そしてカーソルCがこの画面領域Aの内側へ入ると、画面領域Aを拡大表示する。すなわち、図5(b)に記号Bで示すように、拡大した画面領域Bを表示してボタンS1〜S3を拡大表示する。
【0046】
ここで、画面領域拡大処理について簡単に説明する。図4は、画面領域拡大処理を示すフローチャートである。
最初のS100では、操作データを取得する。この処理は、操作制御部16から送出される操作ノブ18の操作に基づく操作データを取得するものである。
【0047】
次のS110では、カーソル位置を算出する。操作データから操作ノブ18の位置座標が分かるため、操作ノブ18に一対一に対応する表示画面10a上のカーソル位置を算出する。
【0048】
続くS120では、カーソルを表示する。この処理は、S110にて算出したカーソル位置にカーソルを表示するものである。
次のS130では、画面領域内か否かを判断する。この処理は、カーソル位置が拡大対象となる画面領域の内側にあるか否かを判断するものである。ここで画面領域内であると判断された場合(S130:YES)、S140へ移行する。一方、画面領域外であると判断された場合(S130:NO)、以降の処理を実行せず、画面領域拡大処理を終了する。
【0049】
S140では、拡大表示を実行する。これにより、図5(b)に示すように、画面領域Bに、ボタンS1〜S3が拡大されて表示されることになる。
続くS150では、S140の拡大表示に伴い、カーソル位置を移動させる。次のS160では、カーソルを表示する。例えば図5(b)に示すように、位置L1にカーソルCを移動させて表示するという具合である。
【0050】
続くS170では、カーソル位置を送出する。この処理は、ナビゲーションECU12が操作制御部16に対しカーソル位置を送出するものである。これに対し、操作制御部16は、表示画面10aの座標と操作ノブ18の可動領域における座標とを一対一に対応させるように、軸部18aに対する駆動力を生じさせる。これにより、操作ノブ18が可動領域の対応位置に移動する。
【0051】
次に、本実施形態の特徴部分である画面領域の縮小について説明する。
図5(b)に示すように、拡大された画面領域Bの外側へカーソルCが移動した場合、すなわちカーソルCが位置L1からL2へ移動した場合、画面領域Bを縮小させて元に戻す。そこで次に、このような画面領域の縮小を行いそれに伴ってカーソル移動を行うカーソル移動処理について説明する。図6はカーソル移動処理を示すフローチャートである。
【0052】
最初のS200では、カーソル位置を取得する。この処理は、表示画面10aにおけるカーソルの位置座標を取得するものである。
次のS210では、カーソルが領域外にあるか否かを判断する。この処理は、拡大された画面領域の外側にカーソルがあるか否かを判断するものである。ここでカーソルが領域外にあると判断された場合(S210:YES)、S220へ移行する。一方、カーソルが領域外にないと判断された場合(S210:NO)、以降の処理を実行せず、カーソル移動処理を終了する。
【0053】
S220では、カーソルを縮小時のデザインへ変更する。図7に示すカーソルCのように、先端部分を「矢印」から「丸印」に変更することが一例として考えられる。
S230では、操作データを取得する。この処理は、図4中のS100と同様、操作制御部16から送出される操作ノブ18の操作に基づく操作データを取得するものである。
【0054】
続くS240では、操作ノブ18の操作があったか否かを判断する。ここでは、制御操作部16による操作ノブ18の移動を妨げる操作も含まれる。ここで操作ノブ18の操作があったと判断された場合(S240:YES)、S250にて画面領域の縮小表示を最後まで行い、S290へ移行する。一方、操作ノブ18の操作がないと判断された場合(S240:NO)、S260へ移行する。
【0055】
S260では、画面領域の縮小を行う。この処理は、画面領域を縮小して更新表示するものである。例えば、図7に示すように、画面領域Bを画面領域Dに縮小して更新表示するという具合である。
【0056】
続くS270では、カーソルを移動表示する。この処理は、縮小される画面領域に対応する位置に、カーソルを移動させて表示するものである。例えば、図7に示す例で画面領域Dが表示された場合、画面領域Dに対応する位置D1に、カーソルを移動させて表示するという具合である。
【0057】
次のS280では、カーソル位置を送出する。この処理は、図4中のS170と同様、ナビゲーションECU12が操作制御部16に対しカーソル位置を送出するものである。これに対し、操作制御部16は、表示画面10aの座標と操作ノブ18の可動領域における座標とを一対一に対応させるように、軸部18aに対する駆動力を生じさせる。これにより、操作ノブ18が可動領域の対応する位置に移動する。
【0058】
続くS290では、画面領域の縮小が完了したか否かを判断する。ここで画面領域の縮小が完了したと判断された場合(S290:YES)、S300へ移行する。一方、画面領域の縮小が完了していないうちは(S290:NO)、S230からの処理を繰り返す。S230からの処理を繰り返すことで、段階を追って画面領域の縮小表示がなされる(S260)。図7の例では、画面領域B→D→E→Aという具合に縮小表示される。また、当該画面領域に追従するようにカーソルの移動表示がなされる(S270)。図7の例では、位置B1→D1→E1→A1という具合に移動表示がなされる。
【0059】
なお、図7では縮小の段階を大まかに示したが、さらに細かく更新表示するようにし、見かけ上、画面領域が連続的に縮小していくようにするのが現実的である。
S300では、カーソルを通常時のデザインへ変更する。図7の例では、「丸印」になっているカーソルの先端部分を「矢印」に変更するという具合である。
【0060】
続くS310では、反力情報を設定する。反力情報は、上述したように、反力マップを定義するものである。ここでの反力マップは、図7中に示す縮小された後の画面領域AへカーソルCが移動することを妨げるものとする。
【0061】
次に、本実施形態のナビゲーション装置1が奏する効果について説明する。
本実施形態では、カーソル位置を取得し(図6中のS200)、拡大された画面領域の外側にカーソルが位置するか否かを判断する(S210)。そして、カーソルが画面領域の外側にある場合(S210:YES)、画面領域を縮小して更新表示し(S260)、この画面領域に追従するようにカーソルを移動表示する(S270)。そして、画面領域の縮小が完了するまでの間、このような処理(S260,S270)を繰り返す。これにより、画面領域が縮小する様子がアニメーションのごとく表示され、画面領域の縮小に応じてカーソルが移動させられる。その結果、画面領域の縮小に伴ってカーソルが移動しているということをユーザが認識する可能性が大きくなり、当該カーソルの移動に伴う操作ノブ18の移動によってユーザが抱く違和感を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、画面領域の縮小表示に際し、画面領域の境界から所定距離に位置するようにカーソルを追従させて表示する。例えば、図7に示したように、画面領域B,D,E,Aに対応させて、カーソルCを位置B1,D1,E1,A1に表示するという具合である。これにより、画面領域の縮小とカーソルの移動との対応関係が分かりやすくなり、カーソルの移動に伴う操作ノブ18の移動によってユーザが抱く違和感を抑制するという効果が際だつ。
【0063】
さらにまた、本実施形態では、画面領域の縮小表示に際し、カーソルを縮小時のデザインへ変更する(図6中のS220)。図7の例では、先端部分が「丸印」のデザインへ変更している。これにより、画面領域の縮小とカーソルの移動との対応関係が分かりやすくなり、カーソルの移動に伴う操作ノブ18の移動によってユーザが抱く違和感を抑制するという効果が際だつ。
【0064】
また、本実施形態では、画面領域の縮小が完了した際、カーソルが画面領域の外側に位置するようになっている。図7の例では、画面領域Aの外側位置A1にカーソルが表示されている。これにより、当該画面領域における操作が終了したことが分かりやすくなり、ユーザの操作性の向上に寄与する。
【0065】
しかも、一度拡大表示されたボタンが連続して操作されることは少ないという観点から、本実施形態では、画面領域へのカーソルの移動を妨げる反力マップが定義された反力情報を設定する(図6中のS310)。これにより、操作が終了したボタンへカーソルが引き込まれることによる操作性の低下を抑制することができる。
【0066】
なお、本実施形態では画面領域へのカーソルの移動を妨げるような反力情報を設定したが、画面領域に表示されるボタンへのカーソル移動を妨げるような反力情報を設定するようにしてもよい。
【0067】
さらにまた、本実施形態では、縮小表示に並行して操作ノブ18が操作された場合(図6中のS240:YES)、画面領域の縮小表示を行い(S250)、カーソルの画面領域への追従を中止する。これにより、画面領域の縮小を待つことなくユーザは次の操作を開始出来るため、操作性の向上に寄与する。
【0068】
なお、本実施形態におけるナビゲーション装置1が「車載装置」を構成し、表示部10が「表示手段」を構成し、表示画面10aに表示されるボタンが「選択項目画像」に相当する。また、操作部14が「操作部」を構成し、操作ノブ18が「操作ノブ」を構成し、駆動力発生ユニット24が「駆動力発生手段」を構成し、ナビゲーションECU12が「制御部」を構成する。さらにまた、図6に示したカーソル移動処理が「制御部」の機能としての処理に相当する。
【符号の説明】
【0069】
1…ナビゲーション装置、10…表示部、10a…表示画面、11…位置検出部、12…ナビゲーションECU、13…データ入力部、14…操作部、16…制御部、18…操作ノブ、18a…軸部、20…押操作検出センサ、22…位置検出センサ、24…駆動力発生ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段の画面に表示される選択項目画像に対応する画面領域を拡大表示することによって、前記選択項目画像に対するユーザの選択指示を容易にする車載装置であって、
ユーザによる操作に応じて可動する操作ノブ及び、前記操作ノブを移動させるための駆動力を発生する駆動力発生手段を有する操作部と、
前記操作部からの前記操作ノブの操作に基づく操作データにより、前記表示手段の画面にカーソルを表示する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記画面領域の拡大表示の後、拡大された前記画面領域を元に戻す縮小表示に際し、前記画面領域の縮小をユーザに対し視認可能な態様で表示すると共に、前記カーソルを当該画面領域に追従させて表示し、
前記操作部は、前記制御部からの前記カーソルの位置情報に基づき、前記駆動力発生手段にて、前記カーソルの位置に対応させて前記操作ノブを移動させること
を特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置において、
前記制御部は、前記画面領域の境界から所定距離に位置するように前記カーソルを追従させて表示すること
を特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載装置において、
前記制御部は、前記縮小表示に際し、前記カーソルのデザインを通常時のものとは別のデザインに変更すること
を特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の車載装置において、
前記制御部は、前記画面領域の縮小表示が完了したときに、当該画面領域の外側に位置するように前記カーソルを表示すること
を特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の車載装置において、
前記駆動力発生手段は、設定される反力情報に従い、ユーザの操作に対する反力を前記操作ノブに加えるように構成されており、
前記制御部は、前記画面領域の縮小表示が完了すると、当該画面領域又は当該画面領域に含まれる前記選択項目画像への前記カーソルの移動を妨げるための反力情報を設定すること
を特徴とする車載装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の車載装置において、
前記制御部は、前記縮小表示に並行して前記操作ノブが操作された場合、前記カーソルの前記画面領域への追従を中止すること
を特徴とする車載装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−137866(P2012−137866A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288637(P2010−288637)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】