説明

転倒検知機能付き乗り物

【課題】部品点数及びコストを抑制し、ボディスペースを効率的に利用して転倒を検知する。
【解決手段】ジェット推進艇1は、エンジンEと、エンジンEに供給するための燃料を貯留する燃料タンク24と、燃料タンク24内の燃料の残量を検出する燃料ゲージ33と、燃料ゲージ33の出力に基づいて転倒状態を検知する転倒検知部41とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェット推進艇(Personal Water Craft:PWC)や三輪又は四輪の不整地走行車や自動二輪車等のような転倒検知機能付き乗り物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフューエルインジェクションシステム(FIシステム)を用いた乗り物では、ECUにより制御されたインジェクタによりエンジンへの吸気通路に燃料を計量・噴射している。このようなFI仕様の乗り物では、そのボディの転倒を検知する転倒センサにより、ボディが所定角度以上に傾いたことが検知されると、ECUが燃料噴射を止めてエンジンを強制停止させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−176734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、転倒センサは、乗り物のボディの傾斜を精度良く検出するために、ボディの重心付近に配置されることが多い。しかしながら、ボディの重心付近は、一般的にエンジンや燃料タンクやエアクリーナ等のように比較的大きな他の部品が複数配置される。よって、そこに転倒センサを配置すると他部品のスペースが奪われてしまうために、他部品の容積が小さくなる場合や、他部品の形状を複雑にしてしまう場合も生じる。乗り物の転倒は稀にしか起こらないものであり、この利用率の低い転倒センサのために、貴重なボディスペースが占有されるのは非効率であるといえる。また、転倒センサを乗り物に搭載すると、転倒センサのみならず専用ブラケットや専用電線を設けることとなり、乗り物の部品点数及びコストを増加させる原因にもなる。
【0004】
そこで本発明は、部品点数及びコストを抑制し、乗り物のボディスペースを効率的に利用して転倒を検知することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る転倒検知機能付き乗り物は、エンジンと、前記エンジンに供給するための燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内の燃料の液面高さを検出する燃料ゲージと、前記燃料ゲージの出力に基づいて転倒状態を検知する転倒検知装置とを備えていることを特徴とする。
【0006】
前記構成によれば、乗り物が転倒して燃料タンクの角度が変化すると、燃料ゲージの向きも変化することとなり、燃料ゲージは通常とは異なる出力をすることとなる。つまり、燃料ゲージの出力をモニタリングすることで乗り物の転倒状態を検知することができ、専用品となる転倒センサを別途設ける必要がなくなる。したがって、従来に転倒センサが配置されていたスペースを他部品のために有効活用することが可能となる。また、転倒センサのみならず専用ブラケットや専用電線も不要となるので、乗り物の部品点数及びコストを低減することが可能となる。
【0007】
前記転倒検知装置は、前記燃料ゲージの出力の単位時間あたりの変動量が所定値以上である場合に、転倒状態であると判断する構成であってもよい。
【0008】
前記構成によれば、乗り物が転倒したときに燃料タンクが大きく角度変化するため、燃料ゲージで検出される燃料残量も大きく変動することとなる。よって、燃料ゲージの出力の変動量が所定値以上となった場合に、乗り物が転倒状態であると判断することが可能となる。
【0009】
前記転倒検知装置は、前記燃料ゲージの出力が転倒遷移を表す所定のパターンで変動した場合に、転倒状態であると判断する構成であってもよい。
【0010】
前記構成によれば、乗り物が転倒したときの燃料ゲージの出力変化を予め調べて設定しておき、燃料ゲージの出力変動が所定のパターンに合致した場合に、乗り物が転倒状態であると判断することが可能となる。
【0011】
前記燃料ゲージは、前記燃料タンク内に配置されたフロートと、前記フロートの動き又は位置を検出可能なフロート動作検出部とを有していてもよい。
【0012】
前記構成によれば、乗り物が転倒して燃料タンクに対して燃料液面の位置が大きく変化すると、それに伴ってフロートも大きく位置変化するので、フロート検出部は通常とは異なるフロートの動きを検出する。よって、フロート動作検出部の出力をモニタリングすることで乗り物の転倒状態を検知することが可能となる。
【0013】
前記フロート動作検出部は、前記フロートに接続された揺動レバーと、前記揺動レバーの角度を検出するレバー角度検出部とを有しており、前記揺動レバーは、乗り物の左右方向に向けて配置されていてもよい。
【0014】
前記構成によれば、フロートに接続された揺動レバーの角度に基づいて燃料残量が検出される構成であっても、揺動レバーが乗り物の左右方向に向けて配置されているので、左右方向の転倒による燃料液面の変化を精度良く検出することが可能となる。
【0015】
燃料残量を表示する燃料残量表示装置をさらに備え、前記燃料ゲージは、前記燃料残量表示装置に残量情報として燃料の液面高さを出力する構成であってもよい。
【0016】
前記構成によれば、燃料残量表示装置に残量情報を表示させるための燃料ゲージが、転倒検知用に兼用されているので、部品の共用化による部品点数及びコストの低減を図ることが可能となる。
【0017】
前記転倒検知装置で転倒状態が検知されると前記エンジンを停止させるエンジン制御装置をさらに備えていてもよい。
【0018】
前記構成によれば、乗り物が転倒状態であると検知された場合に、不要なエンジン稼動を強制的に停止させることが可能となる。
【0019】
前記燃料ゲージの出力に基づいて転倒状態から非転倒状態に戻されたことを検知する転倒回復検知装置をさらに備えており、前記エンジン制御装置は、前記転倒回復検知装置が非転倒状態に戻ったことを検知すると、前記エンジンの始動を許可する状態に移行させる構成であってもよい。
【0020】
前記構成によれば、乗り物の転倒後に非転倒状態に戻った場合には、エンジン始動が許可されるので、転倒後の運転開始を迅速に行うことができる。
【0021】
前記エンジン制御装置に電源を供給するための電源スイッチと、前記エンジンを始動させるためにユーザが操作する始動入力部と、前記燃料ゲージの出力に基づいて転倒状態から非転倒状態に戻されたことを検知する転倒回復検知装置をさらに備えており、前記エンジン制御装置は、前記転倒検知装置で転倒状態が検知されて前記エンジンを停止させた後、前記電源スイッチがリセットされてから前記始動入力部が操作されると、前記エンジンを始動させる設定であり、かつ、前記エンジン制御装置は、前記転倒回復検知装置が非転倒状態に戻ったことを検知した場合には、前記電源スイッチがリセットされることなく前記始動入力部が操作されても前記エンジンの始動を可能にする構成であってもよい。
【0022】
前記構成によれば、乗り物の転倒後にユーザが自力で乗り物を非転倒状態に戻した場合には、わざわざ電源スイッチをリセットしなくても始動入力部の操作だけでエンジンを始動させることができるので、転倒後の運転開始を迅速に行うことができる。一方、転倒状態のままでは、電源スイッチがリセットされてから始動入力部が操作されないと、エンジンが始動されないので、転倒状態のままエンジンが始動することを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、部品点数及びコストを抑制し、乗り物のボディスペースを効率的に利用して転倒を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、ジェット推進艇に搭乗したユーザ(図示せず)から見た方向を基準とする。
【0025】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るジェット推進艇1の左側面図である。図1に示すように、ジェット推進艇1は、ユーザがシート6に跨って乗る騎乗型のジェット推進艇であり、その船体2はハル3と該ハル3の上部を覆うデッキ4とから構成されている。デッキ4の後部は幅方向の中央が上方に突出しており、この突出部5の上面にシート6が設置されている。突出部5の幅方向の両側の部分は、ユーザが足を載せるために低く且つ略平坦にされたデッキフロア7となっている。
【0026】
シート6の下方におけるハル3及びデッキ4により囲まれた内部空間8には、重心位置にエンジンEが搭載されている。エンジンEのクランク軸9は船体2の前後方向に向けて配置されている。クランク軸9の出力端部はカップリング部材10を介してプロペラ軸11に接続されている。ハル3の後部であって左右方向の中央位置にはウォータージェットポンプPが配置されており、そのポンプ軸12にプロペラ軸11が接続されている。即ち、クランク軸9の回転に連動してポンプ軸12が回転する。ポンプ軸12にはインペラ13が取り付けられており、このインペラ13の後方には静翼14が配置されている。インペラ13の外周には該インペラ13を覆うようにして筒状のポンプケーシング15が設けられている。
【0027】
船体2の底部には吸水口16が開口している。この吸水口16とポンプケーシング15との間は吸水通路17により連通されている。ポンプケーシング15にはさらに船体2の後部に設けられたポンプノズル18が接続されている。このポンプノズル18は後方に向けて縮径しており、その後端には噴射口19が開口している。ポンプノズル18の噴射口19には、ステアリングノズル20が左右揺動可能な状態で後方に向けて接続されている。
【0028】
ジェット推進艇1は、エンジンEにより駆動されたウォータージェットポンプPのインペラ13の旋回力で、ハル3の底部の吸水口16から吸入した水を加圧・加速する。この水流が静翼14にて整流され、ポンプノズル18の噴射口19からステアリングノズル20を通して後方へ勢い良く吐出される。即ち、ジェット推進艇1はステアリングノズル20から吐き出された水の反動によってその推進力を得る。ステアリングノズル20の上後方には、ボウル形状の後進用ディフレクタ21が、水平配置された揺動軸22を中心として下方へ揺動可能に設けられている。
【0029】
シート6の前方には操舵用のハンドル23が設けられており、ハンドル23はステアリングケーブル(図示せず)によりステアリングノズル20と接続されている。このハンドル23を左右に傾動操作させるのに連動して、ステアリングノズル20が左右に揺動される。即ち、ウォータージェットポンプPが水を後方に噴射させて推進力を発生させている間にハンドル23を操作することにより、ステアリングノズル20を通して外部へ吐き出される水の方向を左右に変えることができ、ジェット推進艇1の進行方向を変えることができる。
【0030】
また、エンジンEの前方には、エンジンEに供給する燃料を貯留する燃料タンク24が搭載されている。ハンドル23の前方には、走行速度やエンジン回転数や燃料残量を表示するメータユニット26が配設されている。即ち、メータユニット26が燃料残量表示装置を兼用している。さらに、エンジンEの後方には、エンジンEを制御するためのECU25(電子制御ユニット)が搭載されている。
【0031】
図2は図1に示すジェット推進艇1の燃料タンク24の後方から見た断面図である。図2に示すように、燃料タンク24の上壁部24aには、燃料タンク24内で下方に向けて垂設された燃料ポンプ30が取り付けられている。燃料ポンプ30の下端部には吸引口31が設けられており、吸引口31にはメッシュ状のフィルタ32が突出して取り付けられている。即ち、燃料タンク24内の燃料100がフィルタ32を通して吸引口31から燃料ポンプ30により吸い上げられ、燃料噴射装置(図示せず)によりエンジンE(図1)の吸気通路に噴射される。
【0032】
また、燃料タンク24の上壁部24aには、燃料タンク24内で下方に向けて垂設された燃料ゲージ33が取り付けられている。この燃料ゲージ33は、予め定められる測定基準点から燃料液面までの距離を測定するものである。また、燃料ゲージ33は、燃料タンク24の左右方向の中央より若干左側に配置されている。燃料ゲージ33は、垂直軸36と、その垂直軸36に間隔をあけて取り付けられた4つのフロート34A〜Dと、そのフロート34A〜Dに夫々対応するように設けられたフロート動作検出スイッチ35A〜D(フロート動作検出部)とを備えている。垂直軸36には、4つのフロート34A〜Dに対応して4つのスライド溝(図示せず)が間隔をあけて形成されており、各フロート34A〜Dはそれぞれ若干量だけ上下にスライド可能となっている。
【0033】
即ち、フロート34A〜Dが上方にスライドするとフロート動作検出スイッチ35A〜Dに当接してスイッチオン状態となり、フロート34A〜Dが下方にスライドするとフロート動作検出スイッチ35A〜Dから離反してスイッチオフ状態となる構成となっている。このような構成とすることで、例えば図2中において、燃料タンク24内の燃料に浸漬したフロート34A及びBは、浮力で上方にスライドしてフロート動作検出スイッチ35A及びBをスイッチオン状態とする。一方、燃料タンク24内の燃料に浸漬していないフロート34C及びDは、重力で下方にスライドしてフロート動作検出スイッチ35C及びDをスイッチオフ状態とする。よって、4つのフロート動作検出スイッチ35A〜Dの夫々のスイッチ状態によりECU25は燃料の液面高さを5段階(フル、ハイレベル、ミドルレベル、ローレベル、エンプティ)で知ることができ、燃料残量を把握することが可能となる。
【0034】
図3は図1に示すジェット推進艇1の要部を説明するブロック図である。図3に示すように、燃料ゲージ33はECU25に接続されており、ECU25はエンジンEに接続されている。ECU25は、残量算出部40、転倒検知部41(転倒検知装置)、エンジン制御部42(エンジン制御装置)及び転倒回復検知部43(転倒回復検知装置)を有している。残量算出部40は、燃料ゲージ33のフロート動作検出スイッチ35A〜D(図2)の夫々のスイッチ状態に基づいて燃料の液面高さを検出することで燃料残量を算出している。即ち、残量算出部40は、スイッチオン状態となっているフロート動作検出スイッチ35A〜D(図2)が多いほど燃料残量が多いと判断する一方、スイッチオン状態となっているフロート動作検出スイッチ35A〜D(図2)が少ないほど燃料残量が少ないと判断する。そして、残量算出部40で求められた燃料残量情報はメータユニット26に出力され、メータユニット26の燃料残量表示部(図示せず)に表示されることで、ユーザが燃料残量を把握することが可能となる。
【0035】
転倒検知部41は、残量算出部40で算出された燃料残量に基づいて転倒状態を検知する。具体的には、転倒検知部41は、残量算出部40で算出された燃料残量の単位時間当たりの変動量が所定値以上となった場合に、ジェット推進艇1(図1)が左右に転倒したと判断する。この際、前記所定値は、たとえば走行による燃料消費変動量及び燃料供給による燃料増加変動量よりも大きい設定となっている。エンジン制御部42は、転倒検知部41で転倒状態が検知されると、エンジンEを強制的に停止させる。転倒回復検知部43は、残量算出部40で算出された燃料残量に基づいて、転倒状態のジェット推進艇1(図1)がユーザ等により引き起こされて非転倒状態に戻されたこと検知する。
【0036】
また、ECU25には電源44が接続されており、電源44からECU25への給電は電源スイッチ45によりオン/オフされる。電源スイッチ45は、ユーザがハンドル23(図1)付近のキーシリンダ(図示せず)にキー(図示せず)を差し込んで回転させることにより動作する。また、ハンドル23(図1)付近にはスタータスイッチである始動入力部46が設けられており、ユーザによる始動入力部46の操作に応じてエンジン制御部42がエンジンEを始動させる。
【0037】
図4は燃料残量がフル状態である燃料タンク24の転倒時の動きを説明する断面図である。図5は図4に示す転倒時の燃料ゲージ33の出力を表したグラフである。例えば、図4に示すように、ジェット推進艇1が右回り180°転倒すると、燃料タンク24が状態(1)から状態(9)へと右回りに180°回転する。その際、燃料ゲージ33も状態(1)から状態(9)へと右回りに180°回転する。そうすると、転倒中の燃料ゲージ33の出力は図5に示すように遷移する。
【0038】
つまり、図4中の状態(1)から状態(5)にかけて、フロート34A〜Dが浮力によりフロート動作検出スイッチ35A〜Dに当接してスイッチオン状態となるので、燃料ゲージ33はフル状態の出力をすることとなる。そして、図4中の状態(6)から状態(9)にかけてフロート34A〜Dが浮力によりフロート動作検出スイッチ35A〜Dから離反してスイッチオフ状態となるので、燃料ゲージ33の出力はエンプティ状態に変わり、その後エンプティ状態が継続して出力されることとなる。つまり、燃料残量がフル状態でジェット推進艇1が右回りに180°転倒した場合には、燃料ゲージ33の出力は、所定の単位時間(例えば、5秒間)あたりに、フル状態からエンプティ状態へと4段階変動することとなる。
【0039】
図6は燃料残量がミドルレベル状態である燃料タンク24の転倒時の動きを説明する断面図である。図7は図6に示す転倒時の燃料ゲージ33の出力を表したグラフである。例えば、図6に示すように、ジェット推進艇1の転倒により燃料タンク24が状態(1)から状態(9)へと右回りに180°回転すると、転倒中の燃料ゲージ33の出力は図7に示すように遷移する。
【0040】
つまり、図6中の状態(1)(2)は、フロート34A及びBが浮力によりフロート動作検出スイッチ35A及びBに当接してスイッチオン状態となるので、燃料ゲージ33はミドルレベル状態の出力をすることとなる。そして、図6中の状態(3)では、フロート34Bが燃料100から外に出て重力によりフロート動作検出スイッチ35Bから離反してスイッチオフ状態となるので、燃料ゲージ33はローレベル状態の出力をすることとなる。そして、図6中の状態(4)(5)では、全てのフロート34A〜Dが燃料100から外に出て重力によりフロート動作検出スイッチ35A〜Dから離反してスイッチオフ状態となるので、燃料ゲージ33はエンプティ状態の出力をすることとなる。
【0041】
そして、図6中の状態(6)では、フロート34A及びBが重力によりフロート動作検出スイッチ35A及びBに当接してスイッチオン状態となるので、燃料ゲージ33はミドルレベル状態の出力をすることとなる。そして、図6中の状態(7)では、フロート34Dのみが浮力によりフロート動作検出スイッチ35Dから離反してスイッチオフ状態となるので、燃料ゲージ33はハイレベル状態の出力をすることとなる。そして、図6中の状態(8)(9)では、フロート34Cも浮力によりフロート動作検出スイッチ35Cから離反してスイッチオフ状態となるので、燃料ゲージ33はミドルレベル状態の出力をすることとなる。
【0042】
よって、燃料残量がミドルレベル状態でジェット推進艇1が右回りに180°転倒した場合には、燃料ゲージ33の出力は、所定の単位時間(例えば、5秒間)あたりに、ミドルレベル状態からエンプティ状態に変化し、そのエンプティ状態から更にハイレベル状態に変化し、そのハイレベル状態からミドルレベル状態に戻る。つまり、燃料ゲージ33は、エンプティ状態からハイレベル状態への3段階の変動を含む出力を呈することとなる。
【0043】
図8は燃料残量がエンプティ状態である燃料タンク24の転倒時の動きを説明する断面図である。図9は図8に示す転倒時の燃料ゲージ33の出力を表したグラフである。例えば、図8に示すように、ジェット推進艇1が転倒して燃料タンク24が状態(1)から状態(9)へと右回りに180°回転すると、転倒中の燃料ゲージ33の出力は図9に示すように遷移する。
【0044】
つまり、図8中の状態(1)から状態(5)にかけて、全てのフロート34A〜Dが重力によりフロート動作検出スイッチ35A〜Dから離反してスイッチオフ状態となるので、燃料ゲージ33はエンプティ状態の出力をすることとなる。そして、図8中の状態(6)から状態(9)にかけてフロート34A〜Dが浮力によりフロート動作検出スイッチ35A〜Dから離反してスイッチオフ状態となるので、燃料ゲージ33の出力はフル状態に変わり、その後フル状態が継続して出力されることとなる。つまり、燃料残量がエンプティ状態でジェット推進艇1が右回りに180°転倒した場合には、燃料ゲージ33の出力は、所定の単位時間(例えば、5秒間)あたりに、エンプティ状態からフル状態へと4段階変動することとなる。
【0045】
図4〜図9を参照して前述したように、ジェット推進艇1が転倒して燃料タンク24の角度が変化すると、燃料タンク24に対して燃料100の液面の位置が大きく変化し、燃料ゲージ33の出力は通常とは異なり大きく変動することとなる。よって、転倒検知部41は、燃料ゲージ33の出力の単位時間当たりの変動量が所定値以上となった場合、例えば、5段階中の3段階以上の変動が生じた場合に、転倒状態であると判断する。また、変形例として、転倒検知部41は、転倒時の燃料ゲージ33の出力パターン(例えば、図5、図7及び図9等)を予め記憶しておき、燃料ゲージ33の出力が図5、図7及び図9に示すようなパターンで変動した場合に、転倒状態であると判断する構成であってもよい。また、その出力パターンは、燃料残量が時間経過に伴って、どのように増減するかを示す出力傾向であってもよい。
【0046】
より詳しくは、転倒検知部41は、燃料残量状態毎に転倒時に生じる燃料ゲージ33の出力パターンをそれぞれ記憶する。転倒検知部41は、転倒遷移を表す燃料変動が生じた場合、その出力パターン(出力傾向)に対応する燃料残量が、燃料変動直前の燃料残量と一致する場合に転倒と判断してもよい。これによって、検出ミスを低減することができる。
【0047】
次に、ジェット推進艇1の転倒検知手順について図3の構成を参照しながら図10のフローチャートに基づいて説明する。図10は図1に示すジェット推進艇1の転倒検知手順を説明するフローチャートである。まず、ユーザが電源スイッチ45をオンし(ステップS1)、始動入力部46を操作してエンジンEをスタートさせる(ステップS2)。そして、ECU25の転倒検知部41は、エンジンEが稼動している間は継続的に燃料ゲージ33の出力をモニタリングする(ステップS3:燃料液面検出工程)。即ち、転倒検知部41は、燃料ゲージ33の出力に基づいて残量算出部40で求められた燃料残量をモニタリングする。そして、転倒検知部41は、燃料ゲージ33の出力の変動量、即ち、残量算出部40で求められた燃料残量の単位時間あたりの変動量が所定値以上となった場合には、ジェット推進艇1が転倒したと判断する(ステップS4:転倒判定工程)。なお、ステップS4において、変形例として、転倒検知部41は、燃料ゲージ33の出力が所定のパターン(図5、図7及び図9参照)で変動した場合に、ジェット推進艇1が転倒したと判断してもよい。
【0048】
次いで、ステップS4で転倒検知部41により転倒状態が検知された場合には、エンジン制御部42がエンジンEを強制的に停止させる(ステップS5:エンジン停止工程)。次いで、ユーザが電源スイッチ45をリセット(一旦オフしてからオン)すれば(ステップS6)、ユーザが始動入力部46を操作することで、再びエンジンEを始動させることができる(ステップS2)。一方、ユーザが電源スイッチ45をリセットしなくても(ステップS6)、燃料ゲージ33の出力の変動量が再び所定値以上となれば、転倒回復検知部43は転倒したジェット推進艇1が非転倒状態に引き起こされたと判断し(転倒回復検知工程)、電源スイッチ45をリセットせずとも始動入力部46を操作するだけエンジン始動できるようにする(ステップS7:エンジン始動許可工程)。なお、前記した燃料液面検出工程、転倒判定工程、エンジン停止工程、転倒回復検知工程及びエンジン始動許可工程は、ECU25内に保存されたプログラムにより実行される。
【0049】
以上の構成によれば、燃料ゲージ33の出力をモニタリングすることでジェット推進艇1の転倒状態を検知することができ、専用品となる転倒センサを別途設ける必要がなくなる。よって、従来に転倒センサが配置されていたスペースを他部品のために有効活用することが可能となる。さらに、転倒センサのみならず専用ブラケットや専用電線も不要となるので、ジェット推進艇1の部品点数及びコストを低減することが可能となる。また、燃料ゲージ33がフロートタイプであるので、浮力により移動するフロートにより重力方向を認識することができ、燃料タンク24に燃料が満タンに貯留されている場合でも、転倒判断を行うことが可能となる。
【0050】
さらに、メータユニット26の燃料残量表示部に残量を表示させるための燃料ゲージ33が、転倒検知用に兼用されているので、部品の共用化による部品点数及びコストの低減を図ることが可能となる。また、ジェット推進艇1の転倒後にユーザが自力で非転倒状態に戻した場合には、わざわざ電源スイッチ45をリセットしなくても始動入力部46の操作だけでエンジン始動が可能となり、転倒後の運転開始を迅速に行うことができる。
【0051】
なお、変形例として、転倒検知部は、エンジン稼動中又は走行中に燃料変動量が所定値以上となった場合に、転倒状態であると判断する構成であってもよい。これにより、燃料供給による燃料液面変動を転倒条件から除外することができる。また、他の変形例として、転倒検知部は、燃料変動量が所定値以上で、かつ、変動後の燃料残量値が所定時間継続して検出された場合に、転倒状態であると判断する構成であってもよい。これにより、ジェット推進艇1の揺れや加減速等による転倒以外の燃料液面変動を転倒条件から除外することができる。
【0052】
さらに、燃料タンク24のうちで乗り物の左右方向中央部に燃料ゲージ33を配置してもよく、そうすれば波による燃料液面の左右方向の揺れに起因する液面変動を検出してしまうことが抑制され、転倒検出精度を向上することができる。また、燃料タンク24のうちで乗り物の前後方向中央部に燃料ゲージ33を配置してもよく、そうすれば波及び加減速による燃料液面の前後方向揺れに起因する液面変動を検出してしまうことが抑制され、転倒検出精度を向上することができる。したがって、燃料ゲージは、乗り物の略左右方向中央部及び前後方向中央部の少なくとも何れかに配置されるとより好ましい。
【0053】
(第2実施形態)
図11は本発明の第2実施形態に係るジェット推進艇の燃料タンクの図2に相当する断面図である。図11に示すように、燃料タンク124の上壁部124aには、燃料タンク124内で下方に向けて垂設された燃料ポンプ130が取り付けられている。燃料ポンプ130の下端部には吸引口131が設けられており、吸引口131にはメッシュ状のフィルタ132が突出して取り付けられている。また、燃料ポンプ130には、燃料ゲージ133が取り付けられている。燃料ゲージ133は、燃料ポンプ130に一端部が接続された状態でジェット推進艇1(図1)の左右方向に向けて配置された揺動レバー136と、揺動レバー136の他端部に取り付けられたフロート134と、揺動レバー136の角度変化を検出する可変抵抗器であるレバー角度検出部135とを備えている。よって、燃料タンク124が左右に傾斜すると、フロート134が燃料100の液面に追従して揺動レバー136が揺動する。この揺動レバー136の角度変化をレバー角度検出部135が検出することで、フロート134の高さ位置を知ることができ、燃料残量を把握することが可能となる。なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0054】
図12は燃料残量がフル状態である燃料タンク124の転倒時の動きを説明する断面図である。図13は図12に示す転倒時の燃料ゲージ133の出力を表したグラフである。例えば、図12に示すように、ジェット推進艇に転倒により燃料タンク124が状態(1)から状態(9)へと右回りに180°回転すると、転倒中の燃料ゲージ133の出力は図13に示すように遷移する。
【0055】
つまり、図12中の状態(1)から状態(3)にかけて、フロート134が燃料液面の移動に追従して移動し、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135はハイレベル状態を経てミドルレベル状態の出力をすることとなる。そして、図12中の状態(3)から状態(7)にかけて、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135の出力はミドルレベル状態が保たれる。そして、図12中の状態(7)から状態(9)にかけて、フロート134が燃料100の液面の移動に追従して移動し、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135はローレベル状態を経てエンプティ状態の出力をすることとなる。つまり、燃料残量がフル状態でジェット推進艇が右回りに180°転倒した場合には、燃料ゲージ133の出力は、所定の単位時間(例えば、5秒間)あたりに、フル状態からエンプティ状態へと4段階変動することとなる。
【0056】
図14は燃料残量がミドルレベル状態である燃料タンク124の転倒時の動きを説明する断面図である。図15は図14に示す転倒時の燃料ゲージ133の出力を表したグラフである。例えば、図14に示すように、ジェット推進艇の転倒により燃料タンク124が状態(1)から状態(9)へと右回りに180°回転すると、転倒中の燃料ゲージ133の出力は図15に示すように遷移する。
【0057】
つまり、図14中の状態(1)から状態(3)にかけて、フロート134が燃料液面の移動に追従して移動し、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135はローレベル状態を経てエンプティ状態の出力をすることとなる。そして、図14中の状態(3)から状態(7)にかけて、フロート134は燃料100の外に出て重力により相対位置変化しないので、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135の出力はエンプティ状態が保たれる。そして、図14中の状態(7)から状態(8)にかけて、フロート134が重力により降下して燃料100の液面に到達し、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135はハイレベル状態の出力をすることとなる。そして、図14中の状態(8)から状態(9)にかけて、フロート134が燃料100の液面の移動に追従して移動し、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135はミドルレベル状態の出力をすることとなる。
【0058】
よって、燃料残量がミドルレベル状態でジェット推進艇が右回りに180°転倒した場合には、燃料ゲージ133の出力は、所定の単位時間(例えば、5秒間)あたりに、ミドルレベル状態からエンプティ状態に変化し、そのエンプティ状態から更にハイレベル状態に変化し、そのハイレベル状態からミドルレベル状態に戻る。つまり、燃料ゲージ133は、エンプティ状態からハイレベル状態への3段階の変動を含む出力を呈することとなる。
【0059】
図16は燃料残量がエンプティ状態である燃料タンク124の転倒時の動きを説明する断面図である。図17は図16に示す転倒時の燃料ゲージ133の出力を表したグラフである。例えば、図16に示すように、ジェット推進艇が転倒して燃料タンク124が状態(1)から状態(9)へと右回りに180°回転すると、転倒中の燃料ゲージ133の出力は図17に示すように遷移する。
【0060】
つまり、図16中の状態(1)から状態(6)にかけて、フロート134は燃料100の外に出て重力により相対位置変化しないので、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135の出力はエンプティ状態が保たれる。そして、図16中の状態(6)から状態(7)にかけて、フロート134が重力により降下し、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135はフル状態の出力をすることとなる。その後、フロート134の相対位置が重力により保たれて、燃料ゲージ133のレバー角度検出部135はフル状態を継続して出力することとなる。つまり、燃料残量がエンプティ状態である場合にジェット推進艇が右回りに180°転倒した場合には、燃料ゲージ133の出力は、所定の単位時間(例えば、5秒間)あたりに、エンプティ状態からフル状態へと4段階変動することとなる。
【0061】
図12〜図17を参照して前述したように、ジェット推進艇が転倒して燃料タンク124の角度が変化すると、燃料タンク124に対して燃料100の液面の位置が大きく変化し、燃料ゲージ133の出力は通常とは異なり大きく変動することとなる。よって、燃料ゲージ133の出力の単位時間当たりの変動量が所定値以上となった場合、例えば、5段階中の3段階以上の変動が生じた場合に、転倒状態であると判断することができる。なお、変形例として、燃料ゲージ133の出力が、図12、図14及び図16に示すようなパターンで変動した場合に、転倒状態であると判断するようにしてもよい。
【0062】
以上の構成によれば、燃料ゲージ133の出力をモニタリングすることでジェット推進艇1の転倒状態を検知することができ、専用品となる転倒センサを別途設ける必要がなくなる。よって、従来に転倒センサが配置されていたスペースを他部品のために有効活用することが可能となる。また、転倒センサのみならず専用ブラケットや専用電線も不要となるので、ジェット推進艇の部品点数及びコストを低減することが可能となる。さらに、フロート134に接続された揺動レバー136の角度に基づいて燃料残量が検出される構成であっても、揺動レバー136がジェット推進艇の転倒方向となる左右方向に向けて配置されているので、転倒による燃料液面の変化を精度良く検出することが可能となる。
【0063】
なお、前記各実施形態ではジェット推進艇を例に説明したが、本発明に係る乗り物は、ジェット推進艇に限らず不整地走行車や自動二輪車等のような他の車両にも適用することができる。また、前記各実施形態では、乗り物が180°転倒する場合を例示しているが、乗り物が90°転倒する場合に本発明を適用してもよい。また、前記各実施形態では、燃料タンク内の燃料液面の相対位置変化を利用して転倒検知が行われているが、燃料タンク以外の収容ケースに貯留された液体の液面の相対位置変化を検出することにより転倒を検知してもよい。さらに、前記各実施形態では、フロートによる液面検出が行われているが、レーザ等による液面検出のように他の検出手段を用いてもよい。また、本発明に係る転倒検知機能付き乗り物は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその構成を変更、追加、又は削除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係る転倒検知機能付き乗り物は、部品点数及びコストを抑制し、ボディスペースを有効利用して転倒を検知できる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できるジェット推進艇(Personal Water Craft:PWC)や三輪又は四輪の不整地走行車や自動二輪車等に適用すると有益である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態に係るジェット推進艇の左側面図である。
【図2】図1に示すジェット推進艇の燃料タンクの後方から見た断面図である。
【図3】図1に示すジェット推進艇の要部を説明するブロック図である。
【図4】燃料残量がフル状態である燃料タンクの転倒時の動きを説明する断面図である。
【図5】図4に示す転倒時の燃料ゲージの出力を表したグラフである。
【図6】燃料残量がミドルレベル状態である燃料タンクの転倒時の動きを説明する断面図である。
【図7】図6に示す転倒時の燃料ゲージの出力を表したグラフである。
【図8】燃料残量がエンプティ状態である燃料タンクの転倒時の動きを説明する断面図である。
【図9】図8に示す転倒時の燃料ゲージの出力を表したグラフである。
【図10】図1に示すジェット推進艇の転倒検知手順を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係るジェット推進艇の燃料タンクの図2に相当する断面図である。
【図12】燃料残量がフル状態である燃料タンクの転倒時の動きを説明する断面図である。
【図13】図12に示す転倒時の燃料ゲージの出力を表したグラフである。
【図14】燃料残量がミドルレベル状態である燃料タンクの転倒時の動きを説明する断面図である。
【図15】図14に示す転倒時の燃料ゲージの出力を表したグラフである。
【図16】燃料残量がエンプティ状態である燃料タンクの転倒時の動きを説明する断面図である。
【図17】図16に示す転倒時の燃料ゲージの出力を表したグラフである。
【符号の説明】
【0066】
1 ジェット推進艇
24,124 燃料タンク
30,130 燃料ポンプ
33,133 燃料ゲージ
34A〜D,134 フロート
35A〜D フロート動作検出スイッチ(フロート動作検出部)
41 転倒検知部
42 エンジン制御部
43 転倒回復検知部
45 電源スイッチ
46 始動入力部
100 燃料
135 レバー角度検出部(フロート動作検出部)
136 揺動レバー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに供給するための燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンク内の燃料の液面高さを検出する燃料ゲージと、
前記燃料ゲージの出力に基づいて転倒状態を検知する転倒検知装置とを備えていることを特徴とする転倒検知機能付き乗り物。
【請求項2】
前記転倒検知装置は、前記燃料ゲージの出力の単位時間あたりの変動量が所定値以上である場合に、転倒状態であると判断する構成である請求項1に記載の転倒検知機能付き乗り物。
【請求項3】
前記転倒検知装置は、前記燃料ゲージの出力が転倒遷移を表す所定のパターンで変動した場合に、転倒状態であると判断する構成である請求項1又は2に記載の転倒検知機能付き乗り物。
【請求項4】
前記燃料ゲージは、前記燃料タンク内に配置されたフロートと、前記フロートの動き又は位置を検出可能なフロート動作検出部とを有している請求項1乃至3のいずれかに記載の転倒検知機能付き乗り物。
【請求項5】
前記フロート動作検出部は、前記フロートに接続された揺動レバーと、前記揺動レバーの角度を検出するレバー角度検出部とを有しており、
前記揺動レバーは、乗り物の左右方向に向けて配置されている請求項4に記載の転倒検知機能付き乗り物。
【請求項6】
燃料残量を表示する燃料残量表示装置をさらに備え、
前記燃料ゲージは、前記燃料残量表示装置に残量情報として燃料の液面高さを出力する構成である請求項1乃至5のいずれかに記載の転倒検知機能付き乗り物。
【請求項7】
前記転倒検知装置で転倒状態が検知されると前記エンジンを停止させるエンジン制御装置をさらに備えている請求項1乃至6のいずれかに記載の転倒検知機能付き乗り物。
【請求項8】
前記燃料ゲージの出力に基づいて転倒状態から非転倒状態に戻されたことを検知する転倒回復検知装置をさらに備えており、
前記エンジン制御装置は、前記転倒回復検知装置が非転倒状態に戻ったことを検知すると、前記エンジンの始動を許可する状態に移行させる構成である請求項7に記載の転倒検知機能付き乗り物。
【請求項9】
前記エンジン制御装置に電源を供給するための電源スイッチと、前記エンジンを始動させるためにユーザが操作する始動入力部と、前記燃料ゲージの出力に基づいて転倒状態から非転倒状態に戻されたことを検知する転倒回復検知装置をさらに備えており、
前記エンジン制御装置は、前記転倒検知装置で転倒状態が検知されて前記エンジンを停止させた後、前記電源スイッチがリセットされてから前記始動入力部が操作されると、前記エンジンを始動させる設定であり、かつ、
前記エンジン制御装置は、前記転倒回復検知装置が非転倒状態に戻ったことを検知した場合には、前記電源スイッチがリセットされることなく前記始動入力部が操作されても前記エンジンの始動を可能にする構成である請求項7に記載の転倒検知機能付き乗り物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−2269(P2009−2269A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165112(P2007−165112)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】