説明

透明バリア性ナイロンフィルムの製造法

【課題】 プラスチック基材として、ナイロンフィルムを使用するも、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性等に優れ、更に、バリア性膜としての蒸着膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止してバリア性膜として優れた耐性を発揮し、飲食品、医薬品その他等の種々の物品の充填包装適性等に優れた透明バリア性ナイロンフィルムの製造法を提供する。
【解決手段】 2軸延伸ナイロンフィルム基材の一方の面に、後述の第2の薄膜の第1の薄膜への密着性を向上させ、かつ、第2の薄膜を形成するプラズマ処理による2軸延伸ナイロンフィルムの黄変と劣化を防止する耐プラズマ保護層を構成する物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなる第1の薄膜を形成し、次いで、上記の第1の薄膜の上に、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなる第2の薄膜を形成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明バリア性ナイロンフィルムの製造法に関し、更に詳しくは、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止してバリア−性膜として優れた耐性を発揮し、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れた透明バリア性ナイロンフィルムの製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食品、医薬品、化学品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装用材料が開発され、提案されている。
そのような包装用材料においては、包装目的、充填する内容物、包装製品の貯蔵・流通、その他等によって異なるが、包装用材料として、種々の物性が要求されるものである。 而して、それらの物性の一つとし、酸素および水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性があり、このものは、極めて重要な要件の一つとされている。
そのため、従来から、酸素および水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性材料が、種々、開発され、提案されている。
例えば、アルミニウム箔、あるいは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のコ−ティング膜を有するナイロンフィルムあるいはポリエチレンテレフタレ−トフィルム、、ポリビニルアルコ−ルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物フィルム、ポリアクリロニトリル系樹脂フィルム等のガスバリア性材料が、開発され、提案されている。
更に、近年、プラスチック基材の上に、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリア性フィルム、あるいは、アルミニウム等の金属の蒸着膜を設けたバリア性フィルム等も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−164591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のアルミニウム箔においては、使用後の再利用が困難であり、かつ、廃棄後焼却すると、金属箔由来の焼却灰が残り、環境上の問題点がある。
また、上記のポリ塩化ビニリデン系樹脂のコ−ティング膜を有するナイロンフィルムあるいはポリエチレンテレフタレ−トフィルム等においては、使用後に廃棄し、焼却すると、例えば、塩素ガス等の有害なガスが発生し、これもまた、環境上の問題点がある。
更に、上記のポリビニルアルコ−ルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物フィルム、ポリアクリロニトリル系樹脂フィルム等においては、例えば、内容物として、食品を充填し、ボイル処理やレトルト処理等の加熱殺菌時に、充分なバリア性を保持することが困難であり、また、包装製品の保存、流通環境における温度や湿度等に影響を受けるという問題点がある。
上記のような問題点を解決するものとして、上記のように、近年、プラスチック基材の上に、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリア性フィルム、あるいは、アルミニウム等の金属の蒸着膜をを設けた構成からなるバリア性フィルムが提案されているが、これらのものは、使用後に焼却しても残留物が少なく、また、高湿度下でのバリア性の劣化も少なく、種々の包装用材料として多用されているものである。
【0004】
しかしながら、上記のプラスチック基材の上に、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリア性フィルムにおいては、プラスチック基材として、例えば、ナイロンフィルムを使用する場合、該ナイロンフィルムが、親水性に富むアミド基を有するため、外環境の湿度変化、温度変化等により影響を受け易く、例えば、ナイロンフィルムが収縮し、無機酸化物の蒸着膜をナイロンフィルムの上に形成しても、ナイロンフィルムの収縮変化に無機酸化物の蒸着膜が追随して変化することが困難であり、その結果、無機酸化物の蒸着膜に、例えば、クラック等が発生し、そのバリア性能を経時的に劣化していくという問題点がある。
而して、このような問題点を解決するために、例えば、ナイロンフィルムの表面を、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、化学的表面処理等の種々の処理法で前処理する方法が提案されているが、無機酸化物の蒸着膜の密着力が経時的に低下し、蒸着膜が剥離するという問題点がある。
また、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アミン系等の蒸着アンカ−コ−ト剤をコ−ティングして前処理する方法等も提案されているが、アンカ−コ−ト剤の耐熱性が充分でなく、蒸着工程、あるいは、ラミネ−トまたは印刷等の後加工工程等において、熱ダメ−ジを受け、無機酸化物の蒸着膜にクラック等が発生し、バリア性能が著しく低下するという問題点がある。
更に、プラスチック基材の上に、プラズマ化学蒸着法で酸化ケイ素の蒸着膜を形成し、更に、その上に、物理蒸着法で無機酸化物の蒸着膜を形成する方法も提案されている(特開平9−123334号公報参照)。
この方法は、プラスチック基材と第1の無機酸化物の蒸着膜との密着力と耐熱性は向上するが、プラスチック基材として、ナイロンフィルムを使用する場合には、ナイロンフィルムの熱収縮率が3%以上になると、第1の無機酸化物の蒸着膜にクラックが発生し、更にまた、第1の無機酸化物の蒸着膜を形成するプラズマ化学蒸着法、特に、低温プラズマ化学蒸着法では、その蒸着プロセスで高活性なプラズマを発生させるため、プラスチック基材そのものが、化学変化を起こし、特に、ナイロンフィルムの場合には、黄変が著しく、外観的に、無色透明なバリア性フィルムを製造することが極めて困難である。
そこで本発明は、プラスチック基材として、ナイロンフィルムを使用するも、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止してバリア−性膜として優れた耐性を発揮し、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れた透明バリア性ナイロンフィルムの製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、2軸延伸ナイロンフィルム基材の一方の面に、物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜を形成し、これを第1の薄膜とし、該第1の薄膜を、次に形成する第2の薄膜の第1の薄膜への密着性を向上させ、かつ、第2の薄膜を形成するプラズマ処理による2軸延伸ナイロンフィルムの黄変と劣化等を防止する耐プラズマ保護層とし、次いで、上記の第1の薄膜の上に、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜を形成し、これを第2の薄膜とし、少なくとも2種以上の無機酸化物による第1の薄膜と第2の薄膜とを積層して透明バリア性ナイロンフィルムを製造し、更に、該透明バリア性ナイロンフィルムに、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層、あるいは、基材フィルム層等を積層して積層体を製造し、更に、該積層体を使用して製袋または製函して包装用容器を製造し、該包装用容器内に種々の物品を充填包装したところ、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止してバリア−性膜として優れた耐性を発揮し、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れた透明バリア性ナイロンフィルムを製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、2軸延伸ナイロンフィルム基材の一方の面に、後述の第2の薄膜の第1の薄膜への密着性を向上させ、かつ、第2の薄膜を形成するプラズマ処理による2軸延伸ナイロンフィルムの黄変と劣化を防止する耐プラズマ保護層を構成する物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなる第1の薄膜を形成し、次いで、上記の第1の薄膜の上に、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなる第2の薄膜を形成することを特徴とする透明バリア性ナイロンフィルムの製造法に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、2軸延伸ナイロンフィルム基材の一方の面に、物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜を形成し、これを第1の薄膜とし、該第1の薄膜を、次に形成する第2の薄膜の第1の薄膜への密着性を向上させ、かつ、第2の薄膜を形成するプラズマ処理による2軸延伸ナイロンフィルムの黄変と劣化等を防止する耐プラズマ保護層とし、次いで、上記の第1の薄膜の上に、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜を形成し、これを第2の薄膜とし、少なくとも2種以上の無機酸化物による第1の薄膜と第2の薄膜とを積層して透明バリア性ナイロンフィルムを製造し、更に、該透明バリア性ナイロンフィルムに、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層、あるいは、基材フィルム層等を積層して積層体を製造し、更に、該積層体を使用して製袋または製函して包装用容器を製造し、該包装用容器内に種々の物品を充填包装して、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア−性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れた透明バリア性ナイロンフィルムを製造し得ることができるというものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルム、それを使用した積層体および包装用容器の構成についてその二三を例示して図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの層構成を示す断面図であり、図3、図4、および図5は、上記の本発明にかかる透明バリアフィルムを使用して製造した積層体の層構成を示す断面図であり、図6、図7、図8、図9、および図10は、上記の本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す平面図ないし斜視図である。
【0009】
本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルム1は、図1に示すように、2軸延伸ナイロンフィルム2の一方の面に、少なくとも2種以上の無機酸化物による第1の薄膜3と、第2の薄膜4とを積層して設けた構成からなるものである。
更に、具体的には、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルム1aは、図2に示すように、2軸延伸ナイロンフィルム2の一方の面に、第1の薄膜3として、物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜3aを設け、更に、第2の薄膜4として、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜4aを設けた構成からなるものである。
而して、上記の例示は、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの一例を例示したものであり、これに限定されるものではなく、例えば、図示しないが、第1の薄膜、第2の薄膜等は、2軸延伸ナイロンフィルムの一方の面のみならずその両方の面に設けたものでもよいものである。
【0010】
次に、上記の本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用して製造する積層体についてその二三を例示して説明すると、本発明にかかる積層体としては、例えば、図3に示すように、上記の図1に示す透明バリア性ナイロンフィルム1の第2の薄膜4の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層5を積層してなる積層体Aを挙げることができる。
更には、本発明にかかる積層体としては、図4に示すように、上記の図3に示す積層体Aの2軸延伸ナイロンフィルム2の他方の面に、少なくとも、基材フィルム層6を積層してなる積層体Bを挙げることができる。
あるいは、本発明にかかる積層体としては、図5に示すように、上記の図4に示す積層体Bの基材フィルム層6の面に、更に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層5aを積層した積層体Cを挙げることができる。
而して、上記に挙げた例は、本発明にかかる積層体を構成する二三の例示であり、これによって限定されるものではなく、例えば、本発明においては、図示しないが、基材フィルム層、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層等の他に、更に、その使用目的、充填包装する内容物、流通経路、販売形態、用途等によって、他の基材を任意に積層して、種々の形態の積層体を設計して製造することができるものである。
また、本発明において、基材フィルム層、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層、その他の層の積層位置としては、その使用目的、用途等によって、任意に積層することができ、種々の形態の積層体を設計して製造することができるものである。
【0011】
次に、本発明において、上記のような積層体を使用して製袋ないし製函してなる本発明にかかる包装用容器の構成について説明すると、かかる包装用容器としては、例えば、上記の図3に示す積層材Aを使用して製袋ないし製函した包装用容器を例示して説明すると、図6の斜視図に示すように、上記の積層体A、Aを2枚用意し、その最内層に位置するヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層5、5の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部7、7、7を形成して、本発明にかかる三方シ−ル型の軟包装用容器Dを製造することができる。
【0012】
次にまた、本発明にかかる包装用容器としては、図7の平面図に示すように、例えば、上記の図5に示す積層材Cを使用し、まず、それから所定の折罫l(点線で示している)、貼着部8等を有する紙容器形成用のブランク板9を打ち抜き加工して製造し、次に、図8の斜視図に示すように、該ブランク板9の貼着部8を他方の側端部10(図7に示す)と重ね合わせ、その重合部分をヒ−トシ−ルして側端シ−ル部11を形成して胴部12を製造し、更に、該胴部12の下方部分を常法に従って折り込んでヒ−トシ−ルして底部13を形成し、更にまた、その上方部分を常法に従ってヒ−トシ−ルして屋根型シ−ル部14を形成して、本発明にかかる屋根型の紙製包装用容器Eを製造することができる。
【0013】
更にまた、本発明にかかる包装用容器としては、図9の平面図に示すように、例えば、上記の図5に示す積層材Cを使用し、まず、それから貼着部8a等を有し、筒状胴部を形成し得る長方形の紙容器形成用のブランク板9aを打ち抜き加工して製造し、次に、図10の斜視図に示すように、該ブランク板9aの貼着部8aを他方の側端部10a(図9に示す)と重ね合わせ、その重合部分をヒ−トシ−ルして側端シ−ル部11aを形成して筒状胴部12aを製造し、更に、該筒状胴部12aの下方部分に、例えば、円筒状の底板15をヒ−トシ−ルして底シ−ル部16を形成して底部15aを構成し、更にまた、筒状容器12aの上方部分に、例えば、引き剥がし片17で密閉されている飲み口18を有する円筒状の蓋板19をヒ−トシ−ルして上部シ−ル部20を形成して蓋部19aを構成して、本発明にかかる円筒状の紙缶状包装用容器Fを製造することができる。
なお、本発明においては、上記に図示した例示の包装用容器に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、種々の形態の包装用容器を製造することができることは言うまでもないことである。
【0014】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルム、積層体および包装用容器等を構成する材料、その製造法等について説明すると、かかる材料、方法等としては、種々のものを採用することができる。
まず、本発明において、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを構成する材料について説明すると、まず、2軸延伸ナイロンフィルムとしては、第1の薄膜、同じく第2の薄膜を保持し得るナイロンフィルムであればいずれのものでも使用することができ、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、その他の各種のポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
これらの樹脂のフィルムないしシ−トは、二軸方向に延伸されているものが好ましく、また、その厚さとしては、10〜50μm位、好ましくは、10〜25μm位が望ましい。
また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、必要ならば、その表面に、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、その他等の表面活性処理を任意に施すことができる。
また、本発明においては、第1の薄膜との強固を密着強度を達成するために、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アミン系、その他等のアンカ−コ−ト剤を第1の薄膜を形成する蒸着工程で、インライン、あるいは、オフラインで形成することもできる。
更に、本発明においては、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含有するナイロンフィルム等も使用することができる。
【0015】
次にまた、本発明において、透明バリア性ナイロンフィルムを構成する第1の薄膜としては、基本的に無機酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であれば使用可能であり、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化スズ、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム等の無機酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を使用することができる。
本発明において、上記の第1の薄膜としては、具体的には、例えば、上記のような金属酸化物からなる無機酸化物、あるいは、金属等を使用し、必要ならば、酸素ガス等を供給しながら、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(物理蒸着法、Physical Vapor Deposition法、PVD法)によって、無機酸化物の蒸着膜を形成し、これを第1の薄膜として使用することができる。 上記において、蒸着原料の加熱方式としては、例えば、エレクトロンビ−ム(EB)方式、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式等を用いられる。
上記の物理蒸着法について、その一例として、巻き取り式真空蒸着機の例を挙げて更に具体的に説明すると、図11の概略的構成図に示すように、真空蒸着装置111の真空チャンバ−112の中で、巻き出しロ−ル113から繰り出す2軸延伸ナイロンフィルム114は、コ−ティングドラム115を経て蒸着チャンバ−116の中に入り、ここで、るつぼ117で蒸着源として熱せられた金属、あるいは、金属酸化物を蒸発させ、その際に、酸素吹き出し口118より酸素ガス等を噴出させながら、冷却したコ−ティングドラム115の2軸延伸ナイロンフィルム114の上に、マスク119、119を介して無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで蒸着膜を形成した2軸延伸ナイロンフィルム114を真空チャンバ−112内に送り出して巻き取りロ−ル120に巻き取ることによって、第1の薄膜としての物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜を製造することができる。
【0016】
本発明において、2軸延伸ナイロンフィルムの上に、プラズマ化学蒸着法により無機酸化物の蒸着膜を形成する場合には、プラズマ処理により2軸延伸ナイロンフィルムの表面が影響を受け、黄変、更には、劣化等を起こし、而して、この黄変、劣化等を改善することは、極めて困難なことであり、このため、2軸延伸ナイロンフィルムの上に、予め、第1の薄膜としての物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜を形成し、これをプラズマ化学蒸着法によるプラズマ処理に対する耐プラズマ保護層とするものである。
更に、本発明においては、第1の薄膜としての物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜は、第2の薄膜の第1の薄膜への密着性を改善するものである。
すなわち、第1の薄膜を無機酸化物の蒸着膜で構成することにより、第2の薄膜としてのプラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜との親和性を向上させ、その密着強度を上げるものである。
本発明において、上記の密着強度を更に向上させるために、第1の薄膜としての無機酸化物の蒸着膜を有する2軸延伸ナイロンフィルムを、大気中に長時間保持することにより、あるいは、インラインまたはオフラインで酸素プラズマ処理により、第1の薄膜としての無機酸化物の蒸着膜面に、水酸基を導入することも可能である。
例えば、第1の薄膜としての無機酸化物の蒸着膜が、酸化アルミニウムの蒸着膜である場合、アルミニウムに直結した酸素(酸化アルミニウム)と水酸基(水酸化アルミニウム)の比率を重量比で40:60〜70:30位にすることが好ましいものである。
而して、本発明において、上記の耐プラズマ保護層、更には、第2の薄膜の密着性を向上させるものとしての第1の薄膜は、透明性に優れ、非結晶性の無機酸化物の蒸着膜が好ましく、具体的には、酸化アルミニウムまたは、酸化マグネシウムの蒸着膜が好ましいものである。
また、本発明において、第1の薄膜の膜厚としては、100〜300Å位、より好ましくは、150〜250Å位が望ましく、而して、上記において、300Å、更には、250Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、150Å、更には、100Å未満であると、その効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
【0017】
次にまた、本発明において、透明バリア性ナイロンフィルムを構成する第2の薄膜としては、基本的に無機酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であれば使用可能であり、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化スズ、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム等の無機酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を使用することができる。
本発明において、上記の第2の薄膜としては、具体的には、例えば、上記のような金属酸化物からなる無機酸化物、あるいは、金属、有機珪素化合物等を原料として使用し、必要ならば、酸素ガス等を供給しながら、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(プラズマ化学蒸着法、Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等によって、無機酸化物の蒸着膜を形成し、これを第2の薄膜として使用することができる。
本発明において、上記のような第2の薄膜の膜厚としては、50〜300Å位、より好ましくは、100〜250Å位が望ましく、而して、上記において、300Å、更には、250Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
【0018】
ところで、本発明において、上記の第2の薄膜としては、酸化ケイ素、SiOX (Xは、0〜2の数を表す)を主体とする連続層を使用することが望ましく、更に、透明性、バリア性等の点から、SiOX (Xは、1.7〜2.0の数を表す)を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
更に、上記の第2の薄膜としての酸化ケイ素を主体とする薄膜は、少なくとも珪素と酸素とを構成元素として有する珪素化合物からなり、更に、微量構成元素として、炭素または水素の一種以上の元素を含み、また、その膜厚が、100〜300Åの範囲内であることが好ましいものである。
而して、本発明において、上記のような第2の薄膜としての酸化ケイ素の薄膜としては、有機珪素化合物を原料とし、低温プラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学気相成長法を用いて形成した蒸着膜を使用することができる。
上記において、有機珪素化合物としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0019】
上記のプラズマ化学蒸着法について、その一例を挙げて更に具体的に説明すると、図12の概略的構成図に示すように、プラズマ化学蒸着装置211の真空チャンバ−212内に配置された巻き出しロ−ル213から繰り出す第1の薄膜を形成てた2軸延伸ナイロンフィルム214は、補助ロ−ル215を介して、一定の速度で搬送されるとともに、冷却・電極ドラム216周面上において、原料揮発供給装置217、218、219から供給される有機珪素化合物、酸素ガス、不活性ガス等からなる混合ガスを原料供給ノズル220を通して導入し、グロ−放電プラズマ221によって、酸化ケイ素の蒸着膜を、上記の2軸延伸ナイロンフィルム214の第1の薄膜上に形成し製膜化し、而して、冷却・電極ドラム216は、真空チャンバ−212外に配置されている電源222から所定の電圧が印加されており、また、冷却・電極ドラム216の近傍には、マグネット223を配置してプラズマの発生を促進し、次に、上記で酸化ケイ素の蒸着膜を形成した2軸延伸ナイロンフィルム214は、補助ロ−ル215を介して、巻き取りロ−ル224に巻き取って、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを製造することができる。
なお、図中、225は、真空ポンプを表す。
【0020】
本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムは、上記のように、2軸延伸ナイロンフィルム基材の一方の面に、少なくとも2種以上の無機酸化物による第1の薄膜と第2の薄膜とを積層し、而して、該第1の薄膜を、物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜で構成し、第2の薄膜を、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜で構成することにより、透明性と基材との密着性に優れたハイバリア性を有するナイロンフィルムを製造可能とするものである。
すなわち、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムは、第1の薄膜としての物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜が、非結晶性であることから、基材としてのナイロンフィルムの熱収縮や吸水等による変化に対してもクラック等が発生せず、バリア層としての第2の薄膜としてのプラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜の保護機能を果たし、これにより、第2の薄膜としてのプラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜が有するバリア性等の機能を損なうことなく、これにより、透明性に優れ、更に、極めてハイバリア性を有する透明バリア性ナイロンフィルムを製造することができるものである。ちなみに、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムは、酸素透過度が、2cc/m2 /day(23℃/90%RH)以下である。
【0021】
次に、本発明において、積層体の最内層、あるいは最外層を形成するヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μmないし300μm位が好ましくは、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0022】
次にまた、本発明において、積層体を形成する基材フィルム層を構成する基材フィルムとしては、例えば、包装用容器を構成する場合、基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−ト、その他等を使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、5μmないし100μm位、好ましくは、10μmないし50μm位が望ましい。
なお、本発明においては、上記のような基材フィルムには、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷等が施されていてもよい。
【0023】
次にまた、本発明において、上記の基材フィルム層を構成する基材フィルムとしては、例えば、紙層を構成する各種の紙基材を使用することができ、具体的には、本発明において、紙基材としては、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
勿論、本発明においては、紙層を構成する紙基材と、上記に挙げた基材フィルムとしての各種の樹脂のフィルムないしシ−ト等を併用して使用することができる。
【0024】
次に、本発明において、本発明にかかる積層体を構成する材料として、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0025】
なお、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0026】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層体を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0027】
次に、本発明において、上記のような積層体を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層体を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層体を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0028】
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0029】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア−性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているものである。
次に、本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
【実施例1】
【0030】
(1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、これをエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式のPVD真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で酸化アルミニウムの蒸着膜からなる保護層を上記のナイロンフィルムのコロナ処理面に形成した。
蒸着原料:アルミニウム
真空チャンバ−内の真空度:2.5×10-3mbar
酸素導入前の蒸着チャンバ−内の真空度:2.2×10-4mbar
酸素導入後の蒸着チャンバ−内の真空度:3.1×10-4mbar
フィルムの搬送速度:580m/分
EBpowere:0.8A
蒸着面:コロナ処理面
酸素プラズマ処理:有り(酸素導入量=150mL/min)
蒸着膜の厚さ:190Å(蛍光X線分析法)
(2).上記で製造した酸化アルミニウムの蒸着膜を有する2軸延伸ナイロンフィルムを高周波プラズマ方式CVD蒸着装置の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で酸化ケイ素の蒸着膜からなるバリア層を、2軸延伸ナイロンフィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜の上に形成して、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを製造した。
反応ガス混合比:1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:8
真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:3.8×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
フィルムの搬送速度:120m/分
蒸着膜の厚さ:140Å(蛍光X線分析法)
(3).上記で製造した本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの酸化ケイ素の蒸着膜の面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−ト法で積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層体を製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いて、その接着剤量は、4.5g/m2 (固形分量)であった。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化アルミニウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【実施例2】
【0031】
(1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、これをエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式のPVD真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で酸化マグネシウムの蒸着膜からなる保護層を上記のナイロンフィルムのコロナ処理面に形成した。
蒸着原料:マグネシウム
真空チャンバ−内の真空度:3.0×10-3mbar
酸素導入前の蒸着チャンバ−内の真空度:2.5×10-4mbar
酸素導入後の蒸着チャンバ−内の真空度:3.0×10-4mbar
フィルムの搬送速度:500m/分
EBpowere:0.6A
蒸着面:コロナ処理面
酸素プラズマ処理:有り(酸素導入量=450mL/min)
蒸着膜の厚さ:220Å(蛍光X線分析法)
(2).上記で製造した酸化マグネシウムの蒸着膜を有する2軸延伸ナイロンフィルムを高周波プラズマ方式CVD蒸着装置の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で酸化ケイ素の蒸着膜からなるバリア層を、2軸延伸ナイロンフィルムの酸化マグネシウムの蒸着膜の上に形成して、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを製造した。
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:8
真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:4.0×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
フィルムの搬送速度:140m/分
蒸着膜の厚さ:100Å(蛍光X線分析法)
(3).上記で製造した本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの酸化ケイ素の蒸着膜の面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−ト法で積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層体を製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いて、その接着剤量は、4.5g/m2 (固形分量)であった。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化マグネシウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【実施例3】
【0032】
(1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、このナイロンフィルムのコロナ処理面に、2液硬化型の蒸着アンカ−コ−ト剤(主剤:硝化綿/ポリエステルポリオ−ル系、硬化剤:イソシアネ−ト系)を0.3g/m2 (ドライ)のコ−ト量でグラビアコ−ト法によりコ−ティングし、次いで、上記の蒸着アンカ−コ−ト剤をコ−ティングした2軸延伸ナイロンフィルムをエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式のPVD真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で酸化アルミニウムの蒸着膜からなる保護層を上記のナイロンフィルムの蒸着アンカ−コ−ト剤面に形成した。
蒸着原料:アルミニウム
真空チャンバ−内の真空度:2.5×10-3mbar
酸素導入前の蒸着チャンバ−内の真空度:2.2×10-4mbar
酸素導入後の蒸着チャンバ−内の真空度:3.1×10-4mbar
フィルムの搬送速度:550m/分
EBpowere:0.8A
蒸着面:アンカ−コ−ト処理面
酸素プラズマ処理:なし
蒸着膜の厚さ:210Å(蛍光X線分析法)
(2).上記で製造した酸化アルミニウムの蒸着膜を有する2軸延伸ナイロンフィルムを40℃/90%RHの恒温恒湿条件下に2日間保持した後、高周波プラズマ方式CVD蒸着装置の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で酸化ケイ素の蒸着膜からなるバリア層を、2軸延伸ナイロンフィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜の上に形成して、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを製造した。
反応ガス混合比:1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:6
真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:3.8×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
フィルムの搬送速度:105m/分
蒸着膜の厚さ:160Å(蛍光X線分析法)
(3).上記で製造した本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの酸化ケイ素の蒸着膜の面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−ト法で積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層体を製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いて、その接着剤量は、4.5g/m2 (固形分量)であった。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化アルミニウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【実施例4】
【0033】
上記の実施例1において、酸化アルミニウムの蒸着速度を430m/分とし、その膜厚を250Åとした他は、上記の実施例1と全く同じ条件で同様にして、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを製造した。
次に、上記で製造した本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの酸化ケイ素の蒸着膜の面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を、コ−ト量を0.2g/m2 (固形分量)としてコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次いで、該アンカ−コ−ト剤層面に、厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPE)を、溶融押し出しした厚さ15μmの低密度ポリエチレン層で押し出しラミネ−ト法で積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層体を製造した。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化アルミニウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/アンカ−コ−ト剤層/厚さ15μmの低密度ポリエチレン層/厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム
【実施例5】
【0034】
上記の実施例2において、酸化マグネシウムの蒸着速度を580m/分とし、その膜厚を190Åとした他は、上記の実施例2と全く同じ条件で同様にして、酸化マグネシウムの蒸着膜を形成し、次いで、該酸化マグネシウムの蒸着膜面に、上記の実施例1と全く同じ条件で同様にして、酸化ケイ素の蒸着膜を形成して、本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを製造した。
次に、上記で製造した本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの酸化ケイ素の蒸着膜の面に、2液硬化型のウレタン系接着剤を、コ−ト量を5.0g/m2 (固形分量)としてコ−ティングして接着剤層を形成し、次いで、該接着剤層面に、厚さ40μmのエチレン−α−オレフィン共重合体フィルム(メタロセンポリエチレン、MPE)を、溶融押し出しした厚さ20μmの低密度ポリエチレン層で押し出しラミネ−ト法で積層して、下記の層構成からなる本発明にかかる積層体を製造した。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化マグネシウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ20μmの低密度ポリエチレン層/厚さ40μmのエチレン−α−オレフィン共重合体フィルム
【0035】
(比較例1)
基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、そのコロナ処理面に、上記の実施例1の(2)に記載したプラズマ化学蒸着法を利用して同じ条件で同様にして、酸化ケイ素の蒸着膜を形成して、透明バリア性ナイロンフィルムを製造した。
次に、上記で製造した透明バリア性ナイロンフィルムの酸化ケイ素の蒸着膜の面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−ト法で積層して、下記の層構成からなる積層体を製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いて、その接着剤量は、4.5g/m2 (固形分量)であった。厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0036】
(比較例2)
上記の比較例1で製造した透明バリア性ナイロンフィルムの酸化ケイ素の蒸着膜の面に、上記の実施例1の(1)に記載した物理蒸着法を利用して同じ条件で同様にして、酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して、透明バリア性ナイロンフィルムを製造した。
次に、上記で製造した透明バリア性ナイロンフィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜の面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−ト法で積層して、下記の層構成からなる積層体を製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いて、その接着剤量は、4.5g/m2 (固形分量)であった。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化ケイ素の蒸着膜/酸化アルミニウムの蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0037】
(比較例3)
上記の比較例2において、透明バリア性ナイロンフィルムの酸化ケイ素の蒸着膜の面に、酸化アルミニウムの蒸着膜を形成する代わりに、上記の実施例1の(1)に記載した物理蒸着法を利用して同じ条件で同様にして、酸化マグネシウムの蒸着膜を形成して、透明バリア性ナイロンフィルムを製造した。
次に、上記で製造した透明バリア性ナイロンフィルムの酸化マグネシウムの蒸着膜の面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネ−ト法で積層して、下記の層構成からなる積層体を製造した。
上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いて、その接着剤量は、4.5g/m2 (固形分量)であった。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化ケイ素の蒸着膜/酸化マグネシウムの蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0038】
(比較例4)
上記の実施例1において、酸化アルミニウムの蒸着膜の膜厚を350Åとした他は、上記の実施例1と同様にして、下記の層構成からなる積層体を製造した。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化アルミニウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0039】
(比較例5)
上記の実施例1において、酸化アルミニウムの蒸着膜の上に形成する酸化ケイ素の蒸着膜の膜厚を320Åとした他は、上記の実施例1と同様にして、下記の層構成からなる積層体を製造した。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化アルミニウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0040】
(実験例1)
上記の実施例1〜5、および、比較例1〜5で製造した各透明バリア性ナイロンフィルムについて、下記のデ−タを測定した。
(1).プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜中の構成元素比の測定
これは、米国、VGサイエンティフィック社製の測定機〔機種名、エスカ(ESCA)〕にて測定した。
(2).第1の薄膜、および、第2の薄膜の膜厚測定
これは、蛍光X線分析法で測定した。
(3).酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(4).色の測定
これは、目視により着色観察した。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
【0041】
(表1)
┌────┬───────────────────────────────┐ │ │ 第1の薄膜 │ │ ├────┬───────┬──────────────────┤ │ │ 材料 │ 厚さ(Å) │ 酸素透過度(cc/m2 ・day) │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │実施例1│Al0X │ 190 │ 25 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │実施例2│Mg0X │ 220 │ 22 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │実施例3│Al0X │ 210 │ 18 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │実施例4│Al0X │ 250 │ 19 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │実施例5│Mg0 │ 190 │ 30 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │比較例1│─── │ ─── │ 49 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │比較例2│Si0X │ 140 │ 12 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │比較例3│Si0X │ 140 │ 5.1 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │比較例4│Al0X │ 350 │ 20 │ ├────┼────┼───────┼──────────────────┤ │比較例5│Al0X │ 190 │ 25 │ └────┴────┴───────┴──────────────────┘
┌────┬────────────┬────────────┬─────┐ │ │ 第2の薄膜 │ 酸素透過度 │ 透明性 │ │ ├────┬───────┤(cc/m2 ・day) │(目視) │ │ │ 材料 │ 厚さ(Å) │ │ │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │実施例1│Si0X │ 140 │ 2.2 │ 良好 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │実施例2│Si0X │ 100 │ 2.0 │ 良好 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │実施例3│Si0X │ 160 │ 1.2 │ 良好 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │実施例4│Si0X │ 160 │ 1.1 │ 良好 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │実施例5│Si0X │ 190 │ 1.3 │ 良好 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │比較例1│Si0X │ 140 │ 5.5 │ 黄変 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │比較例2│Al0X │ 190 │ 8.9 │ 黄変 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │比較例3│Mg0X │ 220 │ 9.5 │ 黄変 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │比較例4│Si0X │ 140 │ 10.2 │ 良好 │ ├────┼────┼───────┼────────────┼─────┤ │比較例5│Si0X │ 320 │ 7.6 │ 良好 │ └────┴────┴───────┴────────────┴─────┘ 上記において、酸素透過度は、第1の薄膜を形成した後、および、第2の薄膜を形成した後のそれぞれにおいて測定した。
【0042】
上記の結果より明らかなように、実施例1〜5のものは、いずれも良好であった。
なお、黄変の抑制効果は、第1の薄膜を物理蒸着法により形成した場合のみにおいて確認することができた。
また、第1の薄膜をプラズマ化学蒸着法により形成する場合には、最終的にバリア性は、向上しないことを確認した。
更に、第1の薄膜、および、第2の薄膜ともに、蒸着膜の膜厚が厚い場合には、最終的にバリア性が、向上しないことを確認した。
これは、第1の薄膜と第2の薄膜とを不連続で形成するために、蒸着膜の膜厚が厚いと、蒸着過程において機械的クラックが発生することによるものと推定される。
【0043】
(実験例2)
次に、上記の実施例1〜5、および、比較例1〜5で製造した透明バリア性ナイロンフィルムを使用し、これから製造した積層体について、まず、15cm×15cmサイズの平パウチを作成し、次いで、その開口部から蒸留水50mlを充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして包装製品を製造した。
次いで、上記で製造した包装製品を、沸騰水中に10分間保持した後、水を取り出して、酸素透過度を測定した。
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
その結果を下記の表2に示す。
【0044】
(表2)
┌────┬─────────────────┐ │ │酸素透過度(cc/m2 ・day) │ │ ├────────┬────────┤ │ │ ボイル前 │ ボイル後 │ ├────┼────────┼────────┤ │実施例1│ 3.2 │ 4.3 │ ├────┼────────┼────────┤ │実施例2│ 3.3 │ 4.5 │ ├────┼────────┼────────┤ │実施例3│ 2.5 │ 3.3 │ ├────┼────────┼────────┤ │実施例4│ 2.5 │ 3.0 │ ├────┼────────┼────────┤ │実施例5│ 2.6 │ 3.2 │ ├────┼────────┼────────┤ │比較例1│ 6.8 │ 30.2 │ ├────┼────────┼────────┤ │比較例2│ 10.6 │ 35.6 │ ├────┼────────┼────────┤ │比較例3│ 11.2 │ 30.5 │ ├────┼────────┼────────┤ │比較例4│ 13.5 │ 19.5 │ ├────┼────────┼────────┤ │比較例5│ 9.5 │ 20.3 │ └────┴────────┴────────┘
【0045】
上記の結果より明らかなように、上記の実施例1〜5のものは、ボイル処理後においても酸素バリア性の低下は、認められず、いずれも、5cc/m2 以下であった。
これに対し、比較例1〜5のものは、いずれもボイル処理により酸素バリア性は、著しく低下した。
これは、ボイル処理により、基材と無機酸化物の蒸着膜との密着性が悪くなり、その結果、酸素バリア性が劣化するものと推定される。
【実施例6】
【0046】
上記の実施例1で製造した積層体を使用し、製袋機により製袋して三方シ−ル型のプラスチック袋を製造した。
次に、上記で製造したプラスチック製袋にハム、ソ−セ−ジを充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして充填包装製品を製造したところ、高度なバリア性を有し、そのバリア性の劣化も認められず、極めて良好な結果を得た。
【実施例7】
【0047】
上記の実施例1で製造した積層体の二軸延伸ナイロンフィルム面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ100μmに押し出しラミネ−トして、下記の層構成からなる積層材を製造した。
厚さ100μmの低密度ポリエチレン層/厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化アルミニウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
上記で製造した積層材を使用し、まず、該積層材を丸めてその重合縁部を熱溶着してチュ−ブ形成用の筒状胴部を製造し、次に、該筒状胴部の一方の端部に、ポリプロピレン樹脂を使用してインジェクション成形により首部を成形し、更に、該首部にキャップを螺合させてチュ−ブ容器を製造した。
次いで、上記のチュ−ブ容器の他方の開口部から、内容物を充填し、しかる後開口部をヒ−トシ−ルしてチュ−ブ状包装製品を製造した。
上記の製品は、高度のバリア性を有し、内容物の充填包装適性を有していた。
【実施例8】
【0048】
上記の実施例2で製造した積層体の二軸延伸ナイロンフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、厚さ30μmで押し出しながら、坪量200g/m2 の紙を、押し出しサンドラミネ−トし、更に、該紙の面に、高圧法低密度ポリエチレンを厚さ30μmに押し出しラミネ−トして、下記の構成からなる積層材を製造した。
厚さ30μmの低密度ポリエチレン層/坪量200g/m2 の紙層/厚さ30μmの低密度ポリエチレン層/厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム/酸化マグネシウムの蒸着膜/酸化ケイ素の蒸着膜/接着剤層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
上記で製造した積層材を使用し、まず、該積層材から紙容器形成用のブランク板を製造し、これを使用してその重合縁部を熱溶着して紙容器形成用の角形胴部を製造し、次に、該角形胴部の一方の底部を折り込みしシ−ルして底部を形成して紙容器を製造した。
次いで、上記の紙容器の上方の開口部から、内容物を充填し、しかる後開口部を屋根型にヒ−トシ−ルして屋根型の上方シ−ル部を形成して包装製品を製造した。
上記の製品は、高度のバリア性を有し、内容物の充填包装適性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上の説明で明らかなように、本発明の製造法により得られる透明バリア性ナイロンフィルムは、例えば、これに、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層、あるいは、基材フィルム層等を積層して積層体を製造し、更に、該積層体を使用して製袋または製函して包装用容器を製造し、該包装用容器内に種々の物品を充填包装して、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア−性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品を充填包装した包装製品を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの層構成を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムの層構成を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用して製造した積層体の層構成を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用して製造した積層体の層構成を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用して製造した積層体の層構成を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す平面図である。
【図8】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す平面図である。
【図10】本発明にかかる透明バリア性ナイロンフィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図11】巻き取り式真空蒸着機の概略の構成を示す構成図である。
【図12】プラズマ化学蒸着装置の概略の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1 透明バリア性ナイロンフィルム
1a 透明バリア性ナイロンフィルム
2 2軸延伸ナイロンフィルム
3 第1の薄膜
3a 無機酸化物の蒸着膜
4 第2の薄膜
4a 無機酸化物の蒸着膜
5 ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層
5a ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層
6 基材フィルム層
7 シ−ル部
8 貼着部
9 紙容器形成用のブランク板
10 側端部
11 側端シ−ル部
12 胴部
13 底部
14 屋根型シ−ル部
8a 貼着部
9a 紙容器形成用のブランク板
10a 側端部
11a 側端シ−ル部
12a 筒状胴部
15 円筒状の底板
15a 底部
16 底シ−ル部
17 引き剥がし片
18 飲み口
19 円筒状の蓋板
19a 蓋部
20 上部シ−ル部
A 積層体
B 積層体
C 積層体
D 三方シ−ル型の軟包装用容器
E 屋根型の紙製包装用容器
F 円筒状の紙缶状包装用容器
l 折罫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2軸延伸ナイロンフィルム基材の一方の面に、後述の第2の薄膜の第1の薄膜への密着性を向上させ、かつ、第2の薄膜を形成するプラズマ処理による2軸延伸ナイロンフィルムの黄変と劣化を防止する耐プラズマ保護層を構成する物理蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなる第1の薄膜を形成し、次いで、上記の第1の薄膜の上に、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなる第2の薄膜を形成することを特徴とする透明バリア性ナイロンフィルムの製造法。
【請求項2】
物理蒸着法により、非結晶性の酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムの薄膜からなる第1の薄膜を形成することを特徴とする上記の請求項1に記載する透明バリア性ナイロンフィルムの製造法。
【請求項3】
第1の薄膜のプラズマ処理面の上に、プラズマ化学蒸着法により、少なくとも珪素と酸素とを構成元素として有する珪素化合物からなり、更に、微量構成元素として、炭素または水素の一種以上の元素を含む酸化珪素の薄膜からなる第2の薄膜を形成することを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載する透明バリア性ナイロンフィルムの製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−303000(P2007−303000A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175725(P2007−175725)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【分割の表示】特願平9−289288の分割
【原出願日】平成9年10月7日(1997.10.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】