説明

透明複合体組成物

【課題】透明性及び耐熱性に優れており、低い熱膨張係数を有する非加水透明複合体組成物であり、ガラスフィラーが非加水反応により生成された透明シロキサン(siloxane)樹脂架橋体に分散されている形態で構成される透明複合体組成物を提供する。
【解決手段】非加水透明シロキサン樹脂は、Si−O(siloxane)結合を有する樹脂及びSi−O(siloxane)結合を含み、少なくとも2種以上の異種間金属(heterometal)結合を有する樹脂、そしてこれらの樹脂に他の成分が含まれた樹脂であって、非加水反応により生成された透明シロキサン樹脂とガラスフィラーとが複合体を形成する場合、高い透明性と耐熱性、そして低い熱膨張係数を有することにより、TFT素子及びディスプレイ、光素子の基板用途などに使用可能な理想的な透明複合体組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性、耐熱性に優れており、低い熱膨張係数を有する非加水透明複合体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示素子(LCD)や有機EL表示素子用のTFT(thin film transistor)素子基板、カラーフィルター(color filter)基板、タッチスクリーンパネル(touch screen panel)用基板及び太陽電池用基板などとしては板ガラスが使用される。しかし、板ガラスは、撓み性がなくて割れやすく、重いため、素子の軽量化に不適であるという短所により、最近は、ガラス基板を代替するための素材として、光学用高分子(polymer)あるいは多様な複合樹脂素材を含むプラスチック(plastic)基板に対する検討が加速化されている。
【0003】
上述のプラスチック(plastic)基板に使用される高分子としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)などがある。しかし、これらの従来のプラスチック素材は、熱膨張係数が大きいということが非常に大きい短所として指摘されている。ガラス(glass)の熱膨張係数は、一般に数ppm/℃程度であるのに対し、プラスチック(plastic)の熱膨張係数は、小さいものでも数十ppm/℃であって、相対的に大きい。このような短所は、TFTなどのような素子の製造工程時、寸法安定性を低下させる問題を起こす虞がある。それだけではなく、プラスチック素材の特性上、ガラス転移温度(glass transition)前後に発生する熱膨張係数の急激な変化により、素子製造工程において、撓みや配線の断線などの問題が生じる。このような問題は、プラスチック(plastic)基板の使用臨界温度を制限し、素子製造工程の温度を低めなければならないという付加的な問題をもたらしたりもする。
【0004】
比較的低い熱膨張係数を有して、高いガラス転移温度(glass transition temperature)を有するポリイミド(PI)基板の場合、光透過率が30〜60%で、透明性が非常に低く、高い複屈折を有することにより、ガラスを代替するための基板素材として適していない。
【0005】
最近は、これらのプラスチック(plastic)素材の短所を補完する目的で、複合樹脂に対する検討がなされている。このような複合樹脂組成物としては、例えば、日本特開平6−337408号には、脂環式エポキシ(epoxy)樹脂と酸無水物系硬化剤及び硬化触媒からなる組成物、日本特開2001−59015号には、脂環式エポキシ(epoxy)樹脂とカーボン酸(carboxylic acid)を有する酸無水物系硬化剤及び硬化触媒からなる組成物、日本特開昭54−24993号公報には、スチレン(styrene)−メタクリレート(methacrylate)共重合体からなる組成物、日本特公平-6−94523号公報には、アクリル(acryl)樹脂とスチレン(styrene)−アクリロニトリル(acrylonitrile)共重合体からなる組成物、日本特開平5−140376号には、N−置換マレイミド(Male imide)−オレフィン(olefin)系共重合体からなる組成物などが開示されている。しかしながら、これらの従来の複合樹脂を利用した基板は、黄変(yellowness)の問題により透明性が低下する問題があって、ガラスフィラー(glass filler)との屈折率を合わせることが容易ではない短所がある。それだけではなく、高い寸法安定性を維持するには、依然として熱膨張係数が大きいため、寸法安定性が低下して、耐熱性が不十分であるという短所がある。したがって、ガラス(glass)を代替するための基板素材は、低い熱膨張係数を有すると同時に、透明性と耐熱性に優れている必要があり、さらに好ましくは、素子製作工程の温度範囲内でガラス転移(glass transition)挙動を示さない素材であればよい。
【0006】
最近は、上述の従来のプラスチック素材及び複合樹脂とは別に、シロキサン(siloxane)系を含む有機樹脂がディスプレイ及び光素子用素材として検討されている。例えば、日本公開公報2005− 285778、2005−285779、2005−285780には、シリコン樹脂とガラスクロス(glass cross)からなる組成物が開示されており、日本公開公報2004−109768には、金属アルコキシド(metal alkoxide)間の加水縮合生成物を含む樹脂組成物が開示されているが、機械的物性と透明度及び柔軟性を同時に満足する基板を提供するまでには至っていない。
【0007】
また、原因が正確に明かされてはいないが、シリコン樹脂の縮合反応段階で水と溶媒を使用する加水縮合反応をする場合は、樹脂の架橋後に残存する微量の水により、変わりなく樹脂の安定性が低く、溶媒使用による収縮が発生する短所を依然として有している。
【0008】
このような短所が補完できる素材としては、例えば、大韓民国公開番号10−0614976、大韓民国公開番号10−0569220には、縮合段階で水が添加されない非加水縮合反応を利用して、外部に官能性有機基が存在する無機/有機混成オリゴマーなどからなる組成物などが開示されているが、このような組成物を単独利用して製造されるナノ混成高分子は、柔軟性、透光性、耐摩耗性、耐熱性及び絶縁性を有するが、熱膨張係数が依然として大きくて、また機械的剛性を満足するには依然として限界を有しており、既存の板ガラスを代替する基板素材組成物に適しているとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の従来の技術が有する問題を解決するためのもので、低い熱膨張係数を有して、ガラス転移(glass transition)挙動がなくて、透明性及び耐熱性に優れた透明複合体を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記の透明複合体を利用した上記の特性をそのまま有している液晶表示素子(LCD)、有機EL表示素子、カラーフィルター(color filter)、タッチスクリーンパネル(touch screen panel)、太陽電池、透明板、光学レンズ及び光導波路などを含むTFT素子及びディスプレイ、光素子の基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、金属アルコキシド(metal alkoxide)と有機アルコキシシランorgano alkoxysilane)及び有機シランジオール(organo silanediol)の少なくとも二つ以上の混合物の非加水縮合反応により生成される架橋可能な官能基を有する透明シロキサン(siloxane)樹脂とガラスフィラー(glass filler)とを含む透明複合体組成物を提供する。
【0012】
本発明において、非加水縮合反応により製造する架橋可能な官能基を有する透明ポリシロキサン樹脂とは、そのポリシロキサン樹脂を製造する時、どんな形でも水を使用せずに製造する場合を意味し、本発明は、上記のように架橋性ポリシロキサンを製造する時、水を使用しないことにより、驚くことに、かかる効果が得られる理由が正確には分からないが、耐熱性が非常に向上して、透過度においても非常に優れた、高い透過度を示し、熱膨張係数にも非常に優れた物性を有するようになり、どんな形でも製造過程中に水を使用した加水分解を伴う場合に比べ、非常に優れた物性が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
また本発明は、架橋可能な官能基を有する透明シロキサン(siloxane)樹脂とガラスフィラー(glass filler)及び前記透明シロキサンと反応できる‘反応物添加剤’をさらに含んで製造される、より優れた透明複合体組成物を提供する。
【0014】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0015】
本発明は、非加水縮合反応により製造される架橋反応性基を有する透明シロキサン(siloxane)樹脂及びガラスフィラー(glass filler)を含む透明複合体組成物であって、ガラスフィラーが透明シロキサン樹脂に含浸されるか分散された透明複合体組成物に関する。
【0016】
具体的に本発明は、前記非加水縮合反応により製造される架橋反応性基を有する透明シロキサン樹脂は、(1)Si−O(siloxane)結合を有する樹脂;(2)Si−O(siloxane)結合を含む樹脂と、Si−O結合を含み少なくとも1種以上の異種間金属結合を有する樹脂;(3)または前記樹脂内に反応添加剤がさらに反応されている樹脂;から選択される一つ以上の樹脂である透明複合体組成物を提供する。
【0017】
さらに具体的に、本発明は、前記非加水縮合反応により製造される架橋反応性基を有する透明シロキサン樹脂は、(1)有機アルコキシ(organo alkoxysilane)と有機シランジオール(organo silanediol)を含む反応物の非加水縮合反応による生成物;(2)有機アルコキシシランと金属アルコキシド(metal alkoxide)の混合物と有機シランジオール(organo silanediol)を含む反応物の非加水縮合反応による生成物;または(3)前記反応物に反応添加剤をさらに含む反応物の非加水縮合反応による生成物;から選択される一つ以上の樹脂である透明複合体組成物からなっている。
【0018】
前記本発明の透明複合体組成物は、非加水縮合反応により製造される架橋反応性基を有する透明シロキサン(siloxane)樹脂及びガラスフィラー(glass filler)を含む透明複合体組成物であって、透明シロキサン樹脂とガラスフィラーの混合比は限定されないが、好ましくは、ガラスフィラーが前記透明シロキサン樹脂100重量%に対して30〜80重量%含まれることを特徴とする透明複合体組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記透明複合体組成物において、ガラスフィラーが前記透明シロキサン樹脂に含浸されているか分散された後、透明シロキサン樹脂の架橋反応により得られる透明複合体を提供する。即ち、本発明は、前記透明複合体組成物を架橋して得られる透明複合体を提供する。
【0020】
また本発明は、厚さ10〜500μm、波長550nmの可視光透過率80〜100%、30〜200℃の温度範囲で熱膨張係数が30ppm/℃以下、シロキサン樹脂とガラスフィラーの屈折率差が0.01以下である透明複合体を提供する。好ましくは、本発明は、厚さ50〜200μm、波長550nmの可視光透過率70〜100%、30〜200℃の温度範囲で熱膨張係数が30ppm/℃以下、シロキサン樹脂とガラスフィラーの屈折率差が0.01以下である透明複合体を提供する。さらに好ましくは、本発明は、前記透明複合体の熱膨張係数が1〜30ppm/℃であり、前記屈折率の差が0.0001〜0.01の差を示す透明複合体を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記透明複合体組成物に前記透明シロキサン樹脂の架橋反応のために、熱硬化触媒または光硬化触媒が添加され得る。
【0022】
本発明による透明複合体組成物は、ガラスフィラーが前記透明シロキサン樹脂に含浸されているかあるいは分散されている形態のもので、透明シロキサン樹脂がガラスフィラーと屈折率が同一であるかその差が小さくて、屈折率の調節が容易な長所があり、透明複合体の高い透明性を提供することができて、優れた光学的特性及び耐熱性を提供することができる。
【0023】
本発明の透明シロキサン樹脂は、光触媒、熱または電子線により架橋可能な官能基を有するポリシロキサン系樹脂またはこれらの共重合体を意味する。
【0024】
本発明において、前記架橋可能なポリシロキサン樹脂は、加水分解反応を伴わないポリシロキサン樹脂であって、例えば、(メタ)アクリル置換型ポリジメチルシロキサン(methacryl-substituted PDMS)、ビニール置換型ポリジメチルシロキサン(vinyl-substituted PDMS)、エポキシ置換型ポリジメチルシロキサン(epoxy-substituted PDMS)及び前記ポリシロキサン構造を含む共重合体などから選択される一つ以上が使用できる。本発明の前記ポリシロキサン樹脂は、非加水縮合反応により生成されたポリシロキサン樹脂であることを特徴とする。本発明では、明確に説明できないが、加水縮合反応を伴って製造される架橋可能なポリシロキサンは、熱収縮において満足する物性が得られなかったが、本発明の非加水縮合架橋型ポリシロキサンをガラス繊維及び/または反応性単量体と混合して製造した基板の場合、機械的物性だけではなく、透明性及び熱収縮においても優れた物性を有する基板を製造することができた。
【0025】
即ち、本発明で使用する透明シロキサン樹脂には、上記に記載のような非加水縮合生成物として、(a)Si−O(siloxane)結合を有する樹脂、(b)Si−O(siloxane)結合を含み、少なくとも2種以上の異種間金属(heterometal)結合を有する樹脂、または(c)前記(a)または(b)を含むこれらの樹脂に‘反応添加剤’をさらに含む複合樹脂を全て含む。
【0026】
上記において、‘反応添加剤’とは、不飽和基を置換した透明樹脂の場合は、不飽和基と反応可能なビニール基、(メタ)アクリル基、アリル基を有する単量体などを意味し、エポキシ基を有する透明樹脂の場合は、これと反応可能な無水物やジオール系などの反応可能な化合物を意味する。このような‘反応物’を採択することにより、透明性を満足するだけではなく、柔軟性を有しながら機械的物性を満足する効果を有する。
【0027】
本発明でガラスフィラーは、透明複合体の低い熱膨張係数に寄与できるものであれば、その組成及び形態に制限がなく、例えば、ガラスクロス、ガラス繊維、ガラス粒子などを全て含む。
【0028】
以下、本発明の非加水縮合ポリシロキサン樹脂を例を挙げて説明すると下記のようであるが、本発明のポリシロキサン樹脂は、下記の具体的な例に限定されない。
【0029】
非加水縮合反応による本発明の透明シロキサン樹脂の一例としては、次のようなものがある。例えば、非加水縮合反応により生成される(a)Si−O(siloxane)結合を有する樹脂、または(b)Si−O(siloxane)結合を含む少なくとも2種以上の異種間金属(heterometal)結合を有する樹脂、及びこれらの混合物や、Si−O(siloxane)結合を含む樹脂及びこれらの混合物からなる樹脂を含み、少なくともSi−O結合を除いても1種以上の異種間金属(heterometal)結合を有する樹脂及びこれの混合物からなる群から選択される樹脂を含むこともできる。
【0030】
本発明の透明シロキサン樹脂は、ガラスフィラーとの屈折率の差が同一であるか、大きい差がないものであって、前記(a)、(b)、または(c)成分を意味する。
【0031】
前記(c)についてさらに詳細に説明すると、前記(a)や(b)またはこれらの混合樹脂に屈折率を合わせて、耐熱性を高めて熱膨張係数を低めるための目的で、前記樹脂と反応可能なアクリル系(acryl)樹脂、メタクリル系(methacryl)樹脂、エポキシ(epoxy)樹脂、またはその他の反応性成分などの反応添加剤をさらに含む少なくとも1種以上の複合樹脂を総称する。
【0032】
本発明において、前記異種間金属結合は、シリコン(Si)の他に、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、チン(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、タンタリウム(Ta)、アルミニウム(Al)などの原子価3乃至5の金属を意味する。
【0033】
本発明は、前記(a)Si−O(siloxane)結合を有する樹脂は、少なくとも1種以上の有機シラン(organosilane)の非加水縮合反応により得られる有機樹脂が使用できるが、このような樹脂としては、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、プロピルエチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニールトリメトキシシラン、ビニールトリエトキシシラン、ビニールトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ジイソブチルシランジオール、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチルビス(トリメトキシ)シラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メト)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メト)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メト)アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、N−(アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランまたはこらの混合物などの有機シランを利用して製造されたポリシロキサン系樹脂であって、架橋可能な反応性官能基を有するポリシロキサン系樹脂が挙げられるが、その単量体が上記に記載のものに限定されるものではない。
【0034】
また、本発明は、前記(b)の中、Si−O(siloxane)結合を含み、少なくとも1種以上の異種間金属(heterometal)結合を有する樹脂は、その樹脂内に反応性架橋可能な官能基を含み、少なくとも1種以上の上記の有機シラン化合物と金属有機物の混合物の縮合反応により得られる有機樹脂を使用することができる。前記(b)樹脂における有機シランは、上述の有機シランを含み、前記金属有機物として、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムブトキシド、チンテトラエトキシド、チンテトラプロポキシド、チンテトラブトキシドなどの金属アルコキシド、または金属アルコキシドとジケトン、−ケトエステルなどとの錯化合物、及びこれらの混合物から選択して使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本過程の結果として表現される透明シロキサン樹脂の分子量は、高い透明性を維持する程度であれば特に制限はないが、但し、得られた樹脂に存在するそれぞれの置換体の中、上記に記載のように架橋可能な反応性官能性を有するもの、即ち少なくとも一部は、付加重合あるいは縮合重合が可能な官能基であるものにする。前記過程を適用して本内容をより詳細に説明すると、以下のようである。
【0036】
本発明の透明シロキサン樹脂は、線形、環形または分岐形やIPN形態の構造など、多様な構造を有する化合物が使用でき、その構造に制限はない。
【0037】
一方、本発明の透明シロキサン樹脂は、(c)前記説明された(a)または(b)の樹脂にガラスフィラーと、反応添加剤として、(メタ)アクリル(acryl)系単量体、エポキシ(epoxy)系単量体、乾式シリカゾル(fumed silica sol)、コロイダルシリカ(colloidal silica)などのような他の成分を添加して併用することが、透明性、柔軟性及び機械的物性を全て満足するため、さらに好ましい。
【0038】
添加される反応添加剤は、ガラスフィラーと屈折率を合わせる作用をして、透明な複合体を具現することができ、耐熱性を高めて、樹脂自体の熱膨張係数の減少効果があり、透明複合体の耐熱性を低下させない役割をする。
【0039】
反応添加剤は、その使用が大きく制限されず、また、添加される成分の形態は、反応性単量体、反応性オリゴマー(oligomer)と反応性ポリマー(polymer)のいずれも可能であり、具体的な例としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ウレタンアクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロピルトリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ジルコニウムアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、ポリ(2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート)、ポリ(1−ナフチルメタクリレート)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、ポリ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート)などがあり、エポキシ系としては、エポキシ基を有する水添ビフェニル(biphenyl)型脂環式エポキシ樹脂、オキセタニル基を有するエポキシ樹脂、及び硬化剤としては酸無水物系硬化剤などが好ましい。
【0040】
上述のように、非加水縮合反応により製造された透明シロキサン樹脂の成分には、付加重合あるいは縮合重合が可能な官能基が含まれており、これらの官能基の硬化(curing)あるいは架橋(crosslinking)は、熱重合及び光重合の方式で行える。即ち、官能基がアクリル基、メタクリル基、ビニール基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基などであって、これらの硬化及び架橋が光重合の形態である場合、前記明示された添加成分が併用できる。この際、光硬化の触媒としては、アリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン塩、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、過酸化ベンゾイル、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオニトリル)などが挙げられる。また、前記官能基が熱重合の形態である場合、熱硬化の触媒としては、アミン系列、イミダゾール系列、リン系列、アルミニウムアセチルアセトネート(Alacac)などが挙げられる。熱硬化触媒として、アミン系列、イミダゾール系列、リン系列の具体的な化合物としては、ベンジルジメチルアミン、1−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフェート、トリオクチルホスフィンオキシド、トリtert−ブチルホスフィン、tert−ブチルホスホニウムメタンスルホネートなどがある。
【0041】
その他、本発明の透明シロキサン樹脂は、必要に応じて、粘度と安定性などを制御するために、複合体の透明性及び耐熱性などを低下させない範囲内で溶媒を添加することができる。使用可能な溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒またはメチルイソブチルケトン、1−メチル−2−ピロリジノン、シクロヘキサノン、アセトンなどのケトン系溶媒、またはテトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、またはエチルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのアセテート系溶媒、またはイソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒、またはジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、またはシリコン系溶媒、またはこれらの混合物が使用できる。
【0042】
したがって、本発明は、優れた透明性を確保するために、上記に記載の透明シロキサン樹脂の屈折率とガラスフィラーの屈折率との差は、0.01以下、好ましくは、0.001〜0.005がよい。屈折率の差が0.01より大きい場合は、製作された透明複合体の透明性が低下する傾向がある。本発明で使用されるガラスフィラーは、透明複合体の高い透明性を得るために、屈折率が1.45〜1.56であることが好ましい。
【0043】
本発明の透明シロキサン樹脂とガラスフィラーの屈折率を合わせることと関連し、(a)Si−O(siloxane)結合を有する樹脂、または(b)Si−O(siloxane)結合を含み、少なくとも1種以上の異種間金属(heterometal)結合を有する樹脂の屈折率は、例えば、樹脂の成分中の置換体を変更することにより、例えばフェニル基、ガラスフィラーとの屈折率を合わせることを図ることができるが、必ずこれに限定されるものではない。
【0044】
また、(c)前記(a)または(b)の樹脂に、ガラスフィラーとの屈折率を合わせるか、耐熱性を高めるか、熱膨張係数を低めるための反応物添加剤として、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレートなどのような高屈折及び低屈折アクリル系及びメタクリル系単量体を添加することがさらに好ましい。
【0045】
本発明に使用されるガラスフィラーの形態としては、ガラスクロス(glass cross)またはガラス織物(glass fabric)、ガラス不織布(nonwoven glass fabric)、ガラスメッシュ(mesh)、ガラスビーズ(glass beads)、ガラスパウダー(glass powder)、ガラスフレーク(glass flake)、チョップドガラス(chopped glass)、ミルドガラス(milled glass)、乾式シリカゾル(fumed silica sol)、コロイダルシリカ(colloidal silica)、これらの混合物などが挙げられて、これらの中、複合体具現による熱膨張係数の減少効果が大きいものとしては、ガラスクロス(glass cross)またはガラス織物(glass fabric)が最も好ましい。また、本発明の透明シロキサン樹脂と密着性を高めて、透明性の改善などの目的のために、ガラスフィラーの表面は、シランカップリング剤などで処理されたものが使用可能であり、その例としては、アクリルシラン、メタクリルシラン、ビニールシラン、スチリルシラン、エポキシシラン、アミノシランなどが挙げられる。
【0046】
また、ガラスの種類としては、Eガラス(E glass)、Cガラス(C glass)、Aガラス(A glass)、Sガラス(S glass)、Dガラス(D glass)、Tガラス(T glass)、NEガラス(NE glass)、クオーツ(quartz)、低誘電率及び高誘電率ガラスなどが挙げられて、これらの中、イオン性不純物の含量が少ないEガラス、Sガラス、Tガラスなどが好ましい。
【0047】
本発明の非加水縮合反応により生成された透明複合体組成物の成形方法には、特に制限がない。例としては、硬化されなかった透明シロキサン樹脂とガラスフィラーを混合して、必要な形状によって成形した後、架橋してシート(sheet)を製作する方法、硬化されなかった樹脂を溶媒に溶解させて、ガラスフィラーを分散させて成形した後、架橋することによりシートを製作する方法などがあるが、好ましくは、硬化されなかった樹脂をガラスクロスまたはガラス織物に含浸した後、架橋することにより、シート形態に製作することが好ましい。
【0048】
本発明の透明複合体組成物を、液晶表示素子(LCD)用基板、カラーフィルター(color filter)用基板、有機EL表示素子用基板、太陽電池用基板、タッチスクリーンパネル(touch screen panel)用基板などのディスプレイまたは光素子の用途として利用する場合、透明複合体の形態は、シート(sheet)が好ましく、その厚さは、50〜200μmが可能であるが、より好ましくは、50〜100μmがよい。
【0049】
また、前記用途に素子を製作する時、30〜200℃の温度範囲において、熱膨張係数は40ppm/℃以下が好ましく、さらに好ましくは、1〜20ppm/℃が好ましい。透明性と関連しては、表示素子用基板用途に利用される場合、550nm波長において、透過率が80〜100%である必要があり、85〜100%になれば最も好ましい。波長550nmにおいて透過率が80%未満のものは、表示性能が十分ではない傾向がある。
【0050】
したがって、本発明の透明複合体は、TFT(Thin Film Transistor)素子、ディスプレイまたは光素子の全般に使用できて、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0051】
本発明の透明複合体組成物は、非加水縮合反応により生成された透明シロキサン樹脂とガラスフィラー及び/または反応添加剤を含む複合組成物によるプラスチック基板は、屈折率がよく調節されて、高い透明性を有し、熱膨張係数が低くて、また優れた耐熱性を有する長所がある。
【0052】
また、本発明の透明複合体組成物の透明シロキサン樹脂、ガラスフィラー及び/または反応性添加剤の架橋反応により製造された透明複合体は、TFT(Thin Film Transistor)素子、ディスプレイまたは光素子の全般に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明を、実施例を通じて説明するが、これらの実施例が本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0054】
(実施例1)
3−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS、Aldrich)、ジフェニルシランジオール(DPSD)を2:3のモル比にして200mlフラスコに入れた後、触媒として、水酸化バリウムをシランに対して0.1mol%添加し、80℃で4時間攪拌して反応した結果、シロキサン結合を有する成分がメタクリル基とフェニル基を有する非加水縮合シラン樹脂を得た。得られた樹脂の分子量をGPC(Gel Permeation Chromatography)で測定した結果、重量平均分子量(Mw)が1290g/molであることを確認した。合成された樹脂に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを樹脂に対して20%添加して、光硬化触媒として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(BDK、Aldrich)を樹脂に対して2wt%添加した。この複合樹脂組成物を厚さ50μmのガラス織物(glass fabric、E-glass)に含浸させて、365nm波長の紫外線ランプに窒素雰囲気下で5分間露出して光硬化を誘導した。光硬化後、200℃で4時間追加硬化を行って、厚さ100um内外のシート(sheet)形態の透明複合体を製作した。
【0055】
(比較例1)
3−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS、Aldrich)37.25gに触媒及び加水の目的で0.1Nの塩酸(HCl)溶液4gを添加して、均一な反応のために、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA, Aldrich)をMPTS重量に対して100%を混合して200mlフラスコに入れた後、80℃で48時間攪拌して還流(reflux)反応して、メタクリル基を有する樹脂を得た。得られた溶液を、減圧蒸発器を利用して−0.1MPa、65℃で30分間処理して樹脂内に残存するメタノールと水を除去した。合成された樹脂に、ガラスフィラーと1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを樹脂に対して20%添加して、光硬化触媒として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(BDK、Aldrich)を樹脂に対して2wt%添加した。この複合樹脂組成物を厚さ50μmのガラス織物(glass fabric、E-glass)に含浸させて、365nm波長の紫外線ランプに窒素雰囲気下で5分間露出して光硬化を誘導した。光硬化後、200℃で4時間追加硬化を行って、厚さ100um内外のシート(sheet)形態の透明複合体を製作した。
【0056】
(実施例2)
3−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS、Aldrich)、ジフェニルシランジオール(DPSD)を1.0:1.25のモル比にして200mlフラスコに入れた後、触媒として、水酸化バリウムをシランに対して0.1mol%添加し、80℃で4時間攪拌して反応した結果、シロキサン結合を有する成分がメタクリル基と1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを樹脂に対して20%添加して、光硬化触媒として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(BDK、Aldrich)を樹脂に対して2wt%添加した。この複合樹脂組成物を厚さ50μmのガラス織物(glass fabric、E-glass)に含浸させて、365nm波長の紫外線ランプに窒素雰囲気下で5分間露出して光硬化を誘導した。光硬化後、200℃で4時間追加硬化を行って、厚さ100um内外のシート(sheet)形態の透明複合体を製作した。
【0057】
(実施例3)
3−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS、Aldrich)、ジフェニルシランジオール(DPSD)を1:1のモル比として200mlフラスコに入れた後、触媒として水酸化バリウムをシランに対して0.1mol%を添加し、80℃で4時間攪拌して反応した結果、シロキサン結合を有する成分がメタクリル基とフェニル基を有する樹脂を得た。合成された樹脂に1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを樹脂に対して20%添加して、光硬化触媒として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(BDK、Aldrich)を樹脂に対して2wt%添加した。この複合樹脂組成物を厚さ50μmのガラス織物(glass fabric、E-glass)に含浸させて、365nm波長の紫外線ランプに窒素雰囲気下で5分間露出して光硬化を誘導した。光硬化後、200℃で4時間追加硬化を行って、厚さ100um内外のシート(sheet)形態の透明複合体を製作した。
【0058】
(実施例4)
3−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS、Aldrich)、チタニウムイソプロポキシド(Ti(OiPr)4、Aldrich)、アセチルアセトン(Aldrich)及びジフェニルシランジオール(DPSD)を1.2:0.8:0.8:3モル比にして200mlフラスコに入れた後、触媒として、水酸化バリウムをシランに対して0.1mol%を添加して、80℃で72時間攪拌した後、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA、Aldrich)を添加して、減圧蒸発器を利用して0.1MPa、60℃で30分間反応後、樹脂内に残存するメタノールを除去し、シロキサン結合構造とチタニア(titania)結合構造が存在して、これらが異種間金属(heterometal)結合からなる成分として、メタクリル基とフェニル基を有する樹脂を得た。合成された樹脂に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを樹脂に対して20%添加して、光硬化触媒として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(BDK、Aldrich)を樹脂に対して2wt%添加した。この複合樹脂組成物を厚さ50μmのガラス織物(glass fabric、E-glass)に含浸させて、365nm波長の紫外線ランプに窒素雰囲気下で5分間露出して光硬化を誘導した。光硬化後、200℃で4時間追加硬化を行って、厚さ100um内外のシート(sheet)形態の透明複合体を製作した。
【0059】
(実施例5)
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECTMS、Aldrich)とジフェニルシランジオール(DPSD)を2:3モル比にして200mlフラスコに入れた後、触媒として、水酸化バリウムをシランに対して0.1mol%を添加して、80℃で72時間攪拌した後、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA、Aldrich)を添加して、減圧蒸発器を利用して0.1MPa、60℃で30分間反応後、樹脂内に残存するメタノールを除去し、エポキシ基とフェニル基を有する樹脂を得た。合成された樹脂に、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA、Aldrich)を樹脂の当量当たり0.9モル添加して、熱硬化触媒としてトリオクチルホスフィンオキシド(TOP、Aldrich)を、添加された無水物に対して8mol%添加した。この樹脂を厚さ50μmのガラス織物(glass fabric、E-glass)に含浸させて、熱硬化のために200℃で24時間硬化を行って、厚さ100um以下のシート(sheet)形態の透明複合体を製作した。
【0060】
(比較例5)
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECTMS、Aldrich)24.638gに触媒及び加水の目的で0.1Nの塩酸(HCl)水溶液2.7gを添加して、均一な反応のために、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA, Aldrich)をECTMS重量に対して100%を混合して200mlフラスコに入れた後、80℃で48時間攪拌して還流(reflux)反応して、シクロエポキシ基を有する樹脂を得た。得られた溶液を、減圧蒸発器を利用して−0.1MPa、60℃で30分間処理して樹脂内に残存するメタノールと水を除去した。合成された樹脂に、硬化と開始の目的でメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA、Aldrich)とトリオクチルホスフィンオキシド(TOP,Aldrich)をそれぞれ樹脂のエポキシ当量の0.9モル、添加されたMHHPAの8mol%添加した。この樹脂を厚さ50μmのガラス織物(glass fabric、E-glass)に含浸させて、熱硬化のために、200℃で24時間硬化を行って、厚さ100um以下のシート(sheet)形態の透明複合体を製作した。
【0061】
(実施例6)
3−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS、Aldrich)、ジフェニルシランジオール(DPSD)を2:3のモル比にして200mlフラスコに入れた後、触媒として、水酸化バリウムをシランに対して0.1mol%添加し、80℃で4時間攪拌して反応し、メタクリル基とフェニル基を有するシラン樹脂を得た。合成された樹脂に、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレートを樹脂に対して10%添加して、光硬化触媒として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(BDK、Aldrich)を樹脂に対して2wt%添加した。この複合樹脂組成物を厚さ50μmのガラス織物(glass fabric、E-glass)に含浸させて、365nm波長の紫外線ランプに窒素雰囲気下で5分間露出して光硬化を誘導した。光硬化後、200℃で4時間追加硬化を行って、厚さ100um内外のシート(sheet)形態の透明複合体を製作した。
【0062】
*試験方法
上記実施例で得られたサンプルの物性を下記のような方法で評価して、その結果を下記表1に示した。
1.透過率
Shimadzu CorporationのUV/VIS/NIRスペクトル分析器UV-3101PCを使用して、550nm波長で測定した。
2.耐熱性
TA Instrument社の熱重量分析器(Thermogravimetric analyzer)Q-50を使用して、試料を窒素雰囲気下で5℃/分の昇温率で600℃まで加熱しながら、最初重量の5%減少が生じた温度を測定した(T5% mass loss)。
3.熱膨張係数
Seiko Instrument社の熱応力分析器(Thermomechanical analyzer)Extar 6000を使用して、窒素雰囲気下で5℃/分の昇温率で225℃まで加熱しながら、50〜150℃の温度範囲における値を測定した。100mNの荷重と20Hzの周波数を利用した。
【0063】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非加水縮合反応により製造される架橋反応性基を有する透明シロキサン(siloxane)樹脂及びガラスフィラー(glass filler)を含む透明複合体組成物であって、ガラスフィラーが透明シロキサン樹脂に含浸されるか分散された透明複合体組成物。
【請求項2】
前記非加水縮合反応により製造される架橋反応性基を有する透明シロキサン樹脂は、(1)Si−O(siloxane)結合を有する樹脂;(2)Si−O(siloxane)結合を含む樹脂と、Si−O結合を含み少なくとも1種以上の異種間金属結合を有する樹脂;および(3)前記樹脂内に反応添加剤がさらに反応されている樹脂;から選択される一つ以上の樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の透明複合体組成物。
【請求項3】
前記非加水縮合反応により製造される架橋反応性基を有する透明シロキサン樹脂は、(1)有機アルコキシと有機シランジオールを含む反応物の非加水縮合反応による生成物;(2)有機アルコキシシランと金属アルコキシドの混合物と有機シランジオールを含む反応物の非加水縮合反応による生成物;および(3)前記反応物に反応添加剤をさらに含む反応物の非加水縮合反応による生成物;から選択される一つ以上の樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載の透明複合体組成物。
【請求項4】
前記有機アルコキシシランは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、プロピルエチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニールトリメトキシシラン、ビニールトリエトキシシラン、ビニールトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ジイソブチルシランジオール、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチルビス(トリメトキシ)シラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メト)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メト)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メト)アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、N−(アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランおよびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の透明複合体組成物。
【請求項5】
前記有機シランジオールは、ジフェニルシランジオール、ジイソブチルシランジオールおよびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の透明複合体組成物。
【請求項6】
前記金属アルコキシドは、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、アルミニウムエトキシド、タンタルエトキシド、ゲルマニウムエトキシド、チタニウムエトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、チタニウムプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、ゲルマニウムイソプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、タンタルブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、チタニウムブトキシド、チタニウムt−ブトキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムt―ブトキシド、チンテトラメトキシド、チンテトラエトキシド、チンテトラプロポキシド、チンテトラブトキシド及びこれらの混合物からなる群から選択される金属アルコキシド(metalalkoxide)、及び上記から選択される金属アルコキシドと−ジケトンまたは−ケトエステルとの錯化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の透明複合体組成物。
【請求項7】
前記反応性基は、アクリル基、メタクリル基、ビニール基、エポキシ基、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の透明複合体組成物。
【請求項8】
前記反応添加剤は、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ウレタンアクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロピルトリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ジルコニウムアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、ポリ(2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート)、ポリ(1−ナフチルメタクリレート)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、ポリ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート)の(メタ)アクリル系;エポキシ基を有する水添ビフェニル(biphenyl)型脂環式エポキシ樹脂、オキセタニル基を有するエポキシ樹脂から選択される一つ以上のものであることを特徴とする、請求項2に記載の透明複合体組成物。
【請求項9】
ガラスフィラー(glass filler)は、ガラスクロス(glass cross)またはガラス織物(glass fabric)、ガラス不織布(nonwoven glass fabric)、ガラスメッシュ(mesh)、ガラスビーズ(glass beads)、ガラスパウダー(glass powder)、ガラスフレーク(glass flake)、チョップドガラス(chopped glass)、ミルドガラス(milled glass)、乾式シリカゾル(fumed silica sol)、コロイダルシリカ(colloidal silica)及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の透明複合体組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の透明複合体組成物を架橋反応して得られる透明複合体。
【請求項11】
前記透明複合体は、熱硬化触媒または光硬化触媒により透明複合体組成物を架橋して製造されることを特徴とする、請求項10に記載の透明複合体。
【請求項12】
厚さ10〜500μm、波長550nmの可視光透過率80〜100%、30〜200℃の温度範囲で熱膨張係数が30ppm/℃以下、及びシロキサン樹脂とガラスフィラーの屈折率差が0.01以下である透明複合体。
【請求項13】
請求項12に記載の透明複合体を含んで製造される電子素子。
【請求項14】
前記電子素子は、TFT素子、ディスプレイ素子または太陽電池光素子であることを特徴とする、請求項13に記載の電子素子。

【公開番号】特開2010−163601(P2010−163601A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258697(P2009−258697)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(596071752)コリア アドバンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (60)
【Fターム(参考)】