説明

逐次射出成形プロセスにおけるポリマー材料の送出制御

逐次射出成形プロセスにおいてポリマー材料の送出を制御する方法と装置。一実施態様において、その方法は、複数の金型キャビティへ第1の材料の第1回ショットを同時に送出するステップと、(14a〜14i)、第1回ショットの送出のステップ中に対応するキャビティへ送出される材料の容積または流量を示す特性を、それぞれのキャビティについて独自に検知するステップと、第1回ショットの送出中に対応するキャビティについて検知された特性を示す信号を変数として使用するプログラムに従って、1個以上のキャビティへ第1回ショットを送出するステップを独自に停止するステップと、および第1回ショットを送出するステップを停止するステップに引続いて、第2の材料の第2回ショットをキャビティへ同時に送出するステップと、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逐次射出成形プロセスにおける金型へ送出されるポリマー材料の第1回ショットの容積または流量の1つ以上を制御することに関する。特定の実施態様において、本発明は、逐次プロセスにおいて複数のキャビティへポリマー材料の第1回ショットの同時注入を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
種々のポリマー材料の逐次ショットを実施する射出成形プロセスは、周知である。そのようなプロセスを達成するために、ポリマー材料の逐次ショットを単一のキャビティおよび複数のキャビティの両方へ送出するように設計されるホットランナー(hot runner)システムを使用する射出成形装置が開発されている。複数のキャビティ適用において、それらのショット(shots)は、ホットランナー流路の長さと形状を制御することにより、およびホットランナーの種々の部分、および注入ノズルおよび金型キャビティ自体の温度を制御することにより、同一の量で、かつ同一の流量で同時に送出されることが意図される。しかしながら、実際には、複数のキャビティへのそのような均一な送出を達成するのは非常に難しい。
【0003】
プラスチック材料のショットが、単一のキャビティへさえも逐次送出されるとき、1サイクルから次ぎのサイクルの正確な量のショットを一貫して得ることは難しい。ショットが、複数のキャビティへ至るホットランナーにおける複数の流路を通る経路をとるとき、任意の流路または注入ノズルまたは金型キャビティ内で圧力を通して正確に制御することはさらに難しく、かくして、複数のキャビティの任意の特定のキャビティへの材料流れの流量および/または容積は変動する。ポリマー材料射出の単一の源が、全ての流路を通して、それぞれの金型キャビティへ流すのに使用されるとき、注入源から同一の距離(流路長さ)に位置決めされる種々の流路内の箇所においても、流路間で、圧力が変動する。材料の2回以上のショットを順々に実施すると、それぞれのショットにおいて種々のキャビティへ送出されるポリマー材料の容積の相違の程度がさらに増加する。その上、さらに、時間を通してのポリマー材料(複数の材料)の変化(例えば、種々の、回分、注入源、温度、水分率)は、特定のホットランナー/キャビティ流路の場合においても流れ特性を変える恐れがある。
【0004】
金型キャビティ中への第1回ショット、第2回ショットおよび/または第3回ショットの逐次ショットを注入する典型的な連続順を記述する従来のシステム、およびそのような複数キャビティ注入を実施するのに使用される装置は、米国特許番号4,550、043、4,609,516、4,710,118、4,781,954、4,950、143、4,990,301、4、923、723、および5,098,274に記載され、それらの全ての特許の開示は、あたかも全体がここに記載されるように、参照として本明細書に組込まれる。
【発明の開示】
【発明を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施態様によれば、材料の複数ショットを複数の金型キャビティへ送出する方法が提供され、その方法は、
第1の材料の第1回ショットを同時に複数の金型キャビティへ送出するステップと、
第1回ショットを送出するステップ中に、対応するキャビティへ送出される材料の容積または流量を示す特性を、それぞれのキャビティについて独自に検知するステップと、
第1回ショットを送出するステップ中に、対応するキャビティについて検知された特性を示す信号を変数として使用するプログラムに従って、第1回ショットを1個以上のキャビティへ送出するステップを個別に停止するステップと、および
第1回ショットを送出するステップを停止するステップに引続いて、第2の材料の第2回ショットを同時にそれらのキャビティへ送出するステップと、を含む。
【0006】
それぞれのキャビティには、キャビティと流体的に連通し、かつ第1回ショット送出用の第1の内腔を有する対応するノズルが設けることができ、そのノズルは、第1の内腔を開閉するように適応されるバルブピンを有し、また第1回ショットを独自に停止するステップは、第1の内腔を閉止するステップを含む。
【0007】
1つ以上の実施態様において、第2回ショットを送出するステップは、第1回ショットを複数のキャビティの全てに送出を停止するステップに引続いて、第2回ショットを送出するステップを含む。第1回ショットを送出するステップは、第1の材料を単一の射出源から複数のキャビティの全てに送出するステップを含むこともできる。第2回ショットを送出するステップは、第2の材料を別の注入源からそれぞれのキャビティへ送出するステップを含むこともできる。
【0008】
1つ以上の実施態様において、独自に検知するステップは、1箇所以上の選択された流れ位置において第1の材料の特性を検知するステップを含み、プログラムは、1箇所以上の位置において検知された特性を示す信号を使用して、第1の材料の流量または充填量を計算するか、もしくは信号または信号から計算された値を、目標値と比較する。その目標値は、最小値またはある範囲の値とすることもできる。一実施態様において、第1の材料の特性は、流れの単一箇所の位置において検知される。他の実施態様において、第1の材料の特性は、流れの2箇所の位置において検知される。
【0009】
独自に検知するステップは、第1の材料の、圧力、温度、流量、光学的特性、キャビティ中への充填量またはキャビティにおけるレベル、の1つ以上を検知するステップを含む。
【0010】
本発明の他の態様において、射出成形装置が提供され、その装置は、複数の金型キャビティであって、それぞれのキャビティは、その対応する金型キャビティへ2種類以上の材料を送出する対応するノズルと連通する複数の金型キャビティと、対応するバルブを有し、かつ2種類以上の材料の加圧供給源と連通する夫々のノズルと、加圧供給源およびそれぞれのノズル用のそれぞれバルブとの一方または他方または両方を駆動し、ノズルを介して、所定の順番で2種類以上の材料それぞれの流れを開始および停止する駆動機構と、
駆動機構と相互接続され、第1の材料の第1回ショットと、および第1回ショット後に第2の材料の第2回ショットを、少なくとも送出するように上記駆動機構に指示する命令を含む、コントローラと、対応するキャビティへ送出される第1の材料の容積または流量を示す特性を検知する、それぞれのキャビティへ付随する1個以上のセンサと、を備え、コントローラは、センサからの信号を受信すると共に、それぞれのキャビティにおける第1の材料の所定の容積を達成するために、受信した信号を変数として使用して、それぞれのキャビティへの第1の材料の第1回ショットの流れを開始および停止する命令を有するプログラムを備えている。
【0011】
それぞれのノズルは、第1と第2の材料をそれぞれ対応するキャビティへ送出する第1と第2の内腔を有し、それぞれのバルブは、開閉位置間で往復動するピンを備える。閉止位置において両方の第1と第2の内腔は閉止され、開放位置は、少なくとも第1と第2の開放位置を含み、第1の位置において、第1の内腔が開放され、第2の内腔が閉止されると共に、第2の位置において、第1の内腔が閉止され、第2の内腔が開放され、そのプログラムは、第1の信号を変数として使用して、ピンが両方の位置間で動くように指示する。
【0012】
種々の実施態様において、1個以上のセンサが、それぞれの対応するキャビティ内または中に、第1の材料の1箇所以上の位置において配設される。そのプログラムは、1箇所以上の位置において検知された特性を示すセンサからの信号を使用して、第1の材料の流量または充填量を計算するか、もしくは信号または信号から計算された値を、目標値と比較する命令を含む。1箇所以上の位置は、ノズルの内腔内、または対応するキャビティ内、またはマニホールド/ホットランナー内にあることができる。一実施態様において、信号センサが、それぞれのキャビティについて1箇所の位置に配設される。他の実施態様において、少なくとも2個のセンサが、それぞれのキャビティについて2箇所の位置に配設される。
【0013】
センサそれぞれは、圧力センサ、温度センサ、流量計、光学的センサ、もしくは充填量センサまたは位置センサなどの少なくともいずれかを備える。
【0014】
他の実施態様において、材料の複数ショットを金型キャビティへ送出する方法が提供され、その方法は、第1の材料の第1回ショットを金型キャビティへ送出するステップと、
第1回ショットの送出のステップ中にキャビティへ送出される第1の材料の容積または流量を示す特性を検知するステップと、第1回ショットの送出のステップ中に検知された特性を示す信号を変数として使用するプログラムに従って、第1回ショットのキャビティへ送出するステップを停止するステップと、第1回ショットを送出するステップを停止するステップに引続いて、第2の材料の第2回ショットをキャビティへ送出するステップとを含む。
【0015】
この実施態様において、その方法は、金型キャビティに複数の物品を形成しながら、すなわち2回以上の逐次成形サイクル中に、第1回ショットの送出を制御するのに使用することもできる。その方法により、固有粘度数、水分率、分子量、温度、および材料における他の変動における変化のような、第1の材料の1つ以上の特性に変化があった場合、逐次成形サイクルを通して少なくとも所定の量の第1回ショットが提供できる。
【0016】
1つ以上の実施態様において、バルブピンは、個別に制御されて、対応するキャビティにおける第1回ショットの完了を決める。他の実施態様において、バルブピンは、対応するキャビティへ第1回ショットを充填中の中間時点を決めるのに使用される。
【0017】
種々の実施態様において、サイクルの開始時に全てを開放することにより、かつ注入保持時間の終了時に全てを閉止することによりのみで従来使用されたバルブピンは、ここで、コントローラ(例えば、マイクロプロセッサ)の指示を受けて、一定のキャビティへの流れを停止するために、個別に閉止する中間ステップを実施できる。
【0018】
一実施態様において、中間位置へ移動自在な三位置バルブピンが設けられ、第1回ショット材料の流れが停止されるが、他の材料(複数の材料)は阻止されない。他の材料が流れている間、キャビティへの全てのバルブピンは、中間位置にある。
【0019】
他の実施態様において、二位置バルブピンが設けられている。この実施態様において、対応するキャビティへの第1回ショットの流れを停止することにより、キャビティへの全ての流れが阻止される。ついでバルブピンは、材料のいずれかが対応するキャビティに入ることができる前に、再開放される必要がある。
【0020】
一実施態様において、二材料(2M)三層(3L)物品が形成される。第1回ショットの完了後に、バルブピンは、注入される第2の材料のために、開放(二位置バルブ)するか、または中間位置(三位置バルブ)のままになるであろう。第2の材料が注入された後に、全てのバルブピンは、第2の材料のゲートを無くすために(第2の材料を内部層として封入する)、第1の材料の少量の最終ショット用に開放する。この実施態様は、射出ポットを一切利用しない。
【0021】
他の実施態様において、二材料(2M)五層(5L)物品が形成される。第1回ショットの完了後に、バルブピンは、注入される第2の材料のために、開放(二位置バルブ)するか、または中間位置(三位置バルブ)の状態のままになる。この実施後に、全てのバルブピンは、キャビティの残りが充填される間に全開する。第2の材料用に、射出ポットは、使用または使用されない。
【0022】
他の実施態様において、三材料(3M)五層(5L)物品が形成される。第1回ショットの完了後に、バルブピンは、注入される第2の材料のために、開放(二位置バルブ)するか、または中間位置(三位置バルブ)の状態のままになる。バルブピンは、第3の材料が注入される間、この位置のままである。第2回および第3回ショット用に、射出ポットは、使用または使用されないことがある。
【0023】
幾つかの実施態様において、数個のキャビティは、ほぼ同一の充填速度または容積を共用し、および同一の制御回路上で組合せできることを決めることもでき、かくして必要なセンサ数とバルブ制御回路数を減少することにより装置が単純化される。
【0024】
キャビティ内の流量を検出する1つの方法は、第1回ショットにより占められるキャビティの一部分に位置決めされる1個以上のセンサからであり、すなわち、その位置における溶融体の存在を検出することである。これらのセンサは、溶融体へ露出できるか、または成形面の真下に配設できる。例えば、光ファイバーのような光学的センサを、成形面に組込むことができる。温度センサまたは他の型式のセンサを、成形面または成形面の真下に位置決めすることができる。
【0025】
一実施態様において、2個のセンサが、キャビティ内の第1回ショットの流路の方向に沿う異なる箇所に位置決めされる。センサ間の流れの時間は、流量の直接測定値であろう。もしくは、キャビティ毎に単一のセンサを使用しての流量は、注入の開始時間に基づいて計算できるであろう。
【0026】
選択された実施態様において、流量は、ゲートのような高せん断部位に位置決めされる温度センサに基づいても検出できる。
【0027】
他の実施態様において、コントローラは、第1回ショット注入ユニットを制御するために配設され、バルブピンが閉止されるにつれて送出を徐々に減少するようにユニットを管理する。さらにコントローラは、注入ユニットを、全てのバルブピンが閉止されるときに流れを停止するように制御することもできる。コントローラは、バルブピンを開放する信号を発生することもできる。
【0028】
種々の実施態様のプロセスと装置は、予備成形物(プリフォーム)、ボトル、および他の包装物品のような多層プラスチック物品の製造にも使用できる。注入されるポリマー材料は、典型的には、1種類以上の構造用ポリマーおよび/または任意選択的に1種類以上の特定の機能ポリマー、例えば、高温材料、気体の遮断材料または掃去材料を含む。構造用材料は、一般的に、第1回ショットとして注入され、ついで気体の遮断材料、掃去材料またはリサイクルされた(例えば、再生スクラップ、または使用済みの)材料が、第2回ショットとして注入される。第3回ショットとして、構造用材料、特定の機能材料またはリサイクルされた材料を使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の上述および別の利点は、添付図面と連係して下記の説明を参照することにより一層良く理解できる。
【0030】
図1は、ポリマー材料の単一の注入源10により供給される多数の実質的に同一の形状のキャビティ14a〜14iを有する金型システムを示す。図1に示されるシステムは、それぞれのキャビティへの材料流れの量または圧力を制御するのを容易にする射出または計量のポットを備えないが、圧力の全てを提供する単一の注入源10のみを使用し、その圧力により、注入されるポリマー材料は、種々の異なるマニホールド流路12a〜12cの全てを通して、複数のキャビティ14a〜14iの全てに強制的に流入される。図示されるように、それぞれのキャビティ14a〜14i中へのポリマー材料の移行の最前方進度は、それぞれのキャビティについて異なり、それぞれのキャビティ内のポリマー材料の上端レベルまたは前縁レベルは、図1に示される移行レベル16の上下の距離で変動する。
同一の形状のキャビティの材料充填の速度と容積におけるこれらの相違は、注入源10からマニホールド流路12a〜12cを通り、別個のキャビティへの流路のサイズ、形状、長さおよび温度の僅かな相違から生じ、ならびにキャビティ14a〜14i自体の僅かな相違から生じる。流量のそのような相違は、流路間またはキャビティ間の非常に小さい相違(例えば、長さまたは径の数十分の1ミリメートルまたは温度の数分の1度)に起因できるが、そのような相違は、図1に示されるように、種々のキャビティの間での充填速度の相違を依然生じる。充填速度の小さい相違でも、成形される物品の構造、例えば、多層予備成形物における内部遮断層の位置に大きな影響を及ぼす恐れがある。
【0031】
第1回、第2回および第3回ショットを逐次実施する方法と装置は、本発明に従う様々な内容において生じ、下記の例により説明される。三材料(3M)五層(5L)成形物品の典型的な実施態様が、図5A,5B,6Aおよび6Bに図示される。射出成形プロセスにより製造される多層予備成形物(プリフォーム)110が、図5Aに示される。
多層予備成形物110は、中央心層130、心層の両側にある中間内部層136と138、および外部の内層132と外層134を有する。図6Aに示されるボトル210は、吹込成形プロセスにより予備成形物110から製造される。予備成形と同様に、ボトルの壁は、心層230、外部の内層232と外層234、および内部中間の内層236と外層238を有する。多層予備成形物および/またはボトルの典型的な実施態様において、図6Bボトルの心層230および外部層232と234、および/または図5の予備成形物層130、132、134は、構造用ポリマーから構成される。
中間層236、238または136、138は、当該技術において周知である気体の遮断ポリマーまたは掃去ポリマーのような他のポリマーから一般的に構成される。第1の構造用層材料を、複数の金型キャビティのそれぞれに正確な所望の量で注入することは、図7A〜7Dに概略示されるように、第1の注入される材料に関して第2の注入される材料のキャビティ内で適切な層状化を達成するために重要である。多層予備成形物、ボトル、および包装物品の典型的な例、ならびにそのような多層物品の種々の層の特定の組成は、米国特許番号4,781,954、4,863,046、5,599,496および6,090,460に開示され、上述の特許の全ての開示が、参照として本明細書の全体に組込まれる。
【0032】
図7A〜7Dは、図5Aおよび5Bの五層三材料予備成形物を形成する典型的な3回ショット多層射出成形プロセスを示す。予備成形物は、従来の射出成形用金型の外型300と心型302との間の金型キャビティ466に形成される。第1のポリマー材料の第1回ショット318が、金型キャビティの下端部(ゲート)に注入され、およびその材料が金型キャビティ466を通して流れるにつれて、外型300と心型302の比較的低い温度により、金型キャビティの外部と内部の両方に第1のポリマー材料の固化が生じて、第1の材料の内層304と外層306(図5Bにおける層132と134)を形成する。図7Aにおいて、第1の材料は、金型キャビティ壁まで途中まで進行している。図7Bに示されるように、第2のポリマー材料、例えば、気体遮断材料の第2回ショット320が、金型キャビティ15の底部に注入される。比較的少量の気体遮断材料320が、キャビティの下端部に溜まることができる。ついで第3のポリマー材料の第3回ショット322が、第2回ショット材料320を金型キャビティ内で押上げさせる圧力でゲートに注入されて、予備成形物の中間の内層309と外層310(図5Bにおける層136と138)を形成する一方、第3の材料322は、図7C、7Dにおける中央心層328(図5Bにおける層130)を形成する。
外部層304と306との間の第2回ショット320と第3回ショット322のトンネル流れにより、気体遮断材料320の比較的均一かつ薄い内部層309と310、および心層328における材料322の厚い層が形成できる。最後に前進する層は金型キャビティの端部に達して、図7Dに示される五層の予備成形物構造体を生成する。内部層309、310および328は、予備成形物壁を部分的にのみ延びて、例えば、予備成形物首終結部分114の下方で終端することもできる。このプロセスは、一例としてのみ説明されるが、限定を意味しないし、多くの他のプロセスを、予備成形物以外の物品を含む多層物品を形成するのに使用することもできる。
【0033】
図3は、例えば、図7A〜7Dを参照して説明された五層物品を製造するために、3回ショットプロセスを実施する射出成形システムの一部を示す。図3のシステム4は、金型心とキャビティのセット302、303、付随するノズル468とアクチュエータ400、マニホールド18、およびポリマー材料の3箇所の別個の供給源20、22、34を備える。検討の目的のために、1個のみの金型キャビティ466が図3に示される。第1の(例えば、構造用の)ポリマー材料の第1回ショットが、スクリュー/バレル20により、単一のキャビティへ、または共通の供給マニホールド流路44を通して複数のキャビティのそれぞれへ供給される。
図示されるように、共通の供給流路44は、バルブ38によりそれぞれの流路48に連通する。流路48はノズル468(図3に示される、および図8A〜8Cにおける一層具体的な例のノズル構造)の中心軸方向内腔460と連通する。ノズル内腔460は、キャビティ466への入口として機能するゲート464(図8A〜8C)へ第1回ショットを送出する。バルブピン450へ接続されるアクチュエータ400が、所定のプログラムに従ってノズル内腔458、460、462(図3および図8A〜8C)の全ての開閉を制御する。以下に詳細に説明するように、材料の第1回ショットの所定の中間点または終点(完了)は、金型キャビティ466内または中への第1の材料の第1回ショットの量または流量の特性を検知する結果として求められる。
アクチュエータ400は、図3においては概略のみ示される。アクチュエータ400は、図8A〜8Cの特定の実施態様に示される単一ピストン/チャンバアクチュエータ、複数ピストン/チャンバ、または射出成形バルブピン用途における使用に適切な他の既知のアクチュエータ構造とすることができる。
【0034】
ついで第2の選択されたポリマー材料、例えば、酸素の遮断材料または掃去材料の第2回ショットが、第1回ショットに引続いて実施される。単一キャビティ適用において、第2回ショットは、第1回ショットが完了すると開始される。複数のキャビティ適用において、第2回ショットは、センサにより検出された複数のキャビティのそれぞれ/全てで、第1回ショットが完了した後にのみ好ましくは開始される。複数のキャビティ適用において、第2回ショットは、示される実施態様において計量ポット29を充填する共通供給マニホールド流路42を経て、スクリュー/バレル34により複数のキャビティへ共通して供給される。共通供給流路42は、バルブ40を経て個別の供給流路46と連通する。バルブ40は、第2回ショットの開始時に(および好ましくは、第1回ショットの完了時に)閉止されて、計量ポット29が、キャビティ466と、その付随するノズル流路462における流体材料圧力を別個に制御できるように、システムの残りとの連通から流路部分46と計量ポット29を分離かつ締切る。示される実施態様において、計量ポット29は、第2の材料の正確な量をそれぞれのキャビティ466へ送出するのに使用される。別の実施態様において、計量ポット29を省略することができ、第2の材料の送出を、スクリュー/バレル34を経て排他的に実施できる。
示される一実施態様において、個別供給流路46は、同一のゲート464(図8A〜8C)およびキャビティ466へ第1回ショットとして供給するノズル468の中心軸方向供給内腔460と連通する。個別のキャビティへ供給する計量ポット29は、個別の計量ポット29が、個別のキャビティ466と別個に連通する個別のマニホールド流路部分46と流体的に連通するように容易に構成できるように、システム4のホットランナーまたはマニホールド部分18上に取付けられるように、一般的に、配置され、かつ適用される。
【0035】
3回ショット3種類の材料のプロセスにおいて、第3回ショットが、第2回ショットに引続いて注入される。図3に示されるように、第3の材料の供給源22には、共通機械計量ポット56が設けられている。共通計量ポット56は、複数のキャビティの全てに同時に供給するように貯留された即応材料の供給源として作用する目的のために、射出成形機自体(マニホールド18の反対側にあるように)上に取付けできる。
ポット56に貯留されるような材料の中間容積は、比較的時間が短い注入サイクルの間に、すなわちサイクルの時間の短さにより、機械スクリュー/バレルが十分な溶融ポリマー材料を生成できない間に、システ内で注入用の十分な量の材料が利用できるのを保証するために一般的に採用され、かくしてポット56は、次のサイクル用にシステムの補給に即応できる材料の中間貯留部として機能する。図3に示される実施態様において、機械計量ポット56は、選択された第3の材料を第3回ショットとして注入するために(図7C、7D)、スクリュー/バレル22へ流体接続される。容易に想像できるように、そのような機械計量ポットは、供給バレル20,34の作動と連係して代わりに設けることもできるであろう。
【0036】
図3(および図8A〜8C)に示される実施態様において、第3回ショットは、ノズル468に設けられる第3の内腔458を経て同一のゲート464を介してキャビティ466へ送出される。単一キャビティ適用において、第3回ショットは、第2回ショットの完了に引続いて送出される。複数のキャビティ適用において、第3回ショットは、複数のキャビティの全てへの計量ポット29の全てが、それらの内容物を個別供給流路46へ吐出/注入した後に、全てのキャビティへ好ましくは開始される。第3回ショットは、全てのキャビティへの第2回ショットが完了したと想定される所定の時間の終了時に開始できる。第3回ショットの開始前に、機械計量ポット56が充填され、およびバルブ62が閉止される。ついでバルブ63が開放されて全てのキャビティへの第3回ショットを開始する。共通マニホールド流路部分58は、複数のキャビティの全てと連通し、および複数のキャビティの全てへの同時注入を可能にする。機械計量ポット56の目的は、スクリュー/バレル22とキャビティとの間のシステム内に余分な流体材料が常に存在し、1注入サイクルから次のサイクルへの注入に即応できるのを保証することにある。
【0037】
複数のキャビティのそれぞれは、ノズル468内の第3の別個の内腔458と連通する流路部分60のような別個または個別のマニホールド流路部分を経て共通マニホールド流路58と連通する。内腔458は、他のノズル内腔のように、キャビティ466のゲート464と連通する。第3の別個の内腔458は、中心軸方向内腔460から半径方向に偏位されるが、キャビティ466へのゲート464において終端し、かつゲート464へ供給する。
【0038】
第1回ショットは構造用ポリマー材料から成り、かつ第2回ショットが酸素掃去/遮断材料から成る多層プロセスにおいて、材料の第1回ショットは、複数のキャビティの全ての間で容積が均一であるのを保証することが特に望ましい。
図4に示されるように、2個の異なるキャビティを充填する材料の量は、第1回ショットのサイクル時間の間を通して変動できる。図4に図示されるように(左手側で開始)、バルブゲートが開放されると直ぐに、第1回ショットは、流路またはノズルまたはキャビティのサイズの相違により、またはマニホールド流路、2個の同一のキャビティに付随するノズルまたは金型本体の温度の相違により、当初は、1個のキャビティ(キャビティ2)を、他の同一のキャビティ(キャビティ1)よりも低い速度で充填する。そのような多層または多材料注入プロセスにおける目的は、材料の第1回ショットにおける複数キャビティシステムのそれぞれのキャビティにおいて、できるだけ同一の充填容積、または同一充填容積に近い充填容積を達成することにある。
【0039】
図示される(図4の右手側における)均等化の望ましい最終結果は、それぞれのキャビティが一定の充填容積に達したときを検知するか、または充填量/流量を求めるコントローラにより制御される、それぞれのキャビティ用の別個のバルブを使用して、それぞれの個別のキャビティの充填容積、および/または速度を別個に制御することにより、本発明の本実施態様に従って達成できる。個別のキャビティの充填を通してのそのような制御は、それぞれの個別のキャビティに流入する材料の特性を監視することにより、または注入サイクル中の一定の時点における個別のキャビティに流入する、または流入された材料の流量または実際の容積を示す、個別のキャビティ内の特性、または個別のキャビティに付随するノズルまたは金型本体内の特性を監視することにより実施できる。
ついで、監視または検知された特性は、金型キャビティが所定の充填容積に達した時を決める要因として使用できる。一旦そのような決定がなされると、材料の第1回ショット用の注入プロセスを、一定の時間継続できるか、または検知される特性が所定の値に達したときに停止できる。図2に概略示されるように、それぞれ別個のキャビティ、もしくはそれぞれ別個のキャビティに付随する型本体またはノズルまたは型の一部分は、それぞれのキャビティへ流れる、または流入する材料の流量または容積を検知し、かつそれを示す信号を発生する少なくとも1個の付随するセンサS1、S2、S3、S4を有する。
【0040】
一実施態様において、センサS1〜S4は、コントローラ(例えば、マイクロプロセッサまたはコンピュータ)へ相互接続され、ついでコントローラ28が、複数のバルブ24a、24b、24c、24dへ相互接続され、それらのバルブは、バルブピン27a〜27dを駆動する複数のアクチュエータ26a、26b、26c、26dとの間での空気駆動または油圧駆動流体の供給を制御する。容易に想像できるように、単一センサまたは一組のセンサを、コントローラ28が単一キャビティへの送出を制御するように単一キャビティと連係して採用できる。
実施態様において、複数のキャビティが同時に制御される。以下に詳細に説明するように、アクチュエータ26a〜26dは、図3のノズル468のような複数の注入ノズル内のバルブピン27a〜27dの軸方向位置決めを制御する。ノズルの作動がコントローラ28により制御されるノズル内のピン27a〜27dの正確な軸方向位置に応じて、第1、第2および第3のポリマー材料の流れを、任意の注入サイクルにおける任意の選択された時点で変更、停止または開始できる。
【0041】
代わりに、アクチュエータの作動を、アクチュエータ26a〜26d(図2)へ供給されるポンプまたは他の駆動流体の供給源20,22を作動する駆動制御機構へコントローラ28を相互接続することにより、制御できる。
コントローラ28は、センサS1〜S4それぞれからの信号(またはセンサ信号の受信/処理から生じる他の信号)を示す特性を受信し、およびその信号を、上述の仕方でバルブピン27a〜27dの移動を制御する変数として使用するプログラムを備える。コントローラ28は、流体をアクチュエータへポンプ供給する駆動源20、22の作動を制御するか、または駆動流体をアクチュエータ26a〜26dへ流すことができるバルブ24a〜24dの作動を制御することにより、もしくは駆動源とバルブの両方を制御することにより、作動を制御できる。コントローラ28は、一般的に、デジタルプロセッサおよび付随する記憶装置から成る。コントローラ28は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、または他の従来知られているデジタル電子処理と記憶の機構の形態をとることができる。コントローラ28には、一体の処理機構および/または付随する記憶装置、または複数のそのような機構が備えられ、それらの機構は、互いに通信および協働して、駆動エレメントを通しての制御を調整かつ達成し、それらのエレメントは、アクチュエータ、マニホールドと機械バルブ、機械スクリュー/バレル、計量ポットおよび全ての付随するバルブのような、射出成形装置の種々の構成部材の正確な限時作動を実施する能力がある。
【0042】
図8A、8Bおよび8Cは、3種類の材料の選択された量を、3回の逐次ショットでキャビティへ、単一注入サイクルの間の所定の時間に送出するノズル構造の一例を示す。図示されるように、アクチュエータシステムは、ピストン412が往復流体駆動移動(油圧または空気圧による)されるために、チャンバ414内に封止自在に取付けられるピストン412と、および金型チャンバ466の軸Xに沿うバルブピン450のような任意の付随/装着される部材とを有する単一のピストンアクチュエータ400を備える。
図2を参照して上述した仕方で、コントローラ28は、金型キャビティ466またはノズル468、もしくはそれらの付随する金型または金型本体の付随するセンサSからの信号を受信し、受信された信号を使用するプログラムに従ってピストン412の駆動を指示する。検討の目的のために、Sは、温度、圧力、流量または光学的特性のような金型本体内のポリマー材料の事前選択された特性(複数の特性)を検知する、システム内の事前選択された位置に位置決めされる1個以上のセンサを一般的に示すように意図される。
本発明に従う複数キャビティシステムにおいて、コントローラ28が、別個の金型キャビティ(そのキャビティが、ついで別個のノズル468およびアクチュエータ/ピン組立体に付随する)に個別に付随する複数のそのようなセンサSから複数の信号を受信するので、コントローラ28は、単一の注入サイクル中に、および特に、第1回ショット送出されているときの期間中に、数個取りキャビティシステムにおける複数のアクチュエータ組立体の駆動を同時に指示する。
【0043】
図8Aは、典型的な3種類材料ショット注入サイクルにおけるアクチュエータ400とバルブピン450の開始位置を示す。図8Aの閉止位置において、全ての3種類の材料流路458、460および462は、ゲート通路464中への、または通路464を通してキャビティ466への3種類の材料のいずれもの流れが無いように、閉止される。図8Aは、第1回ショットの終了時に、または全ての3回ショットの全体注入サイクルの終了時におけるアクチュエータ400とピン450の位置も具体的に示す。
【0044】
図8Bには、バルブピン450の第2の位置が示され、その位置において、ピンは、第1回ショットが注入に即応できるように、開始の8Aの位置から引込まれる。図8Bの位置において、ノズル内腔458、460および462の全てが開放される。図3を参照して述べたように、新材料の第1回ショットは、ノズル468内のノズル内腔460を通して注入スクリュー/バレル20から送出される。図8Bの位置までピン450が移動すると、第1の材料の第1回ショットの流れが開始する。一旦、第1回ショットが実施中であると、キャビティ466は、図7Aに概略示される仕方と輪郭で充填を開始する。
センサSが、ノズル内腔460(例えば、センサS9を経て)内の、またはキャビティ466(例えば、センサS5またはS6を経て)内の第1の材料の圧力または温度のような事前選択された特性について所定の値を検知すると、検知された特性信号は、コントローラ28へ送信され、かつコントローラ28により受信され、および検知され受信された特性信号を示す値は、コントローラ28により実施可能な所定のプログラムにおいて、ピン450を図8Aの閉止位置へ戻すべき時(および/またはマニホールド流路バルブ38(図3)を閉止すべき時)を正確に求めるのに使用されて、流路48とノズル内腔460を通して第1の材料の流れを停止する。
【0045】
例えば、センサS5またはS6またはS9は、金型466または流路460内の材料圧力を示す信号をコントローラ28へ送信する圧力変換器を備えることができる。1つの典型的な実施態様において、コントローラ28のプログラムは、例えば、キャビティ466内の事前選択された位置(例えば、20%充填位置)において所定の時間に材料圧力が所定の値に達したことを示すセンサからの信号の受信に基づいて充填容積を計算すると、アクチュエータ400に指示してピン450を図8Aの位置まで動かす命令を含むことができる。
プログラムは、S9またはS5またはS6のようなセンサにより測定された時間を通して測定された材料の圧力に基づいて、キャビティ466中への流量および/または流れの容積を計算することにより、第1回ショットの充填が完了する時を求めることができるであろう。代わりに、プログラムは、アクチュエータチャンバ414における駆動流体の圧力を監視するセンサS10からの信号の所定の値の受信に応答してアクチュエータ400を動かすように指示する命令を含むことができる。
駆動流体圧力は、ピン450に加えられている材料圧力を示す。プログラムの他の例は、図7aに示される位置においてキャビティ466内の材料の特性を検知するかもしれないセンサS5およびS6からの信号の受信間の時間遅れ、または受信間の時間間隔を利用する例であり、検知される特性は、温度、圧力または光学的特性のような特性である。ついでプログラムは、そのような検知された時間間隔または時間遅れを使用して、キャビティ466内の材料の流量を計算し、そのような値を利用して、バルブピン450を図8Aに示される位置まで動くように指示する。
【0046】
ピン450の位置およびバルブ40の閉止を制御するためにコントローラ28により使用される正確なアルゴリズムまたはプログラムは、システムのプログラマ/デザイナの選択に応じて、および特にセンサ(圧力、温度および光学的などの)の選択と位置に応じて、広範囲のアルゴリズム/プログラムのいずれのものとすることができる。
第1の材料の材料流れの開始、調整および/または停止を制御するために選択される正確なアルゴリズム/プログラムのどのようなものでも、アルゴリズム/プログラムは、第1の材料の正確な所定の容積、例えば、1注入サイクルから次ぎのサイクルへ任意の個別のキャビティへの同一の正確な所定の容積の送出を達成するために、および/または複数キャビティ適用における複数のキャビティのそれぞれに材料の同一の正確な所定の容積を送出するために、キャビティ(複数のキャビティ)への第1の材料の送出を正確に制御するようになっている。
【0047】
かくして、第1回ショットの充填の容積を個別に制御するために、バルブのそのようなプログラムされた制御の使用を、逐次共働注入サイクル間で単一キャビティ用の同一容積の充填を一貫して得るのに採用できる。そのようなプログラムされた制御の使用は、数個取りキャビティ適用における多数/複数のキャビティの間での第1回ショットの充填の同等または均一な容積を得るのにも使用できる。
【0048】
材料の第3回ショットを供給するスクリュー/バレル22と同様に、第1回ショットスクリュー/バレル20には、スクリュー/バレル22に関して機械ポット56の配置と同様な配置において機械ポット(図示されない)を設けることができる。しかしながら、個別のマニホールド計量ポット(第2回ショットに使用される29と同様な)の使用は、コントローラ28とセンサSが、キャビティ466への材料の必要な容積の完了を監視かつ制御するので、第1回ショット用には不要にされる。
【0049】
図1および4を参照して述べたように、複数のキャビティシステムにおける個別のキャビティの充填速度は、変動することがあり、かつ変動する。最も好ましい実施態様において、コントローラ28のプログラムは、コントローラ28のプログラムが、全てのキャビティにおける全ての関連するセンサから受信した信号の使用に基づいて、第1回ショットの送出が、複数のキャビティの全てに対して完了したことを判断するまで、数個取りキャビティシステムの全てのキャビティへの第2の材料の第2回ショットの送出の開始を遅らせる命令を含む。そのような実施態様において、第1回ショットが全てのキャビティにおいて完了したことがコントローラ28により判断されると直ちに、コントローラ28は、全ての内腔を図8Aの閉止位置へ戻すようにバルブピン450に指示する。
ついでコントローラ28は、内腔462が開放され、かつ内腔458、460が閉止される(第2回ショットの送出のために)図8Cに示される位置まで動くように、バルブピン450に指示する。マニホールド計量ポットが採用される実施態様において、コントローラ28は、個別のキャビティ466にそれぞれ付随する計量ポット29用の駆動機構(複数の機構)に対して、それぞれの個別のマニホールド流路部分46を通して、かつそれぞれの個別の第2回ショットノズル内腔462を通して、かつそれぞれの個別のゲート464を通してそれぞれの個別のキャビティ466の中に、第2のポリマー材料の第2回ショットの注入を開始させて、図7Bに示される第2回ショット充填輪郭を達成するように指示する。
【0050】
最も好ましくは、第2の材料の第2回ショット(好ましくは、材料の第1回ショットの、重量で約10%よりも一般的に少ない、比較的少量の酸素の掃去または遮断材料)が、計量ポット29の使用により送出される。上述のように、個別の計量ポット29の使用を、不要にできる。計量ポットを使用しない一実施態様において、コントローラ28は、バルブ40および/またはスクリュー/バレル34用の駆動機構に相互接続されて、経験的に求められた時間の遅れ後に(単一キャビティ適用においては単一キャビティへ、または複数キャビティ適用においては複数のキャビティの全てへ、第2の材料の十分な量が送出されたことが知られるときに)、キャビティへの第2の材料の送出または流れを停止するために、バルブ40および/またはスクリュー/バレル34の作動を指示するようにできる。
【0051】
第3回ショットが、共通のマニホールド流路58(図3)を経て全てのキャビティへ同時に送出される数個取りキャビティ適用において、複数のキャビティの全てへの第2回ショットが完了すると、第3回ショットが好ましくは開始される。第2回ショットの完了時に、バルブピン450は、図8Cに示される位置にある。
図8Bに示されるように、ピン450が、図8Bの位置までさらに引込まれると、第3回ショットノズル内腔458の末端部は、ゲート464およびキャビティ466と流体的に連通する。計量ポットが、第2回ショットの送出に使用される一実施態様において、第2回ショットの終了を、全てのキャビティに付随する全ての計量ポット29の全吐出し時点を監視することにより、求めることができる。代わりの方法は、全ての個別の計量ポットが吐出されると直ちに、個別のキャビティのそれぞれにおいて第3回ショットの送出を別個に開始することである。図7Cおよび7Dは、第3回ショットのサイクルの間を通して第3の材料の第3回ショットの送出のための典型的な流れパターンと輪郭を示す。
【0052】
コントローラ28のプログラムは、該当するセンサにより検知された種々の特性値の1個以上を処理または利用する命令を含む。例えば、温度、圧力または光学的特性のみを、コントローラへ送信される唯一の信号として使用できるし、およびそのような信号を示す変数を、プログラムに入力して第1回ショットの終点を求めることができる。図2および8A〜8Cに示されるように、センサを、種々の異なる位置の1箇所以上に流れる材料の特性を検出かつ検知するために取付けできるし、S5とS6は、金型キャビティにおける材料を検知し、S9は、ノズル内腔460における材料を検知し、およびS10は、アクチュエータ400用の駆動流体の圧力のような特性を検知する。
【0053】
コントローラのプログラムまたはアルゴリズムは、第1回ショットの終点が生じるのが求められる根拠として、流量に関連するセンサ信号を利用できる。流量は、例えば、2個のセンサ、例えば、S5とS6が、キャビティ466内に流れる材料の圧力または温度または光学的特性を検知する時の時間差により求めることができる。図示されるように、センサS5とS6は、キャビティ内の流路に沿う種々の位置に最大限の効果が得られるように位置決めされ、S5は、S6の上流側にある。S5とS6のような逐次位置決めされるセンサを、センサS9が、内腔460内の材料特性を検知する仕方と同一の仕方で、ノズル内腔またはマニホールド流路内の材料流れを検知するために、代わりに取付けできるであろう。
【0054】
圧力または温度または流量のような特性が、射出成形装置の作動構成部材への命令の送信の正確な実施時期を求めるためにプログラムにより使用される場合、最も妥当な最終生成物を生成するサイクルを通して選択検知された特性の輪郭を実験的に求めるために、第1、第2、および/または第3の材料のショットの一連の試行錯誤実験を最初に実施することが好ましい。そのような試行実験の実施中に、一定の/選択されたセンサ位置において存在する、そのような実験的に求められた材料圧力、温度または他の選択された特性の理想的輪郭は、ついで実際の製造サイクル中にセンサから受信した信号と比較するためにプログラムが使用できる目標輪郭データのセットとして保管できる。
プログラムが、実際の製造作業中に受信されたセンサ信号間で、コントローラ28に格納される目標およびデータ(例えば、キャビティにおける材料圧力)との一致を求めると、プログラムは、例えば、一定のキャビティにおける既知の時間後に注入が完了したこと、または完了するであろうことを判断し、およびバルブ38またはアクチュエータ400(図3)に対して、閉止位置まで動くように、かくして第1の材料の第1回ショット注入を終端するように指示できる。
【0055】
これらおよび他の変更態様は、説明された本発明の範囲に含まれるように、当該技術に有能な者にとり容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】多数キャビティ金型システムの概略図であり、それぞれの金型キャビティは、ホットランナー流路システムを経て加圧された流体材料の共通供給源と流体的に連通し、またそれぞれの金型キャビティは、単一の注入サイクル中に異なる速度で充填する。
【図2】多数キャビティ金型システムの概略図であり、それぞれのキャビティへの材料の送出は、それぞれのキャビティへの材料の流入を監視するセンサから受信した信号により作動が制御されるバルブ/バルブピンを経て制御される。
【図3】単一のキャビティを示す数個取りキャビティ射出成形システムの概略図であり、3種類の異なる材料が、それぞれのキャビティに制御自在に注入される。
【図4】ポリマー材料注入の共通供給源により供給される2個の別個のキャビティの概略側面図であり、材料の単一ショットの間に、それぞれのキャビティにおける注入されたポリマー材料の移行進度を示す。
【図5A】三層予備成形物の概略側面断面図である。
【図5B】予備成形物の多層壁の一部分の拡大された部分断面図である。
【図6A】図5Aの予備成形物から製造された吹込成形ボトルの概略側面断面図である。
【図6B】ボトルの壁の一部分の拡大された部分断面図であり、ボトルの多層壁を具体的に示す。
【図7A】五層物品を形成するために逐次注入されるポリマー材料の第1回ショットの結果としてキャビティに流入するポリマー材料の進度を示す、単一金型キャビティの概略側面断面図である。
【図7B】五層物品を形成するために逐次注入されるポリマー材料の第2回ショットの結果としてキャビティに流入するポリマー材料の進度を示す、単一金型キャビティの概略側面断面図である。
【図7C】五層物品を形成するために逐次注入されるポリマー材料の第3回ショットの結果としてキャビティに流入するポリマー材料の進度を示す、単一金型キャビティの概略側面断面図である。
【図7D】五層物品が形成される、単一金型キャビティの概略側面断面図である。
【図8A】本発明の選択された実施態様に使用可能な三位置アクチュエータ/バルブピンおよび付随する3個の内腔ノズルにおいて流路が閉止された側面断面図である。
【図8B】本発明の選択された実施態様に使用可能な三位置アクチュエータ/バルブピンおよび付随する3個の内腔ノズルにおいて流路が開放された側面断面図である。
【図8C】本発明の選択された実施態様に使用可能な三位置アクチュエータ/バルブピンおよび付随する3個の内腔ノズルにおいて、第2回ショットの終了時のバルブピンの位置が示される側面断面図である。
【符号の説明】
【0057】
4 システム
18 マニホールド
20,22,34 スクリュー/バレル
24,38,40 バルブ
29,56 計量ポット
42 共通供給流路
44 マニホールド流路
46 供給流路
48 流路
300 外型
303 心型
400 アクチュエータ
450 バルブピン
460 ノズル内腔
464 ゲート
466 金型キャビティ
468 ノズル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の複数ショットを複数の金型キャビティへ送出する方法であって、
第1の材料の第1回ショットを同時に複数の金型キャビティへ送出するステップと、
前記第1回ショットを送出する前記ステップ中に、対応するキャビティへ送出される材料の容積または流量を示す特性を、それぞれのキャビティについて独自に検知するステップと、
前記第1回ショットを送出する前記ステップ中に、対応するキャビティについて検知された前記特性を示す信号を変数として使用するプログラムに従って、前記第1回ショットを1個以上のキャビティへ送出する前記ステップを独自に停止するステップと、および
前記第1回ショットを送出する前記ステップを停止する前記ステップに引続いて、第2の材料の第2回ショットを同時に前記それらのキャビティへ送出するステップと、を含む方法。
【請求項2】
個別に検知する前記ステップは、前記第1の材料の、圧力、温度、流量、光学的特性、前記キャビティ中への充填量または前記キャビティにおけるレベル、の1つ以上を検知するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項3】
それぞれのキャビティには、前記キャビティと流体的に連通し、かつ前記第1回ショット送出用の第1の内腔を有する対応するノズルが設けられ、前記ノズルは、前記第1の内腔を開閉するバルブピンを有し、また前記第1回ショットを独自に停止する前記ステップは、前記第1の内腔を閉止するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記第2回ショットを送出するステップは、前記第1回ショットを前記複数のキャビティの全てに送出を停止する前記ステップに引続いて、前記第2回ショットを送出するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項5】
前記第1回ショットを送出する前記ステップは、前記第1の材料を単一の射出源から前記複数のキャビティの全てに送出するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記第2回ショットを送出するステップは、前記第2の材料を別の射出源からそれぞれのキャビティへ送出するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
独自に検知する前記ステップは、1箇所以上の流れ位置において前記第1の材料の特性を検知し、前記プログラムは、前記1箇所以上の位置において検知された特性を示す信号を使用して、前記第1の材料の流量または充填量を計算するか、もしくは前記信号または前記信号から計算された値を、目標値と比較する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記第1の材料の前記特性は、単一箇所の流れ位置において検知される、請求項7の方法。
【請求項9】
独自に検知する前記ステップは、2箇所の流れ位置において前記第1の材料の特性を検知し、前記プログラムは、前記2箇所の位置において検知された特性を示す信号を使用して、前記第1の材料の流量を計算するか、もしくは前記信号または前記信号から計算された値を、目標値と比較する、請求項1の方法。
【請求項10】
複数の金型キャビティであって、それぞれのキャビティは、対応するノズルと連通し、前記ノズルは、2種類以上の材料を、その対応する金型キャビティへ送出する、複数の金型キャビティと、
それぞれのノズルは、対応するバルブを有し、かつ前記2種類以上の材料の加圧供給源と連通し、
前記加圧供給源と、およびそれぞれのノズル用のそれぞれバルブとの一方または他方または両方を駆動し、前記ノズルを通して、所定のシーケンスで前記2種類以上の材料それぞれの流れを開始および停止する、駆動機構と、
前記駆動機構と相互接続され、第1の材料の第1回ショットと、および前記第1回ショット後に第2の材料の第2回ショットを、少なくとも送出するように前記駆動機構に指示する命令を含むコントローラと、
前記対応するキャビティへ送出される前記第1の材料の容積または流量を示す特性を検知するそれぞれのキャビティへ関連付けられた1個以上のセンサと、
前記センサからの信号を受信し、それぞれのキャビティにおける前記第1の材料の所定の容積を達成するために、前記受信した信号を変数として使用して、それぞれのキャビティへの前記第1の材料の前記第1回ショットの流れを開始および停止する命令を有するプログラムとを含む射出成型装置。
【請求項11】
前記センサそれぞれは、圧力センサ、温度センサ、流量計、光学的センサ、もしくは充填量センサまたは位置センサの少なくともいずれかを備える、請求項10の装置。
【請求項12】
それぞれのノズルは、前記第1と第2の材料をそれぞれ対応するキャビティへ送出する第1と第2の内腔を有し、それぞれのバルブは、開閉位置間で往復動するピンを備え、前記プログラムは、前記1個以上のセンサからの信号を変数として使用し、前記キャビティのそれぞれを前記第1の材料の所定の容積まで充填するために、前記ピンを開閉位置間で動かすように指示する命令を含む、請求項10の装置。
【請求項13】
1個以上のセンサが、それぞれの対応するキャビティ内または中に、前記第1の材料の1箇所以上の位置において配設され、前記プログラムは、前記1箇所以上の位置において検知された特性を示すセンサからの信号を使用して、前記第1の材料の流量または充填量を計算するか、もしくは前記信号または前記信号から計算された値を、目標値と比較する、命令を含む、請求項10の装置。
【請求項14】
前記1箇所以上の位置は、前記ノズルの内腔内、または対応するキャビティ内にある、請求項13の装置。
【請求項15】
信号センサが、それぞれのキャビティについて1箇所の位置に配設される、請求項13の装置。
【請求項16】
少なくとも2個のセンサが、それぞれのキャビティについて2箇所の位置に配設され、前記プログラムは、前記少なくとも2箇所の位置において前記第1の材料の検知された特性を示す前記少なくとも2個のセンサからの信号を使用して、前記第1の材料の流量を計算するか、もしくは前記信号または前記信号から計算された値を、目標値と比較する、命令を含む、請求項13の装置。
【請求項17】
材料の複数ショットを複数の金型キャビティへ送出する方法であって、
第1の材料の第1回ショットを前記金型キャビティへ送出するステップと、
前記第1回ショットの送出の前記ステップ中に前記キャビティへ送出される第1の材料の容積または流量を示す特性を検知するステップと、
前記第1回ショットの送出の前記ステップ中に検知された特性を示す信号を変数として使用するプログラムに従って、前記第1回ショットの前記キャビティへ送出する前記ステップを停止するステップと、および
前記第1回ショットを送出する前記ステップを停止する前記ステップに引続いて、第2の材料の第2回ショットを前記キャビティへ送出するステップと、を含む方法。
【請求項18】
検知する前記ステップは、流れの1箇所以上の位置において前記第1の材料の特性を検知し、前記プログラムは、前記1箇所以上の位置において検知された特性を示す信号を使用して、前記第1の材料の流量または充填量を計算するか、もしくは前記信号または前記信号から計算された値を、目標値と比較するステップを含む請求項17の方法。
【請求項19】
前記第1の材料の前記特性は、流れの単一箇所の位置において検知される、請求項18の方法。
【請求項20】
検知する前記ステップは、流れの2箇所の位置において前記第1の材料の特性を検知し、前記2箇所の位置において検知された特性を示す信号を使用して、前記第1の材料の流量を計算するか、もしくは前記信号または前記信号から計算された値を、目標値と比較する、請求項17の方法。
【請求項21】
2種類以上の材料を、金型キャビティへ送出する対応するノズルと連通する金型キャビティと、
前記2種類以上の材料の加圧供給源と連通するノズルと、前記加圧供給源と、および前記ノズル用のバルブとの一方または他方または両方を駆動し、前記ノズルを通して、所定のシーケンスで前記2種類以上の材料のそれぞれの流れを開始および停止する、駆動機構と、
前記駆動機構と相互接続され、第1の材料の第1回ショットと、および前記第1回ショット後に第2の材料の第2回ショットを、少なくとも送出するように前記駆動機構に指示する命令を含む、コントローラと、
前記キャビティへ送出される前記第1の材料の容積または流量を示す特性を検知する1個以上のセンサとを備え、
前記コントローラは、前記1個以上のセンサからの信号を受信し、前記キャビティにおける前記第1の材料の所定の容積を達成するために、前記受信した信号を変数として使用して、前記キャビティへの前記第1の材料の前記第1回ショットの流れを開始および停止する命令を有するプログラムを有するコントローラを備えた射出成型装置。
【請求項22】
前記プログラムは、前記信号を使用して、前記第1の材料の流量を計算するか、もしくは前記検知された特性、または前記検知された特性から計算された値を、目標値と比較する命令を含む、請求項21の装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate


【公表番号】特表2009−538763(P2009−538763A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513450(P2009−513450)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/070044
【国際公開番号】WO2007/140447
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(502326130)グラハム パッケージング カンパニー,エル ピー (15)
【Fターム(参考)】