説明

遅延回路およびそれを用いた信号発生回路

【課題】 プログラマブル遅延回路のオフセット遅延時間が周囲温度などの周囲条件によって変化するので、このプログラマブル遅延回路を用いた信号発生回路の出力波形信号が不安定になってしまうという課題を解決する。
【解決手段】 プログラマブル遅延回路と遅延回路を直列接続してプログラマブル遅延回路にクロックを入力し、この2つ遅延回路の合計遅延時間が一定になるように前記プログラマブル遅延回路の遅延時間を制御すると共に、このプログラマブル遅延回路の出力を複数のプログラマブル遅延回路に入力するようにした。また、この複数のプログラマブル遅延回路を用いて信号発生回路を構成した。周囲条件が変化しても複数のプログラマブル遅延回路のクロックに対する遅延時間が変動することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス信号を所定時間遅延させる遅延回路およびこれを用いた信号発生回路に関し、特に周囲温度変化等の外部条件によって遅延時間が変動することがない遅延回路およびそれを用いた信号発生回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に、半導体試験装置で用いられる遅延回路を用いた信号発生回路を示す。図7において、10は遅延発生部であり、プログラマブル遅延回路10a〜10nで構成されている。プログラマブル遅延回路は入力された信号を遅延して出力し、かつ遅延設定信号によって遅延時間を可変することができる遅延回路である。プログラマブル遅延回路10a〜10nにはクロックが入力される。
【0003】
11は遅延制御部であり、プログラマブル遅延回路10a〜10nに遅延設定信号を出力し、その遅延時間を制御する。プログラマブル遅延回路10a〜10nは、入力されたクロックを遅延設定信号で設定された遅延時間だけ遅らせて出力する。12は波形成形部であり、遅延発生部10で遅延されたクロックが入力される。波形成形部12は入力されたクロックに基づいて波形信号を作成し、出力する。
【0004】
次に、図8を用いてこの信号発生回路の動作を説明する。なお、遅延発生部10は4個のプログラマブル遅延回路10a〜10dで構成されているとする。図8において、(A)はクロック、(B)〜(E)はそれぞれプログラマブル遅延回路10a〜10dの出力、(F)は波形成形部12が出力する波形信号である。
【0005】
プログラマブル遅延回路10a〜10dは、入力されたクロックを遅延制御部11で設定された時間だけ遅延して出力する。t1でクロックが立ち上がると、プログラマブル遅延回路10a〜10dの出力はそれぞれt2〜t5で立ち上がる。波形成形部12は、入力されたプログラマブル遅延回路10a〜10dの出力が立ち上がる度に、その出力を反転させる。その結果、(F)のような波形信号が得られる。プログラマブル遅延回路10a〜10dの遅延時間を変えることにより、波形信号の波形を変えることができる。
【0006】
プログラマブル遅延回路は内部回路の遅れに起因するオフセット遅延時間があり、たとえ遅延時間の設定値を0にしても、遅延時間を0にすることはできない。実際の遅延時間は、”オフセット遅延時間”と設定した遅延時間である”設定遅延時間”を加算した時間になる。オフセット遅延時間は一定ではなく、周囲温度や電源電圧等の外部条件によって変動する。このため、遅延時間が変動してタイミング精度が悪化し、波形信号が変動してしまうという課題があった。
【0007】
特許文献1には、この課題を解決することができるタイミング信号発生装置の発明が記載されている。以下、図9を用いてこの発明の概要を説明する。図9において、タイミング発生ブロック20、制御回路ブロック21、ヒータ回路22、ヒータ制御回路23、電圧レギュレータ24は1つのCMOS集積回路中に形成されている。
【0008】
タイミング発生ブロック20はプログラマブル遅延回路を含み、タイミング信号を発生する。制御回路ブロック21はタイミング発生ブロック20を制御して、所望の波形信号を発生させる。ヒータ回路22はヒータセルを含み、熱を発生させる。ヒータ制御回路23はヒータ回路22を制御する。電圧レギュレータ24は、タイミング発生ブロック20、制御回路ブロック21、ヒータ回路22に供給する電源電圧を発生させる。なお、ヒータ回路22はCMOS集積回路中に分散して複数個形成される。
【0009】
タイミング発生ブロック20、制御回路ブロック21、ヒータ回路22を流れる電流は、ヒータ制御回路23内の抵抗Rで電圧に変換される。ヒータ制御回路23内のアンプQは抵抗R両端の電圧が一定になるように、ヒータ回路22を制御する。電圧レギュレータ24は、タイミング発生ブロック20、制御回路ブロック21、ヒータ回路22の電源電圧(VDD−VSS)を安定化する。
【0010】
このため、CMOS集積回路の消費電力はほぼ一定値になり、従ってチップの温度はほぼ一定値に保たれる。その結果、タイミング発生ブロック20中の遅延回路のオフセット遅延時間変動を抑えることができる。
【特許文献1】特開2001−7297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図7の信号発生回路は、周囲温度などの変動によってプログラマブル遅延回路10a〜10nのオフセット遅延時間が変動し、波形信号が安定しないという課題があった。
【0012】
図9のタイミング信号発生装置はチップ温度を一定にすることはできるが、常に消費電力が最大になる点で動作させるので、効率が悪いという課題があった。また、周囲温度が変化するとチップ温度も変化するので、オフセット遅延時間が変動して出力波形が安定しないという課題もあった。さらに、タイミング発生ブロック20の回路規模が増加して消費電力が増加すると、それに伴ってヒータ回路22、ヒータ制御回路23、電圧レギュレータ24の規模も増加してしまい、回路規模が急激に大きくなってしまうという課題もあった。
【0013】
従って本発明の目的は、オフセット遅延時間の変動に影響されることなく、また回路規模の増加を抑えることができる遅延回路およびそれを用いた信号発生回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
クロックが入力され、遅延時間を可変することができるプログラマブル遅延回路と、
このプログラマブル遅延回路の出力が入力される第1の遅延回路と、
前記クロックおよび前記第1の遅延回路の出力が入力され、これらの入力信号の時間差が一定になるように、前記第1の遅延回路の遅延時間を制御する遅延時間設定信号を前記プログラマブル遅延回路に出力する時間差制御部と、
前記プログラマブル遅延回路の出力が入力され、その外部条件に対するオフセット遅延時間特性が、前記第1の遅延回路の外部条件に対するオフセット遅延時間特性と同様の特性を有する少なくとも1個の第2の遅延回路と、
を具備したものである。外部条件が変化しても第2のプログラマブル遅延回路の遅延時間が変動しない。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
前記時間差制御部を、
前記クロックと前記第1の遅延回路の出力との位相差を検出する位相比較器と、
この位相比較器の出力を電圧信号に変換する位相差電圧変換部と、
前記位相差電圧変換部の出力が入力され、この入力された電圧が一定値になるように、遅延時間設定信号を前記プログラマブル遅延回路に出力する遅延時間設定部と、
で構成したものである。構成を簡単にすることができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、
前記位相差電圧変換部を、
前記位相比較器の出力を電流信号に変換する位相差電流変換部と、
この位相差電流変換部の出力が入力されるローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタに信号を出力するDA変換部と、
で構成したものである。構成が簡単になる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項2若しくは請求項3記載の発明において、
前記遅延時間設定部として、増幅器を用いたものである。構成を簡単にすることができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、
前記増幅器の出力を電流信号に変換する電圧電流変換部を具備したものである。電流で遅延時間を設定するプログラマブル遅延回路を用いることができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、
請求項1乃至請求項5いずれかに記載され、前記第2の遅延回路がプログラマブル遅延回路である遅延回路と、
前記第2の遅延回路に遅延時間を設定する遅延制御部と、
前記第2の遅延回路の出力が入力され、これら入力された信号に基づいて波形信号を生成して出力する波形成形部と、
を具備したものである。外部条件が変化しても出力波形が不安定になることがない。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1,2、3、4、5および6の発明によれば、プログラマブル遅延回路と第1の遅延回路を直列に接続してクロックを入力し、この2つの遅延回路の合計遅延時間が一定になるようにプログラマブル遅延回路の遅延時間を制御すると共に、プログラマブル遅延回路の出力を第2の遅延回路に入力するようにした。また、この遅延回路を用いて信号発生回路を構成した。
【0021】
周囲条件が変化して遅延回路のオフセット遅延時間が変化しても、この変化分をプログラマブル遅延回路で吸収することができるので、第2の遅延回路出力のクロックに対する遅延時間を一定にすることができるという効果がある。また、この遅延回路を信号発生回路に用いると、周囲条件が変化しても出力波形信号が不安定になることがないという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る信号発生回路の一実施例を示す構成図である。なお、図7と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図1において、34、35はプログラマブル遅延回路であり、入力された信号を設定された遅延時間だけ遅延して出力する。プログラマブル遅延回路34にはクロックが入力され、プログラマブル遅延回路35にはプログラマブル遅延回路34の出力が入力される。なお、プログラマブル遅延回路35の遅延時間は0に設定されている。また、プログラマブル遅延回路34の出力は、プログラマブル遅延回路10a〜10nにも入力される。
【0023】
30は時間差制御部であり、位相比較器31、位相差電圧変換部32、および遅延時間設定部33で構成されている。位相比較器31にはクロックとプログラマブル遅延回路35の出力が入力される。位相比較器31は、これら入力信号の位相差を表す信号を位相差電圧変換部32に出力する。位相差電圧変換部32は、入力された位相差を電圧信号に変換して、遅延時間設定部33に入力する。遅延時間設定部33は、入力された電圧信号が所定の値になるように、遅延時間を設定する遅延時間設定信号をプログラマブル遅延回路34に出力する。すなわち、時間差制御部30は、プログラマブル遅延回路34と35の合計遅延時間が一定になるように、プログラマブル遅延回路34の遅延時間を設定する。
【0024】
プログラマブル遅延回路34で遅延したクロックは、遅延発生部10内のプログラマブル遅延回路10a〜10nに入力される。図7、図8で説明したように、遅延制御部11はプログラマブル遅延回路10a〜10nの遅延時間を設定し、波形成形部12はプログラマブル遅延回路10a〜10nの出力に基づいて波形信号を生成して出力する。
【0025】
次に、この実施例の動作を説明する。なお、プログラマブル遅延回路35と10a〜10nは回路構成が同じものを用いる。そのため、これらのプログラマブル遅延回路のオフセット遅延時間は、周囲温度や電源電圧など外部条件に対して同じ挙動を示す。
【0026】
プログラマブル遅延回路34の設定遅延時間をDTset34、オフセット遅延時間をDToff34とし、プログラマブル遅延回路35のオフセット遅延時間をDToff35とすると、プログラマブル遅延回路35の設定遅延時間は0であり、プログラマブル遅延回路34と35の合計遅延時間が一定になるように制御されるので、
DTset34+DToff34+DToff35=C(=一定値) ・・・・・ (1)
になる。定数Cは、用いるプログラマブル遅延回路の特性によって異ならせるが、大きくするとプログラマブル遅延回路34の遅延時間が大きくなるので、(1)式が常に成立する範囲で小さな値を選択する。
【0027】
前記(1)式から、プログラマブル遅延回路10a〜10nに入力されるクロックは、プログラマブル遅延回路34によって下記(2)式だけ遅延する。
プログラマブル遅延回路34の遅延時間=C−DToff35 ・・・・ (2)
プログラマブル遅延回路35と10a〜10nは同じ回路構成の遅延回路を用いているので、プログラマブル遅延回路10a〜10nのオフセット遅延時間はDToff35に等しい。そのため、プログラマブル遅延回路35のオフセット遅延時間とプログラマブル遅延回路10a〜10nのオフセット遅延時間がキャンセルされるので、周囲温度等の外部条件が変化しても、遅延発生部10の出力信号の遅延時間は変化しない。
【0028】
なお、この実施例ではプログラマブル遅延回路35の設定遅延時間を0としたが、設定遅延時間は周囲温度等の外部条件によって変化しないので、一定値であれば必ずしも0でなくてもよい。また、プログラマブル遅延回路35として、遅延時間を可変することができない遅延回路を用いることもできる。
【0029】
また、遅延時間設定部33が出力する遅延時間設定信号は、プログラマブル遅延回路34の設定信号に合わせて、電圧、電流、あるいはコード等適宜選択することができる。また、時間差制御部30の構成は図1に限定されることはない。要は、プログラマブル遅延回路34、35の合計遅延時間を一定値に制御できる構成であればよい。さらに、この実施例では信号発生回路について説明したが、遅延発生部10の出力を信号発生以外の他の用途に用いることもできる。この場合、用途によってはプログラマブル遅延回路10a〜10nとして遅延時間が固定されている遅延回路を用いることもできる。また、個数も任意に選択できる。
【0030】
図2に、時間差制御部30の具体的な構成の一例を示す。図2において、40は位相比較器であり、図1の位相比較器31に相当する。位相比較器40の一方の入力端子Rinにはクロックが、他方の入力端子Dinにはプログラマブル遅延回路35の出力が入力される。クロックがプログラマブル遅延回路35出力より先行しているときは出力UPが位相差に相当する時間だけ高レベルになり、プログラマブル遅延回路35出力が先行しているときは、出力DNが高レベルになる。位相比較器40の詳細な動作は後述する。
【0031】
41は位相差電流変換部であり、位相比較器40の出力UPおよびDNが入力され、位相差を電流信号に変換する。位相差電流変換部41は例えばチャージポンプ回路が用いられ、UPが高レベルのときは位相差に相当する時間一定電流を出力し、DNが高レベルのときは同じ電流を吸い込む。
【0032】
42はローパスフィルタであり、抵抗とコンデンサを並列接続した構成を有している。このローパスフィルタ42の一方には位相差電流変換部41の出力電流が入力され、この電流を平滑する。43はDA変換部であり、その出力端子はローパスフィルタ42の他方に接続されている。
【0033】
44はスイッチであり、その端子Bにはローパスフィルタ42の出力が入力され、端子Cと共通電位点の間には電圧計45が接続されている。この端子Bはスイッチ46の端子Bと接続されている。47は増幅器であり、その反転入力端子にはスイッチ46の端子Cが接続され、その出力はスイッチ48の端子Bに接続される。
【0034】
増幅器47の非反転入力端子、スイッチ44、46の端子Aには基準電圧が入力される。また、スイッチ48の端子Cからは遅延時間設定信号が出力され、その端子Aには設定基準信号が入力される。このような構成において、位相差電流変換部41とローパスフィルタ42、DA変換部43で位相差電圧変換部32を構成し、増幅器47は遅延時間設定部33に相当する。
【0035】
次に、この時間差制御部の動作を説明する。最初にスイッチ44、46、48の端子Cを端子Aに接続し、DA変換部43に入力する設定コードを中間値にする。プログラマブル遅延回路34には遅延時間設定信号として設定基準信号が入力され、また電圧計45には基準電圧が入力される。この基準電圧をV1とする。次に、スイッチ44を切り換えて端子Cと端子Bを接続し、このときの電圧計45の測定値が基準電圧(=V1)になるように、DA変換部43の設定コードを調整する。
【0036】
次に、スイッチ46、48を切り換えて、端子Cを端子Bに接続する。増幅器47の反転入力端子にはローパスフィルタ42の出力が入力され、その出力は遅延時間設定信号としてプログラマブル遅延回路34に入力される。プログラマブル遅延回路34には設定基準信号に相当する遅延時間が設定され、この状態でバランスする。
【0037】
周囲温度等の外部条件が変化し、プログラマブル遅延回路34、35のオフセット遅延時間が増加したとする。位相比較器40の出力UPのパルス幅は増加し、それに伴ってローパスフィルタ42の出力も増加する。そのため、増幅器47の出力が減少して、プログラマブル遅延回路34の設定遅延時間が減少し、プログラマブル遅延回路34、35の合計遅延時間が一定になる。同様にして、オフセット遅延時間が減少すると増幅器47の出力UPが増加し、プログラマブル遅延回路34の設定遅延時間が増加して合計遅延時間が一定になる。このようにして、周囲条件などによってプログラマブル遅延回路34、35のオフセット遅延時間が変化しても、合計遅延時間が一定になるように制御される。
【0038】
図3に位相比較器40の動作を示す。この位相比較器40の出力UP、DNは、入力Rin、Dinが遷移したときに変化する。なお、Hは高レベル、Lは低レベルを表し、L→Hは低レベルから高レベルへの遷移を表す。
【0039】
この図からわかるように、DNがLのときは、RinがL→HになるとUPがHになり、DinがL→HになるとUPがLになる。また、UPがLのときは、DinがL→HになるとDNがHになり、RinがL→HになるとDNがLになる。これにより、Rinが先行していると、Dinとの位相差に相当するパルス幅の信号がUPから得られ、Dinが先行していると、Rinとの位相差に相当するパルス幅の信号がDNから得られる。なお、図1、図2の実施例ではRinに入力されるクロックがDinに入力されるプログラマブル遅延回路35出力より常に先行しているので、Dinが変化する状態は表れない。
【0040】
図3実施例の動作を図4に示す。図4の(A)はクロック、(B)はプログラマブル遅延回路34出力、(C)はプログラマブル遅延回路35出力、(D)は位相比較器40のUP出力、(E)は同DN出力、(F)は位相差電流変換部41出力、(G)はローパスフィルタ42出力の波形である。
【0041】
時刻t10でクロックが立ち上がると位相比較器40のUP出力が立ち上がり、位相差電流変換部41は電流を出力し始める。時刻t11でプログラマブル遅延回路34出力が立ち上がる。時刻t12でプログラマブル遅延回路35出力が立ち上がると、位相比較器40のUP出力が低レベルになり、位相差電流変換部41の出力電流は0になる。クロックの立ち上がりに同期して、この動作を繰り返す。
【0042】
なお、クロックの立ち上がりがプログラマブル遅延回路35出力の立ち上がりより先行しているので、位相比較器40のDN出力は低レベルを維持する。また、ローパスフィルタ42の出力は、位相差電流変換部41の出力電流が変化したときに若干変動するが、一定値を維持する。
【0043】
図5に時間差制御部30の他の実施例を示す。この実施例はDA変換部として電流出力型DA変換器を用いたものである。なお、図2と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図5において、50は電流出力型DA変換部であり、その出力はローパスフィルタ42に入力される。ローパスフィルタ42の他端(図2でDA変換部43が接続されていた側)は共通電位点に接続される。動作は図2実施例と同じなので、説明を省略する。
【0044】
図6に時間差制御部30の更に他の実施例を示す。この実施例はプログラマブル遅延回路34として、電流値によって遅延時間を設定する電流設定型のプログラマブル遅延回路を用いたものである。なお、図2と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。
【0045】
図6において、51は電圧電流変換部であり、増幅器47の出力である電圧信号が入力され、この電圧信号を電流信号に変換する。この電流信号はプログラマブル遅延回路34に遅延設定信号として出力される。動作は図2実施例と同じなので、説明を省略する。なお、図5と図6を組み合わせ、電流出力型のDA変換部を用い、かつプログラマブル遅延回路34として電流信号で遅延時間を設定する遅延回路を用いるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】時間差制御部の一実施例の構成図である。
【図3】位相比較器の動作を説明する図である。
【図4】時間差制御部の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】時間差制御部の他の実施例を示す構成図である。
【図6】時間差制御部の他の実施例を示す構成図である。
【図7】従来の信号発生回路の構成図である。
【図8】従来の信号発生回路の動作を説明するタイムチャートである。
【図9】従来のタイミング信号発生装置の構成図である。
【符号の説明】
【0047】
10 遅延発生部
10a〜10n、34、35 プログラマブル遅延回路
11 遅延制御部
12 波形成形部
30 時間差制御部
31、40 位相比較器
32 位相差電圧変換部
33 遅延時間設定部
41 位相差電流変換部
42 ローパスフィルタ
43、50 DA変換部
44、46、48 スイッチ
45 電圧計
47 増幅器
51 電圧電流変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロックが入力され、遅延時間を可変することができるプログラマブル遅延回路と、
このプログラマブル遅延回路の出力が入力される第1の遅延回路と、
前記クロックおよび前記第1の遅延回路の出力が入力され、これらの入力信号の時間差が一定になるように、前記第1の遅延回路の遅延時間を制御する遅延時間設定信号を前記プログラマブル遅延回路に出力する時間差制御部と、
前記プログラマブル遅延回路の出力が入力され、その外部条件に対するオフセット遅延時間特性が、前記第1の遅延回路の外部条件に対するオフセット遅延時間特性と同様の特性を有する少なくとも1個の第2の遅延回路と、
を具備したことを特徴とする遅延回路。
【請求項2】
前記時間差制御部は、
前記クロックと前記第1の遅延回路の出力との位相差を検出する位相比較器と、
この位相比較器の出力を電圧信号に変換する位相差電圧変換部と、
前記位相差電圧変換部の出力が入力され、この入力された電圧が一定値になるように、遅延時間設定信号を前記プログラマブル遅延回路に出力する遅延時間設定部と、
で構成されることを特徴とする請求項1記載の遅延回路。
【請求項3】
前記位相差電圧変換部は、
前記位相比較器の出力を電流信号に変換する位相差電流変換部と、
この位相差電流変換部の出力が入力されるローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタに信号を出力するDA変換部と、
で構成されることを特徴とする請求項2記載の遅延回路。
【請求項4】
前記遅延時間設定部は、増幅器であることを特徴とする請求項2若しくは請求項3記載の遅延回路。
【請求項5】
前記増幅器の出力を電流信号に変換する電圧電流変換部を具備したことを特徴とする請求項4記載の遅延回路。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5いずれかに記載され、前記第2の遅延回路がプログラマブル遅延回路である遅延回路と、
前記第2の遅延回路に遅延時間を設定する遅延制御部と、
前記第2の遅延回路の出力が入力され、これら入力された信号に基づいて波形信号を生成して出力する波形成形部と、
を具備したことを特徴とする信号発生回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−17151(P2009−17151A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175709(P2007−175709)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】