説明

遊技機

【課題】遊技者がメダルを購入又は借用する際に、メダル貸出機に現金を投入する必要がなく、利便性のある遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技機(1)は、遊技者が購入又は借用するメダルを提供するメダル装置(180)と、遊技者の携帯電話機(300)と通信を行う無線送受信部(170)と、を備え、主制御回路(71)は、携帯電話機(300)と通信が可能か否かを判定し、通信が可能と判定されたことに応じて、金額データを受信し、受信した金額データをメダル提供装置(180)に送信する。メダル提供装置(180)は、主制御回路(71)から受信した金額データに応じた数のメダルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン、ルーレットゲーム機、カードゲーム装置などの遊技媒体としてメダルを使用する所謂メダルゲームは、遊技者がメダル貸出機で複数のメダルを購入又は借用し、このメダルを遊技機に投入することにより開始することができるゲームであり、遊技者がゲームに勝てば、所定の枚数のメダルが払い出されるものである。従って、多数のメダルを獲得することができた遊技者は、新たにメダルを購入又は借用することなく、継続してゲームを楽しむことができる。ここで、そのようなメダルゲームにおいて、遊技者がメダル貸出機でメダルを購入又は借用する際には、現金を投入する必要があった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−317128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、遊技者がメダルを購入又は借用する際には、メダル貸出機にいちいち現金を投入することになり、購入又は借用するたびに現金を財布から取り出す手間がかかり、利便性が図られていなかった。また、現金がなくなってしまった場合には、遊技を継続することができず、この点からも利便性が図られていなかった。
【0004】
本発明の目的は、遊技者がメダルを購入又は借用する際に、メダル貸出機に現金を投入する必要がなく、利便性のある遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、遊技機において、遊技者が購入又は借用する遊技媒体を提供する遊技媒体提供手段と、遊技者の携帯電話機と通信を行う通信手段と、通信手段を介した通信が可能か否かを判定する通信可能判定手段と、通信可能判定手段により通信が可能と判定されたことに応じて、通信手段を介して金額データを受信する金額データ受信手段と、金額データ受信手段が受信した金額データを遊技媒体提供手段に送信する金額データ送信手段と、を備え、遊技媒体提供手段は、金額データ送信手段から受信した金額データに応じた数の遊技媒体を提供する、ことを特徴とする。
【0006】
(1) 遊技者が購入又は借用する遊技媒体(例えば、後述するメダルなど)を提供する遊技媒体提供手段(例えば、後述するメダル提供装置180など)と、遊技者の携帯電話機(例えば、後述する携帯電話機300など)と通信を行う通信手段(例えば、後述する無線送受信部170など)と、前記通信手段を介した通信が可能か否かを判定する通信可能判定手段(例えば、後述する図6のステップS1の処理を行う手段、後述する主制御回路71など)と、前記通信可能判定手段により前記通信が可能と判定されたことに応じて、前記通信手段を介して金額データを受信する金額データ受信手段(例えば、後述する図6のステップS3の処理を行う手段、後述する主制御回路71など)と、前記金額データ受信手段が受信した金額データを前記遊技媒体提供手段に送信する金額データ送信手段(例えば、後述する図6のステップS4の処理を行う手段、後述する主制御回路71など)と、前記遊技媒体提供手段は、金額データ送信手段から受信した金額データに応じた数の遊技媒体を提供する(例えば、後述する図7のステップS11〜S13の処理を行う)ことを特徴とする遊技機。
【0007】
(1)記載の遊技機によれば、金額データ受信手段は、通信可能判定手段により通信が可能と判定されたことに応じて、遊技者の携帯電話機から通信手段を介して金額データを受信し、金額データ送信手段は、受信した金額データを遊技媒体提供手段に送信し、遊技媒体提供手段は、金額データ送信手段から受信した金額データに応じた数の遊技媒体を提供する。これにより、遊技者の携帯電話機に記憶された電子マネーのデータを受信することによって、遊技媒体を提供することができるので、遊技者がメダルを購入又は借用する際に、メダル貸出機に現金を投入する必要がなく、利便性のある遊技機を提供することができる。
【0008】
(2) (1)に記載の遊技機において、前記金額データ受信手段は、予め定められた所定の金額に応じた金額データを受信することを特徴とする遊技機。
【0009】
(2)に記載の遊技機によれば、予め定められた所定の金額に応じた数の遊技媒体を遊技者に提供することができるので、常に一定枚数の遊技媒体を提供することができる。(例えば、遊技媒体1枚が20円の場合には、予め1000円と定められた金額データを受信することで、常に50枚の遊技媒体を提供することができる。)したがって、極端に少ない枚数を提供したり、極端に多い枚数を提供したりといった、遊技店では通常考えられないような遊技媒体の提供の仕方を回避することができる。
【0010】
(3) (1)又は(2)に記載の遊技機において、前記携帯電話機は、ICカードであることを特徴とする遊技機。
【0011】
(3)に記載の遊技機によれば、携帯電話機に記憶された電子マネーのみならず、ICカードに記憶された電子マネーによって、遊技媒体を提供することができるので、より利便性の向上した遊技機を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、遊技者がメダルを購入又は借用する際に、メダル貸出機に現金を投入する必要がなく、利便性のある遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施例の遊技機1の外観を示す斜視図である。遊技機1は、所謂「パチスロ機」である。この遊技機1は、コイン、メダル、遊技球又はトークンなどの他、遊技者に付与された、もしくは付与される遊技価値の情報を記憶したカードなどの遊技媒体を用いて遊技する遊技機であるが、以下ではメダルを用いるものとして説明する。
【0014】
遊技機1の全体を形成している筐体4は、箱状のキャビネット60と、このキャビネット60を開閉する前面ドア2と、を備える。この前面ドア2正面の略中央には、縦長矩形の表示窓4L,4C,4Rが設けられる。表示窓4L,4C,4Rには、表示ラインとして、水平方向にトップライン8b、センターライン8c及びボトムライン8d、斜め方向にクロスアップライン8a及びクロスダウンライン8eが設けられている。
【0015】
これらの表示ラインは、後述のBETスイッチ11、12、13を操作すること(以下「BET操作」という)、或いはメダル投入口22にメダルを投入することにより有効化される。表示ラインが有効化されたことは、後に説明するBETランプ9a,9b,9cの点灯で表示される。
【0016】
ここで、表示ライン8a〜8eは、役の成否に関わる。具体的には、所定の役に対応する図柄組合せを構成する図柄がいずれかの有効ライン(有効化された表示ライン)に対応する所定の位置に並んで停止表示されることにより、所定の役が成立することとなる。
【0017】
前面ドア2の裏面には、複数のリール3L,3C,3Rが回転自在に横一列に設けられている。各リール3L,3C,3Rには、それぞれの外周面に、遊技に必要な複数種類の図柄によって構成される識別情報としての図柄列が描かれており、各リール3L,3C,3Rの図柄は表示窓4L,4C,4Rを通して、遊技機1の外部から視認できるようになっている。また、各リール3L,3C,3Rは、定速回転(例えば80回転/分)で回転し、図柄列を変動表示する。
【0018】
表示窓4L,4C,4Rの上方には、画像表示手段としての液晶表示部5a及びスピーカ9L,9Rが設けられる。液晶表示部5aは、表示窓4L,4C,4Rよりも大きな表示面を備え、画像表示による演出を行う。また、スピーカ9L,9Rは、効果音や音声などの音による演出を行う。
【0019】
表示窓4L,4C,4Rの左側には、BETランプ9a,9b,9cが設けられる。1−BETランプ9aは、一のゲームを行うためにメダルが1枚賭けられたときに点灯し、2−BETランプ9bは、一のゲームを行うためにメダルが2枚賭けられたときに点灯する。3−BETランプ9cは、一のゲームを行うためにメダルが3枚賭けられたときに点灯する。
【0020】
表示窓4L,4C,4Rの下方には、略水平面の台座部10が形成されている。この台座部10の水平面内のうち、右側にはメダル投入口22が設けられ、左側には1−BETスイッチ11、2−BETスイッチ12、及び最大BETスイッチ13が設けられている。
【0021】
1−BETスイッチ11は、1回の押下操作により、クレジットされているメダルのうちの1枚がゲームに賭けられ、5つの表示ライン8a〜8eのうちセンターライン8cが有効化される。2−BETスイッチ12は、1回の押下操作により、クレジットされているメダルのうちの2枚がゲームに賭けられ、5つの表示ライン8a〜8eのうちトップライン8b、センターライン8c、及びボトムライン8dが有効化される。最大BETスイッチ13は、1回の押下操作により、クレジットされているメダルのうちの3枚がゲームに賭けられ、全ての表示ライン8a〜8eが有効化される。
【0022】
台座部10の前面部の左寄りには、遊技者がゲームで獲得したメダルのクレジット/払出しを押しボタン操作で切り換えるC/Pスイッチ14が設けられている。このC/Pスイッチ14の切り換えにより、正面下部のメダル払出口15からメダルが払出され、払出されたメダルはメダル受け部16に溜められる。C/Pスイッチ14の右側には、遊技者の回動操作により上記リールを回転させ、表示窓4L,4C,4R内での図柄の変動表示を開始するための開始操作手段としてのスタートレバー6が所定の角度範囲で回動自在に取り付けられている。
【0023】
台座部10の前面部の略中央には、遊技者の押下操作により3個のリール3L,3C,3Rの回転をそれぞれ停止させるための停止操作手段としての停止ボタン7L,7C,7Rが設けられている。なお、実施例では、一のゲーム(単位遊技)は、基本的にスタートレバー6が操作されることにより開始し、全てのリール3L,3C,3Rが停止したときに終了する。
【0024】
また、実施例では、全てのリールが回転しているときに行われるリールの停止操作(停止ボタンの操作)を「第1停止操作」、「第1停止操作」の後に行われる停止操作を「第2停止操作」、「第2停止操作」の後に行われる停止操作を「第3停止操作」という。
【0025】
台座部10の前面部の右寄りには、遊技者の携帯電話機300と無線通信が可能な無線送受信部170が設けられている。携帯電話機300が無線送受信部170に所定の距離以内に近づくと、携帯電話機300と遊技機1は、無線送受信部170を介して接続される。また、無線送受信部170には、携帯電話機300に搭載されたICチップ(図示せず)に情報を送受信するためのICカードリーダー/ライター(図示せず)が設けられている。通信は、当該ICカードリーダー/ライターにより発信される電磁波によって行われる。
【0026】
遊技者側から見て、筐体4の右側面の略中央には、箱状のメダル提供装置180が設けられている。このメダル提供装置180は、遊技者がゲームをプレーするためのメダルを購入又は借用するための装置である。
【0027】
メダル提供装置180には、紙幣投入部181と、貨幣投入部182と、メダル排出部183とが設けられている。メダル提供装置180は、遊技機1が携帯電話機300から受信した電子マネーとしての金額データに応じた数のメダルをメダル排出部183から排出する。なお、紙幣投入部181及び貨幣投入部182から投入された金額に応じた数のメダルをメダル排出部183から排出することも行う。
【0028】
前面ドア2下部の正面には、メダルが払出されるメダル払出口15と、この払出されたメダルを貯留するメダル受け部16とが設けられている。また、前面ドア2下部の正面のうち、停止ボタン7L,7C,7Rとメダル受け部16とに上下を挟まれた面には、機種のモチーフに対応したデザインがあしらわれた腰部パネル20が取り付けられている。
【0029】
図2は、各リール3L,3C,3Rに表わされた複数種類の図柄が21個配列された図柄列を示している。各図柄には“00”〜“20”のコードナンバーが付され、データテーブルとして後に説明するROM32(図3)に格納(記憶)されている。各リール3L,3C,3R上には、“赤7(図柄91)”、“青7(図柄92)”、“BAR(図柄93)”、“赤チェリー(図柄94)”、“桃チェリー(図柄95)”、“ベル(図柄96)”、“スイカ(図柄97)”、“リプレイ(図柄98)”、及び“ブランク(図柄99)”の図柄で構成される図柄列が表わされている。各リール3L,3C,3Rは、図柄列が図2の矢印方向に移動するように回転駆動される。
【0030】
ここで、実施例の役には、BB1(ビッグボーナス1)、BB2(ビッグボーナス2)、赤チェリー、桃チェリー、ベル、スイカ、赤7ベル、青7ベル、BARベル、及びリプレイが設けられている。BB1、BB2は第1種特別役物に係る役物連続作動装置である。
【0031】
「第1種特別役物」とは、規定数ごとの入賞に係る図柄の組合せの数を増加させ、又は規定数ごとの入賞に係る条件装置が作動する確率を上昇させる役物で、予め定められた場合に作動し12回を超えない回数の遊技の結果が得られるまで作動を継続することができるものをいう。
【0032】
「第1種特別役物に係る役物連続作動装置」とは、第1種特別役物を連続して作動させることができる装置で、特定の図柄の組合せが表示された場合に作動し予め定められた場合に作動を終了するものをいう。
【0033】
なお、以下では、BB1、BB2を総称して「BB」といい、赤チェリー、桃チェリーを総称して「チェリー」という。また、チェリー、ベル、スイカ、赤7ベル、青7ベル、BARベルを総称して「小役」という。
【0034】
役(役データ)は、基本的に、遊技者に付与される利益と図柄組合せとが対応付けられた制御情報であり、リール3L,3C,3Rの停止制御、遊技状態の切り換え(移行)、遊技価値の付与などに用いられる。
【0035】
また、実施例の遊技状態には、一般遊技状態とRB遊技状態とがある。遊技状態は、基本的に、内部当籤役の決定に用いる内部抽籤テーブルの種類により区別できる。具体的には、遊技状態は、内部当籤する可能性のある役の種類、内部当籤する確率などにより区別できる。
【0036】
一般遊技状態は、所謂「出玉率」(遊技を行うために投入されたメダルの枚数に対して遊技者に払出されるメダルの枚数)の期待値が1よりも小さい遊技状態である。この一般遊技状態は、BBを持越役とするフラグ間と、持越役としない非フラグ間とで構成される。「持越役」とは、対応する図柄組合せが有効ラインに沿って並ぶことが一又は複数のゲームにわたり許容される役をいい、フラグ間では、BBに対応する図柄組合せが有効ラインに沿って並ぶことが一又は複数のゲームにわたり許容される。また、フラグ間では、BBに内部当籤することがなく、非フラグ間では、BBに内部当籤することがあるため、同じ一般遊技状態であっても、フラグ間と非フラグ間とはそれぞれ異なる遊技状態である。
【0037】
また、フラグ間及び非フラグ間は、それぞれ、リプレイに内部当籤する確率が高いリプレイタイム(以下、「RT」という)が作動中であるRT作動中と、このRT作動中以外のRT非作動中とで構成される。RT作動中であるか否かは、後述のRT作動中フラグがオンであるか否かにより判別できるが、このRT作動中フラグをオンにする条件及びオフにする条件は、後に説明する。
【0038】
RB遊技状態は、第1種特別役物が作動しているゲームにより構成される遊技状態である。
【0039】
RB遊技状態は、RB作動中フラグのオン又はオフにより識別できる。RB作動中フラグは、遊技状態がRB遊技状態であるか否かを識別するための情報である。RB作動中フラグがオンに更新される条件は、後述のBB1作動中フラグ、BB2作動中フラグのいずれかがオンであることである。
【0040】
また、RB作動中フラグがオフに更新される条件は、遊技可能回数が0となること、入賞可能回数が0となること、又はBB1作動中フラグ、BB2作動中フラグのいずれかがオフに更新されることである。「遊技可能回数」とは、RB遊技状態において行うことが可能な単位遊技の回数をいい、実施例では12回と規定されている。「入賞可能回数」とは、RB遊技状態において入賞可能な回数をいい、実施例では8回と規定されている。
【0041】
BB1作動中フラグは、BB1の成立により発生する有利な状態であるか否かを識別するための情報であり、BB2作動中フラグについても同様である。これらBB1作動中フラグ、BB2作動中フラグを総称して、以下「BB作動中フラグ」という。BB作動中フラグがオンに更新される条件は、BBが成立することである。BB作動中フラグがオフに更新される条件は、払出されたメダルの枚数が払出可能枚数を超えることである。「払出可能枚数」とは、BB作動中フラグがオンに更新されてからBB作動中フラグがオフに更新されるまでの遊技(ゲーム)において払出すことが可能なメダルの枚数をいい、実施例では350枚である。
【0042】
ここで、BB作動中フラグがオンに更新されてからオフに更新されるまでのBB作動中フラグとRB作動中フラグとの関係について説明する。BBが成立した場合に、BB作動中フラグがオンに更新される。このBB作動中フラグがオンに更新されたことを契機にRB作動中フラグがオンに更新される。そして、遊技可能回数又は入賞可能回数のいずれかが0になると、RB作動中フラグがオフに更新される。BB作動中フラグがオンであれば、再びRB作動中フラグがオンに更新される。
【0043】
BB作動中フラグがオフに更新される条件を充足した場合に、BB作動中フラグがオフに更新されるが、このBB作動中フラグがオフに更新されたことを契機にRB作動中フラグがオフに更新される。したがって、BB作動中フラグがオンであるときは、RB作動中フラグがオンに更新される。すなわち、BB成立後は、BB作動中フラグがオフに更新されるまでRB遊技状態となる。
【0044】
図3は、遊技機1における遊技処理動作を制御する主制御回路71と、主制御回路71に電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)と、主制御回路71から送信される制御指令に基づいて液晶表示部5a、スピーカ9L,9R、LED類101及びランプ類102を制御する副制御回路72とを含む回路構成を示す。なお、液晶表示部5a、LED類101及びランプ類102の状態は、操作部17の操作で調整でき、スピーカ9L,9Rの音量は、音量調節部103の操作で調整できる。
【0045】
主制御回路71は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ30を主たる構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイクロコンピュータ30は、予め設定されたプログラム(後述の図6)にしたがって制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32及びRAM33を含む。
【0046】
CPU31には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34及び分周器35と、サンプリングされる乱数を発生する乱数発生器36及びサンプリング回路37とが接続されている。なお、乱数サンプリングのための手段として、マイクロコンピュータ30内で、すなわちCPU31の動作プログラム上で、乱数サンプリングを実行するように構成してもよい。その場合、乱数発生器36及びサンプリング回路37は省略可能であり、或いは、乱数サンプリング動作のバックアップ用として残しておくことも可能である。
【0047】
マイクロコンピュータ30のROM32には、スタートレバー6を操作(スタート操作)するごとに行われる乱数サンプリングの判定に用いられる内部抽籤テーブル、停止ボタンの操作に応じてリールの停止態様を決定するための停止テーブル群などが格納されている。また、副制御回路72へ送信するための各種制御指令(コマンド)などが格納されている。副制御回路72が主制御回路71へコマンド、情報などを入力することはなく、主制御回路71から副制御回路72への一方向で通信が行われる。RAM33には、種々の情報が格納されている。RAM33には、例えば、内部当籤役、持越役などの情報などが格納される。
【0048】
図3の回路において、マイクロコンピュータ30からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、BETランプ9a,9b,9cと、メダルを収納し、ホッパー駆動回路41の命令により所定枚数のメダルを払出すホッパー(払出しのための駆動部を含む)40と、リール3L,3C,3Rを回転駆動するステッピングモータ49L,49C,49Rとがある。
【0049】
さらに、ステッピングモータ49L,49C,49Rを駆動制御するモータ駆動回路39、ホッパー40を駆動制御するホッパー駆動回路41、及びBETランプ9a,9b,9cを駆動制御するランプ駆動回路45がCPU31の出力部に接続されている。これらの駆動回路は、それぞれCPU31から出力される駆動指令などの制御信号を受けて、各アクチュエータの動作を制御する。
【0050】
また、マイクロコンピュータ30が制御指令を発生するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートスイッチ6S、停止スイッチ7LS,7CS,7RS、1−BETスイッチ11、2−BETスイッチ12、最大BETスイッチ13、C/Pスイッチ14、メダルセンサ22S、リール位置検出回路50、払出完了信号回路51がある。
【0051】
スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6の操作を検出し、遊技開始指令信号(ゲームの開始を指令する信号)を出力する。メダルセンサ22Sは、メダル投入口22に投入されたメダルを検出する。停止スイッチ7LS,7CS,7RSは、対応する停止ボタン7L,7C,7Rの操作に応じて停止指令信号(図柄の変動の停止を指令する信号)を発生する。リール位置検出回路50は、リール回転センサからのパルス信号を受けて各リール3L,3C,3Rの位置を検出するための信号をCPU31へ供給する。払出完了信号回路51は、メダル検出部40Sの計数値(ホッパー40から払出されたメダルの枚数)が指定された枚数データに達した時、メダル払出完了を検知するための信号を発生する。
【0052】
また、携帯電話機300とデータの送受信を無線により行うための無線送受信部170がCPU31の入出力部に接続され、購入又は借用対象のメダルを遊技者に提供するメダル提供装置180がCPU31の出力部に接続されている。
【0053】
無線送受信部170は、携帯電話機300が所定の距離以内に近づくことにより、携帯電話機300と通信可能なる。メダル提供装置180は、主制御回路71から金額データを受信することによりメダルをメダル排出部183に排出する。
【0054】
図3の回路において、乱数発生器36は、一定の数値範囲(乱数範囲)に属する乱数を発生し、サンプリング回路37は、スタートレバー6が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数を使用することにより、例えばROM32内に格納されている内部抽籤テーブルなどに基づいて内部当籤役などが決定される。内部当籤役(内部当籤役データ)は、その内部当籤役に対応する停止制御の態様、或いは表示役などを介して、対応する図柄組合せと遊技者に付与される利益とが間接的に対応付けられているといえる。
【0055】
リール3L,3C,3Rの回転が開始された後、ステッピングモータ49L,49C,49Rの各々に供給される駆動パルスの数が計数され、その計数値はRAM33の所定エリアに書き込まれる。リール3L,3C,3Rからは一回転ごとにリセットパルスが得られ、これらのパルスはリール位置検出回路50を介してCPU31に入力される。こうして得られたリセットパルスにより、RAM33で計数されている駆動パルスの計数値が“0”にクリアされる。これにより、RAM33内には、各リール3L,3C,3Rについて一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納される。
【0056】
上記のようなリール3L,3C,3Rの回転位置とリール外周面上に描かれた図柄とを対応づけるために、図柄テーブル(図示せず)が、ROM32内に格納されている。この図柄テーブルでは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として、各リール3L,3C,3Rの一定の回転ピッチごとに順次付与されるコードナンバーと、それぞれのコードナンバーごとに対応して設けられた図柄を示す図柄コードとが対応づけられている。
【0057】
さらに、ROM32内には、図柄組合せテーブルが格納されている。この図柄組合せテーブルでは、役の成立(入賞など)となる図柄組合せと、この図柄組合せに入賞したときのメダルの払出枚数とが対応づけられている。上記の図柄組合せテーブルは、左のリール3L,中央のリール3C,右のリール3Rの停止制御時、及び全リール3L,3C,3Rの停止後の入賞確認(表示役の確認)を行う場合に参照される。表示役(表示役データ)は、基本的に、有効ラインに沿って並ぶ図柄組合せに対応する役(成立役)である。遊技者には、表示役に対応する利益が付与される。
【0058】
上記乱数サンプリングに基づく抽籤処理(内部抽籤処理など)により内部当籤役や停止用当籤役を決定した場合には、CPU31は、遊技者が停止ボタン7L,7C,7Rを操作したタイミングで停止スイッチ7LS,7CS,7RSから送られる停止指令信号、及び決定された停止テーブルに基づいて、リール3L,3C,3Rを停止制御する信号をモータ駆動回路39に送る。
【0059】
当籤した役の入賞を示す停止態様(すなわち入賞態様)となれば、CPU31は、払出指令信号をホッパー駆動回路41に供給してホッパー40から所定枚数のメダルの払出を行う。その際、メダル検出部40Sは、ホッパー40から払出されるメダルの枚数を計数し、その計数値が指定された数に達した時に、メダル払出完了信号をCPU31に入力する。これにより、CPU31は、ホッパー駆動回路41を介してホッパー40の駆動を停止し、メダル払出処理を終了する。
【0060】
図4に示すメダル提供装置180のブロック図を参照してメダル提供装置180の構成について説明する。
【0061】
メダル提供装置180は、予め設定されたプログラム(後述の図7)にしたがって制御動作を行うCPU186と、記憶手段であるROM187及びRAM188と、メダル排出部駆動回路189と、メダルを収納し、メダル排出部駆動回路189の命令により所定枚数のメダルを排出するメダル排出部(排出のための駆動部を含む)183とから構成されている。
【0062】
CPU186は、主制御回路71から送信される金額データなどを受信する。ROM187は、メダル提供装置180の処理の実行を制御するプログラム(後述の図7)、後述の各種テーブル(後述の図5)などを格納する。
【0063】
RAM188は、CPU186が前述した制御プログラムを実行する場合の、作業用の一時記憶手段として構成される。RAM188には、種々の情報が格納される。例えば、主制御回路71から送信される金額データの情報などが格納される。
【0064】
CPU186は、メダル排出指令信号をメダル排出部駆動回路189に供給してメダル排出部183からメダルの排出を行う。
【0065】
図5を参照して、メダル枚数変換テーブルについて説明する。
【0066】
メダル枚数変換テーブルは、メダル提供装置180のROM187に格納されており、メダル排出部から排出されるメダルの枚数と、金額との関係を表す情報を備えている。このテーブルによれば、メダル1枚あたりに必要な金額は20円となっている。
【0067】
図6に示すフローチャートを参照して、主制御回路71の処理について説明する。
【0068】
初めに、主制御回路71のCPU31は、携帯電話機300と通信可能か否かを判断する(ステップS1)。具体的には、携帯電話機300と無線送受信部170とが所定の距離以下に近づいたか否かを判断する。この判別がYESのときは、ステップS2に移り、NOのときは、ステップS1に移る。ステップS2では、金額データ要求信号を携帯電話機300に送信し、ステップS3に移る。具体的には、RAM33に記憶された所定の金額に応じた金額データ要求信号を無線送受信部170を介して送信する。
【0069】
ステップS3では、携帯電話機300から金額データを受信し、ステップS4に移る。この処理では、上述した所定の金額に応じた金額データを無線送受信部170を介して受信し、RAM33の所定の記憶領域に格納する。ステップS4では、受信した金額データをメダル提供装置180に送信する。このステップS4の処理が終了すると、CPU31は主制御回路71の処理を終了する。
【0070】
図7に示すフローチャートを参照して、メダル提供装置180の処理について説明する。
【0071】
初めに、メダル提供装置180のCPU186は、主制御回路71から金額データを受信したか否かを判断する(ステップS11)。この判別がYESのときは、ステップS12に移り、NOのときは、ステップS11に移る。ステップS12では、受信した金額データからメダル枚数を算出し、ステップS13に移る。具体的には、図5に示すメダル枚数変換テーブルを参照することにより、メダル枚数を算出する。例えば、金額データに応じた金額が1000円であれば、算出されるメダル枚数は50枚となる。
【0072】
ステップS13では、算出した枚数のメダルを排出する。具体的には、算出した枚数に応じたメダル排出指令信号をメダル排出部駆動回路189に供給してメダル排出部183からメダルの排出を行う。このステップS13の処理が終了すると、CPU186はメダル提供装置180の処理を終了する。
【0073】
以上より、遊技者の携帯電話機に記憶された電子マネーのデータ(金額データ)を受信することによって、遊技媒体を提供することができるので、遊技者がメダルを購入又は借用する際に、メダル貸出機に現金を投入する必要がなく、利便性のある遊技機を提供することができる。
【0074】
また、予め定められた所定の金額に応じた数の遊技媒体を遊技者に提供することができるので、常に一定枚数の遊技媒体を提供することができる。(例えば、遊技媒体1枚が20円の場合には、予め1000円と定められた金額データを受信することで、常に50枚の遊技媒体を提供することができる。)したがって、極端に少ない枚数を提供したり、極端に多い枚数を提供したりといった、遊技店では通常考えられないような遊技媒体の提供の仕方を回避することができる。
【0075】
以上、実施例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0076】
実施例では、携帯電話機から電子マネーのデータ(金額データ)を受信するようにしたがこれに限られず、ICカードから受信するようにしてもよい。これにより、携帯電話機に記憶された電子マネーのみならず、ICカードに記憶された電子マネーによって、遊技媒体を提供することができるので、より利便性の向上した遊技機を提供することが可能となる。
【0077】
実施例では、メダル1枚あたり20円としているが、これに限られるものではない。例えば、携帯電話機300又はICカードから金額データを受信した場合には、メダル1枚あたりの金額を時間帯などに応じて変化させるようにしてもよい。
【0078】
また、実施例では、所定の金額データを携帯電話機から受信するように、金額データ要求信号を携帯電話機に送信しているが、これに限られるものではない。例えば、遊技機1に金額入力ボタン(図示せず)を設け、遊技者が金額を入力できるようにするようにしてもよい。これにより、遊技者が所望する金額に応じたメダルを購入又は借用することができるので、より利便性が向上する。
【0079】
また、本実施例のような遊技機1の他、パチロットなどの他の遊技機にも本発明を適用できる。さらに、前述の遊技機1での動作を家庭用ゲーム機用や携帯端末用(携帯電話機用、携帯型ゲーム機用など)として擬似的に実行するようなゲームプログラムにおいても、本発明を適用してゲームを実行することができる。その場合、ゲームプログラムを記録する記録媒体は、DVD−ROM、CD−ROM、FD(フレキシブルディスク)、その他任意の記録媒体を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】遊技機の外観を示す斜視図。
【図2】リール上に配列された図柄の例を示す図。
【図3】電気回路の構成を示すブロック図。
【図4】メダル提供装置の構成を示す図。
【図5】メダル枚数変換テーブルを示す図。
【図6】主制御回路の処理のフローチャート。
【図7】メダル提供装置の処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
1 遊技機
3L,3C,3R リール
6 スタートレバー
7L,7C,7R 停止ボタン
30 マイクロコンピュータ
31 CPU
32 ROM
33 RAM
71 主制御回路
72 副制御回路
180 メダル提供装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が購入又は借用する遊技媒体を提供する遊技媒体提供手段と、
遊技者の携帯電話機と通信を行う通信手段と、
前記通信手段を介した通信が可能か否かを判定する通信可能判定手段と、
前記通信可能判定手段により前記通信が可能と判定されたことに応じて、前記通信手段を介して金額データを受信する金額データ受信手段と、
前記金額データ受信手段が受信した金額データを前記遊技媒体提供手段に送信する金額データ送信手段と、
前記遊技媒体提供手段は、金額データ送信手段から受信した金額データに応じた数の遊技媒体を提供することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記金額データ受信手段は、予め定められた所定の金額に応じた金額データを受信することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遊技機において、
前記携帯電話機は、ICカードであることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−28314(P2009−28314A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195625(P2007−195625)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】