説明

遊技機

【課題】遊技が単調な印象を与えることを回避すること可能であるとともに、遊技の射幸性が過度に高くなることを防止可能な技術を提供する。
【解決手段】特定役の入賞成立によって、RT遊技を開始するように設定しておくとともに、前回のRT遊技を終了してからの遊技回数が所定回数に達するまでの間については、特定役の入賞が成立しても、RT遊技の開始を無効にする。こうすれば、遊技者にとっては、同じように特定役の入賞が成立しているのに、RT遊技が開始される場合と開始されない場合とがあるように感じられるので、遊技に変化を付けることができ、その結果、遊技が単調になること回避することが可能となる。また、RT遊技の連続発生を防止することができるので、遊技の射幸性を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周面に複数種類の図柄が表示された複数の回胴を回転させ、該複数の回胴が停止したときの図柄の組合せによって、所定の遊技役の入賞を成立させる遊技を行う回胴式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の図柄が描かれた複数の回胴を回転させ、所定の図柄の組合せが揃うように各回胴を停止させる遊技を行う回胴式遊技機が広く知られている。こうした回胴式遊技機では、先ず、遊技メダル等の遊技媒体をベットしてスタートレバーを操作すると、全回胴の回転を開始するとともに、予め内部抽選を行って何れの遊技役の入賞を成立させるか、あるいは何れも成立させないかを決定する。次いで、遊技者が各回胴の停止ボタンを操作して回胴を停止させ、その時に、内部抽選で当選した遊技役に対応する図柄の組合せが揃った場合には、遊技役の入賞が成立して、遊技役に応じた特典が遊技者に付与されるようになっている。また、遊技役の中には「再遊技役」と呼ばれる特別な遊技役が設けられており、再遊技役の入賞が成立した場合には、遊技媒体をベットする動作を行わなくても次回の遊技を開始することが可能となっている。
【0003】
こうした回胴式遊技機の中には、再遊技役に当選する確率が通常よりも高く設定された遊技状態(以下では、この遊技状態をリプレイタイム遊技、あるいは単にRT遊技と呼ぶ)を備えた遊技機も知られている。遊技状態がRT遊技に切り換わると遊技媒体をあまり減らすことなく遊技を継続できるので、RT遊技は、遊技者にとって有利な遊技状態といえる。また、このようなRT遊技を開始する契機としては、所定の小役(RT開始役)の入賞が成立することを条件とする遊技機も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−310866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、提案されている遊技機では、RT開始役の入賞が成立することでRT遊技が必ず開始されるので、RT遊技の開始契機が画一的になってしまい、遊技者からすると遊技が単調に感じられてしまうという問題があった。また、RT遊技の終了直後にRT開始役の入賞が成立して、再びRT遊技が開始されることも起こり得るため、こうしたことが多発すると、遊技者に過度の利益を付与することとなり、いたずらに遊技者の射幸心を煽る結果になってしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、遊技が単調な印象を与えることを回避可能であるとともに、遊技の射幸性が過度に高くなること防止することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、請求項1に記載の遊技機は、
遊技媒体を投入後、外周面に複数種類の図柄が描かれた複数の回胴を回転させ、該回胴が停止したときに表示された図柄組合せによって所定の遊技役の入賞が成立した場合には、該遊技役に応じた特典が遊技者に付与される遊技を行う遊技機において、
前記遊技媒体を投入することなく次回の遊技を開始する再遊技の実行契機となる再遊技役と、前記再遊技の実行頻度が通常状態よりも高いリプレイタイム状態の開始契機となる開始役と、前記リプレイタイム状態の終了契機となる終了役と、を含んだ複数の遊技役の中から何れの遊技役の入賞成立を許容するか否かについての抽選を行う遊技役抽選手段と、
前記通常状態にて前記開始役の入賞成立が許容されて所定の開始図柄組合せを停止表示することで、前記リプレイタイム状態を開始するリプレイタイム状態開始手段と、
前記リプレイタイム状態にて前記終了役の入賞成立が許容されて所定の終了図柄組合せを停止表示することで、該リプレイタイム状態を終了するリプレイタイム状態終了手段と、
前記リプレイタイム状態が終了することで、前記再遊技の実行頻度が前記通常状態よりも高く、前記リプレイタイム状態よりも低い特定状態を開始する特定状態開始手段と、
前記特定状態にて所定回数の遊技が行われることで、該特定状態を終了する特定状態終了手段と、
前記特定状態が終了することで、前記通常状態を開始する通常状態開始手段と、
前記特定状態にて前記開始図柄組合せが停止表示される場合に、前記リプレイタイム状態の開始を無効にするリプレイタイム状態無効手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載の遊技機は、
前記特定状態開始手段は、前記通常状態にて前記終了図柄組合せが停止表示される場合にも、前記特定状態を開始することを特徴とする。
また、請求項3に記載の遊技機は、
所定の演出装置にて遊技の進行に応じた演出を実行する演出実行手段を備え、
前記演出実行手段は、前記特定状態中に、前記通常状態で遊技が進行するときと同態様の演出を実行することを特徴とする。
こうすれば、遊技者には、開始図柄組合せが停止表示されてもリプレイタイム状態が開始される場合と、開始されない場合とがあるように感じられるので、遊技に変化を付けることができる。その結果、遊技者に遊技が単調な印象を与えてしまうことを回避することが可能となる。また、リプレイタイム状態の終了後の特定状態では、たとえ開始図柄組合せが停止表示されても、リプレイタイム状態の開始が無効になるので、リプレイタイム状態の連続発生を防止することができる。その結果、遊技の射幸性が高くなりすぎることを回避することが可能となる。
【0008】
また、上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本明細書において参考的に開示する発明(参考発明)の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技媒体を投入後、外周面に複数種類の図柄が描かれた複数の回胴を回転させ、該回胴が停止したときに表示された図柄組合せによって所定の遊技役の入賞が成立した場合には、該遊技役に応じた特典が遊技者に付与される遊技を行う回胴式遊技機において、
前記遊技媒体を投入することなく次回の遊技を開始可能な遊技役たる再遊技役と、遊技者に所定の特典が付与される特定役とを含んだ複数の遊技役の中から何れの遊技役の入賞成立を許容するか否かについての抽選を行う遊技役抽選手段と、
前記特定役の入賞が成立することで、前記再遊技役の当選確率が通常の遊技状態よりも高いリプレイタイム遊技状態を開始させるリプレイタイム遊技開始処理を行うとともに、前記リプレイタイム遊技状態中に所定の終了条件が成立することで、該リプレイタイム遊技状態を終了させるリプレイタイム遊技終了処理を行うリプレイタイム遊技実行手段と
を備え、
前記リプレイタイム遊技実行手段は、前記リプレイタイム遊技終了処理を行った後の所定期間は、前記特定役の入賞が成立した場合でも、前記リプレイタイム遊技開始処理を無効にするリプレイタイム遊技無効手段を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる参考発明の回胴式遊技機においては、特定役の入賞が成立することによって、リプレイタイム遊技状態が開始される。しかしながら、前回のリプレイタイム遊技状態を終了してからの所定期間については、特定役の入賞が成立しても、リプレイタイム遊技状態の開始を無効にするようになっている。
【0010】
こうすれば、遊技者には、特定役の入賞が成立してもリプレイタイム遊技状態が開始される場合と、開始されない場合とがあるように感じられるので、遊技に変化を付けることができる。その結果、遊技者に遊技が単調な印象を与えてしまうことを回避することが可能となる。
【0011】
また、リプレイタイム遊技状態の終了後の所定期間は、たとえ特定役の入賞が成立しても、リプレイタイム遊技状態の開始が無効になるので、リプレイタイム遊技状態の連続発生を防止することができる。その結果、遊技の射幸性が高くなりすぎることを回避することが可能となる。
【0012】
こうした回胴式遊技機では、リプレイタイム遊技状態を終了すると、特定遊技状態を開始することとして、特定遊技状態中は、特定役の入賞が成立した場合でも、リプレイタイム遊技状態の開始を無効にするようにしてもよい。
【0013】
こうすれば、リプレイタイム遊技状態の終了後には遊技状態が特定遊技状態に切り換わって、特定の終了条件が成立するまでリプレイタイム遊技状態の開始が無効にされるので、リプレイタイム遊技状態の連続発生を防止することができ、結果として、遊技の射幸性が過度に高くなることを回避することが可能となる。
【0014】
尚、「特定の終了条件」としては、例えば、「所定回数の遊技の消化」や「特定の遊技役の入賞成立」、または「特定の図柄組合せの停止表示」などを挙げることができる。これらは特定遊技状態で少なくとも1回以上の遊技を実行しなければ達成されない条件である。よって、リプレイタイム遊技が終了した直後に再度リプレイタイム遊技状態が開始されるのを確実に防止することができる。
【0015】
また、特定遊技状態および通常の遊技状態は、遊技者がどちらの遊技状態であるかを見分け難いように設定しておくことが望ましく、例えば、特定遊技状態と通常の遊技状態とで演出態様を同じにしてもよい。このようにすれば、同じように特定役の入賞が成立しているにもかかわらず、リプレイタイム遊技状態が開始される場合と、開始されない場合があるものと遊技者に感じさせることができるので、遊技が単調な印象を与えることを回避可能となる。
【0016】
加えて、リプレイタイム遊技状態の開始を無効にする処理(リプレイタイム遊技無効処理)を行うに際しては、特定役の入賞が成立したときの遊技状態が特定遊技状態であるか否かを判断するだけでよく、遊技回数を計数するなどの処理を別途行う必要はない。したがって、遊技の制御を複雑にすることなくリプレイタイム無効処理を容易に実現することが可能となる。
【0017】
上述した回胴式遊技機では、リプレイタイム遊技状態中に特殊役の入賞が成立するか、通常の遊技状態中に特殊役の入賞が成立した場合に、特定遊技状態を開始するようにしてもよい。
【0018】
このように、リプレイタイム遊技状態の終了契機となる特殊役を、通常の遊技状態中には特定遊技状態の開始契機となるように設定しておけば、リプレイタイム遊技状態の終了後だけでなく、通常の遊技状態からも特定遊技状態に切り換わることが可能になる。こうすることで、特定遊技状態の開始条件が多様化し、リプレイタイム遊技状態の開始が無効にされる遊技状態がたびたび発生するようになる。このため、特定役の入賞が成立してもリプレイタイム遊技状態の開始が無効にされる特別な遊技状態がリプレイタイム遊技状態の終了後に設けられていることが、遊技者に悟られてしまうことを回避することが可能となる。
【0019】
また、特定遊技状態が終了したら通常の遊技状態に戻るように設定しておいてもよく、こうすれば、通常遊技状態と特定遊技状態との間を行ったり来たりするようになるので、現在の遊技状態が通常遊技状態あるいは特定遊技状態の何れであるかの識別が困難になる。その結果、遊技者は、特定役の入賞が成立する度にリプレイタイム遊技状態が開始されるのではないかと期待するようになるので、遊技興趣を効果的に盛り上げることが可能となる。さらに、特定遊技状態と通常の遊技状態とで、所定の遊技役の当選確率を異ならせておくことも可能であり、例えば、遊技者が気付くことが可能な程度に再遊技役の当選確率を異ならせておいてもよい。こうすれば、遊技者は再遊技役の入賞し易さに基づいて現在の遊技状態が通常の遊技状態あるいは特定遊技状態のどちらであるかを予測しながら、通常の遊技状態中に特定役の入賞成立を狙うことによって、効率よくリプレイタイム遊技状態を開始させることができるという新たな遊技性を付与することができる。このため、遊技興趣を盛り上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例の遊技機の外観を示す正面図である。
【図2】前面扉を開いて遊技機の内部の構成を示した斜視図である。
【図3】3つの回胴の外周面に表示された図柄の配列を示す説明図である。
【図4】本実施例の遊技機の電気的構成を示す説明図である。
【図5】本実施例の遊技機に設定されている入賞ラインを示した説明図である。
【図6】本実施例の遊技機に設定されている遊技役を、遊技役の入賞を成立させる図柄組合せ、および遊技役によって付与される特典と対応付けて示した説明図である。
【図7】本実施例の遊技機において主制御基板が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図8】本実施例の遊技機において主制御基板が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図9】通常遊技中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。
【図10】本実施例の遊技機における内部当選フラグの構成を例示した説明図である。
【図11】遊技状態フラグおよび再遊技フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。
【図12】遊技制御処理の中で実行される遊技状態設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】BB遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。
【図14】RT遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。
【図15】遊技制御処理の中で実行されるRT遊技フラグ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】変形例の遊技機が複数の遊技状態を切り換えながら遊技を行う様子を概念的に示した説明図である。
【図17】特定通常遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。
【図18】変形例における遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図19】変形例における遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図20】変形例における遊技状態設定処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図21】変形例における遊技状態設定処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図22】変形例の遊技制御処理の中で実行される特定通常遊技フラグ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】変形例におけるRT遊技フラグ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.電気的構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技状態設定処理:
C−2.RT遊技フラグ設定処理:
D.変形例:
【0022】
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
【0023】
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカ14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカ14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
【0024】
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a,20b,20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。
【0025】
前面扉2の中段下方に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、上面には、遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口30と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを1枚だけ投入するための一枚投入ボタン32と、貯留されている遊技メダルを3枚投入するための三枚投入ボタン34などが設けられている。尚、遊技メダルの貯留とは、遊技メダル投入口30に投入された遊技メダルの枚数が規定数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合にその超えた分をデータとして記憶しておく、あるいは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払い出し枚数をデータとして記憶しておくことをいう。また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。また、操作部2mbには、上面に精算ボタン40および返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入した遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
【0026】
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50と、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
【0027】
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、サブ制御基板ユニット102が設けられており、その左右には一対のスピーカ14が取り付けられている。サブ制御基板ユニット102の内部には、後述するサブ制御基板220が格納されており、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカ14などを用いて行われる各種演出の制御を司っている。
【0028】
前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が格納された扉基板ユニット104が設けられている。また、扉基板ユニット104の下方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106や、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが取り付けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に投入され、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。
【0029】
これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルが通過すると、メダルセンサによって検出されて、その信号が後述する主制御基板200に供給されるようになっている。
【0030】
一方、筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a,20b,20cが設けられており、各回胴の外周面には、後述するように複数種類の図柄が表示されている。これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板200が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112などが設けられている。また、3つの回胴20a,20b,20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。
【0031】
図3は、3つの回胴20a,20b,20cの外周面に表示された図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に表示されている。また、何れの回胴についても、表示されている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
【0032】
A−2.電気的構成 :
図4は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図4に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータをやり取り可能に接続されて構成されている。
【0033】
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて搭載されており、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号を受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、これら各種基板の動作を制御している。
【0034】
サブ制御基板220も、上述した主制御基板200と同様に、CPUや、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられて、回胴の表面に描かれた図柄(図3参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類12、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を出力することにより、各種の演出を行っている。
【0035】
扉基板240には、メダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入するための各種投入ボタン32,34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技の状態を表示する各種の表示パネル22などが接続されている。また、扉基板240は、前述した主制御基板200と、データをやり取り可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a,38b,38c、投入ボタン34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号を主制御基板200に供給することが可能となっている。また、メダルセレクタ106が、内蔵するメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に供給されるようになっている。
【0036】
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モータ24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが設けられている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モータ24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の回転位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モータ24a,24b,24cには、いわゆるステッピングモータが使用されている。
【0037】
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
【0038】
これら各種制御基板、および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図4では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から直接電力が供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。
【0039】
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機1で行われる遊技の概要を説明しておく。
【0040】
遊技を開始するにあたっては、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、メダルのベットを行う。ベットする遊技メダル数は、通常、1枚または3枚に固定されている。尚、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、一枚投入ボタン32、あるいは三枚投入ボタン34を押すことにより、それぞれ1枚または3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
【0041】
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図3を用いて前述したように、各回胴には、複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示される。本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴あたり3つずつ、図柄が表示されるような大きさに設定されている。結局、3つの回胴20a,20b,20cが停止表示されると、表示窓20には、縦横3列ずつ、合計9つの図柄が表示されるようになっている。また、これら9つの図柄が表示される位置には、複数本の入賞ラインが予め設定されている。
【0042】
図5は、本実施例の遊技機1に設定されている入賞ラインを示した説明図である。図示されるように、本実施例の遊技機1では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上方向きの入賞ラインL4と、右斜め下方向きの入賞ラインL5の、合計5本の入賞ラインが設定されている。遊技メダルを1枚だけベットした場合には、中段の入賞ラインL2だけが有効となり、遊技メダルを3枚ベットした場合には5本全ての入賞ラインが有効となる。そして、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、有効な入賞ライン上には、何某かの図柄組合せが得られることになる。尚、ここでは、入賞ラインは図5に示した直線形状の5種類のみが設定されているものとしているが、これに限らず、例えば、左回胴20aの上段位置と、中回胴20bの中段位置と、右回胴20cの上段位置とを結ぶ入賞ラインや、あるいは、左回胴20aの下段位置と、中回胴20bの中段位置と、右回胴20cの下段位置とを結ぶ入賞ラインなどの、直線でない入賞ラインなどを加えて、より多種類の入賞ラインを設定しておくこととしても良い。
【0043】
そして、有効な入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役の入賞が成立し、遊技役に応じた特典が遊技者に付与されるようになっている。図6は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類を、その遊技役の入賞を成立させる図柄組合せ、および遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典と対応付けて示した説明図である。図6では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄には遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄には遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典が表示されている。例えば、最上段に示したビッグボーナス役(以下、BB役)と呼ばれる遊技役には、「赤セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せ、あるいは「青セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せが対応付けられており、何れの図柄組合せで揃った場合でも、ビッグボーナス遊技(BB遊技)の開始という特典が遊技者に付与される。
【0044】
ここで、BB遊技とは、通常遊技に比べて遊技役の種類(遊技メダルが払い出される図柄組合せの種類)が増加し、その増加した遊技役(増加役)に高い確率で入賞する遊技状態のことである。そのため、BB遊技が開始されると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。このBB遊技は、所定枚数(例えば、465枚)の遊技メダルが払い出されるまで、複数回のゲームに亘って継続される。尚、「赤セブン」の図柄で入賞したBB役を特に「赤7のBB役」と呼び、「青セブン」の図柄で入賞したBB役を特に「青7のBB役」と呼んで区別することがあるが、本実施例での遊技機1では、何れのBB役であっても得られる特典は同じであり、両者を区別する必要はない。
【0045】
また、いわゆる「小役」と呼ばれる遊技役も設けられている。先ず、ベルの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「ベル」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、このベルの小役に対して遊技者に付与される特典は、15枚の遊技メダルが払い出されるように設定されている。次いで、スイカの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、スイカの小役に対しては、10枚の遊技メダルが遊技者に払い出される。そして、チェリーの小役という遊技役には、左回胴20aの図柄が「チェリー」の図柄であれば、中回胴20bおよび右回胴20cにはどのような図柄であっても構わない図柄組合せが設定されており、チェリーの小役に対しては、2枚の遊技メダルが遊技者に払い出される。
【0046】
さらに、再遊技役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「再遊技」の図柄で揃った図柄組合せが設定されている。再遊技役に対して遊技者に付与される特典としては、新たな遊技メダルをベットすることなく、もう一度、遊技を行う権利が付与される。すなわち、再遊技役の入賞を成立させた時にベットしていた遊技メダルと、同じ枚数の遊技メダルがベットされたものとして、もう一度遊技を行うことが可能となる。尚、本実施例の遊技機1には、リプレイタイム遊技(RT遊技)と呼ばれる特殊な遊技状態が設けられており、RT遊技中は、通常遊技に比べて非常に高い確率で再遊技役の入賞が成立するように設定されている。そのため、RT遊技が開始されると、再遊技役の入賞が頻繁に成立するようになり、遊技者は遊技メダルあまり減らすことなく遊技を継続することができる。
【0047】
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、何れかの遊技役に入賞するとは限らない。この場合は、再び1枚、または3枚の遊技メダルをベットした後、スタートレバー36を操作して回胴を回転させることによって、次のゲームを行う。本実施例の遊技機1では、こうした操作を繰り返し行うことによってゲームが進行するようになっている。
【0048】
こうした遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下では、主制御基板200が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
【0049】
C.制御の概要 :
図7は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図8は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が投入され、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのチェックサムなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。
【0050】
図7に示すように、遊技制御処理を開始すると、先ず初めに遊技状態設定処理(ステップ100。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。遊技状態設定処理の詳細については後述するが、この処理では、大まかには次のような処理を行う。前述したように、本実施例の遊技機1では、ビックボーナス遊技(BB遊技)やリプレイタイム遊技(RT遊技)といった特殊な遊技状態が設けられており、遊技状態に応じて遊技役の入賞し易さや入賞する遊技役の種類が異なっている。遊技状態設定処理では、現在の遊技状態が何れであるかを検出するとともに終了条件が満たされたか否かを判断し、終了条件が満たされた場合には、その遊技状態を終了させて、遊技状態を切り換える処理を行う。こうして遊技状態を切り換えることによって、遊技の印象を大きく変化させながら遊技が進行していく。
【0051】
遊技状態設定処理に続いて、主制御基板200は、メダル投入確認処理を行う(S102)。メダル投入確認処理では、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたか否か、あるいは遊技メダルがクレジットとして貯留されている場合に、一枚投入ボタン32または三枚投入ボタン34が操作されたか否かを確認する。前述したように、投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106に内蔵されたメダルセンサによって検出され、その検出信号が主制御基板200に供給される。また、各種投入ボタン32,34を操作した場合には、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、これらの信号に基づいて、遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。そして、遊技メダルが投入されたら、遊技を開始可能な状態になる。尚、各種投入ボタン32,34が操作された場合には、遊技メダルの貯留枚数から投入枚数を減算する処理も同時に行われる。
【0052】
上述のようにして遊技メダルの投入が確認できたら、スタートレバー36を操作することによって何時でも遊技を開始することが可能となるが、その前に、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。すなわち、遊技メダルをベットした後であっても、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cを回転させる前であれば、ベットした遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作されていた場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す処理を行う(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。
【0053】
一方、精算ボタン40が操作されていない場合には(S104:no)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S108)。前述したように遊技者がスタートレバー36を操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給され、3つの回胴20a,20b,20cが回転して遊技が開始される。主制御基板200は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。そして、スタートレバー36が操作されていない場合は(S108:no)、遊技者が未だ遊技を開始していないものと判断されるので、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S106)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。一方、スタートレバー36が操作されたら(S108:yes)、内部抽選処理を開始する(S110)。
【0054】
内部抽選処理では、図6を用いて前述した遊技役の何れかの入賞成立を許容するか否かを、抽選によって決定する処理を行う。尚、かかる抽選で何れかの遊技役に当選したとしても、直ちに遊技役の入賞が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ当選した遊技役の入賞を成立させることはできない。また逆に、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、抽選で当選した遊技役でなければ、入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできないようになっている。その意味で、かかる抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役の入賞を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから、内部抽選と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。尚、内部抽選処理は、遊技制御処理の中で主制御基板200に搭載されたCPU201よって行われていることから、本実施例の主制御基板200搭載されたCPU201は、本願発明における「遊技役抽選手段」の一態様を構成している。
【0055】
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、このテーブルには、遊技役と内部抽選用乱数との対応関係が設定されている。ここで内部抽選用乱数とは、主制御基板200がスタートレバー操作信号を受け取ったときに取得する乱数である。本実施例の遊技機1では、内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0〜65535の範囲の乱数値を取ることが可能となっている。尚、この抽選用の乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。
【0056】
図9は、最も一般的な遊技状態である通常遊技中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、通常遊技用の抽選テーブルでは、「ベルの小役」に対しては0〜7000の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベルの小役に内部当選することを表している。同様に、「スイカの小役」に対しては7001〜7200の乱数値が設定され、「チェリーの小役」には7201〜7800の乱数値が設定されている。また、「赤7のBB役」には7801〜7900の乱数値が、「青7のBB役」には7901〜8000の乱数値が設定されている。さらに、「再遊技役」に対しては8001〜17000の乱数値が設定されている。尚、17001〜65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。
【0057】
内部抽選処理では、以上のようにして、スタートレバー36が操作されたことを検出して内部抽選用乱数を取得するとともに、抽選テーブルを参照することにより、何れの遊技役に内部当選したか、若しくは何れの遊技役にも内部当選しなかったかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、当選した遊技役を内部当選フラグにセットする。ここで内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
【0058】
図10は、内部当選フラグが設定されているアドレスのデータ構造を示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスに設けられた1バイトデータのうち、下位側の6ビットが内部当選フラグとして用いられている。これら6ビット中の先頭のビットは、赤セブンのBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットは青セブンのBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。以下の4つのビットも同様に、それぞれ、ベルの小役、スイカの小役、チェリーの小役、再遊技役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。図7に示した内部抽選処理(S110)では、何れかの遊技役に内部当選していれば、図10に示した内部当選フラグの対応するビットに「1」を設定する処理を行う。
【0059】
内部抽選処理を終了すると、主制御基板200は、続いて回胴回転始動処理を開始する(S112)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満足されているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。本実施例の回胴回転始動処理では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モータ24a,24b,24cに対して駆動信号を出力することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる。
【0060】
こうして3つの回胴20a,20b,20cを回転させたら、主制御基板200は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S114)。かかる処理では、すべての回胴の回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、各回胴に対応する回胴停止ボタンの操作を有効化する。そして、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されると、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、各回転停止ボタンが操作された時に各回胴が何れの回転位置にあったかを、各回胴停止ボタンからの操作信号を受け取ったかに基づいて検出する。そして、その検出結果に基づいて、各回胴についての停止位置を、回胴停止ボタンが操作された時点での回胴の回転位置から190ms(回胴に描かれた図柄にして4コマ分回転する間)の遅延範囲内で決定し、決定した位置で回胴を停止させる制御を行う。尚、各回胴の停止位置を決定するに際しては、先に行われた内部抽選の結果が参照され、何れの遊技役にも内部当選していない場合には、どのようなタイミングで回胴停止ボタンが操作されても、遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが有効な入賞ライン上(図5参照)で停止表示されないように、回胴の停止位置が決定される。一方、ある遊技役に内部当選している場合には、よほどタイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが停止表示されるように、各回胴の停止位置が決定されるようになっている。
【0061】
以上のようにして、3つの回胴20a,20b,20cを停止させたら、主制御基板200は、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断する(S116)。ここで、「遊技役の入賞が成立する」とは、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せが、有効な入賞ライン上に揃って表示されることをいう。前述したように、本実施例の遊技機1では、内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役の入賞が成立しているか否かを判断するのである。
【0062】
そして、何れの遊技役の入賞も成立していないと判断された場合は(S116:no)、その遊技は終了となり、図7の遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理が行われる(図7のS100)。尚、本実施の遊技機1では、前述した内部抽選処理(S110)で「BB役」に当選した場合において、有効な入賞ライン上にBB役に対応する図柄組合せが停止表示されず、BB役の入賞が成立しなかったときに限り、BB役の内部当選が持ち越され、次回の遊技以降も「BB役」の内部当選フラグがセットされている状態で遊技が行われる。これに対して、他の遊技役(「小役」や「再遊技役」)に内部当選した場合は、有効な入賞ライン上に当選役に対応する図柄組合せを停止表示させることができなければ、その内部当選は次遊技以降に持ち越されることなくリセットされてしまう。
【0063】
一方、何れかの遊技役の入賞が成立したと判断された場合は(S116:yes)、先ず初めに、入賞の成立した遊技役が、再遊技役であるか否かを判断する(図8のS118)。そして、再遊技役の入賞が成立していた場合は(S118:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S120)。ここで、再遊技フラグとは、再遊技役に入賞したことを記憶しておくためのフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。この再遊技フラグがONにセットされていると、次回の遊技のメダル投入確認処理(図7のS102)において、再遊技役の入賞が成立した遊技で投入されていた枚数の遊技メダルが自動的に再投入される。こうして再遊技フラグをONにすると、主制御基板200は、図7の遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。
【0064】
以上では、入賞の成立した遊技役が再遊技役であった場合(S118:yes)に行われる処理について説明したが、入賞した遊技役が再遊技役でなかった場合には(S118:no)、次いで、入賞の成立した遊技役がBB役か否かを判断する(S122)。図6を用いて前述したように、BB役は、有効な入賞ライン上に、赤セブンの図柄が揃うか、青セブンの図柄が揃った場合に入賞が成立する遊技役である。そして、BB役の入賞が成立したと判断された場合には(S122:yes)、BB遊技フラグをONに設定するとともに(S124)、BB遊技フラグ以外の遊技状態フラグをOFFに設定する(S126)。ここで、BB遊技フラグとは、遊技状態を、前述したビッグボーナス遊技(BB遊技)と呼ばれる遊技者にとって有利な遊技状態とするか否かを示すフラグである。前述したように、本実施例の遊技機1には、BB遊技やRT遊技(リプレイタイム遊技)といった複数の遊技状態が設けられており、これらの遊技状態を切り換えながら遊技が進行していく。そして、現在の遊技状態が何れであるかは、遊技状態フラグと呼ばれる専用のフラグの状態によって表されている。主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスには、遊技状態フラグを設定するための1バイト分の領域が確保されている。
【0065】
図11は、遊技状態フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスの1バイトデータのうち、下位側の2ビットが遊技状態フラグとして用いられている。これら2ビットの上位側のビットがBB遊技フラグに設定されており、BB遊技フラグをONにする場合には(S124)、このビットに「1」を設定する。尚、上述した再遊技フラグも遊技状態フラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。本実施例の遊技機1では、遊技状態フラグとして用いられる2ビットの1つ上位のビットが再遊技フラグとして用いられており、S120では、このビットに「1」を設定する処理を行う。
【0066】
また、本実施例の遊技機1では、BB役の入賞が成立すると、現在の遊技状態が何れの遊技状態であっても、遊技状態をBB遊技に切り換えるようになっている。そのため、BB遊技フラグをONに設定すると同時に、BB遊技フラグ以外の遊技状態フラグをOFFに設定(BB遊技フラグ以外の遊技状態フラグのビットに「0」を設定)するのである。こうしてBB遊技フラグがONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻って遊技状態設定処理(S100)を開始すると、BB遊技フラグがONになっていることが検出され、遊技状態がBB遊技に切り換わって、以降の上述した一連の処理が行われる。S100において、BB遊技フラグに基づいて遊技状態をBB遊技に切り換える処理の詳細については後述する。
【0067】
一方、入賞の成立した遊技役がBB役でないと判断された場合は(S122:no)、再遊技役、BB役の何れでもないから、何れかの小役の入賞が成立したものと判断される。そこで、入賞の成立した小役に応じた枚数の遊技メダルを払い出す処理を行う(S128)。すなわち、入賞の成立した遊技役がベルの小役であれば、15枚の遊技メダルを払い出し、スイカの小役であれば10枚の遊技メダルを払い出し、チェリーの小役であれば2枚の遊技メダルを払い出す処理を行う。かかる処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、主制御基板200からメダル払出装置118に対して制御信号を出力することによって行われる。
【0068】
こうして遊技メダルを払い出したら、入賞の成立した遊技役がチェリーの小役であるか否かを判断する(S130)。そして、チェリーの小役の入賞が成立していた場合は(S130:yes)、RT遊技フラグを設定するための処理(RT遊技フラグ設定処理)を行う(S132)。RT遊技フラグ設定処理の詳細については後述するが、この処理では、所定の条件が満たされているか否かを確認し、条件が満たされている場合にはRT遊技フラグをONに設定する処理を行う。ここで、RT遊技フラグとは、遊技状態を、前述したリプレイタイム遊技(RT遊技)と呼ばれる特殊な遊技状態とするか否かを示すフラグである。図11に示した遊技状態フラグの2ビットのうちの下位のビットがRT遊技フラグに設定されており、RT遊技フラグをONにする場合には、このビットに「1」を設定する。RT遊技フラグがONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)において、遊技状態がRT遊技に切り換わって、以降の一連の処理が行われる。
【0069】
これに対して、入賞の成立した遊技役がチェリーの小役ではなかった場合、すなわち、ベルの小役あるいはスイカの小役の入賞が成立していた場合には(S130:no)、RT遊技フラグ設定処理を行うことなく、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。
【0070】
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、遊技メダルを投入し、スタートレバー36を操作すると、回胴20a,20b,20cの回転が開始され、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押して回胴が停止したときに遊技役の入賞が成立しているか否かによって遊技メダルが払い出されるという遊技を繰り返し行う。この遊技の基本的な操作は共通であるが、本実施例の遊技機1では、複数の遊技状態が設けられており、何れの遊技状態であるかに応じて、遊技役の入賞し易さや入賞する遊技役の種類を切り換えることにより、遊技の印象を大きく異ならせることができる。この遊技状態を切り換えるための処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭で行われる遊技状態設定処理(S100)において行われている。以下では、遊技状態設定処理の内容について詳しく説明する。
【0071】
C−1.遊技状態設定処理 :
図12は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の流れを示すフローチャートである。主制御基板200に搭載されたCPU201が、かかる処理を行って、ROM202に記憶されている抽選テーブルを選択することによって、複数の遊技状態を切り換えている。
【0072】
遊技状態設定処理を開始すると、先ず初めに主制御基板200のCPU201は、図11に示した遊技状態フラグを参照して、BB遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S200)。前述したように、BB遊技フラグは、遊技状態をBB遊技とするか否かを示すフラグであり、有効な入賞ライン上にBB役に対応する図柄組合せが揃って、BB役の入賞が成立したと判断された場合に(図8のS122:yes)、ONの状態に設定される(S124)。
【0073】
そして、BB遊技フラグがONに設定されていた場合は(S200:yes)、次いで、BB遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S202)。前述したように本実施例の遊技機1では、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、465枚)に達すると、そのBB遊技が終了するように設定されている。従って、S202では、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数に達したか否かを判断する。当然ながら、BB遊技フラグがONに設定されてBB遊技が開始された直後の遊技では、BB遊技の終了条件が成立することはない。そこで、S202では「no」と判断され、BB遊技用の抽選テーブルを選択する(S204)。
【0074】
図13は、本実施例の遊技機1で用いられるBB遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。BB遊技用の抽選テーブルは、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと比較すると、BB役に対して乱数範囲が設定されておらず、BB遊技中は、BB役の入賞成立によって重ねてBB遊技が開始されることを避けるようになっている。また、再遊技役に対して乱数範囲が設定される代わりに、「JAC」と呼ばれる特殊な遊技役に対して広範囲の乱数値が設定されている。本実施例の遊技機1では、JACの入賞を成立させる図柄組合せは、通常遊技中に再遊技役の入賞を成立させる図柄組合せ(図6参照)と同じ図柄組合せに設定されている。従って、BB遊技中に、再遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが揃った場合には、JACの入賞が成立して、所定枚数(例えば、15枚)の遊技メダルが払い出されるようになっている。このようにBB遊技中は、各種の小役よりも入賞の成立し易い遊技役であるJACが追加され、JACの入賞が成立する度に15枚ずつ遊技メダルが払い出されるため、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。
【0075】
また、主制御基板200のCPU201は、BB遊技用抽選テーブルの選択に続いて、BB遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S206)。図4を用いて前述したように、サブ制御基板220には、各種ランプ類12や、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。また、サブ制御基板220にはCPUが搭載されており、主制御基板200からBB遊技用の演出コマンドを受け取ると、そのコマンドの内容を解釈して、現在の遊技状態がBB遊技中であることを、遊技者に印象付けるような演出が行われる。
【0076】
以上に説明したように、BB遊技フラグがONに設定されている場合には(S200:yes)、そのBB遊技の終了条件が成立するまで(S202:no)、BB遊技用の抽選テーブルを選択し(S204)、BB遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に出力したら(S206)、図12に示す遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
【0077】
一方、BB遊技の終了条件が成立したと判断された場合は(S202:yes)、BB遊技を終了するべく、BB遊技フラグをOFFにする(S208)。前述したように、BB遊技フラグをONに設定したら、BB遊技フラグ以外の遊技状態フラグをOFFに設定することから(図8のS126)、BB遊技フラグをOFFにすると、図11に示した遊技状態フラグは何れもOFFに設定された状態、すなわち、遊技状態が通常遊技であることを示す状態となる。
【0078】
以上では、BB遊技フラグがONに設定されている場合に行われる処理について説明したが、BB遊技フラグがOFFに設定されている場合は(S200:no)、今度は、RT遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S210)。そして、RT遊技フラグがONに設定されていた場合は(S210:yes)、次いで、RT遊技の終了条件が満たされたか否かを判断する(S212)。本実施例の遊技機1では、RT遊技の終了条件としては、BB役の入賞が成立してBB遊技に切り換わるか、BB遊技に切り換わらないまま規定回数(本実施例では100回)の遊技を消化した場合に設定されている。このうち、BB役の入賞成立によってRT遊技が終了する場合は、前述したS200において「yes」と判断されて、続く処理が行われる。従って、S212では、規定回数の遊技を消化したか否かを判断すればよい。もちろん、RT遊技が開始されて間もない遊技では、RT遊技の終了条件が成立することはないから(S212:no)、RT遊技用の抽選テーブルを選択する(S214)。
【0079】
図14は、本実施例の遊技機1で用いられるRT遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。RT遊技用の抽選テーブルは、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと比較すると明らかなように、再遊技役に対して設定された乱数範囲が大幅に拡大され、その分だけ、ハズレの乱数範囲が縮小されている。このため、RT遊技は、非常に高い確率で再遊技役の入賞が成立する遊技状態となっている。前述したように、再遊技役の入賞が成立すると、遊技メダルを投入することなく次回の遊技を行うことができるため、RT遊技中は、遊技者はあまり遊技メダルを減らすことなく遊技を継続することが可能である。
【0080】
次いで、主制御基板200のCPU201は、RT遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力した後(S216)、図12に示した遊技状態設定処理を終了して、図7および図8の遊技制御処理に復帰する。サブ制御基板220は、RT遊技用の演出コマンドを受け取ると、コマンドの内容に応じて各種ランプ類12や、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどを制御することにより、現在の遊技状態がRT遊技中であることを印象付けるような演出を行う。
【0081】
このような処理を繰り返しながらRT遊技を継続しているうちに、RT遊技の終了条件が成立した(すなわち、BB遊技に切り換わらないまま規定回数の遊技を消化した)と判断された場合は(S212:yes)、RT遊技を終了するべくRT遊技フラグをOFFにする(S218)。こうしてRT遊技フラグをOFFにすると、遊技状態が通常遊技であることを示す状態となる。
【0082】
以上、RT遊技フラグがONに設定されている場合について説明したが、RT遊技フラグがOFFに設定されている場合は(S210:no)、図11に示した2種類の遊技状態フラグ(BB遊技フラグおよびRT遊技フラグ)は、何れもOFFに設定されていることになるので、遊技状態は通常遊技であると判断される。従って、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルを選択した後(S220)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向かって出力すると(S222)、図12の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8を用いて前述した遊技制御処理に復帰する。尚、上述したように、BB遊技の終了条件の成立によってBB遊技フラグがOFFにされた場合や(図12のS208)、RT遊技の終了条件成立によってRT遊技フラグがOFFにされた場合にも(S218)、当然ながら、遊技状態は通常遊技となるので、通常遊技用の抽選テーブルを選択することになる(S220)。
【0083】
遊技制御処理では、処理を開始すると先ず初めに、上述した遊技状態設定処理を行って、遊技状態フラグの設定に応じた適切な抽選テーブルを選択することにより、遊技状態を切り換えながら遊技が進行する。そして、遊技状態設定処理において参照されるRT遊技フラグ(図12のS210)については、遊技制御処理の中でチェリーの小役の入賞が成立した後に行われるRT遊技フラグ設定処理(図8のS132)の中でONに設定される。以下では、RT遊技フラグ設定処理の詳細な内容について説明する。
【0084】
C−2.RT遊技フラグ設定処理 :
図15は、本実施例の遊技機1で行われるRT遊技フラグ設定処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、この処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の中で、チェリーの小役の入賞が成立した場合に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である(図8のS132)。
【0085】
RT遊技フラグ設定処理を開始すると、先ず初めに、図11に示した遊技状態フラグを参照して、何れかの遊技状態フラグがONに設定されているか否かを判断する(S300)。そして、何れの遊技状態フラグもOFFに設定されていた場合には(S300:no)、現在の遊技状態は通常遊技であると判断される。本実施例の遊技機1では、通常遊技中にチェリーの小役の入賞が成立したら、遊技状態がRT遊技へと切り換わるようになっている。そこで、S300の判断において「no」と判断された場合には、RT遊技を開始するために、RT遊技フラグをONに設定する(S302)。
【0086】
主制御基板200のCPU201は、RT遊技フラグをONに設定すると、次いで、前回のRT遊技を終了してからの遊技回数が所定回数に達しているか否かを確認する(S304)。前述したように、RT遊技中に規定回数(本実施例では100回)の遊技を消化すると、RT遊技を終了して、遊技状態が通常遊技に切り換わるようになっている(図12のS218)。加えて、本実施例の遊技機1では、規定回数の遊技消化によってRT遊技を終了した後、所定回数(本実施例では30回)の遊技が終了するまでの期間をRT無効期間としており、この期間中はRT遊技の開始を無効にするようになっている。そこで、S302でRT遊技フラグをONに設定したら、RT遊技を終了してからの遊技回数を確認する(S304)。そして、遊技回数が所定回数(本実施例では30回)に達していた場合には(S304:yes)、RT無効期間を既に過ぎているので、RT遊技フラグをONに設定したままの状態で図15のRT遊技フラグ設定処理を終了する。こうしてRT遊技フラグがONの状態で遊技制御処理(図7および図8)に復帰すると、遊技状態設定処理(S100)においてRT遊技用の抽選テーブルが選択され(図12のS214)、遊技状態がRT遊技に切り換わって、S212の判断で終了条件が成立するまでRT遊技が継続される。尚、RT遊技フラグをONに設定することによってRT遊技を開始させる処理は、本発明における「リプレイタイム状態開始手段」に相当している。また、RT遊技の終了条件が成立した場合に(図12のS212:yes)、RT遊技フラグをOFFに設定する処理は、本発明における「リプレイタイム状態終了手段」に相当している。なお、これらの処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって行われる。
【0087】
これに対して、RT遊技終了後の遊技回数が所定回数に達していない場合には(S304:no)、RT無効期間中であることから、RT遊技の開始契機であるチェリーの小役の入賞が成立しても、RT遊技の開始を無効にする必要がある。そこで、S226においてONに設定したRT遊技フラグを再びOFFに戻した後(S306)、図15のRT遊技フラグ設定処理を終了する。そして、何れの遊技状態フラグもOFFに設定された状態で遊技制御処理に復帰すると、遊技状態設定処理(S100)では、通常遊技用の抽選テーブルが選択されて(図12のS220)、通常遊技が行われる。尚、RT遊技フラグをOFFに戻すことによってRT遊技の開始を無効とする処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「リプレイタイム状態無効手段」の一態様を構成している。
【0088】
以上では、何れの遊技状態フラグもOFFに設定されていた場合について説明したが、何れかの遊技状態フラグがONに設定されていた場合には(S300:yes)、現在の遊技状態はRT遊技あるいはBB遊技の何れかであると判断される。本実施例の遊技機1では、RT遊技中またはBB遊技中にチェリーの小役の入賞が成立しても、次のような理由からRT遊技フラグをONに設定する処理を行わないようになっている。先ず、RT遊技中であれば、既にRT遊技フラグがONに設定されているため、重ねてフラグをONに設定する必要はない。また、前述したようにBB遊技は、多量の遊技メダルが払い出される遊技者にとって有利な遊技状態であるところ、BB遊技中にRT遊技フラグがONに設定されて、BB遊技からRT遊技に切り換わると、BB遊技中に遊技者に与えられるべき特典を十分に付与することができない場合も生じてしまうためである。従って、S300において「yes」と判断されたら、RT遊技フラグをONに設定することなく、そのまま図15のRT遊技フラグ設定処理を終了して、図7および図8の遊技制御処理に復帰する。
【0089】
尚、上述した本実施例のRT遊技フラグ設定処理では、RT遊技フラグをONにした後(S302)、RT遊技を終了してからの遊技回数を確認して、所定回数に達していなければ(S304:no)、RT遊技フラグをOFFに戻すこととしていた(S306)。しかし、これとは逆に、先にRT遊技終了後の遊技回数を確認し、所定回数に達していない場合には、RT遊技フラグをONに設定する処理を行わないようにしてもよい。
【0090】
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、遊技状態として通常遊技、RT遊技、BB遊技の3種類が設けられており、これらの遊技状態を切り換えながら遊技が進行する。また、チェリーの小役が、RT遊技の開始契機となる遊技役(RT開始役)に設定されており、通常遊技中にチェリー小役の入賞が成立すると、遊技状態がRT遊技に切り換わるようになっている。しかしながら、RT遊技を終了して通常遊技に戻ってから所定回数(本実施例では30回)の遊技を終了するまでの期間は、例外的にチェリーの小役の入賞が成立してもRT遊技の開始を無効にする処理が行われる。遊技者にとっては、通常遊技中に同じようにチュリーの小役の入賞が成立しているにもかかわらず、遊技状態がRT遊技に切り換わる場合と切り換わらない場合とがあるように感じられるので、遊技に変化を付けることができる。その結果、遊技が単調な印象を与えてしまうことを回避することが可能となる。
【0091】
また仮に、上述したようなRT無効期間(RT遊技の開始を無効にする期間)を設けることなく、通常遊技中にチェリー小役の入賞が成立したら常にRT遊技を開始することとした場合には、RT遊技の終了直後にチェリー小役の入賞が成立して再びRT遊技が開始されるということ(RT遊技の連続発生)が起こり得る。こうしたことが多発すると、遊技者に過度の利益を与えることとなり、ひいては遊技者の射幸心をいたずらに煽ることになるおそれがある。これに対して、本実施例の遊技機1では、RT遊技を終了して通常遊技に戻ってから所定回数(本実施例では30回)の遊技を終了するまでの間は、たとえチェリー小役の入賞が成立したとしても、RT遊技の開始を無効にするようになっている。このため、RT遊技の連続発生を防止することができ、結果として、遊技の射幸性が過度に高くなってしまうことを回避することが可能となる。
【0092】
D.変形例 :
以上に説明した実施例では、RT遊技の開始を無効にする期間を通常遊技中に設けるものとして説明した。しかし、必ずしも通常遊技中に限定されるものではなく、RT遊技の開始が無効にされる遊技状態を別に設けることとしてもよい。以下では、このような構成を採用した変形例について説明する。
【0093】
図16は、変形例の遊技機1が複数の遊技状態を切り換えながら遊技を行う様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、変形例の遊技機1にも、前述した実施例と同様に、遊技状態として「通常遊技」、「BB遊技」、「RT遊技」が設けられているが、変形例の遊技機1では、さらに「特定通常遊技」が設けられており、全部で4種類の遊技状態を切り換えながら遊技が進行する。
【0094】
先ず、遊技を開始した直後は、遊技状態が「通常遊技」に設定されている。そして、変形例の「通常遊技」中も、前述した実施例と同様に、BB役の入賞が成立すると、遊技状態が「BB遊技」に切り換わり、また、チェリーの小役の入賞が成立すると、遊技状態が「RT遊技」へと切り換わる。加えて、変形例の「通常遊技」中は、ベルの小役の入賞が成立すると、遊技状態が「特定通常遊技」に切り換わるようになっている。すなわち、「通常遊技」からは、「BB遊技」、「RT遊技」、「特定通常遊技」の何れかの遊技状態に切り換わる。
【0095】
「BB遊技」に切り換わると、前述した実施例と同様に、非常に高い確率で「JAC」と呼ばれる遊技役に内部当選するようになり(図13)、JACの入賞成立の度に所定枚数(例えば、15枚)の遊技メダルが払い出される。そして、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、465枚)に達すると、「BB遊技」を終了して「通常遊技」に切り換わる。
【0096】
また、前述した実施例と同様に、「RT遊技」に切り換わると、非常に高い確率で再遊技役の入賞が成立するようになるため(図14)、遊技者は、あまり遊技メダルを減らすことなく、BB役の入賞を狙って遊技を継続することができる。そして、BB役の入賞が成立すると、上述した「BB遊技」へと遊技状態が切り換わる。前述した実施例では、BB遊技に切り換わらないまま規定回数(100回)の遊技を消化すると、「RT遊技」を終了して「通常遊技」に切り換わるようになっていたが、変形例の遊技機1では、「RT遊技」での遊技回数に制限が設けられておらず、その代わりに、ベルの小役の入賞が成立すると、遊技状態が「特定通常遊技」に切り換わる。従って、変形例の「RT遊技」からは、「BB遊技」または「特定通常遊技」の何れかの遊技状態に切り換わるようになっている。
【0097】
そして、「特定通常遊技」に切り換わると、特定通常遊技用に設定された抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図17は、特定通常遊技用の抽選テーブルを概念的に示した説明図である。特定通常遊技用の抽選テーブルは、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと比較すると、再遊技役に対して設定された乱数範囲が拡大され、その分だけ、ハズレの乱数範囲が縮小されている。従って、「特定通常遊技」は、「通常遊技」よりも再遊技役の入賞が成立し易い遊技状態となっている。とはいえ、図13に示したRT遊技用の抽選テーブルに比べると再遊技役の乱数範囲が大幅に縮小されていることから、「特定通常遊技」では、「RT遊技」中のように再遊技役の入賞が頻繁に成立するわけではない。その意味で、「特定通常遊技」での遊技の内容は「通常遊技」に近いといえる。そして、この「特定通常遊技」においても、「通常遊技」や「RT遊技」と同様に、BB役の入賞が成立すると、遊技状態が「BB遊技」へと切り換わる。もっとも、図21に示されているように、BB役の内部当選確率は決して高いものではない。そこで、変形例の遊技機1では、「特定通常遊技」の状態で、「BB遊技」に切り換わらないまま、所定回数(変形例では30回)の遊技が行われると、遊技状態が「通常遊技」に切り換わるようになっている。
【0098】
図18は、変形例の遊技機1において主制御基板200が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図19は、変形例の遊技機1において主制御基板200が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。図7および図8を用いて前述した実施例と同様に、変形例の遊技制御処理においても、処理を開始すると先ず初めに、遊技状態設定処理を行って、遊技状態フラグの状態に応じて遊技状態を切り換える(S400)。尚、変形例の遊技状態設定処理の詳細については後述する。
【0099】
遊技状態設定処理に続いて、遊技メダルが投入されたか(S402)、精算ボタンが操作されていないか(S404)、およびスタートレバーが操作されたか(S408)を確認し、これら全てが確認されたら内部抽選処理を行って、複数設けられた遊技役の何れかの入賞成立を許容するか否かを決定する(S410)。次いで、回胴回転始動処理を行って回胴20a,20b,20cを回転させた後(S412)、回胴回転停止処理によって回胴20a,20b,20cを停止させると(S414)、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断する(S416)。
【0100】
そして、何れの遊技役の入賞も成立していないと判断された場合には(S416:no)、その遊技は終了となり、遊技制御処理の先頭に戻って、続く上述した一連の処理を実行する。一方、何れかの遊技役の入賞が成立していた場合には(S416:yes)、入賞の成立した遊技役に応じた処理を実行する。先ず、再遊技役の入賞が成立した場合には(図19のS418:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S420)。また、BB役の入賞が成立した場合には(S422:yes)、BB遊技フラグをONに設定する(S424)。そして、小役の入賞が成立した場合には(S422:no)、メダル払出処理を行うとともに(S428)、入賞の成立した小役の種類を確認する(S430,S434)。
【0101】
図7および図8を用いて前述した実施例では、入賞の成立した小役がチェリー小役であるか否かについてのみ判断していたが、変形例の遊技機1では、さらに、入賞の成立した小役がベル小役であるか否かについても判断する(S430)。そして、ベル小役の入賞が成立していた場合は(S430:yes)、特定通常遊技フラグを設定するための処理(特定通常遊技フラグ設定処理)を行う(S432)。この特定通常遊技フラグ設定処理の詳細については後述するが、この処理では、現在の遊技状態が何れの遊技状態であるかを確認し、所定の遊技状態であった場合には、特定通常遊技フラグをONに設定する処理を行う。ここで、特定通常遊技フラグとは、遊技状態を、前述した特定通常遊技とするか否かを示すフラグである。一方、チェリー小役の入賞が成立していた場合は(S434:yes)、前述した実施例と同様に、RT遊技フラグ設定処理を行う(S436)。尚、変形例のRT遊技フラグ設定処理の詳細については後述する。
【0102】
これに対して、入賞の成立した小役がベル小役でもなく(S430:no)、チェリー小役でもない場合(S434:no)、すなわち、スイカの小役の入賞が成立していた場合には、そのまま遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理(S400)を開始する。
【0103】
図20は、変形例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図21は、変形例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の後半部分を示すフローチャートである。図12を用いて前述した実施例と同様に、変形例の遊技状態設定処理においても、遊技状態フラグを参照して、何れの遊技状態フラグがONに設定されているかに応じて処理を実行する。先ず、BB遊技フラグがONであった場合には(S500:yes)、そのBB遊技の終了条件が満たされたか否か(BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数に達したか否か)を判断し(S502)、まだ満たされていなければ(S502:no)、BB遊技用の抽選テーブル(図13)を選択するとともに(S504)、BB遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向けて出力する(S506)。一方、所定枚数の遊技メダルを払い出してBB遊技の終了条件が満たされたら(S502:yes)、BB遊技フラグをOFFにする(S508)。
【0104】
また、特定通常遊技フラグがONであった場合は(S510:yes)、次いで、特定通常遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S512)。図16を用いて前述したように、特定通常遊技の終了条件としては、BB役の入賞が成立してBB遊技に切り換わるか、BB遊技に切り換わらないまま規定回数(変形例では30回)の遊技を消化した場合に設定されている。このうち、BB役の入賞成立によってRT遊技が終了する場合は、前述したS200において「yes」と判断されて、続く処理が行われる。従って、S512では、規定回数の遊技を消化したか否かを判断すればよい。そして、まだ規定回数の遊技を消化していなければ(S512:no)、特定通常遊技用の抽選テーブル(図17)を選択するとともに(S514)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向けて出力する(S518)。その結果、遊技状態は通常遊技ではなく特定通常遊技でありながら、演出態様は通常遊技と同じになっている。一方、規定回数の遊技を消化して特定通常遊技の終了条件が満たされたら(S512:yes)、特定通常遊技フラグをOFFにする(S518)。
【0105】
さらに、RT遊技フラグがONであった場合には(図21のS520:yes)、RT遊技用の抽選テーブル(図14)を選択するとともに(S522)、RT遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向けて出力する(S524)。ここで、図12を用いて前述した実施例では、RT遊技状態フラグがONであると、RT遊技の終了条件が満たされたか否かを判断するようになっていた。これに対して、変形例の遊技機1では、終了条件が満たされたか否かの判断を行うことなく、抽選テーブルの選択を行っている。図16を用いて前述したように、変形例のRT遊技の終了条件としては、BB遊技に切り換わるか、あるいは特定通常遊技に切り換わる場合に設定されており、遊技回数は制限されていない。そして、BB遊技に切り換わる場合はS500で「yes」と判断され、特定通常遊技に切り換わる場合はS510で「yes」と判断されて、それぞれ上述した続く処理が行われる。結局、上述した処理の中で既に判断されていることになるので、ここでは終了条件が満たされたか否かを判断する必要はない。
【0106】
以上では、何れかの遊技状態フラグがONであった場合について説明したが、何れのフラグもOFFであった場合には(S520:no)、遊技状態は通常遊技であると判断されるので、通常遊技用の抽選テーブル(図9)を選択するとともに(S526)、通常遊技用の演出コマンドをサブ制御基板220に向けて出力したら(S528)、図20および図21の遊技状態設定処理を終了して、図18および図19を用いて前述した遊技制御処理に復帰する。
【0107】
図22は、変形例の遊技制御処理の中で実行される特定通常遊技フラグ設定処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、この処理は、図18および図19に示した遊技制御処理の中で、ベルの小役の入賞が成立した場合に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である(図19のS432)。
【0108】
特定通常遊技フラグ設定処理を開始すると、先ず初めに、遊技状態フラグを参照して、何れかの遊技状態フラグがONに設定されているか否かを判断する(S600)。そして、何れの遊技状態フラグもOFFに設定されていた場合には(S600:no)、遊技状態は通常遊技であると判断される。図16を用いて前述したように、変形例の遊技機1では、通常遊技中にベルの小役の入賞が成立したら、遊技状態が特定通常遊技に切り換わるようになっている。そこで、S600の判断で「no」と判断された場合には、特定通常遊技を開始するために特定通常遊技フラグをONに設定した後(S602)、図22の特定通常遊技フラグ設定処理を終了して、図18および図19の遊技制御処理に復帰する。こうして特定通常遊技フラグがONの状態で遊技制御処理に復帰すると、遊技状態設定処理(S400)において特定通常遊技用の抽選テーブルが選択され(図20のS514)、遊技状態が特定通常遊技に切り換わって、S512の判断で終了条件が成立するまで特定通常遊技が継続される。尚、変形例の特定通常遊技は、本発明における「特定状態」に相当しており、特定通常遊技フラグをONに設定することによって特定通常遊技を開始させる処理は、本発明における「特定状態開始手段」に相当する。また、特定通常遊技フラグをOFFにして(S518)特定通常遊技を終了させる処理は、本発明における「特定状態終了手段」に相当する。そして、これらの処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって行われる。
【0109】
これに対して、何れかの遊技状態フラグがONに設定されていた場合には(S600:yes)、そのONに設定されている遊技フラグがRT遊技フラグであるか否かの判断を行う(S604)。図16に示したように、変形例のベル小役は、RT遊技を終了させる契機となる遊技役(RT終了役)に設定されており、RT遊技中にベル小役の入賞が成立すると、遊技状態が特定通常遊技に切り換わるようになっている。そこで、RT遊技フラグがONに設定されていた場合には(S604:yes)、RT遊技を終了するためにRT遊技フラグをOFFに設定した後(S606)、特定通常遊技フラグをONに設定して(S602)、図22の特定通常遊技フラグ設定処理を終了する。
【0110】
一方、RT遊技フラグがOFFに設定されていた場合には(S604:no)、BB遊技フラグあるいは特定通常遊技フラグの何れかがONに設定されている(すなわち、現在の遊技状態はBB遊技あるいは特定通常遊技の何れかである)と判断される。前述したように、BB遊技中に別の遊技状態フラグがONに設定されて、BB遊技から別の遊技状態に切り換わってしまうと、BB遊技中に遊技者に与えられるべき特典(所定枚数の遊技メダルの払出)を十分に付与することができない場合も生じるので、BB遊技中は特定通常遊技フラグをONに設定する処理を行わない。また、特定通常遊技中であれば、既に特定通常遊技フラグはONに設定されているため、そのまま図22の特定通常遊技フラグ設定処理を終了して、図18および図19に示した遊技制御処理に復帰する。
【0111】
以上のように、特定通常遊技フラグ設定処理では、現在の遊技状態を確認し、通常遊技あるいはRT遊技の何れかであった場合には、特定通常遊技フラグをONに設定する。そして、特定通常遊技フラグがONの状態で遊技制御処理(図18および図19)に復帰すると、前述した遊技状態設定処理(S400)において、特定通常遊技用の抽選テーブル(図17)が選択されるとともに(図20のS514)、通常遊技用の演出コマンドがサブ制御基板220に向けて出力されるため(S516)、演出態様は通常遊技と同じでありながら、遊技状態は特定通常遊技に切り換わる。
【0112】
図23は、変形例の遊技機1におけるRT遊技フラグ設定処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、この処理は、図18および図19に示した遊技制御処理の中で、チェリーの小役の入賞が成立した場合に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である(図19のS436)。
【0113】
変形例のRT遊技フラグ設定処理では、処理を開始すると先ず初めに、RT遊技フラグをONに設定する(S700)。前述した実施例と同様に、変形例の遊技機1においても、チェリーの小役は、RT遊技を開始する契機となる遊技役(RT開始役)に設定されている。そこで、チェリー小役の入賞成立が確認されたら、先ず初めにRT遊技フラグをONに設定しておく。
【0114】
こうしてRT遊技フラグをONに設定したら、遊技状態フラグを参照して、RT遊技フラグ以外の遊技状態フラグがONになっているか否かを判断する(S702)。そして、RT遊技フラグ以外の遊技状態フラグがONであれば(S702:yes)、BB遊技フラグあるいは特定通常遊技フラグの何れかがONに設定されていることになり、BB遊技中あるいは特定通常遊技中にチェリー小役の入賞が成立したものと判断される。前述したように、BB遊技中にRT遊技フラグがONに設定されてBB遊技からRT遊技に切り換わると、BB遊技における利益(所定枚数の遊技メダルの払出)を遊技者が十分に享受できない場合も生じるため、BB遊技中である場合には、RT遊技フラグをOFFにしておく。また、図16を用いて前述したように、特定通常遊技からは、通常遊技あるいはBB遊技の何れかに切り換わるようになっており、特定通常遊技から直接RT遊技に切り換わることは許容されていないので、特定通常遊技中である場合には、RT遊技の開始を無効にして特定通常遊技を継続する必要がある。この意味で、特定通常遊技は、RT遊技の開始が無効にされる遊技状態ということができる。結局、RT開始役であるチェリー小役の入賞が成立した場合であっても、S702において「yes」と判断されたら、RT遊技の開始を無効にするべく、S700でONに設定したRT遊技フラグを再びOFFに戻した後(S704)、図23のRT遊技フラグ設定処理を終了する。尚、RT遊技フラグをOFFに戻すことによってRT遊技の開始を無効とする処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって行われている。従って、変形例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、前述した実施例と同様に本発明における「リプレイタイム状態無効手段」の一態様を構成している。また、RT開始役であるチェリー小役の入賞が成立した際に、現在の遊技状態が特定通常遊技であるか否かを判断する処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって行われている。
【0115】
これに対して、RT遊技フラグ以外の遊技状態フラグがすべてOFFであれば(S702:no)、通常遊技中あるいはRT遊技中にチェリー小役の入賞が成立したものと判断される。図16を用いて前述したように、通常遊技中にチェリー小役の入賞が成立すると、遊技状態がRT遊技に切り換わるようになっている。また、RT遊技中であれば、もともとRT遊技フラグはONの状態になっており、このRT遊技はBB役あるいはベル小役の入賞が成立するまで継続される。従って、S702で「no」と判断されたら、RT遊技フラグをONに設定したままの状態で図23のRT遊技フラグ設定処理を終了する。こうしてRT遊技フラグがONの状態で遊技制御処理(図18および図19)に復帰すると、遊技状態設定処理(S400)においてRT遊技用の抽選テーブル(図14)が選択され(図21のS522)、遊技状態がRT遊技に切り換わる。
【0116】
尚、上述した変形例のRT遊技フラグ設定処理では、RT遊技フラグをONにした後(S700)、遊技状態が何れであるかを確認して、BB遊技中や特定通常遊技中であれば(S702:yes)、RT遊技フラグをOFFに戻すこととしていた(S704)。しかし、先ず初めに遊技状態を確認することとして、BB遊技中あるいは特定通常遊技中である場合には、RT遊技フラグをONに設定する処理を行わないようにしてもよい。
【0117】
以上に説明したように、変形例の遊技機1では、遊技状態として、通常遊技、RT遊技、BB遊技に加えて、特定通常遊技が設けられている。この特定通常遊技は、通常遊技と演出態様が同じでありながら、実際には、通常遊技とは異なる遊技状態である。そして、通常遊技中は、RT開始役であるチェリー小役の入賞成立によって、RT遊技が開始されるのに対して、特定通常遊技中にチェリー小役の入賞が成立しても、RT遊技の開始が無効にされるようになっている。このようにしておくことで、遊技者にとっては、通常遊技と特定通常遊技とが同じ遊技状態であるように見えるので、同じようにチェリーの小役の入賞が成立しても、遊技状態がRT遊技に切り換わる場合と切り換わらない場合とがあるように印象付けることができる。このため、遊技者は、チェリー小役の入賞が成立する度にRT遊技が開始されるのではないかと期待するようになり、その結果、遊技興趣を効果的に盛り上げることが可能となる。
【0118】
また、変形例の遊技機1では、ベル小役の入賞成立によってRT遊技を終了すると、遊技状態が特定通常遊技に切り換わるようになっており、この特定通常遊技中は、RT開始役であるチェリー小役の入賞が成立しても、RT遊技の開始が無効にされる。このため、前述した実施例と同様に、RT遊技の終了直後にチェリー小役の入賞が成立して再びRT遊技が開始されること(RT遊技の連続発生)を防止することができ、その結果、遊技の射幸性が高くなり過ぎることを回避することが可能となる。
【0119】
加えて、前述したように、変形例の遊技機1では、RT遊技からだけでなく、通常遊技からもベル小役の入賞成立によって特定通常遊技に切り換わるようになっている。そして、特定通常遊技状態で所定回数(変形例では30回)の遊技を消化すると通常遊技に戻るとともに、図9に示されているように、ベル小役は比較的入賞が成立し易い遊技役であることから、通常遊技と特定通常遊技との間を行ったり来たりするようになる。このように、RT遊技の終了後だけでなく、通常遊技の合間にも遊技状態が特定通常遊技に切り換わることによって、RT遊技の開始が無効にされる遊技状態をたびたび発生させることが可能となる。その結果、RT遊技の終了後には、RT遊技の開始が無効にされる特別な遊技状態(特定通常遊技)が設けられていることを遊技者に悟られ難くすることが可能となる。
【0120】
一方で、通常遊技と特定通常遊技とは、演出態様は同じであるものの、それぞれ別個の遊技状態であり、特定通常遊技の方が通常遊技よりも再遊技役に内部当選し易くなっている(図9および図17参照)。こうしておくことにより、再遊技役の入賞し易さに基づいて現在の遊技状態が通常遊技あるいは特定通常遊技の何れであるかを予測しながら、通常遊技中にチェリー小役の入賞成立を狙えば、効率よく遊技状態をRT遊技に切り換えることができるという新たな遊技性を付与することが可能となる。
【0121】
さらに、変形例の遊技機1では、遊技状態が特定通常遊技であれば、チェリー小役の入賞が成立してもRT遊技の開始を無効にする処理を行っている。つまり、RT遊技の開始を無効にする処理を行うに際して、遊技状態が何れであるかを確認するだけでよく、別途遊技回数をカウントするなどの処理を行う必要はない。また、遊技状態を切り換える処理は一般に行われている処理である。このため、遊技の制御を複雑にすることなく、RT遊技の開始を無効にする処理を容易に実現することができる。
【0122】
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0123】
例えば、前述した変形例では、特定遊技状態として30回の遊技を実行するものとしたが、これに限定されるものではなく、特定遊技状態の遊技回数としては、1回以上の所定回数が設定されていればよい。
【0124】
また、前述した変形例では、特定遊技の終了条件を所定回数の遊技を実行することとしていたが、これに限定されるものではない。例えば、特定遊技の終了条件を特定の小役(例えば、スイカ小役)としておいてもよい。このような場合には、RT遊技が終了してから次回にスイカ小役の入賞が成立するまでの間がRT無効期間となる。この結果、特定遊技の終了条件が所定回数の場合とは異なり、RT無効期間の遊技回数がランダムに切り換わるので、不規則にRT遊技の開始処理を無効にすることができる。
【0125】
また、前述した実施例および変形例では、遊技媒体として遊技メダルを用いて遊技を行うものとして説明したが、これに限られるものではなく、例えば、遊技媒体として遊技球などを用いる遊技機に対しても本発明を好適に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
1…回胴式遊技機(遊技機)、 20a,20b,20c…回胴、
38a,38b,38c…回胴停止ボタン、 200…主制御基板、
201…CPU(遊技役抽選手段、リプレイタイム状態開始手段、リプレイタイム状態終了手段、特定状態開始手段、特定状態終了手段、通常状態開始手段、リプレイタイム状態無効手段)、
202…ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を投入後、外周面に複数種類の図柄が描かれた複数の回胴を回転させ、該回胴が停止したときに表示された図柄組合せによって所定の遊技役の入賞が成立した場合には、該遊技役に応じた特典が遊技者に付与される遊技を行う遊技機において、
前記遊技媒体を投入することなく次回の遊技を開始する再遊技の実行契機となる再遊技役と、前記再遊技の実行頻度が通常状態よりも高いリプレイタイム状態の開始契機となる開始役と、前記リプレイタイム状態の終了契機となる終了役と、を含んだ複数の遊技役の中から何れの遊技役の入賞成立を許容するか否かについての抽選を行う遊技役抽選手段と、
前記通常状態にて前記開始役の入賞成立が許容されて所定の開始図柄組合せを停止表示することで、前記リプレイタイム状態を開始するリプレイタイム状態開始手段と、
前記リプレイタイム状態にて前記終了役の入賞成立が許容されて所定の終了図柄組合せを停止表示することで、該リプレイタイム状態を終了するリプレイタイム状態終了手段と、
前記リプレイタイム状態が終了することで、前記再遊技の実行頻度が前記通常状態よりも高く、前記リプレイタイム状態よりも低い特定状態を開始する特定状態開始手段と、
前記特定状態にて所定回数の遊技が行われることで、該特定状態を終了する特定状態終了手段と、
前記特定状態が終了することで、前記通常状態を開始する通常状態開始手段と、
前記特定状態にて前記開始図柄組合せが停止表示される場合に、前記リプレイタイム状態の開始を無効にするリプレイタイム状態無効手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記特定状態開始手段は、前記通常状態にて前記終了図柄組合せが停止表示される場合にも、前記特定状態を開始することを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の遊技機において、
所定の演出装置にて遊技の進行に応じた演出を実行する演出実行手段を備え、
前記演出実行手段は、前記特定状態中に、前記通常状態で遊技が進行するときと同態様の演出を実行することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−92778(P2011−92778A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29339(P2011−29339)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【分割の表示】特願2007−13704(P2007−13704)の分割
【原出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】