説明

運搬車のスロットル操作装置

【課題】運搬車や、移動農作業機等にあっては、走行時にスロットルレバーを所定の位置で保持できる機構を有するスロットルレバーが用いられることが多い。このような形態において、エンジンを高速回転に設定しているとき、ブレーキ操作をしてもエンジントルクが強いためにブレーキが効き難いことがあり、咄嗟のときは危険である。
【解決手段】摩擦機構3を介して操作設定位置を維持可能のスロットルレバー2と、ブレーキ連動のブレーキレバー4を、スプリング5を介して連動構成して、ブレーキ操作を行うことによってこのスロットルレバー2の設定位置に拘らずエンジン回転を下げると共に、該ブレーキレバー4を制動解除することにより、スプリング5によりスロットルをスロットルレバー2による操作設定位置へ復帰することを特徴とする運搬車のスロットル操作装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小型運搬車におけるアクセル操作を容易化する運搬車のスロットル操作装置に関するものである。高回転位置に設定しているスロットルレバーを低回転位置へ戻してブレーキ制動性を良くするものである。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ制動時にエンジンの回転を下げる連動操作する形態の技術(例えば、特許文献1,2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2003−237423号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】実開昭36−111335号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
運搬車や、移動農作業機等にあっては、走行時にスロットルレバーを所定の位置で保持できる機構を有するスロットルレバーが用いられることが多い。このような形態において、エンジンを高速回転に設定しているとき、ブレーキ操作をしてもエンジントルクが強いためにブレーキが効き難いことがあり、咄嗟のときは危険である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、摩擦機構3を介して操作設定位置を維持可能のスロットルレバー2と、ブレーキ連動のブレーキレバー4を、スプリング5を介して連動構成して、ブレーキの制動操作を行うことによって、このスロットルレバー2の設定位置に拘らずエンジン回転を下げると共に、該ブレーキレバー4を制動解除すると、スプリング5によりスロットルレバー2による操作設定位置へ復帰することを特徴とする運搬車のスロットル操作装置の構成とする。適宜位置のエンジン回転位置に設定しているスロットルレバー2は、スプリング5を介してブレーキレバー4と連動しているため、このブレーキレバー4によってブレーキ制動するときはスプリング5を伸ばしてスロットルレバー2を回動させることなく設定位置に置いた状態にして、しかも、スロットル操作してエンジンの回転を下げることができる。又、このブレーキレバー4の制動操作を解除すると、ブレーキの制動を解除すると共に、スロットルを該スロットルレバー2による設定位置に戻すことができる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、エンジン回転をスロットルレバー2を含む複数の操作具によって操作可能の運搬車において、ブレーキ操作を行うことによって、前記スロットルレバー2の設定位置に拘らずエンジン回転を下げることを特徴とするスロットル操作装置の構成とする。運搬車のエンジン回転は、スロットルレバー2の操作によって高回転位置に設定されているが、又、車体の走行時はアクセルペダル1の踏み込み等によってエンジンの回転を上昇して走行駆動する。ブレーキ操作を行うことによってスロットルレバー2の設定位置が解除されて、エンジン回転を下げることができ、ブレーキの効きを良くすることができる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ブレーキ制動時はエンジン回転を下げてブレーキを効き易くする。又、ブレーキ制動解除後は、エンジン回転をスロットルレバー2による元の設定位置へ復帰させて、操作性を容易に、的確に行うことができる。
請求項2に記載の発明は、ブレーキを制動するときは、スロットルレバー2の設定操作位置に拘らず、エンジン回転を下げることによって、制動効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図に基づいて、運搬車は左右一対のクローラ10を有して走行し、車体フレーム11に対して荷台12をリフトシリンダ13の伸縮によってダンプ可能の歩行操作形態の構成としている。フレーム11の後部にエンジン6を搭載し、このエンジン6の駆動によってミッションケース7の入力軸14や、変速ギヤ15、ブレーキ軸16、カウンター軸17,18、及びスプロケット軸19等を経て左右のクローラスプロケット20を駆動する伝動構成としている。この入力軸14のプーリ21,32とエンジン6側のプーリ34との間をベルト22,33を掛けわたして、テンションクラッチプーリ50,50により張圧して、高、低速切替変速可能の副変速装置を構成する。前記変速ギヤ15は主変速レバー23によって、中立位置から、前進低速位置、高速位置、及び後進位置等に切替変速する主変速装置を構成する。又、ブレーキ軸16のケース外にはブレーキ8を取り付けて、ブレーキアーム24の連動操作によってクローラ10の回転を制動することができる。これらエンジン6の上部には操作盤25を設け、この後端にハンドル26を設けると共に、前記変速ギヤ15を操作する主変速レバー23、カウンタ軸18上のサイドクラッチギヤ27を入り切りする左右のサイドクラッチレバー28、前記副変速装置を低速位置と、高速位置とに切替する副変速レバー29、前記ブレーキアーム24を連動してブレーキ8を制動するブレーキレバー4、及びエンジン6のスロットルを調整するスロットルレバー2等を配置する。又、前記副変速レバー29の横側にはブレーキレバー4から突出のレバーアーム31を設け、この副変速レバー29を後方へ操作するときこのレバーアーム31を係合してブレーキレバー4を後方へ回動して制動すると共に、この副変速レバー29をレバーガイド30のパーキング位置Pに案内させて駐車ブレーキとすることができる。
【0008】
ここにおいて、この発明にかかるスロットル操作位置は、摩擦機構3を介して操作設定位置を維持可能のスロットルレバー2と、ブレーキ8連動のブレーキバー4を、スプリング5を介して連動構成して、ブレーキ8の制動操作を行うことによって、このスロットルレバー2の設定位置に拘らずエンジン回転を下げると共に、該ブレーキレバー4を制動解除すると、スプリング5によりスロットルレバー2による操作設定位置へ復帰することを特徴とするものである。適宜位置のエンジン回転位置に設定しているスロットルレバー2は、スプリング5を介してブレーキレバー4と連動しているため、このブレーキレバー4によってブレーキ8制動するときはスプリング5を圧縮し、スロットルレバー2を回動させることなく設定位置に置いた状態にして、しかも、スロットル操作してエンジン6の回転を下げることができる。又、このブレーキレバー4の制動操作を解除すると、ブレーキ8の制動を解除すると共に、スロットルを該スロットルレバー2による設定位置に戻すことができる。
【0009】
前記スロットルレバー2はレバー軸35の周りに摩擦機構3を介して回動固定可能に設け、この摩擦機構3に抗してスロットルレバー2を低速位置L側、高速位置H側へ回動操作して、アームピン36を上下に回動することができる。このアームピン36と下方のアームピン37との間にわたって、ロッド38の両端部に形成の長穴39,40が嵌合される。この上端部の長穴39に嵌合するアームピン36はスプリング5によって下方へ押圧されて、常時アームピン36をロッド38に対して長穴39の下端部へ弾発移動させるように構成している。又、下端部の長穴40に嵌合するアームピン37はフレームに対してアーム軸41の周りに回動するスロットルアーム42の先端部に設けられている。このスロットルアーム42はスロットルケーブル43を連結してエンジン6のスロットルを連動するように構成している。又、前記ロッド38の下端部に連結のケーブル44をブレーキレバー4のレバーアーム45に連結して、ブレーキ軸46周りに操作回動Cすることによって、ブレーキ8を制動し、スプリング5を圧縮してロッド38を下動し、スロットルアーム42の下方回動を許してスロットルケーブル43の引きを緩めてエンジン回転を下げるように連動する。又、このとき、高速位置H側へ操作されているスロットルレバー2は摩擦機構3によって一定位置に維持固定されているため、前記ブレーキレバー4のブレーキ操作を反矢印C方向へ回動して制動解除することによって、ロッド38をスプリング5によって上動して、スロットルケーブル43を介してエンジン6回転を、このスロットルレバー2によって設定された回転のスロットル位置に復帰する。
【0010】
次に、主として図2に基づいて、運搬車を乗用形態とすることで実施する場合は、前記スロットルアーム42にアクセルペダル1を設けて、このアクセルペダル1を踏み込むことによってスロットルケーブル43を引いてエンジン6回転を高めるように操作することができる。このとき、ロッド38の長穴40に係合されるアームピン37はこの長穴40に沿って逃げる。又、前記ブレーキレバー4に代えてブレーキペダル9をレバーアーム45に設けることができ、前記ブレーキレバー4による操作と同様に操作することができる。
【0011】
ここにおいて、この発明に係るスロットル操作装置は、エンジン回転をスロットルレバー2を含む複数の操作具によって操作可能の運搬車において、ブレーキ操作を行うことによって、前記スロットルレバー2の設定位置に拘らずエンジン回転を下げることを特徴とするものである。運搬車のエンジン回転は、スロットルレバー2の操作によって高回転位置に設定されているが、又、車体の走行時はアクセルペダル1の踏み込み等によってエンジンの回転を上昇して走行駆動する。ブレーキ操作を行うことによってスロットルレバー2の設定位置が解除されて、エンジン回転を下げることができ、ブレーキの効きを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】運転操作盤部のレバー配置図
【図2】スロットルレバーとブレーキとの連動機構図。
【図3】運搬車の側面図
【図4】その伝動ギヤケース部の正面図。
【符号の説明】
【0013】
1 アクセルペダル
2 スロットルレバー
3 摩擦機構
4 ブレーキレバー
5 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦機構(3)を介して操作設定位置を維持可能のスロットルレバー(2)と、ブレーキ連動のブレーキレバー(4)を、スプリング(5)を介して連動構成して、ブレーキ操作を行うことによってこのスロットルレバー(2)の設定位置に拘らずエンジン回転を下げると共に、該ブレーキレバー(4)を制動解除することにより、スプリング(5)によりスロットルをスロットルレバー(2)による操作設定位置へ復帰することを特徴とする運搬車のスロットル操作装置。
【請求項2】
エンジン回転を操作するアクセルペダル(1)と作業時のエンジン回転を設定するスロットルレバー(2)を有する運搬車において、ブレーキ操作を行うことによって、前記スロットルレバー(2)の設定位置に拘らずエンジン回転を下げることを特徴とする運搬車のスロットル操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−273464(P2008−273464A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122100(P2007−122100)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000144980)株式会社アテックス (111)
【Fターム(参考)】