説明

遠隔操作式排水栓装置

【課題】電力を使用する時間を開口状態/又は閉口状態の維持時間に関係なく一定の短い時間に制限することで消費電力を小さいものとすると共に、機器への負担が小さくて済む、電動の遠隔操作式排水栓装置を提供する。
【解決手段】排水を排出する排水口を遠隔的に開閉する遠隔操作式排水栓装置を、排水口に配置されて上下動することで排水口の開閉を行う弁部材2と、排水口の開閉動作を操作する操作部3と、弁部材2を支持する支持軸4と、操作部3に操作を行う都度、電気により動作する機構により支持軸4を一時的に持ち上げる動作を行う電動部と、電動部が支持軸4を持ち上げる動作を行う都度、機械的に動作する機構により支持軸4が弁部材2ごと上昇した状態を固定して維持/固定を解除して下方に降下、を繰り返す保持機構部と、から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽や洗面台の洗面ボウル、流し台のシンクなど、槽体の排水を行う排水口を、遠隔操作によって開閉する遠隔操作式排水栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽や洗面台の洗面ボウル、流し台のシンクなどの機器(以下、このような使用によって排水を生じる機器を「排水機器」と呼ぶ)に備えられた槽体の底面には、使用によって生じた排水を下水側に排水するために排水口が設けられている。そして、この排水口を必要に応じて閉口するために、ゴム栓などの弁部材が設けられている場合が多い。この排水口を閉塞する弁部材などの装置の中で、特に排水口から離れた位置にある操作部に操作を加えることで、排水口を遠隔的に開閉できるようにした排水装置を遠隔操作式排水栓装置と呼ぶ。
従来良く知られた遠隔操作式排水栓装置としては、以下のような遠隔操作式排水栓装置がある。
【0003】
以下に、従来の遠隔操作式排水栓装置を、第一の従来例として図面を参照しつつ説明する。図21に示した第一の従来例の遠隔操作式排水栓装置は、槽体としての浴槽に取り付けられた、排水口を有する排水栓本体、エルボ管、弁部材、固定部材、操作部、保持機構部、レリースワイヤ、から構成される。
浴槽は上方が開口した箱体であって、底面に排水栓本体を取り付ける取付口を開口してなる。
排水栓本体は、円筒状であって外側面に雄ネジを有すると共に、上端に外側方向に突出するフランジを備えた部材であり、その内部に、浴槽内の排水を下水側へと排水するための排水口を設けてなる。
エルボ管は、管体を略L字状に屈曲させた部材であって、筒体の上方の開口には排水栓本体の雄ネジに螺合する雌ネジを備え、側面方向の開口には下水側の配管に接続されて排水を下水側に排出する排出口を備えてなる。また、側面には排出口の他に、レリースワイヤーを装通するための挿通孔を備えてなる。
弁部材は排水口上端を閉口するための、平面視円形の略平板状の部材であって、下面中央に、後述するレリースワイヤのロッド部先端と嵌合する嵌合部を備えてなる。
固定部材はレリースワイヤ端部を排水栓内部に固定するための部材であって、レリースワイヤ端部を保持固定すると共に、排水口内部に嵌合し、固定配置される。
操作部は、部材を遠隔的に操作するための押しボタンであって、浴槽の上方の開口周縁に配置される。
保持機構部は、操作部とレリースワイヤの間に配置される、ノック式ボールペンの保持機構等として周知であるスラストロック機構を内蔵した部材であって、中央に支持軸を備え、支持軸の後端を押し込む毎に、支持軸が弁部材ごと上昇した状態を固定して維持/固定を解除して下方に降下、を繰り返す機能を有している。
レリースワイヤは、操作部に加えられた操作を弁部材に伝達する部材であって、筒状のアウターチューブ、金属のより線からなりアウターチューブ内を進退自在に摺動するインナーワイヤ、インナーワイヤの弁部材端部に備えられるロッド部、から構成され、ロッド部側端部を弁部材に、他端を保持機構部に、それぞれ接続してなる。
【0004】
上記した従来例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように施工・取り付けされる。
浴槽の取付口に上方から排水栓本体を挿入した後、排水栓本体の雄ネジにエルボ管の雌ネジを螺合させ、排水栓本体のフランジ下面とエルボ管上縁とで取付口周縁を挟持するようにして固定する。
そして、操作部を浴槽の開口周縁に取付固定し、更に操作部にレリースワイヤを取り付けた後、エルボ部材の挿通孔を介して排水口内部にレリースワイヤのロッド部側端部を挿通する。
更にレリースワイヤ端部を固定部材に保持させた後、固定部材を排水口内部に嵌合固定させることで、レリースワイヤ端部を排水口内部に配置固定することができる。
最後にレリースワイヤのロッド部先端に弁部材の嵌合部を嵌合させ、接続する事で、槽体である浴槽への遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0005】
上記のように取り付けられた従来例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように作動する。
まず弁部材が降下し、排水口が閉口されている状態にする。この状態の時に、操作部に押し込み操作を加えると、保持機構部の支持軸上端が押圧され、支持軸の先端が下方に突出して固定された状態となる。これによってインナーワイヤの端部が排水口側に突出した状態で固定され、インナーワイヤのロッド部が弁部材と共に上昇した状態で固定されるため、排水口が開口し、浴槽内の排水が排出される。
この状態から再度操作部に押し込み操作を行うと、再び保持機構部の支持軸上端が押圧され、支持軸の固定が解除される。これにより、レリースワイヤのインナーワイヤは弁部材の重量によって操作部側に後退し、弁部材が降下して排水口が閉口された状態となる。以降、この過程を繰り返すことで、排水口を遠隔操作的に自在に開口/閉口する事ができる。
【0006】
この操作部の押し操作を行う使用者の人力によって、保持機構部やレリースワイヤを動作させ、遠隔操作式排水栓装置を動作させる第一の従来例の遠隔操作式排水栓装置に対して、電力や磁力を利用して排水口を開口する、第二の従来例の遠隔操作式排水栓装置が考案されている。以下に、第二の従来例の遠隔操作式排水栓装置を、図面を参照しつつ説明する。
図22に示した、第二の従来例の遠隔操作式排水栓装置は、洗面台に備えられた槽体としての洗面ボウルに取り付けられ、更に以下に記載する排水栓本体、弁部材、操作部、エルボ部材、エルボ部材の内部に配置される内部ユニット部、エルボ部材の外周部分に配置される外部ユニット部、電源部、その他の部材から構成される。
洗面台はキャビネットの上に槽体である洗面ボウルを配置した排水機器であり、洗面ボウルの底部に後記する取付口を開口してなる。また、洗面ボウルの天板上には、操作部を取り付けるための開口である取付部を設けてなる。
排水栓本体は、円筒状であって外側面に雄ネジを有すると共に、上端に外側方向に突出するフランジを備えた部材であり、その内部に、浴槽内の排水を下水側へと排水するための排水口を設けてなる。
エルボ部材は、上記排水栓本体の雄ネジと螺合する雌ネジを備えた有底円筒形状の部材であって、側面に排水を排出する排出口を備えてなる。
弁部材は排水口上端を閉口するための部材であって、平面視円形の略平板状の弁部材と、弁部材の下面中央部分から垂下した弁軸と、弁軸の下端に備えられた永久磁石からなる第一磁石部とを備えてなる。
内部ユニット部は排水口内部に取り付けられる部材であって、その内部に、施工完了時、第一磁石部と反発する方向に配置固定される永久磁石からなる第二磁石部と、その第二磁石部の磁界と反対方向の磁界を発生させ、第二磁石部の磁界を消磁するように作用するf、及びその電磁石部に接続された、蓄電機能を備えた非接触電源の出力側端末を備えてなる。
外部ユニット部はエルボ部材の外部に備えられる部材であって、その内部に、非接触電源の入力側端末を備えて成る。電源は一般家庭の電源(コンセント)を利用し、電気回路を利用して適切な電流・電圧に調整したものを外部ユニット部の非接触電源の入力側端末に接続してなる。
【0007】
段落0006に記載した第二の従来例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして洗面台に施工・取り付けされる。
洗面ボウルの取付口に上方から排水栓本体を挿入し、排水栓本体の下方からエルボ部材を螺合させ、排水栓本体のフランジ下面とエルボ部材上面で取付口周縁を挟持するようにして固定する。
また、電源部をキャビネット内の適宜位置に設置する。また、操作部の配線を洗面ボウルの天板上に設けた取付部を挿通させた上で、操作部を取付部に取り付ける。
次に、排水口内部に内部ユニット部を、エルボ部材外部に外部ユニット部を、それぞれ取付固定する。
更に外部ユニット部の電磁石部、電源部、操作部をそれぞれ配線で適宜接続する。
最後に排水口に弁部材を配置して、エルボ部材の排出口を配管を用いて床下配管に接続し、第二の従来例の遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0008】
前記のように施工された第二の従来例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように作動する。
操作部を操作して、排水口を開口した状態、即ち電磁石部に通電していない状態とする。
この状態では、第一磁石部と第二磁石部が反発し、且つ第二磁石部が固定されていることから、弁部材が上昇して排水口が開口状態となる。
この状態から操作部に操作を加えて、電磁石部に通電した状態とすると、電磁石部が発生させた、第二磁石部とは逆向きの磁界によって第二磁石部の磁界がうち消され、第一磁石部と第二磁石部の反発が無くなり、弁部材が自重で降下して弁部が排水口を覆うため、排水口が閉口状態となる。
この状態から再度操作部に操作を加えて電磁石部への通電を停止すると、第二磁石部を消磁していた電磁石部の磁界が消失し、再び第一磁石部と第二磁石部が反発して弁部材を上昇させ、排水口が開口状態となる。
以後この動作を繰り返すことで、遠隔操作的に排水口を開口/閉口する事ができる。
【0009】
【特許文献1】特開2002−88853号
【特許文献2】特開2008−63840号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した第一の従来例、また第二の従来例の遠隔操作式排水栓装置には、それぞれ以下に記載したような問題点があった。
1.第一の従来例の遠隔操作式排水栓装置において、排水口を開口するためには、操作部に加えた使用者の腕力等によって保持機構部やレリースワイヤを動作させ、弁部材を上昇させる必要がある。ところが、例えば浴槽など排水が槽体内に溜まった状態では弁部材に水圧が加わった状態となるため、要求される操作部への押し力は相当なものとなり、老人や子供、身体障害者など腕力が強くない者ではこれを開口することが困難な場合があった。
2.第二の従来例のような電動式の遠隔操作式排水栓装置において、排水口を開口又は閉口した状態を維持するためには、その間遠隔操作式排水栓装置に通電を行い、その状態を維持しなければならなかった。例えば第二の従来例の遠隔操作式排水栓装置では、排水口が閉口した状態を維持するためには継続して通電を行う必要がある。通電時に排水口を開口状態とする構成にするか、それとも閉口状態とする構成にするかは、排水機器の内容に応じて適宜選択できるが、いずれの場合でも使用の際ある程度長時間に渡って遠隔操作式排水栓装置に通電を行い、開口状態/又は閉口状態を維持しなければならない。
例えば洗面台の洗面ボウルでは、ほとんどの場合排水口を開口した状態で使用されるため、第二の従来例のように通電時に排水口が閉口する構成(非通電時には排水口が開口する構成)とした方が好適であるが、それでも排水口を閉口し洗面ボウル内部に水を溜める際には、通常継続して5分程度は排水口を閉口した状態を維持しなければならない。
また浴槽の場合、浴槽の使用時には排水口を閉口しなければならない一方で、浴槽の未使用時には浴槽内部を清掃するために排水口を開口し、通常はそのまま改めて浴槽内に浴湯を張るまで排水口を開口した状態が維持(放置)される場合が一般的であり、一日の中で、開口状態及び閉口状態がそれぞれ10時間程度継続することも普通である。
このように電力にて排水口を開閉する遠隔操作式排水栓装置の場合、長時間に渡り電流を通電し続ける必要があるため、電力の消費が相当に多くなると共に、更に電磁石などの通電を行う機器に大きな負担が掛かるなどの問題があった。
本発明は上記問題点を解消するために考案されたものであり、電力を用いて排水口を開閉する電気式遠隔操作式排水栓装置において、電力を使用する時間を開口状態/又は閉口状態の維持時間に関係なく一定の短い時間に制限することで消費電力を小さいものとすると共に、機器への負担が小さくて済む、電動の遠隔操作式排水栓装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置は、排水を排出する排水口1を遠隔的に開閉する遠隔操作式排水栓装置であって、排水口1に配置されて上下動することで排水口1の開閉を行う弁部材2と、排水口1の開閉動作を操作する操作部3と、弁部材2を支持する支持軸4と、操作部3に操作を行う都度、電気により動作する機構により支持軸4を一時的に持ち上げる動作を行う電動部と、電動部が支持軸4を持ち上げる動作を行う都度、機械的に動作する機構により支持軸4が弁部材2ごと上昇した状態を固定して維持/固定を解除して下方に降下、を繰り返す保持機構部と、から構成されたことを特徴とする、遠隔操作式排水栓装置である。尚、ここで言う「機械的に動作する機構」とは、歯車など機械的な要素のみによって構成され動作する機構の事であって、具体的にはスラストロック機構やワンウェイカム機構など、電力が無くともその状態や動作を維持できる機構を意味するものである。
【0012】
請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、保持機構部がスラストロック機構であることを特徴とする、段落0011に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0013】
請求項3に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、保持機構部がワンウェイカム機構であることを特徴とする、段落0011に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0014】
請求項4に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部が、通電により発熱する熱源体と、熱源体に加熱されて変形して支持軸4を押し上げる形状記憶合金5aと、から構成されたことを特徴とする、段落0011乃至段落0013のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0015】
請求項5に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部が、通電により発熱する熱源体と、熱源体に加熱されて変形して支持軸4を押し上げるバイメタル5bと、から構成されたことを特徴とする、段落0011乃至段落0013のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0016】
請求項6に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部が、通電により磁界を発生させる電磁石からなる第一磁石5cと、第一の磁石の磁界に対して引力/又は斥力を生じる磁界を備えて支持軸4を押し上げる第二磁石5dと、から構成されたことを特徴とする、段落0011乃至段落0013のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0017】
請求項7に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部が、通電により伸縮/又は変形して支持軸4を押し上げる人工筋肉から構成されたことを特徴とする、段落0011乃至段落0013のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0018】
請求項8に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、少なくとも電動部及び保持機構部が、操作部3から物理的に独立したユニットとして構成されてなることを特徴とする、段落0011乃至段落0017のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0019】
請求項9に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部及び保持機構部を含むユニットが、給湯器または給湯機器の部材として提供され、その開閉を操作する操作部3が、給湯器または給湯機器の操作部3と一体に組み込まれて構成されてなることを特徴とする、段落00018に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
尚、ここで言う「給湯器」とは、ガス温水器や電気温水器など、ガス、電気、その他の方法により水温を上昇させ温水を発生させる機器を、
「給湯機器」とは、流し台や洗面台、浴槽Bなど、給湯器からの温水の供給を受けて使用される生活機器を、
「給湯・給水」とは上水もしくはその上水を加熱し温水化したものを、それぞれ指し示す表現であり、
「給湯器、または給湯機器の部材として提供する」とは、「給湯器メーカー、または給湯機器メーカーが製造・販売または施工現場に供給する」という意味であって、必ずしも使用時にそれらの部材が給湯・給水に直接触れたり制御を行う、という意味ではない。
【0020】
請求項10に記載の遠隔操作式排水栓装置は、上記遠隔操作式排水栓装置において、排水口1の開口/閉口の状態を操作部3において確認できるように構成してなることを特徴とする、段落0019に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の管体の接続部材は、以下の効果を奏する。
1.請求項1に記載の本発明は、電力を利用し支持軸を昇降する電動式のポップアップであるが、弁部材が昇降した状態または降下した状態を、通電が必要な電動部ではなく、通電が不要な保持機構部が維持するため、通電は支持軸を上昇させる数秒間程度の短時間で済み、消費電力を小さいものとすると共に、電動部など通電が行われる機器への負担を小さいものとすることができる。
2.請求項2、また請求項3に記載の本発明においては、保持機構部の構成を、スラストロック機構、またワンウェイカム機構など具体的に明確化できる。
3.請求項4乃至請求項7に記載の本発明においては、電動部の構成を具体的に明確化できる。
4.請求項8に記載の本発明においては、電動部及び保持機構部を操作部から物理的に独立したユニットとしたことで、配管の施工が完了してから配管内部に遠隔操作式排水栓装置のユニット部分をセットでき、施工性が向上する。また配管内のユニット部分が故障した場合にユニット部分のみを交換すればよく、メンテナンス性も向上する。
5.請求項9に記載の本発明においては、電動部及び保持機構部を含むユニットが、給湯器または給湯機器の部材として提供され、その開閉を操作する操作部が、給湯器または給湯機器の操作部と一体に組み込まれて構成されてなることによって、部材点数を省略することができる。
また、屋内に給湯・給水を行う給湯器は、1台で浴槽や流し台、洗面台などに温水の供給を行う兼用式のものが多く、この場合、浴槽や流し台、洗面台のそれぞれに1つずつ、計2〜3つの操作部を備える場合が多い。給湯器または給湯機器の操作部の基本的な仕様は共通のため、例えば流し台の近傍に配置した操作部から浴槽に給湯を行うことも可能ではあるが、従来の遠隔操作式排水栓装置では、浴槽は浴槽近傍に浴槽の排水口専用の操作部が、洗面台は洗面台の近傍に洗面ボウルの排水口専用の操作部が、それぞれ設けられており、浴槽の排水口は浴室近傍に、洗面ボウルの排水口は洗面台近傍に出向かない限り開閉することはできなかった。このため、流し台の近傍にいて、浴槽に給湯を行おうとする場合、流し台の近傍に設けた給湯器または給湯機器の操作部から給湯を行うことができたとしても、浴槽の排水口が開口していれば、結局は浴室に出向いて排水口を閉口してから給湯を行う必要があった。本発明では、給湯器または給湯機器の操作部と排水口の遠隔操作式排水栓装置の排水口の操作部を一体としたため、キッチンなど浴室から離間した場所に設けた操作部を設けた場合でも、浴室に出向くことなく排水口を閉口し、そのまま続けて浴槽に給湯を行うことができる。
6.従来の遠隔操作式排水栓装置においては、(例えばキッチンに設けた操作部から浴槽の排水口の開閉を行うなど、)排水口が目視できない程に離間した場所に設けた操作部からの操作により排水口を開閉できるとしても、現在の排水口が開口状態であるか、閉口状態であるかを確認し、操作部に操作を加える必要の有無を確かめるため、排水口を目視できるところまで出向く必要があった。請求項10に記載の本発明においては、排水口の開口/閉口の状態を操作部において確認できるように構成してなることで、排水口が目視できない程に離間した場所に設けた操作部からであっても、排水口を目視できるところまで出向く事無く、必要な場合のみ操作部に操作を加えることで排水口を希望の状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の断面図である。
【図2】スラストロック機構の部材構成を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【図3】スラストロック機構の作動状態を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【図4】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の要部を示す断面図である。
【図5】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の要部を示す断面図である。
【図6】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の要部を示す断面図である。
【図7】第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の断面図である。
【図8】ワンウェイカム機構の部材構成を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【図9】ワンウェイカム機構の作動状態を示す、一部を切り欠きした参考図である。
【図10】第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の要部を示す断面図である。
【図11】第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の要部を示す断面図である。
【図12】第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の要部を示す断面図である。
【図13】第三実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
【図14】第三実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
【図15】第三実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水口近傍、及び弁ユニットを示す断面図である。
【図16】第四実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
【図17】第四実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
【図18】第四実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
【図19】第四実施例の固定部材の要部を示す参考図である。
【図20】第四実施例の固定部材の要部を示す参考図である。
【図21】第一の従来例の断面図である。
【図22】第二の従来例の断面図である。
【実施例】
【0023】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。図1に示した本発明の第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、槽体としての浴槽Bに取り付けられた、排水口1を有する排水栓本体7、エルボ管8、弁部材2、固定部材9、操作部3、受信部10、電源部11、から構成される。
浴槽Bは上方が開口した箱体であって、底面に排水栓本体7を取り付ける取付口を開口してなる。
排水栓本体7は、円筒状であって外側面に雄ネジを有すると共に、上端に外側方向に突出するフランジ7aを備えた部材であり、その内部に、浴槽B内の排水を下水側へと排水するための排水口1を設けてなる。
エルボ管8は、管体を略L字状に屈曲させた部材であって、筒体の上方の開口には排水栓本体7の雄ネジに螺合する雌ネジを備え、側面方向の開口には下水側の配管に接続されて排水を下水側に排出する排出口8aを備えてなる。また、側面には排出口8aの他に、形状記憶合金5aと受信部10とを連絡する電線を挿通するための挿通孔8bを備えてなる。
弁部材2は排水口1上端を閉口するための、平面視円形の略平板状の部材であって、下面中央にて、後述する保持機構部の支持軸4先端に嵌合固定される。
固定部材9は以下に記載する保持機構部及び電動部としての形状記憶合金5aを排水栓内部に固定するための部材であって、排水栓本体7内部に嵌合固定される。
保持機構部は、ノック式ボールペン等の保持機構等として周知であるスラストロック機構により構成されてなる。具体的にスラストロック機構について説明すると、図2に示したように、支持軸4と、該支持軸4に固定された、鋸歯状のカムリングからなる固定カムリング6aと、凸部を備え、支持軸4に回動及び昇降が自在な状態に軸着された鋸歯状のカムリングからなる回転カムリング6bと、支持軸4、固定カムリング6a、及び回転カムリング6bを収納する、内面に溝部6e及び鋸歯状の傾斜壁6dを備えたケーシング部6cと、から構成される。尚、ケーシング部6cは、この実施例では固定部材9の一部分として構成されている。
このスラストロック機構の動作について説明すると、図3の(a)の状態より、支持軸4を押し上げると、回転カムリング6bがケーシング部6c及び固定カムリング6aに挟まれて僅かに回転するため、図3の(b)に示した状態となる。ここで支持軸4の押し上げを終了させ、支持軸4を降下させると、回転カムリング6bの凸部がケーシング部6cの傾斜壁6dに歯合して、図3の(c)に示したように、支持軸4がケーシング部6cより突出した支持状態で停止する。この状態より再び支持軸4を押し上げると、図3の(d)に示したように、やはり回転カムリング6bがケーシング部6c及び固定カムリング6aに挟まれて僅かに回転した状態となる。ここで支持軸4の押し上げを終了させ、支持軸4を降下させると、回転カムリング6bの凸部は回転によりケーシング部6cの溝部6e側に移動し、ケーシング部6cの傾斜壁6dとは歯合を生じないため、支持軸4は降下し図3の(e)に示した状態を経て図3の(a)に示した支持解除の状態に戻る。以後、この操作を繰り返すことで、支持軸4の支持/支持解除を自在に選択することができる。
本実施例の電動部である形状記憶合金5aは熱によって収縮する線状であって、それ自体が内部に電気抵抗を有して通電すると熱源体として発熱を生じ、その発熱に反応して全体が収縮する。図4乃至図6に示したように、該形状記憶合金5aの一部が支持軸4に、また一部が固定部材9にそれぞれ固定されてなり、前述のように通電を生じ形状記憶合金5aが収縮すると、支持軸4を押し上げ、最終的にはスラストロック機構を動作させる。
受信部10は、排水配管の外部に配置され、操作部3から発信される操作の電波を受信し、形状記憶合金5aに電源部11からの電力を供給して形状記憶合金5aを動作させる。尚、受信部10では、操作部3からの操作の電波を受信し形状記憶合金5aに通電を行うと、事前に設定された数秒間(形状記憶合金5aが通電を受けて収縮し、支持軸4をスラストロック機構が動作するのに足る程度上昇動作させるのに充分な時間)後に自動的に通電を終了し、更に事前に設定された数秒間(収縮した形状記憶合金5aが水圧や弁部材2の自重によって再び伸張するのに充分な時間)の間、操作部3の操作に関係なく通電を停止する。操作部3の電波を受信し、通電を開始すると、上記の設定された通電時間及び通電停止時間が経過するまでの間に操作部3に追加的に操作が行われ操作の電波を受信しても、受信部10ではそれを無効として処理する。通電時間及び通電停止時間が経過した後では、再び受信部10は操作部3から発信される操作の電波を受信し、形状記憶合金5aに電源部11からの電力を供給して形状記憶合金5aを動作させることが可能となる。
電源部11は、排水配管の外部に配置され、受信部10に配線が行われる部材である。
操作部3は操作毎に電波にて制御部に操作信号を送信する部材である。
【0024】
上記した第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように施工・取り付けされる。
浴槽Bの取付口に上方から排水栓本体7を挿入した後、排水栓本体7の雄ネジにエルボ管8の雌ネジを螺合させ、排水栓本体7のフランジ7a下面とエルボ管8上縁とで取付口周縁を挟持するようにして固定する。更に排出口8aを下水側の配管に接続する。
そして、操作部3を浴槽Bの開口周縁に取付固定し、更にエルボ部材の挿通孔8bを介して水密的に排水口1内部に電線を挿通し、排水口1内部側の電線を固定部材9の受信部10に、排水口1外部側の電線は電源部11に、それぞれ接続する。
更に固定部材9を排水口1内部に嵌合固定させた後、支持軸4の上端に弁部材2を嵌合させ、また、電源部11を槽体近傍の適宜位置に配置固定することで、槽体である浴槽Bへの遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0025】
上記のように取り付けられた第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように作動する。まず図4に示したように、弁部材2が降下し、排水口1が閉口されている状態にする。この時スラストロック機構は図3の(a)の状態となっている。この状態の時に、操作部3に操作を行い、操作部3が電波を発信し、受信部10が電波を受信すると、それに対応して電動部である形状記憶合金5aに通電が行われ発熱する。この発熱に反応して、形状記憶合金5aが収縮し、それに伴って図5に示したように保持機構部の支持軸4が上方に押し上げられる。この時、スラストロック機構は図3の(b)状態となる。その後受信部10によって形状記憶合金5aへの通電が解除されると弁部材2や支持軸4の自重によって形状記憶合金5aは再び伸張する。これにより、支持軸4が若干降下して、弁部材2が上昇した状態のまま固定され、図6の状態となって排水口1が開口し、浴槽B内の排水が排出される。この時スラストロック機構は図3の(c)の状態となっている。
この状態から再度操作部3に操作を行い、操作部3が電波を発信し、受信部10が電波を受信することで形状記憶合金5aに通電が行われ発熱すると、再び形状記憶合金5aが収縮し、それに伴って保持機構部の支持軸4が上方に押し上げられる。この時、スラストロック機構は図3の(d)状態となる。その後受信部10の動作によって形状記憶合金5aへの通電が解除されると弁部材2や支持軸4の自重によって形状記憶合金5aは再び伸張する。これにより、スラストロック機構は支持軸4が降下して、図3の(e)の状態を経て図3の(a)の状態に戻り、排水口1は図4の状態となって排水口1が閉口された状態となる。以降、この過程を繰り返すことで、排水口1を遠隔操作的に自在に開口/閉口する事ができる。
【0026】
上記第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は以下のような効果を奏する。
上記第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、その開閉動作を、形状記憶合金5aの通電による伸縮と、保持機構部であるスラストロック機構によって行うことができる。この開閉動作は人力を利用しないため、使用者にあまり腕力等が無くても、容易に排水口1を開閉することができる。
また、上記第一実施例の遠隔操作式排水栓装置では、電動部である形状記憶合金5aへの通電は開口時/閉口時の動作が生じる数秒程度のみであり、開口状態または閉口状態を維持するために通電を行う必要はない。そのため、その動作において通電による電力の消耗は極わずかで済み、また機器への負担も小さいものとすることができる。
【0027】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。図7に示した本発明の第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、槽体としての浴槽Bに取り付けられた、排水口1を有する排水栓本体7、エルボ管8、弁部材2、固定部材9、操作部3、電源部11、受信部10、から構成される。
浴槽Bは上方が開口した箱体であって、底面に排水栓本体7を取り付ける取付口を開口してなる。
排水栓本体7は、円筒状であって外側面に雄ネジを有すると共に、上端に外側方向に突出するフランジ7aを備えた部材であり、その内部に、浴槽B内の排水を下水側へと排水するための排水口1を設けてなる。
エルボ管8は、管体を略L字状に屈曲させた部材であって、筒体の上方の開口には排水栓本体7の雄ネジに螺合する雌ネジを備え、側面方向の開口には下水側の配管に接続されて排水を下水側に排出する排出口8aを備えてなる。また、側面には排出口8aの他に、バイメタル5bと電源部11とを連絡する電線を、水密的に挿通するための挿通孔8bを備えてなる。
弁部材2は排水口1上端を閉口するための、平面視円形の略平板状の部材であって、下面中央にて、後述する保持機構部の支持軸4先端に嵌合固定される。
固定部材9は以下に記載する保持機構部、電動部としてのバイメタル5b、及び制御部を排水栓内部に固定するための部材であって、排水栓内部に嵌合固定される。
保持機構部は、オーディオキャビネットの開閉機構などに利用され周知であるワンウェイカム機構により構成されてなる。具体的にワンウェイカム機構について説明すると、図8に示したように、摺動孔6gと、係止部6h、傾斜部6i、及び突起部6jから成るワンウェイカム部6fとを備えたケーシング部6cと、昇降毎に係合部に対して上昇と降下を交互に繰り返すような係合を上記ワンウェイカム部6fと行う接触子6kを回動自在に軸着した支持軸4と、から構成されてなる。
これらの配置について説明すると、まず図8の(a)に示したように、ケーシング部6c内に上下に摺動孔6gが設けられ、その摺動軸に摺動自在に支持軸4が配置される。更にその上方に、図8の(b)に示したように、ワンウェイカム部6fと接触子6kとが係合可能なように配置される。
このワンウェイカム機構の動作について説明すると、図9の(a)に示したように支持軸4を下方に降下させた状態とする。この状態より支持軸4に操作を加えて支持軸4を押し上げると、支持軸4は図9の(a)に示した状態から図9の(b)に示した状態、即ちワンウェイカム部6fの突起部6jに接触子6kが接触して傾斜した状態となる。更に支持軸4への操作を終了して、支持軸4を自由な状態とすると、自重により支持軸4の接触子6kが係止部6hと傾斜部6iによって係止される位置まで移動し、図9の(c)に示した状態となって停止する。この図9の(c)の状態においては、支持軸4は図9の(a)に示した状態よりも上方に位置してなる。
この状態より支持軸4に再度操作を加えて支持軸4を上方に押し上げると、図9の(d)に示したように、再度ワンウェイカム部6fの突起部6jに接触子6kが接触して接触子6kが傾斜する。この後、支持軸4への操作を終了して支持軸4を自由な状態とすると、支持軸4は自重によって降下し図9の(e)の状態となるが、この状態においては、形状的な理由からワンウェイカム部6fの係止部6hと接触子6kとの間に係止が生じないため、この状態より更に図9の(f)の状態を経て図9の(a)の状態、即ち支持軸4が最も降下した状態に戻る。以後、この操作を繰り返すことで、支持軸4の支持/支持解除を自在に選択することができる。
本実施例の電動部であるバイメタル5bは、熱膨張率の異なる2種類の金属を貼り合わせることで、加熱により屈曲を生じる金属片である。特に本実施例のバイメタル5bは、それ自体が内部に電気抵抗を有してなり、通電すると熱源体として発熱を生じる。この熱によってバイメタル5bは「U」字形状から「く」の字形状に変形し、その発熱に反応し前述の変形を行う。図7、又は図10乃至図12に示したように、該バイメタル5bの一部が支持軸4に、また一部が固定部材9にそれぞれ固定されてなり、前述のように通電を生じバイメタル5bが変形すると、支持軸4を押し上げ、最終的にはワンウェイカム機構を動作させる。
受信部10は、排水配管の外部に配置され、操作部3から発信される操作の電波を受信し、バイメタル5bに電源部11からの電力を供給してバイメタル5bを動作させる。尚、受信部10では、操作部3からの操作の電波を受信しバイメタル5bに通電を行うと、事前に設定された数秒間(バイメタル5bが通電を受けて、支持軸4をワンウェイカム機構が動作するのに足る程度上昇動作させるのに充分な時間)後に自動的に通電を終了し、更に事前に設定された数秒間(「く」の字状に変形したバイメタル5bが自然冷却によって再び「U」字形状に変形するのに充分な時間)の間、操作部3の操作に関係なく通電を停止する。操作部3の電波を受信し、通電を開始すると、上記の設定された通電時間及び通電停止時間が経過するまでの間に操作部3に追加的に操作が行われ操作の電波を受信しても、受信部10ではそれを無効として処理する。通電時間及び通電停止時間が経過した後では、再び受信部10は操作部3から発信される操作の電波を受信し、バイメタル5bに電源部11からの電力を供給してバイメタル5bを動作させることが可能となる。
電源部11は、排水配管の外部に配置され、受信部10に配線が行われる部材である。
操作部3は操作毎に電波にて制御部に操作信号を送信する部材である。
【0028】
上記した第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように施工・取り付けされる。
浴槽Bの取付口に上方から排水栓本体7を挿入した後、排水栓本体7の雄ネジにエルボ管8の雌ネジを螺合させ、排水栓本体7のフランジ7a下面とエルボ管8上縁とで取付口周縁を挟持するようにして固定する。更に排出口8aを下水側の配管に接続する。
そして、操作部3を浴槽Bの開口周縁に取付固定し、更にエルボ部材の挿通孔8bを介して排水口1内部に電線を水密的に挿通し、排水口1内部側の電線を固定部材9のバイメタル5bに、排水口1外部側の電線は電源部11に、それぞれ接続する。
更に固定部材9を排水口1内部に嵌合固定させた後、支持軸4の上端に弁部材2を嵌合させ、また、電源部11を槽体近傍の適宜位置に配置固定することで、槽体である浴槽Bへの遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0029】
上記のように取り付けられた第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように作動する。まず図10に示したように、弁部材2が降下し、排水口1が閉口されている状態にする。
この時ワンウェイカム機構は図9の(a)の状態となっている。
この状態の時に、操作部3に操作を行い、操作部3が電波を発信し、受信部10が電波を受信すると、それに対応して電動部であるバイメタル5bに通電が行われ熱源体としてのバイメタル5bが発熱する。この発熱に反応して、バイメタル5bが「U」字形状から熱によって「く」の字形状に変形し、それに伴って保持機構部の支持軸4が上方に押し上げられる。
この時、ワンウェイカム機構は図9の(b)状態となる。その後受信部10によってバイメタル5bへの通電が解除されるとバイメタル5bは冷却され、「く」の字形状から「U」字形状に変形する。
これにより、支持軸4が若干降下して、弁部材2が上昇した状態のまま固定され、図12の状態となって排水口1が開口し、浴槽B内の排水が排出される。この時ワンウェイカム機構は図9の(c)の状態となっている。
この状態から再度操作部3に操作を行い、操作部3が電波を発信し、受信部10が電波を受信することで電動部であるバイメタル5bに通電が行われ発熱すると、再びバイメタル5bが「U」字形状から熱によって「く」の字形状に変形し、それに伴って保持機構部の支持軸4が上方に押し上げられる。この時、ワンウェイカム機構は図9の(d)状態となる。その後受信部10の動作によってバイメタル5bへの通電が解除されるとバイメタル5bは冷却され、「く」の字形状から「U」字形状に変形する。これにより、ワンウェイカム機構は支持軸4が降下して、図9の(e)及び(f)の状態を経て図9の(a)の状態に戻り、排水口1は図4の状態となって排水口1が閉口された状態となる。以降、この過程を繰り返すことで、排水口1を遠隔操作的に自在に開口/閉口する事ができる。
【0030】
上記第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は以下のような効果を奏する。
上記第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、その開閉動作を、電動部であるバイメタル5bの通電による変形と、保持機構部であるワンウェイカム機構によって行うことができる。人力を利用しないため、使用者にあまり腕力等が無くても、容易に排水口1を開閉することができる。
また、上記第二実施例の遠隔操作式排水栓装置では、電動部であるバイメタル5bへの通電は開口時/閉口時の動作が生じる数秒程度のみであり、開口状態または閉口状態を維持するために通電を行う必要はない。そのため、その動作において通電による電力の消耗は極わずかで済み、また機器への負担も小さいものとすることができる。
【0031】
次に、本発明の第三実施例を、図面を参照しつつ説明する。図13乃至図14に示した本発明の第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、槽体としての浴槽Bに取り付けられた、排水口1を有する排水栓本体7、エルボ管8、弁ユニット12を構成する弁部材2及び固定部材9、操作部3(図示せず)、から構成される。尚、上記構成のうち、排水栓本体7、エルボ管8は排水機器として排水機器メーカーから提供される部材である。また、弁部材2及び固定部材9から成る弁ユニット12及び操作部3は給湯器の一部として給湯器メーカーから提供される部材である。同じ提供元であるため、一つの操作部3に排水口1と給湯器の両方の操作機能を付加することができる。
浴槽Bは上方が開口した箱体であって、底面に排水栓本体7を取り付ける取付口を開口してなる。
排水栓本体7は、円筒状であって外側面に雄ネジを有すると共に、上端に外側方向に突出するフランジ7aを備えた部材であり、その内部に、浴槽B内の排水を下水側へと排水するための排水口1を設けてなる。
エルボ管8は、管体を略L字状に屈曲させた部材であって、筒体の上方の開口には排水栓本体7の雄ネジに螺合する雌ネジを備え、側面方向の開口には下水側の配管に接続されて排水を下水側に排出する排出口8aを備えてなる。
弁部材2は排水口1上端を閉口するための、平面視円形の略平板状の部材であって、下面中央にて、後述する保持機構部の支持軸4先端に嵌合固定される。
固定部材9は以下に記載する保持機構部、電動部である第一磁石5c、第二磁石5d、受信部10、電源部11を排水栓内部に固定するための部材であって、排水栓内部に嵌合固定される。
保持機構部は、段落0023に記載した第一実施例のスラストロック機構と同様の構成を備えてなり、更に加えて支持軸4の下端に永久磁石からなる第二磁石5dを備えてなる。また、支持軸4の側面とスラストロック機構との間には特に図示しないがセンサーが備えられており、支持軸4の高さ位置を検知して排水口1が開口状態か閉口状態かを検知し、そのデータを操作部3に送るように構成されてなる。
第一磁石5cは、通電によって磁力を発生させる電磁石を備えてなり、通電することによって支持軸4の第二磁石5dと反発し、支持軸4を上方に押し上げ、スラストロック機構を動作させる。
受信部10は固定部材9内で第一磁石5cに配線が行われる部材であって、操作部3からの操作を受信し、それに応じて同じく固定部材9内に設けられた電源部11から供給される電力を第一磁石5cに供給する。尚、受信部10では、操作部3からの操作の電波を受信し第一磁石5cに通電を行うと、事前に設定された数秒間(第一磁石5cが通電を受けて、支持軸4をスラストロック機構が動作するのに足る程度上昇動作させるのに充分な時間)後に自動的に通電を終了する。操作部3の電波を受信し、通電を開始すると、上記の設定された通電時間が経過するまでの間に操作部3に追加的に操作が行われ操作の電波を受信しても、受信部10ではそれを無効として処理する。通電時間が経過した後では、再び受信部10は操作部3から発信される操作の電波を受信し、第一磁石5cに電源部11からの電力を供給して第一磁石5cを動作させることが可能になる。
電源部11は内部に電池を備えた部材であって、受信部10に電力を供給する。
操作部3は操作毎に電波にて受信部10に操作信号を送信する部材である。尚、本実施例では、弁部材2、固定部材9、操作部3は給湯器の部材の一部として構成されてなり、操作部3は、給湯器の操作部3である操作パネルの中に一体のものとして構成されてなる。この操作部3では、給湯器の作動と停止、上記浴槽Bの排水口1の開閉操作、及び浴槽Bへ事前に設定された水位・温度での温水を貯水する操作、いわゆる「お湯張り」の操作等を行うことができる。また、本実施例では操作部3は2つ用意されてなり、1つは浴室内の壁面に、1つはキッチンなど生活空間の壁面に取付固定される。2つの操作部3は意匠などを除き基本的に同等のもので、浴室の操作部3で行う操作を生活空間側の操作部3でも行うことができる。また、浴室の操作部3で行った操作を、生活空間側の操作部3で停止することができるなど、特に部材としての相違点はない。また、本実施例の操作部3は、保持機構部で検知した支持軸4の高さ位置の検知データを受けとり、排水口1が開口している(支持軸4が上昇している)か、閉口している(支持軸4が下降している)かを操作部3に表示するように構成されている。更に、操作部3に給湯・給水の操作が行われたとしても、上記検知データから排水口1が開口していると検知したときは排水口1が開口している旨を表示して浴槽Bに給湯・給水を行わないように構成されてなる。
【0032】
上記した本発明の第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように施工・取り付けされる。浴槽Bの取付口に上方から排水栓本体7を挿入した後、排水栓本体7の雄ネジにエルボ管8の雌ネジを螺合させ、排水栓本体7のフランジ7a下面とエルボ管8上縁とで取付口周縁を挟持するようにして固定する。更に排出口8aを下水側の配管に接続する。
以上で排水配管側の施工が終了する。
この後、給湯器側の施工作業として、給湯器の施工と共に、操作部3のうち一つを浴室の近傍に、またもう一つを生活空間であるキッチンの適宜位置に取り付ける。
また、図15の状態から、図13弁乃至図14の状態のように、部材及び固定部材9からなる弁ユニット12を排水口1内部に接続固定することで、槽体である浴槽Bへの遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0033】
上記のように取り付けられた第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は以下のように動作する。まず図13に示したように、弁部材2が降下し、排水口1が閉口されている状態にする。この状態の時に、操作部3に操作を行い、第一磁石5cに通電を行うと、第一磁石5cに磁界が発生し、支持軸4の第二磁石5dと反発して、保持機構部の支持軸4が上方に押し上げられスラストロック機構が動作する。その後受信部10によって第一磁石5cへの通電が解除され磁界が消滅すると、弁部材2が上昇した状態のまま固定され、図14の状態となって排水口1が開口し、浴槽B内の排水が排出される。
この状態から再度操作部3に操作を行い、第一磁石5cに通電を行うと、再び第一磁石5cに磁界が発生し、支持軸4の第二磁石5dと反発して、保持機構部の支持軸4が上方に押し上げられてスラストロック機構が動作する。その後受信部10によって第一磁石5cへの通電が解除されるこれにより、支持軸4の固定が解除され、弁部材2が降下して排水口1を閉塞した図13の状態に戻る。以降、この過程を繰り返すことで、排水口1を遠隔操作的に自在に開口/閉口する事ができる。上記のように動作するため、本実施例では、第一磁石5c、第二磁石5dの両方の組み合わせをもって電動部となる。
【0034】
上記第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は以下のような効果を奏する。
上記第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、その開閉動作を、第一磁石5cへの通電による反発と、保持機構部であるスラストロック機構によって行うことができる。人力を利用しないため、使用者にあまり腕力等が無くても、容易に排水口1を開閉することができる。
また、上記第三実施例の遠隔操作式排水栓装置では、第一磁石5cへの通電は開口時/閉口時の動作が生じる数秒程度のみであり、開口状態または閉口状態を維持するために通電を行う必要はない。そのため、その動作において通電による電力の消耗は極わずかで済み、また機器への負担も小さいものとすることができる。
また、上記遠隔操作式排水栓装置では、電動部である第一磁石5c及び保持機構部を含む固定部材9と弁部材2とが、操作部3から物理的に独立した弁ユニット12として構成されてなるため、部材の修理や、電池の交換などメンテナンスを行う場合、弁ユニット12を取り出し、そのまま交換するだけで良いなど、容易に行うことができる。もちろん、配線など部分的な修理だけでも狭い排水口1から取り出し手元で作業できるため、容易にメンテナンスを行うことができる。
また上記第三実施例では、弁部材2及び固定部材9からなる弁ユニット12と操作部3を、給湯器の部材として提供している。従来の遠隔操作式排水栓装置では、第一の従来例のように、操作部3と弁部材2の昇降を行う保持機構部などをレリースワイヤなどで物理的に接続していたため、施工作業は排水配管の施工にあわせて行う必要があり、遠隔操作式排水栓装置の全てを排水用の機器の一部材として扱うほか無かった。
また、第一実施例・第二実施例のように、たとえ保持機構部と操作部3とが直接接続されていなくとも、エルボ管8に設けた挿通孔8b等排水配管の内部と外部を貫通する構成があると、当該部分の水密性を確保するといった配線等の必要から、やはり施工作業は排水用の機器の施工にあわせて行う必要があり、遠隔操作式排水栓装置の全てを排水用の機器の一部材として扱うほか無かった。
これに対し、本発明の第三実施例では、施工済みの排水口1に、固定部材9と弁部材2とからなる弁ユニット12を固定するだけの作業で施工が完了する。この弁ユニット12の固定作業は、排水配管の内外を挿通する作業や、メンテナンスや修理の無い限り水密的な状態の維持を要求される接続固定部分が無いため、排水口1と固定部材9の接続構造を規格化しておけば、異なるメーカーの製品であっても容易に接続固定を行うことができる。これにより、弁ユニット12及び操作部3を排水の機器ではなく、給湯器(または給湯機器)の一部材として提供し、施工することを可能とすることができた。
そして、このように弁部材2及び固定部材9からなる弁ユニット12及び操作部3を、給湯器(または給湯機器)の一部材とすることで、給湯器と排水配管のメーカーなどの提供元が異なる場合でも、遠隔操作式排水栓装置の操作部3を、給湯器(または給湯機器)の操作部3に組み込んで、一体の操作部3として扱うことができた。
これにより、例えば浴槽Bの排水口1の閉口とお湯張りの一連の操作を、浴室から離間した場所から全て行うことができた。
また、操作部3から排水口1が開口している(支持軸4が上昇している)か、閉口している(支持軸4が下降している)かを操作部3から確認できる構造としたため、浴槽Bの排水口1を直接目視できない場所に備えた操作部3からも排水口1の状態を確認したり、給湯器の操作と排水口1の開閉操作とを連動させ、操作部3に給湯・給水の操作が行われたとしても、排水口1が開口していると検知したときは排水口1が開口している旨を表示して浴槽Bに給湯・給水を行わないなど、誤って浴槽Bに給湯・給水が行われないようにすることができた。
【0035】
以下に、本発明の第四実施例を、図面を参照しつつ説明する。図17乃至図18に示した本発明の第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、下記に記載した固定部材9を除き、段落0031に記載した遠隔操作式排水栓装置と同様の構成を備えてなる。
固定部材9は以下に記載する保持機構部、人工筋肉部5e、受信部10、電源部11を排水栓内部に固定するための部材であって、排水栓内部に嵌合固定される。
保持機構部は、段落0023に記載した第一実施例のスラストロック機構と同様の構成を備えてなり、また、支持軸4の側面とスラストロック機構との間にはセンサーが備えられており、支持軸4の高さ位置を検知して排水口1が開口状態か閉口状態かを検知し、そのデータを操作部3に送るように構成されてなる。更に、支持軸4の下方に下記のような構成の電動部である人工筋肉からなる人工筋肉部5eを備えてなる。
人工筋肉部5eは通電によって屈曲を生じる、高分子材料を利用した人工筋肉から構成される部材である。通電することによって屈曲する人工筋肉としては、特開2009−191117号、特開2009−46649号、特開平11−169394号、特開平11−169393号等において公知である。本実施例ではこの人工筋肉を複数積層するようにし、その端部同士を固定して、通電しない状態である図20の状態から、通電することで図19のように上方に伸張するように構成してなり、これによって支持軸4を上方に押し上げ、スラストロック機構を動作させる。
受信部10は固定部材9内で電動部である人工筋肉部5eに配線が行われる部材であって、操作部3からの操作を受信し、それに応じて同じく固定部材9内に設けられた電源部11から供給される電力を人工筋肉部5eに供給する。尚、受信部10では、操作部3からの操作の電波を受信し人工筋肉部5eに通電を行うと、事前に設定された数秒間(人工筋肉部5eが通電を受けて、支持軸4をスラストロック機構が動作するのに足る程度上昇動作させるのに充分な時間)後に自動的に通電を終了する。操作部3の電波を受信し、通電を開始すると、上記の設定された通電時間が経過するまでの間に操作部3に追加的に操作が行われ操作の電波を受信しても、受信部10ではそれを無効として処理する。通電時間が経過した後では、再び受信部10は操作部3から発信される操作の電波を受信し、人工筋肉部5eに電源部11からの電力を供給して人工筋肉部5eを動作させることが可能になる。
電源部11は内部に電池を備えた部材であって、受信部10に電力を供給する。
【0036】
上記した本発明の第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、以下のように施工・取り付けされる。浴槽Bの取付口に上方から排水栓本体7を挿入した後、排水栓本体7の雄ネジにエルボ管8の雌ネジを螺合させ、排水栓本体7のフランジ7a下面とエルボ管8上縁とで取付口周縁を挟持するようにして固定する。更に排出口8aを下水側の配管に接続する。
以上で排水配管側の施工が終了する。
この後、給湯器側の施工作業として、給湯器の施工と共に、操作部3のうち一つを浴室の近傍に、またもう一つを生活空間であるキッチンの適宜位置に取り付ける。
また、部材及び固定部材9からなる弁ユニット12を排水口1内部に接続固定することで、槽体である浴槽Bへの遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0037】
上記のように取り付けられた第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は以下のように動作する。まず図17に示したように、弁部材2が降下し、排水口1が閉口されている状態にする。この時人工筋肉は折り畳まれたような状態となっている。この状態の時に、操作部3に操作を行い、電動部である人工筋肉部5eに通電を行うと、人工筋肉部5eの各層が屈曲し、図19に示したような状態となって保持機構部の支持軸4が上方に押し上げられてスラストロック機構が動作する。
この状態から再度操作部3に操作を行い、電動部である人工筋肉部5eに通電を行うと、再び人工筋肉部5eが屈曲して、保持機構部の支持軸4が上方に押し上げられてスラストロック機構が動作する。その後受信部10によって人工筋肉部5eへの通電が解除されるこれにより、支持軸4の固定が解除され、弁部材2が降下して排水口1を閉塞した図17の状態に戻る。以降、この過程を繰り返すことで、排水口1を遠隔操作的に自在に開口/閉口する事ができる。
【0038】
上記第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は段落0034の第三実施例と同様の効果を奏する。更に、本第四実施例では第三実施例と異なり、磁力を利用しないため、支持軸4や排水口1に金属片などが付着したり、鉄分などに由来するスケールの発生が抑制できる、といった効果を備える。
【0039】
本発明の実施例は以上のようであるが本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。例えば、上記実施例では、電力の供給を電池としたが、一般家庭のコンセントに由来する電力を利用して遠隔操作式排水栓装置の電源部11を構成しても良い。またこの場合、第二の従来例にて紹介した、内部ユニットと外部ユニットからなる、コイルと電磁誘導を利用して直接接触が無くとも電気を通電する非接触電源を利用すれば、第三実施例や第四実施例のように、遠隔操作式排水栓装置の弁部材2及び固定部材9を弁ユニット12としつつ、且つ電池の場合と異なり消耗し交換する必要がない遠隔操作式排水栓装置とする事ができる。
【0040】
また上記第一実施例、第二実施例では、形状記憶合金5aやバイメタル5bを働かせる熱源体として、それら自身が通電により発熱する熱源体としているが、これに代えてヒーターなど別途の熱源体を設けても構わない。また、例えば通電により発熱するヒーターにより水温を上昇させ、生じた温水を形状記憶合金5aやバイメタル5bに触れさせて変形を生じさせるなど、直接通電により発熱する熱源体の発熱によって形状記憶合金5aやバイメタル5bを変形させるのではなく、熱源体の熱を別の素材に伝達し、間接的に形状記憶合金5aやバイメタル5bを加熱させて変形を生じさせる構造としても構わない。
【0041】
また上記第三実施例、第四実施例では、浴槽Bの排水口1が開口しているときに浴槽Bの給湯・給水の操作を行っても操作を無効とするように構成されているが、これに代えて浴槽Bの排水口1が開口しているときに浴槽Bの給湯・給水の操作を行うと自動的に排水口1を閉口するように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0042】
1 排水口 2 弁部材
3 操作部 4 支持軸
5a 形状記憶合金 5b バイメタル
5c 第一磁石 5d 第二磁石
5e 人工筋肉部 6a 固定カムリング
6b 回転カムリング 6c ケーシング部
6d 傾斜壁 6e 溝部
6f ワンウェイカム部 6g 摺動孔
6h 係止部 6i 傾斜部
6j 突起部 6k 接触子
7 排水栓本体 7a フランジ
8 エルボ管 8a 排出口
8b 挿通孔 9 固定部材
10 受信部 11 電源部
12 弁ユニット B 浴槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を排出する排水口1を遠隔的に開閉する遠隔操作式排水栓装置であって、
排水口1に配置されて上下動することで排水口1の開閉を行う弁部材2と、
排水口1の開閉動作を操作する操作部3と、
弁部材2を支持する支持軸4と、
操作部3に操作を行う都度、電気により動作する機構により支持軸4を一時的に持ち上げる動作を行う電動部と、
電動部が支持軸4を持ち上げる動作を行う都度、機械的に動作する機構により支持軸4が弁部材2ごと上昇した状態を固定して維持/固定を解除して下方に降下、を繰り返す保持機構部と、
から構成されたことを特徴とする、遠隔操作式排水栓装置。
【請求項2】
上記遠隔操作式排水栓装置において、保持機構部がスラストロック機構であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項3】
上記遠隔操作式排水栓装置において、保持機構部がワンウェイカム機構であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項4】
上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部が、
通電により発熱する熱源体と、
熱源体に加熱されて変形して支持軸4を押し上げる形状記憶合金5aと、
から構成されたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項5】
上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部が、
通電により発熱する熱源体と、
熱源体に加熱されて変形して支持軸4を押し上げるバイメタル5bと、
から構成されたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項6】
上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部が、
通電により磁界を発生させる電磁石からなる第一磁石5cと、
第一の磁石の磁界に対して引力/又は斥力を生じる磁界を備えて支持軸4を押し上げる第二磁石5dと、
から構成されたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項7】
上記遠隔操作式排水栓装置において、電動部が、
通電により伸縮/又は変形して支持軸4を押し上げる人工筋肉から構成されたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項8】
上記遠隔操作式排水栓装置において、
少なくとも電動部及び保持機構部が、操作部3から物理的に独立したユニットとして構成されてなることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項9】
上記遠隔操作式排水栓装置において、
電動部及び保持機構部を含むユニットが、給湯器または給湯機器の部材として提供され、
その開閉を操作する操作部3が、給湯器または給湯機器の操作部3と一体に組み込まれて構成されてなることを特徴とする、請求項8に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項10】
上記遠隔操作式排水栓装置において、
排水口1の開口/閉口の状態を操作部3において確認できるように構成してなることを特徴とする、請求項9に記載の遠隔操作式排水栓装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2011−64043(P2011−64043A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218158(P2009−218158)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000157212)丸一株式会社 (158)
【Fターム(参考)】