説明

適応熱導体を有するプラズマ処理チャンバ部品

【課題】高いスループット及び工程内において温度ドリフトの少ない安定した基板温度を得ることが可能なプラズマ処理チャンバに使用するアセンブリを提供する。
【解決手段】プラズマ処理チャンバに使用する基板サポートアセンブリ440は、その部品に相当するサポートリング430と、熱源に相当するエッジリング410と、それらの間のポリマ複合材420により構成されており、ポリマ複合材420は多工程エッチングプロセスの間、部品の温度を高温又は低温に維持するために、高熱伝導率の相と低熱伝導率の相との間で相転移を示す温度誘発相変化ポリマを使用する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体技術の世代が進むにつれて、ウエハは直径が増す傾向にあり、トランジスタはサイズが縮小するので、ウエハ処理では、かつてないほど高レベルの精度及び再現性が必要とされている。シリコンウエハなどの半導体基板材料は、真空チャンバの使用を伴う技術によって処理される。これらの技術は、電子ビーム蒸着などの非プラズマ応用はもちろん、スパッタリング蒸着、プラズマ助長化学気相成長(PECVD)、レジスト剥離、及びプラズマエッチングなどのプラズマ応用も含む。
【0002】
現在入手可能なプラズマ処理システムは、精度、再現性、及び効率の向上に対する要求の高まりに見舞われている半導体製造ツールの1つである。プラズマ処理システムの成功の評価基準は、スループット及び基板温度安定性を含む。基板温度は、基板上に製造されるデバイスの限界寸法に影響を及ぼすゆえに、例えば処理レシピの一工程内のように安定した基板温度が求められるときは、大きくドリフトしてはならない。
【0003】
例えば、ポリシリコンゲートエッチングは、約300mm直径の基板の全体で達成される限界寸法均一性(CDU)をどんどん小さくする傾向がある。このような変動は、エッジ付近における基板温度の半径方向の変動、プラズマの化学成分若しくは密度、張り出しているエッジリング、又はその他の制約に起因することが考えられる。CDUに対する要件は、ノードサイズの継続的な減少とともにいっそう厳しくなると予想される。
【0004】
集積回路チップの製造は、通常、(シリコン又はゲルマニウムのような)高純度の単結晶半導体材料基板を研磨して薄切りにしたものからスタートする。各基板は、基板上に様々な回路構造を形成する一連の物理的及び化学的な処理工程を経る。製造プロセスでは、二酸化シリコン膜を作成するための熱酸化、シリコン膜、二酸化シリコン膜、及び窒化シリコン膜を作成するための化学気相成長、その他の金属膜を作成するためのスパッタリング又はその他の技術などの、様々な技術を使用して、様々なタイプの薄膜が基板上に堆積されてよい。
【0005】
半導体基板上に膜を堆積させた後は、ドーピングと呼ばれるプロセスを使用し、選択された不純物を導入して半導体結晶格子に置き換えることによって、半導体固有の電気的特質が形成される。ドープされたシリコン基板は、次いで、「レジスト」と呼ばれる感光性又は放射線感受性の材料の薄い層を均一にコーティングされてよい。次いで、リソグラフィとして知られるプロセスを使用して、回路内の電子経路を定める小幾何パターンがレジスト上に転写されてよい。リソグラフィプロセスでは、「マスク」と呼ばれるガラス板上に集積回路パターンが描画されてよく、該パターンは、次いで、光学的に還元され、投射され、感光性のコーティング上に転写される。
【0006】
リソグラフィを経たレジストパターンは、次いで、エッチングと呼ばれるプロセスを通じて下位の結晶表面上に転写される。基板のエッチングには、通常、プラズマ処理チャンバが使用され、基板のエッチングは、該プラズマ処理チャンバにプロセスガスを供給し、該プロセスガスに高周波(RF)磁場を加えてプラズマ状態に励起させることによってなされる。
【発明の概要】
【0007】
プラズマ処理チャンバの部品と、熱源と、部品と熱源との間に挟まれたポリマ複合材とを含むアセンブリであって、部品は、温度制御表面を有し、ポリマ複合材は、高熱伝導性の相と低熱伝導性の相との間で温度誘発相転移を示す。
【0008】
高熱伝導性の相と低熱伝導性の相との間で温度誘発相転移を示すポリマ複合材を使用して、半導体基板が処理されるプラズマ処理チャンバの部品の温度を制御する方法であって、部品が温度制御表面を有し、ポリマ複合材が部品と熱源との間に挟まれる方法において、該方法は、部品を熱源から熱的に分離するために又は部品を熱源に熱的に結合するためにポリマ複合材の相転移を誘発させることを含む。
【0009】
上記のアセンブリを含むプラズマ処理チャンバにおいて基板をエッチングする方法において、該方法は、第1の温度及び第1のプラズマ出力で基板をエッチングすることと、ポリマ複合材の温度誘発相転移を誘発させることと、第2の温度及び第2のプラズマ出力で基板をエッチングすることとを含み、第1の温度は第2の温度よりも高く尚且つ第1のプラズマ出力は第2のプラズマ出力よりも低い、又は第1の温度は第2の温度よりも低く尚且つ第1のプラズマ出力は第2のプラズマ出力よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】ポリマ正温度係数(PPTC)複合材の熱伝導性の、典型的な温度依存性を示した図である。
【0011】
【図1B】ポリマ負温度係数(PNTC)複合材の熱伝導性の、典型的な温度依存性を示した図である。
【0012】
【図2A】自身の特性温度T0よりも低いときの典型的なPNTC複合材の構造の概略図である。
【0013】
【図2B】自身の特性温度T0よりも高いときの典型的なPNTC複合材の構造の概略図である。
【0014】
【図2C】自身の特性温度T0よりも低いときの典型的なPPTC複合材の構造の概略図である。
【0015】
【図2D】自身の特性温度T0よりも高いときの典型的なPPTC複合材の構造の概略図である。
【0016】
【図3A】PNTC複合材の使用の概略図である。
【0017】
【図3B】PPTC複合材の使用の概略図である。
【0018】
【図3C】PNTC複合材の別の使用の概略図である。
【0019】
【図4】半導体基板が処理されPPTC複合材が使用されるプラズマ処理チャンバのエッジリングアセンブリの略断面図である。
【0020】
【図5】半導体基板が処理されPPTC複合材が使用されるプラズマ処理チャンバの上部電極アセンブリの略断面図である。
【0021】
【図6】半導体基板が処理されPNTC複合材が使用されるプラズマ処理チャンバの基板サポートアセンブリの略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
プラズマ処理チャンバは、上部電極アセンブリと基板サポートアセンブリとを伴う真空チャンバを含むことができる。処理されるべき半導体基板は、適切なマスクによって覆われ、基板サポートアセンブリの上に直接置かれる。CF4、CHF3、CClF3、HBr、Cl2、SF6、又はそれらの混合などのプロセスガスが、O2、N2、He、Ar、又はそれらの混合などのガスとともにチャンバに導入される。チャンバは、通常はミリトール範囲の圧力に維持される。上部電極アセンブリは、ガスが上部電極アセンブリを通ってチャンバ内に均一に分散されることを可能にする(1つ又は複数の)ガス注入穴を設けられる。1つ又は複数の高周波(RF)電源が、RF電力を真空チャンバに送り、中性プロセスガス分子をプラズマに電離させる。上部電極と基板サポートアセンブリとの間の電場によって、プラズマ中の高反応性ラジカルが、基板表面へ駆り立てられる。基板の表面は、ラジカルとの化学反応によってエッチングされる。
【0023】
基板サポートアセンブリは、基板サポート板と、該基板サポート板に直接に熱的に接触している(例えば埋め込まれている又は取り付けられている)電気ヒータとを含むことができる。基板サポート板の底部には、流体冷却板を取り付けることができる。流体冷却板の流路内で循環している流体が、基板サポートアセンブリから熱を逃す。典型的な基板サポートアセンブリは、参照によって本明細書に組み込まれる同一出願人による米国特許第6,847,014号及び第6,921,724号に記載されている。
【0024】
上部電極アセンブリは、受け板に取り付けられた上部電極を含むことができる。典型的な上部電極アセンブリは、同一出願人による米国特許公開公報第2008/0308228号、第2008/0090417号、第2008/0308229号、第2009/0305509号、及び第2009/0081878号、並びに米国特許第7,645,341号に見出され、これらは各自、参照によって本明細書に組み込まれる。受け板は、流体冷却上板に取り付けられる。上部電極は、プラズマによって及び/又は上部電極アセンブリに埋め込まれたヒータ構成によって加熱することができる。
【0025】
熱的構成は、半導体基板を処理するために高出力プラズマが使用されるプラズマ処理チャンバにおける課題である。例えば、メモリチップを製造するためのプロセスでは、誘電体エッチングチャンバにおいて必要とされるプラズマ出力は、6キロワットを超えるであろう。熱的構成は、更に、異なる処理工程間でチャンバ部品(例えば電極、受け板、エッジリング、チャンバ壁など)の温度を比較的安定に維持しつつプラズマ出力及び基板温度を劇的に変化させることの必要性によって複雑化される。
【0026】
例えば、高アスペクト比の特徴がエッチングされる典型的なプラズマエッチングプロセスは、半導体基板がエッチングされるメインのエッチング工程と、マスクが部分的にエッチングされるマスク開口工程とを含む。メインのエッチング工程が、基板に対して高熱流束(例えば約4000W)をもたらすことができる高プラズマ出力と、所望の特徴プロファイルを作成するための低い基板温度(約20〜40℃)とを必要とする一方で、マスク開口工程は、基板に対して低熱流束(例えば約400W)をもたらすことができる低プラズマ出力と、高い基板温度(約70〜110℃)とを必要とする。所望のウエハ温度を実現するために、低出力工程では高いウエハ温度を維持するために温度制御冷却板の上方の高ワット密度ヒータが使用され、高出力工程ではウエハが冷却板によって冷却されることを可能にするためにヒータがオフにされる又は低電力で運転される。エッジリング及び/又は上部電極の温度は、工程によって異なるプラズマ出力設定によってもたらされる加熱の変動にかかわらず、プロセス全体を通して望ましくは安定的に維持される。
【0027】
メインのエッチング工程が、基板を所要の低温度に冷却するために流体冷却板から高い冷却力を必要とする一方で、マスク開口工程では、所要の高基板温度を得るために流体冷却板からの冷却力が低いことが好ましい。しかしながら、従来のプラズマ処理チャンバでは、流体冷却板内で循環している流体の量が多く、ゆえに、エッチング工程の時間尺度と比べて流体温度又は冷却力の変化が非常に遅い。したがって、マスク開口工程では、従来、流体冷却板の高い冷却力を打ち消すのに十分な加熱力を出力して基板を所要の高温度に加熱するために電気ヒータ構成が使用されてきた。したがって、ヒータは、非常に高い電力(例えば5000W又はそれ以上)を有さなければならず、これは、温度の不均一性をもたらし、このような高電力ヒータは、チャックの製造を変動しやすくする。別の従来のアプローチは、基板サポートを通して必要に応じて熱い又は冷たい流体を選択的に押し出すために2つの温度制御ユニットを使用することである。しかしながら、このようなアプローチは、基板サポートの設計をいっそう複雑にする。
【0028】
本明細書で説明されるのは、高熱伝導性の相と低熱伝導性の相との間で温度誘発相転移を示すポリマベースの複合材を含むアセンブリであり、ポリマベース複合材は、基板サポートアセンブリ、上部電極アセンブリ、エッジリング、エッジリングアセンブリ、又はプラズマ処理チャンバ内のその他のチャンバ部品など、プラズマ処理チャンバ内部に温度制御表面を好ましくは露出させたプラズマチャンバ部品のための熱移動媒体である。抵抗ヒータを有する基板サポートに組み込まれると、ヒータ電力密度を増大させることなくプロセス窓を大きくすることが可能であり、これは、電力の消費を減少させるにあたって及び製造の変動性を低減させるにあたって望ましい。
【0029】
一群のポリマベース複合材は、狭い温度範囲内において劇的な熱伝導性の増減を示す(すなわち相転移)。図1Aは、典型的なポリマベース複合材の熱伝導率(λ)を温度(T)の関数として示している。特性温度T0未満では、λは、比較的小さく、TがT0周辺の狭い温度範囲に跨って上昇するにつれて、λは、幾倍もの又は桁違いの急増を示す。TがT0周辺の狭い温度範囲を超えて上昇するにつれて、λは、比較的大きい値で安定する。このような複合材は、ポリマ正温度係数複合材、すなわちPPTC複合材と呼ばれる。
【0030】
図1Bは、別の典型的なポリマベース複合材の熱伝導率(λ)を温度(T)の関数として示している。特性温度T0未満では、λは、比較的大きく、TがT0周辺の狭い温度範囲に跨って上昇するにつれて、λは、幾倍もの又は桁違いの急減を示す。TがT0周囲の狭い温度範囲を超えて上昇するにつれて、λは、比較的低い値で安定する。このような複合材は、ポリマ負温度係数複合材、すなわちPNTC複合材と呼ばれる。
【0031】
PPTC複合材又はPNTC複合材は、任意の適切な方法によって調製されてよい。一実施形態は、繊維又は粉末の形態をとる高λの充填材(例えば金属、炭素など)を、低λのポリママトリクスと混合する方法である。
【0032】
具体的には、PNTC複合材を実現するために、低いλを有するとともにTの上昇とともに膨張するポリママトリクス210を使用することができる。図2A及び図2Bを参照せよ。T0未満の温度において充填材220の装填レベルが浸透限界を上回るとともに充填材220の高いλが複合材全体のλを支配するように、尚且つTが上昇してT0に近づくにつれてポリママトリクス210の膨張が装填レベルを効果的に減少させるように、尚且つTがT0を超えて上昇するにつれて装填レベルが浸透限界未満に下がるとともにポリママトリクス210の低いλが複合材全体のλを支配するように、適量の高λ充填材220がポリママトリクス210と完全に混合される。ポリママトリクス210は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第3,994,867号に記載されるように、一モノマ分子ごとに2つ若しくは3つ以上の共役アセチレン基を含む環状又は非環状のアセチレンモノマの固体重合によって得られる高密度鎖配列ポリアセチレンのような任意の適切なポリマであってよい。
【0033】
PPTC複合材を実現するために、低いλを有するとともにTの上昇とともに膨張するポリママトリクス230を使用することができる。図2C及び図2Dを参照せよ。T0よりも高い温度において充填材240の装填レベルが浸透限界を上回るとともに充填材240の高いλが複合材全体のλを支配するように、尚且つTが低下してT0に近づくにつれてポリママトリクス230の膨張が装填レベルを効果的に減少させるように、尚且つTがT0未満に低下するにつれて装填レベルが浸透限界未満に下がるとともにポリママトリクス230の低いλが複合材全体のλを支配するように、適量の高λ充填材240がポリママトリクス230と完全に混合される。ポリママトリクス230は、例えば、Dow Corning Sylgard(登録商標) 184シリコーンエラストマなどの任意の適切なポリマであってよい。
【0034】
PPTC複合材又はPNTC複合材は、温度を制御されるべきプラズマチャンバ部品と、ヒートソース及び/又はヒートシンクなどの熱源との間の熱移動媒体(例えば熱ガスケット)として使用することができる。例えば、図3Aに示されるように、部品300とヒートソース350との間にPNTC複合材層310が挟まれる。PNTC複合材層310は、PNTC複合材層310の温度がT0よりも高いときに部品300がヒートソース350から実質的に熱的に分離されるという意味で、温度制限手段として機能する。PNTC複合材層310の温度は、ヒートソース350によって及び/又は部品300を通る熱流束によって制御することができる。この構成におけるPNTC複合材層310は、部品300を過熱から保護するために使用することができる。
【0035】
同様に、図3Bに示されるように、部品300とヒートシンク360との間にPPTC複合材層320が挟まれる。PPTC複合材層320は、PPTC複合材層320の温度がT0未満であるときに部品300がヒートシンク360から実質的に熱的に分離されるという意味で、温度制限手段として機能する。PPTC複合材層320の温度は、ヒートシンク360によって及び/又は部品300を通る熱流束によって制御することができる。この構成におけるPPTC複合材層320は、部品300を過冷却から保護するために使用することができる。
【0036】
熱源は、1つ若しくは2つ以上の抵抗ヒータ、及び/又は液体を流路内で巡回させる1つ若しくは2つ以上の温度制御ユニット(TCU)であってよい。例えば、PPTCポリマ又はPNTCポリマの温度を上げる又は下げるために2つのTCUが熱い(例えば70℃の)液体と冷たい(例えば−20℃の)液体とを循環させる二重冷却アプローチを使用することができる。
【0037】
応用によっては、部品300の温度をより高い温度THとより低い温度TLとの間で切り替える必要がある。これは、ヒートシンク360の上にヒートソース350を積み重ね、部品300をヒートソース350に直接に熱的に接触するように位置決めすることによって実現することができる。ヒートソース350は、電気ヒータであってよく、ヒートシンク360は、温度制御液を内部で循環させる冷却板であってよい。もしヒートソース350とヒートシンク360との間でPNTC複合材層が使用されない場合、ヒートソース350は、ヒートシンク360への熱損失及び環境への熱損失を打ち消して部品300をTHに維持するために十分な加熱力を出力しなければならない。図3Cに示されるように、もしヒートソース350とヒートシンク360との間にPNTC複合材層310が挟まれ、PNTC複合材層310のλがTHにおいて低く尚且つTLにおいて高いならば、ヒートシンク360は、部品300の温度がTHであるときに部品300及びヒートソース350から実質的に熱的に分離され、したがって、ヒートソース350は、主として、環境への熱損失を打ち消すのに十分な加熱力を出力する。
【0038】
PNTC複合材層310の相は、ヒートソース350、ヒートシンク360、及び/又は部品300を通る熱流束によって制御することができる。例えば、(a)もし部品300の温度をTLからTHに上昇させる場合、ヒートソース350は、先ず、ヒートシンク360への熱損失に打ち勝つために高い加熱力を出力し、低熱伝導性の相へのPNTC複合材層310の相転移を誘発させることができ、これは、ヒートソース350及び部品300をヒートシンク360から熱的に分離する。ヒートソース350は、次いで、部品300をTHに維持するように、自身の加熱力を低減させることができる。(b)もし部品300の温度をTHからTLに下げる場合、ヒートソース350は、オフにされて、PNTC複合材層310の冷却を可能にすることができる。PNTC複合材層310が自身の相転移を通じて高熱伝導性の相へ転移すると、ヒートシンク360は、部品300から迅速に熱を奪って部品300の温度をTLに下げることができる。或いは、ヒートシンク360は、先ず、より冷たい冷却剤を自身に流すことによって自身の温度をTL未満に下げて、高熱伝導性の相へのPNTC複合材層310の相転移を誘発させることができ、ヒートシンク360は、次いで、部品300をTLに維持するように、自身の温度を調整することができる。
【0039】
図3A〜3Cに示された構成は、任意の適切なやり方で組み合わせることができる。
【0040】
図4は、エッジリング410を含む部品とサポートリング430との間におけるPPTC複合材層420の典型的な使用を示しており、これらのリングは、ともに、プラズマ処理チャンバにおいて基板サポートアセンブリ440を取り巻くように構成される。エッジリング410は、エッチングプロセスの間、一定の温度に維持されることが好ましい。エッジリング410は、使用の間、プラズマ処理チャンバ内のプラズマによって加熱される。サポートリング430は、ヒートシンクとして機能してエッジリング410から熱を除去するように構成される。エッチング工程において必要とされるプラズマ出力の変動は、エッジリング410に対する加熱力を変動させえる。プラズマ出力が高いときは、エッジリング410とサポートリング430との間に挟まれたPPTC複合材層420は、エッジリング410を通るプラズマからの熱流束によって高熱伝導性の状態に加熱されて、エッジリング410からサポートリング430へとPPTC複合材層420を通して効率的に熱を除去することができる。エッジリング410は、こうして、過熱から保護される。プラズマ出力が低いときは、PPTC複合材層420は、サポートリング430によって低熱伝導性の状態に冷却されて、エッジリング410をサポートリング430から熱的に分離することができる。エッジリング410は、こうして、過冷却から保護される。プラズマによる加熱力の変動によってもたらされるエッジリング410の温度の変動は、PPCT複合材ほどは大きく熱伝導率を変化させない材料をエッジリング410とサポートリング430との間で使用する場合と比べて軽減されえる。或いは、エッジリング410は、エッジリングと、該エッジリングと直接に熱的に接触しているヒータリングとを含むエッジリングアセンブリであってよい。
【0041】
図5は、受け板530に取り付けられた上部電極510を含む部品であるプラズマ処理チャンバ内の上部電極アセンブリにおけるPPTC複合材層520の別の典型的な使用を示している。受け板530は、間にPPTC複合材層520を挟まれた状態で流体冷却板540に取り付けられる。流体冷却板540は、冷却流体を内部で循環させて上部電極アセンブリから熱を奪う流路545を有する。上部電極510は、エッチングプロセス全体にわたって一定の温度に維持されることが好ましい。しかしながら、上部電極510は、使用の間、プラズマ処理チャンバ内のプラズマによって且つ/又は上部電極アセンブリに埋め込まれたヒータ(不図示)によって加熱することができる。エッチング工程によって必要とされるプラズマ出力の変動は、上部電極510によって受け取られる熱を変動させえる。プラズマ出力が高いときは、受け板530と流体冷却板540との間に挟まれたPPTC複合材層520は、高い熱伝導性を有し、熱は、上部電極510から受け板530及びPPTC複合材層520を通して流体冷却板540へ効率的に伝達される。上部電極510は、こうして、過熱から保護される。PPTC複合材520は、プラズマ出力が低いときは低い熱伝導率を有し、受け板530は、PPTC複合材層520によって流体冷却板540から実質的に熱的に分離される。上部電極510は、こうして、過冷却から保護される。或いは、PPTC複合材層520の相及び熱伝導率は、上部電極アセンブリに埋め込まれたヒータなどの熱源によって制御することができる。相転移を伴わない材料を使用する場合と比較して、受け板530と流体冷却板540との間におけるPPTC複合材の使用は、プラズマ出力の変動によってもたらされる温度の変動を軽減することができる。
【0042】
図6は、プラズマ処理チャンバ内の基板サポートアセンブリ600を含む部品におけるPNTC複合材層620の典型的な使用を示している。基板サポートアセンブリ600は、基板を基板サポート層610の上面の上に静電的にクランプするための電極630を埋め込まれた基板サポート層610を含むことができる。基板サポートアセンブリ600は、更に、ヒータ板660を埋め込まれて又は取り付けられて有することができる。基板サポートアセンブリ600は、間にPNTC複合材層620を挟まれた状態で流体冷却板640に取り付けられる。流体冷却板640は、冷却流体を内部で循環させて基板サポートアセンブリから熱を奪う流路645を有する。高い基板温度を所望される各工程では、ヒータ板660は、基板及びPNTC複合材層620を加熱する。PNTC複合材層620の温度がT0を超えて上昇するにつれて、PNTC複合材層620のλは急減し、これは、基板サポート層610を流体冷却板640から実質的に熱的に分離する。ヒータ板660の加熱力は、次いで、高い基板温度を維持するように低減させることができる。低い基板温度が所望される各工程では、ヒータ板660はオフにされ、基板及びPNTC複合材層620の温度は下がる。PNTC複合材層620の温度がT0未満に下がるにつれて、PNTC複合材層620のλは急増し、これは、効率的な冷却のために、基板サポート層610を流体冷却板640に実質的に熱的に結合する。或いは、2つの再循環器から流路645にT0を超える又はT0未満の温度の流体を流すことによって、流体冷却板640の温度を、PNTC複合材層620の相を制御するために使用することができる。
【0043】
PPTC複合材層及びPNTC複合材層は、好ましくは、0.2〜2mmの厚さである。
【0044】
一例として、2工程プラズマエッチングは、ヒータ板と冷却板との間の接合層として、ウエハチャック内の相変化ポリマを使用することができる。第1の工程は、冷却板が−20℃に維持され、ヒータがオフにされ、8000Wの総電力を使用してプラズマが生成される高出力工程であってよい。第2の工程は、冷却板が20℃に維持され、ヒータが3000Wで運転され、400Wを使用してプラズマが生成される低出力工程であってよい。ポリマは、高出力工程の間はウエハの冷却を促すために高熱伝導率の状態であってよく、低出力工程の間はウエハの加熱を促すために低熱伝導率の状態であってよい。
【0045】
PNTC複合材及びPPTC複合材の使用は、それらの具体的な実施形態を参照にして詳しく説明されてきたが、当業者にならば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく各種の変更及び修正がなされてよいこと、並びに各種の均等物が採用されてよいことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバの部品と、熱源と、前記部品と前記熱源との間に挟まれたポリマ複合材とを備えるアセンブリであって、前記部品は、温度制御表面を有し、
前記ポリマ複合材は、高熱伝導率の相と低熱伝導率の相との間で温度誘発相転移を示す、アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記熱源は、ヒートソースである、アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記熱源は、ヒートシンクである、アセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記ポリマ複合材は、前記ポリマ複合材の温度が転移温度を超えて上昇するときに前記低熱伝導率の相から前記高熱伝導率の相への温度誘発相転移を示す、アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記ポリマ複合材は、前記ポリマ複合材の温度が転移温度未満に下がるときに前記低熱伝導率の相から前記高熱伝導率の相への温度誘発相転移を示す、アセンブリ。
【請求項6】
請求項2に記載のアセンブリであって、
前記部品は、上部電極、受け板、チャンバ壁、エッジリング、及び基板サポート板からなる群より選択される、アセンブリ。
【請求項7】
請求項3に記載のアセンブリであって、
前記部品は、上部電極、受け板、チャンバ壁、エッジリング、基板サポート板、基板サポート板と、該基板サポート板に直接に熱的に接触している電気ヒータとを含む基板サポートアセンブリ、及びエッジリングと、該エッジリングに直接に熱的に接触しているヒータリングとを含むエッジリングアセンブリからなる群より選択される、アセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記熱源は、流体冷却板又は電気ヒータである、アセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記ポリマ複合材は、前記ポリマ複合材が前記低熱伝導率の相にあるときに前記部品を前記熱源から実質的に熱的に分離するように、及び前記ポリマ複合材が前記高熱伝導率の相にあるときに前記部品を前記熱源に実質的に熱的に結合するように適応される、アセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のアセンブリであって、
前記プラズマ処理チャンバの内部に温度制御表面が曝される、アセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載のアセンブリを作成する方法であって、
前記部品の前記温度制御表面と前記熱源との間に前記ポリマ複合材を挟むことを備える方法。
【請求項12】
請求項1のアセンブリを含むプラズマ処理チャンバにおいて基板をプラズマエッチングする方法であって、
(a)第1の温度及び第1のプラズマ出力で前記基板をエッチングすることと、
(b)前記低熱伝導率の相から前記高熱伝導率の相への、又は、前記高熱伝導率の相から前記低熱伝導率の相への前記ポリマ複合材の相転移を誘発させることと、
(c)第2の温度及び第2のプラズマ出力で前記基板をエッチングすることと、
を備え、
前記第1の温度は前記第2の温度よりも高く尚且つ前記第1のプラズマ出力は前記第2のプラズマ出力よりも低い、又は、前記第1の温度は前記第2の温度よりも低く尚且つ前記第1のプラズマ出力は前記第2のプラズマ出力よりも高い、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記部品は、エッチングの間その上で前記基板を支える基板サポート層と、該基板サポート層に直接に熱的に接触している電気ヒータとを含む基板サポートアセンブリであり、
前記熱源は、ヒートシンクであり、
工程(a)の間、前記電気ヒータは、前記基板サポートを加熱し、前記ポリマ複合材を前記転移温度よりも高くに且つ前記低熱伝導率の相に維持し、
工程(b)の間、前記電気ヒータは、オフであり、前記ヒートシンクは、前記ポリマ複合材を前記転移温度未満に冷却し、
工程(c)の間、前記ヒートシンクは、前記ポリマ複合材を前記転移温度未満に且つ前記高熱伝導率の相に維持する、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記部品は、エッジリングと、該エッジリングに直接に熱的に接触しているヒータリングとを含むエッジリングアセンブリであり、
前記熱源は、ヒートシンクであり、
工程(a)の間、前記ヒータリングは、前記エッジリングを加熱し、前記ポリマ複合材を前記転移温度よりも高くに且つ前記低熱伝導率の相に維持し、
工程(b)の間、前記ヒータリングは、オフであり、前記ヒートシンクは、前記ポリマ複合材を前記転移温度未満に冷却し、
工程(c)の間、前記ヒートシンクは、前記エッジリングを冷却し、前記ポリマ複合材を前記転移温度未満に且つ前記高熱伝導率の相に維持する、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、
前記部品は、上部電極、受け板、チャンバ壁、エッジリング、及び基板サポート層である、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−258953(P2011−258953A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−126096(P2011−126096)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】