部分遮光性板材及び透光表示体
【課題】遮光部に電気メッキを施すことができる部分遮光性板材と、遮光部aが電気メッキされた透光表示体を提供する。
【解決手段】板厚み方向に光を透過させる、透光性樹脂よりなる透光部と、少なくとも一方の板面側が遮光性樹脂よりなり、板厚み方向に非透光性となっている遮光部とを有した部分遮光性板材であって少なくとも一部の透光部は、板面において閉環形に延在する閉環形状となっており、閉環形の透光部の内側の遮光部及び外側の遮光部を構成する遮光性樹脂同士が、該透光部を横断し且つ該部分遮光性板材の他方の板面から突出した遮光性樹脂よりなる橋絡部cによって連続したものとなっている部分遮光性板材。該遮光性樹脂が導電性遮光性樹脂4よりなる。
【解決手段】板厚み方向に光を透過させる、透光性樹脂よりなる透光部と、少なくとも一方の板面側が遮光性樹脂よりなり、板厚み方向に非透光性となっている遮光部とを有した部分遮光性板材であって少なくとも一部の透光部は、板面において閉環形に延在する閉環形状となっており、閉環形の透光部の内側の遮光部及び外側の遮光部を構成する遮光性樹脂同士が、該透光部を横断し且つ該部分遮光性板材の他方の板面から突出した遮光性樹脂よりなる橋絡部cによって連続したものとなっている部分遮光性板材。該遮光性樹脂が導電性遮光性樹脂4よりなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部分的に透光部が設けられた部分遮光性板材及び透光表示体に係り、例えば自動車のインストルメントパネルの表示板等に好適に用いられる透光表示体と、この透光表示体を製作するための部分遮光性板材とに関する。
【背景技術】
【0002】
部分的に透光部が設けられた透光表示体が自動車のインストルメントパネルのスピード表示板などに広く用いられている。この透光表示体の裏側にランプを配置しておき、このランプを点灯させると、透光表示体の透光部を通って光が前方に達するので、文字、記号等を明瞭に視認することができる。
【0003】
この透光表示体の構造の一例を第8図(a),(b)に示す。第8図(a)はこの透光表示体の斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。この透光表示体1は、下面側が全体として透光性樹脂2にて構成され、上面側の大部分は遮光性樹脂3にて構成されている。透光性樹脂2の一部が上面側に露呈することにより、「7」なる文字形状の透光部aが構成される。この透光表示体1は、透光性樹脂2を先に射出成形し、次に遮光性樹脂3を射出成形する二色成形により成形されたものである。
【0004】
このような二色成形により構成される透光表示体では、第9図(a),(b)の通り、「0」など閉環形状部を有した文字を表示する透光表示体は成形できない。即ち、「0」形状の透光部aが堤防の如く延在しているので、透光性樹脂2を先に射出し、その後遮光性樹脂を射出する二色成形法によって透光表示体を成形しようとしても、「0」形状の透光部aの内側領域bに遮光性樹脂を充填することができない。なお、第9図(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【0005】
第9図は「0」に関するものであるが、「4」、「6」、「8」、「9」などの数字や、環状部を有した各種の文字や記号も同様である。
【0006】
かかる難点を解消するものとして、第10図の通り、閉環形透光部aの内側の遮光性樹脂3と外側の遮光性樹脂3とを橋絡する橋絡部cを設けることにより、該橋絡部cを介して閉環形の透光部aの内側にも二色成形によって遮光性樹脂3を充填できるようにすることが案出された(例えば下記特許文献1,2)。
【0007】
なお、第10図(a)は透光表示体の上面の斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は透光表示体の下面の斜視図、(d)は(c)のD−D線断面図である。
【0008】
この第10図では、「0」形の透光部aの内側の遮光性樹脂3と外側の遮光性樹脂3とが橋絡部cによって橋絡されている。この構成であれば、透光性樹脂2を先に射出成形し、その後、遮光性樹脂3を射出成形すると、橋絡部cを通って「0」形の透光部aの内側にも遮光性樹脂5が充填される。この橋絡部cは、環形の透光部aを横断しており、また板状体の下面から突出している。また、橋絡部cは、透光性樹脂2の透光部aに沿って板を厚み方向に貫いて遮光性樹脂3,3に連なっている。
【特許文献1】特公平8−25206
【特許文献2】特開平2−111513
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
I.従来の部分遮光性板材の遮光部は、遮光性樹脂によって遮光されている。このような遮光部は、暗色の樹脂よりなるものであり、意匠性が低い。また、遮光部の厚みが小さいと、遮光性が不十分になるおそれがある。
【0010】
意匠性を付与するために、遮光性樹脂としてABS樹脂を用いて無電解メッキを施した後、ニッケル、銅、クロム等の電気メッキを施すことによって、金属光沢を付与することが考えられる。
【0011】
しかしながら、第10図の構造を有する部分遮光性板材の遮光性樹脂部に無電解メッキを施した場合、閉環形透光部の内側と外側が、環状の透光部、および透光性樹脂層を貫通する遮光性樹脂によって隔てられており、閉環形透光部の外側と内側とが導通していないために、閉環形透光部の内側は電気メッキされない。
【0012】
本発明は、遮光部に電気メッキを施すことができる部分遮光性板材と、遮光部が電気メッキされた透光表示体を提供することを目的とする。
II.従来の橋絡部を有する透光表示体にあっては、正面から見たときに、透光部を横断する橋絡部が視認される。そのため、「0」が「C」の如く見えたり、「8」が「3」の如く見えたりする、閉環形透光部の欠け現象が不可避である。
【0013】
本発明は、その一態様において、閉環形透光部の欠け現象がなく、閉環形透光部が連続した環状に視認される透光表示体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の部分遮光性板材は、板厚み方向に光を透過させる、透光性樹脂よりなる透光部と、少なくとも一方の板面側が遮光性樹脂よりなり、板厚み方向に非透光性となっている遮光部とを有した部分遮光性板材であって少なくとも一部の該透光部は、板面において閉環形に延在する閉環形状となっており、閉環形の透光部の内側の遮光部及び外側の遮光部を構成する遮光性樹脂同士が、該透光部を横断し且つ該部分遮光性板材の他方の板面から突出した遮光性樹脂よりなる橋絡部によって連続したものとなっている部分遮光性板材において、該遮光性樹脂が導電性遮光性樹脂よりなることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の部分遮光性板材は、請求項1において、前記導電性を有した遮光性樹脂は、導電性フィラーを含む樹脂組成物よりなることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の部分遮光性板材は、請求項2において、導電性フィラーを含む樹脂組成物は、導電性フィラーを含むABS樹脂組成物よりなることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4の部分遮光性板材は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記遮光部の一部は、前記一方の板面から他方の板面に到るまで遮光性樹脂にて構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項5の部分遮光性板材は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記一方の板面のうち前記遮光部に電気メッキが施されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項6の部分遮光性板材は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記導電性を有した遮光性樹脂は、前記遮光性樹脂よりも無電解メッキ性が高いものであり、前記遮光部に無電解メッキが施され、その上に電気メッキが施されていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項7の透光表示体は、請求項5又は6の部分遮光性板材よりなるものである。
【0021】
請求項8の透光表示体は、請求項5又は6の部分遮光性板材から前記橋絡部を除去することにより製作されたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の部分遮光性板材にあっては、遮光性樹脂が導電性遮光性樹脂よりなるので、遮光部に電気メッキを施すことができる。
【0023】
本発明の透光表示体は、この部分遮光性板材の遮光部を構成する導電性樹脂に電気メッキを施したものであり、遮光部は美麗な金属メッキ面となる。
【0024】
この透光表示体から橋絡部を除去することにより、閉環形の透光部は、環が途切れていない連続した環状に視認されるようになる。
【0025】
なお、無電解メッキしてから電気メッキを施すと、電気メッキ層の被着性が向上する。
【0026】
この部分遮光性板材及び透光表示体において、板厚み方向の全体にわたって導電性遮光性樹脂よりなる部分を設けた場合には、二色成形によって遮光部を成形するときに、導電性遮光性樹脂がキャビティ内の隅々まで容易に充填されるようになる。また、成形された部分遮光性板材及び透光表示体の導電性遮光部の導電性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0028】
第1図(a)は実施の形態に係る部分遮光性板材7の断面図であり、(b)は実施の形態に係る透光表示体8の断面図、(c)は橋絡部を除去した透光表示体9の断面図である。
【0029】
第1図(a)の部分遮光性板材7の構造は、遮光性樹脂として導電性遮光性樹脂4を用いていること、及び、透光部aが板面から若干突出していること以外は前記第10図(a)〜(c)と同一である。
【0030】
即ち、部分遮光性板材7の下面側は透光性樹脂2で構成されており、この透光性樹脂2の一部は上方に突出して透光部aを構成している。この部分遮光性板材7の上面側は、透光部aを除き、導電性遮光性樹脂4で構成されている。この実施の形態では、透光部aは遮光性樹脂4の上面から上方に若干(例えば0.1〜2.0mm程度)突出している。
【0031】
透光部aは「0」,「4」,「6」,「8」の如く閉環形であり、部分遮光性板材7の板面(第1図の上面)において環状に現われている。閉環形透光部aの内側領域bの遮光性樹脂4と外側領域の遮光性樹脂4とは橋絡部cによって橋絡されている。この橋絡部cは、部分遮光性板材の下面から突出している。橋絡部cは透光部aに沿って部分遮光性板材7を板厚方向に貫通している。
【0032】
この部分遮光性板材7は、二色成形によって成形されたものである。即ち、まず透光性樹脂2を射出し、次いで導電性遮光性樹脂4を射出する。この導電性遮光性樹脂4の射出に際しては、閉環形透光部aの外側領域に射出成形機から導電性遮光性樹脂4が供給される。この導電性遮光性樹脂4は、橋絡部cを通って閉環形透光部aの内側領域bに流入するので、該内側領域bにも導電性遮光性樹脂4が十分に充填される。
【0033】
橋絡部cの大きさは、内側領域bの大きさや樹脂材料等に応じて適宜実験的に定めればよい。なお、橋絡部cの最小断面積が過度に小さいと樹脂を十分に流通させることができず、また導電性が不足するおそれがある。また、橋絡部cが過度に大きいと、除去するのに手間がかかるおそれがある。そのため、自動車用スピードメータの表示板等として用いる場合、橋絡部cの断面積は0.01〜4mm2特に0.1〜2mm2とりわけ0.2〜1mm2程度が好ましい。
【0034】
この導電性遮光性樹脂4は、導電性を有しているので、第1図(b)の通り、電気メッキによってメッキ層5を形成することができる。これにより、透光部a以外の板面が金属メッキ面となった、美観に優れた透光表示体8が得られる。
【0035】
この透光表示体8の下面(製品透光表示体の裏面)から突出した橋絡部cを切断、折断、研磨などによって除去すると、閉環形透光部aの全体が下面に露呈した透光表示体9が得られる。
【0036】
この透光表示体9であれば、正面(第1図(c)の上面)から見たときに、透光部を横断する橋絡部cが存在しないので、透光部aは完全な連続した閉環形に視認される。即ち、「0」が「C」の如く見えたり「8」が「3」の如く見えたりすることは全くない。
【0037】
なお、第1図では、橋絡部cは透光部aとその近傍にのみ設けられているが、第2図の部分遮光性板材7Aのように、閉環形透光部aの広い範囲にまたがるように延設してもよい。
【0038】
また、この第2図のように、橋絡部cに臨接して、閉環形透光部aの外側領域に、導電性遮光性樹脂4が透光表示体を板厚み方向に貫通した全導電性遮光性樹脂領域dを設けてもよい。この領域dを設けた場合、部分遮光性板材7Aを二色成形するに際し導電性遮光性樹脂4を射出成形するときに、この領域dを通って導電性遮光性樹脂4がキャビティ内の広い範囲に流れるようになり、いわゆる樹脂回りが良好なものとなる。これにより、導電性遮光性樹脂4をキャビティの隅々にまで容易に充填することができる。
【0039】
また、領域dは導電性であるので、部分遮光性板材7Aの電気抵抗も小さくなる。
【0040】
なお、第2図では、導電性遮光性樹脂4の上に直に電気メッキによるメッキ層5を形成しているが、第11図のように、まず無電解メッキによって導電性遮光性樹脂4の上に導電性の無電解メッキ層6を形成し、この無電解メッキ層6の上に電気メッキ層5を形成してもよい。これにより、電気メッキ層の被着性が向上する。この場合、導電性遮光性樹脂4としては、透光性樹脂2よりも無電解性の高い(即ち、無電解メッキによってメッキ層が形成され易い)ABS、ABSアロイ系樹脂等の樹脂を用いる。
【0041】
この実施の形態の一態様においては、第12図の部分遮光性板材7Cのように、橋絡部cから板材7Cの外縁側を板厚み方向の全体にわたって導電性遮光性樹脂4にて構成し、板材7Cの図の上面及び側端面から下面の橋絡部cにかけて連続して無電解メッキ層6を形成し、この無電解メッキ層6の上に電気メッキ層5を形成して透光性表示体8Cとし、その後、橋絡部cを除去して透光性表示体9Cを製造してもよい。このようにすれば、上面の無電解メッキ層6と橋絡部cの無電解メッキ層6とが直に無電解メッキ層6によって導通した状態にて電解メッキ層5を形成するので、内側領域bまでの電気抵抗が小さくなり、内側領域bにおける電気メッキ層5の被着性が向上する。
【0042】
第3図〜第7図を参照して部分遮光性板材及び透光表示体の別の実施の形態について説明する。第3図(a)は部分遮光性板材10の正面図、第3図(b)は(a)のB−B線断面図、第4図(a)は第3図(b)のIV−IV線断面図、第4図(b)は同(a)のB−B線断面図、第5図は部分遮光性板材10の裏面図、第6図はこの部分遮光性板材10を用いた透光表示体11の断面斜視図、第7図は第6図の透光表示体11から橋絡部を除去した部分遮光性板材12の断面斜視図である。
【0043】
この部分遮光性板材10は、裏面側の大部分が透光性樹脂2で構成され、前面(第4図の上面)側の大部分が導電性遮光性樹脂4で構成されている。透光性樹脂2の一部が前面の導電性遮光性樹脂4を貫通して例えば0.1〜2.0mm程度突出し、透光部aを構成している。この実施の形態では、閉環形透光部aは、数字「0」、「4」又は「8」形状である。
【0044】
閉環形透光部aの内側領域bの導電性遮光性樹脂4と外側領域の導電性遮光性樹脂4とが導電性遮光性樹脂4よりなる橋絡部cによって連続している。橋絡部cは部分遮光性板材10の裏面から突出している。
【0045】
この実施の形態では、第5図の通り、部分遮光性板材10の全周縁部に沿って全導電性遮光性樹脂領域(板面の前面から裏面に到る全体において導電性遮光性樹脂となっている領域)d1が設けられている。
【0046】
また、複数の近接した橋絡部cをつなぐように全導電性遮光性樹脂領域d2が設けられていると共に、全導電性遮光性樹脂領域d2同士をつなぐように全導電性遮光性樹脂領域d3が設けられている。一部の全導電性遮光性樹脂領域d2は、周縁部の全導電性遮光性樹脂領域d1に連なっている。
【0047】
このように全周縁に全導電性遮光性樹脂領域d1を設けると共に、この全導電性遮光性樹脂領域d1に連なるように網目の如く全導電性遮光性樹脂領域d2,d3を設けているので、導電性遮光性樹脂4を射出成形するに際し、導電性遮光性樹脂が容易に隅々まで十分に充填される。即ち、この部分遮光性板材10も、まず透光性樹脂2を射出成形し、次いで導電性遮光性樹脂4を射出成形するという二色成形によって成形される。最初に透光性樹脂2の射出により成形される成形体は、d1,d2,d3の部分が、連続した溝状の空所となっている。そのため、導電性遮光性樹脂4を射出すると、導電性遮光性樹脂4はこの溝状空所に沿ってキャビティ内の全体に容易に行き渡るようになる。これにより、ボイド等の欠陥のない部分遮光性板材10を効率よく成形することができる。また、この全導電性遮光性樹脂領域d1,d2,d3が部分遮光性板材の全域にわたって張り巡らされているので、部分遮光性板材の全域において電気抵抗が小さいものとなる。
【0048】
特に無電解メッキを施したのちに電気メッキを施す場合、全ての橋絡部表面に施された無電解メッキ層が全導電性遮光性樹脂領域d2によって上面の無電解メッキ層6と導通するため、実質的に裏面に電極を直接取り付けることになるので、閉環形透光部の内側b部への電気抵抗が小さくなり、電気メッキ層5の被着性が向上する。
【0049】
第6図の通り、この部分遮光性板材10の導電性遮光性樹脂に好ましくは無電解メッキして無電解メッキ層6を形成した後、電気メッキによるメッキ層5を形成して透光表示体11とする。その後、この透光表示体11から橋絡部cを切断、研削、折断などによって除去することにより、第7図に示す透光表示体12とする。
【0050】
このようにして、閉環形透光部aの内側領域にも十分に導電性遮光性樹脂4が充填され、この導電性遮光性樹脂4にメッキが施された美麗な透光表示体12が得られる。
【0051】
メッキ金属としては、クロム(三価、または六価)、金、銀、同、スズ、ニッケル、リン、ルテニウム、パラジウム、コバルト及びそれらの合金等が好適である。無電解メッキ層とのなじみのよい銅をメッキし、次にニッケルをメッキし、その上にクロムをメッキするようにしてもよい。
【0052】
導電性遮光性樹脂4としては、体積抵抗率が、1×103Ωcm以下、望ましくは1×102Ωcm以下、さらに5×101Ωcm以下、とりわけ1×101Ωcm以下のものが好ましい。特に、装飾メッキにおけるクロム等の貴金属を電気メッキする場合には、高い電流密度が必要となるので、5×101Ωcm以下であることが望ましい。
【0053】
導電性遮光性樹脂4としては、導電性フィラーを配合して導電性を高めたものが好ましい。
【0054】
遮光性樹脂組成物に用いる導電性フィラーとしては、各種のカーボンブラック、黒鉛や、アルミニウム、銀、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレス、真鍮、チタンなどの金属系フィラー(粒子状、フレーク状、繊維状のいずれでもよい。)、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブの炭素系繊維などが挙げられる。
【0055】
スズやスズと鉛、銀、亜鉛等との合金などの低融点金属を含有させて、樹脂中に溶融分散させても良い。
【0056】
また、炭素繊維や黒鉛、あるいはガラス繊維、アラミド繊維等の絶縁性フィラーに、ニッケルや銅などの金属をコーティングした複合系導電性フィラーを使用することもできる。
【0057】
導電性フィラーは、単一のフィラーを用いてもよいし、複数のフィラーを併用しても良い。フィラーの少なくとも一部として、繊維状フィラー、とりわけ金属繊維、または金属がコートされた繊維を用いると、少量の添加で優れた導電性が得られる点で望ましい。
【0058】
繊維状フィラーの場合、繊維直径は、1nm〜50μm、特に0.5μm〜30μmが好ましい。繊維径が細すぎると、樹脂への均一分散が困難になり、繊維径が太いと、外観を損なう。
【0059】
繊維のアスペクト比(長さ/径比)は、好ましくは5以上、特に10以上、さらに望ましくは、100〜1000である。アスペクト比が大きいほど少ない添加量で導電性が得られるが、大きすぎると、外観不良や成形不良になり易い。
【0060】
透光性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどが用いられ、中でも、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート樹脂が望ましい。
【0061】
遮光性樹脂としては、特に限定は無い。無電解メッキ可能な遮光性樹脂としては、ABS樹脂、ABS/ポリカーボネート等のABSアロイ系樹脂のほか、公知の無電解メッキ可能な樹脂材料を用いることができる。
【0062】
中でも、ABSを主成分とした樹脂材料が、コスト及びメッキ密着性の点で望ましい。
【0063】
次に、樹脂成形品よりなる部分遮光性板材に無電解メッキし、次いで電気メッキする方法の好適例について説明する。
【0064】
まず、無電解メッキしようとする樹脂成形品の表面に付着しているゴミ、油などの汚れを除去する。次に、エッチング液を用いて樹脂成形品にエッチングを行うことにより、樹脂成形品の表面を化学的に粗化する。次に、樹脂成形品の表面を酸で中和して、エッチング成分の一種である六価クロム等を還元除去する。次に、樹脂成形品にキャタリストを行う。このキャタリスト(キャタライザー)工程では、塩化第1スズと塩酸の水溶液に、成形品を浸漬後、水洗し、成形品表面にスズを吸着させるのが好ましい。
【0065】
これにより、樹脂成形品の粗化表面に、吸着力が強く還元力のある触媒(Pd―Sn化合物など)を吸着させる。
【0066】
次に、樹脂成形品にアクセレータを行い、樹脂成形品表面に付着していたSnを除去し、Pdを活性化する。アクセレーター工程では、塩化パラジウムと塩酸の水溶液に成形品を浸漬し、水洗しパラジウムとスズの置換反応を行うのが好ましい。
【0067】
次に、樹脂成形品を無電解メッキ槽に浸漬して、樹脂成形品に無電解メッキを行うことにより、無電解メッキ層を形成する。導電性遮光性樹脂としてABS又はABSアロイ系樹脂を用い、透光性樹脂としてポリカーボネートを用いた場合、ABS又はABSアロイ系樹脂にのみ無電解メッキ層が形成され、高い導電性が付与される。
【0068】
次に、樹脂成形品を電気メッキ槽に浸漬し電気メッキする。
【0069】
電気メッキ処理の例として、銅メッキ、ニッケルメッキ、及びクロムメッキを順次行うことによる装飾用電気メッキプロセスについて具体的に説明する。
【0070】
硫酸銅メッキ液としては、公知の光沢硫酸銅メッキ液を用いることができる。例えば、硫酸銅100〜250g/l程度、硫酸20〜120g/l程度、及び塩素イオン20〜70mg/l程度を含有する水溶液に、公知の光沢剤を添加したメッキ浴を使用できる。硫酸銅メッキの条件は、通常と同様で良く、例えば、液温25℃程度、電流密度3A/dm2程度でメッキを行い、所定の膜厚までメッキを行えばよい。
【0071】
ニッケルメッキ液としては、通常のワット浴を用いることができる。すなわち、硫酸ニッケル200〜350g/l程度、塩化ニッケル30〜80g/l程度、及びホウ酸20〜60g/l程度を含有する水溶液に、市販のニッケルメッキ浴用光沢剤を添加したものを使用できる。メッキ条件は
通常と同様で良く、例えば、液温55〜60℃程度、電流密度3A/dm2程度で電解して所定の膜厚までメッキすればよい。
【0072】
クロムメッキ液としては、通常のサージェント浴を用いることができる。すなわち、無水クロム酸200〜300g/l程度、及び硫酸2〜5g/l程度を含有する水溶液を使用でき、メッキ条件は、液温45℃程度、電流密度20A/dm2程度として所定の膜厚までメッキを行えばよい。メッキ後は、水洗し乾燥させてメッキ済み部分遮光性板材とする。
【実施例】
【0073】
実施例1
第3図〜第6図に示す部分遮光性板材を次のようにして製造した。
【0074】
透光性材料としては、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロンS−3000)を用いた。
【0075】
導電性遮光性樹脂としては、ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)クララスチック AP−8A)に導電性フィラーとしてニッケル被覆炭素繊維(東邦テナックス(株)MC−HTA−C6−US)を樹脂75重量部に対し25重量の割合で配合し、二軸混練押出機((株)池外社製 PCM45 バレル温度 240℃ 100RPM)にて溶融混練したものを用いた(体積抵抗率13.2Ωcm)。
【0076】
75ton射出成形機を用いて、ポリカーボネートにより透光部を形成し、厚さ1.5mmの1次成形体とした。その後、上記遮光性樹脂組成物を射出し、厚さ(橋絡部以外)3mmの部分遮光性板材を製作した。橋絡部cの突出高さは1mm、延在長さは3.6mmである。幅については、図示のように大、中、小の3種類があり、大では3.5mm、中では1.5mm、小では1mmとした。なお、橋絡部Cの最小断面積は、大では12.6mm2、中では1.8mm2、小では0.8mm2である。
【0077】
次に、成形品を、クロム酸溶液(Cr03/H2SO4)によりエッチング処理を行った後、塩化パラジウム、塩化第一スズ、塩酸からなる混合液、およびH2SO4により表面を活性化し、次いでニッケル無電解メッキを施した。
【0078】
次に、第3図(a)の穴部(第3図(a)の白ヌキ箇所)に陰極を取り付け、電気メッキを施した。この電気メッキとしては、電気銅めっき(硫酸銅および硫酸水溶液中で、電流密度5A/dm2 20分)、電気ニッケルめっき(硫酸ニッケルおよびホウ酸水溶液中で、電流密度5A/dm2 20分)、電気クロムめっき(無水クロム酸および硫酸水溶液中、20A/dm2 5分)を順番に行い、電気銅めっき9μm、電気ニッケルめっき4.5μm、クロムめっき0.1μmのめっき膜を形成した。
【0079】
その後、橋絡部cを切断除去した。橋絡部の除去は、大の部分はフライス盤を用いて切削加工した。また中の部分はニッパを用いて、小の部分は工具を使用することなく手で容易に切断可能であった。
【0080】
この透光表示板にあっては、透光部aは無色透明であり、橋絡部cは全く視認されなかった。また、透光部a以外については、美麗な金属クロムメッキ面となっていた。
【0081】
比較例1
ABS樹脂に導電性フィラーを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして部分遮光性板材及び透光表示体を作成したが、電気メッキ層は全く被着しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施の形態に係る部分遮光性板材及び透光表示体の断面図である。
【図2】別の実施の形態に係る透光表示体の断面図である。
【図3】第3図(a)は部分遮光性板材の正面図、第3図(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図4】第4図(a)は第3図(b)のIV−IV線断面図、第4図(b)は第4図(a)のB−B線断面図である。
【図5】部分遮光性板材の裏面図である。
【図6】部分遮光性板材を用いた透光表示体11の断面斜視図である。
【図7】第6図の透光表示体から橋絡部を除去した部分遮光性板材の断面斜視図である。
【図8】従来例の説明図である。
【図9】別の従来例の説明図である。
【図10】さらに別の従来例の説明図である。
【図11】別の実施の形態に係る透光表示体の断面図である。
【図12】さらに別の実施の形態を示す断面図であり、(a)は無電解メッキ層形成時の断面図、(b)は電気メッキ層形成時の断面図、(c)は橋絡部除去後の断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 部分遮光性板材
2 透光性樹脂
3 遮光性樹脂
4 導電性遮光性樹脂
5 電気メッキ層
6 無電解メッキ層
7,7A,7C,10 部分遮光性板材
8,8B,8C,9,9C,11,12 透光表示体
a 透光部
b 閉環部の内側領域
c 橋絡部
d,d1,d2,d3 全導電性遮光性樹脂領域
【技術分野】
【0001】
本発明は部分的に透光部が設けられた部分遮光性板材及び透光表示体に係り、例えば自動車のインストルメントパネルの表示板等に好適に用いられる透光表示体と、この透光表示体を製作するための部分遮光性板材とに関する。
【背景技術】
【0002】
部分的に透光部が設けられた透光表示体が自動車のインストルメントパネルのスピード表示板などに広く用いられている。この透光表示体の裏側にランプを配置しておき、このランプを点灯させると、透光表示体の透光部を通って光が前方に達するので、文字、記号等を明瞭に視認することができる。
【0003】
この透光表示体の構造の一例を第8図(a),(b)に示す。第8図(a)はこの透光表示体の斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。この透光表示体1は、下面側が全体として透光性樹脂2にて構成され、上面側の大部分は遮光性樹脂3にて構成されている。透光性樹脂2の一部が上面側に露呈することにより、「7」なる文字形状の透光部aが構成される。この透光表示体1は、透光性樹脂2を先に射出成形し、次に遮光性樹脂3を射出成形する二色成形により成形されたものである。
【0004】
このような二色成形により構成される透光表示体では、第9図(a),(b)の通り、「0」など閉環形状部を有した文字を表示する透光表示体は成形できない。即ち、「0」形状の透光部aが堤防の如く延在しているので、透光性樹脂2を先に射出し、その後遮光性樹脂を射出する二色成形法によって透光表示体を成形しようとしても、「0」形状の透光部aの内側領域bに遮光性樹脂を充填することができない。なお、第9図(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【0005】
第9図は「0」に関するものであるが、「4」、「6」、「8」、「9」などの数字や、環状部を有した各種の文字や記号も同様である。
【0006】
かかる難点を解消するものとして、第10図の通り、閉環形透光部aの内側の遮光性樹脂3と外側の遮光性樹脂3とを橋絡する橋絡部cを設けることにより、該橋絡部cを介して閉環形の透光部aの内側にも二色成形によって遮光性樹脂3を充填できるようにすることが案出された(例えば下記特許文献1,2)。
【0007】
なお、第10図(a)は透光表示体の上面の斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は透光表示体の下面の斜視図、(d)は(c)のD−D線断面図である。
【0008】
この第10図では、「0」形の透光部aの内側の遮光性樹脂3と外側の遮光性樹脂3とが橋絡部cによって橋絡されている。この構成であれば、透光性樹脂2を先に射出成形し、その後、遮光性樹脂3を射出成形すると、橋絡部cを通って「0」形の透光部aの内側にも遮光性樹脂5が充填される。この橋絡部cは、環形の透光部aを横断しており、また板状体の下面から突出している。また、橋絡部cは、透光性樹脂2の透光部aに沿って板を厚み方向に貫いて遮光性樹脂3,3に連なっている。
【特許文献1】特公平8−25206
【特許文献2】特開平2−111513
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
I.従来の部分遮光性板材の遮光部は、遮光性樹脂によって遮光されている。このような遮光部は、暗色の樹脂よりなるものであり、意匠性が低い。また、遮光部の厚みが小さいと、遮光性が不十分になるおそれがある。
【0010】
意匠性を付与するために、遮光性樹脂としてABS樹脂を用いて無電解メッキを施した後、ニッケル、銅、クロム等の電気メッキを施すことによって、金属光沢を付与することが考えられる。
【0011】
しかしながら、第10図の構造を有する部分遮光性板材の遮光性樹脂部に無電解メッキを施した場合、閉環形透光部の内側と外側が、環状の透光部、および透光性樹脂層を貫通する遮光性樹脂によって隔てられており、閉環形透光部の外側と内側とが導通していないために、閉環形透光部の内側は電気メッキされない。
【0012】
本発明は、遮光部に電気メッキを施すことができる部分遮光性板材と、遮光部が電気メッキされた透光表示体を提供することを目的とする。
II.従来の橋絡部を有する透光表示体にあっては、正面から見たときに、透光部を横断する橋絡部が視認される。そのため、「0」が「C」の如く見えたり、「8」が「3」の如く見えたりする、閉環形透光部の欠け現象が不可避である。
【0013】
本発明は、その一態様において、閉環形透光部の欠け現象がなく、閉環形透光部が連続した環状に視認される透光表示体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の部分遮光性板材は、板厚み方向に光を透過させる、透光性樹脂よりなる透光部と、少なくとも一方の板面側が遮光性樹脂よりなり、板厚み方向に非透光性となっている遮光部とを有した部分遮光性板材であって少なくとも一部の該透光部は、板面において閉環形に延在する閉環形状となっており、閉環形の透光部の内側の遮光部及び外側の遮光部を構成する遮光性樹脂同士が、該透光部を横断し且つ該部分遮光性板材の他方の板面から突出した遮光性樹脂よりなる橋絡部によって連続したものとなっている部分遮光性板材において、該遮光性樹脂が導電性遮光性樹脂よりなることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の部分遮光性板材は、請求項1において、前記導電性を有した遮光性樹脂は、導電性フィラーを含む樹脂組成物よりなることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の部分遮光性板材は、請求項2において、導電性フィラーを含む樹脂組成物は、導電性フィラーを含むABS樹脂組成物よりなることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4の部分遮光性板材は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記遮光部の一部は、前記一方の板面から他方の板面に到るまで遮光性樹脂にて構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項5の部分遮光性板材は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記一方の板面のうち前記遮光部に電気メッキが施されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項6の部分遮光性板材は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記導電性を有した遮光性樹脂は、前記遮光性樹脂よりも無電解メッキ性が高いものであり、前記遮光部に無電解メッキが施され、その上に電気メッキが施されていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項7の透光表示体は、請求項5又は6の部分遮光性板材よりなるものである。
【0021】
請求項8の透光表示体は、請求項5又は6の部分遮光性板材から前記橋絡部を除去することにより製作されたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の部分遮光性板材にあっては、遮光性樹脂が導電性遮光性樹脂よりなるので、遮光部に電気メッキを施すことができる。
【0023】
本発明の透光表示体は、この部分遮光性板材の遮光部を構成する導電性樹脂に電気メッキを施したものであり、遮光部は美麗な金属メッキ面となる。
【0024】
この透光表示体から橋絡部を除去することにより、閉環形の透光部は、環が途切れていない連続した環状に視認されるようになる。
【0025】
なお、無電解メッキしてから電気メッキを施すと、電気メッキ層の被着性が向上する。
【0026】
この部分遮光性板材及び透光表示体において、板厚み方向の全体にわたって導電性遮光性樹脂よりなる部分を設けた場合には、二色成形によって遮光部を成形するときに、導電性遮光性樹脂がキャビティ内の隅々まで容易に充填されるようになる。また、成形された部分遮光性板材及び透光表示体の導電性遮光部の導電性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0028】
第1図(a)は実施の形態に係る部分遮光性板材7の断面図であり、(b)は実施の形態に係る透光表示体8の断面図、(c)は橋絡部を除去した透光表示体9の断面図である。
【0029】
第1図(a)の部分遮光性板材7の構造は、遮光性樹脂として導電性遮光性樹脂4を用いていること、及び、透光部aが板面から若干突出していること以外は前記第10図(a)〜(c)と同一である。
【0030】
即ち、部分遮光性板材7の下面側は透光性樹脂2で構成されており、この透光性樹脂2の一部は上方に突出して透光部aを構成している。この部分遮光性板材7の上面側は、透光部aを除き、導電性遮光性樹脂4で構成されている。この実施の形態では、透光部aは遮光性樹脂4の上面から上方に若干(例えば0.1〜2.0mm程度)突出している。
【0031】
透光部aは「0」,「4」,「6」,「8」の如く閉環形であり、部分遮光性板材7の板面(第1図の上面)において環状に現われている。閉環形透光部aの内側領域bの遮光性樹脂4と外側領域の遮光性樹脂4とは橋絡部cによって橋絡されている。この橋絡部cは、部分遮光性板材の下面から突出している。橋絡部cは透光部aに沿って部分遮光性板材7を板厚方向に貫通している。
【0032】
この部分遮光性板材7は、二色成形によって成形されたものである。即ち、まず透光性樹脂2を射出し、次いで導電性遮光性樹脂4を射出する。この導電性遮光性樹脂4の射出に際しては、閉環形透光部aの外側領域に射出成形機から導電性遮光性樹脂4が供給される。この導電性遮光性樹脂4は、橋絡部cを通って閉環形透光部aの内側領域bに流入するので、該内側領域bにも導電性遮光性樹脂4が十分に充填される。
【0033】
橋絡部cの大きさは、内側領域bの大きさや樹脂材料等に応じて適宜実験的に定めればよい。なお、橋絡部cの最小断面積が過度に小さいと樹脂を十分に流通させることができず、また導電性が不足するおそれがある。また、橋絡部cが過度に大きいと、除去するのに手間がかかるおそれがある。そのため、自動車用スピードメータの表示板等として用いる場合、橋絡部cの断面積は0.01〜4mm2特に0.1〜2mm2とりわけ0.2〜1mm2程度が好ましい。
【0034】
この導電性遮光性樹脂4は、導電性を有しているので、第1図(b)の通り、電気メッキによってメッキ層5を形成することができる。これにより、透光部a以外の板面が金属メッキ面となった、美観に優れた透光表示体8が得られる。
【0035】
この透光表示体8の下面(製品透光表示体の裏面)から突出した橋絡部cを切断、折断、研磨などによって除去すると、閉環形透光部aの全体が下面に露呈した透光表示体9が得られる。
【0036】
この透光表示体9であれば、正面(第1図(c)の上面)から見たときに、透光部を横断する橋絡部cが存在しないので、透光部aは完全な連続した閉環形に視認される。即ち、「0」が「C」の如く見えたり「8」が「3」の如く見えたりすることは全くない。
【0037】
なお、第1図では、橋絡部cは透光部aとその近傍にのみ設けられているが、第2図の部分遮光性板材7Aのように、閉環形透光部aの広い範囲にまたがるように延設してもよい。
【0038】
また、この第2図のように、橋絡部cに臨接して、閉環形透光部aの外側領域に、導電性遮光性樹脂4が透光表示体を板厚み方向に貫通した全導電性遮光性樹脂領域dを設けてもよい。この領域dを設けた場合、部分遮光性板材7Aを二色成形するに際し導電性遮光性樹脂4を射出成形するときに、この領域dを通って導電性遮光性樹脂4がキャビティ内の広い範囲に流れるようになり、いわゆる樹脂回りが良好なものとなる。これにより、導電性遮光性樹脂4をキャビティの隅々にまで容易に充填することができる。
【0039】
また、領域dは導電性であるので、部分遮光性板材7Aの電気抵抗も小さくなる。
【0040】
なお、第2図では、導電性遮光性樹脂4の上に直に電気メッキによるメッキ層5を形成しているが、第11図のように、まず無電解メッキによって導電性遮光性樹脂4の上に導電性の無電解メッキ層6を形成し、この無電解メッキ層6の上に電気メッキ層5を形成してもよい。これにより、電気メッキ層の被着性が向上する。この場合、導電性遮光性樹脂4としては、透光性樹脂2よりも無電解性の高い(即ち、無電解メッキによってメッキ層が形成され易い)ABS、ABSアロイ系樹脂等の樹脂を用いる。
【0041】
この実施の形態の一態様においては、第12図の部分遮光性板材7Cのように、橋絡部cから板材7Cの外縁側を板厚み方向の全体にわたって導電性遮光性樹脂4にて構成し、板材7Cの図の上面及び側端面から下面の橋絡部cにかけて連続して無電解メッキ層6を形成し、この無電解メッキ層6の上に電気メッキ層5を形成して透光性表示体8Cとし、その後、橋絡部cを除去して透光性表示体9Cを製造してもよい。このようにすれば、上面の無電解メッキ層6と橋絡部cの無電解メッキ層6とが直に無電解メッキ層6によって導通した状態にて電解メッキ層5を形成するので、内側領域bまでの電気抵抗が小さくなり、内側領域bにおける電気メッキ層5の被着性が向上する。
【0042】
第3図〜第7図を参照して部分遮光性板材及び透光表示体の別の実施の形態について説明する。第3図(a)は部分遮光性板材10の正面図、第3図(b)は(a)のB−B線断面図、第4図(a)は第3図(b)のIV−IV線断面図、第4図(b)は同(a)のB−B線断面図、第5図は部分遮光性板材10の裏面図、第6図はこの部分遮光性板材10を用いた透光表示体11の断面斜視図、第7図は第6図の透光表示体11から橋絡部を除去した部分遮光性板材12の断面斜視図である。
【0043】
この部分遮光性板材10は、裏面側の大部分が透光性樹脂2で構成され、前面(第4図の上面)側の大部分が導電性遮光性樹脂4で構成されている。透光性樹脂2の一部が前面の導電性遮光性樹脂4を貫通して例えば0.1〜2.0mm程度突出し、透光部aを構成している。この実施の形態では、閉環形透光部aは、数字「0」、「4」又は「8」形状である。
【0044】
閉環形透光部aの内側領域bの導電性遮光性樹脂4と外側領域の導電性遮光性樹脂4とが導電性遮光性樹脂4よりなる橋絡部cによって連続している。橋絡部cは部分遮光性板材10の裏面から突出している。
【0045】
この実施の形態では、第5図の通り、部分遮光性板材10の全周縁部に沿って全導電性遮光性樹脂領域(板面の前面から裏面に到る全体において導電性遮光性樹脂となっている領域)d1が設けられている。
【0046】
また、複数の近接した橋絡部cをつなぐように全導電性遮光性樹脂領域d2が設けられていると共に、全導電性遮光性樹脂領域d2同士をつなぐように全導電性遮光性樹脂領域d3が設けられている。一部の全導電性遮光性樹脂領域d2は、周縁部の全導電性遮光性樹脂領域d1に連なっている。
【0047】
このように全周縁に全導電性遮光性樹脂領域d1を設けると共に、この全導電性遮光性樹脂領域d1に連なるように網目の如く全導電性遮光性樹脂領域d2,d3を設けているので、導電性遮光性樹脂4を射出成形するに際し、導電性遮光性樹脂が容易に隅々まで十分に充填される。即ち、この部分遮光性板材10も、まず透光性樹脂2を射出成形し、次いで導電性遮光性樹脂4を射出成形するという二色成形によって成形される。最初に透光性樹脂2の射出により成形される成形体は、d1,d2,d3の部分が、連続した溝状の空所となっている。そのため、導電性遮光性樹脂4を射出すると、導電性遮光性樹脂4はこの溝状空所に沿ってキャビティ内の全体に容易に行き渡るようになる。これにより、ボイド等の欠陥のない部分遮光性板材10を効率よく成形することができる。また、この全導電性遮光性樹脂領域d1,d2,d3が部分遮光性板材の全域にわたって張り巡らされているので、部分遮光性板材の全域において電気抵抗が小さいものとなる。
【0048】
特に無電解メッキを施したのちに電気メッキを施す場合、全ての橋絡部表面に施された無電解メッキ層が全導電性遮光性樹脂領域d2によって上面の無電解メッキ層6と導通するため、実質的に裏面に電極を直接取り付けることになるので、閉環形透光部の内側b部への電気抵抗が小さくなり、電気メッキ層5の被着性が向上する。
【0049】
第6図の通り、この部分遮光性板材10の導電性遮光性樹脂に好ましくは無電解メッキして無電解メッキ層6を形成した後、電気メッキによるメッキ層5を形成して透光表示体11とする。その後、この透光表示体11から橋絡部cを切断、研削、折断などによって除去することにより、第7図に示す透光表示体12とする。
【0050】
このようにして、閉環形透光部aの内側領域にも十分に導電性遮光性樹脂4が充填され、この導電性遮光性樹脂4にメッキが施された美麗な透光表示体12が得られる。
【0051】
メッキ金属としては、クロム(三価、または六価)、金、銀、同、スズ、ニッケル、リン、ルテニウム、パラジウム、コバルト及びそれらの合金等が好適である。無電解メッキ層とのなじみのよい銅をメッキし、次にニッケルをメッキし、その上にクロムをメッキするようにしてもよい。
【0052】
導電性遮光性樹脂4としては、体積抵抗率が、1×103Ωcm以下、望ましくは1×102Ωcm以下、さらに5×101Ωcm以下、とりわけ1×101Ωcm以下のものが好ましい。特に、装飾メッキにおけるクロム等の貴金属を電気メッキする場合には、高い電流密度が必要となるので、5×101Ωcm以下であることが望ましい。
【0053】
導電性遮光性樹脂4としては、導電性フィラーを配合して導電性を高めたものが好ましい。
【0054】
遮光性樹脂組成物に用いる導電性フィラーとしては、各種のカーボンブラック、黒鉛や、アルミニウム、銀、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレス、真鍮、チタンなどの金属系フィラー(粒子状、フレーク状、繊維状のいずれでもよい。)、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブの炭素系繊維などが挙げられる。
【0055】
スズやスズと鉛、銀、亜鉛等との合金などの低融点金属を含有させて、樹脂中に溶融分散させても良い。
【0056】
また、炭素繊維や黒鉛、あるいはガラス繊維、アラミド繊維等の絶縁性フィラーに、ニッケルや銅などの金属をコーティングした複合系導電性フィラーを使用することもできる。
【0057】
導電性フィラーは、単一のフィラーを用いてもよいし、複数のフィラーを併用しても良い。フィラーの少なくとも一部として、繊維状フィラー、とりわけ金属繊維、または金属がコートされた繊維を用いると、少量の添加で優れた導電性が得られる点で望ましい。
【0058】
繊維状フィラーの場合、繊維直径は、1nm〜50μm、特に0.5μm〜30μmが好ましい。繊維径が細すぎると、樹脂への均一分散が困難になり、繊維径が太いと、外観を損なう。
【0059】
繊維のアスペクト比(長さ/径比)は、好ましくは5以上、特に10以上、さらに望ましくは、100〜1000である。アスペクト比が大きいほど少ない添加量で導電性が得られるが、大きすぎると、外観不良や成形不良になり易い。
【0060】
透光性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどが用いられ、中でも、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート樹脂が望ましい。
【0061】
遮光性樹脂としては、特に限定は無い。無電解メッキ可能な遮光性樹脂としては、ABS樹脂、ABS/ポリカーボネート等のABSアロイ系樹脂のほか、公知の無電解メッキ可能な樹脂材料を用いることができる。
【0062】
中でも、ABSを主成分とした樹脂材料が、コスト及びメッキ密着性の点で望ましい。
【0063】
次に、樹脂成形品よりなる部分遮光性板材に無電解メッキし、次いで電気メッキする方法の好適例について説明する。
【0064】
まず、無電解メッキしようとする樹脂成形品の表面に付着しているゴミ、油などの汚れを除去する。次に、エッチング液を用いて樹脂成形品にエッチングを行うことにより、樹脂成形品の表面を化学的に粗化する。次に、樹脂成形品の表面を酸で中和して、エッチング成分の一種である六価クロム等を還元除去する。次に、樹脂成形品にキャタリストを行う。このキャタリスト(キャタライザー)工程では、塩化第1スズと塩酸の水溶液に、成形品を浸漬後、水洗し、成形品表面にスズを吸着させるのが好ましい。
【0065】
これにより、樹脂成形品の粗化表面に、吸着力が強く還元力のある触媒(Pd―Sn化合物など)を吸着させる。
【0066】
次に、樹脂成形品にアクセレータを行い、樹脂成形品表面に付着していたSnを除去し、Pdを活性化する。アクセレーター工程では、塩化パラジウムと塩酸の水溶液に成形品を浸漬し、水洗しパラジウムとスズの置換反応を行うのが好ましい。
【0067】
次に、樹脂成形品を無電解メッキ槽に浸漬して、樹脂成形品に無電解メッキを行うことにより、無電解メッキ層を形成する。導電性遮光性樹脂としてABS又はABSアロイ系樹脂を用い、透光性樹脂としてポリカーボネートを用いた場合、ABS又はABSアロイ系樹脂にのみ無電解メッキ層が形成され、高い導電性が付与される。
【0068】
次に、樹脂成形品を電気メッキ槽に浸漬し電気メッキする。
【0069】
電気メッキ処理の例として、銅メッキ、ニッケルメッキ、及びクロムメッキを順次行うことによる装飾用電気メッキプロセスについて具体的に説明する。
【0070】
硫酸銅メッキ液としては、公知の光沢硫酸銅メッキ液を用いることができる。例えば、硫酸銅100〜250g/l程度、硫酸20〜120g/l程度、及び塩素イオン20〜70mg/l程度を含有する水溶液に、公知の光沢剤を添加したメッキ浴を使用できる。硫酸銅メッキの条件は、通常と同様で良く、例えば、液温25℃程度、電流密度3A/dm2程度でメッキを行い、所定の膜厚までメッキを行えばよい。
【0071】
ニッケルメッキ液としては、通常のワット浴を用いることができる。すなわち、硫酸ニッケル200〜350g/l程度、塩化ニッケル30〜80g/l程度、及びホウ酸20〜60g/l程度を含有する水溶液に、市販のニッケルメッキ浴用光沢剤を添加したものを使用できる。メッキ条件は
通常と同様で良く、例えば、液温55〜60℃程度、電流密度3A/dm2程度で電解して所定の膜厚までメッキすればよい。
【0072】
クロムメッキ液としては、通常のサージェント浴を用いることができる。すなわち、無水クロム酸200〜300g/l程度、及び硫酸2〜5g/l程度を含有する水溶液を使用でき、メッキ条件は、液温45℃程度、電流密度20A/dm2程度として所定の膜厚までメッキを行えばよい。メッキ後は、水洗し乾燥させてメッキ済み部分遮光性板材とする。
【実施例】
【0073】
実施例1
第3図〜第6図に示す部分遮光性板材を次のようにして製造した。
【0074】
透光性材料としては、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロンS−3000)を用いた。
【0075】
導電性遮光性樹脂としては、ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)クララスチック AP−8A)に導電性フィラーとしてニッケル被覆炭素繊維(東邦テナックス(株)MC−HTA−C6−US)を樹脂75重量部に対し25重量の割合で配合し、二軸混練押出機((株)池外社製 PCM45 バレル温度 240℃ 100RPM)にて溶融混練したものを用いた(体積抵抗率13.2Ωcm)。
【0076】
75ton射出成形機を用いて、ポリカーボネートにより透光部を形成し、厚さ1.5mmの1次成形体とした。その後、上記遮光性樹脂組成物を射出し、厚さ(橋絡部以外)3mmの部分遮光性板材を製作した。橋絡部cの突出高さは1mm、延在長さは3.6mmである。幅については、図示のように大、中、小の3種類があり、大では3.5mm、中では1.5mm、小では1mmとした。なお、橋絡部Cの最小断面積は、大では12.6mm2、中では1.8mm2、小では0.8mm2である。
【0077】
次に、成形品を、クロム酸溶液(Cr03/H2SO4)によりエッチング処理を行った後、塩化パラジウム、塩化第一スズ、塩酸からなる混合液、およびH2SO4により表面を活性化し、次いでニッケル無電解メッキを施した。
【0078】
次に、第3図(a)の穴部(第3図(a)の白ヌキ箇所)に陰極を取り付け、電気メッキを施した。この電気メッキとしては、電気銅めっき(硫酸銅および硫酸水溶液中で、電流密度5A/dm2 20分)、電気ニッケルめっき(硫酸ニッケルおよびホウ酸水溶液中で、電流密度5A/dm2 20分)、電気クロムめっき(無水クロム酸および硫酸水溶液中、20A/dm2 5分)を順番に行い、電気銅めっき9μm、電気ニッケルめっき4.5μm、クロムめっき0.1μmのめっき膜を形成した。
【0079】
その後、橋絡部cを切断除去した。橋絡部の除去は、大の部分はフライス盤を用いて切削加工した。また中の部分はニッパを用いて、小の部分は工具を使用することなく手で容易に切断可能であった。
【0080】
この透光表示板にあっては、透光部aは無色透明であり、橋絡部cは全く視認されなかった。また、透光部a以外については、美麗な金属クロムメッキ面となっていた。
【0081】
比較例1
ABS樹脂に導電性フィラーを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして部分遮光性板材及び透光表示体を作成したが、電気メッキ層は全く被着しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施の形態に係る部分遮光性板材及び透光表示体の断面図である。
【図2】別の実施の形態に係る透光表示体の断面図である。
【図3】第3図(a)は部分遮光性板材の正面図、第3図(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図4】第4図(a)は第3図(b)のIV−IV線断面図、第4図(b)は第4図(a)のB−B線断面図である。
【図5】部分遮光性板材の裏面図である。
【図6】部分遮光性板材を用いた透光表示体11の断面斜視図である。
【図7】第6図の透光表示体から橋絡部を除去した部分遮光性板材の断面斜視図である。
【図8】従来例の説明図である。
【図9】別の従来例の説明図である。
【図10】さらに別の従来例の説明図である。
【図11】別の実施の形態に係る透光表示体の断面図である。
【図12】さらに別の実施の形態を示す断面図であり、(a)は無電解メッキ層形成時の断面図、(b)は電気メッキ層形成時の断面図、(c)は橋絡部除去後の断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 部分遮光性板材
2 透光性樹脂
3 遮光性樹脂
4 導電性遮光性樹脂
5 電気メッキ層
6 無電解メッキ層
7,7A,7C,10 部分遮光性板材
8,8B,8C,9,9C,11,12 透光表示体
a 透光部
b 閉環部の内側領域
c 橋絡部
d,d1,d2,d3 全導電性遮光性樹脂領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚み方向に光を透過させる、透光性樹脂よりなる透光部と、
少なくとも一方の板面側が遮光性樹脂よりなり、板厚み方向に非透光性となっている遮光部と
を有した部分遮光性板材であって
少なくとも一部の該透光部は、板面において閉環形に延在する閉環形状となっており、
閉環形の透光部の内側の遮光部及び外側の遮光部を構成する遮光性樹脂同士が、該透光部を横断し且つ該部分遮光性板材の他方の板面から突出した遮光性樹脂よりなる橋絡部によって連続したものとなっている部分遮光性板材において、
該遮光性樹脂が導電性遮光性樹脂よりなることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項2】
請求項1において、前記導電性を有した遮光性樹脂は、導電性フィラーを含む樹脂組成物よりなることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項3】
請求項2において、導電性フィラーを含む樹脂組成物は、導電性フィラーを含むABS樹脂組成物よりなることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記遮光部の一部は、前記一方の板面から他方の板面に到るまで遮光性樹脂にて構成されていることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記一方の板面のうち前記遮光部に電気メッキが施されていることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記導電性を有した遮光性樹脂は、前記遮光性樹脂よりも無電解メッキ性が高いものであり、
前記遮光部に無電解メッキが施され、その上に電気メッキが施されていることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項7】
請求項5又は6の部分遮光性板材よりなる透光表示体。
【請求項8】
請求項5又は6の部分遮光性板材から前記橋絡部を除去することにより製作された透光表示体。
【請求項1】
板厚み方向に光を透過させる、透光性樹脂よりなる透光部と、
少なくとも一方の板面側が遮光性樹脂よりなり、板厚み方向に非透光性となっている遮光部と
を有した部分遮光性板材であって
少なくとも一部の該透光部は、板面において閉環形に延在する閉環形状となっており、
閉環形の透光部の内側の遮光部及び外側の遮光部を構成する遮光性樹脂同士が、該透光部を横断し且つ該部分遮光性板材の他方の板面から突出した遮光性樹脂よりなる橋絡部によって連続したものとなっている部分遮光性板材において、
該遮光性樹脂が導電性遮光性樹脂よりなることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項2】
請求項1において、前記導電性を有した遮光性樹脂は、導電性フィラーを含む樹脂組成物よりなることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項3】
請求項2において、導電性フィラーを含む樹脂組成物は、導電性フィラーを含むABS樹脂組成物よりなることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記遮光部の一部は、前記一方の板面から他方の板面に到るまで遮光性樹脂にて構成されていることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記一方の板面のうち前記遮光部に電気メッキが施されていることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記導電性を有した遮光性樹脂は、前記遮光性樹脂よりも無電解メッキ性が高いものであり、
前記遮光部に無電解メッキが施され、その上に電気メッキが施されていることを特徴とする部分遮光性板材。
【請求項7】
請求項5又は6の部分遮光性板材よりなる透光表示体。
【請求項8】
請求項5又は6の部分遮光性板材から前記橋絡部を除去することにより製作された透光表示体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−97131(P2010−97131A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269876(P2008−269876)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(393032125)油化電子株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(393032125)油化電子株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]