説明

配線の形成方法及び、電子デバイスの製造方法

【課題】 レジストパターンと反射防止膜との寸法変換差を小さくすることができるようにした配線の形成方法及び電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】
シリコン基板1上に形成されたポリシリコン膜13及びWS膜15を配線形状にパターニングして当該ポリシリコン膜13及びWS膜15からなるゲート配線10を形成する方法であって、ポリシリコン膜13及びWS膜15の上方にBARC膜21を形成し、このBARC膜21上にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストを配線形状に露光し、現像処理してレジストパターン32を形成し、このレジストパターン32をマスクにBARC膜21をCHFガスとCFガスとOガスとからなる第1混合ガスでドライエッチングする。BARC膜21をドライエッチングする際に、BARC膜21のレジストパターン32で覆われた部分の側面にポリマー41を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線の形成方法及び、電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置はますます微細化、高集積化しつつある。これに伴って、半導体装置に搭載されるMOSトランジスタのゲート長も短くなりつつあり、ゲート電極から延びるゲート配線(例えば、特許文献1参照。)の線幅や隣り合うゲート配線間の距離(即ち、L/S:ラインアンドスペース)も小さくなりつつある。
図5(A)〜図6(B)は、従来例に係るゲート配線の形成方法を示す工程図である。図5(A)に示すように、始めに、シリコン基板101上の全面にポリシリコン膜113と、タングステンシリサイド(以下、「WS」という。)膜115と、TEOS(tetra ethyl ortho silicate)膜117と、BARC(bottom anti reflective coatings)膜121とを順次形成する。TEOS膜とは、有機液体ソースであるTEOSを用いたプラズマ又は常圧CVDによって形成されるシリコン酸化膜のことである。また、BARC膜121とは、反射防止膜のことである。このBARC膜121上にフォトレジスト131を塗布する。
【0003】
次に、このフォトレジスト131をゲート配線形成用のレチクルを用いて配線形状に露光、現像処理して、レジストパターン132を形成する。そして、図5(B)に示すように、このレジストパターン132をマスクに、BARC膜121をドライエッチングして、図6(A)に示すように、BARCからなるパターン(以下、「BARCパターン」という。)121´を形成する。このBARCパターン121´形成の際に用いるドライエッチング用のガスは、CF(四フッ化メタン)とO(酸素)とからなる混合ガスである。その比率は、例えばCF:O=3:1である。この混合ガスは、通常、Ar(アルゴン)ガスによって所定濃度に希釈して用いている。
【0004】
次に、図6(A)に示すように、レジストパターン132´をマスクに、BARCパターン121´下から露出したTEOS膜117をドライエッチングして、ECAP117´を形成する。ここで、図6(A)に示すレジストパターン132´はレジストパターン132と基本的には同一のレジストパターンであるが、その線幅は、図5(B)に示した初期のレジストパターン132も小さくなっている。これは、BARC膜121のドライエッチングによって、水平方向から削られたためである。
【0005】
ECAP117´形成の際に用いるドライエッチング用のガスは、CHF(三フッ化メタン)とCFとからなる混合ガスである。その比率は、例えばCHF:CF=1:9である。この混合ガスは、通常、Ar(アルゴン)ガスによって、所定濃度に希釈して用いている。
次に、図6(B)において、このシリコン基板(ウエーハ)1にOを用いたアッシング処理と、硫酸を用いたウエット洗浄処理とを順次施して、このシリコン基板101上からレジストパターン132´と、BARCパターン121´とを完全に除去する。その後、ECAP117´をマスクにして、WS膜115と、ポリシリコン膜113とを配線形状にパターニングする。これにより、ゲート配線を完成させる。
【特許文献1】特開2002−359302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ゲート配線の線幅設計値が小さくなってくると、ゲート配線工程で寸法変換差の影響を無視できなくなってくる。ここで、寸法変換差とは、例えば、初期のレジストパターン132の線幅と、ECAP117´の線幅との差であり、(1)式で表される。
ΔWTOTAL=WRESIST−WECAP・・・(1)
ΔWTOTAL:レジストパターン132とECAP117´との寸法変換差
ECAP:ECAP117´の線幅
RESIST:初期のレジストパターン132の線幅
例えば、ゲート配線を、そのL/Sが共に0.35[μm]となるように形成する場合には、図5(A)〜図6(B)を用いて説明した従来の形成方法では、寸法変換差ΔWTOTALは0.09[μm]程度である。つまり、レジストパターン132の線幅よりも、ECAP117´の線幅の方が0.09[μm]小さく形成されてしまう。
【0007】
このような理由から、ECAP117´をハードマスクに用いた異方性エッチングによって、ゲート配線をその線幅が0.35[μm]の大きさとなるように形成するためには、ECAP117´をその線幅WECAPが0.35[μm]の大きさとなるように形成する必要があり、さらに、図7に示すように、レジストパターン132をその線幅WRESISTが0.44(=0.35+0.09)[μm]の大きさとなるように形成しておく必要があった。
【0008】
しかしながら、図7に示すように、レジストパターン132の線幅をゲート配線の線幅Wよりも太く形成すると、太くした分だけレジストパターン132間のスペース距離が狭まってしまう。そして、露光装置の線源波長(以下で、「露光波長」という。)に対して、スペース距離が狭くなり過ぎると、このスペース領域上からレジストを取り除くことができない(即ち、レジストパターン132を上手く形成できない)おそれがある。
【0009】
例えば、露光波長が365[nm]の場合には、図7のレジストパターン132間のスペース距離が0.20[μm]以下となると、このスペース領域上にフォトレジストが残ってしまう可能性が高い。
従って、露光波長との関係でレジストパターン132の線幅を太くすることにも限界があり、ゲート配線の微細化が進むなかで、ゲート配線の加工マージンを十分に確保することが困難になってきている、という問題があった。
【0010】
そこで、この発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、レジストパターンと反射防止膜との寸法変換差を小さくすることができるようにした配線の形成方法及び、電子デバイスの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の配線の形成方法は、基板上に形成された導電膜を配線形状にパターニングして当該導電膜からなる配線を形成する方法であって、前記導電膜の上方に反射防止膜を形成する工程と、前記反射防止膜上にレジストを塗布する工程と、前記レジストを所定の配線形状に露光し、現像処理してレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクに前記反射防止膜をCHFガスとCFガスとOガスとからなる混合ガスでドライエッチングする工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0012】
ここで、基板とは、例えば半導体基板のことである。また、導電膜とは、例えばリン等の不純物がドープされたポリシリコンと、タングステンシリサイドとが積み重ねられた積層構造の膜である。この導電膜は、例えば絶縁性の素子分離層等を介して基板上に形成される。さらに、反射防止膜とは、例えばBARC膜のことである。
発明1の配線の形成方法によれば、反射防止膜をドライエッチングする過程で、この反射防止膜のレジストパターンで覆われた部分の側面にポリマー状の生成物を形成しつつ、この反射防止膜のレジストパターンで覆われていない部分を削ることができる。この生成物がドライエッチングに対する保護膜として機能する。
【0013】
従って、反射防止膜のサイドエッチング(即ち、基板面に対して水平方向からのエッチング)をある程度防ぐことができるので、レジストパターンと反射防止膜との寸法変換差を小さくすることができる。
【0014】
〔発明2〕 発明2の配線の形成方法は、発明1の配線の形成方法において、前記混合ガスにおける前記CHFガスと前記Oガスとの混合比を、CHF:O=1:1から9:1の範囲内とすることを特徴とするものである。
このような構成であれば、図4(A)に示す実験結果からわかるように、レジストパターンと反射防止膜との寸法変換差を十分小さくすることができる。
【0015】
〔発明3〕 発明3の配線の形成方法は、発明1又は発明2の配線の形成方法において、前記反射防止膜を形成する前に前記導電膜上に絶縁膜を形成する工程を含むことを特徴とするものである。
ここで、絶縁膜とは、例えば有機液体ソースであるTEOSを用いたプラズマ又は常圧CVDによって形成されるシリコン酸化膜のことである。
発明3の配線の形成方法によれば、レジストパターンをマスクに絶縁膜をエッチングすることができ、当該絶縁膜を配線形状にパターニングすることができる。そして、この配線形状にパターニングされた絶縁膜を導電膜に対するハードマスクとして使用することができる。
【0016】
〔発明4〕 発明4の配線の形成方法は、発明3の配線の形成方法において、前記混合ガスを第1の混合ガスとしたとき、前記レジストパターンをマスクに前記反射防止膜を前記第1の混合ガスでドライエッチングし除去した後で、前記レジストパターンをマスクに前記絶縁膜をCHFガスとCFガスとからなる第2の混合ガスでドライエッチングする工程、を含むことを特徴とするものである。
このような構成であれば、絶縁膜を配線形状にパターニングすることができ、この配線形状にパターニングされた絶縁膜を導電膜に対するハードマスクとして使用することができる。
【0017】
〔発明5〕 発明5の配線の形成方法は、発明4の配線の形成方法において、前記第2の混合ガスにおける前記CHFガスと前記CFガスとの混合比を、CHF:CF=3:7から9:1の範囲内とすることを特徴とするものである。
ここで、レジストパターンの線幅は反射防止膜のドライエッチング前とドライエッチング後とではその大きさが異なり、当該線幅はドライエッチング後に小さくなっていることが普通である。これは、反射防止膜のドライエッチングによって、この反射防止膜のマスクであるレジストパターンも基板面に対して垂直方向及び水平方向にある程度エッチングされてしまうからである。
【0018】
発明5の配線の形成方法によれば、絶縁膜のレジストパターンで覆われた部分の側面にポリマー状の生成物を形成しつつ、この絶縁膜のレジストパターンで覆われていない部分を削ることができる。そして、図4(B)に示す実験結果からわかるように、反射防止膜をドライエッチングした後のレジストパターンの線幅よりも、このレジストパターンをマスクに配線形状にパターニングされた絶縁膜の線幅の方を大きくすることができる。
従って、配線形状にパターニングされた絶縁膜の線幅を、レジストパターンの初期の線幅に近づけることができる。
【0019】
〔発明6〕 発明6の配線の形成方法は、発明5の配線の形成方法において、前記第1の混合ガスを用いた前記反射防止膜のドライエッチング工程、又は前記第2の混合ガスを用いた前記絶縁膜のドライエッチング工程の少なくともどちらか一方の工程では、前記基板を冷却しながらドライエッチング処理を行うことを特徴とするものである。
【0020】
ここで、反射防止膜や絶縁膜のレジストパターンで覆われた部位の側壁に形成されたポリマー状の生成物は、冷却すると当該側壁に吸着して取れにくくなる傾向がある。
発明6の配線の形成方法によれば、反射防止膜や絶縁膜のドライエッチング中に上記側壁からポリマー状の生成物を取れにくくすることができる。従って、反射防止膜や絶縁膜のサイドエッチングを十分抑えることができ、反射防止膜や絶縁膜をより長くオーバエッチングすることができる。これにより、反射防止膜の線幅や絶縁膜の線幅の基板面内における均一性の向上に寄与することができる。
【0021】
〔発明7〕 発明7の電子デバイスの製造方法は、発明1から発明6の何れか一の配線の形成方法を含む、ことを特徴とするものである。
このような構成であれば、発明1から発明6の配線の形成方法が応用されるので、反射防止膜のサイドエッチングをある程度防ぐことができ、レジストパターンと反射防止膜との寸法変換差を小さくすることができる。従って、配線の加工マージンを稼ぐことができる。本発明は、ゲート配線の微細化が著しい半導体装置等の製造方法に適用して極めて好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る配線の形成方法及び、電子デバイスの製造方法について説明する。
(1)実施形態
図1は、本発明の実施形態に係るゲート配線10の構成例を示す断面図である。このゲート配線10は、例えばゲート電極(図示せず)からシリコン基板1の素子分離層(図示せず)上にかけて形成されるものである。図1に示すように、このゲート配線は、リン等の不純物がドープされたポリシリコン膜13と、タングステンシリサイド(WS)膜15と、から構成されている。また、このWS膜15上には、TEOS膜からなるパターン(即ち、ECAP)17´が形成されている。さらに、ゲート配線10の側壁には、サイドウォールスペーサが設けられている。
【0023】
図2(A)〜図3(B)は、本発明の実施形態に係るゲート配線10の形成方法を示す工程図である。ここでは、図1に示したゲート配線10を例えばL/S=0.35/0.35[μm]の大きさに形成する場合について説明する。なお、この実施形態において、図2(A)に示すレジストパターン32を形成するまでの工程は、従来例と同じである。
即ち、まず始めに、シリコン酸化膜等からなる素子分離層(図示せず)が形成されたシリコン基板1上の全面にポリシリコン膜13を形成する。このポリシリコン膜13の厚さは、例えば1300[Å]程度である。次に、このポリシリコン膜13上にWS膜15を形成する。このWS膜15の厚さは、例えば1300[Å]程度である。
【0024】
次に、有機液体ソースであるTEOSを用いたプラズマ又は常圧CVDによって、このWS膜15上にTEOS膜17を形成する。このTEOS膜17の厚さは、例えば2700[Å]程度である。次に、このTEOS膜17上にBARC膜21を形成する。このBARC膜21の厚さは、例えば1350[Å]程度である。
次に、このBARC膜21上にフォトレジストを塗布する。そして、このフォトレジストをゲート配線10形成用のレチクルを用いて配線形状に露光、現像処理して、レジストパターン32を形成する。フォトレジストを露光処理する際の線源の波長(露光波長)は、例えば365[nm]である。
【0025】
次に、図2(A)に示すように、このレジストパターン32をマスクに、BARCをドライエッチングして、BARC膜21からなるパターン(BARCパターン)21´を形成する。ここで、BARC膜のドライエッチングに用いるガスは、CHFとCFとOとからなる混合ガス(以下、「第1混合ガス」という。)である。第1混合ガスにおける成分ガスの比率は、表1に示すように、例えばCHF:CF:O=1:12:1である。
【0026】
【表1】

【0027】
この第1混合ガスは、Ar(アルゴン)等の不活性ガスを所定量だけ混ぜて希釈し、BARC膜21に対するエッチングレートを調整する。例えば、Arを含めた第1混合ガスの成分ガスの比率は、CHF:CF:O:Ar=1:12:1:140である。この第1混合ガスを用いたドライエッチングは、例えば平行平板式のRIE(reactive ion etching)装置を用いて行う。
【0028】
このような第1混合ガスを用いたドライエッチングによって、図2(B)に示すように、BARCパターン21´の側面にポリマー状の生成物(以下、単に「ポリマー」という。)41を形成しつつ、レジストパターン32で覆われていないBARC膜を削ることができる。このポリマー41がドライエッチングに対する保護膜として機能するので、BARCパターン21´の側面に対するサイドエッチングをある程度防ぐことができる。即ち、レジストパターン32と、BARCパターン21´との寸法変換差を小さくすることができる。
【0029】
なお、この第1ドライエッチングによって、図2(B)に示すように、レジストパターン32は、シリコン基板1の表面に対して垂直方向及び水平方向にある程度エッチングされてしまい、その線幅はBARC膜のエッチング前後で異なってしまう。そのような理由から、BARCエッチング前の初期のレジストパターン32に対して、BARCエッチング後のレジストパターンを32´として、図2(B)に図示している。
【0030】
次に、図3(A)に示すように、レジストパターン32´をマスクに、TEOS膜15をドライエッチングして、TEOSからなるパターン(ECAP)17´を形成する。ここで、TEOS膜のドライエッチングに用いるガスは、CHFとCFとからなる混合ガス(以下、「第2混合ガス」という。)である。第2混合ガスにおける成分ガスの比率は、表1に示すように、例えばCHF:CF=3:1である。
【0031】
また、この第2混合ガスは、Ar(アルゴン)等の不活性ガスを所定量だけ混ぜて希釈し、TEOS膜に対するエッチングレートを調整する。例えば、Arを含めた第2混合ガスの成分ガスの比率は、CHF:CF:Ar=3:1:140である。この第2混合ガスを用いたドライエッチングは、BARC膜のドライエッチングを行った同一のRIE装置内で連続して行う。
【0032】
このような第2混合ガスを用いたドライエッチングによって、ECAP17´の側面にもポリマー41を形成しつつ、TEOS膜のレジストパターン32´で覆われていない部分を削ることができる。このポリマー41がドライエッチングに対する保護膜として機能するので、ECAP17´のサイドエッチングをある程度防ぐことができる。即ち、BARC膜をエッチングする前の初期のレジストパターン32(図2(A)参照。)と、ECAP17´との寸法変換差を小さくすることができる。
【0033】
次に、図3(B)において、このシリコン基板(ウエーハ)1にOを用いたアッシング処理と、硫酸を用いたウエット洗浄処理とを順次施して、このシリコン基板1上からレジストパターン32と、BARCパターン21´とを完全に除去する。その後、ECAP17´をマスクにして、WS膜15と、ポリシリコン膜13とを配線形状にパターニングする。これにより、L/S=0.35/0.35[μm]のゲート配線10(図1参照。)を完成させる。
【0034】
このように、本発明の実施形態に係るゲート配線10の形成方法によれば、BARC膜21をドライエッチングする工程で、このBARCパターン21´の側面にポリマー41を形成しつつ、このBARC膜21のレジストパターン32で覆われていない部分を削ることができる。また、ECAP17´の側面にもポリマー41を形成しつつ、このTEOS膜17のレジストパターン32で覆われていない部分を削ることができる
従って、BARCパターン21´やECAP17´のサイドエッチングをある程度防ぐことができ、図2(A)に示したレジストパターン32とBARCパターン21´との寸法変換差、及び、図2(A)に示したレジストパターン32とECAP17´との寸法変換差とそれぞれ小さくすることができる。これにより、図1に示したゲート配線10を、図2(A)に示した初期のレジストパターン32の線幅と、ほぼ同じ線幅に形成することができる。
【0035】
また、本発明に係る電子デバイスの製造方法は、例えば、図1に示したゲート配線10を有する半導体装置100の製造方法であって、図2(A)〜図3(B)を参照しながら説明したゲート配線10の形成工程を含むものである。このような構成であれば、図7に示したように、レジストパターン32の線幅をゲート配線10の線幅Wよりも大きくする必要はない。
【0036】
例えば、WRESIST≒WとすることでL/Sが共に0.35[μm]であるゲート配線10を形成することができる。従来方式と比べて、レジストパターン32間のスペース距離を広く確保することができるので、スペース領域上でのレジスト残りを防ぐことができる。これにより、ゲート配線10の加工マージンを稼ぐことができる。
この実施形態では、シリコン基板1が本発明の基板に対応し、ポリシリコン膜13とWS膜15とからなる積層構造の膜が本発明の導電膜に対応している。また、TEOS膜17が本発明の絶縁膜に対応し、BARC膜が本発明の反射防止膜に対応している。さらに、半導体装置100が本発明の電子デバイスに対応している。
【0037】
なお、上記の実施形態では、第1混合ガスを用いたBARC膜21のドライエッチング工程(図2(A)参照。)と、第2混合ガスを用いたTEOS膜17のドライエッチング工程(図3(A)参照。)とを、RIE装置内でシリコン基板1を冷却しながら行うと良い。このような構成であれば、ドライエッチングによるBARCパターン21´やECAP17´の形成過程で、それらの側壁にポリマー41を良好に吸着させ続けることができる。
【0038】
従って、BARCパターン21´やECAP17´のサイドエッチングを十分抑えつつ、レジストパターン32,32´下から露出したBARC膜21やTEOS膜17をより長くオーバエッチングすることができる。これにより、シリコン基板1面内におけるBARKパターン21´の線幅の均一性や、シリコン基板1面内におけるECAP17´の線幅の均一性をそれぞれ向上させることが可能である。
(2)実験結果
図4(A)は、第1混合ガスにおける成分ガスの比率と、寸法変換差ΔWとの関係を示すグラフである。図4(A)において、横軸は、第1混合ガスにおけるCHF:Oのガス比を示している。この実験では、CFの流量と第1混合ガス全体の流量とを、それぞれ所定の値に固定している。また、縦軸は、図2(A)に示した初期のレジストパターン32の線幅と、図2(B)に示したBARCパターン21´の線幅との差(寸法変換差ΔW)を示している。この図4(A)の縦軸では、レジストパターン32の線幅が、BARCパターン21´の線幅より大きい場合がプラスである。
【0039】
さらに、図4(A)の◇及び□は、ゲート配線のL/Sが比較的密であるサンプルを示している。図4(A)の△及び×は、ゲート配線のL/Sが比較的疎であるサンプルを示している。ここで、比較的密なL/Sとは、例えばL/S=(0.35/0.32)[μm]程度である。また、比較的疎なL/Sとは、例えばL/S=(0.35/1)[μm]程度である。
【0040】
図4(A)に示すように、ゲート配線のL/Sが比較的密であるサンプル◇及び□も、比較的疎であるサンプル△及び×も、第1混合ガスにおけるCHFの割合が増加するにつれて、寸法変換差ΔWはマイナス側に移っている。このことから、第1混合ガスにおけるCHFの割合が増加するほど、ポリマー41(図3(A)参照。)の水平方向への堆積速度は増し、BARCパターン21´のサイドエッチングは抑制されることが分かった。また、寸法変換差ΔWが0となるときのCHF:Oのガス比は、ゲート配線のL/Sの大きさに依存することも分かった。
【0041】
なお、サンプル△及び×では、CHF:O=7:1〜9:1の範囲で、寸法変換差ΔWがプラスからマイナスに逆転している。これは、BARCパターン21´に対するサイドエッチング速度よりも、ポリマー41の生成速度の方が大きいことを示している。
図4(B)は、第2混合ガスにおける成分ガスの比率と、寸法変換差ΔWとの関係を示すグラフである。図4(B)において、横軸は、第2混合ガスにおけるCHF:CFのガス比を示している。この実験では、第2混合ガス全体の流量を所定の値に固定している。
【0042】
また、縦軸は、図3(A)に示したレジストパターン32´の線幅と、図3(B)に示したECAP17´の線幅との差(寸法変換差ΔW)を示している。この図4(B)の縦軸では、レジストパターン32´の線幅が、ECAP17´の線幅より大きい場合がプラスである。さらに、図4(B)の◇及び□は、ゲート配線のL/Sが比較的密であるサンプルを示している。図4(B)の△及び×は、ゲート配線のL/Sが比較的疎であるサンプルを示している。この点については、図4(A)と同様である。
【0043】
図4(B)に示すように、ゲート配線のL/Sが比較的密であるサンプル◇及び□も、比較的疎であるサンプル△及び×も、第2混合ガスにおけるCHFの割合が増加するにつれて、寸法変換差ΔWはマイナス側に移っている。このことから、第2混合ガスにおけるCHFの割合が増加するほど、ポリマー41(図3(B)参照。)の水平方向への堆積速度は増し、ECAP17´のサイドエッチングは抑制されることが分かった。また、ポリマー41の堆積速度はゲート配線のL/Sの大きさに依存し、その堆積速度はL/Sが大きい(即ち、疎である)ほど大である、ということも分かった。
【0044】
実際のゲート配線10の形成工程では、レジストパターン32´の線幅は、図2(A)に示した初期のレジストパターン32の線幅よりも小さい。従って、この小さくなった分を相殺し0にするような寸法変換差ΔWを図4(B)等から求め、求めた寸法変換差ΔWに対応したCHF:CFのガス比で、図3(A)に示したTEOS膜17をエッチングする。これにより、初期のレジストパターン32の線幅と、ECAP17´の線幅との差(即ち、寸法変換差ΔWTOTAL)を0に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係るゲート配線10の構成例を示す断面図。
【図2】実施形態に係るゲート配線10の形成方法を示す工程図(その1)。
【図3】実施形態に係るゲート配線10の形成方法を示す工程図(その2)。
【図4】実験結果を示す図。
【図5】従来例に係るゲート配線の形成方法を示す工程図(その1)。
【図6】従来例に係るゲート配線の形成方法を示す工程図(その2)。
【図7】従来例の問題点を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1 シリコン基板、10 ゲート配線、13 ポリシリコン膜、15 WS(タングステンシリサイド)膜、17 TEOS膜、17´ ECAP、19 サイドウォール、21 BARC膜、21´ BARCパターン、32,32´レジストパターン、100 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された導電膜を配線形状にパターニングして当該導電膜からなる配線を形成する方法であって、
前記導電膜の上方に反射防止膜を形成する工程と、
前記反射防止膜上にレジストを塗布する工程と、
前記レジストを所定の配線形状に露光し、現像処理してレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクに前記反射防止膜をCHFガスとCFガスとOガスとからなる混合ガスでドライエッチングする工程と、を含むことを特徴とする配線の形成方法。
【請求項2】
前記混合ガスにおける前記CHFガスと前記Oガスとの混合比を、
CHF:O=1:1から9:1の範囲内とすることを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項3】
前記反射防止膜を形成する前に前記導電膜上に絶縁膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配線の形成方法。
【請求項4】
前記混合ガスを第1の混合ガスとしたとき、
前記レジストパターンをマスクに前記反射防止膜を前記第1の混合ガスでドライエッチングし除去した後で、
前記レジストパターンをマスクに前記絶縁膜をCHFガスとCFガスとからなる第2の混合ガスでドライエッチングする工程、を含むことを特徴とする請求項3に記載の配線の形成方法。
【請求項5】
前記第2の混合ガスにおける前記CHFガスと前記CFガスとの混合比を、
CHF:CF=3:7から9:1の範囲内とすることを特徴とする請求項4に記載の配線の形成方法。
【請求項6】
前記第1の混合ガスを用いた前記反射防止膜のドライエッチング工程、又は前記第2の混合ガスを用いた前記絶縁膜のドライエッチング工程の少なくともどちらか一方の工程では、前記基板を冷却しながらドライエッチング処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の配線の形成方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の配線の形成方法を含む、ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−41364(P2006−41364A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221925(P2004−221925)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】