説明

配線の形成方法

【課題】配線が微細化された場合でも、所望の高さの配線を得ることができる配線の形成方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、まず、絶縁膜11上に形成した犠牲導体膜12に配線形成用溝12a,12bを形成する。ついで、配線形成用溝12a,12bが形成された犠牲導体膜12上の全面にCuを堆積し配線形成用溝12a,12b内に流動するようにリフローさせて、配線形成用溝12a,12b内にCu膜14bを形成する。その後、犠牲導体膜12とCu膜14bを通電層としてめっき法によって配線形成用溝12a,12b内のCu膜14b上にCu膜14cを積み増す。ついで、Cu膜14b,14cからなるCu配線14をCMP処理して平坦化した後、犠牲導体膜12を除去する。その後、Cu配線14が形成された絶縁膜11上に絶縁膜15を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配線の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置にCu配線を用いた場合の配線形成方法は、以下のような手順で行われていた。まず、配線形成用溝を形成した絶縁膜に、スパッタ法によってバリアメタル膜とシード膜を形成する。ついで、めっき法によって配線形成用溝内にCu膜を埋め込むととともに、配線形成用溝間の絶縁膜上(以下、フィールド部という)にもCu膜を形成する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって、配線形成用溝にのみCu膜を残すように、フィールド部上に形成されたCu膜とバリアメタル膜とを除去する。これによって、Cu配線が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−243389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、半導体装置の高集積化に伴って配線が微細化されてきており、配線形成用溝の間口が狭くなってきている。このような状況下では、シード膜形成時に、アスペクト比の大きな配線形成用溝を有する絶縁膜上でのシード膜の段差被覆性が劣化し、めっき法でのCu膜の埋め込み性が悪化していた。特に、第1の配線幅を有する配線と第1の配線幅よりも広い第2の配線幅を有する配線とが微細化された半導体装置に混在する場合などには、所望の高さの配線を得ることが難しいという問題点があった。
【0005】
本発明の一つの実施形態は、配線が微細化された場合でも、所望の高さの配線を得ることができる配線の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態によれば、まず、犠牲導体膜形成工程で、第1絶縁膜上に犠牲導体膜を形成し、配線形成用溝形成工程で、前記犠牲導体膜に配線形成用溝を形成する。ついで、第1Cu膜形成工程で、前記配線形成用溝が形成された前記犠牲導体膜上の全面にCuを堆積し前記配線形成用溝内に流動するようにリフローさせて、前記配線形成用溝内に第1Cu膜を形成する。さらに、第2Cu膜形成工程で、前記犠牲導体膜と前記第1Cu膜を通電層としてめっき法によって前記配線形成用溝内の前記第1Cu膜上に第2Cu膜を積み増す。その後、CMP処理工程で、前記第1および第2Cu膜からなるCu配線をCMP処理して平坦化する。前記CMP処理工程の後に、犠牲導体膜除去工程で、前記犠牲導体膜を除去する。そして、前記犠牲導体膜除去工程の後に、絶縁膜形成工程で、前記Cu配線が形成された前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1−1】図1−1は、第1の実施形態による配線の形成方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。
【図1−2】図1−2は、第1の実施形態による配線の形成方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。
【図1−3】図1−3は、第1の実施形態による配線の形成方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その3)。
【図2−1】図2−1は、第2の実施形態による配線の形成方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。
【図2−2】図2−2は、第2の実施形態による配線の形成方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。
【図2−3】図2−3は、第2の実施形態による配線の形成方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる配線の形成方法として半導体装置の製造方法に適用した例を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態で用いられる配線層の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合がある。さらに、以下で示す膜厚は一例であり、これに限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1−1〜図1−3は、第1の実施形態による配線の形成方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。まず、図1−1(a)に示されるように、トランジスタなどの能動素子やキャパシタなどの受動素子が集積形成されたシリコン基板などの図示しない基板上に層間絶縁膜11を形成し、さらに層間絶縁膜11上に犠牲導体膜12を形成する。層間絶縁膜11として、TEOS(Tetraethyl orthosilicate)膜などを用いることができる。また、犠牲導体膜12としては、後の溶解処理時に、配線層となるCu膜およびバリアメタル膜に比して薬液に溶解しやすい導電性材料が用いられる。たとえば、溶解処理時の薬液としてフッ酸を含有する水溶液(希フッ酸)を用いる場合には、犠牲導体膜12としてフッ酸に溶解性があるTi,Al,V,Co,Zr,Nb,Ta,Hfなどを用いることができる。また、犠牲導体膜12の厚さは、たとえば100nmに設定することができる。
【0010】
ついで、犠牲導体膜12上に図示しないレジストを塗布し、リソグラフィ技術を用いて配線を形成する領域が開口するようにパターニングを行う。その後、レジストをマスクとして、RIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチング技術を用いて、犠牲導体膜12をエッチングし、配線形成用溝12a,12bを形成する。ここでは、層間絶縁膜11をストッパとしてエッチングを行い、配線形成用溝12a,12bを形成する。
【0011】
ここで、領域R1は、第1の配線幅を有し、第1のピッチで所定の方向に並行して配列される複数の第1の配線が形成される領域であり、領域R1には、第1の配線の配線形成用溝12aが形成される。また、領域R2は、第1の配線幅よりも広い第2の配線幅を有し、第1のピッチよりも広い第2のピッチで所定の方向に配列される第2の配線が形成される領域であり、領域R2には、第2の配線の配線形成用溝12bが形成される。たとえば、第1の配線は、NAND型フラッシュメモリのメモリセルに接続されるラインアンドスペース状に形成される複数の配線であり、第2の配線は、NAND型フラッシュメモリの周辺回路に接続される孤立した配線である。
【0012】
ついで、図1−1(b)に示されるように、配線形成用溝12a,12bの内面を被覆するように、後の工程で形成されるCuが層間絶縁膜11や基板に拡散するのを防止するバリアメタル膜13を層間絶縁膜11上の全面に形成する。バリアメタル膜13として、後の工程で行うCuリフローの流動性を上げることができるようにCuと濡れ性の悪く、かつ後の犠牲導体膜12に対する溶解処理時で使用される薬液に対して溶解し難い材料であることが好ましい。たとえば溶解処理時の薬液としてフッ酸を含有する水溶液を用いる場合には、バリアメタル膜13としてTaN膜やTiN膜などを用いることができる。バリアメタル膜13は、たとえばスパッタ法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて形成することができ、膜厚をたとえば8nmに設定することができる。
【0013】
ついで、図1−1(c)に示されるように、バリアメタル膜13上に、Cu膜14aをスパッタ法などのPVD法を用いて形成する。Cu膜14aの厚さは、たとえば15nmに設定することができる。Cu膜14aは、バリアメタル膜13上に連続して形成されることが望ましい。また、後のリフロー処理時に、配線形成用溝12a,12bにCu膜14aを流動させるために、配線形成用溝12a,12bの底部での厚さをTbとし、配線形成用溝12a,12bの側壁に形成された膜のうち最も薄い部分の膜厚をTsとし、隣接する配線形成用溝12a,12bの間の犠牲導体膜12の上部(以下、フィールド部という)での厚さをTfとすると、次式(1)の関係を満たすようにCu膜14aが形成されることが望ましい。
Tf<Ts≦Tb ・・・(1)
【0014】
(1)式を満たすようなCu膜14aは、Cu膜14aをたとえばスパッタ法で成膜しながら、バリアメタル膜13上、特にフィールド部上に形成されたCu膜14aをエッチングすることで得られる。
【0015】
ついで、図1−2(a)に示されるように、基板を加熱してバリアメタル膜13上に形成されたCu膜14aをリフローさせ、配線形成用溝12a,12b内にCu膜14bを流動させる。たとえば、基板を400℃に加熱して60秒間保持することでCu膜14aをリフローさせる。このとき、領域R1の配線形成用溝12aの幅に比して、領域R2の配線形成用溝12bの幅の方が広いので、リフロー処理後に配線形成用溝12a,12bの底部に形成されたCu膜14bの高さは、領域R1の方が高くなる。なお、上記(1)式を満たすようにCu膜14aが形成された場合には、フィールド部上と配線形成用溝12a,12b内の側壁に形成されたCu膜14aは、配線形成用溝12a,12b内の下部へと引っ張られ、配線形成用溝12a,12b内の側壁とフィールド部上にはCu膜14aは実質的に残らず、配線形成用溝12a,12b内に埋め込まれる。
【0016】
その後、図1−2(b)に示されるように、電解めっき法を用いて、犠牲導体膜12、バリアメタル膜13および配線形成用溝12a,12bの底部に埋め込まれたCu膜14bを通電層として、配線形成用溝12a,12b内にさらにCu膜14cを堆積させる。ここで、リフロー処理によって配線形成用溝12a,12bの底部に埋め込まれたCu膜14bをシード膜として底部から上方に向かってCu膜14cの堆積が進行するので、リフロー処理前のCu膜14aをシード膜として電界めっき法でCuを堆積させる場合のように、配線形成用溝12a,12b内における被覆性が十分でないCu膜14a部分上でボイドなどが生じることによる埋め込み性の悪化を招くことがない。また、厚い犠牲導体膜12を通電層として利用しているためめっき電流を十分に供給することができ、基板全面で均一化された膜厚でCu膜14cを形成することができる。このように、リフロー処理で配線形成用溝12a,12bに埋め込まれたCu膜14bと、電解めっき法によって積み増されたCu膜14cとによって、Cu配線14が形成される。
【0017】
特に、幅広の配線形成用溝12bに形成されたリフロー処理によるCu膜14bの膜厚だけでは、目的とする配線の厚さが得られないが、この電解めっき法によって、所望の厚さの幅広の配線(Cu配線14)が得られる。また、幅狭の配線形成用溝12aでは、後の空隙形成工程で、空隙に好適なアスペクト比の配線高さとすることができる。
【0018】
その後、図1−2(c)に示されるように、CMP法によって、フィールド部上に残ったCu膜(図示せず)、所望の配線高さよりも高い位置にある余剰なCu膜14b,14c、バリアメタル膜13および犠牲導体膜12が除去されるように平坦化する。
【0019】
ついで、図1−3(a)に示されるように、基板表面を薬液に晒し、溶解処理によって犠牲導体膜12を除去する。たとえば、犠牲導体膜12としてTiを用い、バリアメタル膜13としてTiNを用い、配線としてCuを用いる場合には、薬液としてフッ酸を含有する水溶液を用いることができる。これによって、Tiからなる犠牲導体膜12のみフッ酸を含有する水溶液に溶解する。その結果、領域R1には、隣接する配線間の距離が所定の間隔の第1の配線が形成され、領域R2には、隣接する配線間の距離が所定の間隔よりも広い、あるいは孤立した第2の配線が形成される。
【0020】
そして、図1−3(b)に示されるように、基板上に絶縁膜15を形成する。このとき、段差被覆性の悪いプラズマCVD法などの成膜法を用いることで、領域R1上の隣接する配線との間の距離が短く、幅の狭いCu配線14間には、絶縁膜15は入り込まず空隙16が形成される。一方、領域R2上の隣接する配線との間の距離が長く、幅の広いCu配線14間には、絶縁膜15が埋め込まれ、空隙が形成されない。以上のようにして、配線が形成される。
【0021】
第1の実施形態では、犠牲導体膜12に配線形成用溝12a,12bを形成し、PVD法で成膜したCu膜14aをリフロー処理で配線形成用溝12a,12bに埋め込んでCu膜14bを形成した後、犠牲導体膜12とCu膜14bとを通電層としてめっき法でCu膜14cを形成した。その後、溶解処理で犠牲導体膜12のみを溶解させて、層間絶縁膜11上に所定の高さのCu配線14を形成し、さらに絶縁膜15を形成した。これによって、リフロー処理のみでは所望の高さの配線高さが得られない場合でも、犠牲導体膜12を通電層として用いためっき法によって、所望の高さとなるようにCu膜14cを積み増しすることができる。具体的には、幅狭のCu配線14が形成される領域R1では、Cu配線14間に空隙16を形成するための好ましいアスペクト比となる配線高さとすることができ、幅広のCu配線14が形成される領域R2では、リフロー処理後に形成されたCu膜14bの所望の膜厚と比較したときの不足分を補完することができる。
【0022】
また、Cu配線14が形成された基板上には、段差被覆性の悪い成膜法で絶縁膜15を形成したので、幅狭のCu配線14が形成される領域R1では、隣接するCu配線14間に絶縁膜15が入り込まない空隙16を形成することができる。この結果、隣接するCu配線14間の線間容量を低減することができる。
【0023】
なお、隣接するCu配線14間に空隙16を形成する場合には、一般的に、層間絶縁膜にダマシン法によってCu配線を埋め込んだ後、Cu配線間の層間絶縁膜をRIE法によって除去していたが、Cl系のガスを用いたRIE処理によってCu配線にダメージが入り、腐食の発生に繋がる。一方、第1の実施形態では、層間絶縁膜ではなく犠牲導体膜12を用い、犠牲導体膜12にリフロー処理およびめっき法でCu配線14を形成した後、薬液を用いて犠牲導体膜12のみを溶解した。これによって、Cu配線14にダメージを与えることなく、隣接するCu配線14間に空隙16を形成することができるという効果を有する。
【0024】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、Cu配線の周囲にはバリアメタル膜を配置していたが、Cuの拡散を防止することができるものであれば、他のものでもよい。第2の実施形態では、Cu配線の周囲に、Cuの拡散を防止する導電性を有さない絶縁性のバリア膜を形成する場合を説明する。
【0025】
図2−1〜図2−3は、第2の実施形態による配線の形成方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。まず、図2−1(a)に示されるように、トランジスタなどの能動素子やキャパシタなどの受動素子が集積形成されたシリコン基板などの図示しない基板上に層間絶縁膜11とバリア膜21を形成し、さらにバリア膜21上に犠牲導体膜12を形成する。バリア膜21は、後の工程で形成されるCuが層間絶縁膜11や基板に拡散するのを防止する機能を有し、たとえば厚さ5nmのSiN膜を用いることができる。
【0026】
また、第1の実施形態と同様に、層間絶縁膜11としてTEOS膜などを用いることができ、犠牲導体膜12としては、後の溶解処理時に、配線層となるCu膜に比して薬液に溶解しやすい導電性材料が用いられる。たとえば、溶解処理時の薬液としてフッ酸を含有する水溶液(希フッ酸)を用いる場合には、フッ酸に溶解性があるTi,Al,V,Co,Zr,Nb,Ta,Hfなどを用いることができる。また、犠牲導体膜12の厚さは、たとえば100nmとすることができる。
【0027】
ついで、リソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて、犠牲導体膜12に配線形成用溝12a,12bを形成する。ここでは、バリア膜21をストッパとしてエッチングを行い、配線形成用溝12a,12bを形成する。
【0028】
また、第1の実施形態と同様に、領域R1は、第1の配線幅を有し、第1のピッチで所定の方向に並行して配列される複数の第1の配線が形成される領域であり、領域R1には、第1の配線の配線形成用溝12aが形成される。また、領域R2は、第1の配線幅よりも広い第2の配線幅を有し、第1のピッチよりも広い第2のピッチで所定の方向に配列される第2の配線が形成される領域であり、領域R2には、第2の配線の配線形成用溝12bが形成される。
【0029】
ついで、図2−1(b)に示されるように、配線形成用溝12a,12bの内面を被覆するように、Cu膜14aをスパッタ法などのPVD法を用いて形成する。Cu膜14aの厚さをたとえば15nmに設定することができる。このときCu膜14aは、犠牲導体膜12上に(1)式を満たすように連続して形成されることが望ましい。
【0030】
ついで、図2−1(c)に示されるように、基板を加熱して犠牲導体膜12上に形成されたCu膜14aをリフローさせ、配線形成用溝12a,12b内にCu膜14bを流動させる。たとえば、基板を400℃に加熱して60秒間保持することでCu膜14aをリフローさせる。このとき、領域R1の配線形成用溝12aの幅に比して、領域R2の配線形成用溝12bの幅の方が広いので、リフロー処理後に配線形成用溝12a,12bの底部に形成されたCu膜14bの高さは、領域R1の方が高くなる。
【0031】
その後、図2−2(a)に示されるように、電解めっき法を用いて、犠牲導体膜12および配線形成用溝12a,12bの底部に埋め込まれたCu膜14bを通電層として、配線形成用溝12a,12b内にさらにCu膜14cを堆積させる。リフロー処理で配線形成用溝12a,12bに埋め込まれたCu膜14bと、電解めっき法によって積み増されたCu膜14cとによって、Cu配線14が形成される。
【0032】
その後、図2−2(b)に示されるように、CMP法によって、フィールド部上に残ったCu膜(図示せず)、所望の配線高さよりも高い位置にある余剰なCu膜14b,14cおよび犠牲導体膜12が除去されるように平坦化する。
【0033】
ついで、図2−2(c)に示されるように、基板表面を薬液に晒し、溶解処理によって犠牲導体膜12を除去する。たとえば、犠牲導体膜12としてTiを用い、配線としてCu配線14を用いる場合には、薬液としてフッ酸を含有する水溶液を用いることができる。これによって、Tiからなる犠牲導体膜12のみフッ酸を含有する水溶液に溶解する。
【0034】
その後、図2−3(a)に示されるように、Cu配線14の側面と上面を被覆するように、段差被覆性のよい熱CVD法やALD(Atomic Layer Deposition)法などの成膜法によってバリア膜22を形成する。バリア膜22として、たとえば厚さ5nmのSiN膜を用いることができる。
【0035】
そして、図2−3(b)に示されるように、基板上に絶縁膜15を形成する。このとき、段差被覆性の悪いプラズマCVD法などの成膜法を用いることで、領域R1上の隣接する配線との間の距離が短く、幅の狭いCu配線14間には、絶縁膜15は入り込まず空隙16が形成される。つまり、バリア膜22で被覆されたCu配線14の上面を結ぶように絶縁膜15が形成される。一方、領域R2上の隣接する配線との間の距離が長く、幅の広いCu配線14間には、絶縁膜15が埋め込まれ、空隙16が形成されない。以上のようにして、配線が形成される。
【0036】
この第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第1の実施形態および第2の実施形態において、段差被覆性のよい成膜法によって絶縁膜15を形成することで、領域R1,R2のいずれについてもCu配線14間が絶縁膜15で埋め込まれて空隙16は形成されないようにしてもよい。また、第1の実施形態および第2の実施形態では、Cu膜14aを全面に形成した後、基板を加熱してCu膜14aが配線形成用溝12a,12b内に流動するようにリフローさせ、配線形成用溝12a,12bに埋め込まれたCu膜14bを形成する場合について示したが、基板を加熱した状態でCuを全面に堆積させつつリフローさせて配線形成用溝12a,12b内に流動させることで、配線形成用溝12a,12b内にCu膜14bを埋め込み形成することもできる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
11…層間絶縁膜、12…犠牲導体膜、12a,12b…配線形成用溝、13…バリアメタル膜、14…Cu配線、14a,14b,14c…Cu膜、15…絶縁膜、16…空隙、21,22…バリア膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁膜上に犠牲導体膜を形成する犠牲導体膜形成工程と、
前記犠牲導体膜に配線形成用溝を形成する配線形成用溝形成工程と、
前記配線形成用溝が形成された前記犠牲導体膜上の全面にCuを堆積し前記配線形成用溝内に流動するようにリフローさせて、前記配線形成用溝内に第1Cu膜を形成する第1Cu膜形成工程と、
前記犠牲導体膜と前記第1Cu膜を通電層としてめっき法によって前記配線形成用溝内の前記第1Cu膜上に第2Cu膜を積み増す第2Cu膜形成工程と、
前記第1および第2Cu膜からなるCu配線をCMP処理して平坦化するCMP処理工程と、
前記CMP処理工程の後に、前記犠牲導体膜を除去する犠牲導体膜除去工程と、
前記犠牲導体膜除去工程の後に、前記Cu配線が形成された前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
を含むことを特徴とする配線の形成方法。
【請求項2】
前記配線形成用溝形成工程では、前記犠牲導体膜に、第1の幅を有する第1Cu配線を形成する第1配線形成用溝と、前記第1の幅よりも広い第2の幅を有する第2Cu配線を形成する第2配線形成用溝と、を形成し、
前記第2Cu膜形成工程では、前記第2配線形成用溝内の前記Cu配線が所定の厚さとなるように、前記第1Cu膜上に前記第2Cu膜を積み増すことを特徴とする請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項3】
前記犠牲導体膜形成工程では、Ti,Al,V,Co,Zr,Nb,TaおよびHfからなる群より選択される少なくとも1つを用いて前記犠牲導体膜を形成し、
前記犠牲導体膜除去工程では、フッ酸を含有する水溶液で前記犠牲導体膜を除去することを特徴とする請求項1または2に記載の配線の形成方法。
【請求項4】
前記第1絶縁膜は、SiN膜であり、
前記犠牲導体膜除去工程の後で前記絶縁膜形成工程の前に、前記Cu配線の側面と上面を被覆するようにSiN膜を形成するSiN膜形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の配線の形成方法。
【請求項5】
前記配線形成用溝形成工程の後で前記第1Cu膜形成工程の前に、前記配線形成用溝の内面を被覆するように、Cuの拡散を防止するバリアメタル膜を形成するバリアメタル膜形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の配線の形成方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【公開番号】特開2012−190993(P2012−190993A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52995(P2011−52995)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】