説明

配線回路基板およびその製造方法

【課題】ベース絶縁層およびカバー絶縁層のみならず、端子部の静電気をも除去することにより、実装される部品の静電気破壊を効果的に防止することができ、しかも、半導電性層の脱離を防止することのできる、配線回路基板を提供すること。
【解決手段】金属支持基板2の上にベース絶縁層3を形成し、ベース絶縁層3の上に導体パターン4を形成し、ベース絶縁層3の上に、導体パターン4を被覆しかつ開口部15が形成されるように、カバー絶縁層4を形成することによって得られる回路付サスペンション基板1において、カバー絶縁層5によって被覆されているベース絶縁層3の上面と導体パターン4の側面および上面と、金属支持基板2に隣接するベース絶縁層3の側面とに、半導電性層13を連続して形成し、かつ、カバー絶縁層5に導電性物質を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板およびその製造方法、詳しくは、電子部品が実装される配線回路基板、および、その配線回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル配線回路基板や回路付サスペンション基板などの配線回路基板では、例えば、ポリイミド樹脂などからなるベース絶縁層の上に、銅箔などからなる導体パターンが形成されており、その導体パターンを被覆するように、ベース絶縁層の上に、ポリイミド樹脂などからなるカバー絶縁層が形成されている。そして、このような配線回路基板は、各種の電気機器や電子機器の分野において、広く用いられている。
【0003】
また、このような配線回路基板に、電子部品を実装する場合には、その実装工程において、静電気により電子部品が破壊されることがある。
そのため、例えば、フレキシブル回路基板において、ベースフィルムあるいはカバーレイフィルムの表面に、蒸着法、スパッタリング法、無電解めっき法などにより金属層を形成して、静電気のアースまたは低減を図ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−153940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配線回路基板には、電子部品を実装するための端子部が、カバー絶縁層を開口して、その開口部から露出する導体パターンの露出部分として、設けられている。
そして、電子部品の実装工程においては、その端子部(つまり、導体パターンの露出部分)にも、若干の静電気が帯電する場合がある。端子部に静電気が帯電すると、やはり、実装される電子部品が静電気によって破壊されるおそれがある。
【0005】
しかるに、特許文献1に記載のフレキシブル回路基板では、金属層が形成されているベースフィルムあるいはカバーレイフィルムの静電気を除去できても、端子部の静電気を除去することはできず、そのため、静電気破壊に対して敏感である電子部品の静電気破壊の防止対策としては、不十分である。
また、特許文献1に記載のフレキシブル回路基板では、金属層がベースフィルムあるいはカバーレイフィルムの表面に形成されているので、その金属層が一部脱離すると、フレキシブル回路基板から異物となって飛散するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、ベース絶縁層およびカバー絶縁層のみならず、端子部の静電気をも除去することにより、実装される部品の静電気破壊を効果的に防止することができ、しかも、半導電性層の脱離を防止することのできる、配線回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の配線回路基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンと、前記導体パターンから露出する前記ベース絶縁層の上に形成され、少なくとも一部が前記金属支持基板および前記導体パターンに接触している半導電性層と、前記導体パターンを被覆するように、前記ベース絶縁層の上に形成されている半導電性層の上に形成されるカバー絶縁層と、前記カバー絶縁層が開口されることにより露出される前記導体パターンからなる端子部とを備え、前記カバー絶縁層および/または前記ベース絶縁層が、導電性物質を含有していることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の配線回路基板では、前記カバー絶縁層および/または前記ベース絶縁層が、前記導電性物質をそれぞれ10-5〜5重量%含有していることが好適である。
また、本発明の配線回路基板では、前記導電性物質が、金属であり、前記カバー絶縁層および/または前記ベース絶縁層が、前記金属をそれぞれ10-5〜0.1重量%含有していることが好適である。
【0009】
また、本発明の配線回路基板の製造方法は、金属支持基板を用意する工程と、前記金属支持基板の上面に、ベース絶縁層をパターンで形成する工程と、前記ベース絶縁層の上面に、導体パターンを形成する工程と、前記導体パターンの上面および側面と、前記導体パターンから露出する前記ベース絶縁層の上面および側面と、前記ベース絶縁層から露出する前記金属支持基板の上面とに、半導電性層を連続して形成する工程と、前記ベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層と前記ベース絶縁層の側面に形成されている半導電性層との連続部分を含んで、前記ベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層の表面に、前記導体パターンを被覆するカバー絶縁層を、前記導体パターンの上面に形成されている前記半導電性層が露出する開口部が形成されるように、形成する工程と、前記連続部分において前記ベース絶縁層の側面に形成されており、前記金属支持基板の上面に接触する前記半導電性層が残存するように、前記開口部から露出する前記半導電性層と、前記ベース絶縁層の上面に形成され、前記カバー絶縁層から露出する前記半導電性層と、前記金属支持基板の上面に形成されている前記半導電性層とを、除去する工程とを備え、前記ベース絶縁層を形成する工程において、導電性物質を含有するベース絶縁層を形成するか、前記カバー絶縁層を形成する工程において、導電性物質を含有するカバー絶縁層を形成するか、または、前記ベース絶縁層を形成する工程において、導電性物質を含有するベース絶縁層を形成し、かつ、前記カバー絶縁層を形成する工程において、導電性物質を含有するカバー絶縁層を形成することを特徴としている。
【0010】
また、本発明の配線回路基板の製造方法は、金属支持基板を用意する工程と、前記金属支持基板の上面に、ベース絶縁層をパターンで形成する工程と、前記ベース絶縁層の上面に、導体パターンを形成する工程と、前記導体パターンの上面および側面と、前記導体パターンから露出する前記ベース絶縁層の上面および側面と、前記ベース絶縁層から露出する前記金属支持基板の上面とに、半導電性層を連続して形成する工程と、前記半導電性層の表面に金属薄膜を形成する工程と、前記金属薄膜の上面に、前記導体パターンを被覆するカバー絶縁層を、前記導体パターンの上に形成されている前記金属薄膜が露出する開口部が形成されるように、形成する工程と、前記金属薄膜を形成する金属を、前記カバー絶縁層に分散させる工程と、前記ベース絶縁層の側面に形成されており、前記金属支持基板の上面に接触する前記半導電性層が残存するように、前記開口部から露出する前記金属薄膜および前記半導電性層と、前記ベース絶縁層の上面に形成され、前記カバー絶縁層から露出する前記金属薄膜および前記半導電性層と、前記金属支持基板の上面に形成されている前記金属薄膜および前記半導電性層とを、除去する工程とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の配線回路基板によれば、金属支持基板、ベース絶縁層、カバー絶縁層および端子部が、静電気により帯電しても、その静電気を半導電性層によって除去することができる。そのため、実装される電子部品の静電気破壊を効果的に防止することができる。
とりわけ、カバー絶縁層および/またはベース絶縁層は導電性物質を含有しているので、カバー絶縁層および/またはベース絶縁層に帯電する静電気を、確実に除去することができる。
【0012】
しかも、ベース絶縁層の上に形成されている半導電性層が、カバー絶縁層によって被覆されているので、半導電性層の脱離を防止することができる。そのため、脱離した半導電性層が異物となって飛散することを防止することができる。
また、本発明の配線回路基板の製造方法によれば、上記した配線回路基板を、簡易かつ効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の配線回路基板の一実施形態である回路付サスペンション基板を示す概略平面図、図2は、図1に示す回路付サスペンション基板の長手方向に沿う部分断面図である。
図1において、この回路付サスペンション基板1Aは、ハードディスクドライブに搭載され、磁気ヘッドを実装して、その磁気ヘッドを、磁気ディスクとの間で相対的に走行させるときの空気流に抗して、磁気ディスクとの間に微小間隔を保持しながら支持する金属支持基板2に、磁気ヘッドとリード・ライト基板とを接続するための導体パターン4が一体的に形成されている。
【0014】
なお、図1では、金属支持基板2に対する導体パターン4の相対配置を明確に示すために、後述するベース絶縁層3、カバー絶縁層5および半導電性層13を省略して示している。
導体パターン4は、磁気ヘッド側接続端子部6Aと、外部側接続端子部6Bと、これら磁気ヘッド側接続端子部6Aおよび外部側接続端子部6Bを接続するための配線7とを、一体的に連続して備えている。
【0015】
配線7は、金属支持基板2の長手方向に沿って複数設けられ、幅方向(長手方向に直交する方向)において互いに間隔を隔てて並列配置されている。
磁気ヘッド側接続端子部6Aは、金属支持基板2の先端部に配置され、各配線7の先端部がそれぞれ接続されるように、複数設けられている。この磁気ヘッド側接続端子部6Aには、磁気ヘッドの端子部(図示せず)が接続される。
【0016】
外部側接続端子部6Bは、金属支持基板2の後端部に配置され、各配線7の後端部がそれぞれ接続されるように、複数設けられている。この外部側接続端子部6Bには、リード・ライト基板の端子部(図示せず)が接続される。
また、金属支持基板2の先端部には、磁気ヘッドを実装するためのジンバル8が設けられている。ジンバル8は、磁気ヘッド側接続端子部6Aを長手方向において挟むように、金属支持基板2を切り抜くことによって形成されている。
【0017】
この回路付サスペンション基板1Aは、図2に示すように、金属支持基板2と、金属支持基板2の上面にパターンとして形成されたベース絶縁層3と、ベース絶縁層3の上面に形成された導体パターン4と、導体パターン4の上面および側面を被覆するように、ベース絶縁層3の上面にパターンとして形成されたカバー絶縁層5とを備えている。
また、カバー絶縁層5には、磁気ヘッド側接続端子部6Aまたは外部側接続端子部6Bが配置される部分に対応して、厚さ方向を貫通する開口部15が形成されており、この開口部15から露出する導体パターン4の露出部分が、磁気ヘッド側接続端子部6Aまたは外部側接続端子部6B(以下、総称して端子部6とする。)として設けられている。なお、図2では、磁気ヘッド側接続端子部6Aおよび外部側接続端子部6Bのいずれか一方のみが示されている。
【0018】
そして、この回路付サスペンション基板1Aでは、カバー絶縁層5によって被覆されているベース絶縁層3の上面と導体パターン4の側面および上面とには、カバー絶縁層5と、ベース絶縁層3または導体パターン4との間に挟まれるように、半導電性層13が連続して形成されている。
また、この半導電性層13は、ベース絶縁層3の側面にも連続して形成されており、より具体的には、ベース絶縁層3の側面を被覆するように、ベース絶縁層3の上面から、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面に向かって連続して延び、その金属支持基板2の上面に接触している。
【0019】
ベース絶縁層3の側面に形成される半導電性層13は、その表面(ベース絶縁層3に接触している内側面と反対側の外側面)が露出されるとともに、その上端面にはカバー絶縁層5が積層されており、その下端面が金属支持基板2の上面に接触している。
また、端子部6の表面には、必要に応じて、金属めっき層11が形成されている。
次に、この回路付サスペンション基板1Aの製造方法について、図3を参照して説明する。
【0020】
この方法では、図3(a)に示すように、まず、金属支持基板2を用意する。金属支持基板2としては、例えば、ステンレス箔、42アロイ箔、アルミニウム箔、銅−ベリリウム箔、りん青銅箔などの金属箔が用いられる。好ましくは、ステンレス箔が用いられる。また、その厚みは、例えば、5〜100μmである。
次に、この方法では、図3(b)に示すように、金属支持基板2の上面に、ベース絶縁層3を、例えば、金属支持基板2の上面の外周縁部が一部露出するようなパターンとして形成する。
【0021】
ベース絶縁層3は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの樹脂からなる。耐熱性の観点からは、好ましくは、ポリイミド樹脂からなる。ベース絶縁層3の厚みは、例えば、5〜50μm、好ましくは、10〜30μmである。
【0022】
ベース絶縁層3をパターンとして形成するには、特に制限されず、公知の方法が用いられる。例えば、感光性樹脂(感光性ポリアミック酸樹脂)のワニスを、金属支持基板2の表面に塗布し、塗布されたワニスを乾燥して、ベース皮膜を形成する。次いで、ベース皮膜を、フォトマスクを介して露光した後、必要により加熱後、現像によりパターンを形成させ、その後、例えば、減圧下、250℃以上で加熱することにより、硬化(イミド化)させる。
【0023】
次いで、この方法では、図3(c)に示すように、ベース絶縁層3の上面に、導体パターン4を形成する。導体パターン4は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはこれらの合金などの導体からなり、好ましくは、銅からなる。また、導体パターン4を形成するには、ベース絶縁層3の上面に、例えば、サブトラクティブ法、アディティブ法などの公知のパターンニング法、好ましくは、アディティブ法によって、導体パターン4を、上記した端子部6および配線7が一体的に形成される配線回路パターンとして形成する。
【0024】
サブトラクティブ法では、まず、ベース絶縁層3の上面に、必要により接着剤層を介して導体層を積層し、次いで、この導体層の上に、配線回路パターンと同一パターンのエッチングレジストを形成し、このエッチングレジストをレジストとして、導体層をエッチングして、その後に、エッチングレジストを除去する。
また、アディティブ法では、まず、ベース絶縁層3の全面(上面および側面)に、導体薄膜12を形成する。導体薄膜12は、スパッタリング、好ましくは、クロムスパッタリングおよび銅スパッタリングにより、クロム薄膜と銅薄膜とを積層する。
【0025】
次いで、この導体薄膜12の上面に、配線回路パターンと逆パターンでめっきレジストを形成した後、めっきレジストから露出する導体薄膜12の上面に、電解めっきにより、配線回路パターンとして導体パターン4を形成し、その後に、めっきレジストおよびそのめっきレジストが積層されていた部分の導体薄膜12を除去する。
このようにして形成される導体パターン4では、その厚みが、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜20μmであり、各配線7の幅は、例えば、10〜200μm、各配線7間の間隔は、例えば、10〜200μmである。
【0026】
次いで、この方法では、図3(d)に示すように、導体パターン4の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面および側面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面とに、半導電性層13を、これら各面にわたって連続して形成する。
半導電性層13は、特に制限されないが、好ましくは、105〜1011Ω/□の表面抵抗値を有する樹脂層または金属層からなり、例えば、カーボン粒子、金属粒子、酸化金属粒子などの導電性粒子が分散されている樹脂層や、酸化金属層などからなる。好ましくは、酸化金属層からなる。
【0027】
酸化金属層は、例えば、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの金属酸化物からなる。好ましくは、酸化クロムからなる。酸化クロムは、高温高湿下においても変化の少ない、安定した表面抵抗値を有する酸化金属層を形成することができる。
なお、酸化金属層における金属の酸化度合いは、次に述べる酸化金属層の形成方法によっても異なるが、厚み方向において均一に酸化されていてもよく、また、最表面の酸化度合いが最も高く、その最表面から厚み方向内方へいくに従って、酸化度合いが低下していてもよい。
【0028】
酸化金属層の形成は、特に制限されないが、例えば、金属をターゲットとしてスパッタリングした後、必要に応じて、加熱により酸化する方法、反応性スパッタリングする方法、酸化金属をターゲットとしてスパッタリングする方法などが用いられる。
金属をターゲットとしてスパッタリングした後、必要に応じて、加熱により酸化する方法では、まず、導体パターン4の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面および側面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面とに、金属をターゲットとしてスパッタリングする。
【0029】
スパッタリングは、例えば、図6に示すスパッタリング装置が用いられる。すなわち、図6において、このスパッタリング装置では、真空チャンバー21内に、ターゲット22およびアース電極23が互いに間隔を隔てて対向配置されている。ターゲット22には、電源24が接続されるとともに、プラズマエミッションモニター25が、ターゲット22に対してプラズマ発光可能に配置されている。なお、電源24には、特に制限されず、パルス電源、直流電源(DC)、交流電源(RF)などが用いられる。
【0030】
また、アース電極23は、接地されるとともに、その表面に基板26が設置されている。(ここで、基板26は、図3(c)に示す製造途中の回路付サスペンション基板1Aであって、導体パターン4側が、ターゲット22と対向する状態で設置されている。)
ターゲット22には、例えば、クロム、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、タンタル、鉛、亜鉛、ジルコニウム、ガリウム、インジウムおよびこれらの合金などが用いられる。好ましくは、クロムが用いられる。
【0031】
そして、真空チャンバー21内に、アルゴンなどの不活性ガスを導入ガスとして導入し、電源24から電力を印加して、プラズマエミッションモニター25にて、プラズマの発光強度を一定に保持しながら、ターゲット22を所定時間スパッタリングする。これによって、導体パターン4の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面および側面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面とに、スパッタリング皮膜が形成される。
【0032】
なお、このような金属をターゲットとするスパッタリングのスパッタリング条件の一例を下記に示す。
到達真空度:1.33×10-5〜1.33×10-2Pa
導入ガス流量(アルゴン):1.2×10-3〜4×10-33/h
動作圧(導入ガス導入後の真空度):1.33×10-2〜1.33Pa
アース電極温度:10〜100℃
電力:100〜2000W
スパッタリング時間:1秒〜15分
なお、このようなスパッタリングは、より具体的には、直流スパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法あるいはこれらの複合化法などの公知のスパッタリング法が適宜選択される。
【0033】
次いで、スパッタリング皮膜を、必要に応じて、加熱により酸化するには、特に制限されず、例えば、加熱炉などを用いて、大気中で加熱する。加熱温度は、例えば、50〜400℃、好ましくは、100〜250℃であり、加熱時間は、例えば、1分〜12時間である。これによって、図3(d)に示すように、導体パターン4の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面および側面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面とに、酸化金属層からなる半導電性層13が形成される。
【0034】
また、スパッタリング皮膜が、大気暴露下で自然酸化する場合には、特に加熱しなくてもよく、また、そのような場合でも、安定な酸化金属層を形成するために、加熱してもよい。
なお、この酸化金属層は、最表面の酸化度合いが最も高く、その最表面から厚み方向内方へいくに従って、酸化度合いが低下するように酸化されている。
【0035】
反応性スパッタリングする方法では、上記した図6に示すスパッタリング装置において、真空チャンバー21内に酸素を含む導入ガスを導入する以外は、上記のスパッタリング法と同様の方法が用いられる。
より具体的には、ターゲット22として、上記したスパッタリング皮膜を形成するための金属と同様の金属を用いて、基板26として、導体パターン4側がターゲット22と対向するように、図3(c)に示す製造途中の回路付サスペンション基板1Aを配置する。
【0036】
そして、真空チャンバー21内に、酸素を必須としてアルゴンや窒素が任意の割合で混合された反応性ガス(例えば、Ar/O2混合ガス、N2/O2混合ガス)を導入ガスとして導入し、電源24から電力を印加して、プラズマエミッションモニター25にて、プラズマの発光強度を一定に保持しながら、ターゲット22を所定時間スパッタリングする。
これによって、図3(d)に示すように、導体パターン4の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面および側面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面とに、酸化金属層からなる半導電性層13が形成される。なお、この酸化金属層は、厚み方向において均一に酸化されている。
【0037】
なお、このような反応性スパッタリングのスパッタリング条件の一例を下記に示す。
到達真空度:1.33×10-5〜1.33×10-2Pa
導入ガス流量:Ar/O2混合ガスの場合
Ar:1.2×10-3〜2.4×10-33/h
2 :6×10-5〜30×10-53/h
2 /O2混合ガスの場合
2 :1.2×10-3〜2.4×10-33/h
2 :6×10-5〜30×10-53/h
動作圧(導入ガス導入後の真空度):1.33×10-2〜1.33Pa
アース電極温度:10〜100℃
電力:100〜2000W
スパッタリング時間:3秒〜15分
酸化金属をターゲットとしてスパッタリングする方法では、上記した図6に示すスパッタリング装置において、酸化金属をターゲット22とし、かつ、電源24として交流電源が用いられる以外は、上記のスパッタリング法と同様の方法を用いることができる。ターゲット22となる酸化金属としては、例えば、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物が用いられる。好ましくは、酸化クロムが用いられる。
【0038】
より具体的には、ターゲット22として、上記した酸化金属を用いて、基板26として、導体パターン4側がターゲット22と対向するように、図3(c)に示す製造途中の回路付サスペンション基板1Aを配置する。
そして、真空チャンバー21内に、アルゴンなどの不活性ガスを導入ガスとして導入し、電源24から電力を印加して、プラズマエミッションモニター25にて、プラズマの発光強度を一定に保持しながら、ターゲット22を所定時間スパッタリングする。これによって、図3(d)に示すように、導体パターン4の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面および側面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面とに、酸化金属層からなる半導電性層13が形成される。なお、この酸化金属層は、厚み方向において均一に酸化されている。
【0039】
なお、このような酸化金属をターゲットとするスパッタリングのスパッタリング条件の一例を下記に示す。
到達真空度:1.33×10-5〜1.33×10-2Pa
導入ガス流量(アルゴン):1.2×10-3〜4×10-33/h
動作圧(導入ガス導入後の真空度):1.33×10-2〜1.33Pa
アース電極温度:10〜100℃
電力:RF100〜2000W
スパッタリング時間:1秒〜15分
このようにして形成された半導電性層13は、その厚みが、例えば、0.005〜0.05μm、好ましくは、0.01〜0.02μmの範囲に設定される。半導電性層13の厚みがこの範囲にあると、有効な表面抵抗値を得ることができる。
【0040】
また、半導電性層13の表面抵抗値は、好ましくは、105〜1011Ω/□の範囲に設定される。半導電性層13の表面抵抗値が105未満であると、実装される電子部品の誤作動を生じる場合がある。また、半導電性層13の表面抵抗値が1011を超えると、静電気破壊を防止することができない場合がある。
次いで、この方法では、図3(e)に示すように、ベース絶縁層3の上面に形成されている半導電性層13の表面に、導体パターン4の上面および側面に形成されている半導電性層13を被覆するカバー絶縁層5を、次のようなパターンとして形成する。
【0041】
すなわち、このカバー絶縁層5は、導体パターン4の上面に形成されている半導電性層13の表面においては、端子部6に対応して、半導電性層13が露出する開口部15が形成されるように形成する。
また、カバー絶縁層5は、ベース絶縁層3の上面に形成されている半導電性層13の表面においては、ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13との連続部分9(すなわち、ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13の上端面)にも積層されるように形成する。なお、カバー絶縁層5は、ベース絶縁層3の上面に形成されている半導電性層13の表面において、ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13と連続しない部分10では、ベース絶縁層3の上面の端縁まで形成する必要はなく、導体パターン4の側面を被覆できるように形成すればよい。
【0042】
このようなカバー絶縁層5は、例えば、導電性物質を含有する樹脂からなる。
導電性物質を含有する樹脂は、導電性物質、樹脂、感光剤および溶媒を含有するワニス(導電性物質を含有する樹脂のワニス)を用いることにより、形成することができる。
導電性物質としては、例えば、カーボン(例えば、カーボンブラックなど)、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子、例えば、銅、金、銀、ニッケル、ジルコニウム、チタンなどの金属、例えば、上記した半導電性層13を形成する酸化金属(例えば、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛など)の他、酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物(ITO)、酸化スズと酸化リンとの複合酸化物(PTO)などの金属酸化物が挙げられる。好ましくは、カーボン、金属が挙げられる。
【0043】
樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などのイミド樹脂、例えば、ポリアミック酸樹脂などのイミド樹脂前駆体などが挙げられる。
感光剤としては、例えば、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン(ニフェジピン)、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジン(N−メチル体)、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン(アセチル体)などのジヒドロピリジン誘導体が挙げられる。
【0044】
溶媒としては、樹脂を溶解でき、導電性物質を分散できれば、特に制限されないが、例えば、N−メチル−2ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
そして、このようなワニスは、導電性物質、樹脂、感光剤および溶媒を配合することによって、調製することができる。
【0045】
導電性物質の配合割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、10-6〜1重量部、好ましくは、10-4〜10-2重量部である。
上記した配合割合により導電性物質を含有するカバー絶縁層5を形成すれば、カバー絶縁層5における導電性物質の含有率が、例えば、10-5〜5重量%、好ましくは、10-3〜10-2重量%となる。
【0046】
とりわけ、導電性物質が、上記した金属である場合には、好ましくは、10-5〜0.1重量%、さらに好ましくは、10-3〜10-2重量%となる。
含有率が上記した範囲より小さい場合には、十分な静電気の除去効果が得られない場合がある。含有率が、上記した範囲より大きい場合には、カバー絶縁層5の誘電率が高くなり信号の伝播速度が低下したり、導電性物質が脱落して配線7間の短絡を生じる場合がある。
【0047】
なお、導電性物質の含有率は、後述する実施例で説明するが、TOF−SIMSにより、測定することができる。
感光剤の配合割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは、0.5〜75重量部である。
溶媒は、これら導電性粒子、樹脂および感光剤が、ワニスに対して、5〜40重量%(固形分濃度)、好ましくは、10〜30重量%(固形分濃度)となるように、配合する。固形分濃度がこれより小さいと、上記ワニスの均一な塗布が困難となる場合がある。また、固形分濃度がこれより大きいと、溶媒に対する導電性物質の分散性が不良となる場合がある。
【0048】
また、上記した導電性物質は、通常、粒子状に形成されており、その平均粒子径が、例えば、10nm〜1μm、好ましくは、10nm〜400nm、さらに好ましくは、10nm〜100nmである。平均粒子径がこれより小さいと、平均粒子径の調整が困難となる場合があり、また、これより大きいと、上記ワニスの塗布に不向きとなる場合がある。
そして、カバー絶縁層5をパターンとして形成するには、例えば、上記導電性物質を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニス(導電性物質、ポリアミック酸樹脂、感光剤および溶媒を含有するワニス)を、半導電性層13の全面に塗布し、塗布されたワニスを乾燥して、カバー皮膜を形成する。次いで、カバー皮膜を、フォトマスクを介して露光した後、必要により加熱後、現像によりパターンを形成させ、その後、例えば、減圧下、250℃以上で加熱することにより、硬化(イミド化)させる。
【0049】
また、導電性物質を含有する樹脂が、感光剤を含有しない場合には、図示しないが、例えば、まず、導電性物質を含有するポリイミド樹脂のワニス(導電性物質、ポリイミド樹脂および溶媒を含有するワニス)を、半導電性層13の全面に塗布し、塗布されたワニスを乾燥して、カバー皮膜を形成する。次いで、カバー絶縁層5を形成する部分のカバー皮膜をエッチングレジストで被覆した後、エッチングレジストから露出する部分のカバー皮膜をエッチングにより除去する。その後、そのエッチングレジストを剥離により除去する。
【0050】
これにより、カバー絶縁層5をパターンとして形成することができる。
次いで、この方法では、図3(f)に示すように、カバー絶縁層5の開口部15から露出する半導電性層13と、カバー絶縁層5から露出するベース絶縁層3の上面に形成されている半導電性層13と、金属支持基板2の上面に形成されている半導電性層13とを、エッチングにより除去する。
【0051】
このエッチングでは、エッチングすべき半導電性層13が露出し、それ以外の部分が被覆されるように、エッチングレジストを設けて、エッチングすべき半導電性層13を、エッチング液を用いて除去した後、そのエッチングレジストを剥離により除去する。
エッチング液は、半導電性層13によって適宜選択されるが、例えば、酸化クロム層からなる場合には、フェリシアン化カリウム系、過マンガン酸カリウム系、メタケイ酸ナトリウム系、硝酸第二セリウムアンモン系、塩酸系、硫酸系、硝酸系などのエッチング液が用いられる。
【0052】
また、このエッチングでは、ベース絶縁層3の側面に形成される半導電性層13が残存するようにエッチングする。ベース絶縁層3の側面に形成される半導電性層13は、その上端が連続部分9を介して、ベース絶縁層3の上面に形成されている半導電性層13に連続し、その下端が、金属支持基板2の上面におけるベース絶縁層3の周縁部と接触している。
【0053】
そして、このエッチングによって、開口部15から露出する半導電性層13が除去されることにより、開口部15から導体パターン4が露出し、その導体パターン4の露出部分が、端子部6として形成される。
その後、この方法では、図3(g)に示すように、端子部6の表面に、必要に応じて、金属めっき層11を形成した後、金属支持基板2を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバル8を形成するとともに、外形加工することにより、回路付サスペンション基板1Aを得る。
【0054】
金属めっき層11は、金やニッケルなどの金属からなり、電解めっきや無電解めっきなどのめっきにより形成する。好ましくは、ニッケルおよび金を順次めっきして、ニッケル/金の多層めっき層として形成する。金属めっき層11の厚みは、例えば、0.5〜2μmである。
そして、このようにして得られる回路付サスペンション基板1Aでは、導体パターン4の側面および上面と、ベース絶縁層3の上面および側面とには、半導電性層13が連続して形成されており、また、ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13の下端面が、金属支持基板2の上面に接触している。
【0055】
そのため、金属支持基板2、ベース絶縁層3、カバー絶縁層5および端子部6が、静電気により帯電しても、その静電気を半導電性層13によって除去することができ、実装される電子部品の静電気破壊を効果的に防止することができる。
とりわけ、カバー絶縁層5は導電性物質を含有しているので、カバー絶縁層5に帯電する静電気を、確実に除去することができる。
【0056】
また、導体パターン4の側面および上面とベース絶縁層3の上面(連続部分9を含む)とに形成されている半導電性層13が、カバー絶縁層5によって被覆されているので、半導電性層13の脱離を防止することができる。そのため、脱離した半導電性層13が異物となって飛散することを防止することができる。
また、図3に示す回路付サスペンション基板1Aの製造方法によれば、上記した回路付サスペンション基板1Aを、簡易かつ効率的に製造することができる。
【0057】
また、上記の説明では、カバー絶縁層5のみが導電性物質を含有している回路付サスペンション基板1Aを例示して説明したが、例えば、図示しないが、回路付サスペンション基板1Aは、ベース絶縁層3のみが導電性物質を含有してもよい。この場合に、ベース絶縁層3における導電性物質としては、上記と同様であり、ベース絶縁層3は、上記と同様の導電性物質を含有する樹脂のワニスから、上記と同様の方法によって形成することができる。なお、導電性物質の含有率は、例えば、10-5〜5重量%、好ましくは、10-3〜10-2重量%である。とりわけ、導電性物質が、金属である場合には、例えば、10-5〜5重量%、好ましくは、10-5〜0.1重量%、さらに好ましくは、10-3〜10-2重量%である。
【0058】
さらに、例えば、図示しないが、回路付サスペンション基板1Aは、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5の両方が、導電性物質を含有してもよい。この場合に、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5における導電性物質としては、上記と同様であり、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5は、上記と同様の導電性物質を含有する樹脂のワニスから、上記と同様の方法によって形成することができる。なお、導電性物質の含有率は、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5のそれぞれに対して、例えば、10-5〜5重量%、好ましくは、10-3〜10-2重量%である。とりわけ、導電性物質が、金属である場合には、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層5のそれぞれに対して、例えば、10-5〜5重量%、好ましくは、10-5〜0.1重量%、さらに好ましくは、10-3〜10-2重量%である。
【0059】
次に、カバー絶縁層5のみが導電性物質としての金属を含有している回路付サスペンション基板1Bの他の製造方法について、図4および図5を参照して説明する。
この方法では、図4(a)に示すように、まず、金属支持基板2を用意する。金属支持基板2としては、上記と同様のものが用いられ、その厚みは、上記と同様である。
次に、この方法では、図4(b)に示すように、金属支持基板2の上面に、ベース絶縁層3を、例えば、金属支持基板2の上面の外周縁部が一部露出するようなパターンとして形成する。
【0060】
ベース絶縁層3は、上記と同様の樹脂からなり、その厚みは、上記と同様である。
ベース絶縁層3をパターンとして形成するには、上記と同様の方法により、ベース皮膜を形成し、露光した後、現像することにより、硬化(イミド化)させる。
次いで、この方法では、図4(c)に示すように、ベース絶縁層3の上面に、導体パターン4を形成する。導体パターン4は、上記と同様の導体からなり、導体パターン4を形成するには、上記と同様の方法により、端子部6および配線7が一体的に形成される配線回路パターンとして形成する。導体パターン4の厚みは、上記と同様であり、各配線7の幅および間隔は、上記と同様である。
【0061】
次いで、この方法では、図4(d)に示すように、導体パターン4の上面および側面と、導体パターン4から露出するベース絶縁層3の上面および側面と、ベース絶縁層3から露出する金属支持基板2の上面とに、半導電性層13を、これら各面にわたって連続して形成する。
半導電性層13は、上記と同様であり、上記と同様の方法により形成する。半導電性層13の厚みは、上記と同様である。また、半導電性層13の表面抵抗値は、上記と同様の範囲に設定される。
【0062】
次いで、この方法では、図4(e)に示すように、半導電性層13の表面に金属薄膜14を形成する。
金属薄膜14を形成する金属は、特に制限されないが、例えば、銅、金、銀、ニッケル、ジルコニウム、チタンなどが挙げられる。これら金属は、単独または併用して用いられる。
【0063】
金属薄膜14の厚みは、例えば、2〜100nm、好ましくは、4〜12nm、さらに好ましくは、5〜10nmである。
金属薄膜14を半導電性層13の表面に形成するには、特に制限されないが、例えば、上記した金属をターゲットとしてスパッタリングする。
金属をターゲットとしてスパッタリングするには、上記した図6に示すスパッタリング装置を用いて、半導電性層13の表面に、上記した金属をスパッタリングする。
【0064】
なお、金属薄膜14を半導電性層13の表面に形成するための、金属をターゲットとするスパッタリングのスパッタリング条件は、上記酸化金属層からなる半導電性層13の形成における、金属をターゲットとしてスパッタリングした後、必要に応じて、加熱により酸化する方法の、金属をターゲットとするスパッタリングのスパッタリング条件と同様である。
【0065】
次いで、この方法では、図5(f)および(g)に示すように、金属薄膜14の上面に、導体パターン4を被覆するカバー絶縁層5を、パターンとして形成するとともに、金属薄膜14を形成する金属を、カバー絶縁層5に分散させる。
まず、図5(f)に示すように、パターンとしてカバー皮膜17を、導体パターン4を被覆するように、形成する。
【0066】
カバー皮膜17は、例えば、上記した樹脂のワニス(但し、導電性物質を含有していない。)をパターンで形成したものであって、カバー絶縁層5を加熱硬化して形成する前のものである。
カバー皮膜17は、導体パターン4の上面に形成されている金属薄膜14の表面においては、端子部6に対応して、金属薄膜14が露出する開口部15が形成されるように形成する。
【0067】
また、カバー皮膜17は、ベース絶縁層3の上面に形成されている半導電性層13の上においては、金属薄膜14を介在して、ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13との連続部分9にも積層されるように形成する。また、カバー皮膜17は、ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13の側面に形成されている金属薄膜14の上端面が露出するように、形成する。なお、カバー皮膜17は、ベース絶縁層3の上面に形成されている半導電性層13の上において、ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13と連続しない部分10では、ベース絶縁層3の上の端縁まで形成する必要はなく、導体パターン4の側面を被覆できるように形成すればよい。
【0068】
このようなカバー皮膜17は、上記したベース絶縁層3の形成と同様に、樹脂が感光剤を含有する場合には、例えば、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを用いることにより、金属薄膜14の全面にこれを塗布して乾燥し、次いで、上記と同様に現像することにより、パターンとして形成する。
次いで、図5(g)に示すように、カバー皮膜17を、加熱することにより、カバー皮膜17を硬化(イミド化)させる。
【0069】
加熱は、例えば、減圧下、350〜450℃、好ましくは、370〜400℃、例えば、0.5〜2時間、好ましくは、1〜2時間処理する。
この加熱により、カバー皮膜17が硬化(イミド化)されて、カバー絶縁層5が形成されるとともに、金属薄膜14を形成する金属が、そのカバー絶縁層5中に分散される。
また、樹脂が、感光剤を含有しない場合には、例えば、ポリイミド樹脂のワニスを、金属薄膜14の全面に塗布して乾燥して、次いで、加熱により金属薄膜14を形成する金属を分散させた後、上記と同様にエッチングすることにより、カバー皮膜17をパターンとして形成する。
【0070】
なお、その上面にカバー絶縁層5が積層されている金属薄膜14は、その全ての金属が、カバー絶縁層5に、拡散するように分散する。一方、その上面にカバー絶縁層5が積層されず、カバー絶縁層5から露出する金属薄膜14は、その金属が、カバー絶縁層5に分散することなく、そのまま残存して、金属薄膜14を形成している。
このようにして金属薄膜14を形成する金属が、カバー絶縁層5に分散されることにより、カバー絶縁層5が金属を含有する。
【0071】
カバー絶縁層5における金属の含有率は、上記した金属薄膜14の厚みによるが、例えば、10-5〜5重量%、好ましくは、10-5〜0.1重量%、さらに好ましくは、10-3〜10-2重量%となる。
金属の含有率が上記した範囲より小さい場合には、金属薄膜14の厚みが上記した範囲より薄い場合であって、十分な静電気の除去効果が得られない場合がある。金属の含有率が、上記した範囲より大きい場合には、金属薄膜14の厚みが上記した範囲より厚い場合であって、カバー絶縁層5の誘電率が高くなり信号の伝播速度が低下したり、金属が脱落して配線7間の短絡を生じる場合がある。
【0072】
次いで、この方法では、図5(h)に示すように、カバー絶縁層5の開口部15から露出する金属薄膜14および半導電性層13と、カバー絶縁層5から露出するベース絶縁層3の上面に形成されている金属薄膜14および半導電性層13と、金属支持基板2の上面に形成されている金属薄膜14(ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13の側面に形成されている金属薄膜14を含む)および半導電性層13とを、エッチングにより除去する。
【0073】
このエッチングでは、エッチングすべき金属薄膜14および半導電性層13が露出し、それ以外の部分が被覆されるように、エッチングレジストを設けて、エッチングすべき金属薄膜14および半導電性層13を、エッチング液を用いて順次除去した後、そのエッチングレジストを剥離により除去する。
エッチング液は、上記と同様のものが用いられる。
【0074】
また、このエッチングでは、ベース絶縁層3の側面に形成される半導電性層13が残存するようにエッチングする。すなわち、ベース絶縁層3の側面に形成される半導電性層13が残存し、その側面に形成されている金属薄膜14のみがエッチングされるように、段階的にエッチングする。ベース絶縁層3の側面に形成される半導電性層13は、その上端が連続部分9を介して、ベース絶縁層3の上面に形成されている半導電性層13に連続し、その下端が、金属支持基板2の上面におけるベース絶縁層3の周縁部と接触している。
【0075】
そして、このエッチングによって、開口部15から露出する金属薄膜14および半導電性層13が除去されることにより、開口部15から導体パターン4が露出し、その導体パターン4の露出部分が、端子部6として形成される。
その後、この方法では、図5(i)に示すように、端子部6の表面に、必要に応じて、金属めっき層11を形成した後、金属支持基板2を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバル8を形成するとともに、外形加工することにより、回路付サスペンション基板1Bを得る。
【0076】
金属めっき層11は、上記と同様の金属からなり、上記と同様の方法により形成する。金属めっき層11の厚みは、上記と同様である。
そして、このようにして得られる回路付サスペンション基板1Bでは、導体パターン4の側面および上面と、ベース絶縁層3の上面および側面とには、半導電性層13が連続して形成されており、また、ベース絶縁層3の側面に形成されている半導電性層13の下端面が、金属支持基板2の上面に接触している。
【0077】
そのため、金属支持基板2、ベース絶縁層3、カバー絶縁層5および端子部6が、静電気により帯電しても、その静電気を半導電性層13によって除去することができ、実装される電子部品の静電気破壊を効果的に防止することができる。
また、カバー絶縁層5が金属を含有しているので、カバー絶縁層5が、静電気により帯電しても、より確実にその静電気を除去することができ、実装される電子部品の静電気破壊を、より一層効果的に防止することができる。
【0078】
また、導体パターン4の側面および上面とベース絶縁層3の上面(連続部分9を含む)とに形成されている半導電性層13が、カバー絶縁層5によって被覆されているので、半導電性層13の脱離を防止することができる。そのため、脱離した半導電性層13が異物となって飛散することを防止することができる。
さらに、この回路付サスペンション基板1Bの製造方法によれば、カバー絶縁層5の形成と、金属のカバー絶縁層5への分散とを同時にすることができ、上記した回路付サスペンション基板1Bを、簡易かつ効率的に製造することができる。
【0079】
さらにまた、この回路付サスペンション基板1Bの製造方法によれば、金属を含有する樹脂のワニスを用いずに、カバー絶縁層5の形成と同時に、カバー絶縁層5に金属を含有させることができる。そのため、カバー絶縁層5を簡単に形成しながら、確実にカバー絶縁層5に金属を含有させることができる。その結果、上記した回路付サスペンション基板1Bを、簡易かつ効率的に製造することができる。
【0080】
なお、以上の説明では、本発明の配線回路基板を、回路付サスペンション基板1を例示して説明したが、本発明の配線回路基板には、金属支持基板が補強層として設けられている、片面フレキシブル配線回路基板、両面フレキシブル配線回路基板、さらには、多層フレキシブル配線回路基板などが含まれる。
【実施例】
【0081】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。
実施例1
厚み25μmのステンレス箔からなる金属支持基板を用意して(図3(a)参照)、金属支持基板の上面に、別途調製した感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを塗布し、乾燥後、フォトマスクを介して露光した後、加熱し、その後、現像することにより、金属支持基板の上面の外周縁部が一部露出するようなパターンを形成した後、これを加熱硬化させて、厚み10μmのポリイミド樹脂からなるベース絶縁層を形成した(図3(b)参照)。
【0082】
次いで、このベース絶縁層の上面に、セミアディティブ法によって、厚み10μmの銅からなる導体パターンを、端子部および配線が一体的に形成される配線回路パターンとして形成した(図3(c)参照)。
その後、導体パターンの上面および側面と、導体パターンから露出するベース絶縁層の上面および側面と、ベース絶縁層から露出する金属支持基板の上面とに連続して、クロムをターゲットとするスパッタリングによって、クロム薄膜からなるスパッタリング皮膜を形成した。
【0083】
なお、スパッタリングは、上記と同様の方法において、下記の条件で実施した。
ターゲット:Cr
到達真空度:1.33×10-3Pa
導入ガス流量(アルゴン):2.0×10-33/h
動作圧:0.16Pa
アース電極温度:20℃
電力:DC180W
スパッタリング時間:4秒
スパッタリング皮膜の厚み:0.01μm
次いで、125℃、12時間、大気中で加熱することにより、クロム薄膜からなるスパッタリング皮膜の表面を酸化して、酸化クロム層からなる酸化金属層を形成した(図3(d)参照)。
【0084】
なお、酸化金属層が形成されていることはESCAにて確認した。また、この酸化金属層の表面抵抗値を、表面抵抗測定装置(三菱化学(株)製、Hiresta−up MCP−HT450)を用いて、温度25℃、湿度15%で測定したところ、1×109Ω/□であった。
次いで、カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを調製した。ワニスに、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率が10-5重量%となるように、カーボン粒子(平均粒子径20nm)を配合した。
【0085】
その後、導体パターンの上面および側面、導体パターンから露出するベース絶縁層の上面および側面、および、金属支持基板の上面に、それぞれ形成されている半導電性層の表面に、カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを塗布し、乾燥してカバー皮膜を形成した。その後、フォトマスクを介して露光した後、190℃で加熱し、その後、現像し、380℃で加熱硬化することにより、ベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層の表面に、導体パターンを被覆する厚み5μmのポリイミド樹脂からなるカバー絶縁層を形成した(図3(e)参照)。
【0086】
このカバー絶縁層は、導体パターンの上面に形成されている半導電性層の表面においては、端子部に対応して、半導電性層が露出する開口部が形成されるように形成した。
また、カバー絶縁層は、ベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層の表面においては、ベース絶縁層の側面に形成されている半導電性層との連続部分にも積層されるように形成した。
【0087】
その後、カバー絶縁層の開口部から露出する半導電性層と、カバー絶縁層から露出するベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層と、金属支持基板の上面に形成されている半導電性層とを、エッチングした(図3(f)参照)。
エッチングは、上記以外の部分をエッチングレジストで被覆した後、ウエットエッチングした。なお、このエッチングでは、ベース絶縁層の側面に形成される半導電性層が残存するようにエッチングした。
【0088】
その後、端子部の表面に、無電解ニッケルと無電解金めっきとにより、ニッケルおよび金からなる厚み2.0μmの金属めっき層を形成した後、金属支持基板を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバルを形成するとともに、外形加工することにより、回路付サスペンション基板を得た(図3(g)参照)。
得られた回路付サスペンション基板は、導体パターンの側面および上面と、ベース絶縁層の上面および側面とに、半導電性層が連続して形成されており、また、ベース絶縁層の側面に形成されている半導電性層の下端面が、金属支持基板の上面に接触していた。
【0089】
実施例2
カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から10-4重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
【0090】
実施例3
カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から0.01重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
【0091】
実施例4
カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から0.1重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
【0092】
実施例5
カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から1.0重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
【0093】
実施例6
カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から5.0重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
【0094】
実施例7
カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から20重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
【0095】
比較例1
カーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カーボン粒子を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
(評価)
(1)カバー絶縁層のカーボン粒子の含有率
実施例1〜7および比較例1で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層におけるカーボン粒子の含有率をTOF−SIMSにより測定して、その含有率を確認した。
【0096】
TOF−SIMSは、下記の装置および測定条件で測定した。
装置:TOF−SIMS(ULVAC−PHI製、品番:TRIFT2)
照射1次イオン:69Ga+
1次イオン加速電圧:15kV
その結果を、表1に示す。
【0097】
(2)カバー絶縁層の表面電位
実施例1〜7および比較例1で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層の表面電位を、表面電位計(シシド電気(株)製、STATIRON−DS3)を用いて測定した。表面電位は、クリーンスティック(原田産業(株)製、HT1750)で、回路付サスペンション基板のカバー絶縁層の表面を5回擦った直後を計測することにより、測定した。また、表面電位計のセンサーからカバー絶縁層までの距離は、5mmであった。
【0098】
その結果を、表1に示す。
(3)端子部の表面荷電
実施例1〜7および比較例1で得られた回路付サスペンション基板について、端子部表面の荷電量を、クーロンメーター(春日電機(株)製、NK−1001)を用いて測定した。荷電量は、クリーンスティック(原田産業(株)製、HT1750)で、回路付サスペンション基板の端子部の表面を5回擦った直後に、プローブを端子部に接触させることにより、測定した。
【0099】
その結果を、表1に示す。
(4)カバー絶縁層の誘電率
実施例1〜7および比較例1で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層の誘電率を、4284A LCRメータ(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて、測定した。誘電率は、1MHzで測定した。
【0100】
その結果を、表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
表1から分かるように、カバー絶縁層がカーボン粒子を含有する実施例1〜7の回路付サスペンション基板は、カバー絶縁層がカーボン粒子を含有しない比較例1の回路付サスペンション基板に比べて、静電気の除去効果の効果が高いことが分かる。
また、カバー絶縁層がカーボン粒子を10-5〜5重量%含有する実施例1〜6の回路付サスペンション基板は、カバー絶縁層がカーボン粒子を20重量%含有する実施例7の回路付サスペンション基板に比べて、誘電率を低く維持できることが分かる。そのため、信号の伝播速度の低下や、カーボン粒子の脱落による配線間の短絡を、有効に防止することができる。
【0103】
実施例8
ベース絶縁層の形成における感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、このワニスに、ベース絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率が10-5重量%となるように、カーボン粒子(平均粒子径20nm)を配合した以外は、実施例1と同様に、ベース絶縁層を形成した。
【0104】
次いで、実施例1と同様に、導体パターン、酸化金属層およびカバー絶縁層を、順次形成することにより、回路付サスペンション基板を得た。
実施例9
ベース絶縁層の形成における感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、このワニスに、ベース絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率が10-4重量%となるように、カーボン粒子(平均粒子径20nm)を配合した以外は、実施例1と同様に、ベース絶縁層を形成した。
【0105】
次いで、実施例1と同様に、導体パターンおよび酸化金属層を、順次形成した。
次いで、カバー絶縁層の形成におけるカーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から10-4重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、カバー絶縁層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た。
【0106】
実施例10
ベース絶縁層の形成における感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、このワニスに、ベース絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率が0.01重量%となるように、カーボン粒子(平均粒子径20nm)を配合した以外は、実施例1と同様に、ベース絶縁層を形成した。
【0107】
次いで、実施例1と同様に、導体パターンおよび酸化金属層を、順次形成した。
次いで、カバー絶縁層の形成におけるカーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から0.01重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、カバー絶縁層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た。
【0108】
実施例11
ベース絶縁層の形成における感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、このワニスに、ベース絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率が0.1重量%となるように、カーボン粒子(平均粒子径20nm)を配合した以外は、実施例1と同様に、ベース絶縁層を形成した。
【0109】
次いで、実施例1と同様に、導体パターンおよび酸化金属層を、順次形成した。
次いで、カバー絶縁層の形成におけるカーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から0.1重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、カバー絶縁層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た。
【0110】
実施例12
ベース絶縁層の形成における感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、このワニスに、ベース絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率が1.0重量%となるように、カーボン粒子(平均粒子径20nm)を配合した以外は、実施例1と同様に、ベース絶縁層を形成した。
【0111】
次いで、実施例1と同様に、導体パターンおよび酸化金属層を、順次形成した。
次いで、カバー絶縁層の形成におけるカーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から1.0重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、カバー絶縁層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た。
【0112】
実施例13
ベース絶縁層の形成における感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、このワニスに、ベース絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率が5.0重量%となるように、カーボン粒子(平均粒子径20nm)を配合した以外は、実施例1と同様に、ベース絶縁層を形成した。
【0113】
次いで、実施例1と同様に、導体パターンおよび酸化金属層を、順次形成した。
次いで、カバー絶縁層の形成におけるカーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から5.0重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、カバー絶縁層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た。
【0114】
実施例14
ベース絶縁層の形成における感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、このワニスに、ベース絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率が20重量%となるように、カーボン粒子(平均粒子径20nm)を配合した以外は、実施例1と同様に、ベース絶縁層を形成した。
【0115】
次いで、実施例1と同様に、導体パターンおよび酸化金属層を、順次形成した。
次いで、カバー絶縁層の形成におけるカーボン粒子を含有する感光性ポリアミック酸樹脂のワニスの調製において、カバー絶縁層が含有するカーボン粒子の含有率を10-5重量%から20重量%となるように、カーボン粒子の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にして、カバー絶縁層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た。
【0116】
(評価)
(5)カバー絶縁層のカーボン粒子の含有率
実施例8〜14で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層におけるカーボン粒子の含有率を、上記と同様にして測定した。
その結果を、表2に示す。
【0117】
(6)ベース絶縁層のカーボン粒子の含有率
実施例8〜14および比較例1で得られた回路付サスペンション基板について、ベース絶縁層におけるカーボン粒子の含有率を、上記と同様にして測定した。
その結果を、表2に示す。
(7)カバー絶縁層の表面電位
実施例8〜14で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層の表面電位を、上記と同様にして測定した。
【0118】
その結果を、表2に示す。
(8)端子部の表面荷電
実施例8〜14で得られた回路付サスペンション基板について、端子部表面の荷電量を、上記と同様にして測定した。
その結果を、表2に示す。
【0119】
(9)カバー絶縁層の誘電率
実施例8〜14で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層の誘電率を、上記と同様にして測定した。
その結果を、表2に示す。
(10)ベース絶縁層の誘電率
実施例8〜14および比較例1で得られた回路付サスペンション基板について、ベース絶縁層の誘電率を、上記と同様にして測定した。
【0120】
その結果を、表2に示す。
【0121】
【表2】

【0122】
表2から分かるように、ベース絶縁層およびカバー絶縁層がカーボン粒子を含有する実施例8〜14の回路付サスペンション基板は、ベース絶縁層およびカバー絶縁層がカーボン粒子を含有しない比較例1の回路付サスペンション基板に比べて、静電気の除去効果の効果が高いことが分かる。
また、ベース絶縁層およびカバー絶縁層がカーボン粒子を10-5〜5重量%含有する実施例8〜13の回路付サスペンション基板は、ベース絶縁層がカーボン粒子を20重量%含有する実施例14の回路付サスペンション基板に比べて、誘電率を低く維持できることが分かる。そのため、信号の伝播速度の低下や、カーボン粒子の脱落による配線間の短絡を、有効に防止することができる。
【0123】
実施例15
厚み25μmのステンレス箔からなる金属支持基板を用意して(図4(a)参照)、金属支持基板の上面に、別途調製した感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを塗布し、乾燥後、フォトマスクを介して露光した後、加熱し、その後、現像することにより、金属支持基板の上面の外周縁部が一部露出するようなパターンを形成した後、これを加熱硬化させて、厚み10μmのポリイミド樹脂からなるベース絶縁層を形成した(図4(b)参照)。
【0124】
次いで、このベース絶縁層の上面に、セミアディティブ法によって、厚み10μmの銅からなる導体パターンを、端子部および配線が一体的に形成される配線回路パターンとして形成した(図4(c)参照)。
その後、導体パターンの上面および側面と、導体パターンから露出するベース絶縁層の上面および側面と、ベース絶縁層から露出する金属支持基板の上面とに連続して、クロムをターゲットとするスパッタリングによって、クロム薄膜からなるスパッタリング皮膜を形成した。
【0125】
なお、スパッタリングは、上記と同様の方法において、下記の条件で実施した。
ターゲット:Cr
到達真空度:1.33×10-3Pa
導入ガス流量(アルゴン):2.0×10-33/h
動作圧:0.16Pa
アース電極温度:20℃
電力:DC180W
スパッタリング時間:4秒
スパッタリング皮膜の厚み:0.01μm
次いで、125℃、12時間、大気中で加熱することにより、クロム薄膜からなるスパッタリング皮膜の表面を酸化して、酸化クロム層からなる酸化金属層を形成した(図4(d)参照)。
【0126】
なお、酸化金属層が形成されていることはESCAにて確認した。また、この酸化金属層の表面抵抗値を、表面抵抗測定装置(三菱化学(株)製、Hiresta−up MCP−HT450)を用いて、温度25℃、湿度15%で測定したところ、1×109Ω/□であった。
次いで、半導電性層の表面に、銅をターゲットとするスパッタリングによって、銅薄膜を形成した(図4(e)参照)。
【0127】
なお、スパッタリングは、上記と同様の方法において、下記の条件で実施した。
ターゲット:Cu
到達真空度:1.33×10-3Pa
導入ガス流量(アルゴン):2.0×10-33/h
動作圧:0.16Pa
アース電極温度:20℃
電力:DC180W
スパッタリング時間:2秒
銅薄膜の厚み:4nm
次いで、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、銅薄膜の表面に塗布し、フォトマスクを介して露光した後、190℃で加熱後、現像することにより、導体パターンを被覆するように、パターンとしてカバー皮膜を、形成した(図5(f)参照)。
【0128】
カバー皮膜は、導体パターンの上面に形成されている銅薄膜の表面においては、端子部に対応して、銅薄膜が露出する開口部が形成されるように形成した。
カバー皮膜は、ベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層の上においては、銅薄膜を介在して、ベース絶縁層の側面に形成されている半導電性層との連続部分にも積層されるように形成した。また、カバー皮膜は、銅薄膜の上においては、ベース絶縁層の側面に形成されている半導電性層の側面に形成されている銅薄膜の上端面が、露出するように形成した。
【0129】
次いで、カバー皮膜を、380℃で2時間、加熱硬化した。これにより、カバー絶縁層が形成されるとともに、銅が、カバー絶縁層に分散された。
その後、カバー絶縁層の開口部から露出する銅薄膜および半導電性層と、カバー絶縁層から露出するベース絶縁層の上面に形成されている銅薄膜および半導電性層と、金属支持基板の上面に形成されている銅薄膜および半導電性層とを、エッチングにより除去した(図5(h)参照)。
【0130】
エッチングは、上記以外の部分をエッチングレジストで被覆した後、ウエットエッチングした。なお、このエッチングでは、ベース絶縁層の側面に形成される半導電性層が残存するようにエッチングした。
その後、端子部の表面に、無電解ニッケルと無電解金めっきとにより、ニッケルおよび金からなる厚み2.0μmの金属めっき層を形成した後、金属支持基板を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバルを形成するとともに、外形加工することにより、回路付サスペンション基板を得た(図5(i)参照)。
【0131】
得られた回路付サスペンション基板は、導体パターンの側面および上面と、ベース絶縁層の上面および側面とに、半導電性層が連続して形成されており、また、ベース絶縁層の側面に形成されている半導電性層の下端面が、金属支持基板の上面に接触していた。
実施例16
銅薄膜の形成において、スパッタリング時間を、2秒から4秒に変更した以外は、実施例15と同様に、銅薄膜を形成した。この銅薄膜の厚みは、8nmであった。
【0132】
続いて、実施例15と同様にして、カバー皮膜を形成し、これを加熱硬化し、次いで、カバー絶縁層を形成することにより、回路付サスペンション基板を得た。
実施例17
銅薄膜の形成において、スパッタリング時間を、2秒から6秒に変更した以外は、実施例15と同様に、銅薄膜を形成した。この銅薄膜の厚みは、12nmであった。
【0133】
続いて、実施例15と同様にして、カバー皮膜を形成し、これを加熱硬化し、次いで、カバー絶縁層を形成し、エッチングすることにより、回路付サスペンション基板を得た。
(評価)
(11)カバー絶縁層の銅の含有率
実施例15〜17で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層における銅の含有率を、上記と同様にして測定した。
【0134】
その結果を、表3に示す。
(12)カバー絶縁層の表面電位
実施例15〜17で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層の表面電位を、上記と同様にして測定した。
その結果を、表3に示す。
【0135】
(13)端子部の表面荷電
実施例15〜17で得られた回路付サスペンション基板について、端子部表面の荷電量を、上記と同様にして測定した。
その結果を、表3に示す。
(14)カバー絶縁層の誘電率
実施例15〜17で得られた回路付サスペンション基板について、カバー絶縁層の誘電率を、上記と同様にして測定した。
【0136】
その結果を、表3に示す。
【0137】
【表3】

【0138】
表3から分かるように、カバー絶縁層が銅を含有する実施例15〜17の回路付サスペンション基板は、カバー絶縁層が銅を含有しない比較例1の回路付サスペンション基板に比べて、静電気の除去効果の効果が高いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の配線回路基板の一実施形態である回路付サスペンション基板を示す概略平面図である。
【図2】図1に示す回路付サスペンション基板の長手方向に沿う部分断面図(回路付サスペンション基板の部分断面図)である。
【図3】図2に示す回路付サスペンション基板の製造方法を示す製造工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、金属支持基板の上面に、ベース絶縁層をパターンとして形成する工程、(c)は、ベース絶縁層の上面に、導体パターンを形成する工程、(d)は、導体パターンの上面および側面と、導体パターンから露出するベース絶縁層の上面および側面と、ベース絶縁層から露出する金属支持基板の上面とに、半導電性層を形成する工程、(e)は、ベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層の表面に、導体パターンを被覆するカバー絶縁層を、パターンとして形成する工程、(f)は、カバー絶縁層の開口部から露出する半導電性層と、カバー絶縁層から露出するベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層と、金属支持基板の上面に形成されている半導電性層とを、エッチングにより除去する工程、(g)は、端子部の表面に、金属めっき層を形成する工程を示す。
【図4】図2に示す回路付サスペンション基板の他の製造方法を示す製造工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、金属支持基板の上面に、ベース絶縁層をパターンとして形成する工程、(c)は、ベース絶縁層の上面に、導体パターンを形成する工程、(d)は、導体パターンの上面および側面と、導体パターンから露出するベース絶縁層の上面および側面と、ベース絶縁層から露出する金属支持基板の上面とに、半導電性層を形成する工程、(e)は、半導電性層の表面に金属薄膜を形成する工程を示す。
【図5】図4に続いて、回路付サスペンション基板の製造方法を示す製造工程図であって、(f)は、パターンとしてカバー皮膜を、導体パターンを被覆するように、形成する工程、(g)は、カバー皮膜を加熱硬化するとともに、金属薄膜を形成する金属を、カバー絶縁層に分散させる工程、(h)は、カバー絶縁層の開口部から露出する金属薄膜および半導電性層と、カバー絶縁層から露出するベース絶縁層の上面に形成されている金属薄膜および半導電性層と、金属支持基板の上面に形成されている金属薄膜および半導電性層とを、エッチングにより除去する工程、(i)は、端子部の表面に、金属めっき層を形成する工程を示す。
【図6】スパッタリング装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0140】
1(1A、1B) 回路付サスペンション基板
2 金属支持基板
3 ベース絶縁層
4 導体パターン
5 カバー絶縁層
6 端子部
9 連続部分
13 半導電性層
14 金属薄膜
15 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持基板と、
前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンと、
前記導体パターンから露出する前記ベース絶縁層の上に形成され、少なくとも一部が前記金属支持基板および前記導体パターンに接触している半導電性層と、
前記導体パターンを被覆するように、前記ベース絶縁層の上に形成されている半導電性層の上に形成されるカバー絶縁層と、
前記カバー絶縁層が開口されることにより露出される前記導体パターンからなる端子部とを備え、
前記カバー絶縁層および/または前記ベース絶縁層が、導電性物質を含有していることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
前記カバー絶縁層および/または前記ベース絶縁層が、前記導電性物質をそれぞれ10-5〜5重量%含有していることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記導電性物質が、金属であり、前記カバー絶縁層および/または前記ベース絶縁層が、前記金属をそれぞれ10-5〜0.1重量%含有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
金属支持基板を用意する工程と、
前記金属支持基板の上面に、ベース絶縁層をパターンで形成する工程と、
前記ベース絶縁層の上面に、導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンの上面および側面と、前記導体パターンから露出する前記ベース絶縁層の上面および側面と、前記ベース絶縁層から露出する前記金属支持基板の上面とに、半導電性層を連続して形成する工程と、
前記ベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層と前記ベース絶縁層の側面に形成されている半導電性層との連続部分を含んで、前記ベース絶縁層の上面に形成されている半導電性層の表面に、前記導体パターンを被覆するカバー絶縁層を、前記導体パターンの上面に形成されている前記半導電性層が露出する開口部が形成されるように、形成する工程と、
前記連続部分において前記ベース絶縁層の側面に形成されており、前記金属支持基板の上面に接触する前記半導電性層が残存するように、前記開口部から露出する前記半導電性層と、前記ベース絶縁層の上面に形成され、前記カバー絶縁層から露出する前記半導電性層と、前記金属支持基板の上面に形成されている前記半導電性層とを、除去する工程と
を備え、
前記ベース絶縁層を形成する工程において、導電性物質を含有するベース絶縁層を形成するか、
前記カバー絶縁層を形成する工程において、導電性物質を含有するカバー絶縁層を形成するか、または、
前記ベース絶縁層を形成する工程において、導電性物質を含有するベース絶縁層を形成し、かつ、前記カバー絶縁層を形成する工程において、導電性物質を含有するカバー絶縁層を形成することを特徴とする、配線回路基板の製造方法。
【請求項5】
金属支持基板を用意する工程と、
前記金属支持基板の上面に、ベース絶縁層をパターンで形成する工程と、
前記ベース絶縁層の上面に、導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンの上面および側面と、前記導体パターンから露出する前記ベース絶縁層の上面および側面と、前記ベース絶縁層から露出する前記金属支持基板の上面とに、半導電性層を連続して形成する工程と、
前記半導電性層の表面に金属薄膜を形成する工程と、
前記金属薄膜の上面に、前記導体パターンを被覆するカバー絶縁層を、前記導体パターンの上に形成されている前記金属薄膜が露出する開口部が形成されるように、形成する工程と、
前記金属薄膜を形成する金属を、前記カバー絶縁層に分散させる工程と、
前記ベース絶縁層の側面に形成されており、前記金属支持基板の上面に接触する前記半導電性層が残存するように、前記開口部から露出する前記金属薄膜および前記半導電性層と、前記ベース絶縁層の上面に形成され、前記カバー絶縁層から露出する前記金属薄膜および前記半導電性層と、前記金属支持基板の上面に形成されている前記金属薄膜および前記半導電性層とを、除去する工程と
を備えていることを特徴とする、配線回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−188978(P2007−188978A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4170(P2006−4170)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】