配線基板及びその製造方法
【課題】搭載面に露出して形成された複数本の導体パターンの各露出面の全面が金属ろう材層で覆われた配線基板であって、導体パターンの狭ピッチ化によって、隣接する導体パターン間で金属ろう材のブリッジ等が発生する従来の配線基板の課題を解決する。
【解決手段】電子部品が搭載される搭載面に形成された複数本の導体パターン16のうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及びその両側面から成る露出面の全面がはんだ層30で覆われており、はんだ層30が溶融されて、導体パターン16に対応する電子部品のバンプと当接して電気的に接続される配線基板10であって、前記当接面が露出して隣接する導体パターン16,16の間を充填する樹脂層32に、導体パターン16の側面を覆うはんだ層30が露出する溝34が、導体パターン16の両側面の各々に沿って形成され、且つはんだ層30が溶融されたとき、溶融状態のはんだが隣接する導体パターン16側に流出することを防止する隔壁が、前記樹脂層32によって形成されている。
【解決手段】電子部品が搭載される搭載面に形成された複数本の導体パターン16のうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及びその両側面から成る露出面の全面がはんだ層30で覆われており、はんだ層30が溶融されて、導体パターン16に対応する電子部品のバンプと当接して電気的に接続される配線基板10であって、前記当接面が露出して隣接する導体パターン16,16の間を充填する樹脂層32に、導体パターン16の側面を覆うはんだ層30が露出する溝34が、導体パターン16の両側面の各々に沿って形成され、且つはんだ層30が溶融されたとき、溶融状態のはんだが隣接する導体パターン16側に流出することを防止する隔壁が、前記樹脂層32によって形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及びその製造方法に関し、更に詳細には電子部品が搭載される搭載面に形成された複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及びその両側面から成る露出面の全面が金属ろう材層で覆われており、前記金属ろう材層が溶融されて、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプと当接して電気的に接続される配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品としての半導体素子をフリップチップ方式で搭載面に搭載する配線基板としては、図8に示す配線基板10が下記特許文献1に提案されている。
図8に示す配線基板10では、その搭載面にソルダレジスト20,20から露出した導体パターン16,16・・が形成されている。この導体パターン16,16・・の各露出部には、図9に示す様に、導体パターン16,16・・の露出面の全面に付着した金属ろう材粉としてのはんだ粉を溶融して形成したはんだ層が形成されている。
かかる配線基板10に、図9に示す様に、半導体素子12をフリップチップ方式で搭載する際に、下記特許文献1では、導体パターン16,16・・の露出面に形成したはんだ層を溶融した後、溶融状態のはんだ100によって覆われている導体パターン16,16・・の各幅広部16aに対応する半導体素子12のバンプ22の先端を当接する。このとき、導体パターン16の露出面の全面を覆う溶融状態のはんだ100は、半導体素子12のバンプ22の周面に表面張力によって集まり、バンプ22と導体パターン16とを接合して電気的に接続する。
【特許文献1】特開2005−268353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前掲の特許文献1に提案された配線基板(図8に示す配線基板10)によれば、導体パターン16の露出面全面を覆う溶融状態のはんだ100を、半導体素子12のバンプ22と導体パターン16との接合に利用でき、両者を確実に電気的に接続できる。
しかし、図8及び図9に示す配線基板10では、はんだで覆われた導体パターン16,16・・は、平坦な搭載面に形成されている。このため、配線基板10に導体パターン16,16・・の高密度化等を図るべく、導体パターン16,16・・を狭ピッチで形成すると、図10に示す如く、隣接する導体パターン16,16間で溶融はんだ100のブリッジが発生したり、はんだ残が発生することがある。かかる溶融はんだ100のブリッジやはんだ残が発生すると、その後に工業的な除去手段がなく、溶融はんだ100のブリッジやはんだ残が発生した配線基板10は不良品とせざるを得ない。
そこで、本発明は、搭載面に露出して形成された複数本の導体パターンの各露出面の全面が金属ろう材層で覆われた配線基板であって、導体パターンの狭ピッチ化によって、隣接する導体パターン間で金属ろう材のブリッジが発生したり、金属ろう材残が発生する従来の配線基板及びその製造方法の課題を解決し、導体パターンを狭ピッチ化しても、隣接する導体パターン間で金属ろう材のブリッジが発生したり、金属ろう材残が発生することを解消し得る配線基板及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記課題を解決すべく、先ず、図11に示す様に、配線基板10の搭載面に形成した導体パターン16,16間を樹脂層102によって充填し、導体パターン16の電子部品12のバンプ22と当接する当接面のみが露出する配線基板10を形成した。
図10に示す配線基板10の導体パターン16の露出面である当接面のみに付着したはんだ粉を溶融しても、樹脂層102によって溶融はんだ100は、隣接する導体パターン16の方向に広がることはなかった。
しかしながら、はんだ粉は、導体パターン16の当接面のみに付着しているに過ぎず、電子部品12のバンプ22と導体パターン16との当接を確実に固定するには、溶融はんだ100の量が不足していることが判明した。
【0005】
このため、本発明者は、更に検討を重ねた結果、配線基板10の搭載面に形成した導体パターン16,16間を充填する樹脂層に、導体パターン16の側壁面が露出する溝を形成することによって、導体パターン16の当接面と側壁面とをはんだ粉が付着する露出面に形成でき、且つ隣接する導体パターン16,16間に隔壁を形成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、電子部品が搭載される搭載面に形成された複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及びその両側面から成る露出面の全面が金属ろう材層で覆われており、前記金属ろう材層が溶融されて、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプと当接して電気的に接続される配線基板であって、前記当接面が露出して隣接する導体パターンの間を充填する絶縁層に、前記導体パターンの側面を覆う金属ろう材層が露出する溝が、前記導体パターンの両側面の各々に沿って形成され、且つ前記金属ろう材層が溶融されたとき、溶融状態の金属ろう材が隣接する導体パターン側に流出することを防止する隔壁が、前記絶縁層によって形成されていることを特徴とする配線基板にある。
【0006】
また、本発明は、電子部品を搭載する搭載面に形成した複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及び両側面から成る露出面の全面を金属ろう材層によって覆い、前記金属ろう材層を溶融して、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプを当接して電気的に接続する配線基板を製造する際に、前記当接面が露出して隣接する導体パターンの間を充填する絶縁層に、前記導体パターンの側壁面が露出する溝を形成すると共に、前記導体パターン間に、前記金属ろう材層を溶融したとき、溶融状態の金属ろう材が隣接する導体パターン側に流出することを防止する隔壁を、前記絶縁層によって形成し、次いで、前記導体パターンの露出面を金属ろう材層で覆うことを特徴とする配線基板の製造方法でもある。
【0007】
かかる本発明において、溝及び隔壁を、配線基板の搭載面に形成した複数本の導体パターンの露出面のみを厚さが均一で且つ所定厚さのめっき金属層で被覆した後、前記めっき金属層で被覆した導体パターンを覆う絶縁層の表面を研磨して、前記めっき金属層を露出し、次いで、前記めっき金属層のみをエッチングで除去して形成することによって、溝及び隔壁を容易に形成できる。
この導体パターンの露出面を覆うめっき金属層を、無電解めっきによって形成することによって、給電が困難な導体パターンの露出面でも容易にめっき金属層を形成できる。
また、金属ろう材層を、導体パターンの露出面に付着した金属ろう材粉を溶融して形成し、前記導体パターンの両側面の各々に沿って、露出する導体パターンの側壁面に前記金属ろう材粉を付着できる幅の溝を形成することによって、金属ろう材粉を導体パターンに振り掛けることにより、導体パターンの露出面を被覆する金属ろう材層を形成できる。
更に、導体パターンの両側に沿って、幅の等しい溝を形成することによって、溝内に露出する導体パターンの側壁面に均一厚さの金属ろう材層を形成でき、溶融金属ろう材量のバラツキを可及的に小さくできる。
この様にして形成した隔壁を、導体パターンと等しい高さに形成することによって、隔壁及び溝を容易に形成できる。
一方、隔壁を、導体パターンよりも高く形成することによって、隣接する導体パターン方向への溶融金属ろう材の流出を更に防止できる。
他方、隔壁を、導体パターンよりも低く形成することによって、導体パターンの側壁面に金属ろう材層を容易に形成できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導体パターンの側壁面が溝内に露出しているため、導体パターンの電子部品のバンプが当接する当接面及び両側面から成る露出面の全面を金属ろう材層によって覆うことができる。このため、導体パターンと電子部品のバンプとの当接状態を確実に固定できる充分な量の溶融金属ろう材を確保でき、且つ溶融金属ろう材量のバラツキを可及的に少なくできる。
しかも、隣接する導体パターン間には、溶融金属ろう材が他方の導体パターン方向に流出することを防止する隔壁が設けられている。このため、充分な量の溶融金属ろう材を提供できる金属ろう材層を導体パターンの露出面に確保しても、隣接する導体パターン間で金属ろう材のブリッジが発生したり、金属ろう材残が発生することを防止できる。
その結果、配線基板の導体パターンの狭ピッチ化を図っても、導体パターンと電子部品のバンプとの当接状態を確実に固定できる充分な量の溶融金属ろう材を確保しつつ、隣接する導体パターン間での金属ろう材のブリッジや金属ろう材残の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る配線基板は、図7に示す配線基板10と同様に、電子部品としての半導体素子12をフリップチップ方式で搭載する搭載面に、銅から成る導体パターン16,16・・がソルダレジスト20,20から露出して形成されている。この導体パターン16,16・・の各露出部には、半導体素子12のバンプが当接する幅広部16aが形成されている。
かかる導体パターン16,16・・の各両側には、図1(a)に示す様に、各導体パターン16に沿って同一幅の溝34,34が形成され、各導体パターン16の側壁面が溝34,34内に露出している。
従って、導体パターン16,16・・・の各々は、半導体素子12のバンプが当接する当接面及び側壁面が露出しており、図1(a)に示す様に、金属ろう材層としてのはんだ層30によって覆われている。
更に、導体パターン16,16・・の露出部間には、図1(a)に示す様に、絶縁層としての樹脂層32が形成されている。かかる樹脂層32は、図1(b)に示す様に、導体パターン16と同一高さであって、後述する様に、導体パターン16のはんだ層30を溶融した際に、溶融はんだが隣接する導体パターン16の方向に流出することを防止する隔壁としての役割を果たす。
この溝34の幅Wは、導体パターン16に付着したはんだ粉を溶融してはんだ層30を形成する場合は、導体パターン16の側壁面にはんだ粉を付着できる幅、具体的には5〜20μm程度とすることが好ましい。
【0010】
図1に示す配線基板10を形成する際には、先ず、図2(a)に示す様に、配線基板10の搭載面に、所定箇所をソルダレジスト20から露出する銅から成る導体パターン16,16・・を形成する。かかる導体パターン16,16・・は、公知のアディティブ法、セミアディティブ法或いはサブトラクティブ法によって形成できる。この導体パターン16,16・・には、図8に示す様に、配線基板10の搭載面にソルダレジスト20,20から露出した露出部が形成されている。この露出部には、図8に示す様に、半導体素子12のバンプ22の先端と当接する幅広部16aが形成されており、その横断面形状は、図2(a)に示す様に、四辺形であって、電子部品12のバンプ22が当接する当接面及び両側面の三面が露出する。
図2(a)に示す導体パターン15は、半導体素子12のバンプと当接することのないものであって、ソルダレジスト20によって覆われている。
【0011】
かかる導体パターン16,16・・の露出面は、図2(b)に示す様に、厚さが均一で且つ所定厚さのニッケルから成るめっき金属層18によって被覆する。このめっき金属層18の厚さは、形成予定の溝34の厚さと等しくする。
このめっき金属層18は、無電解めっきによって形成することによって、給電が困難な導体パターン16の露出面にも容易にめっき金属層18を形成できる。
かかる無電解めっきとして、無電解ニッケルめっきについて説明すると、めっき対象面を脱脂してからソフトエッチング及び酸洗浄した後、Pd活性化処理を施す。この際に、導体パターン16の露出面のみに選択的にPdの核付けを行う。次いで、所定の無電解ニッケルめっき液に配線基板を浸漬し、その浸漬時間を調整することによって、導体パターン16,16・・の露出面のみに均一厚さで且つ所定厚さのニッケルめっき金属層18を形成できる。
【0012】
次いで、図2(c)に示す様に、露出面がめっき金属層18によって被覆した導体パターン16,16・・を樹脂層32によって覆った後、樹脂層32の表面を研磨して、図2(d)に示す様に、導体パターン16の表面を露出する。この様に、導体パターン16の表面を露出したとき、導体パターン16の側面はめっき金属層18で被覆されている。
更に、図2(d)に示す配線基板10を、導体パターン16を形成する銅をエッチングしないが、めっき金属層18を形成するニッケルをエッチングするエッチング液に浸漬し、めっき金属層18をエッチングして除去する。
めっき金属層18を除去することによって、図2(e)に示す様に、導体パターン16,16・・の各側面に、導体パターン16の側壁面が露出する溝34が形成される。かかる溝34,34・・は均一幅であって、導体パターン16の側壁面に金属ろう材層30(図1)を形成できる幅である。例えば、金属ろう材層30としてのはんだ層を、導体パターン16の露出面に付着したはんだ粉を溶融して形成する場合には、導体パターン16の露出面にはんだ粉が付着できる幅、はんだ粉の平均粒径の2〜3倍、具体的には5〜20μm程度とすることが好ましい。
この際に、隣接する導体パターン16,16の間には、樹脂層32から成る隔壁が形成される。
【0013】
その後、図2(e)に示す導体パターン16,16・・の各露出面に付着したフラックス等の粘着剤に、はんだ粉を振り掛けて付着させた後、はんだ粉を溶融することによって、図1に示す様に、導体パターン16,16・・の各露出面に金属ろう材層としてのはんだ層30が形成される。
図1に示す導体パターン16,16・・の各露出面に形成されたはんだ層30を溶融し、図9に示す様に、半導体素子12のバンプ22の先端を当接すると、導体パターン16の露出面の全面を覆う溶融状態のはんだは、半導体素子12のバンプ22の周面に表面張力によって集まり、バンプ22と導体パターン16とを接合して電気的に接続する。この際に、図1に示す導体パターン16,16・・では、その露出面である半導体素子12のバンプ22が当接する当接面及び両側面の三面に存在する溶融状態のはんだをバンプ22と導体パターン16との接合に利用できる。このため、バンプ22と導体パターン16とを確実に電気的に接合できる。
しかも、隣接する導体パターン16,16の間には、樹脂層32から成る隔壁が設けられている。このため、導体パターン16,16・・の各露出面に充分な量のはんだ層30が形成されていても、はんだ層30を溶融しても、隣接する導体パターン16,16の間ではんだのブリッジが発生したり、はんだ残が発生することを防止できる。
従って、図1に示す導体パターン16,16・・を具備する配線基板10では、導体パターン16,16・・の狭ピッチ化を図っても、導体パターン16と半導体素子12等の電子部品のバンプ22との当接状態を確実に固定できる充分な量のはんだを確保しつつ、隣接する導体パターン16,16の間でのはんだブリッジやはんだ残の発生を防止できる。
【0014】
図1及び図2では、ソルダレジスト20によって覆われており、半導体素子12のバンプと当接することのない導体パターン15は、ソルダレジスト20,20から露出する露出面を具備する導体パターン16よりも薄く形成していたが、図3(a)に示す様に、導体パターン16と同一厚さに形成してもよい。
この場合には、図3(a)に示す導体パターン16,16・・の露出面を、厚さが均一で且つ所定厚さのめっき金属層18によって被覆し樹脂層32によって覆った後、図3(b)に示す様に、導体パターン16,16・・に対応する樹脂層32の部分のみをブラスト研磨して凹部を形成し、凹部の底面に導体パターン16,16・・のめっき金属層18を露出する。その際に、めっき金属層18を除去したとき、導体パターン16,16・・の表面と凹部底面とが同一面となるように、ブラスト研磨量を調整する。
次いで、めっき金属層18のみをエッチングで除去することによって、図3(c)に示す様に、導体パターン16,16・・の各側面に、導体パターン16の側壁面が露出する溝34を形成できる。
【0015】
図1〜図3に示す配線基板10では、導体パターン16と樹脂層32から成る隔壁とが同一高さであったが、図4に示す様に、隔壁を形成する樹脂層32が導体パターン16よりも高くてもよい。この様に、樹脂層32を導体パターン16よりも高くすると、導体パターン16,16・・の各露出面に充分な量のはんだ層30が形成されていても、はんだ層30を溶融しても、隣接する導体パターン16,16の間ではんだによるブリッジの発生を更に確実に防止できる。
図3に示す配線基板10を製造するには、図2(c)に示す様に、配線基板10のニッケルから成るめっき金属層18によって被覆した、銅から成る導体パターン16,16・・を被覆する樹脂層32をブラスト研磨等によって研磨して、図5(a)に示す様に、導体パターン16を覆うめっき金属層18の表面を露出する。
次いで、めっき金属層18を形成するニッケルのみをエッチングして、導体パターン16を形成する銅をエッチングしないエッチング液によって、めっき金属層18のみをエッチングして除去する。かかるエッチング処理によって、図5(b)に示す様に、導体パターン16,16の間に隔壁として残る樹脂層32よりも低い導体パターン16を得ることができる。この導体パターン16の両側面には、導体パターン16に沿って、導体パターン16の側壁面が露出する溝34,34が形成される。
【0016】
また、図6に示す様に、隔壁を形成する樹脂層32が導体パターン16よりも低い配線基板10であってもよい。図5に示す配線基板10では、導体パターン16の側壁面にはんだ層30を容易に形成でき、充分な量の溶融はんだを提供できるはんだ層30を形成できる。
図6に示す配線基板10を製造するには、図2(c)に示す様に、配線基板10のニッケルから成るめっき金属層18によって被覆した、銅から成る導体パターン16,16・・を被覆する樹脂層32を、研磨粒子を研磨面に吹き付けるブラスト研磨によって研磨する。かかるブラスト研磨では、金属から成るめっき金属層18及び導体パターン16よりも柔らかい樹脂層32が研磨され易い。このため、樹脂層32に対してブラスト研磨を所定時間施すと、図7(a)に示す様に、樹脂層32からめっき金属層18及び導体パターン16が突出する。
次いで、めっき金属層18を形成するニッケルのみをエッチングして、導体パターン16を形成する銅をエッチングしないエッチング液によって、めっき金属層18のみをエッチングして除去する。かかるエッチング処理によって、図7(b)に示す様に、導体パターン16,16の間に隔壁として残る樹脂層32よりも高い導体パターン16を得ることができる。この導体パターン16の両側面には、導体パターン16に沿って、導体パターン16の側壁面が露出する溝34,34が形成される。
以上、説明してきた図1〜図7に示す配線基板の製造方法では、溝34を導体パターン16の露出面に形成した金属めっき層18をエッチングして形成しているが、溝34の幅のバラツキが許容できる場合には、樹脂層32として感光性樹脂を用いて溝34を形成してもよい。
また、溝34を樹脂層32,32間に形成したが、樹脂層32に代えてセラミックから成る絶縁層であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る配線基板の一例を説明する部分断面図である。
【図2】図1に示す配線基板の製造方法を説明する工程図である。
【図3】図1に示す配線基板の他の製造方法を説明する工程図である。
【図4】本発明に係る配線基板の他の例を説明する部分断面図である。
【図5】図3に示す配線基板の製造方法を説明する工程図である。
【図6】本発明に係る配線基板の他の例を説明する部分断面図である。
【図7】図5に示す配線基板の製造方法を説明する工程図である。
【図8】配線基板の一例を説明する正面図である。
【図9】従来の配線基板に半導体素子をフリップチップ方式で搭載する状態を説明する説明図である。
【図10】従来の配線基板の課題を説明する説明図である。
【図11】従来の配線基板の改良例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0018】
10 配線基板
12 電子部品(半導体素子)
15,16 導体パターン
16 導体パターン
16a 導体パターン16の幅広部
18 めっき金属層
20 ソルダレジスト
22 バンプ
30 はんだ層(金属ろう材層)
32 樹脂層(絶縁層)
34 溝
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及びその製造方法に関し、更に詳細には電子部品が搭載される搭載面に形成された複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及びその両側面から成る露出面の全面が金属ろう材層で覆われており、前記金属ろう材層が溶融されて、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプと当接して電気的に接続される配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品としての半導体素子をフリップチップ方式で搭載面に搭載する配線基板としては、図8に示す配線基板10が下記特許文献1に提案されている。
図8に示す配線基板10では、その搭載面にソルダレジスト20,20から露出した導体パターン16,16・・が形成されている。この導体パターン16,16・・の各露出部には、図9に示す様に、導体パターン16,16・・の露出面の全面に付着した金属ろう材粉としてのはんだ粉を溶融して形成したはんだ層が形成されている。
かかる配線基板10に、図9に示す様に、半導体素子12をフリップチップ方式で搭載する際に、下記特許文献1では、導体パターン16,16・・の露出面に形成したはんだ層を溶融した後、溶融状態のはんだ100によって覆われている導体パターン16,16・・の各幅広部16aに対応する半導体素子12のバンプ22の先端を当接する。このとき、導体パターン16の露出面の全面を覆う溶融状態のはんだ100は、半導体素子12のバンプ22の周面に表面張力によって集まり、バンプ22と導体パターン16とを接合して電気的に接続する。
【特許文献1】特開2005−268353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前掲の特許文献1に提案された配線基板(図8に示す配線基板10)によれば、導体パターン16の露出面全面を覆う溶融状態のはんだ100を、半導体素子12のバンプ22と導体パターン16との接合に利用でき、両者を確実に電気的に接続できる。
しかし、図8及び図9に示す配線基板10では、はんだで覆われた導体パターン16,16・・は、平坦な搭載面に形成されている。このため、配線基板10に導体パターン16,16・・の高密度化等を図るべく、導体パターン16,16・・を狭ピッチで形成すると、図10に示す如く、隣接する導体パターン16,16間で溶融はんだ100のブリッジが発生したり、はんだ残が発生することがある。かかる溶融はんだ100のブリッジやはんだ残が発生すると、その後に工業的な除去手段がなく、溶融はんだ100のブリッジやはんだ残が発生した配線基板10は不良品とせざるを得ない。
そこで、本発明は、搭載面に露出して形成された複数本の導体パターンの各露出面の全面が金属ろう材層で覆われた配線基板であって、導体パターンの狭ピッチ化によって、隣接する導体パターン間で金属ろう材のブリッジが発生したり、金属ろう材残が発生する従来の配線基板及びその製造方法の課題を解決し、導体パターンを狭ピッチ化しても、隣接する導体パターン間で金属ろう材のブリッジが発生したり、金属ろう材残が発生することを解消し得る配線基板及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記課題を解決すべく、先ず、図11に示す様に、配線基板10の搭載面に形成した導体パターン16,16間を樹脂層102によって充填し、導体パターン16の電子部品12のバンプ22と当接する当接面のみが露出する配線基板10を形成した。
図10に示す配線基板10の導体パターン16の露出面である当接面のみに付着したはんだ粉を溶融しても、樹脂層102によって溶融はんだ100は、隣接する導体パターン16の方向に広がることはなかった。
しかしながら、はんだ粉は、導体パターン16の当接面のみに付着しているに過ぎず、電子部品12のバンプ22と導体パターン16との当接を確実に固定するには、溶融はんだ100の量が不足していることが判明した。
【0005】
このため、本発明者は、更に検討を重ねた結果、配線基板10の搭載面に形成した導体パターン16,16間を充填する樹脂層に、導体パターン16の側壁面が露出する溝を形成することによって、導体パターン16の当接面と側壁面とをはんだ粉が付着する露出面に形成でき、且つ隣接する導体パターン16,16間に隔壁を形成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、電子部品が搭載される搭載面に形成された複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及びその両側面から成る露出面の全面が金属ろう材層で覆われており、前記金属ろう材層が溶融されて、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプと当接して電気的に接続される配線基板であって、前記当接面が露出して隣接する導体パターンの間を充填する絶縁層に、前記導体パターンの側面を覆う金属ろう材層が露出する溝が、前記導体パターンの両側面の各々に沿って形成され、且つ前記金属ろう材層が溶融されたとき、溶融状態の金属ろう材が隣接する導体パターン側に流出することを防止する隔壁が、前記絶縁層によって形成されていることを特徴とする配線基板にある。
【0006】
また、本発明は、電子部品を搭載する搭載面に形成した複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及び両側面から成る露出面の全面を金属ろう材層によって覆い、前記金属ろう材層を溶融して、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプを当接して電気的に接続する配線基板を製造する際に、前記当接面が露出して隣接する導体パターンの間を充填する絶縁層に、前記導体パターンの側壁面が露出する溝を形成すると共に、前記導体パターン間に、前記金属ろう材層を溶融したとき、溶融状態の金属ろう材が隣接する導体パターン側に流出することを防止する隔壁を、前記絶縁層によって形成し、次いで、前記導体パターンの露出面を金属ろう材層で覆うことを特徴とする配線基板の製造方法でもある。
【0007】
かかる本発明において、溝及び隔壁を、配線基板の搭載面に形成した複数本の導体パターンの露出面のみを厚さが均一で且つ所定厚さのめっき金属層で被覆した後、前記めっき金属層で被覆した導体パターンを覆う絶縁層の表面を研磨して、前記めっき金属層を露出し、次いで、前記めっき金属層のみをエッチングで除去して形成することによって、溝及び隔壁を容易に形成できる。
この導体パターンの露出面を覆うめっき金属層を、無電解めっきによって形成することによって、給電が困難な導体パターンの露出面でも容易にめっき金属層を形成できる。
また、金属ろう材層を、導体パターンの露出面に付着した金属ろう材粉を溶融して形成し、前記導体パターンの両側面の各々に沿って、露出する導体パターンの側壁面に前記金属ろう材粉を付着できる幅の溝を形成することによって、金属ろう材粉を導体パターンに振り掛けることにより、導体パターンの露出面を被覆する金属ろう材層を形成できる。
更に、導体パターンの両側に沿って、幅の等しい溝を形成することによって、溝内に露出する導体パターンの側壁面に均一厚さの金属ろう材層を形成でき、溶融金属ろう材量のバラツキを可及的に小さくできる。
この様にして形成した隔壁を、導体パターンと等しい高さに形成することによって、隔壁及び溝を容易に形成できる。
一方、隔壁を、導体パターンよりも高く形成することによって、隣接する導体パターン方向への溶融金属ろう材の流出を更に防止できる。
他方、隔壁を、導体パターンよりも低く形成することによって、導体パターンの側壁面に金属ろう材層を容易に形成できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導体パターンの側壁面が溝内に露出しているため、導体パターンの電子部品のバンプが当接する当接面及び両側面から成る露出面の全面を金属ろう材層によって覆うことができる。このため、導体パターンと電子部品のバンプとの当接状態を確実に固定できる充分な量の溶融金属ろう材を確保でき、且つ溶融金属ろう材量のバラツキを可及的に少なくできる。
しかも、隣接する導体パターン間には、溶融金属ろう材が他方の導体パターン方向に流出することを防止する隔壁が設けられている。このため、充分な量の溶融金属ろう材を提供できる金属ろう材層を導体パターンの露出面に確保しても、隣接する導体パターン間で金属ろう材のブリッジが発生したり、金属ろう材残が発生することを防止できる。
その結果、配線基板の導体パターンの狭ピッチ化を図っても、導体パターンと電子部品のバンプとの当接状態を確実に固定できる充分な量の溶融金属ろう材を確保しつつ、隣接する導体パターン間での金属ろう材のブリッジや金属ろう材残の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る配線基板は、図7に示す配線基板10と同様に、電子部品としての半導体素子12をフリップチップ方式で搭載する搭載面に、銅から成る導体パターン16,16・・がソルダレジスト20,20から露出して形成されている。この導体パターン16,16・・の各露出部には、半導体素子12のバンプが当接する幅広部16aが形成されている。
かかる導体パターン16,16・・の各両側には、図1(a)に示す様に、各導体パターン16に沿って同一幅の溝34,34が形成され、各導体パターン16の側壁面が溝34,34内に露出している。
従って、導体パターン16,16・・・の各々は、半導体素子12のバンプが当接する当接面及び側壁面が露出しており、図1(a)に示す様に、金属ろう材層としてのはんだ層30によって覆われている。
更に、導体パターン16,16・・の露出部間には、図1(a)に示す様に、絶縁層としての樹脂層32が形成されている。かかる樹脂層32は、図1(b)に示す様に、導体パターン16と同一高さであって、後述する様に、導体パターン16のはんだ層30を溶融した際に、溶融はんだが隣接する導体パターン16の方向に流出することを防止する隔壁としての役割を果たす。
この溝34の幅Wは、導体パターン16に付着したはんだ粉を溶融してはんだ層30を形成する場合は、導体パターン16の側壁面にはんだ粉を付着できる幅、具体的には5〜20μm程度とすることが好ましい。
【0010】
図1に示す配線基板10を形成する際には、先ず、図2(a)に示す様に、配線基板10の搭載面に、所定箇所をソルダレジスト20から露出する銅から成る導体パターン16,16・・を形成する。かかる導体パターン16,16・・は、公知のアディティブ法、セミアディティブ法或いはサブトラクティブ法によって形成できる。この導体パターン16,16・・には、図8に示す様に、配線基板10の搭載面にソルダレジスト20,20から露出した露出部が形成されている。この露出部には、図8に示す様に、半導体素子12のバンプ22の先端と当接する幅広部16aが形成されており、その横断面形状は、図2(a)に示す様に、四辺形であって、電子部品12のバンプ22が当接する当接面及び両側面の三面が露出する。
図2(a)に示す導体パターン15は、半導体素子12のバンプと当接することのないものであって、ソルダレジスト20によって覆われている。
【0011】
かかる導体パターン16,16・・の露出面は、図2(b)に示す様に、厚さが均一で且つ所定厚さのニッケルから成るめっき金属層18によって被覆する。このめっき金属層18の厚さは、形成予定の溝34の厚さと等しくする。
このめっき金属層18は、無電解めっきによって形成することによって、給電が困難な導体パターン16の露出面にも容易にめっき金属層18を形成できる。
かかる無電解めっきとして、無電解ニッケルめっきについて説明すると、めっき対象面を脱脂してからソフトエッチング及び酸洗浄した後、Pd活性化処理を施す。この際に、導体パターン16の露出面のみに選択的にPdの核付けを行う。次いで、所定の無電解ニッケルめっき液に配線基板を浸漬し、その浸漬時間を調整することによって、導体パターン16,16・・の露出面のみに均一厚さで且つ所定厚さのニッケルめっき金属層18を形成できる。
【0012】
次いで、図2(c)に示す様に、露出面がめっき金属層18によって被覆した導体パターン16,16・・を樹脂層32によって覆った後、樹脂層32の表面を研磨して、図2(d)に示す様に、導体パターン16の表面を露出する。この様に、導体パターン16の表面を露出したとき、導体パターン16の側面はめっき金属層18で被覆されている。
更に、図2(d)に示す配線基板10を、導体パターン16を形成する銅をエッチングしないが、めっき金属層18を形成するニッケルをエッチングするエッチング液に浸漬し、めっき金属層18をエッチングして除去する。
めっき金属層18を除去することによって、図2(e)に示す様に、導体パターン16,16・・の各側面に、導体パターン16の側壁面が露出する溝34が形成される。かかる溝34,34・・は均一幅であって、導体パターン16の側壁面に金属ろう材層30(図1)を形成できる幅である。例えば、金属ろう材層30としてのはんだ層を、導体パターン16の露出面に付着したはんだ粉を溶融して形成する場合には、導体パターン16の露出面にはんだ粉が付着できる幅、はんだ粉の平均粒径の2〜3倍、具体的には5〜20μm程度とすることが好ましい。
この際に、隣接する導体パターン16,16の間には、樹脂層32から成る隔壁が形成される。
【0013】
その後、図2(e)に示す導体パターン16,16・・の各露出面に付着したフラックス等の粘着剤に、はんだ粉を振り掛けて付着させた後、はんだ粉を溶融することによって、図1に示す様に、導体パターン16,16・・の各露出面に金属ろう材層としてのはんだ層30が形成される。
図1に示す導体パターン16,16・・の各露出面に形成されたはんだ層30を溶融し、図9に示す様に、半導体素子12のバンプ22の先端を当接すると、導体パターン16の露出面の全面を覆う溶融状態のはんだは、半導体素子12のバンプ22の周面に表面張力によって集まり、バンプ22と導体パターン16とを接合して電気的に接続する。この際に、図1に示す導体パターン16,16・・では、その露出面である半導体素子12のバンプ22が当接する当接面及び両側面の三面に存在する溶融状態のはんだをバンプ22と導体パターン16との接合に利用できる。このため、バンプ22と導体パターン16とを確実に電気的に接合できる。
しかも、隣接する導体パターン16,16の間には、樹脂層32から成る隔壁が設けられている。このため、導体パターン16,16・・の各露出面に充分な量のはんだ層30が形成されていても、はんだ層30を溶融しても、隣接する導体パターン16,16の間ではんだのブリッジが発生したり、はんだ残が発生することを防止できる。
従って、図1に示す導体パターン16,16・・を具備する配線基板10では、導体パターン16,16・・の狭ピッチ化を図っても、導体パターン16と半導体素子12等の電子部品のバンプ22との当接状態を確実に固定できる充分な量のはんだを確保しつつ、隣接する導体パターン16,16の間でのはんだブリッジやはんだ残の発生を防止できる。
【0014】
図1及び図2では、ソルダレジスト20によって覆われており、半導体素子12のバンプと当接することのない導体パターン15は、ソルダレジスト20,20から露出する露出面を具備する導体パターン16よりも薄く形成していたが、図3(a)に示す様に、導体パターン16と同一厚さに形成してもよい。
この場合には、図3(a)に示す導体パターン16,16・・の露出面を、厚さが均一で且つ所定厚さのめっき金属層18によって被覆し樹脂層32によって覆った後、図3(b)に示す様に、導体パターン16,16・・に対応する樹脂層32の部分のみをブラスト研磨して凹部を形成し、凹部の底面に導体パターン16,16・・のめっき金属層18を露出する。その際に、めっき金属層18を除去したとき、導体パターン16,16・・の表面と凹部底面とが同一面となるように、ブラスト研磨量を調整する。
次いで、めっき金属層18のみをエッチングで除去することによって、図3(c)に示す様に、導体パターン16,16・・の各側面に、導体パターン16の側壁面が露出する溝34を形成できる。
【0015】
図1〜図3に示す配線基板10では、導体パターン16と樹脂層32から成る隔壁とが同一高さであったが、図4に示す様に、隔壁を形成する樹脂層32が導体パターン16よりも高くてもよい。この様に、樹脂層32を導体パターン16よりも高くすると、導体パターン16,16・・の各露出面に充分な量のはんだ層30が形成されていても、はんだ層30を溶融しても、隣接する導体パターン16,16の間ではんだによるブリッジの発生を更に確実に防止できる。
図3に示す配線基板10を製造するには、図2(c)に示す様に、配線基板10のニッケルから成るめっき金属層18によって被覆した、銅から成る導体パターン16,16・・を被覆する樹脂層32をブラスト研磨等によって研磨して、図5(a)に示す様に、導体パターン16を覆うめっき金属層18の表面を露出する。
次いで、めっき金属層18を形成するニッケルのみをエッチングして、導体パターン16を形成する銅をエッチングしないエッチング液によって、めっき金属層18のみをエッチングして除去する。かかるエッチング処理によって、図5(b)に示す様に、導体パターン16,16の間に隔壁として残る樹脂層32よりも低い導体パターン16を得ることができる。この導体パターン16の両側面には、導体パターン16に沿って、導体パターン16の側壁面が露出する溝34,34が形成される。
【0016】
また、図6に示す様に、隔壁を形成する樹脂層32が導体パターン16よりも低い配線基板10であってもよい。図5に示す配線基板10では、導体パターン16の側壁面にはんだ層30を容易に形成でき、充分な量の溶融はんだを提供できるはんだ層30を形成できる。
図6に示す配線基板10を製造するには、図2(c)に示す様に、配線基板10のニッケルから成るめっき金属層18によって被覆した、銅から成る導体パターン16,16・・を被覆する樹脂層32を、研磨粒子を研磨面に吹き付けるブラスト研磨によって研磨する。かかるブラスト研磨では、金属から成るめっき金属層18及び導体パターン16よりも柔らかい樹脂層32が研磨され易い。このため、樹脂層32に対してブラスト研磨を所定時間施すと、図7(a)に示す様に、樹脂層32からめっき金属層18及び導体パターン16が突出する。
次いで、めっき金属層18を形成するニッケルのみをエッチングして、導体パターン16を形成する銅をエッチングしないエッチング液によって、めっき金属層18のみをエッチングして除去する。かかるエッチング処理によって、図7(b)に示す様に、導体パターン16,16の間に隔壁として残る樹脂層32よりも高い導体パターン16を得ることができる。この導体パターン16の両側面には、導体パターン16に沿って、導体パターン16の側壁面が露出する溝34,34が形成される。
以上、説明してきた図1〜図7に示す配線基板の製造方法では、溝34を導体パターン16の露出面に形成した金属めっき層18をエッチングして形成しているが、溝34の幅のバラツキが許容できる場合には、樹脂層32として感光性樹脂を用いて溝34を形成してもよい。
また、溝34を樹脂層32,32間に形成したが、樹脂層32に代えてセラミックから成る絶縁層であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る配線基板の一例を説明する部分断面図である。
【図2】図1に示す配線基板の製造方法を説明する工程図である。
【図3】図1に示す配線基板の他の製造方法を説明する工程図である。
【図4】本発明に係る配線基板の他の例を説明する部分断面図である。
【図5】図3に示す配線基板の製造方法を説明する工程図である。
【図6】本発明に係る配線基板の他の例を説明する部分断面図である。
【図7】図5に示す配線基板の製造方法を説明する工程図である。
【図8】配線基板の一例を説明する正面図である。
【図9】従来の配線基板に半導体素子をフリップチップ方式で搭載する状態を説明する説明図である。
【図10】従来の配線基板の課題を説明する説明図である。
【図11】従来の配線基板の改良例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0018】
10 配線基板
12 電子部品(半導体素子)
15,16 導体パターン
16 導体パターン
16a 導体パターン16の幅広部
18 めっき金属層
20 ソルダレジスト
22 バンプ
30 はんだ層(金属ろう材層)
32 樹脂層(絶縁層)
34 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載される搭載面に形成された複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及びその両側面から成る露出面の全面が金属ろう材層で覆われており、
前記金属ろう材層が溶融されて、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプと当接して電気的に接続される配線基板であって、
前記当接面が露出して隣接する導体パターンの間を充填する絶縁層に、前記導体パターンの側面を覆う金属ろう材層が露出する溝が、前記導体パターンの両側面の各々に沿って形成され、
且つ前記金属ろう材層が溶融されたとき、溶融状態の金属ろう材が隣接する導体パターン側に流出することを防止する隔壁が、前記絶縁層によって形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
金属ろう材層が、導体パターンの露出面に付着した金属ろう材粉を溶融して形成されており、前記導体パターンの両側面の各々に沿って形成された溝が、露出する導体パターンの側面に前記金属ろう材粉が付着できる幅の溝である請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
導体パターンの両側に沿って、幅の等しい溝が形成されている請求項1又は請求項2記載の配線基板。
【請求項4】
隔壁が、導体パターンと等しい高さである請求項1〜3のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項5】
隔壁が、導体パターンよりも高い請求項1〜3のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項6】
隔壁が、導体パターンよりも低い請求項1〜3のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項7】
電子部品を搭載する搭載面に形成した複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及び両側面から成る露出面の全面を金属ろう材層によって覆い、前記金属ろう材層を溶融して、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプを当接して電気的に接続する配線基板を製造する際に、
前記当接面が露出して隣接する導体パターンの間を充填する絶縁層に、前記導体パターンの側壁面が露出する溝を形成すると共に、前記導体パターン間に、前記金属ろう材層を溶融したとき、溶融状態の金属ろう材が隣接する導体パターン側に流出することを防止する隔壁を、前記絶縁層によって形成し、
次いで、前記導体パターンの露出面を金属ろう材層で覆うことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
溝及び隔壁を、配線基板の搭載面に形成した複数本の導体パターンの露出面のみを厚さが均一で且つ所定厚さのめっき金属層で被覆した後、前記めっき金属層で被覆した導体パターンを覆う絶縁層の表面を研磨して、前記めっき金属層を露出し、次いで、前記めっき金属層のみをエッチングで除去して形成する請求項7記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
導体パターンの露出面を覆うめっき金属層を、無電解めっきによって形成する請求項8記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
金属ろう材層を、導体パターンの露出面に付着した金属ろう材粉を溶融して形成し、前記導体パターンの両側面の各々に沿って、露出する導体パターンの側壁面に前記金属ろう材粉を付着できる幅の溝を形成する請求項7〜9のいずれか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項1】
電子部品が搭載される搭載面に形成された複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及びその両側面から成る露出面の全面が金属ろう材層で覆われており、
前記金属ろう材層が溶融されて、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプと当接して電気的に接続される配線基板であって、
前記当接面が露出して隣接する導体パターンの間を充填する絶縁層に、前記導体パターンの側面を覆う金属ろう材層が露出する溝が、前記導体パターンの両側面の各々に沿って形成され、
且つ前記金属ろう材層が溶融されたとき、溶融状態の金属ろう材が隣接する導体パターン側に流出することを防止する隔壁が、前記絶縁層によって形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
金属ろう材層が、導体パターンの露出面に付着した金属ろう材粉を溶融して形成されており、前記導体パターンの両側面の各々に沿って形成された溝が、露出する導体パターンの側面に前記金属ろう材粉が付着できる幅の溝である請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
導体パターンの両側に沿って、幅の等しい溝が形成されている請求項1又は請求項2記載の配線基板。
【請求項4】
隔壁が、導体パターンと等しい高さである請求項1〜3のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項5】
隔壁が、導体パターンよりも高い請求項1〜3のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項6】
隔壁が、導体パターンよりも低い請求項1〜3のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項7】
電子部品を搭載する搭載面に形成した複数本の導体パターンのうち、少なくとも前記電子部品のバンプが当接する当接面及び両側面から成る露出面の全面を金属ろう材層によって覆い、前記金属ろう材層を溶融して、前記導体パターンに対応する電子部品のバンプを当接して電気的に接続する配線基板を製造する際に、
前記当接面が露出して隣接する導体パターンの間を充填する絶縁層に、前記導体パターンの側壁面が露出する溝を形成すると共に、前記導体パターン間に、前記金属ろう材層を溶融したとき、溶融状態の金属ろう材が隣接する導体パターン側に流出することを防止する隔壁を、前記絶縁層によって形成し、
次いで、前記導体パターンの露出面を金属ろう材層で覆うことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
溝及び隔壁を、配線基板の搭載面に形成した複数本の導体パターンの露出面のみを厚さが均一で且つ所定厚さのめっき金属層で被覆した後、前記めっき金属層で被覆した導体パターンを覆う絶縁層の表面を研磨して、前記めっき金属層を露出し、次いで、前記めっき金属層のみをエッチングで除去して形成する請求項7記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
導体パターンの露出面を覆うめっき金属層を、無電解めっきによって形成する請求項8記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
金属ろう材層を、導体パターンの露出面に付着した金属ろう材粉を溶融して形成し、前記導体パターンの両側面の各々に沿って、露出する導体パターンの側壁面に前記金属ろう材粉を付着できる幅の溝を形成する請求項7〜9のいずれか一項記載の配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−212228(P2009−212228A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52353(P2008−52353)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
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